JP2024041534A - 電極、電極群、二次電池、電池パック、及び車両 - Google Patents

電極、電極群、二次電池、電池パック、及び車両 Download PDF

Info

Publication number
JP2024041534A
JP2024041534A JP2022146405A JP2022146405A JP2024041534A JP 2024041534 A JP2024041534 A JP 2024041534A JP 2022146405 A JP2022146405 A JP 2022146405A JP 2022146405 A JP2022146405 A JP 2022146405A JP 2024041534 A JP2024041534 A JP 2024041534A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
active material
battery
containing layer
battery pack
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022146405A
Other languages
English (en)
Inventor
康宏 原田
太郎 深谷
頼司 吉田
泰伸 山下
芳明 村田
則雄 高見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2022146405A priority Critical patent/JP2024041534A/ja
Publication of JP2024041534A publication Critical patent/JP2024041534A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】電解質の電極への浸透性および電極における保持性に優れ、且つ、寿命性能に優れた二次電池を実現できる電極および電極群、電解質の電極への浸透性および電極における保持性に優れ、且つ、寿命性能に優れた二次電池および電池パック、及びこの電池パックを搭載した車両を提供する。【解決手段】実施形態によれば、活物質含有層10bと集電体10aとを具備する電極10が提供される。活物質含有層は、第1辺と第1辺と交差する第1方向の反対側にある第2辺とを含み、且つ、電極活物質を含有する。集電体は、活物質含有層を担持している活物質担持部10dと、活物質担持部および第1辺と隣接し且つ活物質含有層が設けられていない活物質非担持部10eとを含む。電極は、第1方向にそれぞれ沿う複数の隆線8と複数の溝9とを含む凹凸部を有する。第1辺に沿った凹凸部の第1ピッチaと第2辺に沿った凹凸部の第2ピッチbとは、a<bの関係を満たす。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、電極、電極群、二次電池、電池パック、及び車両に関する。
近年、スマートフォン、車両、定置用電源装置、ロボット及びドローン等の電池搭載機器に、リチウムイオン電池等の二次電池が搭載されてきている。また、二次電池を搭載する機器を長時間使用するために、単電池の大容量化が求められている。近年では、充電容量の増加及び急速充電を可能にするため、ニオブ及びチタンを含有する酸化物が負極活物質として用いられる。例えば、Nb2TiO7で表されるチタンニオブ酸化物は380mAh/gを超える高い理論容量を有する。
ニオブチタン酸化物の容量が高い一方で、その他方、ニオブチタン酸化物を活物質に用いた電極において導電性を確保するために電極に添加される導電助剤の量が多くなる。また、電池の充放電に伴うニオブチタン酸化物の膨張収縮による電極の崩壊を避けるために、結着剤が多量に使用される。活物質以外の電極合材が多い電極の体積当たりの容量の増加は、電極密度を増加させることで達成できる。単電池の重量当たりの容量の増加は、電極面積を広くすることで達成できる。従って、電極密度の増加および電極面積の拡大によって、エネルギー密度を向上させることができる。
特開2001-76711号公報 特開2012-174434号公報 特開2013-73690号公報
電解質の電極への浸透性および電極における保持性に優れ、且つ、寿命性能に優れた二次電池を実現することができる電極および電極群、電解質の電極への浸透性および電極における保持性に優れ、且つ、寿命性能に優れた二次電池および電池パック、及びこの電池パックを搭載した車両を提供することを目的とする。
実施形態によれば、活物質含有層と集電体とを具備する電極が提供される。活物質含有層は、第1辺と第1辺と交差する第1方向の反対側にある第2辺とを含み、且つ、電極活物質を含有する。集電体は、活物質含有層を担持している活物質担持部と、活物質担持部および第1辺と隣接し且つ活物質含有層が設けられていない活物質非担持部とを含む。電極は、第1方向にそれぞれ沿う複数の隆線と複数の溝とを含む凹凸部を有する。第1辺に沿った凹凸部の第1ピッチaと第2辺に沿った凹凸部の第2ピッチbとは、a<bの関係を満たす。
他の実施形態によれば、複数の正極と、複数の負極とを具備する電極群が提供される。負極は、上記電極である。当該電極群は、正極と負極とが積層された積層型構造を有する。
さらに他の実施形態によれば、上記電極群と電解質とを具備する二次電池が提供される。
ことさら他の実施形態によれば、上記二次電池を具備する電池パックが提供される。
また、実施形態によれば、上記電池パックを搭載した車両が提供される。
実施形態に係る電極の一例を概略的に示す一部切欠平面図。 3次元レーザー変位計により求められる実施形態に係る電極の一部の断面形状の一例を表す概念図。 3次元レーザー変位計により求められる実施形態に係る電極の他の一部の断面形状の一例を表す概念図。 実施形態に係る電極の製造における一つの段階を概略的に表す平面図。 実施形態に係る電極の製造における他の段階を概略的に表す平面図。 実施形態に係る電極群の一例を概略的に示す断面図。 実施形態に係る電極群の他の例を概略的に示す分解斜視図。 実施形態に係る二次電池の一例を模式的に示す部分切欠斜視図。 図8に示す二次電池のE部を拡大した断面図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図11に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図。 実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図。
ニオブチタン酸化物を含有する負極活物質が用いられる電池においては、負極に含まれる導電剤や結着剤などの添加成分が多く、電極密度も高い。そのことから、ニオブチタン酸化物を用いた電池では電極の大面積化による電解液(液状電解質)の浸透性の悪さが問題となる。このことは、製造時に電解液を電極中に含浸させるための時間が長くなるだけでなく、電極内の電解液の含浸が不均一となり、電池性能低下の原因ともなり得る。更に、ニオブチタン酸化物を含有する電池セルにおいては、充放電時における電極の体積変化(膨張収縮)によって電極から電解液が押し出され、入出力性能や寿命が低下する虞がある。このことから、ニオブチタン酸化物を含有する電極体及び電池の電解液浸透性を改善する手法が求められている。
以下、実施の形態について適宜図面を参照して説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態によれば、電極が提供される。係る電極は、電極活物質を含有する活物質含有層と、集電体とを具備する。活物質含有層は、第1辺と第2辺とを含む。第2辺は、活物質含有層にて第1辺と交差する第1方向の反対側にある。集電体は、活物質担持部と活物質非担持部とを含む。活物質担持部は、活物質含有層を担持している。活物質非担持部は、活物質担持部および第2辺と隣接している。活物質非担持部には、活物質含有層が設けられていない。電極は、第1方向にそれぞれ沿う複数の隆線と複数の溝とを含む凹凸部を有する。第1辺に沿った凹凸部の第1ピッチaと第2辺に沿った凹凸部の第2ピッチbとは、a<bの関係を満たす。
係る電極は、電池用電極であり得る。電池用電極としての電極は、例えば、二次電池用の負極であり得る。ここでいう二次電池とは、例えば、リチウムイオン二次電池や非水電解質電池などを含む。
上記構成を有する電極は、液状電解質(電解液)に対し高い含浸性を示す。即ち、係る電極への電解質の浸透性が高く、電極による電解質の保持性も高い。そのため、当該電極を用いることで、設計容量を発揮する電池を短時間で製造できるだけでなく、寿命性能に優れた電池を得ることができる。
実施形態に係る電極について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る電極の一例を概略的に示す一部切欠き平面図である。図1に示す電極10は、集電体10aと、その表裏の主面の少なくとも一方に担持された活物質含有層10bとを備えている。集電体10aは、活物質含有層10bが設けられている活物質担持部10dと、その何れの表面にも活物質含有層10bが設けられていない活物質非担持部10eとを含んでいる。活物質非担持部10eは、集電タブ10cとして働く。集電体10aの活物質非担持部10e側の活物質含有層10bの一辺を第1辺11aとし、この第1辺と交差する第1方向11の反対側にある活物質含有層10bの一辺を第2辺11bとする。図示するように、集電タブ10c(活物質非担持部10e)は、第1方向11と交差する幅が活物質含有層10bの第1辺11aの第1長さXa及び第2辺11bの第2長さXbよりも狭い狭小部となっている。
電極10は、それぞれが第1方向11に沿う複数の隆線(ridges)8と複数の溝9とを含む凹凸部を有している。即ち、電極10は平板形状を有してなく、電極10の第1方向11と交差する断面は波形状を有する。また、第1辺11a側の波形状の第1ピッチaは、第2辺11b側の波形状の第2ピッチbより狭い。凹凸部の波形状は、電極10の厚み方向(波形状の深さ方向)において、集電体10a及び活物質含有層10bの両方に亘る。
