JP2024020829A - 樹脂シート - Google Patents

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Hanae Okuyama
啓之 阪内
Hiroyuki Sakauchi
秀 池平
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Abstract

Figure 2024020829000001
【課題】カット性及び剥離性の両方に優れる樹脂組成物層を備えた樹脂シートを提供する。
【解決手段】樹脂組成物層を備える樹脂シートであって;樹脂組成物層が、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含み;樹脂組成物層が、下記式(1)を満たす、樹脂シート。
0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
(式(1)において、P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し;P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し;P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物層を備える樹脂シートに関する。さらには、本発明は、樹脂シートを用いて製造される半導体チップパッケージ及びその製造方法、回路基板及びその製造方法、並びに当該半導体チップパッケージ又は回路基板を備える半導体装置に関する。
ウエハレベルパッケージ等の半導体チップパッケージの製造方法は、一般に、ウエハ等の基材上に、樹脂組成物の硬化物によって硬化物層を形成する工程を含む。硬化物層は、例えば、絶縁層又は封止層として機能できる。このような硬化物層は、エポキシ樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物で樹脂組成物層を形成し、その樹脂組成物層を硬化させて形成されることがある。また、樹脂組成物層は、当該樹脂組成物層を備える樹脂シートと基材とをラミネートすることによって、基材上に設けられることがある(特許文献1参照)。
特開2017-197656号公報
樹脂シートを用いた半導体チップパッケージの製造方法は、基材の形状に合わせて樹脂組成物層をカットすること、カットされた樹脂組成物層を備える樹脂シートと基材とをラミネートすること、及び、樹脂組成物層を硬化すること、を含むことがある。
樹脂組成物層のカットは、通常、刃を用いて行う。例えば、所望の形状に形成された抜き刃を樹脂組成物層の厚み方向において押し当て、当該抜き刃の形状に樹脂組成物層を打ち抜くようにカットする。このカット方法によれば、基材に合わせた形状に樹脂組成物層を容易にカットできる。例えば、円形のウエハを基材として用いてウエハレベルパッケージを製造する場合に、樹脂組成物層を円形に容易にカットできる。
ところが、従来の樹脂シートを用いた場合、前記のカットによって当該樹脂組成物層の一部が欠けることがあった。そこで、本発明者は、カット時の樹脂組成物層の欠けを抑制することを検討した。検討の結果、本発明者は、樹脂組成物層中の溶剤の量を多くすることにより、樹脂組成物層の欠けの抑制が可能であることを見出した。すなわち、溶剤が多いと、樹脂組成物層中の無機充填材とエポキシ樹脂等の樹脂成分との馴染みが良好となり、樹脂組成物層のしなやかさが増すので、欠けの抑制ができる。
ところが、エポキシ樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物層が溶剤を多く含む場合、樹脂組成物層に接合するフィルム層を備える樹脂シートにおいて、フィルム層を剥離する際に不具合が生じることがあった。具体的には、下記の通りであった。保存時及び運搬時における樹脂組成物層の保護及びハンドリング性向上のために、樹脂シートは、樹脂組成物層に接合したフィルム層を備えることがある。このフィルム層は、一般に、半導体チップパッケージにおいては不要であるので、半導体チップパッケージの製造過程において剥離される。しかし、樹脂組成物層中の溶剤の量を多くした場合、樹脂組成物層とフィルム層の密着強度が大きくなる傾向がある。密着強度が過大となった場合には、フィルム層の剥離を円滑に行うことができず、樹脂組成物層の一部がフィルム層と一緒に剥がれてしまう不具合が生じることがあった。
このように、樹脂組成物層のカット時に欠けを抑制する性質と、樹脂組成物層及びフィルム層の密着強度を抑制してフィルム層の剥離を円滑に行う性質とは、トレードオフの関係にあった。以下の説明では、樹脂組成物層のカット時に当該樹脂組成物層の欠けを抑制する性質を「カット性」ということがある。また、樹脂組成物層及びフィルム層の密着強度を抑制してフィルム層の剥離を円滑に行うことができる性質を「剥離性」ということがある。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、カット性及び剥離性の両方に優れる樹脂組成物層を備えた樹脂シート;当該樹脂シートを用いた半導体チップパッケージの製造方法;カット性及び剥離性の両方に優れる樹脂組成物層を硬化した硬化物層を備える半導体チップパッケージ;当該樹脂シートを用いた回路基板の製造方法;カット性及び剥離性の両方に優れる樹脂組成物層を硬化した硬化物層を備える回路基板;並びに、当該半導体チップパッケージ又は回路基板を備えた半導体装置;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、エポキシ樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物層の特定条件の加熱による質量減少率P(a)、並びに、樹脂組成物層を別の特定条件で加熱した後に測定される伸び率P(b)及び引張弾性率P(c)を含む特定パラメータが特定の範囲にある場合に、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
[1] 樹脂組成物層を備える樹脂シートであって、
樹脂組成物層が、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含み、
樹脂組成物層が、下記式(1)を満たす、樹脂シート。
0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
(式(1)において、
P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し、
P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し、
P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
[2] 樹脂組成物層が、(C)エラストマーを含む、[1]に記載の樹脂シート。
[3] 樹脂組成物層が、(D)硬化剤を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂シート。
[4] (D)硬化剤が、マレイミド系樹脂を含む、[3]に記載の樹脂シート。
[5] (D)硬化剤が、カルボジイミド系樹脂を含む、[3]又は[4]に記載の樹脂シート。
[6] 樹脂組成物層の厚みが、1μm以上150μm以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の樹脂シート。
[7] 樹脂組成物層に接するフィルム層を備える、[1]~[6]のいずれか一項に記載の樹脂シート。
[8] [1]~[7]のいずれか一項に記載の樹脂シートの樹脂組成物層をカットする工程(I)、
カットされた樹脂組成物層を備える樹脂シートと、基材と、をラミネートする工程(II)、及び、
樹脂組成物層を硬化する工程(III)、を含む、半導体チップパッケージの製造方法。
[9] 基材が、ウエハを含む、[8]に記載の半導体チップパッケージの製造方法。
[10] 工程(I)が、樹脂組成物層の厚み方向で刃を押し当てて樹脂組成物層をカットすることを含む、[8]又は[9]に記載の半導体チップパッケージの製造方法。
[11] 樹脂組成物層を硬化した硬化物層を備え、
樹脂組成物層が、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含み、
樹脂組成物層が、下記式(1)を満たす、半導体チップパッケージ。
0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
(式(1)において、
P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し、
P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し、
P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
[12] [11]に記載の半導体チップパッケージを備える、半導体装置。
[13] [1]~[7]のいずれか一項に記載の樹脂シートの樹脂組成物層をカットする工程(I)、
カットされた樹脂組成物層を備える樹脂シートと、基材と、をラミネートする工程(II)、及び、
樹脂組成物層を硬化する工程(III)、を備える、回路基板の製造方法。
[14] 樹脂組成物層を硬化した硬化物層を備え、
樹脂組成物層が、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含み、
樹脂組成物層が、下記式(1)を満たす、回路基板。
0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
(式(1)において、
P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し、
P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し、
P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
[15] [14]に記載の回路基板を備える、半導体装置。
本発明によれば、カット性及び剥離性の両方に優れる樹脂組成物層を備えた樹脂シート;当該樹脂シートを用いた半導体チップパッケージの製造方法;カット性及び剥離性の両方に優れる樹脂組成物層を硬化した硬化物層を備える半導体チップパッケージ;当該樹脂シートを用いた回路基板の製造方法;カット性及び剥離性の両方に優れる樹脂組成物層を硬化した硬化物層を備える回路基板;並びに、当該半導体チップパッケージ又は回路基板を備えた半導体装置;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートを模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法において、樹脂組成物層をカットした後の樹脂シートを模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「平面形状」とは、別に断らない限り、厚み方向から見た形状を表す。
以下の説明において、樹脂組成物層中の「樹脂成分」とは、別に断らない限り、樹脂組成物層中の不揮発成分のうち無機充填材を除いた成分を表す。また、樹脂組成物中の「樹脂成分」とは、別に断らない限り、樹脂組成物中の不揮発成分のうち無機充填材を除いた成分を表す。
[樹脂シートの概要]
本発明の一実施形態に係る樹脂シートは、樹脂組成物層を備える。樹脂組成物層は、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含む。そして、この樹脂シートは、下記式(1)を満たす。
0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
(式(1)において、
P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し、
P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し、
P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
本実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、カット性及び剥離性の両方に優れることができる。よって、本実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、カット時に樹脂組成物層の欠けを抑制することができる。また、本実施形態に係る樹脂シートは、樹脂組成物層に接して設けられたフィルム層を備える場合に、そのフィルム層の剥離を円滑に行うことができる。従来、前記のカット性及び剥離性はトレードオフの関係にあったが、本実施形態に係る樹脂シートによれば、それらカット性及び剥離性の両方を良好にすることが可能である。また、本実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層を硬化させて硬化物層を得た場合、通常は、当該硬化物層を備える半導体チップパッケージ及び回路基板等の部材の反りを抑制することが可能である。
[式(1)で表される関係の説明]
以下の説明では、式「P(a)×P(b)/P(c)」で表される樹脂シートのパラメータを、適宜「特定パラメータ」と呼ぶことがある。樹脂シートの特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」は、下記の式(1)の関係を満たす。
0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
(式(1)において、
P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し、
P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し、
P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
詳細には、特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」の範囲は、通常0.09以上、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.11以上、より好ましくは0.14以上、更に好ましくは0.16以上であり、通常0.30以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下である。特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」が前記の範囲にある場合に、カット性及び剥離性の両方を良好にすることができる。
P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表す。よって、質量減少率P(a)は、190℃30分の加熱によって樹脂組成物層から除かれる成分の割合を表す。通常、190℃30分の加熱によって除かれる成分の全て又は大部分は、揮発性成分としての溶剤である。また、通常、190℃30分という過酷な条件での加熱によれば、樹脂組成物層に含まれる溶剤の全て又は大部分が揮発できる。よって、質量減少率P(a)は、加熱前の樹脂組成物層に含まれていた溶剤の量を表すか、当該溶剤の量に相関を有する。したがって、質量減少率P(a)によれば、樹脂組成物層中の溶剤の量の程度を表すことができる。
一般に、樹脂組成物層中の溶剤が多いと、樹脂組成物層の硬さの一因である(B)無機充填材と(A)エポキシ樹脂等の樹脂成分との馴染みが良好となり、樹脂組成物層のしなやかさが向上する。よって、カット時における樹脂組成物層の柔軟性が向上し、応力を受けた場合の樹脂組成物層の破壊が抑制されるので、欠けの発生を抑制できる。しかし、溶剤が多いと、樹脂組成物層と当該樹脂組成物層に接したフィルム層との密着強度が高くなる傾向がある。仮に密着強度が過剰に大きいとフィルム層の剥離時に不具合が生じることがありうる。これに対し、特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」が前記の範囲にある場合、前記の不具合を抑制して、カット性及び剥離性の両方の改善が可能である。
質量減少率P(a)の範囲は、本発明の効果を顕著に発揮する観点から、好ましくは0.6%以上、より好ましくは0.8%以上、特に好ましくは1.0%以上であり、好ましくは2.4%以下、より好ましくは2.2%以下、特に好ましくは2.0%以下である。
