JP2024036738A - 耐熱管状部材およびその製造方法ならびに高温処理機器ならびに耐熱基材 - Google Patents

耐熱管状部材およびその製造方法ならびに高温処理機器ならびに耐熱基材 Download PDF

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敏夫 成田
Toshio Narita
拓郎 成田
Takuro Narita
泰道 加藤
Taido Kato
真由美 荒
Mayumi Ara
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Abstract

【課題】高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用された場合に、優れた耐高温腐食性および機械的特性を得ることができる、熱電対保護管などの各種の耐熱管状部材およびその製造方法を提供する。【解決手段】耐熱管状部材は、第1の合金基材(20)、第2の合金基材(40)およびそれらの間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層(30)からなる耐熱基材により構成され、第1の合金基材(20)は両主面にそれぞれAl含有合金層(21、22)を有し、第2の合金基材(40)は両主面のうちの少なくとも中間層(30)側の主面にAl含有合金層(41、42)を有し、耐熱基材は第1の合金基材(20)が外側となる管状の形状を有する。【選択図】図4

Description

この発明は、耐熱管状部材およびその製造方法ならびに高温処理機器ならびに耐熱基材に関し、例えば、高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用される、熱電対保護管、ノズル、焼却炉、ボイラー、排ガス系部材、タービン、燃焼機器などに適用して好適なものである。
耐熱部材が曝される高温雰囲気は、酸素、窒素、水蒸気、硫黄化合物、塩素化合物などの酸化性・腐食性成分および未燃成分による還元・浸炭性雰囲気となる。これら腐食性・浸炭性の高温雰囲気に耐熱材料が曝されると雰囲気中の腐食成分によって高温腐食、内部腐食、浸炭などが発生し、材料が減肉して材料強度が低下する場合がある(非特許文献1参照)。
高温酸化や高温腐食は環境遮断特性に優れた保護皮膜によって耐熱材料の表面を被覆することによって、防止できる。保護皮膜には、Al2 3 、Cr2 3 、SiO2 などがあるが、代表的にはAl2 3 が用いられ、酸化雰囲気中で基材に含まれているAlが表層に拡散して酸素と反応して保護的Al2 3 皮膜を形成する方法や、カロライズ処理、アルミニウムめっき、溶融アルミニウム浸漬、CVD、溶射、電子ビーム蒸着などによって形成したAl含有合金皮膜のAlを酸化して保護的Al2 3 皮膜を形成する方法が採用されている。
耐熱セラミックス材料は耐熱合金材料よりも優れた強度と耐高温腐食性とを有することから、特に、高温の過酷な雰囲気で使用される熱電対保護管に使用される例が多い。しかし、耐熱セラミックス材料は脆弱であることから、亀裂と破損による破滅的(カタストロフィー) に機械的特性を喪失することが問題となっている。したがって、セラミックスと合金との二重管構造を採用することもある(特許文献1参照)。熱電対保護管としては、金属管を二重としその中間に溶融アルミニウムめっきを施して二層の金属を融着したものも知られている(特許文献2参照)。
Al含有耐熱合金基材の表面にAl含有合金皮膜を形成した場合は、高温雰囲気にさらされる際、基材および合金皮膜中のAlはAl2 3 皮膜を形成して基材を保護するが、基材表層のAl濃度は内部よりも低下し、いわゆるAl欠乏層を形成すること、Al含有合金皮膜ではAl欠乏層とともに、基材と皮膜との間の相互拡散によって、皮膜のAl濃度が低下した、いわゆる相互拡散層を形成する。
上述のAl欠乏層および相互拡散層の形成は、保護的Al2 3 を形成・維持する能力を低下させ、加熱・冷却による熱歪により、Al2 3 皮膜に亀裂が発生し、さらには剥離に至った場合、新たに保護的Al2 3 皮膜を再生する能力を喪失し、基材の加速的な高温酸化を招来して、機械的性質の低下をも招くことが問題となっている。すなわち、Al2 3 皮膜の形成・維持と剥離の際の再生能の改善が求められている。
保護的Al2 3 皮膜を形成・維持・ 再生する能力を確保するため、基材およびAl含有合金皮膜のAl濃度を高くすることが考えられる。しかし、基材のAl濃度が増加すると基材の機械的特性は脆弱となり、加工性と溶接性に劣ることから、Al濃度には限界がある。
Al含有合金皮膜のAlは基材側へ拡散すると基材の組織変化と強度低下をもたらす。さらに、皮膜中のAl濃度の増加は基材と皮膜の熱膨張係数差による熱応力を増大させ、皮膜に亀裂を誘引し、加速的酸化と皮膜の剥離も顕在化することから、Al含有合金皮膜のAl濃度にも限界がある。
Al含有合金皮膜のAl濃度の低下を抑制するために、本発明者らにより、Re-Cr-Ni系σ-相が連続・単相で構成される拡散バリアコーティングが提案されているが、この拡散バリアコーティングには、Ni基合金に対しては優れた特性を発揮するが、Fe基合金に対しては、高コストであることから採用しにくいという問題がある。拡散バリアコーティングの詳細については、特許文献3~9に記載されている。
一方、耐熱合金に含まれているFe、Cr、Niの耐高温腐食能は、雰囲気のガス種に依存して異なり、硫黄との反応に対してはCrとFeが耐食性を有するのに対して、塩素ガス腐食に対してはNiが優れた耐食性を有する。したがって、熱電対保護管、ノズル、ボイラー、焼却炉、タービンなどの高温燃焼炉で遭遇する、燃焼ガス雰囲気が場所的・時間的に変化する環境では、耐熱合金の機械的特性と耐高温腐食性とを両立させることが困難な場合がある。
実開昭63-187018号公報 特開2002-5749号公報 特許第3857689号明細書 特許第3857690号明細書 特許第3910588号明細書 特許第4753720号明細書 特許第5905336号明細書 特許第5905354号明細書 特許第5905355号明細書
中森正治監修「ボイラ燃焼ガスによる高温腐食事例とその対策」株式会社テクノシステム(2012年8月11日発行) 丸山公一編著・中島英治著 高温強度の材料科学 内田老鶴圃(2002年11月1日発行)
この発明が解決しようとする課題は、高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用された場合に、優れた耐高温腐食性および機械的特性を得ることができる、熱電対保護管などの各種の耐熱管状部材、この耐熱管状部材の製造方法、この耐熱管状部材を用いた高温処理機器および耐熱管状部材に用いて好適な耐熱基材を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は、
第1の合金基材、第2の合金基材および上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
上記第1の合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
上記第2の合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有し、
上記耐熱基材は上記第1の合金基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材である。
第1の合金基材および第2の合金基材はそれぞれ外層基材および内層基材となる。典型的には、第1の合金基材のAl含有合金層のAl濃度は第1の合金基材の内部に向かって減少し、第2の合金基材のAl含有合金層のAl濃度は第2の合金基材の内部に向かって減少する。これらのAl含有合金層のAl濃度は、例えば、15原子%以上55原子%以下、典型的には20原子%以上50原子%以下であるが、これに限定されるものではない。外層基材となる第1の合金基材の外表面のAl含有合金層により、高温腐食雰囲気において保護的Al2 3 皮膜が形成されるため、第1の合金基材および第2の合金基材が保護される。また、第1の合金基材の中間層側の主面に有するAl含有合金層から供給されるAlにより第1の合金基材の外側の主面、すなわち外表面側のAl濃度の低下が抑制され、したがってAl欠乏層の形成が抑制され、保護的Al2 3 皮膜の形成・維持・再生が可能となる。第2の合金基材は、中間層側の主面に加えて、中間層と反対側の主面、すなわち内表面にもAl含有合金層を有することがある。このように第2の合金基材の内表面にAl含有合金層を有することにより、耐熱管状部材を高温で使用する場合、耐熱管状部材の内部の酸素がこのAl含有合金層の酸化により消費されるため、耐熱管状部材の内部の酸素濃度を低く抑えることができる。このため、例えば、耐熱管状部材が一端封じの熱電対保護管である場合、この熱電対保護管の内部に挿入される熱電対素線(特に、K素線、N素線)の酸化損傷の軽減を図ることができる。この場合、熱電対保護管の内部の空気の出入りを抑制するために従来より行われている熱電対保護管内部への酸化物セラミックスの充填を行う必要がない。
第1の合金基材および第2の合金基材の材料は、特に制限はないが、例えば、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金、耐火金属(W、Ta、Mo、Nbなどの合金)などから選択され、これらの中でも望ましくはFe基合金であり、さらに望ましくはFe-Cr基合金、Fe-Cr-Ni基合金などである。少なくともAlを含有する多孔質の中間層は、典型的には、Alに加えて第1の合金基材および第2の合金基材が含有する一種以上の元素を含有する。この中間層の空隙率に特に制限はないが、典型的には20%以上90%以下であり、より典型的には40%以上70%以下である。この中間層は多孔質であることから、耐熱管状部材が高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境に置かれても、第1の合金基材と第2の合金基材との間に発生する応力を緩和することができ、耐熱基材の損傷や破壊を防止することができる。また、中間層の内部が耐熱管状部材の外部の空気と連結している場合は、いわゆるポンピング作用により、中間層に耐熱管状部材の外部の空気の出入りがある。このため、中間層の孔(あるいは空隙)に空気が含まれることから、耐熱管状部材が高温腐食雰囲気に置かれたとき、中間層が含有するAlがこの空気中の酸素により酸化される結果、この孔の内部に保護的Al2 3 が形成される。加えて、中間層に含まれる空気によって、第1の合金基材の中間層側の主面および第2の合金基材の中間層側の主面にも保護的Al2 3 皮膜が形成され、第2の合金基材の中間層と反対側の主面にもAl2 3 皮膜が形成されることがある。第1の合金基材の中間層側の主面、第2の合金基材の中間層側の主面および第2の合金基材の中間層と反対側の主面にそれぞれ形成される保護的Al2 3 皮膜は、酸化の進行により中間層内の酸素が消費されるために酸素濃度が低いことから、高温腐食雰囲気に直接晒される第1の合金基材の外側の主面(外表面)に形成される保護的Al2 3 皮膜に比べると薄い。これらの保護的Al2 3 皮膜は、第1の合金基材の外側の主面に形成される保護的Al2 3 皮膜とともに、第1の合金基材および第2の合金基材の保護に貢献する。
