JP2022062383A - 回路接続用接着剤フィルム、回路接続構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿条件下であっても回路部材との剥離が生じにくく、接続抵抗が上昇しにくい回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、並びに、当該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体及びその製造方法を提供すること。【解決手段】回路接続用接着剤フィルムは、熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、ポリサルファイドポリマー、及び導電粒子を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、回路接続用接着剤フィルム、回路接続構造体及びその製造方法に関する。
半導体素子や液晶表示素子用の回路接続材料としては、高接着性でかつ高信頼性を示すエポキシ樹脂を用いた熱硬化性樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照)。樹脂の構成成分としては、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と反応性を有するフェノール樹脂等の硬化剤、エポキシ樹脂と硬化剤の反応を促進する潜在性硬化剤が一般に用いられている。潜在性硬化剤は硬化温度及び硬化速度を決定する重要な因子となっており、室温での貯蔵安定性と加熱時の硬化速度の観点から種々の化合物が用いられている。
また、近時、アクリレート誘導体及び/又はメタアクリレート誘導体(以下、「(メタ)アクリレート誘導体」と総称する。)とラジカル重合開始剤である過酸化物とを併用した、ラジカル硬化型接着剤が注目されている。ラジカル硬化は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため、短時間硬化が可能である(例えば、特許文献2、3参照)。
そのため、現在では生産時間短縮に有利な短時間硬化型接着剤が普及しつつある。また、ラジカル硬化型接着剤の反応性を更に向上させる目的で、連鎖移動剤の適用が検討されている(例えば、特許文献4、5参照)。
特開平1-113480号公報 特開2002-203427号公報 国際公開第98/044067号パンフレット 特開2003-221557号公報 国際公開第2009/057376号パンフレット
ところで、回路部材の接続には、接着剤中に導電粒子が分散された異方導電性を有する接着剤フィルムが利用されているが、接着剤としてラジカル硬化型接着剤を用いる場合、得られる回路接続構造体の接続抵抗が高温高湿試験後に上昇する傾向にある。
上述した連鎖移動剤を適用した接着剤であっても、接続抵抗の上昇を抑制するには未だ十分ではない。接続抵抗の上昇の要因について本発明者らが更に検討したところ、高温高湿試験後の回路接続構造体において回路部材と硬化した接着剤フィルムとの界面に剥離が発生する場合があることが明らかになった。
そこで、本発明は、高温高湿条件下であっても回路部材との剥離が生じにくく、接続抵抗が上昇しにくい回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、並びに、当該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、ポリサルファイドポリマー、及び導電粒子を含む、回路接続用接着剤フィルムを提供する。
上記の回路接続用接着剤フィルムによれば、高温高湿条件下であっても回路部材との剥離が生じにくく、接続抵抗が上昇しにくい回路接続構造体を得ることができる。また、上記の回路接続用接着剤フィルムは、前述の効果を奏するとともに充分な接着力で回路部材を接着することが可能である。
上記の効果が得られる理由としては、回路接続時のラジカル硬化による応力がポリサルファイドポリマーのジサルファイド結合によって緩和されることにより、接着剤フィルムと回路部材との密着性が向上し、その結果として、接続後の接続抵抗の上昇及び剥離の発生を抑制することができたと本発明者らは推察する。
ポリサルファイドポリマーの含有量は、回路接続用接着剤フィルムの全質量を基準として、0.5~10質量%であってもよい。
ポリサルファイドポリマーの数平均分子量は、500~10000であってもよい。
ポリサルファイドポリマーは、下記一般式(S-1)で表される化合物を含んでいてもよい。
HS-(R-S-S)n1-R-SH …(S-1)
[式(S-1)中、Rは、-COCHOC-を示し、n1の平均値が2~60である。]
本発明の別の側面は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、第1の回路部材及び第2の回路部材の間に配置され、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する接続部とを備え、接続部が、上記の回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む回路接続構造体を提供する。
上記の回路接続構造体は、高温高湿条件下であっても接続部と回路部材との界面で剥離が生じにくく、接続抵抗が上昇しにくいものになり得る。
本発明の別の側面は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、上記の回路接続用接着剤フィルムと、を、第1の電極と第2の電極とが回路接続用接着剤フィルムを介して相対向するように配置された状態で加熱及び加圧して、第1の電極と第2の電極とを電気的に接続する工程を備える回路接続構造体の製造方法を提供する。
