JP2024020113A - 芯鞘複合繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】芯部にポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物を含有し、鞘部にポリアミド56を含有する芯鞘複合繊維で、芯部/鞘部の質量比率を特定範囲のものとすることにより、吸湿性に優れるポリアミド繊維を提供する。【解決手段】芯部にポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との混合物からなる成分Aと鞘部にポリアミド56からなる成分Bとで構成された芯鞘複合繊維であって、成分Aのポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との混合重量比が95/5~40/60であり、成分Aと成分Bとの質量比率が5/95~75/25である芯鞘複合繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性と吸湿性に優れ、インナー、中衣、スポーツウエア、シャツ、ブラウス、寝具、タオル等の衣料用素材として好適な染色堅牢度の優れた複合繊維に関するものである。
合成繊維は、木綿、麻、ウール、絹等の天然繊維と比べて、強力、耐摩耗性、寸法安定性、ウオッシュアンドウエア性、速乾性等の点で優れており、衣料用素材として広く使用されている。しかし、合成繊維は、一般に、天然繊維が有する優れた吸水性能や吸湿性能を有しておらず、着用時の発汗により、ムレ、ベタツキ等が生じ、天然繊維よりも快適性の点で劣っている。
そこで、従来、合成繊維に吸水性や吸湿性を付与する試みは種々なされている。例えば、特許文献1では、ポリアミドまたはポリエステルと非水溶性ポリエチレンオキシドの架橋物との混合物からなる芯成分と、ポリアミドまたはポリエステルからなる鞘成分とで構成された複合繊維とすることで吸水性と吸放湿性に優れる複合繊維が得られたことが記載されている。
ところで、上記特許文献1でも用いられるポリアミド6は、耐衝撃性や耐薬品性に特に優れ、電気特性にも優れ、低温でも物性が劣化しない、かつ、融点が高く、耐熱性が良い為、種々の繊維、シート、フィルム等として世界中で最も多く使用されている合成樹脂素材のひとつである。
ポリアミド6は従来、ε-カプロラクタムを加水分解させて、ε-アミノカプロン酸を生成し,つぎにこれの分子間縮合反応と、またこれにε-カプロラクタムの付加反応により生成される。しかしながら、このように、従来のポリアミド6は、限りある貴重な化石資源である石油を原材料としたものである。さらに、従来のポリアミド6は、焼却廃棄された場合、本来化石資源中に封じ込められていた炭素が二酸化炭素となって空気中に放出されるため、新たに発生する二酸化炭素により温室効果が増長されることとなり、地球温暖化の一因となっている。
これに対し、バイオマスの起源である植物は、太陽エネルギーと二酸化炭素および水から光合成により澱粉やセルロースなどの植物バイオマスを作ることができる。こういったバイオマスを出発原料として活用すれば石油資源の使用量を抑制することができ、例えばバイオマス由来の炭素をポリアミドの原料として利用すれば、これが使用後焼却処理して炭酸ガスと水に分解されたとしても、それらは再び光合成によって植物に取り込まれることになり、究極のリサイクルシステムが構築できることになる。すなわち、バイオマス原料を用いた分、温室効果ガスである二酸化炭素の新たな増加を抑制できることになる。このことは最近「カーボンニュートラル」と称されているものであり、将来の望ましい姿である。
バイオマス原料を用いたポリアミドとして、ポリアミド56がある。ポリアミド56は、吸湿性に優れるという利点を有しており、ポリアミド6に代えて使用することが考えられる。
特開平08-311719
本発明では上記の問題点を解決し、より環境に配慮した吸水性および吸湿性に優れる合成繊維を得ることを課題とする。具体的には、芯部にポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物を配置し、鞘部にポリアミド56を配置した芯鞘複合繊維とすることにより、従来よりも吸湿性に優れ、かつバイオマス比率(芯鞘複合繊維の使用原料中に占めるバイオマス由来原料の割合)が高い、芯鞘複合繊維を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記(イ)、(ロ)を要旨とするものである。
