JP2024040707A - 油中水型クリーム用油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷蔵または冷凍温度域での喫食において良好な口溶けであり、且つ、常温域での耐熱保形性を有する油中水型クリームを製造することができる油中水型クリーム用油脂組成物を提供すること。【解決手段】水分散型のリン脂質を含有し、油相の10℃のSFCが10~30、25℃のSFCが5~20、35℃のSFCが1~10である油中水型クリーム用油脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、冷蔵または冷凍温度域での喫食において良好な口溶けであり、且つ、耐熱保形性を有する油中水型クリームを製造することができる油中水型クリーム用油脂組成物、並びに、該特徴を有する油中水型クリーム及びその製造方法に関する。
バタークリームに代表される油中水型クリームは、甘味料を含有し、油脂を連続相とするクリームのことであり、水中油型クリームの代表である生クリームに対し、コクのある風味であることや、日保ちが良好であることなどの優れた点をもつが、反面、油脂を連続相として持つ関係上油性感が強く、口溶けが重く感じられるという欠点があった。
また、油中水型クリームは、水中油型クリームと違って、その物性や口溶けが油相に使用する油脂の特性によって決まるため、冷蔵温度域、さらには冷凍温度域などの低温で良好な口溶けの油中水型クリームを得るためには、油脂使用量の比率を下げるために卵類や糖液などの水相成分の配合量を増加させたり、使用油脂を低融点の口溶けのよい油脂に変更することが行われる。しかし、当然にして耐熱保形性(常温から高温保管時の保形性)が悪化してしまうし、とくに前者の方法の場合、乳化安定性が低下して、水相成分が分離しやすくなる問題もある。
水相成分の配合量を増加させたり、低融点の口溶けのよい油脂を使用した油中水型クリームの耐熱保形性を改善するための方法として、ペクチンなどの増粘安定剤を水相または油相に配合する方法(例えば、非特許文献1参照)、含気していないイタリアンメレンゲを配合する方法(例えば、特許文献1参照)、アルギン酸エステルを使用する方法(例えば、特許文献2参照)、低HLBのシュガーエステルに代表される特定の乳化剤を油相に添加する方法(例えば、特許文献3、4参照)などの方法が提案されている。
しかし、これらの方法は基本的に水相や油相の粘度や硬さを増やすことでその効果が得られるため、高い効果を得ようとしてこれらの増粘安定剤や乳化剤を多く配合すると、口溶けの悪化につながりやすいという問題があった。
そのため、口溶けを悪化させることなく耐熱保形性を向上させる方法として、極度硬化油脂と液状油からなる特定の油脂組成物を別途添加する方法(例えば特許文献5参照)、テンパー型チョコレートを別途添加する方法(例えば、特許文献6参照)、特定の粒径の水中油型乳化物を別途添加する方法(例えば、特許文献7参照)などが提案された。
しかし、これらの方法は油中水型クリーム製造時に別途他の油脂組成物を準備し、細心の注意をはらいながら均質に混合するという緻密な作業が必要であり、安定して均質の品質の油中水型クリームを得るのは困難であった。
一方、水相成分の配合量や低融点の油脂を使用することなく、油性感が低減された油中水型クリームを得る方法として、油相に高HLBの乳化剤を含有させることで油中水型クリームを口に入れた際の口中分散性を向上させる方法(例えば、特許文献8、9参照)、さらには2種のポリグリセリン脂肪酸エステルを併用して同様の効果を得る方法(例えば、特許文献10参照)が提案されている。
しかし、これらの方法はみずみずしい食感の油中水型クリームを得ることはできるが、耐熱保形性については改良されるものではなかった。
このように、冷蔵または冷凍温度域での喫食において良好な口溶けであり、且つ、耐熱保形性を有する油中水型クリームを製造することができる油中水型クリーム用油脂組成物、並びに、該特徴を有する油中水型クリーム及びその製造方法が求められていた。
特開昭51-035460号公報 特開2012-000023号公報 特開昭58-043744号公報 特開平09-187222号公報 特開昭62-022547号公報 特開平09-019266号公報 特開2004-329025号公報 特開平06-209706号公報 特開平08-231981号公報 特開2006-273925号公報
「製菓理論 基本生地とその応用」松田兼一著 昭和62年11月1日刊 242頁~245頁
したがって、本発明の目的は、冷蔵または冷凍温度域での喫食において良好な口溶けであり、且つ、耐熱保形性を有する油中水型クリームを製造することができる油中水型クリーム用油脂組成物、並びに、該特徴を有する油中水型クリーム及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく種々検討した結果、特定の乳化剤を使用し、油相のSFCを特定の範囲とした油脂組成物により、上記問題を解決可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、水分散型のリン脂質を含有し、油相の10℃のSFCが10~30、25℃のSFCが5~20、35℃のSFCが1~10である油中水型クリーム用油脂を提供するものである。
また本発明は、上記油中水型クリーム用油脂組成物を含有する油中水型クリームを提供するものである。
さらに本発明は、水分散型のリン脂質を含有し、油相の10℃のSFCが10~30、25℃のSFCが5~20、40℃のSFCが1~5である油中水型クリーム用油脂組成物をクリーミングした後、甘味料を添加し、混合する油中水型クリームの製造方法の製造方法を提供するものである。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物を使用して得られた油中水型クリームは、冷蔵または冷凍温度域での喫食において良好な口溶けであり、且つ、耐熱保形性を有する油中水型クリームを製造することができる。そのため、冷蔵庫や冷凍庫から出してすぐに喫食することができる。
