JP2024034201A - 積層フィルム巻回体 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材フィルムに粘着層を設ける場合であっても、リード部分の巻ずれや皺の発生を抑制できる積層フィルム巻回体を提供する。【解決手段】積層フィルム巻回体11では、積層フィルム13は、基材フィルム14と、基材フィルム14の一面側に設けられた粘着層15と、所定パターンを有し、粘着層15によって基材フィルム14の一面側に接合された機能フィルム16と、を有し、巻芯12に対する積層フィルム13の巻き始め側の端部には、機能フィルム16が配置されないことで当該積層フィルム13の終端を示すリード部分P2が設けられており、リード部分P2は、機能フィルム16が配置された本体部分P1によって、巻き始め側の縁13aから離間している。【選択図】図5
Description
本開示は、積層フィルム巻回体に関する。
近年、半導体装置の分野では、高集積化、小型化、高速化の要求が高まっている。半導体装置の一態様として、基板上に配置されたコントローラチップ上に半導体チップを積層した構造がある。特許文献1に記載の半導体アセンブリは、いわゆるドルメン構造(或いはトンネル構造)と称される構造を有している。この従来の半導体アセンブリは、パッケージ基板と、パッケージ基板上に配置されたコントローラダイと、コントローラダイの上方に配置されたメモリダイとを備え、メモリダイが支柱のような支持部材によって支持されている。
上述した特許文献1の半導体アセンブリでは、通常の半導体チップの製造と同様の工程を用いて、シリコンチップ付きの樹脂フィルムをドルメン構造の支持部材としている。しかしながら、この手法では、比較的高価なシリコンチップを用いること、及びウェハの研磨工程が必要になる。そこで、シリコンチップを用いず、支持片形成用フィルムを個片化することでドルメン構造の支持片を形成する手法が検討されている。
この手法には、例えば基材フィルムの一面に支持片形成用フィルムと切断補助フィルムとを積層した積層フィルムを用いることができる。かかる積層フィルムは、例えば基材フィルムの一面側の支持片形成用フィルムを所定のパターンにプリカットし、その後に積層した切断補助フィルムを所定のパターンにプリカットすることで製造される。しかしながら、基材フィルムに接する支持片形成用フィルムが接着性を有しない場合、基材フィルム上で支持片形成用フィルムが固定されず、支持片形成用フィルムのプリカットの進行に支障をきたすことが考えられる。このような課題に対し、基材フィルム側に粘着層を設けることが考えられる。この場合、粘着層によって基材フィルム上で支持片形成用フィルムが固定され、支持片形成用フィルムのプリカットを好適に実施することができる。
一方、基材フィルムに粘着層を設ける場合、製造された積層フィルムを巻芯に巻き付けるときに別の課題が生じ得る。巻芯に対する積層フィルムの巻き始め側の端部には、積層フィルムの終端検知を行う観点から、支持片形成用フィルム等の機能フィルムを設けないリード部分が設けられる場合がある。基材フィルムに粘着層を設けたフィルムにリード部分を設ける場合、リード部分では、粘着層がフィルム表面に露出する。このため、積層フィルムを巻芯に巻き付ける際に、粘着層が巻芯に付着し、リード部分に巻ずれや皺が発生してしまうおそれがある。
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、基材フィルムに粘着層を設ける場合であっても、リード部分の巻ずれや皺の発生を抑制できる積層フィルム巻回体を提供することを目的とする。
本開示の一側面に係る積層フィルム巻回体は、巻芯と、巻芯に巻き付けられた積層フィルムと、を備えた積層フィルム巻回体であって、積層フィルムは、基材フィルムと、基材フィルムの一面側に設けられた粘着層と、所定パターンを有し、粘着層によって基材フィルムの一面側に接合された機能フィルムと、を有し、巻芯に対する積層フィルムの巻き始め側の端部には、機能フィルムが配置されないことで当該積層フィルムの終端を示すリード部分が設けられており、リード部分は、機能フィルムが配置された本体部分によって、巻き始め側の縁から離間している。
