JP2024018334A - 複合繊維および粒状綿 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のポリメチルペンテン系繊維よりもさらに捲縮性に優れ、粒状綿への加工性に優れたポリメチルペンテン系の複合繊維を提供すること。【解決手段】下記要件(1)および(2)を満たし、繊維長が21~75mmである複合繊維(y)。要件(1):前記複合繊維(y)が(a)部および(b)部を含み、前記複合繊維(y)の横断面が前記(a)部の横断面および(b)部の横断面の少なくとも2の領域を有し、前記(a)部の質量:前記(b)部の質量=10:90~90:10である。要件(2):前記(a)部はMFR(260℃、5.0kg荷重)が30~180g/10分の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)を含み、前記(b)部はMFR(260℃、5.0kg荷重)が180g/10分を超え、550g/10分以下の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、メチルペンテン系重合体からなる複合繊維、および粒状綿に関する。
従来から軽量で嵩高性に優れた織編物が要望されており、これまでに種々の繊維が提案されている。
ポリメチルペンテンは、従来繊維に用いられていたポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンよりも比重が小さく、極めて軽量性に優れている。また、他のポリオレフィンよりも融点や軟化点が高く、耐熱性に優れ、さらには熱や光に対する耐性も高いため、衣料用途への展開が可能である。
しかしながら、ポリメチルペンテンは結晶性が高く、収縮しにくいという特性を有している。そのため、ポリメチルペンテンを単独で繊維化した場合には、捲縮性を付与することは困難である。また、ポリメチルペンテンは剥離性が高いという特性を有している。例えば、ポリメチルペンテンと他の熱可塑性樹脂とのサイドバイサイド型複合繊維とした場合には、繊維化後の製織、製編などの高次加工工程において剥離が生じ、複合繊維の形態を維持することができないため、ポリメチルペンテンと他の熱可塑性樹脂との収縮差を利用した捲縮性の付与は困難である。
ポリメチルペンテンを用いた繊維としては、特許文献1に、ポリメチルペンテン系樹脂(A)およびポリメチルペンテン系樹脂(B)からなり、それぞれのMFR(測定温度260℃、荷重5kg)をMFR(A)、MFR(B)としたときに、MFR(A)<MFR(B)であるサイドバイサイド型複合繊維が開示されている。そして、特許文献1の実施例には、MFRが100g/10分のポリメチルペンテン系樹脂(A)とMFRが180g/10分のポリメチルペンテン系樹脂(B)を用い、捲縮数が1.1~3.0山/cmのサイドバイサイド型複合繊維を得たことが記載されている。
特開2015-121007号公報
本発明は、従来のポリメチルペンテン系繊維よりもさらに捲縮性に優れ、粒状綿への加工性に優れたポリメチルペンテン系の複合繊維を提供することを目的とする。
本発明は、たとえば以下の[1]~[6]に関する。
[1]
下記要件(1)および(2)を満たし、繊維長が21~75mmである複合繊維(y)。
要件(1):前記複合繊維(y)が(a)部および(b)部を含み、
前記複合繊維(y)の横断面が前記(a)部の横断面および(b)部の横断面の少なくとも2の領域を有し、
前記(a)部の質量:前記(b)部の質量=10:90~90:10である。
要件(2):前記(a)部は260℃、5.0kg荷重で測定したMFR(A)が30~180g/10分の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)を含み、
前記(b)部は260℃、5.0kg荷重で測定したMFR(B)が180g/10分を超え、550g/10分以下の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)を含む。
[2]
下記要件(3)を満たす、前記[1]の複合繊維(y)。
要件(3):前記MFR(A)と前記MFR(B)との比(MFR(A)/MFR(B))が、0.10~0.65である。
[3]
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)が下記要件(A-I)および(A-II)を満たし、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)が下記要件(B-I)および(B-II)を満たす、前記[1]または[2]の複合繊維(y)。
(A-I)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100~90.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0~10.0モル%である。
(A-II)JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した密度が820~850kg/m3の範囲にある。
(B-I)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が100~90.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が0~10.0モル%である。
(B-II)JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した密度が820~850kg/m3の範囲にある。
[4]
サイドバイサイド型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維である前記[1]~[3]のいずれかの繊複合繊維(y)。
[5]
捲縮繊維である前記[1]~[4]のいずれかの複合繊維(y)。
[6]
前記[1]~[5]のいずれかの複合繊維(y)からなる粒状綿。
本発明の複合繊維(y)は、捲縮性に優れ、粒状綿への加工性に優れている。
[複合繊維(y)]
本発明に係る複合繊維(y)は、下記要件(1)および(2)を満たし、繊維長が21~75mmであることを特徴としている。
要件(1):前記複合繊維(y)が(a)部および(b)部を含み、
前記複合繊維(y)の横断面(繊維の紡糸方向に対して垂直方向)が前記(a)部の横断面および(b)部の横断面の少なくとも2の領域を有し、
前記(a)部の質量:前記(b)部の質量=10:90~90:10である。
要件(2):前記(a)部は260℃、5.0kg荷重で測定したMFR(A)が30~180g/10分の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)を含み、
前記(b)部は260℃、5.0kg荷重で測定したMFR(B)が180g/10分を超え、400g/10分以下の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)を含む。
