[実施形態]
本開示の遊技機の実施形態に係るスロットマシン1について、図面を参照して説明する。本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、スロットマシン1の正面を向いて位置している遊技者から見て、スロットマシン1から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向および「上」や「下」等の上下方向も、遊技者から見た場合の左方向や右方向、または上方向や下方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、スロットマシン1の所定位置に固定した場合における遊技者から見た方向を意味する。
[第1の実施形態]
まず、本実施形態に係るスロットマシン1の第1の実施形態について説明する。
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。第1の実施形態では、複数の回転リール20として、筐体10に向かって左から順に配置された、左回転リール20A、中回転リール20B、および右回転リール20Cを備える。
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、およびスピーカ102が設けられている。
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
リール窓200の右側方と左側方には、前面扉100の枠上に沿って、電飾部103が設けられている。電飾部103は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に、所定のパターンで点灯または消灯する。
リール窓200の下方には、遊技に用いる遊技価値としてのメダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される媒体表示部44が設けられている。
筐体10の前面上であって、リール窓200の下方には、前面扉100の前方に向けて突出する操作部4が設けられている。操作部4には、メダル投入部41、ベットスイッチ42、スタートスイッチ43、ストップスイッチ40、演出スイッチ46、および精算スイッチ45が設けられている。
メダル投入部41は、操作部4の上面の右側に設けられ、メダルを投入するためのものである。メダル投入部41の投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を後述する制御部6(図2参照)に出力する。
ベットスイッチ42は、メダルを設定(ベット)するための操作を受け付けるものである。ベットスイッチ42が操作されると、貯留されたクレジットメダルからメダルがベットされる。第1の実施形態では、ベットスイッチ42は、クレジットメダルから最大投入枚数である「3枚」がベットされるマックスベットスイッチである。
スタートスイッチ43は、メダルの投入またはベットスイッチ42の操作を条件に回転リール20を回転させるための操作を受け付けるものである。
ストップスイッチ40は、回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付けるものである。ストップスイッチ40は、楕円筒形状に形成され、操作部4の左右方向中央に設けられる。また、操作により対応する回転リール20の回転を停止させるため、3個の回転リール20のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ40が設けられている。
このストップスイッチ40は、左回転リール20Aを停止させるための左ストップスイッチ40Aと、中回転リール20Bを停止させるための中ストップスイッチ40Bと、右回転リール20Cを停止させるための右ストップスイッチ40Cと、を有している。
演出スイッチ46は、ベットスイッチ42の右側に設けられ、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、および遊技データの確認などを行うために用いられるものである。また、演出スイッチ46は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出スイッチ46が押下された場合、演出に変化が生じる。
精算スイッチ45は、クレジット機能によりクレジットしたメダルの全てを払い出すためのものである。
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(図2参照)。
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72を備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
回転リールユニット2は、図1および図2に示すように、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、図3に示すように、複数の図柄が、当該回転リール20の周方向に沿って間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるためのボタンである。設定変更ボタン72は、複数段階の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率、を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの、各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に、店舗スタッフによって設定される。
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、必要に応じて、演出スイッチ46を押下してスピーカ102から出力される音量調整、液晶画面3の光度調整を行う。
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、スタートスイッチ43の操作、すなわち遊技開始が可能となる。
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。第1の実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本のラインLが有効化される。
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役に対応する図柄の組み合わせが有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの役に対応する図柄の組み合わせが有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
第1の実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、スタートスイッチ43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作を云う。
