JP2024021867A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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弘憲 大脇
Hironori Owaki
正之 篠塚
Masayuki Shinozuka
基也 山田
Motoya Yamada
康夫 小島
Yasuo Kojima
孝治 高橋
Koji Takahashi
秀文 鯨井
Shubun Kujirai
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Abstract

【課題】画像形成プロセスのスピードを速くした場合においても、十分な光感度特性が得られる電子写真感光体を提供する。【解決手段】本発明の電子写真感光体は、円筒状の支持体を有する電子写真感光体であって、該支持体の表面が、Al及び又はAl合金で形成されており、該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒の3種の結晶粒からなる面であり、かつ、該支持体の表面において、該3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して10%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して90%以上であることを満足することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、前記電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、及び、電子写真装置に関する。
近年、電子写真装置のユーザーの多様化が進み、出力される画像がより高速、より高画質、より高安定であることが求められている。
特許文献1には、帯電維持性を高める技術として、導電性基体上に配置された下引き層に、特定のペリノン化合物と、ポリウレタンと、を含有する電子写真感光体が開示されている。
特許文献2には、前画像の履歴が残ることで生じる残像現象の発生を抑制する技術として、導電性基体上に配置された下引き層に、金属酸化物粒子と、特定の電子受容性化合物と、を含有する電子写真感光体が記載されている。
特開2020-46640号公報 特許第6838324号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1~2に記載の電子写真感光体では、特に電子写真装置の更なる高速化を目指して、画像形成プロセスのスピードを速くした場合における光感度特性に改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、画像形成プロセスのスピードを速くした場合においても、十分な光感度特性を有する電子写真感光体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明の一態様に係る電子写真感光体は、
円筒状の支持体、該支持体の直上に形成された下引き層、及び、該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
該下引き層が、下記式(A1)で示される化合物、下記式(A2)で示される化合物、下記式(A3)で示される化合物、下記式(A4)で示される化合物、及び下記式(A5)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有し、
該支持体の表面が、Al及び又はAl合金で形成されており、
該支持体の表面が、下記条件(C1)~(C3)のいずれか1つを満足することを特徴とする電子写真感光体である。
(C1)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
からなる群より選択される1種の結晶粒からなる面である、
(C2)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
からなる群より選択される2種の結晶粒からなる面である、
(C3)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
の3種の結晶粒からなる面であり、かつ、該支持体の表面において、該3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して10%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して90%以上である。
Figure 2024021867000002
Figure 2024021867000003
Figure 2024021867000004
Figure 2024021867000005
Figure 2024021867000006
(式(A1)(A2)中、R101~R106、R201~R210は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基を示す。該アルキル基のCHの1つは、O、Sで置換されても良く、該アルキル基のCHの1つは、Nで置換されてもよい。該置換のアルキル基の置換基は、アルキル基、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシカルボニル基及びハロゲン原子からなる群より選択される基である。該置換のアリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びハロゲン基置換アルキル基からなる群より選択される基である。
式(A3)中のR301~R308及び式(A4)中のR401~R408は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリール基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、又は、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基を示す。あるいは、R301及びR302、R302及びR303、R303及びR304、R305及びR306、R306及びR307、R307及びR308、R401及びR402、R402及びR403、R403及びR404、R405及びR406、R406及びR407、並びに、R407及びR408は、それぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよい。
式(A5)中、n1及n2は、各々独立に0以上4以下の整数を表す。R501及びR502は、あってもなくてもよい。R501及びR502は、各々独立に炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は炭素数6以上30以下のアリール基を表す。)
また、本発明の別の態様に係るプロセスカートリッジは、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明のさらに別の態様に係る電子写真装置は、上記電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、画像形成プロセスのスピードを速くした場合においても、十分な光感度特性が得られる電子写真感光体を提供することができる。
アルミニウムの結晶粒の分布を示す図である。 支持体におけるアルミニウムの結晶粒の測定位置を示す図である。 本発明に関わる電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
電子写真感光体における光感度特性とは、露光プロセスで照射される光のエネルギー量を如何に効率よく電位コントラストに変換できるか、という電子写真感光体の特性を示している。即ち、帯電した電子写真感光体に所望のエネルギー量の光を照射した場合に、効率よく電荷を打ち消し、表面電位を0Vに近づけられるほど光感度特性が優れていると解釈できる。或いは、所望のコントラスト電位を得るために必要な光のエネルギー量が小さいほど光感度特性が優れていると解釈することもできる。光感度特性が優れていると、画像形成プロセスのスピードを速くした場合においても、対応が容易となるため好適である。