上記の方法によれば、高温高湿条件下であっても硬化後の接着剤フィルムと回路部材との界面で剥離が生じにくく、接続抵抗が上昇しにくい回路接続構造体を得ることができる。
本発明によれば、高温高湿条件下であっても回路部材との剥離が生じにくく、接続抵抗が上昇しにくい回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、並びに、当該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体及びその製造方法を提供することができる。
図1は、接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。また、「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<回路接続用接着剤フィルム>
本実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、(A)熱可塑性樹脂(以下、「(A)成分」ともいう。)、(B)ラジカル重合性化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)、(C)ラジカル重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)、(D)ポリサルファイドポリマー(以下、「(D)成分」ともいう。)、及び(E)導電粒子(以下、「(E)成分」ともいう。)を含む。
本実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、第1の電極を有する第1の回路部材(例えば、第1の基板の主面上に第1の回路電極が形成された第1の回路部材)と、第2の電極を有する第2の回路部材(例えば、第2の基板の主面上に第2の回路電極が形成された第2の回路部材)とを、第1の電極及び第2の電極(第1の回路電極及び第2の回路電極)を対向配置させた状態で接続するための回路接続用接着剤フィルムとして、好適に用いることができる。
[(A)成分:熱可塑性樹脂]
(A)成分としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等が使用できる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、製膜性などの観点から1.0×10以上であってもよく、混合性の観点から1.0×10以上1.0×10未満であってもよい。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量とは、以下の条件に従ってゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定したもののことをいう。
[GPC条件]
使用機器:日立L-6000 型〔株式会社日立製作所〕、カラム:ゲルパックGL-R420+ゲルパックGL-R430+ゲルパックGL-R440(計3本)〔日立化成株式会社製〕、溶離液:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流量:1.75ml/min、検出器:L-3300RI〔株式会社日立製作所〕
また、(A)成分としては、Tg(ガラス転移温度)が40℃以上であり、重量平均分子量が1.0×10以上である水酸基含有樹脂(例えばフェノキシ樹脂)を使用することができる。水酸基含有樹脂は、エポキシ基含有エラストマーによって変性されていてもよい。
なお、本明細書において、ラジカル重合性の官能基を有する熱可塑性樹脂は、(B)ラジカル重合性化合物として配合されるものとする。
フェノキシ樹脂は、二官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を重付加反応させることにより得ることができる。
また、(A)成分として、ポリエステルウレタン樹脂を用いてもよい。
回路接続用接着剤フィルムにおける(A)成分の含有量は、剥離の抑制効果を一層向上させる観点から、回路接続用接着剤フィルムの樹脂成分(例えば、導電粒子及び充填材以外の成分)を基準として、5質量%以上又は30質量%以上であってよく、80質量%以下又は60質量%以下であってよく、5~80質量%又は30~60質量%であってよい。
[(B)成分:ラジカル重合性化合物]
(B)成分は、ラジカル重合性の官能基を有する化合物を用いることができる。ラジカル重合性の官能基としては、ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等が好適である。これらのうち、アクリロイル基及び/又はメタアクリロイル基を有する化合物がより好ましい。(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分としては、後述する化合物をモノマー、オリゴマーいずれの状態でも用いることができ、モノマーとオリゴマーとを併用することも可能である。
(B)成分としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
また、(B)成分としては、ジシクロペンタン骨格、トリシクロデカン骨格及びトリアジン環からなる群より選ばれる少なくと一つの部分構造を有するものを用いることができる。このような部分構造を有するラジカル重合性物質を用いることで、接着剤フィルムの硬化物が耐熱性に優れるようになる。