(イ) 芯部にポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との混合物からなる成分Aと鞘部にポリアミド56からなる成分Bとで構成された芯鞘複合繊維であって、成分Aのポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との混合重量比が95/5~40/60であり、成分Aと成分Bとの質量比率が5/95~75/25である芯鞘複合繊維。
(ロ) 以下の(1)を満足する、(イ)に記載の芯鞘複合繊維。
(1)25℃、60%RH環境下で平衡水分率に達した状態から、34℃×90%RH環境下に平衡状態になるまで放置したときの水分率の差が5.0以上
(ハ) (イ)または(ロ)に記載の芯鞘複合繊維を含有する織編物。
本発明によれば、ポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との混合物からなる成分Aを芯部に、ポリアミド56からなる成分Bを鞘部に用い、成分Aの混合質量比や成分Aと成分Bの質量比率が特定の範囲を満足する芯鞘複合繊維とすることで、バイオマス比率が高く、また、優れた吸水性および吸湿性を有し、衣料用繊維として好適な芯鞘複合繊維を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の芯鞘複合繊維は、芯部がポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との混合物からなる成分Aで構成され、鞘部がポリアミド56からなる成分Bで構成される芯鞘複合繊維である。
まず、芯部について説明する。芯部は非水溶性ポリエチレンオキシド変性物とポリアミド6との混合物からなる成分Aで構成される。
本発明における非水溶性ポリエチレンオキシド変性物とは、水溶性ポリエチレンオキシド(その特性が大きく損なわれない範囲で、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の共重合成分を含有したものを含む。)を適当な架橋剤を用いて架橋処理したもので、吸水性や吸湿性を有し、300℃以下の温度で溶融加工が可能なものをいう。架橋剤としては、アルデヒド、ジアルデヒド、ジアミン、ジイソシアネート、ビスエポキシ化合物等が用いられ、架橋処理によって着色したり、ポリエチレンオキシドが有している吸水性や吸湿性能を著しく低下させないものを選定して使用すればよい。このような非水溶性ポリエチレンオキシド変性物は、例えば、住友精化社製の「アクアコーク」の商品名で市販されているものがある。
なお、吸湿性を一層向上させるため、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその共重合体、ポリメタクリル酸およびその共重合体、ポリビニルアルコールの共重合体等の吸水性樹脂を併せて芯部に含有させることができる。
ポリアミド6は主としてポリカプロアミド(ポリアミド6)である。ここで言う「主として」とは、ポリカプロアミドを構成するε-カプロラクタム単位として全モノマー単位中80モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90モル%以上である。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミン等の単位が挙げられる。
成分Aにおけるポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との含有割合は、質量比で95/5~40/60とすることが好ましい。非水溶性ポリエチレンオキシド変性物は、吸水性や吸湿性能の発現に大きく寄与するものであり、非水溶性ポリエチレンオキシド変性物の割合が上記範囲よりも少ないと、得られる繊維が吸水性や吸湿性に劣るものとなる。一方、非水溶性ポリエチレンオキシド変性物の割合が上記範囲よりも多すぎると、得られる繊維の強度や製糸時の操業性に問題が生じる。
成分Aのポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物の配合は、任意の方法で行うことができる。すなわち、各成分を予め溶融混合してマスターチップ化しておいてもよいし、ドライブレンドしたものを複合紡糸時に使用してもよい。
成分Bとして用いるポリアミド56(ポリアミド56、別名ポリ(ペンタメチレンアジパミド))は原材料としてのペンタメチレンジアミンとアジピン酸とを主たる構成単位とし、重縮合反応によって製造される樹脂である。ペンタメチレンジアミンはバイオマス原料から製造されたものを用いることが好ましく、さらに、本発明で用いるポリアミド56は少なくとも45%がバイオマス原料由来であることが好ましい。
