JP2024035628A - 熱伝導性シリコーン組成物 - Google Patents

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Kunihiro Yamada
謙一 辻
Kenichi Tsuji
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Abstract

【課題】組成物の加熱硬化中に、組成物中の気泡発生を抑制し、放熱性に優れ、高信頼性の熱伝導性シリコーン組成物を提供する。【解決手段】(A)下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)(A-1)シリコーンゲル架橋物、(A-2)脂肪族不飽和結合及びSiH基をそれぞれ含有しないシリコーンオイル、(A-3)熱伝導性充填剤を含む組成物、(B)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、(C)ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(D)白金系触媒、及び(E)付加反応制御剤を含有する、硬化性で、25℃における粘度が50~1,500Pa・sである熱伝導性シリコーン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化時の気泡発生が少ない熱伝導性シリコーン組成物に関する。
プリント基板上に実装されるCPU等の電子部品は使用時の発熱による温度上昇によって性能が低下したり、破損したりすることがあるため、従来、電子部品と放熱フィン等の間に熱伝導性の良い放熱シートや、放熱グリースが用いられてきた。放熱シートは手軽に取り付けることができる利点があるが、CPU、放熱フィン等の表面は一見平滑に見えてもミクロ的に観れば凸凹があるので、実際はそれらの被着面に放熱シートを確実に密着させることはできず、空気層が残存する結果、放熱効果が期待通りに発揮されない不都合があった。
それを解決するために、放熱シートの表面に粘着層等を設けて密着性を向上させたものも提案されているが、十分な結果が得られていない。放熱グリースはCPUや放熱フィン等の表面の凹凸に影響されることなく、それら被着面に良好に追随し密着性をもたらす。しかしながら、他の部品を汚したり、長時間使用するとオイルの流出したり等の問題が起こりがちである。そのため、液状シリコーンゴム組成物をポッティング剤や接着剤として用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。
ところで、一般的に、CPU等の電子部品は、シリコンチップとオルガニック基板の間をエポキシ樹脂系のアンダーフィル剤等で封止するが、シリコンチップ及びオルガニック基板、アンダーフィル剤はそれぞれ熱膨張率が異なる。そのため、温度変化により各部品、部材の熱膨張率の違いからシリコンチップ及び基板が反ってしまう。時には、シリコンチップの中央部に対して周辺部では数十ミクロン程度も反ってしまうこともある。しかしながら、シリコンチップ上に配置されるヒートスプレッダー又はヒートシンクは、構造体が大きく、高強度であるため反ることはない。したがって、シリコンチップとヒートスプレッダー又はヒートシンクとの間に挟まれる放熱材料は、シリコンチップの反りに追随できないと、剥離してしまう結果、熱抵抗が上昇し、所望する放熱性能が得られなくなる。そのため、使用される放熱材料にはシリコンチップの反りに追随できる柔軟性が必要となる。しかしながら、特許文献1に記載の組成物は、硬化後の硬化物が非常に硬いことから、CPU動作時に起こるシリコンチップの反りに追随出来ずに基材等から剥がれてしまことがある。すると、所望する放熱性能が得られないため、経時で熱抵抗が上昇する等の問題点が生じていた。
このような問題点を解決するため、硬化後の弾性率を低く抑えたものも提案されているが(特許文献2参照)、弾性率を低く抑えると、組成物の加熱硬化中に、組成物中に気泡が発生しやすくなり、特にCPUの面積が大きくなるとそれが顕在化してしまう。気泡が発生すると所望する放熱性能が得られない等の問題が生じていた。
特開平8-208993号公報 特許第5047505号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、組成物の加熱硬化中に、組成物中の気泡発生が抑制され、放熱性に優れ、高信頼性の熱伝導性シリコーン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、熱伝導性シリコーン組成物中に、予め調製されたシリコーンゲル架橋物を含む組成物を配合することで、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明は下記熱伝導性シリコーン組成物を提供する。
1.(A)下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)
(A-1)シリコーンゲル架橋物、
(A-2)脂肪族不飽和結合及びSiH基をそれぞれ含有しないシリコーンオイル、
(A-3)熱伝導性充填剤
を含み、25℃における粘度が100~2,000Pa・sの組成物:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:0.01~50質量部、
(C)ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(B)成分中のアルケニル基1個に対して、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1~10個となる量、
(D)白金系触媒:有効量、及び
(E)付加反応制御剤:有効量
を含有し、硬化性で25℃における粘度が50~1,500Pa・sである熱伝導性シリコーン組成物。
2.(A)成分が、
(A-1)シリコーンゲル架橋物:0.01~10質量%、
(A-2)下記一般式(1)
Figure 2024035628000001
