JP2024016799A - 可撓性外歯歯車および波動歯車装置 - Google Patents

可撓性外歯歯車および波動歯車装置 Download PDF

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Abstract

【課題】波動歯車装置の外歯歯車のダイヤフラムに歪ゲージが貼り付けられている場合において、歪ゲージのリード線、配線パターンの断線を防止できるようにすること。【解決手段】波動歯車装置1の可撓性の外歯歯車3は、円筒状胴部32の一体から半径方向の外方に延びるダイヤフラム33、ダイヤフラム33の外周縁に形成した円環状のボス34を備えている。ダイヤフラム33には、円周方向に等角度間隔で、トルク検出用の歪ゲージ11が貼り付けられている。各歪ゲージ11は、ゲージリード線の引き出し側が、ボス34側を向いた姿勢で配置されている。ダイヤフラム33はボス側に接近するほど、撓み量が少ないので、歪ゲージ11から引き出されるゲージリード線の断線等が起きにくい。【選択図】図3

Description

本発明は、シルクハット形状あるいはカップ形状をした可撓性外歯歯車のダイヤフラムに、伝達トルク検出用の歪ゲージが貼り付けられている波動歯車装置の可撓性外歯歯車、および当該可撓性外歯歯車を備えた波動歯車装置に関する。
歪ゲージ式のトルク検出装置を備えたカップ型波動歯車装置、シルクハット型波動歯車装置は、特許文献1~4に提案されている。特許文献1においては、歪ゲージを、カップ形状あるいはシルクハット形状の外歯歯車におけるダイヤフラムとボスとに跨る状態に貼り付けて、歪ゲージから引き出されるリード線、歪ゲージ間等を繋ぐ配線パターンの断線を防止している。
波動歯車装置のトルク検出においては、伝達トルクに関係無く発生する歪みゲージ出力信号に含まれる周期的誤差成分である回転リップルを除去あるいは抑制する必要がある。特許文献2~4には、周期的誤差成分を除去するための方法が提案されている。例えば、特許文献4には、補償したい回転リップル成分の次数をN(N:正の整数)とした場合に、(2N+1)箇所以上に歪みゲージを貼り、それぞれの信号を差動増幅回路で測定し、ゲイン調整して加算する方法が提案されている。
特許第3512160号公報 特許第3644558号公報 特許第4569990号公報 特開2004-45378号公報
ここで、波動歯車装置の外歯歯車において、ボスの部分を利用することなく、ダイヤフラムの部分に歪ゲージを貼り付ける場合に、歪ゲージのリード線、配線パターンの断線を防止するための有効な方法については提案されていない。
また、楕円状に撓められる外歯歯車のダイヤフラムに貼り付けた複数の歪ゲージの出力には、波動発生器1回転につき2周期の大きな振幅の誤差成分が含まれている。歪ゲージの出力信号の加算前の増幅回路のゲインを大きくすると、出力信号が飽和してしまうため、あまり大きなゲイン設定ができない。しかしながら、初段の増幅回路には高精度な計装アンプを使用するため、ここでゲインを大きくとった方が最終的なS/N比は有利になるので、歪ゲージの出力信号の初段増幅回路のゲインを大きくできることが望ましい。
さらに、波動歯車装置の外歯歯車に貼り付けた歪ゲージの出力に基づきトルク検出を行う場合、波動歯車装置の構成部品として欠かせない部品である出力軸ベアリングやオイルシールの摩擦により、トルク検出の直線性誤差やヒステリシスが大きくなる。その影響は、型番・速比によって異なるが、過去の実験データから、波動歯車装置の起動停止時のピークトルクに対して1%~2%、定格トルクに対して2%~4%ほどあり、高精度なトルク検出の妨げになる。また、回転方向がCWからCCW方向に変化したときにも、この摩擦の影響によりトルクセンサ出力のゼロ点がシフトするという課題がある。
本発明は、可撓性外歯歯車に貼り付けた歪ゲージを用いて伝達トルクを検出する場合における課題に着目してなされたものであり、その目的は、可撓性外歯歯車のダイヤフラムに歪ゲージが貼り付けられている場合における歪ゲージのリード線、配線パターンの断線を防止できるようにした波動歯車装置の可撓性外歯歯車、および、当該可撓性外歯歯車を備えた波動歯車装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、歪ゲージの出力信号の初段増幅回路のゲインを大きくできるように、歪ゲージの出力信号に含まれる周期的誤差成分の主成分を相殺できるように歪ゲージが配置された波動歯車装置の可撓性外歯歯車、および、当該可撓性外歯歯車を備えた波動歯車装置を提供することにある。
