JP2024021084A - ホワイトインク組成物、硬化物、光拡散層及びカラーフィルタ - Google Patents

ホワイトインク組成物、硬化物、光拡散層及びカラーフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット法に適用可能な活性エネルギー線硬化型のホワイトインク組成物であって、印刷時のインク揮発性とUV硬化時の硬化収縮が抑制され、画素部における膜減を抑えバックライト光の透過率を所定値に調整することが容易なホワイトインク組成物を提供すること。【解決手段】光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合開始剤と、エチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和モノマーと、を含有し、エチレン性不飽和モノマー中、エチレン性不飽和基を2個有し、かつ、分子量が220以上800以下である、二官能モノマーを、エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、65質量部以上となる割合で含有する、ホワイトインク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ホワイトインク組成物、硬化物、光拡散層及びカラーフィルタに関する。
近年、有機ELディスプレイを構成するカラーフィルタは、有機ELからの青色光を赤色光、緑色光へと光変換させる機能を持つものであり、青色光は有機ELからの光をそのまま利用し、発色させる構造を有するものが通常用いられている。
かかるカラーフィルタの青色画素部は、青色の入射光を拡散することができる拡散層として形成されており、該画素部を構成するインクは、光散乱剤を含有し、発光ナノ粒子を有さない所謂ホワイトインクの印刷物として構成されている(例えば、特許文献1)。
斯かるカラーフィルタの印刷方法としては、アルカリ可溶性樹脂及び/又はアクリル系単量体とを含有する硬化性レジスト材料を用いるフォトリソグラフィ法や、UV硬化性インクを用いたインクジェット法が挙げられるものの、上記フォトリソグラフィ法でのカラーフィルタの製造方法では、その製造方法の特徴から、比較的高価な発光性ナノ結晶粒子を含めた画素部以外のレジスト材料が無駄になるという欠点があった。
そのため、上記のようなレジスト材料の無駄をなくすため、インクジェット法により、光変換基板画素部を形成することが検討され始めている(特許文献2参照)。
しかしながら、インクジェット法により印刷するには、その印刷適合性の観点からインク自体の粘度を9-12mPa・s程度に低粘度化させる必要がある。そのためUV硬化性モノマーも低分子量・低粘度なものを用いる必要があり、印刷後のインクの揮発による膜減りを招いていた。加えて、そのような低分子量・低粘度のUV硬化性モノマーは官能基濃度の高いものとなることからUV照射によって硬化する際に、硬化収縮が大きくなり、膜減を引き起こすことによって透過率を所定の値に調整することが困難なものとなり、赤色画素部や青色画素部との輝度バランスを崩してしまうという問題を有していた。
特表2020-501176号公報 国際公開第2008/001693号
従って、本発明が解決しようとする課題は、インクジェット法に適用可能な活性エネルギー線硬化型のホワイトインク組成物であって、印刷時の揮発性とUV硬化時の硬化収縮が抑制され、画素部における膜減を抑えバックライト光の透過率を所定値に調整することが容易なホワイトインク組成物を提供することにある。
本発明者らの検討により、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合開始剤と、エチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和モノマーと、を含有するホワイトインク組成物における、エチレン性不飽和基を2個有し、かつ、分子量が220以上800以下である、二官能モノマーの含有量それぞれを特定範囲内にすることによって、インクジェット法に適用可能な活性エネルギー線硬化型のインク組成物であって、印刷時のインク揮発性とUV硬化時の硬化収縮が抑制され、画素部における膜減を抑えバックライト光の透過率を所定値に調整することが容易なホワイトインク組成物が得られることが判明した。
すなわち、本発明は、光散乱性粒子と、光重合開始剤と、エチレン性不飽和モノマーとを含有し、前記エチレン性不飽和モノマー中、エチレン性不飽和基を2個有し、かつ、分子量が220以上800以下である、二官能モノマーを、エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、65質量部以上となる割合で含有することを特徴とするホワイトインク組成物に関する。
本発明のホワイトインク組成物における上記二官能のモノマーの分子量の下限値が220以上であることから、ホワイトインク組成物の揮発性を抑制し、かつ硬化時の硬化収縮を良好に抑制することができる。本発明のホワイトインク組成物は、上記二官能のモノマーを所定量含有するため、粘度をインクジェットに適用可能なレベルに低減させながら、ホワイトインク組成物の揮発性と硬化収縮を抑えることが可能となる。
ホワイトインク組成物において、エチレン性不飽和基を1個有する単官能モノマーの含有量が、エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。
溶剤の含有量は、ホワイトインク組成物の全質量を基準として、1質量%以下であることが好ましい。
エチレン性不飽和モノマーは、2種以上のエチレン性不飽和モノマーを含むことが好ましい。
エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数は、1.9以上であることが好ましい。
エチレン性不飽和モノマーの1気圧における平均沸点は、310℃以上であることが好ましい。
エチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリロイル基を有していることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量は120~220g/molであることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量が上記範囲内であると、適正な粘度と、揮発性と硬化収縮とのバランスがより一層優れたものとなる。
エチレン性不飽和モノマー中のメタクリレートの含有量は、モノマーの総量100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。
エチレン性不飽和基を有するモノマーは、ジシクロペンテニル基含有モノマーを含んでいてよい。
エチレン性不飽和基を有するモノマーは、デンドリマーアクリレートを含んでいてもよい。
光散乱性粒子の含有量は、ホワイトインク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、3~7質量部であることが好ましい。
ホワイトインク組成物は、インクジェット方式で用いられてよい。ホワイトインク組成物は、厚さ10μm以上の硬化膜の形成に用いられてよい。
本発明の一側面は、上述したホワイトインク組成物の硬化物に関する。
本発明の一側面は、複数の画素部と、当該複数の画素部間に設けられた遮光部と、を備え、複数の画素部は、発光性ナノ結晶粒子を含有する発光性画素部と、上記ホワイトインク組成物の硬化物を含む非発光性画素部と、を有する、光拡散層に関する。
本発明の一側面は、上記光拡散層を備える、カラーフィルタに関する。
本発明によれば、インクジェット法に適用可能な活性エネルギー線硬化型のホワイトインク組成物であって、印刷時のインク揮発性とUV硬化時の硬化収縮が抑制され、画素部における膜減を抑えバックライト光の透過率を所定値に調整することが容易なホワイトインク組成物を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態のカラーフィルタの模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本明細書において「ホワイトインク組成物の硬化物」とは、ホワイトインク組成物(ホワイトインク組成物が溶剤成分を含む場合には、乾燥後のホワイトインク組成物)中の硬化性成分を硬化させて得られるものである。よって、ホワイトインク組成物の硬化物中には溶剤が含まれていないことが好ましいが、乾燥しきれなかった溶剤が一部残存していてもよい。また、本明細書において、「ホワイトインク組成物の不揮発分」とは、ホワイトインク組成物に含まれる溶剤以外の成分を意味する。すなわち、「ホワイトインク組成物の不揮発分」は、ホワイトインク組成物の硬化物に含有させるべき硬化前の成分と言い換えてもよい。
<ホワイトインク組成物>
一実施形態のホワイトインク組成物は、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合開始剤と、エチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和モノマーと、を含有する。ホワイトインク組成物とは、光散乱性粒子を含有し、発光性ナノ結晶粒子を実質的に含有しない組成物(非発光性組成物)である。ホワイトインク組成物中の発光性ナノ結晶粒子の含有量は、ホワイトインク組成物の不揮発分100質量部に対して、0.1質量部以下であることが好ましい。一実施形態のホワイトインク組成物は、発光性ナノ結晶粒子を含有していなくてよい。一実施形態において、ホワイトインク組成物は、インクジェット方式に用いられる組成物(インクジェットインク)である。
ホワイトインク組成物(非発光性インク組成物)は、発光性ナノ結晶粒子を実質的に含有しないため、非発光性インク組成物により形成される画素部(非発光性インク組成物の硬化物を含む画素部)に光を入射させた場合に画素部から出射する光は、入射光と略同一の波長を有する。したがって、ホワイトインク組成物は、光源からの光と同色の画素部を形成するために好適に用いられる。例えば、光源からの光が420~480nmの範囲の波長を有する光(青色光)である場合、ホワイトインク組成物により形成される画素部は青色画素部となり得る。ホワイトインク組成物は、例えば、カラーフィルタ等が有する青色画素部を形成するために用いられるホワイトインク組成物であることが好ましい。
ホワイトインク組成物は、揮発性と硬化収縮とが充分に抑えられ、適度な光透過率を有する硬化物を形成可能である。ホワイトインク組成物の一実施形態によれば、揮発性と硬化収縮とが充分に抑えられているため、適度な光透過率を有する厚さ10μm以上(例えば、厚さ10μm)の硬化膜の形成に好適に用いることができる。
[光散乱性粒子]
光散乱性粒子は、例えば、光学的に不活性な無機微粒子である。光散乱性粒子を含有するホワイトインク組成物により形成される画素部によれば、画素部に入射した光を散乱させることができ、これにより、画素部からの出射光の、視野角における光強度差を低減することができる。
