JP2024015778A - パイ用穀粉組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】サクサクとした食感に優れ、保存しても食感が劣化し難いパイを得ることができる穀粉組成物を提供することを課題とする【解決手段】米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物であって、前記米粉の含有率が52質量%以下である、前記パイ用穀粉組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、サクサクとした食感に優れたパイを得ることができる穀粉組成物に関する。
パイは、一般的に小麦粉、練り込み用油脂、水分、食塩、任意にショ糖等の原料を混捏して得られる穀粉生地に折り込み用油脂を包み込み、圧延と折り込みを繰り返して穀粉生地層と折り込み油脂層とが交互に層状となる層状生地を形成し、この層状生地を所望の形状に成形した後に焼成することによって製造される。このようにして製造されたパイは、穀粉層生地間の空隙により、ボリュームがあり、サクサクとした崩壊感のある歯切れが特徴的な食感を有しており、非常に人気の高いベーカリー食品の一つである。
しかしながら、製造後、時間の経過に伴ってサクサクとした食感が損なわれ、歯切れの悪い食感になるという問題がある。また、室温、冷蔵あるいは冷凍保存したパイを電子レンジ加熱して喫食しようとすると、ヒキの強い食感になるという問題もある。
このような問題を解決するために種々検討されている。
特許文献1には、全油脂の固体脂含量が10℃で30~55%、20℃で10~26%、30℃で16%以下である可塑性油脂組成物であって、該可塑性油脂組成物の大きさが縦30~400mm、横10~100mm、厚さ3~65mmである可塑性油脂組成物が開示されており、このような可塑性油脂組成物を用いて製造したパイはボリュームがあり、サックリした食感を有し、良好な口溶けであることが記載されている。
特許文献2には、3飽和トリグリセリドの含有量が15質量%超35質量%以下、2飽和トリグリセリドのうち対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.2~1.0、2飽和トリグリセリドの含有量が30~40質量%、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計量が45質量%超65質量%以下、3不飽和トリグリセリドの含有量が1.0~15質量%である油脂を含有する層状食品用油脂組成物が開示されており、このような層状食品用油脂組成物を用いて製造したパイはボリュームがあり、サクさのある食感が良好で、サクさの経時変化も小さく、口溶けが良好であることが記載されている。
特許文献3には、穀粉類、水及び融点45℃以上の油脂を含有し、且つ当該油脂の含有量が1~10質量%であるベーカリー食品用生地が開示されており、冷凍保存した後に電子レンジ加熱してもサクサクとした食感のベーカリー食品(製造例から事実上パイである)を得ることができることが記載されている。
何れも優れた技術ではあるが、更なる改良が求められていた。
一方、米粉の各種ベーカリー製品への利用についても種々検討されている。
特許文献4には、澱粉を主成分とし、小麦グルテンを含まないイースト発酵生地の焼成物からなり、この焼成物はβ澱粉の混在する多孔質組織で形成されたものからなるベーカリー食品が開示されており、小麦グルテンを含まなくてもパンとしての好ましい食感を有するパンを得たことや、パイにも利用できることが記載されている。
特許文献5には、米粉とともにグルテンと、米粉に対し、水を85w/w%以上115w/w%以下、易発酵性糖質と難発酵性糖質とからなる可溶性糖質を無水物換算で9w/w%以上25w/w%以下含有せしめた生地を発酵させる工程を含むことを特徴とする発酵パンの製造方法が開示されており、外観及び食味に優れ、硬化が遅く保存性が良いパンを得たこと、パイにも適用できることが記載されている。
米粉を使用したベーカリー食品としては何れも優れた技術ではあるが、本発明とは小麦粉を使用する点及びパイの食感の改良効果を有する点で相違する。