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、R2は、炭素数1~18の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基の群の中から選択される1種もしくは2種以上の基、aは5~120の整数である。)
で表される片末端加水分解性オルガノポリシロキサン:1.0~20質量%
(A-3)平均粒径0.1~150μmの熱伝導性充填剤:70~98.99質量%を含む、1記載の熱伝導性シリコーン組成物。
3.(A-1)成分が、
(A-1-1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(A-1-2)ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A-1-1)成分中のアルケニル基1個に対して、(A-1-2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1~20個となる量
との付加反応物である1又は2記載の熱伝導性シリコーン組成物。
4.(A-1-1)成分が、下記平均組成式(2)
3 b4 cSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R3は、アルケニル基を表し、R4は、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、bは0.0001~0.2の数であり、cは1.7~2.2の数であり、但しb+cは1.9~2.4を満たす数である。)
で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンである3記載の熱伝導性シリコーン組成物。
5.(A-2)成分中、25℃における動粘度が10~500,000mm2/sである無官能性液状シリコーンオイルを、5~70質量%含有する、1~4のいずれかに記載の熱伝導性シリコーン組成物。
本発明によれば、組成物の加熱硬化中に、組成物中の気泡発生を抑制し、放熱性に優れ、高信頼性の熱伝導性シリコーン組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の伝導性シリコーン組成物は、
(A)下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)
(A-1)シリコーンゲル架橋物、
(A-2)脂肪族不飽和結合及びSiH基をそれぞれ含有しないシリコーンオイル、
(A-3)熱伝導性充填剤
を含み、25℃における粘度が100~2,000Pa・sの組成物:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:0.01~50質量部、
(C)ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(B)成分中のアルケニル基1個に対して、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1~10.0個となる量、
(D)白金系触媒:有効量、及び
(E)付加反応制御剤:有効量
を含有し、硬化性で25℃における粘度が50~1,500Pa・sである、グリース状伝導性シリコーン組成物です。
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、下記(A)下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)
(A-1)シリコーンゲル架橋物、
(A-2)脂肪族不飽和結合及びSiH基をそれぞれ含有しないシリコーンオイル、
(A-3)熱伝導性充填剤
を含み、25℃における粘度が100~2,000Pa・sの組成物であり、様々な(A-1)~(A-3)成分の組み合わせを用いることができる。
(A-1)
シリコーンゲル架橋物は、本発明の熱伝導性シリコーン組成物のマトリックスとして使用される。(A-1)成分は1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(A-1)成分としては、例えば、(A-1-1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(A-1-2)ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A-1-1)成分中のアルケニル基1個に対して、(A-1-2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の個数が0.1~20個となる量
との付加反応物が挙げられる。
(A-1-1)
(A-1-1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(A-1-1)成分としては、下記平均組成式(2)
3 b4 cSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R3は、アルケニル基を表し、R4は、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、bは0.0001~0.2の数であり、cは1.7~2.2の数であり、但しb+cは1.9~2.4を満たす数である。)
で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。
3はアルケニル基であり、炭素数が2~6のアルケニル基が好ましく、炭素数2~4のアルケニル基がより好ましい。その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基等の低級アルケニル基が挙げられ、ビニル基が好ましい。R4は、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、炭素数が1~10のものが好ましく、炭素数1~6のものがより好ましい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換されたクロロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられるが、合成の容易さ等の観点から、メチル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましい。