また本発明の油中水型クリームの製造方法によれば、上記特徴を有する油中水型クリームを容易に安定して得ることができる。
以下、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物について好ましい実施形態に基づき詳述する。
まず本発明で使用する水分散型リン脂質について述べる。
上記水分散型リン脂質に使用するリン脂質は、特に限定されるものではなく、食品に使用できるリン脂質であればどのようなリン脂質でも構わない。上記リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸等のジアシルグリセロリン脂質を使用することができ、更に、これらのリン脂質に対し、ホスホリパーゼ等の酵素により酵素処理を行い、乳化力を向上させたリゾリン脂質や、リン脂質及び/又はリゾリン脂質を含有する食品素材を使用することもできる。本発明では、リン脂質としてこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明で使用する水分散型リン脂質としては、水溶液中で上記リン脂質を、カゼインナトリウム等の高分子蛋白質と複合体を形成させた後濃縮あるいは粉末化した人工の脂質蛋白質複合体や、天然の脂質蛋白質複合体である、生体に存在するリン脂質と蛋白質の複合体(脂質二重膜)等を挙げることができるが、本発明では、昨今の天然物志向に合致すること及び風味が良好であること、更には油脂組成物中での乳化安定性、及び、得られる油中水型クリームの乳化安定性が良好であることから、天然の脂質蛋白質複合体を使用することが好ましい。
本発明の製菓用油脂組成物では、上述の理由から、リン脂質そのものよりも、リン脂質を含有する食品素材を用いることが好ましい。リン脂質を含有する食品素材としては、例えば、卵黄、大豆、及び牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳が挙げられる。本発明では、風味と食感の面から、乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのが好ましく、牛乳由来のリン脂質を含有する食品素材を用いるのが更に好ましい。
上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材を使用する場合は、固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは3質量%以上、最も好ましくは4~40質量%である。
すなわち、本発明で使用する水分散型リン脂質は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材を使用することが好ましい。
ここで、上記乳由来のリン脂質を含有する食品素材の固形分中のリン脂質の定量方法は、例えば以下のような方法にて測定することができる。但し、抽出方法等については乳由来のリン脂質を含有する食品素材の形態等によって適正な方法が異なるため、この定量方法に限定されるものではない。
まず、乳由来のリン脂質を含有する食品素材の脂質を、Folch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から、以下の計算式を用いて、乳由来のリン脂質を含有する食品素材の固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳由来のリン脂質を含有する食品素材-乳由来のリン脂質を含有する食品素材の水分(g))〕×25.4×(0.1/1000)
上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材としては、例えば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分が挙げられる。このクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、通常のクリームからバターを製造する際に生じるいわゆるバターミルクとは組成が大きく異なり、リン脂質を多量に含有しているという特徴がある。バターミルクは、その製法の違いによって大きく異なるが、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、通常、0.5~1.5質量%程度であるのに対して、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分は、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が、大凡、2~15質量%であり、多量のリン脂質を含有している。
また、上記水相成分としては、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上であれば、クリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分をそのまま用いてもよく、また噴霧乾燥、濃縮、冷凍等の処理を施したものを用いてもよい。
但し、乳由来のリン脂質は、高温加熱すると、その機能が低下するため、加温処理や濃縮処理中、あるいは殺菌等により加熱する際は、100℃未満であることが好ましく、60℃未満であることが更に好ましい。
また、本発明では、上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材中のリン脂質をリゾ化したものを使用することもできる。なお、この場合、上記食品素材を直接リゾ化してもよく、また濃縮した後にリゾ化してもよい。また、得られたリゾ化物に、更に濃縮あるいは噴霧乾燥処理等を施してもよい。