特開2017-18018号公報 特開2016-59354号公報 特開2014-8040号公報 特開2010-246500号公報 特開2004-65250号公報
本発明は、サクサクとした食感に優れ、保存しても食感が劣化し難いパイを得ることができる穀粉組成物を提供することを目的とする
米粉を所定量含むパイ用穀粉組成物により課題を解決することを見いだし、本発明を完成した。また、所定の粒子径を有する米粉を所定量含むパイ用穀粉組成物により、より良好な食感及び保存後あるいは再加熱後の良好な食感が得られることを見いだした。
本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
〔1〕米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物であって、前記米粉の含有率が52質量%以下である、前記パイ用穀粉組成物。
〔2〕前記米粉の体積基準のメジアン径(D50)が50~600μmである、〔1〕記載のパイ用穀粉組成物。
〔3〕体積基準のモード径(M)をD50で除した値(M/D50)が2.0以下である、〔1〕または[2]記載のパイ用穀粉組成物。
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれか記載のパイ用穀粉組成物を含む、パイ用プレミックス。
〔5〕〔1〕~〔3〕のいずれか記載のパイ用穀粉組成物、又は〔4〕記載のパイ用プレミックスを含む、パイ用生地。
〔6〕米穀粒を粉砕して米粉を得る工程と、小麦穀粒を粉砕して小麦粉を得る工程と、米粉と小麦粉とを混合する工程を含む米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物の製造方法であって、前記米粉の含有率が52質量%以下である、前記方法。
〔7〕前記米粉を得る工程が、体積基準のメジアン径(D50)が50~600μmとなるように米穀粒を粉砕して米粉を得る工程である、〔6〕記載のパイ用穀粉組成物の製造方法。
〔8〕前記米粉を得る工程が、体積基準のモード径(M)をD50で除した値(M/D50)が2.0以下となるように米穀粒を粉砕して米粉を得る工程である、〔7〕記載のパイ用穀粉組成物の製造方法。
〔9〕整粒前のM/D50をYとし、整粒後のM/D50をZとしたときに、|Y-Z|≧0.1となるように前記米粉を整粒する工程を更に含む、[8]記載のパイ用穀粉組成物の製造方法。
〔10〕〔6〕~〔9〕のいずれか記載の製造方法により得られたパイ用穀粉組成物を使用する、パイ用プレミックスの製造方法。
〔11〕〔6〕~〔9〕のいずれか記載の製造方法により得られるパイ用穀粉組成物、又は〔10〕記載の製造方法により得られるパイ用プレミックスを使用してパイ用生地を製造する工程を含む、パイ用生地の製造方法。
本発明によれば、サクサクとした食感に優れ、経時的な食感劣化が抑制されたパイを得ることができる。更には、保存した後に電子レンジ再加熱しても、ヒキの出難いパイを得ることができる。
<<パイ用穀粉組成物>>
本発明のパイ用穀粉組成物は、米粉と小麦粉とからなり、米粉の含有率が52質量%以下であることを特徴とする。
<パイ>
パイはその内部が薄膜状の穀粉生地と空隙とが幾重にも連なる特有の層状構造を有する焼菓子である。サクサクとした食感と加熱された油脂の香ばしい芳香を有しており、フィリングを挟むことで多彩な風味に変化させることのできる菓子の一つである。パイはその製法によって折パイ、練りパイに大別される。折パイはシート状のバターやマーガリン等の油脂を穀粉生地へ層状になるように折り込み、折りたたみと延圧を繰り返して成形する。薄い膜状となった生地は焼成時に油脂層から出る水蒸気によって浮き上がり、多層に分かれて膨らんだ層構造を形成する。一方、練りパイは穀粉生地にバターやマーガリン等のロールイン油脂を混ぜ込み、折りたたみと延圧を繰り返して成形する。焼成時、点在する油脂層によって穀粉生地が浮き上がることで層状の構造を得る。本発明のパイには、折パイ、練りパイの双方が含まれる。