図2及び図3に、第1辺11a側および第2辺11b側の電極断面の波形状をそれぞれ表す。図2及び図3は、何れも3次元レーザー変位計により求められる電極10の断面形状の一例を表す概念図である。詳細な算出方法は後述するが、電極10の断面の凹凸形状を表す曲線における極大値間の距離の平均値を、その位置でのピッチとする。
例えば、図2に示す第1辺11aの断面形状を表す曲線cは複数の極大値を含む。複数の極大値のうち、隣り合う一対の間の距離をaとし、複数ある対についての距離aを第1ピッチaとする。同様に、図3に示す第2辺11bの断面形状を表す曲線c100は複数の極大値を含む。複数の極大値のうち、隣り合う一対の間の距離をbとし、複数ある対についての距離bを第2ピッチbとする。なお、曲線c及び曲線c100における極大値は、第1辺11a及び第2辺11bのそれぞれにおける凹凸部の隆線8の位置に対応する。それぞれの曲線における極小値は、第1辺11a及び第2辺11bのそれぞれにおける凹凸部の溝9の位置に対応する。
活物質含有層10bの第1長さXaと第2辺11bの第2長さXbとの平均長さXに対し、第1辺11a側の波形状の第1ピッチaは0.01X≦a≦0.1Xの範囲内にあり得る。また、平均長さXに対し、第2辺11b側の波形状の第2ピッチbは0.05X≦b≦0.5Xの範囲内にあり得る。但し、第1ピッチa及び第2ピッチbは、a<bの関係を満たす。
図1に示す電極10は実施形態に係る電極の好ましい形態の一例であり、凹凸部において隆線8と溝9は、第1辺11aから第2辺11bへ向かって間隔が広がるように配置されている。具体的には、集電タブ10cを起点として、隆線8および溝9が放射状に延びている。例えば、活物質含有層10bの第1辺11a側をY0とし、第2辺11b側をY100とする。第1辺11aから第2辺11bまでの第1方向11に沿った活物質含有層10bの長さ(又は、集電体10aの活物質担持部10dの長さ)をYとして、Y/4毎の中間点をY25,Y50,及びY75とする。電極10の凹凸部において、第1辺11a側の位置Y0から、Y25、Y50、Y75、そして第2辺11b側の位置Y100へ進むにつれて、電極断面の波形状のピッチが順次に広くなる。凹凸部が含む隆線8や溝9の配向は、図1に示した様な放射状のものに限られない。例えば、各隆線8および各溝9は、互いに略平行の配置を取り得る。又は、第1辺11aから第2辺11bまでの経路にて隆線8や溝9が蛇行し得る。
また、電極10の凹凸部において、隆線8と溝9による凹凸の起伏は、第1辺11a側の方が第2辺11b側より大きい。つまり、図2に示す第1辺11a側(Y0)の断面形状を表す曲線cの最小値および最大値の差Dは、図3に示す第2辺11b側(Y100)の断面形状を表す曲線c100の最小値および最大値の差D100より大きい。より具体的には、第1辺11a側で隆線8および溝9の起伏が最も大きく、第2辺11b側へ向かって起伏が徐々に減少する。従って、第1辺11a側の位置Y0から、Y25、Y50、Y75、そして第2辺11b側の位置Y100へ進むにつれて、凹凸の深さが減少する。
以上のとおり、係る電極は波うち形状の凹凸部を有する。当該凹凸部を有していることで、活物質含有層の第1辺から電解質が活物質含有層内へ浸透しやすい。そのため、例えば、電極を対極とともに積層させた積層型(スタック型)電極群においては電極主面を電解質の導入に利用できないものの、第1辺からの電解質の浸透性が高いため、電極内部への電解質の含浸が促進される。これにより、電池において電極の利用率が向上し、設計容量を短時間に得ることができる。それだけでなく、電池の充放電に伴う電極の体積変動による電解質の移動が可逆的になるため、電極における電解質の液枯れによる性能劣化が防止される。
凹凸部は、図1の例のようにホタテ貝様の放射状の波うち形状を有することが好ましい。このような構造の電極を用いた電池の製造にて液状電解質を導入した際に、活物質含有層の第1辺と隣接する集電タブ(集電体の活物質非担持部)上に電解質の液溜まりができやすい。そのため、第1辺のうち集電タブが沿う部分を始点として、電極全体に効率良く電解質を行き渡らせることができる。
以下、活物質含有層および集電体について詳細に説明する。
活物質含有層は、集電体の片側または表裏両側の主面上に担持され得る。活物質含有層は、電極活物質を含有し、それに加え、任意に導電剤及び結着剤とを含むことができる。
電極活物質としては、例えば、炭素材料や金属酸化物を用いることできる。電極の密度を高めることができるため、電極活物質が金属酸化物を含むことが望ましい。電極活物質に用いることのできる金属酸化物の例には、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi37、0≦y≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi512、0≦x≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、五酸化ニオブ(Nb25)、ホランダイト型チタン複合酸化物、直方晶型(orthorhombic)チタン複合酸化物、及び単斜晶型ニオブチタン酸化物が挙げられる。以後、電極活物質を単に活物質と呼ぶ。
上記直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+a 2-bTi6-cII d14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、Mは、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。MIIはZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
上記単斜晶型ニオブチタン酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン酸化物の粒子の他の例として、LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。
エネルギー密度の観点から、活物質として単斜晶型ニオブチタン酸化物を含むことが望ましい。活物質含有層に含む活物質のうち、ニオブチタン酸化物と他の活物質との総質量に対するニオブチタン酸化物の含有割合が50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。あるいは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
活物質含有層中の活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、電極の用途に応じて適宜変更することができる。例えば、電極を二次電池の負極として用いる場合は、活物質(負極活物質)、導電剤及び結着剤を、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層と集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ30質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、2.3g/cm3以上3.5g/cm3以下であることが好ましい。活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。活物質含有層の密度は、2.5g/cm3以上2.9g/cm3以下であることがより好ましい。
活物質含有層の主面の面積は、例えば、150cm2以上500cm2以下である。従来の電極では電極面積が150cm2以上の場合に電解質の含浸性が問題となっていた。従って、150cm2以上の面積を有する電極について、実施形態に係る電極が有する凹凸部による電解質の浸透性の促進が効果的に発揮される。電極面積が500cm2以下であると、例えば、積層型電極群を構成した際の凹凸部による積層構造の歪が少なく抑えられ、設計どおりの形状を有する電極群や電池を得ることができる。従って、電池においてエネルギー密度を確保できる。
集電体には、活物質にリチウム(Li)が挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、電極が負極として用いられる場合は、集電体は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
<製造方法>
電極は、次の方法により作製することができる。先ず、活物質、導電剤、及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。スラリーを塗布する際、集電体の一辺およびその反対側の辺のそれぞれに沿って、何れの面にもスラリーを塗布しない部分を一定幅残す。また、それら2つの未塗工部の間で、幅を異ならせる。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。
続いて、この積層体を電極前駆体として、当該前駆体に張力をかけずに、または、15kN以下の弱い張力をかけた状態で圧延処理を施す。このように未塗工部の幅を非対称としたうえで張力を殆ど又は全くかけずに圧延することで、得られる電極において集電タブ側(第1辺側)と反対側(第2辺側)とで、凹凸部のピッチを異ならせることができる。これは、圧延時に未塗工部の伸び率が集電体の両辺の間で異なるためである。幅が狭い未塗工部よりも、幅が広い未塗工部の方が高い伸び率を示す。また、圧延の際の圧力が高い方が、これら未塗工部の間の伸び率の差がより顕著になる。加えて、圧力が高い方が活物質含有層の密度が高くなる。こうして、集電体の伸び率が異なる一対の活物質未塗工部を両端に備えた電極前駆体を得る。
