JP2024026686A - トイレットロール包装体 - Google Patents

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光 佐藤
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Abstract

【課題】紙を主体とする包装基材でトイレットロールを包装しても、包装後の形態が良好で包装基材が破れ難いトイレットロール包装体を提供する。【解決手段】少なくとも紙基材を含む包装基材で、2個、4個又は6個のトイレットロールを包装した包装体であって、包装基材の坪量が30g/m2以上105g/m2以下で、破裂強度が65kPa以上295kPa以下であり、トイレットロールが、その軸方向に垂直な方向に2列又は3列で、かついずれの列も両端面が揃うように並び、トイレットロールのロール密度が、0.1g/cm3以上0.33g/cm3以下であり、トイレットロールを包装した状態における包装基材の周長方向の弛みが、4mm以上38mm以下であり、ロール密度(A)に対する周長方向の弛み(B)の比率(B/A)が、13以上200以下であることを特徴とする、トイレットロール包装体を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、紙製品、特にトイレットロールを包装するのに好適なトイレットロール包装体に関する。
従来、トイレットペーパー、キッチンペーパー等のロール状の紙製品や、ティッシュペーパー、ワイパー等の積層状の紙製品を被包装物として収容する包装体が知られている。
ロール状の紙製品を包装する包装体として、例えば、特許文献1には、ポリエチレン等の筒状フィルムにガゼット(ガセット)を対称的に折り込んで本体とし、その上部を平面状に折り畳んで把持部を構成したものが開示されている。
一方、積層状の紙製品を包装する包装体としては、坪量の高い板紙で作製された紙製カートンが一般的である。また、紙製カートンに替わる包装体として、例えば、特許文献2には、可撓性の樹脂フィルムから形成された包装袋の上面の中央部にミシン目が設けられたフィルム包装体が開示されている。
特開2004-269010号公報 特開2016-188092号公報
しかしながら、近年の環境問題に対する意識の高まりから、プラスチック(合成樹脂)の使用を削減することが望まれている。例えば、コピー用紙は、紙を主体とする包装基材で包装されているが、トイレットペーパー、特にロール状製品のトイレットロールの場合、トイレットロールは柔らかく形態が安定しないため、包装する際に包装基材が意図しない箇所で曲がってしまい、包装後の形態に劣る。また、紙はフィルムに比べて厚くゴワゴワするため、紙が所定の位置では曲がり難く、同様に包装後の形態に劣る。
図4(a)に示すように、トイレットペーパーを固く巻くと包装し易くなるが、包装後に包装基材20がトイレットロール21と接しない部分(弛み部20s)が張られた状態になり易く、包装体を持ったときに包装基材20が破れ易くなる。そこで、弛み部20sを弛ませると破れは抑制されるが、トイレットロール21に対する包装基材20の周長が大きく(長く)なり、弛んで見えるために包装後の形態に劣る。また、弛ませることで包装する際に包装基材20が意図しない箇所で曲がったりしてしまい、包装後の形態に劣る。
一方で、図4(b)に示すように、トイレットペーパーを柔らかく巻くと、包装後にトイレットロール31が潰れ易く、包装基材30の弛み部30sが短くなったり、弛み易くなったりして、破れ難くなるが、そもそも、上述のように包装後の形態に劣る。そこで、包装基材30が曲がり易くなるよう、紙の坪量を低くすると、今度は包装基材30が破れ易くなる。
上述のように包装後の形態に劣ったり破れ易くなったりすると、製品がクレームの対象になったり、小売店で売れなくなったりする。
以上のとおり、従来の技術では紙を主体とする包装基材でトイレットロールを包装することは困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、紙を主体とする包装基材でトイレットロールを包装しても、包装後の形態が良好で包装基材が破れ難いトイレットロール包装体を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、包装基材の坪量、破裂強度、トイレットロールのロール密度及び包装した状態における包装基材の周長方向の弛みを規定し、更にロール密度と周長方向の弛みの比率も規定することで、紙を主体とする包装基材でトイレットロールを包装しても、包装後の形態が良好で包装基材が破れ難いトイレットロール包装体とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の態様は、少なくとも紙基材を含む包装基材で、2個、4個又は6個のトイレットロールを包装した包装体であって、上記包装基材の坪量が30g/m以上105g/m以下で、破裂強度が65kPa以上295kPa以下であり、上記トイレットロールが、その軸方向に垂直な方向に2列又は3列で、かついずれの列も両端面が揃うように並び、上記トイレットロールのロール密度が、0.1g/cm以上0.33g/cm以下であり、上記トイレットロールを包装した状態における上記包装基材の周長方向の弛みが、4mm以上38mm以下であり、上記ロール密度(A)に対する上記周長方向の弛み(B)の比率(B/A)が、13以上200以下であることを特徴とする、トイレットロール包装体である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のトイレットロール包装体であって、上記包装基材のCD方向の曲げこわさが、8μN・m以上130μN・m以下であることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のトイレットロール包装体であって、上記包装基材のMD方向の曲げこわさが、18μN・m以上300μN・m以下であることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載のトイレットロール包装体であって、上記包装基材の坪量に対する上記紙基材の坪量の比率(%)が、51%以上100%以下であることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載のトイレットロール包装体であって、上記包装体が、キャラメル包装であることを特徴とするものである。