電子写真感光体の光感度特性を改善するためには、電荷発生層や電荷輸送層などの膜の材料の種類や量などの工夫によって行われるのが一般的で、これまでにも様々な改良がなされてきた。
本発明者らが検討したところ、アルミニウム製支持体上に、上記の(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、(A5)で示される化合物を含有する下引き層を設ける層構成の電子写真感光体においては、支持体の工夫においても光感度特性を改善できることを見出した。
本発明者らは、従来技術で発生していた上記技術課題を解決するために、アルミニウム製支持体表面の結晶粒について検討を行った。その検討の結果、以下の本発明に係る電子写真感光体を用いることで、上記技術課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明の一態様に係る電子写真感光体は、
円筒状の支持体、該支持体の直上に形成された下引き層、及び、該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
該下引き層が、下記式(A1)で示される化合物、下記式(A2)で示される化合物、下記式(A3)で示される化合物、下記式(A4)で示される化合物、及び下記式(A5)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有し、
該支持体の表面が、Al及び又はAl合金で形成されており、
該支持体の表面が、下記条件(C1)~(C3)のいずれか1つを満足することを特徴とする電子写真感光体である。
(C1)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
からなる群より選択される1種の結晶粒からなる面である、
(C2)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
からなる群より選択される2種の結晶粒からなる面である、
(C3)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
の3種の結晶粒からなる面であり、かつ、該支持体の表面において、該3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して10%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して90%以上である。
Figure 2024021867000007
Figure 2024021867000008
Figure 2024021867000009
Figure 2024021867000010
Figure 2024021867000011
(式(A1)(A2)中、R101~R106、R201~R210は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基を示す。該アルキル基のCHの1つは、O、Sで置換されても良く、該アルキル基のCHの1つは、Nで置換されてもよい。該置換のアルキル基の置換基は、アルキル基、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシカルボニル基及びハロゲン原子からなる群より選択される基である。該置換のアリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びハロゲン基置換アルキル基からなる群より選択される基である。
式(A3)中のR301~R308及び式(A4)中のR401~R408は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリール基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、又は、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基を示す。あるいは、R301及びR302、R302及びR303、R303及びR304、R305及びR306、R306及びR307、R307及びR308、R401及びR402、R402及びR403、R403及びR404、R405及びR406、R406及びR407、並びに、R407及びR408は、それぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよい。
式(A5)中、n1及n2は、各々独立に0以上4以下の整数を表す。R501及びR502は、あってもなくてもよい。R501及びR502は、各々独立に炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は炭素数6以上30以下のアリール基を表す。)
本発明の構成により、従来技術における上記技術課題を解決することができるメカニズムについては、本発明者らは、以下のように推測している。
まず、アルミニウムの結晶方位は大きく分けて{001}方位、{101}方位、及び{111}方位の3つが存在する。「こべるにくす」([No.28]Vol.14 2005.OCT)に記載があるように、通常、例えば図1(a)に示すように、それぞれの結晶方位を有する結晶粒はランダムに分布している。
本発明では、上記3つの結晶方位を有する結晶粒について、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面
と表記する。例えば(α)、即ち、{001}方位-15°以上+15°未満の面とは、アルミニウム(Al)の結晶における{001}面から-15°以上+15°未満の面のばらつきを持った結晶面のことを指す。
このように、結晶粒の方位がランダムに分布すると、3つの異なる結晶方位を有する結晶粒が接する境界部分(以降、3異結晶境界部とも略記する)が比較的多く存在する。本発明者らの検討によれば、上記(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、(A5)で示す化合物を用いた場合には、3異結晶境界部の数を減らすことで、光感度が改善することが分かった。即ち、上記の(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、(A5)で示される化合物と、3異結晶境界部は、電気的な相互作用が起こりにくい組み合わせであり、光感度特性を低下させる要因になっているのではないかと推測している。
つまり、従来技術におけるアルミニウム製支持体では、3種類の結晶方位の結晶粒がランダムに存在するため、3異結晶境界部が比較的多く存在し、その部分を起点としたわずかな電子の滞留が発生し、光感度を低下させていたと考えられる。
本発明者らは、アルミニウム製支持体の表面を、図1(b)~図1(d)に示すように、(α)(β)(γ)のいずれかの結晶粒を少ない状態で形成することで、3異結晶境界部を減少させ、上記の(A1)、(A2)、(A3)、(A4)、(A5)で示される化合物と3異結晶境界部の電気的な相互作用が起こりにくい組み合わせが減少し、光感度特性を改善できたのではないかと推測している。
以下に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
[電子写真感光体]
本発明に係る電子写真感光体は、円筒状の支持体、下引き層及び感光層を有する。
本発明に係る電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、支持体及び各層について説明する。
<支持体>
