JP2024033609A - 画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物、画像表示装置部材の貼合方法、及び画像表示装置 - Google Patents

画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物、画像表示装置部材の貼合方法、及び画像表示装置 Download PDF

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直樹 山川
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Abstract

【課題】100℃以下で硬化可能であり、画像表示装置部材に起因する硬化阻害を抑制可能な紫外線硬化型液状シリコーン組成物。【解決手段】(A-1)少なくとも2つのアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(A-2)分子鎖の一方の末端のみに脂肪族不飽和結合基を1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンと1分子中に1つの脂肪族不飽和結合基を有するシラン化合物とから選ばれる1種以上、(B-1)一般式(1)のオルガノハイドロジェンポリシロキサン【化1】TIFF2024033609000016.tif2377(R1、R2は炭化水素基、a、bはa/(a+b)が0.2以上、a+bが15以上となる整数)、及び(C)光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含み、Si-H基のモル数/脂肪族不飽和結合のモル数の比が0.9~1.5、Si-H基の合計数に対する(B-1)成分由来のSi-H基の比率が30モル%以上の紫外線硬化型液状シリコーン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物に関し、より詳細には、偏光板等の基材からの硬化阻害を受けずに硬化を行うことができる画像表示装置用紫外線付加硬化型液状オルガノポリシロキサン、画像表示装置部材の貼合方法、及び前記組成物を用いた画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)、フレキシブルディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)か、又はタッチパネル式FPDや3Dディスプレイや電子書籍などのような、液晶モジュール(LCM)やフレキシブルプリント配線板(FPC)などの部材に対して、タッチパネルやカバーガラス、カバーフィルムなどのもう一枚の部材を貼り合わせる際に使用する接着剤として、アクリル系樹脂や、ウレタン系樹脂、さらにはシリコーン系の接着剤が使用されている。近年、特に、光学的に高透明で、かつ耐光性、耐熱性に優れ、さらには低弾性率であるシリコーンゴム接着剤が注目されている。
タッチパネルデバイスには支持体由来の遮光部が存在しており、遮光部下に塗布された接着剤の硬化不良が問題となるケースがある。この課題を解決する方法として、付加硬化型の画像表示装置用接着剤、特に付加反応のトリガーを加熱でなく、紫外線照射とする付加硬化型材料の開発が活発化している(特許文献1)。紫外線付加硬化型材料では、紫外線照射を行い触媒が活性化した後でもしばらく液状を保持する為、遮光部となってしまう部分にも貼り合わせる前に紫外線照射を行うことで、遮光部下も一様に硬化・接着が可能である。
しかし、紫外線付加硬化型材料は、貼り合わせる画像表示装置部材、特に、偏光板、タッチパネル、ディスプレイパネル等について、紫外線照射により付加硬化反応の硬化阻害が発生する場合があり、硬化の遅れ、若しくは材料が硬化しなくなるといった現象がみられている。偏光板、液晶モジュール等の画像表示装置部材に紫外線が照射された際、画像表示装置部材の保護コーティング等に由来するベンジルアクリレート、ベンジルアルデヒド等の物質が発生する場合がある。これらの物質によって白金触媒を使用した付加反応における硬化阻害が発生すると考えられる(特許文献2)。
特開2019-210351号公報 特開2021-088634号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、100℃以下の温和な温度条件において短時間で硬化が可能であり、画像表示装置部材により引き起こされる硬化阻害を抑制可能な画像表示装置用の紫外線硬化型液状シリコーン組成物を提供することを目的とする。また、前記組成物を用いる画像表示装置部材の貼合方法及び前記組成物を用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物であって、
(A-1)25℃における粘度が50~100,000mPa・sであり、1分子中に少なくとも2つのケイ素原子に直結したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(A-2)分子鎖の一方の末端のみにケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンと1分子中に1つのケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を有するシラン化合物とから選ばれる1種以上、
(B-1)下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2024033609000001
(式中、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基又は水素原子であり、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、a及びbは、a/(a+b)が0.2以上かつa+bが15以上となる整数である。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)、及び
(C)光活性型ヒドロシリル化反応触媒
を含むものであり、かつ、
前記組成物中におけるケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)のモル数/ケイ素原子に直結した基に含まれる脂肪族不飽和結合のモル数の比が0.9~1.5であり、かつ、前記組成物中におけるSi-H基の合計数に対する前記(B-1)成分由来のSi-H基の占める比率が30モル%以上である画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を提供する。