本発明によれば、紙を主体とする包装基材でトイレットロールを包装しても、包装後の形態が良好で包装基材が破れ難いトイレットロール包装体を提供することができる。
本発明のトイレットロール包装体の一例を示す斜視図である。 本発明のトイレットロール包装体の周長の弛みの測定方法を示す図である。 本発明のトイレットロール包装体に包装されるトイレットロールの配置の例を示す斜視図である。 従来のトイレットロール包装体の一例を示す平面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
1.トイレットロール包装体
図1は、本発明のトイレットロール包装体(以下、単に「包装体」とも言う。)の一例を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の包装体1は、少なくとも紙基材を含む包装基材10で、2個、4個又は6個(図1では4個)のトイレットロール11を包装している。なお、包装体1において、包装基材10はトイレットロール11の全体ではなく一部を覆っていてもよく、トイレットロール11は密封されていなくてもよい(図示しない)。
ここで、トイレットロール11の後述する巻長が長くなりロールの重量も大きくなると、包装体1を片手で両側から掴んだ際、包装基材10の周長方向Pに指圧がかかり、包装基材10が弛み部10sから破れ易くなる。一方、包装基材10を緩く包装し過ぎると包装基材10の弛み部10sが弛んでしまい、包装後の形態に劣る。そこで、包装基材10の周長方向Pの弛みの程度を規定することで、包装後の形態が良好で包装基材10が破れ難い包装体1を得ることができる。
包装基材10の周長方向Pの弛みは、図2に示すようにして測定する。
まず、包装体1をトイレットロール11の軸方向Lが水平となるように載置し、横方向(つまり、軸方向Lに垂直)に隣接する2列(図1、図3(c)では4個)のトイレットロール11を跨いで、質量64g、厚さ1mm、幅25mm、目盛長さ300mmのステンレス製の第1定規Sを渡し、その板面が包装基材10に接するように置き、第1定規Sの包装基材10と接する面(線)を基準線SLとする。
次に、横方向に隣接する2列(図1、図3(c)では4個)のトイレットロール11を跨いで包装された包装基材10の弛み部10sのうち、各列のトイレットロール11間のほぼ中央の上に、質量10g、厚さ0.5mm、幅15mm、目盛長さ150mmのステンレス製の第2定規Rを、第2定規Rの厚さ方向Rtがトイレットロール11の端面に平行(つまり、軸方向Lに垂直)になるように載せたとき、基準線SLから第2定規Rの先端までの距離(沈み込み量)Dを測定する。
距離Dを、包装体1の高さhの両端からそれぞれhに対して25%の位置、及び中央の3カ所(図1の3つの測定点m)を測定する。また、1つの包装体1について、表裏で測定を行う。これを5個の包装体1について行い、合計30カ所の距離Dの値を平均し、包装基材10の周長方向Pの弛みとして採用する。
第1定規S及び第2定規Rとしては、例えばシンワ測定株式会社の「直尺シルバー」を用いることができる。
このようにして測定した包装基材10の周長方向Pの弛みは4mm以上38mm以下であり、6mm以上28mm以下であることが好ましく、8mm以上20mm以下であることがより好ましい。周長方向Pの弛みが4mm未満であると、包装基材10がトイレットロール11と接しない部分(弛み部10s)が張られた状態となり易く、包装体1を持ったときに包装基材10が破れ易くなる。周長方向Pの弛みが38mmを超えると、トイレットロール11に対する包装基材10の周長が大きく(長く)なり、包装する際に包装基材10が意図しない箇所で曲がってしまい、包装後の形態に劣る。
また、包装体1は包装基材10を破って開封し易くするためのミシン目を設けてもよい(図示しない)。このミシン目は、例えば、弛み部10sにおいて軸方向Lに平行に設けてもよいし、弛み部10s以外の包装体1の胴囲部において軸方向Lに平行に設けてもよい(図示しない)。また、ミシン目は軸方向Lに垂直に設けてもよく、例えば、包装体1の天面部又は底面部に、軸方向Lに垂直で、かつ、2列又は3列に並んだトイレットロール11のそれぞれの軸の中心部を結ぶ方向に設けてもよい(図示しない)。さらに、ミシン目は包装体1の胴囲部に、軸方向Lに垂直な方向で、かつ、包装基材10の周長方向Pに沿って設けてもよい(図示しない)。なお、ミシン目の長さは自由に設定することができる。
2.包装基材
包装基材10は、少なくとも紙基材を含むが、他の層を含んでいてもよい。紙基材には、包装体1として形成された際、外面側に印刷が施されていてもよい。また、紙基材は、防水性の確保のために、オーバーコートが施されたオーバーコート紙であってもよい。
包装基材10の坪量(例えば、紙基材とシール層との合計坪量)は、30g/m以上105g/m以下であり、40g/m以上85g/m以下であることが好ましく、50g/m以上75g/m以下であることがより好ましい。包装基材10の坪量が上記範囲内にあることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。包装基材の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定することができる。
(1)紙基材
紙基材は、木材パルプを主原料として製造される。ここでのパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプや、新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙等の古紙パルプ等、従来において公知であるパルプを単独で、あるいは任意の配合率で混合したものを採用することができる。
