JP2024003997A - 高分子化合物、組成物、光学フィルムおよび光学積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、被接着部材に配合することにより、親水性部材と被接着部材との接着性を改善することができる高分子化合物、ならびに、高分子化合物を含有する組成物、光学フィルムおよび光学積層体を提供することを課題とする。【解決手段】本発明の高分子化合物は、下記式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する、高分子化合物である。JPEG2024003997000046.jpg4048【選択図】なし

Description

本発明は、高分子化合物、組成物、光学フィルムおよび光学積層体に関する。
ポリビニルアルコール(PVA)およびポリビニルブチラール(PVB)などの親水性部材(例えば、偏光子、合わせガラス中間膜など)と被接着部材(例えば、偏光子保護膜、光学異方性層など)との接着性(密着性)を改善する材料として、ボロン酸基を有する化合物を被接着部材に配合することが知られている。
例えば、特許文献1には、ボロン酸基を側鎖に含む繰り返し単位を有する高分子化合物が記載されている。
国際公開第2018/062077号
本発明者らは、特許文献1に記載された高分子化合物について検討したところ、親水性部材と被接着部材との接着性に改善の余地があることを明らかとした。
そこで、本発明は、被接着部材に配合することにより、親水性部材と被接着部材との接着性を改善することができる高分子化合物、ならびに、高分子化合物を含有する組成物、光学フィルムおよび光学積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、被接着部材の形成材料として、所定の構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する高分子化合物を用いることにより、形成される被接着部材と、親水性部材との接着性が良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 後述する式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する、高分子化合物。
[2] 後述する式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位が、後述する式(2)で表される繰り返し単位である、[1]に記載の高分子化合物。
[3] 後述する式(1)中のAが、ベンゼン環を表す、[1]または[2]に記載の高分子化合物。
[4] 後述する式(2)中のXが、単結合、または、-COO-、-OCO-、-CONH-、-O-、-CO-、および、置換もしくは無置換のフェニレン基からなる群から選択される少なくとも1種の2価の連結基を表す、[2]に記載の高分子化合物。
[5] さらに、後述する式(3)で表される繰り返し単位を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の高分子化合物。
[6] 後述する式(3)で表される繰り返し単位が、後述する式(4)で表される繰り返し単位である、[5]に記載の高分子化合物。
[7] 後述する式(1)中のRが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、-OCOR、-COOR、カルボキシ基、および、-CORからなる群から選択される、[1]~[6]のいずれかに記載の高分子化合物。ここで、R、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を表す。
[8] 重量平均分子量が5000~100000である、[1]~[7]のいずれかに記載の高分子化合物。
[9] 後述する式(1)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量が5~60質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載の高分子化合物。
[10] 親水性部材と接着させる被接着部材に用いる、[1]~[9]のいずれかに記載の高分子化合物。
[11] [1]~[10]のいずれかに記載の高分子化合物を含有する、組成物。
[12] さらに、溶媒を含有する、[11]に記載の組成物。
[13] [1]~[10]のいずれかに記載の高分子化合物を含有する、光学フィルム。
[14] [11]に記載の組成物の硬化層を有する、光学フィルム。
[15] [13]に記載の光学フィルムと、親水性部材とが、接着層を介して貼り合わされている光学積層体。
[16] [14]に記載の光学フィルムと、親水性部材とが、接着層を介して貼り合わされている光学積層体。
本発明によれば、被接着部材に配合することにより、親水性部材と被接着部材との接着性を改善することができる高分子化合物、ならびに、高分子化合物を含有する組成物、光学フィルムおよび光学積層体を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を表す表記であり、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」または「メタクリロイル」を表す表記である。
また、本明細書において、「置換もしくは無置換の」または「置換基を有していてもよい」とは、置換基を有していない態様はもとより、1つ以上の置換基を有する態様を含むものである。
ここで、置換基としては、例えば、以下に記載する置換基群Aに記載する置換基が挙げられる。
<置換基群A>
置換基としては、例えば、
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、好ましくは塩素原子、フッ素原子、より好ましくはフッ素原子);
アルキル基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24、特に好ましくは炭素数1~8の、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基で、例えば、炭素数1~6の直鎖アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基)、炭素数3~6の分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基)、炭素数3~12の環状アルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-ノルボルニル基、1-アダマンチル基));
アルケニル基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基);
アルキニル基(好ましくは炭素数2~6、より好ましくは炭素数2~4のアルキニル基で、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基);