上記画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物によれば、100℃以下の温和な温度条件において数分から数十分程度の短時間で硬化が可能であり、画像表示装置部材により引き起こされる硬化阻害を抑制可能である。特に室温においても数分~数時間の短時間で硬化を行うことができ、得られる硬化物は低硬度であるため画像表示装置への応力を抑えることができる。
また、前記(B-1)成分が、下記一般式(1’)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
Figure 2024033609000002
(式中、a及びbは、上記と同じである。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)
かかる(B-1)成分を用いると、画像表示装置部材により引き起こされる硬化阻害をより抑制できるため好ましい。
また、本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物は、更に、(B-2)ケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)を分子鎖の両側の末端のみに有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含むものであることが好ましい。
かかる(B-2)成分を用いると、硬化性に優れるため好ましい。
また、本発明では、
紫外線硬化型液状シリコーン組成物を介して2つ以上の画像表示装置部材を貼合する方法であって、
上記の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を少なくとも一つの画像表示装置部材に塗布する塗布工程と、
流動性を有する前記塗布された画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を介して他の画像表示装置部材を積層する貼合工程と、
前記塗布された画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物に紫外線を照射する紫外線照射工程と
を含む画像表示装置部材の貼合方法を提供する。
本発明の画像表示装置部材の貼合方法によれば、画像表示装置への応力を抑えつつ、画像表示装置部材により引き起こされる硬化阻害を抑制し、部材の貼り合わせを低温、短時間で行うことができる。
また、前記紫外線照射工程を、前記塗布工程後かつ前記貼合工程前に行うことができる。
もしくは、前記紫外線照射工程を、前記塗布工程後かつ前記貼合工程後に行ってもよい。
このとき、前記紫外線照射工程において、前記画像表示装置部材を透過するように紫外線を照射することができる。
本発明の画像表示装置部材の貼合方法では、紫外線照射工程を行うタイミングに自由度があるため、幅広い工程設計が可能である。
また、本発明では、上記の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物の硬化物を有するものである画像表示装置を提供する。
本発明の画像表示装置によれば、信頼性に優れ、視認性良好な画像表示装置を提供することができる。
以上のように、本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物であれば、100℃以下の低温、特に室温においても数分~数時間の短時間で硬化を行うことができ、画像表示装置部材により引き起こされる硬化阻害を抑制することができる。得られる硬化物は低硬度であるため、画像表示装置への応力を抑えることができる。
さらに、本発明の画像表示装置部材の貼合方法によれば、画像表示装置への応力を抑え、画像表示装置部材により引き起こされる硬化阻害を抑制しつつ部材の貼り合わせを行うことができるため、信頼性および視認性が良好な画像表示装置を提供することが可能であり、光デバイスやディスプレイ、特にタッチパネルの貼り合わせに有用である。
上述のように、100℃以下の温和な温度条件において短時間で硬化が可能であり、画像表示装置部材により引き起こされる硬化阻害を抑制可能な画像表示装置用の紫外線硬化型液状シリコーン組成物の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、下記(A-1)成分、(A-2)成分、(B-1)成分、及び(C)成分を含み、特定のケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)を特定量で含む画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物であって、
(A-1)25℃における粘度が50~100,000mPa・sであり、1分子中に少なくとも2つのケイ素原子に直結したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(A-2)分子鎖の一方の末端のみにケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンと1分子中に1つのケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を有するシラン化合物とから選ばれる1種以上、
(B-1)下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2024033609000003
(式中、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基又は水素原子であり、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、a及びbは、a/(a+b)が0.2以上かつa+bが15以上となる整数である。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)、及び
(C)光活性型ヒドロシリル化反応触媒
を含むものであり、かつ、
前記組成物中におけるケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)のモル数/ケイ素原子に直結した基に含まれる脂肪族不飽和結合のモル数の比が0.9~1.5であり、かつ、前記組成物中におけるSi-H基の合計数に対する前記(B-1)成分由来のSi-H基の占める比率が30モル%以上である画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物]
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物は、以下の(A-1)成分、(A-2)成分、(B-1)成分、及び(C)成分を含有してなるものであり、必要に応じて(B-2)成分、(B-3)成分、及びその他の成分を含んでもよい。以下、各成分について詳細に説明する。
