JP2024004002A - 車両用難燃性防音材 - Google Patents

車両用難燃性防音材 Download PDF

Info

Publication number
JP2024004002A
JP2024004002A JP2022103415A JP2022103415A JP2024004002A JP 2024004002 A JP2024004002 A JP 2024004002A JP 2022103415 A JP2022103415 A JP 2022103415A JP 2022103415 A JP2022103415 A JP 2022103415A JP 2024004002 A JP2024004002 A JP 2024004002A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flame
mass
retardant
antioxidant
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022103415A
Other languages
English (en)
Inventor
宏樹 田口
Hiroki Taguchi
康雄 鈴木
Yasuo Suzuki
雅仁 金田
Masahito Kaneda
潤己 大脇
Junki Owaki
幸治 富山
Koji Tomiyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai Chemical Industries Ltd
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Tokai Chemical Industries Ltd
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai Chemical Industries Ltd, Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Tokai Chemical Industries Ltd
Priority to JP2022103415A priority Critical patent/JP2024004002A/ja
Publication of JP2024004002A publication Critical patent/JP2024004002A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

【課題】 防音性に加えて、所望の剛性および難燃性を有する車両用難燃性防音材を提供する。【解決手段】 車両用難燃性防音材は、ウレタン樹脂組成物を発泡成形して得られるポリウレタンフォームを備える。ウレタン樹脂組成物は、(A)イソシアネート成分と(B)ポリオール成分と(C)難燃性可塑剤と(D)酸化防止剤とを有する。(A)イソシアネート成分は、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物と、該混合物の少なくとも一方のカルボジイミド変性体およびウレトンイミン変性体から選ばれる一種以上の変性体と、を有する。【選択図】 なし

Description

本開示は、車両のエンジンルームなどに使用される車両用難燃性防音材に関する。
自動車などの車両においては、車外や車室に漏れる騒音を低減するために、種々の対策が施される。例えば、車両のエンジンルームにおいては、騒音源であるエンジンからの放射音の低減を図るため、エンジンの周囲にエンジンカバー、サイドカバー、オイルパンカバーなどの防音材が配置される。近年では、さらに防音性を高めるために、燃料配管、トランスミッションなどの周囲にも防音材を配置する試みがなされている。例えば、トランスミッションを構成する回転体付近に配置される防音材には、変形して回転体と干渉しないよう、所望の剛性が必要になる。特に高温下における剛性は重要であり、高温になっても垂れ下がりなどの変形が生じないこと(耐垂下性)が要求される。また、エンジンの周囲という使用環境においては、防音性に加えて難燃性も要求される。
例えば、特許文献1には、イソシアネート成分とポリオール成分とを反応、発泡させて得られる軟質ポリウレタンフォームを用いた車両用難燃性防音・防振材が記載されている。特許文献1には、イソシアネート成分の主成分を、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびそのカルボジイミド変性体および/またはウレトンイミン変性体を含むモノメリックMDIとすることにより、ポリウレタンフォームの耐熱劣化性および難燃性が向上することが記載されている。
