JP2024012397A - 接点材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性粒子の脱落による接点の短絡を十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を有する接点材料を提供する。【解決手段】銀含有膜を含む接点材料1であって、前記銀含有膜2は、銀を50質量%以上含む銀含有層2aと、非導電性有機化合物のみからなる複数の粒子2bとを含み、各粒子の少なくとも一部は前記銀含有層中に埋没しており、前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、フルオロ基、メチル基、カルボニル基、アミノ基であって、ヒドロキシ基、エーテル結合およびエステル結合からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含み、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における、前記複数の非導電性有機化合物からなる粒子のうち、前記銀含有層中に埋没した部分の面積が、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における前記銀含有層の面積に対して特定の割合である。【選択図】図1

Description

本開示は接点材料に関する。
CO排出規制の強化に伴い、化石燃料への依存度が低い電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッド自動車(PHEV)の増加が予想されている。これらの自動車は、日常的にバッテリーへの充電を必要とするため、外部電源と自動車を接続する接点材料は、従来の自動車の接点材料に比べて、挿抜の回数が大幅に増加し得る。自動車の接点材料には、通常導電性の高い(低接触抵抗の)銀(Ag)めっき膜が適用されることが多いが、一般的にAgめっき膜の硬度は低いうえ、Ag同士の摺動時に「焼き付き」が生じ易いことから、繰り返しの挿抜(摺動)を実施した際に、Agめっき膜の摩耗が容易に進行し得る。
古くからAgめっき膜の耐摩耗性を改善するために、
(1)結晶粒微細化によるAgめっきの高硬度化
(2)Agと、Se(セレン)またはSb(アンチモン)等との合金化による高硬度化
等の検討が行われてきた。しかしながら、上記(1)および(2)のいずれの手法によっても耐摩耗性の改善は不十分であった。また、SeおよびSbは有毒な元素であり、管理に注意を要するうえ、合金化に伴って導電性の低下を招くという問題もある。
また、Agめっき膜の高硬度化以外の耐摩耗性改善も検討されており、主には、非特許文献1および2に開示されるように、
(3)炭素系粒子のAgめっき膜中への共析(分散めっき)
の検討が行われてきた。これらの検討には、主にグラファイト、カーボンブラック(CB)またはカーボンナノチューブ(CNT)が用いられてきた。その理由としては、(i)グラファイト等の炭素系粒子は、固体潤滑材として作用することから耐摩耗性改善が期待できること、および(ii)炭素系粒子は導電性を有するため、Agめっき膜中に共析(分散)させた際に、接触抵抗を悪化させる恐れが少ないことが考えられる。実際、非特許文献1においては、Agめっき液中にグラファイト粒子を懸濁させてめっき処理を行ったAg-グラファイト複合めっき膜により、Agめっき膜だけでなく、硬質Ag-Sb合金めっき膜と比較しても良好な耐摩耗性を実現できることが示されている。
まてりあ、第58巻、第1号(2019)、p41-43 表面技術協会、第81回講演大会要旨集、27A-1
上記(3)については、非特許文献2のように古くから検討が行われており、銀含有膜の耐摩耗性改善手法としては一般的と言える。しかしながら、EVおよびPHEVの増加予測に伴い、耐摩耗性と導電性を両立した接点材料への需要が高まっているにもかかわらず、上記(3)の活用は進んでいない。この理由は、炭素粒子分散めっきを接点材料に適用して摺動(挿抜)を繰り返すと、摩耗に伴ってAgめっき膜中に保持されていた炭素径粒子が脱落するという懸念によるものと考えられる。炭素系粒子が脱落して接点周囲に堆積すると、接点の短絡を招くおそれがあり、特に高電圧及び大電流での通電を必要とするEVおよびPHEV用の端子においては、安全性に問題が生じ得る。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、導電性粒子の脱落による接点の短絡を十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を有する接点材料を提供することである。
本発明の態様1は、
銀含有膜を含む接点材料であって、
前記銀含有膜は、銀を50質量%以上含む銀含有層と、複数の非導電性有機化合物からなる粒子とを含み、各粒子の少なくとも一部は前記銀含有層中に埋没しており、
前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、フルオロ基(-F)、メチル基(-CH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NRであって、RおよびRは水素または炭化水素基であり、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)、ヒドロキシ基(-OH)、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含み、
下記式(1)を満たす、接点材料である。

0.50≦A/(A+AAg)×100≦12.10 ・・・(1)

式(1)において、Aは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における、前記複数の非導電性有機化合物からなる粒子のうち、前記銀含有層中に埋没した部分の面積であり、AAgは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における前記銀含有層の面積である。