また、例外的にイーストを使用して穀粉生地部分に厚みを持たせたパイも存在するが、イースト発酵により穀粉生地が多孔質化するためにデニッシュ等のようにサクサクとしながらも比較的柔らかい食感になりやすい。本発明において、パイはイーストを使用しても使用しなくともよいが、よりサクサクとした食感を引き出すために、好ましくはイーストを使用しないパイである。
<小麦粉>
小麦粉とは、イネ科コムギ属の植物の種実(穎果)である小麦穀粒を製粉して得られるものをいう。小麦属の植物にはパン小麦やスペルト小麦、クラブ小麦等の普通系小麦、デュラム小麦やエンマー小麦等の2粒系小麦、それらのワキシー種、更には品種等が知られている。本発明のパイ用穀粉組成物に使用される小麦粉は、いずれの小麦穀粒を製粉して得られる小麦粉であってもよく、好ましくは普通系小麦穀粒を粉砕して得られる小麦粉である。また、一般に市販されている薄力小麦粉、中力小麦粉、強力小麦粉、並びにそれらの混合小麦粉であってもよい。好ましくは、強力小麦粉と薄力小麦粉とを質量割合で30:70から70:30、好ましくは40:60から60:40の範囲で混合した混合小麦粉である。
<米粉>
米粉とは、イネ科イネ属の植物の種実(頴果)である米穀粒を脱穀及び精白した後に粉砕して得られるものである。イネ属の植物にはジャポニカ種、インディカ種、ジャバニカ種等の亜種並びにそれらのワキシー種、更には品種が知られている。本発明に使用する米穀粒は、公知の米穀粒であれば何れも使用することができる。好ましくはうるち米及び/又はもち米である。より好ましくは、アミロース含量が17質量%~23質量%である「あきたこまち」や「コシヒカリ」などのうるち米、アミロース含量が23質量%以上である「越のかおり」や「モミロマン」などの高アミロースうるち米、アミロース含量が5質量%~15質量%である「ゆめぴりか」や「ミルキークイーン」などの低アミロースうるち米、「きぬのはだ」や「こがねもち」などのもち米が挙げられる。食感の観点から、更に好ましくはもち米である。
米穀粒から米粉を得るための粉砕方式は、臼式、ロール式、超遠心式、ピン式(衝撃式)、ハンマー式、サイクロン式、挽き臼式、胴搗式、気流式、ターボミル式等の公知の製粉方式であれば限定なく使用することができる。なお、米穀粒を粉砕するにあたり、米穀粒を水浸漬する、酵素処理する等の前処理を行ってもよい。
本発明のパイ用穀粉組成物は、米粉と小麦粉とからなる。前記パイ用穀粉組成物における米粉の含有率は、52質量%以下であり、好ましくは0.5~50質量%であり、より好ましくは3~45質量%であり、更に好ましく5~35質量%であり、より更に好ましくは8~25質量%であり、なお好ましくは12~18質量%である。前記範囲であれは、サクサクとした食感に優れ、経時的な食感劣化が抑制されたパイを得ることができ、更には、保存した後に電子レンジ再加熱しても、ヒキの出難いパイを得ることができる。
前記パイ用穀粉組成物を構成する米粉は、好ましくはうるち米粉及び/又はもち米粉であり、より好ましくはもち米粉である。もち米粉を使用することにより、よりサクサクとした食感を有し、経時耐性に優れ、保存後の電子レンジ再加熱によって更にヒキの出難いパイを得ることができる。
本発明のパイ用穀粉組成物で使用する米粉は、体積基準のメジアン径(D50)が50~600μmであることが好ましい。
一般的に、精白した米穀粒を各種粉砕方式により粉砕して得た米粉は、曲線は1つの極大値を有した正規分布様の粒子径頻度分布曲線を有していてもよく、粉砕方式やその粉砕条件によって2つ以上の極大値やショルダーがみられる粒子径頻度分布曲線を有していてもよい。また、粒子径累積分布曲線はシグモイド型の成長曲線となる。メジアン径(D50)とは、累積分布曲線において粒子の小さい方から累積した累積50%における粒子径のことである。モード径(M)とは、測定装置において出現頻度が最大の粒子径チャンネルのことである。なお、粒子の集団が極大値を1つのみ有する場合、その極大値粒子径はモード径と一致する。また、粒子の集団が正規分布している場合には、モード径とメジアン径とは一致する。なお、粉粒体の測定において、体積基準、個数基準等で測定値を得ることができるが、本発明においては、特に断りがない限り体積基準である。体積基準での粒子径の測定は、公知のレーザー回折・散乱法で測定することができ、その様な装置として例えばマイクロトラックを使用することができる。なお、特に断りのない限り、本明細書においてDXXと表した場合には、累積分布曲線において粒子の小さな方から累積した累積XX%の粒子径のことを意味する。