耐熱管状部材は、両端が開放されているものであっても、一端が開放され、他端が閉じられているものであってもよく、必要に応じて選択される。耐熱管状部材の横断面形状は特に制限はなく、例えば、円管状、楕円管状、角管状、これらを変形した形状のいずれであってもよい。また、耐熱管状部材は中心軸方向に同一の横断面形状を有しても、中心軸方向に異なる横断面形状を有してもよく、必要に応じて選択される。すなわち、耐熱管状部材は直管状であってもよいし、段付き管状であってもよい。耐熱管状部材は、基本的にはどのようなものであってもよいが、例えば、熱電対保護管、ノズル、焼却炉、ボイラー、排ガス系部材などである。
また、この発明は、
セラミックス基材、合金基材および上記セラミックス基材と上記合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
上記合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有し、
上記耐熱基材は上記セラミックス基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材である。
セラミックス基材は、例えば、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、炭化物系セラミックスなどからなるものである。酸化物系セラミックスとしては例えばアルミナ(Al2 3 )系セラミックスおよびジルコニア(ZrO2 )系セラミックス、窒化物系セラミックスとしては例えば窒化ケイ素(Si3 4 )系セラミックス、炭化物系セラミックスとしては例えば炭化ケイ素(SiC)系セラミックスが望ましい。セラミックス基材の厚さは、耐熱管状部材の用途、機能などに応じて選ばれるが、一般的には0.05mm以上5mm以下である。合金基材については先に述べた発明における第1の合金基材および第2の合金基材と同様である。Al含有合金層についても先に述べた発明と同様である。中間層については基本的には先に述べた発明と同様であるが、中間層とセラミックス基材との接合部における剥がれなどに対する耐性の向上を図る観点からは、好適には、中間層にAlに加えてTiを含有させる。
また、この発明は、
合金基材、セラミックス基材および上記合金基材と上記セラミックス基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
上記合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
上記耐熱基材は上記合金基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材である。
合金基材、セラミックス基材、中間層およびAl含有合金層については、セラミックス基材を用いる先に述べた発明と同様である。
また、この発明は、
両主面にそれぞれAl含有合金層を有する合金基材からなる管状の形状を有する耐熱基材により構成された耐熱管状部材である。
合金基材およびAl含有合金層については先に述べた発明と同様である。
また、この発明は、
管状の形状を有する第1の合金基材の内部に管状の形状を有する第2の合金基材を隙間を空けて挿入する工程と、
上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間の隙間に少なくともAlを含有する粉末を含むスラリーを挿入する工程と、
上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間の隙間に上記スラリーを挿入した後、上記第1の合金基材および上記第2の合金基材をAl拡散処理することにより、上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間に少なくともAlを含有する多孔質の中間層を形成するとともに、上記第1の合金基材の両主面にそれぞれAl含有合金層を形成し、上記第2の合金基材の両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を形成する工程と、
を有する耐熱管状部材の製造方法である。
また、この発明は、
管状の形状を有するセラミックス基材の内部に管状の形状を有する合金基材を隙間を空けて挿入する工程と、
上記セラミックス基材と上記合金基材との間の隙間に少なくともAlを含有する粉末を含むスラリーを挿入する工程と、
上記セラミックス基材と上記合金基材との間の隙間に上記スラリーを挿入した後、上記セラミックス基材および上記合金基材をAl拡散処理することにより、上記セラミックス基材と上記合金基材との間に少なくともAlを含有する多孔質の中間層を形成するとともに、上記合金基材の両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を形成する工程と、
を有する耐熱管状部材の製造方法である。
また、この発明は、
管状の形状を有する合金基材の内部に管状の形状を有するセラミックス基材を隙間を空けて挿入する工程と、
上記合金基材と上記セラミックス基材との間の隙間に少なくともAlを含有する粉末を含むスラリーを挿入する工程と、
上記合金基材と上記セラミックス基材との間の隙間に上記スラリーを挿入した後、上記合金基材および上記セラミックス基材をAl拡散処理することにより、上記合金基材と上記セラミックス基材との間に少なくともAlを含有する多孔質の中間層を形成するとともに、上記合金基材の両主面にそれぞれAl含有合金層を形成する工程と、
を有する耐熱管状部材の製造方法である。
以上の耐熱管状部材の製造方法の発明において、Al拡散処理は、Alパック剤を用いたAlパック処理であってよいし、単に不活性ガス雰囲気中で加熱を行うだけでもよい。これらの耐熱管状部材の製造方法の発明においては、その性質に反しない限り、先に述べた耐熱管状部材の発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
管状の形状を有する合金基材の両主面にそれぞれAl含有合金層を形成する工程を有する耐熱管状部材の製造方法である。
この耐熱管状部材の製造方法の発明において、Al含有合金層の形成は、Alパック処理などのAl拡散処理、めっき、溶射、電子ビーム蒸着などを用いて行うことができる。この耐熱管状部材の製造方法の発明においては、その性質に反しない限り、先に述べた耐熱管状部材の発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
第1の合金基材、第2の合金基材および上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
上記第1の合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
上記第2の合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有し、
上記耐熱基材は上記第1の合金基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材
を有する高温処理機器である。
また、この発明は、
セラミックス基材、合金基材および上記セラミックス基材と上記合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
上記合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有し、
上記耐熱基材は上記セラミックス基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材
を有する高温処理機器である。
また、この発明は、
合金基材、セラミックス基材および上記合金基材と上記セラミックス基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
上記合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
上記耐熱基材は上記合金基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材
を有する高温処理機器である。
また、この発明は、
両主面にそれぞれAl含有合金層を有する合金基材からなる管状の形状を有する耐熱基材により構成された耐熱管状部材
を有する高温処理機器である。
高温処理機器は、何らかの形で高温で対象物を処理するものであれば、特に限定されない。ここで、処理は、最も広義に解し、排ガスを処理すること、燃料や被処理物などを燃焼させること、焼却炉や熱処理炉内の温度や溶融金属の温度を測定することなど、あらゆるものが含まれる。また、機器には、機械、器械、器具などのあらゆるものが含まれる。高温処理機器は、具体的には、例えば、保護管に収納された熱電対、焼却炉、ボイラー、排ガス系部材、タービン、燃焼機器などであるが、これに限定されるものではない。
また、この発明は、
第1の合金基材、第2の合金基材および上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなり、
上記第1の合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
上記第2の合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有する耐熱基材である。
また、この発明は、
セラミックス基材、合金基材および上記セラミックス基材と上記合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなり、
上記合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有する耐熱基材である。
また、この発明は、
合金基材、セラミックス基材および上記合金基材と上記セラミックス基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなり、
上記合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有する耐熱基材である。
また、この発明は、
両主面にそれぞれAl含有合金層を有する合金基材からなる耐熱基材である。
これらの耐熱基材の発明においては、その性質に反しない限り、先に述べた耐熱管状部材の発明に関連して説明したことが成立する。
