JP2024021739A - 二次電池用正極活物質、二次電池用正極および二次電池 - Google Patents

二次電池用正極活物質、二次電池用正極および二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電池特性を得ることが可能である二次電池を提供する。【解決手段】二次電池は、二次電池用正極と、負極と、電解液とを備える。二次電池用正極は、正極活物質層を備え、その正極活物質層は、二次電池用正極活物質を含む。二次電池用正極活物質は、電極反応物質を吸蔵放出すると共に2つ以上の結晶粒を含む中心部と、その中心部に設けられた被覆部とを備える。中心部は、2つ以上の結晶粒のそれぞれの表面と、その2つ以上の結晶粒の間の粒界とを有する。被覆部は、表面を被覆する第1被覆部と、粒界を被覆する第2被覆部とを含む。第1被覆部の平均厚さは、1.0nm以上10.0nm以下であり、第2被覆部の平均厚さは、1.0nm以上10.0nm以下であり、第1被覆部の平均厚さに対する第2被覆部の平均厚さの比は、1よりも大きいと共に3よりも小さい範囲内である。【選択図】図2

Description

本技術は、二次電池用正極活物質、二次電池用正極および二次電池に関する。
携帯電話機などの多様な電子機器が普及しているため、小型かつ軽量であると共に高エネルギー密度が得られる電源として二次電池の開発が進められている。この二次電池は、正極(二次電池用正極)および負極と共に電解液を備えており、その正極は、正極活物質(二次電池用正極活物質)を含んでいる。二次電池の構成に関しては、様々な検討がなされている。
具体的には、複合正極活物質において、二次粒子の表面および複数の一次粒子の間のそれぞれにコーティング膜が形成されている。一次粒子は、層状結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物を含んでいると共に、コーティング膜は、スピネル結晶構造を有するリチウムコバルト複合酸化物を含んでいる(例えば、特許文献1参照。)。
粒子は、所定の組成を有する複数の結晶子と、所定の組成を有する粒界とを含んでいる。粒界におけるコバルトの濃度は、結晶子におけるコバルトの濃度よりも大きくなるように設定されている(例えば、特許文献2参照。)。
正極活物質は、二次粒子(複数の一次粒子)を含んでいる。正極活物質の表面に、リチウム、アルミニウムおよびホウ素を含む酸化物が形成されていると共に、その正極活物質の粒界に、高濃度のアルミニウムが存在している(例えば、特許文献3参照。)。
特開2019-046795号公報 特開2017-105709号公報 特開2015-076336号公報
二次電池の構成に関する様々な検討がなされているが、その二次電池の電池特性は未だ十分でないため、改善の余地がある。
よって、優れた電池特性を得ることが可能である二次電池用正極活物質、二次電池用正極および二次電池が望まれている。
本技術の一実施形態の二次電池用正極活物質は、電極反応物質を吸蔵放出すると共に2つ以上の結晶粒を含む中心部と、その中心部に設けられた被覆部とを備えたものである。中心部は、2つ以上の結晶粒のそれぞれの表面と、その2つ以上の結晶粒の間の粒界とを有する。被覆部は、表面を被覆する第1被覆部と、粒界を被覆する第2被覆部とを含む。第1被覆部の平均厚さは、1.0nm以上10.0nm以下であり、第2被覆部の平均厚さは、1.0nm以上10.0nm以下であり、その第1被覆部の平均厚さに対する第2被覆部の平均厚さの比は、1よりも大きいと共に3よりも小さい範囲内である。
本技術の一実施形態の二次電池用正極は、正極活物質層を備え、その正極活物質層が二次電池用正極活物質を含み、その二次電池用正極活物質が上記した本技術の一実施形態の二次電池用正極活物質の構成と同様の構成を有するものである。
本技術の一実施形態の二次電池は、二次電池用正極と負極と電解液とを備え、その二次電池用正極が上記した本技術の一実施形態の二次電池用正極の構成と同様の構成を有するものである。
なお、「第1被覆部の平均厚さ」および「第2被覆部の平均厚さ」のそれぞれは、電子顕微鏡を用いた二次電池用正極活物質の断面の観察結果(電子顕微鏡写真)に基づいて算出される。詳細な算出手順に関しては、後述する。
本技術の一実施形態の二次電池用正極活物質、二次電池用正極または二次電池によれば、その二次電池用正極活物質が中心部および被覆部を備えており、その中心部が表面および粒界を有しており、その被覆部が表面を被覆する第1被覆部および粒界を被覆する第2被覆部を含んでおり、その第1被覆部の平均厚さが1.0nm以上10.0nm以下であり、その第2被覆部の平均厚さが1.0nm以上10.0nm以下であり、その第1被覆部の平均厚さに対する第2被覆部の平均厚さの比が1よりも大きいと共に3よりも小さい範囲内であるので、優れた電池特性を得ることができる。
なお、本技術の効果は、必ずしもここで説明された効果に限定されるわけではなく、後述する本技術に関連する一連の効果のうちのいずれの効果でもよい。
本技術の一実施形態における二次電池用正極活物質の構成を模式的に表す断面図である。 図1に示した二次電池用正極活物質の詳細な構成を拡大して表す断面図である。 第1比較例における二次電池用正極活物質の詳細な構成を拡大して表す断面図である。 第1比較例における二次電池用正極活物質に関する問題点を説明するための断面図である。 第2比較例における二次電池用正極活物質の詳細な構成を拡大して表す断面図である。 第2比較例における二次電池用正極活物質に関する問題点を説明するための断面図である。 本技術の一実施形態における二次電池用正極活物質に関する利点を説明するための断面図である。 本技術の一実施形態における二次電池の構成を表す斜視図である。 図8に示した電池素子の構成を表す断面図である。 二次電池の適用例の構成を表すブロック図である。
以下、本技術の一実施形態に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明する順序は、下記の通りである。

1.二次電池用正極活物質
1-1.構成
1-2.動作
1-3.製造方法
1-4.作用および効果
2.二次電池(二次電池用正極)
2-1.構成
2-2.動作
2-3.製造方法
2-4.作用および効果
3.変形例
4.二次電池の用途
<1.二次電池用正極活物質>
まず、本技術の一実施形態の二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」と呼称する。)に関して説明する。
ここで説明する正極活物質は、電極反応物質を吸蔵放出する物質であり、二次電池に搭載される正極の構成材料として用いられる。なお、正極活物質が用いられる二次電池の詳細に関しては、後述する。
電極反応物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などの軽金属である。アルカリ金属の具体例は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムなどであると共に、アルカリ土類金属の具体例は、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどである。
以下では、電極反応物質がリチウムである場合を例に挙げる。すなわち、以下で説明する正極活物質は、リチウムを吸蔵放出する物質であり、その正極活物質では、リチウムがイオン状態で吸蔵放出される。
<1-1.構成>
図1は、本技術の一実施形態における正極活物質である正極活物質100の断面構成を模式的に表していると共に、図2は、図1に示した正極活物質100の詳細な断面構成を拡大して表している。
図1では、図示内容を簡略化するために、正極活物質100の断面の形状を円形としていると共に、図2では、図示内容を簡略化するために、正極活物質100の断面の形状を多角形としている。ただし、正極活物質100の断面の形状は、特に限定されない。
この正極活物質100は、複数の粒子状である。具体的には、複数の粒子状である正極活物質100のそれぞれは、図1に示したように、中心部110および被覆部120を備えている。すなわち、正極活物質100は、被覆部120により中心部110が被覆されている被覆粒子である。なお、図1では、1個の正極活物質100だけを示している。
[中心部]
中心部110は、図1に示したように、正極活物質100のうちのリチウムを吸蔵放出する部分であり、リチウム含有化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。なお、図1では、中心部110の断面形状を円形としているが、その中心部110の断面形状は、特に限定されないため、楕円形などの他の形状でもよい。
このリチウム含有化合物は、リチウムと1種類または2種類以上の遷移金属元素とを構成元素として含む化合物である。ただし、リチウム含有化合物は、さらに、1種類または2種類以上の他元素を構成元素として含んでいてもよい。他元素の種類は、リチウムおよび遷移金属元素のそれぞれ以外の元素であれば、特に限定されないが、具体的には、長周期型周期表中の2族~15族に属する元素である。
リチウム含有化合物の種類は、特に限定されないが、具体的には、酸化物、リン酸化合物、ケイ酸化合物およびホウ酸化合物などである。酸化物の具体例は、LiNiO2 、LiCoO2 、LiCo0.98Al0.01Mg0.012 、LiNi0.5 Co0.2 Mn0.3 2 およびLiMn2 4 などである。リン酸化合物の具体例は、LiFePO4 、LiMnPO4 およびLiFe0.5 Mn0.5 PO4 などである。
中でも、リチウム含有化合物は、コバルト酸リチウムを含んでいることが好ましい。中心部110においてリチウムを十分に吸蔵放出可能になると共に、後述する厚さ条件を満たしている被覆部120が容易かつ安定に形成されやすくなるからである。
なお、リチウム含有化合物におけるリチウムの組成は、特に限定されない。中でも、リチウムのモル比は、1.01~1.08であるため、リチウム含有化合物は、いわゆるリチウムリッチであることが好ましい。中心部110から十分な量のリチウムが放出されるからである。
ここで、中心部110は、図2に示したように、2個以上の結晶粒111を含んでいるため、その2個以上の結晶粒111が互いに結合された多結晶体を含んでいる。ここでは、中心部110の断面形状は、多角形である。なお、図2では、多結晶体を形成するために、2個の結晶粒111が互いに結合されている場合を示している。