(B)成分は、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させる観点では、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含んでいてよい。トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、架橋密度と硬化収縮とのバランスの観点では、例えば、(B)成分の全質量を基準として、0~90質量%、5~60質量%又は10~30質量%であってよい。
さらに、(B)成分としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキサイド、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フェノキシ樹脂などのポリマーを用いることもできる。なお、(B)成分として用いられるポリマーは、分子内に少なくとも一つのラジカル重合性の官能基を有する。
(B)成分としてポリマーを含有させると、取扱い性もよく硬化時の応力緩和に優れるため好ましく、ポリマーが水酸基等の官能基を有する場合接着性が向上するためより好ましい。各ポリマーをラジカル重合性の官能基で変性したものがより好ましい。
これらポリマーの重量平均分子量は1.0×10以上であってもよく、混合性の点から1.0×10以上1.0×10以下であってもよい。ここでの重量平均分子量は、実施例に記載の条件に従ってゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定される。
(B)成分は、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させ、接続信頼性を向上させる観点では、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含んでいてよい。(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量は、架橋密度と硬化収縮とのバランスの観点では、例えば、(B)成分の全質量を基準として、0~100質量%、20~90質量%又は40~80質量%であってよい。
(B)成分は、下記式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(リン酸エステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物)を含んでいてよい。この場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、電極同士(例えば回路電極同士)の接着に好適である。
Figure 2022062383000001

式(1)中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物は、例えば、無水リン酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすくなる点では、例えば、(B)成分の全質量を基準として、0~20質量%、1~10質量%又は2~5質量%であってよい。
回路接続用接着剤フィルムにおける(B)成分の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすくなる点では、回路接続用接着剤フィルムの樹脂成分(例えば、導電粒子及び充填材以外の成分)の全質量を基準として、5質量%以上、20質量%以上又は40質量%以上であってよく、90質量%以下、75質量%以下又は60質量%以下であってよく、5~90質量%、20~75質量%又は40~60質量%であってよい。
[(C)成分:ラジカル重合開始剤]
(C)成分としては、遊離ラジカルを発生する化合物を用いることができ、例えば、過酸化化合物、アゾ系化合物などの加熱により分解して遊離ラジカルを発生する化合物が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、目的とする接続温度、接続時間等により適宜選定される。(C)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤は、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類、パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類としては、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネート類としては、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステル類としては、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2ーエチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノネート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(m-トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
パーオキシケタール類としては、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1、1-(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類としては、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類としては、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらのラジカル重合開始剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、保存性が延長されるために好ましい。