成分Bを鞘部に用いることで、従来ポリアミド樹脂として使用されていたナイロン6と比較して、得られる繊維の吸湿性が向上する。
本発明の芯鞘複合繊維は、芯部と鞘部との質量比が芯/鞘=5/95~75/25であることが好ましく、中でも30/70~60/40であることが好ましい。芯部の割合が少なすぎると吸水性や吸湿性に劣るものとなる。一方、芯部の割合が多くなりすぎると繊維の強度や製糸性に問題が生じることがある。また、環境配慮(芯鞘複合繊維中のバイオマス比率を高いものとできる。)の観点からもポリアミド56を含有する鞘部の構成比率が上記範囲を満足することが好ましい。
中でも、本発明の芯鞘複合繊維は全体として、バイオマス比率(芯鞘複合繊維の使用原料中に占めるバイオマス由来原料の割合)が15%以上であることが好ましい。バイオマス比率が15%未満であると、環境問題に配慮するという目的を果たすことができないものとなるため好ましくない。この点を考慮すると、例えば本発明に用いるポリアミド56として構成単位の45%がバイオマス原料由来からなるものを用いた場合、芯鞘複合繊維の総質量のうち、ポリアミド56の質量を33%以上となるように芯部にポリアミド6、鞘部にポリアミド56を使用することで、得られる本発明の芯鞘複合繊維全体としてのバイオマス比率を15%以上とすることができる。
本発明の芯鞘複合繊維は、芯部は成分A、鞘部は成分Bで構成されるものであるが、成分Aまたは成分Bあるいは両成分中には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリアミド6、ポリアミド56、非水溶性ポリエチレンオキシド変性物以外の熱可塑性樹脂や、艶消剤、顔料、着色剤、難燃剤、強化剤、潤滑剤、消臭剤、制電防止剤、耐光剤、熱安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
本発明では繊維の複合の形態は、芯鞘型とする必要があるが、多芯型(海島型)でもよい。また、繊維の断面形状は特に限定されるものではなく、円形断面の他、楕円形断面、三角断面、星型断面等の異形断面であってもよい。
本発明の芯鞘複合繊維は、単糸1本のみからなるモノフィラメントであってもよいし、複数本の単糸を複合したマルチフィラメントであってもよい。また長繊維、短繊維等のいずれであっても良い。また、必要に応じて捲縮を付与したり、仮撚加工などを施すこともできる。
本発明の芯鞘複合繊維は、単糸繊度が1~5dtex、総繊度が40~300dtexを有するものであることが好ましい。また、芯鞘複合繊維の強度は3.0cN/dtex以上であることが好ましく、伸度は20~90%であることが好ましい。
本発明の芯鞘複合繊維は、20℃の水中に180秒間置いたときの吸水率が50~150%であることが好ましく、80~150%であることがより好ましい。50%未満であると、得られる芯鞘複合繊維に十分な吸水性を付与することができない。一方、吸水率が150%を超える場合は、染色時の色斑の原因となるなど、実用に問題が生じることがあるため好ましくない。なお、吸水率は後述する方法によって算出される値である。
本発明の芯鞘複合繊維は、25℃、60%RH環境下で2時間放置した状態から、34℃×90%RH環境下に平衡状態になるまで放置したときの水分率の差である吸放湿パラメータ(RMA)が5.0以上であることが好ましく、6.0以上がより好ましく、7.0以上がさらに好ましい。本発明においてRMAは下記式で算出される値であり、値が大きくなるほど吸湿性に優れることを示す。RMAを5.0以上とするためには、前記非水溶性ポリエチレンオキシド変性物の芯部への含有割合や芯鞘比率を調節することで可能となる。
(%)=〔(W-W)/W〕×100
(%)=〔(W-W)/W〕×100
RMA=M-M
:初期水分率
:吸湿後の水分率
:温度105℃で2時間乾燥したとき(絶乾時)の重量
:絶乾後、温度25℃、相対湿度60%の条件下で2時間放置した後の重量
:温度25℃、相対湿度60%の条件下で2時間放置した後、温度34℃、相対湿度90%の条件下で24時間放置した後の重量
本発明の芯鞘複合繊維は、上記34℃、90%RHの環境下で平衡水分率に達した状態から、さらに25℃、60%RHの環境下に移し、平衡状態になるまで放置したときの放湿後の水分率が、初期水分率に近い値であると放湿性に優れるため好ましい。本発明において放湿後の水分率は下記式で算出される値である。
(%)=〔(W-W)/W〕×100
:放湿後の水分率
:温度34℃、相対湿度90%の条件下で24時間放置した後に、さらに温度25℃、相対湿度60%の条件下で24時間放置した後の重量
