JP2022189520A - ポリオール組成物、難燃性硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法 - Google Patents

ポリオール組成物、難燃性硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた難燃性を有し、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生を抑制することができる難燃性硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法、並びに、その製造に用いられるポリオール組成物を提供する。【解決手段】芳香族系ポリエステルポリオールを含むポリオール化合物、所定のホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む難燃剤、並びにベーマイトを含有するポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を混合して、発泡及び硬化させて、難燃性硬質ポリウレタンフォームを得る。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール組成物、並びに、これを用いた難燃性硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法に関する。
硬質ポリウレタンフォームは、優れた断熱性能を有し、施工性や経済性等にも優れており、省エネルギー化や居住性の向上等の観点から、建築物の断熱材として広く普及している。
一方で、硬質ポリウレタンフォームは、有機高分子材料であり、燃焼しやすいという特徴を有している。建築施工や改修工事、解体工事中の溶接溶断作業における火花が原因となり、硬質ポリウレタンフォームが延焼する火災事故もしばしば発生している。
このような火災事故を低減する対策として、硬質ポリウレタンフォームに難燃性を付与する様々な工夫が検討されている。
例えば、硬質ポリウレタンフォームに、難燃剤として赤リンやリン酸エステルを添加して、難燃化させる技術が知られている。
しかしながら、赤リンは、発火性を有する物質であり、取り扱いの際には、安全確保のために十分な注意を要する。
また、赤リンやリン酸エステルでは、硬質ポリウレタンフォームの難燃性の向上の程度には限界があり、より優れた難燃性を付与し、硬質ポリウレタンフォームを不燃性材料に近づけることができる難燃剤が求められていた。
このような課題に対して、本発明者らは、より効果的な難燃剤として、例えば、特許文献1において合成皮革用のポリウレタン樹脂の難燃剤として用いられているホスフィン酸系金属塩を含む難燃剤を適用することを検討した。
特開2016-79375号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているホスフィン酸系金属塩を含む難燃剤が添加された硬質ポリウレタンフォームは、燃焼時に該硬質ポリウレタンフォームが炭化した層(炭化層)の内部に複数の気泡(ボイド)が生じやすい。さらに、径が約5mm以上の大きなボイドを起点として、前記炭化層の表面に亀裂(クラック)が生じることもある。
ホスフィン酸系金属塩を含む難燃剤を用いた際のこのようなボイドやクラックの発生は、赤リン等を用いた場合に比べて、多く見られる傾向にある。
難燃性硬質ポリウレタンフォームは、優れた難燃性が要求されることはもちろんのこと、燃焼した際に炭化層が維持されて、断熱性能を持続できることも、求められる重要な特性の一つである。
したがって、前記ホスフィン酸系金属塩を含む難燃剤を用いた硬質ポリウレタンフォームにおいて、該硬質ポリウレタンフォームの燃焼や加熱時に生じた炭化層にボイドやクラックが発生し難く、炭化層が焼失することなく、維持されることが求められる。リン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤についても、同様のことが言える。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、優れた難燃性を有し、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生を抑制することができる難燃性硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法、並びに、その製造に用いられるポリオール組成物を提供することを目的とする。
本発明は、所定のホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む難燃剤とベーマイトを併用したポリオール組成物を用いて製造された難燃性硬質ポリウレタンフォームが、難燃性に優れ、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生が抑制されることを見出したことに基づくものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供するものである。
[1]難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール組成物であって、ポリオール化合物、難燃剤及びベーマイトを含有し、前記ポリオール化合物は、芳香族系ポリエステルポリオールを含み、前記難燃剤は、下記式(1)で表されるホスフィン酸系金属塩と、リン酸系金属塩とからなる群から選ばれる1種以上のリン化合物を含む、ポリオール組成物。