[(A-1)成分]
(A-1)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個、好ましくは2~6個のケイ素原子に結合(直結)したアルケニル基(以下、「ケイ素原子結合アルケニル基」という)を含有するものである。
前記ケイ素原子結合アルケニル基は、炭素原子数が、好ましくは、2~8、より好ましくは2~4のものである。その具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特に好ましくはビニル基である。
上述したアルケニル基以外のケイ素原子に結合している有機基としては、非置換又は置換の炭素原子数1~10の脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基が挙げられ、具体的には、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等が例示される。直鎖状アルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等の炭素原子数1~10のものが挙げられ、より好ましくは炭素原子数1~6のものである。分岐鎖状アルキル基の好ましい例としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基等の炭素原子数1~10のものが挙げられ、より好ましくは1~6のものである。環状アルキル基の好ましい例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3~10のものが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニル基、トリル基等の炭素原子数6~10のものが挙げられる。アラルキル基の好ましい例としては、2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基等の炭素原子数7~10のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基の好ましい例としては、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-(ノナフルオロブチル)エチル基、2-(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基等の炭素原子数1~10のものが挙げられ、より好ましくは1~6のものである。
これらの中でも、好ましくは直鎖状アルキル基、アリール基であり、より好ましくは炭素原子数1~6の直鎖状アルキル基、アリール基であり、特に好ましくはメチル基、フェニル基である。
(A-1)成分の25℃における粘度は、50~100,000mPa・sの範囲内であり、好ましくは1000~100,000mPa・sの範囲内である。粘度がこの範囲内であると、本発明の組成物の取扱作業性を確保し易く、本発明の組成物の硬化物が良好な物性を確保し易い。なお、本明細書中、粘度は回転粘度計による25℃での測定値である。
(A-1)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、樹枝状(デンドリマー状)が挙げられ、好ましくは直鎖状、一部分岐を有する直鎖状である。なお、(A-1)成分は、基本的にシロキサン骨格からなり、アルコキシ基は含まないものである。(A-1)成分は、これらの分子構造を有する単一の重合体、これらの分子構造を有する共重合体、又はこれらの重合体の2種以上の混合物であってもよい。
(A-1)成分としては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、式:(CHSiO1/2で表されるシロキサン単位と式:(CH(CH=CH)SiO1/2で表されるシロキサン単位と式:CHSiO3/2で表されるシロキサン単位と式:(CHSiO2/2で表されるシロキサン単位とからなるオルガノシロキサン共重合体等が挙げられる。
(A-1)成分のオルガノポリシロキサンは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[(A-2)成分]
(A-2)成分は、分子鎖の一方の末端のみにケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサン、および/または、1分子中に1つのケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を有するシラン化合物であり、硬化阻害の軽減と低硬度化の両立を実現するための成分である。
上記直鎖状オルガノポリシロキサン中の脂肪族不飽和結合含有基としては、アルケニル基、メタクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシアルキル基等が挙げられ、アルケニル基としては、上記(A-1)成分において例示されたものと同様のものが挙げられ、好ましくはビニル基である。メタクリロイルオキシアルキル基としては、メタクリロイルオキシメチル基、3-メタクリロイルオキシプロピル基が好ましい。
上記直鎖状オルガノポリシロキサン中の脂肪族不飽和結合含有基以外のケイ素原子に結合している有機基としては、非置換又は置換の炭素原子数1~10の脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基が挙げられ、具体的には、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等が例示される。直鎖状アルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等の炭素原子数1~10のものが挙げられ、より好ましくは炭素原子数1~6のものである。分岐鎖状アルキル基の好ましい例としては、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基等の炭素原子数1~10のものが挙げられ、より好ましくは1~6のものである。環状アルキル基の好ましい例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3~10のものが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニル基、トリル基等の炭素原子数6~10のものが挙げられる。アラルキル基の好ましい例としては、2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基等の炭素原子数7~10のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基の好ましい例としては、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-(ノナフルオロブチル)エチル基、2-(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基等の炭素原子数1~10のものが挙げられ、より好ましくは1~6のものである。
