JP2024019936A - フタロシアニン化合物及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】800nm以上の波長領域において、近赤外光吸収性に優れたフタロシアニン化合物を提供する。【解決手段】特定のフタロシアニン化合物、前記のフタロシアニン化合物を含有する近赤外光吸収材、前記のフタロシアニン化合物を含有する有機半導体材料、前記のフタロシアニン化合物を含有する光電変換材料、および前記の光電変換材料を備える近赤外光センサーを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、フタロシアニン化合物、及びその用途に関する。
太陽光からの熱線(近赤外光)をカットするための近赤外吸収材料として、従来、アンチモンドープ酸化錫(ATO)や錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の無機材料が使用されている。しかしながらこれら無機材料の近赤外光の吸光率は、波長700nm付近から1000nmにかけてゆるやかに上昇するという傾向であるため、その領域のうち700~900nmの範囲の近赤外光の吸光率は低い。
一方、有機色素材料には、700~900nmの波長領域に吸収のピークを有するものがあり、近赤外光の吸収率をより高めた材料として検討されている。特にフタロシアニン化合物は、その色素骨格構造に由来する700nm付近の大きな吸収ピークを有するため、近赤外吸収材料として利用されている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されるフタロシアニン化合物は、700~800nmの波長領域に吸収ピークを持つため、より長波長な800~1000nmの波長領域における近赤外光吸収能が十分であるとは必ずしもいえない。
特開平9-52894号公報 特開2011-94127号公報
本発明が解決しようとする課題は、800nm以上の波長領域において、近赤外光吸収性に優れたフタロシアニン化合物を提供することにある。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決するための優れた特性を有するフタロシアニン化合物を見出し、本発明をなしたものである。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物に関する。
一般式(1)

[X~Xは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、-AB、-SO 、-COO2、-SOH、又は-COOHを表す。Aは、16族元素を表す。Bは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、又は複素環基を表す。Q、Qはそれぞれ独立に、1価のカチオンを表す。
Mは、水素原子、又は2価~5価の金属原子を表し、Mが水素原子又は2価の金属原子である場合はkは0であり、Mが3価の金属原子である場合はkは1であり、Mが4価又は5価の金属原子である場合はkは2である。
Yは、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、-OP(=O)Z、-OC(=O)Z、-OS(=O)、又はOSiZを表す。Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又は複素環基を表す。Zは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は複素環基を表す。Zは、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は複素環基を表す。Z~Zは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は複素環基を表す。]
また本発明は、上記一般式(1)におけるX~Xのうち一つ以上が、-ABである、上記のフタロシアニン化合物に関する。
また本発明は、上記のフタロシアニン化合物を含有する、近赤外光吸収材に関する。
また本発明は、上記のフタロシアニン化合物を含有する、有機半導体材料に関する。
また本発明は、上記のフタロシアニン化合物を含有する、光電変換材料に関する。
また本発明は上記に記載の光電変換材料を備える、近赤外光センサーに関する。
また本発明は、上記に記載の光電変換材料を備える、撮像素子に関する。
本発明によって、800nm以上の波長領域において、優れた近赤外吸収特性を有するフタロシアニン化合物を提供することが可能となった。
フタロシアニン5の吸収スペクトル
以下、本発明を詳細に説明する。なお本明細書においては、異性体の構造のうち一例を示す。
本発明は、上記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物に関する。
アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2-エチルヘキシル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、tert-オクチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。アルキル基の炭素数は1~30の範囲内であることが好ましい。
アルキル基は、置換基を有する置換アルキル基又は無置換のアルキル基であってよく、置換基としては例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基等の他、上述したアルキル基、後述するアリール基、シクロアルキル基、複素環基が挙げられる。また、構造の一部が、アミド結合(-NHCO-)やエステル結合(-COO-)、エーテル結合(-O-)で置換されている場合、その置換部分も「置換基」として含めるものとする。