特開2003-97645号公報 特開平5-105811号公報
特許文献1に記載されているポリウレタンフォームにおいては、イソシアネート成分として、カルボジイミド変性体およびウレトンイミン変性体から選ばれる一種以上の変性体を使用する。変性体を使用すると、分子間凝集力が高まるため、ポリウレタンフォームの剛性は向上する。しかしながら、剛性が高くなると、燃焼時にフォームが溶けにくくなるため、燃焼が持続してしまい難燃性は低下する。このように、剛性の向上と難燃性の向上とは背反関係にある。
本開示は、このような実情に鑑みてなされたものであり、防音性に加えて、所望の剛性および難燃性を有する車両用難燃性防音材を提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本開示の車両用難燃性防音材は、ウレタン樹脂組成物を発泡成形して得られるポリウレタンフォームを備える車両用難燃性防音材であって、該ウレタン樹脂組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分と、(C)難燃性可塑剤と、(D)酸化防止剤と、を有し、(A)イソシアネート成分は、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物と、該混合物の少なくとも一方のカルボジイミド変性体およびウレトンイミン変性体から選ばれる一種以上の変性体と、を有することを特徴とする。
本開示の車両用難燃性防音材においては、原料として使用するイソシアネート成分を特定の成分にすると共に、難燃性可塑剤と酸化防止剤とを併用することにより、所望の防音性、剛性、難燃性を有するポリウレタンフォームを実現している。イソシアネート成分については、以下適宜、ジフェニルメタンジイソシアネートを「MDI」と称し、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを「2,4’-MDI」、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを「4,4’-MDI」と称す。
イソシアネート成分として変性体を用いることにより、分子間凝集力が高まるため、常温下だけでなく高温下においても剛性が高いポリウレタンフォームを得ることができる。変性体は、二つのMDIのNCO基同士が縮合するカルボジイミド化反応により、さらには、生じたカルボジイミド化物(カルボジイミド変性体)にさらに一分子のMDIが付加するウレトンイミン化反応により製造される。MDIのカルボジイミド化反応の二次反応として、化学平衡反応的にウレトンイミン化物(ウレトンイミン変性体)も生成する。一般的には、カルボジイミド化反応の進行により、反応生成物中のほとんどがウレトンイミン変性体であると考えられる。本明細書においては、変性体に、2,4’-MDIおよび4,4’-MDIのいずれか、または両方のカルボジイミド化反応により得られた生成物が全て含まれるように、「カルボジイミド変性体およびウレトンイミン変性体から選ばれる一種以上の変性体」と称している。これは、「カルボジイミド変性体および/またはウレトンイミン変性体」と表現することもできる。カルボジイミド変性体やウレトンイミン変性体は、公知の手法、例えば、単一成分のMDIや異性体を含む複数成分のMDIを、リン酸エステルなどの触媒を用いて反応させることにより得ることができる。
本開示の車両用難燃性防音材を構成するポリウレタンフォーム(以下適宜、「本開示のポリウレタンフォーム」と称す)は、難燃性可塑剤を有する。難燃性可塑剤は、高温下でポリウレタンの結晶間に入りこみ、ポリウレタンフォームを軟化して溶けやすくする。例えば、難燃性を有しない単なる可塑剤を用いると、燃焼時にポリウレタンフォームを溶けやすくすることはできるが、自身も燃焼して火種を大きくするおそれがある。この点、本開示のポリウレタンフォームにおいては、難燃性可塑剤を用いるため、そのおそれはない。このように、本開示のポリウレタンフォームにおいては、イソシアネート成分として変性体を用いることにより、フォームの剛性を高くしても、難燃性可塑剤が配合されるため、燃焼時にフォームが溶けやすくなり、難燃性の低下が抑制される。
難燃性可塑剤を配合すると、ポリウレタンフォームの難燃性は向上するが、難燃性向上の観点から配合量を多くすると、ポリウレタンフォームが軟化して剛性を低下させるおそれがある。この点、本開示のポリウレタンフォームにおいては、酸化防止剤を併用して、ポリウレタンフォームの剛性を維持しつつ難燃性を確保している。酸化防止剤の効果は次のとおりである。ポリウレタンが熱分解すると、分子が切断され低分子量成分が発生する。低分子量成分は、着火しやすいため、燃焼の持続が助長される。酸化防止剤を配合すると、ポリウレタンの熱分解が抑制され低分子量成分の発生が抑制されるため、着火成分を少なくすることができる。すなわち、本開示のポリウレタンフォームにおいては、酸化防止剤を配合して予防的に着火しやすい成分を少なくすることにより、難燃性可塑剤を過剰に配合しなくても、難燃性を付与することができる。これにより、従来難しかった剛性と難燃性との両立が実現されている。