本発明に係る電子写真感光体は、円筒状の支持体を有し、支持体の表面は、Al及びAl合金から選ばれる少なくともいずれか1つで形成されている。また、支持体の表面は、温水処理や、ブラスト処理、切削処理などが施されていてもよい。
(1)結晶方位
本発明における支持体表面の表面方向におけるAlの結晶方位の表記、例えば、{001}方位の面とは、Alの結晶面をミラー指数で示したものである。即ち{001}方位の面は、結晶格子面の(001)、(010)、(100)、(00-1)、(0-10)、(-100)のいずれかを示すミラー指数の包括表現である。
本発明において、支持体の表面は、下記条件(C1)~(C3)のいずれか1つを満足することを特徴とする。
(C1)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
からなる群より選択される1種の結晶粒からなる面である、
(C2)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
からなる群より選択される2種の結晶粒からなる面である、
(C3)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
の3種の結晶粒からなる面であり、かつ、該支持体の表面において、該3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して10%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して90%以上である。
光感度特性を改善させる本発明の効果をより良く得るという観点から、上述の条件(C3)を満足する場合においては、(α)又は(β)又は(γ)の結晶粒が占める面積の割合が支持体の表面の全面積に対して5%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が支持体の表面の全面積に対して95%以上であることがより好ましい。また、3異結晶境界部をさらに減少させるという観点から、(α)(β)(γ)のうち2種類の結晶粒を少ない状態で形成し、(α)又は(β)又は(γ)の結晶粒が占める面積の割合が支持体の表面の全面積に対して80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。このとき、残りの2種類の結晶粒が占める面積の割合が支持体の表面の全面積に対して20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。そして、同様の観点から、上述の条件(C2)を満足する場合においては、(α)又は(β)又は(γ)の結晶粒が占める面積の割合が支持体の表面の全面積に対して80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。このとき、残りの1種類の結晶粒が占める面積の割合が支持体の表面の全面積に対して20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。以上のような場合、電子写真感光体は、画像形成プロセスのスピードを速くした場合においても、十分な光感度特性が得られる。
(支持体の表面のAlの結晶粒が有する結晶方位の測定方法)
本発明において、支持体の表面のAlの結晶粒が有する結晶方位の測定は、例えば以下のように行うことができる。
まず、支持体の表面をバフ研磨及び水酸化ナトリウム水溶液などにより処理し、処理前の支持体の表面から20μm以内の点について、Alの結晶粒が有する結晶方位の測定を行う。結晶方位の測定はSEM-EBSP法によって行なうことが好ましい。
SEM-EBSP法による測定には、EBSP(電子後方散乱パターン:Electron BackScatter diffraction Pattern)検出器を備えたFE-SEM(電界放射型 走査型電子顕微鏡:Field Emission-Scanning Electron Microscope)を用いる。ここで、SEM-EBSP法とは、試験片表面に電子線を照射した際に発生する反射電子から得られた菊池パターンを解析することにより、電子線照射位置の結晶方位や結晶系を決定することができる方法のことである。また、菊池パターンとは、結晶に当たった電子線が散乱して回折された際に、白黒一対の平行線や帯状若しくはアレイ状に電子回折像の背後に現れるパターンのことを指す。
EBSP検出器を備えたFE-SEMとしては、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(商品名:JSM-6500F、日本電子社製)を用いることができる。
(2)支持体の表面におけるAlの結晶粒の面積
本発明において、各結晶方位を有するAlの結晶粒が占める面積の割合は、以下のようにして決定することができる。
図2に示すように、まず支持体のどちらか一方の端から軸方向に全長の1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8にあたる位置を決める。さらにそれぞれの位置において周方向に90°ずつ4分割する。軸方向の分割線と周方向の分割線が交わる28点それぞれにおいて、軸方向の分割線と周方向の分割線の交点が中心になるように100μm四方の領域を設定し、上記のSEM-EBSP法によって結晶方位の測定を行う。続いて、(α)(β)(γ)の結晶方位を有するAlの結晶粒について、それぞれの方位が占める面積を算出し、得られた値を10000μmで除することにより、各領域における各結晶方位を有するAlの結晶粒が占める面積の割合を決定する。最後に、28の領域から得られたそれぞれの値の平均値を支持体の(α)(β)(γ)が占める面積の割合として決定する。
各結晶方位を有するAlの結晶粒が占める面積の算出は付属のソフトを使用しても構わないし、例えば、測定により得られた方位を、HSV色空間の色相hを用いて(α)の範囲を0≦h<60及び300≦h<360、(β)の範囲を60≦h<180、(γ)の範囲を180≦h<300と定めて、各結晶方位を有するAlの結晶粒の領域の色相マッピングを行うことによって算出しても構わない。
(3)支持体として用いるためのAl合金
本発明における支持体はAl又はAl合金であれば構わない。一般的に、電子写真感光体用の支持体には、JIS呼称の6000系、5000系、3000系のような展伸材用のAl合金が用いられる。
その中でも、結晶方位をコントロールする観点から、支持体の表面を形成するAl合金は、0.2質量%以上0.6質量%以下のSi及び0.45質量%以上0.9質量%以下のMgを含むことが好ましい。このようなAl合金としては、6000系Al合金、例えばJIS呼称A6063合金を用いることが好ましい。JIS呼称A6063合金は、具体的には0.20質量%以上0.6質量%以下のSi、0.35質量%以下のFe、0.10質量%以下のCu、0.1質量%以下のMn、0.45質量%以上0.9質量%以下のMg、0.10質量%以下のCr、0.10質量%以下のZn、及び0.10質量%以下のTiを含むAl合金である。この他にも、支持体の表面を形成するAl合金は、0.45質量%以上6.0質量%以下のMgを含むことが好ましい。このようなAl合金としては、5000系Al合金を用いることが好ましい。この他にも、支持体の表面を形成するAl合金は、0.05質量%以上0.20質量%以下のCu及び1.0質量%以上1.5質量%以下のMnを含むことが好ましい。このようなAl合金としては、3000系Al合金、例えばJIS呼称A3003合金を用いることが好ましい。JIS呼称A3003合金は、具体的には、Siを0.6質量%以下、Feを0.7質量%以下、Cuを0.05質量%以上0.20質量%以下、Mnを1.0質量%以上1.5質量%以下、Znを0.10質量%以下含むAl合金である。
(4)支持体の製造方法
支持体の製造方法は、本発明の要件を満たす支持体を製造することができる方法であれば、特に限定されるものではない。
支持体を製造する方法としては、例えば、以下の4つの工程を含む方法が挙げられる。