上記の乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である食品素材中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すればよい。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置き換える作用を有する酵素である。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。ホスホリパーゼAは作用する部位の違いによってA1、A2に分かれるが、A2が好ましい。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物において、上記水分散型リン脂質の含有量は、組成物基準で、リン脂質の純分として好ましくは0.01~1.5質量%、更に好ましくは0.01~1.0質量%である。
上記水分散型リン脂質の含有量が0.05質量%未満では、得られる油中水型クリーム用油脂組成物自体、さらには得られる油中水型クリームの乳化安定性が低下しやすいことに加え、油中水型クリームの油性感が強くなりやすい。また、1.5質量%を超えると、口溶けが悪化しやすい。
なお、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物において、上記水分散型リン脂質として、上記乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を使用する場合、その含有量は、固形分として、好ましくは0.01~10質量%、更に好ましくは0.05~5質量%、最も好ましくは0.1~4質量%である。
次に、本発明の油中水型クリーム油脂組成物の油相に使用し得る油脂について述べる。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物で使用される油脂は、食用に適する油脂を特に制限なく用いることができる。具体的には、パーム油、パーム核油、ヤシ油、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂及びイリッペ脂等の各種植物油脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油及び鯨油等の各種動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂を使用することができる。本発明はこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
これらの油脂の中でも、乳化安定性に加え、クリーミング性が高く、優れた口溶けと耐熱保形性を兼ね備えた油中水型クリームが得られる点で、構成脂肪酸組成における炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が20~60質量%であり、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が30~70質量%である油脂配合物をランダムエステル交換してなるエステル交換油脂(以下、油脂Aという。)を使用することが好ましい。
以下、上記油脂Aについて詳しく述べる。
上記油脂Aの製造に用いる油脂配合物は、構成脂肪酸組成における炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が20~60質量%、好ましくは30~60質量%であり、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が30~70質量%、好ましくは30~60質量%である。炭素数14以下の飽和脂肪酸が20質量%未満であると得られる油中水型クリームが、冷蔵または冷凍温度域での喫食において口溶けが悪くなりやすく、炭素数14以下の飽和脂肪酸が60質量%より多いと得られる油中水型クリームの耐熱保形性が悪化してしまうおそれがある。また、炭素数16以上の飽和脂肪酸が30質量%より少ないと得られる油中水型クリームの耐熱保形性が悪化しやすく、炭素数16以上の飽和脂肪酸が70質量%より多いと得られる油中水型クリームが、冷蔵または冷凍温度域のみならず、常温域での口溶けも悪化してしまうおそれがある。
また、上記油脂配合物は、構成脂肪酸組成における炭素数4以下の飽和脂肪酸含量が1質量%以下であることが好ましく、構成脂肪酸組成における炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2質量%以下であることが好ましい。構成脂肪酸組成における炭素数4以下の飽和脂肪酸含量が1質量%超であると、得られる油中水型クリームの耐熱保形性が悪化してしまうおそれがある。また、構成脂肪酸組成における炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2質量%超であると、得られる油中水型クリームが、冷蔵または冷凍温度域のみならず、常温域での口溶けも悪化してしまうおそれがある。
上記油脂配合物は、構成脂肪酸中に炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂及び構成脂肪酸中に炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂を、上記構成脂肪酸組成となるように配合することにより得られる。構成脂肪酸中に炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂における炭素数14以下の飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは30~100%、より好ましくは65~100%である。構成脂肪酸中に炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂における炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量は、好ましくは30~100%、より好ましくは70~100%である。