bは0.0001~0.2の数であり、0.0005~0.1が好ましい。cは1.7~2.2の数であり、1.9~2.0の数が好ましく、b+cは、1.9~2.4を満たす数であり、1.95~2.05を満たす数であることが好ましい。
(A-1-1)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、直鎖状;分子鎖の一部にR3SiO3/2単位、R4SiO3/2単位、SiO2単位(式中、R3及びR4で表される基は、上記で定義した通りである。)等を含む分岐状;環状;三次元網状(樹脂状)等のいずれでもよいが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。
(A-1-1)成分のオルガノポリシロキサンの動粘度は、25℃において10~100,000mm2/sが好ましく、100~50,000mm2/sがより好ましい。上記のような動粘度の範囲にすることで、得られる硬化物は、流動性、作業性により優れたものとなる。なお、動粘度は、オストワルド粘度計による25℃における値である(以下、同様)。
以上の要件を満たす本成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(3)
Figure 2024035628000002
(式中、R5は、それぞれ独立に、非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、但しR5の1個以上は、アルケニル基であり、dは20~2,000の整数である。)
で表されるものが挙げられる。
5は、上記R3(アルケニル基)及びR4(脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基)で定義したものと同じであり、その炭素数、具体例等も同じである。好ましくは、R5の2個以上がアルケニル基であることが好ましい。dは20~2,000の整数であり、40~1,200が好ましく、50~600の整数がより好ましい。
上記式(3)で表されるオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖片末端トリメチルシロキシ基・片末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖片末端トリメチルシロキシ基・片末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体等が挙げられる。
(A-1-2)
(A-1-2)ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(A-1-2)成分は、上記(A-1-1)成分と反応して、架橋剤として作用するものである。(A-1-2)成分は、分子鎖非末端にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基であり)を、1分子中に2個以上有することが必要である。
(A-1-2)成分の分子構造は、上記要件を満たすものであれば特に限定されず、従来公知の、例えば、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等のいずれであってもよい。中でも、取り扱い作業性、及び(A-1-1)成分を架橋して得られる硬化物の気泡発生抑制の観点から、1分子中のケイ素原子数(又は重合度)が、3~1,000個が好ましく、5~400個がより好ましく、10~300個がさらに好ましく、10~100個が特に好ましく、10~60個のものが最も好ましい。
(A-1-2)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの動粘度は、1~10,000mm2/sが好ましく、3~5,000mm2/sがより好ましく、5~3,000mm2/sがさらに好ましい。室温(25℃)で液状のものが好ましい。
上記要件を満たすオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(4)で表されるものが好ましい。
6 efSiO(4-e-f)/2 (4)
(式中、R6は、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、eは0.7~2.2の数であり、fは0.001~0.5の数であり、但しe+fは0.8~2.5を満たす数である。)
上記式(4)中、R6は、炭素数が1~10のものが好ましく、1~6の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基がより好ましい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられ、アルキル基、アリール基、3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基がより好ましい。
上記式(5)中、e、f、e+fは上述した通りであるが、eは0.9~2.1の数であることが好ましく、fは0.002~0.2の数、特に0.005~0.1の数であることが好ましく、e+fは1.0~2.3、特に1.5~2.2を満たす数であることが好ましい。
上記式(4)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状(樹脂状)等のいずれであってもよい。中でも、1分子中のケイ素原子数及び動粘度が上述した範囲を満たすもので、直鎖状のものが好ましい。