具体的には、遊技開始可能な状態でスタートスイッチ43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
遊技者は、上記ゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3の表示やスピーカ102からの音の出力は、遊技進行に応じて変化していく。
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間および遊技状態の各種類が設定され、設定された遊技区間および遊技状態の各種類に基づいて内部抽せんが行われる。遊技状態には、図4および図5に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
第1遊技状態は、図4に示すように、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態を含む。特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態は、排他的に成立する関係にある。
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役(一種BBおよび二種BB)の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、RAMクリアボタン71を用いてRAMが初期化された場合、特別役実施状態に移行してから払い出しメダルの枚数が所定枚数(例えば180枚)を超えた場合などの、所定条件を満たした場合に設定される。特別役持ち越し状態にて特別役が入賞した場合(すなわち所定条件を満たした場合)、第1遊技状態は、一時的ではあるが特別役非持ち越し状態に設定される。
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。
ここで、一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、ビッグボーナスなどが該当する。二種BBは、3枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。二種BBは、二種特別役物に係る役物連続作動装置であって、例えば2枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。特別役では、任意の特別役(例えば一種BB)の入賞が持ち越された状態にある場合、他の特別役(例えば二種BB)の抽せんは行われない。
第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に特別役が当せんすると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役の入賞が持ち越された状態(特別役持ち越し状態)に移行する。
当せんした特別役が入賞すると、第1遊技状態は、特別役持ち越し状態から、特別役非持ち越し状態を一時的に介して特別役実施状態に移行する。一種BBまたは二種BBが入賞したことによって第1遊技状態が特別役実施状態に移行すると、一種BBまたは二種BBによるメダルの払い出し枚数が所定枚数を超えるまで、特別役実施状態が維持される。
更に詳細に、特別役実施状態には、一種BB実施状態、二種BB実施状態、およびRB実施状態が含まれる。一種BBが実施されている一種BB実施状態の間に、内部抽せんによってRBが当せんし入賞した場合、特別役実施状態は、一種BB実施状態からRB実施状態に移行する。RB実施状態において12ゲーム消化または特定役が8回入賞することで、特別役実施状態は、一種BB実施状態に移行する。特別役実施状態は「ボーナス状態」の一例である。
第2遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、図5に示すように、通常状態およびAT状態を含む。通常状態とAT状態とは、排他的に成立する関係にある。
通常状態とは、AT状態でない状態、つまりアシスト機能が発生しない状態である。例えば、RAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は通常状態に設定される。一例として、遊技区間が有利区間である場合に、AT抽せんは、内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。
AT状態とは、内部抽せんにより当せんしたストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)のある押し順役の正解押し順を、液晶画面3やスピーカ102を介して報知するアシスト機能(AT機能)が働いている状態である。第1の実施形態では、AT状態として、AT準備パートおよびAT本番パートが設けられている。AT準備パートは「第1状態」の一例であり、AT本番パートは「第2状態」の一例である。
AT本番パートは、種類A、種類B、および種類Cが設けられ、種類毎に遊技が有利となる有利度が異なっている。有利度は、直接的に出玉に影響するもの、間接的に出玉に影響するもの、および出玉に影響しないが、遊技者の興趣性を向上させるもののいずれであってもよい。直接的に出玉に影響する有利度は、AT本番パートの保障ゲーム数の長さ、AT本番パートにおけるメダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数の上限、AT本番パートにおける純増枚数、AT本番パートにおける上乗せ期待度、およびAT本番パートにおけるナビ回数などが例示される。また、間接的に出玉に影響する有利度は、AT本番パートにおける設定値を示唆する設定示唆演出の発生確率、AT本番パートで滞在しているモードの示唆の発生確率、AT本番パートの消化ゲーム数またはいわゆる天井までの残りゲーム数(天井が周期型の場合は、何周期目か、または周期天井までの残り周期)の示唆の発生確率などが例示される。また、出玉に影響しないが、遊技者の興趣性を向上させる有利度は、AT本番パートにおける演出の種類が例示される。そして、第1の実施形態では、有利度として、種類毎にAT本番パートの保障ゲーム数の長さを異ならせている。
AT準備パートは、遊技区間が有利区間である場合に通常状態でAT抽せんに当せんまたはAT状態へ移行するための天井ゲーム数を消化したときに、通常状態から移行する状態である。そして、AT準備パートの移行時には、移行可能となるAT本番パートの種類を決定する種類決定抽せんが行われ、3種類の中からいずれかの種類が特定種類として決定される。なお、スロットマシン1では、種類決定抽せんの結果は遊技者に把握できないように構成されている。つまり、遊技者は、AT準備パートの移行時には、移行可能となるAT本番パートの種類を把握していない。
AT準備パートでは、1ゲームごとに内部抽せんが行われ、押し順役が当せんした場合は、当該押し順役に対応する正解押し順が報知される。