本発明の態様2は、
前記非導電性有機化合物を10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析したとき、融点が140℃超であるか、または融点を示さない、態様1に記載の接点材料である。
本発明の態様3は、
前記非導電性有機化合物を10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析したとき、分解点を示すときは前記分解点が500℃以下であり、分解点を示さず融点を示すときは、前記融点が500℃以下である、態様1または2に記載の接点材料である。
本発明の態様4は、
前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NRであって、RおよびRは水素または炭化水素基であり、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)およびヒドロキシ基(-OH)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の接点材料である。
本発明の実施形態によれば、導電性粒子の脱落による接点の短絡を十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を有する接点材料を提供することが可能である。
図1は、本発明の実施形態に係る接点材料の一例の模式断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る接点材料の他の一例の模式断面図である。 図3Aは、実施例1のNo.2の接点材料の、銀含有膜の膜厚方向に平行な断面SEM像である。 図3Bは、図3Aから銀含有膜のみをトリミングした像である。 図3Cは、図3Bを2値化した像である。 図4は、実施例2のNo.10の接点材料の耐熱性評価結果である。 図5は、実施例2のNo.11の接点材料の耐熱性評価結果である。 図6は、実施例2のNo.12の接点材料の耐熱性評価結果である。 図7は、参考例のNo.13の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図8は、参考例のNo.14の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図9は、参考例のNo.15の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図10は、参考例のNo.16の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図11は、参考例のNo.17の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図12は、参考例のNo.18の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図13は、参考例のNo.19の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図14は、参考例のNo.20の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図15は、参考例のNo.21の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図16は、参考例のNo.22の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図17は、参考例のNo.23の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図18は、参考例のNo.24の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図19は、参考例のNo.25の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図20は、参考例のNo.26の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図21は、参考例のNo.27の接点材料の耐摩耗性評価結果である。 図22は、参考例のNo.28の接点材料の耐摩耗性評価結果である。
本発明者らは、導電性粒子の脱落による接点の短絡を十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を有する接点材料を実現するべく、様々な角度から検討した。非特許文献1に記載されるような従来の共析めっき技術の検討では、固体潤滑材(かつ、良好な導電性を有するもの)として炭素系粒子が用いられてきた。しかしながら、本発明者らが検討を進めた結果、必ずしも固体潤滑作用を有しない、特定の非導電性有機化合物からなる粒子を銀含有層中に所定量共析(埋没)させた銀含有膜を有することにより、十分な耐摩耗性および導電性が得られることがわかった。これは、銀含有膜の摺動時に、例えば非導電性有機化合物の一部が分解して接点材料表面近傍に拡散移動し、及び/又は、非導電性有機化合物の一部が接点材料表面近傍の銀含有層と反応し、接点材料表面近傍の摩擦係数を下げる等により、接点材料の耐摩耗性が向上するためであると考えられる。なお、当該分解物及び反応物は少量であり、且つ銀含有膜中の特定の非導電性有機化合物からなる粒子の割合が所定値以下に制御されているため、十分な導電性を確保できると考えられる。
以上により、導電性粒子の脱落による接点の短絡のおそれを十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を有する接点材料を実現することができた。なお、上記メカニズムは、本発明の実施形態の技術的範囲を制限するものではない。
以下に、本発明の実施形態が規定する各要件の詳細を示す。