質量減少率P(a)は、例えば、樹脂組成物が含む溶剤の種類及び比率、並びに樹脂組成物層の形成時の乾燥条件(乾燥温度及び乾燥時間等)によって調整できる。具体的には、沸点の異なる複数種類の溶媒を選択して適切に組み合わせ、乾燥条件を調整することで、質量減少率P(a)の調整が可能である。
質量減少率P(a)は、190℃30分の加熱による樹脂組成物層の質量減少量ΔMを、加熱前の当該樹脂組成物層の質量mで割り算して求めることができる。質量減少量ΔMは、加熱前の樹脂組成物層の質量と、加熱後の樹脂組成物層の質量との差として求めることができる。また、樹脂シートが樹脂組成物層以外の任意の層(例えば、フィルム層)を備え、かつ、その任意の層の加熱による質量変化が無視できる程度に小さい場合には、前記の質量減少量ΔMは、加熱前の樹脂シートの質量と、加熱後の樹脂シートの質量との差として求めてもよい。質量減少率P(a)の具体的な測定方法は、実施例で説明する方法を採用しうる。
P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される樹脂組成物層の伸び率(%)を表す。通常、130℃30分での加熱による乾燥によって、樹脂組成物層に含まれる溶剤等の揮発性成分の大部分又は全ては乾燥するが、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材等の不揮発成分は樹脂組成物層に残留する。また、130℃30分での加熱によれば、一般に、樹脂成分の反応は進行しないか、ほとんど進行しない。よって、伸び率P(b)は、樹脂組成物層に含まれる不揮発成分の物性としての伸び率を表すか、当該伸び率に相関を有する。したがって、伸び率P(b)によれば、溶剤等の揮発性成分を除いた樹脂組成物層の不揮発成分の柔軟性の程度を表すことができる。
不揮発成分の柔軟性が高い樹脂組成物層は、応力による破壊を抑制することができる。よって、樹脂組成物層のカット時に応力を受けても樹脂組成物層の破壊が抑制されるので、欠けの発生を抑制できる。また、樹脂組成物層の不揮発成分の柔軟さは、フィルム層の剥離時の応力による樹脂組成物層の凝集破壊の抑制に貢献できるから、当該凝集破壊による樹脂組成物層の一部(通常は、表面近傍部分)の剥離の抑制に貢献できる。他方、不揮発成分が柔軟な樹脂組成物層は、フィルム層との密着強度が高くなる傾向があり、よってフィルム層の剥離時の応力が大きくなる傾向があるから、その意味では、樹脂組成物層の一部の剥離が生じやすくなる。よって、伸び率P(b)の調整のみではカット性及び剥離性の両方の改善はできなかった。しかし、特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」が前記の範囲にある場合、カット性及び剥離性の両方の改善が可能である。
伸び率P(b)の範囲は、本発明の効果を顕著に発揮する観点から、好ましくは0.8%以上、より好ましくは0.9%以上であり、好ましくは1.6%以下、より好ましくは1.5%以下、特に好ましくは1.4%以下である。
伸び率P(b)は、例えば、樹脂組成物が含む不揮発成分の種類及び比率によって調整できる。具体的には、(A)エポキシ樹脂の種類及び量、(B)無機充填材の量、並びに、(C)エラストマー及び(D)硬化剤の種類及び量を選択して適切に組み合わせることで、伸び率(b)の調整が可能である。
伸び率P(b)は、樹脂組成物層を130℃で30分加熱して得られる評価用硬化物を用いて、測定温度25℃において測定できる。測定は、JIS K7127に準拠して実施しうる。伸び率P(b)の具体的な測定方法は、実施例で説明する方法を採用しうる。
P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される樹脂組成物層の引張弾性率(GPa)を表す。前述の通り、130℃30分での加熱による乾燥によれば、樹脂組成物層に含まれる溶剤等の揮発性成分の大部分又は全ては乾燥するが、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材等の不揮発成分は樹脂組成物層に残留する。また、130℃30分での加熱によれば、一般に、樹脂成分の反応は進行しないか、ほとんど進行しない。よって、引張弾性率P(c)は、樹脂組成物層に含まれる不揮発成分の物性としての引張弾性率を表すか、当該引張弾性率に相関を有する。したがって、引張弾性率P(c)によれば、溶剤等の揮発性成分を除いた樹脂組成物層の不揮発成分の剛性の程度を表すことができる。
一般に、不揮発成分の剛性が高い樹脂組成物層は、フィルム層との密着強度が低くなる傾向がある。よって、フィルム層の剥離時に樹脂組成物層に加わる応力を小さくできるので、フィルム層の剥離時に不具合を抑制することができる。しかし、樹脂組成物層の不揮発成分の剛性が高いと、当該樹脂組成物層の脆性が大きくなって、カット時における欠けが生じやすい。これに対し、特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」が前記の範囲にある場合、前記の欠けを抑制して、カット性及び剥離性の両方の改善が可能である。
引張弾性率P(c)の範囲は、本発明の効果を顕著に発揮する観点から、好ましくは8GPa以上、より好ましくは9GPa以上であり、好ましくは16以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは14GPa以下、更に好ましくは13GPa以下である。
引張弾性率P(c)は、例えば、樹脂組成物が含む不揮発成分の種類及び比率によって調整できる。具体的には、(A)エポキシ樹脂の種類及び量、(B)無機充填材の量、並びに、(C)エラストマー及び(D)硬化剤の種類及び量を選択して適切に組み合わせることで、引張弾性率P(c)の調整が可能である。
引張弾性率P(c)は、樹脂組成物層を130℃で30分加熱して得られる評価用硬化物を用いて、測定温度25℃において測定できる。測定は、JIS K7127に準拠して実施しうる。引張弾性率P(c)の具体的な測定方法は、実施例で説明する方法を採用しうる。
[樹脂組成物層の組成]
本発明の一実施形態に係る樹脂シートは、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含む樹脂組成物層を備える。樹脂組成物層は、通常は前記の(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含む樹脂組成物を含み、好ましくは当該樹脂組成物のみを含む。(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を組み合わせて含む樹脂組成物は、誘電正接等の誘電特性に優れる。また、上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートは、カット性及び剥離性の両方を良好にすることが可能である。
((A)エポキシ樹脂)
(A)成分としての(A)エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する硬化性樹脂である。(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。(A)エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)エポキシ樹脂は、耐熱性に優れる硬化物層を得る観点から、芳香族構造を含有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。芳香族構造を含有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビシキレノール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
(A)エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。(A)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。(A)エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、脂肪族トリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が特に好ましい。脂肪族トリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ポリメチロールアルカントリグリシジルエーテルが挙げられ、その具体例としては、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);日鉄ケミカル&マテリアル製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-321L」(脂肪族トリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは20:1~1:20、より好ましくは10:1~1:10、特に好ましくは7:1~1:7である。
(A)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(A)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
樹脂組成物層中の(A)エポキシ樹脂の量の範囲は、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。また、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物中の(A)エポキシ樹脂の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(A)エポキシ樹脂の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(A)エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
樹脂組成物層中の(A)エポキシ樹脂の量の範囲は、樹脂組成物層中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。また、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物中の(A)エポキシ樹脂の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(A)エポキシ樹脂の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(A)エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
((B)無機充填材)
(B)成分としての(B)無機充填材は、通常、粒子の状態で樹脂組成物及び樹脂組成物層に含まれる。(B)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(B)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカ、アルミナが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(B)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」、「SC2050-SXF」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;などが挙げられる。
(B)無機充填材の平均粒径の範囲は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
(B)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出しうる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(B)無機充填材の比表面積の範囲は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで測定できる。
(B)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、(B)無機充填材の分散性向上の観点から、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%の表面処理剤で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%の表面処理剤で表面処理されていることがさらに好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。
(B)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
樹脂組成物層中の(B)無機充填材の量の範囲は、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは77質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは86質量%以下、更に好ましくは83質量%以下、特に好ましくは81質量%以下である。また、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物中の(B)無機充填材の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(B)無機充填材の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(B)無機充填材の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
((C)エラストマー)
本実施形態に係る樹脂組成物層及び樹脂組成物は、任意の成分として、(C)エラストマーを含んでいてもよい。この(C)成分としての(C)エラストマーには、上述した(A)~(B)成分に該当するものは含めない。
(C)エラストマーは、柔軟性を有する樹脂であり、好ましくは、ゴム弾性を有する樹脂または他の成分と重合してゴム弾性を示す樹脂である。ゴム弾性としては、例えば、日本工業規格(JIS K7161)に準拠し、温度25℃、湿度40%RHにて、引っ張り試験を行った場合に、1GPa以下の弾性率を示す樹脂が挙げられる。(C)エラストマーは、通常、有機溶剤に溶解しうる不定形の樹脂成分である。(C)エラストマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。(C)エラストマーによれば、樹脂組成物層の伸び率P(b)及び引張弾性率P(c)を調整できるので、樹脂シートの特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を上述した範囲に収める制御を容易に行うことができる。
(C)エラストマーは、高分子量を有することが好ましい。(C)エラストマーの数平均分子量(Mn)の範囲は、好ましくは1,000以上、より好ましくは1500以上、更に好ましくは2000以上、更に好ましくは3000以上、特に好ましくは5000以上である。数平均分子量の上限は、特段の制限は無いが、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは900,000以下である。数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
(C)エラストマーは、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下の樹脂及び25℃以下で液状である樹脂から選択される1種以上であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である樹脂のガラス転移温度は、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下である。ガラス転移温度の下限は特に限定されないが、通常-15℃以上でありうる。また、25℃で液状である樹脂は、好ましくは20℃以下で液状である樹脂、より好ましくは15℃以下で液状である樹脂である。ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)により5℃/分の昇温速度で測定しうる。