Figure 2022189520000001
(式(1)中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti又はZnであり、R1は、水素原子、炭素数1~6の直鎖状アルキル基又はフェニル基であり、nは、2、3又は4である。)
[2]前記ポリオール化合物がマンニッヒ系ポリオールを含む、上記[1]に記載のポリオール組成物。
[3]前記ベーマイトが、前記難燃剤中の固形分の合計100質量部に対して、5~150質量部含まれる、上記[1]又は[2]に記載のポリオール組成物。
[4]発泡剤を含む、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
[5]前記発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィン及びハイドロクロロフルオロオレフィンのうちのいずれか1種以上を含む、上記[4]に記載のポリオール組成物。
[6]触媒を含む、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
[7]整泡剤を含む、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
[8]上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のポリオール組成物、及びポリイソシアネート化合物との反応生成物である、難燃性硬質ポリウレタンフォーム。
[9]上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を混合して、発泡及び硬化させて、難燃性硬質ポリウレタンフォームを得る、難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
本発明のポリオール組成物を用いることにより、優れた難燃性を有し、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生が抑制された難燃性硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。
また、本発明によれば、前記難燃性硬質ポリウレタンフォームを得るための製造方法が提供される。
以下、本発明のポリオール組成物、並びに、これを用いた難燃性硬質ポリウレタンフォーム及びその製造方法について詳細に説明する。
[ポリオール組成物]
本発明のポリオール組成物は、難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール組成物であって、所定のポリオール化合物、所定の難燃剤及びベーマイトを含有するものである。
前記ポリオール化合物は、芳香族系ポリエステルポリオールを含み、前記難燃剤は、下記式(1)で表されるホスフィン酸系金属塩と、リン酸系金属塩とからなる群から選ばれる1種以上のリン化合物を含む。
Figure 2022189520000002
前記式(1)中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti又はZnであり、R1は、水素原子、炭素数1~6の直鎖状アルキル基又はフェニル基であり、nは、2、3又は4である。
前記式(1)で表されるホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む難燃剤と、ベーマイトとを併用したポリオール組成物を用いることにより、優れた難燃性を有し、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生が抑制された硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。
ここで、本発明で言うボイドとは、硬質ポリウレタンフォームの燃焼時に炭化した層(炭化層)の内部に生じる複数の気泡を指し、炭化層以外の部分に存在する気泡は含まないものとする。
また、本発明で言うクラックとは、硬質ポリウレタンフォームの燃焼時に生じた炭化層において、比較的大きなボイド(例えば、径が約5mm以上)を起点として、炭化層の外表面に生じる亀裂を指す。すなわち、大きなボイドが生じる場合に、クラックも生じやすい。
前記炭化層は、硬質ポリウレタンフォームが、燃焼時に酸素が遮断された状態で加熱され、ガス化せずに、炭素-炭素間が強固に結び付いた炭素分の多い固体として残存することにより形成される。そして、硬質ポリウレタンフォームの表面側に形成された炭化層は、該硬質ポリウレタンフォームへの酸素の侵入を遮断する作用を有し、炭化層領域のさらなる拡大が促進されるものと考えられる。このような炭化層領域が形成されることを、炭化定着と言う場合もある。十分な炭化層領域が形成される、すなわち、炭化定着が良好である場合、炭化層は良好な断熱性能を持続することができる。しかしながら、炭化層にクラックが生じると、燃焼面積の増大及び侵入酸素の増加等により、炭化層の維持が困難となり、断熱性能が低下するものと推測される。
<ポリオール化合物>