本発明の実施形態に係る接点材料は、銀含有膜を含み、前記銀含有膜は、銀を50質量%以上含む銀含有層と、複数の非導電性有機化合物からなる粒子とを含み、各粒子の少なくとも一部は前記銀含有層中に埋没しており、前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、フルオロ基(-F)、メチル基(-CH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NRであって、RおよびRは水素または炭化水素基であり、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)、ヒドロキシ基(-OH)、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含み、下記式(1)を満たす。

0.50≦A/(A+AAg)×100≦12.10 ・・・(1)

式(1)において、Aは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における、前記複数の非導電性有機化合物からなる粒子のうち、前記銀含有層中に埋没した部分の面積であり、AAgは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における前記銀含有層の面積である。
上記により、導電性粒子の脱落による接点の短絡のおそれを十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を付与することが可能である。
図1は、本発明の実施形態に係る接点材料の一例の模式断面図を示す。図1において、接点材料1は、銀含有膜2を含み、銀含有膜2は、銀含有層2aと、単位分子構造内に上述した特定の官能基を含む非導電性有機化合物からなる複数の粒子2b(以下単に「粒子2b」と称することがある)と、を含む。なお、図1は、銀含有膜2(および銀含有層2a)の膜厚方向に平行な断面である。
各粒子2bの少なくとも一部は銀含有層2a中に埋没している。言い換えれば、各粒子2bについて、銀含有層2a中に全て埋没しているか、または一部が銀含有層2a中に埋没し、残りの部分が銀含有層2a表面に露出している。さらに、上記式(1)を満たすように、複数の粒子2bのうち銀含有層2a中に埋没した部分の面積A、および銀含有層2aの面積AAgが制御されている。
銀含有層2aは、銀を50質量%以上含む層である。銀含有層2aとしては、通常の端子表面処理に使用される軟質Agめっき、硬質Agめっき、光沢Agめっきおよび半光沢Agめっき等の他に、マトリクスの耐食性(耐硫化性など)改善および耐摩耗性改善等を目的として合金めっきを使用してもよい。ただし、耐摩耗性は、主に粒子2bにより付与できるため、耐食性改善等他の目的がない場合は、導電性に優れる純Agめっき層を使用することが好ましく、例えば銀を90質量%以上含むことが好ましく、95質量%以上含むことがより好ましく、99質量%以上含むことがさらに好ましい。
銀含有層2aの平均厚さ(例えば、接点材料1の任意の2箇所以上から取得した銀含有層2aの平均の厚さ)は特に制限されず、用途に応じて適宜調整され得るが、例えば100μm以下、さらには50μm以下の厚さであってもよい。
粒子2bについて、「非導電性」とは、導電性を示さないことを意味し、例えばASTM D257に基づき測定した体積抵抗率が、概ね10[Ω・cm]以上の値を示すものをいう。
粒子2bについて、「有機化合物」とは、炭素を含む化合物のうち、一酸化炭素、二酸化炭素、炭酸塩、青酸、シアン酸塩、チオシアン酸塩、BCおよびSiC等のように簡単な構造の化合物を除いたものを指す。例えばシロキサン結合(-Si-O-Si-)が主鎖であって側鎖に有機基を有するシリコーン樹脂は、本明細書における「有機化合物」に含むものとする。
粒子2bを構成する非導電性有機化合物は、フルオロ基(-F)、メチル基(-CH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NRであって、RおよびRは水素または炭化水素基であり、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)、ヒドロキシ基(-OH)、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含む。これらの所定の官能基を含むことにより、耐摩耗性を向上させることができる。より好ましくは、粒子2bを構成する非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NRであって、RおよびRは水素または炭化水素基であり、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)およびヒドロキシ基(-OH)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含むことである。ここで、「単位分子構造」とは、高分子(重合体)の場合にはその1繰り返し単位、非重合体の場合には個々の分子を意味する。
粒子2bを構成する非導電性有機化合物は、融点が140℃以上であるか、融点を示さない(すなわち融解せずに分解する)ことが好ましい。これにより、接点材料1(および後述する接点材料11)を140℃に加熱したときに、有機化合物の融解に起因する耐摩耗性の悪化を抑制できる。より好ましくは、粒子2bを構成する非導電性有機化合物の融点が160℃以上である。ここで、「融点」とは、例えば大気下で、10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃までの熱重量示差熱分析(TG-DTA)を行って求められる融点である。具体的には、TG曲線において質量の減少が1%未満の温度領域内の温度であって、且つDTA曲線において、温度上昇に伴って、熱流量が減少し始める第1の変曲点までの直線の外挿線と、その後一定の傾きで熱流量が減少し始める第2の変曲点以降の直線(すなわち前記一定の傾きの直線)の外挿線と、の交点の温度を、融点とすることができる。また、粒子2bを構成する非導電性有機化合物が融点を示さない場合(融解せずに分解するような化合物の場合)は、分解点が140℃以上であることが好ましく、より好ましくは、160℃以上、200℃以上、250℃以上または300℃以上である。ここで、「分解点」とは、例えば大気下で、10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃までの熱重量示差熱分析(TG-DTA)を行って求められる分解点である。具体的には、TG曲線において1%以上の質量の減少が確認された温度領域内の温度であって、且つDTA曲線において、温度上昇に伴って、熱流量が減少し始める第1の変曲点までの直線の外挿線と、その後一定の傾きで熱流量が減少し始める第2の変曲点以降の直線(すなわち前記一定の傾きの直線)の外挿線と、の交点の温度を、分解点とすることができる。