光散乱性粒子を構成する材料としては、例えば、タングステン、ジルコニウム、チタン、白金、ビスマス、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、プラチナ、金等の単体金属;シリカ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナホワイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、次炭酸ビスマス、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物、次硝酸ビスマス等の金属塩などが挙げられる。光散乱性粒子は、吐出安定性に優れる観点及び外部量子効率の向上効果により優れる観点から、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛及びチタン酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
光散乱性粒子は、当該粒子の表面の少なくとも一部が無機物で覆われたものであることが好ましい。無機物は、例えば、Al、Si等の元素を含むものであることが好ましい。無機物としては、例えば、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)が挙げられる。光散乱性粒子の表面は、アルミナ、及び/又は、シリカで覆われていてよい。光散乱性粒子の表面は、有機処理されていてよい。つまり、光散乱性粒子の表面は、ポリオール、シロキサン等の有機物で覆われていてもよい。
光散乱性粒子として、例えば、石原産業株式会社製の塩素法酸化チタン(ルチル型)(例えば、「PF-690」)、ケマーズ製のタイピュア(登録商標)R-350等の市販品を使用することも可能である。
光散乱性粒子の形状は、球状、フィラメント状、不定形状等であることが好ましい。光散乱性粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、ホワイトインク組成物の均一性、流動性及び光散乱性をより高めることができ、優れた吐出安定性を得ることができる点でより好ましい。
ホワイトインク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、50nm以上、200nm以上、又は300nm以上であることが好ましい。ホワイトインク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、1000nm以下、600nm以下、又は400nm以下であることが好ましい。このような平均粒子径(体積平均径)が得られやすい観点から、使用する光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、50nm以上であることが好ましく、1000nm以下であることが好ましい。本明細書中、ホワイトインク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。また、使用する光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、例えば透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により各粒子の粒子径を測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
光散乱性粒子の含有量は、ホワイトインク組成物の不揮発分(インク組成物から有機溶剤を除いた成分)の質量100質量部に対して、0.5質量部以上、3質量部以上、4質量部以上、5質量部以上、又は6質量部以上であることが好ましい。光散乱性粒子の含有量は、ホワイトインク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、10質量部以下、9質量部以下、又は8質量部以下であることが好ましい。光散乱性粒子の含有量は、ホワイトインク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、3~7質量部、又は3~10質量部であることが好ましい。
[エチレン性不飽和モノマー]
ホワイトインク組成物は、エチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和モノマーを含有する。ここで、エチレン性不飽和モノマーとは、エチレン性不飽和結合(炭素-炭素二重結合)を有するモノマーを意味する。エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和基を1個有するモノマー(単官能モノマー)及びエチレン性不飽和基を2個以上有するモノマー(多官能モノマー)が挙げられる。多官能モノマーにおけるエチレン性不飽和結合の数(例えばエチレン性不飽和基の数)は、例えば、2~3であることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーは、1種又は2種以上のエチレン不飽和モノマーを含むものであることが好ましい。
エチレン性不飽和基は、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、(メタ)アクリロイル基等であることが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及びそれに対応する「メタクリロイル基」を意味する。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリルアミド」との表現についても同様である。
エチレン性不飽和モノマー中の単官能モノマーの含有量は、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。単官能モノマーの含有量は、本発明による効果に更に優れる観点から、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、9.5質量部以下、9.0質量部以下、8.0質量部以下、7.0質量部以下、6.0質量部以下、5.0質量部以下、4.0質量部以下、3.0又は2.0質量部以下であることがより好ましい。単官能モノマーの含有量は、例えば、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、0~10質量部、又は0~9質量部であることが好ましい。
単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(例えば、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート)、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、N-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]フタルイミド、N-[2-(アクリロイルオキシ)エチル]テトラヒドロフタルイミド、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、4-アクリロイルモルホリン、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド等が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマーは、エチレン性不飽和基を2個有し、かつ、分子量が220以上800以下である、二官能モノマー(第1の二官能モノマー)を含有する。第1の二官能モノマーは、分子量が225以上335以下である二官能モノマーを含むことが好ましい。第1の二官能モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。第1の二官能モノマーの下限値が220以上であることから、ホワイトインク組成物の揮発性と硬化時の硬化収縮を良好に抑制することができる。
エチレン性不飽和モノマー中の第1の二官能モノマーの含有量は、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、65質量部以上である。第1の二官能モノマーの含有量は、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、70質量部以上、75質量部以上、又は80質量部以上であることが好ましく、99質量部以下、又は96質量部以下であることが好ましい。第1の二官能モノマーの含有量が、上記範囲内である場合、非発光性画素部に更に適した画素部を形成することができる。
エチレン性不飽和モノマーは、第1の二官能モノマーに該当しない二官能モノマー(第二の二官能モノマー)を含有していてもよい。第二の二官能モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和モノマー中の第2の二官能モノマーの含有量は、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、1質量部以上、3質量部以上、又は5質量部以上であることが好ましく、35質量部未満、25質量部以下、15質量部以下、又は10質量部以下であることが好ましい。
二官能モノマー(第1又は第2の二官能モノマー)としては、例えば、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-エチレンビスアクリルアミド、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2,2-ジメチル-3-(プロペノイルオキシ)プロパン酸2,2-ジメチル-3-(プロペノイルオキシ)プロピル、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレ-ト、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるトリオールの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドを付加して得られるジオールの2個の水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基によって置換されたジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を3個以上有するモノマーの含有量は、エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、5質量部以上、10質量部以上、15質量部以上、又は20質量部以上であることが好ましく、35質量部以下、又は30質量部以下であることが好ましい。エチレン性不飽和基を3個有するモノマー(三官能モノマー)の含有量が上記範囲内であることが好ましい。
三官能モノマーの具体例としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和モノマーは、上述した二官能モノマー及び三官能モノマー以外の多官能モノマーとして、(メタ)アクリロイル基を有するデンドリマー化合物を含んでいてよい。(メタ)アクリロイル基を有するデンドリマー化合物は、1分子あたり(メタ)アクリロイル基を10以上有する化合物であることが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有するデンドリマー化合物としては、例えば、デンドリマーアクリレートが挙げられる。エチレン性不飽和モノマーが(メタ)アクリロイル基を有するデンドリマー化合物(例えば、デンドリマーアクリレート)を含む場合、デンドリマー分子内の(メタ)アクリロイル基の密度が高まり硬化速度がより一層向上する傾向にある。デンドリマー分子内の結合密度と、デンドリマー分子同士の結合密度が、「密」と「粗」となることで、塗膜物性として高硬度と高柔軟性の両立が可能となる。枝分子((メタ)アクリロイル基)同士のVan del waals距離よりも短くなるので、硬化前の(メタ)アクリル距離と硬化後の結合距離のギャップが小さくなり、硬化収縮がより一層抑制される傾向がある。