この積層フィルム巻回体では、積層フィルムにおける基材フィルムの一面側に粘着層が配置されている。これにより、基材フィルムに対して機能フィルムを固定することができ、機能フィルムのプリカットを好適に実施することができる。積層フィルムでは、積層フィルムの終端を示すリード部分において機能フィルムが配置されないため、基材フィルムの一面側に設けられた粘着層が露出する。一方、リード部分は、機能フィルムが配置された本体部分によって、巻き始め側の縁から離間している。このため、積層フィルムを巻芯に巻き付ける際、リード部分より先に機能フィルムが配置された本体部分が巻芯に巻かれるため、基材フィルムの粘着層が巻芯に付着することを抑制できる。したがって、この積層フィルム巻回体では、基材フィルムに粘着層を設ける場合であっても、リード部分の巻ずれや皺の発生を抑制できる。
リード部分は、少なくとも巻芯の周長以上の間隔をもって巻き始め側の縁から離間していてもよい。この場合、リード部分が巻芯に巻かれ始める前に、機能フィルムが配置された本体部分が巻芯を覆うため、基材フィルムの粘着層が巻芯に付着することをより確実に抑制できる。したがって、リード部分の巻ずれや皺の発生をより確実に抑制できる。
巻き始め側の縁からの本体部分の長さは、0.4m~1.5mとなっていてもよい。巻芯への積層フィルムの巻き付けには、巻芯に対する積層フィルムの位置合わせに用いる補助ロールが配置される場合がある。巻き始め側の縁からの本体部分の長さを上記範囲とすることで、一般的な補助ロールの配置に対し、積層フィルムの巻き付け開始時(巻芯への積層フィルムの位置合わせ時)に基材フィルムの粘着層が補助ロールに付着することを抑制できる。これにより、リード部分の巻ずれや皺の発生を効果的に抑制できる。また、巻き始め側の縁からの本体部分の長さを上記範囲以下とすることで、リード部分より先の本体部分の無駄を抑えることができる。
リード部分の長さは、0.8m~1.5mとなっていてもよい。リード部分の長さを上記範囲とすることで、積層フィルムの終端検知を精度良く実施できる。
機能フィルムは、粘着層によって基材フィルムの一面側に接合された切断補助フィルム及び支持片形成用フィルムによって構成されていてもよい。この場合、切断補助フィルム及び支持片形成用フィルムを用いて、例えばドルメン構造を有する半導体装置を構成する支持片を簡便に得ることができる。
積層フィルムは、機能フィルムが巻芯側を向くように巻芯に巻き付けられていてもよい。これにより、巻芯から積層フィルムを巻き出して使用する際の利便性を向上できる。機能フィルムが巻芯側を向いている場合でも、積層フィルムを巻芯に巻き付ける際、リード部分より先に機能フィルムが配置された本体部分が巻芯に巻かれるため、基材フィルムの粘着層が巻芯に付着することを抑制できる。したがって、リード部分の巻ずれや皺の発生を抑制できる。
支持片形成用フィルムは、熱硬化性樹脂層と、熱硬化性樹脂層よりも剛性が高い高剛性層と、を有し、高剛性層は、粘着層を介して基材フィルムの一面側に接合されていてもよい。支持片形成用フィルムが剛性の高い層を含むことで、突上治具への追従性が低下する一方で、吸引コレット等のピックアップツールへの追従性を高めることができる。また、高剛性層が粘着層を介して基材フィルムの一面側に接合されることで、基材フィルムに対して支持片形成用フィルムがしっかりと固定され、支持片形成用フィルムのプリカットなどを好適に実施することができる。
本開示によれば、基材フィルムに粘着層を設ける場合であっても、リード部分の巻ずれや皺の発生を抑制できる。
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る積層フィルム巻回体の好適な実施形態について詳細に説明する。