ちなみに、特許文献2には、難燃性有機リン化合物50~99重量%およびトリブロモネオペンチルアルコール(TBNPA)50~1重量%からなる液状のポリウレタン用難燃性組成物が記載されている。特許文献2には、難燃性有機リン化合物とTBNPAとの混合物に対し、さらにハイドロキノン化合物、3価の有機リン化合物などの酸化防止剤を添加する形態が記載されている。特許文献2においては、TBNPAを用いて低粘度の液体で難燃性を付与できる組成物を提供することを目的としている。このため、酸化防止剤の使用は必須ではなく、難燃性有機リン化合物との併用により奏される効果も記載されていない。また、適用されるポリウレタンフォームについても、イソシアネート成分がトルエンジイソシアネート(TDI)である形態しか記載がなく、特許文献2にはポリウレタンフォームの剛性を高めるという技術的思想はない。
(2)上記構成において、前記(A)イソシアネート成分の前記変性体の含有割合は、前記ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の19質量%以上である構成としてもよい。また、同変性体の含有割合は、30質量%以下である構成としてもよい。これらの構成によると、ポリウレタンフォームの剛性と難燃性とのバランスをとりやすい。
(3)上記いずれかの構成において、前記(C)難燃性可塑剤の含有割合は、前記ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の3.7質量%以上である構成としてもよい。また、同難燃性可塑剤の含有割合は、6.5質量%以下である構成としてもよい。これらの構成によると、ポリウレタンフォームの剛性と難燃性とのバランスをとりやすい。
(4)上記いずれかの構成において、前記(C)難燃性可塑剤は、リン酸エステルを有する構成としてもよい。本構成によると、比較的少量でポリウレタンフォームを軟化することができ、成形性も良好である。
(5)上記いずれかの構成において、前記(D)酸化防止剤の含有割合は、前記ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の1.6質量%以上である構成としてもよい。また、同酸化防止剤の含有割合は、2.4質量%以下である構成としてもよい。これらの構成によると、ポリウレタンの熱分解による低分子量成分の発生を効果的に抑制することができる。結果、難燃性可塑剤の配合量が少なくても所望の難燃性が付与される。例えば、本構成と上記(2)および(3)の構成とを組み合わせると、ポリウレタンフォームに所望の剛性と難燃性とを付与するのに効果的である。
(6)上記いずれかの構成において、前記(D)酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物を有する構成としてもよい。本構成によると、ポリウレタンの熱分解抑制効果を高めることができる。例えば、本構成と上記(4)の構成とを組み合わせると、ポリウレタンフォームの剛性および難燃性をより高めることができる。さらに、上記(2)、(3)、(5)の構成を組み合わせるとより好適である。
本開示の車両用難燃性防音材は、防音性に加えて、所望の剛性および難燃性を有する。
以下、本開示の車両用難燃性防音材の実施の形態について説明する。なお、実施の形態は以下の形態に限定されるものではなく、当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することができる。
本開示の車両用難燃性防音材において、ポリウレタンフォーム以外の構成は特に限定されない。本開示の車両用難燃性防音材は、ポリウレタンフォームのみから構成されてもよいし、ポリウレタンフォームと他の部材とを組み合わせて構成されてもよい。例えば、本開示の車両用難燃性防音材をエンジンカバーに具現化する場合、エンジンカバーは、ポリウレタンフォームの単層構造でもよく、ポリウレタンフォームからなる防音層と、その表面を被覆する表皮層と、を有する多層構造でもよい。また、用途としての「車両」には、自動車の他、飛行機、電車なども含まれる。
<ポリウレタンフォームの成分>
本開示のポリウレタンフォームは、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分と、(C)難燃性可塑剤と、(D)酸化防止剤と、を有するウレタン樹脂組成物の発泡成形体である。