《4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)》
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)は、260℃、5.0kg荷重で測定したメルトフローレート(以下「MFR(A)」とも記載する。)が30~180g/10分、好ましくは30~150g/10分、より好ましくは50~145g/10分の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体である。
MFR(A)が前記下限値以上であると、溶融粘度が高すぎず、紡糸性が良好であり、一方、MFR(A)が前記上限値以下であると、後述の4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)のMFR(B)との溶融粘度差が大きいため、得られる複合繊維(y)の捲縮性が良好である。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)のMFR(A)が上記範囲にあることにより、後述の4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)のMFR(B)との比であるMFR(A)/MFR(B)を0.10~0.65の範囲にすることが容易となる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)は、好ましくは下記要件(A-I)および(A-II)を満たす。
〈要件(A-I)〉
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100~90.0モル%、より好ましくは100~93.0モル%、さらに好ましくは99.5~95.0モル%の範囲であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0~10.0モル%、より好ましくは0~7.0モル%、さらに好ましくは0.5~5.0モル%〔(U1)と(U2)の合計量を100モル%とする。〕の範囲である。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)が共重合体である場合、4-メチル-1-ペンテンと共重合するエチレン及び炭素原子数3~20のα-オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどが挙げられる。これらのうち好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンである。これらのα-オレフィンは、1種単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)中の4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の量は、重合反応中に添加する4-メチル-1-ペンテン、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)の量によって調整することができる。
かかる重合体を用いることにより、より捲縮性に優れる複合繊維(y)を得ることができる。
〈要件(A-II)〉
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した密度が820~850kg/m3、好ましくは825~845kg/m3、より好ましくは830~840kg/m3、さらに好ましくは830~835kg/m3の範囲にある。
密度が上記範囲を満たす4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)を用いてなる複合繊維(y)は軽量性に優れる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)は、上記要件に加え、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融点(Tm)が、通常、200~260℃、好ましくは210~250℃、より好ましくは215~245℃の範囲にある。
融点(Tm)が上記範囲にあると耐熱性に優れる複合繊維(y)が得られる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)は、通常、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解熱が50J/g以下、好ましくは10~50J/g、より好ましくは15~45J/g、さらに好ましくは20~40J/gの範囲にある。
融解熱が上記範囲内にあると、繊維の捲縮性を高めることができる。4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)の融解熱は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)は通常、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]Aが、1.35~2.20dl/g、好ましくは1.40~2.20dl/g、より好ましくは1.45~1.90dl/gの範囲にある。極限粘度[η]Aが上記範囲内であると、得られる繊維の捲縮性を高めることができる。
《4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)》
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は、260℃、5.0kg荷重で測定したメルトフローレート(以下「MFR(B)」とも記載する。)が180g/10分を超え、550g/10分以下、好ましくは200~400g/10分、より好ましくは230~380g/10分、さらに好ましくは250~350g/10分の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体である。
MFR(B)が上記範囲にあると、紡糸性および捲縮性に優れる複合繊維(y)が得られる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)のMFR(B)が上記範囲にあることにより、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)のMFR(A)との比であるMFR(A)/MFR(B)を0.10~0.65の範囲にすることが容易となる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は好ましくは下記要件(B-I)および(B-II)を満たす。
〈要件(B-I)〉