以下の説明では、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。図中の寸法及び寸法割合は便宜的なものであり、必ずしも実際の寸法を反映したものではない。本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む。本明細書において段階的に記載されている数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本明細書における「層」は、平面図として観察したときに、被形成物の全面に形成されている態様、及び被形成物の一部に形成されている態様のいずれも包含される。本明細書における「工程」は、必ずしも独立した工程に限られず、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されるものも含まれ得る。
始めに、本実施形態に係る積層フィルム巻回体11の適用例について説明する。ここでは、ドルメン構造を有する半導体装置を例示する。図1は、ドルメン構造を有する半導体装置の一例を示す模式的な断面図である。同図に示す半導体装置1は、基板2と、基板2の一面に配置されたコントローラチップ3と、複数のメモリチップ4,5,6と、これらのチップのそれぞれを基板2上の電極(不図示)と電気的に接続する複数のワイヤWとを備えている。コントローラチップ3、メモリチップ4,5,6、及びワイヤWは、封止材7によって封止されている。
基板2は、例えば有機基板である。基板2は、リードフレーム等の金属基板であってもよい。コントローラチップ3の周囲には、複数の支持片Dが配置されている。コントローラチップ3及びメモリチップ4,5,6の片面には、接着層8がそれぞれ設けられている。コントローラチップ3は、接着層8を介して基板2の表面に固定されている。メモリチップ4,5,6は、ワイヤWの接続スペースが形成されるように、接着層8を介して階段状に積層されている。
メモリチップ4,5,6の積層体は、最下層のメモリチップ4の片面の接着層8を介し、複数の支持片Dによってコントローラチップ3の上方(基板2と反対側)で支持されている。なお、図1の例では、基板2とコントローラチップ3との接続にワイヤWが用いられているが、基板2とコントローラチップ3とがバンプ接続(例えばCuバンプとハンダを用いた接続)された構成となっていてもよい。
本実施形態に係る積層フィルム巻回体11は、上述した支持片Dの製造に用いられる部材である。図2は、本開示の一実施形態に係る積層フィルム巻回体を示す模式的な斜視図である。図3は、その模式的な平面図であり、図4は、その模式的な断面図である。図2に示すように、積層フィルム巻回体11は、巻芯12と、巻芯12に巻き付けられた積層フィルム13とによって構成されている。積層フィルム13は、後述する機能フィルム16が巻芯12側を向いた状態で、巻芯12の周面に多重に巻き付けられている。
巻芯12は、例えばABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などのプラスチック材料によって円筒状に形成されている。巻芯12のサイズは、積層フィルム13のサイズに応じて適宜設定されている。巻芯12の幅は、例えば積層フィルム13の幅に応じて設定されている。巻芯12の幅は、積層フィルム13の幅と等しくなっていてもよく、積層フィルム13の幅より大きくなっていてもよい。巻芯12の直径は、例えば積層フィルム13の長さに応じて設定されている。巻芯12の直径は、例えば7.5cm~8.0cm程度となっている。
積層フィルム13の本体部分P1は、図3及び図4に示すように、基材フィルム14と、基材フィルム14の一面側に設けられた粘着層15と、粘着層15の一面側に設けられた機能フィルム16とを備えている。本実施形態では、機能フィルム16は、切断補助フィルム17と、支持片形成用フィルム18とによって構成されている。
本実施形態では、基材フィルム14は、長尺のフィルムであり、所定の幅をもって一方向に延在している。切断補助フィルム17及び支持片形成用フィルム18は、所定パターンにプリカットされた状態で、基材フィルム14の一面側において基材フィルム14の延在方向に所定の間隔をもって配列されている。基材フィルム14は、積層フィルム13の土台となるフィルムである。基材フィルム14は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィンなどの材料によって形成されている。基材フィルム14は、熱収縮性を有していてもよい。