(A)イソシアネート成分
イソシアネート成分は、2,4’-MDIおよび4,4’-MDIの混合物と、該混合物の少なくとも一方のカルボジイミド変性体およびウレトンイミン変性体から選ばれる一種以上の変性体と、を有する。混合物における2,4’-MDIと4,4’-MDIとの含有比は、剛性および成形性などを考慮して適宜決定すればよい。変成体は、前述したように、2,4’-MDIまたは4,4’-MDIのカルボジイミド化反応により得られた生成物、2,4’-MDIおよび4,4’-MDIのカルボジイミド化反応により得られた生成物を含む。
ポリウレタンフォームの剛性を高くするという観点においては、イソシアネート成分における変性体の含有割合をできるだけ大きくするとよい。例えば、変性体の含有割合は、ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の19質量%以上であることが望ましい。21質量%以上がより好適である。他方、変性体の含有割合が大きすぎると、燃焼時にフォームが溶けにくくなり火種が落下しにくくなる。この点を考慮すると、変性体の含有割合は、30質量%以下であることが望ましい。28質量%以上がより好適である。
イソシアネート成分は、混合物および変性体に加えて、MDIとポリオールとが反応したプレポリマーを有してもよい。プレポリマーを有する場合には、有しない場合と比較して、ウレタン樹脂組成物の粘度が高くなり、成形性が向上する。プレポリマーの含有割合は、ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の18質量%以上30質量%以下であることが望ましい。例えば、MDIを、官能基数3のポリオールと反応させると、三つのウレタン結合を有するプレポリマーが得られる。なかでも、MDIと2官能のポリエーテルポリオールとを反応させて得られる、イソシアネート末端のプレポリマーが好適である。ここで、2官能のポリエーテルポリオールとしては、分子量が1000程度のポリエーテルポリオールが挙げられる。
イソシアネート成分として、混合物、変性体、プレポリマーを説明したが、これらの成分による作用効果を阻害せず、本開示のポリウレタンフォームを実現することができれば、これらの成分以外のイソシアネート化合物の含有が排除されるものではない。当該イソシアネート化合物としては、例えば、一分子中にイソシアネート基とベンゼン環とを三個ずつ以上有するポリメリックMDI(多核体)が挙げられる。しかし、ポリメリックMDIを含有すると、ポリウレタンフォームに架橋構造が形成されるため、燃焼時にフォームが溶けにくくなる。結果、難燃性の低下を招くおそれがあるため好ましくない。
(B)ポリオール成分
ポリオール成分としては、多価ヒドロキシ化合物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリアミン、ポリエステルポリアミン、アルキレンポリオール、ウレア分散ポリオール、メラミン変性ポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フェノール変性ポリオールなどが知られている。本開示のポリウレタンフォームを製造する場合には、ポリエーテルポリオールを主成分として用いる。「主成分」とは、ポリオール成分の全体を100質量%とした場合に60質量%以上を占める成分であることを意味する。したがって、ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオールのみを用いるか、またはポリエーテルポリオールを主成分として他のポリオールを適宜組み合わせて用いればよい。例えば、成形性を向上させるという観点においては、ポリエステルポリオールを併用することが望ましい。また、ポリエーテルポリオールのみを用いる場合においても、官能基数、分子量、相溶性などが異なる複数種類を組み合わせて使用してもよい。
ポリエーテルポリオールの官能基数は、2以上4以下であることが望ましい。官能基数が2未満の場合には、イソシアネート成分との連鎖反応が途切れやすく、高分子化しにくくなるため、成形性が低下する。例えば、官能基数が2のポリエーテルポリオールは、架橋構造を形成しないため、燃焼時に火種を落としやすくして難燃性を向上させるという点で好適である。官能基数が3以上のポリエーテルポリオールは、架橋構造を形成することにより、ポリウレタンフォームを硬くして剛性を高めるという点で好適である。但し、官能基数が4を超えると、ポリウレタンフォームの伸びが小さくなり、防音性の低下を招く。