粒子2bを構成する非導電性有機化合物は、接点材料1(および後述する接点材料11)の耐摩耗性を向上させる観点では、分解点が500℃以下であることが好ましい。より好ましくは、分解点が450℃以下、さらに好ましくは400℃以下である。なお、分解点を示さず融点を示すとき(融解するが分解しないような化合物の場合)は、融点が500℃以下であることが好ましく、より好ましくは450℃以下、さらに好ましくは400℃以下である。
粒子2bを構成する非導電性有機化合物の燃焼点は特に制限されないが、例えば180℃以上であり得る。ここで、「燃焼点」は、例えば大気下で、10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃までの熱重量示差熱分析(TG-DTA)を行って求められる燃焼点である。具体的には、TG曲線において1%以上の質量の減少が確認された温度領域内の温度であって、且つDTA曲線において、温度上昇に伴って、熱流量が増加し始める第1の変曲点までの直線の外挿線と、その後一定の傾きで熱流量が増加し始める第2の変曲点以降の直線(すなわち前記一定の傾きの直線)の外挿線と、の交点の温度を、燃焼点とすることができる。
粒子2bについて、「粒子」とは、円相当直径が50μm以下の比較的小さな物質を意味し、形状はどのようなものであってもよい。本発明の一実施形態では、導電性の観点から、粒子2bの平均粒径(平均円相当直径)は10μm以下としてもよい。また、本発明の一実施形態では、耐摩耗性の観点から、粒子2bの平均粒径は0.1μm以上としてもよい。
上記式(1)の面積率[A/(A+AAg)×100(%)]の上限は12.10%とする。これにより、導電性を向上させることができる。当該上限は、10.00%とすることが好ましい。一方、上記式(1)の面積率[A/(A+AAg)×100(%)]の下限は0.50%とする。これに耐摩耗性を向上させることができる。当該下限は、1.50%とすることが好ましい。
銀含有層2aの面積AAgは、銀含有膜2の膜厚方向に平行な断面SEM像に対して、画像処理ソフト(例えば「ImageJ」など)を用いて、2値化処理することにより求めることができる。具体的には、断面SEM像において、銀含有層2aは比較的明るく(すなわち白く)、断面SEM用サンプルの保護層は比較的暗く(すなわち黒く)示され得るため、例えば銀含有層2aと保護層の中間の明るさを閾値として2値化した後の、明るい部分の面積を銀含有層2aの面積AAgとすることができる。なお断面SEM像において、銀含有層2aの上面に凹凸がある場合、当該凹凸の平均線を銀含有層2aと上部層(例えば断面SEM用サンプルの保護層)との境界線として、銀含有層2aの面積を求めてもよい。銀含有層2aの下面についても同様とする。
一方、複数の粒子2bのうち銀含有層2a中に埋没した部分の面積Aは、2値化処理した後の、暗い部分(非導電性有機化合物に相当する部分)であって、銀含有層2a中に埋没した部分の面積とすることができる。なお断面SEM像において、銀含有層2aの上面に凹凸がある場合、当該凹凸の平均線を銀含有層2aと上部層(例えば断面SEM用サンプルの保護層)との境界線として、当該平均線以下に存在する部分を、銀含有層2a中に埋没した部分とする。銀含有層2aの下面についても同様とする。
図2は、本発明の実施形態に係る接点材料の他の一例の模式断面図を示しており、接点材料11において、各粒子2bは、銀含有層2a中に全て埋没している。図2の場合、粒子2bは、銀含有層2a中に全て埋没しうる大きさであり得、すなわち、粒子2bの平均粒径は、銀含有層2aの平均厚さ未満であり得る。なお、図2は、銀含有膜2(および銀含有層2a)の膜厚方向に平行な断面である。
導電性をより高める(接触抵抗をより低下させる)観点では、図2のように各粒子2bが銀含有層2a中に全て埋没している形態が好ましい。一方で、耐摩耗性をより高める観点では、図1のように、一部が銀含有層2a中に埋没し、残りの部分が銀含有層2a表面に露出している粒子2bを含む形態が好ましい。
本発明の実施形態の目的を逸脱しない範囲で、接点材料1および11は、粒子2b以外の他の粒子を含んでいてもよい。例えば、接点材料1および11は、上述した特定の官能基を含まない非導電性有機化合物からなる粒子を含んでいてもよく、無機粒子を含んでいてもよく、また銀含有層2a中に埋没していない粒子を含んでいてもよい。また、接点材料1および11は導電性粒子を含んでいてもよいが、少なければ少ない程導電性粒子の脱落による接点の短絡を抑制でき好ましい。例えば、接点材料1および11に含まれる粒子の、50体積%以上が非導電性の粒子2bであることが好ましく、60体積%以上、70体積%以上、80体積%以上、90体積%以上がより好ましく、全て(100体積%)が非導電性の粒子2bであることがさらに好ましい。また、接点材料1および11に含まれる全粒子に対する、少なくとも一部が銀含有層2a中に埋没した粒子2bの割合は、銀含有膜2の膜厚方向に平行な断面において、50面積%以上であることが好ましく、より好ましくは60面積%以上、70面積%以上、80面積%以上、90面積%以上であり、更に好ましくは100面積%である。
本発明の実施形態に係る接点材料1および11は、本発明の目的を達成する上で他の層(例えば、導電性を有する基材、ストライクめっき層等)を含んでいてもよい。例えば接点材料1および11において、導電性を有する基材(例えば銅または銅合金からなる基材)の上に、銀含有膜2が形成されていてもよい。