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が100~90.0モル%、より好ましくは100~93.0モル%、さらに好ましくは99.5~95.0モル%の範囲であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が0~10.0モル%、より好ましくは0~7.0モル%、さらに好ましくは0.5~5.0モル%〔(U3)と(U4)の合計量を100モル%とする。〕の範囲である。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)が共重合体である場合、4-メチル-1-ペンテンと共重合するエチレン及び炭素原子数3~20のα-オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンなどが挙げられる。これらのうち好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンである。これらのα-オレフィンは、1種単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)中の4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の量は、重合反応中に添加する4-メチル-1-ペンテン、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)の量によって調整することができる。
かかる重合体を用いることにより、より捲縮性に優れる複合繊維(y)を得ることができる。
〈要件(B-II)〉
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した密度が820~850kg/m3、好ましくは825~845kg/m3、より好ましくは830~840kg/m3、さらに好ましくは830~835kg/m3の範囲にある。
密度が上記範囲を満たす4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)を用いてなる複合繊維(y)は軽量性に優れる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は、上記要件に加え、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融点(Tm)が、通常、200~260℃、好ましくは210~250℃、より好ましくは215~245℃の範囲にある。
融点(Tm)が上記範囲にあると耐熱性に優れる複合繊維(y)が得られる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は、通常、示差走査熱量測定(DSC)で測定した融解熱が30J/g以上、好ましくは30~60J/g、より好ましくは35~55J/g、さらに好ましくは40~50J/gの範囲にある。
融解熱が上記範囲内にあると、複合繊維(y)の捲縮性を高めることができる。4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)の融解熱は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は通常、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]Bが、1.00~1.35dl/g、好ましくは1.05~1.35dl/g、より好ましくは1.05~1.30dl/g、さらに好ましくは1.10~1.25dl/gの範囲にある。極限粘度[η]Bが上記範囲内であると、得られる複合繊維(y)の捲縮性を高めることができる。
前記複合繊維(y)は、好ましくは下記要件(3)を満たす。
〈要件(3)〉
MFRの比(MFR(A)/MFR(B))が、0.10~0.65、より好ましくは0.13~0.63、さらに好ましくは0.15~0.60、特に好ましくは0.18~0.50の範囲にある。
MFR(A)/MFR(B)が、上記範囲にあると、溶融紡糸を容易に行うことができ、より捲縮性に優れる複合繊維(y)が得られる。
<複合繊維(y)>
前記複合繊維(y)は、(a)部および(b)部から構成されており、前記複合繊維(y)の横断面(繊維の紡糸方向に対して垂直方向)が前記(a)部の横断面および前記(b)部の横断面の少なくとも2の領域を有する複合繊維であって、
前記(a)部の質量:前記(b)部の質量が、10:90~90:10、好ましくは20:80~80:20、より好ましくは30:70~70:30の範囲にあり、前記(a)部は前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)を含み、前記(b)部は前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)を含み、
繊維長が21~75mmである、
複合繊維である。
前記(a)部は、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)のみからなるか、または前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)および任意成分(A’)からなる。前記任意成分(A’)の例としては、4-メチル-1-ペンテン系重合体以外の熱可塑性樹脂および添加剤が挙げられる。前記添加剤の例としては、核剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(a)部が前記任意成分(A’)を含む場合、前記(a)部に占める前記任意成分(A’)の割合は、通常30質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
前記(b)部は、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)のみからなるか、または前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)および任意成分(B’)からなる。前記任意成分(B’)の例は、前記任意成分(A’)の例と同様である。
前記(b)部が前記任意成分(B’)を含む場合、前記(b)部に占める前記任意成分(B’)の割合は、通常30質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
前記複合繊維(y)は、前記(a)部および前記(b)部のみからなることが好ましい。
前記複合繊維(y)は捲縮し得る限り、複合形式に特に制限はなく、例えばサイドバイサイド型複合繊維および偏心芯鞘型複合繊維等を挙げることができる。
「サイドバイサイド型繊維」とは、少なくとも2種類の樹脂を溶融押出し、貼り合わせ、貼り合わせ面の面内方向に引き揃えて紡糸することで得られる繊維をいう。サイドバイサイド型繊維の断面に占める、少なくとも2種類の樹脂の比は、主に溶融押出時における樹脂の押出比率により決まる。
