JP2024007910A - 車両の駆動機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】後傾姿勢を軽減しやすく、またペダル操作をしやすくすることができる、車両の駆動機構を提供する。【解決手段】車両の駆動機構は、車両のシートに着座した運転者の左右の脚で車両の略前後方向に直動可能な一対のペダルと、ペダルを一端側で支持し他端側をペダルの下方領域で出力部とする、回転軸を中心に略前後方向に揺動可能な一対の往復動レバーと、一端側が出力部に回動可能に接続され、他端側が運転者の着座姿勢より下方領域を通り車両の後方に向かって延びる一対の連結ロッドと、連結ロッドの他端側が回転可能に接続されたクランクピンが固定された一対の回転体が、一対のワンウェイクラッチを介してクランクピンの位相が異なるように両端に接続された回転軸を有する、車両の駆動輪を駆動するための駆動ギヤと、を備える。【選択図】図4
Description
本開示は、車両の駆動機構に関する。
従来、様々な自転車(車両)が知られている。自転車のタイプとして、例えば、走行時の利用者の負担を軽減することができるように、人力走行に加え、モータ等を用いた電動アシスト走行や完全電動走行等を可能にする自転車が提案されている。
普及している自転車のタイプとしては、立乗りタイプの車両があるが、その他のタイプとして、背もたれ付きのシートに座り、運転者が脚を前方に投げ出す姿勢で乗車するリカンベントタイプの自転車がある。リカンベントタイプの場合、通常の立乗りタイプの自転車に比べると運転者の運転姿勢を低くすることができて空気抵抗を少なくすることができるとともに、脚でペダルを押し動かす際の反力を背もたれに支えられた腰や背中で受け止められるため、脚力の伝達効率を安定し易くするこができる。その反面、立乗りタイプの自転車に比べて、運転時に後傾姿勢になりやすく、周囲の視認性低下や後傾姿勢を維持するための首への負担増加等が生じやすいという問題がある。また、その後傾姿勢を維持しつつペダルを操作するためには、一定の訓練や慣れが必要である場合があり、普及しにくい原因の一つになっていた。
そこで、本開示の課題の一つは、運転時の後傾姿勢を軽減しやすく、またペダル操作をしやすくすることができる、車両の駆動機構を提供することである。
本開示の一例としての車両の駆動機構は、車両のシートに着座した運転者の左右の脚で前記車両の略前後方向に直動可能な一対のペダルと、前記ペダルを一端側で支持し他端側を前記ペダルの下方領域で出力部とする、回転軸を中心に前記略前後方向に揺動可能な一対の往復動レバーと、一端側が前記出力部に回動可能に接続され、他端側が前記運転者の着座姿勢より下方領域を通り前記車両の後方に向かって延びる一対の連結ロッドと、前記連結ロッドの他端側が回転可能に接続されたクランクピンが固定された一対の回転体が、一対のワンウェイクラッチを介して前記クランクピンの位相が異なるように両端に接続された回転軸を有する、前記車両の駆動輪を駆動するための駆動ギヤと、を備える。この構成によれば、例えば、一対のペダルが車両の略前後方向に直動操作可能となり、かつペダル操作で発生した直動運動を着座姿勢の下方領域を通して、駆動輪に回転運動を与えるように伝達できる。つまり、運転者の脚を着座姿勢より下方領域で略前後方向で直動運動(屈伸運動)させることが可能になり、シートから着座姿勢を起こし易くなる。その結果、周囲の視認性改善や首への負担軽減に寄与することができる。また、駆動ギヤと連結ロッドとの間にワンウェイクラッチが存在するため、連結ロッドを動作させる場合に、ペダルの前後可動域が狭くクランクピンの位置が回転体の上死点または下死点を超えなくても回転体を一方向に効率的に回転させることができる。その結果、ペダルの前後の可動域の制限が緩和され、ペダルの操作性を向上することができる。
また、車両の駆動機構の前記出力部は、当該出力部を例えば前記車両の前方に付勢する付勢部材を備えてもよい。この構成によれば、例えば、左右のペダルを支持する往復動レバーの出力部を車両の前方に引き寄せる。つまり、ペダルは、後方向に自動復帰することが可能になり、運転者が意図的に行うペダル操作は、前方押し込み動作のみとなる。その結果、ペダルの操作性をより向上させることができる。