次いで、活物質未塗工部の伸び率が異なる電極前駆体から、例えば、電極をビク型(トムソン型)で抜き取ることで電極を成型する。ここで、幅が狭い方の活物質未塗工部が活物質非担持部(集電タブ)となるように、電極を打ち抜く。また、その反対側(第2辺側)に幅が広い方の活物質未塗工部が残らないように電極を打ち抜いてもよいし、打ち抜いた後に不要となる活物質未塗工部を切り落としてもよい。また、第2辺側に活物質未塗工部を残してもよい。電極を抜く際に、集電タブ側(第1辺側)を伸び率が低い未塗工部とし、反対側(第2辺側)を伸び率が高い未塗工部とすることで、成型時の伸び率を第1辺側と第2辺側とで異ならせる。その結果、電極成型時に集電タブ側のピッチが狭く、且つ反対側のピッチが広い凹凸部が得られる。これらのピッチ及び凹凸の深さは、圧延時の圧力及び両側の未塗工部のそれぞれの幅を調整することで、制御することができる。
また、電極を抜き取る際、活物質非担持部(集電タブ)となる部分が活物質担持部となる部分よりも第1辺に沿う幅が狭い凸状の狭小部となるビク型を用いることが好ましい。活物質非担持部が狭小部となる電極を打ち抜き成型する際、活物質非担持部の周辺に応力が集中するため、そこを起点にして放射状に広がる凹凸部が得られやすい。電極前駆体から電極を打ち抜き成型する代わりに、例えば、電極を切り出すことも可能である。応力により凹凸部が放射状に形成されやすい打ち抜き成型がより好ましい。
このようにして、電極を作製する。
図4及び図5を参照しながら、電極作製の一部を説明する。
図4は、電極前駆体に対する圧延処理の一例を概略的に表す平面図である。図5は、電極前駆体からの電極の抜き出しを概略的に表す平面図である。
図4に示す電極前駆体シート12は、集電体と集電体上に形成された活物質含有層12bとを含む。集電体は、その一辺および反対側の一辺に沿って活物質含有層12bが形成されていない第1活物質未塗工部12a及び第2活物質未塗工部12cをそれぞれ含む。
電極前駆体シート12には、例えば、プレスロールを含めたロール(図示せず)間でroll-to-rollでの搬送によって弱い張力13がかかり得るが、張力13は15kN以下に留める。張力が殆どかかっていない又は全くかかっていない状態で電極前駆体シート12が、例えば、プレスロール(図示せず)により圧延されることで、第1活物質未塗工部12a及び第2活物質未塗工部12cの幅の違い等の上述した要素に応じて、幅が広い第1活物質未塗工部12a側の伸び率14aの方が幅が狭い第2活物質未塗工部12c側の伸び率14cよりも高くなる。
図5に示すように伸び率が低い方の第2活物質未塗工部12cの一部が活物質非担持部10e(集電タブ)となり、そこに隣接する活物質含有層12bが活物質担持部10dとなるように電極を抜き取る。第1活物質未塗工部12a側と比べて第2活物質未塗工部12c側の集電体の伸び率が低いため、抜き取り時に、活物質非担持部10e側(第1辺側)の方が反対側(第2辺側)よりもピッチが狭く凹凸深さが深い凹凸部を有する電極が成型される。
<測定方法>
3次元レーザー変位計測定
電極の凹凸部の形状測定には、3次元レーザー変位計の使用が有効である。具体的には、電極における凹凸ピッチを、3次元レーザー変位計を用いて測定できる。また、凹凸の深さを測定することができる。
定盤の上に電極を置き、自重で静置する。この際に、電極を押さえる錘や形状を矯正するフレームなどは用いない。3次元レーザー変位計によって電極全体の3次元情報を収集する。
次に、図1に示したように、集電タブ10cと隣接する活物質含有層10bの第1辺11a側をY0、反対側にある第2辺11b側をY100として、第1方向11に沿ったこれら2点の間の長さYを1/4に分ける中間点をそれぞれY25,Y50,及びY75とする。これら第1辺11aから第2辺11bまでの1/4毎の5点(Y,Y25,Y50,Y75,Y100)の各々における断面形状を二次元情報として抽出する。各断面形状から、隆線8および溝9による凹凸の最高点と最低点を調べ、その差分を凹凸の深さとする。次に、凹凸にて隣り合う2つの極大値、つまり隣接する隆線8毎に間の距離を測定し、それらの平均距離をその断面(YからY100の何れか)でのピッチとする。
例えば、図2に示す曲線cを第1辺11aの位置Yについて抽出した断面形状の例とする。曲線cが含む複数対の隣合う極大値ごとにそれらの位置の間の距離aを求める。求められた距離aの平均値を算出し、第1辺11a側の第1ピッチaを得る。また、図3に示す曲線c100を第2辺11bの位置Y100について抽出した断面形状の例とする。曲線c100が含む複数対の隣合う極大値ごとにそれらの位置の間の距離bを求める。求められた距離bの平均値を算出し、第2辺11b側の第2ピッチbを得る。中間点Y25,Y50,及びY75についても同様に、抽出した断面形状から凹凸を示す曲線における隣合う極大値間の平均距離を求め、ピッチを得る。
粉末X線回折測定
活物質含有層に含まれている活物質は、粉末X線回折(X-Ray Diffraction;XRD)測定により確認することができる。XRD測定は、例えば、次のように行うことができる。
測定する対象の電極が電池に含まれている場合は、例えば、次に説明する方法により測定試料を電池から取り出す。
先ず、活物質の結晶状態を把握するために、活物質からリチウムイオンが完全に離脱した状態にする。例えば、電極が負極として用いられている場合、電池を完全に放電状態にする。例えば、電池を25℃環境において0.1C電流で定格終止電圧又は電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させることを複数回繰り返し、放電時の電流値が定格容量の1/100以下となるようにすることで、電池を放電状態にすることができる。放電状態でも残留したリチウムイオンが存在することもある。
次に、アルゴンを充填したグローブボックス中で電池を分解して電極を取り出す。次いで、取り出した電極を適切な溶媒で洗浄する。洗浄用の溶媒としては、例えば、エチルメチルカーボネートなどを用いることができる。電極の洗浄が不十分であると、電極中に残留したリチウムイオンの影響で、炭酸リチウムやフッ化リチウムなどの不純物相が混入することがある。その場合は測定雰囲気を不活性ガス中で行える気密容器を用いるとよい。
洗浄した電極を、粉末X線回折装置のホルダーの面積と同程度の面積となるように切断して測定試料とする。この試料を直接ガラスホルダーに貼り付けて、Cu-Kα線を用いてX線回折(XRD)パターンを取得する。
このとき、金属箔などの電極基板に由来するピークの位置を予め測定しておく。また、導電剤や結着剤などの他の成分のピークも予め測定しておく。基板のピークと活物質のピークとが重なる場合、活物質含有層を剥離して測定に供することが望ましい。これは、ピーク強度を定量的に測定する際、重なったピークを分離するためである。活物質含有層を物理的に剥離しても良いが、溶媒中で超音波をかけると剥離しやすい。超音波処理を行った場合、溶媒を揮発させることで、電極材料粉末(活物質、導電剤、バインダーを含む)を回収することができる。回収した電極材料粉末を、例えば、リンデマンガラス製キャピラリ等に充填して測定することで、活物質の粉末X線回折測定を行うことができる。ガラスキャピラリとしては、例えば、直径1mm~6mmφのリンデマンガラス製キャピラリを用いることができる。
なお、試料の粒子形状により粒子の配向が大きくなる場合がある。試料の配向性が高い場合は、試料の充填の仕方によってピークの位置がずれたり、強度比が変化したりする可能性がある。このように配向性が著しく高い試料は、ガラスキャピラリを用いて測定する。具体的には、試料をキャピラリに挿入し、このキャピラリを回転式試料台に載置して測定する。このような測定方法により、配向性による影響を緩和することができる。
粉末X線回折測定の装置としては、例えば、Rigaku社製SmartLabを用いる。測定条件は以下の通りとする:
X線源:Cuターゲット
出力:45kV、200mA
ソーラスリット:入射及び受光共に5°
ステップ幅(2θ):0.01deg
スキャン速度:2deg/分
半導体検出器:D/teX Ultra 250
試料板ホルダー:平板ガラス試料板ホルダー(厚さ0.5mm)
測定範囲:5°≦2θ≦90°。
その他の装置を使用する場合は、粉末X線回折用標準Si粉末を用いた測定を行って、上記装置によって得られる結果と同等のピーク強度、半値幅及び回折角の測定結果が得られる条件を見つけ、その条件で試料の測定を行う。
XRD測定の条件は、リートベルト解析に適用できるXRDパターンを取得できる条件とする。リートベルト解析用のデータを収集するには、具体的にはステップ幅が回折ピークの最小半値幅の1/3-1/5となるようにし、最強度反射のピーク位置における強度が5000cps以上となるように適宜、測定時間またはX線強度を調整する。
第1の実施形態に係る電極は、活物質含有層と集電体とを具備する。活物質含有層は、第1辺と、第1辺と交差する第1方向への反対側にある第2辺とを含む。集電体は、活物質担持部と、活物質担持部および第1辺と隣接する活物質非担持部とを含む。電極は、第1方向に沿う隆線と溝で構成される凹凸部を有し、第1辺および第2辺にそれぞれ沿った凹凸部の第1ピッチaと第2ピッチbとは、a<bの関係を満たす。当該電極を用いることで、電解質の電極への浸透性および電極における保持性に優れるとともに、寿命性能に優れた二次電池を提供できる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態によると、電極群が提供される。電極群は、複数の正極と複数の負極とを具備している。負極は、第1の実施形態に係る電極である。当該電極群は、それぞれ複数の正極と負極とが積層された積層型構造を有する。
係る電極群は、正極と負極との間に配されたセパレータを更に具備することもできる。電極群が有する積層型構造は、例えば、複数の正極と複数の負極とが、間にセパレータを挟んで交互に積層された構成される。積層型構造において、例えば、複数のセパレータが各々正極と負極との間に介在し得る。或いは、一枚のセパレータが九十九折にされ、折られたセパレータにより規定される空間内に正極および負極が交互に配置されるように、各部材が積層され得る。
以下、負極、正極、及びセパレータについて詳細に説明する。
1)負極