本発明の包装体1の紙基材において、用いるパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ30~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~70重量%であることが好ましく、針葉樹クラフトパルプ50~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~50重量%であることがより好ましく、針葉樹クラフトパルプ70~100重量%、広葉樹クラフトパルプ0~30重量%であることが更に好ましい。上記のパルプ配合にすることで包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。また、未晒パルプであることが好ましい。
パルプスラリーには、パルプ繊維以外の材料を副資材として配合してもよい。包装体1においては、通常、パルプ繊維の含有割合を70重量%以上100重量%以下とすることが好ましく、80重量%以上100重量%以下とすることがより好ましく、90重量%以上100重量%以下とすることが更に好ましい。上記のパルプ含有量にすることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。
なお、パルプ製造における蒸解方法や漂白方法は、特に限定されない。
また、紙基材には、必要に応じて、一般的に用いられている各種添加剤、例えば、湿潤紙力向上剤、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料等を適宜、適量にて添加してもよい。
湿潤紙力向上剤は、通常用いられる公知のものの中から選択して使用することができる。例えば、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、メラミン系樹脂等から選択することが好ましい。このような湿潤紙力向上剤の配合量(絶乾状態での質量)は、通常、パルプ(絶乾状態での質量)に対して、湿潤紙力向上剤を0.01重量%以上0.7重量%以下、好ましくは0.02重量%以上0.5重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.3重量%以下とすることが好ましい。湿潤紙力向上剤の配合量が0.7重量%を超えても、その配合量に見合う効果が得られ難くなり、その結果、コストアップとなり、また離解性が低下して、本発明の包装体1を後に再利用することが困難となる場合がある。また、湿潤紙力向上剤の配合量が0.01重量%未満では、十分な湿潤紙力が得難いものとなり、水に濡れたときに破れ易く包装体1としての機能が劣る場合がある。
本発明の包装体1において、これらの原料を通常の抄紙工程により抄造して、包装基材10の紙基材を得ることができる。
包装基材10の紙基材の坪量は、20g/m以上95g/m以下であることが好ましく、25g/m以上80g/m以下であることがより好ましく、30g/m以上60g/m以下であることが更に好ましい。坪量が20g/m未満であると、包装基材10が破れ易くなる。坪量が95g/mを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がり難く、包装後の形態に劣る。紙基材の坪量が上記範囲内にあることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。
紙基材の坪量は、例えば、包装基材10に紙基材以外に他の層としてシール層が含まれ、該シール層がヒートシール層である場合は、次のようにして求めることができる。
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト株式会社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。次に、180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定する。包装基材10の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、紙基材の坪量を算出する。
紙基材の坪量=
包装基材10の坪量×[(包装基材10の質量-ヒートシール層の質量)/包装基材10の質量]
包装基材10の坪量(例えば、紙基材とシール層との合計坪量)に対する紙基材の坪量の割合は、51%以上100%以下であることが好ましいが、60%以上100%以下であることがより好ましく、70%以上95%以下であることが更に好ましい。包装基材10の坪量に対する紙基材の坪量の割合を上記範囲内とすることで、包装基材10が所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れ、かつ、破れ難くなる。
(2)シール層
本発明の包装体1において、包装基材10は、紙基材以外に他の層としてシール層を含んでいても良いが、その場合、シール層はヒートシール層及び/又は接着剤層であることが好ましい。本発明の包装基材10は、例えば、紙基材/ヒートシール層、紙基材/接着剤層、紙基材/ヒートシール層/接着剤層、紙基材/接着剤層/ヒートシール層等のような層構成を取ることができる。
(2-1)ヒートシール層
本発明の包装体1において、ヒートシール層を含む場合は、紙基材の全面に形成されていても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面においてヒートシール層を形成する位置、大きさ、及びヒートシール層が占める割合は適宜設定することができる。
