JP2024031217A - 樹脂シート、及び、積層シート - Google Patents

樹脂シート、及び、積層シート Download PDF

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Abstract

【課題】放熱性に優れ、被着体に対して優れた接着性を発揮し得る樹脂シートを提供すること。【解決手段】本開示の一側面は、六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した凝集粒子と、六方晶窒化ホウ素の鱗片状粒子とが、樹脂中に分散した、樹脂シートであって、上記樹脂シートの第一主面及び第二主面に直交する断面において、上記凝集粒子及び上記鱗片状粒子の合計の面積が上記断面の40~80面積%であり、上記凝集粒子の平均粒子径が40μm以上であり、上記第一主面から上記第二主面に向かって50μmまでの領域において、上記鱗片状粒子の上記第一主面の延びる方向とa軸とのなす角の平均角度が28~50°であり、且つ、上記第一主面の延びる方向とa軸とのなす角が0~20°である上記鱗片状粒子の割合が上記鱗片状粒子の総数の50%以下である、樹脂シートを提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、樹脂シート、及び、積層シートに関する。
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、及びCPU等の電子部品においては、使用時に発生する熱を効率的に放熱することが課題となっている。この課題に対して、従来、電子部品を実装するプリント配線板の絶縁層の高熱伝導化や、電子部品又はプリント配線板を電気絶縁性の熱インターフェース材(Thermal Interface Materials)を介してヒートシンクに取り付けることが行われてきた。このような絶縁層及び熱インターフェース材には、熱伝導率が高いセラミックス粉末が用いられる。
セラミックス粉末としては、高熱伝導率、高絶縁性、及び低比誘電率等の特性を有している窒化ホウ素粉末が注目されている。六方晶窒化ホウ素の一次粒子は、面内方向(a軸方向)の熱伝導率が400W/(m・K)であるのに対して、厚み方向(c軸方向)の熱伝導率が2W/(m・K)であり、結晶構造と鱗片形状とに由来する熱伝導率の異方性が大きい。さらに、六方晶窒化ホウ素粉末を樹脂に充填すると、粒子同士が同一方向に揃って配向する。そのため、例えば、熱インターフェース材の製造時に、六方晶窒化ホウ素の一次粒子の面内方向(a軸方向)と熱インターフェース材の厚み方向とが垂直になり、六方晶窒化ホウ素の一次粒子の面内方向(a軸方向)における優れた熱伝導率を十分に活かすことができなかった。
上述のような形状に基づく異方性を低減する観点から、一次粒子が凝集した凝集粒子を形成する方法が検討されている。特許文献1では、窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる窒化ホウ素凝集粒子が開示されており、所定の成形圧力を加えた場合でも凝集粒子の崩壊が抑制できる程度に上記凝集粒子の強度を高めることによって、窒化ホウ素一次粒子が同一方向に揃って配向することを抑制する旨が記載されている。
特開2016-135731号公報
近年、電子部品を搭載したデバイスでは信号の高速伝送化や大容量化が進んでおり、放熱部材にもより高い放熱性が求められている。樹脂シート等の放熱部材の調製において、比較的粒子径の大きな凝集粒子を用いた場合、凝集粒子間には比較的大きな空間が生じ、当該空間は熱伝導率の低い樹脂で占められる。放熱性を向上させるためには、例えば、凝集粒子間に存在する樹脂部に対して、六方晶窒化ホウ素の一次粒子等の放熱フィラーが充填されるように、放熱フィラーの充填量を増加させる手段が考えられる。しかし、本発明者らの検討によれば、樹脂に対する放熱フィラーの充填量を増加させて調製した樹脂シートにおいては、樹脂シートと、被着体との界面における接着性が十分に発揮されない場合が生じ得る。
本開示は、放熱性に優れ、被着体に対して優れた接着性を発揮し得る樹脂シートを提供することを目的とする。本開示はまた、上述の樹脂シートを備える、積層シートを提供することを目的とする。
上述の課題解決にあたり本発明者らが検討したところ、以下の知見を得た。樹脂シートの厚さ方向に沿った断面において、凝集粒子の間にも六方晶窒化ホウ素の一次粒子が分散されていることが確認できる。しかし、このような場合でも、上記断面の表層近傍において、樹脂シート主面の延びる方向に対して、a軸が平行になるように配向した一次粒子が多く存在する場合、被着体との接着力が低下する傾向にあること、凝集粒子の間に分散する一次粒子の配向を制御するためには、表層付近における一次粒子の粒子数を少なくすること及び樹脂シート主面の延びる方向に平行に一次粒子が配列するのを抑制して樹脂シートを作製すること、が有効であるとの知見を得た。本開示はこれらの知見に基づくものである。
本開示の一側面は、六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した凝集粒子と、六方晶窒化ホウ素の鱗片状粒子とが、樹脂中に分散した、樹脂シートであって、上記樹脂シートの第一主面及び第二主面に直交する断面において、上記凝集粒子及び上記鱗片状粒子の合計の面積が上記断面の40~80面積%であり、上記凝集粒子の平均粒子径が40μm以上であり、上記第一主面から上記第二主面に向かって50μmまでの領域において、上記鱗片状粒子の上記第一主面の延びる方向とa軸とのなす角の平均角度が28~50°であり、且つ、上記第一主面の延びる方向とa軸とのなす角が0~20°である上記鱗片状粒子の割合が上記鱗片状粒子の総数の50%以下である、樹脂シートを提供する。
上記樹脂シートは、平均粒子径が一定以上の凝集粒子と、鱗片状粒子とを含み、シート断面において観測される窒化ホウ素の粒子の面積が上記所定範囲内であることによって、放熱性と接着性とを兼ね備える。上記樹脂シートではさらに、シート断面の表層50μmにおいて、鱗片状粒子の配向が上述の条件を充足するように制御されたものであることによって、被着体との優れた接着性を発揮し得る。
上記樹脂シートの第一主面及び第二主面に直交する断面において観測される上記一次粒子の長径及び上記鱗片状粒子の長径の平均値が、1~20μmであってよい。