粘着層15は、プリカットの際に基材フィルム14に対する機能フィルムのずれを抑制するための層である。粘着層15は、基材フィルム14の一面側の全面に配置されている。粘着層15の構成材料としては、例えばアクリル系粘着剤、アクリルゴム系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを用いることができる。粘着層15は、プリカット時に機能フィルム16を適切な粘着力で基材フィルム14の一面側に固定し、且つ機能フィルムの使用時に基材フィルム14から機能フィルム16が微弱な力で剥離するように、微粘着性を有することが好ましい。機能フィルム16(後述の高剛性層20)に対する粘着層15の粘着力は、例えば0.03N/25mm~0.1N/25mmとなっている。
切断補助フィルム17は、支持片Dの作製の際に支持片形成用フィルム18をリングフレーム(不図示)等に固定するためのフィルムである。切断補助フィルム17は、例えばパンチング等の加工手段によって、基材フィルム14の幅よりも小さい直径の円形にプリカットされている。切断補助フィルム17は、機能フィルム16を覆うように配置され、切断補助フィルム17の周縁部は、上述した粘着層15によって基材フィルム14の一面側に接合されている。切断補助フィルム17は、例えば紫外線硬化型の粘着剤によって構成され、紫外線の照射によって粘着性が低下する性質を有している。切断補助フィルム17の粘着層は、紫外線硬化型の粘着剤のほか、感圧型(非紫外線硬化型)の粘着剤であってもよい。切断補助フィルム17として、その機能的な観点から、ダイシングフィルムとして通常知られているフィルムを用いてもよい。
図3の例では、基材フィルム14の幅方向の中央に円形の切断補助フィルム17が配置されていることに加え、基材フィルム14の幅方向の両端部に、中央の円形の切断補助フィルム17を囲うように切断補助フィルム17,17が更に配置されている。この両端部の切断補助フィルム17,17は、機能フィルム16としての役割は有していないが、積層フィルム13を巻芯12に巻き付けるにあたって、積層フィルム13の幅方向の中央と両端との間の凹凸差を解消する役割を有している。これにより、積層フィルム13の巻き数が増えた場合でも、凹凸差による巻ずれ、ボイド等の不具合の発生を回避できる。
支持片形成用フィルム18は、支持片Dの形成元となるフィルムである。支持片形成用フィルムは、例えばパンチング等の加工手段によって、切断補助フィルム17よりも一回り小さい直径の円形にプリカットされている。本実施形態では、支持片形成用フィルム18は、図4に示すように、熱硬化性樹脂層19と、熱硬化性樹脂層19よりも剛性が高い高剛性層20とによって2層に構成されている。熱硬化性樹脂層19は、切断補助フィルム17側に位置している。高剛性層20は、基材フィルム14側に位置し、粘着層15によって基材フィルム14の一面側に接合されている。
熱硬化性樹脂層19は、半硬化(Bステージ)状態を経て、その後の硬化処理によって完全硬化物(Cステージ)状態となり得る。熱硬化性樹脂組成物には、エポキシ樹脂と、硬化剤と、エラストマ(例えば、アクリル樹脂)とが含まれる。熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、無機フィラー及び硬化促進剤等が更に含まれる。高剛性層20としては、例えばポリイミド層又は金属層が用いられる。支持片形成用フィルム18に高剛性層20が含まれることで、支持片Dを作製する際のピックアップツールへの支持片Dの追従性を高めることができる。高剛性層20として金属層を用いる場合、樹脂材料と金属材料との間の光学的なコントラストにより、ピックアップ時の支持片Dの視認性を高めることができる。金属層としては、例えば銅層、アルミニウム層などを用いることができる。
支持片形成用フィルム18は、切込パターンの形成によって予め複数の支持片Dの状態に個片化されていてもよい。切込パターンは、例えば平面視において格子状をなしていてもよい。この場合、支持片形成用フィルム18には、矩形の支持片Dが予めマトリクス状に配列された状態となる。切り込みは、支持片形成用フィルム18のフルカットによって、支持片形成用フィルムの一面側から他面側に到達していてもよい。切り込みは、切断補助フィルム17まで到達していてもよい。
