JP2024021086A - 発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法、カラーフィルタ画素部の形成方法、及び、カラーフィルタ - Google Patents

発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法、カラーフィルタ画素部の形成方法、及び、カラーフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】装置内での発光性ナノ結晶粒子の失活を抑制しながら、発光性ナノ結晶粒子含有インクをインクジェット方式で印刷する方法を提供すること。【解決手段】インク収容容器と、吐出ヘッドと、を備えるインクジェット印刷装置を用いた、発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法であって、インク収容容器に収容された発光性ナノ結晶粒子含有インクの一部を吐出ヘッドへ供給するインク供給工程と、吐出ヘッドから発光性ナノ結晶粒子含有インクを吐出する吐出工程と、を備え、インク収容容器が、発光性ナノ結晶粒子含有インクが収容されるインク収容空間の容積を変更可能に構成されており、インク供給工程における発光性ナノ結晶粒子含有インクの供給に伴ってインク収容空間を縮小させ、且つ、縮小された状態に維持することで、インク収容容器への外気の流入を防止する、印刷方法。【選択図】なし

Description

本発明は、発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法、カラーフィルタ画素部の形成方法、及び、カラーフィルタに関する。
従来、液晶表示装置・有機EL表示装置等のディスプレイにおける画素部(カラーフィルタ画素部)は、例えば、赤色有機顔料粒子又は緑色有機顔料粒子と、アルカリ可溶性樹脂及び/又はアクリル系単量体とを含有する硬化性レジスト材料を用いて、フォトリソグラフィ法により製造されてきた。
近年、ディスプレイの低消費電力化が強く求められるようになり、上記赤色有機顔料粒子又は緑色有機顔料粒子に代えて、例えば量子ドット、量子ロッド、その他の無機蛍光体粒子等の発光性ナノ結晶粒子を用いて、赤色画素、緑色画素といったカラーフィルタ画素部を形成させる方法が、活発に研究されている。
上記フォトリソグラフィ法でのカラーフィルタの製造方法では、その製造方法の特徴から、比較的高価な発光性ナノ結晶粒子を含めた画素部以外のレジスト材料が無駄になるという欠点があった。このような状況下、上記のようなレジスト材料の無駄をなくすため、インクジェット法により、光変換基板画素部を形成することが検討され始めている(特許文献1参照)。
インクジェット法に使用されるインクジェット印刷装置は、インクが収容されるインク収容容器(インクタンク)と、インクを吐出する吐出ヘッドと、を少なくとも備えている。通常、インク収容容器は外部雰囲気と接続されており、インクの増減に伴いインク収容容器には外気(大気)が供給される(例えば、特許文献2及び3参照)。
国際公開第2008/001693号 特開2019-81323号公報 国際公開第2010/038696号
発光性ナノ結晶粒子は、大気(特に酸素及び水分)に対して不安定な性質を有するため、発光性ナノ結晶粒子を含有するインク(発光性ナノ結晶粒子含有インク)の印刷に従来のインクジェット印刷装置を用いると、装置内で発光性ナノ結晶粒子が失活し、画素部の光学特性が低下する、インク中に凝集物が発生するといった不具合が生じる場合がある。
そこで、本発明は、装置内での発光性ナノ結晶粒子の失活を抑制しながら、発光性ナノ結晶粒子含有インクをインクジェット方式で印刷する方法を提供することを主な目的とする。
本発明の一側面は、インク収容容器と、吐出ヘッドと、を備えるインクジェット印刷装置を用いた、発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法であって、インク収容容器に収容された発光性ナノ結晶粒子含有インクの一部を吐出ヘッドへ供給するインク供給工程と、吐出ヘッドから発光性ナノ結晶粒子含有インクを吐出する吐出工程と、を備え、インク収容容器が、発光性ナノ結晶粒子含有インクが収容されるインク収容空間の容積を変更可能に構成されており、インク供給工程における発光性ナノ結晶粒子含有インクの供給に伴ってインク収容空間を縮小させ、且つ、縮小された状態に維持することで、インク収容容器への外気の流入を防止する、印刷方法に関する。
従来のインクジェット印刷装置は、インク収容容器内のインクが消費されてインク収容空間に空きが生じると、インク収容容器内の圧力(気体圧)と外気圧との圧力差を緩和するために、消費されたインクの体積量と同量の外気がインク収容容器内に流入するようなインク収容容器を有する。一方、上記側面の印刷方法では、インクの供給(消費)に伴ってインク収容空間を縮小させるため、インク(発光性ナノ結晶粒子含有インク)が消費されてもインク収容空間に空きが生じず、また、インク収容空間が縮小された状態で維持されるため、インク収容容器への外気(大気)の流入が防止される。そのため、上記側面の印刷方法によれば、装置内で発光性ナノ結晶粒子が失活することを抑制することができる。
上記インク収容容器は、水分及び/又は酸素に対して不透過性を有することが好ましい。この場合、発光性ナノ結晶粒子の失活をより一層防止することができる。
上記発光性ナノ結晶粒子含有インクは光硬化性であってよい。この場合、装置内でインクの硬化が進行しないように、上記インク収容容器は光に対して不透過性を有することが好ましい。
上記発光性ナノ結晶粒子含有インクはカラーフィルタ画素部形成用のインクであってよい。
本発明の他の一側面は、上記側面の印刷方法を用いてカラーフィルタ画素部を形成する、カラーフィルタ画素部の形成方法に関する。
本発明の他の一側面は、上記側面のカラーフィルタ画素部の形成方法により形成されたカラーフィルタ画素部を備える、カラーフィルタに関する。
本発明によれば、装置内での発光性ナノ結晶粒子の失活を抑制しながら、発光性ナノ結晶粒子含有インクをインクジェット方式で印刷する方法を提供することができる。
図1は、一実施形態の印刷方法に用いられるインクジェット印刷装置を示す模式図である。 図2は、一実施形態の印刷方法に用いられるインク収容容器の一例を示す模式断面図である。 図3は、一実施形態のカラーフィルタの模式断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
<発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法>
一実施形態の印刷方法は、インクジェット印刷装置を用いた、発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法である。以下では、まず、本実施形態の印刷方法に用いられるインクジェット印刷装置について説明する。
図1は、一実施形態の印刷方法に用いられるインクジェット印刷装置を示す模式図である。図1に示すインクジェット印刷装置1は、発光性ナノ結晶粒子含有インク(以下、単に「インク」ともいう。)用のインクジェット印刷装置であり、カラーフィルタ画素部の形成に用いられる。
インクジェット印刷装置1は、インク収容容器2と、吐出ヘッド3と、インク流路4とを少なくとも備える。
インク収容容器2は、インク(発光性ナノ結晶粒子含有インク)を収容可能に構成されている。具体的には、インク収容容器2の内部に空間(インク収容空間)が形成されており、当該空間にインクが収容される。インク収容容器2は、インク流路4を介して吐出ヘッド3に接続されている。インク収容容器2は、第1のインク収容容器2aと、第2のインク収容容器2bと、第3のインク収容容器2cとで構成されている。換言すれば、インクジェット印刷装置1は、インク収容容器2として、第1~第3のインク収容容器2a,2b,2cを備える。
第1のインク収容容器2aは、印刷装置へ初めにインクを供給するためのタンクであり、メインタンクとも呼ばれる。第1のインク収容容器2aは、例えば、装置本体から着脱可能に構成されている。そのため、本実施形態のインクジェット印刷装置1では、第1のインク収容容器2aを交換することでインクの補充が可能である。