これにより、中心部110は、2個以上の結晶粒111のそれぞれの表面111Xと、その2個以上の結晶粒111の間の粒界111Yとを有している。
表面111Xは、結晶粒111の外部に位置しているため、互いに結合された2個以上の結晶粒111の間に存在していない面(露出面)である。
粒界111Yは、結晶粒111の内部に位置しているため、互いに結合された2個以上の結晶粒111の間に存在している面(非露出面)である。すなわち、粒界111Yは、2個以上の結晶粒111の結合面(界面)である。
粒界111Yの数は、1個だけでもよいし、2個以上でもよい。なお、図2では、粒界111Yの数が1個だけである場合を示している。
なお、結晶粒111の大きさは、特に限定されない。具体的には、結晶粒111の外径(最大値)は、1μm~10μmである。この結晶粒111の外径は、後述する平均厚さT1,T2の算出手順と同様の手順により、電子顕微鏡写真に基づいて算出可能である。
[被覆部]
被覆部120は、図1に示したように、中心部110に設けられているため、その中心部110を被覆している。ただし、被覆部120は、中心部110のうちの全体を被覆していてもよいし、その中心部110のうちの一部だけを被覆していてもよい。後者の場合には、互いに離隔された複数の場所において複数の被覆部120が中心部110を被覆していてもよい。
この被覆部120は、無機材料を含んでおり、その無機材料は、1種類または2種類以上の被覆元素を含んでいる。被覆元素の種類は、特に限定されないが、具体的には、被覆元素は、タングステン、ホウ素、チタン、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、ニッケル、マンガン、フッ素およびアルミニウムのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。中心部110に被覆部120が設けられていても、その中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が十分に向上するからである。
なお、無機材料が被覆元素を含んでいれば、その無機材料の種類は、特に限定されないが、具体的には、無機材料は、酸化物、フッ化物、塩化物、窒化物、炭化物、ホウ化物および硫化物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。上記したように、中心部110に被覆部120が設けられていても、その中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が十分に向上するからである。
(表面被覆部および粒界被覆部)
特に、被覆部120は、図2に示したように、表面111Xに設けられているだけでなく、粒界111Yにも設けられている。このため、被覆部120は、表面被覆部121および粒界被覆部122を含んでいる。
表面被覆部121は、中心部110の表面111Xを被覆している第1被覆部であり、平均厚さT1を有している。粒界被覆部122は、中心部110の粒界111Yを被覆している第2被覆部であり、平均厚さT2を有している。これにより、2個以上の結晶粒111のそれぞれの表面111Xは、表面被覆部121により被覆されていると共に、互いに隣り合う2個以上の結晶粒111は、粒界111Yを被覆している粒界被覆部122を介して互いに結合されている。なお、平均厚さT1,T2のそれぞれの算出手順に関しては、後述する。
(厚さ条件)
表面被覆部121の平均厚さT1と粒界被覆部122の平均厚さT2との関係は、電池特性を向上させるために適正化されている。具体的には、平均厚さT1,T2に関しては、以下で説明する3種類の条件(以下、単に「厚さ条件」と呼称する。)が満たされている。
第1に、平均厚さT1は、1.0nm~10.0nmであり、好ましくは1.2nm~5.5nmである。
第2に、平均厚さT2は、1.0nm~10.0nmであり、好ましくは1.6nm~6.7nmである。
第3に、平均厚さT1に対する平均厚さT2の比である厚さ比R(=T2/T1)は、1よりも大きいと共に3よりも小さい範囲内である。
なお、平均厚さT1,T2および厚さ比Rのそれぞれの値は、小数点第二位の値が四捨五入された値である。
平均厚さT1,T2および厚さ比Rに関して厚さ条件(1.0nm≦T1≦10.0nm、1.0nm≦T2≦10.0nmおよび1.0<R<3.0)が満たされているのは、中心部110に被覆部120が設けられている場合において、上記したように、平均厚さT1,T2の関係が適正化されるからである。これにより、正極活物質100において、リチウムの吸蔵放出性が担保されながら、電解液の分解反応の要因となる反応性が低減する。よって、正極活物質100と共に電解液を用いた二次電池の充放電時において、充放電反応が安定に進行しやすくなると共に、電解液の分解反応が抑制される。ここで説明した理由の詳細に関しては、後述する。
なお、厚さ条件が実現されるのは、正極活物質100の製造工程において被覆部120を形成する際に、表面被覆部121の形成量に対して適正となるように粒界被覆部122の形成量が制御されるからである。なお、被覆部120の形成方法の詳細に関しては、後述する。
(算出手順)
平均厚さT1,T2のそれぞれは、上記したように、電子顕微鏡を用いた正極活物質100の断面の観察結果(電子顕微鏡写真)に基づいて算出される。算出手順の詳細は、以下で説明する通りである。
平均厚さT1を算出する場合には、最初に、集束イオンビーム(FIB)法を用いて正極活物質100を切断加工することにより、その正極活物質100の断面を露出させる。続いて、電子顕微鏡を用いて正極活物質100の断面を観察することにより、観察結果(電子顕微鏡写真)を得る。この透過電子顕微鏡としては、日本電子株式会社製の多機能電子顕微鏡 JEM-F200などを使用可能である。続いて、電子顕微鏡写真に基づいて、互いに異なる任意の10箇所において表面被覆部121の厚さを測定する。最後に、10個の厚さの平均値を算出することにより、平均厚さT1とする。
平均厚さT2を算出する手順は、表面被覆部121の厚さの代わりに粒界被覆部122の厚さを測定することを除いて、平均厚さT1の算出手順と同様である。すなわち、平均厚さT2は、粒界被覆部122に関する10個の厚さの平均値である。
厚さ比Rは、上記した平均厚さT1,T2の算出結果を用いて、R=T2/T1という計算式に基づいて算出される。
<1-2.動作>
正極活物質100では、電極反応時において、中心部110からリチウムが放出されると共に、その中心部110においてリチウムが吸蔵される。この場合には、上記したように、リチウムがイオン状態で吸蔵放出される。
<1-3.製造方法>
正極活物質100は、以下で説明する一例の手順により製造される。以下では、中心部110がリチウム含有化合物としてコバルト酸リチウムを含んでいる場合に関して説明する。
最初に、水性溶媒に硫酸コバルト水溶液およびアンモニア水を投入することにより、スラリーを調製する。
水性溶媒の種類は、特に限定されないが、具体的には、純水などである。硫酸コバルト水溶液は、2価のコバルトイオンを含んでおり、その2価のコバルトイオンの濃度は、任意に設定可能である。
この場合には、あらかじめ水性溶媒を加熱することにより、高温の水性溶媒を用いてもよい。また、所定の値となるようにpHを維持しながら、水性溶媒に硫酸コバルト水溶液およびアンモニア水のそれぞれを添加してもよい。
続いて、スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、そのスラリー中において水酸化コバルトを析出させる。この場合には、所定の値となるようにpHを維持しながら、スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添加してもよい。なお、高温の水性溶媒を用いた場合には、その水性溶媒の温度を維持してもよい。
続いて、水酸化コバルトを含むスラリーを濾過することにより、その水酸化コバルトを回収したのち、洗浄用の溶媒を用いて水酸化コバルトを洗浄する。なお、洗浄用の溶媒の種類は、特に限定されないが、具体的には、純水などの水性溶媒である。
続いて、洗浄済みの水酸化コバルトを乾燥させたのち、その水酸化コバルトを焼成することにより、中心部110の形成材料の前駆体である四酸化三コバルトを得る。なお、乾燥温度および乾燥時間のなどの乾燥条件は、任意に設定可能であると共に、焼成温度および焼成時間などの焼成条件は、任意に設定可能である。
ここで、コバルト酸リチウムは、内部に空隙をほとんど有していないのに対して、四酸化三コバルトは、内部に複数の空隙を有している。これにより、四酸化三コバルトは、コバルト酸リチウムとは異なり、多孔質の構造を有している。
続いて、四酸化三コバルトに対する被覆処理を行う。具体的には、硫酸化合物水溶液に四酸化三コバルトを投入したのち、その硫酸化合物水溶液を攪拌する。
この硫酸化合物水溶液は、硫酸化合物を含んでいる水溶液である。硫酸化合物は、被覆元素を含んでいる化合物であり、その被覆元素は、上記したように、タングステン、ホウ素、チタン、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、ニッケル、マンガン、フッ素およびアルミニウムのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。硫酸化合物の種類は、特に限定されないが、具体的には、上記した無機材料の種類と同様である。
なお、撹拌速度および攪拌時間などの攪拌条件は、任意に設定可能である。
この被覆処理では、中心部110の形成材料であるコバルト酸リチウムがそのまま用いられずに、その中心部110の形成材料の前駆体である四酸化三コバルトが用いられるため、その中心部110の構造が改質される。すなわち、被覆処理では、上記したように、内部に複数の空隙をほとんど有していないコバルト酸リチウムではなく、内部に複数の空隙を有している四酸化三コバルトが用いられる。