構成脂肪酸中に炭素数14以下の飽和脂肪酸を含有する油脂としては、例えばパーム核油、ヤシ油、ババス油、並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの油脂の中の1種又は2種以上を用いることができる。油脂Aでは、好ましくはパーム核油及び/又はヤシ油を使用する。
構成脂肪酸中に炭素数16以上の飽和脂肪酸を含有する油脂としては、例えばパーム油、米油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油(キャノーラ油)、ハイエルシンナタネ油、カカオ脂、ラード、牛脂、豚脂、魚油、並びにこれらに対し硬化、分別及びエステル交換のうちの1種又は2種以上の操作を施した油脂を挙げることができ、これらの油脂の中の1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、好ましくは、パーム硬化油、大豆硬化油、米硬化油及びコーン硬化油の中の1種又は2種以上、更に好ましくはこれらの中でも飽和脂肪酸含量を最大限に高めた極度硬化油、すなわちパーム極度硬化油、大豆極度硬化油、米極度硬化油及びコーン極度硬化油の中の1種又は2種以上、最も好ましくはパーム極度硬化油を使用する。
そして、上記油脂配合物に対し、ランダムエステル交換を行うことにより、油脂Aが得られる。ランダムエステル交換の方法は、常法によればよく、例えばリパーゼ等の酵素による方法、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒による方法等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
上記油脂Aは、構成脂肪酸組成における不飽和脂肪酸含量が好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~30質量%、更に好ましくは10~24質量%である。不飽和脂肪酸が5質量%未満であると得られる油中水型クリームが、冷蔵または冷凍温度域の口溶けも悪化してしまうおそれがあり、不飽和脂肪酸が30質量%より多いと得られる油中水型クリームの耐熱保形性が悪化してしまうおそれがある。
なお、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物の油相に上記油脂Aを使用する場合、1種の油脂Aのみを使用してもよいが、好ましくは、上記条件範囲内において、融点の異なる2種の油脂Aを混合して使用することが、より高い乳化安定性、冷蔵または冷凍温度域の優れた口溶け、及び耐熱保形性に優れた油中水型クリームを得ることが可能である点で、好ましい。この場合、融点の離間は5℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上である。なお、融点差の上限については、30℃以下であることが好ましく、より好ましくは25℃以下である。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物における上記油脂Aの含有量は、乳化安定性と耐熱保形性の観点からは、好ましくは油相中10~50質量%、より好ましくは15~40質量%である。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物は、口溶け、とくに冷蔵または冷凍温度域での喫食において良好な口溶け油中水型クリームが得られる点で、油相中に液状油を60~90質量%含有することが好ましく、60~85質量%含有することがより好ましい。
上記液状油としては、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、カポック油、胡麻油、月見草油等の常温(25℃)で液状の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂を分別することで得られた軟部油であって、常温で液状である油脂も使用することもできる。また、これらの油脂に対し、水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂についても、得られる加工油脂が常温で液状である範囲内において使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明では、得られる油中水型クリームの口溶けを良好なものとすることが可能な点から、上記液状油として、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、パームスーパーオレイン等の常温で液状の油脂のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物においては、得られる油中水型クリームの耐熱保形性と低温喫食時の口溶けの両立可能な点で、油相の10℃のSFCが10~30、25℃のSFCが5~20、35℃のSFCが1~10であることが必要である。なお、10℃のSFCは、好ましくは、12~25、より好ましくは15~25であり、25℃のSFCは好ましくは7~20、より好ましくは8~16であり、35℃のSFCは好ましくは1~5、より好ましくは1~4である。
10℃のSFCが30超であると、口溶け、特に冷凍温度域での口溶けが悪いものになってしまい、10未満であると、クリーミング性が悪化することに加え、耐熱保形性が著しく悪化してしまう。
また、25℃のSFCが20超であると、口溶けが悪化し、5未満であると、耐熱保形性が悪化してしまう。
さらに35℃のSFCが10超であると、油性感の強い口溶けになってしまい、1未満であると、良好な耐熱保形性が得られない。