ポリオール化合物は、難燃性硬質ポリウレタンフォームの原料化合物であり、本発明のポリオール組成物を構成する。前記ポリオール化合物は、水酸基を2個以上有するアルコール化合物であり、ポリイソシアネート化合物との重付加反応により、ポリウレタン樹脂を生成する。
難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール化合物としては、良好な難燃性の観点から、主として、芳香族系ポリオールが用いられる。芳香族系ポリオールは、一般的なポリウレタンフォーム原料として用いられる脂肪族系ポリオールと比較して、より優れた難燃性を付与し得る。
前記芳香族系ポリオールは、良好な難燃性及び硬度等を有する難燃性硬質ポリウレタンフォームを得る観点から、水酸基価が100~900mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは150~800mgKOH/g、さらに好ましくは180~700mgKOH/gである。
本発明におけるポリオール化合物は、芳香族系ポリエステルポリオールを含み、また、マンニッヒ系ポリオールを含むことも好ましい。
前記ポリオール化合物としてマンニッヒ系ポリオールを含むことにより、難燃性硬質ポリウレタンフォームの原料液中の粉体の凝集を抑制することができ、該ポリオール組成物及びこれを含む原料液を用いて難燃性硬質ポリウレタンフォームを製造する際の取り扱い容易性の点で有利である。
前記ポリオール化合物の合計含有量は、良好な難燃性及び硬度等を有する難燃性硬質ポリウレタンフォームを得る観点から、前記ポリオール組成物100質量部中、好ましくは10.0~60.0質量部、より好ましくは20.0~55.0質量部、さらに好ましくは30.0~50.0質量部である。
(芳香族系ポリエステルポリオール)
芳香族系ポリエステルポリオールとしては、例えば、芳香族系多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合により得られる化合物が挙げられる。前記芳香族系ポリエステルポリオールは、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
芳香族系多価カルボン酸の具体例としては、フタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族系多価カルボン酸等が挙げられる。多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA等が挙げられる。
また、芳香族系ポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートを、多価アルコールでエステル交換したもの等も挙げられる。
前記芳香族系ポリエステルポリオールは、良好な難燃性を有する硬質ポリウレタンフォームを得る観点から、前記ポリオール化合物のうち、最も多い割合で含まれていることが好ましい。
前記ポリオール化合物中の前記芳香族系ポリエステルポリオールの含有量は、前記ポリオール化合物100質量部中、好ましくは50.0質量部以上、より好ましくは60.0~100質量部、さらに好ましくは70.0~100質量部である。
(マンニッヒ系ポリオール)
本発明におけるマンニッヒ系ポリオールとは、フェノール化合物、アルデヒド化合物及びアミン化合物のマンニッヒ反応により得られる生成物(マンニッヒ縮合物)である芳香族系ポリオールに、アルキレンオキサイドを付加重合させた芳香族系ポリエーテルポリオールを言う。前記マンニッヒ系ポリオールは、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
前記フェノール化合物としては、例えば、フェノール;クレゾール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール等が一般的に用いられる。
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が一般的に用いられる。
前記アミン化合物としては、例えば、脂肪族第一級又は第二級のモノアミン類が挙げられ、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール等のアルカノールアミン;メチルアミン、ジエチルアミン等のアルキルアミン等が一般的に用いられる。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が一般的に用いられる。
前記マンニッヒ系ポリオールは、具体的には、国際公開第2010/147091号等に記載されている製造方法により製造することができる。
前記ポリオール化合物中にマンニッヒ系ポリオールが含まれる場合、その含有量は、前記ポリオール組成物中の粉体の凝集の抑制、また、良好な難燃性を有する硬質ポリウレタンフォームを得る観点から、前記ポリオール組成物100質量部中、好ましくは1.0~20.0質量部、より好ましくは2.0~15.0質量部、さらに好ましくは3.0~10.0質量部である。
また、同様の観点から、前記マンニッヒ系ポリオールの含有量の前記芳香族系ポリエステルポリオールの含有量に対する質量比が、0.10~1.00であることが好ましく、より好ましくは0.15~0.90、さらに好ましくは0.20~0.80である。