また、ポリエーテルポリオールの質量平均分子量は、5000以上8000以下であることが望ましい。質量平均分子量が5000未満の場合には、ポリウレタンフォームが硬くなり、防音性の低下を招く。質量平均分子量が8000を超えると、ウレタン樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、イソシアネート成分との反応、発泡作業が難しくなる。
(C)難燃性可塑剤
難燃性可塑剤としては、難燃剤として用いられるハロゲン系または非ハロゲン系のリン化合物などが挙げられる。ハロゲン系のリン化合物は、可塑性が乏しいため配合量を多くする必要があり、発泡成形性を低下させるおそれもある。このため、非ハロゲン系のリン化合物が好適である。難燃性可塑剤は、液体でも固体でもよいが、イソシアネート成分などの液状材料と混合するという観点から、液体である方がよい。難燃性可塑剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリブチルホスフェートなどのリン酸エステルが好適である。
難燃性可塑剤の含有割合は、難燃性の低下抑制効果を充分に発揮させるという観点から、ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の3.7質量%以上であることが望ましい。4.0質量%以上がより好適である。他方、難燃性可塑剤の配合による剛性の低下を回避するという観点から、難燃性可塑剤の含有割合は、6.5質量%以下であることが望ましい。6.0質量%以下がより好適である。
(D)酸化防止剤
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物などが挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系化合物は、ポリウレタンの熱分解を抑制する効果が高いため好適である。ヒンダードフェノール系化合物は、フェノール性水酸基の一方または両方のオルト位置に立体障害作用を示す置換基を有するフェノール系化合物である。酸化防止剤は、液体でも固体でもよいが、液体のものは比較的分子量が小さく、加熱されると揮発しやすいため、自身が燃焼して火種を大きくするおそれがある。よって、難燃性を高めるという観点から、酸化防止剤は固体である方がよい。
酸化防止剤の含有割合は、ポリウレタンの熱分解を抑制し、着火成分となる低分子量成分を少なくするという効果を充分に発揮させるため、ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の1.6質量%以上であることが望ましい。1.8質量%以上がより好適である。他方、酸化防止剤自身の燃焼による難燃性の低下を回避するという観点から、酸化防止剤の含有割合は、2.4質量%以下であることが望ましい。2.2質量%以下がより好適である。
(E)その他の成分
ウレタン樹脂組成物は、上記(A)~(D)に加えて、ポリウレタンフォームを製造する際に使用される公知の材料、例えば触媒、発泡剤、整泡剤、架橋剤、帯電防止剤、減粘剤、安定剤、充填剤、顔料などを適宜有してもよい。このうち、触媒としては、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサン-1、6-ジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレン-テトラアミン、N,N’,N’-トリメチルアミノエチルピペラジンなどのアミン系触媒、蟻酸、クエン酸、ブチル酸、2エチルヘキサン酸などの酸、ラウリン酸錫、オクタン酸錫などの有機金属系触媒が挙げられる。発泡剤としては水が好適である。水以外には、塩化メチレン、COガスなどが挙げられる。整泡剤としてはシリコーン系整泡剤が、架橋剤としてはジエチレングリコール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが好適である。
<ポリウレタンフォームの特性>
(1)剛性
本開示のポリウレタンフォームの剛性としては、例えば、アスカーC硬度が63以上である形態が望ましい。65以上であるとより好適である。アスカーC硬度は、JIS K7312-1996に規定されているスプリング硬さ試験タイプCに基づいて、高分子計器(株)製の「アスカーゴム硬度計C型」を用いて測定すればよい。
(2)難燃性