・特定のAl合金を準備する工程と、熱間押し出し加工を行って成型体を得る第一の工程
・第一の工程で得た成型体に、冷間引き抜きを施す第二の工程
・第二の工程後に焼鈍しを行う第三の工程
・焼鈍しを行った後に表面を切削する第四の工程
焼鈍しによって結晶方位をコントロールする場合、昇温速度、焼鈍し温度、維持時間、降温速度を調整することによって結晶方位をコントロールすることが可能である。
特に、焼鈍しの温度を405℃以上450℃以下とすることにより、(β)及び(α)を有する結晶粒の面が表面に現れるような再結晶化が発生する。また、焼鈍し温度を405℃以上450℃以下とし、降温速度を6℃/min以上、20℃/min以下とすることで支持体の表面において、(β)を有する結晶粒が占める面積の割合が減少し、且つ(α)を有する結晶粒が占める面積の割合が増加する。また、降温速度を、支持体の温度が150℃になるまでの間、5℃/min以上にすることにより、(α)の結晶方位を有するAlの結晶粒が表面に現れることを抑制し、(γ)の結晶方位を有するAlの結晶粒が表面に現れやすくなる。
さらに、昇温速度及び維持時間によっても各結晶粒の割合を制御することができ、昇温速度を40℃/min以下、維持時間を2.5時間以下とすることが好ましい。
また、結晶方位をコントロールするにあたり、熱履歴は重要であるため、上記の熱間押し出し加工、冷間引き抜きを施す工程を経たものを焼鈍しして使用することが好ましい。
本実施形態の支持体の製造方法においては、上述した支持体の製造方法の各工程の前後、又は各工程間、さらには各工程中に、必要に応じて適宜他の工程を有していてもよい。例えば、寸法合わせや面取り・インロー形成、鏡面化・粗面化などをおこなう切削加工、ホーニング加工、ブラスト加工、研削加工などの処理工程が必要に応じて行なわれる。
一般に電子写真感光体の回転軸は、円筒状の支持体の両端部にフランジ部材を嵌め、このフランジ部材に回転軸を取りつけることで確保される。一般的に、支持体の両端部の内径寸法は、JIS B 0401-1999のはめあい公差のH8程度などに設定される。また、支持体の両端部の内径の表面粗さは、はめあい公差の観点から小さいほうが好ましいが、製造コストの兼ね合いから、JIS B 0601-2001の算術平均粗さRaを1.6μm以下、最大高さRzを6.3μm以下(旧JISの仕上げ記号▽▽▽以上)程度に設定される。
支持体の表面に切削油や粉塵が付着している場合には、洗浄を行ってもよい。
支持体の洗浄方法としては、支持体表面の油分や異物などの付着物を除去する脱脂洗浄工程、脱脂洗浄剤を洗い流す濯ぎ工程、支持体に残留した水を乾燥し洗浄を完了させる乾燥工程を設けることが知られている。
脱脂洗浄工程では、支持体を界面活性剤やアルカリ電解水などの脱脂洗浄剤が含まれる洗浄液に浸漬する。その際に、超音波を用いることや洗浄液の温度を高くすることが脱脂洗浄能力を高める上で有効である。超音波の周波数は、好ましくは10kHz以上100kHz以下が効果的である。温度は30℃以上60℃以下が効果的である。
濯ぎ工程では、支持体を濯ぎ液に浸漬する。濯ぎ液は市水でも純水でもよいが純水が好ましい。その際に、超音波を用いることや濯ぎ液の温度を高くすることがすすぎ洗浄能力を高める上で有効である。超音波の周波数は、好ましくは10kHz以上1MHz以下が効果的である。温度は30℃以上60℃以下が効果的である。すすぎ洗浄槽は1槽でもよいし、複数槽あってもよい。浸漬後の引上げ時にシャワーを使うとより濯ぎ効果が高まる。
乾燥工程は、温風乾燥、真空乾燥、温水乾燥などいずれの乾燥方法も有効であるが、ダスト低減のためには、温純水による引き上げ乾燥が好ましい。温純水の水温の範囲は、30℃以上99℃以下であればよい。
<下引き層>
本発明における下引き層は支持体の直上に、下記式(A1)で示される化合物、下記式(A2)で示される化合物、下記式(A3)で示される化合物、下記式(A4)で示される化合物、及び下記式(A5)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
表1-1及び表1-2に上述の式(A1)で示される化合物の具体例を示す。また、表2に上述の式(A2)で示される化合物の具体例を示す。また、表3に上述の式(A3)で示される化合物の具体例を示す。また、表4に上述の式(A4)で示される化合物の具体例を示す。また、表5に上述の式(A5)で示される化合物の具体例を示す。これらの化合物は単体で使用しても構わないし、複数を混合して用いても構わない。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などを含んでもよい。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、金属酸化物、金属、導電性高分子などをさらに含有してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤をさらに含有してもよい。
下引き層の膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.3μm以上25μm以下であることがより好ましい。
下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び、又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
Figure 2024021867000012
Figure 2024021867000013
Figure 2024021867000014
Figure 2024021867000015
Figure 2024021867000016
Figure 2024021867000017
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層とを有する。
(1-1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1-2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10~20:10が好ましく、5:10~12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤又は芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び、又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び、又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明に係るプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明に係る電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段と、を有することを特徴とする。
図3に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。
なお、図においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。
帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。露光光4は、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光であり、例えば、スリット露光やレーザービーム走査露光などの像露光手段から出力される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。
電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段9を別途設けず、上記付着物を現像手段5などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。