アリール基(好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリール基で、例えば、フェニル基、オリゴアリール基(ナフチル基、アントリル基)、フェナンスレニル基、フルオレニル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、ビフェニル基);
ヘテロアリール基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~18のヘテロ環基で、例えば、2-チエニル基、4-ピリジル基、2-フリル基、2-ピリミジニル基、1-ピリジル基、2-ベンゾチアゾリル基、1-イミダゾリル基、1-ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール-1-イル基);
シリル基(好ましくは炭素数3~38、より好ましくは炭素数3~18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ヘキシルジメチルシリル基);
ヒドロキシ基;シアノ基;ニトロ基;
アルコキシ基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1-ブトキシ基、2-ブトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、ドデシルオキシ基、シクロアルキルオキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基));
アリールオキシ基(好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1-ナフトキシ基);
アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2~6のアルケニルオキシ基で、例えば、ビニルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、2-n-プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1-n-ブテニルオキシ基、プレニルオキシ基);
ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1-フェニルテトラゾール-5-オキシ基、2-テトラヒドロピラニルオキシ基);
シリルオキシ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t-ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基);
アシルオキシ基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基);
アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t-ブトキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基(例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基));
アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7~32、より好ましくは炭素数7~24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基);
カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N-ジメチルカルバモイルオキシ基、N-ブチルカルバモイルオキシ基、N-フェニルカルバモイルオキシ基、N-エチル-N-フェニルカルバモイルオキシ基);
スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N-ジエチルスルファモイルオキシ基、N-プロピルスルファモイルオキシ基);
アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1~38、より好ましくは炭素数1~24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基);
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6~32、より好ましくは炭素数6~24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基);
アシル基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基);
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基);
アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7~32、より好ましくは炭素数7~24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基);
カルバモイル基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N-ジエチルカルバモイル基、Nーエチル-N-オクチルカルバモイル基、N,N-ジブチルカルバモイル基、N-プロピルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基、N-メチルN-フェニルカルバモイル基、N,N-ジシクロへキシルカルバモイル基);
アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ基、N,N-ジブチルアミノ基、テトラデシルアミ基、2-エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基);
アニリノ基(好ましくは炭素数6~32、より好ましくは6~24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N-メチルアニリノ基);
ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは1~18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4-ピリジルアミノ基);
カルボンアミド基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは2~24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基);
ウレイド基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N-ジメチルウレイド基、N-フェニルウレイド基);
イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N-スクシンイミド基、N-フタルイミド基);
アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2~48、より好ましくは炭素数2~24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t-ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基);
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7~32、より好ましくは炭素数7~24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基);
スルホンアミド基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基);
スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N,N-ジプロピルスルファモイルアミノ基、N-エチル-N-ドデシルスルファモイルアミノ基);
アゾ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3-ピラゾリルアゾ基);
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基);
アリールチオ基(好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基);
ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~18のヘテロ環チオ基で、例えば、2-ベンゾチアゾリルチオ基、2-ピリジルチオ基、1-フェニルテトラゾリルチオ基);
アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基);
アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6~32、より好ましくは炭素数6~24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基);
アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2-エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基);
アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1-ナフチルスルホニル基);
スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N-ジプロピルスルファモイル基、N-エチル-N-ドデシルスルファモイル基、N-エチル-N-フェニルスルファモイル、N-シクロヘキシルスルファモイル基、N-(2-エチルヘキシル)スルファモイル基);
ホスホニル基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基);
ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1~32、より好ましくは炭素数1~24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基);
エポキシ基;-NHCOCH;-SONHCOCH;-NHSOCH
などが挙げられ、これらを2つ以上組み合わせてもよい。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を2つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
[高分子化合物]
本発明の高分子化合物は、後述する式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する重合体である。
本発明においては、上述した通り、被接着部材の形成材料として、後述する式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する高分子化合物を用いることにより、形成される被接着部材と、親水性部材との接着性が良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、後述する式(1)中のRが「ハメットの置換基定数σ値が正の値を示す1価の基」であることにより、-B(OR)ORで表されるボロン酸部分の酸解離定数pKaが低下したため、親水性部材の表面(例えば、水酸基)と相互作用(例えば、共有結合)することにより、接着性が良好になったと考えられる。
以下、本発明の高分子化合物について詳細に説明する。
本発明の高分子化合物は、下記式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する重合体である。
上記式(1)中、Aは、単環もしくは多環の芳香族炭素環、または、単環もしくは多環の芳香族複素環を表し、Aの環員数であるnは、3以上の整数を表す。
ここで、Aの一態様が表す芳香族炭素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリフェニレン環、フルオレン環などが挙げられる。
また、Aの一態様が表す芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサジアゾール環、チアゾロチアゾール環、フェナントロリン環などが挙げられる。
また、Aの環員数であるnは、上述した通り、3以上の整数を表し、4~14の整数を表すことが好ましく、5~10の整数を表すことがより好ましい。
本発明においては、得られる高分子化合物の溶解性が良好となり、また、形成される被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となる理由から、上記式(1)中のAがベンゼン環を表すことが好ましい。
上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、あるいは、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表し、RおよびRは、アルキレン連結基、アリーレン連結基、または、これらの組み合わせからなる連結基を介して互いに連結していてもよい。
ここで、RおよびRの一態様が表す、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、置換基を有していてもよい、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基が挙げられる。
アルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-ノルボルニル基等の直鎖状、分枝状または環状のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、具体的には、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、1-ブテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、1-シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状または環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、具体的には、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、1-ブチニル基、1-オクチニル基等が挙げられる。
また、RおよびRの一態様が表す、置換もしくは無置換のアリール基としては、例えば、1個から4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と不飽和五員環とが縮合環を形成したものを挙げることができ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
また、RおよびRの一態様が表す、置換もしくは無置換のヘテロアリール基としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環上の水素原子を1個除し、ヘテロアリール基としたものが挙げられる。
窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環としては、具体的には、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾールベンズイミダゾール、アントラニル、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン等が挙げられる。
上記式(1)中のRおよびRは、水素原子であるか、または、アルキレン連結基で互いに連結されていることが好ましい。
上記式(1)中、Rは、ハメットの置換基定数σ値が正の値を示す1価の基を表す。
ここで、ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。
本発明においては、「ハメットの置換基定数σ値が正の値を示す1価の基」とは、文献「A Survey of Hammett Substituent Constants and Resonance and Field Parameters」(Chem.Rev.1991, 91, 165-195)に記載されたσ値のうち、メタ位のσ値(σm値)およびパラ位のσ値(σp値)の少なくとも一方が正の値を示す1価の基のことをいう。なお、上記文献に具体的に記載されていない置換基については、上記文献に記載された計算方法に従って算出された値を採用する。
本発明においては、上記式(1)中のRが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、-OCOR、-COOR、カルボキシ基、-COR、シアノ基、-CF、ホルミル基、および、-NOからなる群から選択されることが好ましく、中でも、形成される被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となる理由から、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、-OCOR、-COOR、カルボキシ基、および、-CORからなる群から選択されることが好ましく、フッ素原子、塩素原子、カルボキシ基、-CORであることがより好ましい。なお、R、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を表す。
上記式(1)中、mは、1以上(n-2)以下の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2を表すことがより好ましい。
また、mが2以上の整数を表す場合、複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
本発明においては、上記式(1)中のAは、上述したR以外に、ハメットの置換基定数σ値が負の値を示す1価の基(例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基など)を有していてもよい。
ここで、「ハメットの置換基定数σ値が負の値を示す1価の基」とは、文献「A Survey of Hammett Substituent Constants and Resonance and Field Parameters」(Chem.Rev.1991, 91, 165-195)に記載されたσ値のうち、メタ位のσ値(σm値)およびパラ位のσ値(σp値)のいずれもが負の値を示す1価の基のことをいう。
上記式(1)中、Lは、単結合または2価の連結基を表し、*は、主鎖との結合位置を表す。
ここで、Lの一態様が表す2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の複素環基、-O-、-S-、-N(Q)-、-CO-、または、これらを組み合わせた基が挙げられる。Qは、水素原子または置換基を表す。
2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のアルケニレン基、および、炭素数1~10のアルキニレン基などの2価の脂肪族炭化水素基、アリーレン基などの2価の芳香族炭化水素基、が挙げられる。
また、2価の複素環基としては、例えば、2価の芳香族複素環基が挙げられ、具体的には、ピリジレン基(ピリジン-ジイル基)、ピリダジン-ジイル基、イミダゾール-ジイル基、チエニレン(チオフェン-ジイル基)、キノリレン基(キノリン-ジイル基)などが挙げられる。
また、これらを組み合わせた基としては、上述した、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の複素環基、-O-、-S-、-N(Q)-、および、-CO-からなる群から選択される少なくとも2種以上を組み合わせた基が挙げられ、例えば、-CO-O-、-CO-N(Q)-、-CO-O-2価の炭化水素基-、-CO-N(Q)-2価の炭化水素基-、-CO-O-2価の炭化水素基-CO-O-、-CO-O-2価の炭化水素基-N(Q)-CO-O-、-CO-O-2価の炭化水素基-O-2価の炭化水素基-などが挙げられる。
本発明においては、合成が容易となる等の理由から、上記式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位が、下記式(2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記式(2)中、A、R、R、Rおよびmの定義および具体例は、それぞれ、上記式(1)中のA、R、R、Rおよびmの定義および具体例と同じである。
上記式(2)中、Rは、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表す。
ここで、Rの一態様が表す炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。