第1のインク収容容器2aは、インク流路4における第1のインク流路4aを介して第2のインク収容容器2bに連結されている。第1のインク収容容器2aに収容されたインクは、第1のインク流路4aを通って第2のインク収容容器2bに供給される。
第2のインク収容容器2bは、リザーブタンクである。第2のインク収容容器2bは、インクの消費に伴って第1のインク収容容器2aから第1のインク流路4aを通ってインクが供給されることで、インクの貯留量が一定量となるように構成されている。そのため、本実施形態のインクジェット印刷装置1によれば、第1のインク収容容器2a内のインクが空になった場合に、インクの補充と印刷を並行して実施することができる。
第2のインク収容容器2bは、インク流路4における第2のインク流路4bを介して第3のインク収容容器2cに連結されている。第2のインク収容容器2bに供給されたインクは、第2のインク流路4bを通って第3のインク収容容器2cに供給される。
第3のインク収容容器2cは、第1~第3のインク収容容器2a,2b,2cの中で容量が最も小さいインク収容容器であり、サブタンクとも呼ばれる。第3のインク収容容器2cは、第3のインク流路4cを介して吐出ヘッド3に接続されている。第3のインク収容容器2cに供給されたインクは、第3のインク流路4cを通って吐出ヘッド3に供給される。第3のインク収容容器2cが設けられることで、吐出ヘッド3のノズルにかかる圧力を調整できる。具体的には、第3のインク収容容器2c内を一定の負圧に保つことや第3のインク収容容器2c内を加圧することでノズルにかかる圧力を調整できる。
本実施形態では、上記インク収容容器2(第1~第3のインク収容容器2a,2b,2c)のうち、少なくとも第1のインク収容容器2aがインク収容空間の容積を変更可能に構成されている。第1~第3のインク収容容器2a,2b,2cの全てのインク収容容器が、インク収容空間の容積を変更可能に構成されていてもよい。なお、他の実施形態では、第2のインク収容容器2b及び/又は第3のインク収容容器2cが、インク収容空間の容積を変更可能に構成され、第1のインク収容容器2aは、インク収容空間の容積を変更可能に構成されていなくてよい。
インク収容空間の容積を変更可能に構成されたインク収容容器の一例は、内部のインク量に応じて変形可能に構成されたインク収容部と、当該インク収容部を収容する筐体とで構成されたインク収容容器である。インク収容容器2がこのような容器である場合、インク収容部を変形させることで、インク収容空間の容積を変更することができる。なお、インク収容容器2は、筐体を備えていなくてもよい。すなわち、インク収容容器2は、内部のインク量に応じて変形可能に構成されたインク収容部のみで構成されていてもよい。
インク収容部は、具体的には、可撓性樹脂(例えば樹脂フィルム)で形成された袋体であってよい。可撓性樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、テフロン(登録商標)、サラン、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等であってよい。袋体は、これらの樹脂で構成された樹脂フィルムが複数積層された積層体を袋状に加工したものであってもよい。
インク収容部は、上記可撓性樹脂で構成された樹脂フィルムと金属フィルムとが積層された積層体を袋状に加工してなる袋体であってもよい。このような袋体を構成する積層体としては、例えば、ポリアミド、アルミニウム合金、ポリエチレンテレフタレート及びポリプロピレンからなる層をこの順に積層したもの、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムにアルミナを蒸着させたもの、アルミ箔にポリエチレンフィルムをラミネートしたもの等を挙げることができる。
筐体は、例えば、プラスチック、金属等の剛性材料で構成されている。
インク収容空間の容積を変更可能に構成された収容容器の他の例は、インク吐出口から吐出されて消費されるインクの移動に応じてインク収容部の内面を摺動する可動壁を備える、シリンジタイプのインク収容容器である。図2は、このような可動壁を備えるシリンジタイプのインク収容容器の一例を示す模式断面図である。
図2に示すインク収容容器21は、インク収容部22と、インク収容部22内に設けられた可動壁23とを備える。インク収容部22は、例えば筒状に形成されており、内部に収容されたインクを外部に供給するためのインク吐出口24、及び、可動壁23をインクの消費と共にインク吐出口24側に向かって移動(摺動)可能とするための大気連通口25とを有する。インク収容部22は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のような水蒸気透過性の低い素材からなる成型品である。可動壁23は、シリコーンゴム等の可撓性部材で構成の弾性体で構成されており、インク収容部22の内壁26に接触し、インク収容部22の内壁26の一部と共にインク収容空間27を画成している。インク収容空間27は、可動壁23によって外気と遮断されている。
上記インク収容容器21において、可動壁23は、テフロン樹脂、サラン樹脂等のガスバリア性を有する樹脂で被覆されていてもよい。この場合、インクや環境による可動壁の膨潤、収縮等が起こり難くなり、可動壁とインク収容部の内壁との摺動抵抗が安定しやすくなる。また、長期保存によるインクの蒸発が起こり難くなる。
上記第1~第3のインク収容容器2a,2b,2cには、インク中の発光性ナノ結晶粒子含有インクの失活を防止する観点から、窒素ガス、希ガス(例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス等)、炭酸ガスなどの不活性ガスが充填されていてよい。
上記インク収容容器2(第1~第3のインク収容容器2a,2b,2c)は、インク収容容器2中に水分が入りこむことによる発光性ナノ結晶粒子の失活を防止する観点から、水分に対して不透過性を有することが好ましい。具体的には、例えば、インク収容容器2の水分透過率が、2g/m,day以下であってよい。水分透過率は、例えばJIS K 7129に記載される方法で測定できる。インク収容容器2は、水分透過率が上記範囲の樹脂(例えば可撓性樹脂)で構成されていることが好ましい。
上記インク収容容器2(第1~第3のインク収容容器2a,2b,2c)は、インク収容容器2中に酸素が入りこむことによる発光性ナノ結晶粒子の失活を防止する観点から、酸素に対して不透過性を有することが好ましい。具体的には、例えば、インク収容容器2の酸素透過率が、5ml/m,day,MPa以下であってよい。酸素透過率は、例えば、JIS K7126-2に記載される方法で測定できる。上記観点から、インク収容容器2は、酸素透過率が上記範囲の樹脂(例えば可撓性樹脂)で構成されていることが好ましい。
インク収容容器2(第1~第3のインク収容容器2a,2b,2c)は、インクが光硬化性である場合に、インク収容容器2中に光が入りこむことによるインクの硬化を防止する観点から、光に対して不透過性を有することが好ましい。具体的には、例えば、インク収容容器2の波長450nmにおける光透過率が4%以下であってよい。また、インク収容容器2の波長の波長365nm、及び波長395nmにおける光透過率は、1%以下であってよい。光透過率は、例えば、収容容器の胴部断片を分光光度計で測定することにより求められる。
吐出ヘッド3は、例えば、一端が開口するノズルを複数備えており、インク収容容器2から供給されたインクを吐出するように構成されている。吐出ヘッド3にインクが供給されると、ノズルの開口(吐出口)からインクが吐出される。吐出ヘッド3の構成としては、吐出方式に応じて様々な構成を採用することができる。吐出方式としては、例えば、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)方式、圧電素子を用いたピエゾジェット方式等が挙げられる。
図示しないが、インクジェット印刷装置1は、第1のインク収容容器2aと第2のインク収容容器2bとの間、第2のインク収容容器2bと第3のインク収容容器2cとの間、及び第3のインク収容容器2cと吐出ヘッド3との間に、インクの供給のためのポンプを備えていてもよい。インク収容容器2の配置によっては、ポンプが設置されず、自重でインクの供給を行うこともできる。また、図示しないが、インク流路4には、インクの逆流を防ぐための逆止弁が設けられていてもよい。例えば、第2のインク流路4bに逆止弁が設けられることで、第3のインク収容容器2cから第2のインク収容容器2bへのインクの逆流を防ぐことができる。