「偏心芯鞘型複合繊維」とは、芯鞘型繊維の断面形状において、内層部の重心位置が繊維全体の重心位置と異なる繊維を言い、内層部の重心位置が繊維全体の重心位置と異なるように配置された複合型ノズル、例えば偏心芯鞘型複合ノズルを用いて作製される。また、偏心芯鞘型複合繊維の断面に占める、少なくとも2種類の樹脂の比は、主に溶融押出時における樹脂の押出比率により決まる。
このうち、より高い捲縮性を得るという観点からは、サイドバイサイド型複合繊維が好ましい。また、捲縮性と紡糸成形性に優れるという観点からは、偏心芯鞘型複合繊維が好ましい。
前記複合繊維(y)が、偏心芯鞘型複合繊維である場合、芯成分は重合体(B)であり、鞘成分は重合体(A)であることが好ましい。
前記芯成分の偏心率は、20~85%の範囲内にあることが好ましく、30~80%の範囲内にあることがより好ましく、40~75%の範囲内にあることがさらに好ましい。なお、ここでいう偏心率とは、次式で定義される。
偏心率(%)=(複合繊維断面の中心と芯成分断面の中心との距離)
/複合繊維の半径×100
前記複合繊維(y)の断面形状(外周形状)は、特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができ、真円形、扁平形、だるま形、多葉形、多角形などが挙げられる。偏心芯鞘型複合繊維の場合、その断面形状は通常、真円形である。
前記複合繊維(y)の繊維長は21~75mmであり、好ましくは25~65mmである。繊維長が21mm未満であると、繊維長が短すぎて繊維同士が絡まりにくいため、粒状の形になりにくく、粒状綿に加工できない場合がある。また、繊維長が75mmを超えると、繊維長が長すぎて1本1本の繊維が丸まりにくいため、粒状の形になりにくく、粒状綿に加工できない場合がある。
<複合繊維(y)の製造方法>
前記複合繊維(y)の製造方法としては、上記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)と上記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)を二つの押出機を用いてそれぞれ個別に溶融し、複合紡糸口金から吐出して複合繊維を得る工程、前記複合繊維を冷却、延伸、細化して、捲縮させた後、捕集ベルト上に所定の厚さに堆積する工程、あるいは巻き取る工程などを含む種々の製造方法を採り得る。複合繊維(y)の製造方法は、通常、未切断の複合繊維を21~75mmの繊維長に切断する工程をさらに含む。
以下、前記複合繊維(y)がサイドバイサイド型複合繊維である場合の製造方法の一具体例について詳述する。
4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)をそれぞれ別々に溶融紡糸機にて溶融し、計量ポンプで計量した後、紡糸口金で4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)とをサイドバイサイドに貼り合わせ、吐出して紡出糸条を得る。紡出糸条は冷却装置によって冷却、固化された後、油剤を付与され、交絡付与装置で交絡を付与される。その後、紡出糸条はゴデットロールに引き取られ、巻取機で巻き取られて巻取糸(サイドバイサイド型複合繊維)となる。
溶融紡糸機は、紡糸ができれば特に制限はなく、例えばエクストルーダー型、プレッシャーメルター型が挙げられる。製糸操業性、生産性、繊維の機械的特性を向上させるために、必要に応じて紡糸口金下部に2~20cmの長さの加熱筒や保温筒を設置してもよい。
溶融紡糸における紡糸温度は、260~320℃であることが好ましい。紡糸温度が260℃以上であれば、紡糸口金より吐出された紡出糸条の伸長粘度が十分に低下するため吐出が安定し、さらには、紡糸張力が過度に高くならず、糸切れを抑制することができるため好ましい。紡糸温度は270℃以上であることがより好ましく、280℃以上であることがさらに好ましい。一方、紡糸温度が320℃以下であれば、紡糸時の熱分解を抑制することができ、得られるサイドバイサイド型複合繊維の機械的特性不良や着色が生じないため好ましい。紡糸温度は310℃以下であることがより好ましく、300℃以下であることがさらに好ましい。
溶融紡糸における紡糸速度は、紡糸温度や、4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)との複合比率などに応じて適宜選択することができるが、300~3000m/分であることが好ましい。紡糸速度が800m/分以上であれば、走行糸条が安定し、糸切れを抑制することができるため好ましい。紡糸速度は1000m/分以上であることがより好ましく、1500m/分以上であることがさらに好ましい。一方、紡糸速度が3000m/分以下であれば、紡出糸条を十分に冷却することができ、安定した紡糸を行うことができるため好ましい。紡糸速度は2750m/分以下であることがより好ましく、2500m/分以下であることがさらに好ましい。
溶融紡糸によって引き取られた未延伸糸は、所望の繊維特性を有するサイドバイサイド型複合繊維を得るために延伸を行った方が好ましい。延伸の方法は、特に制限がなく、公知の方法に従い、ドラムに一旦巻き取った未延伸糸を延伸する2工程法、ドラムへ巻き取らずに連続して延伸する直接紡糸延伸法などが挙げられるが、これらに限定されない。
延伸における加熱方法としては、走行糸条を直接的あるいは間接的に加熱できる装置であれば、特に限定されない。加熱方法の具体例として、加熱ローラー、熱ピン、熱板、レーザーなどの装置、温水、熱水などの液体浴、熱空、スチームなどの気体浴などが挙げられるがこれらに限定されない。これらの加熱方法は単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。加熱方法としては、加熱温度の制御、走行糸条への均一な加熱、装置が複雑にならない観点から、加熱ローラーとの接触、熱ピンとの接触、熱板との接触、温水や熱水などの液体浴への浸漬を好適に採用できる。
延伸を行う場合の延伸倍率は、4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)との複合比率、延伸後のサイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、1.1~3.5倍であることが好ましい。延伸倍率が1.1倍以上であれば、延伸によってサイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などの機械的特性を向上させることができるため好ましい。延伸倍率は1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましい。一方、延伸倍率が3.5倍以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸倍率は3.2倍以下であることがより好ましく、3.0倍以下であることがさらに好ましい。また、1段延伸法または2段以上の多段延伸法のいずれの方法によってもよい。