したがって、置換アルキル基としては、上記の置換基で置換されたアルキル基を意味する。一つ又は二つ以上の置換基で置換されたものであってもよい。例えば、ハロゲン原子で置換されたアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、トリクロロメチル基2,2-ジブロモエチル基等を挙げることができる。
また、アミド結合で置換されたアルキル基の具体例としては、-CH-CH-CH-NHCO-CH-CH-、-CH-CH(-CH)-CH-NHCO-CH-CH-、-CH-CH-CH-NHCO-CH-CH-、-CH-CH-CH-CH-NHCO-CH-CH(CH-CH)-CH-CH-CH-CH-、-(CH-NHCO-(CH11-CH、-CH-CH-CH-C(-NHCO-CH-CH-等を挙げることができる。アミド結合で置換されたアルキル基の炭素数は、2~30の範囲内であることが好ましい。
また、エステル結合で置換されたアルキル基の具体例としては、-CH-CH-CH-COO-CH-CH、-CH-CH(-CH)-CH-COO-CH-CH、-CH-CH-CH-OCO-CH-CH、-CH-CH-CH-CH-COO-CH-CH(CH-CH)-CH-CH-CH-CH、-(CH-COO-(CH11-CH、-CH-CH-CH-CH-(COO-CH-CH等を挙げることができる。エステル結合で置換されたアルキル基の炭素数は、2~30の範囲内であることが好ましい。
また、エーテル結合で置換されたアルキル基の具体例としては、-CH-O-CH、-CH-CH-O-CH-CH、-CH-CH-CH-O-CH-CH、-(CH-CH-O)-CH(ここでnは1から8の整数である)、-(CH-CH-CH-O)-CH(ここでmは1から5の整数である)、-CH-CH(CH)-O-CH-CH-、-CH-CH-(OCH等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。エーテル結合で置換されたアルキル基の炭素数は、2~30の範囲内であることが好ましい。
また、アミド結合(-NHCO-)、エステル結合(-COO-)、及びエーテル結合(-O-)のうち2種以上の置換基で置換されたアルキル基の具体例としては、-CH-CH-NHCO-CH-CH-O-CH-CH(CH-CH)-CH-CH-CH-CH、-CH-CH-COO-CH-CH-O-CH-CH-NHCO-CH-CH(CH-CH)-CH-CH-CH-CHを挙げることができる。アミド結合(-NHCO-)、エステル結合(-COO-)、及びエーテル結合(-O-)のうち2種以上の置換基で置換されたアルキル基の炭素数は、3~30の範囲内であることが好ましい。
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-プチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、シクロアルキル基の炭素数は5~12の範囲内であることが好ましい。シクロアルキル基は置換シクロアルキル基であってもよく、置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基はその構造中に一つの二重結合があるものを一般的に指すが、本明細書においては複数の二重結合を有するものもアルケニル基に含めるものとする。具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、1,3-ブタジエニル基等を挙げることができる。アルケニル基の炭素数は2~18の範囲内であることが好ましい。アルケニル基は置換アルケニル基であってもよく、置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
アルキニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。アルキニル基はその構造中に一つの三重結合があるものを一般的に指すが、本明細書においては複数の三重結合を有するものもアルケニル基に含めるものとする。具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、イソプロピニル基、イソブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基等を挙げることができる。アルキニル基の炭素数は2~18の範囲内であることが好ましい。アルキニル基は置換アルキニル基であってもよく、置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
アリール基としては、単環又は縮合多環のアリール基が挙げられる。例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、2-アントリル基、9-アントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、9-フェナントリル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、9-フルオレニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、3-ペリレニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、4-メチルビフェニル基、ターフェニル基、4-メチル-1-ナフチル基、4-tert-ブチル-1-ナフチル基、4-ナフチル-1-ナフチル基、6-フェニル-2-ナフチル基、10-フェニル-9-アントリル基、スピロフルオレニル基、2-ベンゾシクロブテニル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は6~18の範囲内であることが好ましい。
アリール基は置換アリール基であってもよく、置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