回路接続用接着剤フィルムにおける(C)成分の含有量は、ポットライフの観点から、回路接続用接着剤フィルムの樹脂成分(例えば、導電粒子及び充填材以外の成分)の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよく、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよく、0.1~20質量%、0.5~10質量%又は1~5質量%であってよい。
[(D)成分:ポリサルファイドポリマー]
(D)成分としては、主鎖にジサルファイド結合を有し、末端がチオール基のポリマーを用いることができる。
(D)成分としては、例えば、下記一般式(S)で示されるポリマーが挙げられる。
HS-(R-S-R-SH …(S)
[式(S)中、xは1~5の整数であり、xの平均値は2~2.5であり、nは1~200の整数であり、Rは-OCHO-を含む2価又は3価の有機基を示し、複数のRは同一であってもよく、異なっていてもよい。]
Rは、-OCHO-結合を含む有機基であってもよい。また、Rは、-COCHOC-を、50モル%以上含有してもよく、70モル%以上含有してもよい。Rが、分岐アルキレン基を含む有機基である場合、分岐アルキレン基の含有量は、-OCHO-結合のモル数に対して、0~70モル%であってもよい。
分岐アルキレン基は、例えば、-CH(CH-)CH-等のトリハロ有機化合物由来の多官能成分であってもよい。分岐トリハロ有機化合物は、トリハロアルキル化合物であってもよく、トリハロプロパンであってもよい。分岐トリハロ有機化合物のハロゲン原子としては、塩素、臭素、及びヨウ素を挙げることができ、塩素であってもよい。
式(S)中、nは1~50の整数であってもよい。
更に、ポリサルファイドポリマーは、下記一般式(S-1)で表される化合物を含むことができる。
HS-(R-S-S)n1-R-SH …(S-1)
[式(S-1)中、Rは、-COCHOC-を示し、n1の平均値が2~60である。n1の平均値は2~45であってもよい。]
ポリサルファイドポリマーは、従来の固体ポリサルファイドの形成を経由する製造方法、特許第4227787号に記載されているような相間移動触媒を用いた固体ポリサルファイドの形成を含まない製造方法で得ることができる。相間移動触媒は、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、クラウンエーテルを挙げることができ、メチルトリブチルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド、18-クラウン-6を用いることができる。相間移動触媒の使用量は、ポリサルファイドポリマーを構成する有機基R2モルあたり0.0001~0.1モルであってもよく、0.0002~0.02モルであってよい。更に、ポリサルファイドポリマーは、特開2013-116960に記載の末端ハロゲン化物を、特公昭47-48279号、特開平1-278557に準じて、水硫化ナトリウムを反応させることにより得ることもできる。
ポリサルファイドポリマーは、例えば、「LP-31」、「LP-32」、「LP-33」、「LP-56」(以上、東レ・ファインケミカル株式会社製商品名)などの市販品を用いることができる。
ポリサルファイドポリマーの数平均分子量は、硬化後の接着剤フィルムと回路部材の界面における剥離抑制、及び回路接続構造体の接続抵抗の上昇を抑制する観点から、500~10000であってもよく、800~10000であってもよく、800~8000であってもよく、1000~4000であってもよい。
ポリサルファイドポリマーのチオール当量は、硬化後の接着剤フィルムと回路部材の界面における剥離抑制、及び回路接続構造体の接続抵抗の上昇を抑制する観点から、100~5000であってもよく、250~3500であってもよく、500~2000であってもよい。
ポリサルファイドポリマーの25℃における粘度は、1~150Pa・sであってもよく、2~130Pa・sであってもよく、2~50Pa・sであってもよい。ここでの粘度は、E型粘度計を使用し、25℃、ローターナンバー2、回転数2.5rpmの条件で測定された値を意味する。
回路接続用接着剤フィルムにおける(D)成分の含有量は、硬化後の接着剤フィルムと回路部材の界面における剥離抑制、及び回路接続構造体の接続抵抗の上昇を抑制する観点から、回路接続用接着剤フィルムの全質量を基準として、0.5~10質量%であってもよく、1~8質量%であってもよく、2~6質量%であってもよい。
また、硬化後の接着剤フィルムと回路部材の界面における剥離抑制、及び回路接続構造体の接続抵抗の上昇を抑制する観点から、(D)成分の含有量は、(B)成分の全質量を基準として、0.5~35質量%であってもよく、1~30質量%であってもよく、5~25質量%であってもよい。
[(E)成分:導電粒子]
(E)成分としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。また、(E)成分は、Ni等の遷移金属類の表面をAu等の貴金属類で被覆したものでもよい。充分なポットライフを得る観点から、表層がAu、Ag、白金族の貴金属類とすることができ、Auであってもよい。また、(E)成分は、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電性粒子の表面を上述した導電性物質で被覆する等の方法により、非導電性粒子表面に導通層を形成し、さらに最外層を貴金属類で構成した被覆導電粒子であってもよい。このような粒子、又は熱溶融金属粒子を用いる場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し信頼性を向上させることができる。