これにより、被覆処理では、四酸化三コバルトの表面に硫酸化合物水溶液が付着すると共に、その四酸化三コバルトの内部に存在している複数の空隙に硫酸化合物水溶液が入り込む。よって、四酸化コバルトの表面(表面111X)に被覆部120の構成元素(被覆元素)が付着すると共に、複数の空隙の内部における四酸化コバルトの壁面(粒界111Y)に被覆部120の構成元素(被覆元素)が付着する。
続いて、被覆処理済みの硫酸化合物水溶液を濾過することにより、その被覆処理済みの四酸化三コバルトを回収したのち、その被覆処理済みの四酸化三コバルトを焼成する。なお、焼成温度および焼成時間などの焼成条件は、任意に設定可能である。
続いて、焼成後の四酸化三コバルトを炭酸リチウムと混合することにより、混合物を得たのち、その混合物を焼成することにより、焼成物を得る。なお、焼成温度および焼成時間などの焼成条件は、任意に設定可能である。
最後に、焼成物を粉砕したのち、その焼成物を分級する。これにより、コバルト酸リチウムを含む中心部110が得られると共に、被覆元素を含む被覆部120が形成されるため、その中心部110および被覆部120を含む正極活物質100が完成する。この被覆部120は、上記した無機材料を含んでおり、その無機材料は、被覆元素を含んでいる。
この正極活物質100では、上記したように、中心部110が2個以上の結晶粒111を含んでいるため、表面111Xを被覆するように表面被覆部121が形成されると共に、粒界111Yを被覆するように粒界被覆部122が形成される。これにより、表面被覆部121だけでなく粒界被覆部122も含む被覆部120が形成される。
この正極活物質100を製造する場合には、被覆処理の条件、より具体的には撹拌条件および焼成条件などを調整することにより、平均厚さT1,T2のそれぞれを調整可能であるため、所定の値となるように厚さ比Rを設定可能である。
<1-4.作用および効果>
この正極活物質100によれば、以下で説明する一連の作用および効果が得られる。
[主要な作用および効果]
まず、正極活物質100が中心部110および被覆部120を備えており、その中心部110が表面111Xおよび粒界111Yを有しており、その被覆部120が表面被覆部121および粒界被覆部122を含んでおり、厚さ条件(1.0nm≦T1≦10.0nm、1.0nm≦T2≦10.0nmおよび1.0<R<3.0)が満たされている。よって、以下で説明する理由により、優れた電池特性を得ることができる。
図3は、第1比較例の二次電池用正極活物質である正極活物質200の詳細な断面構成を拡大して表しており、図2に対応している。図4は、正極活物質200に関する問題点を説明するために、図3に対応する断面構成を表している。
図5は、第2比較例の二次電池用正極活物質である正極活物質300の詳細な断面構成を拡大して表しており、図2に対応している。図6は、正極活物質300に関する問題点を説明するために、図5に対応する断面構成を表している。
図7は、本実施形態の正極活物質100に関する利点を説明するために、図2に対応する断面構成を表している。
正極活物質200は、図3に示したように、被覆部120を備えていないことを除いて、正極活物質100の構成(図2)と同様の構成を有している。
この正極活物質200は、被覆処理を行わずにコバルト酸リチウムをそのまま用いることを除いて、正極活物質100の製造手順と同様の手順により製造される。これにより、中心部110だけからなる正極活物質200が形成される。
正極活物質300は、図5に示したように、被覆部120の代わりに被覆部130を備えていることを除いて、正極活物質100の構成(図2)と同様の構成を有している。この被覆部130は、粒界被覆部122を含んでおらずに表面被覆部121だけを含んでいることを除いて、被覆部120の構成と同様の構成を有している。すなわち、被覆部130は、表面111Xだけを被覆しているため、粒界111Yまで被覆していない。
この正極活物質300は、被覆処理において硫酸化合物水溶液に四酸化三コバルトの代わりにコバルト酸リチウムを投入することを除いて、正極活物質100の製造手順と同様の手順により製造される。この場合には、コバルト酸リチウムが内部に複数の空隙を有ほとんどしていないため、硫酸化合物水溶液が粒界111Yまで付着せずに表面111Xだけに付着する。これにより、上記したように、粒界被覆部122を含まずに表面被覆部121だけを含む被覆部130が形成される。
(第1比較例の正極活物質に関する問題点)
正極活物質200では、図3に示したように、中心部110に被覆部120が設けられていない。この場合には、中心部110の界面抵抗が低下するため、その中心部110ではリチウムの吸蔵放出が被覆部120により阻害されにくくなる。これにより、中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が向上するため、正極活物質200を備えた二次電池において充放電反応が安定に進行しやすくなる。
しかなしながら、正極活物質200では、被覆部120が存在していないため、高反応性を有する中心部110の表面111Xが露出している。この場合には、電極反応時、より具体的には正極活物質200と共に電解液を備えた二次電池の充放電時において、その電解液が表面111Xと反応しやすくなる。これにより、電解液の分解反応が促進される。
また、正極活物質200では、2個以上の結晶粒111が互いに直接的に結合されている。これにより、2個以上の結晶粒111間における結合力が十分に高くならないため、正極活物質200が割れやすくなる。
正極活物質200が割れる原因としては、いくつかの原因が考えられる。具体的には、正極活物質200を用いた正極の形成工程において、その正極活物質200を含んでいる正極活物質層をプレスすること(物理的原因)が挙げられる。また、正極活物質200を用いた二次電池の充電時において、充電電圧を高く設定すること(電気的原因)が挙げられる。
さらに、正極活物質200では、図4に示したように、正極活物質200が割れたため、2個以上の結晶粒111が互いに分離されると、粒界111Y(新生面)が露出する。この場合には、高反応性を有する粒界111Yが露出するため、正極活物質200と共に電解液を備えた二次電池の充放電時において、その電解液が粒界111Yと反応しやすくなる。これにより、電解液の分解反応がより促進される。
これらのことから、正極活物質200を用いた二次電池では、中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が向上するため、充放電反応が安定に進行しやすくなる。しかしながら、高反応性を有する表面111Xおよび粒界111Yが露出するため、電解液が著しく分解されやすくなる。よって、優れた電池特性を得ることが困難である。
(第2比較例の正極活物質に関する問題点)
正極活物質300では、図5に示したように、表面被覆部121が存在しているため、高反応性を有する中心部110の表面111Xが露出しておらずに表面被覆部121により被覆されている。この場合には、正極活物質200と共に電解液を備えた二次電池の充放電時において、その電解液が表面111Xと反応しにくくなる。これにより、電解液の分解反応が抑制される。
しかしながら、正極活物質300では、中心部110に表面被覆部121が設けられている。この場合には、表面被覆部121の厚さによっては、中心部110の界面抵抗が増加するため、その中心部110ではリチウムの吸蔵放出が表面被覆部121により阻害されやすくなる。これにより、中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が低下するため、正極活物質200を備えた二次電池において充放電反応が安定に進行しにくくなる。
また、正極活物質300では、粒界被覆部122が存在していないため、2個以上の結晶粒111が互いに直接的に結合されている。これにより、2個以上の結晶粒111間における結合力が十分に高くならないため、正極活物質300が割れやすくなる。
図6に示したように、正極活物質300が割れたため、2個以上の結晶粒111が互いに分離されると、粒界被覆部122により被覆されていない粒界111Y(新生面)が露出する。この場合には、高反応性を有する粒界111Yが露出するため、正極活物質300と共に電解液を備えた二次電池の充放電時において、その電解液が粒界111Yと反応しやすくなる。これにより、電解液の分解反応が促進される。
これらのことから、正極活物質300を用いた二次電池では、中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が低下するため、充放電反応が安定に進行しにくくなる。しかも、高反応性を有する粒界111Yが露出するため、電解液が分解されやすくなる。よって、依然として、優れた電池特性を得ることが困難である。
(本実施形態の正極活物質に関する利点)
これに対して、正極活物質100では、図2に示したように、表面被覆部121が存在しているため、高反応性を有する中心部110の表面111Xが露出しておらずに表面被覆部121により被覆されている。これにより、二次電池の充放電時において、電解液が表面111Xと反応しにくくなるため、電解液の分解反応が抑制される。
また、正極活物質100では、中心部110に粒界被覆部122が設けられているため、2個以上の結晶粒111が粒界被覆部122を介して互いに間接的に結合されている。これにより、2個以上の結晶粒111間における結合力が十分に高くなるため、正極活物質100が割れにくくなる。
さらに、図7に示したように、正極活物質100が割れたため、2個以上の結晶粒111が互いに分離されても、粒界111Yが粒界被覆部122により被覆されているため、その粒界111Yが露出しない。これにより、二次電池の充放電時において、電解液が粒界111Yと反応しにくくなるため、その電解液の分解反応がより促進される。
ここで、中心部110に被覆部120(表面被覆部121および粒界被覆部122)が設けられていると、上記したように、その粒界被覆部122を利用して正極活物質100が割れにくくなると共に電解液の分解反応が抑制される反面、その表面被覆部121の存在に起因して中心部110におけるリチウムの吸蔵放出が阻害される可能性がある。
しかしながら、厚さ条件が満たされていると、平均厚さT1,T2の関係が適正化されるため、表面被覆部121および粒界被覆部122を用いても、中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が担保されながら、正極活物質100が割れにくくなると共に電解液の分解反応がより抑制される。