上記式(4)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖片末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基・片末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖片末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基・片末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位と(CH3)HSiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位と(CH3)HSiO2/2単位と(CH32SiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH3)HSiO2/2単位と(CH32SiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CH3)HSiO2/2単位と(CH32SiO2/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位と(C652SiO2/2単位と(CH3)HSiO2/2単位と(CH32SiO2/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
(A-1-2)成分の量は、前記(A-1-1)成分中のアルケニル基1個に対して、(A-1-2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1~20個となる量が好ましく、0.5~15個となる量がより好ましく、1.0~15個となる量がさらに好ましい。上記値0.1個以上とすることで、架橋密度が低くなりすぎることがなく、得られる伝導性シリコーン組成物の気泡発生をより抑制することができる。一方、20個より大きいと、得られる熱伝導性シリコーン組成物の粘度が高くなりすぎて、取り扱い性が悪くなるおそれがある。
(A-1-3)
(A-1)成分に用いる(A-1-3)付加反応触媒としては、前記(A-1-1)成分中のケイ素原子結合アルケニル基と前記(A-1-2)成分中のケイ素原子結合水素原子との付加反応を促進させるための白金系触媒が挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体的には白金又は白金系化合物であり、従来公知のものを使用することができ、具体的には、白金ブラック;塩化白金酸;塩化白金酸のアルコール変性物;塩化白金酸とオレフィンアルデヒド、ビニルシロキサン、アセチレンアルコール類等の錯体等が挙げられる。
(A-1-3)成分の量は、有効量であればよく、所望の硬化速度により適宜増減すればよいが、(A-1-1)成分に対して、白金原子の質量換算で、通常、0.1~1,000ppm(質量)であり、1~300ppmが好ましい。この量が少なすぎると、付加反応が著しく遅くなったり、架橋しなくなったりするおそれがある。この配合量が多すぎると、硬化物の耐熱性が低下するだけでなく、白金は高価であることからコスト面でも不利となる。
(A-1-4)
(A-1)成分には、付加反応制御剤を使用してもよい。付加反応制御剤は1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。付加反応制御剤は、付加硬化型シリコーン組成物に使用される従来公知の制御剤を使用することができる。例えば、アセチレンアルコール類(例えば、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール)等のアセチレン化合物、トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の各種窒素化合物、トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。
(A-1-4)成分の量は、ヒドロシリル化反応の進行を抑制することができる有効量であればよく、特に制限されない。例えば、(A-1-1)成分100質量部に対して、通常、0.001~5質量部程度とすることがよく、0.1~3質量部が好ましい。(A-1-4)成分の配合量が少なすぎれば、十分な可使時間を確保することができず、また、多すぎると本発明組成物の硬化性が低下する。なお、この(A-1-4)成分は、組成物中への分散性を向上させるため、必要に応じて、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等の有機溶剤で希釈して使用することもできる。
(A-1)シリコーンゲル架橋物は、例えば、(A-1-3)付加反応触媒存在下において、(A-1-1)成分と(A-1-2)成分とを加熱混合、架橋、即ち付加反応(ハイドロシリル化反応)が進むことで得ることができる。反応温度は、通常50~180℃程度であるが、制限されるものではない。反応時間は加熱する温度にも影響されるが通常0.5~12時間で十分に反応は進む。このような処理が行われたものを「架橋物」と定義する。
(A-1)成分の含有量は、(A)成分中0.01~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましく、0.1~3質量%がさらに好ましい。含有量が少なすぎると、組成物が、高温での硬化時ボイドが出やすくなるし、10質量%より大きいと粘度が高くなりすぎて取り扱い性が悪くなるおそれがある。
(A-2)
(A-2)成分は、(A-1)成分の架橋に関与しない、脂肪族不飽和結合及びSiH基をそれぞれ含有しないシリコーンオイルであり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(A-2)成分の25℃における動粘度は5~500mm2/sが好ましく、10~300mm2/sがより好ましい。(A-2)成分としては、下記一般式(1)で表される片末端3官能の加水分解性オルガノポリシロキサン(A-2-1)が好ましい。
Figure 2024035628000003