本発明のパイ用米粉組成物に使用する米粉の体積基準のメジアン径(D50)は、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは60μm以上であり、更に好ましくは70μm以上であり、また、好ましくは600μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは400μm以下である。本発明のパイ用米粉組成物に使用する米粉の体積基準のメジアン径(D50)は、前記米粉がうるち米粉である場合、好ましくは50μm以上であり、また好ましくは60μm以上であり、より好ましくは70μm以上であり、更に好ましくは80μm以上であり、より更に好ましくは90μm以上であり、なお好ましくは100μm以上であり、また、好ましくは600μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは400μm以下であり、より更に好ましくは300μm以下であり、なお好ましくは200μm以下である。前記米粉がもち米粉である場合、好ましくは50μm以上であり、また好ましくは60μm以上であり、より好ましくは65μm以上であり、更に好ましくは70μm以上であり、また、好ましくは600μm以下であり、より好ましくは550μm以下であり、更に好ましくは500μm以下であり、より更に好ましくは400μm以下であり、なお好ましくは300μm以下であり、なお更に好ましくは200μm以下である。前記範囲であれば、サクサクとした食感に優れ、経時的な食感劣化が抑制されたパイを得ることができ、更には、保存した後に電子レンジ再加熱しても、ヒキの出難いパイを得ることができる。メジアン径が50μm以上の米粉を使用することにより、焼成後のパイを保存しても、サクサク感がありヒキの無い食感の劣化することを抑制する効果が高くなる。うるち米由来の米粉を用いた場合、メジアン径が100μm以上の米粉を使用すればその効果は更に良好になり、またもち米由来の米粉を用いた場合、メジアン径が70μm以上の米粉を使用すれば効果は更に良好になる。また、メジアン径が600μm以下の米粉を使用することにより、焼成後のパイを保存しても、サクサク感がありヒキの無い食感が劣化することを抑制することができる。うるち米由来の米粉を用いた場合、メジアン径が300μm未満の米粉を使用すればその効果は更に良好になり、またもち米由来の米粉を用いた場合、メジアン径が400μm以下の米粉を使用すれば効果は更に良好になる。
本発明で使用する米粉の体積基準のモード径(M)は、50μm以上が好ましく、また70μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、130μm以上が更に好ましく、140μm以上がより更に好ましく、600μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、400μm以下がより更に好ましく、300μm以下がなお好ましい。本発明のパイ用米粉組成物に使用する米粉の体積基準のモード径(D50)は、前記米粉がうるち米粉である場合、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは70μm以上であり、更に好ましくは100μm以上であり、より更に好ましくは130μm以上であり、また、好ましくは600μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは400μm以下であり、より更に好ましくは300μm以下である。前記米粉がもち米粉である場合、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは70μm以上であり、更に好ましくは100μm以上であり、より更に好ましくは130μm以上であり、また、好ましくは600μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは400μm以下である。