(メタ)アクリロイル基を有するデンドリマー化合物の含有量は、例えば、エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、1質量部以上、2質量部以上、4質量部以上、又は5質量部以上であることが好ましく、20質量部以下、15質量部以下、又は10質量部以下であることが好ましい。
エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数は、1.5以上、1.7以上、又は1.9以上であることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数は、例えば、2.2以下又は2.1以下であることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数が上記範囲内である場合、インクの揮発性が更に低く抑えられる。ホワイトインク組成物が1種のエチレン性不飽和モノマーを含む場合、エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数は、当該エチレン性不飽和モノマー1分子あたりの二重結合基数である。ホワイトインク組成物が2種以上のエチレン性不飽和モノマーを含む場合、エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数は、ホワイトインク組成物中のエチレン性不飽和モノマーのエチレン性不飽和基の数の平均値である。エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数の具体的な算出方法は後述する実施例に記載のとおりである。
エチレン性不飽和モノマーの1気圧(0.1MPa)における平均沸点は、インク揮発性の観点から、310℃以上、320℃以上、又は325℃以上であることが好ましく、380℃以下、又は370℃以下であることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの1気圧(0.1MPa)における平均沸点が上記範囲内である場合、ホワイトインク組成物の揮発性をより一層抑えることができる。ホワイトインク組成物が1種のエチレン性不飽和モノマーを含む場合、上記平均沸点は、ホワイトインク組成物中のエチレン性不飽和モノマーの1気圧(0.1MPa)における沸点である。ホワイトインク組成物が2種以上のエチレン性不飽和モノマーを含む場合、上記平均沸点は、エチレン性モノマーの1気圧(0.1MPa)における沸点の平均値である。具体的には、エチレン性不飽和モノマーの1気圧(0.1MPa)における平均沸点は、後述する実施例に記載の方法によって求めることができる。エチレン性不飽和モノマーの1気圧における沸点は、SciFinder(Chemical Abstracts Service,American Chemical Societyのオンライン検索サービス)に収載されている。
エチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマー((メタ)アクリレート)であることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量は、硬化収縮抑制の観点から、110g/mol以上、120g/mol以上、又は125g/mol以上であることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量は、インク粘度低減の観点から、260g/mol以下、240g/mol以上、又は220g/mol以上であることが好ましい。これらの組み合わせの中でも、インクの粘度と硬化収縮抑制のバランスに優れる観点から、エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量は、例えば、120g/mol以上220g/mol以下であることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量が上記範囲内である場合、硬化収縮をより一層抑えることができる。ホワイトインク組成物が2種以上のエチレン性不飽和モノマーを含む場合、エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量は、エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量の平均値である。具体的な算出方法は、後述する実施例に記載のとおりである。
エチレン性不飽和モノマーは、メタクリロイルオキシ基を有するモノマーである、メタクリレート(メタクリロイルモノマー)を含有していてもよく、含有していなくてもよい。インク粘度低減の観点から、メタクリレートは、上記例示したメタクリレートであることが好ましい。メタクリレートの含有量は、硬化収縮がより一層抑制される観点から、エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。メタクリレートの含有量は、エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、例えば、0~20質量部、又は0~15質量部であることが好ましい。メタクリレートの含有量が上記範囲内である場合、硬化収縮をより一層抑えることができる。メタクリレートの含有量は、ホワイトインク組成物中のエチレン性不飽和モノマー100質量部に対するメタクリレートの総含有量である。
エチレン性不飽和モノマーは、硬化収縮がより一層抑制されやすくなる観点から、ジシクロペンテニル基含有モノマーを含んでいてよい。ジシクロペンテニル基含有モノマーとしては、例えば、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。ジシクロペンテニル基含有モノマーの含有量は、エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、5質量部以上、8質量部以上、又は10質量部以上であることが好ましく、20質量部以下、又は15質量部以下であることが好ましい。
エチレン性不飽和モノマーは、信頼性に優れる画素部(ホワイトインク組成物の硬化物)が得られやすい観点から、アルカリ不溶性であることが好ましい。本明細書中、エチレン性不飽和モノマーがアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃におけるエチレン性不飽和モノマーの溶解量が、エチレン性不飽和モノマーの全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。エチレン性不飽和モノマーの上記溶解量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
エチレン性不飽和モノマーの含有量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点、ホワイトインク組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(ホワイトインク組成物の硬化物)の耐溶剤性及び耐磨耗性が向上する観点から、ホワイトインク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、70質量部以上、80質量部以上、又は85質量部以上であることが好ましい。エチレン性不飽和モノマーの含有量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点から、ホワイトインク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、99質量部以下、96質量部以下、又は94質量部以下であることが好ましい。
本実施形態のホワイトインク組成物ではエチレン性不飽和モノマーが分散媒としても機能するため、無溶剤で光散乱性粒子を分散させることが可能である。この場合、画素部を形成する際に溶剤を乾燥により除去する工程が不要となる利点を有する。
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、例えば光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型又は水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤が好適である。
分子開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキシド等が好適に用いられる。これら以外の分子開裂型の光ラジカル重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン及び2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンを併用してもよい。
水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルスルフィド等が挙げられる。分子開裂型の光ラジカル重合開始剤と水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤とを併用してもよい。
光カチオン重合開始剤として市販品を用いることもできる。市販品としては、サンアプロ社製の「CPI-100P」等のスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤、BASF社製の「Lucirin TPO」等のアシルフォスフィンオキサイド化合物、BASF社製の「Irgacure 907」、「Irgacure 819」、「Irgacure 379EG」、「Irgacure 184」及び「Irgacure PAG290」などが挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、ホワイトインク組成物の硬化性の観点から、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、3質量部以上、又は5質量部以上であることが好ましい。光重合開始剤の含有量は、画素部(ホワイトインク組成物の硬化物)の経時安定性の観点から、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、又は10質量部以下であることが好ましい。
[高分子分散剤]
高分子分散剤は、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を有する高分子化合物である。高分子分散剤は、光散乱性粒子を分散させる機能を有する。高分子分散剤は、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を介して光散乱性粒子に吸着し、高分子分散剤同士の静電反発及び/又は立体反発により、光散乱性粒子をホワイトインク組成物中に分散させる。ホワイトインク組成物が高分子分散剤を含む場合、光散乱性粒子の含有量を比較的多くした場合(例えば、ホワイトインク組成物の不揮発分100質量部に対して、5質量%以上とした場合)であっても光散乱性粒子を良好に分散させることができる。高分子分散剤は、光散乱性粒子の表面と結合して光散乱性粒子に吸着していてよい。高分子分散剤は、750以上の重量平均分子量を有していることが好ましい。本明細書中、重量平均分子量とは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定される、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基としては、酸性官能基、塩基性官能基及び非イオン性官能基が挙げられる。酸性官能基は解離性のプロトンを有しており、アミン、水酸化物イオン等の塩基により中和されていてもよく、塩基性官能基は有機酸、無機酸等の酸により中和されていてもよい。