(E)成分は、上記の金属粒子、導電性カーボン粒子、又は被覆導電粒子と、樹脂等の絶縁材料を含み、該粒子の表面を被覆する絶縁層とを備える絶縁被覆導電粒子であってもよい。(E)成分が絶縁被覆導電粒子であると、(E)成分の含有量が多い場合であっても、粒子の表面が樹脂で被覆されているため、(E)成分同士の接触による短絡の発生を抑制でき、また、隣り合う電極回路間の絶縁性を向上させることもできる。
(E)成分は、上述した各種導電粒子の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(E)成分の最大粒径は、電極の最小間隔(隣り合う電極間の最短距離)よりも小さいことが必要である。(E)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。(E)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。これらの観点から、(E)成分の最大粒径は、1.0~50μmであってよく、2.0~30μmであってよく、2.5~20μmであってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた最も大きい値を(E)成分の最大粒径とする。なお、(E)成分が突起を有するなどの球形ではない場合、(E)成分の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
(E)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。(E)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。これらの観点から、(E)成分の平均粒径は、1.0~50μmであってよく、2.0~30μmであってよく、2.5~20μmであってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
回路接続用接着剤フィルムにおける(E)成分の含有量は、安定した接続抵抗が得られやすくなる点で、回路接続用接着剤フィルムの樹脂成分(例えば、導電粒子及び充填材以外の成分)100体積部に対して0.1~30体積部の範囲であってもよい。(E)成分の含有量は、過剰な導電粒子による隣接回路の短絡等を防止する観点から、0.1~10体積部であってもよい。
また、(E)成分の含有量は、安定した接続抵抗が得られやすくなる点で、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の質量の合計を基準として、0.5~60質量%、3~45質量%又は6~30質量%であってよい。
[その他の成分]
本実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、上述した成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、カップリング剤、充填材等が挙げられる。これらの成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カップリング剤としては、接着性の向上の点から、ビニル基、アクリル基(アクリロイル基)、アミノ基、エポキシ基又はイソシアネート基の少なくとも1種を有する化合物を用いることができる。
充填材としては、例えば、非導電性のフィラー(例えば、非導電粒子)が挙げられる。充填材は、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタクリレート-ブタジエン-スチレン微粒子、アクリル-シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、均一な構造を有していてもよく、コア-シェル型構造を有していてもよい。充填材の最大径は、導電粒子の最小粒径未満であってよい。
充填材の含有量は、回路接続用接着剤フィルムの全体積基準で、4~60体積%であってもよく、5~50体積%であってもよく、6~30体積%であってもよい。また、充填材の含有量は、接続信頼性向上の観点から、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の質量の合計を基準として、3~60質量%、4~40質量%又は5~20質量%であってよい。
更に、本実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、重合禁止剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン類が挙げられる。
以上、本実施形態の回路接続用接着剤フィルムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、回路接続用接着剤フィルムは、安定した接続抵抗が得られやすくなる点で、2層以上の複層構造を有していてもよい。
また、上記実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、導電粒子を含まない回路接続用接着剤フィルムであってもよい。