本発明で使用する米粉の体積基準のモード径(M)を体積基準のメジアン径(D50)で除した値(M/D50)は、うるち米粉である場合、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.4以下が更に好ましく、1.35以下がより更に好ましく、また、0.8以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.2以上が更に好ましい。また、もち米の場合、M/D50は、2.0以下が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上が更に好ましく、1.0以上がより更に好ましい。モード径(M)を体積基準のメジアン径(D50)で除した値(M/D50)は、粒度分布幅あるいは粒度分布グラフの形状などをある程度反映している指標となると考えられる。M/D50が前記範囲に入る米粉を使用することにより、サクサクとした食感に優れ、経時的な食感劣化が抑制され、なお且つ、油ちょう後のパイを保存した後電子レンジ加熱してもヒキの出難いパイを得ることができる。
本発明のパイ用穀粉組成物に用いる米粉の製造方法は、米穀粒を粉砕して米粉を得る工程を含む。前記米粉の体積基準のメジアン径は50~600μmであることが好ましい。また、体積基準のモード径(M)を体積基準のメジアン径(D50)で除した値は2.0以下であることが好ましい。このような米粉を得るためには、例えばロール式粉砕を採用する場合であればロール間の間隙を適当に調節し、気流式粉砕を採用する場合であれば気流の流速や流量を調節することができ、その他に臼式、超遠心式、ピン式(衝撃式)、ハンマー式、サイクロン式、挽き臼式、胴搗式、ターボミル式等の公知の製粉方式であっても同様に装置の運転条件を調節することにより得ることができる。
米粉のメジアン径とモード径とを調節する方法としては、前記のように粉砕装置の運転条件を調節することにより得ることもできるが、篩い分けや空気分級等の公知の整粒方法で調節することもできる。篩い分けであれば、目の粗い篩と目の細かい篩とを準備し、目の粗い篩を通過し、目の細かい篩を通過しない画分を採取することにより、篩い分け前の米粉に対して粗粒米粉と微粒米粉とが除去されるので、メジアン径とモード径との差が小さくなる。なお、目の粗い篩は任意でもよい。また、空気分級であれば、例えば、ローターを用いて強制的に生じる渦流による遠心力と空気の抗力とのバランスで米粉を粒子サイズで分けることができ、更にはメッシュフィルターを組合わせることにより効果的に微粒米粉を除去することができ、何れの態様であっても前記篩い分けと同様にメジアン径とモード径との差が小さくなる。このようにメジアン径とモード径との差が小さくなると、モード径をメジアン径で除した値が小さくなる。別の見方をするならば、篩い分けないしは空気分級等によりD40とD50との差、あるいはD50とD60との差が小さくなる(要は、DXXとD50との差が小さくなる)。
本発明において、整粒後の米粉のモード径をメジアン径で除した値Bが、整粒前の米粉のモード径をメジアン径で除した値Aよりも0.1以上小さくなるように整粒すればよい(A-B≧0.1)。好ましくはBがAよりも0.2以上小さく(A-B≧0.2)、より好ましくは0.25以上小さく(A-B≧0.25)、更に好ましくは0.3以上小さく(A-B≧0.3)、より更に好ましくは0.35以上小さく(A-B≧0.35)なるように整粒する。なお、モード径とメジアン径とを指標にした整粒の最終形は、粒子径頻度分布曲線においてモード径とメジアン径とが一致するとき、すなわちB=1の時である。従って、整粒後の米粉のBは1以上である。また、一般的に米粉等の粉砕物のモード径は往々にしてメジアン径よりも大きいが、粉砕条件によってはモード径がメジアン径よりも小さくなることがある。そのような場合には、AからBを減じた値の絶対値とすればよい。従って、整粒前の米粉のモード径がメジアン径よりも大きい場合にはA>BかつB≧1であり、モード径がメジアン径よりも小さい場合にはA<BかつB≦1である。なお、本発明における「整粒」とは、例えば米穀粒を粉砕した米粉であれば、篩い分けあるいは空気分級等の手段により米粉の微粒画分及び/又は粗粒画分を分離除去し、米粉の粒度分布を整えることである。