(式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、R2は、炭素数1~18の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基の群の中から選択される1種もしくは2種以上の基、aは5~120の整数である。)
一般式(1)で表される片末端3官能の加水分解性オルガノポリシロキサンは、(A-3)熱伝導性充填剤の表面を処理することができ、粉末の高充填化を補助するばかりでなく、粉末表面を覆うことにより粉末同士の凝集を起こり難くし、高温下でもその効果は持続するため、熱伝導性シリコーン組成物の耐熱性を向上させる働きがある。
上記式(1)中、R1は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好ましい。R2は、互いに独立に、炭素数1~18、好ましくは1~14の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3-トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基である。aは5~120の整数であり、10~90の整数が好ましい。
(A-2-1)片末端3官能の加水分解性オルガノポリシロキサンを配合する場合、その含有量は、(A)成分中1.0~20質量%が好ましく、1.5~15質量%がより好ましく、2.0~10質量%がさらに好ましい。(A-2)成分中100質量%でもよく、後述する(A-2-2)を配合する場合は、(A-2)成分中30~95質量%が好ましい。
(A-2)成分としては、上記片末端3官能の加水分解性オルガノポリシロキサン以外にも、反応性基のない無官能性液状シリコーンオイル(A-2-2)を添加してもよい。無官能性液状シリコーンオイルは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
無官能性液状シリコーンオイルは、25℃における動粘度が10~500,000mm2/s、好ましくは30~10,000mm2/sを有するオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンの動粘度が上記下限値より低いと得られる熱伝導性シリコーン組成物のオイルブリードがで易くなる。また、上記上限値より大きいと、得られる伝導性シリコーン組成物の粘度が高くなり、取り扱い性が悪くなるおそれがある。
無官能性液状シリコーンオイルは、上記動粘度を有するものであればよく、従来公知のオルガノポリシロキサンを使用することができる。オルガノポリシロキサン(シリコーンオイル)の分子構造は特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状等のいずれであってもよい。特に、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造を有するのがよい。
無官能性液状シリコーンオイルとしてのオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(5)で表すことができる。
7 gSiO(4-g)/2 (5)
(式中、R7は、炭素数1~18の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基である。gは1.8~2.2である。)
7は、炭素数1~18、好ましくは1~14の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素等のハロゲン原子で置換された3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられ、好ましくはアルキル基、アリール基、3,3,3-トリフルオロプロピル基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基である。
gは1.8~2.2であり、1.9~2.1が好ましい。gが上記範囲内にあることにより、得られる熱伝導性シリコーン組成物は要求される良好な動粘度を有することができる。
上記平均組成式(5)で表されるオルガノポリシロキサンとしては、下記式(6)で表される直鎖状オルガノポリシロキサンが好ましい。
Figure 2024035628000004
(式中、R8は、互いに独立に、炭素数1~18の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基である。hは該オルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が10~500,000mm2/sとなる数である。)
8は、互いに独立に、炭素数1~18、好ましくは1~14の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基である。該1価炭化水素基としては、上述した基が挙げられる。中でも、R8は全てメチル基であることが好ましい。hは該オルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が10~500,000mm2/s、好ましくは30~10,000mm2/s、より好ましくは100~8,000mm2/sとなる数である。
(A-2-2)無官能性液状シリコーンオイルを配合する場合、その含有量は、(A-2)成分中5~70質量%が好ましい。
(A-2)成分の含有量は、(A)成分中1.0~20質量%が好ましく、1.5~15質量%がより好ましく、2.0~10質量%がさらに好ましい。1.0質量%より小さいと、得られる伝導性シリコーン組成物の粘度が高くなり、取り扱い性が悪くなるおそれがあり、20質量%より大きいと伝導性シリコーン組成物が、高温での硬化時ボイドが出やすくなるおそれがある。
(A-3)