インクジェット印刷装置1における上記以外の基本構成は、従来のインクジェット印刷装置(例えば、特開2019-81323号公報や国際公開第2010/038696号に開示されたインクジェット印刷装置)と同様の構成とすることができる。
図示しないが、インクジェット印刷装置1は、画素部の発光色(赤、緑、青)に対応する複数種のインクを収容し、それぞれのインクを同時に吐出することが可能となるように、インク中の発光性ナノ結晶粒子の発光色毎に、複数のインク収容容器2と複数の吐出ヘッド3とを備えてよい。より具体的には、インクジェット印刷装置1は、赤色インク(赤色発光性ナノ結晶粒子含有インク)用のインク収容容器2、緑色インク(緑色発光性ナノ結晶粒子含有インク)用のインク収容容器2、及び、白色インク用のインク収容容器2をそれぞれ備えていてよく、赤色インク用の吐出ヘッド3、緑色インク用の吐出ヘッド3及び白色インク用の吐出ヘッド3をそれぞれ備えていてよい。この場合、それぞれのインク収容容器2として、第1~第3のインク収容容器2a,2b,2cがインクジェット印刷装置に設けられていてよい。また、それぞれの吐出ヘッド3の数は、1つであっても複数であってもよい。また、白色インク用のインク収容容器2には、発光性ナノ結晶粒子を含有しないインクが収容されるため、白色インク用の第1のインク収容容器2aは、インク収容空間の容積を変更可能に構成されていなくてもよい。
なお、インクジェット印刷装置1におけるインク収容容器の数は特に限定されず、インクジェット印刷装置1は、第1~第3のインク収容容器2a,2b,2cのうちのいずれかのインク収容容器を含まなくてもよい。例えば、インクジェット印刷装置1に設けられるインク収容容器2は、第1のインク収容容器2aのみであってよく、第1のインク収容容器2a及び第3のインク収容容器2cであってもよい。インクジェット印刷装置1は、第1~第3のインク収容容器2a,2b,2c以外のインク収容容器を備えていてもよい。
次に、上記インクジェット印刷装置1を用いた発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法について説明する。
一実施形態の印刷方法は、インク収容容器2に収容されたインク(発光性ナノ結晶粒子含有インク)の一部を吐出ヘッド3へ供給するインク供給工程と、吐出ヘッド3からインクを吐出する吐出工程と、を備える。この印刷方法では、インク供給工程と吐出工程とを繰り返し実施することにより連続して印刷を行うことができる。以下、各工程について説明する。
インク供給工程では、インク収容容器2(第1~第3のインク収容容器2a,2b,2c)に収容されているインクの一部を吐出ヘッド3に供給する。インク供給工程では、第3のインク収容容器2cから吐出ヘッド3へインクが供給されると同時に又はインクが供給される前後に、第1のインク収容容器2aから第2のインク収容容器2bへのインクの供給、及び、第2のインク収容容器2bから第3のインク収容容器2cへのインクの供給が行わる。
本実施形態では、上記インク供給工程における、第1のインク収容容器2aから第2のインク収容容器2bへのインクの供給に伴って第1のインク収容容器2aのインク収容空間を縮小させる。具体的には、例えば、第1のインク収容容器2aが内部のインク量に応じて変形可能に構成された袋体である場合には、インクの供給時にインク収容容器を変形(収縮)させることで、インク収容空間の容積を減少させる。また、例えば、第1のインク収容容器2aが可動壁を備えるシリンジタイプのインク収容容器である場合には、可動壁を吐出口側に動かすことで、インク収容空間の容積を減少させる。ここで、縮小体積量(容積の減少量)は、第1のインク収容容器2aから第2のインク収容容器2bへ供給されたインクの体積量と略同一の量とする。
第1のインク収容容器2aのインク収容空間は、次のインク供給工程で第1のインク収容容器2aから第2のインク収容容器2bへのインクの供給が行われるまで、縮小された状態で維持され、次のインク供給工程で第1のインク収容容器2aから第2のインク収容容器2bへのインクの供給が行われた際には更に縮小される。このようにして、外気圧との圧力差等に起因するインク収容容器への外気の流入を防止する。
吐出工程では、インク供給工程により供給されたインクを吐出ヘッド3から吐出する。吐出ヘッド内にインクが充填されている場合、吐出工程は、インク供給工程と同時に実施されてよい。
以上説明したように、上記実施形態の発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法では、インク供給工程におけるインクの供給に伴ってインク収容空間を縮小させ、且つ、縮小された状態に維持することで、インク収容容器への外気(大気)の流入を防止する。そのため、上記実施形態の発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法によれば、インク収容容器に大気が流入して発光性ナノ結晶粒子が失活することを抑制することができる。
以上、一実施形態の発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法について説明したが、本発明の発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法は上記に限定されない。
例えば、発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法は、インク収容容器2にインク(発光性ナノ結晶粒子含有インク)を収容するインク収容工程を更に備えてもよい。
インク収容工程では、インク収容容器2(第1~第3のインク収容容器2a,2b,2c)のうち、少なくとも第1のインク収容容器2aにインクを収容する。インク収容工程は、インクが収容されたインク収容容器2(例えば第1のインク収容容器2a)を装置本体に取り付ける工程であってもよい。インク収容工程では、インクの収容の前及び/又は後にインク収容容器2内に不活性ガスを充填してよい。また、インク収容容器2に収容されたインクを不活性ガスでバブリングすることで、インク中の溶存酸素を除去してもよい。
インク収容工程は、インク供給工程及び吐出工程の前に実施されてよく、インク供給工程及び吐出工程の後に、インク収容容器2にインクを補充するために実施されてもよい。第1のインク収容容器2aが内部のインク量に応じて変形可能に構成された袋体である場合には、インクの補充により、インク供給工程によって縮小した第1のインク収容容器2aのインク収容空間を拡張させることができる。
また、例えば、第1のインク収容容器2a以外のインク収容容器(第2のインク収容容器2b及び第3のインク収容容器2c)がインク収容空間の容積を変更可能に構成されている場合、上記インク供給工程における、第2のインク収容容器2bから第3のインク収容容器2cへのインクの供給に伴って第2のインク収容容器2bのインク収容空間を縮小させてよく、第3のインク収容容器2cから吐出ヘッド3へのインクの供給に伴って第3のインク収容容器2cのインク収容空間を縮小させてよい。第2のインク収容容器2b及び第3のインク収容容器2cのインク収容空間を縮小された状態に維持することで、これらのインク収容空間への外気(大気)の流入も防止できる。
<発光性ナノ結晶粒子含有インク>
次に、上記印刷方法に使用される発光性ナノ結晶粒子含有インクについて説明する。
発光性ナノ結晶粒子含有インク(インク組成物)は、インクジェット印刷方式に適合するように調製されたインクジェットインクである。発光性ナノ結晶粒子含有インクは、発光性ナノ結晶粒子を少なくとも含み、例えば、光重合性化合物、有機リガンド、光重合開始剤、光散乱性粒子、高分子分散剤等の成分を更に含む。このような組成を有する発光性ナノ結晶粒子含有インクは、カラーフィルタ画素部の形成に好適に用いられる。
以下では、発光性ナノ結晶粒子と、光重合性化合物と、有機リガンドと、光重合開始剤と、光散乱性粒子と、高分子分散剤とを含有する、一実施形態の発光性ナノ結晶粒子含有インクについて説明する。
(発光性ナノ結晶粒子)