ヒートシール層を構成する材料としては特に限定されず、各種ヒートシール性を発現する材料のいずれも使用することができ、例えば、ポリオレフィン系樹脂や、その他の熱可塑性樹脂等を使用することができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、アイオノマー、非晶性ポリエステル、ポリプロピレン、スチレン-アクリル共重合体、プロピレン-エチレン共重合体(好ましくはエチレン含有量が10モル%以下の共重合体)、あるいは、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体等をグラフト重合又は共重合したポリプロピレン系樹脂、中密度ポリエチレン等を使用することができる。ヒートシール層を構成する材料は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ヒートシール層は、通常用いられる方法、例えば、紙基材上にポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂を含有する組成物を押出法によって製膜する方法、公知のヒートシール加工装置(貼合処理装置)を用いて、紙基材に熱可塑性樹脂からなる、又は熱可塑性樹脂を含有するフィルムを貼り付ける方法、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を水に溶解、又は分散させた水系ヒートシール剤、あるいは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物を溶剤に溶解、又は分散させた溶剤系ヒートシール剤をロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の公知の方法で紙基材上に塗工する方法等で形成することができる。
ヒートシール層の坪量は、50g/m以下であることが好ましく、5g/m以上35g/m以下であることがより好ましく、10g/m以上25g/m以下であることが更に好ましい。ヒートシール層の坪量が上記範囲内にあることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。また、包装体1をヒートシールで封止する際に、封止しやすくなる。
また、上記のように、本発明の包装体1は、包装基材10を破って開封し易くするためのミシン目を設けてもよい。ミシン目は、開け易く、裂け難いことが求められるが、柔らかいトイレットロール11を包装している包装体1は、ミシン目から開封する際に、力の入れ方によって開け難かったり、ミシン目が裂けてしまったりする場合がある。ヒートシール層の坪量を好ましくは50g/m以下、より好ましくは5g/m以上35g/m以下、更に好ましくは10g/m以上20g/m以下の範囲内にすることで、ミシン目から包装体1を開封する際の開け易さと、裂け難さを両立することもできる。
ヒートシール層の坪量は、例えば、次のようにして求めることができる。
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製する。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とする。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト薬品工業株式会社製)を添加量が1重量%となるように添加する。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をする。次に、180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定する。包装基材10(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、ヒートシール層の坪量を算出する。
ヒートシール層の坪量=
包装基材10の坪量×(ヒートシール層の質量/包装基材10の質量)
(2-2)接着剤層
本発明の包装体1において、包装基材10が紙基材以外に他の層として接着剤層を含む場合は、紙基材、又は紙基材上に形成されたヒートシール層の全面に形成されていても、表面の一部、例えば、紙基材同士が積層・接合される部分にのみ形成されていてもよい。紙基材の表面において接着剤層を形成する位置、大きさ、及び接着剤層が占める割合は適宜設定することができる。
接着剤層を構成する接着剤としては特に限定されず、公知のものいずれも使用することができ、例えば、エチレン系接着剤、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、スチレン-アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等を使用することができる。これらの中でも、スチレン-アクリル系接着剤が好ましい。
接着剤層は、接着剤を、紙基材、又は紙基材上に形成されたヒートシール層等に、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等の公知の方法で塗工することにより形成することができる。
接着剤層の坪量(接着剤の乾燥塗布量)は、通常、2g/m以上30g/m以下が好ましく、3g/m以上25g/m以下がより好ましく、5g/m以上20g/m以下が更に好ましい。
なお、接着剤層の坪量は、包装基材10の坪量と、接着剤層を設ける前にJIS P 8124に準拠して測定した紙基材の坪量とから、下記式により算出する。
接着剤層の坪量=包装基材10の坪量-紙基材の坪量
前述のとおり、本発明の包装基材10においては、シール層はヒートシール層及び/又は接着剤層であることが好ましいが、通常、接着剤層よりも、ヒートシール層、特に、ポリオレフィン系樹脂を含有するヒートシール層の方が接着性に優れ、ヒートシール層、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂を含有するヒートシール層を設ける方がトイレットロール11をより包装し易くなる場合がある。
(3)他の層