以上のような積層フィルム13の作製にあたっては、基材フィルム14及び粘着層15の一面側に支持片形成用フィルム18が設けられた積層体を用意する。この積層体に対し、粘着層15によって支持片形成用フィルム18を基材フィルム14に対して固定した状態で、支持片形成用フィルム18を円形にプリカットする。支持片形成用フィルム18に切込パターンを形成する場合には、円形にプリカットを行う前に支持片形成用フィルム18の厚さ全体に及ぶ切込パターンを形成し、支持片形成用フィルム18を複数の支持片Dに個片化する。
次に、円形にプリカットされた部分を残し、支持片形成用フィルム18の余剰部分を巻き取り等によって剥離する。その後、切断補助フィルム17を基材フィルム14及び支持片形成用フィルム18にラミネートする。切断補助フィルム17のラミネート後、当該切断補助フィルム17を円形にプリカットし、中央の円形の切断補助フィルム17と、円形の切断補助フィルム17を囲う両端部の切断補助フィルム17,17とを形成する。切断補助フィルム17の余剰部分を剥離することで、図3及び図4に示した積層フィルム13が得られる。得られた積層フィルム13を巻取装置(不図示)によって巻芯12に巻き付けることで、図2に示した積層フィルム巻回体11が得られる。
続いて、上述した積層フィルム13のリード部分P2について説明する。
積層フィルム13を巻芯12に巻き付けるにあたって、巻芯12に対する積層フィルム13の巻き始め側の端部には、積層フィルム13の終端検知を行う観点から、図5に示すように、本体部分P1に連続してリード部分P2が設けられている。リード部分P2は、機能フィルム16が配置されていない点で、機能フィルム16が配置されている本体部分P1に対して構成上の相違を有している。積層フィルム13を巻芯12から巻き出して使用する際、画像検出等によってリード部分P2を検出することで、積層フィルム13の終端検知が可能となっている。
図5の例では、リード部分P2の長さL1は、例えば0.8m~1.5mとなっている。リード部分P2の長さL1は、1.2m~1.5mとなっていてもよい。図5の例では、隣り合う一方の機能フィルム16との中点から隣り合う他方の機能フィルム16の中点までの長さLaを機能フィルム16の1単位とした場合に、リード部分P2の長さL1は、機能フィルム16の複数単位分(ここでは4単位分)の長さとなっている。
リード部分P2では、機能フィルム16としての役割を有しない両端部の切断補助フィルム17,17のみが基材フィルム14の一面側に配置されている。すなわち、リード部分P2では、基材フィルム14の一面側の中央に支持片形成用フィルム18及び切断補助フィルム17が配置されておらず、基材フィルム14の一面側に粘着層15が露出した状態となっている。
リード部分P2で粘着層15が露出する場合、積層フィルム巻回体11の製造の際、積層フィルム13を巻芯12に巻き付けるにあたって、粘着層15が巻芯に付着してしまうことが考えられる。巻芯12への積層フィルム13の巻き付けを開始したときに粘着層15が巻芯12に付着すると、リード部分P2に巻ずれや皺が発生してしまうおそれがある。
これに対し、積層フィルム巻回体11では、図5に示すように、機能フィルム16が配置された本体部分P1によって、リード部分P2が積層フィルム13における巻き始め側の縁13aから離間している。本実施形態では、リード部分P2は、少なくとも巻芯12の周長以上の間隔をもって巻き始め側の縁13aから離間している。図5の例では、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2(すなわち、巻き始め側の縁13aからのリード部分P2の離間距離)は、リード部分P2の長さL1よりも短くなっている。ここでは、上述した機能フィルム16の1単位の長さをLaとした場合に、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2は、リード部分P2よりも少ない単位分(ここでは2単位分)の長さとなっている。