本実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、以下の方法によって作製することができる。具体的には、まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を、溶剤(有機溶媒)中に加え、攪拌混合、混練等により、溶解又は分散させて、ワニス組成物(ワニス状の接着剤組成物)を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、ワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布した後、加熱により溶剤を揮発させて、基材上に回路接続用接着剤フィルムを形成することができる。
ワニス組成物の調製に用いる溶剤としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有する溶剤を用いてよい。このような溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。ワニス組成物の調製の際の攪拌混合及び混練は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
基材としては、溶剤を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる基材(例えばフィルム)を用いることができる。
基材へ塗布したワニス組成物から溶剤を揮発させる際の加熱条件は、溶剤が充分に揮発する条件としてよい。加熱条件は、例えば、40℃以上120℃以下で0.1分間以上10分間以下であってよい。
本実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。本実施形態の回路接続用接着剤フィルムにおける溶剤の含有量は、例えば、接着剤フィルムの全質量を基準として、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってもよい。
<回路接続構造体及びその製造方法>
次に、回路接続構造体及びその製造方法について説明する。
本実施形態の回路接続構造体は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、第1の回路部材及び第2の回路部材の間に配置され、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する接続部とを備え、接続部が、本実施形態の回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む。
本実施形態の回路接続構造体の製造方法は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、本実施形態の回路接続用接着剤フィルムと、を、第1の電極と第2の電極とが回路接続用接着剤フィルムを介して相対向するように配置された状態で加熱及び加圧して、第1の電極と第2の電極とを電気的に接続する工程を備える。
図1は、回路接続構造体の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示す回路接続構造体1は、第1の回路基板21及びこれの主面21a上に形成された第1の回路電極(第1の接続端子)22を有する第1の回路部材20と、第2の回路基板31及びこれの主面31a上に形成された第2の回路電極(第2の接続端子)32を有する第2の回路部材30と、第1の回路部材20と第2の回路部材30との間に介在してこれらを接着している接続部10とを備える。第2の回路部材30は、第2の回路電極32が第1の回路電極22と対向するように第1の回路部材20と対向配置されている。
接続部10は、本実施形態の回路接続用接着剤フィルムを第1の回路部材20と第2の回路部材30との間に介在させ、その状態で加圧することにより形成されたものであり、回路接続用接着剤フィルムの硬化物(例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を含む接着剤組成物の硬化物)を含む。なお、本実施形態では、導電粒子を含有する回路接続用接着剤フィルムを用いて接続部10を形成した場合の一例を示しており、接続部10は、絶縁層11と、絶縁層11内に分散している導電粒子7とから構成される。絶縁層11は、接着剤フィルムのうち導電粒子以外の成分に由来し、ラジカル重合性化合物のラジカル重合により形成された硬化体を含む。
対向する第1の回路電極22及び第2の回路電極32は、導電粒子7を介して電気的に接続されている。一方、同一の回路基板上に形成された第1の回路電極22同士、及び第2の回路電極32同士は絶縁されている。
第1の回路基板21及び第2の回路基板31としては、半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基板等の基板等が挙げられる。通常、回路部材には多数の接続端子が設けられているが、接続端子は場合によっては単数でもよい。
より具体的には、半導体、ガラス及びセラミック等の無機材料の基板、プラスチック基板、又はガラス/エポキシ基板が用いられる。プラスチック基板としては、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム及びポリエステルフィルムが挙げられる。第1の回路電極及び第2の回路電極は、銅などの金属から形成される。より良好な電気的接続を得るためには、第1の回路電極及び第2の回路電極の少なくとも一方の表面を、金、銀、錫及び白金族から選ばれる金属にすることが好ましい。表面層は金、銀、白金族、又は錫のいずれかから選択され、これらを組み合わせて用いてもよい。また、銅/ニッケル/金のように複数の金属を組み合わせて多層構成としてもよい。