これらのことから、正極活物質100を用いた二次電池では、中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が担保されるため、充放電反応が安定に進行しやすくなる。しかも、高反応性を有する粒界111Yが露出しないため、電解液が著しく分解されにくくなる。よって、リチウムの吸蔵放出性の向上と電解液の分解反応の抑制とが両立されるため、優れた電池特性を得ることができる。
[他の作用および効果]
特に、正極活物質100では、中心部110がコバルト酸リチウムを含んでいれば、その中心部110においてリチウムを十分に吸蔵放出可能になる。よって、厚さ条件を満たしている被覆部120が容易かつ安定に形成されやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
また、被覆部120の被覆元素がタングステン、ホウ素、チタン、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、ニッケル、マンガン、フッ素およびアルミニウムのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいれば、中心部110に被覆部120が設けられていても、その中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が十分に向上するため、より高い効果を得ることができる。
また、被覆部120が酸化物、フッ化物、塩化物、窒化物、炭化物、ホウ化物および硫化物のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいれば、中心部110に被覆部120が設けられていても、その中心部110におけるリチウムの吸蔵放出性が十分に向上するため、より高い効果を得ることができる。
<2.二次電池(二次電池用正極)>
次に、上記した正極活物質を用いた本技術の一実施形態の二次電池に関して説明する。
ここで、本技術の一実施形態の二次電池用正極(以下、単に「正極」と呼称する。)は、二次電池の一部であるため、その正極に関しては、以下で併せて説明する。なお、正極が二次電池の一部であるとは、その正極が二次電池の一構成要素であることを意味している。
以下では、上記したように、電極反応物質がリチウムである場合を例に挙げる。リチウムの吸蔵放出を利用して電池容量が得られる二次電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池である。
<2-1.構成>
図8は、二次電池の斜視構成を表していると共に、図9は、図8に示した電池素子20の断面構成を表している。ただし、図8では、外装フィルム10と電池素子20とが互いに分離された状態を示していると共に、XZ面に沿った電池素子20の断面を破線で示している。
この二次電池は、図8および図9に示したように、外装フィルム10と、電池素子20と、正極リード31と、負極リード32と、封止フィルム41,42とを備えている。ここで説明する二次電池は、可撓性または柔軟性を有する外装部材(外装フィルム10)を用いたラミネートフィルム型の二次電池である。
[外装フィルム]
外装フィルム10は、図8に示したように、電池素子20を収納する外装部材であり、その電池素子20が内部に収納された状態において封止された袋状の構造を有している。これにより、外装フィルム10は、後述する正極21および負極22と共に電解液を収納している。
ここでは、外装フィルム10は、1枚のフィルム状の部材であり、折り畳み方向Fに折り畳まれている。この外装フィルム10には、電池素子20を収容するための窪み部10U(いわゆる深絞り部)が設けられている。
具体的には、外装フィルム10は、融着層、金属層および表面保護層が内側からこの順に積層された3層のラミネートフィルムであり、互いに対向する融着層のうちの外周縁部同士は、外装フィルム10が折り畳まれた状態において互いに融着されている。融着層は、ポリプロピレンなどの高分子化合物を含んでいる。金属層は、アルミニウムなどの金属材料を含んでいる。表面保護層は、ナイロンなどの高分子化合物を含んでいる。
ただし、外装フィルム10の構成(層数)は、特に、限定されないため、1層または2層でもよいし、4層以上でもよい。
[電池素子]
電池素子20は、図8および図9に示したように、正極21と、負極22と、セパレータ23と、電解液(図示せず)とを含んでいる発電素子であり、外装フィルム10の内部に収納されている。
この電池素子20は、いわゆる巻回電極体である。すなわち、正極21および負極22は、セパレータ23を介して互いに積層されていると共に、そのセパレータ23を介して互いに対向しながら巻回軸Pを中心として巻回されている。この巻回軸Pは、Y軸方向に延在する仮想軸である。
電池素子20の立体的形状は、特に限定されない。ここでは、電池素子20の立体的形状は、扁平状であるため、巻回軸Pと交差する電池素子20の断面(XZ面に沿った断面)の形状は、長軸J1および短軸J2により規定される扁平形状である。この長軸J1は、X軸方向に延在すると共に短軸J2の長さよりも大きい長さを有する仮想軸である。また、短軸J2は、X軸方向と交差するZ軸方向に延在すると共に長軸J1の長さよりも小さい長さを有する仮想軸である。ここでは、電池素子20の立体的形状は、扁平な円筒状であるため、その電池素子20の断面の形状は、扁平な略楕円形状である。
(正極)
正極21は、図9に示したように、正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bを含んでいる。
正極集電体21Aは、正極活物質層21Bが設けられる一対の面を有している。この正極集電体21Aは、金属材料などの導電性材料を含んでおり、その導電性材料の具体例は、アルミニウムなどである。
ここでは、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの両面に設けられており、リチウムを吸蔵放出可能である正極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、正極活物質層21Bは、正極21が負極22に対向する側において正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよい。
なお、正極活物質層21Bは、さらに、正極結着剤および正極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。正極活物質層21Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
正極活物質の構成は、上記した正極活物質100の構成と同様である。ただし、正極活物質層21Bは、さらに、他の正極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。他の正極活物質の構成は、中心部110の構成と同様である。
正極結着剤は、合成ゴムおよび高分子化合物などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。合成ゴムの具体例は、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムおよびエチレンプロピレンジエンなどである。高分子化合物の具体例は、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミドおよびカルボキシメチルセルロースなどである。
正極導電剤は、炭素材料などの導電性材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その炭素材料の具体例は、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどである。ただし、導電性材料は、金属材料および高分子化合物などでもよい。
この正極活物質層21Bでは、正極活物質の構成が正極活物質100の構成と同様であるため、複数の正極活物質の充填性が向上する。これにより、正極活物質層21Bの体積密度は、特に限定されないが、中でも、4.00g/cm3 以上であることが好ましい。正極活物質の破損が抑制されながら、単位体積当たりのエネルギー密度が向上するからである。この正極活物質の破損とは、上記した正極活物質の割れなどである。
(負極)
負極22は、図9に示したように、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bを含んでいる。
負極集電体22Aは、負極活物質層22Bが設けられる一対の面を有している。この負極集電体22Aは、金属材料などの導電性材料を含んでおり、その導電性材料の具体例は、銅などである。
ここでは、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの両面に設けられており、リチウムを吸蔵放出可能である負極活物質のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。ただし、負極活物質層22Bは、負極22が正極21に対向する側において負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよい。
なお、負極活物質層22Bは、さらに、負極結着剤および負極導電剤などの他の材料のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。負極活物質層22Bの形成方法は、特に限定されないが、具体的には、塗布法、気相法、液相法、溶射法および焼成法(焼結法)などのうちのいずれか1種類または2種類以上である。
負極活物質の種類は、特に限定されないが、具体的には、炭素材料および金属系材料などである。高いエネルギー密度が得られるからである。なお、負極活物質は、炭素材料だけを含んでいてもよいし、金属系材料だけを含んでいてもよいし、双方を含んでいてもよい。
炭素材料の具体例は、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素および黒鉛(天然黒鉛および人造黒鉛)などである。