また、車両の駆動機構の前記駆動ギヤまたは前記駆動輪には、例えば、回転電機が接続されていてもよい。この構成によれば、例えば、車両の人力走行、電動アシスト走行、完全電動走行を容易に実現することができる。また、ペダル発電機能、回生発電機能を容易に実現できる。
また、車両の駆動機構の前記駆動輪は、例えば、前記駆動ギヤのギヤ径より小径の従動ギヤを備える車軸によって支持され、前記駆動ギヤと前記従動ギヤとの間には、チェーンが架け渡されていてもよい。この構成によれば、例えば、ペダル操作による回転運動の回転速度を容易に増速して、車両の走行性能の向上に寄与できる。
以下、本開示の実施形態および変形例を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
なお、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
図1は、実施形態の車両1の駆動機構4の構成を示す例示的かつ模式的な側面図である。図2は、車両1の駆動機構4の構成を示す例示的かつ模式的な正面図である。また、図3は、車両1の駆動機構4の構成を示す例示的かつ模式的な背面図である。
まず、図1~図3を用いて、車両1の全体構成を説明する。図1~図3に示される車両1は、三輪電動アシスト自転車の一例である。車両1は、フレーム2と、複数(一例として三つ)の車輪3と、駆動機構4と、操舵部5と、シート装置6と、を備える。
三つの車輪3は、一つの前輪3Fと、二つの後輪3R(3RL,3RR)と、である。三つの車輪3は、回転可能にフレーム2に支持されている。詳細には、前輪3Fは、操舵部5を介してフレーム2に支持されている。二つの後輪3Rは、駆動機構4を介してフレーム2に支持されている。二つの後輪3RL,3RRは、車両1の左右方向D3に間隔をあけて設けられている。車両1の左右方向D3は、幅方向とも称される。
駆動機構4は、二つの後輪3RL,3RRを回転駆動する。詳細は後述するが、駆動機構4は、二つのペダル11(11L,11R)と、変換機構12と、駆動ギヤ13(前側スプロケット)等を含む。駆動ギヤ13と従動ギヤ14(後側スプロケット)とは、チェーン15によって動力伝達可能であり、従動ギヤ14には、モータ17と、伝達部18とが接続されている。
二つのペダル11(11L,11R)は、往復移動可能に設けられている。ペダル11L,11Rは、運転者200の脚200a,200bによって押圧操作(屈伸操作)される。変換機構12は、ペダル11L,11Rの往復運動を駆動ギヤ13の回転運動に変換する。チェーン15は、駆動ギヤ13と従動ギヤ14とに掛け渡されており、駆動ギヤ13の回転に伴い従動ギヤ14を回転させる。従動ギヤ14は、車軸16に連結されており、従動ギヤ14が回転することにより車軸16が回転する。車軸16には、後輪3RL,3RRが結合されており、車軸16が回転することにより後輪3RL,3RRが回転する。車軸16は、例えば左右二つに分割されており、各車軸16の間には差動装置が介在している。一方の車軸16および他方の車軸16は差動装置を介して従動ギヤ14に結合されている。
モータ17(回転電気)は、ペダル11L,11Rに作用する操作力(押圧力)に応じた回転力(アシスト力)を伝達部18を介して従動ギヤ14に付与する。これにより、車両1の走行時には、後輪3RL,3RRは、ペダル11L,ペダル11Rに作用する操作力(押圧力)とモータ17から伝達される力とによって回転駆動される。モータ17は、バッテリ(不図示)から供給される電力によって回転する。
また、駆動機構4は、ブレーキ機能を有する。駆動機構4は、ブレーキ操作部材が操作されることにより、ブレーキ装置によって制動力を発生する。また、このとき、駆動機構4は、モータ17の回生運転による制動力も発生することができる。
なお、他の実施形態においては、車両1は、モータ17と伝達部18との間等にクラッチを介在させて、駆動機構4の動作のみによって走行させる人力走行モードと、モータ17の駆動によるアシスト走行モード、モータ17の駆動のみによって走行する電動走行モードを切替可能としてもよい。また、車両1は、モータ17と伝達部18を省略して、人力駆動のみで走行するものとしてもよい。