酸性官能基としては、カルボキシル基(-COOH)、スルホ基(-SOH)、硫酸基(-OSOH)、ホスホン酸基(-PO(OH))、リン酸基(-OPO(OH))、ホスフィン酸基(-PO(OH)-)、メルカプト基(-SH)、が挙げられる。
塩基性官能基としては、一級、二級及び三級アミノ基、アンモニウム基、イミノ基、並びに、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、トリアゾール等の含窒素ヘテロ環基等が挙げられる。
非イオン性官能基としては、ヒドロキシ基、エーテル基、チオエーテル基、スルフィニル基(-SO-)、スルホニル基(-SO-)、カルボニル基、ホルミル基、エステル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、チオアミド基、チオウレイド基、スルファモイル基、シアノ基、アルケニル基、アルキニル基、ホスフィンオキサイド基、ホスフィンスルフィド基が挙げられる。
高分子分散剤は、単一のモノマーの重合体(ホモポリマー)、又は複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であることが好ましい。また、高分子分散剤は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれでもよい。また、高分子分散剤がグラフト共重合体である場合、くし形のグラフト共重合体、又は星形のグラフト共重合体であることが好ましい。高分子分散剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレア樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミン及びポリアリルアミン等のポリアミン、ポリイミド等が挙げられる。
高分子分散剤は、塩基性官能基を少なくとも有する化合物であることが好ましい。高分子分散剤のアミン価は、5mgKOH/g以上、10mgKOH/g以上、20mgKOH/g以上、又は30mgKOH/g以上であることが好ましい。高分子分散剤のアミン価は、120mgKOH/g以下、100mgKOH/g以下、又は90mgKOH/g以下であることが好ましい。
高分子分散剤のアミン価は、以下のように測定することができる。高分子分散剤xg及びブロモフェノールブルー試液1mLを、トルエンとエタノールとを体積比1:1で混合した混合溶液50mLに溶解させた試料液を準備し、0.5mol/L塩酸にて試料液が緑色を呈するまで滴定を行い、次式によりアミン価を算出できる。
アミン価=y/x×28.05
式中、yは滴定に要した0.5mol/L塩酸の滴定量(mL)を示し、xは高分子分散剤の質量(g)を示す。
高分子分散剤として、市販品を使用することも可能であり、市販品としては、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPBシリーズ、BYK社製のDISPERBYKシリーズ並びにBYK-シリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ(例えば、PX-4701)、ルーブリゾール社製「SS71000」等を使用することができる。
高分子分散剤は、光散乱性粒子100質量部に対して、3質量部以上、又は5質量部以上であることが好ましく、20質量部以下、又は15質量部以下であることが好ましい。
[溶剤]
ホワイトインク組成物は、溶剤を実質的に含んでいなくてもよい。溶剤は、例えば、ホワイトインク組成物の溶剤として、通常使用される有機溶剤であることが好ましい。ホワイトインク組成物中の溶剤の含有量は、ホワイトインク組成物の全質量を基準として、1質量%以下であることが好ましい。ホワイトインク組成物中の溶剤の含有量は、ホワイトインク組成物の全質量を基準として、例えば、0.0~0.8質量%、0.0~0.6質量%、0.0~0.4質量%、又は0.0~0.2質量%であることが好ましい。溶剤とは、重合性官能基(例えば、エチレン性不飽和基)を有さず、沸点が大気圧下で300℃以下である物質である。
ホワイトインク組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した成分以外の成分(例えば、熱硬化性樹脂、硬化剤、硬化促進剤(硬化触媒)、重合禁止剤、連鎖移動剤、酸化防止剤等)を更に含有していてもよい。
以上説明したホワイトインク組成物のインクジェット印刷時のインク温度における粘度は、例えば、インクジェット印刷時の吐出安定性の観点から、2mPa・s以上、5mPa・s以上、又は7mPa・s以上であることが好ましい。ホワイトインク組成物のインクジェット印刷時のインク温度における粘度は、20mPa・s以下、15mPa・s以下、又は12mPa・s以下であることが好ましい。本明細書中、ホワイトインク組成物の粘度は、例えば、E型粘度計によって測定される粘度であり、25℃で測定されたものを言う。
ホワイトインク組成物のインクジェット印刷時のインク温度における粘度が2mPa・s以上でである場合、吐出ヘッドのインク吐出孔の先端におけるインクジェットインクのメニスカス形状が安定するため、インクジェットインクの吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易となる。一方、ホワイトインク組成物のインクジェット印刷時のインク温度における粘度が20mPa・s以下である場合、インク吐出孔からインクジェットインクを円滑に吐出させることができる。
ホワイトインク組成物の表面張力は、インクジェット方式に適した表面張力であることが好ましく、具体的には、20~40mN/mの範囲であることが好ましく、25~35mN/mであることがより好ましい。表面張力を当該範囲とすることで吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易になると共に、飛行曲がりの発生を抑制することができる。なお、飛行曲がりとは、ホワイトインク組成物をインク吐出孔から吐出させたとき、ホワイトインク組成物の着弾位置が目標位置に対して30μm以上のずれを生じることをいう。表面張力が40mN/m以下である場合、インク吐出孔の先端におけるメニスカス形状が安定するため、ホワイトインク組成物の吐出制御(例えば、吐出量及び吐出のタイミングの制御)が容易となる。一方、表面張力が20mN/m以上である場合、インク吐出孔周辺部がインクジェットインクで汚染することが防げるため、飛行曲がりの発生を抑制できる。すなわち、着弾すべき画素部形成領域に正確に着弾されずにホワイトインク組成物の充填が不充分な画素部が生じたり、着弾すべき画素部形成領域に隣接する画素部形成領域(又は画素部)にホワイトインク組成物が着弾し、色再現性が低下したりすることがない。なお、本願明細書記載の表面張力は、23℃で測定された表面張力をいい、リング法(輪環法ともいう)で測定されたものをいう。
本実施形態のホワイトインク組成物をインクジェット方式用のホワイトインク組成物として用いる場合には、圧電素子を用いた機械的吐出機構による、ピエゾジェット方式のインクジェット記録装置に適用してよい。
以上、インクジェット用ホワイトインク組成物の一実施形態について説明したが、上述した実施形態のインクジェット用ホワイトインク組成物は、インクジェット方式の他に、例えば、フォトリソグラフィ方式で用いることもできる。この場合、ホワイトインク組成物は、バインダーポリマーとしてアルカリ可溶性樹脂を含有する。
ホワイトインク組成物をフォトリソグラフィ方式で用いる場合、まず、ホワイトインク組成物を基材上に塗布し、さらにホワイトインク組成物を乾燥させて塗布膜を形成する。このようにして得られる塗布膜は、アルカリ現像液に可溶性であり、アルカリ現像液で処理されることでパターニングされる。この際、アルカリ現像液は、現像液の廃液処理の容易さ等の観点から、水溶液であることが大半を占めるため、ホワイトインク組成物の塗布膜は水溶液で処理されることとなる。本実施形態においては、ホワイトインク組成物の塗布膜はアルカリ不溶性であることが好ましい。すなわち、本実施形態のホワイトインク組成物は、アルカリ不溶性の塗布膜を形成可能なホワイトインク組成物であることが好ましい。このようなホワイトインク組成物は、アルカリ不溶性の硬化物を形成可能な硬化性成分を用いることにより得ることができる。インク組成物の塗布膜がアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃におけるホワイトインク組成物の塗布膜の溶解量が、ホワイトインク組成物の塗布膜の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。ホワイトインク組成物の塗布膜の上記溶解量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。なお、ホワイトインク組成物がアルカリ不溶性の塗布膜を形成可能なホワイトインク組成物であることは、ホワイトインク組成物を基材上に塗布した後、80℃、3分の条件で乾燥して得られる厚さ1μmの塗布膜の、上記溶解量を測定することにより確認できる。
本発明の他の一実施形態は、上記ホワイトインク組成物の硬化物(硬化膜)であり、このホワイトインク組成物の硬化物(硬化膜)が、アルカリ不溶性であるということもできる。これにより、信頼性に優れる画素部が得られやすくなる。ホワイトインク組成物の硬化物がアルカリ不溶性であるとは、上記と同様に、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃におけるホワイトインク組成物の硬化物の溶解量が、ホワイトインク組成物の硬化物の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。ホワイトインク組成物の硬化物の上記溶解量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
ホワイトインク組成物の硬化物(硬化膜)は、適度な光透過率を有している。例えば、ホワイトインク組成物の硬化物の青色光の透過率は、例えば、61~63%であることが好ましい。青色光の透過率は、後述する実施例に記載の方法によって、測定される。
<ホワイトインク組成物の製造方法>
上述した実施形態のホワイトインク組成物は、例えば、光散乱性粒子、光重合開始剤及びエチレン性不飽和モノマー並びに必要に応じてその他の成分(例えば、高分子分散剤)を混合する工程を備える方法によって製造することができる。
混合する工程では、上記の各成分をすべて同時に混合してもよく、任意の順番で混合してもよい。混合する工程では、混合に加えて分散処理を実施してもよい。混合及び分散処理は、ビーズミル、ペイントコンディショナー、遊星攪拌機、ジェットミル等の分散装置を用いて行ってよい。光散乱性粒子の分散性が良好となり、光散乱性粒子の平均粒子径を所望の範囲に調整しやすい観点から、ビーズミル又はペイントコンディショナーを用いることが好ましい。
<インク組成物セット>