本開示の一側面は、上述の樹脂シートと、上記樹脂シートの上記第一主面側に設けられた金属層と、を有する、積層シートを提供する。
上記金属層の上記樹脂シート側の主面における算術平均粗さRaが0.5μm以上であってよい。
本開示によれば、放熱性に優れ、被着体に対して優れた接着性を発揮し得る樹脂シートを提供できる。本開示によればまた、上述の樹脂シートを備える、積層シートを提供できる。
図1は、樹脂シートの一例を示す模式図である。 図2は、図1のII-II線に沿った断面の部分断面図である。 図3は、鱗片状粒子の配向を説明するための模式図である。 図4は、積層シートの一例を示す模式図である。
以下、場合によって図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合によって重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書において例示する材料は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
樹脂シートの一実施形態は、六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した凝集粒子と、六方晶窒化ホウ素の鱗片状粒子とが、樹脂中に分散した、樹脂シートである。六方晶窒化ホウ素の一次粒子の形状は、例えば、鱗片状であってよく、上記鱗片状粒子と同様の形状であってよい。上記鱗片状粒子は、樹脂シートの製造の過程で、上記凝集粒子から脱離したもの、又は上記凝集粒子が崩壊することで生じたものであってよい。
図1は、樹脂シートの一例を示す模式図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面の部分断面図である。樹脂シート100は、樹脂部6と、上記樹脂部6中に分散された複数の鱗片状粒子2、及び複数の凝集粒子4とからなる。上記部分断面図は、上記樹脂シート100の第一主面100A及び第二主面100Bに直交する断面となっている。上記部分断面図は、樹脂シートの厚み方向に沿った断面である。
上記樹脂シート100の厚さは、例えば、50~500μm、60~400μm、又は80~300μmであってよい。本明細書における樹脂シート100の厚さは、主面に直交する方向に沿って測定される値を意味する。樹脂シート100の厚さが一定ではない場合、任意の10箇所を選択して厚さの測定を行い、その平均値が上述の範囲であればよい。
上記樹脂シート100の第一主面100A及び第二主面100Bに直交する断面において、上記凝集粒子4及び上記鱗片状粒子2の合計の面積は上記断面の40~80面積%となっている。上記合計の面積の下限値は、上記断面の面積を100面積%として、例えば、42面積%以上、44面積%以上、46面積%以上、48面積%以上、又は50面積%以上であってよい。上記合計の面積の下限値が上記範囲内であることで、得られる樹脂シート100の放熱性をより向上させることができる。上記合計の面積の上限値は、上記断面の面積を100面積%として、例えば、75面積%以下、70面積%以下、65面積%以下、60面積%以下、又は55面積%以下であってよい。上記合計の面積の上限値が上記範囲内であることで、樹脂シート100における樹脂部6の割合を高め被着体との接着性をより向上させることができる。
本明細書において上記合計の面積は、以下に示す方法で決定される値を意味する。まず測定対象となる樹脂シートの厚み方向と平行となるように断面ミリング加工を行うことによって、上記凝集粒子及び上記鱗片状粒子の断面が露出した試料を調製する。この断面を走査型電子顕微鏡によって撮影する。得られた粒子像を画像解析ソフトウェアに取り込み、得られた写真から六方晶窒化ホウ素に対応する粒子部分の面積を測定する。得られた測定値と、上記断面の総面積から、上記合計の面積を算出する。走査型電子顕微鏡としては、例えば、日本電子株式会社製の「JSM-6010LA」(商品名)等を使用できる。画像解析ソフトウェアとしては、例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-View」(商品名)等を使用できる。なお、測定を容易にする観点から、樹脂シートを構成する半硬化樹脂の硬化率次第では、樹脂シートに対して加熱処理し樹脂を硬化させることによって、粒子の配向、位置を固定したうえで測定を行ってもよい。
上記樹脂シート100の第一主面100A及び第二主面100Bに直交する断面において、上記凝集粒子4の平均粒子径は40μm以上である。上記凝集粒子4の平均粒子径の下限値は、例えば、45μm以上、50μm以上、55μm以上、60μm以上、又は65μm以上であってよい。上記凝集粒子4の平均粒子径の下限値が上記範囲内であることで、放熱性をより向上させ得る。上記凝集粒子4の平均粒子径の上限値は、例えば、100μm以下、90μm以下、85μm以下、80μm以下、75μm以下、73μm以下、又は70μm以下であってよい。上記凝集粒子4の平均粒子径の上限値が上記範囲内であることで、絶縁性をより向上させ得る。上記凝集粒子4の平均粒子径は上述の範囲内で調整してよく、例えば、40~100μm、50~80μm、又は55~75μmであってよい。
本明細書における凝集粒子4の平均粒子径は、以下に示す方法で決定される値を意味する。まず測定対象となる樹脂シートの厚み方向と平行となるように断面ミリング加工を行うことによって、上記凝集粒子の断面が露出した試料を調製する。この断面を走査型電子顕微鏡によって撮影する。得られた粒子像を画像解析ソフトウェアに取り込み、得られた写真から凝集粒子の外接円の直径を測定する。測定は、凝集粒子の外縁を含む全体が確認できる粒子の中から、任意に選択した100個の凝集粒子に対して行うものとする。測定値の算術平均値を計算し、これを凝集粒子の平均粒子径とする。走査型電子顕微鏡としては、例えば、日本電子株式会社製の「JSM-6010LA」(商品名)等を使用できる。画像解析ソフトウェアとしては、例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-View」(商品名)等を使用できる。