(C)エラストマーは、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、ポリカーボネート構造、ポリスチレン構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂であることが好ましい。「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレート並びにそれらの組み合わせを包含する用語である。これらの構造は、(C)エラストマーの分子の主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。
(C)エラストマーとしては、例えば、ポリブタジエン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリブタジエン構造は、主鎖に含まれていてもよく、側鎖に含まれていてもよい。また、ポリブタジエン構造は、一部又は全てが、水素添加されていてもよい。ポリブタジエン構造を含有する樹脂を「ポリブタジエン樹脂」ということがある。ポリブタジエン樹脂の具体例としては、クレイバレー社製の「Ricon 130MA8」、「Ricon 130MA13」、「Ricon 130MA20」、「Ricon 131MA5」、「Ricon 131MA10」、「Ricon 131MA17」、「Ricon 131MA20」、「Ricon 184MA6」(酸無水物基含有ポリブタジエン)、日本曹達社製の「GQ-1000」(水酸基、カルボキシル基導入ポリブタジエン)、「G-1000」、「G-2000」、「G-3000」(両末端水酸基ポリブタジエン)、「GI-1000」、「GI-2000」、「GI-3000」(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、ナガセケムテックス社製の「FCA-061L」(水素化ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、等が挙げられる。また、ポリブタジエン樹脂の具体例としては、フェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂;分子内にポリブタジエン構造、ウレタン構造及びイミド構造を有するポリイミド樹脂が挙げられる。該ポリイミド樹脂は、ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料として線状ポリイミド樹脂(特開2006-37083号公報、国際公開第2008/153208号に記載のポリイミド)として製造しうる。該ポリイミド樹脂のブタジエン構造の含有率は、好ましくは60質量%~95質量%、より好ましくは75質量%~85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、特開2006-37083号公報、国際公開第2008/153208号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
(C)エラストマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリ(メタ)アクリレート構造を含有する樹脂を「ポリ(メタ)アクリル樹脂」ということがある。ポリ(メタ)アクリル樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製のテイサンレジン;根上工業社製の「ME-2000」、「W-116.3」、「W-197C」、「KG-25」、「KG-3000」;東亞合成社製の「ARUFON UH-2000」等が挙げられる。
(C)エラストマーとしては、例えば、ポリカーボネート構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリカーボネート構造を含有する樹脂を「ポリカーボネート樹脂」ということがある。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、「FPC2136」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。また、ポリカーボネート樹脂の具体例としては、分子内にイミド構造、ウレタン構造およびポリカーボネート構造を有するポリイミド樹脂が挙げられる。該ポリイミド樹脂は、ヒドロキシル基末端ポリカーボネート、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド樹脂として製造しうる。該ポリイミド樹脂のカーボネート構造の含有率は、好ましくは60質量%~95質量%、より好ましくは75質量%~85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、国際公開第2016/129541号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
(C)エラストマーとしては、例えば、ポリシロキサン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリシロキサン構造を含有する樹脂を「シロキサン樹脂」ということがある。シロキサン樹脂の具体例としては、信越シリコーン社製の「SMP-2006」、「SMP-2003PGMEA」、「SMP-5005PGMEA」、アミン基末端ポリシロキサンおよび四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(国際公開第2010/053185号、特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等)等が挙げられる。
(C)エラストマーとしては、例えば、ポリアルキレン構造又はポリアルキレンオキシ構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリアルキレン構造を含有する樹脂を「アルキレン樹脂」ということがある。また、ポリアルキレンオキシ構造を含有する樹脂を「アルキレンオキシ樹脂」ということがある。ポリアルキレン構造及びポリアルキレンオキシ構造の炭素原子数は、それぞれ、2~15が好ましく、3~10がより好ましく、5~6が特に好ましい。アルキレン樹脂及びアルキレンオキシ樹脂の具体例としては、旭化成せんい社製の「PTXG-1000」、「PTXG-1800」;DIC社製「EXA-4850-150」「EXA-4816」「EXA-4822」;ADEKA社製「EP-4000」、「EP-4003」、「EP-4010」、「EP-4011」;新日本理化社製「BEO-60E」、「BPO-20E」;三菱ケミカル社製「YL7175」、「YL7410」等が挙げられる。
(C)エラストマーとしては、例えば、ポリイソプレン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリイソプレン構造を含有する樹脂を「イソプレン樹脂」ということがある。イソプレン樹脂の具体例としては、クラレ社製の「KL-610」、「KL613」等が挙げられる。
(C)エラストマーとしては、例えば、ポリイソブチレン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリイソブチレン構造を含有する樹脂を「イソブチレン樹脂」ということがある。イソブチレン樹脂の具体例としては、カネカ社製の「SIBSTAR-073T」(スチレン-イソブチレン-スチレントリブロック共重合体)、「SIBSTAR-042D」(スチレン-イソブチレンジブロック共重合体)等が挙げられる。
(C)エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリスチレン構造を含有する樹脂を「ポリスチレン樹脂」ということがある。ポリスチレン樹脂は、スチレン単位に組み合わせて、前記のスチレン単位とは異なる任意の繰り返し単位を含む共重合体であってもよく、水添ポリスチレン樹脂であってもよい。ポリスチレン樹脂としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-ブタジエンジブロック共重合体、水素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン-イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン-ブタジエンランダム共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。ポリスチレン樹脂の具体例としては、水添スチレン系熱可塑性エラストマー「H1041」、「タフテックH1043」、「タフテックP2000」、「タフテックMP10」(旭化成社製);エポキシ化スチレン-ブタジエン熱可塑性エラストマー「エポフレンドAT501」、「CT310」(ダイセル社製);ヒドロキシル基を有する変成スチレン系エラストマー「セプトンHG252」(クラレ社製);カルボキシル基を有する変性スチレン系エラストマー「タフテックN503M」、アミノ基を有する変性スチレン系エラストマー「タフテックN501」、酸無水物基を有する変性スチレン系エラストマー「タフテックM1913」(旭化成ケミカルズ社製);未変性スチレン系エラストマー「セプトンS8104」(クラレ社製);スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体「FG1924」(Kraton社製)、「EF-40」(CRAY VALLEY社製)が挙げられる。
上述した中でも、(C)エラストマーとしては、特に良好な剥離性を得る観点から、分子内にポリブタジエン構造及びポリ(メタ)アクリレート構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含有する樹脂が好ましい。さらには、(C)エラストマーとしては、特に良好なカット性を得る観点から、分子内にポリブタジエン構造を有する樹脂が特に好ましい。
(C)エラストマーは、(A)エポキシ樹脂と反応できる官能基を有していてもよい。(C)エラストマーが(A)エポキシ樹脂と反応する場合、樹脂組成物層を硬化して得られる硬化物層の機械的強度を高めることができる。(A)エポキシ樹脂と反応できる官能基には、加熱によって現れる官能基が包含される。(A)エポキシ樹脂と反応できる官能基は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基からなる群から選択される1種以上の官能基でありうる。中でも、当該官能基としては、ヒドロキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、エポキシ基、イソシアネート基及びウレタン基が好ましく、ヒドロキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基及びエポキシ基がより好ましく、フェノール性水酸基が特に好ましい。官能基を含む(C)エラストマーの数平均分子量(Mn)は5,000より大きいことが好ましく、よってその(C)エラストマーの重量平均分子量(Mw)も5,000より大きいことが好ましい。
樹脂組成物層中の(C)エラストマーの量の範囲は、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、特に好ましくは11質量%以下である。また、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物中の(C)エラストマーの量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(C)エラストマーの量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(C)エラストマーの量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
樹脂組成物層中の(C)エラストマーの量の範囲は、樹脂組成物層中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下、特に好ましくは52質量%以下である。また、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物中の(C)エラストマーの量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(C)エラストマーの量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(C)エラストマーの量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
((D)硬化剤)
本実施形態に係る樹脂組成物層及び樹脂組成物は、任意の成分として、(D)硬化剤を含んでいてもよい。この(D)成分としての(D)硬化剤には、上述した(A)~(C)成分に該当するものは含めない。(D)硬化剤は、(A)エポキシ樹脂と反応して、樹脂組成物を硬化させる機能を有しうる。
(D)硬化剤としては、例えば、マレイミド系樹脂、カルボジイミド系樹脂、活性エステル系樹脂、フェノール系樹脂、アミン系樹脂、酸無水物系樹脂、シアネートエステル系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、チオール系樹脂などが挙げられる。中でも、マレイミド系樹脂、カルボジイミド系樹脂、活性エステル系樹脂及びフェノール系樹脂が好ましく、マレイミド系樹脂及びカルボジイミド系樹脂がより好ましい。(D)硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
マレイミド系樹脂としては、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上のマレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)を有する化合物を用いうる。マレイミド系樹脂は、イミダゾール系硬化促進剤等の適切な触媒の存在下において(A)エポキシ樹脂と反応して結合を形成できる。また、マレイミド系樹脂は、マレイミド基に含まれるエチレン性の炭素-炭素不飽和結合によるラジカル重合を生じうるので、マレイミド系樹脂同士でも結合しうる。マレイミド系樹脂を用いる場合、カット性及び剥離性を良好にしながら、樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
マレイミド系樹脂は、脂肪族アミン骨格を含む脂肪族マレイミド系樹脂であってもよく、芳香族アミン骨格を含む芳香族マレイミド系樹脂であってもよい。マレイミド系樹脂の市販品としては、例えば、「BMI-3000J」、「BMI-5000」、「BMI-1400」、「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-689」(いずれもデジクナーモレキュールズ社製)などの、ダイマージアミン由来の炭素原子数36の脂肪族骨格を含むマレイミド樹脂;発明協会公開技報公技番号2020-500211号に記載される、インダン骨格を含むマレイミド樹脂;「MIR-3000-70MT」(日本化薬社製)、「BMI-4000」(大和化成社製)、「BMI-80」(ケイアイ化成社製)などの、マレイミド基の窒素原子と直接結合している芳香環骨格を含むマレイミド樹脂;が挙げられる。
樹脂組成物層中のマレイミド系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。また、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物中のマレイミド系樹脂の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物層中のマレイミド系樹脂の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいてマレイミド系樹脂の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