巻芯12への積層フィルム13の巻き付けにあたって、図5に示すように、巻芯12に対する積層フィルム13の位置合わせに用いる補助ロール21が配置される場合がある。補助ロール21は、例えばステンレスなどの金属材料によって円筒状に形成されている。補助ロール21のサイズは、例えば巻芯12と同程度のサイズとなっている。補助ロール21は、巻芯12への積層フィルム13の巻き付けの際に、例えば巻芯12の直径よりも大きい間隔で巻芯12から離間した位置に配置される。巻芯12と補助ロール21との間の間隔(巻芯12の中心軸から補助ロール21の中心軸までの距離)Lfは、例えば600mm~650mm程度である。
位置合わせの際に基材フィルム14の粘着層15が補助ロール21に付着すると、巻芯12に対する積層フィルム13の位置合わせの精度が低下し、その結果としてリード部分P2の巻ずれや皺の発生が生じることが考えられる。本実施形態では、巻芯12に対する積層フィルム13の位置合わせを行う際に、補助ロール21がリード部分P2ではなく、リード部分P2よりも巻き始め側の縁13a側にある本体部分P1に触れるように、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2が設定されている。すなわち、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2は、巻芯12と補助ロール21との間の間隔よりも大きくなっている。上述したように、例えば巻芯12と補助ロール21との間の間隔Lfが600mm~650mm程度である場合、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2は、例えば0.4m~1.5mに設定される。
以上説明したように、積層フィルム巻回体11では、積層フィルム13における基材フィルム14の一面側に粘着層15が配置されている。これにより、基材フィルム14に対して機能フィルム16を固定することができ、機能フィルム16のプリカットを好適に実施することができる。積層フィルム13では、積層フィルム13の終端を示すリード部分P2において機能フィルム16が配置されないため、基材フィルム14の一面側に設けられた粘着層15が露出する。一方、リード部分P2は、機能フィルム16が配置された本体部分P1によって、巻き始め側の縁13aから離間している。このため、積層フィルム13を巻芯12に巻き付ける際、リード部分P2より先に機能フィルム16が配置された本体部分P1が巻芯12に巻かれるため、基材フィルム14の粘着層15が巻芯12に付着することを抑制できる。したがって、積層フィルム巻回体11では、基材フィルム14に粘着層15を設ける場合であっても、リード部分P2の巻ずれや皺の発生を抑制できる。
本実施形態では、リード部分P2は、少なくとも巻芯12の周長以上の間隔をもって巻き始め側の縁13aから離間していてもよい。この場合、リード部分P2が巻芯12に巻かれ始める前に、機能フィルム16が配置された本体部分P1が巻芯12を覆うため、基材フィルム14の粘着層15が巻芯12に付着することをより確実に抑制できる。したがって、リード部分P2の巻ずれや皺の発生をより確実に抑制できる。
本実施形態では、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2は、0.4m~1.5mとなっている。このように、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2を上記範囲とすることで、一般的な補助ロールの配置に対し、積層フィルム13の巻き付け開始時(巻芯12への積層フィルム13の位置合わせ時)に基材フィルム14の粘着層15が補助ロール21に付着することを抑制できる。これにより、リード部分P2の巻ずれや皺の発生を効果的に抑制できる。また、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さを上記範囲以下とすることで、リード部分P2より先の本体部分P1の無駄を抑えることができる。