この発明によれば、第1の合金基材、中間層および第2の合金基材からなる耐熱基材あるいはセラミックス基材、中間層および合金基材からなる耐熱基材あるいは合金基材、中間層およびセラミックス基材からなる耐熱基材を用いた耐熱管状部材においては、外層基材である第1の合金基材、セラミックス基材および合金基材により、Al含有合金層により形成される保護的Al2 3 皮膜あるいはセラミックスが持つ優れた耐腐食性および耐熱性により、優れた耐高温腐食性を得ることができ、内層基材である第2の合金基材、合金基材およびセラミックス基材により優れた機械的特性を得ることができ、多孔質の中間層により、外層基材と内層基材との間で発生する応力の緩和を図ることができ、高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用されても耐熱基材の損傷や破壊を防止することができる。また、両主面にそれぞれAl含有合金層を有する合金基材からなる耐熱基材を用いた耐熱管状部材においては、Al含有合金層により形成される保護的Al2 3 皮膜により、高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用されても継続的に優れた耐高温腐食性を得ることができる。このような優れた耐熱管状部材を用いて各種の高性能の高温処理機器を実現することができる。
この発明の第1の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第1の実施の形態による耐熱管状部材を高温に短時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第1の実施の形態による耐熱管状部材を高温に長時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第2の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第2の実施の形態による耐熱管状部材を高温に短時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第2の実施の形態による耐熱管状部材を高温に長時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第3の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第3の実施の形態による耐熱管状部材を高温に短時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第3の実施の形態による耐熱管状部材を高温に長時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第4の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第4の実施の形態による耐熱管状部材を高温に短時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第4の実施の形態による耐熱管状部材を高温に長時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第5の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第5の実施の形態による耐熱管状部材を高温に短時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第5の実施の形態による耐熱管状部材を高温に長時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第6の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第6の実施の形態による耐熱管状部材を高温に短時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第6の実施の形態による耐熱管状部材を高温に長時間加熱した後の様子を示す断面図である。 この発明の第7の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第8の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第8の実施の形態による耐熱管状部材にランスを挿入した使用例を示す断面図である。 この発明の第8の実施の形態による耐熱管状部材に熱電対保護管を挿入した使用例を示す断面図である。 この発明の第9の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 この発明の第10の実施の形態による耐熱管状部材を示す断面図である。 実施例1の試料の内層基材および中間層の断面構造を示す図面代用写真である。 図24Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例1の試料の外層基材および中間層の断面構造を示す図面代用写真である。 図25Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例1の試料のサイクル酸化試験後の内層基材および中間層の断面構造を示す図面代用写真である。 図26Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例1の試料のサイクル酸化試験後の外層基材および中間層の断面構造を示す図面代用写真である。 図27Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2の試料の内層基材および中間層の断面構造を示す図面代用写真である。 図28Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2の試料の内層基材、中間層および外層基材の断面構造を示す図面代用写真である。 図29Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2の試料の外層基材および中間層の断面構造を示す図面代用写真である。 図30Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例2の試料のサイクル酸化試験後の内層基材、中間層および外層基材の断面構造を示す図面代用写真である。 図31Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例3の試料の内層基材、中間層および外層基材の断面構造を示す図面代用写真である。 図32Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例3の試料のサイクル酸化試験後の内層基材、中間層および外層基材の断面構造を示す図面代用写真である。 図33Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例4の試料の内層基材および中間層の断面構造を示す図面代用写真である。 図34Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例4の試料の内層基材、中間層および外層基材の断面構造を示す図面代用写真である。 図35Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例4の試料の外層基材および中間層の断面構造を示す図面代用写真である。 図36Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例5の試料の断面構造を示す図面代用写真である。 図37Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例5の試料のサイクル酸化試験後の断面構造を示す図面代用写真である。 図38Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例6の試料の断面構造を示す図面代用写真である。 図39Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例6の試料のサイクル酸化試験後の断面構造を示す図面代用写真である。 図40Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例7の試料の断面構造を示す図面代用写真である。 図41Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例7の試料のサイクル酸化試験後の断面構造を示す図面代用写真である。 図42Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 図42Aに示す断面の一部を拡大して示す図面代用写真である。 図42Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。 実施例8の試料の断面構造を示す図面代用写真である。 図44Aに示す断面における各元素の濃度分布の測定結果を示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」と言う。)について説明する。
〈第1の実施の形態〉
[耐熱管状部材]
図1は第1の実施の形態による耐熱管状部材を示し、特に管壁の一部を示す。図1に示すように、この耐熱管状部材は、合金基材10の両主面にAl含有合金層11、12を有する管状の形状を有する耐熱基材により構成されている。合金基材10は、例えば既に挙げたものの中から必要に応じて選択される。図1に、Al含有合金層11、12のAl濃度分布の一例を一点鎖線で模式的に示す。図1に示すように、Al含有合金層11、12のAl濃度は合金基材10の内部に向かって(厚さ方向に)単調に減少している。Al含有合金層11、12のAl濃度は典型的には15原子%以上55原子%以下、より典型的には20原子%以上50原子%以下である。Al含有合金層11、12の厚さは必要に応じて選択されるが、例えば200μm以上400μm以下である。合金基材10の厚さは耐熱管状部材の用途や機能などに応じて適宜選択される。
[耐熱管状部材の製造方法]
この耐熱管状部材は次のようにして製造することができる。すなわち、まず、所望の管状の形状を有する合金基材10を用意する。次に、例えば、Alパック処理などのAl拡散処理、めっき処理、溶射、電子ビーム蒸着などを行うことによりこの合金基材10の両主面、すなわち耐熱管状部材の外表面および内表面にAl含有合金層11、12を形成する。こうして図1に示す耐熱管状部材を製造することができる。
[耐熱管状部材の高温腐食挙動]
図1に示す耐熱管状部材を大気中において高温で短時間加熱した後の様子を図2に示す。図2に示すように、合金基材10の両主面のAl含有合金層11、12は高温加熱によりAlが合金基材10の内部に拡散する結果、表面濃度が減少するとともにAl濃度分布が内部に広がり、Al含有合金層11のAl濃度分布とAl含有合金層12のAl濃度分布12との裾野同士が重なる。加熱初期には合金基材10の両主面にAl欠乏層が形成される。合金基材10の両主面のAl含有合金層11、12にAlの酸化により保護的酸化物であるAl2 3 皮膜13が形成される。このAl2 3 皮膜13により合金基材10が保護される。