樹脂組成物層中のマレイミド系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物層中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。また、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物中のマレイミド系樹脂の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物層中のマレイミド系樹脂の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいてマレイミド系樹脂の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
カルボジイミド系樹脂としては、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド基(-N=C=N-)を有する化合物を用いうる。カルボジイミド系樹脂は、(A)エポキシ樹脂と反応して結合を形成できる。また、カルボジイミド系樹脂は、芳香環に結合した水酸基(フェノール性水酸基)とも反応を生じうるので、フェノール系樹脂とも結合しうる。カルボジイミド系樹脂を用いる場合、カット性及び剥離性を良好にしながら、樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
カルボジイミド系樹脂の具体例としては、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。
カルボジイミド系樹脂の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-05」「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
樹脂組成物層中のカルボジイミド系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。また、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物中のカルボジイミド系樹脂の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物層中のカルボジイミド系樹脂の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいてカルボジイミド系樹脂の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
樹脂組成物層中のカルボジイミド系樹脂の量の範囲は、樹脂組成物層中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは12質量%以下である。また、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物中のカルボジイミド系樹脂の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物層中のカルボジイミド系樹脂の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいてカルボジイミド系樹脂の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
活性エステル系樹脂としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を用いうる。中でも、活性エステル系樹脂としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系樹脂がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系樹脂の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂、ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系樹脂が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系樹脂の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル系樹脂として、「EXB9401」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系樹脂として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
フェノール系樹脂としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基(フェノール性水酸基)を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物を用いうる。耐熱性及び耐水性の観点からは、ノボラック構造を有するフェノール系樹脂が好ましい。また、密着性の観点からは、含窒素フェノール系樹脂が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系樹脂がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系樹脂が好ましい。
フェノール系樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「TD-2090-60M」等が挙げられる。
アミン系樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する化合物を用いうる。アミン系樹脂としては、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。中でも、芳香族アミン類が好ましい。アミン系樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系樹脂の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系樹脂は市販品を用いてもよく、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」;日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
酸無水物系樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上の酸無水物基を有する化合物を用いうる。酸無水物系樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系樹脂の市販品としては、例えば、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」;三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」;日立化成社製の「HN-2200」、「HN-5500」;クレイバレイ社製「EF-30」、「EF-40」「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。
シアネートエステル系樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のシアネート基を有する化合物を用いうる。シアネートエステル系樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OD100」、「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」;昭和高分子社製の「HFB2006M」等が挙げられる。
チオール系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
(D)硬化剤の活性基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性基当量は、活性基1当量あたりの樹脂の質量を表す。
一例において、(D)硬化剤の重量平均分子量(Mw)は、100以上であってもよく、5,000以下であってもよい。
(A)エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、(D)硬化剤の活性基数の範囲は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。樹脂組成物層又は樹脂組成物において、「(A)エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物層又は樹脂組成物中に存在する(A)エポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で割り算した値を全て合計した値を表す。また、樹脂組成物層又は樹脂組成物において、「(D)硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物層又は樹脂組成物中に存在する(D)硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(D)硬化剤の活性基数が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
樹脂組成物層中の(D)硬化剤の量の範囲は、樹脂組成物層の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。また、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物中の(D)硬化剤の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(D)硬化剤の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(D)硬化剤の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
樹脂組成物層中の(D)硬化剤の量の範囲は、樹脂組成物層の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。また、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物中の(D)硬化剤の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(D)硬化剤の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(D)硬化剤の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
((E)硬化促進剤)
本実施形態に係る樹脂組成物層及び樹脂組成物は、任意の成分として、(E)硬化促進剤を含んでいてもよい。この(E)成分としての(E)硬化促進剤には、上述した(A)~(D)成分に該当するものは含めない。(E)硬化促進剤は、(A)エポキシ樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
(E)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。(E)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
樹脂組成物層中の(E)硬化促進剤の量の範囲は、樹脂組成物層の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物中の(E)硬化促進剤の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層の不揮発成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(E)硬化促進剤の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(E)硬化促進剤の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
樹脂組成物層中の(E)硬化促進剤の量の範囲は、樹脂組成物層の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。また、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物中の(E)硬化促進剤の量の範囲は、好ましくは、樹脂組成物層の樹脂成分100質量%に対する樹脂組成物層中の(E)硬化促進剤の量の前記範囲と同じである。上述した範囲の特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」を有する樹脂シートにおいて(E)硬化促進剤の量が前記範囲にある場合、カット性及び剥離性を特に良好にでき、更に通常は当該樹脂シートを用いて形成される硬化物層を備えた半導体チップパッケージ等の部材の反りを効果的に抑制できる。
((F)任意の添加剤)
本実施形態に係る樹脂組成物層及び樹脂組成物は、上述した(A)~(E)成分に組み合わせて、更に任意の不揮発成分として、(F)任意の添加剤を含んでいてもよい。(F)任意の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤、が挙げられる。(F)任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
((G)溶剤)
本実施形態に係る樹脂組成物層及び樹脂組成物は、通常、上述した(A)~(F)成分といった不揮発成分に組み合わせて、更に揮発性成分として(G)溶剤を含む。(G)成分としての(G)溶剤の量は、特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」における質量減少率P(a)に反映されうる。例えば、樹脂組成物層は、(A)エポキシ樹脂、(B)無機充填材及び(G)溶剤を含む液状の樹脂ワニスの膜を形成し、乾燥させて、製造されることがある。乾燥によって、(G)溶剤の大部分は除去されるが、(G)溶剤の一部は樹脂組成物層に残りうる。このように残った(G)溶剤の量を反映した質量減少率P(a)を含む特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」が式(1)を満たす範囲にある場合に、カット性及び剥離性の両方を良好にすることができる。
(G)溶剤としては、通常、有機溶剤を用いる。有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(G)溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
質量減少率P(a)を適切な範囲に収める観点から、(G)溶剤には、好ましい沸点の範囲がある。詳細には、樹脂組成物層からの(G)溶剤の過剰な揮発を抑制して質量減少率P(a)を大きくする観点では、(G)溶剤の沸点は高いことが好ましい。他方、樹脂シートの製造過程における樹脂ワニスの乾燥時間を短縮する観点、及び、樹脂組成物層の硬化後における(G)溶剤の残留を抑制する観点では、(G)溶剤の沸点は低いことが好ましい。具体的な(G)溶剤の沸点の範囲は、使用する(G)溶剤の組み合わせにも影響されうるが、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上であり、好ましくは280℃以下、より好ましくは260℃以下、特に好ましくは240℃以下である。沸点は、沸点上昇計法又は蒸留法により1気圧での沸点として測定できる。
(G)溶剤の量は、特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」が式(1)を満たす範囲となるように設定できる。一例において、樹脂組成物層100質量%に対する(G)溶剤の具体的な量の範囲は、質量減少率P(a)の範囲と同じでありうる。また、別の一例において、樹脂組成物100質量%に対する(G)溶剤の具体的な量の範囲は、質量減少率P(a)の範囲と同じでありうる。
[樹脂組成物層の厚み]
樹脂組成物層の厚みは、その用途に応じて設定できる。樹脂組成物層の厚みの具体的な範囲は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下、特に好ましくは100μm以下である。
[フィルム層]