これらの中でも、好ましくは直鎖状アルキル基、アリール基であり、より好ましくは炭素原子数1~6の直鎖状アルキル基、アリール基であり、特に好ましくはメチル基、フェニル基である。
上記直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルポリシロキサン、末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体、末端トリメチルシロキシ基・3-メタクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、末端トリメチルシロキシ基・3-メタクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、末端トリメチルシロキシ基・3-メタクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ基封鎖メチルトリフルオロプロピルポリシロキサン、末端トリメチルシロキシ基・3-メタクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルトリフルオロプロピルシロキサン共重合体等が挙げられる。
上記直鎖状オルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、1~100mPa・sの範囲が好ましく、より好ましくは10~50mPa・sの範囲である。粘度がこの範囲内であると、本発明の組成物の取扱作業性を確保し易く、本発明の組成物の硬化物が良好な物性を確保し易い。
上記シラン化合物としては、下記一般式(2)、(3)で表されるものが好ましい。
Figure 2024033609000004
(式中、Rは、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基であり、cは、1~20の整数であり、dは、0~3の整数である。)
のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。cは、好ましくは3~6の整数であり、dは、好ましくは3である。
(A-2)成分の直鎖状オルガノポリシロキサン及び/又はシラン化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
(A-2)成分の配合量は、(A-2)成分が直鎖状オルガノポリシロキサンである場合、(A-1)成分100質量部に対し、好ましくは10~300質量部、より好ましくは15~200質量部であり、(A-2)成分がシラン化合物である場合、(A-1)成分100質量部に対し、好ましくは0.05~3質量部、より好ましくは0.1~1質量部である。配合量がこの範囲内であると、本発明の組成物の硬化物が良好な物性を確保し易い。
[(B-1)成分]
(B-1)成分は、下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、上記(A-1)成分および(A-2)成分との付加硬化反応において、架橋剤として作用する成分である。
Figure 2024033609000005
(式中、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基又は水素原子であり、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、a及びbは、a/(a+b)が0.2以上かつa+bが15以上となる整数である。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)
、Rの一価炭化水素基としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1~10の直鎖状アルキル基、炭素数6~10のアリール基であり、特に好ましくはメチル基、フェニル基である。
aおよびbは、a/(a+b)が0.2~0.6となる数が好ましく、a+bが30~100となる数が好ましい。
(B-1)成分の25℃における粘度は、1~1000mPa・sの範囲が好ましく、より好ましくは10~200mPa・sの範囲である。粘度がこの範囲内であると、本発明の組成物の取扱作業性を確保し易く、本発明の組成物の硬化物が良好な物性を確保し易い。
(B-1)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等が挙げられ、特に、下記一般式(1’)で表される両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が好ましい。
Figure 2024033609000006
(式中、a及びbは、上記と同じである。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)
(B-1)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(B-2)成分]
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物は、更に、(B-2)成分として、ケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)を分子鎖の両側の末端のみに有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含んでもよい。
(B-2)成分の水素原子以外のケイ素原子に結合している基としては、非置換または置換の炭素数1~10、好ましくは1~6の脂肪族不飽和結合を除く一価炭化水素基が挙げらる。具体的には、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは直鎖状アルキル基、アリール基であり、特に好ましくはメチル基、フェニル基である。
(B-2)成分の25℃における粘度は特に限定されないが、好ましくは1~200mPa・sである。粘度がこの範囲内であると、本発明の組成物の取扱作業性が確保しやすく、本発明の組成物の硬化物の良好な物性を確保しやすい。
(B-2)成分の具体例としては、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
(B-2)成分の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(B-3)成分]