更に、本発明の目的は、オイルシール等に起因するトルク検出精度の低下を抑制可能な波動歯車装置を提供することにある。
本発明は、
外歯が形成され、半径方向に撓み可能な円筒状胴部と、
前記円筒状胴部の一端から半径方向に延びるダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムの外周縁あるいは内周縁に形成されたボスと、
前記ダイヤフラムの表面に貼り付けられ、伝達トルクの検出に用いる複数の歪ゲージと、
を備えた波動歯車装置の可撓性外歯歯車において、
前記歪ゲージは、ゲージリード線の引き出し側が前記ボスの側を向く姿勢で、前記ダイヤフラムに貼り付けられていることを特徴としている。
本発明の可撓性外歯歯車では、歪ゲージのゲージリード線の引き出し側が、撓みの少ないボス側を向いた姿勢で配置されているので、ダイヤフラムの撓みに起因するゲージリード線の断線が起きにくい。
本発明において、可撓性外歯歯車は、前記歪ゲージの間を接続する配線パターンおよび前記歪ゲージとの間に架け渡されるゲージリード線の半田ランドを備えたフレキシブルプリント配線基板を備えている場合がある。この場合、前記フレキシブルプリント配線基板は、前記歪ゲージが貼り付けられている前記ダイヤフラムの前記表面に取り付けられており、前記配線パターンおよび前記半田ランドは、半径方向において、前記筒状胴部よりも前記ボスに寄った位置に配置されていることが望ましい。また、前記フレキシブルプリント配線基板は、前記ダイヤフラムの前記表面において円周方向に離散配置したスペーサを介して、前記ダイヤフラムに取り付けられていることが望ましい。さらに、前記ゲージリード線は、弛みのある状態で、前記歪ゲージと前記フレキシブルプリント配線基板の前記半田ランドとの間に架け渡されていることが望ましい。これに加えて、前記歪ゲージの前記ゲージリード線および前記フレキシブルプリント配線基板の前記半田ランドを含む部位は、コーティング剤で覆われていることが望ましい。
本発明において、上記構成の可撓性外歯歯車は、
前記ダイヤフラムの前記表面において、円周方向に90度の角度間隔の位置に貼り付けた2つの前記歪ゲージを、歪ゲージ・セットと呼び、Nを正の整数とすると、
前記歪ゲージ・セットが、前記円周方向における相互に異なる(2N+1)か所の位置に配置されていることを特徴としている。
このように配置した歪ゲージ・セットから得られる出力信号においては、周期的誤差成分の主成分が相殺されており、当該出力信号に残っている周期的誤差成分の振幅は、1か所の歪ゲージから得られる出力信号に含まれる周期的誤差成分よりも小さい。よって、歪ゲージ・セットの出力信号の初段増幅回路のゲインを大きくすることができ、伝達トルクの検出精度の改善に有利である。
次に、本発明の波動歯車装置は、
剛性の内歯歯車と、
前記内歯歯車にかみ合い可能な上記構成の可撓性外歯歯車と、
前記可撓性外歯歯車を楕円状に撓めて前記内歯歯車に対して部分的にかみ合わせている波動発生器と、
を備えていることを特徴としている。
ここで、本発明の波動歯車装置が、前記内歯歯車と前記可撓性外歯歯車を相対回転可能な状態で支持しているベアリングと、前記ベアリングの内外輪の間から外部に潤滑剤が漏出することを防止するオイルシールとを備えている場合には、
前記オイルシールとして、接触シールではなく、非接触シールを用いることが望ましい。
これにより、トルク検出における直線性誤差とヒステリシスの影響が大きく改善されるので、非接触シールの使用は、トルク検出の精度向上に有効である。
本発明を適用した波動歯車装置の概略縦断面図である。 (A)は外歯歯車の概略縦断面図、(B)は外歯歯車の概略端面図である。 (A)は外歯歯車のダイヤフラムにおける歪ゲージの貼り付け位置および歪ゲージ番号を示す説明図、(B)はフレキシブルプリント配線基板および配線パターンの端子番号を示す説明図、(C)は歪ゲージブリッジ回路を示す回路図である。 (A)は直交2軸型歪ゲージの貼り付け位置を示す説明図、(B)は2軸平面配置用の歪ゲージの貼り付け位置を示す説明図である。 (A)はカップ形状の外歯歯車の概略縦断面図、(B)は歪ゲージ貼り付け状態を示す説明図である。 (A)は歪ゲージの別の配置例を示す説明図、(B)はそのトルク検出装置の回路図である。