なお、上記SFCは、次のようにして測定する。即ち、先ず、油相を60℃に30分保持して完全に融解した後、0℃に30分保持して固化させる。次いで、25℃に30分保持し、テンパリングを行い、その後、0℃に30分保持する。これを10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃の設定温度に、順次30分保持後、SFCを測定する。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物における上記油脂の含有量は、乳化安定性の観点から、またクリーミング性を高めるために、好ましくは18~99.95質量%、より好ましくは51~99質量%、更に好ましくは70~98質量%である。なお、本発明においては、油脂を含有する原材料を使用した場合は、該原材料に含まれる油脂純分についても上記油脂の含有量に含めることとする。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物は、その他の成分を含有する場合がある。その他の成分としては、例えば、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白等の植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
上記乳化剤としては、グリセリン飽和脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、油溶性のレシチン、油溶性の酵素処理レシチン、サポニン類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記乳化剤の配合量は、特に制限はないが、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物中、好ましくは0~3質量%、更に好ましくは0~1.5質量%である。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物中において、上記その他の成分の使用量は、それらの成分の使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に制限されるものではないが、好ましくは本発明の油中水型クリーム用油脂組成物中、合計で50質量%以下とする。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物は、可塑性を有することが好ましい。可塑性を有することにより、油脂のクリーミング性を利用し、気相を導入することによって油脂の比重を小さくする操作を製造工程に含む、油中水型クリームに用いられる油脂として好適に用いることができる。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物の形態は、水相を含有するマーガリンタイプとすることができ、水相を含有しないショートニングタイプとすることもできる。本発明の油中水型クリーム用油脂組成物が水相を含有する場合、水分含有量が25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下がより好ましい。また乳化物である場合には、その乳化形態は、水中油型、油中水型及び二重乳化型のいずれでも構わないが、油相が最外相である、油中水型や油中水型乳化油脂組成物であることが好ましい。
次に本発明の油中水型クリーム用油脂組成物の製造方法について述べる。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物は、10℃のSFCが10~30、25℃のSFCが5~20、35℃のSFCが1~10である油相を溶解した後、必要に応じ、水相を添加して乳化し、冷却し、結晶化させる際に、水分散型リン脂質を含有させることにより製造される。
詳細には、まず、上記SFCとなるように、各種の油脂を1種又は2種以上選択し、加熱溶解し、混合・攪拌を行い、油相を調製する。
ここで、油溶性のその他の成分については、必要により油相に含有させることができる。
また、必要に応じて、水に水溶性のその他の成分を添加した水相を調製した後、該水相を油相に添加し、乳化する。
なお、水分散型リン脂質については油相または水相に添加することが可能であるが、好ましくは水相に添加する。
次に、殺菌処理を行うのが好ましい。なお、殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
次に、冷却し、必要により可塑化する。本発明において、冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、さらに好ましくは-5℃/分以上とする。冷却に用いる機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンビネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組合せ等が挙げられる。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、任意に、窒素、空気等を含気させ、可塑性や作業性を向上させることができる。含気させる場合は、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物100gに対して、好ましくは10~50cc含入させる。
本発明の油中水型クリーム用油脂組成物は、油脂のクリーミング性を利用し、気相を導入することによって油脂の比重を小さくする操作を製造工程に含む、油中水型クリームに用いられる油脂として好適に用いることができるが、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物が糖分を含有する場合等風味成分を含有する場合はそのままクリーミングすることで油中水型クリームとして使用することも可能である。