金属系材料は、リチウムと合金を形成可能である金属元素および半金属元素のうちのいずれか1種類または2種類以上を構成元素として含む材料であり、その金属元素および半金属元素の具体例は、ケイ素およびスズなどである。この金属系材料は、単体でもよいし、合金でもよいし、化合物でもよいし、それらの2種類以上の混合物でもよいし、それらの2種類以上の相を含む材料でもよい。金属系材料の具体例は、TiSi2 およびSiOx (0<x≦2、または0.2<x<1.4)などである。
負極結着剤および負極導電剤のそれぞれに関する詳細は、正極結着剤および正極導電剤のそれぞれに関する詳細と同様である。
(セパレータ)
セパレータ23は、図9に示したように、正極21と負極22との間に介在している絶縁性の多孔質膜であり、その正極21と負極22との接触(短絡)を防止しながらリチウムイオンを通過させる。このセパレータ23は、高分子化合物などの絶縁性材料を含んでおり、その絶縁性材料の具体例は、ポリエチレンなどである。
(電解液)
電解液は、液状の電解質である。この電解液は、正極21、負極22およびセパレータ23のそれぞれに含浸されており、溶媒および電解質塩を含んでいる。
ここでは、溶媒は、非水溶媒(有機溶剤)のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでおり、その非水溶媒を含んでいる電解液は、いわゆる非水電解液である。この非水溶媒は、エステル類およびエーテル類などを含んでおり、より具体的には、炭酸エステル系化合物、カルボン酸エステル系化合物およびラクトン系化合物などを含んでいる。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
炭酸エステル系化合物は、環状炭酸エステルおよび鎖状炭酸エステルである。環状炭酸エステルの具体例は、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンなどであると共に、鎖状炭酸エステルの具体例は、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルなどである。
カルボン酸エステル系化合物は、鎖状カルボン酸エステルなどである。鎖状カルボン酸エステルの具体例は、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピルおよびトリメチル酢酸エチルなどである。
ラクトン系化合物は、ラクトンなどである。ラクトンの具体例は、γ-ブチロラクトンおよびγ-バレロラクトンなどである。
なお、エーテル類は、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサンなどでもよい。
電解質塩は、リチウム塩などの軽金属塩のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。リチウム塩の具体例は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiN(FSO2 2 )、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 )、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )、ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム(LiB(C2 4 2 )、モノフルオロリン酸リチウム(Li2 PFO3 )およびジフルオロリン酸リチウム(LiPF2 2 )などである。高い電池容量が得られるからである。
電解質塩の含有量は、特に限定されないが、具体的には、溶媒に対して0.3mol/kg~3.0mol/kgである。高いイオン伝導性が得られるからである。
なお、電解液は、さらに、添加剤のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。添加剤の種類は、特に限定されないが、具体的には、不飽和環状炭酸エステル、ハロゲン化環状炭酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、酸無水物、ニトリル化合物およびイソシアネート化合物などである。
不飽和環状炭酸エステルの具体例は、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレンおよび炭酸メチレンエチレンなどである。ハロゲン化環状炭酸エステルの具体例は、モノフルオロ炭酸エチレンおよびジフルオロ炭酸エチレンなどである。スルホン酸エステルの具体例は、プロパンスルトンおよびプロペンスルトンなどである。リン酸エステルの具体例は、リン酸トリメチルおよびリン酸トリエチルなどである。酸無水物の具体例は、コハク酸無水物、1,2-エタンジスルホン酸無水物および2-スルホ安息香酸無水物などである。ニトリル化合物の具体例は、スクシノニトリルなどである。イソシアネート化合物の具体例は、ヘキサメチレンジイソシアネートなどである。
[正極リードおよび負極リード]
正極リード31は、図8および図9に示したように、正極21の正極集電体21Aに接続された正極端子であり、外装フィルム10の外部に導出されている。この正極リード31は、金属材料などの導電性材料を含んでおり、その導電性材料の具体例は、アルミニウムなどである。正極リード31の形状は、特に限定されないが、具体的には、薄板状および網目状などのうちのいずれかである。
負極リード32は、図8および図9に示したように、負極22の負極集電体22Aに接続されている負極端子であり、外装フィルム10の外部に導出されている。この負極リード32は、金属材料などの導電性材料を含んでおり、その導電性材料の具体例は、銅などである。ここでは、負極リード32の導出方向および形状に関する詳細は、正極リード31の導出方向および形状と同様である。
[封止フィルム]
封止フィルム41は、図8に示したように、外装フィルム10と正極リード31との間に挿入されている。また、封止フィルム42は、図8に示したように、外装フィルム10と負極リード32との間に挿入されている。ただし、封止フィルム41,42のうちの一方または双方は、省略されてもよい。
この封止フィルム41は、外装フィルム10の内部に外気などが侵入することを防止する封止部材である。なお、封止フィルム41は、正極リード31に対して密着性を有するポリオレフィンなどの高分子化合物を含んでおり、そのポリオレフィンの具体例は、ポリプロピレンなどである。
封止フィルム42の構成は、負極リード32に対して密着性を有する封止部材であることを除いて、封止フィルム41の構成と同様である。すなわち、封止フィルム42は、負極リード32に対して密着性を有するポリオレフィンなどの高分子化合物を含んでいる。
<2-2.動作>
二次電池は、以下のように動作する。
充電時には、電池素子20において、正極21からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電時には、電池素子20において、負極22からリチウムが放出されると共に、そのリチウムが電解液を介して正極21に吸蔵される。これらの充放電時には、リチウムがイオン状態で吸蔵放出される。
特に、正極活物質が正極活物質100の構成と同様の構成を有しているため、充電時には、その正極活物質の破損が抑制されながら、電圧が高い目標電圧(いわゆる充電電圧または上限電圧)に到達するまで二次電池が充電可能になる。充電電圧(リチウム金属基準)は、特に限定されないが、具体的には、4.5V以上である。
<2-3.製造方法>
二次電池を製造する場合には、以下で説明する一例の手順により、正極21および負極22のそれぞれを作製すると共に、電解液を調製したのち、その正極21、負極22および電解液を用いて二次電池を組み立てると共に、その組み立て後の二次電池に安定化処理を施す。
[正極の作製]
最初に、正極活物質、正極結着剤および正極導電剤が互いに混合された混合物(正極合剤)を溶媒に投入することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製する。この溶媒は、水性溶媒でもよいし、有機溶剤でもよい。続いて、正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを塗布することにより、正極活物質層21Bを形成する。最後に、ロールプレス機などを用いて正極活物質層21Bを圧縮成型してもよい。この場合には、正極活物質層21Bを加熱してもよいし、圧縮成型を複数回繰り返してもよい。これにより、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが形成されるため、正極21が作製される。
[負極の作製]
上記した正極21の作製手順と同様の手順により、負極22を形成する。具体的には、最初に、負極活物質、負極結着剤および負極導電剤が互いに混合された混合物(負極合剤)を溶媒に投入することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製する。続いて、負極集電体22Aの両面に負極合剤スラリーを塗布することにより、負極活物質層22Bを形成する。最後に、負極活物質層22Bを圧縮成型してもよい。これにより、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが形成されるため、負極22が作製される。
[電解液の調製]
溶媒に電解質塩を投入する。これにより、溶媒中において電解質塩が分散または溶解されるため、電解液が調製される。
[二次電池の組み立て]
最初に、溶接法などの接合法を用いて、正極21の正極集電体21Aに正極リード31を接続させると共に、溶接法などの接合法を用いて、負極22の負極集電体22Aに負極リード32を接続させる。
続いて、セパレータ23を介して正極21および負極22を互いに積層させたのち、その正極21、負極22およびセパレータ23を巻回させることにより、巻回体(図示せず)を作製する。この巻回体は、正極21、負極22およびセパレータ23のそれぞれに電解液が含浸されていないことを除いて、電池素子20の構成と同様の構成を有している。続いて、プレス機などを用いて巻回体を押圧することにより、扁平形状となるように巻回体を成型する。