熱伝導性充填剤は、本発明の熱伝導性シリコーン組成物に熱伝導性を付与するためのものである。熱伝導性充填剤としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、酸化亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、ダイヤモンド、グラファイトが挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。2種以上組み合わせる場合は、(A)成分の製造方法としては、これらを混合する工程を有することが好ましい。
熱伝導性充填剤の平均粒径は0.1~150μmであり、0.5~140μmが好ましい。平均粒径が小さすぎると組成物の粘度が高くなりすぎて取り扱い性が悪くなり、大きすぎると得られる組成物が不均一となりやすい。熱伝導性充填剤の形状は球状、不定形状どちらでもよい。
本発明において「平均粒径」は、レーザー回折・散乱法によって求めた体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。レーザー回折・散乱法による測定は、例えば、マイクロトラック粒度分析計MT3300EX(日機装(株)社製)により行えばよい。
(A-3)成分の含有量は、(A)成分中70~98.99質量%が好ましく、80~98質量%がより好ましく、90~97質量%がさらに好ましい。含有量を70質量%以上とすることで、目的とする熱伝導率をより得やすくなり、98.99質量%より大きいと、熱伝導性シリコーン組成物が、高温での硬化時ボイドが出やすくなるおそれがある。
(A)組成物の製造方法
(A)組成物の製造方法としては、(A-1-1)成分と(A-1-2)成分を架橋させ、成分(A-1)を得てから、(A-2)と成分(A-3)を混合してもよいし、成分(A-1)を得るために、加熱前に予め(A-2)を投入してから加熱混合させ、その後成分(A-3)を混合してもよいし、(A-1)成分を得るために、加熱前に成分(A-2)及び成分(A-3)の全てを予め投入してから加熱混合してもよい。効率を考慮した場合、加熱前に成分(A-2)及び成分(A-3)の全てを予め投入してから加熱混合する方法が好ましい。
(A)組成物の25℃における粘度は、100~2,000Pa・sであり、200~1,500Pa・sが好ましく、300~1,000Pa・sがより好ましい。粘度が100Pa・sより小さいと、熱伝導性シリコーン組成物の硬化中の気泡発生が多くなり、2,000Pa・sより大きいと、取り扱い性が悪くなる。粘度は、25℃にてスパイラル粘度計で測定できる。スパイラル粘度計としては、例えば、マルコム社のマルコム粘度計(タイプPC-10AA)が挙げられる。
(A)組成物の製造方法は特に限定されず、上記(A)組成物に含まれる成分を、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリーミキサー(いずれも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機にて、撹拌混合することで得ることができる。
[(B)成分]
(B)成分は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンであり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(B)成分は、(A-1)成分を調製する場合に用いる成分(A-1-1)と同一のものであり、好適な成分等も同じである。
(B)成分の含有量は、(A)100質量部に対し、0.01~50質量部であり、0.05~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。(B)の含有量が、0.01質量部より小さいと十分な硬化ができず、50質量部より大きいと、熱伝導率が小さくなる。
[(C)成分]
(C)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(C)成分は、(A-1)成分を調製する場合に用いる成分(A-1-2)と同一のものであり、好適な成分等も同じである。
(C)成分の含有量は、前記(B)成分中のアルケニル基1個に対して、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1~10個となる量であり、0.3~7個となる量が好ましく、0.5~5個となる量がより好ましい。上記値が0.1個より少ない場合には、十分な硬化ができず、10個より大きいと、得られる伝導性シリコーン組成物の硬度が高くなりすぎ、信頼性が悪くなる。
[(D)成分]
(D)成分は、白金系触媒であり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(D)成分は、(A-1)成分を調製する場合に用いる成分(A-1-3)と同一のものであり、好適な成分等も同じである。
(D)成分の含有量は、有効量であればよく、所望の硬化速度により適宜増減すればよいが、(A)成分に対して、白金原子の質量換算で、通常、0.1~1,000ppm(質量)であり、1~300ppmが好ましい。この量が少なすぎると、付加反応が著しく遅くなったり、架橋しなくなったりするおそれがある。この配合量が多すぎると、硬化物の耐熱性が低下するだけでなく、白金は高価であることからコスト面でも不利となる。
[(E)成分]
(E)成分は付加反応制御剤であり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。(E)成分は、(A-1)成分を調製する場合に用いる成分(A-1-4)と同一のものであり、好適な成分等も同じである。
(E)成分の含有量は、上記(A)成分の使用量によっても異なり、一概にいえないが、ヒドロシリル化反応の進行を抑制することができる有効量であればよく、特に制限されない。例えば、(A)成分100質量部に対して、通常、0.001~5質量部程度とすることがよく、0.1~3質量部が好ましい。(E)成分の配合量が少なすぎれば、十分な可使時間を確保することができず、また、多すぎると本発明組成物の硬化性が低下する。なお、この(E)成分は、組成物中への分散性を向上させるため、必要に応じて、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等の有機溶剤で希釈して使用することもできる。