操舵部5は、ハンドル31と、連結機構32と、を有する。連結機構32は、第1の部分33と、第2の部分34と、変換部35と、を有する。第1の部分33は、ハンドル31と結合されており、ハンドル31と一体に回転する。第2の部分34は、前輪3Fを回転可能に支持している。変換部35は、第1の部分33と第2の部分34との間に介在し、第1の部分33の回転運動を第2の部分34の回転運動に変換する。このような構成によって、ハンドル31の回転に応じて前輪3Fが転舵される。前輪3Fの上下方向は、前輪3Fが転舵されても車両1の上下方向D2に沿う。すなわち、前輪3Fは、転舵されても。車両1の上下方向D2に対して車両1の左右方向D3に傾斜しない。
フレーム2は、骨組体51と、前側支持部52と、後側支持部53と、を有する。フレーム2の前後方向、上下方向、および左右方向は、車両1の前後方向D1、上下方向D2、および左右方向D3と一致する。
骨組体51は、図3に示されるように、三角柱状に形成されている。具体的には、骨組体51は、上側メンバー54と、二つの下側メンバー55と、複数の結合メンバー56と、を有する。二つの下側メンバー55は、左側の下側メンバー55Lと、右側の下側メンバー55Rと、である。上側メンバー54、二つの下側メンバー55、および複数の結合メンバー56は、棒状に形成されている。一例として、上側メンバー54、二つの下側メンバー55、および複数の結合メンバー56は、それぞれ、円筒パイプによって構成されている。なお、上側メンバー54、二つの下側メンバー55、および複数の結合メンバー56の形状は、他の形状であってもよい。
上側メンバー54および二つの下側メンバー55は、それぞれ、車両1の前後方向D1に延びている。二つの下側メンバー55は、上側メンバー54よりも車両1の上下方向D2の下方に位置し、互いに車両1の左右方向に間隔をあけて並べられている。左側の下側メンバー55Lは、上側メンバー54よりも車両1の左右方向の左方向に位置し、右側の下側メンバー55Rは、上側メンバー54よりも車両1の左右方向の右方向に位置している。上側メンバー54および二つの下側メンバー55のそれぞれの前端部は、結合メンバー56によって連結されている。また、上側メンバー54および二つの下側メンバー55のそれぞれの後端部は、結合メンバー56によって連結されている。上側メンバー54、二つの下側メンバー55、および複数の結合メンバー56は、互いに溶接等によって固定されている。二つの下側メンバー55は、上側メンバー54よりも車両1の上下方向D2の下方に位置し上側メンバー54に固定された下側部57を構成している。
前側支持部52は、骨組体51の前端部に固定されている。前側支持部52は、操舵部5を支持している。
図1および図3に示されるように、後側支持部53は、骨組体51の後端部に固定されている。後側支持部53は、ベース壁部58と、二つの立壁部59L,59Rと、を有する。ベース壁部58は、二つの下側メンバー55の下方側に位置し、二つの下側メンバー55に固定されている。二つの立壁部59L,59Rは、ベース壁部58の左右の端部から上方に延びている。後側支持部53は、車軸16を回転可能に支持している。また、後側支持部53は、モータ17等を支持している。
シート装置6は、シート71と、位置調整装置72と、一対の反力装置73と、を有する。
シート71は、シートクッション74と、シートバック75と、を有し、運転者200がシートバック75にもたれ掛った姿勢で着座可能である。
シート71は、車両1の上下方向D2に対して車両1の左右方向D3に傾斜可能に上側メンバー54に支持されている。また、シート71は、車両1の前後方向D1に移動可能に上側メンバー54に支持されている。
図3に示されるように、反力装置73は、左右に二つ設けられている。二つの反力装置73は、シート71と下側部57との間に伸縮可能に介在し、シート71の傾斜によって縮んだ場合にシート71に反力を与える。具体的には、左側の反力装置73Lは、シート71のシートクッション74の左端部と、左側の下側メンバー55Lとの間に介在し、シートクッション74の左端部に反力を与える。右側の反力装置73Rは、シート71のシートクッション74の右端部と、右側の下側メンバー55Rとの間に介在し、シートクッション74の左端部に反力を与える。