また、AT準備パートでは、内部抽せんで特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役または所定の実行対象役が当せんした場合は、AT本番パートへの移行を示唆する演出が行われる。特定役は、AT本番パートのうち、種類Aへの移行に係る特定役A、種類Bへの移行に係る特定役B、および種類Cへの移行に係る特定役Cの3種類を有する。上記の所定の実行対象役は、特定役とは異なる役であって、AT本番パートへの移行に係らない役である。そして、AT準備パートでは、上記の演出として、いずれかの種類の特定役の入賞に係る図柄の組み合わせをリール窓200に停止表示させることを指示する「狙え演出」が行われる。狙え演出の報知は、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つを用いて行われ、たとえば、特定役の入賞に係る図柄として「赤7を狙え」との文字が液晶画面3に表示される。これにより、狙え演出を見た遊技者は、移行可能なAT本番パートの種類が液晶画面3に表示された図柄に対応するものであることを把握できる。
ここで、上記の狙え演出には、内部抽せんで特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役が当せんした場合に、当該特定役の入賞に係る図柄の組み合わせをリール窓200に停止表示させることを指示する狙え演出(真)と、内部抽せんで所定の実行対象役が当せんした場合に、特定種類とは異なる種類のAT本番パートへの移行に係る特定役の入賞に係る図柄の組み合わせをリール窓200に停止表示させることを指示する狙え演出(偽)と、が設けられている。このとき、狙え演出(真)が行われたゲームにおいて、内部抽せんで当せんした特定役が入賞可能なタイミングで各ストップスイッチ40が操作された場合は、当該特定役が入賞する。一方、狙え演出(偽)が行われたゲームでは、当該狙え演出(偽)で報知された特定役の入賞に係る図柄の組み合わせをリール窓200に停止表示させることができない。
一例として、種類Aを特定種類とすると、AT準備パートでは、狙え演出(真)が行われるまでの間は、内部抽せんで所定の実行対象役に当せんすると、特定役Bまたは特定役Cの入賞に係る図柄の組み合わせをリール窓200に停止表示させることを指示する狙え演出(偽)が行われる。これに対し、狙え演出(真)が行われたゲームで特定役Aが入賞しなかった場合は、以降の当該AT準備パートで特定役Aが入賞するまでの間、狙え演出(偽)が行われなくなる。つまり、狙え演出(真)が行われたゲームで特定役Aが入賞しなかった場合、その後のAT準備パートでは、狙え演出として、狙え演出(真)のみが行われ、狙え演出(偽)が行われなくなる。このように、AT準備パートにおいて、狙え演出(真)が行われたことに基づいて移行可能なAT本番パートが特定種類(例:種類A)であることを遊技者が把握可能な場合、特定種類とは異なる種類(例:種類Bおよび種類C)のAT本番パートへの移行を示唆する演出、具体的には、狙え演出(偽)の出力頻度を低減させる制御を「特定制御」とする。特定制御の詳細については後述する。
ここで、AT準備パートにおいて、狙え演出(真)が行われたゲームで特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役が入賞した場合は、第3停止時にAT本番パートへの移行を促す演出が行われ、AT準備パートから特定種類のAT本番パートに移行する。一方、狙え演出(真)が行われたゲームで当該特定役が入賞しなかった場合は、次ゲームもAT準備パートが継続する。つまり、AT準備パートは、特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役が入賞しない限り、継続され得るパートといえる。
AT本番パートは、狙え演出(真)が行われたゲームで特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役が入賞した場合に、AT準備パートから移行する状態である。上記のように、AT本番パートには、種類A、種類B、および種類Cの3種類が設けられている。一例として、種類AのAT本番パートの保障ゲーム数は「100ゲーム」であり、種類BのAT本番パートの保障ゲーム数は「70ゲーム」であり、種類CのAT本番パートの保障ゲーム数は「50ゲーム」である。
そして、AT状態の終了条件が成立した場合に、第2遊技状態は、AT本番パートから通常状態へと移行する。これにより、AT状態は終了する。当該終了条件の例として、AT本番パートの保障ゲーム数の消化中に行われる継続抽せんまたは当該保障ゲーム数を消化したことに基づいて行われる継続抽せんに当せんしなかった場合に、第2遊技状態は、AT本番パートから通常状態へと移行する。当該終了条件の他の例として、有利区間の終了条件(メダルの差枚数が2400枚に到達または4000ゲーム消化)の成立が近くなった、たとえば、メダルの差枚数が2200枚に到達または有利区間を3900ゲーム消化した場合に、AT状態は、AT本番パートから図示しないエンディング状態へと移行する。そして、当該他の例では、エンディング状態で有利区間の終了条件が成立した場合に、第2遊技状態は、エンディング状態から通常状態へと移行する。なお、上記の継続抽せんに当せんした場合、AT状態は、所定のタイミングでAT本番パートからAT準備パートへと移行し、AT準備パートとAT本番パートとがループして実行される。
<遊技区間について>
上述した遊技区間とは、アシスト機能に関する処理が行われるか否かを決定するための区間である。図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
通常区間とは、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部抽せんで当せんした役(当せん役)に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が通常状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
有利区間は、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が通常状態で進行する有利区間と、AT状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
<制御部の構成>
図2に戻って、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部63を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部63は、メイン制御部61から送信された信号や演出スイッチ46が押下されたことに基づいて、演出に関する制御を行う。制御部6は「制御部」の一例である。
メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、内部抽せんの結果、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータや移行可能なAT本番パートが特定種類であることを遊技者に把握可能とした履歴(遊技履歴)などが含まれる。当該遊技履歴は、移行可能なAT本番パートの種類を示唆または報知して遊技者に把握可能としたか否かの履歴であり、たとえば「狙え演出(真)の実行の有無」が該当する。サブ制御部63のRAMには、演出制御に関する各種データなどが記憶される。メイン制御部61のRAMは「記憶部」の一例である。
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部612、媒体管理部613、遊技進行制御部614、区間制御部615、および遊技状態制御部616として機能する。サブ制御部63は、演出制御部630として機能する。
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、スタートスイッチ43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役の少なくともいずれか1つに当選するか否かを決定する。具体的に、内部抽せん部610は、スタートスイッチ43が操作された時の第1遊技状態などに基づいて、内部抽せんテーブル(図示せず)およびスタートスイッチ43が操作された時に取得される乱数に従って内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リール制御部611および遊技進行制御部614などに送信される。
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルを基に、スタートスイッチ43操作時のRT状態、ボーナス中か否か、設定値、の組み合わせに応じて内部抽せんを行う。なお、内部抽せんテーブルに示された役の情報には、図柄の組み合わせと、その組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。当該役には、メダルの払い出しが行われないはずれ役の他、メダルの払い出しのある押し順役が含まれる。
AT状態で遊技が行われる場合には、押し順役が内部抽せんにより当せんする場合がある。押し順役が当せんし、その押し順通りにストップスイッチ40が押下された場合には、当該押し順役が入賞し、その役に応じた複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。押し順役が当せんしたにも関わらず、押し順通りにストップスイッチ40が押下されなかった場合には、当該押し順役は入賞しないか、またはその他の役(1枚役など)が入賞する。
なお、押し順役は、通常状態中にも当せんしている。通常状態中に押し順役が成立した場合、正解押し順の報知はされないため、押し順役は取りこぼされたり払い出しが1枚となったりする。AT状態中は、正解押し順が報知されるため、複数枚(例えば8枚)のメダルが払い出される。
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、スタートスイッチ43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、スタートスイッチ43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、当せん役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
また、回転停止制御では、回転リール制御部611は、当せん役と、各ストップスイッチ40操作時の回転リール20の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せん役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部612は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せん役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部612は、当せん役が入賞したと判定する。
―媒体管理部―
媒体管理部613は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
具体的に、媒体管理部613は、メダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、メダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
当せん役が遊技者の操作に基づいて入賞した場合、媒体管理部613は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
また、媒体管理部613は、遊技結果判定部612が判定した遊技結果の他、精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
具体的に、当せん役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
更に、媒体管理部613は、有利区間において、メダルの差枚数、および/または差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。メダルの差枚数および/またはレンジ(MY)は、区間制御部615に送信される。なお、媒体管理部613は、有利区間終了後に、メダルの差枚数および/またはレンジ(MY)をリセットする。
―遊技進行制御部―
遊技進行制御部614は、遊技者の操作に基づいて遊技進行を制御する。その際、遊技進行制御部614は、店舗スタッフにより設定された設定値に基づいて、当該遊技者による遊技進行を制御する。
また、遊技進行制御部614は、RAMクリアボタン71が押下された場合、メイン制御部61のRAMを初期化することで、遊技データをリセットする。遊技進行制御部614は、設定変更ボタン72が押下された場合、現在の設定値を他の設定値に変更する。
―区間制御部―
区間制御部615は、遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
具体的には、区間制御部615は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。区間移行抽せんに当せんした場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間に設定(移行)する。
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、設定値に応じて異なっていてもよい。一例としては、設定値に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる、区間移行抽せんの当せん確率が異なっていることが挙げられる。