次に、本発明の油中水型クリームについて説明する。
本発明の油中水型クリームは、甘味料及び上記本発明の油中水型クリーム用油脂組成物を含有するものである。
なお、上記油中水型とは、連続した油相中に、水、あるいは水相を含有するコロイド粒子が分散している形態を指す。具体的な乳化形態としては、W/O型のみならず、O/W/O型やO/O型をも含むものである。
本発明の油中水型クリームの比重は、好ましくは0.4~0.9、より好ましくは0.5~0.8である。油中水型クリームの比重が0.4未満であると軽すぎて油中水型クリーム特有のコクのある風味が感じられなくなってしまう場合がある。また、油中水型クリームの比重が0.9を超えると、冷蔵または冷凍温度域での喫食において良好な口溶けを得にくいことに加え、口溶けが重過ぎて、みずみずしさを感じにくいものとなる場合がある。
本発明の油中水型クリームにおける上記本発明の油中水型クリーム用油脂組成物の使用量は、油中水型クリームの用途や乳化形態等により異なるものであり、特に限定されるものではないが、おおよそ油中水型クリーム中に20~100質量%である。
本発明の油中水型クリームにおける油脂の含有量は、乳化安定性のためには、好ましくは18~80質量%、より好ましくは20~70質量%、さらに好ましくは25~60質量%であることが好ましい。
また、本発明の油中水型クリームにおける水の含有量は、特に制限されるものではないが、好ましくは1~80質量%、より好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは20~40質量%である。なお、本発明においては、水分を含有する原材料を使用した場合は、該原材料に含まれる水分についても上記水の含有量に含めることとする。
また、本発明の油中水型クリームの水分含量についても、油中水型クリームの用途や乳化形態等により異なるものであり、特に限定されるものではないが、おおよそ油中水型クリーム中に20~70質量%である。
本発明の油中水型クリームで使用される甘味料としては、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース等が挙げられる。これらの甘味料は、単独で用いることもでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。なお、果汁、野菜汁、フルーツピューレ、フルーツペースト、ジャム、清涼飲料水などの上記甘味料を含有する飲食品を使用してもよい。
また、本発明の油中水型クリームにおける甘味料の含有量は、特に制限されるものではなく、求められる甘味度に応じて適宜設定可能であるが、固形分として水相中の85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下とすることが好ましい。
上記油中水型クリームの製造方法としては上記本発明の油中水型クリーム用油脂組成物をクリーミングし、ここに、糖液や、卵類、乳等を配合する方法、あるいは、糖液や、卵類、乳等を上記本発明の油中水型クリーム用油脂組成物に添加し、これをクリーミングする方法、さらには、糖液や、卵類、乳等を含有する上記本発明の油中水型クリーム用油脂組成物をクリーミングする方法などが挙げられる。
なお、甘味料は糖液に含有させるのが一般的であるが、卵液や乳等に含有させる方法でもよい。
本発明の油中水型クリームはフィリング用として広く使用することができる。なお、フィリング用としては、サンド用、トッピング用、スプレッド用、コーティング用も含まれる。
中でも本発明の油中水型クリームは冷蔵または冷凍温度域での喫食において良好な口溶けであり、且つ、常温域での耐熱保形性を有することから、冷蔵庫または冷凍庫から出してその品温のまま喫食する、冷蔵喫食用のクリーム、さらには冷凍喫食用のクリームとしても使用することができる。
なお、本発明の油中水型クリームの上記用途における使用量は、各用途により異なるものであり、特に制限されるものではない。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例及び比較例により何等制限されるものではない。
<エステル交換油の製造>
〔製造例1〕
炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が68%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が11%であるパーム核油75%に、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が1%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が99%であるパーム極度硬化油25%を配合し、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が54%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が33%である油脂配合物を得た。この油脂配合物を、Naメチラートを触媒としてランダムエステル交換し、常法により精製して融点が32℃である油脂Aを得た。得られた油脂Aは、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が54%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が33%、炭素数4以下の飽和脂肪酸含量が1質量%以下で、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2質量%以下、不飽和脂肪酸含量が16%であった。
〔製造例2〕