前記ポリオール化合物は、前記芳香族系ポリエステルポリオール及び前記マンニッヒ系ポリオール以外に、例えば、前記マンニッヒ系ポリオール以外の芳香族系ポリエーテルポリオール等を含んでいてもよいが、良好な難燃性を有する硬質ポリウレタンフォームを得る観点から、脂肪族系ポリオールは含まないことが好ましい。また、良好な難燃性を有し、かつ、燃焼時の良好な炭化層の状態が維持される硬質ポリウレタンフォームを得る観点から、前記ポリオール化合物100質量部中の前記芳香族系ポリエステルポリオール及び前記マンニッヒ系ポリオールの合計含有量は、好ましくは70質量部以上、より好ましくは75質量部以上、さらに好ましくは100質量部である。
<難燃剤>
本発明のポリオール組成物において用いられる難燃剤は、下記式(1)で表されるホスフィン酸系金属塩と、リン酸系金属塩とからなる群から選ばれる1種以上のリン化合物を含む。
Figure 2022189520000003
前記式(1)中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti又はZnであり、好ましくはAl又はZn、より好ましくはAlである。MがMg、Ca又はZnのときn=2であり、MがAlのときn=3であり、MがTiのときn=4である。
1は、水素原子、炭素数1~6の直鎖状アルキル基又はフェニル基であり、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。
前記難燃剤は、前記ホスフィン酸系金属塩及びリン酸系金属塩のいずれかを含むものであっても、両者を含むものであってもよい。前記難燃剤は、本発明の効果の観点から、前記ホスフィン酸系金属塩を含むものであることが好ましい。
前記ホスフィン酸系金属塩は、無機ホスフィン酸塩又は有機ホスフィン酸塩であり、粉体状である。前記ホスフィン酸系金属塩は、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
前記ホスフィン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤は、従来の赤リンやリン酸エステル等による難燃剤に比べて、硬質ポリウレタンフォームに、より優れた難燃性を付与することができる。
前記リン酸系金属塩は、無機リン酸塩又は有機リン酸塩であり、粉体状である。前記リン酸系金属塩としては、リン酸エステル金属塩であることが好ましい。前記リン酸系金属塩における金属原子(イオン)は、前記ホスフィン酸系金属塩と同様の金属原子(イオン)の塩であることが好ましい。前記リン酸系金属塩は、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
前記リン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤も、硬質ポリウレタンフォームに、優れた難燃性を付与することができる。
前記難燃剤は、さらなる難燃性向上の観点から、前記ホスフィン酸系金属塩やリン酸系金属塩の他に、難燃助剤として作用し得る成分を含んでいてもよく、例えば、窒素含有化合物を含んでいることが好ましい。
前記窒素含有化合物としては、例えば、メラミン、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、フタル酸メラミン、シアヌル酸メラミン、ベンゾグアナミン等が挙げられる。これらのうち、1種のみでも、2種以上が含まれていてもよい。
前記難燃剤中に窒素含有化合物が含まれる場合、その含有量は、前記ホスフィン酸系金属塩100質量部に対して、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
本発明においては、前記ホスフィン酸系金属塩及び窒素含有化合物を含む粉体状の難燃剤として、例えば、大和化学工業株式会社製の「フランCM」シリーズ等の市販品を好適に用いることができる。
また、前記ホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤は、良好な難燃性を有する硬質ポリウレタンフォームを得る観点から、前記ポリオール組成物中の難燃剤の合計100質量部のうち、30質量部以上であることが好ましく、より好ましくは33~100質量部、さらに好ましくは35~100質量部である。
また、前記ホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤が沈降及び凝集しやすいことに鑑みて、該粉体状の難燃剤、すなわち、前記難燃剤のうちの固形分は、前記ポリオール組成物100質量部中、5.0~40.0質量部であることが好ましく、より好ましくは8.0~35.0質量部、さらに好ましくは10.0~30.0質量部である。
前記難燃剤は、硬質ポリウレタンフォームの燃焼時の初期の炭化抑制効果を得る観点から、液体状のリン酸エステルを含んでいてもよく、例えば、含ハロゲン系リン酸エステルであるトリス(β-クロロプロピル)ホスフェート等が一般的に用いられる。トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートは、液体であり、粉体状の前記ホスフィン酸系金属塩やリン酸系金属塩、赤リンのように、硬質ポリウレタンフォームの原料液中での凝集等を生じることはないものの、硬質ポリウレタンフォームに難燃性を付与する効果は、前記ホスフィン酸系金属塩やリン酸系金属塩の方が優れている。前記難燃剤中に液体状のリン酸エステルが含まれる場合、その含有量は、該難燃剤100質量部中、好ましくは70質量部以下、より好ましくは67質量部以下、さらに好ましくは65質量部以下である。