(全体構成)
図1は本発明を適用した波動歯車装置を示す概略縦断面図である。図2(A)は外歯歯車を示す縦断面図であり、図2(B)はトルク検出部が取り付けられている外歯歯車の端面図である。波動歯車装置1は、剛性の内歯歯車2と、この内側に同軸に配置された可撓性の外歯歯車3と、この内側に同軸に嵌め込まれた楕円状輪郭の波動発生器4と、内歯歯車2および外歯歯車3を相対回転自在の状態で支持しているクロスローラベアリング5と、中空入力軸6と、軸方向の一方の側に配置されたエンドプレート7と、軸方向の他方の側に配置されたエンドプレート8とを備えている。中空入力軸6の両側の軸端部は、それぞれ、ボールベアリング9a、9bを介して、エンドプレート7、8によって支持されている。また、波動歯車装置1には伝達トルク検出用のトルク検出部10が付設されている。トルク検出部10は、外歯歯車3のダイヤフラム33に取り付けた複数組の歪ゲージ11、フレキシブルプリント配線基板12、ケーブル配線13、歪ゲージ11の検出信号に基づき伝達トルクを算出する信号処理回路(図示せず)等から構成される。
外歯歯車3はシルクハット形状をしており、外歯31が形成されている円筒状胴部32と、この一端に連続して半径方向の外方に延びるダイヤフラム33と、この外周縁に形成されている円環状のボス34とを備えている。円筒状胴部32は波動発生器4によって楕円形状に撓められ、外歯31が内歯歯車2の内歯21に対して部分的にかみ合っている。波動発生器4は、中空入力軸6に一体形成された一定幅のカム板41と、このカム板41の楕円状外周面に嵌めたウエーブベアリング42とを備えている。
中空入力軸6の回転に伴って波動発生器4が回転すると、両歯車2、3のかみ合い位置が円周方向に移動し、両歯車の歯数差に応じた相対回転が両歯車の間に生じる。内歯歯車2は、クロスローラベアリング5の内輪51とエンドプレート7との間に挟まれており、この状態で、これら三部材が同軸に締結固定されている。外歯歯車3のボス34は、クロスローラベアリング5の外輪52と他方のエンドプレート8との間に挟まれており、この状態で、これら三部材が同軸に締結固定されている。例えば、内歯歯車2の側を回転しないように固定すると、外歯歯車3が回転し、出力軸として機能するエンドプレート8を介して、不図示の負荷部材の側に減速回転が出力される。
(トルク検出部)
図3(A)は外歯歯車3のダイヤフラム33における歪ゲージ11の貼り付け位置を示す説明図である。図3(B)はフレキシブルプリント配線基板12および配線パターンの端子番号を示す説明図、図3(C)は歪ゲージ11および配線パターンによって構成される歪ゲージブリッジ回路を示す回路図である。
外歯歯車3のダイヤフラム33において、円筒状胴部32の内周面に繋がっている内側端面35には、複数枚の歪ゲージ11が接着剤により貼り付けられている。また、内側端面35には、両面テープ等からなるスペーサ14を介して、フレキシブルプリント配線基板12(以下、「FPC12」という。)が取り付けられている。FPC12からはケーブル配線13が引き出されている。また、歪ゲージ11のそれぞれが配置されている部位は、配線保護のためにコーティング剤によって覆われたコーティング剤塗布部16となっている。図においては、コーティング剤塗布部16を網掛け部分として示してある。
具体的に説明すると、図3(A)に示すように、外歯歯車3のダイヤフラム33において、円筒状胴部32の内周面に繋がっている内側端面35には、接着剤により、歪ゲージ11が貼り付けられている。歪ゲージ11は直交2軸型の歪ゲージであり、2枚の歪ゲージ素子のそれぞれが、ゲージベース111と、ベース表面に所定のパターンで形成された金属箔からなる抵抗線部分112と、抵抗線部分112をゲージリード線に接続するためのゲージリード端子部113とを備えている。