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物は、更に、(B-3)成分として、接着助剤を含んでもよい。
接着助剤としては、エポキシ基、アルコキシシリル基またはビスフェノール骨格を有し、脂肪族不飽和基を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられ、直鎖状、分岐鎖状、環状、樹枝状(デンドリマー状)等の構造を有するものが使用できる。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、下記式で示されるものが挙げられる。なお、下記式中、Meはメチル基を表す。
Figure 2024033609000007
(式中、括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)
Figure 2024033609000008
(B-3)成分は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物における(B-1)成分、(B-2)成分、及び(B-3)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、組成物中のケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)のモル数/ケイ素原子に直結した基に含まれる脂肪族不飽和結合のモル数の比(以下、[Si-H基のモル数]/[脂肪族不飽和結合のモル数]の比とも称する)が0.9~1.5となる量であり、かつ、組成物中におけるSi-H基の合計数に対する(B-1)成分由来のSi-H基の占める比率が30モル%以上、例えば30モル%~100モル%となる量である。[Si-H基のモル数]/[脂肪族不飽和結合のモル数]の比が0.9未満であると硬化性が不足し、1.5を超えると得られる硬化物の物性が劣る場合がある。また、Si-H基の合計数に対する(B-1)成分由来のSi-H基の占める率が30モル%未満であると、画像表示装置部材による硬化阻害が発生しやすくなる。
[(C)成分]
(C)成分は、光活性型ヒドロシリル化反応触媒であり、紫外線を照射して活性化すると、(A-1)成分および(A-2)成分中のケイ素原子結合アルケニル基、メタクリロイルオキシアルキル等の脂肪族不飽和炭素水素基と(B-1)~(B-3)成分中のSi-H基とのヒドロシリル化反応を促進する触媒作用を有する。
光活性型ヒドロシリル化反応触媒としては、環状ジエン化合物を配位子に持つ白金錯体が好ましく、具体例としては、(1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金錯体、(1,5-シクロオクタジエニル)ジプロピル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジメチル白金錯体、(2,5-ノルボラジエン)ジフェニル白金錯体、(シクロペンタジエニル)ジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)ジエチル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジフェニル白金錯体、(メチルシクロオクタ-1,5-ジエニル)ジエチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)エチルジメチル白金錯体、(シクロペンタジエニル)アセチルジメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(メチルシクロペンタジエニル)トリヘキシル白金錯体、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体、(ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル)トリフェニル白金錯体、及び(シクロペンタジエニル)ジメチルトリメチルシリルメチル白金錯体等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、(A-1)成分、(A-2)成分、(B-1)成分、(B-2)成分、および(B-3)成分の合計質量に対して、白金金属質量として好ましくは0.1~1,000ppmとなる量、より好ましくは5~500ppmとなる量で用いられる。配合量が0.1ppm以上であれば、紫外線照射による付加反応が促進され、十分に硬化が進行する。配合量が1,000ppm以下であれば、作業可能時間や組成物の保存性が確保できるとともに、得られる硬化物の耐熱性も良好となる。
[その他の成分]
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物には、上記成分以外にも、反応制御剤、(B-3)成分以外の接着助剤、無機充填材、有機溶剤、非反応性オルガノポリシロキサン等のその他の成分を配合してもよい。
反応制御剤は、上記(C)成分の光活性型ヒドロシリル化反応触媒(光活性型白金錯体硬化触媒)に対して硬化反応の反応速度を調節し、組成物の保存性を更に向上させる作用を有する化合物であれば特に限定されない。従来公知のものを用いることもでき、アセチレン化合物、各種窒素化合物、有機リン化合物等が利用できる。具体的には、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、3-ブチン-1-オール、ジメチルビス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ)シラン等のアセチレン化合物、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルイソシアヌレート誘導体等の各種窒素化合物、トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物等が例示できる。
反応制御剤の配合量は、反応制御剤の有する硬化反応の反応速度を調節する作用の度合が化学構造により異なる為、使用する反応制御剤ごとの最適な量に調整することが好ましい。最適な量の反応制御剤を配合することにより、作業性や生産性を向上させることができる。
(B-3)成分以外の接着助剤として、オルガノシロキサン骨格を含まない有機化合物を添加することも可能である。一例として、アリルグリシジルエーテル、安息香酸アリル、ビスフェノールAジアリルエーテル、KAYARAD R-604(日本化薬(株))等が挙げられる。