なお、Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
上記式(2)中、Xは、置換もしくは無置換のフェニレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-O-、-CO-、および、-CH-からなる群から選択される少なくとも1種の2価の連結基を表す。なお、-COO-は、Rが結合した炭素とC=Oが結合し、XとOが結合することを表し、-OCO-は、Rと結合した炭素とOが結合し、XとC=Oが結合することを表し、-CONH-は、Rが結合した炭素とC=Oが結合し、Xと-NH-が結合することを表す。
これらのうち、Xとしては、置換もしくは無置換のフェニレン基、-COO-、および、-CONH-であることが好ましく、-COO-、および、-CONH-であることがより好ましい。
上記式(2)中、Xは、単結合または2価の連結基を表す。
ここで、Xの一態様が表す2価の連結基としては、Lの一態様が表す2価の連結基と同様のものが挙げられる。
本発明においては、形成される被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となる理由から、上記式(2)中のXが、単結合、または、-COO-、-OCO-、-CONH-、-O-、-CO-、および、置換もしくは無置換のフェニレン基からなる群から選択される少なくとも1種の2価の連結基を表すことが好ましい。
本発明の高分子化合物が、後述する式(3)で表される繰り返し単位などを有する共重合体である場合、上記式(1)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量は、3~80質量%であることが好ましい。特に、上記式(1)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量の下限値は、被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となる理由から、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。一方、上記式(1)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量の上限値は、得られる高分子化合物の溶解性が良好となり、また、形成される被接着部材の面状が良好となる理由から、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の高分子化合物は、形成される被接着部材の面状が良好となり、また、被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となる理由から、下記式(3)で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。
上記式(3)中、Rは、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表す。
ここで、Rの一態様が表す炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。
なお、Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
上記式(3)中、Lは、-O-、-COO-、-OCO-、-CONH-、2価の脂肪族基、および、これらの組み合わせからなる群から選択される2価の連結基を表す。なお、-COO-は、Rが結合した炭素とC=Oが結合し、RとOが結合することを表し、-OCO-は、Rと結合した炭素とOが結合し、RとC=Oが結合することを表す。
の一態様が表す2価の脂肪族基としては、2価の脂肪族鎖状基または脂肪族環状基が挙げられる。2価の脂肪族鎖状基としては、炭素数1~20のアルキレン基が好ましく、炭素数1~10のアルキレン基がより好ましい。2価の脂肪族環状基としては、炭素数3~20のシクロアルキレン基が好ましく、炭素数3~15のシクロアルキレン基がより好ましい。
これらのうち、Lとしては、-COO-、または、-OCO-が好ましく、-COO-がより好ましい。
上記式(3)中、Rは、炭素数4~20のアルキル基、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~20のアルキル基(以下、「フルオロアルキル基」ともいう。)、または、-Si(Ra3)(Ra4)O-を含む1価の有機基を表し、Ra3およびRa4は、それぞれ独立に、アルキル基、ハロアルキル基またはアリール基を表す。
本発明においては、被接着部材と親水性部材との接着性の観点から、上記式(3)中のRが、炭素数1~20のフルオロアルキル基であることが好ましく、炭素数1~18のフルオロアルキル基であることがより好ましく、炭素数2~15のフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。
また、フッ素原子数は、1~25であることが好ましく、3~21であることがより好ましく、5~21であることが最も好ましい。
また、本発明においては、形成される被接着部材の面状がより良好となり、また、被接着部材と親水性部材との接着性がさらに良好となる理由から、上記式(3)で表される繰り返し単位が、下記式(4)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
上記式(4)中、Rは、上記式(3)中のRと同様、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、好適態様も同様である。
また、上記式(4)中、maおよびnaは、それぞれ独立に0~19の整数を表す。なかでも、接着性向上および原料入手などの観点から、maは1~8の整数であることが好ましく、1~5の整数であることがより好ましい。また、naは1~15の整数であることが好ましく、1~12の整数であることがより好ましく、2~10の整数であることがさらに好ましく、5~7の整数であることが最も好ましい。ただし、maおよびnaは、合計して0~19の整数を表す。
また、上記式(4)中、Xは、水素原子またはフッ素原子を表し、フッ素であることが好ましい。
上記式(3)または(4)で表される繰返し単位を形成する単量体としては、具体的には、例えば、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロ-3-メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H-1-(トリフオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロブチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-3-メチルブチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-5-メチルヘキシル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-(パーフルオロ-7-メチルオクチル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