上述の樹脂シート100は、被着体との接着に係るシート表層の領域において、第一主面100Aと平行に近くなるように配向している鱗片状粒子2の存在割合が低く抑制されており、鱗片状粒子2の配向が第一主面100Aに対して所定の角度をなすように調整されたものとなっている。図3は、鱗片状粒子2の配向を説明するための模式図である。図3において、鱗片状粒子2のa軸方向は、樹脂シート100の第一主面100Aの延びる方向に対して、角度θだけ傾いていることを示している。当該角度θが小さく、第一主面100Aと、鱗片状粒子2のa軸とが平行に近く(鱗片状粒子2のab軸結晶平面が第一主面100Aと平行に近く)なるように鱗片状粒子2が配置されている場合、樹脂シート100と被着体との接着性が低下する傾向にある。
上述の樹脂シート100において、上記樹脂シート100の第一主面100A及び第二主面100Bに直交する断面において、上記第一主面100Aから上記第二主面100Bに向かって50μmまでの領域において、上記鱗片状粒子の上記第一主面100Aの延びる方向とa軸とのなす角の平均角度が28~50°であり、且つ、上記第一主面100Aの延びる方向とa軸とのなす角が0~20°である上記鱗片状粒子の割合が上記鱗片状粒子の総数の50%以下である。
上記鱗片状粒子の上記第一主面100Aの延びる方向とa軸とのなす角の平均角度の下限値は、例えば、29°以上、35°以上、38°以上、又は40°以上であってよい。上記平均角度の下限値が上記範囲内であることで、接着性をより向上し得る。上記鱗片状粒子の上記第一主面100Aの延びる方向とa軸とのなす角の平均角度の上限値は、例えば、48°以下、46°以下、44°以下、又は42°以下であってよい。
上記第一主面100Aの延びる方向とa軸とのなす角が0~20°である上記鱗片状粒子の割合の上限値は、例えば、上記鱗片状粒子の総数を基準として、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、35%以下、33%以下、又は30%以下であってよい。上記割合の上限値が上記範囲内であることは、被着体との接着の際に界面において、滑りを生じるような配向をもった鱗片状粒子の存在割合が低く抑えられていることを意味し、得られる樹脂シートは被着体とのより優れた接着性を発揮し得る。上記第一主面100Aの延びる方向とa軸とのなす角が0~20°である上記鱗片状粒子の割合の下限値は特に限定されるものではなく、0%(すべての鱗片状粒子のa軸が、上記第一主面100Aの延びる方向に対して30°を超える角度をなすように配列している状態)であってもよいが、例えば、上記鱗片状粒子の総数を基準として、2%以上、又は5%以上であってよい。
本明細書における鱗片状粒子のa軸が第一主面100Aの延びる方向となす角度θ等は、以下に示す方法で決定される値を意味する。まず測定対象となる樹脂シートの厚み方向と平行となるように断面ミリング加工を行うことによって、上記鱗片状粒子の断面が露出した試料を調製する。この断面を走査型電子顕微鏡によって撮影する。得られた粒子像を画像解析ソフトウェアに取り込み、得られた写真から、角度θを測定する。測定は、上記第一主面100Aから上記第二主面100Bに向かって50μmまでの領域において、任意に選択した50個の鱗片状粒子に対して行うものとする。測定走査型電子顕微鏡としては、例えば、日本電子株式会社製の「JSM-6010LA」(商品名)等を使用できる。画像解析ソフトウェアとしては、例えば、「GIMP」(商品名)等を使用できる。なお、測定を容易にする観点から、樹脂シートを構成する半硬化樹脂の硬化率次第では、樹脂シートに対して加熱処理し樹脂を硬化させることによって、粒子の配向、位置を固定したうえで測定を行ってもよい。
上記樹脂シート100の第一主面100A及び第二主面100Bに直交する断面において観測される上記一次粒子の長径及び上記鱗片状粒子2の長径の平均値は、観測される一次粒子、鱗片状粒子を区別しない粒子の長径の平均値(以下、粒子長径の平均値とも記す)であり、1~20μmであってよい。上記粒子長径の平均値の下限値は、例えば、2μm以上、3μm以上、4μm以上、又は5μm以上であってよい。上記粒子長径の平均値の下限値が上記範囲内であることで、放熱性をより向上し得る。上記粒子長径の平均値の上限値は、例えば、18μm以下、16μm以下、14μm以下、12μm以下、10μm以下、又は8μm以下であってよい。上記粒子長径の平均値の上限値が上記範囲内であることで、凝集粒子が崩壊することを抑制し、接着性を更に向上し得る。
本明細書における粒子長径の平均値は、以下に示す方法で決定される値を意味する。まず測定対象となる樹脂シートの厚み方向と平行となるように断面ミリング加工を行うことによって、上記一次粒子及び上記鱗片状粒子の断面が露出した試料を調製する。この断面を走査型電子顕微鏡によって撮影する。得られた粒子像を画像解析ソフトウェアに取り込み、得られた写真から矩形状に観測される粒子の長辺(粒子長径に相当)を測定する。測定は、任意に選択した100個の一次粒子に対して行うものとする。観測対象とする粒子は上記一次粒子及び上記鱗片状粒子であるから、凝集粒子を構成する一次粒子も含めて測定対象とする。測定値の算術平均値を計算し、これを粒子長径の平均値とする。走査型電子顕微鏡としては、例えば、日本電子株式会社製の「JSM-6010LA」(商品名)等を使用できる。画像解析ソフトウェアとしては、例えば、株式会社マウンテック製の「Mac-View」(商品名)等を使用できる。なお、測定を容易にする観点から、樹脂シートを構成する半硬化樹脂の硬化率次第では、樹脂シートに対して加熱処理し樹脂を硬化させることによって、粒子の配向、位置を固定したうえで測定を行ってもよい。
上記樹脂シート100における樹脂部6は、硬化樹脂を含んでもよく、硬化樹脂からなっていてもよい。樹脂部6を構成する硬化樹脂の種類は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、及びマレイミド変性樹脂等が挙げられる。