<ベーマイト>
前記ポリオール組成物中のベーマイトは、化学式Al23・H2Oで表される、アルミナ水和物の一種であり、水に不溶な粉体状の粒子である。例えば、ナバルテック社製の「アピラール(登録商標)AOH」等の製品として入手することができる。
前記ホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤が添加された硬質ポリウレタンフォームは、燃焼時に炭化層にボイドやクラックが生じやすいが、ベーマイトを併用することにより、このような炭化層におけるボイドやクラックの発生を抑制することができる。すなわち、前記ホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤とベーマイトを併用したポリオール組成物を用いることにより、優れた難燃性を有し、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生が抑制された硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。
なお、前記ポリオール組成物中にベーマイトを配合し、前記ホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤を用いない場合には、優れた難燃性を有し、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生が抑制された硬質ポリウレタンフォームを得ることは困難である。
また、水酸化アルミニウムも、ベーマイトと同様に、酸素含有アルミニウム化合物であり、樹脂の難燃性フィラー等として知られているが、硬質ポリウレタンフォームにおいて、前記ホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤と水酸化アルミニウムとを併用しても、良好な難燃性及び燃焼時の炭化層におけるボイドやクラックの発生を抑制することは困難である。
前記ベーマイトの含有量は、前記ホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤との併用により、硬質ポリウレタンフォームの燃焼時の炭化層でのボイドやクラックの発生を効果的に抑制し、かつ、該硬質ポリウレタンフォームを難燃性に優れたものとする観点から、前記難燃剤中の固形分の合計100質量部に対して、5~150質量部であることが好ましく、より好ましくは10~120質量部、さらに好ましくは20~100質量部である。
<その他の成分>
難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造原料としては、主原料である、ポリオール化合物、難燃剤及びポリイソシアネート化合物以外に、発泡剤、触媒、整泡剤等も配合される。これらの成分は、難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造時に、ポリオール組成物とは別に添加されてもよいが、難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造現場における作業負担を軽減する観点から、前記ポリオール組成物中に配合されていることが好ましい。
さらに、前記ポリオール組成物中には、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲内において、溶剤や、着色剤、酸化防止剤等の添加剤等が含まれていてもよい。
(発泡剤)
発泡剤は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とが反応してウレタン結合を形成する樹脂化反応の発熱により気体を発生させ、ポリウレタン樹脂を発泡させる作用を有するものである。
前記発泡剤としては、例えば、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、水等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、HFOやHCFOは、地球温暖化抑制効果等の観点から、HFCに代わり、今後、需要の増加が見込まれる発泡剤であり、これらを用いることが好ましい。具体的には、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(トランス-HFO-1234ze)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(HFO-1336mzz)、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロぺン(HCFO-1233zd)等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基は、水と反応してウレア結合及び炭酸ガスを発生する泡化反応も生じる。水は、硬質ポリウレタンフォームの生成反応の初期段階における発泡の誘因となり、また、製造される硬質ポリウレタンフォームの密度を低減させることができることから、発泡剤として水が含まれていることが好ましい。