本発明においては、上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、及びクリーニング手段9などから選択される構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納め、一体に支持してプロセスカートリッジ11を形成することができる。そしてそれを電子写真装置本体に対して着脱自在に構成できる。例えば以下のように構成する。帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9から選択される少なくとも1つを、電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化する。これを、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて、電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。
電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明に係るプロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。本発明の電子写真装置は、電子写真感光体1、並びに、帯電手段3、露光手段、現像手段5及び転写手段6からなる群より選択される少なくとも1つの手段を有することを特徴とする。
本発明に係る電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<支持体の製造例>
以下の方法で、支持体の製造を行った。
(支持体A1の製造例)
JIS呼称A6063合金からなる熱間押出形成された押出し管を、冷間引き抜き加工して、外径30.8mm、内径28mm、長さ371mmの引き抜き管を得た。
次に、引き抜き管を電気炉に入れ、昇温速度5℃/minで昇温後、450℃で1時間維持し、続いて引き抜き管が150℃になるまで降温速度6℃/minで降温し、24時間後に電気炉から取り出した。
焼鈍し後に切削加工を行うことにより、外径30.5mm、長さ370mm、両端部に内径28.5mm、深さ20mmのインロー部を有する「支持体A1」を得た。支持体A1の製造条件を表6に示す。
用いた引き抜き管の元素分析を行ったところ、0.4質量%のSi、0.3質量%のFe、0.06質量%のCu、0.08質量%以下のMn、0.65質量%のMg、0.05質量%のCr、0.07質量%のZn、及び0.06質量%のTiを含むAl合金であった。
(支持体A6の製造例)
JIS呼称A3003合金からなる熱間押出形成された押出し管を、冷間引き抜き加工して、外径30.8mm、内径28mm、長さ371mmの引き抜き管を得た。
次に、引き抜き管を電気炉に入れ、昇温速度40℃/minで昇温後、435℃で1時間維持し、続いて引き抜き管が150℃になるまで降温速度15℃/minで降温し、24時間後に電気炉から取り出した。
焼鈍しの後に切削加工を行うことにより、支持体A1と同寸法の「支持体A6」を得た。支持体A6の製造条件を表6に示す。
用いた引き抜き管の元素分析を行ったところ、Si:0.3質量%、Fe:0.4質量%、Cu:0.1質量%、Mn:1.2質量%、Zn:0.05質量%、残部:Al及び不純物からなるAl合金であった。
(支持体A7の製造例)
マグネシウムを2.5質量%含有したJIS呼称の5000系合金(Al-Mg系合金)からなる熱間押出形成された押出し管を、冷間引き抜き加工して、外径30.8mm、内径28mm、長さ371mmの引き抜き管を得た。
次に、引き抜き管を電気炉に入れ、昇温速度5℃/minで昇温後、450℃で1時間維持し、続いて引き抜き管が150℃になるまで降温速度15℃/minで降温し、24時間後に電気炉から取り出した。
焼鈍しの後に切削加工を行うことにより、支持体A1と同寸法の「支持体A7」を得た。支持体A7の製造条件を表6に示す。
用いた引き抜き管の元素分析を行うと、Si:0.1質量%、Fe:0.1質量%、Cu:0.02質量%、Mg:2.5質量%、Zn:0.01質量%を含むAl合金であった。
(支持体A2~A5、及び、支持体A8~A44の製造例)
引き抜き菅に用いるアルミの合金と、焼鈍しの条件を表6に示す条件とし、それ以外は、支持体A1、A6、及び、A7の製造例と同様にして支持体を製造した。
得られた支持体を「支持体A2~支持体A5、及び、支持体A8~支持体A44」とする。
(支持体C1~C13の製造例)
引き抜き菅に用いるアルミの合金と、焼鈍しの条件を表7に示す条件とし、それ以外は、支持体A1、A6、及び、A7の製造例と同様にして支持体を製造した。
得られた支持体を「支持体C1~支持体C13」とする。
Figure 2024021867000018
Figure 2024021867000019
<下引き層用塗布液1の調製例>
以下の材料を用意した。
・例示化合物A101:4部
・ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック(登録商標)BX-1、積水化学工業(株)製):1.5部、
・触媒としてのオクチル酸亜鉛(II):0.0005部
これらを、ジメチルアセトアミド100部とテトラヒドロフラン100部の混合溶媒に溶解した。この溶液に、固形分6部相当のブロックイソシアネート(商品名:BL3175、住化バイエル製)を加え、下引き層用塗布液1を調製した。
<下引き層用塗布液2~4の調製例>
下引き層に用いる例示化合物を表8に示す条件とし、それ以外は下引き層用塗布液1と同様にして、下引き層用塗布液2~4を調製した。
Figure 2024021867000020
<下引き層用塗布液5の調製例>
以下の材料を用意した。
・ポリオール樹脂としてのブチラール樹脂(商品名:エスレック(登録商標)BM-1、積水化学工業社製)7.5部
・ブロック化イソシアネート樹脂(商品名:デュラネート(登録商標)TPA-B80E、80%溶液、旭化成社製)20部
これらを、メチルエチルケトン45部/1-ブタノール85部の混合溶剤に溶解させて溶液を得た。
得られた混合液に例示化合物A301を30質量部添加して混合し、その後、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて10時間の分散を行い、分散液を得た。
この分散液に、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:DOWSIL(登録商標)SH28 PAINT ADDITIVE、東レ・ダウコーニング社製)0.01部を添加した。また同時に、表面粗さ付与材として架橋型のポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(商品名:テクポリマー(登録商標)SSX-103、積水化成品工業社製、平均一次粒径3.1μm)を5.0部添加した。その後攪拌することによって、下引き層用塗布液5を調製した。
<下引き層用塗布液6~8の調製例>
下引き層に用いる例示化合物と部数を表9に示す条件とし、それ以外は下引き層用塗布液5と同様にして、下引き層用塗布液6~8を調製した。
Figure 2024021867000021
<下引き層用塗布液9の調製例>
金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m/g、粉体抵抗:4.7×10Ω・cm)100部をトルエン500部と撹拌混合し、これにシランカップリング剤(化合物名:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、商品名:KBM-602、信越化学工業(株)製)0.8部を添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、130℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
その後、以下の材料を用意した。