負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを含むことができる。負極集電体及び負極活物質含有層は、それぞれ、第1の実施形態に係る電極が含む集電体及び活物質含有層に対応する。負極の詳細は、第1の実施形態に係る詳細と重複するため、省略する。
2)正極
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y≦1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。
正極活物質の一次粒子径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒子径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒子径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの挿入・脱離サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
正極は、例えば、次の方法により作製することができる。先ず、正極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、正極活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、正極を作製する。
或いは、電極は、次の方法により作製してもよい。先ず、正極活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、正極を得ることができる。
3)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
次に、実施形態に係る電極群について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図6は、実施形態に係る電極群の一例を模式的に示す断面図である。
図6に示す電極群1は、積層型の電極群である。積層型の電極群1は、負極3と正極5とをその間にセパレータ4を介在させながら交互に積層した構造を有している。
電極群1は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。各負極3は、例えば、図1に示した電極10であり得る。また、電極群1は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。
各負極3の負極集電体3aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層3bが担持されていない活物質非担持部を含む。この活物質非担持部は、負極集電タブ3cとして働く。図6に示すように、負極集電タブ3cは、正極5と重なっていない。各正極5の正極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層5bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブ5cとして働く。正極集電タブ5cは、負極集電タブ3cと同様に、負極3と重なっていない。また、正極集電タブ5cは、負極集電タブ3cに対し電極群1の反対側に位置する。
係る電極群は、図6に示す構造の電極群に限らず、例えば、図7に示す構成の電極群であってもよい。図7は、実施形態に係る電極群の他の例を概略的に示す分解斜視図である。
図7に示す電極群1は、九十九折りされたセパレータ4と、それぞれ短冊形状を有する複数の正極5及び負極3とを含む。セパレータ4の最上層に、負極3が重ねられている。また、折られたセパレータ4の間に、上から順に正極5、負極3、正極5、負極3が挿入されている。当該図では正極5及び負極3の各々を簡略化して表しており、それぞれが含む活物質含有層や集電体(活物質担持部および活物質非担持部の何れも)の詳細な描画は省略している。
第2の実施形態に係る電極群は、第1の実施形態に係る電極を含んでいる。そのため、係る電極群は、電極への電解質の浸透性および保持性に優れており、寿命性能に優れた二次電池を実現することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、電極群と電解質とを具備する。上記電極群は、第2の実施形態に係る電極群である。
電解質は、電極群に保持され得る。
また、係る二次電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。
さらに、係る二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
係る二次電池は、例えばリチウム二次電池であり得る。また、二次電池は、非水電解質を含んだ非水電解質二次電池を含む。
以下、電解質、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
I.電解質
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5 mol/L以上2.5 mol/L以下であることが好ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)等を用いてもよい。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
上記非水電解質と共に、高分子固体電解質および無機固体電解質等をさらに併用してもよい。
高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。ここでいうLiイオン伝導性を有するとは、25℃で1×10-6 S/cm以上のリチウムイオン伝導度を示すことを指す。無機固体電解質としては、例えば、酸化物系固体電解質、又は硫化物系固体電解質を挙げることができる。無機固体電解質の具体例は、下記のとおりである。
酸化物系固体電解質としては、NASICON(Sodium (Na) Super Ionic Conductor)型構造を有し、一般式Li1+xMα2(PO4)3で表されるリチウムリン酸固体電解質を用いることが好ましい。上記一般式中のMαは、例えば、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、及びカルシウム(Ca)からなる群より選択される1以上である。添字xは、0≦x≦2の範囲内にある。
NASICON型構造を有するリチウムリン酸固体電解質の具体例としては、Li1+xAlxTi2-x(PO4)3で表され0.1≦x≦0.5であるLATP化合物;Li1+xAlyMβ2-y(PO4)3で表されMβはTi,Ge,Sr,Zr,Sn,及びCaからなる群より選択される1以上であり0≦x≦1及び0≦y≦1である化合物;Li1+xAlxGe2-x(PO4)3で表され0≦x≦2である化合物;及び、Li1+xAlxZr2-x(PO4)3で表され0≦x≦2である化合物;Li1+x+yAlxMγ2-xSiy3-y12で表されMγはTi及びGeからなる群より選択される1以上であり0<x≦2、0≦y<3である化合物;Li1+2xZr1-xCax(PO4)3で表され0≦x<1である化合物を挙げることができる。
また、酸化物系固体電解質としては、上記リチウムリン酸固体電解質の他にも、LixPOyzで表され2.6≦x≦3.5、1.9≦y≦3.8、及び0.1≦z≦1.3であるアモルファス状のLIPON化合物(例えば、Li2.9PO3.30.46);ガーネット型構造のLa5+xxLa3-xMδ212で表されAはCa,Sr,及びBaからなる群より選択される1以上でMδはNb及びTaからなる群より選択される1以上であり0≦x≦0.5である化合物;Li3Mδ2-x212で表されMδはNb及びTaからなる群より選択される1以上でありLはZrを含み得0≦x≦0.5である化合物;Li7-3xAlxLa3Zr312で表され0≦x≦0.5である化合物;Li5+xLa3Mδ2-xZrx12で表されMδはNb及びTaから成る群より選択される1以上であり0≦x≦2であるLLZ化合物(例えば、Li7La3Zr212);及びペロブスカイト型構造を有しLa2/3-xLixTiO3で表され0.3≦x≦0.7である化合物が挙げられる。
上記化合物のうち1以上を固体電解質として用いることができる。上記固体電解質を2以上用いてもよい。
或いは、非水電解質の代わりに、液状水系電解質又はゲル状水系電解質を電解質として用いることができる。液状水系電解質は、溶質として、例えば、下記電解質塩を水系溶媒に溶解することにより調製される。ゲル状水系電解質は、液状水系電解質と上記高分子材料とを複合化することにより調製される。水系溶媒としては、水を含む溶液を用い得る。水を含む溶液とは、純水であってもよく、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。
水系電解質にて用いることのできる電解質塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩又はこれらの混合物が挙げられる。
リチウム塩として、例えば、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、水酸化リチウム(LiOH)、硫酸リチウム(Li2SO4)、硝酸リチウム(LiNO3)、酢酸リチウム(CH3COOLi)、シュウ酸リチウム(Li224)、炭酸リチウム(Li2CO3)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(LiTFSI;LiN(SO2CF3)2)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI;LiN(SO2F)2)、及びリチウムビスオキサレートボラート(LiBOB:LiB[(OCO)2]2)などを用いることができる。
ナトリウム塩としては、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、水酸化ナトリウム(NaOH)、硝酸ナトリウム(NaNO3)及びナトリウムトリフルオロメタンスルホニルアミド(NaTFSA)などを用いることができる。