発光性ナノ結晶粒子は、励起光を吸収して蛍光又は燐光を発光するナノサイズの結晶体であり、例えば、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって測定される最大粒子径が100nm以下である結晶体である。
発光性ナノ結晶粒子は、例えば、所定の波長の光を吸収することにより、吸収した波長とは異なる波長の光(蛍光又は燐光)を発することができる。発光性ナノ結晶粒子は、605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(赤色光)を発する、赤色発光性のナノ結晶粒子(赤色発光性ナノ結晶粒子)であってよく、500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(緑色光)を発する、緑色発光性のナノ結晶粒子(緑色発光性ナノ結晶粒子)であってよく、420~480nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(青色光)を発する、青色発光性のナノ結晶粒子(青色発光性ナノ結晶粒子)であってもよい。インクは、これらの発光性ナノ結晶粒子のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。また、発光性ナノ結晶粒子が吸収する光は、例えば、400nm以上500nm未満の範囲(特に、420~480nmの範囲の波長の光)の波長の光(青色光)、又は、200nm~400nmの範囲の波長の光(紫外光)であってよい。なお、発光性ナノ結晶粒子の発光ピーク波長は、例えば、分光蛍光光度計を用いて測定される蛍光スペクトル又は燐光スペクトルにおいて確認することができる。
赤色発光性のナノ結晶粒子は、665nm以下、663nm以下、660nm以下、658nm以下、655nm以下、653nm以下、651nm以下、650nm以下、647nm以下、645nm以下、643nm以下、640nm以下、637nm以下、635nm以下、632nm以下又は630nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、628nm以上、625nm以上、623nm以上、620nm以上、615nm以上、610nm以上、607nm以上又は605nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。これらの上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。なお、以下の同様の記載においても、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
緑色発光性のナノ結晶粒子は、560nm以下、557nm以下、555nm以下、550nm以下、547nm以下、545nm以下、543nm以下、540nm以下、537nm以下、535nm以下、532nm以下又は530nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、528nm以上、525nm以上、523nm以上、520nm以上、515nm以上、510nm以上、507nm以上、505nm以上、503nm以上又は500nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。
青色発光性のナノ結晶粒子は、480nm以下、477nm以下、475nm以下、470nm以下、467nm以下、465nm以下、463nm以下、460nm以下、457nm以下、455nm以下、452nm以下又は450nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、450nm以上、445nm以上、440nm以上、435nm以上、430nm以上、428nm以上、425nm以上、422nm以上又は420nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子が発する光の波長(発光色)は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば、発光性ナノ結晶粒子のサイズ(例えば粒子径)に依存するが、発光性ナノ結晶粒子が有するエネルギーギャップにも依存する。そのため、使用する発光性ナノ結晶粒子の構成材料及びサイズを変更することにより、発光色を選択することができる。
発光性ナノ結晶粒子は、半導体材料を含む発光性ナノ結晶粒子(発光性半導体ナノ結晶粒子)であってよい。発光性半導体ナノ結晶粒子としては、量子ドット、量子ロッド等が挙げられる。これらの中でも、発光スペクトルの制御が容易である観点から、量子ドットが好ましい。
発光性半導体ナノ結晶粒子は、第一の半導体材料を含むコアのみからなっていてよく、第一の半導体材料を含むコアと、第一の半導体材料とは異なる第二の半導体材料を含み、上記コアの少なくとも一部を被覆するシェルと、を有していてもよい。換言すれば、発光性半導体ナノ結晶粒子の構造は、コアのみからなる構造(コア構造)であってよく、コアとシェルからなる構造(コア/シェル構造)であってもよい。また、発光性半導体ナノ結晶粒子は、第二の半導体材料を含むシェル(第一のシェル)の他に、第一及び第二の半導体材料とは異なる第三の半導体材料を含み、上記コアの少なくとも一部を被覆するシェル(第二のシェル)を更に有していてもよい。換言すれば、発光性半導体ナノ結晶粒子の構造は、コアと第一のシェルと第二のシェルとからなる構造(コア/シェル/シェル構造)であってもよい。コア及びシェルのそれぞれは、2種以上の半導体材料を含む混晶(例えば、CdSe+CdS、CIS+ZnS等)であってよい。
発光性ナノ結晶粒子は、半導体材料として、II-VI族半導体、III-V族半導体、I-III-VI族半導体、IV族半導体及びI-II-IV-VI族半導体からなる群より選択される少なくとも1種の半導体材料を含むことが好ましい。
具体的な半導体材料としては、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb;SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe;Si、Ge、SiC、SiGe、AgInSe、CuGaSe、CuInS、CuGaS、CuInSe、AgInS、AgGaSe、AgGaS、C、Si及びGeが挙げられる。発光性半導体ナノ結晶粒子は、発光スペクトルの制御が容易である観点から、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS、AgInSe、AgInTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、CuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、Si、C、Ge及びCuZnSnSからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
赤色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、CdSeのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がCdSであり内側のコア部がCdSeであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がCdSであり内側のコア部がZnSeであるナノ結晶粒子、CdSeとZnSとの混晶のナノ結晶粒子、InPのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、CdSeとCdSとの混晶のナノ結晶粒子、ZnSeとCdSとの混晶のナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
緑色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、CdSeのナノ結晶粒子、CdSeとZnSとの混晶のナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