・ポリオール樹脂としてブチラール樹脂(商品名:エスレック(登録商標)BM-1、積水化学工業(株)製)15部
・ブロック化イソシアネート(商品名:デュラネート(登録商標)TPA-B80E、80%溶液、旭化成社製)15部
これらを、メチルエチルケトン73.5部と1-ブタノール73.5部の混合溶液に溶解させた。
この溶液に前記表面処理された酸化亜鉛粒子30部、例示化合物A512を2部を加え、これを直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下で3時間分散を行い、分散液を得た。
この分散液に、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:DOWSIL(登録商標)SH28 PAINT ADDITIVE、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01部を添加した。
また同時に、表面粗さ付与材として架橋型のポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(商品名:テクポリマー(登録商標)SSX-103、積水化成品工業社製、平均一次粒径3.1μm)を5.0部添加した。
その後攪拌することによって、下引き層用塗布液9を調製した。
<下引き層用塗布液10の調製例>
下引き層に用いる例示化合物と部数を表10に示す条件とし、それ以外は下引き層用塗布液9と同様にして、下引き層用塗布液10を調製した。
Figure 2024021867000022
<実施例1>
(支持体)
支持体A1を支持体として用いた。
(下引き層)
次に、下引き層用塗布液1を支持体上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間160℃で乾燥及び熱硬化させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層を形成した。
(電荷発生層)
次に、以下の材料を用意した。
・CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)20部
・下記式(B)で示されるカリックスアレーン化合物0.2部、
Figure 2024021867000023
・ポリビニルブチラール(商品名:エスレック(登録商標)BX-1、積水化学工業(株)製)10部
・シクロヘキサノン600部
これらを、直径1mmガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した。その後、酢酸エチル700部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥させることによって、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層)
次に、以下の材料を用意した。
・下記式(C)で示される化合物90部(電荷輸送物質)
Figure 2024021867000024
・ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロン(登録商標)Z400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート)100部
・下記式(D)で示されるポリカーボネート(粘度平均分子量Mv:20000)0.02部
Figure 2024021867000025
これらを、混合キシレン600部及びジメトキシメタン200部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を上記電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を30分間100℃で乾燥させることによって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
以上の手順により、実施例1の電子写真感光体を製造した。得られた電子写真感光体を「感光体A1」とする。
<実施例2~44>
実施例1で示した感光体A1に対して、支持体を表11-1に示す支持体に変更した以外はすべて感光体A1と同様にして電子写真感光体を製造した。得られた電子写真感光体を「感光体A2~感光体A44」とする。
<実施例45~440>
実施例1で示した感光体A1に対して、支持体、及び、下引き層形成に用いる塗布液と下引き層の膜厚を、表11-2~表11-10に示した条件に変更し、それ以外はすべて感光体A1と同様にして電子写真感光体を製造した。得られた電子写真感光体を「感光体A45~A440」とする。
<比較例1~130>
実施例1で示した感光体A1に対して、支持体、及び、下引き層形成に用いる塗布液と下引き層の膜厚を、表12-1~表12-3に示した条件に変更し、それ以外はすべて感光体A1と同様にして電子写真感光体を製造した。得られた電子写真感光体を「感光体C1~C130」とする。
Figure 2024021867000026
Figure 2024021867000027
Figure 2024021867000028
Figure 2024021867000029
Figure 2024021867000030
Figure 2024021867000031
Figure 2024021867000032
Figure 2024021867000033
Figure 2024021867000034
Figure 2024021867000035
Figure 2024021867000036
Figure 2024021867000037
Figure 2024021867000038
[電子写真感光体の評価]
上記で作製した電子写真感光体について、以下に示す評価を行った。
(支持体の表面におけるAlの結晶粒の面積の測定)
評価する電子写真感光体のどちらか一方の端から軸方向に全長の1/8、2/8、3/8、4/8、5/8、6/8、7/8にあたる位置を決めた。さらにそれぞれの位置において周方向に90°ずつ4分割した。軸方向の分割線と周方向の分割線が交わる28点それぞれにおいて、軸方向の分割線と周方向の分割線の交点が中心になるように10mm四方の断片を切り出した。
研磨シートで保護層を除去した後、メチルエチルケトンを用いて感光層を除去した。その後、バフ研磨によって支持体表面の露出、鏡面仕上げを行った。次に水酸化ナトリウム水溶液に1分浸漬させて処理して結晶方位観察用のサンプルを得た。
得られたサンプルの表面の中央位置において、前述したSEM-EBSP法により観察し、前述した方法により、各結晶方位を有するAlの結晶粒が占める面積の割合及びAlの結晶粒の平均面積を算出した。測定した結果を、表13-1~表13-10、及び、表14-1~表14-3に示す。
(光感度特性の評価)
光感度特性の評価には、感光体試験装置(商品名:CYNTHIA59、ジェンテック(株)製)を使用した。露光手段、及び、表面電位プローブは、帯電器の中心を基準として、それぞれ、60°、及び、120°の位置に配置した。上記の感光体試験装置を、常温常湿(23℃/50%RH)環境下に設置し、感光体試験装置内に、評価する電子写真感光体を設置した。電子写真感光体の周速度が550mm/secとなるように電子写真感光体を回転させて、電子写真感光体の周方向における平均電位が-700Vになるように帯電装置の条件を設定した。帯電させた電子写真感光体に、波長780nmの単色光を、0.30μJ/cmのエネルギー量にて照射し、この状態における表面電位を測定した。
表面電位の測定は、表面電位プローブ(model6000B-8:トレック・ジャパン(株)製)を電子写真感光体から2mm離れた位置に設置し、表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用した。このような測定条件の場合、表面電位計の測定スポットサイズは、10mmΦ程度となる。