上述の樹脂シートは、例えば、以下のような方法で製造することができる。樹脂シートの製造方法の一例は、六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した凝集粒子を含む窒化ホウ素粉末に対して、樹脂、硬化剤、及び溶剤を加え混合し、せん断速度0.1/s時の粘度が5~100Pa・sの樹脂組成物を調製し、支持体上に上記樹脂組成物の樹脂層を形成し、80~120℃で、15~90分間加熱処理することで樹脂を半硬化さることで樹脂シートを形成すること(成形工程)を有する。かかる製法では、樹脂シートが支持体上に設けられた態様で得られ、例えば、金属板等に転写し、積層シートを製造するために使用することもできる。なお、半硬化樹脂とは、樹脂組成物の硬化がある程度進行しており、且つ、その後の硬化処理によって更に硬化を進行させることが可能な状態にある樹脂を意味し、いわゆるBステージ状態にある樹脂であってよい。また、上述の樹脂組成物の硬化物(Cステージ)は、樹脂組成物の硬化反応が十分に進行したものを意味し、完全に硬化した状態を含む。半硬化樹脂が、硬化物(Cステージ)となる前の半硬化物(Bステージ)であることは、例えば、示差走査熱量計によって確認することができる。
窒化ホウ素粉末としては、例えば、いわゆるBC法を応用した調製方法によって調製されたものであってもよい。BC法を応用した調製方法の一例は、炭化ホウ素粉末を、窒素加圧雰囲気下で焼成して、炭窒化ホウ素を含む焼成物を得る工程(窒化工程)と、当該焼成物と、ホウ酸を含むホウ素含有化合物とを含む混合粉末を加熱して鱗片状である六方晶窒化ホウ素の一次粒子を生成し、一次粒子が凝集して構成される凝集粒子を含む窒化ホウ素粉末を得る工程(結晶化工程)と、を有する。上記調製方法において、ホウ素含有化合物の含有量は、炭窒化ホウ素粉末100質量部に対して、50質量部以上である。
窒化工程では、炭化ホウ素粉末を、窒素加圧雰囲気下で焼成して炭窒化ホウ素(BCN)を含む焼成物を得る。窒化工程における焼成温度は、例えば、1800~2400℃、1900~2400℃、1800~2200℃、又は1900~2200℃であってよい。
窒化工程における圧力は、0.6~1.0MPa、0.7~1.0MPa、0.6~0.9MPa、又は0.7~0.9MPaであってよい。当該圧力の下限値を上記範囲内とすることで、炭化ホウ素の窒化をより十分に進行させることができる。一方、当該圧力が高すぎると、製造コストが上昇する傾向にある。
窒化工程における窒素加圧雰囲気の窒素ガス濃度は95.0体積%以上、又は99.9体積%以上であってよい。窒化工程における焼成時間は、窒化が十分進む範囲であれば特に限定されず、例えば、6~30時間、又は8~20時間であってもよい。
結晶化工程では、窒化工程で得られた炭窒化ホウ素を含む焼成物とホウ素含有化合物とを含む配合物を加熱して、鱗片状である窒化ホウ素の一次粒子を生成し、一次粒子が凝集して構成される塊状粒子を含む窒化ホウ素粉末を得る。すなわち、結晶化工程では、炭窒化ホウ素を脱炭化させるとともに、所定の大きさの鱗片状の一次粒子を生成させつつ、これらを凝集させて塊状粒子を含む窒化ホウ素粉末を得る。
ホウ素含有化合物としては、ホウ酸に加えて、酸化ホウ素等が挙げられる。結晶化工程で加熱する混合粉末は、公知の添加物を含有してもよい。
混合粉末において、炭窒化ホウ素とホウ素含有化合物との配合割合は、モル比に応じて適切に設定可能である。混合粉末におけるホウ素含有化合物の含有量は、炭窒化ホウ素100質量部に対して、例えば、50~300質量部、100~300質量部、100~250質量部、又は150~250質量であってよい。ホウ素含有化合物を炭窒化ホウ素に対して過剰量となるように含有させ、加熱処理することで炭化ホウ素の未反応部及び炭窒化ホウ素を十分に反応させて、その含有量を低減することができる。
結晶化工程において混合粉末を加熱する加熱温度は、例えば、1800~2200℃、2000~2200℃、又は2000~2100℃であってよい。加熱温度を上記範囲内とすることで、粒成長をより十分に進行させることができる。結晶化工程は、常圧(大気圧)の雰囲気下で加熱してもよく、加圧して大気圧を超える圧力で加熱してもよい。加圧する場合には、例えば0.5MPa以下、又は0.3MPa以下であってよい。
結晶化工程における加熱時間は、例えば、0.5~40.0時間、0.5~35.0時間、又は1.0~30.0時間であってよい。加熱時間が短すぎると粒成長が十分に進行しない傾向にある。一方、加熱時間が長すぎると工業的に不利になる傾向にある。
以上の工程によって、窒化ホウ素粉末を得ることができる。結晶化工程の後に、粉砕工程を行ってもよい。粉砕工程においては、一般的な粉砕機又は解砕機を用いることができる。例えば、ボールミル、振動ミル、ジェットミル等を用いることができる。なお、「粉砕」には、「解砕」も含まれる。粉砕及び分級によって、窒化ホウ素粉末の平均粒径を15~200μmに調整してもよい。
こうして得られる窒化ホウ素粉末は、凝集粒子と、凝集粒子に取り込まれなかった鱗片状粒子とを含む。上述の製造方法において使用する窒化ホウ素粉末としては、これらの中でも、例えば、六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した凝集粒子と、六方晶窒化ホウ素の鱗片状粒子とを含み、上記凝集粒子の圧壊強さが5MPa以上であり、配向性指数が20以下、且つ比表面積が6.0m/g以下であるものを好適に使用できる。
凝集粒子の圧壊強さの下限値は、5MPa以上であるが、例えば、6MPa以上、7MPa以上、8MPa以上、9MPa以上、10MPa以上、11MPa以上、12MPa以上、又は13MPa以上であってよい。圧壊強さの下限値が上記範囲内であることで、樹脂との混練による凝集粒子の崩壊が適度に抑制され、得られる樹脂シートの放熱性をより向上させることができる。凝集粒子の圧壊強さの上限値は、例えば、25MPa以下、20MPa以下、18MPa以下、又は15MPa以下であってよい。圧壊強さの上限値が上記範囲内であることで、樹脂との混練の際の凝集粒子の崩壊の程度の制御が容易となり、凝集粒子間に存在する鱗片状粒子の存在割合をより上昇させることができる。凝集粒子の圧壊強さは上述の範囲内で調整してよく、例えば、5~25MPa、7~20MPa、又は7~15MPaであってよい。
本明細書における圧壊強さは、JIS R 1639-5:2007「ファインセラミックス-か(顆)粒特性の測定方法-第5部:単一か粒圧壊強さ」の記載に準拠して測定される値を意味する。凝集粒子1個の圧壊強さσ(単位:MPa)は、凝集粒子内の位置によって変化する無次元数α(α=2.48)、圧壊試験力P(単位:N)及び粒子径d(単位:μm)の値から、σ=α×P/(π×d)という式を用いて算出される。測定は、20個以上の凝集粒子に対して行い、累積破壊率63.2%時点の値を算出するものとする。測定には、微小圧縮試験器を用いることができる。微小圧縮試験器としては、例えば、株式会社島津製作所製の「MCT-W500」(商品名)等を使用することができる。