各反力装置73は、ダンパー85と、ばね86と、を有する。ばね86とダンパー85とは、一体に伸縮するように互いに連結されている。反力装置73は、シート71と一体となって、車両1の前後方向に移動可能である。
シート装置6の構成において、車両1を旋回させる場合に、シート71に着座した運転者200がハンドル31を操舵するとともに車両1の旋回の内側に体重移動をすることより、シートクッション74の旋回内側の端部が旋回内側の反力装置73のダンパー85の上端部を下方に押圧する。これにより、ダンパー85およびばね86が縮みながら、シート71が車両1の上下方向D2に対して車両1の左右方向D3であって旋回内側に傾斜する。例えば、左旋回の場合には、車両1の上下方向D2に対してシート71が左方向に傾斜する。別の言い方をすると、左旋回の場合には、シートクッション74の左端部が車両1の上下方向D2の下方に移動し、シートクッション74の右端部が車両1の上下方向D2の上方に移動する。一方、右旋回の場合には、シートクッション74の右端部が車両1の上下方向D2の下方に移動し、シートクッション74の左端部が車両1の上下方向D2の上方に移動する。すなわち、車両1の旋回時には、シートクッション74の左右の端部のうち、旋回内側の端部が車両1の上下方向D2の下方に移動し、シートクッション74の左右の端部のうち、旋回外側の端部が車両1の上下方向D2の上方に移動する。
旋回の終了の際には、運転者200がハンドル31を戻すとともに姿勢を元に戻すことにより、シート71の上下方向D4が車両1の上下方向D2に沿うようにシート71の姿勢が変化する。この際、反力装置73は、シート71に引っ張られることなく、ばね86の復元力によって定常状態に復帰する。
以上のように、本実施形態では、車両1は、フレーム2と、三つまたは四つの車輪3と、シート71と、反力装置73と、を備える。フレーム2は、車両1の前後方向D1に延びた上側メンバー54と、上側メンバー54よりも車両1の上下方向D2の下方に位置し上側メンバー54に固定された下側部57と、を有する。三つまたは四つの車輪3は、前輪3Fと、後輪3RL,3RRと、を含み、前輪3Fと後輪3RL,3RRとの少なくとも一方が二つであり、回転可能にフレーム2に支持されている。シート71は、車両1の上下方向D2に対して車両1の左右方向D3に傾斜可能に上側メンバー54に支持されている。反力装置73は、シート71と下側部57との間に伸縮可能に介在し、シート71の傾斜によって縮んだ場合にシート71に反力を与える。
このような構成によれば、例えば、シート71に着座した運転者200は、車両1の旋回時に旋回の内側に体重移動をする場合に、シート71を旋回内側に傾斜させることできるので、体重移動をスムーズに行うことできる。その結果、車両1の旋回時の安定性を向上させることができる。
また、シート71は、位置調整装置72によって車両1の前後方向D1の位置の調整を可能に上側メンバー54に連結されている。このような構成によれば、運転者200の体形に応じて車両1の前後方向D1におけるシート71の位置を調整することができる。
次に、上述のように構成される車両1の駆動機構4の詳細を図1及び図4を用いて説明する。図4は、駆動機構4に含まれるワンウェイクラッチ12Wを備える駆動ギヤ13の構成を示す例示的かつ模式的な平面図である。
上述したように、駆動機構4は、二つのペダル11と、変換機構12と、駆動ギヤ13(前側スプロケット)と、を含む。変換機構12は、二つのペダル11により入力される直動運動を駆動ギヤ13の回転運動に変換する。駆動ギヤ13の回転運動は、チェーン15を介して従動ギヤ14(後側スプロケット)に伝達され車軸16、すなわち車輪3を回転させて、車両1を走行させる。
変換機構12は、具体的には、一対の往復動レバー12a(12aL,12aR)と、一対の連結ロッド12b(12bL,12bR)と、一対の回転体12c(12cL、12cR)と、を含む。