本実施形態に係る樹脂シートは、樹脂組成物層に組み合わせて、更に任意の層を備えていてもよい。例えば、樹脂シートは、樹脂組成物層に接するフィルム層を備えていてもよい。通常、樹脂組成物層とフィルム層とは直に接している。樹脂組成物層とフィルム層とが「直に」接するとは、別に断らない限り、樹脂組成物層とフィルム層との間に他の層が無いことをいう。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートを模式的に示す断面図である。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る樹脂シート100は、樹脂組成物層110に組み合わせて、フィルム層120及び130を備えていてもよい。これらのフィルム層120及び130は、例えば、樹脂組成物層110の支持及び保護のために設けられうる。以下、樹脂組成物層110の一側に設けられたフィルム層120を「第一のフィルム層」120と呼ぶことがあり、樹脂組成物層110のもう一側に設けられたフィルム層130を「第二のフィルム層」130と呼ぶことがある。
第一のフィルム層120としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
第一のフィルム層120としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル;ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。);ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と略称することがある。)等のアクリルポリマー;ポリプロピレン等のポリオレフィン;環状ポリオレフィン;トリアセチルセルロース(以下「TAC」と略称することがある。);ポリエーテルサルファイド(以下「PES」と略称することがある。);ポリエーテルケトン;ポリイミド;等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
第一のフィルム層120として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。中でも、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
第一のフィルム層120は、樹脂組成物層110と接合する面に、マット処理、コロナ処理、帯電防止処理等の処理が施されていてもよい。
第一のフィルム層120としては、樹脂組成物層110と接合する面に離型層(図示せず。)を有する離型層付きのフィルム層を使用してもよい。離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型剤の市販品としては、例えば、アルキド樹脂系離型剤である、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」等が挙げられる。また、離型層付きのフィルム層としては、例えば、東レ社製の「ルミラーT60」;帝人社製の「ピューレックス」;ユニチカ社製の「ユニピール」;等が挙げられる。
第一のフィルム層120の厚さの範囲は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは75μm以下、より好ましくは60μm以下である。離型層付きのフィルム層を使用する場合、離型層付きのフィルム層全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
第二のフィルム層130としては、例えば、第一のフィルム層120と同じフィルム層を用いうる。第二のフィルム層130は、第一のフィルム層120よりも薄くてもよく、例えば第二のフィルム層130の厚みの範囲は1μm~40μmであってもよい。第一のフィルム層120と第二のフィルム層130とを組み合わせて用いる場合、第一のフィルム層120及び第二のフィルム層130の一方は樹脂組成物層110を支持する支持体として機能してもよく、他方は樹脂組成物層110を保護するカバーフィルム層として機能していもよい。
[樹脂シートの形状]
本実施形態に係る樹脂シートの形状に制限はない。樹脂シートは、例えば、枚葉の形状を有していてもよく、長尺の形状を有していてもよい。「長尺」の形状とは、別に断らない限り、幅に対して、10倍以上の長さを有するフィルム又はシートの形状をいう。前記の長さは、幅に対して、好ましくは20倍以上であり、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さでありうる。長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下でありうる。
[樹脂シートの製造方法]
樹脂シートは、例えば、樹脂組成物を用意する工程と、その樹脂組成物を適切な支持面に塗布する工程と、を含む製造方法によって製造できる。この際、支持面としては、例えば、フィルム層の表面を用いうる。中でも、樹脂組成物を(G)溶剤に溶解して液状の樹脂ワニスを製造する工程と、その樹脂ワニスを支持面に塗布する工程と、を含む製造方法が好ましい。(G)溶剤を用いることにより、粘度を調整して、塗布性を向上させることができる。樹脂ワニスを用いた場合、通常は、塗布後に樹脂ワニスを乾燥させて、樹脂組成物層を形成する。
樹脂組成物は、例えば、上述した成分を混合することによって、製造することができる。上述した成分は、一部又は全部を同時に混合してもよく、順に混合してもよい。各成分を混合する過程で、温度を適宜設定してもよく、よって、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、各成分を混合する過程において、撹拌又は振盪を行ってもよい。
樹脂組成物及び樹脂ワニスの塗布は、例えば、ダイコーター等の塗布装置を用いて行ないうる。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の方法により実施してよい。乾燥条件は、式(1)を満たす特定パラメータ「P(a)×P(b)/P(c)」が得られるように設定することが好ましい。例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分~10分間乾燥させることにより、所望の樹脂組成物層を形成できることが多い。
樹脂シートの製造方法は、樹脂組成物層を得た後で、その樹脂組成物層とフィルム層とを貼り合わせる工程を含んでいてもよい。例えば、樹脂シートの製造方法は、第一のフィルム層の表面に樹脂組成物層を形成する工程と、形成された樹脂組成物層と第二のフィルム層とを貼り合わせる工程と、を含んでいてもよい。
[樹脂シートの特性]
本実施形態に係る樹脂シートは、優れたカット性を有することができる。したがって、樹脂シートの樹脂組成物層のカット時に当該樹脂組成物層の欠けを抑制することができる。一例において、10cm角カッターを用いて樹脂シートを打ち抜くカット性評価試験を行って正方形の平面形状を有する試料シートを得た場合に、その試料シートの樹脂組成物層の隅部分における欠けを少なくできる。具体的には、試料シートの4隅のうち、好ましくは1以上の隅において樹脂組成物層の欠けを無くすことができ、より好ましくは4隅全てにおいて樹脂組成物層の欠けを無くすことができる。カット性評価試験は、具体的には、後述する実施例で説明する方法によって行いうる。
本実施形態に係る樹脂シートは、優れた剥離性を有することができる。したがって、樹脂シートがフィルム層を備える場合に、樹脂組成物層及びフィルム層の密着強度を抑制してフィルム層の剥離を円滑に行うことができる。一例において、樹脂組成物層及びフィルム層を備える樹脂シートを基材とラミネートした後、フィルム層を50mm/分の速度で垂直方向に引き剥がす剥離性評価試験を行う。この剥離性評価試験を行った場合、フィルム層を剥離するために要する力の大きさ(荷重)を、好ましくは0.09kgf/cm以下にでき、より好ましくは0.06kgf/cm以下にできる。剥離性評価試験は、具体的には、後述する実施例で説明する方法によって行いうる。
本実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層を硬化することにより、硬化物層が得られる。この硬化物層は、通常は上述した樹脂組成物の硬化物を含み、好ましくは上述した樹脂組成物の硬化物のみを含む。樹脂組成物層の硬化の際、通常は、樹脂組成物層には熱が加えられる。よって、樹脂組成物層に含まれる成分のうち、(G)溶剤等の揮発性成分は硬化時の熱によって揮発しうるが、(A)~(F)成分といった不揮発成分は、硬化時の熱によっては揮発しない。よって、樹脂組成物の硬化物は、樹脂組成物の不揮発成分又はその反応生成物を含みうる。
前記の硬化物層は、半導体チップパッケージ及び回路基板等の部材に設けることができる。その際、本実施形態に係る樹脂シートから得られる硬化物層によれば、通常、前記の部材の反りを抑制することができる。一例において、樹脂シートを用いて、12インチシリコンウエハ(厚さ775μm)の片面全体に厚み140μmの硬化物層を形成して試料積層体を製造する反り評価試験を行う。この反り評価試験を行った場合、当該試料積層体の反り量を、好ましくは1.0mm以下にでき、より好ましくは0.6mm以下にできる。反り評価試験は、具体的には、後述する実施例で説明する方法によって行いうる。
前記の樹脂組成物層を硬化して得られる硬化物層は、優れた誘電特性を有することが好ましい。例えば、硬化物層の比誘電率は、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.6以下、特に好ましくは3.4以下である。比誘電率の下限は、特段の制限は無く、例えば、1.5以上、2.0以上などでありうる。また、例えば、硬化物層の誘電正接は、好ましくは0.0100以下、より好ましくは0.0090以下、更に好ましくは0.0080以下、特に好ましくは0.0070以下である。誘電正接の下限は、特に制限は無く、例えば、0.0010以上でありうる。一例において、前記の硬化物層の比誘電率及び誘電正接は、樹脂組成物層を190℃で90分間加熱して得られる硬化物層を用いて、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いた空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃の条件で測定できる。
上述した樹脂シートは、例えば、封止層形成用の樹脂シートとして用いることができる。この場合、樹脂組成物層は、封止層用の樹脂組成物層として好適に使用できる。中でも、樹脂シートの樹脂組成物層は、半導体を封止するための樹脂組成物層(半導体封止用の樹脂組成物層)として用いることが好ましく、半導体チップを封止するための樹脂組成物層(半導体チップ封止用の樹脂組成物層)として用いることが更に好ましい。
また、樹脂シートは、封止層形成用途以外の用途に用いてもよく、例えば、絶縁層形成用の樹脂シートとして用いてもよい。この場合、樹脂組成物層は、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための樹脂組成物層(半導体チップパッケージの絶縁層形成用の樹脂組成物層)、及び、回路基板(プリント配線板を含む。)の絶縁層を形成するための樹脂組成物層(回路基板の絶縁層形成用の樹脂組成物層)として、好適に使用することができる。絶縁層には、層間絶縁層及び再配線形成層が含まれうる。
半導体チップパッケージとしては、例えば、FC-CSP、MIS-BGAパッケージ、ETS-BGAパッケージ、Fan-out型WLP(Wafer Level Package)、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP(Panel Level Package)、Fan-in型PLPが挙げられる。
さらに、樹脂シートの樹脂組成物層は、ソルダーレジスト、ダイボンディング材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物層が用いられる広範な用途に使用できる。
<半導体チップパッケージの製造方法>
上述した樹脂シートを用いて、半導体チップパッケージの製造を行うことができる。本発明の一実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、
樹脂シートの樹脂組成物層をカットする工程(I)と、
カットされた樹脂組成物層を備える樹脂シートと、基材と、をラミネートする工程(II)と、
樹脂組成物層を硬化する工程(III)と、
を含む。
(工程(I):樹脂組成物層のカット工程)
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、樹脂シートの樹脂組成物層をカットする工程(I)を含む。
工程(I)は、好ましくは、樹脂組成物層の厚み方向で刃を押し当てて、樹脂組成物層をカットすることを含む。一例において、周方向に回転可能に設けられた円柱状のロールと、このロールの周面に設けられた刃とを備えるダイカッターを用いて、樹脂組成物層をカットしてもよい。ダイカッターを用いる場合、当該ダイカッターを周方向に回転させながら、ダイカッターの刃に接触するように、ダイカッターの回転方向と同じ方向に樹脂シートを搬送する。ダイカッターの刃は、搬送される樹脂シートの樹脂組成物層を厚み方向において押圧し、樹脂組成物層内に進入して、当該樹脂組成物層を打ち抜くようにカットできる。また、別の一例において、樹脂組成物層の厚み方向から見て所望の平面形状を有する打ち抜き刃を用いて、樹脂組成物層をカットしてもよい。打ち抜き刃を用いる場合、当該打ち抜き刃で樹脂組成物層を厚み方向において押圧し、当該樹脂組成物層を打ち抜くようにカットできる。これらの例に示すように、上述した樹脂シートは、刃によって打ち抜くように樹脂組成物層がカットされる場合に、樹脂組成物層の欠けを効果的に抑制できる。
図2は、本発明の一実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法において、樹脂組成物層110をカットした後の樹脂シート100を模式的に示す断面図である。図2に示すように、前記のカットにより、刃の形状に対応した平面形状を有する樹脂組成物層110を得ることができる。以下、カットされた樹脂組成物層110の部分のうち、基材(図示せず。)とラミネートされる部分を「有効樹脂組成物層」111と呼ぶことがあり、それ以外の部分を「周辺樹脂組成物層」112ということがある。上述した樹脂シート100を用いた場合、カットによって樹脂組成物層110に欠けが生成することを抑制できる。したがって、意図した通りの形状の有効樹脂組成物層111を高い確実性で得ることができる。
また、図2では、樹脂組成物層110の厚み方向の全体がカットされた例を示したが、樹脂組成物層110は厚み方向で部分的にカットされていてもよい。樹脂組成物層110の厚み方向の少なくとも一部がカットされることにより、樹脂組成物層110の厚み方向の少なくとも一部に切り込みが形成されると、後述する工程(V)において周辺樹脂組成物層112を円滑に除去することが可能である。
樹脂シート100がフィルム層を備える場合、工程(I)において、フィルム層がカットされてもよい。例えば、樹脂組成物層110と刃(図示せず)との間に第二のフィルム層130がある場合、工程(I)において、通常は、樹脂組成物層110だけでなく第二のフィルム層130もカットされる。この際、第二のフィルム層130は、その厚み方向の全体がカットされうる。以下、図2に示すように、カットされた第二のフィルム層130の部分のうち、有効樹脂組成物層111を覆う部分を「主部分」131と呼ぶことがあり、それ以外の部分を「周辺部分」132ということがある。
また、工程(I)においては、フィルム層がカットされなくてもよい。例えば、樹脂組成物層110に対して刃(図示せず)とは反対側に第一のフィルム層120が設けられている場合、その第一のフィルム層120は、カットされなくてもよい。また、図2に示すように、刃は、第一のフィルム120に部分的に進入して、厚み方向において第一のフィルム層120を部分的にカットしてもよい。
ここでは、第二のフィルム層130、樹脂組成物層110及び第一のフィルム層120を、刃側からこの順に備える長尺の樹脂シート100を用いる例を示す。この場合、好ましくは、樹脂組成物層110及び第二のフィルム層130がカットされる。また、第一のフィルム層120は、カットされなくてもよく、厚み方向に部分的にカットされてもよい。ただし、工程(I)における操作は、この例に示すものに限定されない。例えば、後述する工程(IV)において第二のフィルム層130が剥離された後に工程(I)を行うことで、第二のフィルム層130を備えない樹脂シートの樹脂組成物層110をカットしてもよい。