複素環基としては、脂肪族複素環基や芳香族複素環基が挙げられる。具体例としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等が挙げられる。また、下記構造式で表される基も挙げられる。複素環基の炭素数は、4~12であることが好ましい。環員数は、5~13であることが好ましい。
複素環基は置換複素環基であってもよく、置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。例えば、複素環基3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピローリル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシル基が挙げられる。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ基、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等が挙げられる。アルコキシル基の炭素数は1~6の範囲内であることが好ましい。アルコキシ基は置換アルコキシル基であってもよく、置換基としては、上述したアルキル基における置換基と同じ置換基が挙げられる。
置換アルコキシ基の置換基の具体例としては、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、単環又は縮合多環のアリールオキシ基が挙げられる。具体例としては、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アンスリルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基は、単環のアリールオキシ基が好ましい。また、炭素数6~12のアリールオキシ基が好ましい。
アリールオキシ基は置換アリールオキシ基であってもよく、置換基としては、上述したアリール基における置換基と同じ置換基が挙げられる。例えば、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
アルキレン基としては、アルキル基から一つの水素原子を除いた二価の基が挙げられる。
アルキレン基は置換又は無置換のアルキレン基であってよく、その具体例としては、-CH-CH-、-CH-CH-CH-NHCO-CH-CH-、-CH-CH-CH-OCO-CH-CH-、-CH-CH-CH-O-CH-CH-等が挙げられる。
アリーレン基としては、アリール基から一つの水素原子を除いた二価の基が挙げられる。アリーレン基は置換又は無置換のアリーレン基であってよく、その具体例としては、下記構造式で表される基が挙げられる。
Aで表される第16族元素としては、酸素、硫黄、セレン、テルル等が挙げられる。この内、酸素、硫黄、セレンが好ましく、最大吸収波長の更なる長波長化、合成の容易さ、及び安全性の観点で、酸素、硫黄がより好ましく、硫黄が特に好ましい。
上記一般式(1)におけるX~Xにおける-ABの数は、近赤外吸収色素の最大吸収波長をより長波長化する点において4つ以上であることが好ましく、8つであることがさらに好ましい。
、Qで表される1価のカチオンとしては、アルカリ金属イオン、4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。
Mで表される2価の金属原子としては、Mg、Cu、Zn等が挙げられる。Mで表される3価の金属原子としては、Al、Ga、In等が挙げられる。Mで表される4価の金属原子としては、Si、Mn、Sn、Cr、Zr等が挙げられる。Mで表される5価の金属原子としては、P等が挙げられる。耐光性の観点からは、MはCu、Al、Siであることが好ましい。
本発明のフタロシアニン化合物の具体例としては、以下のフタロシアニン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
フタロシアニン化合物は、近赤外線領域に良好な吸収ピークを有するため、熱線を遮蔽することを目的とする近赤外光吸収材、液晶ディスプレイ用光学フィルター、近赤外光センサー、有機半導体材料、光電変換材料、赤外線撮像素子、光記録媒体、光学文字読取機等に用いられる近赤外吸収材、光線力学療法用光増感材、光音響イメージング用色素等に用いられる近赤外光吸収材として有用である。特に、近赤外光吸収材、有機半導体材料、光電変換材料として有用である。また、本発明のフタロシアニン化合物を含む光電変換材料は、近赤外光センサー及び撮像素子の構成材料としても有用である。
本発明のフタロシアニン化合物を上記用途へ利用する場合の態様としては、用途に応じ異なり、多様である。例えば、本発明のフタロシアニン化合物自体であってもよく、バインダー樹脂や添加剤等その他成分と共に混練してもよく、紙、プラスチックシート、プラスチックフィルム、ガラス、樹脂基材等に塗布、ハードコートしてもよい。
上記バインダー樹脂として好ましい樹脂は、実用的に透明であって、光の吸収及び散乱が小さい樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。また、上記1種類の樹脂に限らず、2種以上の樹脂をブレンドしたものも用いることができ、透明性のガラスに上記の樹脂をはさみこんで用いることもできる。
上記添加剤としては、例えば、着色剤、インジウムドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム(ITO)やアンチモンドープ酸化錫(ATO)やカーボンブラック等の他の近赤外光吸収剤、重合調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、耐衝撃性向上のためのゴム、あるいは剥離剤等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(質量分析)