また、第1の回路部材20及び第2の回路部材30のうち一方は、ガラス基板又はプラスチック基板を回路基板として有し、ITO等から形成された接続端子を有する液晶ディスプレイパネルであってもよい。また、第1の回路部材20及び第2の回路部材30のうち一方は、ポリイミドフィルムを回路基板として有するフレキシブルプリント配線板(FPC)、テープキュリアパッケージ(TCP)若しくはチップオンフィルム(COF)、又は半導体基板を回路基板として有する半導体シリコンチップであってもよい。これらの各種の回路部材を、必要により適宜組み合わせて回路接続構造体が構成される。
なお、回路電極を設けた基板は接続時の加熱による揮発成分による接続への影響を排除するために、回路接続用接着剤フィルムによる接続工程の前に予め加熱処理することが好ましい。
回路接続構造体1は、例えば、第1の回路部材20、回路接続用接着剤フィルム及び第2の回路部材30を、この順で、第1の接続端子22及び第2の接続端子32が相対峙するように重ね合わせ、その状態で加圧あるいは更に加熱することにより形成される。圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば、特に制限は受けないが、一般的には0.1~10MPaが好ましい。加熱温度は、特に制限は受けないが、100~200℃が好ましい。これらの加圧及び加熱は、0.5秒~100秒間の範囲で行うことが好ましく、130~180℃、3MPa、10秒の加熱でも接着させることが可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<ポリウレタンアクリレート(UA1)の合成>
攪拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を有する還流冷却管、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ポリ(1,6-ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノール T5652、旭化成ケミカルズ株式会社製、数平均分子量1000)2500質量部(2.50mol)と、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)とを3時間かけて均一に滴下した。次いで、反応容器に充分に窒素ガスを導入した後、反応容器内を70~75℃に加熱して反応させた。次に、反応容器に、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53質量部(4.3mmol)と、ジブチル錫ジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部(8.8mmol)とを添加した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)を加え、空気雰囲気下70℃で6時間反応させた。これにより、ポリウレタンアクリレート(UA1)を得た。ポリウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量は15000であった。なお、重量平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×10Pa(30kgf/cm
流量:1.00mL/min
<導電粒子の作製>
ポリスチレン粒子の表面上に、層の厚さが0.2μmとなるようにニッケルからなる層を形成した。このようにして、平均粒径4μm、最大粒径4.5μm、比重2.5の導電粒子を得た。
(実施例1~14、比較例1~5)
[接着剤フィルムの作製]
以下に示す成分を表1~3に示す配合量(質量部)で混合し、ワニス組成物をそれぞれ調製した。
(熱可塑性樹脂)
A1:ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、ユニオンカーバイド社製)40gをメチルエチルケトン60gに溶解して調製した40質量%の溶液を使用(表中の配合量はビスフェノールA型フェノキシ樹脂の配合量を示す)
(ラジカル重合性化合物)
B1:上述のとおり合成したポリウレタンアクリレート(UA1)
B2:トリシクロデカン骨格を有するジアクリレート(ジシクロペンタジエン型ジアクリレート)(商品名:DCP-A、共栄社化学株式会社製)
B3:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)
(ラジカル重合開始剤)
C1:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
(ポリサルファイドポリマー)
D1:ポリサルファイドポリマー(商品名:LP-31、東レ・ファインケミカル株式会社製、粘度(@25℃):130Pa・s、数平均分子量:7500)
D2:ポリサルファイドポリマー(商品名:LP-32、東レ・ファインケミカル株式会社製、粘度(@25℃):45Pa・s、数平均分子量:4000)
D3:ポリサルファイドポリマー(商品名:LP-33、東レ・ファインケミカル株式会社製、粘度(@25℃):1.8Pa・s、数平均分子量:1000)
D4:ポリサルファイドポリマー(商品名:LP-56、東レ・ファインケミカル株式会社製、粘度(@25℃):18Pa・s、数平均分子量:3000)
(導電粒子)
E1:上述のとおり作製した導電粒子
(チオール化合物)
X1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMT PE-1(「カレンズMT」は登録商標)、昭和電工株式会社製)、粘度(@25℃):1Pa・s、分子量:544.8
(カップリング剤)
F1:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製)