窒化ホウ素粉末の配向性指数の上限値は、18以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、又は8以下であってよい。配向性指数の上限値が上記範囲内であることで、放熱性をより向上し得る。上記窒化ホウ素粉末の配向性指数の下限値は限定されるものではないが、6未満とすることは容易ではなく、例えば、6以上、又は7以上であってよい。窒化ホウ素粉末の配向性指数は上述の範囲内で調整してよく、例えば、6~20、6~15、6~10、又は6~9であってよい。
本明細書における配向性指数は、以下の方法に沿って測定される値を意味する。窒化ホウ素粉末に対するX線回折測定を行うことによって、窒化ホウ素粉末のX線回折スペクトルを取得し、当該X線回折スペクトルから、(002)面及び(100)面に対応するピーク強度I(002)及びI(100)を取得する。得られたピーク強度を用いて、窒化ホウ素粉末の配向性指数[I(002)/I(100)]を算出する。配向性指数の測定対象は粉末であることから、粉末における、実質的に一次粒子が配向していない塊状粒子(凝集粒子)の存在割合が大きい場合、配向性指数の値は小さくなる傾向にある。一方で、凝集粒子を構成していない一次粒子の存在割合が大きくなると、配向性指数の値は大きくなる傾向にある。X線回折装置としては、例えば、株式会社リガク製の「ULTIMA-IV」(商品名)等を使用することができる。
窒化ホウ素粉末の比表面積の上限値は、例えば、6.0m/g以下、5.5m/g以下、5.0m/g以下、4.5m/g以下、又は4.0m/g以下であってよい。上記比表面積の上限値が上記範囲内であることで、充填性及び絶縁性をより高水準で両立し得る。窒化ホウ素粉末の比表面積の下限値は、例えば、1.0m/g以上、1.5m/g以上、2.0m/g以上、2.5m/g以上、3.0m/g以上、又は3.5m/g以上であってよい。上記比表面積の下限値が上記範囲内であることで、放熱性をより向上し得る。窒化ホウ素粉末の比表面積は上述の範囲内で調整してよく、例えば、1.0~6.0m/g、2.0~5.5m/g、又は3.0~4.0m/gであってよい。
本明細書における比表面積は、JIS Z 8830:2013「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」の記載に準拠し、比表面積測定装置を用い測定される値を意味し、窒素ガスを使用したBET一点法を適用して算出される値である。比表面積測定装置としては、例えば、QUANTACHROME社製の「MONOSORB MS-22型」(商品名)等を使用することができる。
樹脂組成物を調製する際の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、及びマレイミド変性樹脂等を使用できる。
樹脂組成物は、窒化ホウ素粉末に対して、樹脂、硬化剤、及び溶剤を加え混合して調製する。混合には、例えば、自転公転式ミキサー等を用いることができる。自転公転式ミキサーとしては、例えば、株式会社シンキー製の「あわとり練太郎」(商品名)等を用いることができる。樹脂組成物のせん断粘度は、せん断速度0.1/s時に、5~100Pa・sであってよい。樹脂組成物は、例えば、カップリング剤、及び分散剤等を更に含んでもよい。
成形工程では、上述のようにして得られた樹脂組成物を用いて、支持体上に上記樹脂組成物の樹脂層を形成する。樹脂層の形成手段は、例えば、塗布等であってよい。成形工程において、上記樹脂層を、80~120℃で、15~90分間加熱処理することで樹脂を半硬化さて、半硬化樹脂層を形成する。ここで、支持体は、例えば、ポリエチレンテレフタレート製のシート等を使用できる。
上述のようにして得られる樹脂シート100は、更に硬化処理することによって、硬化樹脂シートとして使用することができる。硬化樹脂シートは、例えば、絶縁シート等として使用できる。硬化樹脂シートの製造方法の一例は、上述の樹脂シートを加熱処理することによって、硬化樹脂シートを得る工程(加熱処理工程)を有する。硬化樹脂シートの製造方法は、上述の樹脂シートの製造工程に加えて、加熱処理工程を更に有する製法ともいえる。上述の樹脂シートの製造方法では、支持体上に樹脂シートが形成されることから、支持体をはく離した後に加熱処理を行ってもよく、必要に応じて、より耐熱性に優れる基材等に転写をしたのちに加熱加圧処理を施してもよい。
加熱処理工程では、上記樹脂シートを150~200℃の条件で、100~300分間処理することによって、樹脂シートを構成する半硬化樹脂の硬化を進行させ硬化させる。なお、硬化されることで、シート中の粒子の配向、位置などがより十分に固定される。当該工程では、上記樹脂シートを加熱する際に加圧してよく、例えば、上記樹脂シートを150~200℃、5~10MPaの条件で、100~300分間処理することによって、樹脂シートを構成する半硬化樹脂を硬化させる工程であってよい。上記加熱処理は、例えば、プレス機等で行うことができる。
上述のようにして得られる樹脂シート100はまた、被着体との接着性に優れることから、例えば、樹脂シート100の少なくとも一方の主面上に金属層等を設けた積層シートを調製するために好適に使用できる。積層シートの一実施形態は、上述の樹脂シートと、上記樹脂シートの上記第一主面側に設けられた金属層と、を有する。
図4は、積層シートの一例を示す模式図である。積層シート200は、樹脂シート100と、樹脂シート100上に設けられた金属層50とからなる。図4では、金属層50が樹脂シート100の一方の主面側にのみ設けられた例で示したが、変形態様では樹脂シート100の両主面上に金属層が設けられていてもよい。金属層50は、更に、冷却フィン等と接合されてもよい。
金属層50は、金属板であってよく、金属箔であってもよい。金属層50は、例えば、銅、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属を含んでよく、好ましくは銅、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属からなり、より好ましくは銅のみからなる。