延伸を行う場合の延伸温度は、延伸後のサイドバイサイド型複合繊維の強度や伸度などに応じて適宜選択することができるが、80~140℃であることが好ましい。延伸温度が80℃以上であれば、延伸に供給される糸条の予熱が充分に行われ、延伸時の熱変形が均一となり、繊度斑の発生を抑制できるため好ましい。延伸温度は85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましい。一方、延伸温度が140℃以下であれば、延伸時の糸切れが抑制され、安定した延伸を行うことができるため好ましい。延伸温度は135℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることがさらに好ましい。また、必要に応じて、延伸後に80~150℃の熱セットを行ってもよい。
[偏心芯鞘型複合繊維の製造方法]
前記複合繊維(y)が偏心芯鞘型複合繊維である場合の製造方法の一例を、以下に示す。偏心芯鞘型複合繊維は、例えば、上述した「上記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)と上記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)を二つの押出機を用いてそれぞれ個別に溶融し、複合紡糸口金から吐出して複合繊維を得る工程」において、偏心芯鞘型複合ノズルを用いること、4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)と4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)とを、偏心芯鞘型複合ノズルのそれぞれ鞘成分注入ノズルおよび芯成分注入ノズルから供給すること、ならびに鞘成分の質量分率および芯成分の質量分率を前記偏心芯鞘複合ノズルにおける、芯部および鞘部の樹脂吐出量を調整することによって制御すること以外は上述したサイドバイサイド型複合繊維の製造方法と同様の方法により、製造することができる。
[粒状綿]
本発明の粒状綿は本発明の複合繊維(y)を含む。
本発明の粒状綿は、前記複合繊維(y)を好ましくは30質量%以上100質量%以下の範囲で含む。前記複合繊維(y)は、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上含まれる(ただし、粒状綿の全量を100質量%とする。)。
本発明の粒状綿は、前記複合繊維(y)以外の繊維を含んでもよく、その場合は、本発明の効果を損なわなければ特に制限されない。前記複合繊維(y)以外の繊維としては、具体的には、例えば、コットン、シルク、ウール、麻、及びパルプなどの天然繊維、レーヨン、キュプラ、及び溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維、及びアクリル系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、及びポリブチレンサクシネート及びその共重合体等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン12及びナイロン66等のアミド系、ポリプロピレン、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を含む)、ポリ1-ブテン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系、ならびにポリウレタン系などの合成繊維が挙げられる。前記合成繊維は、単一繊維であっても、或いは上記の樹脂から選択される2以上の樹脂からなるその他の複合繊維であってもよい。例えば、その他の複合繊維は、芯鞘型複合繊維、又は分割型複合繊維であってよい。
<粒状綿の製造方法>
本発明の粒状綿は、種々公知の製造方法、具体的には、前記要件(1)および(2)を満たす複合繊維を前記繊維長となるように切断した複合繊維(y)、及び必要に応じて他の繊維を用意し、必要に応じて、前記複合繊維および/または他の繊維を開繊する。そしてこれらの繊維を所定量秤量し、公知の粒綿製造装置を用いて繊維を交絡させて粒状綿とする。
粒状綿の製造装置としては、高速気流を用い、高速気流下で原料となる繊維を交絡、粒状にする製造装置(例えば、特開平03-206125号公報に記載)、回転可能な金属製の容器内部に掻き上げ羽根を設け、前記容器内部に繊維を投入した後、前記金属容器を回転させて粒状綿を得る製造装置(例えば、特開2003-183969号公報に記載)がある。また、原料となる繊維を塊状とし、円筒状内面と螺旋状溝によって挟み、螺旋状溝を回転させることで球状にする製造方法(例えば、特開2001-295170号公報に記載)もある。粒状綿の製造装置及び製造方法は、繊維を交絡して粒状にできる装置、及び製造方法であれば特に限定されず、いずれの装置及び方法であってもよい。
粒状綿の直径は特に限定されず、例えば、2mm以上30mm以下であってよい。粒状綿の直径は各製造方法において任意の値に調整でき、前記高速気流下で繊維を撹拌して粒状綿にする製造方法であれば、高速気流下で繊維を撹拌する時間を調整することで、大きくすることができるし、小さくすることもできる。
本発明の粒状綿においては、繊維同士が実質的に接着していない。すなわち、原料となる繊維を粒状綿に加工する段階、又は粒状綿に加工した後において、構成繊維間を接着させない。各種粒状綿において、構成繊維間を接着する方法としては、粒状綿に対し、熱処理を行い構成繊維の一部を溶融させて構成繊維間を熱接着する方法、及び粒状綿を製造する段階や粒状に調整した後、各種接着剤を加えて構成繊維間を接着する方法が知られている。しかし、本実施形態で用いる粒状綿については、これらの処理を意図的に行わず、粒状綿は実質的に繊維の交絡のみで、その形状を維持している。粒状綿において、構成繊維間を接着すると、粒状綿の嵩が減少しやすいことに加え、粒状綿の形状が一定の形に固定されてしまうため、複雑な形の空間に対し中綿材料として充填しようとする際、空間の細部にまで行き渡らずに、中綿材料が充填されていない空間が形成されやすい。また、粒状綿同士を、構成繊維の一部を溶融させて接着させたり、接着剤を用いて接着させたりして強固に接着させると得られる粒状綿成形体の風合いが硬くなりやすく、触感を損なうおそれがある。
《用途》
本発明の粒状綿は、例えば、ダウンジャケット等の衣料品に使用する中綿材料、掛け布団やシュラフ、枕等の寝装用品に使用する中綿材料、クッション材(例えば、自動車用、航空機用、鉄道車両用、船舶用の座席に使用するクッション材のほか、一般家庭用、事務用の座席に使用するクッション材)、衣料用パッド(例えば、女性のブラジャーのパッド、肩パッド、肘当てパッド、膝当てパッド等)、緩衝材の他、吸音材や遮音材、防振材や制振材、断熱材、保温材等の用途や技術分野で使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は以下に示す製造例で各々製造した。