本発明の包装基材10は、紙基材以外に、他の層を備えていてもよい。上記のシール層や接着剤層以外の他の層としては、例えば、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等が挙げられる。これら他の層は、例えば、紙基材の表面側又は裏面側に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。
(4)包装基材全体の物性
後述するように、本発明に係る包装体1の包装形式は種々あり、製造ライン方向(搬送方向;MD方向)からトイレットロール11を包むように包装する場合と、製造ライン方向と直交する幅方向(CD方向)からトイレットロール11を包むように包装する場合とがある。MD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のMD方向の引張強度は、2.0kN/m以上8.3kN/m以下であることが好ましく、2.5kN/m以上7.0kN/m以下であることがより好ましく、3.0kN/m以上6.0kN/m以下であることが更に好ましい。CD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のCD方向の引張強度は、0.7kN/m以上3.5kN/m以下であることが好ましく、0.9kN/m以上3.0kN/m以下であることがより好ましく、1.1kN/m以上2.5kN/m以下であることが更に好ましい。包装基材10のMD方向及びCD方向の引張強度を上記の範囲内にすることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。包装基材10の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定することができる。
包装基材10の破裂強度は、65kPa以上295kPa以下であり、75kPa以上260kPa以下であることが好ましく、100kPa以上210kPa以下であることがより好ましい。破裂強度が65kPa未満であると、包装体を持ったときに包装基材10の弛み部10sが破れ易くなり、破裂強度が295kPaを超えると、包装する際に包装基材10が所定の位置で曲がり難く、包装後の形態に劣る。包装基材10の破裂強度を上記の範囲内にすることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。包装基材10の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定することができる。
MD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のMD方向の曲げこわさは、18μN・m以上300μN・m以下であることが好ましく、30μN・m以上200μN・m以下であることがより好ましく、45μN・m以上150μN・m以下であることが更に好ましい。CD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のCD方向の曲げこわさは、8μN・m以上130μN・m以下であることが好ましく、13μN・m以上100μN・m以下であることがより好ましく、20μN・m以上60μN・m以下であることが更に好ましい。包装基材10のMD方向又はCD方向の曲げこわさが上記範囲内にあることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10のしなやかさと柔らかさが達成し易くなる。包装基材10の曲げこわさは、ISO 2493に準拠して測定することができる。なお、曲げこわさは、繊維の長軸方向に負荷がかかる場合において最も強くなるため、繊維配向比が1.0に近いと、MD方向の曲げこわさは小さく、CD方向の曲げこわさは大きくなる傾向がある。
本発明の包装基材10の厚さは、35μm以上135μm以下であることが好ましく、40μm以上120μm以下であることがより好ましく、60μm以上100μm以下であることが更に好ましい。包装基材10の厚さを上記の範囲内にすることで、包装基材が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。包装基材10の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠して測定することができる。なお、加圧面の圧力条件は100kPaとした。
包装基材10の密度は、0.55g/cm以上0.95g/cm以下であることが好ましく、0.60g/cm以上0.90g/cm以下であることがより好ましく、0.65g/cm以上0.85g/cm以下であることが更に好ましい。包装基材10の密度が上記範囲内にあることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10の強度、しなやかさと柔らかさが達成し易い。包装基材10の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出することができる。
3.トイレットロール
図3は、本発明の包装体1に包装されるトイレットロール11の配置の例を示す斜視図である。本発明の包装体1は、2個、4個又は6個のトイレットロール11を包装し、イトイレットロール11が、その軸方向に垂直な方向に2列又は3列で、かついずれの列も両端面が揃うように並んでいるが、配置としては、図3(b)~(e)のいずれかの配置とすることが好ましく、図3(c)又は(d)の配置とすることがより好ましく、図3(c)の配置とすることが更に好ましい。なお、図2に示すように、本発明の包装体1は上述の周長方向Pの弛みを規定しているため、図3(a)のような配置は実施形態に含まれないものとする。
トイレットロール11のプライ数は、特に制限されないが、1プライ又は2プライであることが好ましく、2プライであることがより好ましい。
トイレットロール11の巻長は、2プライの場合は、25m以上103m以下であることが好ましく、40m以上95m以下であることがより好ましく、55m以上85m以下であることが更に好ましい。1プライの場合は、50m以上203m以下であることが好ましく、80m以上190m以下であることがより好ましく、110m以上170m以下であることが更に好ましい。