無機充填材としては、例えば、結晶性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ガラス繊維等の無機充填材;これらをオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した無機充填材;シリコーンゴムパウダー;シリコーンレジンパウダー等が挙げられる。
無機充填材の配合は、得られるシリコーン硬化物の力学特性の向上に寄与する一方、紫外線の透過性にも影響するため、目的に応じ最適な量に調整することが好ましい。
更に、本発明の組成物は有機溶剤を配合することなく好適に用いることができるものであるが、本発明の組成物を各種基材にコーティングする際、コーティング装置等の条件により、トルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸エチル等の有機溶剤で本発明の組成物を任意の濃度に希釈してもよい。
また、同様に低粘度化する方法として、Si-H基、脂肪族不飽和結合含有基、エポキシ基、アルコキシシリル基、シラノール基等の反応性基を有しない非反応性オルガノポリシロキサンを用いても良い。
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物の25℃における粘度は、10~120,000mPa・sが好ましく、より好ましくは1,000~50,000mPa・sである。このような範囲であれば塗布性に優れ、基材上に一定の膜厚でとどまることができる。
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物は、原理的に、プライマー処理、プラズマ処理、エキシマ光処理などの周知の過程で追加される前処理工程によって活性化された基材の貼り合わせ等にも用いることができる。
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物の硬化方法は、例えば、上記液状シリコーン組成物に紫外線を照射後、40℃以下で硬化させる、あるいは、上記液状シリコーン組成物に紫外線を照射後、100℃以下、30分以内で硬化させる方法を用いることができる。
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を硬化させるのに有用な紫外線源としては、種々の紫外線波長帯域において紫外線エネルギーを発出するように設計された通常の水銀蒸気ランプや、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)素子が挙げられる。例えば、有用な紫外線波長範囲は、220~400nmであり、より好ましくは320~375nmである。また、硬化に有用な紫外線照射量は、硬化に充分な照射量であれば特に制限されないが、好ましくは1,000~10,000mJ/cmであり、より好ましくは1,500~7,500mJ/cmである。
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物の硬化方法は、100℃以下の低温、特に室温においても数分~数時間の短時間で硬化することが可能である為、樹脂基材のような熱に弱い部材に対しても使用できる。
[画像表示装置部材の貼合方法]
本発明の画像表示装置部材の貼合方法は、紫外線硬化型液状シリコーン組成物を介して2つ以上の画像表示装置部材を貼合する方法であって、本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を少なくとも一つの画像表示装置部材に塗布する塗布工程と、流動性を有する前記塗布された画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を介して他の画像表示装置部材を積層する貼合工程と、前記塗布された画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物に紫外線を照射する紫外線照射工程とを含む画像表示装置部材の貼合方法である。
本発明の画像表示装置部材の貼合方法では、紫外線照射工程を、塗布工程後かつ貼合工程前に行ってもよく、塗布工程後かつ貼合工程後に行ってもよい。
また、紫外線照射工程において、画像表示装置部材を透過するように紫外線を照射することも好ましい。
また、紫外線照射工程の後、更に40℃以下で上記液状シリコーン組成物の硬化を行う硬化工程を含んでもよく、又は、前記紫外線照射工程の後、更に100℃以下、30分以内の条件で上記液状シリコーン組成物の硬化を行う硬化工程を含んでもよい。
本発明の画像表示装置部材の貼合方法によれば、画像表示装置への応力を抑えつつ、画像表示装置部材により引き起こされる硬化阻害を抑制し、部材の貼り合わせを低温、短時間で行うことができる。また、本発明の画像表示装置部材の貼合方法では、紫外線照射工程を行うタイミングに自由度があるため、幅広い工程設計が可能である。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物の硬化物を有する画像表示装置である。
本発明の画像表示装置に用いる本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物は、紫外線照射後に23℃で、24時間の条件で硬化後の針入度が10~100であることが好ましい。針入度が上記範囲であると、画像表示装置に使用した際に偏光板の応力歪みを低減し、点灯表示を行った際の光抜け(通電時白画面表示に対して黄色い模様が出る現象、若しくは、黒画面に対して白い模様が出る現象)を抑制する事ができる。
本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物は、紫外線照射後100℃以下の比較的温和な温度にて数分程の短時間で硬化することができ、生産性に優れている。また、室温においても数分~数時間の短時間で硬化することが可能である為、樹脂基材のような熱に弱い部材に対しても使用できる。
また、上述したように、硬化後に低硬度であることから周辺部材に大きな応力をかける心配がなく、光抜け現象を抑制でき、視認性良好な画像表示装置を提供することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1~10、比較例1~4]
下記に示す各成分を表1、2の配合量(質量部)にて混合し、実施例1~10及び比較例1~4の組成物を得た。
なお、下記例においてMeはメチル基を示す。粘度は回転粘度計による25℃での測定値である。紫外線照射は、波長365nmのLEDランプを用い、照度100mW/cmおよび積算光量3,000mJ/cmの条件で行った。
(A-1)成分
粘度が10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン
(A-2)成分
A-2-I :分子鎖末端トリメチルシロキシ基・ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(25℃における粘度25mPa・s)