ポリウレタンフォームの難燃性については、例えば、UL94規格の水平燃焼試験を実施して判定することができる。水平燃焼試験は、試料を片端で固定して水平に保持し、自由な端に30秒間ガスバーナーの炎を接炎させて行われる。炎を離した後に試料が燃焼を続けた場合には、その燃焼の速度を測定する。本開示のポリウレタンフォームは、UL94規格のHBレベルの難燃性を有することが望ましい。HBレベルの難燃性を有するか否かの判定基準は、次のとおりである。(1)厚さが3.05mm以上の試料については、燃焼速度が毎分38.1mmを超えない。(2)厚さが3.05mm以内の試料については、燃焼速度が毎分76.2mmを超えない、あるいは炎が試料の端から102mmの点に達する前に燃焼が止まる。本開示のポリウレタンフォームは、常態、すなわち製造された状態と同じ状態においてのみならず、135℃下で168時間保持した熱老化後の状態においても、UL94規格のHBレベルの難燃性を有することが望ましい。また、135℃で336時間の熱老化後においても、さらには135℃で600時間の熱老化後においても、UL94規格のHBレベルの難燃性を維持することが望ましい。熱老化は、試料を135℃のオーブンに入れ、所定時間保持すればよい。
<ポリウレタンフォームの製造方法>
本開示のポリウレタンフォームは、ウレタン樹脂組成物を発泡成形して製造される。まず、ポリオール成分に、酸化防止剤と、触媒、発泡剤、整泡剤などのその他の成分と、を予め混合して、プレミックスポリオールを調製する。次に、調製したプレミックスポリオールに、イソシアネート成分と、難燃性可塑剤と、を混合し、発泡成形する。例えば、プレミックスポリオールとイソシアネート成分および難燃性可塑剤とを、プロペラなどを用いて機械的に攪拌した後、成形型に注入して発泡成形すればよい。あるいは、予めイソシアネート成分および難燃性可塑剤を混合した混合原料を調製しておき、高圧注入機などを使用して、プレミックスポリオールと混合原料とを各々高圧で吐出し、両成分を衝突させて混合して、発泡成形してもよい(衝突攪拌法)。衝突攪拌法によると、連続生産が可能になる。このため、大量生産に好適である。また、衝突攪拌法によると、機械的に攪拌する方法と比較して、混合するごとに必要であった容器の洗浄工程が不要となり、歩留まりも向上する。よって、製造コストを低減することができる。
プレミックスポリオールとイソシアネート成分とは、イソシアネートインデックス(イソシアネート基/活性水素基の当量比)が1.0以上1.5以下、好適には1.0以上1.2以下となるように配合することが望ましい。イソシアネートインデックスが1.0未満の場合には、難燃性が低下する。また1.5を超えると、成形性が低下する。
次に、実施例を挙げて本開示をより具体的に説明する。
<ポリウレタンフォームのサンプルの製造>
まず、(B)ポリオール成分としてのポリエーテルポリオール(住化コベストロウレタン(株)製「SBUポリオール0248」、平均分子量6000、官能基数3)100質量部に対して、(D)酸化防止剤のヒンダードフェノール系化合物(BASF社製「IRGANOX(登録商標) 1010」)を適宜配合し、さらに架橋剤のジエタノールアミン3質量部、発泡剤の水5質量部、アミン系触媒A(花王(株)製「カオーライザー(登録商標) No.31」)0.6質量部、アミン系触媒B(東ソー(株)製「TOYOCAT(登録商標) MR」)0.4質量部、シリコーン系整泡剤(ダウ・東レ(株)製「VORASURF(登録商標) SZ-1336」)0.3質量部、顔料(大日精化工業(株)製「FT 1576 ブラック」)2質量部を加えて混合し、プレミックスポリオールを調製した。
次に、(A)のイソシアネート成分として、2,4’-MDIおよび4,4’-MDIの混合物と、4,4’-MDIをカルボジイミド化して得られた変性体と、を含む変性MDI(住化バイエルウレタン(株)製「SBUイソシアネート0632」)と、MDIプレポリマー(同社製「SBUイソシアネートS234」)と、を適宜混合したイソシアネート原料を準備した。
続いて、調製したプレミックスポリオールとイソシアネート原料とを、イソシアネートインデックスが1.0~1.1になるように混合し、さらに(C)難燃性可塑剤のリン酸エステル((株)ADEKA製「アデカスタブ(登録商標)PFR」)を適宜添加、混合して、ウレタン樹脂組成物を調製した。ウレタン樹脂組成物における各成分の配合量などは、後出の表1に示すとおりである。それから、ウレタン樹脂組成物を成形型のキャビティに注入、密閉し、成形型の温度50℃で5分間発泡成形して、ポリウレタンフォームの13種類のサンプルを製造した。サンプルのポリウレタンフォームの密度は、いずれも0.12g/cmとした。
<ポリウレタンフォームの評価>
製造したサンプルについて、剛性、難燃性および防音性を評価した。
[評価方法]
(1)剛性
サンプルのアスカーC硬度を、高分子計器(株)製の「アスカーゴム硬度計C型」を用いて測定した。
(2)難燃性