一実施形態のインク組成物セットは、上述した実施形態のホワイトインク組成物を備える。インク組成物セットは、上述した実施形態のホワイトインク組成物(非発光性インク組成物)に加えて、発光性ナノ結晶粒子を含有するインク組成物(発光性インク組成物)を備えていてよい。発光性インク組成物は、例えば、硬化性のインク組成物である。発光性インク組成物は、従来公知のインク組成物を用いることができる。発光性インク組成物は、上述した実施形態のインク組成物と同様の成分を含有することに加えて、発光性ナノ結晶粒子を含むインク組成物を用いることもできる。
(発光性ナノ結晶粒子)
発光性ナノ結晶粒子は、励起光を吸収して蛍光又は燐光を発光するナノサイズの結晶体であり、例えば、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって測定される最大粒子径が100nm以下である結晶体である。
発光性ナノ結晶粒子は、例えば、所定の波長の光を吸収することにより、吸収した波長とは異なる波長の光(蛍光又は燐光)を発することができる。発光性ナノ結晶粒子は、605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(赤色光)を発する赤色発光性のナノ結晶粒子(赤色発光性ナノ結晶粒子)、500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(緑色光)を発する緑色発光性のナノ結晶粒子(緑色発光性ナノ結晶粒子)、又は、420~480nmの範囲に発光ピーク波長を有する光(青色光)を発する青色発光性のナノ結晶粒子(青色発光性ナノ結晶粒子)であることが好ましい。インクは、これらの発光性ナノ結晶粒子のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。また、発光性ナノ結晶粒子が吸収する光は、例えば、400nm以上500nm未満の範囲(特に、420~480nmの範囲の波長の光)の波長の光(青色光)、又は、200nm~400nmの範囲の波長の光(紫外光)であることが好ましい。なお、発光性ナノ結晶粒子の発光ピーク波長は、例えば、分光蛍光光度計を用いて測定される蛍光スペクトル又は燐光スペクトルにおいて確認することができる。
赤色発光性のナノ結晶粒子は、665nm以下、663nm以下、660nm以下、658nm以下、655nm以下、653nm以下、651nm以下、650nm以下、647nm以下、645nm以下、643nm以下、640nm以下、637nm以下、635nm以下、632nm以下又は630nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、628nm以上、625nm以上、623nm以上、620nm以上、615nm以上、610nm以上、607nm以上又は605nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。これらの上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。なお、以下の同様の記載においても、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
緑色発光性のナノ結晶粒子は、560nm以下、557nm以下、555nm以下、550nm以下、547nm以下、545nm以下、543nm以下、540nm以下、537nm以下、535nm以下、532nm以下又は530nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、528nm以上、525nm以上、523nm以上、520nm以上、515nm以上、510nm以上、507nm以上、505nm以上、503nm以上又は500nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。
青色発光性のナノ結晶粒子は、480nm以下、477nm以下、475nm以下、470nm以下、467nm以下、465nm以下、463nm以下、460nm以下、457nm以下、455nm以下、452nm以下又は450nm以下に発光ピーク波長を有することが好ましく、450nm以上、445nm以上、440nm以上、435nm以上、430nm以上、428nm以上、425nm以上、422nm以上又は420nm以上に発光ピーク波長を有することが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子が発する光の波長(発光色)は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば、発光性ナノ結晶粒子のサイズ(例えば粒子径)に依存するが、発光性ナノ結晶粒子が有するエネルギーギャップにも依存する。そのため、使用する発光性ナノ結晶粒子の構成材料及びサイズを変更することにより、発光色を選択することができる。
発光性ナノ結晶粒子は、半導体材料を含む発光性ナノ結晶粒子(発光性半導体ナノ結晶粒子)であることが好ましい。発光性半導体ナノ結晶粒子としては、量子ドット、量子ロッド等が挙げられる。これらの中でも、発光スペクトルの制御が容易である観点から、量子ドットが好ましい。
発光性半導体ナノ結晶粒子は、第一の半導体材料を含むコアのみからなっていてよく、第一の半導体材料を含むコアと、第一の半導体材料とは異なる第二の半導体材料を含み、上記コアの少なくとも一部を被覆するシェルと、を有していてもよい。換言すれば、発光性半導体ナノ結晶粒子の構造は、コアのみからなる構造(コア構造)、又はコアとシェルからなる構造(コア/シェル構造)であることが好ましい。また、発光性半導体ナノ結晶粒子は、第二の半導体材料を含むシェル(第一のシェル)の他に、第一及び第二の半導体材料とは異なる第三の半導体材料を含み、上記コアの少なくとも一部を被覆するシェル(第二のシェル)を更に有していることが好ましい。換言すれば、発光性半導体ナノ結晶粒子の構造は、コアと第一のシェルと第二のシェルとからなる構造(コア/シェル/シェル構造)であることが好ましい。コア及びシェルのそれぞれは、2種以上の半導体材料を含む混晶(例えば、CdSe+CdS、CIS+ZnS等)であることが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子は、半導体材料として、II-VI族半導体、III-V族半導体、I-III-VI族半導体、IV族半導体及びI-II-IV-VI族半導体からなる群より選択される少なくとも1種の半導体材料を含むことが好ましい。
具体的な半導体材料としては、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb;SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe;Si、Ge、SiC、SiGe、AgInSe、CuGaSe、CuInS、CuGaS、CuInSe、AgInS、AgGaSe、AgGaS、C、Si及びGeが挙げられる。発光性半導体ナノ結晶粒子は、発光スペクトルの制御が容易である観点から、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS、AgInSe、AgInTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、CuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、Si、C、Ge及びCuZnSnSからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
赤色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、CdSeのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がCdSであり内側のコア部がCdSeであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がCdSであり内側のコア部がZnSeであるナノ結晶粒子、CdSeとZnSとの混晶のナノ結晶粒子、InPのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、CdSeとCdSとの混晶のナノ結晶粒子、ZnSeとCdSとの混晶のナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
緑色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、CdSeのナノ結晶粒子、CdSeとZnSとの混晶のナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
青色発光性の半導体ナノ結晶粒子としては、例えば、ZnSeのナノ結晶粒子、ZnSのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSeであり内側のコア部がZnSであるナノ結晶粒子、CdSのナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSであり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、当該シェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSeであり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子、コア/シェル/シェル構造を備えたナノ結晶粒子であって、第一のシェル部分がZnSとZnSeとの混晶であり、第二のシェル部分がZnSであり、内側のコア部がInPであるナノ結晶粒子等が挙げられる。
半導体ナノ結晶粒子は、同一の化学組成で、それ自体の平均粒子径を変えることにより、当該粒子から発光させるべき色を赤色にも緑色にも変えることができる。また、半導体ナノ結晶粒子は、それ自体として、人体等に対する悪影響が極力低いものを用いることが好ましい。カドミウム、セレン等を含有する半導体ナノ結晶粒子を発光性ナノ結晶粒子として用いる場合は、上記元素(カドミウム、セレン等)が極力含まれない半導体ナノ結晶粒子を選択して単独で用いるか、上記元素が極力少なくなるようにその他の発光性ナノ結晶粒子と組み合わせて用いることが好ましい。
発光性ナノ結晶粒子の形状は特に限定されず、発光性ナノ結晶粒子の形状としては、例えば、任意の幾何学的形状、又は任意の不規則な形状が挙げられる。発光性ナノ結晶粒子の形状としては、例えば、球状、楕円体状、角錐形状、ディスク状、枝状、網状、ロッド状等が挙げらられる。発光性ナノ結晶粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、インクの均一性及び流動性をより高められる点で好ましい。
発光性ナノ結晶粒子の平均粒子径(体積平均径)は、所望の波長の発光が得られやすい観点、並びに、分散性及び保存安定性に優れる観点から、1nm以上、1.5nm以上、又は2nm以上であることが好ましく、所望の発光波長が得られやすい観点から、40nm以下、30nm以下、又は20nm以下であることが好ましい。発光性ナノ結晶粒子の平均粒子径(体積平均径)は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