図1に示す耐熱管状部材を大気中において高温で長時間加熱した後の様子を図3に示す。図3に示すように、合金基材10の両主面のAl含有合金層11、12は長時間の高温加熱によりAlが合金基材10の内部に深く拡散する結果、表面濃度が大幅に減少するとともにAl濃度分布が合金基材10の内部により広がり、Al含有合金層11のAl濃度分布とAl含有合金層12のAl濃度分布とが一体となってほぼ均一のAl濃度分布となる。加熱初期に合金基材10の両主面に形成されたAl欠乏層は消失する。また、合金基材10のAl含有合金層11、12に形成されるAl2 3 皮膜13はより厚くなる。このAl2 3 皮膜13により合金基材10が保護されるだけでなく、合金基材10中のAl濃度分布が均一であるため、継続的に合金基材10の内部からAlが供給されるため、Al欠乏層の形成が抑制され、合金基材10の両主面に継続的にAl2 3 皮膜13が形成される。
以上のように、この第1の実施の形態によれば、合金基材10の両主面にAl含有合金層11、12を有する管状の形状を有する耐熱基材により耐熱管状部材が構成されていることにより、高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用されても継続的に優れた耐高温腐食性および機械的特性が得られる耐熱管状部材を実現することができる。
〈第2の実施の形態〉
[耐熱管状基材]
図4は第2の実施の形態による耐熱管状基材を示し、特に管壁の一部を示す。図4に示すように、この耐熱管状部材は、外層基材20、中間層30および内層基材40からなる管状の形状を有する耐熱基材により構成されている。外層基材20および内層基材40はそれぞれ合金基材からなる。合金基材は、例えば既に挙げたものの中から必要に応じて選択される。外層基材20を構成する合金基材および内層基材40を構成する合金基材は互いに同一であっても互いに異なっていてもよく、必要に応じて選択される。外層基材20の中間層30と反対側の主面および中間層30側の主面にはそれぞれAl含有合金層21、22が設けられている。内層基材40の中間層30側の主面および中間層30と反対側の主面にはそれぞれAl含有合金層41、42が設けられている。図4に、Al含有合金層21、22、41、42のAl濃度分布の一例を示す。図4より、Al含有合金層21、22のAl濃度は外層基材20の内部に向かって単調に減少し、同様に、Al含有合金層41、42のAl濃度は内層基材40の内部に向かって単調に減少している。Al含有合金層21、22、41、42のAl濃度および厚さは第1の実施の形態におけるAl含有合金層11、12と同様である。中間層30は多孔質であり、ランダムに分布する多数の孔(空隙)31を含む。中間層30は、少なくともAlを含有し、典型的にはさらに、外層基材20を構成する合金基材および内層基材40を構成する合金基材が含有する一種類以上の元素を含有する。外層基材20および内層基材40の厚さは耐熱管状部材の用途や機能などに応じて適宜選択される。
[耐熱管状部材の製造方法]
この耐熱管状部材は次のようにして製造することができる。すなわち、まず、所望の管状の形状を有する合金基材からなる外層基材20および内層基材40を用意する。次に、これらの外層基材20および内層基材40を互いに隙間を空けて保持し、この隙間に少なくともAlを含有する粉末をスラリー法などにより塗布し、あるいはセラミックス繊維の空隙に粉末を担持させたものを挿入したりする。次に、Alパック処理などのAl拡散処理を行うことにより外層基材20の両主面にAl含有合金層21、22を形成し、内層基材40の両主面にAl含有合金層41、42を形成するとともに、外層基材20と内層基材40との間の隙間に中間層30を形成する。こうして耐熱管状部材を製造することができる。Alパック処理は、例えば、Al含有合金粉末と塩化アンモニウム(NH4 Cl)粉末とアルミナ(Al2 3 )粉末との混合粉末中に外層基材20および内層基材40を埋没させ、不活性ガス雰囲気中において700℃以上1100℃以下の温度で10分以上20時間加熱することにより行う。Al含有合金粉末としては、例えば、FeAl、Fe+FeAl、NiAl、Ni+NiAlなどの粉末を用いることができる。
[耐熱管状部材の高温腐食挙動]
図4に示す耐熱管状部材を大気中において高温で短時間加熱した後の様子を図5に示す。図5に示すように、外層基材20の両主面のAl含有合金層21、22は高温加熱によりAlが外層基材20の内部に拡散する結果、表面濃度が減少するとともにAl濃度分布が内部深くに広がり、Al含有合金層21のAl濃度分布とAl含有合金層22のAl濃度分布との裾野同士が重なる。加熱初期には外層基材20の外側の主面にAl欠乏層が形成される。外層基材20の外側の主面のAl含有合金層21にAl2 3 皮膜23が形成されるとともに、中間層30側の主面のAl含有合金層22に同様に薄いAl2 3 皮膜23が形成される。内層基材40の両主面のAl含有合金層41、42は高温加熱によりAlが合金基材10の内部に深く拡散する結果、表面濃度が減少するとともにAl濃度分布が内部深くに広がり、Al含有合金層41のAl濃度分布とAl含有合金層42のAl濃度分布との裾野同士が重なる。内層基材40のAl含有合金層41、42に同様に薄いAl2 3 皮膜43が形成される。中間層30の孔31にはAl2 3 32が形成される。
図4に示す耐熱管状部材を大気中において高温で長時間加熱した後の様子を図6に示す。図6に示すように、外層基材20の両主面のAl含有合金層21、22は長時間の高温加熱によりAlが外層基材20の内部に深く拡散する結果、表面濃度が大幅に減少するとともにAl濃度分布が内部深くにより広がり、Al含有合金層21のAl濃度分布とAl含有合金層22のAl濃度分布とが一体となってほぼ均一のAl濃度分布となる。加熱初期に外層基材20の外側の主面に形成されたAl欠乏層は消失する。外層基材20の外側の主面のAl含有合金層21の表面に形成されるAl2 3 皮膜23はより厚くなる。このAl2 3 皮膜23により外層基材20が保護されるだけでなく、外層基材20中のAl濃度分布が均一であるため、継続的に外層基材20の内部からAlが供給されるため、外層基材20の両主面に継続的にAl2 3 皮膜23が形成される。同様に、内層基材40の両主面のAl含有合金層41、42は長時間の高温加熱によりAlが内層基材40の内部に深く拡散する結果、表面濃度が大幅に減少するとともにAl濃度分布が内層基材40の内部深くにより広がり、Al含有合金層41のAl濃度分布とAl含有合金層42のAl濃度分布とが一体となってほぼ均一のAl濃度分布となる。内層基材40のAl含有合金層41、42に形成されるAl2 3 皮膜43により内層基材40が保護されるだけでなく、内層基材40中のAl濃度分布が均一であるため、継続的に内層基材40の内部からAlが供給されるため、内層基材40の両主面に継続的にAl2 3 皮膜43が形成される。
この第2の実施の形態によれば、両主面にAl含有合金層21、22を有する合金基材からなる外層基材20、少なくともAlを含有する多孔質の中間層30および両主面にAl含有合金層41、42を有する合金基材からなる内層基材40からなる管状の形状を有する耐熱基材により耐熱管状部材が構成されていることにより、高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用されても継続的に優れた耐高温腐食性および機械的特性が得られる耐熱管状部材を実現することができる。
〈第3の実施の形態〉
[耐熱管状部材]
図7は第3の実施の形態による耐熱管状部材を示す。図7に示すように、この耐熱管状部材は、内層基材40において中間層30側の主面にのみAl含有合金層41が設けられており、中間層30と反対側の主面にはAl含有合金層42が設けられていないことが第2の実施の形態と異なり、その他のことは第2の実施の形態と同様である。
[耐熱管状部材の製造方法]
この耐熱管状部材は次のようにして製造することができる。すなわち、まず、所望の管状の形状を有する合金基材からなる外層基材20および内層基材40を用意する。次に、これらの外層基材20および内層基材40を互いに隙間を空けて保持し、この隙間に少なくともAlを含有する粉末をスラリー法などにより塗布し、あるいはセラミックス繊維の空隙に粉末を担持させたものを挿入したりする。次に、Alパック処理などのAl拡散処理を行うことにより外層基材20の両主面にAl含有合金層21、22を形成し、内層基材40の一方の主面にAl含有合金層41を形成するとともに、外層基材20と内層基材40との間の隙間に中間層30を形成する。こうして耐熱管状部材を製造することができる。
[耐熱管状部材の高温腐食挙動]
この耐熱管状部材の高温腐食挙動は、基本的に第2の実施の形態による耐熱管状部材と同様である。
すなわち、図7に示す耐熱管状部材を大気中において高温で短時間加熱した後の様子を図8に示す。図8に示すように、外層基材20の両主面のAl含有合金層21、22のAl濃度分布は高温加熱により裾野同士が互いに重なる。内層基材40の中間層30側の主面のAl含有合金層41のAl濃度分布は内部深くに広がる。外層基材20のAl含有合金層21、22にAl2 3 皮膜23が形成されるとともに、内層基材40のAl含有合金層41に同様にAl2 3 皮膜43が形成される。中間層30の孔31にはAl2 3 32が形成される。
図7に示す耐熱管状部材を大気中において高温で長時間加熱した後の様子を図9に示す。図9に示すように、外層基材20の両主面のAl含有合金層21、2 2のAl濃度分布は高温加熱により一体となってほぼ均一のAl濃度分布となる。内層基材40の中間層30側の主面のAl含有合金層41のAl濃度分布は内部深くにより広がり、ほぼ均一のAl濃度分布となる。外層基材20のAl含有合金層21に形成されるAl2 3 皮膜23はより厚くなる。
この第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第4の実施の形態〉
[耐熱管状部材]
図10は第4の実施の形態による耐熱管状部材を示し、特に管壁の一部を示す。図10に示すように、この耐熱管状部材は、外層基材50、中間層60および内層基材70からなる管状の形状を有する耐熱基材により構成されている。外層基材50はセラミックス基材からなり、内層基材70は合金基材からなる。内層基材70の中間層60側の主面および中間層50と反対側の主面にはそれぞれAl含有合金層71、72が設けられている。図10に、Al含有合金層71、72のAl濃度分布を示す。図10より、Al含有合金層71、72のAl濃度は内層基材70の内部に向かって単調に減少している。Al含有合金層71、72のAl濃度および厚さは第1の実施の形態におけるAl含有合金層11、12と同様である。中間層60は多孔質であり、多数の孔61を含む。中間層60は、少なくともAlを含有し、典型的にはさらに、内層基材70を構成する合金基材が含有する一種類以上の元素を含有する。中間層60と外層基材50を構成するセラミックス基材との間の接合の剥がれに対する耐性の向上を図るためには、好適には、中間層60にAlに加えてTiを含有させる。外層基材50および内層基材70の厚さは耐熱管状部材の用途や機能などに応じて適宜選択される。