A-2-II :トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シラン
A-2-III:3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン
(B-1)成分
B-1-I :上記一般式(1)においてa/(a+b)が0.36、a+bが44の両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(25℃における粘度100mPa・s)
B-1-II :上記一般式(1)においてa/(a+b)が0.24、a+bが83の両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(25℃における粘度100mPa・s)
B-1-III:上記一般式(1)においてa/(a+b)が0.53、a+bが38の両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(25℃における粘度18mPa・s)
B-1-IV :上記一般式(1)においてa/(a+b)が0.14、a+bが28の両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(25℃における粘度25mPa・s)
(B-2)成分
粘度が20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン
(B-3)成分
下記式で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2024033609000009
(式中、括弧内のシロキサン単位の配列順は、任意(ランダムまたはブロック)である。)
(C)成分
(メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金錯体の0.5質量%[分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度600mPa・s)]溶液
その他成分
反応制御剤:ジメチルビス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ)シラン
[評価方法]
上記で得られたシリコーン組成物に対して、下記のようにして流動停止時間、針入度、偏光板上の硬化性の評価を行った。その結果を表1、2に併記する。
流動停止時間:
23℃でシリコーン組成物をガラスシャーレに高さ1cmとなるように流し入れ、前記所定量の紫外線を照射後、ガラスシャーレを水平に対して90°傾け、シリコーン組成物が流れ出なくなるまでの時間を測定した。なお、流動停止時間は1~20分であることが好ましい。
針入度:
23℃でシリコーン組成物をガラスシャーレに高さ1cmとなるように流し入れ、前記所定量の紫外線を照射後、23℃で1日静置し硬化したサンプルについてJIS K 6249に準じて針入度を測定した。
偏光板上の硬化性:
偏光板(日東電工製 NPF-SWQ423CUARC380)上にシリコーン組成物を0.5ml塗布し、前記所定量の紫外線を照射後、23℃で1時間静置した。その後、硬化物を偏光板から手で引きはがし、偏光板と組成物の界面の硬化状態を指触で確認した。硬化物全体が硬化しているものを「○」、界面が未硬化で液状のままであるものを「×」として評価した。
Figure 2024033609000010
Figure 2024033609000011
表1に示されるように、本発明の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物は、室温において数分から数十分で硬化が可能であり、偏光板からの硬化阻害を抑制することができる。一方、表2に示されるように、(B-1)成分を本発明の範囲を満たさないオルガノハイドロジェンポリシロキサンに変更した比較例1,2、本発明の[Si-H基のモル数]/[脂肪族不飽和結合のモル数]の比を満たさない比較例3、およびSi-H基の合計数に対する(B-1)成分由来のSi-H基の割合が不足する比較例4では、偏光板からの硬化阻害を受け、偏光板と組成物の界面において未硬化であった。
本明細書は、以下の発明を包含する。
[1]:画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物であって、(A-1)25℃における粘度が50~100,000mPa・sであり、1分子中に少なくとも2つのケイ素原子に直結したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(A-2)分子鎖の一方の末端のみにケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンと1分子中に1つのケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を有するシラン化合物とから選ばれる1種以上、(B-1)下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2024033609000012
(式中、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基又は水素原子であり、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、a及びbは、a/(a+b)が0.2以上かつa+bが15以上となる整数である。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)、及び(C)光活性型ヒドロシリル化反応触媒を含むものであり、かつ、前記組成物中におけるケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)のモル数/ケイ素原子に直結した基に含まれる脂肪族不飽和結合のモル数の比が0.9~1.5であり、かつ、前記組成物中におけるSi-H基の合計数に対する前記(B-1)成分由来のSi-H基の占める比率が30モル%以上であることを特徴とする画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物。
[2]:前記(B-1)成分が、下記一般式(1’)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする上記[1]に記載の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物。
Figure 2024033609000013