発光性ナノ結晶粒子は、分散安定性の観点から、その表面に有機リガンドを有することが好ましい。例えば、発光性ナノ結晶粒子の表面は、有機リガンドによってパッシベーションされていてよい。有機リガンドは、発光性ナノ結晶粒子の表面に配位結合していてよい。有機リガンドの詳細は後述する。
発光性ナノ結晶粒子は、その表面に高分子分散剤を有していてもよい。例えば、発光性ナノ結晶粒子の表面に結合する有機リガンドを高分子分散剤と交換することで発光性ナノ結晶粒子の表面に高分子分散剤を結合させてよい。ただし、インクジェットインクにした際の分散安定性の観点では、有機リガンドが配位したままの発光性ナノ結晶粒子に対して高分子分散剤が配合されることが好ましい。高分子分散剤の詳細は後述する。
発光性ナノ結晶粒子としては、溶剤、エチレン性不飽和モノマー等の中にコロイド形態で分散しているものを用いることができる。分散状態にある発光性ナノ結晶粒子の表面は、有機リガンドによってパッシベーションされていることが好ましい。溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、クロロホルム、トルエン、オクタン、クロロベンゼン、テトラリン、ジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、又はそれらの混合物が挙げられる。
発光性ナノ結晶粒子としては、市販品を用いることができる。発光性ナノ結晶粒子の市販品としては、例えば、NN-ラボズ社の、インジウムリン/硫化亜鉛、D-ドット、CuInS/ZnS、アルドリッチ社の、InP/ZnS等が挙げられる。
発光性ナノ結晶粒子の含有量は、画素部の外部量子効率がより向上する観点から、インクの全質量を基準として、例えば、20~80質量%、22~70質量%、24~60質量%、24~50質量%又は26~40質量%である。なお、上記発光性ナノ結晶粒子の含有量には、発光性ナノ結晶粒子に結合する有機リガンドの量は含まれない。本明細書中、「インクの全質量」とは、インクの硬化物に含有させるべき成分と言い換えることができる。すなわち、インクが溶剤を含む場合には、インクに含まれる溶剤以外の成分を意味し、特筆する場合を除き、溶剤の量はインクの全質量には含まれない。
インクは、発光性ナノ結晶粒子として、赤色発光性ナノ結晶粒子、緑色発光性ナノ結晶粒子及び青色発光性ナノ結晶粒子のうちの2種以上を含んでいてもよいが、好ましくはこれらの粒子のうちの1種のみを含む。インクが赤色発光性ナノ結晶粒子を含む場合、緑色発光性ナノ結晶粒子の含有量及び青色発光性ナノ結晶粒子の含有量は、発光性ナノ結晶粒子の全質量を基準として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。インクが緑色発光性ナノ結晶粒子を含む場合、赤色発光性ナノ結晶粒子の含有量及び青色発光性ナノ結晶粒子の含有量は、発光性ナノ結晶粒子の全質量を基準として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは0質量%である。
(有機リガンド)
有機リガンドは、発光性ナノ結晶粒子の表面近傍に存在し、発光性ナノ結晶粒子を分散させる機能を有する。有機リガンドは、例えば、エチレン性不飽和モノマー、溶剤等との親和性を確保するための官能基(以下、単に「親和性基」ともいう。)と、発光性ナノ結晶粒子と結合可能な官能基(発光性ナノ結晶粒子への吸着性を確保するための官能基)と、を有しており、発光性ナノ結晶粒子の表面に配位結合することにより発光性ナノ結晶粒子の表面近傍に存在する。
有機リガンドとしては、例えば、TOP(トリオクチルホスフィン)、TOPO(トリオクチルホスフィンオキサイド)、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、グルコン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、N-ラウロイルサルコシン、N-オレイルサルコシン、オレイルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタンチオール、ドデカンチオール、ヘキシルホスホン酸(HPA)、テトラデシルホスホン酸(TDPA)、フェニルホスホン酸、及びオクチルホスフィン酸(OPA)が挙げられる。
有機リガンドの含有量は、例えば、発光性ナノ結晶粒子100質量部に対して、10~50質量部、又は10~15質量部であることが好ましい。
<カラーフィルタ>
以下、上述した実施形態のインク組成物セットを用いて得られるカラーフィルタの詳細について、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下の実施形態は、発光性インク組成物が光散乱性粒子を含有する場合の実施形態である。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
図1は、一実施形態のカラーフィルタの模式断面図である。図1に示すように、カラーフィルタ100は、基材40と、基材40上に設けられた光拡散層30と、を備える。光拡散層30は、複数の画素部10と、遮光部20と、を備えている。
光拡散層30は、画素部10として、第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとを有している。第1の画素部10aと、第2の画素部10bと、第3の画素部10cとは、この順に繰り返すように格子状に配列されている。遮光部20は、隣り合う画素部の間、すなわち、第1の画素部10aと第2の画素部10bとの間、第2の画素部10bと第3の画素部10cとの間、第3の画素部10cと第1の画素部10aとの間に設けられている。言い換えれば、これらの隣り合う画素部同士は、遮光部20によって離間されている。
第1の画素部10a及び第2の画素部10bは、それぞれ上述した発光性インク組成物の硬化物を含む発光性の画素部(発光性画素部)である。図1に示す硬化物は、発光性ナノ結晶粒子と、硬化成分と、光散乱性粒子と、を含有する。第1の画素部10aは、第1の硬化成分13aと、第1の硬化成分13a中にそれぞれ分散された第1の発光性ナノ結晶粒子11a及び第1の光散乱性粒子12aとを含む。同様に、第2の画素部10bは、第2の硬化成分13bと、第2の硬化成分13b中にそれぞれ分散された第2の発光性ナノ結晶粒子11b及び第2の光散乱性粒子12bとを含む。硬化成分は、重合性化合物の重合によって得られる成分であり、重合性化合物の重合体を含む。硬化成分には、上記重合体の他、インク組成物に含まれていた有機溶剤以外の成分(高分子分散剤、未反応の重合性化合物等)が含まれていてよい。第1の画素部10a及び第2の画素部10bにおいて、第1の硬化成分13aと第2の硬化成分13bとは同一でも異なっていてもよく、第1の光散乱性粒子12aと第2の光散乱性粒子12bとは同一でも異なっていてもよい。
第1の発光性ナノ結晶粒子11aは、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し605~665nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、赤色発光性のナノ結晶粒子である。すなわち、第1の画素部10aは、青色光を赤色光に変換するための赤色画素部と言い換えてよい。また、第2の発光性ナノ結晶粒子11bは、420~480nmの範囲の波長の光を吸収し500~560nmの範囲に発光ピーク波長を有する光を発する、緑色発光性のナノ結晶粒子である。すなわち、第2の画素部10bは、青色光を緑色光に変換するための緑色画素部と言い換えてよい。
発光性画素部における発光性ナノ結晶粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点及び優れた発光強度が得られる観点から、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上又は30質量%以上であることが好ましい。発光性ナノ結晶粒子の含有量は、画素部の信頼性に優れる観点及び優れた発光強度が得られる観点から、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下であることが好ましい。
発光性画素部における光散乱性粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点から、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、0.1質量%以上、1質量%以上又は3質量%以上であることが好ましい。光散乱性粒子の含有量は、外部量子効率の向上効果により優れる観点及び画素部の信頼性に優れる観点から、発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量部%以下、20質量部%以下又は15質量%以下であることが好ましい。
第3の画素部10cは、上述した非発光性インク組成物の硬化物を含む非発光性の画素部(非発光性画素部)である。硬化物は、発光性ナノ結晶粒子を含有せず、光散乱性粒子と、硬化成分とを含有する。すなわち、第3の画素部10cは、第3の硬化成分13cと、第3の硬化成分13c中に分散された第3の光散乱性粒子12cとを含む。第3の硬化成分13cは、例えば、エチレン性不飽和モノマーの重合によって得られる成分であり、エチレン性不飽和モノマーの重合体を含む。第3の光散乱性粒子12cは、第1の光散乱性粒子12a及び第2の光散乱性粒子12bと同一でも異なっていてもよい。
第3の画素部10cは、例えば、420~480nmの範囲の波長の光に対し30%以上の透過率を有する。そのため、第3の画素部10cは、420~480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に、青色画素部として機能する。なお、第3の画素部10cの透過率は、顕微分光装置により測定することができる。
非発光性画素部における光散乱性粒子の含有量は、視野角における光強度差をより低減することができる観点から、非発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、1質量%以上、又は3質量%以上であることが好ましい。光散乱性粒子の含有量は、光反射をより低減することができる観点から、非発光性インク組成物の硬化物の全質量を基準として、7質量%以下、6質量%以下、又は5質量%以下であることが好ましい。
画素部(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であることが好ましい。画素部(第1の画素部10a、第2の画素部10b及び第3の画素部10c)の厚さは、例えば、30μm以下、20μm以下、又は15μm以下であることが好ましい。
遮光部20は、隣り合う画素部を離間して混色を防ぐ目的及び光源からの光の漏れを防ぐ目的で設けられる、いわゆるブラックマトリックスである。遮光部20を構成する材料は、特に限定されず、クロム等の金属の他、バインダーポリマーにカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の硬化物等を用いることができる。ここで用いられるバインダーポリマーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種又は2種以上混合したもの、感光性樹脂、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物(例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの)などを用いることができる。遮光部20の厚さは、例えば、1μm以上、5μm以上、又は10μ以上であることが好ましい。遮光部20の厚さは、例えば、30μm以下、20μm以下、又は15μm以下であることが好ましい。