図1に示されるように、一対の往復動レバー12a(12aL,12aR)は、一端側に運転者200の足裏を載せて踏込動作可能なペダル11(11L,11R)を回動可能に支持し、他端側がペダル11(11L,11R)の下方領域に位置する出力部12ab(12abL,12abR)を備える棒状の部材である。往復動レバー12a(12aL,12aR)は、棒状の中間領域に形成される回転軸12acを中心に揺動可能である。したがって、往復動レバー12a(12aL,12aR)は、車両1の略前後方向に揺動可能である。すなわち、ペダル11(11L、11R)は、車両1のシート装置6に着座した運転者200が左右の脚200a,200bを屈伸運動することで車両1の略前後方向に直動可能となる。
図4に示されるように、往復動レバー12a(12aL,12aR)の出力部12abには、例えば、ベアリング12eを介して連結ロッド12b(12bL,12bR)の一端側が回動可能に接続される。
図1に示されるように、連結ロッド12b(12bL,12bR)は、他端側が着座姿勢の運転者200の脚200a,200bの下方領域を通り、車両1の後方に向かって延びる棒状部材である。連結ロッド12b(12bL,12bR)の他端側は、円盤形状の回転体12c(12cL、12cR)に固定されたクランクピン12d(12dL,12dR)に、ベアリング12eを介して回転可能に接続されている。クランクピン12dLとクランクピン12dRは、回転体12c(12cL、12cR)の周縁部に固定されている。したがって、運転者200が、ペダル11(11L,11R)を車両1の前方向に交互に踏み込み、往復動レバー12a(12aL,12aR)を車両1の略前後方向に揺動させる直動運動を行うと、その直動運動に対応して連結ロッド12b(12bL,12bR)が車両1の略前後方向に直動運動する。その結果、回転体12c(12cL,12cR)が連結ロッド12b(12bL,12bR)の前後方向の移動量に応じて回転する。
一般に、連結ロッド12b(12bL,12bR)の前後方向の移動量(ストローク)が、クランクピン12d(12dL,12dR)を上死点及び下死点を超えて回転すれば、回転体12c(12cL,12cR)を一方向に回転させることができる。ただし、その場合、運転者200は、ペダル11(11L,11R)を予め定められた量(例えばフルストローク)まで踏み込む必要があり、不慣れな運転者200や高齢者には踏込操作時の負担になったり、疲労の増加を招いたりする場合がある。
本実施形態の駆動機構4の場合、回転体12c(12cL,12cR)は、ワンウェイクラッチ12W(12WL,12WR)を介して駆動ギヤ13の回転軸13sに接続されている。図4に示されるように、駆動ギヤ13は、ハウジング13aに収容され、回転軸13sがベアリング13bによって回転可能に軸支されている。ワンウェイクラッチ12Wは、一方向の回転時のみ動力伝達が可能で、逆方向の回転時には動力伝達を行わない(空転する)ものである。ワンウェイクラッチ12Wは、例えば、図1において、連結ロッド12b(12bL,12bR)が車両1の後方に向かって移動したときのみ、動力伝達するものとする。つまり、連結ロッド12b(12bL,12bR)が車両1の前方に向かって移動したときには、動力伝達を行わない。その結果、クランクピン12d(12dL,12dR)が上死点や下死点を超えない場合でも回転体12c(12cl、12cR)は、一定方向(例えば、図1における反時計回り方向に回転して、車両1を前進走行させる回転運動を発生させることができる。この場合、クランクピン12dLとクランクピン12dRの位相をずらしておけば、車両1の前後方向に連結ロッド12b(12bL、12bR)が交互に直動運動することにより、ペダル11(11L、ペダル11R)の踏込量(ペダル可動域)の大小に拘わらず、駆動ギヤ13が一方向(走行方向)に回転し、車両1を前進走行させる回転力を発生させることができる。