金属層50の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、10~5000μm、20~4500μm、又は30~4000μmであってよい。本明細書における金属層50の厚さは、主面に直交する方向に沿って測定される値を意味する。金属層50の厚さが一定ではない場合、任意の10箇所を選択して厚さの測定を行い、その平均値が上述の範囲であればよい。
上記積層シート200は、被着体との優れた接着性を発揮し得る上述の樹脂シート100を用いていることから、被着体である金属層50の接着面(金属層50の樹脂シート100側の主面50B)の表面粗さが大きな場合であっても十分に接着し、積層シートは優れた信頼性を発揮し得る。上記金属層50の上記樹脂シート100側の主面50Bにおける算術平均粗さRaの下限値は、例えば、0.5μm以上、1.0μm以上、又は1.5μm以上であってよい。上記金属層50の上記樹脂シート100側の主面50Bにおける算術平均粗さRaの上限値は、例えば、10.0μm以下、9.0μm以下、8.0μm以下、又は7.0μm以下であってよい。
本明細書における算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2013「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ」に記載の算術平均粗さRaを意味し、小型表面粗さ測定器によって測定される値である。小型表面粗さ測定器としては、例えば、株式会社ミツトヨ社製の小型表面粗さ測定器(例えば「サーフテストSJ-310」(商品名))等を使用でできる。
上述の積層シート200の変形例では、上記樹脂シートを硬化させ、硬化樹脂シートとしてもよい。このようにすることで、硬化樹脂シートと金属層との接合強度をより高めることができる。積層シートの変形例は、硬化樹脂シートと、上記硬化樹脂シートの第一主面上に設けられた金属層とを有し、上記硬化樹脂シートは上述の樹脂シートの硬化物である。ここで、上記硬化樹脂シートの第一主面は、硬化前の上記樹脂シートの第一主面に対応する主面である。
上述の積層シート200は、例えば、回路基板等に使用する放熱部材に好適である。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。また、上述した実施形態についての説明内容は、互いに適用することができる。
以下、本開示について、実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。なお、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[窒化ホウ素粉末の調製]
オルトホウ酸(日本電工株式会社製、以下、単に「ホウ酸」という。)100質量部と、アセチレンブラック(HS100、デンカ株式会社製)35質量部とをヘンシェルミキサーを用いて混合した後、黒鉛ルツボ中に充填した。この黒鉛ルツボをアーク炉に入れ、アルゴン雰囲気で、2200℃にて5時間加熱し、塊状の炭化ホウ素(BC)粉末を合成した。合成した塊状の炭化ホウ素粉末を振動ミルで粉砕し、106μmの篩で通篩することにより平均粒子径が34μmの炭化ホウ素粉末(BC粉末)を作製した。
作製した炭化ホウ素粉末を窒化ホウ素ルツボに充填した。当該ルツボを抵抗加熱炉内に静置し、0.85MPaの窒素ガスの雰囲気下で、2100℃で25時間加熱することによって、炭窒化ホウ素(BCN)粉末を含む焼成物を得た(加圧窒化工程)。得られた焼成物を、マッフル炉内に静置し、大気雰囲気下で、700℃で5時間加熱すること(酸化工程)によって加熱処理物を得た。
上記加熱処理物とホウ酸(ホウ素源)の混合物100質量部に対して、ホウ素源であるホウ酸の配合量が36質量部となるようにホウ酸を添加し、ヘンシェルミキサーによって混合して、混合物を得た。混合物を窒化ホウ素ルツボに充填し、抵抗加熱炉を用いて加熱することによって脱炭して、一次粒子が凝集した凝集粒子を有する窒化ホウ素粉末を合成した(結晶化工程)。結晶化工程における条件としては、圧力5kPaの窒素ガスの雰囲気で、室温から2000℃まで昇温し、2000℃において5時間保持した。合成した窒化ホウ素粉末をヘンシェルミキサーで解砕した後、篩目125μmのナイロン篩にて分級を行った。このようにして、窒化ホウ素の一次粒子が凝集した凝集粒子を含む窒化ホウ素粉末を得た。
[窒化ホウ素粉末の性状評価]
得られた窒化ホウ素粉末について、後述する方法に沿って、凝集粒子の圧壊強さ、配向性指数及び比表面積を測定した。結果を表1に示す。
<凝集粒子の圧壊強さ>
凝集粒子の圧壊強さは、JIS R 1639-5:2007「ファインセラミックス-か(顆)粒特性の測定方法-第5部:単一か粒圧壊強さ」の記載に準拠して測定した。測定には、微小圧縮試験器(株式会社島津製作所製、商品名「MCT-210」)を用いた。なお、測定は、20個以上の凝集粒子に対して行い、累積破壊率63.2%時点の値を算出した。
<配向性指数>
窒化ホウ素粉末の配向性指数は、以下の方法に沿って測定した。測定には、X線回折装置(株式会社リガク製、商品名:「ULTIMA-IV」)を用いた。まず、X線回折装置に付属している深さ0.2mmの凹部を有するガラスセルの凹部に窒化ホウ素粉末を充填し固めることで測定試料を作製した。測定試料にX線を照射して、ベースライン補正を行った後の、測定資料の(002)面と(100)面とのピーク強度を決定し、この比[I(002)/I(100)]を配向性指数とした。
<比表面積>
窒化ホウ素粉末の比表面積は、JIS Z 8830:2013「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」の記載に準拠し、窒素ガスを使用したBET一点法を適用して算出した。比表面積測定装置としては、QUANTACHROME社製の「MONOSORB MS-22型」(製品名)を用いた。なお、測定は、粉末を、300℃で、15分間かけて、乾燥脱気した後に行った。
[樹脂シートの調製]