(式中、a及びbは、上記と同じである。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)
[3]:更に、(B-2)ケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)を分子鎖の両側の末端のみに有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含むものであることを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物。
[4]:紫外線硬化型液状シリコーン組成物を介して2つ以上の画像表示装置部材を貼合する方法であって、上記[1]、上記[2]、又は上記[3]に記載の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を少なくとも一つの画像表示装置部材に塗布する塗布工程と、流動性を有する前記塗布された画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を介して他の画像表示装置部材を積層する貼合工程と、前記塗布された画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物に紫外線を照射する紫外線照射工程とを含むことを特徴とする画像表示装置部材の貼合方法。
[5]:前記紫外線照射工程を、前記塗布工程後かつ前記貼合工程前に行うことを特徴とする上記[4]に記載の画像表示装置部材の貼合方法。
[6]:前記紫外線照射工程を、前記塗布工程後かつ前記貼合工程後に行うことを特徴とする上記[4]に記載の画像表示装置部材の貼合方法。
[7]:前記紫外線照射工程において、前記画像表示装置部材を透過するように紫外線を照射することを特徴とする上記[6]に記載の画像表示装置部材の貼合方法。
[8]:上記[1]、上記[2]、又は上記[3]に記載の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物の硬化物を有するものであることを特徴とする画像表示装置。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (8)

  1. 画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物であって、
    (A-1)25℃における粘度が50~100,000mPa・sであり、1分子中に少なくとも2つのケイ素原子に直結したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
    (A-2)分子鎖の一方の末端のみにケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を1つ有する直鎖状オルガノポリシロキサンと1分子中に1つのケイ素原子に直結した脂肪族不飽和結合含有基を有するシラン化合物とから選ばれる1種以上、
    (B-1)下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    Figure 2024033609000014
    (式中、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基又は水素原子であり、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、a及びbは、a/(a+b)が0.2以上かつa+bが15以上となる整数である。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)、及び
    (C)光活性型ヒドロシリル化反応触媒
    を含むものであり、かつ、
    前記組成物中におけるケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)のモル数/ケイ素原子に直結した基に含まれる脂肪族不飽和結合のモル数の比が0.9~1.5であり、かつ、前記組成物中におけるSi-H基の合計数に対する前記(B-1)成分由来のSi-H基の占める比率が30モル%以上であることを特徴とする画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物。
  2. 前記(B-1)成分が、下記一般式(1’)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物。
    Figure 2024033609000015
    (式中、a及びbは、上記と同じである。a及びbが付された括弧内のシロキサン単位の配列順は任意であってよい。)
  3. 更に、(B-2)ケイ素原子に直結した水素原子(Si-H基)を分子鎖の両側の末端のみに有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物。
  4. 紫外線硬化型液状シリコーン組成物を介して2つ以上の画像表示装置部材を貼合する方法であって、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を少なくとも一つの画像表示装置部材に塗布する塗布工程と、
    流動性を有する前記塗布された画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物を介して他の画像表示装置部材を積層する貼合工程と、
    前記塗布された画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物に紫外線を照射する紫外線照射工程と
    を含むことを特徴とする画像表示装置部材の貼合方法。
  5. 前記紫外線照射工程を、前記塗布工程後かつ前記貼合工程前に行うことを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置部材の貼合方法。
  6. 前記紫外線照射工程を、前記塗布工程後かつ前記貼合工程後に行うことを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置部材の貼合方法。
  7. 前記紫外線照射工程において、前記画像表示装置部材を透過するように紫外線を照射することを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置部材の貼合方法。
  8. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像表示装置用紫外線硬化型液状シリコーン組成物の硬化物を有するものであることを特徴とする画像表示装置。
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