本例の歪ゲージ11は、ダイヤフラム33の内側端面35において、その円筒状胴部32に繋がる円形内周縁部分36よりも、ボス34に繋がる円形外周縁部分37の側に近い位置において、2枚の歪ゲージ素子が半径線rに対して左右に45°傾斜した状態に配置されている。また、歪ゲージ11は、そのゲージリード端子部113の側(ゲージリード端子の引き出し側)が、ボス側である円形外周縁部分37の側(半径方向の外側)を向く姿勢で配置されている。
歪ゲージ11は、外歯歯車3の撓みに起因する出力変動補償のために、同一円周上に複数枚貼り付けられている。本例では、8組の歪ゲージ11が、円周方向に45°の等角度間隔でダイヤフラム33の内側端面35に貼り付けられている。
FPC12は、図2に示すように、矩形輪郭をした一定厚さのスペーサ14を介して、ダイヤフラム33の内側端面35に貼り付けられている。スペーサ14は、円周方向に45°の角度間隔で配置されている。したがって、FPC12は、スペーサ14が配置されている部分以外の部分においては、スペーサ14の厚さ分、例えば1mm程度、ダイヤフラム33の内側端面35から浮き上がった位置にある。FPC12は、一定幅の円環形状をした片面フレキシブル基板からなり、歪ゲージ11のそれぞれに対応する部位に長円形の開口部121が形成されている。また、その表面には、各開口部121の両側にリード線接続用の半田ランド部122、および歪ゲージ間等を接続する配線パターン123、外部に引き出されるケーブル配線13を接続するための外部引出し配線用の半田ランド部124が形成されている。
本例では、歪ゲージ11をボス側の円形外周縁部分37に寄せた位置に配置しており、これに合わせて、半田ランド部122、124および配線パターン123も、ボス側の円形外周縁部分37に寄せた位置に配置されている。また、円周方向に延びる各配線パターン123は、なるべく曲率半径の大きな円弧を描くように形成されている。さらに、歪ゲージ11のゲージリード端子部113と、FPC12の側の対応する接続端子である半田ランド部122との間を結ぶゲージリード線17は、図2(A)に示すように、1~2mm程度の弛みを持たせた状態で、これらの部位113、122の間に架け渡されている。
図2に示すように、FPC12において、歪ゲージ11が位置する開口部を含む部分は、シリコーンゴム等のコーティング剤によって覆われたコーティング剤塗布部16となっている。コーティング剤塗布部16は、歪ゲージ11および半田ランド部122、124を含む範囲に形成されている。
なお、図3(C)に示すように、歪ゲージ11は、配線パターン123によって接続されて、歪ゲージブリッジ回路を構成している。図3(C)に示す符号A、A~H、Hは、それぞれ、図3(A)において同一符号で示す位置にある8組の2軸直交型の歪ゲージ11のそれぞれを示す。また、図3(C)における歪ゲージ11のそれぞれの間の配線パターン123は、図3(B)において同一符号で示すFPC端子(半田ランド部122)の間を繋ぐ配線パターンである。
このように構成した歪ゲージ11、FPC12を含むトルク検出部10は、次のような作用効果を奏する。
(1)外歯歯車3のダイヤフラム33における変位量が、ボス34に繋がっている円形外周縁部分の部位では実質的に零であり、ここから、円筒状胴部32に向けて増加していることに鑑みて、歪ゲージ11のゲージリード線17の引出側がボス34の側を向く状態で、歪ゲージ11をダイヤフラム33に貼り付けてある。ゲージリード端子部113から引き出されるゲージリード線17は、ダイヤフラム33の撓みによって大きく引っ張られることがなく、その断線が起こりにくい。これにより、歪ゲージ11から引き出されるゲージリード線17が断線しにくくなる。
(2)歪ゲージ11から引き出されるゲージリード線17は、十分な余長を取って弛ませた状態で、FPC12の端子(半田ランド部122)に半田付けされる。歪ゲージ11が貼り付けられているダイヤフラム33の撓みによって、ゲージリード線17に大きな引張力が作用しても、弛みの部分が引張力を緩和させるので、ゲージリード線17に断線が起きにくい。
(3)歪ゲージ11およびゲージリード線17が配置されているFPC12の部位が、シリコーンゴムなどのコーティング剤で覆われたコーティング剤塗布部16で保護されている。これより、ゲージリード線17の断線が起きにくい。