前記25℃、60%RHの温湿度条件は、年間を通じて概ね平均的な温湿度状態や室内環境での衣服内環境を想定したものであり、前記34℃、90%RHの温湿度条件は、初夏から盛夏にかけての比較的高温高湿度状態での衣服内環境を概ね想定したものである。ここで、25℃、60%RH環境下で平衡水分率に達した状態から34℃、90%RHの環境下に平衡状態になるまで放置したときのRMAが5.0以上であれば、環境由来の湿度や人体から排出される水蒸気の汗をより多く吸湿することができるものとなる。そのため、他の素材からなる織編物に比べて、衣服内環境(例えば、温湿度等)を平常に近く保つ効果に優れるものとなる。
また、放湿後の水分率(M)が初期水分率(M)と同程度であれば吸湿した繊維内部の水分を衣服内空間から衣服外の空間へとより多く放湿することが可能となり、蒸れ感が解消され着用時の快適性が良好なものとなる。
次に、本発明の織編物は、本発明の芯鞘複合繊維を少なくとも一部に含有する織物または編物である。本発明の織編物中に含まれる本発明の芯鞘複合繊維の含有量は、25質量%以上であることが好ましく、中でも35質量%以上であることが好ましい。
本発明の織編物は、特に組織など限定されない。織物としては、織、綾織(ツイル)、朱子織、ドビー織、二重織などが挙げられる。本発明の編物においても、編物の組織も特に限定されず、天竺、スムース、フライス、ピケ等の丸編、シングルトリコット、ハーフトリコット等の経編等が挙げられる。
次に、本発明の芯鞘複合繊維および織編物の製造方法を説明する。
本発明の芯鞘複合繊維は、通常の複合紡糸装置を用いて行うことができる。溶融複合紡糸に際しては、芯鞘型の紡糸口金を用い、一般的には200℃~300℃の紡糸温度で複合紡糸を行えばよい。具体的には、芯部と鞘部を構成する樹脂をそれぞれ準備し、芯部と鞘部の質量比が前記したように芯/鞘=5/95~75/25となるよう供給する。そして、紡糸温度280~295℃、紡糸速度2900~3100m/分の条件で紡糸することで、芯鞘構造を呈した本発明の芯鞘複合繊維が得られる。なお、紡糸後は、延伸温度70~90℃、延伸倍率1~2倍、熱処理温度140~180℃にて延伸や熱処理を施してもよい。
本発明の織物および編物は、得られた本発明の芯鞘複合繊維に必要に応じて延伸工程や仮撚工程などの加工を施した後、該芯鞘複合繊維を一部または全部に用いて製織あるいは、製編することで得られる。
次に実施例により本発明を具体的に説明する。なお、特性値の測定法は次のとおりである。
(1)吸水性
得られた芯鞘型複合繊維のみを用いて、48ウェール/2.54cm、44コース/2.54cmのスムース編物を作成した後、20mm×20mmの大きさに切り出して試験片とした。常法によって精練した後、温度25℃、相対湿度60%の条件下で2時間調湿した吸水前の試験片の重量Wを秤量した後、JIS-L 1907 7.2で規定された吸水性測定法によって 180秒後の吸水後試験片の重量W180を測定し、下記の式(a)で吸水率Rを求めた。
R(%)=〔(W180 -W)/W〕×100 (a)
(2)吸湿性、放湿性
得られた芯鞘型複合繊維のみを用いて、48ウェール/2.54cm、44コース/2.54cmのスムース編物を作成した後、20mm×20mmの大きさに切り出して試験片とした。温度105℃で2時間乾燥して試験片の重量Wを測定し、その後、温度25℃、相対湿度60%の条件下で2時間調湿して重量Wを測定し、下記の式(b)で初期水分率Mを求めた。次に、この試験片を温度34℃、相対湿度90%の条件下で24時間吸湿させた後、重量Wを測定し、吸湿後の水分率Mを下記の式(c)で算出した。その後、このサンプルを引き続き温度25℃、相対湿度60%の条件下でさらに24時間放置した後、重量Wを測定し、放湿後の水分率Mを下記の式で(d)で算出した。
(%)=〔(W-W)/W〕×100 (b)
(%)=〔(W-W)/W〕×100 (c)
(%)=〔(W-W)/W〕×100 (d)
次いで、下記の式(e)より、吸放湿パラメータ(RMA)を算出した。
RMA=M-M
実施例1
相対粘度が2.6のポリアミド6と吸水能力が28g/gの「アクアコーク」(AQ)との質量比ポリアミド6/AQ=94/6の混合物を芯成分、相対粘度2.6であるポリアミド56を鞘成分とし、芯鞘複合質量比が50/50の同心円状の芯鞘型複合繊維を以下の紡糸条件で製造した。
(紡糸条件)