工程(I)において樹脂組成物層110をカットして得られる有効樹脂組成物層111は、通常、当該有効樹脂組成物層111とラミネートされるべき基材(図示せず)に対応した平面形状を有する。例えば、有効樹脂組成物層111は、基材と同じ平面形状を有していてもよく、基材よりも大きい平面形状を有していてもよく、基材よりも小さい平面形状を有していてもよい。具体例を挙げると、円形の平面形状を有するウエハを基材として用いる場合、円形の平面形状を有する有効樹脂組成物層111が得られるように樹脂組成物層110をカットしてもよい。
(工程(IV):フィルム層の剥離工程)
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、工程(II)より前に、フィルム層を剥離する工程(IV)を含んでいてもよい。例えば、第一のフィルム層及び第二のフィルム層を備える樹脂シートを用いた半導体チップパッケージの製造方法は、通常、工程(II)より前に、第一の樹脂シート及び第二のフィルム層の一方又は両方を剥離する工程(IV)を含む。搬送時に有効樹脂組成物層を支持及び保護する観点から、工程(IV)は、第一の樹脂シート及び第二のフィルム層の一方のみを剥離することが好ましい。
フィルム層を剥離する工程(IV)は、工程(I)より前に行ってもよく、工程(I)より後に行ってもよい。フィルム層で樹脂組成物層を支持した状態で樹脂組成物層をカットすることにより、樹脂組成物層の欠けを効果的に抑制できるので、フィルム層を剥離する工程(IV)は、工程(I)より後に行うことが好ましい。
第一のフィルム層を剥離する方法としては、例えば、真空吸着機で第二のフィルム層及び樹脂組成物層を吸着した状態で、第一のフィルム層を樹脂組成物層から離れるように引っ張って剥離する方法が挙げられる。
他方、第二のフィルム層を剥離する方法としては、例えば、真空吸着機で第一のフィルム層及び樹脂組成物層を吸着した状態で、第二のフィルム層を樹脂組成物層から離れるように引っ張って剥離する方法が挙げられる。
また、図2に示した例のように、工程(I)において第二のフィルム層がカットされた場合、カット後の第二のフィルム層は、有効樹脂組成物層を覆う主部分と、周辺樹脂組成物層を覆う周辺部分と、を含む。よって、工程(I)より後に工程(IV)を行う場合、工程(IV)は、第二のフィルム層の主部分を剥離することを含んでいてもよく、第二のフィルム層の周辺部分を剥離することを含んでいてもよい。第二のフィルム層の主部分の剥離と周辺部分の剥離とは、同時に行ってもよく、順に行ってもよい。
第二のフィルム層の主部分の剥離方法としては、例えば、粘着テープ法、真空吸着法などが挙げられる。例えば、粘着テープ法では、一般に、第二のフィルム層の主部分に粘着テープを貼り合わせ、その後、当該粘着テープを剥離する。この際、剥離される粘着テープと一緒に、第二のフィルム層の主部分を剥離することができる。
第二のフィルム層の周辺部分の剥離方法としては、例えば、主部分と同じく、粘着テープ法、真空吸着法などが挙げられる。また、長尺の樹脂シートを用いる場合、第二のフィルム層の周辺部分は、樹脂シートの搬送方向に連続して形成されうる。よって、第二のフィルム層の周辺部分は、当該周辺部分を機械的に引っ張って剥離してもよい。例えば、樹脂組成物層から離れるように第二のフィルム層の周辺部分を引っ張ることで、当該周辺部分を連続的に剥離することができる。
上述した樹脂シートを用いた場合、樹脂組成物層とフィルム層との密着強度が低いので、フィルム層は、樹脂組成物層から円滑に離れることができる。よって、有効樹脂組成物層の一部又は全部がフィルム層に固着することが抑制される。したがって、有効樹脂組成物層の一部又は全部がフィルム層と一緒に剥がれてしまう不具合の発生が抑制され、フィルム層の剥離を円滑に行うことができる。
(工程(V):周辺樹脂組成物層の剥離工程)
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、周辺樹脂組成物層を剥離する工程(V)を含んでいてもよい。半導体チップパッケージの製造方法は、通常、工程(I)より後に、周辺樹脂組成物層を剥離する工程(V)を含む。
周辺樹脂組成物層の剥離は、工程(IV)の後に行ってもよく、工程(IV)の一部又は全部と同時に行ってもよい。例えば、周辺樹脂組成物層は、工程(IV)において第一のフィルム層を剥離するのと同時に、剥離されてもよい。具体例を挙げると、真空吸着機で第二のフィルム層の主部分及び有効樹脂組成物層を吸着した状態で、第一のフィルム層及び周辺樹脂組成物層を有効樹脂組成物層から離れるように引っ張って剥離してもよい。
また、例えば、周辺樹脂組成物層は、工程(IV)において第二のフィルム層の周辺部分を剥離するのと同時に、剥離されてもよい。具体例を挙げると、第二のフィルム層の周辺部分及び周辺樹脂組成物層を、有効樹脂組成物層から離れるように引っ張って、第二のフィルム層の周辺部分及び周辺樹脂組成物層を剥離してもよい。
さらに、例えば、周辺樹脂組成物層は、第一のフィルム層及び第二のフィルム層の周辺部分の剥離とは別に剥離されてもよい。
上述した樹脂シートを用いた場合、樹脂組成物層とフィルム層との密着強度が低いので、周辺樹脂組成物層は、フィルム層から円滑に離れることができる。よって、周辺樹脂組成物層の一部又は全部がフィルム層に固着することが抑制される。したがって、周辺樹脂組成物層の剥離を円滑に行うことができる。
(工程(II):ラミネート工程)
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、カットされた樹脂組成物層としての有効樹脂組成物層を備える樹脂シートと、基材と、をラミネートする工程(II)を含む。このラミネートは、樹脂シートの有効樹脂組成物層と基材とが接合するように行う。このラミネートにより、基材上に有効樹脂組成物層を形成することができる。
基材としては、例えば、基板又はウエハを含むものが好ましい。基板としては、例えば、ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;FR-4基板等の、ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板;BT樹脂等のビスマレイミドトリアジン樹脂からなる基板;ポリイミド基板;などが挙げられる。また、ウエハとしては、シリコンウエハ、ガリウムヒ素(GaAs)ウエハ、インジウムリン(InP)ウエハ、ガリウムリン(GaP)ウエハ、ガリウムナイトライド(GaN)ウエハ、ガリウムテルル(GaTe)ウエハ、亜鉛セレン(ZnSe)ウエハ、シリコンカーバイド(SiC)ウエハ等の半導体ウエハ;ガラスウエハ;疑似ウエハ;などが挙げられる。疑似ウエハとしては、例えば、モールド樹脂と、そのモールド樹脂に埋め込まれた電子部品とを備える板状部材を用いうる。
基材として前記の基板又はウエハ自体を用いてもよい。また、基板又はウエハに任意の部材を組み合わせて基材として用いてもよい。例えば、前記の基板又はウエハ上に仮固定フィルムを形成した複合部材を基材として用いてもよい。仮固定フィルムを備える複合部材を基材として用いる場合、後の工程において基材の剥離を容易に行うことができる。仮固定フィルムは、半導体チップから剥離でき、且つ、半導体チップを仮固定することができるフィルムを用いることが好ましい。市販の仮固定フィルムとしては、例えば、日東電工社製「リヴァアルファ」等が挙げられる。
基材上には、半導体チップが設けられていてもよい。例えば、基材が仮固定フィルムを備える場合に、当該仮固定フィルム上に半導体チップが仮固定されていてもよい。半導体チップの仮固定は、例えば、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体チップパッケージの生産数等に応じて適切に設定できる。例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に半導体チップを整列させて、仮固定してもよい。基材上に半導体チップが設けられている場合、通常は、半導体チップを有効樹脂組成物層に埋め込むようにラミネートを行う。
樹脂シートと基材とのラミネートは、例えば、樹脂シートを基材に加熱圧着することにより、行うことができる。樹脂シートを基材に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ということがある。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール等)等が挙げられる。加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、基材の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスすることが好ましい。
基材と樹脂シートとのラミネートは、例えば、真空ラミネート法により実施してよい。ラミネート条件は、例えば、下記の通りでありうる。加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲である。加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲である。加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。ラミネートは、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
前記のラミネートは、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター、リンテック社製のフルオートLCテープラミネーター等が挙げられる。基材としてウエハを用いる場合、ウエハの割れを抑制するため、ダイヤフラム方式のラミネーターを用いることが好ましい。
(工程(VI):平滑化工程)
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、工程(II)で樹脂シートと基材とをラミネートした後、工程(III)で有効樹脂組成物層を硬化する前に、有効樹脂組成物層を平滑化する工程(VI)を含んでいてもよい。具体的には、常圧下(大気圧下)、加熱圧着部材を樹脂シートにプレスする平滑化処理を行って、有効樹脂組成物層を平滑化してもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記工程(II)における加熱圧着の条件と同じでありうる。また、工程(II)におけるラミネートと工程(VI)における平滑化処理とは、真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
(工程(VII):フィルム層の剥離工程)
工程(II)において基材とラミネートされる樹脂シートがフィルム層を備える場合、本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、工程(II)より後に、そのフィルム層を剥離する工程(VII)を含んでいてもよい。例えば、図2に示した例のように第一のフィルム層及び第二のフィルム層を備える樹脂シートを用いる場合、基材とラミネートされる樹脂シートは、工程(II)において、第一のフィルム層及び第二のフィルム層の一方を含みうる。よって、半導体チップパッケージの製造方法は、その第一のフィルム層及び第二のフィルム層の一方を剥離することを含む工程(VII)を含んでいてもよい。フィルム層を剥離する工程(VII)は、工程(III)より前に行ってもよく、工程(III)より後に行ってもよい。
工程(VII)におけるフィルム層の剥離方法は、特に制限はなく、例えば、工程(IV)におけるフィルム層の剥離方法と同じ方法を採用してもよい。上述した樹脂シートを用いた場合、樹脂組成物層とフィルム層との密着強度が低いので、樹脂組成物層の一部又は全部がフィルム層と一緒に剥がれてしまう不具合の発生が抑制され、フィルム層の剥離を円滑に行うことができる。
(工程(III):硬化工程)
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、工程(II)で樹脂シートと基材とをラミネートした後に、基材にラミネートされた樹脂組成物層としての有効樹脂組成物層を硬化する工程(III)を含む。有効樹脂組成層の硬化は、通常、熱硬化によって行う。
有効樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なりうるが、硬化温度は通常120℃~240℃の範囲(好ましくは150℃~220℃の範囲、より好ましくは170℃~200℃の範囲)、硬化時間は5分間~120分間の範囲(好ましくは10分間~100分間の範囲、より好ましくは15分間~90分間の範囲)である。
有効樹脂組成物層を熱硬化させる前に、有効樹脂組成物層に対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。例えば、有効樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、通常50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を、通常5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間)、予備加熱してもよい。
有効樹脂組成物層を硬化させることにより、樹脂組成物の硬化物を含む硬化物層を基材上に形成することができる。よって、上述した製造方法により、硬化物層を備える半導体チップパッケージを得ることができる。通常、得られる半導体チップパッケージは、硬化物層及び半導体チップを含む。そして、上述した樹脂シートを用いて製造された半導体チップパッケージは、通常、反りの抑制が可能である。
半導体チップパッケージにおいて硬化物層は、例えば、封止層、絶縁層、ソルダーレジスト層などとして機能することができる。一例において、基材上に半導体チップが設けられていた場合、半導体チップと、この半導体チップを封止する封止層としての硬化物層とを備える半導体チップパッケージを得ることができる。このような半導体チップパッケージとしては、例えば、Fan-out型WLP、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP、Fan-in型PLP等が挙げられる。
(任意の工程)
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、上述した半導体チップパッケージの製造方法は、
半導体チップを、基材上に仮固定する工程、
半導体チップ上に封止層を形成する工程、
基材を剥離する工程、
基材を剥離した半導体チップの面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
をこの順に含む製造方法として実施しうる。
また、例えば、半導体チップパッケージの製造方法は、
基材上に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程
再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程、
再配線形成層上に、再配線層と電気的に接続されるように、半導体チップを搭載する工程、及び、
半導体チップ上に封止層を形成する工程、
をこの順に含む製造方法として実施しうる。
これらの例に係る製造方法において、上述した硬化物層は、封止層及び再配線形成層に好ましく適用できる。よって、封止層を形成する工程、及び、再配線形成層を形成する工程は、上述した工程(I)~(III)及び必要に応じて工程(IV)~(VII)を含む方法によって実施してもよい。その場合、半導体チップパッケージの製造方法は、上述した硬化体層を封止層又は再配線形成層として機能させるために求められる任意の工程を更に含んでいてもよい。さらに、半導体チップパッケージの製造方法は、封止層及び再配線形成層を形成する以外の任意の工程を含んでいてもよい。以下、それら任意の工程について説明する。
半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、硬化物層にビアホール、スルーホール等のホールを形成する工程を含んでいてもよい。具体例を挙げると、硬化物層を再配線形成層等の絶縁層として用いる場合に、その硬化物層の一側に設けられる導体層と他側に設けられる導体層との間の層間接続のために、硬化物層にホールを形成してもよい。ホールの形成方法としては、例えば、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられる。また、半導体チップパッケージの製造方法は、ホールの形成後、ホール内のスミアを除去するデスミア工程を行うことが好ましい。