本発明の実施形態に係る接点材料1は、例えば基材上に、銀(または銀合金)めっき液に、所定量の粒子2bを分散させて、攪拌しながら通電して銀めっき処理を施すことにより、粒子2bが銀含有層2a中に所定量埋没(共析)した接点材料が得られる。なお、場合によっては、銀めっき処理を施す前に、ストライク銀めっき処理を施してもよい。
なお、めっき液中に粒子2bを分散させて電気めっきを行うプロセスにおいては、以下の反応(A)および(B)が同時に進行する。
(A)基材表面に、液中分散粒子が静電気的または物理的に吸着(接触)する反応
(B)基材表面に、銀含有層2aが堆積(成長)する反応
(A)で吸着した粒子2bが(B)の銀含有層2a中に取り込まれることで「共析」が生じる。共析めっきが定常的に進行する条件においては、反応初期に吸着した粒子2bが銀含有層2a中に取り込まれるのと同時に、新たな粒子2bの吸着が発生する。このため、めっき処理を停止した場合にも、多くの場合で最表面に粒子2bの露出が見られ、通常の共析めっきプロセスにおいて、一部が銀含有層2a中に埋没し、残りの部分が銀含有層2a表面に露出した粒子2bを含む接点材料1を容易に製造することができる。
ここで、銀含有層2a中への粒子2bの共析量(例えば、粒子2bの面積率)は、(A)の吸着頻度と(B)のめっき膜成長速度とのバランスで決定される。そのため、例えば粒子2bのめっき液中における分散量などのめっき条件を変化させることで、共析量を変化させることが可能となる。例えば、めっき処理の終盤において、めっき液中に分散した粒子2bを含まないめっき液を用いて処理を行う、またはめっき液の攪拌速度を変化させて(A)の吸着頻度を低下させるなどにより、めっきの最表面側に粒子2bを共析させない層を設けることで、銀含有層2a中に粒子2bが全て埋没した接点材料11を製造することが可能となる。
本発明の実施形態に係る接点材料1および11は、十分な導電性だけでなく、十分な耐摩耗性(すなわち十分に低い摩擦係数)を有する。具体的には、本発明の実施形態に係る接点材料1および11は、初期の接触抵抗を0.5mΩ以下にでき、且つ下記摺動試験20サイクル後において摩擦係数を0.5以下にできる。
<摺動試験>
基材上に硬質Agめっき層(ビッカース硬さHV:160以上)を40μm以上形成した後、ハンドプレスによって曲率半径R=1.8mmの半球状の突起を形成した相手材を準備し、該相手材を、試験対象の接点材料1または11(銀含有膜2)に対し、印加する垂直荷重:3N、摺動距離:10mm、摺動速度:80mm/分で所定サイクル摺動させる。摺動試験機としては、例えばアイコーエンジニアリング製横型荷重試験機を用いることができる。
また、本発明の実施形態に係る接点材料1および11は、耐熱性が高いことが好ましい。具体的には、所定の温度および時間で加熱したときに、下記式(2)で計算される摩擦係数増加率が200%以下となる場合が好ましく、120%以下になる場合がより好ましい。加熱温度が高くても上記摩擦係数増加率を満たす場合が好ましく、加熱温度としては140℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましく、180℃以上がさらに好ましい。また加熱時間が長くても上記摩擦係数増加率を満たす場合が好ましく、加熱時間としては100時間以上が好ましく、200時間以上がより好ましく、500時間以上がさらに好ましい。

摩擦係数増加率(%)=100×[加熱した後、さらに上述の摺動試験500サイクル実施した後の摩擦係数]/[加熱せずに上述の摺動試験500サイクル実施した後の摩擦係数]・・・(2)
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態をより具体的に説明する。本発明の実施形態は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前述および後述する趣旨に合致し得る範囲で、適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の実施形態の技術的範囲に包含される。
厚さ0.3mmの純銅板をめっき基材とし、アセトン洗浄にて表面を脱脂した後、めっき処理の下地として、市販のストライクAgめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-ST)を用い、純Ag板を対極として5A/dmの電流密度で1分間の通電を行い、厚さ約0.1μmのストライクAgめっき処理を施したものを基材として用いた。その後、市販の非シアン系半光沢Agめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-SB)を用い、めっき液中に、表1に示す種々の粒子と、界面活性剤とを分散させ、攪拌を行いながら、純Ag板を対極として3A/dmの電流密度で5分間の通電を行い、厚さ約10μmのAgめっき層(銀含有量99質量%以上)中に各粒子が共析した(埋没した)銀含有膜を含む、No.1~9の接点材料を得た。なお、No.1~9において、界面活性剤にはサーフロンS231(AGXセイミケミカル製)を用いており、その添加量は50g/Lとした。
Figure 2024012397000002
No.1~9の接点材料に対して、(a)式(1)の面積率[A/(A+AAg)×100(%)](b)接触抵抗、および(c)耐摩耗性の評価を行った。
<(a)式(1)の面積率[A/(A+AAg)×100(%)]>
走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所製S-3500N)を用いて、加速電圧20kVおよびワークディスタンス15mmの条件で、No.1~9の接点材料を断面SEM用の保護層で被覆したサンプルに対し、銀含有膜(および銀含有層)の膜厚方向に平行な断面SEM像(二次電子像)を取得した。銀含有層の面積AAgは、断面SEM像に対し、画像処理ソフト「ImageJ」を用いて、上述のようにして2値化処理した後の、明るい部分の面積とした。なお断面SEM像において、銀含有層上面の凹凸の平均線を、銀含有層と断面SEM用サンプルの保護層との境界線とした。複数の粒子のうち銀含有層中に埋没した部分の面積Aは、上述のようにして2値化処理した後の、暗い部分(非導電性有機化合物に相当する部分)であって、銀含有層中に埋没した部分の面積とした。なお断面SEM像において、銀含有層上面の凹凸の平均線を、銀含有層と断面SEM用サンプルの保護層との境界線として、当該平均線以下に存在する部分を、銀含有層中に埋没した部分とした。