前記発泡剤の配合量は、適度にポリウレタン樹脂を発泡させる観点から、ポリイソシアネート化合物100質量部に対して、合計で、好ましくは5.0~40.0質量部、より好ましくは10.0~30.0質量部、さらに好ましくは12.0~25.0質量部である。
ただし、水は、芳香族系ポリエステルポリオールを加水分解させるおそれがあるため、他の発泡剤よりも含有量が少ないことが好ましい。水以外の発泡剤の合計100質量部に対して、20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.8~15.0質量部、さらに好ましくは1.0~10.0質量部である。
(触媒)
硬質ポリウレタンフォームの生成反応においては、前記樹脂化反応及び泡化反応を促進する観点から第三級アミン触媒が好適に用いられる。また、一部ヌレート化による難燃性向上の観点から、ヌレート化触媒も用いることができる。これらの触媒としては、硬質ポリウレタンフォームの製造における公知の触媒を用いることができる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記第三級アミン触媒としては、例えば、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジエチルメチルベンゼンジアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
前記第三級アミン触媒の配合量は、硬質ポリウレタンフォームの樹脂化反応及び泡化反応を適度に促進させる観点から、ポリイソシアネート化合物100質量部に対して、好ましくは0.1~10.0質量部、より好ましくは0.2~8.0質量部、さらに好ましくは0.5~5.0質量部である。
前記ヌレート化触媒としては、例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物;酢酸カリウム、2-エチルヘキシル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩;トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の第三級アンモニウム塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
前記ヌレート化触媒の配合量は、イソシアネートのヌレート化反応を適度に促進させる観点から、ポリイソシアネート化合物100質量部に対して、好ましくは0.05~10.0質量部、より好ましくは0.1~8.0質量部、さらに好ましくは0.2~5.0質量部である。
(整泡剤)
整泡剤は、均質な難燃性硬質ポリウレタンフォームを得る観点から配合されるものであり、硬質ポリウレタンフォームの製造における公知の整泡剤を用いることができる。一般的には、シリコーン系整泡剤が好適に用いられ、例えば、シロキサン-ポリアルキレンオキサイド共重合体等が挙げられる。
前記整泡剤の配合量は、生成するポリウレタン樹脂の種類に応じて適宜設定されるが、ポリイソシアネート化合物100質量部に対して、好ましくは0.05~10.0質量部、より好ましくは0.1~8.0質量部、さらに好ましくは0.2~5.0質量部である。
さらに、前記ポリオール組成物中には、必要に応じて、本発明の効果を妨げない範囲内において、溶剤や、フィラー、着色剤、酸化防止剤等の添加剤等が含まれていてもよい。
[難燃性硬質ポリウレタンフォーム]
本発明の難燃性硬質ポリウレタンフォームは、前記ポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物とが反応して得られた反応生成物である。
前記ホスフィン酸系金属塩及び/又はリン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤とベーマイトとが併用されている本発明のポリオール組成物を用いることにより、これとポリイソシアネート化合物との反応生成物は、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生が抑制された難燃性硬質ポリウレタンフォームとなる。
<ポリイソシアネート化合物>
ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物であり、前記ポリオール化合物との重付加反応によりポリウレタン樹脂を生成する。
前記ポリイソシアネート化合物は、芳香族ポリイソシアネート又は脂肪族ポリイソシアネートのいずれでもよく、これらのうち1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルエーテル-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル-4,4’-ジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリレン-2,6-ジイソシアネート、4,6-ジメチル-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)等のモノメリックMDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI又はポリメリックMDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、非環式又は脂環式のポリイソシアネートのいずれでもよく、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