<<パイ用プレミックス>>
本発明のパイ用プレミックスは、前記のパイ用穀粉組成物を含有する。一般的に、プレミックスは、その使用用途に応じて、米粉に、調味料、香料、色素等の粉末原料、油脂類などを混合したものをいう。
本発明のパイ用プレミックスは、馬鈴薯、里芋、キャッサバあるいは甘藷、山芋等の穀物に準ずる主食となる農作物である塊茎粉あるいは塊根粉;穀物、塊茎、塊根、樹幹等及びそれらのワキシー種又はハイアミロース種から分離精製された澱粉(小麦澱粉、米澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、サゴ澱粉等、及びそれらのワキシー澱粉並びにハイアミロース澱粉);前記澱粉をα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋、酸化処理、熱処理、酵素処理等並びにそれらの組合せを行った変性澱粉;ブドウ糖、果糖、乳糖、砂糖、イソマルトースなどの糖類;卵黄、卵白、全卵及びそれらを粉末化したものやその他の卵に由来する成分である卵成分;全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳成分;ショートニング、ラード、マーガリン、バター、パーム油、大豆油、コーン油、菜種油、オリーブ油、アマニ油等の油脂類;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、サポニン等の乳化剤;ベーキングパウダー、重曹等の膨張剤;キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ペクチン、カラギーナン、グアガム、タマリンドガム、アラビアガム等の増粘多糖類;メチルセルロース等のセルロース誘導体;食塩等の無機塩類;保存料;香料;香辛料;ビタミン;カルシウム等の強化剤等の通常パイ用プレミックスの製造に用いる副原料を含むことができる。本発明のパイ用プレミックスに澱粉が含まれる場合には、本発明のパイ用穀粉組成物100質量部に対して1.0質量部以下であることが好ましく、実質的に含まないことが好ましい。
本発明のパイ用プレミックス全質量に対する米粉の含有量は、本発明のパイ用穀粉組成物を用いている限りにおいて特に制限されるものではない。パイ用プレミックスに米粉が含まれていれば、焼成後にパイを保存しても、サクサク感がありヒキの無い食感が劣化することを抑制することができる。
本発明のパイ用プレミックスの製造方法は、前記パイ用穀粉組成物を使用する。米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物に加え、「パイ用プレミックス」において述べた副原料をミキサーに投入し、均質になるまで混合することによりパイ用プレミックスを製造することができる。粉末以外の原料である油脂を用いる場合、常温固形の油脂であれば加熱して液状にし、粉末原料を混合しながら液状の油脂を徐々に添加して均質になるまで混合することが望ましい。
<<パイ用生地>>
本発明のパイ用生地は、前記パイ用穀粉組成物またはそれを含むパイ用プレミックスを含む。さらに、通常パイ用生地に使用する(米粉及び穀粉以外の)その他の原料を含んでいてもよく、また、通常飲食される液体原料を含んでいてもよい。そのような液体原料としては、一般に飲料水が使用されるが、その使用用途に応じて牛乳等の畜乳;豆乳、かつお出汁等の煮汁;レモン汁等の搾汁;食塩、アミノ酸、核酸、有機酸、無機酸等が溶解した電解水;鶏卵液等の卵液等を用いてもよい。
<<パイ用生地の製造方法>>
本発明のパイ用生地の製造方法は、前記製造方法により得られるパイ用穀粉組成物又はパイ用穀粉組成物を含むパイ用プレミックスを使用してパイ用生地を製造する工程を含む。
例えば、パイ用穀粉組成物に、副原料と液体原料とをミキサーに投入し、均質になるまで混合することにより穀粉生地を得る。パイ用プレミックスを使用する場合であれば、液体原料と共に均質になるまで混合することにより穀粉生地を得る。