次に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学製、商品名:ep828)21質量部と、硬化剤としてフェノールノボラック化合物(化成化成工業株式会社製、商品名:YDF-170)を13質量部と、硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名:2E4MZ)を0.5質量部と、溶剤としてブチルセルソルブの混合物に対し、上述のようにして調製して窒化ホウ素粉末が50体積%となるように混合し、樹脂組成物を得た。樹脂との混練には株式会社シンキー製のあわとり練太郎を用いた。混練の条件は、1600rpmで3分間とし、せん断速度0.1/s時の粘度30Pa・sの樹脂組成物(塗布液)を得た。得られた樹脂組成物をPETフィルム上に厚さが0.3mmになるように塗布し、樹脂層を設けた。その後、温度100℃で50分間乾燥を行うことによって、厚み0.3mmの半硬化樹脂層(樹脂シート)を調製した。
その後、厚み1.2mmの銅板上に、PETフィルムから半硬化樹脂層を転写し、転写された半硬化樹脂層上に0.035mm銅箔(古川サーキットフォイル社製)の粗化面を配置し、プレス機によって面圧160kgf/cmをかけながら、プレス温度170℃、プレス圧力7MPaの条件で180分間加熱加圧し、半硬化樹脂を硬化することで、絶縁シート(硬化樹脂シート)を備える金属基板(積層シート)を得た。
[樹脂シートの性状評価]
金属基板上の硬化させた後の硬化樹脂シートについて、後述する方法に沿って、凝集粒子及び鱗片状粒子の合計の面積、凝集粒子の平均粒子径、樹脂シートの第一主面の延びる方向とa軸のなす角(a軸傾斜角)が0~20°である鱗片状粒子の割合、樹脂シートの第一主面の延びる方向とa軸のなす角の平均角度、並びに、一次粒子の長径及び鱗片状粒子の長径の平均値(粒子長径の平均値)を測定した。結果を表1に示す。
<凝集粒子及び鱗片状粒子の合計の面積の測定>
凝集粒子及び鱗片状粒子の合計の面積は、以下に示す方法で測定した。まず測定対象となる樹脂シートの厚み方向と平行となるように断面ミリング加工を行うことによって、凝集粒子及び鱗片状粒子の断面が露出した試料を調製した。この断面を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM-6010LA)によって撮影し、得られた粒子像を画像解析ソフトウェア(株式会社マウンテック製、商品名:Mac-View)に取り込み、六方晶窒化ホウ素に対応する粒子部分の面積を測定した。測定範囲は、測定断面における、第一主面の延びる方向に50μm、第一主面から第二主面に向かって50μmの50μm四方とした。測定方法は、粒子の外形を点で囲み、粒子1枚当たりの面積を測定した。これを上記50μm四方の領域内全ての粒子に対して行った。得られた測定値から上記合計の面積を算出した。同様の測定を、上記断面中の異なる50μm四方の領域について合計4箇所で測定し、その平均値から面積値を算出した。
<凝集粒子の平均粒子径の測定>
凝集粒子及び鱗片状粒子の合計の面積の測定と同様にして、面積を測定した。測定範囲は、上記断面における、第一主面の延びる方向に200μm、第一主面から第二主面に向かって200μmの200μm四方とした。測定方法は凝集粒子と認識できる粒子の外形を囲み、その長径を凝集粒子の粒子径とした。樹脂シート断面の200μm四方を25箇所測定し、その内の100粒子の平均値から平均粒子径を算出した。
<a軸傾斜角の測定>
a軸傾斜角は以下に示す方法で測定した。まず測定対象となる樹脂シートの厚み方向と平行となるように断面ミリング加工を行うことによって、上記鱗片状粒子の断面が露出した試料を調製した。この断面を走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM-6010LA)によって撮影し、得られた粒子像を画像解析ソフトウェア(商品名:GIMP)に取り込み、角度を測定した。測定は、第一主面の延びる方向と、鱗片状粒子の長辺a軸とのなす角度を画像解析ソフトウェアの定規を用いて行った。測定は、第一主面から上記第二主面に向かって50μmまでの領域において、任意に選択した100個の鱗片状粒子に対して行い、その平均値を用いた。
<粒子長径の平均値の決定>
a軸傾斜角の測定と同様に測定した。測定は、上記断面において観察される粒子の外形を囲み、その長径を粒子径とした。測定は、100個の粒子について行い、その平均値を平均長径とした。
[窒化ホウ素粉末を含む樹脂シートに対する放熱性評価:熱伝導率の測定]
塗布液から10mm×10mm×0.5mm(厚さ)の硬化体を作製し得られた樹脂シートの熱伝導率H(単位:W/(m・K))を、熱拡散率T(単位:m/秒)、密度D(単位:kg/m)、及び比熱容量C(単位:J/(kg・K))を用いて、H=T×D×Cの計算式で算出した。熱拡散率Tは、評価用積層シートを、レーザーフラッシュ法によって測定した。測定装置はキセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製、商品名:LFA447NanoFlash)を用いた。密度Dはアルキメデス法によって測定した。比熱容量Cは、示差走査熱量計(リガク社製、装置名:ThermoPlusEvo DSC8230)を用いて測定した。得られた結果に基づいて、下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:熱伝導率が15W/mK以上である。
B:熱伝導率が13W/mK以上15W/mK未満である。
C:熱伝導率が11W/mK以上13W/mK未満である。
D:熱伝導率が11W/mK未満である。
[窒化ホウ素粉末を含む樹脂シートの接着性評価:ピール強度の測定]
上述のようにして得られた樹脂シートのそれぞれを、2枚の銅板間に上記樹脂シートを配置し、200℃及び5MPaの条件下で5分間加熱及び加圧して、更に200℃及び大気圧の条件下で2時間加熱して得られる積層シートを調製し、これを測定対象とした。測定は、JIS K 6854-1:1999「接着剤-はく離接着強さ試験方法」にしたがって、90°はく離試験を行い、20℃における積層シートのピール強度を、万能試験機(株式会社エーアンドディ製、商品名:RTG-1310)を用いて求めた。試験速度:50mm/分、ロードセル:5kN、測定温度:室温(20℃)の条件で測定を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