青色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、ZnSeのナノ結晶粒子、ZnSのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSeであり内側のコア部がZnSであるナノ結晶粒子、CdSのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
半導体ナノ結晶粒子は、同一の化学組成で、それ自体の平均粒子径を変えることにより、当該粒子から発光させるべき色を赤色にも緑色にも変えることができる。また、半導体ナノ結晶粒子は、それ自体として、人体等に対する悪影響が極力低いものを用いることが好ましい。カドミウム、セレン等を含有する半導体ナノ結晶粒子を発光性ナノ結晶粒子として用いる場合は、上記元素(カドミウム、セレン等)が極力含まれない半導体ナノ結晶粒子を選択して単独で用いるか、上記元素が極力少なくなるようにその他の発光性ナノ結晶粒子と組み合わせて用いることが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子の形状は特に限定されず、任意の幾何学的形状であってもよく、任意の不規則な形状であってもよい。発光性ナノ結晶粒子の形状は、例えば、球状、楕円体状、角錐形状、ディスク状、枝状、網状、ロッド状等であってもよい。しかしながら、発光性ナノ結晶粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、インクの均一性及び流動性をより高められる点で好ましい。
発光性ナノ結晶粒子の平均粒子径(体積平均径)は、所望の波長の発光が得られやすい観点、並びに、分散性及び保存安定性に優れる観点から、1nm以上であってよく、1.5nm以上であってよく、2nm以上であってもよい。所望の発光波長が得られやすい観点から、40nm以下であってよく、30nm以下であってよく、20nm以下であってもよい。発光性ナノ結晶粒子の平均粒子径(体積平均径)は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
発光性ナノ結晶粒子は、分散安定性の観点から、その表面に有機リガンドを有することが好ましい。例えば、発光性ナノ結晶粒子の表面は、有機リガンドによってパッシベーションされていてよい。有機リガンドは、発光性ナノ結晶粒子の表面に配位結合していてよい。有機リガンドの詳細は後述する。
発光性ナノ結晶粒子は、その表面に高分子分散剤を有していてもよい。例えば、発光性ナノ結晶粒子の表面に結合する有機リガンドを高分子分散剤と交換することで発光性ナノ結晶粒子の表面に高分子分散剤を結合させてよい。ただし、インクジェットインクにした際の分散安定性の観点では、有機リガンドが配位したままの発光性ナノ結晶粒子に対して高分子分散剤が配合されることが好ましい。高分子分散剤の詳細は後述する。
発光性ナノ結晶粒子としては、溶剤、光重合性化合物等の中にコロイド形態で分散しているものを用いることができる。分散状態にある発光性ナノ結晶粒子の表面は、有機リガンドによってパッシベーションされていることが好ましい。溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、クロロホルム、トルエン、オクタン、クロロベンゼン、テトラリン、ジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、又はそれらの混合物が挙げられる。
発光性ナノ結晶粒子としては、市販品を用いることができる。発光性ナノ結晶粒子の市販品としては、例えば、NN-ラボズ社の、インジウムリン/硫化亜鉛、D-ドット、CuInS/ZnS、アルドリッチ社の、InP/ZnS等が挙げられる。
発光性ナノ結晶粒子の含有量は、画素部の外部量子効率がより向上する観点から、インクの全質量を基準として、例えば、20~80質量%、22~70質量%、24~60質量%、24~50質量%又は26~40質量%である。なお、上記発光性ナノ結晶粒子の含有量には、発光性ナノ結晶粒子に結合する有機リガンドの量は含まれない。本明細書中、「インクの全質量」とは、インクの硬化物に含有させるべき成分と言い換えることができる。すなわち、インクが溶剤を含む場合には、インクに含まれる溶剤以外の成分を意味し、特筆する場合を除き、溶剤の量はインクの全質量には含まれない。
インクは、発光性ナノ結晶粒子として、赤色発光性ナノ結晶粒子、緑色発光性ナノ結晶粒子及び青色発光性ナノ結晶粒子のうちの2種以上を含んでいてもよいが、好ましくはこれらの粒子のうちの1種のみを含む。インクが赤色発光性ナノ結晶粒子を含む場合、緑色発光性ナノ結晶粒子の含有量及び青色発光性ナノ結晶粒子の含有量は、発光性ナノ結晶粒子の全質量を基準として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。インクが緑色発光性ナノ結晶粒子を含む場合、赤色発光性ナノ結晶粒子の含有量及び青色発光性ナノ結晶粒子の含有量は、発光性ナノ結晶粒子の全質量を基準として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。
(有機リガンド)
有機リガンドは、発光性ナノ結晶粒子の表面近傍に存在し、発光性ナノ結晶粒子を分散させる機能を有する。有機リガンドは、例えば、光重合性化合物、溶剤等との親和性を確保するための官能基(以下、単に「親和性基」ともいう。)と、発光性ナノ結晶粒子と結合可能な官能基(発光性ナノ結晶粒子への吸着性を確保するための官能基)と、を有しており、発光性ナノ結晶粒子の表面に配位結合することにより発光性ナノ結晶粒子の表面近傍に存在する。
有機リガンドとしては、例えば、TOP(トリオクチルホスフィン)、TOPO(トリオクチルホスフィンオキサイド)、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、グルコン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、N-ラウロイルサルコシン、N-オレイルサルコシン、オレイルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタンチオール、ドデカンチオール、ヘキシルホスホン酸(HPA)、テトラデシルホスホン酸(TDPA)、フェニルホスホン酸、及びオクチルホスフィン酸(OPA)が挙げられる。
有機リガンドの含有量は、例えば、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、10~50質量部であってよく、10~15質量部であってもよい。
(光重合性化合物)
光重合性化合物は、光の照射によって重合する化合物であり、例えば、ラジカル重合性化合物(光ラジカル重合性化合物)又はカチオン重合性化合物(光カチオン重合性化合物)である。これらは、通常、光重合開始剤と共に用いられる。インクは、光重合性化合物を1種含有してもよく、2種以上含有してもよく、好ましくは2種以上含有する。
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、エチレン性不飽和基を有するモノマー(エチレン性不飽和結合を有するモノマー)、イソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。エチレン性不飽和基は、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、(メタ)アクリロイル基等であってよく、好ましくは(メタ)アクリロイル基である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリルアミド」との表現についても同様である。
光ラジカル重合性化合物は、好ましくは、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート(単官能(メタ)アクリレート)と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート(多官能(メタ)アクリレート)とを含む。
光カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