また、区間制御部615は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部615は、遊技区間が有利区間の時に、第2遊技状態がAT状態から通常状態に移行したか否かを判定する。通常状態に移行したと判定した場合、区間制御部615は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
また、区間制御部615は、有利区間の状態での消化ゲーム数が上限ゲーム数である4000ゲームに達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に達した場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
また、区間制御部615は、遊技データがリセットされた場合、リセット直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部616は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
具体的には、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を、通常状態またはAT状態に設定する。
一例として、図4に示すように、遊技状態制御部616は、メイン制御部61のRAMクリアなどの所定条件が満たされた場合は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした直後、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役持ち越し状態に設定する。その特別役が入賞した場合、遊技状態制御部616は、第1遊技状態を特別役実施状態に設定する。
また、図5に示すように、遊技状態制御部616は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。有利区間の間にAT抽せんに当せんした場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態、具体的には、AT準備パートに設定する。逆に、AT抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態を通常状態に設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態制御部616は、第2遊技状態をAT状態から通常状態に移行させる。
―演出制御部―
演出制御部630は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ102から出力させる。例えば、演出制御部630は、ATやボーナスが当せんした場合、その旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ102の音声出力制御を行う。
演出制御部630は、AT中、逐次当せんする押し順役の正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる(アシスト機能)。
また、遊技中に、設定示唆演出の報知条件が満たされた場合、演出制御部630は、当該設定示唆演出の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。この設定示唆演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1がどのような設定値なのかを、把握する材料の1つとすることができる。報知条件としては、レア役当せん時、ボーナスゲームの終了時、AT終了時、などが挙げられる。
また、演出制御部630は、AT準備パートにおいて、狙え演出の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。狙え演出の具体例については後述する。
<AT準備パートにおける遊技の流れ>
図7を用いて、AT準備パートにおける1遊技(1ゲーム)の流れを説明する。
ステップS10において、制御部6は、所定枚数のメダルがベットされた状態でスタートスイッチ43が操作されたことに基づいて、内部抽せん部610の機能として、内部抽せん処理を行う。内部抽せん処理では、内部抽せんが行われ、複数の役の少なくともいずれか1つに当選するか否かが決定される。そして、制御部6は、ステップS11に進む。
ステップS11において、制御部6は、内部抽せん部610の機能として、当せん役は特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役であるか否かを判定し、当該特定役であると判定した場合(ステップS11:YES)はステップS14に進む。一方、制御部6により当せん役は特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役でないと判定された場合(ステップS11:NO)はステップS12に進む。
ステップS12において、制御部6は、内部抽せん部610の機能として、当せん役は所定の実行対象役であるか否かを判定し、当該実行対象役であると判定した場合(ステップS12:YES)はステップS13に進む。一方、制御部6により当せん役は所定の実行対象役でないと判定された場合(ステップS12:NO)はステップS14に進む。
ステップS13において、制御部6は、遊技状態制御部616の機能として、メイン制御部61のRAMに記憶されている遊技データのうち、遊技履歴を取得する。これにより、制御部6は、現在のAT準備パートにおける狙え演出(真)の実行の有無を認識する。そして、制御部6は、ステップS14に進む。
ステップS14において、制御部6は、回転リール制御部611の機能として、回転リール制御処理を行う。回転リール制御処理では、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御が行われる。そして、回転停止制御が行われたことに基づいて、制御部6は、ステップS15に進む。
ここで、制御部6は、ステップS11から、ステップS12およびステップS13を経ずにステップS14に進んだ場合、回転開始制御に合わせて、演出制御部630の機能として、狙え演出(真)の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。また、制御部6は、ステップS13からステップS14に進み、かつステップS13で「狙え演出(真)が実行されていない」との遊技履歴を取得した場合、回転開始制御に合わせて、演出制御部630の機能として、狙え演出(偽)の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。