質量分析装置(TOF-MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)により分析した。
[製造例1]
<化合物A-1の製造方法>
4,5-ジブロモ-3,6-ジフェニル-1,2-ベンゼンジカルボニトリル(2.00g、4.56mmol)、ベンゾフェノンイミン(4.13g、22.82mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(0.13g、0.23mol)、rac-BINAP(0.14g、0.23mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(1.75 g、18.25mol)をシュレンク管に加えトルエン(30ml)に溶解させた。この溶液を5時間加熱還流した後、減圧留去によってトルエンを除去した。残渣を酢酸エチル(50ml)に溶解させた後に、セライト濾過した。ろ液を回収して減圧留去により酢酸エチルを除去した後に、残渣をTHF(10ml)に溶解させ、これに2mol/L塩酸(10ml)を氷浴下で加えた。その後氷浴下で15分攪拌した。析出固体を濾過により回収した。この固体をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、収率52%で黄色固体0.74gを得た。質量分析の結果、m/z=311.02(理論値[M+H]=311.12)に分子イオンピークが検出され、表3に示す化合物A-1の構造を有することが確認された。
[製造例2~4]
<化合物A-2~A-4の製造方法>
化合物A-1の製造方法で使用した4,5-ジブロモ-3,6-ジフェニル-1,2-ベンゼンジカルボニトリルを、表3に示すフタロニトリル誘導体に変更した以外は、化合物A-1の製造と同様にして、表3に示す化合物A-2~A-4をそれぞれ製造した。なお、フタロニトリル誘導体は、化合物A-1の製造における4,5-ジブロモ-3,6-ジフェニル-1,2-ベンゼンジカルボニトリルと同モル量使用した。得られた化合物A-2~A-4の構造は、質量分析によって同定し、表3に示した構造を有することが確認された。表3にマススペクトルの分析結果を示す。
[製造例5]
<化合物B-1の製造方法>
化合物A-1(0.50g、1.61mol)を超脱水クロロホルム(25ml)に溶解させた後に、0℃まで冷却した。これに、トリエチルアミン(0.82g、8.06mmol)、塩化チオニル(0.96g、8.06mmol)をそれぞれゆっくり加えた。これを5時間加熱還流した。放冷後に水、酢酸エチルにより分液操作を行い、抽出した。有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた後、ろ過、減圧留去によって、収率90%で黄色固体0.49gを得た。質量分析の結果、m/z=339.10(理論値[M+H]=339.07)に分子イオンピークが検出され、表4に示す化合物B-1の構造を有することが確認された。
[製造例6~8]
<化合物B-2~B-4の製造方法>
化合物B-1の製造方法で使用した化合物A-1を、表4に示す化合物A-2~A-4に変更した以外は、化合物B-1の製造と同様にして、表4に示す化合物B-2~B-4をそれぞれ製造した。なお、化合物A-2~A-4は、化合物B-1の製造における化合物A-1と同モル量使用した。得られた化合物B-2~B-4の構造は、質量分析によって同定し、表4に示した構造を有することが確認された。表4にマススペクトルの分析結果を示す。
[実施例1]
<フタロシアニン1の製造方法>
化合物B-1(100mg、0.30mol)、金属リチウム(14mg、2.02mmol)、1-ブタノール(5ml)の混合物を2時間加熱還流した。減圧留去により溶媒を除去した後に、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、収率77%で暗緑色固体77mgを得た。質量分析の結果、m/z=1355.45(理論値[M+H]=1355.27)に分子イオンピークが検出され、表1に示すフタロシアニン1の構造を有することが確認された。
[実施例2~4]
<フタロシアニン5、9、12の製造方法>
フタロシアニン1の製造方法で使用した化合物B-1を表5に示す化合物B-2~B-4に変更した以外は、フタロシアニンフタロシアニン1の製造と同様にして、表1、2に示すフタロシアニン5、9、12をそれぞれ製造した。なお、化合物B-2~B-4は、フタロシアニン1の製造における化合物B-1と同じモル量で使用した。得られたフタロシアニン5,9,12の構造は、質量分析によって同定し、表1、2に示した構造を有することが確認された。表5にマススペクトルの分析結果を示す。
[実施例5]
<フタロシアニン2の製造方法>
化合物B-1(100mg、0.30mol)、塩化アルミニウム(13mg、0.10mmol)、キノリン(5ml)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(50μL)の混合物を6時間180℃で加熱攪拌した。反応混合物にヘキサンを加えてろ過した後に、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、収率60%で暗緑色固体62mgを得た。質量分析の結果、m/z=1397.20(理論値[M+H]=1397.23)に分子イオンピークが検出され、表1に示すフタロシアニン2の構造を有することが確認された。
[実施例6、7]
<フタロシアニン3、11の製造方法>
フタロシアニン2の製造方法で使用した化合物B-1と塩化アルミニウムを表6に示す化合物B-1、B-3と四塩化ケイ素に変更した以外は、フタロシアニン2の製造と同様にして、表1、2に示すフタロシアニン3、11をそれぞれ製造した。なお、化合物B-1、B-3と四塩化ケイ素は、フタロシアニン2の製造における化合物B-1および塩化アルミニウムと同じモル量で使用した。得られたフタロシアニン3,11の構造は、質量分析によって同定し、表1、2に示した構造を有することが確認された。表6にマススペクトルの分析結果を示す。