なお、図1に示す駆動機構4の場合、上述したように、ペダル11Lとペダル11Rを交互に踏み込むことで最も効率的に駆動ギヤ13を回転させることができる。また、駆動機構4の構造上、ペダル11Lとペダル11Rは、独立的に操作可能であるため、別の操作方法においては、ペダル11Lとペダル11Rのいずれか一方のみを踏み込むことでも駆動ギヤ13を回転させることができる。したがって、運転者200の疲労の程度や運転環境等に応じて、ペダル11の操作方法の選択が可能であり、使い勝手の向上に寄与することができる。
ところで、前述したように、回転体12c(12cl、12cR)と回転軸13sとの間にワンウェイクラッチ12W(12WL,12WL)を介在させた場合、車両1の後方に移動した連結ロッド12bを運転者200が人力により引き戻す必要がある。例えば、足裏とペダル11とをベルト等により固定して、脚力を利用して後方に引き戻す必要がある。そこで、駆動機構4は、図1に示されるように、往復動レバー12a(12aL,12aR)の出力部12abに往復動レバー12a(12aL,12aR)を前方に引き戻す付勢部材として、例えば、リターンスプリングS(SL,SR)の一端が接続されている。リターンスプリングSの他端は、例えば、前側支持部52に固定されている。その結果、往復動レバー12a(12aL,12aR)は常時、出力部12abが前方に付勢され、ペダル11(11L,11R)が回転軸12acを中心に揺動し、回転軸12acより後方に位置するようになる。つまり、運転者200は、人力でペダル11を後方に引き戻す必要がなく、ペダル11は常に踏込可能状態に復帰するので、ペダリングが容易になる。なお、図1の場合付勢部材としてリターンスプリングSを用いる例を示したが、ペダル11を車両1の後方に復帰させる反力を付与する反力付与機構であればよい。例えば、反力付与機構はリンク機構等により実現してもよいし、モータ等の動力を用いてもよい。
このように、本実施形態の駆動機構4の場合、一対のペダル11が車両1の略前後方向に直動操作可能となり、かつペダル操作で発生した直動運動を運転者200が前方に脚200a,200bを投げ出すように着座姿勢の下方領域を通して後輪3R(駆動輪)に回転運動を与えるように伝達できる。つまり、運転者200の脚200a,200bを着座姿勢より下方領域で略前後方向で直動運動させることが可能になる。その結果、ペダル11のペダリングのワークスペースと、連結ロッド12b等の駆動機構4の可動スペースの適正化、両立化が容易になるとともに、シート装置6から着座姿勢を起こし易くなり、駆動機構4は、周囲の視認性改善や首への負担軽減に寄与することができる。また、駆動ギヤ13と連結ロッド12bとの間にワンウェイクラッチ12Wが存在するため、連結ロッド12bを動作させる場合に、ペダル11の前後可動域が狭くクランクピン12dの位置が回転体12cの上死点または下死点を超えなくても回転体12cを一方向に効率的に回転させることができる。その結果、運転者200の個人差によるスロトーク量の差や筋力の差に基づくペダル11の前後の可動域の違いがある場合でも、可動域の制限が緩和され、ペダル11の操作性を向上することができる。
また、上述したように、運転者200が、ペダル11を車両1の略前後方向に直動ペダリングすることにより駆動ギヤ13が回転する。駆動輪である後輪3Rは、駆動ギヤ13のギヤ径より小径の従動ギヤ14を備える車軸16によって支持され、駆動ギヤ13と従動ギヤ14との間には、チェーン15が架け渡されている。したがって、駆動ギヤ13の回転は増速され従動ギヤ14に伝達され、後輪3Rを回転させるので、車両1の走行性能を向上することができる。この場合、ギヤ径の異なる従動ギヤ14を複数配列し、チェーン15を架け替えることによりギヤ比を変化させることが可能となり、状況に応じた走行状態を実現することができる。
なお、図示を省略したバッテリからの電力供給を受けて駆動するモータ17は、ペダル11L,11Rに作用する操作力(押圧力)に応じた回転力(アシスト力)を伝達部18を介して従動ギヤ14(駆動輪)に付与する。これにより、車両1の走行時には、後輪3RL,3RRは、ペダル11L,ペダル11Rに作用する操作力(押圧力)とモータ17から伝達される力とによって回転駆動され、運転者200の走行時の負荷の軽減に寄与できる。また別の実施形態において、モータ17は、駆動ギヤ13にアシスト力を付与してもよく、同様に運転者200の走行時の負荷の軽減に寄与することができる。なお、モータ17は、ジェネレータとしても機能し、非アシスト走行時に回生を行い、バッテリを充電するようにしてもよい。なお、上述した実施形態では、駆動ギヤ13がチェーン15を介して従動ギヤ14に接続される例を示した。別の実施形態では、駆動ギヤ13に車軸16を設け、駆動ギヤ13が後輪3Rを直接回転させるようにしてもよい。