続いて、窪み部10Uの内部に巻回体を収容したのち、外装フィルム10(融着層/金属層/表面保護層)を折り畳むことにより、その外装フィルム10同士を互いに対向させる。続いて、熱融着法などの接着法を用いて、互いに対向する融着層のうちの2辺の外周縁部同士を互いに接合させることにより、袋状の外装フィルム10の内部に巻回体を収納する。
最後に、袋状の外装フィルム10の内部に電解液を注入したのち、熱融着法などの接着法を用いて融着層のうちの残りの1辺の外周縁部同士を互いに接合させる。この場合には、外装フィルム10と正極リード31との間に封止フィルム41を挿入すると共に、外装フィルム10と負極リード32との間に封止フィルム42を挿入する。
これにより、巻回体に電解液が含浸されるため、巻回電極体である電池素子20が作製されると共に、袋状の外装フィルム10の内部に電池素子20が封入されるため、二次電池が組み立てられる。
[二次電池の安定化]
組み立て後の二次電池を充放電させる。環境温度、充放電回数(サイクル数)および充放電条件などの各種条件は、任意に設定可能である。これにより、正極21および負極22のそれぞれの表面に被膜が形成されるため、二次電池の状態が電気化学的に安定化する。よって、二次電池が完成する。
<2-4.作用および効果>
この二次電池によれば、正極21が正極活物質を含んでおり、その正極活物質が上記した正極活物質100の構成と同様の構成を有している。よって、正極活物質100に関して説明した場合と同様の理由により、充放電反応が安定に進行しやすくなると共に、電解液が分解されにくくなるため、優れた電池特性を得ることができる。
特に、二次電池がリチウムイオン二次電池であれば、リチウムの吸蔵放出を利用して十分な電池容量が安定に得られるため、より高い効果を得ることができる。
この他、正極21によれば、その正極21が正極活物質を含んでおり、その正極活物質が上記した正極活物質100の構成と同様の構成を有している。よって、正極活物質100に関して説明した場合と同様の理由により、正極21を用いた二次電池において優れた電池特性を得ることができる。
二次電池および正極21のそれぞれに関する他の作用および効果は、上記した正極活物質100に関する他の作用および効果と同様である。
<3.変形例>
次に、上記した二次電池の変形例に関して説明する。
二次電池の構成は、以下で説明するように、適宜、変更可能である。ただし、以下で説明する一連の変形例は、互いに組み合わされてもよい。
[変形例1]
多孔質膜であるセパレータ23を用いた。しかしながら、ここでは具体的に図示しないが、高分子化合物層を含む積層型のセパレータを用いてもよい。
具体的には、積層型のセパレータは、一対の面を有する多孔質膜と、その多孔質膜の片面または両面に設けられた高分子化合物層とを含んでいる。正極21および負極22のそれぞれに対するセパレータの密着性が向上するため、電池素子20の巻きずれが抑制されるからである。これにより、電解液の分解反応が発生しても、二次電池が膨れにくくなる。高分子化合物層は、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子化合物を含んでいる。優れた物理的強度および優れた電気化学的安定性が得られるからである。
なお、多孔質膜および高分子化合物層のうちの一方または双方は、複数の絶縁性粒子のうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいてもよい。二次電池の発熱時において複数の絶縁性粒子が放熱を促進させるため、その二次電池の安全性(耐熱性)が向上するからである。絶縁性粒子は、無機材料および樹脂材料などのうちのいずれか1種類または2種類以上を含んでいる。無機材料の具体例は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ベーマイト、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウムおよび酸化ジルコニウムなどである。樹脂材料の具体例は、アクリル樹脂およびスチレン樹脂などである。
積層型のセパレータを作製する場合には、高分子化合物および溶媒などを含む前駆溶液を調製したのち、多孔質膜の片面または両面に前駆溶液を塗布する。この場合には、多孔質膜に前駆溶液を塗布する代わりに、その前駆溶液中に多孔質膜を浸漬させてもよい。また、前駆溶液に複数の絶縁性粒子を添加してもよい。
この積層型のセパレータを用いた場合においても、正極21と負極22との間においてリチウムイオンが移動可能になるため、同様の効果を得ることができる。この場合には、特に、上記したように、二次電池の安全性が向上するため、より高い効果を得ることができる。
[変形例2]
液状の電解質である電解液を用いた。しかしながら、ここでは具体的に図示しないが、ゲル状の電解質である電解質層を用いてもよい。
電解質層を用いた電池素子20では、セパレータ23および電解質層を介して正極21および負極22が互いに積層されていると共に、その正極21、負極22、セパレータ23および電解質層が巻回されている。この電解質層は、正極21とセパレータ23との間に介在していると共に、負極22とセパレータ23との間に介在している。ただし、電解質層は、正極21とセパレータ23との間だけに介在していてもよいし、負極22とセパレータ23との間だけに介在していてもよい。
この電解質層は、電解液と共に高分子化合物を含んでおり、その電解液は、高分子化合物により保持されている。電解液の漏液が防止されるからである。電解液の構成は、上記した通りである。高分子化合物は、ポリフッ化ビニリデンなどを含んでいる。電解質層を形成する場合には、電解液、高分子化合物および溶媒などを含む前駆溶液を調製したのち、正極21および負極22のそれぞれの片面または両面に前駆溶液を塗布する。
この電解質層を用いた場合においても、正極21と負極22との間において電解質層を介してリチウムイオンが移動可能になるため、同様の効果を得ることができる。この場合には、特に、上記したように、電解液の漏液が防止されるため、より高い効果を得ることができる。
<4.二次電池の用途>
最後に、二次電池の用途(適用例)に関して説明する。
二次電池の用途は、特に限定されない。電源として用いられる二次電池は、電子機器および電動車両などにおいて、主電源でもよいし、補助電源でもよい。主電源とは、他の電源の有無に関係なく、優先的に用いられる電源である。補助電源は、主電源の代わりに用いられる電源でもよいし、主電源から切り替えられる電源でもよい。
二次電池の用途の具体例は、以下で説明する通りである。ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話機、ノート型パソコン、ヘッドホンステレオ、携帯用ラジオおよび携帯用情報端末などの電子機器である。バックアップ電源およびメモリーカードなどの記憶用装置である。電動ドリルおよび電動鋸などの電動工具である。電子機器などに搭載される電池パックである。ペースメーカおよび補聴器などの医療用電子機器である。電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)などの電動車両である。非常時などに備えて電力を蓄積しておく家庭用または産業用のバッテリシステムなどの電力貯蔵システムである。これらの用途では、1個の二次電池が用いられてもよいし、複数個の二次電池が用いられてもよい。
電池パックは、単電池を備えていてもよいし、組電池を備えていてもよい。電動車両は、駆動用電源として二次電池を用いて走行する車両であり、その二次電池以外の駆動源を併せて備えたハイブリッド自動車でもよい。家庭用の電力貯蔵システムでは、電力貯蔵源である二次電池に蓄積された電力を利用して家庭用の電気製品などを使用可能である。
ここで、二次電池の用途の一例に関して具体的に説明する。以下で説明する構成は、あくまで一例であるため、適宜、変更可能である。
図10は、二次電池の適用例である電池パックのブロック構成を表している。ここで説明する電池パックは、1個の二次電池を用いた電池パック(いわゆるソフトパック)であり、スマートフォンに代表される電子機器などに搭載される。
この電池パックは、図10に示したように、電源51と、回路基板52とを備えている。この回路基板52は、電源51に接続されていると共に、正極端子53、負極端子54および温度検出端子55を含んでいる。
電源51は、1個の二次電池を含んでいる。この二次電池では、正極リードが正極端子53に接続されていると共に、負極リードが負極端子54に接続されている。この電源51は、正極端子53および負極端子54を介して外部と接続されるため、充放電可能である。回路基板52は、制御部56と、スイッチ57と、熱感抵抗素子(いわゆるPTC素子)58と、温度検出部59とを含んでいる。ただし、PTC素子58は省略されてもよい。
制御部56は、中央演算処理装置(CPU)およびメモリなどを含んでおり、電池パック全体の動作を制御する。この制御部56は、電源51の使用状態に関する検出および制御などを行う。
なお、制御部56は、電源51(二次電池)の電圧が過充電検出電圧または過放電検出電圧に到達すると、スイッチ57を切断することにより、その電源51の電流経路に充電電流が流れないようにする。過充電検出電圧は、特に限定されないが、具体的には、4.20V±0.05Vであると共に、過放電検出電圧は、特に限定されないが、具体的には、2.40V±0.10Vである。
スイッチ57は、充電制御スイッチ、放電制御スイッチ、充電用ダイオードおよび放電用ダイオードなどを含んでおり、制御部56の指示に応じて電源51と外部機器との接続の有無を切り換える。このスイッチ57は、金属酸化物半導体を用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)などを含んでおり、充電電流および放電電流のそれぞれは、スイッチ57のON抵抗に基づいて検出される。
温度検出部59は、サーミスタなどの温度検出素子を含んでいる。この温度検出部59は、温度検出端子55を用いて電源51の温度を測定すると共に、その温度の測定結果を制御部56に出力する。温度検出部59により測定された温度の測定結果は、異常発熱時において制御部56が充放電制御を行う場合および残容量の算出時において制御部56が補正処理を行う場合などに用いられる。