水系電解質におけるリチウムイオン又はナトリウムイオンのモル濃度は、3mol/L以上であることが好ましく、6mol/L以上であることが好ましく、12mol/L以上であることが好ましい。水系電解質を用いた場合に、負極にて水系溶媒の電気分解反応が起こり、自己放電や水素発生が生じ得る。水系電解質中のリチウムイオン又はナトリウムイオンの濃度が高いと、負極での水系溶媒の電気分解が抑制されやすく、負極からの水素発生が少ない傾向にある。
リチウムイオンやナトリウムイオン等のキャリアイオンの濃度が高い程、電極に対する水系電解質の濡れ性が低い傾向がある。そのため、キャリアイオン濃度が高い水系電解質の電極への含浸性は低い。係る二次電池では、電解質の浸透性に優れている第1の実施形態に係る電極を含んでいることで、イオン濃度が高い水系電解質でも電極に良好な含浸性を示すことができる。
また、リチウム塩やナトリウム塩以外に塩化亜鉛や硫酸亜鉛といった亜鉛塩を水系電解質に添加しても良い。このような化合物を水系電解質に添加することで、第1の実施形態に係る電極を負極に用いた電池にて、該負極において亜鉛含有被覆層および/又は酸化型亜鉛含有領域が形成され得る。これら亜鉛を含有する部材は、それらが形成された負極における水素発生を抑える効果を発揮する。
II.外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
III.負極端子
負極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し1V以上3V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
IV.正極端子
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上4.5V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
次に、実施形態に係る二次電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図8は、実施形態に係る二次電池の一例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図9は、図8に示す二次電池のE部を拡大した断面図である。
図8及び図9に示す二次電池100は、図8及び図9に示す電極群1と、図8に示す外装部材2と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、外装部材2内に収納されている。電解質は、電極群1に保持されている。
外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
電極群1は、第2の実施形態に係る電極群の一例として図6に示した電極群1と同様の構造を有する。図8及び図9に示す二次電池100において、複数の負極3の各々の負極集電タブ3cは、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。また、図示しないが同様に、複数の正極5の各々の正極集電タブ(5c)は、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。
第3の実施形態に係る二次電池は、第2の実施形態に係る電極群を含んでいる。そのため、第3の実施形態に係る二次電池は、電極への電解質の浸透性および電極における電解質の保持性に優れており、優れた寿命性能を示すことができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態によると、組電池が提供される。係る組電池は、第3の実施形態に係る二次電池を複数個具備している。
係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図10は、係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図10に示す組電池200は、5つの単電池100a~100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第3の実施形態に係る二次電池である。
バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、隣に位置する単電池100bの正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図10の組電池200は、5直列の組電池である。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がバスバーにより接続されるとともに複数の正極端子同士がバスバーにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
5つの単電池100a~100eのうち少なくとも1つの電池の正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a~100eうち少なくとも1つの電池の負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に電気的に接続されている。
第4の実施形態に係る組電池は、第3の実施形態に係る二次電池を具備する。従って、電解質の浸透性および保持性に優れており、優れた寿命性能を示すことができる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第3の実施形態に係る二次電池を具備していてもよい。
第5の実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図11は、電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図12は、図11に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図11及び図12に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
図11に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
複数の単電池100の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100の各々は、図12に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、組電池200に接続されている。正極側リード22の一端は、1以上の単電池100の正極と電気的に接続されている。負極側リード23の一端は、組電池200に接続されている。負極側リード23の一端は、1以上の単電池100の負極と電気的に接続されている。
プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ342と、負極側コネクタ343と、サーミスタ345と、保護回路346と、配線342a及び343aと、通電用の外部端子350と、プラス側配線(正側配線)348aと、マイナス側配線(負側配線)348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200の一側面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ342に、正極側リード22の他端22aが電気的に接続されている。負極側コネクタ343に、負極側リード23の他端23aが電気的に接続されている。
サーミスタ345は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ345は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路346に送信する。
通電用の外部端子350は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子350は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。通電用の外部端子350は、正側端子352と負側端子353とを含む。
保護回路346は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路346は、プラス側配線348aを介して正側端子352と接続されている。保護回路346は、マイナス側配線348bを介して負側端子353と接続されている。また、保護回路346は、配線342aを介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。保護回路346は、配線343aを介して負極側コネクタ343に電気的に接続されている。更に、保護回路346は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路346は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路346は、サーミスタ345から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路346と外部機器への通電用の外部端子350(正側端子352、負側端子353)との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ345から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路346としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子350を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子350を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子350を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子350を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子350の正側端子352と負側端子353としてそれぞれ用いてもよい。