[熱伝導性シリコーン組成物の製造方法]
熱伝導性シリコーン組成物の製造方法は、予め調製された(A)組成物と、(B)~(D)成分、必要に応じて(E)成分、その他の任意成分を混合することにより、得ることができる。混合装置としては、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリーミキサー(いずれも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機等が挙げられる。
[熱伝導性シリコーン組成物]
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の25℃の粘度は、25℃における粘度が50~1,500Pa・sであり、グリース状である。粘度は100~700Pa・sが好ましく、100~500Pa・sがより好ましい。粘度が50Pa・sより小さいと、耐ズレ性が悪くなり、1,500Pa・sより大きいと取り扱い性が悪くなる。粘度は、25℃にてスパイラル粘度計で測定できる。スパイラル粘度計としては、例えば、マルコム社のマルコム粘度計(タイプPC-10AA)が挙げられる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導率は、十分な放熱効果のため、2.0W/mK以上が好ましく、3.0W/mK以上がより好ましい。上限は特に限定されず、例えば、15.0W/mK以下から適宜選定される。なお、熱伝導率は、ISO 22007-2準拠のホットディスク法にて測定した値である。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は硬化性であり、本発明の熱伝導性シリコーン組成物を加熱硬化する場合の硬化条件は、特に制限されるものでないが、通常80~200℃、好ましくは100~180℃で、30分~4時間、好ましくは30分~3時間である。
[硬化物]
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の硬化物のずり弾性率は、20,000~200,000Paが好ましい。硬化物のずり弾性率の測定方法はISO6721-10の規定に準拠したもので、詳細は実施例に記載の方法である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。測定方法を下記に示す。
〔平均粒径〕
平均粒径測定は、日機装株式会社製の粒度分析計であるマイクロトラックMT3300EXにより測定した、体積基準の累積平均径である。
〔粘度〕
粘度は、25℃にてマルコム社のマルコム粘度計(タイプPC-10AA)にて測定を行った。
〔動粘度〕
動粘度は、25℃にてオストワルド粘度計にて測定した。
[(A-I~V)組成物]
表1に示す組成で、各成分をプラネタリーミキサーに仕込み、以下の手順にて(A-I~V)成分を調製した。
成分(A-1-1)、成分(A-2)及び(A-3)成分をプラネタリーミキサーに投入し、まず25℃にて10分間撹拌した。その後、(A-1-2)成分、(A-1-3)成分を投入してから、170℃に温度を上げ、そのまま2時間加熱混合して、(A-1-1)、(A-1-2)成分による付加反応(ハイドロシリル化反応)させ、シリコーンゲル架橋物を含む、(A-I~V)組成物を得た。
[(A-VI)成分:比較品]
(A)においてシリコーンゲル架橋物を含有しないものとなる。(A-I)の製造方法において、白金触媒である(A-1-3)を含有しない以外は、(A-I)と同様の方法で、(A-VI)組成物を得た。
即ち、表1の(A-1-1)[1]、(A-2-1)[1]、(A-3)[3]、(A-3)[4]成分をプラネタリーミキサーに投入し、まず室温にて10分間撹拌した。その後、(A-1-2)[1]成分を投入してから、170℃に温度を上げ、そのまま2時間加熱混合して、(A-VI)組成物を得た。(A-VI)組成物の粘度は150Pa・sであった。
Figure 2024035628000005
使用した成分を下記に示す。なお、シロキサン単位の結合順序は下記に限定されるものではない(以下、同様)。
[(A-1-1)]
[1]両末端にビニル基を有する直鎖状の動粘度600mm2/sのジメチルポリシロキサン[2]両末端にビニル基を有する直鎖状の動粘度30,000mm2/sのジメチルポリシロキン
[(A-1-2)]
[1]
Figure 2024035628000006
動粘度113mm2/s
[2]
Figure 2024035628000007
動粘度25mm2/s
[(A-1-3)]
白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を上記(A-1-1)[1]と同じジメチルポリシロキサンに溶解した溶液(白金原子含有量:1質量%)
[(A-2-1)]
Figure 2024035628000008
動粘度35mm2/s
[(A-2-2)]
両末端にトリメチルシリル基を有する直鎖状の1,000mm2/sのジメチルポリシロキサン
(A-3)
[1]アルミナ粉末(平均粒径:140μm)
[2]アルミナ粉末(平均粒径:45μm)
[3]アルミニウム粉末(平均粒径:10μm)
[4]酸化亜鉛粉末(平均粒径:1.0μm)
[実施例、比較例]
表2,3に示す組成の各成分をプラネタリーミキサーに仕込み、以下の手順にて熱伝導性シリコーン組成物を調製した。以下工程はすべて室温にて行われた。
即ち、(A)成分、(B)成分をプラネタリーミキサーに投入し、30分間撹拌した。その後、(E)成分を入れ10分間攪拌し、続いて(D)成分を投入してから、同様に10分間攪拌した。その後、(C)を投入し、真空ポンプにて脱気をかけながら15分間攪拌を行い、熱伝導性シリコーン組成物を得た。得られた熱伝導性シリコーン組成物について、下記評価を行った。結果を表2,3に併記する。
使用した成分を下記に示す。
[(B)成分]
[I]両末端にビニル基を有する直鎖状の動粘度400mm2/sのジメチルポリシロキサン