[耐熱管状部材の製造方法]
この耐熱管状部材は次のようにして製造することができる。すなわち、まず、所望の管状の形状を有するセラミックス基材からなる外層基材50および合金基材からなる内層基材70を用意する。次に、これらの外層基材50および内層基材70を互いに隙間を空けて保持し、この隙間に少なくともAlを含有する粉末をスラリー法などにより塗布し、あるいはセラミックス繊維の空隙に粉末を担持させたものを挿入したりする。次に、Alパック処理などのAl拡散処理を行うことにより内層基材70の両主面にAl含有合金層71、72を形成するとともに、外層基材50と内層基材70との間の隙間に中間層60を形成する。こうして耐熱管状部材を製造することができる。
[耐熱管状部材の高温腐食挙動]
図10に示す耐熱管状部材を大気中において高温で短時間加熱した後の耐熱基材を図11に示す。図11に示すように、合金基材からなる内層基材70の両主面のAl含有合金層71、72は高温加熱によりAlが合金基材の内部に拡散する結果、表面濃度が減少するとともにAl濃度分布が内部に広がり、Al含有合金層71のAl濃度分布とAl含有合金層72のAl濃度分布との裾野同士が重なる。内層基材70の両主面のAl含有合金層71、72にAl2 3 皮膜73が形成される。中間層60の孔61にはAl2 3 62が形成される。仮にセラミックス基材からなる外層基材50に亀裂などが形成された場合、中間層60が含有するAlにより形成されるAl2 3 62と、内層基材70の中間層50側の主面のAl含有合金層71に形成されるAl2 3 皮膜73とにより、耐酸化性を維持することができる。さらに、内層基材70の中間層50側の主面のAl含有合金層71のAlが消耗した場合には、内層基材70の中間層50と反対側の主面(内表面)のAl含有合金層72のAlが内層基材70の中間層50側の主面に供給されてAl2 3 皮膜73を形成することにより、耐酸化性を維持することができる。
図10に示す耐熱管状部材を大気中において高温で長時間加熱した後の耐熱基材を図12に示す。図12に示すように、内層基材70の両主面のAl含有合金層71、72は長時間の高温加熱によりAlが内層基材70の内部に深く拡散する結果、表面濃度が大幅に減少するとともにAl濃度分布が内層基材70の内部深くにより広がり、Al含有合金層71のAl濃度分布とAl含有合金層72のAl濃度分布とが一体となってほぼ均一のAl濃度分布となる。
この第4の実施の形態によれば、耐腐食性および耐熱性に優れたセラミックス基材からなる外層基材50、少なくともAlを含有する多孔質の中間層60および両主面にAl含有合金層71、72を有する合金基材からなる内層基材70からなる管状の形状を有する耐熱基材により耐熱管状部材が構成されていることにより、高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用されても継続的に優れた耐高温腐食性および機械的特性が得られる耐熱管状部材を実現することができる。この耐熱管状部材は、特に、超高温または過酷な高温腐食環境で使用される耐熱管状部材に用いて好適なものである。
〈第5の実施の形態〉
[耐熱基材]
図13は第5の実施の形態による耐熱管状部材を示し、特に管壁の一部を示す。図13に示すように、この耐熱管状部材は、内層基材70において中間層60側の主面にのみAl含有合金層71が設けられており、中間層60と反対側の主面にはAl含有合金層72が設けられていないことが第4の実施の形態と異なり、その他のことは第4の実施の形態と同様である。
[耐熱管状部材の製造方法]
この耐熱管状部材は次のようにして製造することができる。すなわち、まず、所望の管状の形状を有するセラミックス基材からなる外層基材50および合金基材からなる内層基材70を用意する。次に、これらの外層基材50および内層基材70を互いに隙間を空けて保持し、この隙間に少なくともAlを含有する粉末をスラリー法などにより塗布し、あるいはセラミックス繊維の空隙に粉末を担持させたものを挿入したりする。次に、Alパック処理などのAl拡散処理を行うことにより内層基材70の両主面にAl含有合金層71、72を形成するとともに、外層基材50と内層基材70との間の隙間に中間層60を形成する。こうして耐熱管状部材を製造することができる。
[耐熱管状部材の高温腐食挙動]
図13に示す耐熱管状部材を大気中において高温で短時間加熱した後の耐熱基材を図14に示す。図14に示すように、内層基材70の中間層60側の主面のAl含有合金層71は高温加熱によりAlが内層基材70の内部に拡散する結果、表面濃度が減少するとともにAl濃度分布が内部深くに広がる。内層基材70の中間層60側の主面のAl含有合金層71にAl2 3 73が形成される。中間層60の孔にはAl2 3 62が形成される。
図13に示す耐熱管状部材を大気中において高温で長時間加熱した後の耐熱基材を図15に示す。図15に示すように、内層基材70の中間層60側の主面のAl含有合金層71は長時間の高温加熱によりAlが内層基材70の内部に深く拡散する結果、表面濃度が大幅に減少するとともにAl濃度分布が内層基材70の内部深くにより広がり、ほぼ均一のAl濃度分布となる。内層基材70のAl含有合金層71にAl2 3 皮膜73が形成される。こうして内層基材70の中間層60側の主面にAl2 3 皮膜73が形成されることにより内層基材70が保護されるだけでなく、内層基材70中のAl濃度分布が均一であるため、継続的に内層基材70の内部からAlが供給されるため、内層基材70の中間層60側の主面に継続的にAl2 3 皮膜73が形成される。
この第5の実施の形態によれば、第4の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第6の実施の形態〉
[耐熱基材]
図16は第6の実施の形態による耐熱管状部材を示し、特に管壁の一部を示す。図16に示すように、この耐熱管状部材は、外層基材80、中間層90および内層基材100からなる。外層基材80は合金基材からなり、内層基材100はセラミックス基材からなる。外層基材80の中間層90と反対側の主面および中間層90側の主面にはそれぞれAl含有合金層81、82が設けられている。図16に、Al含有合金層81、82のAl濃度分布を示す。図16に示すように、Al含有合金層81、82のAl濃度は外層基材80の内部に向かって単調に減少している。Al含有合金層81、82のAl濃度および厚さは第1の実施の形態におけるAl含有合金層11、12と同様である。中間層90は第4の実施の形態における中間層30と同様である。中間層90は孔91を含む。外層基材80および内層基材100の厚さは耐熱管状部材の用途や機能などに応じて適宜選択される。
[耐熱管状部材の製造方法]
この耐熱管状部材は次のようにして製造することができる。すなわち、まず、所望の管状の形状を有する合金基材からなる外層基材80およびセラミックス基材からなる内層基材100を用意する。次に、これらの外層基材80および内層基材100を互いに隙間を空けて保持し、この隙間に少なくともAlを含有する粉末をスラリー法などにより塗布し、あるいはセラミックス繊維の空隙に粉末を担持させたものを挿入したりする。次に、Alパック処理などのAl拡散処理を行うことにより外層基材80の両主面にAl含有合金層81、82を形成するとともに、外層基材80と内層基材100との間の隙間に中間層90を形成する。こうして耐熱管状部材を製造することができる。
[耐熱管状部材の高温腐食挙動]
図16に示す耐熱管状部材を大気中において高温で短時間加熱した後の耐熱基材を図17に示す。図17に示すように、外層基材80の両主面のAl含有合金層81、82は高温加熱によりAlが外層基材80の内部に拡散する結果、表面濃度が減少するとともにAl濃度分布が内部に広がり、Al含有合金層81のAl濃度分布とAl含有合金層82のAl濃度分布との裾野同士が重なる。加熱初期には外層基材80の外側の主面にAl欠乏層が形成される。外層基材80の両主面のAl含有合金層81、82にAl2 3 皮膜83が形成される。中間層90の孔91にはAl2 3 92が形成される。
図16に示す耐熱管状部材を大気中において高温で長時間加熱した後の耐熱基材を図18に示す。図18に示すように、外層基材80の両主面のAl含有合金層81、82は長時間の高温加熱によりAlが外層基材80の内部に深く拡散する結果、表面濃度が大幅に減少するとともにAl濃度分布が外層基材80の内部深くにより広がり、Al含有合金層81のAl濃度分布とAl含有合金層82のAl濃度分布とが一体となってほぼ均一のAl濃度分布となる。加熱初期に外層基材80の外側の主面に形成されたAl欠乏層は消失する。外層基材80のAl含有合金層81に形成されるAl2 3 皮膜83はより厚くなる。Al2 3 皮膜83により外層基材80が保護されるだけでなく、外層基材80中のAl濃度分布が均一であるため、継続的に外層基材80の内部からAlが供給されるため、外層基材80の外側の主面に継続的に厚いAl2 3 皮膜83が形成される。
この第6の実施の形態によれば、両主面にAl含有合金層51、52を有する合金基材からなる外層基材50、少なくともAlを含有する多孔質の中間層60およびセラミックス基材からなる内層基材70からなる管状の形状を有する耐熱基材により耐熱管状部材が構成されていることにより、高温腐食雰囲気において加熱・冷却が繰り返される環境において使用されても継続的に優れた耐高温腐食性および機械的特性が得られる耐熱管状部材を実現することができる。
〈第7の実施の形態〉
[耐熱管状部材]
図19は第7の実施の形態による耐熱管状部材200を示す。図19に示すように、この耐熱管状部材200は、第1の実施の形態から第6の実施の形態のいずれかの実施の形態による耐熱管状部材と同様な耐熱基材210により構成された段付き管である。この耐熱管状部材200は両端が開放されている。この耐熱管状部材200は、例えばノズルとして使用される。
この第7の実施の形態によれば、第1の実施の形態から第6の実施の形態のいずれかの実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第8の実施の形態〉
[耐熱管状部材]
図20は第8の実施の形態による耐熱管状部材300を示す。図20に示すように、この耐熱管状部材300は、第1の実施の形態から第6の実施の形態のいずれかの実施の形態による耐熱管状部材と同様な耐熱基材310により構成された一端(下端)封じ管である。この耐熱管状部材300の他端(上端)は開放されている。