芯成分が紡糸温度250℃、鞘成分が紡糸温度280℃とし、ノズル孔径0.40mm、孔数24の紡糸口金を用いて、吐出量36.7g/minで溶融紡糸し、得られた糸条を冷却固化後、油剤付与装置から油剤を付与した。続いて、第一ローラ速度を3927m/min、第二ローラ速度を3978m/minとして1.01倍に延伸した後、フリクションローラ速度を3945m/minで巻き取り、99dtex/24fの芯鞘複合繊維(POY)を採取した。次に得られたPOYを供給糸とし、ディスク仮撚機(TMTマシナリー株式会社製、ATF21)を用いて、第一フィードローラーおよび第二フィードローラーの間の延伸倍率1.26倍で延伸しながら、加工速度500m/min、第一ヒーター温度170℃、第二ヒーター温度130℃の条件で仮撚りを施し、78dtex/24fの仮撚加工糸(DTY)を得た。
次いで、得られた仮撚加工糸のみを使用し、48ウェール/2.54cm、44コース/2.54cmのスムース編物を作成した。
実施例2
芯部におけるポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との質量比をポリアミド6/AQ=40/60に変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘複合繊維(POY)を得た。次いで、得られたPOYを実施例1と同様にして延伸、仮撚加工をすることで78dtex/24fの仮撚加工糸(DTY)を得た。
次いで、実施例1と同様にして得られた仮撚加工糸のみを使用して、48ウェール本/2.54cm、コース44コース本/2.54cmのスムース編物を得た。
比較例1
芯部におけるポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との質量比をポリアミド6/AQ=98/2に変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘複合繊維(POY)を得た。次いで、得られたPOYを実施例1と同様にして延伸、仮撚加工をすることで78dtex/24fの仮撚加工糸(DTY)を得た。
次いで、実施例1と同様にして得られた仮撚加工糸のみを使用して、48ウェール/2.54cm、44コース/2.54cmのスムース編物を得た。
比較例2
鞘成分としてポリアミド6を用いた以外は実施例1と同様にして芯鞘複合繊維(POY)を得た。次いで、得られたPOYを実施例1と同様にして延伸、仮撚加工をすることで78dtex/24fの仮撚加工糸(DTY)を得た。
次いで、実施例1と同様にして得られた仮撚加工糸のみを使用して、48ウェール/2.54cm、44コース/2.54cmのスムース編物を得た。
比較例3
鞘成分としてポリアミド6を用いた以外は実施例2と同様にして芯鞘複合繊維(POY)を得た。次いで、得られたPOYを実施例1と同様にして延伸、仮撚加工をすることで78dtex/24fの仮撚加工糸(DTY)を得た。
次いで、実施例1と同様にして得られた仮撚加工糸のみを使用して、48ウェール/2.54cm、44コース/2.54cmのスムース編物を得た。
比較例4
鞘成分としてポリアミド6を用いた以外は実施例3と同様にして芯鞘複合繊維(POY)を得た。次いで、得られたPOYを実施例1と同様にして延伸、仮撚加工をすることで78dtex/24fの仮撚加工糸(DTY)を得た。
次いで、実施例1と同様にして得られた仮撚加工糸のみを使用して、48ウェール/2.54cm、44コース/2.54cmのスムース編物を得た。
実施例1~2、比較例1~4で得られた編物の吸水性および吸湿性の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1~2で得られた芯鞘複合繊維は、本発明で規定する形態を有し、鞘部にポリアミド56を用いたものであるため、吸水性に優れることに加え、さらに鞘部にポリアミド6を用いた比較例1~4と比較して吸湿性に優れるものであった。

Claims (3)

  1. 芯部にポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との混合物からなる成分Aと鞘部にポリアミド56からなる成分Bとで構成された芯鞘複合繊維であって、成分Aのポリアミド6と非水溶性ポリエチレンオキシド変性物との混合重量比が95/5~40/60であり、成分Aと成分Bとの質量比率が5/95~75/25である芯鞘複合繊維。
  2. 25℃、60%RH環境下で2時間放置した後、34℃×90%RH環境下に平衡状態になるまで放置したときの水分率の差(RMA)が5.0以上である請求項1に記載の芯鞘複合繊維。
  3. 請求項1または2に記載の芯鞘複合繊維を含有する織編物。
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