このようにして得られた穀粉生地をシート状に成形し、シート状の穀粉生地にロールイン油脂を載置して包み込んでこれを延展し、1回以上に折り込みまたは折り重ねて延展し、適当な回数この操作を繰り返し、穀粉生地層とロールイン油脂層とが交互に層状になった折パイ生地を得ることができる。あるいは、シート状のパン生地にシート状のロールイン油脂を重ね合わせた後、1回以上折り込みまたは折り重ねて延展し、同様に操作を繰り返してもよい。このようにして得られた折パイ生地を所望の最終厚に延展し、所望の形状及び大きさにカットし、所望の形状に成形して個々のパイ用生地としてもよい。
他の方法としては、穀粉生地とロールイン油脂とを混合してシート状に成形し、同様に折り重ねと延展とを所望する回数繰返して練りパイ生地とし、同様にカット及び成形して個々のパイ用生地とすることもできる。
<パイの製造方法>
本発明のパイの製造方法は、前記パイ用生地を焼成する工程を含む。具体的には、前記パイ用生地を、180~230℃に予熱したオーブンで適当な時間焼成してパイを得ることができる。なお、パイ用生地にフィリングをのせて成形してもよい。また、本発明のパイの製造法に使用するフィリングは特に限定されるものではなく、一般にパイの製造に使用されるフィリングであれば何れも好適に使用することができる。そのようなフィリングとしては、アーモンドやアマニなどの穀類;生クリーム、チョコレート、カスタード、チーズなどのクリーム;リンゴ、ナシ、桃などの果物類;サツマイモ、カボチャ、トウモロコシなどの野菜類等が挙げられる。なお、フィリングは2枚のパイ生地のあいだに挟んでも良い。
〔製造例1:米粉の製造〕
精白米を気流式粉砕装置(株式会社躍進機械製作所、KV-15-5S)又はロール式粉砕装置(明治機械株式会社、MQ型)に供し、運転条件を調節して粉砕してうるち米の米粉A~F、もち米の米粉G~Lを得た。得られた米粉の粒度分布について、マイクロトラック法(マイクロトラック・ベル株式会社、MT3000)により体積基準で測定した。結果を表1に示す。
なお表中、Mはモード径を、DXXは粒子径累積分布曲線における累積XX%の粒子径を表す。
Figure 2024015778000001

〔製造例2:整粒米粉の製造〕
うるち米の精白米を気流式粉砕装置(株式会社西村機械製作所、SPM-R200)に供して粉砕し、米粉Mを得た。得られた米粉Mの一部を53メッシュの篩を取り付けた株式会社東京製粉機製作所の小型テストシフターTS-245を用い、30、60又は90秒間篩い分けすることで、それぞれ米粉N、O及びPを得た。製造例1と同様にして粒度分布を測定した。結果を表2に示す。いずれの米粉でも、粒子径頻度分布曲線は1つの極大値(モード径)を有した正規分布様の曲線であった。
Figure 2024015778000002
〔製造例3:パイの製造〕
小麦粉(強力粉と薄力粉とを等量混合)100質量部、練りこみ油脂50質量部、塩10質量部、水52質量部をミキサーに投入し、低速2分、高速9分でミキシングし、出来上がった生地を平らに伸ばし保湿のためにカバーをかぶせて-5℃に設定したドウコンディショナーで1時間以上休ませて前生地を得た。前生地100質量部に対して40質量部の折込み油脂を用い、リバースシーターで4つ折り1回、3つ折り2回折り込み、最終厚み4mmになるよう延展してシート状の層状生地(36層)を得た。縦横60mm×130mmの上面視略長方形(30g)になるようにカットし、-40℃のショックフリーザーで急速冷凍して冷凍パイ生地を得た。冷凍パイ生地を25℃のドウコンディショナーで芯温2℃以上になるまで解凍し、上火200℃、下火190℃のオーブンで20分焼成してパイを得た。
<評価例1 パイの官能評価>
室温で放冷後、得られたパイを略正中で二等分し、10名の熟練パネラーにより下記評価基準表1に従って官能評価を行い、平均点と標準偏差(SD)を求め、これを「焼成直後の食感」とした。また、金属製平底バットに並べて樹脂製フィルムで密封し24時間室温で保存した際の食感を「保存後の食感」とし、保存後に電子レンジを用いて600Wで40秒間加熱して室温で放冷した直後の食感を「再加熱後の食感」とした。なお、製造例1に従って製造したパイ(穀粉として小麦粉のみ)の食感を3点とした。