図3A~図3Cに粒子の面積率の算出例を示す。図3AはNo.2の接点材料の、銀含有膜(および銀含有層)の膜厚方向に平行な断面SEM像であり、図3Bは、図3Aから銀含有層(および銀含有層中に埋没した粒子)のみをトリミングした像であり、図3Cは、図3Bを2値化した像である。図3Cの黒い部分の面積を、図3Bの面積で除したところ、2.51%の面積率であった。
<(b)接触抵抗評価>
No.1~9の接点材料の銀含有膜に対して、電気接点シミュレータ(山崎精機研究所製)を使用して、接触抵抗を測定した。印加荷重は5Nとし、3箇所測定した平均値を、No.1~9の接点材料の接触抵抗とした。接触抵抗が0.50[mΩ]以下となるものを、導電性が十分(〇)であるとした。
<(c)耐摩耗性評価>
厚さ0.25mmの純銅板上に硬質Agめっき(ビッカース硬さHv:約165)層を約50μm形成した後、ハンドプレスによって曲率半径R=1.8mmの半球状の突起を形成したサンプルを相手材とし、No.1~9の接点材料に対し、摺動試験機(アイコーエンジニアリング製横型荷重試験機)を用いて、印加する垂直荷重:3N、摺動距離:10mm、摺動速度:80mm/分で摺動試験を行った。摺動サイクルは、20サイクルとした。摺動後の摩擦係数が0.50[mΩ]以下となるものを、耐摩耗性が十分(〇)であるとした。
以上の結果を表2にまとめた。なお、「短絡防止」の欄には、接点材料に含まれる粒子の50体積%以上が非導電性粒子である場合、粒子の脱落による接点の短絡を十分に抑制できる(〇)とした。また、*を付した数値は本発明の実施形態の範囲から外れていることを示す。
Figure 2024012397000003
表2の結果より、次のように考察できる。No.2~4および6~9の接点材料は、いずれも本発明の実施形態で規定する要件を満足しており、導電性粒子の脱落による接点の短絡を十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を有していた。
一方、表2のNo.1および5の接点材料は、いずれも本発明の実施形態で規定する要件である式(1)の面積率範囲(0.50~12.10)を満たしておらず、耐摩耗性または導電性が不十分であった。
実施例1から、表3のように埋没させる粒子種および添加量を変更して、No.10~12の接点材料を得た。なお、No.10~12は界面活性剤としてサーフロンS231(AGXセイミケミカル製)を用いており、その添加量は、No.10では50g/Lとし、No.11および12では10g/Lとした。
Figure 2024012397000004
No.10~12の接点材料に対して、(d)熱重量示差熱分析(TG-DTA)、および(e)耐熱性評価を行った。
<(d)熱重量示差熱分析(TG-DTA)>
No.10~No.12の接点材料に用いた有機化合物粒子に対して、差動型示差熱天秤(リガク社製、Thermo plus EVOII)を用いて、大気下、10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析を行い、各化合物粒子の融点、分解点および燃焼点を求めた。
<(e)耐熱性評価>
No.10~No.12の接点材料に対し、大気環境下140~180℃に設定した恒温器(ヤマト科学製、DN-43)の中に入れて、100~500時間加熱した後、上述した(c)耐摩耗性評価における摺動試験を実施した。摺動サイクルは500サイクルとした。図4~図6に、No.10~12の接点材料の耐熱性評価結果をそれぞれ示す。
以上の結果を表4にまとめた。なお、「TG-DTA結果」の欄の「-」は、該当の温度を示さなかったことを意味する。「耐熱性評価結果」の欄には、各温度で500時間加熱したときの上記式(2)で計算される摩擦係数増加率が120%以下となる場合に特に良好(◎)とし、200%以下となる場合に良好(〇)とし、それ以外を×とした。また「耐熱性評価結果」の欄の「-」は評価していないことを示す。
Figure 2024012397000005
表4の結果より、非導電性有機化合物の融点と耐熱性評価結果に相関があり、融点が140℃以上であるか、または融点を示さないNo.11および12の接点材料は、耐熱性が良好であった。
[参考例]
以下、参考例を用いて、本発明の実施形態の要件である「非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、フルオロ基(-F)、メチル基(-CH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NRであって、RおよびRは水素または炭化水素基であり、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)、ヒドロキシ基(-OH)、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含」むことが良好な効果を奏することを説明する。
[参考例1]
厚さ0.3mmの純銅板をめっき基材とし、アセトン洗浄にて表面を脱脂した後、めっき処理の下地として、市販のストライクAgめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-ST)を用い、純Ag板を対極として5A/dmの電流密度で1分間の通電を行い、厚さ約0.1μmのストライクAgめっき処理を施したものを基材として用いた。その後、市販の非シアン系半光沢Agめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-SB)を用い、純Ag板を対極として3A/dmの電流密度で5分間の通電を行い、厚さ約10μmの半光沢Agめっき層(銀含有量99質量%以上)を形成させた。その後Agめっき層表面に、表5に示す種々の粒子(または粒子の分散液)をアルコール中に20mg/mlの割合で懸濁させた液を0.2ml/cm滴下し、乾燥させることで、種々の粒子がAgめっき層表面に接触した銀含有膜を含む、No.13~No.24の接点材料を作製した。