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第5の実施形態に係る電池パックは、第3の実施形態に係る二次電池又は第4の実施形態に係る組電池を備えている。従って、電極への電解質の浸透性および保持性に優れており、優れた寿命性能を示すことができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。
係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(Regenerator:再生器)を含んでいてもよい。
車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、それぞれの電池パックが含む電池同士は、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。例えば、各電池パックが組電池を含む場合は、組電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、又は電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。或いは、各電池パックが単一の電池を含む場合は、それぞれの電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
次に、実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図13は、車両の一例を概略的に示す部分透過図である。
図13に示す車両400は、車両本体40と、第5の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図13に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300が含む電池(例えば、単電池または組電池)は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図13では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図14を参照しながら、実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図14は、車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図である。図14に示す車両400は、電気自動車である。
図14に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位の制御装置である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図14に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置301a(例えば、VTM:Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a~300cは、前述の電池パック300と同様の電池パックであり、組電池200a~200cは、前述の組電池200と同様の組電池である。組電池200a~200cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a~200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る二次電池である。組電池200a~200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、組電池監視装置301a~301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a~200cに含まれる単電池100のそれぞれについて電圧及び温度などに関する情報を収集する。これにより、電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置301a~301cとは、通信バス412を介して接続されている。通信バス412では、1組の通信線が複数のノード(電池管理装置411と1つ以上の組電池監視装置301a~301cと)で共有されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置301a~301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a~200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との間の電気的な接続の有無を切り替える電磁接触器(例えば図14に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a~200cへの充電が行われるときにオンになるプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、組電池200a~200cからの出力が負荷へ供給されるときにオンになるメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチ及びメインスイッチのそれぞれは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフに切り替わるリレー回路(図示せず)を備えている。スイッチ装置415等の電磁接触器は、電池管理装置411又は車両400全体の動作を制御する車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411又は車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。インバータ44が制御されることにより、インバータ44からの出力電圧が調整される。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。駆動モータ45の回転によって発生する駆動力は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構(リジェネレータ)を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。変換された直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子417に接続されている。接続ラインL1には、負極端子414と負極入力端子417との間に電池管理装置411内の電流検出部(電流検出回路)416が設けられている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子418に接続されている。接続ラインL2には、正極端子413と正極入力端子418との間にスイッチ装置415が設けられている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置411を含む他の管理装置及び制御装置とともに車両用電源41、スイッチ装置415、及びインバータ44等を協調制御する。車両ECU42等の協調制御によって、車両用電源41からの電力の出力及び車両用電源41の充電等が制御され、車両400全体の管理が行われる。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第6の実施形態に係る車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。従って、高性能であり、且つ信頼性の高い車両を提供することができる。
以下に、実施例を説明する。但し、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものではない。
<電極作製>
(実施例1)
ニオブチタン酸化物を、以下に説明する固相合成法により合成した。
先ず、ニオブチタン酸化物Nb2TiO7が得られるように、Nb25粒子とTiO2粒子を準備した。目的の結晶相が得られるように、Nb25とTiO2のモル比が1:1となるようにそれぞれの粒子を秤量し、乾式ボールミルによる混合を行った。得られた粉末をアルミナ坩堝に入れ、800℃の温度で12時間に亘り仮焼成(第1の焼成)を行った。仮焼成後、得られた粉末を白金坩堝に入れ1200℃で5時間に亘り本焼成(第2の焼成)を行った。本焼成後、粉末をめのう乳鉢で粉砕混合し、25μmのメッシュのふるいを通して粗粒を取り除き、Nb2TiO7一次粒子からなるニオブチタン酸化物粉末を得た。
活物質として得られたニオブチタン酸化物粉末100質量部、導電剤としてアセチレンブラック10質量部、及び、カーボンナノファイバー5質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)10質量部を、N-メチルピロリドン(NMP)に加えて混合してスラリーを得た。このスラリーを厚さ12μmのアルミニウム箔からなる帯形状の集電体の両面に塗布した。この際、スラリーの塗工幅を400mmとし、その両隣にそれぞれ幅15mm及び幅30mmのスラリー未塗工部を残した。次いで、スラリー塗膜を真空下130℃で12時間に亘り乾燥して積層体を得た。その後、roll-to-roll式のプレス装置を用いて、圧延時の巻取り張力を10kNとして、目的とする活物質含有層(集電体を除く)の密度が2.7g/cm3となるように積層体に対し圧延を行った。こうして、活物質未塗工部の伸び率が両端部間で異なる電極前駆体シートを得た。