また、トイレットロール11の巻直径は、105mm以上140mm以下であることが好ましく、110mm以上133mm以下であることがより好ましく、115mm以上125mm以下であることが更に好ましい。
上記の範囲にすることで、所定のロール密度に調整しやすくなる。そして、包装基材10でトイレットロール11を包装する際、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。
トイレットロール11のコア(紙管)の外径は、25m以上55m以下であることが好ましく、30m以上50m以下であることがより好ましく、35m以上45m以下であることが更に好ましい。
また、トイレットロール11の1プライ当たりの坪量は、2プライの場合は、12g/m以上19g/m以下であることが好ましく、13g/m以上18g/m以下であることがより好ましく、14g/m以上17g/m以下であることが更に好ましい。1プライの場合は、13g/m以上22g/m以下であることが好ましく、14g/m以上21g/m以下であることがより好ましく、15g/m以上20g/m以下であることが更に好ましい。
さらに、トイレットロール11のコアを除いた1ロールにおける、ロール幅114mm当たりの重量は、100g以上370g以下であることが好ましく、130g以上340g以下であることがより好ましく、200g以上300g以下であることが更に好ましい。
上記の範囲にすることで、所定のロール密度に調整しやすくなる。そして、包装基材10でトイレットロール11を包装する際、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。
また、トイレットロール11のロール密度は、0.1g/cm以上0.33g/cm以下であり、0.12g/cm以上0.31g/cm以下であることが好ましく、0.18g/cm以上0.27g/cm以下であることがより好ましい。ロール密度が0.1g/cm未満であると、トイレットロール11が柔らかく形態が安定しないため、包装する際に包装基材10が意図しない箇所で曲がってしまい、包装後の形態に劣る。ロール密度が0.33g/cmを超えると、包装基材10がトイレットロール11と接しない部分が張られた状態となり易く、包装体1を持ったときに包装基材10が破れ易くなる。トイレットロール11のロール密度を上記の範囲内にすることで、包装基材10が破れ難く、かつ、包装する際に所定の位置で曲がり易くなり、包装後の形態に優れる包装体1を得ることができる。
なお、ロール密度は、コアを除く1個のトイレットロール11の底面積にロール幅(高さ)を乗じた値(つまり、コアを除く1個のトイレットロール11の体積)を求め、コアを除く1個のトイレットロール11の質量をこの体積で除して求める。
例えば、ロール幅114mmあたりのロール重量(コアを除く)が201g、巻直径130mm、コアの外径が39mmの場合、ロール密度=201g÷[{3.14×(130mm÷2÷10)-3.14×(39mm÷2÷10)}×(114mm÷10)]=0.15g/cmとなる。
さらに、ロール密度(A)に対する、上述した周長方向Pの弛み(B)の比率(B/A)が、13以上200以下であり、25以上155以下であることが好ましく、40以上100以下であることがより好ましい。比率(B/A)が13未満であると、包装基材10がトイレットロール11と接しない部分が張られた状態となり易く、包装体1を持ったときに包装基材10が破れ易くなる。比率(B/A)が200を超えると、トイレットロール11に対する包装基材10の周長が大きく(長く)なり、包装する際に包装基材10が意図しない箇所で曲がってしまい、包装後の形態に劣る。
なお、トイレットロール11に用いるトイレットペーパー10枚分(1プライの場合は10枚、2プライの場合は5組分で10枚)の紙厚は、0.5mm/10枚以上1.2mm/10枚以下であることが好ましく、0.6mm/10枚以上1.1mm/10枚以下であることがより好ましく、0.7mm/10枚以上1.0mm/10枚以下であることが更に好ましい。
なお、紙厚は、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。
また、2プライ当たりの乾燥時の縦方向引張強度(DMDT)は2.5N/25mm以上6.5N/25mm以下であることが好ましく、2.8N/25mm以上6.0N/25mm以下であることがより好ましく、3.1N/25mm以上5.5N/25mm以下であることが更に好ましい。さらに、2プライ当たりの乾燥時の横方向引張強度(DCDT)は0.6N/25mm以上3.0N/25mm以下であることが好ましく、0.8N/25mm以上2.5N/25mm以下であることがより好ましく、1.0N/25mm以上2.0N/25mm以下であることが更に好ましい。
なお、乾燥時の縦方向及び横方向の引張強度は、いずれもJIS P 8113に準拠して測定・算出することができる。
また、上記のロール密度、紙厚及び引張強度の測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行う。
4.包装形式
本発明に係る包装体1の包装形式としては、キャラメル包装が例示できる。
キャラメル包装とは、被包装物の一方向に沿って延びる包装基材を、この方向と平行な方向又は交差する方向に被包装物を巻き込み、又はあらかじめ筒状に形成された包装基材の軸方向の一端から被包装物を入れる。そして、被包装物の両端側からはみ出た包装基材のうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を糊等の接着剤で封止したり、ヒートシール層や接着剤層を有する包装基材であればヒートシールで封止したりする包装形式である。このキャラメル包装は、既知の装置を利用して行うことができる。なお、図1ではトイレットロール11の軸に平行な方向の両端にフラップを形成しているが、トイレットロール11の軸方向Lに垂直な方向の両端にフラップを形成しても構わない。