光重合性化合物の含有量は、インクの全質量を基準として、例えば、10~60質量%、15~50質量%、20~40質量%又は20~30質量%であってよい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、例えば光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤であり、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤として公知の化合物を使用できる。光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型又は水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤が好適である。
光重合開始剤の含有量は、例えば、光重合性化合物100質量部に対して、0.1~40質量部であってよい。
(光散乱性粒子)
光散乱性粒子は、例えば、光学的に不活性な無機微粒子である。インクが光散乱性粒子を含有する場合、画素部に照射された光源からの光を散乱させることができるため、優れた光学特性(例えば外部量子効率)を得ることができる。
光散乱性粒子は、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛及びチタン酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
光散乱性粒子の形状は、球状、フィラメント状、不定形状等であってよい。しかしながら、光散乱性粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、インクの均一性、流動性及び光散乱性をより高めることができ、優れた吐出安定性を得ることができる点で好ましい。
インク中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、例えば、0.05~1.0μm、0.05~0.6μm、0.05~0.4μm、0.2~1.0μm、0.2~0.6μm、0.2~0.4μm、0.3~1.0μm、0.3~0.6μm、又は0.3~0.4μmであってよい。インク中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
光散乱性粒子の含有量は、例えば、インクの全質量を基準として、0.1~10質量%であってよい。発光性ナノ結晶粒子の含有量に対する光散乱性粒子の含有量の質量比(光散乱性粒子/発光性ナノ結晶粒子)は、例えば、0.05~5.0であってよい。
(高分子分散剤)
高分子分散剤は、750以上の重量平均分子量を有し、かつ、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を有する高分子化合物である。高分子分散剤は、光散乱性粒子を分散させる機能を有する。高分子分散剤は、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を介して光散乱性粒子に吸着(例えば結合)し、高分子分散剤同士の静電反発及び/又は立体反発により、光散乱性粒子をインク中に分散させる。高分子分散剤は、光散乱性粒子の表面と結合して光散乱性粒子に吸着していることが好ましいが、発光性ナノ結晶粒子の表面に結合して発光性ナノ粒子に吸着していてもよく、インク中に遊離していてもよい。
光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基としては、酸性官能基、塩基性官能基及び非イオン性官能基が挙げられる。酸性官能基は解離性のプロトンを有しており、アミン、水酸化物イオン等の塩基により中和されていてもよく、塩基性官能基は有機酸、無機酸等の酸により中和されていてもよい。
高分子分散剤は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレア樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミン及びポリアリルアミン等のポリアミン、ポリイミドなどであってよい。
高分子分散剤として、市販品を使用することも可能であり、市販品としては、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPBシリーズ、BYK社製のDISPERBYKシリーズ並びにBYK-シリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ等を使用することができる。
(その他の成分)
上記実施形態のインクは、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した成分以外の成分(その他の成分)を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、溶剤が挙げられる。溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、クロロホルム、トルエン、オクタン、クロロベンゼン、テトラリン、ジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、又はそれらの混合物などが挙げられる。インクが光重合性化合物を含有する場合、光重合性化合物が分散媒としても機能するため、無溶剤で光散乱性粒子及び発光性ナノ結晶粒子を分散させることが可能である。インクが溶剤を含む場合、溶剤の含有量は、インクの全質量(溶剤を含む)を基準として、0質量%超5質量%以下であってよい。
上記実施形態のインクは、その他の成分として、例えば、熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤(硬化触媒)、重合禁止剤、連鎖移動剤、酸化防止剤等を更に含んでいてもよい。
以上説明したインクの粘度は、例えば、2~20mPa・s、2~15mPa・s、2~12mPa・s、5~20mPa・s、5~15mPa・s、5~12mPa・s、7~20mPa・s、7~15mPa・s、又は7~12mPa・sであってもよい。なお、上記粘度は、例えば、インクジェット印刷を実施する際のインク温度における粘度であり、E型粘度計によって測定される粘度である。インクジェット印刷を実施する際のインク温度は25~60℃が好ましく、30~55℃がより好ましく、30~40℃が更に好ましい。インクジェット印刷を実施する際のインク温度は、インクジェット印刷をする際のインクジェットヘッドの温度によって調整される。
インクのインクジェット印刷時のインク温度における粘度が2mPa・s以上である場合、インクジェットヘッドのインク吐出孔の先端におけるインクジェットインクのメニスカス形状が安定するため、インクジェットインクの吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易となる。一方、インクのインクジェット印刷時のインク温度における粘度が20mPa・s以下である場合、インク吐出孔からインクジェットインクを円滑に吐出させることができる。
インクの表面張力は、インクジェット方式に適した表面張力であることが好ましく、具体的には、20~40mN/mの範囲であることが好ましく、25~35mN/mであることがより好ましい。表面張力を当該範囲とすることで吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易になると共に、飛行曲がりの発生を抑制することができる。なお、飛行曲がりとは、インク組成物をインク吐出孔から吐出させたとき、インクの着弾位置が目標位置に対して30μm以上のずれを生じることをいう。表面張力が40mN/m以下である場合、インク吐出孔の先端におけるメニスカス形状が安定するため、インクの吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易となる。一方、表面張力が20mN/m以上である場合、インク吐出孔周辺部がインクジェットインクで汚染することが防げるため、飛行曲がりの発生を抑制できる。すなわち、着弾すべき画素部形成領域に正確に着弾されずにインクの充填が不充分な画素部が生じたり、着弾すべき画素部形成領域に隣接する画素部形成領域(又は画素部)にインク組成物が着弾し、色再現性が低下したりすることがない。なお、本明細書記載の表面張力は、23℃で測定された表面張力をいい、リング法(輪環法ともいう)で測定されたものをいう。
上記実施形態のインクは、例えば、上述したインクの構成成分を混合し、分散させることで得ることができる。