これらのうち、反応性、及び製造される硬質ポリウレタンフォームの難燃性等の観点から、2,2’-MDI、2,4’-MDI、4,4’-MDI等のモノメリックMDI、クルードMDI又はポリメリックMDIが好ましく、また、この中でも、入手容易性やコスト等の観点からは、クルードMDI又はポリメリックMDIが好適に用いられる。
前記難燃性硬質ポリウレタンフォームの原料液中のポリイソシアネート化合物の配合量は、ポリイソシアネート化合物の種類に応じて適宜設定されるが、前記ポリオール化合物との十分な反応性や前記原料液の混合時の取り扱い容易性等の観点から、前記ポリオール組成物100質量部に対して、好ましくは50~200質量部、より好ましくは70~150質量部、さらに好ましくは80~120質量部である。
<難燃性硬質ポリウレタンフォーム製造方法>
前記難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造方法における成形発泡方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スラブ成形、モールド成形、ラミネート成形、注入成形、スプレー発泡等の公知の方法を適用することができる。これらの各成形発泡方法において、前記ポリオール組成物と、前記ポリイソシアネート化合物とを混合して、発泡及び硬化させることにより、優れた難燃性を有し、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生が抑制された硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
[ポリオール組成物の調製]
下記実施例及び比較例のポリオール組成物の調製に用いた各原料の詳細を以下に示す。
<ポリオール化合物>
・ポリエステルポリオール:テレフタル酸系ポリエステルポリオール;「マキシモール(登録商標) RFK-556」、川崎化成工業株式会社製;水酸基価224mgKOH/g
・マンニッヒ系ポリオール:「エクセノール(登録商標) NB-622」、AGC株式会社製、水酸基価500mgKOH/g
・EDA(エチレンジアミン)系ポリエーテルポリオール:「サンニックス NL-30」、三洋化成工業株式会社製、水酸基価745mgKOH/g
<難燃剤>
・(a)フランCM:ホスフィン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤;「フランCM-6R」、大和化学工業株式会社製
・TCPP:トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート;「TMCPP」、大八化学工業株式会社製
<発泡剤>
・HCFO:トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロぺン(HCFO-1233zd);「ソルスティス(登録商標)LBA」、ハネウェル・インターナショナル・インク製
・水
<触媒>
・第三級アミン触媒(1):「TOYOCAT(登録商標)-SX60」、東ソー株式会社製
・第三級アミン触媒(2):「TOYOCAT(登録商標)-DM70」、東ソー株式会社製
・ヌレート化触媒:2-エチルヘキシル酸カリウム、「Dabco(登録商標)K-15」、エボニック社製
<ベーマイト>
・「アピラール(登録商標) AOH-60」、ナバルテック社製;D50:0.9μm
なお、D50は、レーザー回折散乱法によるメジアン径である(以下、同様。)。
<水酸化アルミニウム>
・「C-301N」、住友化学株式会社製、D50:1.5μm
<整泡剤>
・シリコーン系整泡剤;「Niax(登録商標)silicone L-6100」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク製
(実施例1)
500mLポリ瓶に、ポリエステルポリオール34.2質量部、第三級アミン触媒(1)、(2)及びヌレート化触媒各1.5質量部、水(発泡剤)0.3質量部、TCPP15.0質量部、及び整泡剤1.5質量部を入れ、かご型撹拌子を装着した電気ドリルにて3000rpmで20秒間撹拌した(以下、撹拌の方法は同様。)。
これに、難燃剤(a)(フランCM)15.0質量部、及びベーマイト10.0質量部を添加して、20秒間撹拌し、次いで、HCFO19.5質量部を添加して、さらに20秒間撹拌した後、20℃の恒温水槽にて保温し、ポリオール組成物を調製した。
(実施例2~9、比較例1~4)
下記表1に示す原料配合にて、実施例1と同様にして、ポリオール組成物をそれぞれ調製した。
なお、比較例2においては、ベーマイトに代えて水酸化アルミニウムを用いた。
[硬質ポリウレタンフォームの製造]
上記各実施例及び各比較例のポリオール組成物を用いて、以下のようにして、硬質ポリウレタンフォームを製造した。
なお、ポリイソシアネート化合物としては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI);「ミリオネート(登録商標) MR-200」、東ソー株式会社製を用いた。
500mLデスカップに、撹拌して均一にした状態のポリオール組成物100質量部、及びポリイソシアネート化合物102.5質量部を入れ、5秒間撹拌した後、得られた混合液(硬質ポリウレタンフォームの原料液)を、15cm四方の角型に流し込み、30分間静置させた後、脱型し、硬質ポリウレタンフォームを得た。