そして、制御部6は、ステップS13からステップS14に進み、かつステップS13で「狙え演出(真)が実行されている」との遊技履歴を取得した場合、特定制御を行う。具体的には、制御部6は、特定制御として、狙え演出(偽)の出力頻度を低減させ、回転開始制御に合わせた狙え演出(偽)の報知を停止する。
ステップS15において、制御部6は、遊技結果判定部612の機能として、遊技結果判定処理を行う。遊技結果判定処理では、有効ラインL上の図柄の組み合わせに対して所定の役の図柄の組み合わせが揃っているか否かが判定される。そして、制御部6は、ステップS16に進む。
ステップS16において、制御部6は、媒体管理部613および遊技状態制御部616の機能として、遊技結果反映処理を行う。遊技結果反映処理では、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御と、メイン制御部61のRAMに遊技データとして記憶されている遊技履歴の更新と、が行われる。なお、遊技結果反映処理のうち、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御については、上述しているため説明を省略する。
ここで、遊技結果反映処理のうち、メイン制御部61のRAMに遊技データとして記憶されている遊技履歴の更新では、「狙え演出(真)が実行されていない」との遊技履歴から「狙え演出(真)が実行されている」との遊技履歴への変更、またはメイン制御部61のRAMに遊技データとして記憶されている遊技履歴の消去が行われる。具体的には、制御部6は、AT準備パートの現在のゲームで狙え演出(真)が行われたが、内部抽せんで当せんした特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役に入賞できなかった場合に、「狙え演出(真)が実行されていない」との遊技履歴から「狙え演出(真)が実行されている」との遊技履歴への変更を行う。そして、遊技履歴が「狙え演出(真)が実行されている」に更新されたことに基づいて、制御部6は、特定制御を開始し、次ゲーム以降のAT準備パートでの狙え演出(偽)の報知を停止する。
また、制御部6は、AT準備パートの現在のゲームで狙え演出(真)が行われ、かつ、内部抽せんで当せんした特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役に入賞できた場合に、メイン制御部61のRAMに遊技データとして記憶されている遊技履歴の消去(初期化)を行う。そして、制御部6は、図7に示すフローチャートの処理を終了する。なお、制御部6は、内部抽せんで当せんした特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役に入賞できた場合、図7に示すフローチャートの処理の終了後、第2遊技状態をAT準備パートからAT本番パートに移行させる。これにより、スロットマシン1では、次ゲームからAT本番パートが開始される。一方、制御部6は、内部抽せんで当せんした特定種類のAT本番パートへの移行に係る特定役に入賞できなかった場合、図7に示すフローチャートの処理の終了後、第2遊技状態をAT準備パートのまま維持させる。これにより、スロットマシン1では、次ゲームも継続してAT準備パートが行われ、図7に示すステップS10からステップS16までの処理が再度行われる。
<狙え演出の表示例>
図8を用いて、狙え演出の表示例を説明する。具体的には、図8(A)は、種類AのAT本番パートへの移行に係る特定役Aの入賞に係る図柄の組み合わせをリール窓200に停止表示させることを指示する狙え演出Aの表示例、図8(B)は、種類BのAT本番パートへの移行に係る特定役Bの入賞に係る図柄の組み合わせをリール窓200に停止表示させることを指示する狙え演出Bの表示例、図8(C)は、種類CのAT本番パートへの移行に係る特定役Cの入賞に係る図柄の組み合わせをリール窓200に停止表示させることを指示する狙え演出Cの表示例である。
図8(A)に示すように、狙え演出Aでは、特定役Aの入賞に係る図柄である「青7を狙え」との文字が液晶画面3に表示されている。
図8(B)に示すように、狙え演出Bでは、特定役Bの入賞に係る図柄である「赤7を狙え」との文字が液晶画面3に表示されている。
図8(C)に示すように、狙え演出Cでは、特定役Cの入賞に係る図柄である「バーを狙え」との文字が液晶画面3に表示されている。
一例として、種類Aを特定種類とすると、制御部6は、AT準備パートで狙え演出Aが行われるまでの間は、内部抽せんで所定の実行対象役に当せんすると狙え演出Bまたは狙え演出Cを行う。これに対し、制御部6は、狙え演出Aが行われたゲームで特定役Aが入賞しなかった場合、特定制御を開始し、当該AT準備パートで特定役Aが入賞するまでの間は狙え演出Bおよび狙え演出Cの報知を停止する。
以上をまとめると、スロットマシン1(遊技機)は、AT準備パート(第1状態)と、AT本番パート(第2状態)とが設けられ、AT本番パート(第2状態)は複数種類設けられ、複数種類の中から決定された特定種類のAT本番パート(第2状態)にAT準備パート(第1状態)から移行可能とされ、移行可能なAT本番パート(第2状態)が特定種類であることを遊技者が把握可能な場合、AT準備パート(第1状態)において、特定種類とは異なる種類のAT本番パート(第2状態)への移行を示唆する演出の出力頻度を低減させる特定制御を行う制御部6(制御部)を備えるものである。
<発明の効果>
上記の構成により、第1の実施形態のスロットマシン1によれば、遊技者の興趣性の低下を抑制した演出制御を行うことができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、制御部6は、AT準備パートで狙え演出(真)の実行後、特定種類のAT本番パートに対応する図柄の組み合わせがリール窓200に停止表示されなかったことに基づいて、特定制御を開始する。これにより、当該スロットマシン1によれば、特定制御の開始前まではAT準備パートで狙え演出(偽)および狙え演出(真)の双方を実行でき、AT準備パートにおける狙え演出の幅を広げることができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、制御部6は、特定制御として、狙え演出(偽)の出力頻度を低減、具体的には、狙え演出(偽)の報知を停止する。これにより、当該スロットマシン1によれば、特定制御が行われることで、狙え演出(真)の実行により遊技者が把握した特定種類とは異なる種類のAT本番パートへの移行が示唆されるといった演出の矛盾をなくすことができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、制御部6は、AT準備パートで特定種類のAT本番パートに対応する図柄の組み合わせがリール窓200に停止表示されたことに基づいて、メイン制御部61のRAMに遊技データとして記憶されている遊技履歴を消去する。