<光変換層及びカラーフィルタ>
次に、一実施形態の光変換層及びカラーフィルタとして、上記実施形態の印刷方法及び上記実施形態の発光性ナノ結晶粒子含有インクを用いて得られるカラーフィルタ画素部を備える光変換層、並びに、当該光変換層を備えるカラーフィルタについて説明する。なお、以下の説明では、発光性ナノ結晶粒子を含有しないインク(白色インク)を発光性ナノ粒子非含有インクという。発光性ナノ粒子非含有インクは、発光性ナノ結晶粒子を含まないこと以外は、上記実施形態の発光性ナノ粒子含有インクと同様の組成であってよい。
図3は、一実施形態の光変換層を備えるカラーフィルタの模式断面図である。図3に示すカラーフィルタ100は、基材40と、基材40上に設けられた光変換層30と、を備える。光変換層30は、複数の画素部10と、遮光部20と、を備えている。
光変換層30は、画素部10として、第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとを有している。第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとは、この順に繰り返すように格子状に配列されている。遮光部20は、隣り合う画素部の間、すなわち、第1の画素部10aと第2の画素部10bとの間、第2の画素部10bと第3の画素部10cとの間、第3の画素部10cと第1の画素部10aとの間に設けられている。言い換えれば、これらの隣り合う画素部同士は、遮光部20によって離間されている。
第1の画素部10a及び第2の画素部10bは、それぞれ発光性ナノ結晶粒子含有インクの硬化物を含む発光性の画素部(発光性画素部)である。第1の画素部10aは、第1の硬化成分13aと、第1の硬化成分13a中にそれぞれ分散された第1の発光性ナノ結晶粒子11a及び第1の光散乱性粒子12aとを含む。同様に、第2の画素部10bは、第2の硬化成分13bと、第2の硬化成分13b中にそれぞれ分散された第2の発光性ナノ結晶粒子11b及び第2の光散乱性粒子12bとを含む。硬化成分は、例えば、光重合性化合物の重合によって得られる成分であり、光重合性化合物の重合体を含む。硬化成分には、上記重合体の他、インクに含まれていた有機成分(有機リガンド、高分子分散剤、未反応の重合性化合物等)が含まれていてよい。第1の画素部10a及び第2の画素部10bにおいて、第1の硬化成分13aと第2の硬化成分13bとは同一であっても異なっていてもよく、第1の光散乱性粒子12aと第2の光散乱性粒子12bとは同一であっても異なっていてもよい。
第1の発光性ナノ結晶粒子11aは、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、赤色発光性のナノ結晶粒子である。すなわち、第1の画素部10aは、青色光を赤色光に変換するための赤色画素部と言い換えてよい。また、第2の発光性ナノ結晶粒子11bは、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、緑色発光性のナノ結晶粒子である。すなわち、第2の画素部10bは、青色光を緑色光に変換するための緑色画素部と言い換えてよい。
発光性画素部における発光性ナノ結晶粒子の含有量は、例えば、発光性ナノ結晶粒子含有インクの硬化物の全質量を基準として、10~80質量%、20~70質量%、22~50質量%、24~40質量%又は26~40質量%であってよい。発光性画素部における光散乱性粒子の含有量は、例えば、発光性ナノ結晶粒子含有インクの硬化物の全質量を基準として、0.1~10質量%であってよい。
第3の画素部10cは、発光性ナノ結晶粒子非含有インクの硬化物を含む非発光性の画素部(非発光性画素部)である。硬化物は、発光性ナノ結晶粒子を含有せず、光散乱性粒子と、硬化成分とを含有する。すなわち、第3の画素部10cは、第3の硬化成分13cと、第3の硬化成分13c中に分散された第3の光散乱性粒子12cとを含む。第3の硬化成分13cは、例えば、重合性化合物の重合によって得られる成分であり、重合性化合物の重合体を含む。第3の光散乱性粒子12cは、第1の光散乱性粒子12a及び第2の光散乱性粒子12bと同一であっても異なっていてもよい。
第3の画素部10cは、例えば、420~480nmの範囲の波長の光に対し30%以上の透過率を有する。そのため、第3の画素部10cは、420~480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に、青色画素部として機能する。なお、第3の画素部10cの透過率は、顕微分光装置により測定することができる。
第3の画素部10cにおける光散乱性粒子の含有量は、例えば、発光性ナノ結晶粒子非含有インクの硬化物の全質量を基準として、1~50質量%、5~30質量%又は10~20質量%であってよい。
画素部10(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、1μm以上であってよく、2μm以上であってもよく、3μm以上であってもよい。画素部10(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、30μm以下であってよく、20μm以下であってもよく、15μm以下であってもよい。
遮光部20は、隣り合う画素部を離間して混色を防ぐ目的及び光源からの光の漏れを防ぐ目的で設けられる、いわゆるブラックマトリックスである。遮光部20を構成する材料は、特に限定されず、クロム等の金属の他、バインダーポリマーにカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の硬化物等を用いることができる。ここで用いられるバインダーポリマーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種又は2種以上混合したもの、感光性樹脂、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物(例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの)などを用いることができる。遮光部20の厚さは、例えば、0.5μm以上であってよく、10μm以下であってよい。
基材40は、光透過性を有する透明基材であり、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の透明なガラス基板、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルム等の透明なフレキシブル基材などを用いることができる。これらの中でも、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスからなるガラス基板を用いることが好ましい。具体的には、コーニング社製の「7059ガラス」、「1737ガラス」、「イーグル200」及び「イーグルXG」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA-10G」及び「OA-11」が好適である。これらは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れる。
以上の光変換層30を備えるカラーフィルタ100は、420~480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に好適に用いられる。
以上、一実施形態の光変換層及びカラーフィルタについて説明したが、本発明の印刷方法を用いて形成される光変換層及びカラーフィルタは、上記実施形態に限られない。
例えば、光変換層は、第3の画素部10cに代えて又は第3の画素部10cに加えて、青色発光性のナノ結晶粒子を含有する発光性ナノ結晶粒子含有インクの硬化物を含む画素部(青色画素部)を備えていてもよい。また、光変換層は、赤、緑、青以外の他の色の光を発するナノ結晶粒子を含有する発光性ナノ結晶粒子含有インクの硬化物を含む画素部(例えば黄色画素部)を備えていてもよい。これらの場合、光変換層の各画素部に含有される発光性ナノ結晶粒子のそれぞれは、同一の波長域に吸収極大波長を有することが好ましい。
また、光変換層の画素部の少なくとも一部は、発光性ナノ結晶粒子以外の顔料を含有するインク(組成物)の硬化物を含むものであってもよい。