評価基準表1
Figure 2024015778000003
<試験例1 米粉の配合割合の範囲の検討>
表3に記載の通り小麦粉(強力粉と薄力粉とを等量混合)の一部を米粉Cに置き換えた以外は製造例3に従ってパイを製造し、焼成直後の食感を評価例1に従って評価した。なお、加水量は、小麦粉のみを用いる参考例1の生地性と同等になるように調節した。
その結果、米粉Cを5~50質量部用いた実施例1~7では、サクサクとしたヒキのない食感のパイであり、特に15質量部の米粉Cを用いた実施例3の評価が最も良かった。米粉Cを60質量部用いた比較例1では、ややヒキがあり、ややサクサク感がない食感であり、全体的にやや軋むような食感であったため不適であった。
Figure 2024015778000004
<試験例2 米粉粒度の検討>
製造例3において、小麦粉85質量部及び米粉15質量部とし、米粉として表4記載の米粉を用いた以外は製造例3に従ってパイを製造した。なお、加水量は、小麦粉のみを用いる参考例1の生地性と同等になるように調節した。
うるち米粉を用いた実施例8~13において、何れも参考例1よりも焼成直後、保存後、再加熱後における評価点が高くなった。特に、特にモード径が148.0μmでM/D50が1.330の米粉Cの食感が優れていた。
また、もち米粉を用いた実施例14~19では、全体的にうるち米粉よりも評価点が良好になる傾向であった。モード径が140~150μmでM/D50が1.950~2.000の間にあるうるち米粉Bともち米粉Iとでは、もち米粉Iの食感の方が顕著に良好であった。
Figure 2024015778000005
Figure 2024015778000006
<試験例3 整粒米粉の検討>
製造例3において、小麦粉85質量部及び米粉15質量部とし、米粉として表5記載の米粉を用いた以外は製造例3に従ってパイを製造した。なお、加水量は、小麦粉のみを用いる参考例1の生地性と同等になるように調節した。表中、Yは整粒前の米粉(米粉M)のM/D50を表し、Zは整粒後(米粉N~P)のM/D50を表す。なお、米粉による食感の差が明瞭に分かりやすくなる再加熱後の食感のみを評価した。
その結果、M/D50の値が1に近づくに従ってパイの食感はヒキのないサクサクしたものになった。
Figure 2024015778000007

<試験例4 生地保存性の検討>
実施例10に従ってパイを製造し、冷蔵又は冷凍保存し、冷蔵保存したパイを室温でパイの芯温が室温まで復温させるか、冷凍保存したパイを電子レンジ再加熱し、評価例1に従って評価した。
その結果、パイを冷蔵又は冷凍保存した場合であっても、表4の実施例10の評価点とほぼ同等であった。

Claims (8)

  1. 米粉と小麦粉とからなるパイ用穀粉組成物であって、前記米粉の含有率が52質量%以下である、前記パイ用穀粉組成物。
  2. 前記米粉の体積基準のメジアン径(D50)が50~600μmである、請求項1記載のパイ用穀粉組成物。
  3. 体積基準のモード径(M)をD50で除した値(M/D50)が2.0以下である、請求項2記載のパイ用穀粉組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項記載のパイ用穀粉組成物を含む、パイ用プレミックス。
  5. 請求項4記載のパイ用プレミックスを含む、パイ用生地。
  6. 米穀粒を粉砕して米粉を得る工程と、小麦穀粒を粉砕して小麦粉を得る工程と、米粉と小麦粉とを混合する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項記載のパイ用穀粉組成物の製造方法。
  7. 整粒前のM/D50をYとし、整粒後のM/D50をZとしたときに、|Y-Z|≧0.1となるように前記米粉を整粒する工程を更に含む、請求項6記載の製造方法。
  8. 請求項4記載のパイ用プレミックスを使用してパイ用生地を製造する工程を含む、パイ用生地の製造方法。
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