製造例1の油脂配合物の調製において、パーム核油の配合量を50%に、パーム極度硬化油の配合量を50%にそれぞれ変更し、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が35%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が55%である油脂配合物を得た。この油脂配合物を、製造例1と同様の条件でランダムエステル交換し、常法により精製して融点が43℃である油脂Bを得た。得られた油脂Bは、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が35%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が55%、炭素数4以下の飽和脂肪酸含量が1質量%以下で、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2質量%以下、不飽和脂肪酸含量が11%であった。
〔製造例3〕
ヨウ素価60のパーム分別軟部油100質量部からなる油脂配合物を、Naメチラートを触媒としてランダムエステル交換し、常法により精製して融点が28℃である油脂Cを得た。得られた油脂Cは炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が2%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が36%、炭素数4以下の飽和脂肪酸含量が1質量%以下で、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が2質量%以下、不飽和脂肪酸含量が59%であった。
<油中水型クリーム用油脂組成物の製造>
〔実施例1〕
油脂A:油脂B:菜種液状油:ハイエルシン菜種極度硬化油=15:5:79:1の質量比で混合した混合油脂80質量部、レシチン0.5質量部、グリセリンモノオレイン酸エステル0.5質量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=1)0.5質量部、及び、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分29質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)2質量部からなる油相と、水16.5質量部からなる水相とを、55℃の温度で混合乳化して油中水型乳化物を得た。この油中水型乳化物を急冷可塑化し、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが16.2、25℃のSFCが10.7、35℃のSFCが2.9である、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物1を得た。
〔実施例2〕
実施例1における混合油脂を油脂B:菜種液状油=20:80の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが17.4、25℃のSFCが14.4、35℃のSFCが6.3である、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物2を得た。
〔実施例3〕
実施例1における混合油脂を油脂A:菜種液状油:ハイエルシン菜種極度硬化油=20:79:1の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが15.4、25℃のSFCが9.1、35℃のSFCが1.5である、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物3を得た。
〔実施例4〕
実施例1における混合油脂を油脂A:油脂B:ヨウ素価60のパーム分別軟部油:ハイエルシン菜種極度硬化油=15:5:79:1の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが17.1、25℃のSFCが10.8、35℃のSFCが2.9である、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物4を得た。
〔実施例5〕
実施例1における混合油脂を油脂C:菜種液状油:ハイエルシン菜種極度硬化油=55:44:1の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが17.7、25℃のSFCが7.2、35℃のSFCが2.6である、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物5を得た。
〔実施例6〕
実施例1におけるクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物の配合量を2質量部から18質量部に変更し、水の配合量を16.5質量部から1.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.5質量%、油相の10℃のSFCが16.2、25℃のSFCが10.7、35℃のSFCが2.9である、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物6を得た。
〔実施例7〕
実施例1における混合油脂を油脂A:油脂B:菜種液状油=15:5:80の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが15.2、25℃のSFCが9.7、35℃のSFCが1.9である、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物7を得た。
〔実施例8〕
実施例1における混合油脂を油脂A:油脂B:菜種液状油=30:3:67の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが24.2、25℃のSFCが14.2、35℃のSFCが1.7である、本発明の油中水型クリーム用油脂組成物8を得た。
〔比較例1〕