樹脂シートの調製時に窒化ホウ素粉末の充填量が65体積%としたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを調製した。
(実施例3)
窒化ホウ素粉末の調製の際の原料炭化ホウ素粉末に変えて、平均粒径36μmの炭化ホウ素と平均粒径4μmの炭化ホウ素とを、質量比で90:10の割合で混合した混合粉末を用いたこと以外は、実施例1と同様にして窒化ホウ素粉末とを窒化ホウ素粉末を用い樹脂シートを調製した。
(実施例4)
窒化ホウ素粉末の調製の際の原料炭化ホウ素粉末として、平均粒径49μmの炭化ホウ素を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを調製した。
(実施例5)
窒化ホウ素粉末の調製の際の原料炭化ホウ素粉末として、平均粒径26μmの炭化ホウ素を用いたこと、及び結晶化工程後の篩目を75μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを調製した。
(実施例6)
窒化ホウ素粉末の調製の際の原料炭化ホウ素粉末として、平均粒径49μmの炭化ホウ素を用いたこと、及び結晶化工程における圧力を200kPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを調製した。
(実施例7)
窒化ホウ素粉末の調製の際の、加熱処理物とホウ酸との混合割合を、混合物100質量部に多しいて、ホウ酸の配合量を26質量部となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを調製した。
(実施例8)
原料炭化ホウ素粉末を作製する際の、篩の目開きを75μmに変更し、通篩した後に、クラッシール分級機を用いて15μm以上の粉末のみを分級し(15μm未満の微粉を除去)、原料炭化ホウ素粉末としたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを調製した。
(比較例1)
後述する方法で調製した窒化ホウ素を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを調製した。
まず、容器に、アモルファス窒化ホウ素粉末(酸素含有量:3質量%、純度:96.5質量%、且つカルシウム含有量:70ppmである粉末)が16質量%、六方晶窒化ホウ素(酸素含有量:0.1質量%、純度が99.0質量%、且つカルシウム含有量:30ppmである粉末)が5.5質量%、炭酸カルシウム(白石工業製、商品名:PC-700)が0.95質量%、及び水が68質量%となるように測り取り、ヘンシェルミキサーを用いて混合した。その後、ボールミルを用いて4時間粉砕し、水スラリーを得た。得られた水スラリー100質量部に対して、ポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学社製、商品名:ゴーセノール)を0.5質量部添加し、溶解するまで50℃で加熱攪拌した。得られた溶液を噴霧乾燥機によって噴霧し、乾燥温度230℃で球状化処理した。なお、噴霧乾燥機の球状化装置としては、回転式アトマイザーを使用し、12000回転で処理した。得られた処理物をバッチ式高周波炉にて、焼成温度1900℃で5時間焼成した後、焼成物に解砕及び75μm篩にて分級処理を行い、窒化ホウ素粉末を得た。
(比較例2)
後述する方法で調製した窒化ホウ素を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを調製した。
まず、ホウ酸粉末(純度:99.8質量%以上、関東化学株式会社製)100質量部、メラミン粉末(純度:99.0質量%以上、富士フイルム和光純薬社製)9質量部、助剤として炭酸カルシウム(純度:99.5質量%以上)15質量部を測り取り、アルミナ製乳鉢を用い10分間混合して、混合粉末を得た。乾燥後の混合粉末を、六方晶窒化ホウ素製の容器に入れ、電気炉内に配置した。電気炉内に窒素ガスを流通させながら、10℃/分の昇温速度で室温から1000℃に昇温した。1000℃で2時間保持した後、加熱を止めて自然冷却した。温度が100℃以下になった時点で電気炉を開放した。このようにして、低結晶性の六方晶窒化ホウ素を含む仮焼物を得た。上記仮焼物100gを、上述の電気炉内に配置した。電気炉内に窒素ガスを流通させながら、10℃/分の速度で室温から1900℃に昇温した。1900℃の焼成温度で5時間保持した後、加熱を止めて自然冷却した。温度が100℃以下になった時点で電気炉を開放した。得られた焼成物を回収し、アルミナ製乳鉢で10分間粉砕した後75μmの篩にて通篩をおこない六方晶窒化ホウ素を含む窒化ホウ素粉末を得た。
Figure 2024031217000002
本開示によれば、放熱性に優れ、被着体に対して優れた接着性を発揮し得る樹脂シートを提供できる。本開示によればまた、上述の樹脂シートを備える、積層シートを提供できる。
2…鱗片状粒子、4…凝集粒子、6…樹脂部、100…樹脂シート。

Claims (4)

  1. 六方晶窒化ホウ素の一次粒子が凝集した凝集粒子と、六方晶窒化ホウ素の鱗片状粒子とが、樹脂中に分散した、樹脂シートであって、
    前記樹脂シートの第一主面及び第二主面に直交する断面において、
    前記凝集粒子及び前記鱗片状粒子の合計の面積が前記断面の40~80面積%であり、前記凝集粒子の平均粒子径が40μm以上であり、
    前記第一主面から前記第二主面に向かって50μmまでの領域において、
    前記鱗片状粒子の前記第一主面の延びる方向とa軸とのなす角の平均角度が28~50°であり、且つ、
    前記第一主面の延びる方向とa軸とのなす角が0~20°である前記鱗片状粒子の割合が前記鱗片状粒子の総数の50%以下である、
    樹脂シート。
  2. 前記樹脂シートの第一主面及び第二主面に直交する断面において観測される前記一次粒子の長径及び前記鱗片状粒子の長径の平均値が、1~20μmである、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂シートと、前記樹脂シートの前記第一主面側に設けられた金属層と、を有する、積層シート。
  4. 前記金属層の前記樹脂シート側の主面における算術平均粗さRaが0.5μm以上である、請求項3に記載の積層シート。
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