半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、硬化物層に対して粗化処理を行う工程を含んでいてもよい。粗化処理によれば、通常、ホール内を含めた硬化物層の表面が粗化される。よって、粗化処理によれば、硬化物層を再配線形成層等の絶縁層として用いる場合に、硬化物層と導体層との密着強度を高めることができる。粗化処理としては、乾式及び湿式のいずれの粗化処理を行ってもよい。乾式の粗化処理の例としては、プラズマ処理等が挙げられる。また、湿式の粗化処理の例としては、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、及び、中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、硬化物層上に導体層を形成する工程を含んでいてもよい。導体層は、例えば、配線として用いることができる。具体例を挙げると、硬化物層を再配線形成層として用いる場合、再配線層として導体層を形成してもよい。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。導体層に含まれる導体材料は、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む材料が挙げられる。導体材料としては、単金属を用いてもよく、合金を用いてもよい。合金としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性の観点から、単金属としてのクロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅;及び、合金としてのニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金;が好ましい。その中でも、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属;及び、ニッケル・クロム合金;がより好ましく、銅の単金属が特に好ましい。導体層は、単層構造を有していてもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造を有していてもよい。
導体層の形成方法は、例えば、めっき法、スパッタ法、蒸着法などが挙げられる。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の適切な方法によって硬化物層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成してもよい。形成される導体層の材料は、単金属でもよく、合金でもよい。また、この導体層は、1層のみを含む単層構造を有していてもよく、異なる種類の材料の層を2層以上含む複層構造を有していてもよい。
ここで、硬化物層上に導体層を形成する実施形態の例を、詳細に説明する。硬化物層の表面に、無電解めっきにより、めっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応して、めっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより電解めっき層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等の処理により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成できる。
また、上述した硬化物層の形成と導体層との形成とを繰り返し行い、硬化物層と導体層を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、硬化物層を研磨する工程を含んでいてもよい。一例において、半導体チップパッケージの製造方法は、基材とは反対側の硬化物層の面を研磨する工程を含んでいてもよい。また、別の一例において、後述するように基材を剥離した場合、半導体チップパッケージの製造方法は、基材を剥離して露出した硬化物層の面を研磨する工程を含んでいてもよい。研磨により、硬化物層の表面の平滑性を向上させることができる。研磨方法の例としては、化学機械研磨装置による化学機械研磨方法、バフ等の機械研磨方法、砥石回転による平面研削方法、等が挙げられる。
半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、硬化物層上に半導体チップを搭載する工程を含んでいてもよい。具体例を挙げると、半導体チップパッケージの製造方法は、硬化物層上に形成された再配線層等の導体層と導体接続できるように、硬化物層上に半導体チップを搭載する工程を含んでいてもよい。この工程は、通常、半導体チップの端子電極と導体層とが導体接続できるように、硬化物層に半導体チップを接合することを含む。接合方法は、例えば、半導体チップと硬化物層との間に、絶縁性の接着剤を介して接合する方法、半導体チップを硬化物層に圧着する方法、リフローによって半導体チップを接合する方法、などが挙げられるが、これら以外の方法でもよい。
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、基材を剥離する工程を含んでいてもよい。具体例を挙げると、仮固定フィルムを含む基材を用いた場合に、基材を剥離することができる。基材の剥離方法としては、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法が挙げられる。仮固定フィルムを加熱、発泡又は膨張させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃~250℃で1秒間~90秒間又は5分間~15分間である。また、基材の剥離方法としては、例えば、基材を通して仮固定フィルムに紫外線を照射して、仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法が挙げられる。紫外線を照射して仮固定フィルムの粘着力を低下させて剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、再配線層等の導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程を含んでいてもよい。ソルダーレジスト層の材料は、絶縁性を有する任意の材料を用いることができる。中でも、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物が好ましい。このソルダーレジスト層を、上述した樹脂シートの樹脂組成物層を硬化して得られる硬化物層によって形成してもよい。
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、バンプを形成するバンピング加工を行う工程を含んでいてもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなどの方法で行うことができる。
本実施形態に係る半導体チップパッケージの製造方法は、任意の工程として、例えば、半導体チップパッケージにダイシングして個片化する工程を含んでいてもよい。
ここで、半導体チップパッケージの製造方法のより具体的な例を説明する。ある具体例では、基材上に、上述した工程(I)~(III)を含む方法によって硬化物層を再配線形成層として形成することと、硬化物層上に導体層を再配線層として形成することと、を行う。硬化物層及び導体層は、それぞれ1層のみ形成してもよく、ビルドアップのために2層以上形成してもよい。その後、硬化物層上に半導体チップを搭載し、封止層を形成して封止する。封止層は、上述した樹脂シートを用いて製造してもよい。そして、必要に応じて基材を剥離し、ダイシングして、半導体チップパッケージを得てもよい。
別の具体例では、基材上に半導体チップを設け、その基材上に、上述した工程(I)~(III)を含む方法によって硬化物層を封止層として形成する。その後、基材を剥離する。基材を剥離して露出した面に、再配線形成層及び再配線層を形成する。再配線形成層は、上述した樹脂シートを用いて形成してもよい。また、再配線形成層及び再配線層は、それぞれ1層のみ形成してもよく、ビルドアップのために2層以上形成してもよい。その後、ダイシングして、半導体チップパッケージを得てもよい。
また、これらの具体例に係る製造方法において、上述した1又は2以上の工程を組み合わせて実施してもよい。
(回路基板を用いた半導体チップパッケージの製造方法)
半導体チップパッケージは、後述する回路基板の製造方法によって回路基板を製造する工程と、この回路基板に半導体チップを搭載する工程と、を含む方法によって製造してもよい。後述する回路基板の製造方法が工程(I)、(II)及び(III)を含むので、この回路基板の製造方法を含む方法によっても、上述した樹脂シートを用いた半導体チップパッケージの製造が可能である。得られる半導体チップパッケージは、通常、硬化物層及び半導体チップを含む。
回路基板に半導体チップを搭載する工程は、通常、半導体チップの端子電極と回路基板の回路配線とが導体接続できるように、回路基板に半導体チップを接合することを含む。回路基板と半導体チップとの接合条件は、例えば、半導体チップのフリップチップ実装において使用される条件を採用できる。また、例えば、半導体チップと回路基板との間に、絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
接合方法の例としては、半導体チップを回路基板に圧着する方法が挙げられる。圧着条件としては、圧着温度は通常120℃~240℃の範囲(好ましくは130℃~200℃の範囲、より好ましくは140℃~180℃の範囲)、圧着時間は通常1秒間~60秒間の範囲(好ましくは5秒間~30秒間の範囲)である。
また、接合方法の他の例としては、半導体チップを回路基板にリフローして接合する方法が挙げられる。リフロー条件は、120℃~300℃の範囲としてもよい。
半導体チップを回路基板に接合した後、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填してもよい。
<回路基板の製造方法>
上述した樹脂シートを用いて、回路基板の製造を行うことができる。本発明の一実施形態に係る回路基板の製造方法は、
樹脂シートの樹脂組成物層をカットする工程(I)と、
カットされた樹脂組成物層を備える樹脂シートと、基材と、をラミネートする工程(II)と、
樹脂組成物層を硬化する工程(III)と、
を含む。
本実施形態に係る回路基板の製造方法において、樹脂シートの樹脂組成物層をカットする工程(I)は、上述した半導体チップパッケージの製造方法の工程(I)と同様に行いうる。本実施形態に係る回路基板の製造方法の工程(I)によれば、半導体チップパッケージの製造方法の工程(I)と同様の利点を得ることができる。
本実施形態に係る回路基板の製造方法は、上述した半導体チップパッケージの製造方法と同じく、フィルム層を剥離する工程(IV)、及び、周辺樹脂組成物層を剥離する工程(V)を含んでいてもよい。回路基板の製造方法における工程(IV)及び工程(V)は、上述した半導体チップパッケージの製造方法の工程(IV)及び工程(V)とそれぞれ同様に行いうる。本実施形態に係る回路基板の製造方法の工程(IV)及び工程(V)によれば、半導体チップパッケージの製造方法の工程(IV)及び工程(V)と同様の利点を得ることができる。
本実施形態に係る回路基板の製造方法は、カットされた樹脂組成物層としての有効樹脂組成物層を備える樹脂シートと、基材と、をラミネートする工程(II)を含む。このラミネートは、樹脂シートの有効樹脂組成物層と基材とが接合するように行う。このラミネートにより、基材上に有効樹脂組成物層を形成することができる。
基材としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられる。また、基材は、当該基材の一部として表面に銅箔等の金属層を有していてもよい。例えば、両方の表面に剥離可能な金属層(第一金属層及び第二金属層)を有する基材を用いてもよい。このような基材を用いる場合、通常、回路配線として機能できる配線層としての導体層が、第二金属層の第一金属層とは反対側の面に形成される。金属層の材料としては、銅箔、キャリア付き銅箔、前述の導体層の材料等が挙げられ、銅箔が好ましい。金属層を有する基材としては、例えば、三井金属鉱業社製のキャリア銅箔付極薄銅箔「Micro Thin」が挙げられる。基材は、その片面又は両面に、導体層を有していてもよく、この導体層は、パターン加工されていてもよい。回路基板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も、前記の「基材」に含まれる。回路基板として部品内蔵回路板を製造する場合、部品を内蔵した基材を使用してもよい。
樹脂シートと基材とのラミネートは、例えば、樹脂シートを基材に加熱圧着することにより、行うことができる。具体的なラミネートの方法及び条件は、上述した半導体チップパッケージの製造方法の工程(II)と同様でありうる。
本実施形態に係る回路基板の製造方法は、上述した半導体チップパッケージの製造方法と同じく、有効樹脂組成物層を平滑化する工程(VI)、及び、フィルム層を剥離する工程(VII)を含んでいてもよい。回路基板の製造方法における工程(VI)及び工程(VII)は、上述した半導体チップパッケージの製造方法の工程(VI)及び工程(VII)とそれぞれ同様に行いうる。本実施形態に係る回路基板の製造方法の工程(VI)及び工程(VII)によれば、半導体チップパッケージの製造方法の工程(VI)及び工程(VII)と同様の利点を得ることができる。
本実施形態に係る回路基板の製造方法は、工程(II)で樹脂シートと基材とをラミネートした後に、基材にラミネートされた樹脂組成物層としての有効樹脂組成物層を硬化する工程(III)を含む。本実施形態に係る回路基板の製造方法の工程(III)は、上述した半導体チップパッケージの製造方法の工程(III)と同様に行いうる。有効樹脂組成物層を硬化させることにより、樹脂組成物の硬化物を含む硬化物層を基材上に形成することができる。よって、上述した製造方法により、硬化物層を備える回路基板を得ることができる。上述した樹脂シートを用いて製造された回路基板は、通常、反りの抑制が可能である。
回路基板において、硬化物層は、例えば、絶縁層、封止層、ソルダーレジスト層などとして機能することができる。
本実施形態に係る回路基板の製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
回路基板の製造方法は、例えば、硬化物層を研磨する工程を含んでいてもよい。回路基板の製造方法は、例えば、硬化物層にビアホール、スルーホール等のホールを形成する工程を含んでいてもよい。また、ホールの形成後、デスミア工程を行ってもよい。回路基板の製造方法は、例えば、硬化物層に対して粗化処理を行う工程を含んでいてもよい。回路基板の製造方法は、例えば、硬化物層上に導体層を形成する工程を含んでいてもよい。これらの任意の工程は、上述した半導体チップパッケージの製造方法で説明したのと同様に行ってもよい。
回路基板の製造方法は、例えば、基材を剥離する工程を含んでいてもよい。具体例を挙げると、基材を剥離する工程は、剥離可能な金属層を有する基材を用いた場合に、行うことができる。基材を除去した場合、硬化物層と、この硬化物層に埋め込まれた導体層とを有する回路基板を製造することが可能である。
回路基板の製造方法は、例えば、上述した工程を繰り返し行って、多層プリント配線板等の多層構造を有する回路基板を製造してもよい。
回路基板の製造方法において、半導体チップパッケージの製造方法で説明したのと同様の工程を行ってもよい。
<半導体装置>
半導体装置は、上述した半導体チップパッケージ又は回路基板を備える。半導体装置としては、例えば、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧(25℃1気圧)大気中で行った。
<原料一覧>
下記の実施例及び比較例で使用した樹脂組成物の原料は、下記の通りである。
(A)成分:
脂肪族トリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX-321L」、エポキシ当量130g/eq.)
フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「WHR991S」、エポキシ当量265g/eq.)