次に、この電極前駆体シートから電極をビク型で抜き取ることで、電極を成型した。縦(Y)330mm及び横(X)150mmの矩形形状を有する活物質担持部に対応する部分と、この部分の短辺に沿って隣接し、隣接辺の幅が50mmである帯形状を有する集電タブに対応する部分とを含むビク型を用いた。伸び率の小さい15mm幅の未塗工部に集電タブ対応部分を重ねてビク型を押し付けて、電極を打ち抜いた。これによって、タブ部分の型抜き時に応力が集中し、タブ部分を中心とした放射状の凹凸部が形成された電極を得た。
(実施例2)
実施例2では、電極の打ち抜きサイズを、活物質担持部の寸法を縦(Y)150mm及び横(X)100mm、並びに活物質担持部に対する集電タブの隣接辺の幅を30mmに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、タブ部分を中心とした放射状の凹凸部が形成された電極を得た。
(実施例3)
実施例3では、スラリー未塗工部の幅をそれぞれ20mm及び50mmに変更し、巻取り張力を5kNに減少し、電極密度が2.4g/cm3となるように圧延を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で活物質未塗工部の伸び率が両端部間で異なる電極前駆体シートを得て、実施例2と同様の打ち抜きサイズで電極を抜き取ることで、タブ部分を中心とした放射状の凹凸部が形成された電極を得た。
(実施例4)
実施例4では、実施例3と同様の方法で活物質未塗工部の伸び率が両端部間で異なる電極前駆体シートを得て、打ち抜きサイズのうち活物質担持部の寸法を縦(Y)330mm及び横(X)70mmに変更して電極を抜き取ることで、タブ部分を中心とした放射状の凹凸部が形成された電極を得た。
(実施例5)
実施例5では、実施例1と同様の方法で活物質未塗工部の伸び率が両端部間で異なる電極前駆体シートを得て、レーザーカッターによって電極を整形した。電極サイズは、活物質担持部の寸法を縦(Y)300mm及び横(X)100mm、並びにそこに対する集電タブの隣接辺の幅を50mmとした。また、伸び率の小さい15mm幅の未塗工部から集電タブを切り抜く位置で、電極を切り抜いた。電極に応力をかけずに整形したことで、凹凸部が放射状にならず、ランダムに形成された電極を得た。
(比較例1)
比較例1では、集電体としてのアルミニウム箔の寸法を変更し、スラリー塗工幅を400mmとし、スラリー未塗工部の幅を両側で均等に15mmとした以外は、実施例1と同様の方法で電極を得た。比較例1で得られた電極は、湾曲や凹凸が無い平坦な打ち抜き電極となった。
(比較例2)
比較例2では、電極密度が2.2g/cm3となるように圧延を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で電極を得た。比較例2で得られた電極は、湾曲や凹凸が無い平坦な打ち抜き電極となった。
<電極測定>
実施例1-5で作製した各電極について、先に説明した方法で凹凸部のピッチ及び深さを測定した。具体的には、図1に示した第1方向に沿った5点の位置(Y,Y25,Y50,Y75,Y100)の断面波形における平均ピッチ及び平均深さを求めた。測定結果を下記表1に示す。表1には、第1方向における5点の位置の各断面について求められたピッチ及び深さの値を示すと共に、第1辺および第2辺に沿った断面(位置Y及びY100の断面)における第1ピッチa及び第2ピッチbを、第1辺および第2辺の平均長Xに対する比(a/X,b/X)で表した値を示す。また、各電極の電極密度(集電体を含まない)及び電極面積(集電タブを含まない)を併せて示す。
表1が示すとおり、実施例1-5の何れにおいても、全体に亘って波打った形状の凹凸部を有する電極が得られた。また、実施例1-5の何れにおいても、集電体側の活物質含有層の第1辺における凹凸部の第1ピッチaが第2辺における凹凸部の第2ピッチbよりも狭かった。
比較例1では、電極前駆体シートの両端のスラリー未塗工部の幅が均等であったため、それら未塗工部の伸び率が同等だった。そのため、湾曲が無い平坦な電極が得られた。また、比較例2で作製した電極は低密度電極としたため、圧延時の圧力が低かった。そのため、電極前駆体シートの両端のスラリー未塗工部の幅が互いに異なっていたものの、それらの伸び率に殆ど違いがなく、前駆体シートに歪みが生じず平坦となった。その結果、湾曲が無く平坦な電極が得られた。平坦な電極が得られた比較例1及び2については上記測定を実施しなかったため、凹凸部のピッチ及び深さについては該当する値が無いとして“-”と表記している。
<電池作製>
実施例1-5及び比較例1-2で得られた電極を負極に用いて、次の手順で非水電解質電池を作製した。
(正極の作製)
市販のコバルト酸リチウム(LiCoO2)に、導電剤としてアセチレンブラックを5質量%の割合で混合して、混合物を得た。次に、この混合物をNMP中に分散して、分散液を得た。この分散液に、結着剤としてのPVdFをコバルト酸リチウムに対して5質量%の割合で混合し、正極スラリーを調製した。このスラリーを、ブレードを用いて、12μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した。これを真空下130℃で12時間乾燥して積層体を得た。その後、活物質含有層(集電体を除く)の密度が2.2g/cm3となるように積層体を圧延して正極を得た。
(電極群の作製)
以上のようにして作製した負極と正極とを、これらの間にポリエチレン製セパレータを挟んで積層し、積層型電極群を得た。負極の積層数は40層とし、正極の積層数は39層とした。次いで、各負極の集電タブに負極端子を電気的に接続し、各正極の集電タブに正極端子を電気的に接続した。
混合溶媒として、EC及びDECの混合溶媒(体積比1:1)を準備した。この溶媒中に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1Mの濃度で溶解させた。かくして、非水電解質を調製した。
(非水電解質電池の組み立て)
以上のようにして作製した電極群を、アルミニウムを含んだラミネートフィルム製の電池用外装部材に入れた。外装部材内に非水電解質を注入した後、ヒートシールで封口することでラミネート型非水電解質電池を作製した。
<評価>
各非水電解質電池について、外装部材内に注入した後の非水電解質の電極群への含浸状態を確認した。電池内部の非水電解質の含浸状態は、非接触超音波測定装置(ジャパンプローブ株式会社製)型番:NAUT-21を用いて評価を行った。具体的には、超音波測定により負極中の未含浸領域と含浸領域を可視化し、未含浸領域が負極主面の面積の5%未満となるまで4時間ごとに測定を実施した。
次に、これらの電池に対し25℃環境下でフォーメーションサイクルを数回実施し、24時間のエージングに供した。エージング後、0.2Cの充放電レートにて容量確認を実施し、設計容量が得られていることを確認した。その後、満充電時の交流インピーダンス測定(Rini)を行った。次に、環境温度を45℃に設定した恒温槽内に入れて2時間静置したのち、充放電レート1Cにて500サイクルの充放電試験を実施した。500サイクル完了後、再び、25℃環境下にて0.2Cの容量確認を実施したのち、満充電時の交流インピーダンス測定(Rafter)を行った。これらの結果から、500サイクル試験の前後における抵抗上昇率(=Rafter/Rini×100%)を求めた。
評価結果を下記表2に示す。具体的には、非水電解質を注入した後に未含浸領域が負極主面の面積の5%未満となるまでにかかった電解質浸透時間と、500サイクルの充放電試験の際の抵抗上昇率を示す。
表2が示すとおり、実施例1-5で作製した電極を負極に用いた電池では、数時間から12時間以内に負極のほぼ全域に電解質が浸透した。これに対し、比較例1及び2で作製した電極を負極に用いた電池では、負極への電解質の含浸に丸一日近く要した。このことから、波形状の凹凸部が形成され、且つ、集電タブ側のピッチが反対側のピッチよりも狭い電極に対する電解質の浸透性が高いことが分かる。
また、実施例1-5で作製した電極を負極に用いた電池では、比較例1及び2で作製した電池を用いた電池と比較して、充放電を繰り返した際の抵抗上昇率が低かった。そのため、上述した構成の凹凸部を有する電極を用いることで、性能劣化が少なく、寿命性能に優れた電池を実現できることが分かる。
以上説明した1以上の実施形態および実施例によれば、活物質含有層と集電体とを具備する電極が提供される。活物質含有層は、第1辺と第1辺と交差する第1方向への反対側にある第2辺とを含み、且つ、電極活物質を含有する。集電体は、活物質含有層を担持している活物質担持部と、活物質担持部および第1辺と隣接し且つ活物質含有層が設けられていない活物質非担持部とを含む。電極は、第1方向に沿う隆線と溝とを含む凹凸部を有し、第1辺および第2辺にそれぞれ沿った凹凸部の第1ピッチaと第2ピッチbとは、a<bの関係を満たす。当該電極を用いることで、電解質の電極への浸透性および電極における保持性に優れるとともに、寿命性能に優れた二次電池および電池パック、及びこの電池パックを搭載した車両を提供できる。
以下に、本発明に係る幾つかの実施形態を附記する。
[1] 第1辺と前記第1辺と交差する第1方向の反対側にある第2辺とを含み且つ電極活物質を含有する活物質含有層と、
前記活物質含有層を担持している活物質担持部と、前記活物質担持部および前記第1辺と隣接し且つ前記活物質含有層が設けられていない活物質非担持部とを含む集電体とを具備し、
前記第1方向にそれぞれ沿う複数の隆線と複数の溝とを含む凹凸部を有し、前記第1辺に沿った前記凹凸部の第1ピッチaと前記第2辺に沿った前記凹凸部の第2ピッチbとはa<bの関係を満たす、電極。
[2] 前記第1辺の第1長さと前記第2辺の第2長さとの平均長さXに対し、前記第1ピッチaは0.01X≦a≦0.1Xの範囲内にあり、前記第2ピッチbは0.05X≦b≦0.5Xの範囲内にある、[1]に記載の電極。
[3] 前記隆線と前記溝は、前記第1辺から前記第2辺へ向かって放射状に広がるように配置されている、[1]又は[2]に記載の電極。
[4] 前記電極活物質は金属酸化物を含み、前記活物質含有層は2.3g/cm3以上3.5g/cm3以下の密度を有する、[1]-[3]の何れか1つに記載の電極。