実施例1におけるクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物の配合量を2質量部から無添加に変更し、水の配合量を16.5質量部から18.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0質量%、油相の10℃のSFCが16.2、25℃のSFCが10.7、35℃のSFCが2.9である、比較例の油中水型クリーム用油脂組成物9を得た。
〔比較例2〕
実施例1における混合油脂を油脂A:油脂B:菜種液状油:ハイエルシン菜種極度硬化油=30:10:59:1の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが31.2、25℃のSFCが20.2、35℃のSFCが4.9である、比較例の油中水型クリーム用油脂組成物10を得た。
〔比較例3〕
実施例1における混合油脂を油脂B:菜種液状油=10:90の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが8.7、25℃のSFCが7.3、35℃のSFCが3.2である、比較例の油中水型クリーム用油脂組成物11を得た。
〔比較例4〕
実施例1における混合油脂を油脂A:菜種液状油=60:40の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが43.1、25℃のSFCが24.0、35℃のSFCが1.4である、比較例の油中水型クリーム用油脂組成物12を得た。
〔比較例5〕
実施例1における混合油脂を油脂C:菜種液状油:ハイエルシン菜種極度硬化油=97:0:3の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが32.3、25℃のSFCが13.7、35℃のSFCが5.8である、比較例の油中水型クリーム用油脂組成物13を得た。
〔比較例6〕
実施例1における混合油脂をパーム油:菜種液状油:ハイエルシン菜種極度硬化油=20:79:1の質量比で混合した混合油脂に変更した以外は、実施例1と同様の配合・製法で、水分散性リン脂質の含有量が0.06質量%、油相の10℃のSFCが11.1、25℃のSFCが4.2、35℃のSFCが2.1である、比較例の油中水型クリーム用油脂組成物14を得た。
<油中水型クリームの製造及び評価>
上記実施例1~8及び比較例1~6で得られた油中水型クリーム用油脂組成物1~14を使用し、以下の配合及び製法で油中水型クリーム1~14を製造した。
得られた油中水型クリーム1~14は冷蔵庫で5℃で15時間調温したものについて、下記の評価基準にしたがって冷蔵温度帯における喫食時の口溶け及び油性感の評価を行い、その結果を表1に記載した。また、同様に冷凍庫でマイナス15℃で15時間調温したものについて、下記の評価基準にしたがって冷凍温度帯における喫食時の口溶け及び油性感の評価を行い、その結果を表1に記載した。
また、得られた油中水型クリーム1~14を一旦25℃に調温した後、絞り袋に入れ、菊型口金でシャーレに花型に絞り、蓋をし、これを5℃に60分調温後、20℃、及び25℃の各恒温槽に一晩おき、表面状況及びダレの状況を観察し、前者を乳化安定性、後者を耐熱保形性の評価とし、下記評価基準に従い4段階で評価した。
(油中水型クリーム配合及び製法)
油中水型クリーム用油脂組成物を室温で1時間調温した後、100質量部をミキサーボウルに投入し、卓上ミキサーにセットし、ビーターを使用して低速1分混合した。続いて、最高速で比重が0.45となるまでクリーミングした。ここに、転化糖シロップ(糖の固形分の含有量は70質量%)50質量部を添加し、十分に混合し、油分含量が53質量%、比重が0.6である油中水型クリームを得た。
(口溶け評価基準)
◎: 極めて良好な口溶けである。
○+: 良好な口溶けである。
○: やや良好な口溶けである。
△: ややもたつきが感じられ、やや不良な口溶けである。
×: 口中での溶解性が悪く、不良な口溶けである。
(油性感評価基準)
◎: 油性感が感じられない。
○: 油性感がほとんど感じられない。
△: やや油っぽさを感じる。
×: 油っぽい。
(乳化安定性評価基準)
◎: 良好なクリーム表面である。
○: わずかに離水が見られるが良好なクリーム表面である。
△: やや離水が見られる。
×: はっきりした離水が見られる。
(耐熱保形性評価基準)
◎: 線もシャープでありダレが全く見られない。
○: やや線が丸くなったがダレは見られない。
△: ダレが見られるが菊型形状を有している。
×: はっきりしたダレが見られる。

Claims (6)

  1. 水分散型のリン脂質を含有し、油相の10℃のSFCが10~30、25℃のSFCが5~20、35℃のSFCが1~10である油中水型クリーム用油脂組成物。
  2. 構成脂肪酸組成における炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が20~60質量%、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が30~70質量%である油脂配合物をランダムエステル交換してなるエステル交換油脂を油相中に含有する、請求項1記載の油中水型クリーム用油脂組成物。
  3. 液状油を油相中に60~90質量%含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の油中水型クリーム用油脂組成物。
  4. 請求項1記載の油中水型クリーム用油脂組成物を含有する油中水型クリーム。
  5. 冷凍喫食用である請求項4記載の油中水型クリーム。
  6. 請求項1記載の油中水型クリーム用油脂組成物をクリーミングした後、甘味料を添加し、混合する油中水型クリームの製造方法。
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