[実施例8]
<フタロシアニン4の製造方法>
フタロシアニンB-1(100mg、0.30mol)、酢酸銅(II)(18mg、0.10mmol)、1-ブタノール(5ml)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(30μL)の混合物を24時間加熱還流した。反応混合物にヘキサンを加えてろ過した後に、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、収率20%で暗緑色固体106mgを得た。質量分析の結果、m/z=1431.11(理論値[M+H]=1431.20)に分子イオンピークが検出され、表1に示すフタロシアニン4の構造を有することが確認された。
[実施例9~12]
<フタロシアニン6、7、8、10の製造方法>
フタロシアニン2の製造方法で使用した化合物B-1と酢酸銅(II)を表7に示す化合物B-2、B-3と対応する金属塩に変更した以外は、化合物4の製造と同様にして、表1、2に示すフタロシアニン6、7、8、10をそれぞれ製造した。なお、化合物B-2、B-3と対応する金属塩は、フタロシアニン4の製造における化合物B-1および酢酸銅(II)と同じモル量で使用した。得られたフタロシアニン6、7、8、10の構造は、質量分析によって同定し、表1、2に示した構造を有することが確認された。表7にマススペクトルの分析結果を示す。
[比較例1]
<比較フタロシアニン13の製造方法>
特開2011-94127号公報の実施例4に記載の手法に従って、下記式で表される比較フタロシアニン13を合成した。質量分析の結果、m/z=2052.61(理論値[M+H]=2052.51)に分子イオンピークが検出され、比較フタロシアニン13の構造を有することが確認された。
フタロシアニン13
[比較例2]
<フタロシアニン14の製造方法>
3,4,5,6-テトラチオフェニルフタロニトリル(168mg、0.30mol)、金属リチウム(14mg、2.02mmol)、1-ブタノール(5ml)の混合物を2時間加熱還流した。減圧留去により溶媒を除去した後に、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、収率82%で暗緑色固体138mgを得た。質量分析の結果、m/z=2243.01(理論値[M+H]=2243.22)に分子イオンピークが検出され、下記式で示されるフタロシアニン14の構造を有することが確認された。
フタロシアニン14
(溶液中での吸光度の測定)
フタロシアニン1~14をN-メチル-2-ピロリドンに濃度が2.0μmol/Lになるように溶解した。この溶液を1cm角の石英製セルに入れ、日立製作所社製分光光度計U4100で吸収スペクトルを測定した。測定により得られた最大吸収波長に基づき、以下の基準で評価した。結果を表8に示す。
(評価基準)
S:最大吸収波長が860nm以上
A:最大吸収波長が820nm以上860nm未満
B:最大吸収波長が820nm未満
以上の結果から、フタロシアニン1~12は最大吸収波長が820nm以上であり、800nm~1000nmの波長領域における近赤外光吸収能が、比較フタロシアニン13、14に比べ顕著に高いことが分かった。本発明のフタロシアニン化合物に共通するチアジアゾール部位により、吸収スペクトルが有効に長波長化したためである。よって、本発明のフタロシアニン化合物は、近赤外光吸収材、有機半導体材料、光電変換材料として活用できる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物。
    一般式(1)

    [X~Xは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、-AB、-SO 、-COO2、-SOH、又は-COOHを表す。Aは、16族元素を表す。Bは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シクロアルキル基、又は複素環基を表す。Q、Qはそれぞれ独立に、1価のカチオンを表す。
    Mは、水素原子、又は2価~5価の金属原子を表し、Mが水素原子又は2価の金属原子である場合はkは0であり、Mが3価の金属原子である場合はkは1であり、Mが4価又は5価の金属原子である場合はkは2である。
    Yは、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、-OP(=O)Z、-OC(=O)Z、-OS(=O)、又はOSiZを表す。Z及びZは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又は複素環基を表す。Zは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は複素環基を表す。Zは、水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は複素環基を表す。Z~Zは、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、又は複素環基を表す。]
  2. 上記一般式(1)におけるX~Xのうち一つ以上が、-ABである、請求項1に記載のフタロシアニン化合物。
  3. 請求項1又は2に記載のフタロシアニン化合物を含有する、近赤外光吸収材。
  4. 請求項1又は2に記載のフタロシアニン化合物を含有する、有機半導体材料。
  5. 請求項1又は2に記載のフタロシアニン化合物を含有する、光電変換材料。
  6. 請求項5に記載の光電変換材料を備える、近赤外光センサー。
  7. 請求項5に記載の光電変換材料を備える、撮像素子。

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