[5] 前記活物質含有層は、150cm2以上500cm2以下の面積の主面を有する、[1]-[4]の何れか1つに記載の電極。
[6] 複数の正極と、
複数の負極と、
を具備する電極群であって、
前記負極は、[1]-[5]の何れか1つに記載の電極であり、
前記正極と前記負極とが積層された積層型構造を有する、電極群。
[7] [6]に記載の電極群と、
電解質と
を具備する二次電池。
[8] [7]に記載の二次電池を具備する、電池パック。
[9] 通電用の外部端子と、
保護回路と
を更に具備する、[8]に記載の電池パック。
[10] 複数の前記二次電池を具備し、
前記二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、[8]又は「9」に記載の電池パック。
[11] [8]-[10]の何れか1つに記載の電池パックを搭載した、車両。
[12] 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、[11]に記載の車両。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極群、2…外装部材、3…負極、3a…負極集電体、3b…負極活物質含有層、3c…負極集電タブ、4…セパレータ、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、5c…正極集電タブ、6…負極端子、7…正極端子、8…隆線、9…溝、10…電極、10a…集電体、10b…活物質含有層、10c…集電タブ、10d…活物質担持部、10e…活物質非担持部、12…電極前駆体シート、12a…第1活物質未塗工部、12b…活物質含有層、12c…第2活物質未塗工部、21…バスバー、22…正極側リード、23…負極側リード、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、41…車両用電源、42…電気制御装置、43…外部端子、44…インバータ、45…駆動モータ、100…二次電池、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、300…電池パック、300a…電池パック、300b…電池パック、300c…電池パック、301a…組電池監視装置、301b…組電池監視装置、301c…組電池監視装置、342…正極側コネクタ、343…負極側コネクタ、345…サーミスタ、346…保護回路、342a…配線、343a…配線、350…通電用の外部端子、352…正側端子、353…負側端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、416…電流検出部、417…負極入力端子、418…正極入力端子、L1…接続ライン、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (12)

  1. 第1辺と前記第1辺と交差する第1方向の反対側にある第2辺とを含み且つ電極活物質を含有する活物質含有層と、
    前記活物質含有層を担持している活物質担持部と、前記活物質担持部および前記第1辺と隣接し且つ前記活物質含有層が設けられていない活物質非担持部とを含む集電体とを具備し、
    前記第1方向にそれぞれ沿う複数の隆線と複数の溝とを含む凹凸部を有し、前記第1辺に沿った前記凹凸部の第1ピッチaと前記第2辺に沿った前記凹凸部の第2ピッチbとはa<bの関係を満たす、電極。
  2. 前記第1辺の第1長さと前記第2辺の第2長さとの平均長さXに対し、前記第1ピッチaは0.01X≦a≦0.1Xの範囲内にあり、前記第2ピッチbは0.05X≦b≦0.5Xの範囲内にある、請求項1に記載の電極。
  3. 前記隆線と前記溝は、前記第1辺から前記第2辺へ向かって放射状に広がるように配置されている、請求項1又は2に記載の電極。
  4. 前記電極活物質は金属酸化物を含み、前記活物質含有層は2.3g/cm3以上3.5g/cm3以下の密度を有する、請求項1又は2に記載の電極。
  5. 前記活物質含有層は、150cm2以上500cm2以下の面積の主面を有する、請求項1又は2に記載の電極。
  6. 複数の正極と、
    複数の負極と、
    を具備する電極群であって、
    前記負極は、請求項1又は2に記載の電極であり、
    前記正極と前記負極とが積層された積層型構造を有する、電極群。
  7. 請求項6に記載の電極群と、
    電解質と
    を具備する二次電池。
  8. 請求項7に記載の二次電池を具備する、電池パック。
  9. 通電用の外部端子と、
    保護回路と
    を更に具備する、請求項8に記載の電池パック。
  10. 複数の前記二次電池を具備し、
    前記二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、請求項8に記載の電池パック。
  11. 請求項8に記載の電池パックを搭載した、車両。
  12. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、請求項11に記載の車両。
JP2022146405A 2022-09-14 2022-09-14 電極、電極群、二次電池、電池パック、及び車両 Pending JP2024041534A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022146405A JP2024041534A (ja) 2022-09-14 2022-09-14 電極、電極群、二次電池、電池パック、及び車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022146405A JP2024041534A (ja) 2022-09-14 2022-09-14 電極、電極群、二次電池、電池パック、及び車両

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024041534A true JP2024041534A (ja) 2024-03-27

Family

ID=90416907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022146405A Pending JP2024041534A (ja) 2022-09-14 2022-09-14 電極、電極群、二次電池、電池パック、及び車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024041534A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5793442B2 (ja) 電池用活物質、非水電解質電池及び電池パック
JP6833648B2 (ja) 二次電池、電池パック及び車両
JP6937262B2 (ja) 活物質、電極、二次電池、電池パック、及び車両
CN110911658B (zh) 活性物质、电极、二次电池、电池包及车辆
JP2012099287A (ja) 電池用活物質、非水電解質電池及び電池パック
JP7204617B2 (ja) 二次電池、電池パック、及び車両
US20210376307A1 (en) Electrode material, electrode, secondary battery, battery pack, and vehicle
JP2017059302A (ja) 電極、非水電解質電池および電池パック
JP2019057371A (ja) 活物質、活物質複合材料、電極、二次電池、電池パック及び車両
JP5694411B2 (ja) 電池用負極、非水電解質電池及び電池パック
JP7414439B2 (ja) 二次電池、電池パック及び車両
US11380885B2 (en) Electrode, secondary battery, battery pack, and vehicle
JP2019164932A (ja) 電極、非水電解質電池、電池パック及び車両
JP7330149B2 (ja) 活物質、電極、二次電池、電池パック及び車両
US11462730B2 (en) Electrode, secondary battery, battery pack, and vehicle
JP7159133B2 (ja) 電極、二次電池、電池パック及び車両
JP2024041534A (ja) 電極、電極群、二次電池、電池パック、及び車両
JP7480096B2 (ja) 活物質、電極、二次電池、電池パック、及び車両
US20220344651A1 (en) Electrode, secondary battery, battery pack, vehicle, method for manufacturing electrode-producing slurry, and method for manufacturing electrode
US20220085353A1 (en) Active material, electrode, secondary battery, battery pack, and vehicle
JP7330151B2 (ja) 活物質、電極、二次電池、電池パック、及び車両
US11430985B2 (en) Electrode, secondary battery, battery pack, and vehicle
US20240136497A1 (en) Electrode material, electrode, secondary battery, battery pack, and vehicle
US20210288306A1 (en) Negative electrode, secondary battery, battery pack, and vehicle
JP2023133937A (ja) 電極、正極、二次電池、電池パック、車両及び定置用電源

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20230105