図21Aはこの耐熱管状部材300の使用例を示す。図21Aに示すように、この例では、耐熱管状部材300の開放された他端からランス(細管)400を差し込み、このランス400の他端から供給される水やガスその他の流体を一端から耐熱管状部材300の内部に矢印で示すように供給し、内部冷却、熱交換、ガス反応などを行う。
図21Bはこの耐熱管状部材300の別の使用例を示す。図21Bに示すように、この例では、耐熱管状部材300の開放された他端から一端封じ熱電対保護管500を挿入する。熱電対保護管500の他端には蓋510が取り付けられており、この蓋510を通して熱電対素線520が取り付けられている。耐熱管状部材300は焼却炉などの燃焼炉の壁に設けられた貫通孔に通され、炉内部の燃焼ガス雰囲気に晒される。そして、燃焼炉の内部の温度が熱電対素線520により測定される。耐熱管状部材300の開放された他端は炉外にあることが望ましい。
この第8の実施の形態によれば、例えば図21Aおよび図21Bに示すような用途において第1の実施の形態から第6の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第9の実施の形態〉
[耐熱管状部材]
図22は第9の実施の形態による耐熱管状部材を示す。図22に示すように、この耐熱管状部材は、外層基材600、中間層700および内層基材800からなる耐熱基材により構成されているが、内層基材800の開放端(上端)は外層基材600の開放端(上端)よりもより外側(上側)にあることに加えて、中間層700は外層基材600と内層基材800との間の全部に設けられているのではなく外層基材600の開放端側の一部には設けられていない。外層基材600、中間層700および内層基材800は、第2の実施の形態から第6の実施の形態のいずれかの実施の形態による耐熱管状部材の耐熱基材と同様である。焼却炉、ボイラーなどの使用環境では、外層基材600の一端封じ側は燃焼ガス雰囲気に暴露されるが、外層基材600の開放された他端は炉外にあることが望ましい。外層基材600の開放端が炉外にあると、中間層700の内部および内層基材800の内部の雰囲気は炉外の雰囲気に連結しており、空気などの出入りが行われる。
この第9の実施の形態によれば、第2の実施の形態から第6の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
〈第10の実施の形態〉
[耐熱管状部材]
図23は第10の実施の形態による耐熱管状部材を示す。図23に示すように、この耐熱管状部材は、外層基材600、中間層700および内層基材800からなる耐熱基材により構成されていることは第9の実施の形態と同様であるが、外層基材600の両端(上端および下端)が開放していることが第9の実施の形態と異なる。
この第10の実施の形態によれば、第2の実施の形態から第6の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1は第3の実施の形態に対応するものである。
外層基材20としてFe-21Cr基材(組成は質量%。以下同様。)、内層基材40としてFe-25Cr-20Ni基材を用いた。これらの基材を隙間を空けて対向させ、この隙間に中間層形成用の材料としてAl粉末とFeAl粉末とを含むスラリーを挿入した後、これらの基材をFeAl粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末(10質量%FeAl粉末+1質量%NH4 Cl粉末+89質量%Al2 3 粉末)中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1050℃で1時間加熱し、Alパック処理を行った。
こうしてAlパック処理を行った基材の一部を切断し、その断面組織観察と各元素の濃度分布の測定とをSEM-EDX装置(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散分光装置)で行った。図24Aおよび図24Bにそれぞれ、内層基材40としてのFe-25Cr-20Ni基材の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図24Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。また、図25Aおよび図25Bにそれぞれ、外層基材20としてのFe-21Cr基材の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図25Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図24A、図24B、図25Aおよび図25Bより、内層基材40としてのFe-25Cr-20Ni基材の一方の主面に52.6原子%AlのAl含有合金層が観察され、外層基材20としてのFe-21Cr基材の外表面に50.3原子%AlのAl含有合金層が観察され、反対側の面に50.4原子%AlのAl含有合金層が観察され、両基材の間にはAl、Fe、Cr、Niなどを含有する多孔質の中間層が観察される。
こうして作製された試料に対して、大気中において、1200℃で60分間の保持、室温で15分保持のサイクル酸化を10サイクル行った。図26Aおよび図26Bにそれぞれ、サイクル酸化後の内層基材40としてのFe-25Cr-20Ni基材の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図26Aに示す写真の分析線LG6に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。また、図27Aおよび図27Bにそれぞれ、外層基材20としてのFe-21Cr基材の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図27Aに示す写真の分析線LG5に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図27Aおよび図27Bより、外層基材20としてのFe-21Cr基材の両主面に形成されたAl含有合金層のAl濃度分布同士が合体し、平滑化したAl濃度分布となっていることが観察される。Fe-21Cr基材の外表面のAl含有合金層は12.2原子%Al、反対側の面のAl含有合金層は22.0原子%Alである。
(実施例2)
実施例2は第3の実施の形態に対応するものである。
外層基材20としてFe-18Cr-8Ni基材、内層基材40としてFe-27Cr基材を用いた。これらの基材を隙間を空けて対向させ、この隙間に中間層形成用の材料としてAl粉末とFeAl粉末とを含むスラリーを挿入した後、これらの基材をFeAl粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末(10質量%FeAl粉末+1質量%NH4 Cl粉末+89質量%Al2 3 粉末)中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1050℃で4時間加熱し、Alパック処理を行った。
こうしてAlパック処理を行った基材の一部を切断し、その断面組織観察と各元素の濃度分布の測定とをSEM-EDX装置で行った。図28Aおよび図28Bにそれぞれ、内層基材40としてのFe-27Cr基材の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図28Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。また、図29Aおよび図29Bにそれぞれ、外層基材20としてのFe-18Cr-8Ni基材と内層基材40としてのFe-27Cr基材との間の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図29Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。また、図30Aおよび図30Bにそれぞれ、外層基材20としてのFe-18Cr-8Ni基材の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図30Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図28A、図28B、図29A、図29B、図30Aおよび図30Bより、内層基材40としてのFe-27Cr基材の一方の主面に29.7原子%AlのAl含有合金層が観察され、外層基材20としてのFe-18Cr-8Ni基材の外表面に54.3原子%AlのAl含有合金層が観察され、反対側の面に33.5原子%AlのAl含有合金層が観察され、両基材の間にはAl(14.8~44.5原子%)、Fe(12.6~43.4原子%)、Cr(10.5~32.4原子%)、Ni(0.0~7.6原子%)などを含有する多孔質の中間層が観察される。
こうして作製された試料に対して、大気中において、1200℃で60分間の保持、室温で15分保持のサイクル酸化を14サイクル行った。図31Aおよび図31Bにそれぞれ、サイクル酸化後の内層基材40としてのFe-27Cr基材、中間層および外層基材20としてのFe-18Cr-8Ni基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図31Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図31Aおよび図31Bより、外層基材20としてのFe-18Cr-8Ni基材の両主面に形成されたAl含有合金層のAl濃度分布同士が合体し、平滑化したAl濃度分布となっていることが観察される。Fe-18Cr-8Ni基材の外表面のAl含有合金層は18.0原子%Al、中間層側の主面のAl含有合金層は11.1原子%Al、Fe-27Cr基材の中間層側の主面のAl含有合金層は12.6原子%Alである。
(実施例3)
実施例3は第3の実施の形態に対応するものである。
外層基材20としてFe-21Cr基材、内層基材40としてFe-25Cr-20Ni基材を用いた。これらの基材を隙間を空けて対向させ、この隙間に中間層形成用の材料としてAl粉末とFeAl粉末とを含むスラリーを挿入した後、これらの基材をFeAl粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末(10質量%FeAl粉末+1質量%NH4 Cl粉末+89質量%Al2 3 粉末)中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で8時間加熱し、Alパック処理を行った。