測定した表面電位から、電子写真感光体の周方向における平均電位を算出し、その絶対値を光感度とした。得られた光感度は、数値が小さいほど、光感度特性が優れていることを示す。本評価においては、以下の基準で判定した。
AA:200.0V未満
A:200.0V以上、203.0V未満
B:203.0V以上、206.0V未満
C:206.0V以上、209.0V未満
D:209.0V以上、212.0V未満
E:212.0V以上
Figure 2024021867000039
Figure 2024021867000040
Figure 2024021867000041
Figure 2024021867000042
Figure 2024021867000043
Figure 2024021867000044
Figure 2024021867000045
Figure 2024021867000046
Figure 2024021867000047
Figure 2024021867000048
Figure 2024021867000049
Figure 2024021867000050
Figure 2024021867000051
本発明に係る実施形態についての開示は以下の構成を含む。
(構成1)
円筒状の支持体、該支持体の直上に形成された下引き層、及び、該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
該下引き層が、下記式(A1)で示される化合物、下記式(A2)で示される化合物、下記式(A3)で示される化合物、下記式(A4)で示される化合物、及び下記式(A5)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有し、
該支持体の表面が、Al及び又はAl合金で形成されており、
該支持体の表面が、下記条件(C1)~(C3)のいずれか1つを満足することを特徴とする電子写真感光体。
(C1)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
からなる群より選択される1種の結晶粒からなる面である、
(C2)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
からなる群より選択される2種の結晶粒からなる面である、
(C3)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
(α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
(β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
(γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
の3種の結晶粒からなる面であり、かつ、該支持体の表面において、該3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して10%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して90%以上である。
Figure 2024021867000052
Figure 2024021867000053
Figure 2024021867000054
Figure 2024021867000055
Figure 2024021867000056
(式(A1)(A2)中、R101~R106、R201~R210は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基を示す。該アルキル基のCHの1つは、O、Sで置換されても良く、該アルキル基のCHの1つは、Nで置換されてもよい。該置換のアルキル基の置換基は、アルキル基、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシカルボニル基及びハロゲン原子からなる群より選択される基である。該置換のアリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びハロゲン基置換アルキル基からなる群より選択される基である。
式(A3)中のR301~R308及び式(A4)中のR401~R408は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリール基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、又は、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基を示す。あるいは、R301及びR302、R302及びR303、R303及びR304、R305及びR306、R306及びR307、R307及びR308、R401及びR402、R402及びR403、R403及びR404、R405及びR406、R406及びR407、並びに、R407及びR408は、それぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよい。
式(A5)中、n1及びn2は、各々独立に0以上4以下の整数を表す。但し、n1及びn2が同時に0を表さないR501及びR502は、あってもなくてもよい。R501及びR502は、各々独立に炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は炭素数6以上30以下のアリール基を表す。)
(構成2)
前記支持体の表面が、前記条件(C3)を満足し、
前記支持体の表面において、前記3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して5%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して95%以上である、
構成1に記載の電子写真感光体。
(構成3)
前記支持体の表面が、前記条件(C3)を満足し、
前記3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して80%以上であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して20%以下である、
構成1又は2に記載の電子写真感光体。
(構成4)
前記支持体の表面が、前記条件(C2)を満足し、
前記2種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して80%以上であり、残りの1種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して20%以下である、
構成1に記載の電子写真感光体。
(構成5)
前記下引き層が、前記式(A5)で示される化合物を含有する、構成1~4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
(構成6)
前記支持体が、0.2質量%以上0.6質量%以下のSiを含み、0.45質量%以上0.9質量%以下のMgを含むAl合金である、構成1~5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
(構成7)
前記支持体が、0.45質量%以上6.0質量%以下のMgを含むAl合金である、構成1~5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
(構成8)
前記支持体が、0.05質量%以上0.20質量%以下のCuを含み、1.0質量%以上1.5質量%以下のMnを含むAl合金である、構成1~7のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
(構成9)
構成1~8のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
(構成10)