本技術の実施例に関して説明する。
<実施例1~5および比較例1~4>
以下で説明するように、図1および図2に示した正極活物質100を製造したのち、図8および図9に示した二次電池(ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池)を作製することにより、その二次電池の電池特性を評価した。
この場合には、比較のために、図3に示した正極活物質200を製造したのち、同様の手順により、二次電池を作製したと共に電池特性を評価した。また、比較のために、図5に示した正極活物質300を製造したのち、同様の手順により、二次電池を作製したと共に電池特性を評価した。
[正極活物質の製造]
以下で説明する手順により、正極活物質100を製造した。
最初に、水性溶媒(温度=40℃である純水)500ml(=500cm3 )に、硫酸コバルト水溶液(2価のコバルトイオンの濃度=60g/l(=60g/dm3 )1l(=1dm3 )と、アンモニア水(濃度=17%)100ml(=100cm3 )とを投入することにより、反応液であるスラリー(いわゆるアンモニア含有錯化合物スラリー)を調製した。この場合には、水性溶媒のpHを一定(pH=8)に維持しながら、3時間をかけて水性溶媒に硫酸コバルト水溶液およびアンモニア水を並行添加した。
続いて、アンモニア含有錯化合物スラリーに水酸化ナトリウム水溶液(濃度=400g/l(=400g/dm3 ))を投入することにより、そのアンモニア含有錯化合物スラリー中において水酸化コバルトを析出させた。この場合には、アンモニア含有錯化合物スラリーの温度を40℃に維持すると共に、そのアンモニア含有錯化合物スラリーのpHを一定(pH=10)に維持しながら、3時間をかけてアンモニア含有錯化合物スラリーに水酸化ナトリウム水溶液を添加した。
続いて、水酸化コバルトを含むアンモニア含有錯化合物スラリーを濾過することにより、その水酸化コバルトを回収したのち、洗浄用の溶媒(純水)を用いて水酸化コバルトを洗浄した。
続いて、洗浄済みの水酸化コバルトを乾燥(乾燥温度=120℃)させたのち、大気中において水酸化コバルトを焼成(焼成温度=800℃)することにより、中心部110の形成材料の前駆体である四酸化三コバルトを得た。この四酸化三コバルトは、上記したように、内部に複数の空隙を有している。
続いて、四酸化三コバルトに対する被覆処理を行った。具体的には、被覆元素を含んでいる硫酸化合物水溶液500ml(=500cm3 )に四酸化三コバルトを投入したのち、その硫酸化合物水溶液を攪拌(撹拌時間=1時間)した。この場合には、コバルトのモル数に対する被覆元素のモル数の割合が1mol%となるように、硫酸化合物水溶液の添加量を調整した。
硫酸化合物水溶液の種類は、被覆元素の種類に応じて選択した。具体的には、被覆元素としてアルミニウム(Al)を用いる場合には、硫酸化合物として硫酸アルミニウムを用いた。被覆元素としてマグネシウム(Mg)を用いる場合には、硫酸化合物として硫酸マグネシウムを用いた。被覆元素としてチタン(Ti)を用いる場合には、硫酸化合物として硫酸チタンを用いた。
続いて、被覆処理済みの硫酸化合物水溶液を濾過することにより、その被覆処理済みの四酸化三コバルトを回収したのち、その被覆処理済みの四酸化三コバルトを焼成(焼成時間=500℃,焼成時間=8時間)した。
続いて、焼成後の四酸化三コバルトを炭酸リチウムと混合することにより、混合物を得たのち、その混合物を焼成(焼成温度=1000℃,焼成時間=10時間)することにより、焼成物を得た。この場合には、コバルトのモル数に対するリチウムのモル数の割合が1.05mol%となるように、炭酸リチウムの添加量を調整した。
最後に、焼成物を粉砕したのち、メッシュ(目開き=100μm)を用いて焼成物を分級した。これにより、正極活物質100が完成した(実施例1~5および比較例1,2)。
この正極活物質100は、図1および図2に示したように、中心部110(コバルト酸リチウム(LiCoO2 ))および被覆部120(表面被覆部121および粒界被覆部122)を含んでいる。この被覆部120は、被覆元素であるアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)またはチタン(Ti)を含んでいると共に、それぞれの被覆元素の酸化物を含んでいる。
正極活物質100を製造する場合には、被覆処理時における撹拌条件および焼成条件を調整することにより、表1に示したように、平均厚さT1(nm)、平均厚さT2(nm)および厚さ比Rのそれぞれを調製した。
なお、比較ために、中心部110の形成材料としてコバルト酸リチウムをそのまま用いることにより、被覆処理を行わなかったことを除いて同様の手順により、正極活物質200を製造した(比較例3)。この正極活物質200は、図3に示したように、被覆部120を含んでおらずに、中心部110だけを含んでいる。
また、比較のために、硫酸化合物水溶液に四酸化三コバルトの代わりにコバルト酸リチウムを投入することにより、被覆処理を行ったことを除いて同様の手順により、正極活物質300を製造した(比較例4)。この正極活物質300は、図5に示したように、中心部110および被覆部130を含んでおり、その被覆部130は、粒界被覆部122を含んでおらずに表面被覆部121(被覆元素はアルミニウム)だけを含んでいる。
[二次電池の作製]
以下で説明する手順により、正極活物質として正極活物質100,200,300のそれぞれを用いて二次電池を作製した。
(正極の作製)
最初に、正極活物質95質量部と、正極結着剤(ポリフッ化ビニリデン)3質量部と、正極導電剤2質量部とを互いに混合させることにより、正極合剤とした。この正極導電剤としては、アセチレンブラック(デンカ株式会社製のアモルファス性炭素粉 デンカブラック(登録商標))1質量部と、カーボンナノチューブ1質量部との混合物を用いた。続いて、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)に正極合剤を投入したのち、その有機溶剤を撹拌することにより、ペースト状の正極合剤スラリーを調製した。
続いて、コーティング装置を用いて正極集電体21A(厚さ=15μmであるアルミニウム箔)の両面に正極合剤スラリーを塗布したのち、その正極合剤スラリーを温風乾燥させることにより、正極活物質層21Bを形成した。続いて、ロールプレス機を用いて正極活物質層21Bを圧縮成型(ロール温度=130℃,線圧=0.7t/cm,プレス速度=10m/分)した。
最後に、正極活物質層21Bが形成された正極集電体21Aを帯状(幅=48mm,長さ=300mm)となるように切断した。これにより、正極21が作製された。
(負極の作製)
最初に、負極活物質(炭素材料である人造黒鉛)90質量部と、ポリアミック酸を含むN-メチル-2-ピロリドン溶液(濃度=20重量%)10質量部とを互いに混合させたのち、そのN-メチル-2-ピロリドン溶液を撹拌することにより、ペースト状の負極合剤スラリーを調製した。
続いて、バーコータ(ギャップ=35μm)を用いて負極集電体22A(厚さ=15μmである銅箔)の両面に負極合剤スラリーを塗布したのち、その負極合剤スラリーの塗膜を乾燥(温度=80℃)させた。続いて、ロールプレス機を用いて塗膜を圧縮成型したのち、その塗膜を加熱(加熱時間=700℃,加熱時間=3時間)することにより、負極活物質層22Bを形成した。
最後に、負極活物質層22Bが形成された負極集電体22Aを帯状(幅=50mm,長さ=310mm)となるように切断した。これにより、負極22が作製された。
(電解液の調製)
溶媒(環状炭酸エステルである炭酸エチレンおよび鎖状炭酸エステルである炭酸エチルメチル)に電解質塩(六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 ))を添加したのち、その溶媒を撹拌した。
この場合には、溶媒の混合比(重量比)を炭酸エチレン:炭酸エチルメチル=50;50としたと共に、電解質塩の含有量を溶媒に対して1mol/l(=1mol/dm3 )とした。これにより、電解液が調製された。
(二次電池の組み立て)
最初に、正極21の正極集電体21Aに正極リード31(アルミニウム箔)を溶接したと共に、負極22の負極集電体22Aに負極リード32(銅箔)を溶接した。続いて、セパレータ23(厚さ=25μmである微多孔性ポリエチレンフィルム)を介して正極21および負極22を互いに積層させたのち、その正極21、負極22およびセパレータ23を巻回させることにより、巻回体を作製した。続いて、プレス機を用いて巻回体をプレスすることにより、断面の形状が扁平形状となるように巻回体を成型した。
続いて、窪み部10Uに収容された巻回体を挟むように外装フィルム10(融着層/金属層/表面保護層)を折り畳んだのち、その融着層のうちの2辺の外周縁部同士を互いに熱融着させることにより、袋状の外装フィルム10の内部に巻回体を収納した。外装フィルム10としては、融着層(厚さ=30μmであるポリプロピレンフィルム)と、金属層(厚さ=40μmであるアルミニウム箔)と、表面保護層(厚さ=25μmであるナイロンフィルム)とが内側からこの順に積層された防湿性のアルミラミネートフィルムを用いた。
最後に、袋状の外装フィルム10の内部に電解液を注入したのち、減圧環境中において融着層のうちの残りの1辺の外周縁部同士を熱融着させた。この場合には、外装フィルム10と正極リード31との間に封止フィルム41(厚さ=5μmであるポリプロピレンフィルム)を挿入したと共に、その外装フィルム10と負極リード32との間に封止フィルム42(厚さ=5μmであるポリプロピレンフィルム)を挿入した。
これにより、巻回体に電解液が含浸されたため、電池素子20が形成された。よって、外装フィルム10の内部に電池素子20が封入されたため、二次電池が組み立てられた。
(二次電池の安定化)
常温環境中(温度=25℃)において二次電池を1サイクル充放電させた。充電時には、0.5Aの電流で電圧が4.5Vに到達するまで定電流充電したのち、その4.5Vの電圧で電流が初期値の1/10の値(=0.05A)になるまで定電圧充電した。放電時には、0.2Aの電流で電圧が3.0Vに到達するまで定電流放電した。これにより、正極21および負極22のそれぞれの表面に被膜が形成されたため、二次電池の状態が安定化した。よって、二次電池が完成した。