こうしてAlパック処理を行った基材の一部を切断し、その断面組織観察と各元素の濃度分布の測定とをSEM-EDX装置で行った。図32Aおよび図32Bにそれぞれ、内層基材40としてのFe-25Cr-20Ni基材、中間層および外層基材20としてのFe-21Cr基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図32Aに示す写真の分析線に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図32Aおよび図32Bより、内層基材40としてのFe-25Cr-20Ni基材の一方の主面に49原子%AlのAl含有合金層が観察され、外層基材20としてのFe-21Cr基材の外表面に34.5原子%AlのAl含有合金層が観察され、反対側の面に40.7原子%AlのAl含有合金層が観察され、両基材の間にはAl(6.9~28.6原子%)、Fe(23.0~78.3原子%)、Cr(4.2~18.7原子%)、Ni(0.0~2.3原子%)などを含有する多孔質の中間層が観察される。
こうして作製された試料に対して、大気中において、1100℃で60分間の保持、室温で15分保持のサイクル酸化を67サイクル行った。図33Aおよび図33Bにそれぞれ、サイクル酸化後の内層基材40としてのFe-25Cr-20Ni基材、中間層および外層基材20としてのFe-21Cr基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図33Aに示す写真の分析線に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図33Aおよび図33Bより、外層基材20としてのFe-21Cr基材の両主面に形成されたAl含有合金層のAl濃度分布同士が合体し、平滑化したAl濃度分布となっていることが観察される。合体後のAl含有合金層のAl濃度は32.5原子%である。
(実施例4)
実施例4は第3の実施の形態に対応するものである。
外層基材20としてFe-21Cr基材、内層基材40としてFe-27Cr基材を用いた。これらの基材を隙間を空けて対向させ、この隙間に中間層形成用の材料としてAl粉末とFeAl粉末とを含むスラリーを挿入した後、これらの基材をFeAl粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末(10質量%FeAl粉末+1質量%NH4 Cl粉末+89質量%Al2 3 粉末)中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1050℃で4時間加熱し、Alパック処理を行った。
こうしてAlパック処理を行った基材の一部を切断し、その断面組織観察と各元素の濃度分布の測定とをSEM-EDX装置で行った。図34Aおよび図33Bにそれぞれ、内層基材40としてのFe-27Cr基材の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図34Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。また、図35Aおよび図35Bにそれぞれ、外層基材20としてのFe-21Cr基材と内層基材40としてのFe-27Cr基材との間の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図35Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。また、図36Aおよび図36Bにそれぞれ、外層基材20としてのFe-21Cr基材の部分の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図36Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図34A、図34B、図35A、図35B、図36Aおよび図36Bより、内層基材40としてのFe-27Cr基材の一方の主面に29.3原子%AlのAl含有合金層が観察され、外層基材20としてのFe-21Cr基材の外表面に54.3原子%AlのAl含有合金層が観察され、反対側の面に33.5原子%AlのAl含有合金層が観察され、両基材の間にはAl(14.8~44.5原子%)、Fe(12.6~43.3原子%)、Cr(10.5~25.3原子%)、Si(0.0~8.2原子%)などを含有する多孔質の中間層が観察される。
(実施例5)
実施例5は第1の実施の形態に対応するものである。
合金基材としてFe-18Cr-8Ni基材を用いた。このFe-18Cr-8Ni基材をFeAl粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末(10質量%FeAl粉末+1質量%NH4 Cl粉末+89質量%Al2 3 粉末)中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1050℃で8時間加熱し、Alパック処理を行った。
こうしてAlパック処理を行った基材の一部を切断し、その断面組織観察と各元素の濃度分布の測定とをSEM-EDX装置で行った。図37Aおよび図37Bにそれぞれ、Fe-18Cr-8Ni基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図37Aに示す写真の分析線LG6に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図37Aおよび図37Bより、Fe-18Cr-8Ni基材の両主面にそれぞれAl含有合金層が観察される。Fe-18Cr-8Ni基材の外表面のAl含有合金層は42.9原子%Al、反対側の面のAl含有合金層は33.7原子%Alである。
こうして作製された試料に対して、大気中において、1200℃で60分間の保持、室温で15分保持のサイクル酸化を10サイクル行った。図38Aおよび図38Bにそれぞれ、Fe-18Cr-8Ni基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図38Aに示す写真の分析線LG5に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図38Aおよび図38Bより、Fe-18Cr-8Ni基材の両主面に形成されたAl含有合金層のAl濃度分布同士が合体し、平滑化したAl濃度分布となっていることが観察される。Fe-18Cr-8Ni基材の外表面のAl含有合金層は10.3原子%Al、反対側の面のAl含有合金層は9.7原子%Alである。
(実施例6)
実施例6は第1の実施の形態に対応するものである。
合金基材としてFe-21Cr基材を用いた。このFe-21Cr基材をFeAl粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末(10質量%FeAl粉末+1質量%NH4 Cl粉末+89質量%Al2 3 粉末)中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1050℃で8時間加熱し、Alパック処理を行った。
こうしてAlパック処理を行った基材の一部を切断し、その断面組織観察と各元素の濃度分布の測定とをSEM-EDX装置で行った。図39Aおよび図39Bにそれぞれ、Fe-21Cr基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図39Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図39Aおよび図39Bより、Fe-21Cr基材の両主面にそれぞれAl含有合金層が観察される。Fe-21Cr基材の外表面のAl含有合金層は25.9原子%Al、反対側の面のAl含有合金層は26.7原子%Alである。
こうして作製された試料に対して、大気中において、1200℃で60分間の保持、室温で15分保持のサイクル酸化を10サイクル行った。図40Aおよび図40Bにそれぞれ、Fe-21Cr基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図40Aに示す写真の分析線LG4に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図40Aおよび図40Bより、Fe-21Cr基材の両主面に形成されたAl含有合金層のAl濃度分布同士が合体し、平滑化したAl濃度分布となっていることが観察される。Fe-21Cr基材の外表面のAl含有合金層は11.8原子%Al、反対側の面のAl含有合金層は11.6原子%Alである。
(実施例7)
実施例7は第1の実施の形態に対応するものである。
合金基材としてFe-21Cr基材を用いた。このFe-21Cr基材をFe粉末とFeAl粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末(5質量%Fe粉末+5質量%FeAl粉末+1質量%NH4 Cl粉末+89質量%Al2 3 粉末)中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で8時間加熱し、Alパック処理を行った。
こうしてAlパック処理を行った基材の一部を切断し、その断面組織観察と各元素の濃度分布の測定とをSEM-EDX装置で行った。図41Aおよび図41Bにそれぞれ、Fe-21Cr基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図41Aに示す写真の分析線LG3に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図41Aおよび図41Bより、Fe-21Cr基材の両主面にそれぞれAl含有合金層が観察される。Fe-21Cr基材の外表面のAl含有合金層は28.6原子%Al、反対側の面のAl含有合金層は20.5原子%Alである。
こうして作製された試料に対して、大気中において、1200℃で60分間の保持、室温で15分保持のサイクル酸化を120サイクル行った。図42Aおよび図42Bにそれぞれ、Fe-21Cr基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図42Aに示す写真の分析線LG1に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図43Aおよび図43Bはそれぞれ、図42Aに示す断面組織の一部を拡大した断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図43Aに示す写真の分析線LG2に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図42A、図42B、図43Aおよび図43Bより、Fe-21Cr基材の両主面に形成されたAl含有合金層のAl濃度分布同士が合体し、平滑化したAl濃度分布となっていることが観察される。Fe-21Cr基材の外表面のAl含有合金層は12.1原子%Al、反対側の面のAl含有合金層は12原子%Alである。
(実施例8)
実施例8は第1の実施の形態に対応するものである。