(B)成分:
無機充填剤1:アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径1μm、比表面積4.5m/g、アドマテックス社製「SO-C4」)
(C)成分:
水酸基含有アクリルポリマー(東亞合成社製「ARUFON UH-2000」、重量平均分子量11,000、ガラス転移温度-55℃)
(D)成分:
ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(大和化成工業社製「BMI-4000」、マレイミド基当量285g/eq.、固形分50質量%のトルエン溶液)
カルボジイミド系樹脂(日清紡ケミカル社製「V-03」、活性基当量約216g/eq.、固形分50質量%のトルエン溶液)
活性エステル系樹脂(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223g/eq.、固形分65質量%のトルエン溶液)
フェノールノボラック樹脂(DIC社製「TD-2090-60M」、水酸基当量約105g/eq.、固形分60%のMEK溶液)
(E)成分:
イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、固形分5質量%のMEK溶液)
<製造例1.エラストマー1の製造>
反応容器で、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン(数平均分子量:5047(GPC法)、ヒドロキシル基当量=1800g/eq.、固形分100質量%:日本曹達社製「G-3000」)50gと、芳香族炭化水素系混合溶媒(出光石油化学社製「イプゾール150」)23.5gと、ジブチル錫ラウレート0.005gとを混合し、均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、トルエン-2,4-ジイソシアネート(イソシアネート基当量:87.08g/eq.)4.8gを添加し、約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(酸無水物当量:161.1g/eq.)8.96gと、トリエチレンジアミン0.07gと、エチルジグリコールアセテート(ダイセル社製)40.4gを添加し、攪拌しながら130℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT-IRより2250cm-1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して、イミド構造、ウレタン構造、及びポリブタジエン構造を有するエラストマー1(不揮発分50質量%)を得た。得られたエラストマー1の数平均分子量は、13700であった。
<実施例1>
脂肪族トリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX-321L」、エポキシ当量130g/eq.)4部、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂(日本化薬社製「WHR991S」、エポキシ当量265g/eq.)2部を、MEK8部に撹拌しながら加熱溶解させて、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を室温まで冷却した。その後、前記の樹脂溶液に、エラストマー1(不揮発成分50質量%)を20部、活性エステル系樹脂(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223g/eq.、固形分65質量%のトルエン溶液)2部、フェノールノボラック樹脂(DIC社製「TD-2090-60M」、水酸基当量約105g/eq.、固形分60%のMEK溶液)1.5部、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド(大和化成工業社製「BMI-4000」、マレイミド基当量285g/eq.、固形分50質量%のトルエン溶液)8部、カルボジイミド系樹脂(日清紡ケミカル社製「V-03」、活性基当量約216g/eq.、固形分50質量%のトルエン溶液)2部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、固形分5質量%のMEK溶液)1部、無機充填剤1を85部、及び、MEK10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、混合物を得た。その後、前記の混合物をカートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP020」)で濾過して、樹脂ワニスを製造した。
第一のフィルム層として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃)を用意した。この第一のフィルム層上に、樹脂ワニスを、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが70μmとなるようにダイコーターにて塗布し、85℃~100℃で乾燥して、第一のフィルム層及び樹脂組成物層を含む樹脂シートを得た。乾燥時間は、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように設定した。
<実施例2>
無機充填剤1の量を93部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例3>
無機充填剤1の量を110部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例4>
無機充填剤1の量を75部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例5>
脂肪族トリグリシジルエーテル「EXL―321L」の量を2部に変えた。また、エラストマー1(不揮発成分50質量%)の量を26部に変えた。さらに、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例6>
フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂「WHR991S」の量を3部に変えた。また、エラストマー1(不揮発成分50質量%)の量を14部に変えた。さらに、フェノールノボラック樹脂「TD-2090-60M」(固形分60%)の量を2部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例7>
エラストマー1(不揮発成分50質量%)20部を水酸基含有アクリルポリマー(東亞合成社製「ARUFON UH-2000」、重量平均分子量11,000、ガラス転移温度-55℃)8部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例8>
活性エステル系樹脂「HPC-8000-65T」(固形分65質量%)の量を1.2部に変えた。また、カルボジイミド系樹脂「V-03」(固形分50質量%)の量を3部に変えた。さらに、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例9>
フェノールノボラック樹脂「TD-2090-60M」を用いず、カルボジイミド系樹脂「V-03」(固形分50質量%)の量を8部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例10>
活性エステル系樹脂「HPC-8000-65T」(固形分65質量%)の量を3部に変え、カルボジイミド系樹脂「V-03」を用いなかった。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<実施例11>
ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド「BMI-4000」を用いず、最後に混合するMEKの量を14部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表1の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<比較例1>
エラストマー1(不揮発成分50質量%)の量を36部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表2の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<比較例2>
エラストマー1(不揮発成分50質量%)の量を4部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表2の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<比較例3>
無機充填剤1の量を120部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表2の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<比較例4>
無機充填剤1の量を63部に変えた。また、樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表2の値となるように変更した。以上の事項以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<比較例5>
樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表2の値となるように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<比較例6>
樹脂ワニスの塗布後の乾燥時間を、後述する<190℃加熱による質量減少率の測定>に示す方法によって測定される樹脂組成物層の質量減少率P(a)が表2の値となるように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂ワニス及び樹脂シートを製造した。
<190℃加熱による質量減少率の測定>
樹脂シートを10cm角にカットし、十分に乾燥したシリカゲルと一緒にデシケーターに入れ、30分放置した後、質量Mを測定した。この質量Mから、当該樹脂シートに含まれる第一のフィルム層の質量を引き算して、加熱前の樹脂組成物層の質量m(=M-第一のフィルム層の質量)を求めた。樹脂シートを190℃30分で加熱し、先ほど同様シリカゲルと一緒にデシケーター中で30分放冷後に再度質量Mを測定した。質量Mから質量Mを引き算して、加熱による質量減少量ΔMを求めた。上述した実施例及び比較例で使用した第一のフィルム層は、190℃30分の加熱によって揮発する溶剤等の成分を含まないので、質量減少量ΔMは、樹脂シートの質量減少量だけでなく、樹脂組成物層の質量減少量も表す。この質量減少量ΔMを、加熱前の樹脂組成物層の質量mで割り算して、樹脂組成物層の質量減少率P(a)[%]を計算した。
<130℃加熱後の伸び率及び弾性率の測定>
樹脂シートを130℃30分で加熱し、第一のフィルム層を剥離して、評価用硬化物を得た。この評価用硬化物をダンベル状1号形に切り出し、試験片を得た。該試験片について、オリエンテック社製引張試験機「RTC-1250A」を用いて引張強度測定を行い、25℃における伸び率[%]および引張弾性率[GPa]を求めた。測定は、JIS K7127に準拠して実施した。この操作を3回行い、その平均値を算出した。伸び率[%]の平均値をパラメータP(b)、引張弾性率の平均値をパラメータP(c)として採用した。
<カット性評価試験>
第二のフィルム層としてOPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム、王子エフテックス社製「MA-411」、厚み15μm)を用意した。樹脂シートと第二のフィルム層とを、樹脂組成物層と第二のフィルム層とが接合するように、ロールラミネーターを用いて40℃で貼合して、第一のフィルム層/樹脂組成物層/第二のフィルム層の層構成を有する複層試料シートを得た。この複層試料シートを、ダンベル社製の10cm角カッターを用いて打ち抜いた。打ち抜きで得た正方形の複層試料シートを観察して、その樹脂組成物層の欠けやすさ(カット性)の評価を行った。打ち抜きによる樹脂組成物層の欠けは、カッターの刃が接触した隅部分において生じやすいので、樹脂組成物層の隅部分における欠けが少ないほど、カット性に優れることを表す。
カット性の評価基準:
「○」:複層試料シートの4隅とも、樹脂組成物層の欠けなし。
「△」:複層試料シートの1~3隅において、樹脂組成物層の欠けあり。
「×」:複層試料シートの4隅とも、樹脂組成物層の欠けあり。
<剥離性評価試験>
表面に銅箔を有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、パナソニック社製「R-1766」)を用意した。マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)を用いて、銅エッチング量2μmとなるようにエッチングして、両面の粗化処理を行った。こうして得られた銅張積層板を「粗化銅張積層板」という。
樹脂シートをバッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて粗化銅張積層板に積層した。この積層は、樹脂シートの樹脂組成物層と粗化銅張積層板とが接合するように行った。また、この積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaで圧着することにより行った。
樹脂シートの第一のフィルム層に、幅10mm、長さ100mmの部分を囲む切込みをいれた。この部分の一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製のオートコム型試験機「AC-50C-SL」)で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に20mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、第一のフィルム層と樹脂組成物層との密着強度としてのピール強度を求めた。
前記のピール強度は、樹脂組成物層と第一のフィルム層とを引き剥がすために要する力の大きさを表す。よって、ピール強度が小さいほど、樹脂組成物層とフィルム層との密着強度が小さく、したがってフィルム層の剥離を円滑に行うことができることを表す。よって、ピール強度が小さいほど、フィルム層の剥離による樹脂組成物層の不具合を効果的に抑制できるから、剥離性に優れることを表す。
剥離性の評価基準:
「○」:ピール強度が0.06kgf/cm以下。
「△」:ピール強度が0.07kgf/cm~0.09kgf/cm。
「×」:ピール強度が0.1kgf/cm以上。
<反り評価試験>
樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーターを用いて、12インチシリコンウエハ(厚さ775μm)の片面全体に積層した。この積層は、樹脂組成物層とシリコンウエハとが接合するように行った。樹脂シートの第一のフィルム層を剥離して、樹脂組成物層を露出させた。この露出した樹脂組成物層の表面に、さらに樹脂シートを同様に積層し、第一のフィルム層を剥離した。前記の積層により、12インチシリコンウエハの片面に、2層の樹脂組成物層(合計厚さ140μm)を形成した。なお、積層は30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaで圧着することにより行った。
オーブンにて100℃で30分加熱し、続けて190℃で90分間更に加熱して、樹脂組成物層を硬化させて、「シリコンウエハ/硬化物層」の層構成を有する試料積層体を得た。水平な台の上面に、得られた試料積層体を置いた。試料積層体の端部を、台の上面に押さえつけた。押さえつけた端部とは逆側のシリコンウエハの端部と、台の上面との距離を、反り量として測定した。そして、以下の基準で反り量を評価した。反り量が小さいほど、反りを効果的に抑制できていることを表す。
反りの評価基準:
「○」:反り量が0mm以上0.6mm以下。
「△」:反り量が0.6mmより大きく、1.0mm以下。
「×」:反り量が1.0mmより大きい。
<結果>
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。下記の表において、各成分の量は、不揮発成分の質量部を表す。
Figure 2024020829000002
Figure 2024020829000003
樹脂組成物層の厚みを1μm~150μmの範囲で変更して上述した実施例1~11と同様の実験を行い、それらの実験でも、程度に差はあるものの、実施例1~11と同様の結果に帰着することを確認している。
また、実施例1~11において、(C)成分~(G)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの、実施例1~11と同様の結果に帰着することを確認している。
100 樹脂シート
110 樹脂組成物層
111 有効樹脂組成物層
112 周辺樹脂組成物層
120 第一のフィルム層
130 第二のフィルム層
131 第二のフィルム層の主部分
132 第二のフィルム層の周辺部分

Claims (15)

  1. 樹脂組成物層を備える樹脂シートであって、
    樹脂組成物層が、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含み、
    樹脂組成物層が、下記式(1)を満たす、樹脂シート。
    0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
    (式(1)において、
    P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し、
    P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し、
    P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
  2. 樹脂組成物層が、(C)エラストマーを含む、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 樹脂組成物層が、(D)硬化剤を含む、請求項1に記載の樹脂シート。
  4. (D)硬化剤が、マレイミド系樹脂を含む、請求項3に記載の樹脂シート。
  5. (D)硬化剤が、カルボジイミド系樹脂を含む、請求項3に記載の樹脂シート。
  6. 樹脂組成物層の厚みが、1μm以上150μm以下である、請求項1に記載の樹脂シート。
  7. 樹脂組成物層に接するフィルム層を備える、請求項1に記載の樹脂シート。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂シートの樹脂組成物層をカットする工程(I)、
    カットされた樹脂組成物層を備える樹脂シートと、基材と、をラミネートする工程(II)、及び、
    樹脂組成物層を硬化する工程(III)、を含む、半導体チップパッケージの製造方法。
  9. 基材が、ウエハを含む、請求項8に記載の半導体チップパッケージの製造方法。
  10. 工程(I)が、樹脂組成物層の厚み方向で刃を押し当てて樹脂組成物層をカットすることを含む、請求項8に記載の半導体チップパッケージの製造方法。
  11. 樹脂組成物層を硬化した硬化物層を備え、
    樹脂組成物層が、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含み、
    樹脂組成物層が、下記式(1)を満たす、半導体チップパッケージ。
    0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
    (式(1)において、
    P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し、
    P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し、
    P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
  12. 請求項11に記載の半導体チップパッケージを備える、半導体装置。
  13. 請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂シートの樹脂組成物層をカットする工程(I)、
    カットされた樹脂組成物層を備える樹脂シートと、基材と、をラミネートする工程(II)、及び、
    樹脂組成物層を硬化する工程(III)、を備える、回路基板の製造方法。
  14. 樹脂組成物層を硬化した硬化物層を備え、
    樹脂組成物層が、(A)エポキシ樹脂及び(B)無機充填材を含み、
    樹脂組成物層が、下記式(1)を満たす、回路基板。
    0.09≦P(a)×P(b)/P(c)≦0.3 (1)
    (式(1)において、
    P(a)は、樹脂組成物層の190℃30分の加熱による質量減少率(%)を表し、
    P(b)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される伸び率(%)を表し、
    P(c)は、樹脂組成物層を130℃30分加熱した後に、測定温度25℃で測定される引張弾性率(GPa)を表す。)
  15. 請求項14に記載の回路基板を備える、半導体装置。
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