また、カラーフィルタは、遮光部のパターン上に、遮光部よりも幅の狭い撥インク性を持つ材料からなる撥インク層を備えていてもよい。また、撥インク層を設けるのではなく、画素部形成領域を含む領域に、濡れ性可変層としての光触媒含有層をベタ塗り状に形成した後、当該光触媒含有層にフォトマスクを介して光を照射して露光を行い、画素部形成領域の親インク性を選択的に増大させてもよい。光触媒としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
また、カラーフィルタは、基材と画素部との間に、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン等を含むインク受容層を備えていてもよい。
また、カラーフィルタは、画素部上に保護層を備えていてもよい。この保護層は、カラーフィルタを平坦化すると共に、画素部に含有される成分、又は、画素部に含有される成分及び光触媒含有層に含有される成分の液晶層への溶出を防止するために設けられるものである。保護層を構成する材料は、公知のカラーフィルタ用保護層として使用されているものを使用できる。
また、本実施形態の光変換層の画素部には、上記した発光性ナノ結晶粒子に加えて、発光性ナノ結晶粒子の発光色と概ね同色の顔料を更に含有させてもよい。顔料を画素部に含有させるため、発光性ナノ結晶粒子含有インクに顔料を含有させてもよい。
また、本実施形態の光変換層中の赤色画素部(R)、緑色画素部(G)、及び青色画素部(B)のうち、1種又は2種の発光性画素部を、発光性ナノ結晶粒子を含有させずに色材を含有させた画素部としてもよい。ここで使用し得る色材としては、公知の色材を使用することができ、例えば、赤色画素部(R)に用いる色材としては、ジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料が挙げられる。緑色画素部(G)に用いる色材としては、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。青色画素部(B)に用いる色材としては、ε型銅フタロシアニン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料が挙げられる。これらの色材の使用量は、光変換層に含有させる場合には、透過率の低下を防止できる観点から、画素部(インクの硬化物)の全質量を基準として、1~5質量%であることが好ましい。
また、カラーフィルタは、基材と本実施形態の画素部との間に、発光性ナノ結晶粒子を含まず、上記色材を含む通常のカラーフィルタ層を備えてもよい。すなわち、本実施形態のカラーフィルタは、基材と、基材上に設けられた、発光性ナノ粒子を含まず、色材を含むカラーフィルタ層と、当該カラーフィルタ層上に設けられた、本実施形態の画素部と、を備えるものであってよい。
<カラーフィルタ画素部の形成方法>
上記実施形態のカラーフィルタ100(光変換層30)におけるカラーフィルタ画素部10(第1~第3の画素部10a,10b,10c)は、例えば、パターン状に形成された遮光部20を有する基材40上の、遮光部20によって区画された画素部形成領域に、上記実施形態の印刷方法(インクジェット印刷装置1を用いた発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法)を用いて、インク(発光性ナノ結晶粒子含有インク及び発光性ナノ結晶粒子非含有インク)を印刷して印刷物を形成した後、得られた印刷物を硬化させることで形成することができる。
インクの印刷物は、上述した吐出工程で吐出されたインクが、基材40上の画素部形成領域に選択的に付着することで形成される。画素部形成領域に付着したインクが有機溶剤を含む場合には、乾燥によりインクから有機溶剤を除去する。
インクの乾燥は、有機溶剤の少なくとも一部が除去されればよく、有機溶剤の全てが除去されることが好ましい。インクの乾燥方法は、減圧による乾燥(減圧乾燥)であることが好ましい。減圧乾燥は、通常、インクの組成を制御する観点から、1.0~500Paの圧力下、20~30℃で3~30分間行う。
インクの印刷物の硬化は、印刷物に光(活性エネルギー線)を照射することにより行われる。光照射によって印刷物中に含まれるインク(或いはインクの乾燥物)が硬化することで、インクの硬化物を含む画素部(発光性画素部又は非発光性画素部)が得られる。
インクの硬化は、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等を用いてよい。照射する光の波長は、例えば、200nm以上であってよく、440nm以下であってよい。露光量は、例えば、10mJ/cm以上であってよく、20000mJ/cm以下であってよい。
上記カラーフィルタ画素部10の形成方法では、光変換層30が形成される。したがって、上記方法は、光変換層30の形成方法ということもできる。
光変換層30の形成方法は、上記カラーフィルタ画素部10を形成する工程に加えて、遮光部20を形成する工程を更に備えてよい。遮光部20を形成する方法としては、基材40の一面側の複数の画素部間の境界となる領域に、クロム等の金属薄膜、又は、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法等が挙げられる。金属薄膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができ、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜は、例えば、塗布、印刷等の方法により形成することができる。パターニングを行う方法としては、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。
1…インクジェット印刷装置、2…インク収容容器、2a…メインタンク(第1のインク収容容器)、2b…リザーブタンク(第2のインク収容容器)、2c…サブタンク(第3のインク収容容器)、3…吐出ヘッド、4…インク流路、10…画素部、10a…第1の画素部、10b…第2の画素部、10c…第3の画素部、11a…第1の発光性ナノ結晶粒子、11b…第2の発光性ナノ結晶粒子、12a…第1の光散乱性粒子、12b…第2の光散乱性粒子、12c…第3の光散乱性粒子、20…遮光部、30…光変換層、40…基材、100…カラーフィルタ。

Claims (7)

  1. インク収容容器と、吐出ヘッドと、を備えるインクジェット印刷装置を用いた、発光性ナノ結晶粒子含有インクの印刷方法であって、
    前記インク収容容器に収容された前記発光性ナノ結晶粒子含有インクの一部を前記吐出ヘッドへ供給するインク供給工程と、
    前記吐出ヘッドから前記発光性ナノ結晶粒子含有インクを吐出する吐出工程と、を備え、
    前記インク収容容器が、前記発光性ナノ結晶粒子含有インクが収容されるインク収容空間の容積を変更可能に構成されており、
    前記インク供給工程における前記発光性ナノ結晶粒子含有インクの供給に伴って前記インク収容空間を縮小させ、且つ、縮小された状態に維持することで、前記インク収容容器への外気の流入を防止する、印刷方法。
  2. 前記インク収容容器が水分に対して不透過性を有する、請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記インク収容容器が酸素に対して不透過性を有する、請求項1又は2に記載の印刷方法。
  4. 前記発光性ナノ結晶粒子含有インクが光硬化性であり、
    前記インク収容容器が光に対して不透過性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷方法。
  5. 前記発光性ナノ結晶粒子含有インクがカラーフィルタ画素部形成用のインクである、請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷方法。
  6. 請求項5に記載の印刷方法を用いてカラーフィルタ画素部を形成する、カラーフィルタ画素部の形成方法。
  7. 請求項6に記載のカラーフィルタ画素部の形成方法により形成されたカラーフィルタ画素部を備える、カラーフィルタ。
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