Figure 2024012397000006
No.13~No.24の接点材料に対して、(f1)耐摩耗性評価を行った。
<(f1)耐摩耗性評価>
上述した実施例1の(c)耐摩耗性評価における摺動試験を実施した。摺動サイクル数は最大500サイクルとした。結果を図7~図18に示す。図7~図18は、それぞれ、試験No.13~24の接点材料に対して摺動試験を行った結果である。
各摺動サイクルにおける摩擦係数(垂直荷重に対する水平荷重の比)の最大値を測定し、500サイクル後の摩擦係数が0.50超のものを不十分(×)とし、500サイクル後の摩擦係数が0.50以下のものをやや不十分(△)とし、300サイクル後の摩擦係数が0.50以下のものを十分(〇)とし、100サイクル後の摩擦係数が0.30以下のものを良好(◎)とした。なお複数回測定したものについては、その平均値で判断した。
以上の結果を表6にまとめた。なお、「短絡防止」の欄には、接点材料に含まれる粒子の50体積%以上が非導電性粒子である場合、粒子の脱落による接点の短絡を十分に抑制できる(〇)とし、接点材料に含まれる粒子の50体積%未満が非導電性粒子である場合(すなわち接点材料に含まれる粒子の50体積%超が導電性粒子である場合)、粒子の脱落による接点の短絡のおそれがある(×)とした。
Figure 2024012397000007
表6の結果より、次のように考察できる。表6のNo.13~18の接点材料は、いずれも、非導電性有機化合物が、単位分子構造内に、フルオロ基、メチル基、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか一種以上を含むため、300サイクル後の摩擦係数が0.50以下であった。また、表6のNo.13~16の接点材料は、いずれも、非導電性有機化合物が、単位分子構造内に、カルボニル基、アミノ基およびヒドロキシ基からなる群から選択されるいずれか一種以上を含むという好ましい要件を満たしていたため、100サイクル後の摩擦係数が0.30以下であり、好ましい結果であった。
[参考例2]
厚さ0.3mmの純銅板をめっき基材とし、アセトン洗浄にて表面を脱脂した後、めっき処理の下地として、市販のストライクAgめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-ST)を用い、純Ag板を対極として5A/dmの電流密度で1分間の通電を行い、厚さ約0.1μmのストライクAgめっき処理を施したものを基材として用いた。その後、市販の非シアン系半光沢Agめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-SB)を用い、純Ag板を対極として3A/dmの電流密度で5分間の通電を行い、厚さ約10μmの半光沢Agめっき層(銀含有量99質量%以上)を形成させた。その後Agめっき層表面に、表7に示す種々の粒子(または粒子の分散液)をアルコール中に20mg/mlの割合で懸濁させた液を0.2ml/cm滴下し、乾燥させることで、種々の粒子がAgめっき層表面に接触した銀含有膜を含む、No.25~No.28の接点材料を作製した。
Figure 2024012397000008
No.25~No.28の接点材料に対して、(f2)耐摩耗性評価を行った。
<(f2)耐摩耗性評価>
ボールオンディスク試験装置(CSM社製、Tribometer)を使用し、φ6mmの高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)ボールを相手材として、No.25~28の接点材料に対し、100サイクルの往復摺動試験を行った。印加する垂直荷重は1N、1サイクル当たりの摺動幅(摺動のストローク)は10mm、平均摺動速度は30mm/秒とした。
結果を図19~図22に示す。図19~図22は、それぞれ、試験No.25~28の接点材料に対して上記耐摩耗性評価を行った結果である。
各摺動サイクルにおける摩擦係数(垂直荷重に対する水平荷重の比)の最大値を測定し、100サイクル後の摩擦係数が1.0超のものを不十分(×)とし、100サイクル後の摩擦係数が0.20以上1.0以下のものを十分(〇)とし、100サイクル後の摩擦係数が0.20未満のものを良好(◎)とした。なお複数回測定したものについては、その平均値で判断した。
以上の結果を表8にまとめた。なお、「短絡防止」の欄には、接点材料に含まれる粒子の50体積%以上が非導電性粒子である場合、粒子の脱落による接点の短絡を十分に抑制できる(〇)とし、接点材料に含まれる粒子の50体積%未満が非導電性粒子である場合(すなわち接点材料に含まれる粒子の50体積%超が導電性粒子である場合)、粒子の脱落による接点の短絡のおそれがある(×)とした。
Figure 2024012397000009
表8の結果より、次のように考察できる。表8のNo.25~27の接点材料は、いずれも、非導電性有機化合物が、単位分子構造内に、フルオロ基、メチル基、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシ基、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか一種以上を含むため、100サイクル後の摩擦係数が1.0以下であった。また、表8のNo.27の接点材料は、非導電性有機化合物が、単位分子構造内に、カルボニル基、アミノ基およびヒドロキシ基からなる群から選択されるいずれか一種以上を含むという好ましい要件を満たしていたため、100サイクル後の摩擦係数が0.20未満であり、好ましい結果であった。
1 接点材料
2 銀含有膜
2a 銀含有層
2b 非導電性有機化合物からなる粒子
11 接点材料