(4)歪ゲージ11の間等を接続しているFPC12に形成されている配線パターン123、半田ランド部122、124は、ダイヤフラム33の内側端面35上において、ボス34に近い位置に配置している。また、配線パターン123の曲率半径を極力大きくしている。これにより、配線パターン123に断線が起きにくい。
(5)配線パターン123が形成されているFPC12は、ダイヤフラム33の内側端面35に直接貼るのではなく、内側端面35において円周方向に離散配置した両面テープなどからなるスペーサ14を介して、ダイヤフラム33に貼り付けられている。FPC12は、スペーサ14以外の部位では、内側端面35から離れている。よって、ダイヤフラム33の撓みに起因して、引張力がFPC12に作用することを抑制でき、FPC12の断線が起きにくい。
(非接触型シール)
次に、本例の波動歯車装置1においては、図1に示すように、内歯歯車2と外歯歯車3とを相対回転可能な状態で支持しているクロスローラベアリング5に、一般的に使用されている接触シールであるオイルシールの代わりに、非接触型シール18、本例ではラビリンスシールが取り付けられている。非接触型シール18によって、クロスローラベアリング5の内外輪51、52の間を介して装置外部への潤滑剤の漏れが防止される。
外歯歯車3に貼り付けた歪ゲージ11を用いたトルク検出においては、オイルシール等の摩擦により、トルク検出の直線性誤差やヒステリシスが大きくなり、高精度なトルク検出の妨げになる。また、回転方向がCWからCCW方向に変化したときにも、この摩擦の影響によりトルクセンサ出力のゼロ点がシフトするという課題がある。
本例では、接触型シールであるオイルシールの代わりに非接触型シール18を配置してある。本発明者等の実験によれば、オイルシールを取り除くだけで、トルク検出における直線性誤差とヒステリシスの影響が大きく改善されることが確認された。よって、歪ゲージを用いたトルク検出において、オイルシールに代えて、油溝、スリンガ、ラビリンスシール等の非接触型シールを用いることが検出精度の向上に有効である。
なお、波動歯車装置1において、中空入力軸6の両軸端部を支持しているボールベアリング9a、9bからの潤滑剤漏れを防止するためのオイルシール19a、19bが取り付けられている。これらのオイルシール19a、19bの代わりに、非接触型シールを用いることができる。
(歪ゲージの別の例および貼り付け位置)
図4は歪ゲージ11の別の例および貼り付け位置を示す説明図である。図4(A)に示す歪ゲージ11Aは、基本構成は歪ゲージ11と同一であるが、そのゲージリード端子部113の側において、ゲージベース111を、ダイヤフラム33の円形外周縁部分37に沿った円弧形状にカットしてある。これにより、歪ゲージ11Aを、ボス34の側により接近させた位置に配置してある。これにより、歪ゲージ11Aから引き出されるゲージリード線は、ダイヤフラム33の撓みによる影響がより小さくなり、断線が起きにくい。
図4(B)は、歪ゲージ11として、2軸平面配置用の歪ゲージ11Bを使用した場合の例を示してある。この場合においても、歪ゲージ11Bのゲージリード端子部の側を、ボス側の円形外周縁部分に向ける。また、歪ゲージ11Bを、可能な限り、円形外周縁部分に接近した位置に貼り付ける。この場合においても、直交2軸型の歪ゲージ11、11Aの場合と同様に、ゲージリード線の断線が起きにくいという作用効果が得られる。
(カップ形状の外歯歯車の例)
図5(A)および(B)は、本発明を適用したカップ形状の外歯歯車を示す縦断面図および端面図である。カップ形状の外歯歯車330を備えた波動歯車装置は、シルクハット形状の外歯歯車を備えた波動歯車装置と同様に、波動発生器によって楕円状に撓められてその外歯331が剛性の内歯歯車の内歯に対して部分的にかみ合わされる。
カップ形状の外歯歯車330は、外歯331が形成された円筒状胴部332の一端から半径方向の内方にダイヤフラム333が延びており、ダイヤフラム333の内周縁に円環状のボス334が形成されている。ダイヤフラム333において、円筒状胴部332の外周面に繋がる外側端面335に、伝達トルク検出用のトルク検出部310が配置されている。トルク検出部用の複数組の歪ゲージ311が貼り付けられている。