構成1~8のいずれか1つに記載の電子写真感光体、並びに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (10)

  1. 円筒状の支持体、該支持体の直上に形成された下引き層、及び、該下引き層上に形成された感光層を有する電子写真感光体であって、
    該下引き層が、下記式(A1)で示される化合物、下記式(A2)で示される化合物、下記式(A3)で示される化合物、下記式(A4)で示される化合物、及び下記式(A5)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有し、
    該支持体の表面が、Al及び又はAl合金で形成されており、
    該支持体の表面が、下記条件(C1)~(C3)のいずれか1つを満足することを特徴とする電子写真感光体。
    (C1)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
    (α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
    (β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
    (γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
    からなる群より選択される1種の結晶粒からなる面である、
    (C2)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
    (α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
    (β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
    (γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
    からなる群より選択される2種の結晶粒からなる面である、
    (C3)該支持体の表面のAlの集合組織の表面方向において、該支持体の表面は、
    (α){001}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、
    (β){101}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒、及び
    (γ){111}方位-15°以上+15°未満の面の結晶粒
    の3種の結晶粒からなる面であり、かつ、該支持体の表面において、該3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して10%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が該支持体の表面の全面積に対して90%以上である。
    Figure 2024021867000057
    Figure 2024021867000058
    Figure 2024021867000059
    Figure 2024021867000060
    Figure 2024021867000061
    (式(A1)(A2)中、R101~R106、R201~R210は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基を示す。該アルキル基のCHの1つは、O、Sで置換されても良く、該アルキル基のCHの1つは、Nで置換されてもよい。該置換のアルキル基の置換基は、アルキル基、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシカルボニル基及びハロゲン原子からなる群より選択される基である。該置換のアリール基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基及びハロゲン基置換アルキル基からなる群より選択される基である。
    式(A3)中のR301~R308及び式(A4)中のR401~R408は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルキル基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリール基、炭素数6以上30以下の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、又は、炭素数1以上10以下の置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基を示す。あるいは、R301及びR302、R302及びR303、R303及びR304、R305及びR306、R306及びR307、R307及びR308、R401及びR402、R402及びR403、R403及びR404、R405及びR406、R406及びR407、並びに、R407及びR408は、それぞれ独立に、互いに連結して環を形成してもよい。
    式(A5)中、n1及びn2は、各々独立に0以上4以下の整数を表す。但し、n1及びn2が同時に0を表さないR501及びR502は、あってもなくてもよい。R501及びR502は、各々独立に炭素数1以上10以下のアルキル基、炭素数1以上10以下のアルコキシ基、又は炭素数6以上30以下のアリール基を表す。)
  2. 前記支持体の表面が、前記条件(C3)を満足し、
    前記支持体の表面において、前記3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して5%以下であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して95%以上である、
    請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記支持体の表面が、前記条件(C3)を満足し、
    前記3種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して80%以上であり、残りの2種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して20%以下である、
    請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 前記支持体の表面が、前記条件(C2)を満足し、
    前記2種の結晶粒のうちの1種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して80%以上であり、残りの1種の結晶粒が占める面積の割合が前記支持体の表面の全面積に対して20%以下である、
    請求項1に記載の電子写真感光体。
  5. 前記下引き層が、前記式(A5)で示される化合物を含有する、請求項1に記載の電子写真感光体。
  6. 前記支持体が、0.2質量%以上0.6質量%以下のSiを含み、0.45質量%以上0.9質量%以下のMgを含むAl合金である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  7. 前記支持体が、0.45質量%以上6.0質量%以下のMgを含むAl合金である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  8. 前記支持体が、0.05質量%以上0.20質量%以下のCuを含み、1.0質量%以上1.5質量%以下のMnを含むAl合金である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の電子写真感光体、並びに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置。
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