古くからAgめっき膜の耐摩耗性を改善するために、
(1)結晶粒微細化によるAgめっきの高硬度化
(2)Agと、Se(セレン)またはSb(アンチモン)等との合金化による高硬度化
等の検討が行われてきた。しかしながら、上記(1)および(2)のいずれの手法によっても耐摩耗性の改善は不十分であった。また、SeおよびSbは有毒な元素であり、管理に注意を要するうえ、合金化に伴って導電性の低下を招くという問題もある。
上記(3)については、非特許文献2のように古くから検討が行われており、銀含有膜の耐摩耗性改善手法としては一般的と言える。しかしながら、EVおよびPHEVの増加予測に伴い、耐摩耗性と導電性を両立した接点材料への需要が高まっているにもかかわらず、上記(3)の活用は進んでいない。この理由は、炭素粒子分散めっきを接点材料に適用して摺動(挿抜)を繰り返すと、摩耗に伴ってAgめっき膜中に保持されていた炭素粒子が脱落するという懸念によるものと考えられる。炭素系粒子が脱落して接点周囲に堆積すると、接点の短絡を招くおそれがあり、特に高電圧及び大電流での通電を必要とするEVおよびPHEV用の端子においては、安全性に問題が生じ得る。
本発明の態様2は、
前記非導電性有機化合物を10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析したとき、融点が140℃以上であるか、または融点を示さない、態様1に記載の接点材料である。
厚さ0.3mmの純銅板をめっき基材とし、アセトン洗浄にて表面を脱脂した後、めっき処理の下地として、市販のストライクAgめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-ST)を用い、純Ag板を対極として5A/dmの電流密度で1分間の通電を行い、厚さ約0.1μmのストライクAgめっき処理を施したものを基材として用いた。その後、市販の非シアン系半光沢Agめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-SB)を用い、めっき液中に、表1に示す種々の粒子と、界面活性剤とを分散させ、攪拌を行いながら、純Ag板を対極として3A/dmの電流密度で5分間の通電を行い、厚さ約10μmのAgめっき層(銀含有量99質量%以上)中に各粒子が共析した(埋没した)銀含有膜を含む、No.1~9の接点材料を得た。なお、No.1~9において、界面活性剤にはサーフロンS231(AGセイミケミカル製)を用いており、その添加量は50g/Lとした。
<(c)耐摩耗性評価>
厚さ0.25mmの純銅板上に硬質Agめっき(ビッカース硬さHv:約165)を約50μm形成した後、ハンドプレスによって曲率半径R=1.8mmの半球状の突起を形成したサンプルを相手材とし、No.1~9の接点材料に対し、摺動試験機(アイコーエンジニアリング製横型荷重試験機)を用いて、印加する垂直荷重:3N、摺動距離:10mm、摺動速度:80mm/分で摺動試験を行った。摺動サイクルは、20サイクルとした。摺動後の摩擦係数が0.50[mΩ]以下となるものを、耐摩耗性が十分(〇)であるとした。
実施例1から、表3のように埋没させる粒子種および添加量を変更して、No.10~12の接点材料を得た。なお、No.10~12は界面活性剤としてサーフロンS231(AGセイミケミカル製)を用いており、その添加量は、No.10では50g/Lとし、No.11および12では10g/Lとした。
Figure 2024012397000034

Claims (4)

  1. 銀含有膜を含む接点材料であって、
    前記銀含有膜は、銀を50質量%以上含む銀含有層と、複数の非導電性有機化合物からなる粒子とを含み、各粒子の少なくとも一部は前記銀含有層中に埋没しており、
    前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、
    フルオロ基(-F)、メチル基(-CH)、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NRであって、RおよびRは水素または炭化水素基であり、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)ヒドロキシ基(-OH)、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含み、
    下記式(1)を満たす、接点材料。

    0.50≦A/(A+AAg)×100≦12.10 ・・・(1)

    式(1)において、Aは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における、前記複数の非導電性有機化合物からなる粒子のうち、前記銀含有層中に埋没した部分の面積であり、AAgは前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における前記銀含有層の面積である。
  2. 前記非導電性有機化合物を10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析したとき、融点が140℃以上であるか、または融点を示さない、請求項1に記載の接点材料。
  3. 前記非導電性有機化合物を10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析したとき、分解点を示すときは前記分解点が500℃以下であり、分解点を示さず融点を示すときは、前記融点が500℃以下である、
  4. 前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NRであって、RおよびRは水素または炭化水素基であり、RおよびRは同じでも異なっていてもよい)およびヒドロキシ基(-OH)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含む、請求項1または2に記載の接点材料。
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