(充填材)
G1:シリカ微粒子(商品名:R104、日本アエロジル株式会社製、平均粒径(一次粒径):12nm)
上記で得られたワニス組成物を、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さ(乾燥後の厚さ)が10μmの接着剤フィルムを形成した。
[回路接続構造体の作製]
作製した回路接続用接着剤フィルムを介して、ピッチ25μmのCOF(FLEXSEED社製)と、ガラス基板上に窒化ケイ素(SiNx)からなる薄膜電極(高さ:1200Å)を備える、薄膜電極付きガラス基板(ジオマテック社製)とを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、株式会社太陽機械製作所製)を用いて、180℃、4.5MPaで4秒間の条件で加熱加圧を行って幅1mmにわたり接続し、回路接続構造体(接続構造体)を作製した。
[回路接続構造体の評価]
得られた回路接続構造体について、下記の評価を行った。
(接続抵抗)
得られた回路接続構造体について、接続直後、及び、高温高湿試験後の対向する電極間の接続抵抗値を、マルチメーターで測定した。高温高湿試験は、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に100h放置することにより行った。接続抵抗値は、対向する電極間の抵抗16点の平均値として求めた。
(接着力)
得られた回路接続構造体について、接続直後、及び、高温高湿試験後(85℃、85%RHの恒温恒湿槽に100h放置)の室温時の接着力を、テンシロンUTM-4(東洋ボールドウィン株式会社製、剥離強度50mm/min)を用いて測定した。
(剥離)
回路接続構造体の接続直後の接続外観、及び高温高湿試験後の接続外観を、光学顕微鏡を用いて観察し、剥離面積を評価した。具体的には、薄膜電極付きガラス基板側から該ガラス基板と回路接続部との界面において剥離が発生しているか否かを目視にて確認し、剥離が発生している場合は剥離面積を算出し、下記の基準により4段階で評価した。
A:剥離面積の割合が10%未満
B:剥離面積の割合が10%以上30%未満
C:剥離面積の割合が30%以上60%未満
D:剥離面積の割合が60%以上
Figure 2022062383000002
Figure 2022062383000003
Figure 2022062383000004
表1及び2に示すとおり、ポリサルファイドポリマーを含む接着剤フィルムを用いた実施例1~14では、高温高湿試験後であっても接続部と回路部材との剥離が抑制され、接続抵抗を充分小さく維持できる回路接続構造体を得ることができた。
一方、接着剤フィルムがポリサルファイドポリマーを含まない比較例1~5では、高温高湿試験後の回路接続構造体において接続部と回路部材との剥離が発生し、接続抵抗も上昇した。また、チオール化合物としてペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)を配合することで接着力の向上は見られるものの、剥離及び接続抵抗の上昇を充分に抑制することはできず、チオール化合物の配合量を増やしても改善されないことが確認された。
1…回路接続構造体、7…導電粒子、10…接続部、11…絶縁層、20…第1の回路部材、21…第1の回路基板、22…第1の回路電極(第1の接続端子)、30…第2の回路部材、31…第2の回路基板、32…第2の回路電極(第2の接続端子)。

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、ポリサルファイドポリマー、及び導電粒子を含む、回路接続用接着剤フィルム。
  2. 前記ポリサルファイドポリマーの含有量が、回路接続用接着剤フィルムの全質量を基準として、0.5~10質量%である、請求項1に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  3. 前記ポリサルファイドポリマーの数平均分子量が、500~10000である、請求項1又は2に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  4. 前記ポリサルファイドポリマーは、下記一般式(S-1)で表される化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルム。
    HS-(R-S-S)n1-R-SH …(S-1)
    [式(S-1)中、Rは、-COCHOC-を示し、n1の平均値が2~60である。]
  5. 第1の電極を有する第1の回路部材と、
    第2の電極を有する第2の回路部材と、
    前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材の間に配置され、前記第1の電極及び前記第2の電極を互いに電気的に接続する接続部と、
    を備え、
    前記接続部が、請求項1~4のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む、回路接続構造体。
  6. 第1の電極を有する第1の回路部材と、
    第2の電極を有する第2の回路部材と、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムと、を、
    前記第1の電極と前記第2の電極とが前記回路接続用接着剤フィルムを介して相対向するように配置された状態で加熱及び加圧して、前記第1の電極と前記第2の電極とを電気的に接続する工程を備える、回路接続構造体の製造方法。
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