[評価]
上記各実施例及び各比較例で調製したポリオール組成物及びこれを用いて製造した硬質ポリウレタンフォームについて、下記の項目について評価を行った。これらの評価結果を、下記表1にまとめて示す。
<難燃性>
上記において製造した硬質ポリウレタンフォームから、98mm×98mm×厚さ(高さ)25mmの試料を切り出した。
ISO 5660-1に準じて、コーンカロリーメーター(「コーンカロリーメーターIII」、株式会社東洋精機製作所製;基材の不燃材:石膏ボード(厚さ9.5mm))にて、コーンにより50KW/m2の熱量を試料に加え、同時に、着火プラグにより10秒間着火させ、20分間加熱したときの総発熱量を測定した。
これらの測定値を、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A:総発熱量8MJ/m2未満
B:総発熱量8MJ/m2以上11MJ/m2未満
C:総発熱量11MJ/m2以上20MJ/m2未満
D:総発熱量20MJ/m2以上
評価Aの場合、最も難燃性が高く、不燃材料と言えるレベルである。次いで、評価Bの場合も、十分に難燃性は高く、準不燃材料と言えるレベルである。
<炭化層性状>
上記の難燃性の評価におけるコーンカロリーメーターでの試験後の試料を、厚さ方向にカッターで切断し、炭化層の断面及び外表面について目視観察した。
これらの観察結果を、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A:炭化層内にボイドの発生は確認されなかった。
B:炭化層内にボイドの発生が確認されたが、炭化層の外表面にクラックは確認されなかった。
C:炭化層の外表面に、ボイドを起点としたクラックが確認された。
D:焼失し、炭化層はほとんど残存しなかった。
評価A又はBの場合は、炭化層が良好に維持されており、十分な断熱性能が持続され得ると言える。一方、評価C又はDの場合は、炭化定着が良好とは言えず、断熱性能を持続し得る十分な炭化層が形成されていない。
Figure 2022189520000004
表1に示した結果から分かるように、ホスフィン酸系金属塩を含む粉体状の難燃剤と、ベーマイトとを併用したポリオール組成物を用いることにより(実施例1~9)、準不燃材料相当以上の難燃性を有し、かつ、燃焼時に炭化層におけるボイドやクラックの発生が抑制された硬質ポリウレタンフォームを得られることが認められた。
なお、ポリオール化合物としてマンニッヒ系ポリオールも併用した場合(実施例6~9)は、粉体状の難燃剤及びベーマイトが沈降し難くなり、マンニッヒ系ポリオールを未配合の場合よりも、ポリオール組成物の取り扱い性に優れ、硬質ポリウレタンフォームの製造時の撹拌混合作業が容易であった。

Claims (9)

  1. 難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール組成物であって、
    ポリオール化合物、難燃剤及びベーマイトを含有し、
    前記ポリオール化合物は、芳香族系ポリエステルポリオールを含み、
    前記難燃剤は、下記式(1)で表されるホスフィン酸系金属塩と、リン酸系金属塩とからなる群から選ばれる1種以上のリン化合物を含む、ポリオール組成物。
    Figure 2022189520000005

    (式(1)中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti又はZnであり、R1は、水素原子、炭素数1~6の直鎖状アルキル基又はフェニル基であり、nは、2、3又は4である。)
  2. 前記ポリオール化合物がマンニッヒ系ポリオールを含む、請求項1に記載のポリオール組成物。
  3. 前記ベーマイトが、前記難燃剤中の固形分の合計100質量部に対して、5~150質量部含まれる、請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
  4. 発泡剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
  5. 前記発泡剤が、ハイドロフルオロオレフィン及びハイドロクロロフルオロオレフィンのうちのいずれか1種以上を含む、請求項4に記載のポリオール組成物。
  6. 触媒を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
  7. 整泡剤を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリオール組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のポリオール組成物、及びポリイソシアネート化合物との反応生成物である、難燃性硬質ポリウレタンフォーム。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載のポリオール組成物と、ポリイソシアネート化合物を混合して、発泡及び硬化させて、難燃性硬質ポリウレタンフォームを得る、難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
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