〔製造例1〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)の製造
国際公開第2006/054613号の比較例7において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンから導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるようにモノマーの装入量を変更し、下記表1に記載のメルトフローレート(MFR)となるように重合時の水素量を調整することによって、4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)を得た。
〔製造例2〕
4-メチル-1-ペンテン・1-ヘキサデセン・1-オクタデセン共重合体(A-2)の製造
国際公開第2006/054613号の実施例17において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-ヘキサデセンと1-オクタデセン混合物から導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるようにモノマーの装入量を変更し、下記表1に記載のメルトフローレート(MFR)となるように重合時の水素量を調整することによって、4-メチル-1-ペンテン・1-ヘキサデセン・1-オクタデセン共重合体(A-2)を得た。
〔製造例3〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A'-1)の製造
国際公開第2006/054613号の比較例7において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンから導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるように、モノマーの装入量を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A'-1)を得た。
〔製造例4〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)の製造
国際公開第2006/054613号の比較例7において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンから導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるようにモノマーの装入量を変更し、下記表1に記載のメルトフローレート(MFR)となるように重合時の水素量を調整あるいは混練溶融を行うことによって、4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)を得た。
〔製造例5〕
4-メチル-1-ペンテン重合体(B-2)の製造
国際公開第2014/050817号の合成例4に従い、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(以下「メタロセン化合物(a)」ともいう。)を合成した。
充分に乾燥し、窒素置換したシュレンク管に、磁気攪拌子を入れ、メタロセン化合物(a)5.0μmolを入れ、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液300eq/cat.(n-ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で1.50mmol)を攪拌しながら室温で加え、メタロセン化合物(a)の濃度が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し、窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4-メチル-1-ペンテン500mL、シクロヘキサン250mL、および、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al濃度:0.5M)0.5mmolを装入し、水素120.0mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに前記触媒液0.1mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.1μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から20分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、アセトンとメタノールの1:1溶液中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過により回収した。その後、回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4-メチル-1-ペンテン重合体(B-2)を得た。
〔製造例6〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B'-1)の製造
国際公開第2006/054613号の比較例7において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンから導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるようにモノマーの装入量を変更し、下記表1に記載のメルトフローレート(MFR)となるように重合時の水素量を調整することによって、4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1’)を得た。
上記製造例1~6で得られた重合体および共重合体の組成、メルトフローレート(MFR)、極限粘度[η]、融点および融解熱を以下の測定方法により測定した。結果を表1に示す。
〈メルトフローレート(MFR)〉
メルトフローレート(MFR)はASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定した。
〈極限粘度[η]測定〉
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。具体的には、重合体または共重合体約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値(dl/g)を極限粘度として求めた(下記式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〈融点(Tm)、融解熱〉