ある実施形態において、例えば、MD方向の曲げこわさが18μN・m以上300μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体は1、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、トイレットロール11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)からトイレットロール11を包みながら包装し、搬送方向とは直交する幅方向(CD方向)から所定寸法にカットする場合、すなわち、包む方向が包装基材10のMD方向である場合に、特に好適に適用される。包む方向をMD方向にすると、包装基材10が上下方向で曲がりやすくなり、天面部と底面部でフラップを折り畳んで接着させる際に、包装し易くなる。この場合、本発明の包装体1においては、包装形式として、キャラメル包装を選択することが好ましい。なお、包装基材10を所定の大きさに切断した後にトイレットロール11を配置してもよく、トイレットロール11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
別の実施形態において、例えば、CD方向の曲げこわさが8μN・m以上130μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、トイレットロール11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)と直交する幅方向(CD方向)からトイレットロール11を包みながら包装する場合、すなわち、包む方向が包装基材10のCD方向である場合に、特に好適に適用される。包む方向を包装基材のCD方向にすると、包装基材10が包む方向で曲がりやすくなり、包装し易くなる。なお、この場合も、包装基材10を所定の大きさに切断した後にトイレットロール11を配置してもよく、トイレットロール11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例において、作製した包装基材の物性値の測定は、次の方法で行った。
(包装基材の坪量)
包装基材の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定した。
(紙基材の坪量、及びヒートシール層の坪量)
まず、0.1M酢酸水溶液と0.1M酢酸ナトリウム水溶液を調製した。約830gの0.1M酢酸水溶液と約160gの0.1M酢酸ナトリウム水溶液を混合してpHが4となるようにし、これを酢酸緩衝液とした。この酢酸緩衝液にセルラーゼオノズカp1500(ヤクルト薬品工業株式会社製)を添加量が1重量%となるように添加した。
セルラーゼオノズカp1500を添加した酢酸緩衝液50mlと、包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)0.5gとをバイアル瓶に入れて、しっかりと蓋をした。次に、180rpm、40℃の条件で24時間振とうした後、バイアル瓶からヒートシール層を採取し、ヒートシール層部分の質量を測定した。包装基材(ヒートシール層が形成された紙基材)の質量(0.5g)と採取したヒートシール層の質量から、下記式により、紙基材の坪量と、ヒートシール層の坪量を算出した。
紙基材の坪量=
包装基材の坪量×[(包装基材の質量-ヒートシール層の質量)/包装基材の質量]
ヒートシール層の坪量=
包装基材の坪量×(ヒートシール層の質量/包装基材の質量)
(接着剤層の坪量(接着剤塗布量))
上記のようにして求めた包装基材の坪量と、接着剤層を設ける前にJIS P 8124に準拠して測定した紙基材の坪量とから、下記式により、接着剤層の坪量を算出した。
接着剤層の坪量=包装基材の坪量-紙基材の坪量
(包装基材の厚さ)
包装基材の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠し、自動昇降式紙厚計スタンダードモデル TM-600(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した。加圧面の圧力条件は100kPaとした。
(包装基材の密度)
包装基材の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出した。
(包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度)
包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。
(包装基材の破裂強度)
包装基材の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定した。なお、熊谷理機工業株式会社製のミューレン破裂度試験機を用い、低圧用の測定条件で測定した。
(包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさの測定)
包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさは、ISO 2493に記載された方法に準拠し、L&W ベンディングテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いて測定を行った。包装基材は、幅38mm、長さ100mmの試験片について、曲げ角度を15度、曲げ長(試料台のスパン)を10mmとしたときの測定値を曲げ抵抗(荷重)とし、次の算出式によって曲げこわさ(μN・m)を求めた。
曲げこわさ(μN・m)=60×曲げ抵抗(mN)×曲げ長10(mm)÷(π×曲げ角度15(°)×サンプル幅38(mm))
なお、長さ100mmの試験片を採取できない場合は、試験片の長さを短くすることができる。また、試験片は、ミシン目を含まないようにするが、試験片のサイズを確保する上でミシン目を含まなければならないときは、ミシン目を含んでもよい。
(実施例1)
(包装基材)