これにより、当該スロットマシン1によれば、AT本番パートに移行することで遊技履歴が消去されるため、次に行われるAT準備パートにおいて、特定制御が開始される前までは狙え演出(偽)および狙え演出(真)の双方を実行することができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、制御部6は、AT本番パートへの移行が確定するごとに、移行が確定したAT本番パートの種類に応じた特定制御を行う。例えば、N回目に移行が確定したAT本番パートの種類が種類Aの場合、制御部6は、特定制御として、AT準備パートにおける狙え演出Bおよび狙え演出Cの報知を停止する。また、N+1回目に移行が確定したAT本番パートの種類が種類Bの場合、制御部6は、特定制御として、AT準備パートにおける狙え演出Aおよび狙え演出Cの報知を停止する。これにより、当該スロットマシン1によれば、それぞれのAT準備パートで移行が確定したAT本番パートの種類に応じた特定制御を行うことができる。とくに、同じAT状態の継続中にAT準備パートとAT本番パートとがループできる場合に、当該スロットマシン1の構成が好適である。これにより、当該スロットマシン1によれば、同じAT状態が継続していても様々な種類のAT状態が楽しめるため、遊技性を向上させることができる。
[第2の実施形態]
次に、本実施形態に係るスロットマシン1の第2の実施形態について、上記の実施形態との重複部分を省略または簡略しつつ説明する。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、AT本番パートとして、保障ゲーム数が100ゲームの種類A、保障ゲーム数が70ゲームの種類B、および保障ゲーム数が50ゲームの種類Cの3種類が設けられている。この場合、AT本番パートにおける有利度は、種類C→種類B→種類Aの順に高くなっている。
ここで、第2の実施形態では、制御部6は、特定制御において、特定種類よりも有利度が低い種類のAT本番パートへの移行を示唆する演出の出力頻度を低減させる。一例として、種類Bを特定種類とすると、制御部6は、特定制御において、種類Bよりも有利度が低い種類CのAT本番パートへの移行を示唆する演出、具体的には、狙え演出C(図8(C)参照)の報知を停止する。これにより、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、特定制御が行われることで、移行可能な種類よりも有利度が低い種類のAT本番パートへの移行が示唆されなくなるため、AT準備パートにおける遊技者の興趣性の低下を抑制することができる。
また、制御部6は、特定制御において、特定種類よりも有利度が高い種類については、特定種類よりも有利度が低い種類に比べて、AT本番パートへの移行を示唆する演出の出力頻度を低減させる度合いを小さくする。一例として、種類Bを特定種類とすると、制御部6は、AT準備パートにおける内部抽せんで狙え演出A(図8(A)参照)を狙え演出(偽)として実行するか否かの実行対象役に当せんした場合、狙え演出(偽)を報知するか否かの報知抽せんを行う。そして、報知抽せんに当せんした場合、制御部6は、狙え演出(偽)として、種類Bよりも有利度が高い種類AのAT本番パートへの移行を示唆する演出、具体的には、狙え演出Aを報知させる。一方、報知抽せんに当せんしなかった場合、制御部6は、特定制御を行い、現在のゲームにおける狙え演出Aの報知を中止する。これにより、第2の実施形態のスロットマシン1によれば、AT準備パートにおいて、移行可能な種類よりも有利度が高い種類のAT本番パートへの移行が示唆される可能性があるため、遊技者に対してAT本番パートの種類の昇格についての期待感を持たせることができる。
[第3の実施形態]
次に、本実施形態に係るスロットマシン1の第3の実施形態について、上記の実施形態との重複部分を省略または簡略しつつ説明する。
第3の実施形態におけるAT準備パートでは、移行可能なAT本番パートの種類を昇格させるか否かを示す昇格演出の報知が、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つを用いて行われる。当該昇格演出は、AT準備パートにおける内部抽せんで所定の実行対象役に当せんした場合に行われる実行抽せんに当せんしたときに行われる。
そして、昇格演出が行われる場合は、移行可能なAT本番パートの種類を昇格させるか否かの昇格抽せんが行われ、昇格抽せんに当せんすると移行可能なAT本番パートの種類が少なくとも1つ昇格されるとともに、昇格演出においてAT本番パートの種類が昇格した旨を示す演出が行われる。一方、昇格抽せんに当せんしなかった場合は、昇格演出において移行可能なAT本番パートの種類が昇格しなかった旨を示す演出が行われる。
たとえば、昇格演出では、第1特定役(例:特定役C)の入賞に係る図柄の組み合わせがリール窓200に停止表示する可能性を示唆する色の背景(例:黒背景)から、第2特定役(例:特定役B)の入賞に係る図柄の組み合わせがリール窓200に停止表示する可能性を示唆する色の背景(例:赤背景)に変化するか否かが液晶画面3に表示される。この場合に黒背景から赤背景に変化したときには、移行可能なAT本番パートの種類が種類Cから種類Bに昇格したことを遊技者が把握できる。一方、黒背景が維持された場合は、移行可能なAT本番パートの種類が種類Cであることを遊技者が把握できる。
このように、第3の実施形態におけるAT準備パートでは、上記の実施形態と異なり、AT本番パートへの移行を示唆する演出として、狙え演出に加えて昇格演出が行われる。そして、第3の実施形態では、制御部6は、特定制御において、特定種類とは異なる種類のAT本番パートに対応する図柄の組み合わせがリール窓200に停止表示する可能性を示唆する演出、具体的には、昇格演出の出力頻度を低減させる。一例として、種類Bを特定種類とすると、制御部6は、AT準備パートで狙え演出Bが行われるまでの間は、実行抽せんに当せんすると昇格演出を行う。これに対し、制御部6は、狙え演出Bが行われたゲームで特定役Bが入賞しなかった場合、特定制御を開始し、当該AT準備パートで特定役Bが入賞するまでの間は昇格演出の報知を停止する。具体的には、制御部6は、実行抽せんの実施を停止する。これにより、第3の実施形態のスロットマシン1によれば、AT準備パートにおいて、移行可能なAT本番パートの種類が遊技者に把握可能となるまでは昇格についての期待感を持たせつつ、当該AT本番パートの種類が遊技者に把握可能となったあとは遊技者の興趣性の低下を抑制した演出制御を行うことができる。
[他の実施形態]
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
前記実施形態では、RT状態の遷移の説明を省略した。AT機では、所定役が当せんしたが入賞していない状態の下でATでの遊技が行われるものであり、その状態の下では、RT状態が遷移しないためである。しかし、所定役が持ち越されていない状態の下では、RT状態は遷移することができることは、言うまでもない。
前記実施形態では、ベットスイッチ42が設けられている場合を例示したが、ベットスイッチ42はなくてもよい。