セイコーインスツル(株)製のDSC測定装置(DSC220C)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度を融点(Tm)とした。測定は、以下のようにして行った。ペレット試料約5mgを測定用アルミパンに詰め、10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、20℃で5分間保持した後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、再度50℃/分の冷却速度で50℃まで降温した。2回目の昇温時に発現した融解ピークを、融点(Tm)とした。また、その融解ピークから融解熱を求めた。融解ピークが複数ある場合には最もピーク強度の強い値を融点とした。
〈密度〉
JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した。
<重合体および共重合体の組成測定>
重合体および共重合体中の、各モノマーから導かれる構成単位の含有量は、以下の装置および条件により、13C-NMRスペクトルによって算出した。
装置として、ブルカー社製のAVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒として、o-ジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)混合溶媒を用い、試料濃度:55mg/0.6mL、測定温度:120℃、観測核:13C(125MHz)、シーケンス:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅:5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間:5.5秒、積算回数:64回の条件で、ベンゼン-d6の128ppmのピークをケミカルシフトの基準値として測定した。主鎖メチンシグナルの積分値を用い、各モノマーから導かれる構成単位の含有量(モル%)を算出した。
なお、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量を4MP-1含有量ともいい、4-メチル-1-ペンテン以外のモノマー(コモノマー)から導かれる構成単位の含有量の合計をコモノマー含有量ともいう。
Figure 2024018334000001
〔実施例1〕
[複合繊維の作製]
製造例1で得た4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)と製造例4で得た4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)をそれぞれ別個の押出機を用い、290℃で溶融し、計量ポンプで計量した後、紡糸ブロックに内蔵された紡糸パックに送った。紡糸パック内でろ過した後、紡糸温度290℃にて、偏心芯鞘型紡糸口金で4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)と4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)とを、複合比率〔(A-1)/(B-1)〕(断面面積比)を50/50とし、偏心率を50%として吐出して偏心芯鞘型複合繊維を製造した。得られた偏心芯鞘型複合繊維を、冷却装置によって冷却、固化して、給油装置で油剤を付与した後、第1ゴデットロールに引き取られ、第2ゴデットロール、第3ゴデットロールおよび第4ゴデットロールを介して、巻取機で巻き取って、偏心芯鞘型複合繊維を得た。
複合繊維の物性を、以下の方法で測定した。結果を表2に示す。
<捲縮数、捲縮率>
捲縮数および捲縮率は、測定試料として短繊維を用い、JIS L1015に準拠して測定した。測定試料に初荷重をかけた時の掴み間の距離(mm)を読み、1inchあたりの捲縮数を求めた。初荷重は1.8mN×試料の繊度(dtex)とした。また、捲縮数の読み方は山と谷を全部数え、2で除して求めた。
捲縮率は試料に1.8mN×試料の繊度(dtex)の初荷重をかけた場合の長さと、44.1mN×試料の繊度(dtex)の荷重をかけた時の長さから、下記式により算出した。
C=(b-a)×100/b
C:捲縮率(%)
a:初荷重をかけた時の長さ(mm)
b:44.1mN×試料の繊度(dtex)の荷重をかけた時の長さ(mm)
[粒状綿の作製]
得られた偏心芯鞘型複合繊維を38mmの長さに切断し、開繊機を通過させ、粒状綿装置を用いて粒状綿を作製した。
<クッションの作製>
上記のとおり得られた粒状綿20gを20cm四方の袋状の生地に入れてクッションを作製した。
<クッションの評価>
得られたクッションを、以下の方法により評価した。結果を表2に示す。
[比容積および回復率]
JIS L 1097に準用して測定した。
[保温率]
JIS L 1096 A法に準拠して測定した。(ASTM形保温性試験機使用、試験室温湿度:20℃、65%RH)
[洗濯性]
JIS L 1930 C4G法に準用して測定した。(吊り干 ネット使用 洗濯回数:3回)
〔実施例2〕
偏心芯鞘型複合繊維を51mmに切断した以外は実施例1と同様の方法により、粒状綿およびクッションを作製し、評価した。結果を表2に示す。
〔比較例1〕
偏心芯鞘型複合繊維を20mmに切断した以外は実施例1と同様の方法で粒状綿の作製を試みたが、粒状綿を形成できなかった。粒状綿を、粒状綿を形成できなかった繊維に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、クッションを作製し、評価した。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
偏心芯鞘型複合繊維を76mmに切断した以外は実施例1と同様の方法で粒状綿の作製を試みたが、粒状綿を形成できなかった。粒状綿を、粒状綿を形成できなかった繊維に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、クッションを作製し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 2024018334000002
〔実施例3〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)に替えて製造例2で得た4-メチル-1-ペンテン・1-ヘキサデセン・1-オクタデセン共重合体(A-2)を用いる以外は実施例1と同様に行い、偏心芯鞘型複合繊維を得た。得られた偏心芯鞘型複合繊維を38mmの長さに切断し、開繊機を通過させ、粒状綿装置を用いて粒状綿を作製した。評価結果を表3に示す。
〔実施例4〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)に替えて製造例5で得た4-メチル-1-ペンテン重合体(B-2)を用いる以外は実施例1と同様に行い、偏心芯鞘型複合繊維を得た。得られた偏心芯鞘型複合繊維を38mmの長さに切断し、開繊機を通過させ、粒状綿装置を用いて粒状綿を作製した。評価結果を表3に示す。