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)100重量%を用いた紙基材を用意した。そして、紙基材上に、ヒートシール層として、ポリエチレン層を押出法によって製膜し、包装基材を作製した。作製した包装基材、紙基材及びヒートシール層の各坪量、紙基材の割合、包装基材の厚さ、密度、MD方向及びCD方向の引張強度、MD方向及びCD方向の曲げこわさ、並びに破裂強度を測定した結果を表1及び表2に示す。
(トイレットロール)
また、表1及び表2に示す巻長、巻直径、プライ数、コア外径、1プライ当たりの坪量、ロール幅114mm当たりの重量、及びロール密度であるトイレットロールを4個用意した。
(トイレットロール包装体(キャラメル包装))
作製した包装基材を用いて、包装基材のMD方向430cm×包装基材のCD方向655cmから包装体を作製した。そして、この包装体の中に、トイレットロールを4個(縦2個×横2個)入れ、キャラメル包装により密封して、トイレットロール包装体を得た。なお、CD方向からトイレットロールを包みながら包装する形式とした。
そして、トイレットロール包装体において、包装基材の周長方向Pの弛みを測定し、ロール密度(A)に対する周長方向Pの弛み(B)の比率(B/A)を算出した。
(包装基材の破れ難さ)
作製したトイレットロール包装体について、包装体を片手で両側から掴んだときの包装基材の破れ難さをモニター30人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:包装基材が破れ易いと感じた人 0~1人
4:包装基材が破れ易いと感じた人 2~3人
3:包装基材が破れ易いと感じた人 4~6人
2:包装基材が破れ易いと感じた人 7~20人
1:包装基材が破れ易いと感じた人 21~30人
(包装後の形態の良さ(美粧性))
作製したトイレットロール包装体について、包装体の外観を目視で観察したときの形態の良さ(美粧性)をモニター30人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人 0~1人
4:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人 2~3人
3:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人 4~6人
2:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人 7~20人
1:包装基材が弛んだり、所定の位置で曲がっていなかったりして、美粧性に劣ると感じた人 21~30人
なお、包装基材の破れ難さ及び包装後の形態の良さは、トイレットロールのロール密度及び包装基材の周長方向の弛み、並びに包装基材の坪量の2つの観点からそれぞれ評価した。
(実施例2)~(実施例24)、(比較例1)~(比較例8)
実施例2~24及び比較例1~8も実施例1と同様にして、表1及び表2に示す物性を有する包装基材を作製し、これを用い、実施例1と同様にしてトイレットロール包装体(キャラメル包装)を作製して、包装基材の破れ難さ及び包装後の形態を評価した。ただし、実施例23においては、接着剤層もヒートシール層も有さない紙基材を用いた。実施例24においては、紙基材上にヒートシール層としてポリエチレン層を設ける代わりに、スチレン-アクリル系接着剤層(接着剤塗布量17.5g/m)を設け、接着剤層の坪量を測定した。また、各実施例及び各比較例において、包装基材のサイズは、適宜調整した。
表1及び表2に示される結果から明らかなとおり、実施例1~24の包装体はいずれも包装基材が破れ難く、包装後の形態に優れるものであった。それに対して、比較例1~8はいずれも包装基材が破れ易いか、包装後の形態に劣るものであった。
よって、本発明の包装体は、紙を主体とする包装基材でトイレットロールを包装しても、包装後の形態が良好で包装基材が破れ難いトイレットロール包装体を提供することができる。
1 包装体
10、20、30 包装基材
10s、20s、30s 弛み部
11、21、31 トイレットロール
L トイレットロールの軸方向
P 包装基材の周長方向
S 第1定規
SL 基準線
R 第2定規
Rt 第2定規の厚さ方向
D 包装基材の沈み込み量

Claims (4)

  1. 少なくとも紙基材を含む包装基材で、2個、4個又は6個のトイレットロールを包装した包装体であって、
    前記包装基材の坪量が30g/m以上105g/m以下で、破裂強度が65kPa以上295kPa以下であり、
    前記包装基材の坪量に対する前記紙基材の坪量の比率(%)が、51%以上100%以下であり、
    前記包装基材は前記紙基材の表面にシール層としてヒートシール層及び/又は接着剤層が形成されており、
    前記トイレットロールが、その軸方向に垂直な方向に2列又は3列で、かついずれの列も両端面が揃うように並び、
    前記トイレットロールのロール密度が、0.1g/cm以上0.33g/cm以下であり、
    前記トイレットロールを包装した状態における前記包装基材の周長方向の弛みが、4mm以上38mm以下であり、
    前記ロール密度(A)に対する前記周長方向の弛み(B)の比率(B/A)が、13以上200以下であることを特徴とする、トイレットロール包装体。
  2. 前記包装基材のCD方向の曲げこわさが、8μN・m以上130μN・m以下であることを特徴とする、請求項1に記載のトイレットロール包装体。
  3. 前記包装基材のMD方向の曲げこわさが、18μN・m以上300μN・m以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトイレットロール包装体。
  4. 前記包装体が、キャラメル包装であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のトイレットロール包装体。
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