具体的に説明すると、外歯歯車330のダイヤフラム333において、円筒状胴部332の外周面に繋がっている外側端面335には、接着剤により、複数組の直交2軸型の歪ゲージ311が貼り付けられている。歪ゲージ311は、ゲージベース312と、ベース表面に所定のパターンで形成された金属箔からなる抵抗線部分313と、抵抗線部分313をゲージリード線に接続するためのゲージリード端子部314とを備えている。
歪ゲージ311は、ダイヤフラム333の外側端面335において、その円筒状胴部332に繋がる円形外周縁部分336よりも、ボス334に繋がる円形内周縁部分337の側に近い位置において、半径線に対して左右に45°傾斜した状態に配置されている。また、歪ゲージ311は、そのゲージリード端子部314がボス334の側の円形内周縁部分337を向くように配置されている。また、歪ゲージ311は、外歯歯車330の撓みに起因する出力変動補償のために、同一円周上に複数枚貼り付けられている。本例では、2枚一組の歪ゲージ311が、円周方向に45°の等角度間隔でダイヤフラム333の外側端面335に、8組貼り付けられている。
外歯歯車330のボス334には、歪ゲージ311の間を繋ぐ配線パターン、半田ランドが形成されたFPC320が取り付けられ、FPCからは信号線ケーブルが引き出される。FPCはシルクハット形状の外歯歯車3に取り付けたFPC12と同様な構成とすることができる。
(歪ゲージの配置例)
ここで、図1に示す波動歯車装置1において、1か所の歪ゲージ11からは、波動発生器1回転につき2周期の大きな振幅の信号が含まれているため、加算前の増幅回路のゲインを大きくすると、出力信号が飽和してしまうため、あまり大きなゲイン設定ができない。波動発生器4の回転による周期的変動は180度1周期の信号が主成分のため、90度ずらした2か所に配置した2枚の歪ゲージ11を1セットとし、Nを正の整数とする。このセットを、(2N+1)か所に配置し、各セットの歪ゲージ11の出力をそれぞれ測定する。周期的誤差信号の主成分が相殺されているため、1か所の歪ゲージよりも残りの誤差信号の振幅は小さくなり、初段増幅回路のゲインを大きくすることができる。
図6(A)は歪ゲージの配置例を示す説明図である。この図においては、N=1の場合である3セット分の歪ゲージが配置される場合を示してある。図に示すように、シルクハット形状の可撓性外歯歯車のダイヤフラム33には、6組の直交2軸型の歪ゲージ11(A,A)、11(A,A)、11(B,B)、11(B,B)、11(C,C)および11(C,C)が貼り付けられている。歪ゲージ11(A,A)と歪ゲージ11(A,A)は、円周方向において90度の角度間隔の位置に貼り付けられた第1歪ゲージ・セットである。同様に、歪ゲージ11(B,B)と歪ゲージ11(B,B)は円周方向に90度の角度間隔で貼り付けた第2歪ゲージ・セットであり、歪ゲージ11(C,C)と歪ゲージ11(C,C)は円周方向に90度の角度間隔で貼り付けた第3歪ゲージ・セットである。本例では、N=1であり、また、第1、第2,第3歪ゲージ・セットは、それらの円周方向の中心が、120度の角度間隔となるように配置されている。
図6(B)は、このように歪ゲージが配置されているトルク検出部の回路図を示す。トルク検出部は、3組の第1歪ゲージ・セットA、第2歪ゲージ・セットBおよび第3歪ゲージ・セットCを構成している6組の直交2軸型の歪ゲージ11(A,A)、11(A,A)、11(B,B)、11(B,B)、11(C,C)および11(C,C)によってブリッジ回路が構成されている。3組の第1~第3歪ゲージ・セットから信号処理回路に入力される3組の出力信号においては、周期的誤差成分の主成分(180度1周期の誤差成分)が相殺されるので、個々の歪ゲージ11の出力信号に比べて、含まれている周期的誤差成分の振幅が小さい。よって、信号処理回路において、初段増幅回路のゲインを大きくすることができ、これにより、伝達トルクの検出精度を高めることができる。
また、従来の方法では、歪ゲージとして、直交2軸型ゲージを使っても、ハーフブリッジ回路構成での測定になる。本例では、フルブリッジ回路構成での測定ができるため、トルク出力は2倍になり、S/N比が向上する。また、ホイートストンブリッジ内の固定抵抗が不要になり、4辺が歪ゲージとなるため温度特性も向上する。