〔実施例5〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)に替えて製造例2で得た4-メチル-1-ペンテン・1-ヘキサデセン・1-オクタデセン共重合体(A-2)を用い、4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)に替えて製造例5で得た4-メチル-1-ペンテン重合体(B-2)を用いる以外は実施例1と同様に行い、偏心芯鞘型複合繊維を得た。得られた偏心芯鞘型複合繊維を38mmの長さに切断し、開繊機を通過させ、粒状綿装置を用いて粒状綿を作製した。評価結果を表3に示す。
〔実施例6〕
偏心率を73%としたこと以外は実施例1と同様に行い、偏心芯鞘型複合繊維を得た。得られた偏心芯鞘型複合繊維を38mmの長さに切断し、開繊機を通過させ、粒状綿装置を用いて粒状綿を作製した。評価結果を表3に示す。
〔実施例7〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)に替えて製造例2で得た4-メチル-1-ペンテン・1-ヘキサデセン・1-オクタデセン共重合体(A-2)を用い、偏心率を73%としたこと以外は実施例1と同様に行い、偏心芯鞘型複合繊維を得た。得られた偏心芯鞘型複合繊維を38mmの長さに切断し、開繊機を通過させ、粒状綿装置を用いて粒状綿を作製した。評価結果を表3に示す。
〔実施例8〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)と4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)との複合比率〔(A-1)/(B-1)〕(断面面積比)を60/40とし、偏心率を73%としたこと以外は実施例1と同様に行い、偏心芯鞘型複合繊維を得た。得られた偏心芯鞘型複合繊維を38mmの長さに切断し、開繊機を通過させ、粒状綿装置を用いて粒状綿を作製した。評価結果を表3に示す。
〔比較例3〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)に替えて製造例3で得た4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A'-1)を、4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)に替えて製造例6で得た4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B'-1)を用いる以外は、実施例1と同様に行い、偏心芯鞘型複合繊維を得た。得られた繊維は捲縮していないため、粒状綿の作製に至らなかった。評価結果を表3に示す。
〔比較例4〕
4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B-1)に替えて製造例6で得た4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(B'-1)を用いる以外は、実施例1と同様に行い、偏心芯鞘型複合繊維を得た。得られた繊維は捲縮していないため、粒状綿の作製に至らなかった。評価結果を表3に示す。
〔比較例5〕
製造例1で得た4-メチル-1-ペンテン・1-デセン共重合体(A-1)を押出機で290℃で溶融し、軽量ポンプで軽量した後、紡糸ブロックに内蔵された紡糸パックに送った。紡糸パック内でろ過した後、紡糸温度290℃で吐出して未延伸繊維を製造した。得られた未延伸繊維を、冷却装置によって冷却、固化して、給油装置で油剤を付与した後、ゴデットロールを介して95℃の条件のもと、1.4倍に延伸した後に、クリンパーで繊維に捲縮をかけ、熱セットして単繊維を得た。得られた単繊維を38mmの長さに切断し、開繊機を通過させ、粒状綿装置を用いて粒状綿の作製を試みたが、作製できなかった。評価結果を表3に示す。
Figure 2024018334000003

Claims (6)

  1. 下記要件(1)および(2)を満たし、繊維長が21~75mmである複合繊維(y)。
    要件(1):前記複合繊維(y)が(a)部および(b)部を含み、
    前記複合繊維(y)の横断面が前記(a)部の横断面および(b)部の横断面の少なくとも2の領域を有し、
    前記(a)部の質量:前記(b)部の質量=10:90~90:10である。
    要件(2):前記(a)部は260℃、5.0kg荷重で測定したMFR(A)が30~180g/10分の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)を含み、
    前記(b)部は260℃、5.0kg荷重で測定したMFR(B)が180g/10分を超え、550g/10分以下の範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)を含む。
  2. 下記要件(3)を満たす、請求項1に記載の複合繊維(y)。
    要件(3):前記MFR(A)と前記MFR(B)との比(MFR(A)/MFR(B))が、0.10~0.65である。
  3. 前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(A)が下記要件(A-I)および(A-II)を満たし、前記4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)が下記要件(B-I)および(B-II)を満たす、請求項2または3に記載の複合繊維(y)。
    (A-I)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100~90.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0~10.0モル%である。
    (A-II)JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した密度が820~850kg/m3の範囲にある。
    (B-I)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が100~90.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が0~10.0モル%である。
    (B-II)JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定した密度が820~850kg/m3の範囲にある。
  4. サイドバイサイド型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維である請求項1または2に記載の複合繊維(y)。
  5. 捲縮繊維である請求項1または2に記載の複合繊維(y)。
  6. 請求項1または2に記載の複合繊維(y)からなる粒状綿。
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