基材40は、光透過性を有する透明基材であり、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の透明なガラス基板、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルム等の透明なフレキシブル基材などを用いることができる。これらの中でも、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスからなるガラス基板を用いることが好ましい。具体的には、コーニング社製の「7059ガラス」、「1737ガラス」、「イーグル200」及び「イーグルXG」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA-10G」及び「OA-11」が好適である。これらは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性及び高温加熱処理における作業性に優れる。
以上の光拡散層30を備えるカラーフィルタ100は、420~480nmの範囲の波長の光を発する光源を用いる場合に好適に用いられる。
カラーフィルタ100は、例えば、基材40上に遮光部20をパターン状に形成した後、基材40上の遮光部20によって区画された画素部形成領域に画素部10を形成することにより製造できる。画素部10は、発光性又は非発光性のインク組成物(インクジェットインク)をインクジェット方式により基材40上の画素部形成領域に選択的に付着させる工程と、インク組成物に対して活性エネルギー線(例えば紫外線)を照射し、インクジェットインクを硬化させて発光性画素部を得る工程と、を備える方法により形成することができる。インクジェットインクとして上述した発光性インク組成物を用いることで発光性画素部が得られ、非発光性インク組成物を用いることで非発光性画素部が得られる。
遮光部20を形成させる方法は、基材40の一面側の複数の画素部間の境界となる領域に、クロム等の金属薄膜、又は、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法等が挙げられる。金属薄膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができ、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜は、例えば、塗布、印刷等の方法により形成することができる。パターニングを行う方法としては、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。
インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)方式、或いは圧電素子を用いたピエゾジェット方式等が挙げられる。
インク組成物の硬化は、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等を用いてよい。照射する光の波長は、例えば、200nm以上であることが好ましく、440nm以下であることが好ましい。露光量は、例えば、10mJ/cm以上であることが好ましく、12000mJ/cm以下であることが好ましい。
以上、カラーフィルタ及び光拡散層、並びにこれらの製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、光拡散層は、第3の画素部10cに加えて、青色発光性のナノ結晶粒子を含有する発光性インク組成物の硬化物を含む画素部(青色画素部)を備えていてもよい。また、光拡散層は、赤、緑、青以外の他の色の光を発するナノ結晶粒子を含有する発光性インク組成物の硬化物を含む画素部(例えば黄色画素部)を備えていてもよい。これらの場合、光拡散層の各画素部に含有される発光性ナノ結晶粒子のそれぞれは、同一の波長域に吸収極大波長を有することが好ましい。
また、光拡散層の画素部の一部は、発光性ナノ結晶粒子以外の顔料を含有する組成物の硬化物を含むことができる。
また、カラーフィルタは、遮光部のパターン上に、遮光部よりも幅の狭い撥インク性を持つ材料からなる撥インク層を備えていてもよい。また、撥インク層を設けるのではなく、画素部形成領域を含む領域に、濡れ性可変層としての光触媒含有層をベタ塗り状に形成した後、当該光触媒含有層にフォトマスクを介して光を照射して露光を行い、画素部形成領域の親インク性を選択的に増大させてもよい。光触媒としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
また、カラーフィルタは、基材と画素部との間に、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン等を含むインク受容層を備えていてもよい。
また、カラーフィルタは、画素部上に保護層を備えていてもよい。この保護層は、カラーフィルタを平坦化すると共に、画素部に含有される成分、又は、画素部に含有される成分及び光触媒含有層に含有される成分の液晶層への溶出を防止するために設けられるものである。保護層を構成する材料は、公知のカラーフィルタ用保護層として使用されているものを使用できる。
また、カラーフィルタ及び光拡散層の製造では、インクジェット方式ではなく、フォトリソグラフィ方式で画素部を形成してもよい。この場合、まず、基材にインク組成物(発光性インク組成物又は非発光性インク組成物)を層状に塗工し、インク組成物層を形成する。次いで、インク組成物層をパターン状に露光した後、現像液を用いて現像する。このようにして、インク組成物の硬化物からなる画素部が形成される。現像液は、通常アルカリ性であるため、インク組成物の材料としてはアルカリ可溶性の材料が用いられる。ただし、材料の使用効率の観点では、インクジェット方式がフォトリソグラフィ方式よりも優れている。これはフォトリソグラフィ方式では、その原理上、材料のほぼ2/3以上を除去することとなり、材料が無駄になるからである。このため、本実施形態では、インクジェットインクを用い、インクジェット方式により画素部を形成することが好ましい。
光拡散層の画素部には、上記した発光性ナノ結晶粒子に加えて、発光性ナノ結晶粒子の発光色と概ね同色の顔料を更に含有させてもよい。顔料を画素部に含有させるため、インク組成物に顔料を含有させてもよい。
光拡散層中の赤色画素部(R)、緑色画素部(G)、及び青色画素部(B)のうち、1種又は2種の発光性画素部を、発光性ナノ結晶粒子を含有させずに色材を含有させた画素部としてもよい。ここで使用し得る色材としては、公知の色材を使用することができ、例えば、赤色画素部(R)に用いる色材としては、ジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料が挙げられる。緑色画素部(G)に用いる色材としては、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。青色画素部(B)に用いる色材としては、ε型銅フタロシアニン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料が挙げられる。これらの色材の使用量は、光拡散層に含有させる場合には、光透過率の低下を防止できる観点から、画素部(インク組成物の硬化物)の全質量を基準として、1~5質量%であることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
以下、エチレン性不飽和基を1個有するモノマーを1官能モノマー、エチレン性不飽和基を2個有するモノマーを2官能モノマー、エチレン性不飽和基を3個有するモノマーを3官能モノマーと称する。
次に示す材料を準備した。
<光散乱性粒子>
光散乱性粒子A(酸化チタン、製品名:PF-690、石原産業株式会社製)
光散乱性粒子B(酸化チタン、製品名:R-350、ケマーズ製)
<高分子分散剤>
高分子分散剤A(PX-4701、BASF製、アミン価:69~86mgKOH/g)
高分子分散剤B(SS71000、ルーブリゾール製、アミン価:40mgKOH/g)
<エチレン性不飽和モノマー>
表1に示すエチレン性不飽和モノマーを準備した。表1に記載の分類中の「Ac」は、アクリロイル基を示し、「MAc」はメタクリロイル基を示す。表1中の沸点は、1気圧(760Torr)における沸点を示す。表1中の粘度は、25℃において、E型粘度計を用いて測定されたものを示す。
Figure 2024021084000001
<光重合開始剤>
光重合開始剤A(Omnirad TPO-H、IGM resin製)
光重合開始剤B(Omnirad 819、IGM resin製)
TPO-H:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンホスフィンオキサイド
819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド
<重合禁止剤>
重合禁止剤A(フェノチアジン、精工化学製)
<光散乱性粒子分散体A>
容器内で、光散乱性粒子Aを24.0gと、高分子分散剤Aを2.4gと、PhEAを33.6g混合した後、得られた混合物にジルコニアビーズ(直径:1.25mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて2時間振とうさせることで混合物を分散処理し、ポリエステルメッシュフィルターにて混合物からジルコニアビーズを除去することで光散乱性粒子分散体Aを得た。
<光散乱性粒子分散体B>
容器内で、光散乱性粒子Aを33.0gと、高分子分散剤Bを1.65gと、HDDMAを25.35gに混合した後、得られた混合物にジルコニアビーズ(直径:1.25mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて2時間振とうさせることで混合物を分散処理し、ポリエステルメッシュフィルターにて混合物からジルコニアビーズを除去することで光散乱性粒子分散体Bを得た。
<光散乱性粒子分散体C>
容器内で、光散乱性粒子Bを33.0gと、高分子分散剤Bを1.65gと、4-HBAを25.35gに混合した後、得られた混合物にジルコニアビーズ(直径:1.25mm)を加え、ペイントコンディショナーを用いて2時間振とうさせることで混合物を分散処理し、ポリエステルメッシュフィルターにてジルコニアビーズを除去することで光散乱性粒子分散体Cを得た。
Figure 2024021084000002
<ホワイトインク組成物の調製>
実施例1
光散乱性粒子分散体Aを15.0gと、重合禁止剤(重合抑制剤)Aを0.1gと、光重合開始剤Aを2.7gと、光重合開始剤Bを0.5gと、TMP(EO)3TAを20.4gと、HDDAを61.3gとを、容器内で均一に混合した後、混合物を孔径5μmのフィルターでろ過することにより、ホワイトインク組成物を得た。
(平均二重結合基数)
次に示す実施例1のホワイトインク組成物中のエチレン性不飽和モノマーの比率、(メタ)アクリル当量((メタ)アクリロイル基1個あたりの分子量)、及び(メタ)アクリル当量比に基づいて、実施例1のホワイトインク組成物におけるエチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数を求めた。
ホワイトインク組成物中のエチレン性不飽和モノマーの比率:
PhEA(1官能、分子量192.2)=9.32質量部
HDDA(2官能、分子量226.3)=68.04質量部
TMP(EO)3TA(3官能、分子量428)=22.64質量部
(メタ)アクリル当量(g/eq.):
PhEAの(メタ)アクリル当量=192.2
HDDAの(メタ)アクリル当量=226.3/2=113.1
TMP(EO)3TAの(メタ)アクリル当量=428/3=142.7
(メタ)アクリル当量比:
PhEAの(メタ)アクリル当量比=9.32/192.2=0.0485
HDDAの(メタ)アクリル当量比=68.04/113.1=0.6014
TMP(EO)3TAの(メタ)アクリル当量比=22.64/142.7=0.1587
エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数
=[エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量比の合計]/[(メタ)アクリロイル基1個あたりの(メタ)アクリル当量比の合計]
=(0.0485+0.6014+0.1587)/(0.0485/1+0.6014/2+0.1587/3)=2.0109≒2.0
(平均沸点)
エチレン性不飽和モノマーの1気圧における平均沸点は、次に示す各モノマーの1気圧における沸点(モノマー沸点)、各モノマーのモル比及び各モノマーのモル分率(%)に基づいて、算出した。
モノマー沸点(℃):
PhEAの沸点=295.3
HDDAの沸点=302
TMP(EO)3TAの沸点=499
各モノマーのモル比:
PhEAのモル比=9.32質量部(モノマー質量比)/192.2(分子量)×100=0.049
HDDAのモル比=68.04質量部(モノマー質量比)/226.27(分子量)×100=0.301
TMP(EO)3TA=22.64質量部(モノマー質量比)/428(分子量)×100=0.053
各モノマーのモル分率(%):
PhEAのモル分率=0.049/(0.049+0.301+0.053)×100=12.063%
HDDA=0.301/(0.049+0.301+0.053)×100=74.78%
TMP(EO)3TA=0.053/(0.049+00301+0.053)×100=13.16%
エチレン性不飽和モノマーの平均沸点
=(12.063×295.3)+(74.78×302)+(13.16×499)=327℃
(エチレン性不飽和モノマー(混合モノマー)の(メタ)アクリル当量)
(メタ)アクリル当量は、各モノマーの(メタ)アクリル当量((メタ)アクリロイル基1個あたりの分子量)及び各モノマーの質量比に基づいて、算出した。
各モノマーの(メタ)アクリル当量(g/eq.):
PhEA(1官能、分子量192.2)の(メタ)アクリル当量=192.2
HDDA(2官能、分子量226.3)の(メタ)アクリル当量=226.3/2=113.1
TMP(EO)3TA(3官能、分子量428)の(メタ)アクリル当量=428/3=142.7
各モノマーの質量比:
PhEAの質量比=9.32質量部
HDDAの質量比=68.04質量部
TMP(EO)3TAの質量比=22.64質量部
混合モノマーの(メタ)アクリル当量
=9.32×192.2)+(113.1×68.04)+(142.7×22.64)=127.2
実施例2~7、比較例1~3
下表に示す光散乱性粒子分散体、重合禁止剤、光重合開始剤及びモノマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2~7及び比較例1~3のホワイトインク組成物を得た。平均二重結合基数、平均沸点及び混合モノマーの(メタ)アクリル当量は実施例1と同様にして算出した。
下表には、ホワイトインク組成物の不揮発分100質量部に対する、各成分(光散乱性粒子、高分子分散剤、光重合開始剤、重合禁止剤及びモノマー)の含有量(単位:質量部)も示す。
Figure 2024021084000003
<ホワイトインク組成物の評価>
1.揮発性/30分:膜厚(μm)
ホワイトインク組成物の揮発性評価について、インクジェットプリンター(富士フイルムDimatix社製、商品名「DMP-2831」)を用いた。インクジェット印刷により、バンク付きガラス基板上のバンク内にホワイトインク組成物を充填し、厚さが12.5μmとなるように、光拡散層(ホワイトインク組成物からなる層)を形成した。次いで、23℃、50%RHの環境下で30分後に光拡散層の厚さを測定し、その変化率によって評価した。変化率は、30分後の光拡散層の厚さ/印刷直後の光拡散層の厚さ(12.5μm)より算出した。なお光拡散層の厚さは、日立ハイテクサイエンス社製の走査型白色干渉顕微鏡を用いて測定した。
揮発性は、次に示す基準で評価した。
〇:光拡散層の変化率が5%未満
×:光拡散層の変化率が5%以上
2.UV-LED硬化収縮:膜厚(μm)
ホワイトインク組成物のUV-LED硬化収縮の評価には、インクジェットプリンター(富士フイルムDimatix社製、商品名「DMP-2831」)を用いた。インクジェット印刷により、バンク付きガラス基板上のバンク内にホワイトインク組成物を充填し、硬化前の光拡散層(ホワイトインク組成物からなる層)を形成した。印刷直後の光拡散層の厚さは、日立ハイテクサイエンス社製の走査型白色干渉顕微鏡を用いて測定した。次いで、ホワイトインク組成物を充填したバンク付きガラス基板を窒素雰囲気下、主波長395nmのLEDランプを用いたUV照射装置で積算光量12J/cmになるようにUVを照射して硬化させた後、硬化後の光拡散層(ホワイトインク組成物の硬化物からなる層)の厚さを測定し、その変化率によって評価した。変化率は、硬化前の光拡散層の厚さ/硬化後の光拡散層の厚さより算出した。
UV-LED硬化収縮は、次に示す基準で評価した。
〇:光拡散層の変化率が16%未満
×:光拡散層の変化率が16%以上
3.光透過率(%)
ホワイトインク組成物を用いて評価用試料を作製した。具体的には、ホワイトインク組成物をガラス基板上に、膜厚が12.5μmとなるように、スピンコーターにて大気中で塗布した。23℃、50%RHの環境下で30分後の塗布膜を窒素雰囲気下、主波長395nmのLEDランプを用いたUV照射装置で積算光量12J/cmになるようにUVを照射して硬化させた。これにより、評価用試料を得た。
光透過率(青色光の透過率)の測定は、面発光光源としてシーシーエス株式会社製の青色LED(ピーク発光波長:450nm)を用いた。測定装置は、大塚電子株式会社製の放射分光光度計(製品名「MCPD-9800」)に積分球を接続し、青色LEDの上側に積分球を設置した。青色LEDと積分球との間に、作製した評価用試料を挿入し、青色LEDを点灯させて観測される光透過率を測定した。
光学特性(光透過率)は、次に示す基準で評価した。
〇:62±1%以内
×:62±1%以上
Figure 2024021084000004
実施例のホワイトインク組成物が、インクジェット法に適用可能な活性エネルギー線硬化型のホワイトインク組成物であり、印刷時のインク揮発性とUV硬化時の硬化収縮が抑制され、画素部における膜減を抑えバックライト光の透過率を所定値に調整することが容易なホワイトインク組成物であることが確認された(実施例1~7と、比較例1~3との対比)。
10…画素部、10a…第1の画素部、10b…第2の画素部、10c…第3の画素部、11a…第1の発光性ナノ結晶粒子、11b…第2の発光性ナノ結晶粒子、12a…第1の光散乱性粒子、12b…第2の光散乱性粒子、12c…第3の光散乱性粒子、20…遮光部、30…光拡散層、40…基材、100…カラーフィルタ。

Claims (17)

  1. 光散乱性粒子と、高分子分散剤と、光重合開始剤と、エチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和モノマーとを含有し、
    前記エチレン性不飽和モノマー中、前記エチレン性不飽和基を2個有し、かつ、分子量が220以上800以下である、二官能モノマーを、前記エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、65質量部以上となる割合で含有することを特徴とするホワイトインク組成物。
  2. 前記エチレン性不飽和モノマーが、前記エチレン性不飽和基を1個有する単官能モノマーを前記エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、10質量部以下となる割合で含有するものである請求項1に記載のホワイトインク組成物。
  3. 溶剤の含有量が、前記ホワイトインク組成物の全質量を基準として、1質量%以下である、請求項1又は2に記載のホワイトインク組成物。
  4. 前記エチレン性不飽和モノマーが、2種以上のエチレン性不飽和モノマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  5. 前記エチレン性不飽和モノマーの平均二重結合基数が1.9以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  6. 前記エチレン性不飽和モノマーの1気圧における平均沸点が310℃以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  7. 前記エチレン性不飽和モノマーが、(メタ)アクリロイル基を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  8. 前記エチレン性不飽和モノマーの(メタ)アクリル当量が120~220g/molである、請求項7に記載のホワイトインク組成物。
  9. 前記エチレン性不飽和モノマーが、メタクリロイルオキシ基を有するモノマーを、前記エチレン性不飽和モノマーの総量100質量部に対して、20質量部以下となる割合で含有するものである、請求項1~8のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  10. 前記エチレン性不飽和モノマーが、ジシクロペンテニル基含有モノマーを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  11. 前記エチレン性不飽和モノマーが、デンドリマーアクリレートを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  12. 前記光散乱性粒子の含有量が、前記ホワイトインク組成物の不揮発分の質量100質量部に対して、3~7質量部である、請求項1~11のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  13. インクジェット方式で用いられる、請求項1~12のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  14. 厚さ10μm以上の硬化膜の形成に用いられる、請求項1~13のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載のホワイトインク組成物の硬化物。
  16. 複数の画素部と、該複数の画素部間に設けられた遮光部と、を備え、
    前記複数の画素部は、発光性ナノ結晶粒子を含有する発光性画素部と、請求項15に記載のホワイトインク組成物の硬化物を含む非発光性画素部と、を有する、光拡散層。
  17. 請求項16に記載の光拡散層を備える、カラーフィルタ。

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