前記実施形態の通常状態には、CZが含まれてもよい。また、前記実施形態では、有利遊技状態として、ATやボーナスを例示したが、有利遊技状態には、ARTが含まれてもよい。CZとは、ATへの突入確率やリプレイ確率がCZでない場合よりも高い遊技状態である。ARTは、リプレイ確率が通常状態時よりも高く、かつ、押し順役の正解押し順を報知する遊技状態である。そして、設定値に応じて、AT、CZおよびARTの少なくとも1つへの突入確率が変化してもよい。設定値に応じて、AT、CZおよびARTの性能が変化してもよい。
前記実施形態では、AT準備パートを「第1状態」の一例とし、AT本番パートを「第2状態」の一例としたが、「第1状態」および「第2状態」の一例はこれに限定されない。たとえば、遊技区間が有利区間である場合の通常状態が一般状態およびCZから構成される場合、通常状態における一般状態を「第1状態」の一例とし、CZを「第2状態」の一例としてもよい。
前記実施形態では、制御部6を「制御部」の一例としたが、これに限らず、メイン制御部61を「制御部」の一例としてもよい。
前記実施形態では、AT準備パートの移行時には、移行可能となるAT本番パートの種類を遊技者が把握できないように構成されていたが、これに限らず、AT準備パートの移行前に、移行可能なAT本番パートの種類を遊技者が把握可能であってもよい。この場合は、たとえば、有利区間移行時または有利区間中における通常状態での所定条件成立時に、種類決定抽せんを行って移行可能となるAT本番パートの種類を決定してもよい。上記の所定条件成立時は、たとえば、レア役当せん時、および有利区間中における通常状態での当せん役またはゲーム数の消化に応じて獲得したポイントが所定数に到達したときなどが例示される。なお、ポイントが所定数に到達したタイミングで種類決定抽せんが行われてもよいし、所定数到達後の所定のタイミング到達で種類決定抽せんが行われてもよい。また、上記の場合は、1度のAT状態でAT準備パートとAT本番パートとがループすることに備えて、種類決定抽せんを複数回行い、複数回のAT本番パートにおける種類を決定してストックしておくことが望ましい。
上記の場合は、移行可能なAT本番パートの種類を遊技者が把握可能となる特定条件を設け、遊技区間が有利区間である場合の通常状態で当該特定条件を成立可能としてもよい。この場合、特定条件を、特定条件A、特定条件B、および特定条件Cなどのように複数設け、成立した特定条件に応じたAT本番パートの種類を遊技者に把握可能とすることが望ましい(例:特定条件Bの成立でAT本番パートの種類が種類Bであることが把握可能)。
そして、制御部6は、通常状態で特定条件が成立した場合に特定制御を開始して、特定制御として、遊技者に把握可能となった種類とは異なる種類のAT本番パートへの移行を示唆する演出(例:狙え演出、昇格演出)の出力頻度を低減する。なお、この場合は、前記実施形態と同様に、遊技者に把握可能となった種類よりも有利度が低い種類のAT本番パートへの移行を示唆する演出の報知は停止させるが、遊技者に把握可能となった種類よりも有利度が高い種類のAT本番パートへの移行を示唆する演出の報知は停止させてもさせなくてもよい。
また、制御部6が特定制御を開始するタイミングは限定されず、たとえば、AT本番パートで特定条件が成立した場合に特定制御を開始して、次のAT本番パートに移行するまで、遊技者に把握可能となった種類とは異なる種類のAT本番パートへの移行を示唆する演出の出力頻度を低減してもよい。
ここで、制御部6は、演出制御部630の機能として、特定条件を示す情報または特定条件の内容を示唆する情報を、上記の通常状態またはAT本番パートにおいて液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つを用いて報知してもよい。また、特定条件は、多様な遊技性を実現すべく、適宜変化してもよい。たとえば、有利区間ごとに特定条件が変化してもよい。つまり、1つの有利区間が継続している間は、特定条件は同じだが、次の有利区間になると特定条件が異なってもよい。また、特定条件は、設定値により変化してもよい。たとえば、設定値ごとに特定条件が異なっていてもよい。この場合、特定条件を示す情報または特定条件の内容を示唆する情報を報知することで、遊技者に対して設定示唆を行うことができる。
前記実施形態では、特定制御において、特定種類とは異なる種類のAT本番パートへの移行を示唆する演出の出力頻度を低減させることとして、当該演出の報知は停止した。しかし、これに限らず、当該演出の報知は停止せずに、特定制御の開始前に比べて少ない頻度で当該演出を報知してもよい。
前記実施形態において、媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示してもよい。具体的には、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることを告知してもよい。
前記実施形態において、1度のAT状態では、AT準備パートとAT本番パートとがループすることなく、1種類のAT本番パートのみが行われることとしてもよい。
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が上限の4000ゲームに至る前や、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に至るよりも前に、ATなどである有利遊技状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
設定示唆演出には、画像によるものの他、回転リール20の回転を停止した際に、リール窓200を介して視認できる図柄が特殊な図柄となることなどが、更に含まれてもよい。
前記実施形態では、遊技機がATタイプのスロットマシンである場合を例示した。しかし、遊技機は、ARTタイプのスロットマシンなど、AT機以外であっても実現できる。
前記実施形態では、物理媒体であるメダルの投入および払い出しを行うタイプのスロットマシン1を例示したが、メダルの投入および払い出しは行わずに、メダル数に対応する遊技価値の数をデータ上で管理するタイプのスロットマシン(メダルレス機)に適用してもよい。このようなメダルレス機では、所有中の遊技価値数が遊技者ごとに管理されており、ベットボタンが押されればその所有中のメダル数からベットされる。そのため、ホッパーユニット50を含まずともよい。なお、遊技者の所有する遊技価値は、スロットマシン上で管理されてもよいし、スロットマシンと電気的に接続された遊技価値貸出機上で管理されてもよい。なお、メダルレス機は、「スマートパチスロ」(登録商標)、「管理遊技機」、または「封入式遊技機」などと称されることがある。
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。さらに、本実施形態の複数の実施形態のうち、1つの実施形態単体でも実施可能である。なお、本実施形態に係るスロットマシン1は、特許請求の範囲において請求項1に記載した内容のみでも実施可能であり、請求項1と他請求項とを組み合わせた内容でも実施可能である。