[電池特性の評価]
電池特性としてサイクル特性および負荷特性を評価したところ、表1に示した結果が得られた。
(サイクル特性)
最初に、常温環境中(温度=25℃)において二次電池を充放電させることにより、放電容量(1サイクル目の放電容量)を測定した。充放電条件は、上記した二次電池の安定化時の条件において二次電池を充放電させた場合に得られる放電容量を1Cとして、充電時の電流を1Cとしたと共に放電時の電流を0.5Cとしたことを除いて、二次電池の安定化時における充放電条件と同様にした。1Cとは、上記した放電容量を1時間で放電しきる電流値であると共に、0.5Cとは、上記した放電容量を2時間で放電しきる電流値である。
続いて、恒温槽(温度=45℃)中において、サイクル数が300サイクルに到達するまで二次電池を繰り返して充放電させることにより、放電容量(300サイクル目の放電容量)を測定した。2サイクル目~300サイクル目の充放電条件は、1サイクル目の充放電条件と同様にした。
最後に、サイクル維持率(%)=(300サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100という計算式に基づいて、サイクル特性を評価するための指標であるサイクル維持率を算出した。
(負荷特性)
最初に、常温環境中(温度=25℃)において二次電池を充放電させることにより、放電容量(1サイクル目の放電容量)を測定した。充放電条件は、充電時の電流を0.5Cとしたと共に放電時の電流を0.2Cとしたことを除いて、二次電池の安定化時における充放電条件と同様にした。0.2Cとは、上記した放電容量を5時間で放電しきる電流値である。
続いて、同環境中において二次電池を充放電させることにより、放電容量(2サイクル目の放電容量)を測定した。充放電条件は、充電時の電流を0.5Cとしたと共に放電時の電流を1Cとしたことを除いて、二次電池の安定化時における充放電条件と同様にした。
最後に、負荷維持率(%)=(2サイクル目の放電容量(放電時の電流=1.0C)/1サイクル目の放電容量(放電時の電流=0.2C))×100という計算式に基づいて、負荷特性を評価するための指標である負荷維持率を算出した。
Figure 2024021739000002
[考察]
表1に示したように、サイクル維持率および負荷維持率のそれぞれは、正極活物質の構成に応じて大きく変動した。
具体的には、中心部110をだけを含んでいる正極活物質200を用いた場合(比較例3)には、高い負荷維持率は得られたが、サイクル維持率は激減した。
また、中心部110と共に被覆部130を含んでいるが、その被覆部130が粒界被覆部122を含んでおらずに表面被覆部121だけを含んでいる正極活物質300を用いた場合(比較例4)には、高い負荷維持率は得られたが、サイクル維持率は激減した。
これに対して、中心部110と共に被覆部120を含んでおり、その被覆部120が表面被覆部121と共に粒界被覆部122を含んでいる正極活物質100を用いた場合(実施例1~3および比較例1,2)には、平均厚さT1,T2および厚さ比Rに応じてサイクル維持率および負荷維持率のそれぞれが変動した。
すなわち、厚さ比Rが1よりも小さいため、厚さ条件(1.0nm≦T1≦10.0nm、1.0nm≦T2≦10.0nmおよび1.0<R<3.0)が満たされていない場合(比較例1)には、高い負荷維持率は得られたが、サイクル維持率が激減した。
また、厚さ比Rが3よりも大きいため、厚さ条件が満たされていない場合(比較例2)には、サイクル維持率が減少しただけでなく、負荷維持率も減少した。
しかしながら、厚さ条件が満たされている場合(実施例1~3)には、高い負荷維持率が維持されながら、著しく高いサイクル維持率が得られた。
この場合には、特に、以下で説明する一連の傾向が得られた。第1に、中心部110がコバルト酸リチウムを含んでいると、高いサイクル維持率が得られたと共に、高い負荷維持率も得られた(実施例1~3)。第2に、被覆部120の被覆元素がアルミニウムの代わりにマグネシウムまたはチタンを含んでいても、高いサイクル維持率が得られたと共に、高い負荷維持率も得られた(実施例4,5)。これにより、被覆元素がタングステンなどの他の元素を含んでいても、その被覆元素がアルミニウムなど含む一連の候補元素のうちの任意の2種類以上を含んでいても、同様に高いサイクル維持率および高い負荷維持率が得られるはずであると考えられる。
[まとめ]
表1に示した結果から、正極活物質100が中心部110および被覆部120を備えており、その中心部110が表面111Xおよび粒界111Yを有しており、その被覆部120が表面被覆部121および粒界被覆部122を含んでおり、厚さ条件(1.0nm≦T1≦10.0nm、1.0nm≦T2≦10.0nmおよび1.0<R<3.0)が満たされていると、高いサイクル維持率および高い負荷維持率が得られた。よって、二次電池においてサイクル特性および負荷特性の双方が向上したため、優れた電池特性を得ることができた。
以上、一実施形態および実施例を挙げながら本技術に関して説明したが、その本技術の構成は、一実施形態および実施例において説明された構成に限定されないため、種々に変形可能である。
具体的には、二次電池の電池構造がラミネートフィルム型である場合に関して説明した。しかしながら、二次電池の電池構造は、特に限定されないため、円筒型、角型、コイン型およびボタン型などでもよい。
また、電池素子の素子構造が巻回型である場合に関して説明した。しかしながら、電池素子の素子構造は、特に限定されないため、積層型および九十九折り型などでもよい。この積層型では、正極および負極が互いに積層されていると共に、九十九折り型では、正極および負極がジグザグに折り畳まれている。
さらに、電極反応物質がリチウムである場合に関して説明したが、その電極反応物質は、特に限定されない。具体的には、電極反応物質は、上記したように、ナトリウムおよびカリウムなどの他のアルカリ金属でもよいし、ベリリウム、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属でもよい。この他、電極反応物質は、アルミニウムなどの他の軽金属でもよい。
本明細書中に記載された効果は、あくまで例示であるため、本技術の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本技術に関して、他の効果が得られてもよい。
なお、本技術は、以下のような構成を採用することもできる。

<1>
電極反応物質を吸蔵放出すると共に、2つ以上の結晶粒を含む中心部と、
前記中心部に設けられた被覆部と
を備え、
前記中心部は、
前記2つ以上の結晶粒のそれぞれの表面と、
前記2つ以上の結晶粒の間の粒界と
を有し、
前記被覆部は、
前記表面を被覆する第1被覆部と、
前記粒界を被覆する第2被覆部と
を含み、
前記第1被覆部の平均厚さは、1.0nm以上10.0nm以下であり、
前記第2被覆部の平均厚さは、1.0nm以上10.0nm以下であり、
前記第1被覆部の平均厚さに対する前記第2被覆部の平均厚さの比は、1よりも大きいと共に3よりも小さい範囲内である、
二次電池用正極活物質。
<2>
前記中心部は、コバルト酸リチウムを含む、
<1>に記載の二次電池用正極活物質。
<3>
前記被覆部は、タングステン、ホウ素、チタン、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、ニッケル、マンガン、フッ素およびアルミニウムのうちの少なくとも1種を構成元素として含む、
<1>または<2>に記載の二次電池用正極活物質。
<4>
前記被覆部は、酸化物、フッ化物、塩化物、窒化物、炭化物、ホウ化物および硫化物のうちの少なくとも1種を含む、
<1>ないし<3>のいずれか1つに記載の二次電池用正極活物質。
<5>
正極活物質層を備え、
前記正極活物質層は、<1>ないし<4>のいずれか1つに記載の二次電池用正極活物質を含む、
二次電池用正極。
<6>
<5>に記載の二次電池用正極と、
負極と、
電解液と
を備えた、二次電池。
<7>
リチウムイオン二次電池である、
<6>に記載の二次電池。
21…正極、21B…正極活物質層、22…負極、100…正極活物質、110…中心部、111…結晶粒、111X…表面、111Y…粒界、120…被覆部、121…表面被覆部、122…粒界被覆部。

Claims (7)

  1. 電極反応物質を吸蔵放出すると共に、2つ以上の結晶粒を含む中心部と、
    前記中心部に設けられた被覆部と
    を備え、
    前記中心部は、
    前記2つ以上の結晶粒のそれぞれの表面と、
    前記2つ以上の結晶粒の間の粒界と
    を有し、
    前記被覆部は、
    前記表面を被覆する第1被覆部と、
    前記粒界を被覆する第2被覆部と
    を含み、
    前記第1被覆部の平均厚さは、1.0nm以上10.0nm以下であり、
    前記第2被覆部の平均厚さは、1.0nm以上10.0nm以下であり、
    前記第1被覆部の平均厚さに対する前記第2被覆部の平均厚さの比は、1よりも大きいと共に3よりも小さい範囲内である、
    二次電池用正極活物質。
  2. 前記中心部は、コバルト酸リチウムを含む、
    請求項1に記載の二次電池用正極活物質。
  3. 前記被覆部は、タングステン、ホウ素、チタン、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、ニッケル、マンガン、フッ素およびアルミニウムのうちの少なくとも1種を構成元素として含む、
    請求項1に記載の二次電池用正極活物質。
  4. 前記被覆部は、酸化物、フッ化物、塩化物、窒化物、炭化物、ホウ化物および硫化物のうちの少なくとも1種を含む、
    請求項1に記載の二次電池用正極活物質。
  5. 正極活物質層を備え、
    前記正極活物質層は、請求項1に記載の二次電池用正極活物質を含む、
    二次電池用正極。
  6. 請求項5に記載の二次電池用正極と、
    負極と、
    電解液と
    を備えた、二次電池。
  7. リチウムイオン二次電池である、
    請求項6に記載の二次電池。
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