したがって、車両1は、例えばモータ17を伝達部18から切り離して、ペダル11のペダリングのみにより走行する、人力走行モード、モータ17を伝達部18に接続したうえで、モータ17のアシストを受けることなく走行する回生走行モード、モータ17のアシストを受けて走行するアシスト走行モード、モータ17の駆動のみで走行する電動走行モード等を実現することができる。
以上、本実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…車両、3…車輪、3F…前輪、3R…後輪、4…駆動機構、5…操舵部、6…シート装置、11…ペダル、12…変換機構、12W…ワンウェイクラッチ、12a…往復動レバー、12ab…出力部、12ac…回転軸、12b…連結ロッド、12c…回転体、12d…クランクピン、12e…ベアリング、13…駆動ギヤ、14…従動ギヤ、15…チェーン、16…車軸、17…モータ(回転電気)、200…運転者、200a,200b…脚。
Claims (4)
- 車両のシートに着座した運転者の左右の脚で前記車両の略前後方向に直動可能な一対のペダルと、
前記ペダルを一端側で支持し他端側を前記ペダルの下方領域で出力部とする、回転軸を中心に前記略前後方向に揺動可能な一対の往復動レバーと、
一端側が前記出力部に回動可能に接続され、他端側が前記運転者の着座姿勢より下方領域を通り前記車両の後方に向かって延びる一対の連結ロッドと、
前記連結ロッドの他端側が回転可能に接続されたクランクピンが固定された一対の回転体が、一対のワンウェイクラッチを介して前記クランクピンの位相が異なるように両端に接続された回転軸を有する、前記車両の駆動輪を駆動するための駆動ギヤと、
を備える、車両の駆動機構。 - 前記出力部は、当該出力部を前記車両の前方に付勢する付勢部材を備える、請求項1に記載の車両の駆動機構。
- 前記駆動ギヤまたは前記駆動輪には、回転電機が接続されている、請求項1に記載の車両の駆動機構。
- 前記駆動輪は、前記駆動ギヤのギヤ径より小径の従動ギヤを備える車軸によって支持され、前記駆動ギヤと前記従動ギヤとの間には、チェーンが架け渡されている、請求項1に記載の車両の駆動機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022109312A JP2024007910A (ja) | 2022-07-06 | 2022-07-06 | 車両の駆動機構 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022109312A JP2024007910A (ja) | 2022-07-06 | 2022-07-06 | 車両の駆動機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2024007910A true JP2024007910A (ja) | 2024-01-19 |
Family
ID=89544604
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022109312A Pending JP2024007910A (ja) | 2022-07-06 | 2022-07-06 | 車両の駆動機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2024007910A (ja) |
-
2022
- 2022-07-06 JP JP2022109312A patent/JP2024007910A/ja active Pending
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