[II]両末端にビニル基を有する直鎖状の動粘度30,000mm2/sのジメチルポリシロキサン((A-1-1)[2]と同じ)
[(C)成分]
[I]
Figure 2024035628000009
動粘度28mm2/s
[II]((A-1-2)[1]と同じ)
Figure 2024035628000010
動粘度113mm2/s
[(D)成分]
[I]白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を上記(A-1-1)[1]と同じジメチルポリシロキサンに溶解した溶液(白金原子含有量:1質量%)(A-1-3)[1]と同じ)
[(E)成分]
[I]1-エチニル-1-シクロヘキサノール
〔熱伝導率〕
熱伝導率は、京都電子工業株式会社製のTPS-2500Sにより、いずれも25℃において測定した。
〔ずり弾性率〕
ISO6721-10の規定に準拠して、粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック社製、タイプRDAIII使用)を使用し、直径2.5cmの2枚のパラレルプレートを用いた(熱伝導性シリコーン組成物の厚みは2mmに設定)。測定は、まず室温から5℃/分で125℃まで昇温させ、125℃になってから2時間その温度を保持し熱伝導性シリコーン組成物を完全に硬化させた。その後、25℃まで冷却し、硬化後の熱伝導性シリコーン組成物のずり弾性率を測定した(周波数:1.0Rad/sec、ストレイン(変位):10%に設定)。
〔ボイド試験〕
2枚のスライドガラスに本発明の熱伝導性シリコーン組成物を0.1g挟み込み、両端を市販のクリップで止め、1時間放置した。その後、そのテストピースを170℃のオーブンに投入して2時間加熱して硬化させた。2時間後、テストピースを取り出し、冷却後に熱伝導性シリコーン組成物に気泡が発生しているかどうかを目視観察した。気泡が発生していなければ「〇」、目視で見える気泡が発生していれば「×」とした。
Figure 2024035628000011
Figure 2024035628000012

Claims (5)

  1. (A)下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)
    (A-1)シリコーンゲル架橋物、
    (A-2)脂肪族不飽和結合及びSiH基をそれぞれ含有しないシリコーンオイル、
    (A-3)熱伝導性充填剤
    を含み、25℃における粘度が100~2,000Pa・sの組成物:100質量部、
    (B)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:0.01~50質量部、
    (C)ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(B)成分中のアルケニル基1個に対して、(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1~10個となる量、
    (D)白金系触媒:有効量、及び
    (E)付加反応制御剤:有効量
    を含有し、硬化性で25℃における粘度が50~1,500Pa・sである熱伝導性シリコーン組成物。
  2. (A)成分が、
    (A-1)シリコーンゲル架橋物:0.01~10質量%、
    (A-2)下記一般式(1)
    Figure 2024035628000013
    (式中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、R2は、炭素数1~18の脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基の群の中から選択される1種又は2種以上の基、aは5~120の整数である。)
    で表される片末端加水分解性オルガノポリシロキサン:1.0~20質量%
    (A-3)平均粒径0.1~150μmの熱伝導性充填剤:70~98.99質量%を含む、請求項1記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  3. (A-1)成分が、
    (A-1-1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
    (A-1-2)ケイ素原子に結合した水素原子を、1分子中に2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A-1-1)成分中のアルケニル基1個に対して、(A-1-2)成分中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1~20個となる量
    との付加反応物である請求項1又は2記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  4. (A-1-1)成分が、下記平均組成式(2)
    3 b4 cSiO(4-b-c)/2 (2)
    (式中、R3は、アルケニル基を表し、R4は、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の1価炭化水素基を表し、bは0.0001~0.2の数であり、cは1.7~2.2の数であり、但しb+cは1.9~2.4を満たす数である。)
    で表され、ケイ素原子に結合したアルケニル基を、1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンである請求項3記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  5. (A-2)成分中、25℃における動粘度が10~500,000mm2/sである無官能性液状シリコーンオイルを、5~70質量%含有する、請求項1又は2記載の熱伝導性シリコーン組成物。
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