製造したサンプルから長さ127mm、幅12.7mm、厚さ12.7mmの短冊状の試験片(常態の試験片)を作製した。まず、常態の試験片について、UL94規格に規定される水平燃焼試験を実施した。次に、常態の試験片を135℃のオーブンに入れ、168時間保持することにより熱老化させた後(第一の熱老化)、同試験を実施した。これとは別に、常態の試験片を135℃のオーブンに入れ、336時間保持することにより熱老化させた後(第二の熱老化)、同試験を実施した。さらに、常態の試験片を135℃のオーブンに入れ、600時間保持することにより熱老化させた後(第三の熱老化)、同試験を実施した。そして、HBレベルの判定基準(燃焼速度が毎分38.1mmを超えない)を満足した場合を難燃性が高い(表1中、○印で示す)、満足しなかった場合を難燃性不足(同表中、×印で示す)と評価した。
(3)防音性
ポリウレタンフォームの断面をマイクロスコープを用いて観察し、連続気泡が形成されていれば所望の防音性を有すると評価した。表1の評価欄には、連続気泡が形成されている場合を防音性「あり」と示している。
[評価結果]
表1に、ウレタン樹脂組成物の成分およびポリウレタンフォームの評価結果をまとめて示す。
Figure 2024004002000001
表1に示すように、サンプル1~7は、防音性に加えて高い剛性を有していた。また、常態だけでなく、熱老化後においても、UL94規格のHBレベルの難燃性を有していた。サンプル8~13については、吸音性を有するものの、サンプル1~7と比較して、剛性および難燃性のいずれかが劣る結果となった。具体的には、サンプル1~7に対して変性体の含有割合が大きいサンプル8は、難燃性が低下した。反対に変性体の含有割合が小さいサンプル9は、剛性が低くなった。サンプル1~7に対して、難燃性可塑剤の含有割合が大きいサンプル10は、剛性が低くなった。反対に難燃性可塑剤の含有割合が小さいサンプル11は、難燃性が低下した。サンプル1~7に対して、酸化防止剤の含有割合が大きいサンプル12は、熱老化後の難燃性は高いものの、常態の難燃性は低下した。反対に酸化防止剤の含有割合が小さいサンプル13は、常態および168時間の熱老化後の難燃性は高いものの、ポリウレタンの熱分解抑制効果が充分ではなく、336時間以上の熱老化後の難燃性は低下した。
本開示の車両用難燃性防音材は、エンジンカバー、サイドカバー、オイルパンカバーの他、燃料配管、トランスミッションなどの周囲に配置される防音材として有用である。

Claims (9)

  1. ウレタン樹脂組成物を発泡成形して得られるポリウレタンフォームを備える車両用難燃性防音材であって、
    該ウレタン樹脂組成物は、(A)イソシアネート成分と、(B)ポリオール成分と、(C)難燃性可塑剤と、(D)酸化防止剤と、を有し、
    (A)イソシアネート成分は、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物と、該混合物の少なくとも一方のカルボジイミド変性体およびウレトンイミン変性体から選ばれる一種以上の変性体と、を有することを特徴とする車両用難燃性防音材。
  2. 前記(A)イソシアネート成分の前記変性体の含有割合は、前記ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の19質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の車両用難燃性防音材。
  3. 前記(C)難燃性可塑剤の含有割合は、前記ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の3.7質量%以上6.5質量%以下である請求項1に記載の車両用難燃性防音材。
  4. 前記(C)難燃性可塑剤は、リン酸エステルを有する請求項1に記載の車両用難燃性防音材。
  5. 前記(D)酸化防止剤の含有割合は、前記ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合の1.6質量%以上2.4質量%以下である請求項1に記載の車両用難燃性防音材。
  6. 前記(D)酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系化合物を有する請求項1に記載の車両用難燃性防音材。
  7. 前記(C)難燃性可塑剤はリン酸エステルを有し、前記(D)酸化防止剤はヒンダードフェノール系化合物を有する請求項1に記載の車両用難燃性防音材。
  8. 前記ウレタン樹脂組成物の全体を100質量%とした場合、
    前記(A)イソシアネート成分の前記変性体の含有割合は19質量%以上30質量%以下であり、
    前記(C)難燃性可塑剤の含有割合は3.7質量%以上6.5質量%以下であり、
    前記(D)酸化防止剤の含有割合は1.6質量%以上2.4質量%以下である請求項1に記載の車両用難燃性防音材。