1 波動歯車装置
2 内歯歯車
3 外歯歯車
4 波動発生器
5 クロスローラベアリング
6 中空入力軸
7、8 エンドプレート
9a、9b ボールベアリング
10 トルク検出部
11、11A、11B 歪ゲージ
12 FPC(フレキシブルプリント配線基板)
13 ケーブル配線
14 スペーサ
16 コーティング剤塗布部
17 ゲージリード線
18 非接触型シール
19a、19b オイルシール
21 内歯
31 外歯
32 円筒状胴部
33 ダイヤフラム
34 ボス
35 内側端面
36 円形内周縁部分
37 円形外周縁部分
41 カム板
42 ウエーブベアリング
51 内輪
52 外輪
111 ゲージベース
112 抵抗線部分
113 ゲージリード端子部
121 開口部
122 半田ランド部
123 配線パターン
124 半田ランド部
310 トルク検出部
311 歪ゲージ
312 ゲージベース
313 抵抗線部分
314 ゲージリード端子部
320 FPC
330 外歯歯車
331 外歯
332 円筒状胴部
333 ダイヤフラム
334 ボス
335 外側端面
336 円形外周縁部分
337 円形内周縁部分
r 半径線

Claims (8)

  1. 外歯が形成され、半径方向に撓み可能な円筒状胴部と、
    前記円筒状胴部の一端から半径方向に延びるダイヤフラムと、
    前記ダイヤフラムの外周縁あるいは内周縁に形成されたボスと、
    前記ダイヤフラムの表面に貼り付けられ、伝達トルクの検出に用いる複数の歪ゲージと、
    を備えた波動歯車装置の可撓性外歯歯車において、
    前記歪ゲージは、ゲージリード線の引き出し側が前記ボスの側を向く姿勢で、前記ダイヤフラムに貼り付けられていることを特徴とする波動歯車装置の可撓性外歯歯車。
  2. 請求項1において、
    前記歪ゲージの間を接続する配線パターンおよび前記歪ゲージとの間に架け渡されるゲージリード線の半田ランドを備えたフレキシブルプリント配線基板を備えており、
    前記フレキシブルプリント配線基板は、前記歪ゲージが貼り付けられている前記ダイヤフラムの前記表面に取り付けられており、
    前記配線パターンおよび前記半田ランドは、半径方向において、前記円筒状胴部よりも前記ボスに寄った位置に配置されている波動歯車装置の可撓性外歯歯車。
  3. 請求項2に記載の可撓性外歯歯車おいて、
    前記フレキシブルプリント配線基板は、前記ダイヤフラムの前記表面において円周方向に離散配置したスペーサを介して、前記ダイヤフラムに取り付けられている可撓性外歯歯車。
  4. 請求項3に記載の可撓性外歯歯車において、
    前記ゲージリード線は、弛みのある状態で、前記歪ゲージと前記フレキシブルプリント配線基板の前記半田ランドとの間に架け渡されている可撓性外歯歯車。
  5. 請求項4に記載の可撓性外歯歯車において、
    前記歪ゲージの前記ゲージリード線および前記フレキシブルプリント配線基板の前記半田ランドを含む部位は、コーティング剤で覆われている可撓性外歯歯車。
  6. 請求項1に記載の可撓性外歯歯車において、
    前記ダイヤフラムの前記表面において、円周方向に90度の角度間隔の位置に貼り付けた2つの前記歪ゲージを、歪ゲージ・セットと呼び、Nを正の整数とすると、
    前記歪ゲージ・セットが、前記円周方向における相互に異なる(2N+1)か所の位置に配置されている可撓性外歯歯車。
  7. 剛性の内歯歯車と、
    前記内歯歯車にかみ合い可能な、請求項1ないし6のうちのいずれか一つの項に記載の前記可撓性外歯歯車と、
    前記可撓性外歯歯車を楕円状に撓めて前記内歯歯車に対して部分的にかみ合わせている波動発生器と、
    を備えていることを特徴とする波動歯車装置。
  8. 請求項7に記載の波動歯車装置おいて、
    前記内歯歯車と前記可撓性外歯歯車を相対回転可能な状態で支持しているベアリングと、
    前記ベアリングの内外輪の間から外部に潤滑剤が漏出することを防止する非接触シールと、
    を備えていることを特徴とする波動歯車装置。
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