本実施形態では、リード部分P2の長さL1が0.8m~1.5mとなっている。リード部分P2の長さL1を上記範囲とすることで、積層フィルム13の終端検知を精度良く実施できる。
本実施形態では、機能フィルム16が粘着層15によって基材フィルム14の一面側に接合された切断補助フィルム17及び支持片形成用フィルム18によって構成されている。これにより、切断補助フィルム17及び支持片形成用フィルム18を用いて、例えばドルメン構造を有する半導体装置1(図1参照)を構成する支持片Dを簡便に得ることができる。
本実施形態では、積層フィルム13は、機能フィルム16が巻芯12側を向くように巻芯12に巻き付けられている。これにより、巻芯12から積層フィルム13を巻き出して使用する際の利便性を向上できる。機能フィルム16が巻芯12側を向いている場合でも、上述したように、積層フィルム13を巻芯12に巻き付ける際、リード部分P2より先に機能フィルム16が配置された本体部分P1が巻芯12に巻かれるため、基材フィルム14の粘着層15が巻芯12に付着することを抑制できる。したがって、リード部分P2の巻ずれや皺の発生を抑制できる。
本実施形態では、支持片形成用フィルム18は、熱硬化性樹脂層19と、熱硬化性樹脂層19よりも剛性が高い高剛性層20とを有している。そして、高剛性層20は、粘着層15を介して基材フィルム14の一面側に接合されている。支持片形成用フィルム18が剛性の高い層を含むことで、突上治具への追従性が低下する一方で、吸引コレット等のピックアップツールへの追従性を高めることができる。また、高剛性層20が粘着層15を介して基材フィルム14の一面側に接合されることで、基材フィルム14に対して支持片形成用フィルム18がしっかりと固定され、支持片形成用フィルム18のプリカットなどを好適に実施することができる。
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2がリード部分P2の長さL1よりも短くなっているが、巻き始め側の縁13aからの本体部分P1の長さL2は、リード部分P2の長さL1と等しくなっていてもよく、リード部分P2の長さL1よりも長くなっていてもよい。
上記実施形態では、支持片形成用フィルム18が熱硬化性樹脂層19と高剛性層20とによって2層に構成されているが、図6に示すように、支持片形成用フィルム18が高剛性層20と当該高剛性層20を挟む熱硬化性樹脂層19,19とによって3層に構成されていてもよい。機能フィルム16は、支持片形成用フィルム18に限られず、他の用途を有するフィルムであってもよい。
本開示の要旨は、以下の[1]~[7]のとおりである。
[1]巻芯と、前記巻芯に巻き付けられた積層フィルムと、を備えた積層フィルム巻回体であって、前記積層フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一面側に設けられた粘着層と、前記所定パターンにプリカットされ、前記粘着層によって前記基材フィルムの一面側に接合された機能フィルムと、を有し、前記巻芯に対する前記積層フィルムの巻き始め側の端部には、前記機能フィルムが配置されないことで当該積層フィルムの終端を示すリード部分が設けられており、前記リード部分は、前記機能フィルムが配置された本体部分によって、前記巻き始め側の縁から離間している積層フィルム巻回体。
[2]前記リード部分は、少なくとも前記巻芯の周長以上の間隔をもって前記巻き始め側の縁から離間している[1]記載の積層フィルム巻回体。
[3]前記巻き始め側の縁からの前記本体部分の長さは、0.4m~1.5mとなっている[1]又は[2]記載の積層フィルム巻回体。
[4]前記リード部分の長さは、0.8m~1.5mとなっている[1]~[3]のいずれか記載の積層フィルム巻回体。
[5]前記機能フィルムは、前記粘着層によって前記基材フィルムの一面側に接合された切断補助フィルム及び支持片形成用フィルムによって構成されている[1]~[4]のいずれか記載の積層フィルム巻回体。
[6]前記積層フィルムは、前記機能フィルムが前記巻芯側を向くように前記巻芯に巻き付けられている[1]~[4]のいずれか記載の積層フィルム巻回体。