  9. 前記(C)難燃性可塑剤はリン酸エステルを有し、前記(D)酸化防止剤はヒンダードフェノール系化合物を有する請求項8に記載の車両用難燃性防音材。
JP2022103415A 2022-06-28 2022-06-28 車両用難燃性防音材 Pending JP2024004002A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022103415A JP2024004002A (ja) 2022-06-28 2022-06-28 車両用難燃性防音材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022103415A JP2024004002A (ja) 2022-06-28 2022-06-28 車両用難燃性防音材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024004002A true JP2024004002A (ja) 2024-01-16

Family

ID=89538177

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022103415A Pending JP2024004002A (ja) 2022-06-28 2022-06-28 車両用難燃性防音材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024004002A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2947105B1 (en) Flame-retardant urethane resin composition
KR101136128B1 (ko) 난연성 연질 폴리우레탄 발포체용 조성물
US6765034B2 (en) Flame-resistant and sound- and vibration-insulating member for vehicles, and process of manufacturing the same
EP1973965B1 (en) Non-halogen flame retardant additives for use in rigid polyurethane foam
KR100895663B1 (ko) 난연성 연질 폴리우레탄 발포체용 조성물
KR20170060009A (ko) 난연성 우레탄 수지 조성물
JPH02105811A (ja) ポリウレタンフオームの製造方法
BR112013022426B1 (pt) Retardante de chamas contendo fósforo, método para fazer um retardante de chamas contendo fósforo e produto de poliuretano
JP2010270877A (ja) 吹付け断熱材
JP4485979B2 (ja) 車両用難燃性防音・防振材及びその製造方法
EP2531554B1 (en) Derivatives of diphosphines as flame retardants for polyurethanes
JP4704782B2 (ja) 車両用難燃性防音・防振材及びその製造方法
JP5024524B2 (ja) 難燃性ポリウレタンフォーム
JP4762614B2 (ja) 低燃焼性ポリウレタンフォーム
JP2024004002A (ja) 車両用難燃性防音材
US20200325268A1 (en) Flame retardant semi-rigid polyurethane foam
EP3464434B1 (en) Flame retardant semi-rigid polyurethane foam
US20240059855A1 (en) Flame-retardant soundproof material for vehicles
KR100561806B1 (ko) 스프레이용 저밀도 폴리우레탄 발포체 조성물
JP2019119825A (ja) 硬質ウレタン樹脂組成物
JP2008133317A (ja) 硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法
JP2022189520A (ja) ポリオール組成物、難燃性硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法
CN116675824A (zh) 一种聚氨酯软泡组合物、聚氨酯软泡及其制备方法