合金基材としてFe-21Cr基材を用いた。このFe-21Cr基材をFe粉末とFeAl粉末とNH4 Cl粉末とAl2 3 粉末との混合粉末(5質量%Fe粉末+5質量%FeAl粉末+1質量%NH4 Cl粉末+89質量%Al2 3 粉末)中に埋没させ、Ar+3vol%H2 雰囲気中において1100℃で8時間加熱し、Alパック処理を行った。
こうしてAlパック処理を行った基材の一部を切断し、その断面組織観察と各元素の濃度分布の測定とをSEM-EDX装置で行った。図44Aおよび図44Bにそれぞれ、Fe-21Cr基材の断面SEM写真およびEDXを用いて測定した各元素の濃度分布(図44Aに示す写真の分析線に沿っての濃度分布)の測定結果を示す。図44Aおよび図44Bより、Fe-21Cr基材の両主面にそれぞれAl含有合金層が観察される。Fe-21Cr基材の外表面のAl含有合金層は20.9原子%Al、反対側の面のAl含有合金層は19.1原子%Alである。
こうして作製された試料に対して、大気中において、1200℃で60分間の保持、室温で15分保持のサイクル酸化を行ったところ、120サイクル行った後に初めてFe-21Cr基材まで酸化された。
なお、第4の実施の形態および第6の実施の形態に対応する実施例の検証も行ったが、外層基材または内層基材を構成するセラミックス基材には何ら変化がなく、合金基材に起きる変化も実施例1~4と同様であった。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
10…合金基材、11、12…Al含有合金層、13…Al2 3 皮膜、20…外層基材、21、22…Al含有合金層、23…Al2 3 皮膜、30…中間層、31…孔、32…Al2 3 、40…内層基材、41、42…Al含有合金層、43…Al2 3 皮膜、50…外層基材、60…中間層、61…孔、62…Al2 3 、70…内層基材、71、72…Al含有合金層、73…Al2 3 皮膜、80…外層基材、81、82…Al含有合金層、83…Al2 3 皮膜、90…中間層、91…孔、92…Al2 3 、100…内層基材、200、300…耐熱管状部材、400…ランス、500…保護管、510…蓋、520…熱電対素線

Claims (24)

  1. 第1の合金基材、第2の合金基材および上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
    上記第1の合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
    上記第2の合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有し、
    上記耐熱基材は上記第1の合金基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材。
  2. 上記第1の合金基材の上記Al含有合金層のAl濃度は上記第1の合金基材の内部に向かって減少し、上記第2の合金基材の上記Al含有合金層のAl濃度は上記第2の合金基材の内部に向かって減少する請求項1記載の耐熱管状部材。
  3. 上記Al含有合金層のAl濃度は15原子%以上55原子%以下である請求項2記載の耐熱管状部材。
  4. セラミックス基材、合金基材および上記セラミックス基材と上記合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
    上記合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有し、
    上記耐熱基材は上記セラミックス基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材。
  5. 上記合金基材の上記Al含有合金層のAl濃度は上記合金基材の内部に向かって減少する請求項4記載の耐熱管状部材。
  6. 上記Al含有合金層のAl濃度は15原子%以上55原子%以下である請求項5記載の耐熱管状部材。
  7. 合金基材、セラミックス基材および上記合金基材と上記セラミックス基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
    上記合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
    上記耐熱基材は上記合金基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材。
  8. 上記合金基材の上記Al含有合金層のAl濃度は上記合金基材の内部に向かって減少する請求項7記載の耐熱管状部材。
  9. 上記Al含有合金層のAl濃度は15原子%以上55原子%以下である請求項8記載の耐熱管状部材。
  10. 両主面にそれぞれAl含有合金層を有する合金基材からなる管状の形状を有する耐熱基材により構成された耐熱管状部材。
  11. 上記Al含有合金層のAl濃度は上記合金基材の内部に向かって減少する請求項10記載の耐熱管状部材。
  12. 上記Al含有合金層のAl濃度は15原子%以上55原子%以下である請求項11記載の耐熱管状部材。
  13. 管状の形状を有する第1の合金基材の内部に管状の形状を有する第2の合金基材を隙間を空けて挿入する工程と、
    上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間の隙間に少なくともAlを含有する粉末を含むスラリーを挿入する工程と、
    上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間の隙間に上記スラリーを挿入した後、上記第1の合金基材および上記第2の合金基材をAl拡散処理することにより、上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間に少なくともAlを含有する多孔質の中間層を形成するとともに、上記第1の合金基材の両主面にそれぞれAl含有合金層を形成し、上記第2の合金基材の両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を形成する工程と、
    を有する耐熱管状部材の製造方法。
  14. 管状の形状を有するセラミックス基材の内部に管状の形状を有する合金基材を隙間を空けて挿入する工程と、
    上記セラミックス基材と上記合金基材との間の隙間に少なくともAlを含有する粉末を含むスラリーを挿入する工程と、
    上記セラミックス基材と上記合金基材との間の隙間に上記スラリーを挿入した後、上記セラミックス基材および上記合金基材をAl拡散処理することにより、上記セラミックス基材と上記合金基材との間に少なくともAlを含有する多孔質の中間層を形成するとともに、上記合金基材の両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を形成する工程と、
    を有する耐熱管状部材の製造方法。
  15. 管状の形状を有する合金基材の内部に管状の形状を有するセラミックス基材を隙間を空けて挿入する工程と、
    上記合金基材と上記セラミックス基材との間の隙間に少なくともAlを含有する粉末を含むスラリーを挿入する工程と、
    上記合金基材と上記セラミックス基材との間の隙間に上記スラリーを挿入した後、上記合金基材および上記セラミックス基材をAl拡散処理することにより、上記合金基材と上記セラミックス基材との間に少なくともAlを含有する多孔質の中間層を形成するとともに、上記合金基材の両主面にそれぞれAl含有合金層を形成する工程と、
    を有する耐熱管状部材の製造方法。
  16. 管状の形状を有する合金基材の両主面にそれぞれAl含有合金層を形成する工程を有する耐熱管状部材の製造方法。
  17. 第1の合金基材、第2の合金基材および上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
    上記第1の合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
    上記第2の合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有し、
    上記耐熱基材は上記第1の合金基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材
    を有する高温処理機器。
  18. セラミックス基材、合金基材および上記セラミックス基材と上記合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
    上記合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有し、
    上記耐熱基材は上記セラミックス基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材
    を有する高温処理機器。
  19. 合金基材、セラミックス基材および上記合金基材と上記セラミックス基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなる耐熱基材により構成され、
    上記合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
    上記耐熱基材は上記合金基材が外側となる管状の形状を有する耐熱管状部材
    を有する高温処理機器。
  20. 両主面にそれぞれAl含有合金層を有する合金基材からなる管状の形状を有する耐熱基材により構成された耐熱管状部材
    を有する高温処理機器。
  21. 第1の合金基材、第2の合金基材および上記第1の合金基材と上記第2の合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなり、
    上記第1の合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有し、
    上記第2の合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有する耐熱基材。
  22. セラミックス基材、合金基材および上記セラミックス基材と上記合金基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなり、
    上記合金基材は両主面のうちの少なくとも上記中間層側の主面にAl含有合金層を有する耐熱基材。
  23. 合金基材、セラミックス基材および上記合金基材と上記セラミックス基材との間に設けられた、少なくともAlを含有する多孔質の中間層からなり、
    上記合金基材は両主面にそれぞれAl含有合金層を有する耐熱基材。
  24. 両主面にそれぞれAl含有合金層を有する合金基材からなる耐熱基材。
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