[7]前記支持片形成用フィルムは、熱硬化性樹脂層と、前記熱硬化性樹脂層よりも剛性が高い高剛性層と、を有し、前記高剛性層は、前記粘着層を介して前記基材フィルムの一面側に接合されている[5]記載の積層フィルム巻回体。
[1]巻芯と、前記巻芯に巻き付けられた積層フィルムと、を備えた積層フィルム巻回体であって、前記積層フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの一面側に設けられた粘着層と、前記所定パターンにプリカットされ、前記粘着層によって前記基材フィルムの一面側に接合された機能フィルムと、を有し、前記巻芯に対する前記積層フィルムの巻き始め側の端部には、前記機能フィルムが配置されないことで当該積層フィルムの終端を示すリード部分が設けられており、前記リード部分は、前記機能フィルムが配置された本体部分によって、前記巻き始め側の縁から離間している積層フィルム巻回体。
[2]前記リード部分は、少なくとも前記巻芯の周長以上の間隔をもって前記巻き始め側の縁から離間している[1]記載の積層フィルム巻回体。
[3]前記巻き始め側の縁からの前記本体部分の長さは、0.4m~1.5mとなっている[1]又は[2]記載の積層フィルム巻回体。
[4]前記リード部分の長さは、0.8m~1.5mとなっている[1]~[3]のいずれか記載の積層フィルム巻回体。
[5]前記機能フィルムは、前記粘着層によって前記基材フィルムの一面側に接合された切断補助フィルム及び支持片形成用フィルムによって構成されている[1]~[4]のいずれか記載の積層フィルム巻回体。
[6]前記積層フィルムは、前記機能フィルムが前記巻芯側を向くように前記巻芯に巻き付けられている[1]~[4]のいずれか記載の積層フィルム巻回体。
[7]前記支持片形成用フィルムは、熱硬化性樹脂層と、前記熱硬化性樹脂層よりも剛性が高い高剛性層と、を有し、前記高剛性層は、前記粘着層を介して前記基材フィルムの一面側に接合されている[5]記載の積層フィルム巻回体。
11…積層フィルム巻回体、12…巻芯、13…積層フィルム、13a…縁、14…基材フィルム、15…粘着層、16…機能フィルム、17…切断補助フィルム、18…支持片形成用フィルム、19…熱硬化性樹脂層、20…高剛性層、P1…本体部分、P2…リード部分、L1…リード部分の長さ、L2…巻き始め側の縁からの本体部分の長さ。
Claims (7)
- 巻芯と、前記巻芯に巻き付けられた積層フィルムと、を備えた積層フィルム巻回体であって、
前記積層フィルムは、
基材フィルムと、
前記基材フィルムの一面側に設けられた粘着層と、
所定パターンを有し、前記粘着層によって前記基材フィルムの一面側に接合された機能フィルムと、を有し、
前記巻芯に対する前記積層フィルムの巻き始め側の端部には、前記機能フィルムが配置されないことで当該積層フィルムの終端を示すリード部分が設けられており、
前記リード部分は、前記機能フィルムが配置された本体部分によって、前記巻き始め側の縁から離間している積層フィルム巻回体。 - 前記リード部分は、少なくとも前記巻芯の周長以上の間隔をもって前記巻き始め側の縁から離間している請求項1記載の積層フィルム巻回体。
- 前記巻き始め側の縁からの前記本体部分の長さは、0.4m~1.5mとなっている請求項1記載の積層フィルム巻回体。
- 前記リード部分の長さは、0.8m~1.5mとなっている請求項1記載の積層フィルム巻回体。
- 前記機能フィルムは、前記粘着層によって前記基材フィルムの一面側に接合された切断補助フィルム及び支持片形成用フィルムによって構成されている請求項1~4のいずれか一項記載の積層フィルム巻回体。
- 前記積層フィルムは、前記機能フィルムが前記巻芯側を向くように前記巻芯に巻き付けられている請求項1~4のいずれか一項記載の積層フィルム巻回体。
- 前記支持片形成用フィルムは、熱硬化性樹脂層と、前記熱硬化性樹脂層よりも剛性が高い高剛性層と、を有し、
前記高剛性層は、前記粘着層を介して前記基材フィルムの一面側に接合されている請求項5記載の積層フィルム巻回体。
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