一方、上記式(3)中のRが示す、-Si(Ra3)(Ra4)O-を含む1価の有機基としては、シロキサン結合に由来する有機基であり、下記式(5)で表される化合物を重合させて得られる構造であることがより好ましい。
上記式(5)中、Ra1は、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表し、また、Ra5は、炭素数1~12のアルキル基を表し、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。
上記式(5)中、Ra3およびRa4は、それぞれ独立に、アルキル基、ハロアルキル基またはアリール基を表す。
アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基などを挙げることができる。
ハロアルキル基としては、炭素数1~10のフッ素化アルキル基が好ましく、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などを挙げることができる。
アリール基としては、炭素数6~20が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
これらのうち、Ra3およびRa4は、メチル基、トリフルオロメチル基またはフェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記式(5)中、mは、10~1000の整数を表し、20~500の整数が好ましく、30~200の整数がより好ましい。
上記式(5)で表される化合物としては、片末端(メタ)アクリロイル基含有ポリシロキサンマクロマー、例えば、サイラプレーン0721、同0725(以上、商品名、JNC(株)製)、AK-5、AK-30、AK-32(以上、商品名、東亜合成(株)社製)、KF-100T、X-22-169AS、KF-102、X-22-3701IE、X-22-164B、X-22-164C、X-22―5002、X-22-173B、X-22-174D、X-22-167B、X-22-161AS(以上、商品名、信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
本発明においては、上記式(3)で表される繰り返し単位を有する場合の含有量は、全繰り返し単位に対して2~80質量%であることが好ましく、5~70質量%であることがより好ましく、10~60質量%であることがさらに好ましい。
本発明の高分子化合物は、被接着部材が疎水性部材である場合、疎水性部材と親水性部材との接着性がより良好となる理由から、重合性基を側鎖に含む繰り返し単位を有していることが好ましい。
ここで、重合性基を側鎖に含む繰り返し単位としては、国際公開第2018/062077号の段落[0021]~[0031]に記載されたものが挙げられ、これらの記載は、参照により本明細書に取り込まれる。
本発明の高分子化合物は、上述した各繰り返し単位以外に、必要に応じて、他の繰り返し単位を有していてもよい。
ここで、他の繰り返し単位としては、国際公開第2018/062077号の段落[0062]~[0073]に記載されたものが挙げられ、これらの記載は、参照により本明細書に取り込まれる。
本発明の高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、2000~200000であることが好ましく、形成される被接着部材の面状が良好となり、また、被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となる理由から、5000~100000であることがより好ましく、8000~50000であることがさらに好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定された値である。
<測定条件>
[溶離液] N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
[装置名] EcoSEC HLC-8320GPC(東ソー社製)
[カラム] TSKgel SuperAWM-H(東ソー社製)
[カラム温度] 40℃
[流速] 0.50ml/min
上述した各繰り返し単位を有する本発明の高分子化合物としては、具体的には、例えば、下記式(P-1)~(P-23)で表される化合物が挙げられる。





[用途]
本発明の高分子化合物は、親水性部材と被接着部材との接着性を改善する用途、すなわち、接着付与剤として有用であり、親水性部材と接着させる被接着部材に用いることが好ましい。
このような被接着部材を形成する組成物は、本発明の高分子化合物を含むものであれば特に限定されないが、他の成分としては、例えば、液晶性化合物、インキ、塗料、バインダー樹脂などが挙げられ、なかでも、液晶性化合物であることが好ましい。
一方、親水性部材としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムや、ポリビニルブチラール(PVB)フィルムからなる部材が挙げられ、具体的には、偏光子、合わせガラス中間膜などが好適に挙げられる。
[組成物]
本発明の組成物は、本発明の高分子化合物を含有する組成物であり、作業性の観点から、さらに溶媒を含有する組成物であることが好ましい。
また、本発明の組成物は、上述した通り、親水性部材と接着させる被接着部材を形成するための組成物であることが好ましい。
本発明の高分子化合物の含有量は、本発明の組成物の全固形分(溶媒を除いた全成分)を100質量%とした場合に、0.0001~40質量%であることが好ましく、0.001~20質量%であることがより好ましく、0.1~5質量%であることがさらに好ましい。
〔溶媒〕
溶媒としては、上述した本発明の高分子化合物、および、他の成分(液晶性化合物など)を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で適宜選択することができる。
このような溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、1,3,5-トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-プチロラクトン、2-メトキシ酢酸メチル、2-エトキシ酢酸メチル、2-エトキシ酢酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1,2-ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2-オクタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の溶媒のうち、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールのうち少なくとも1種類を用いることが好ましい。
本発明においては、溶媒を用いる場合の含有量は、組成物の固形分の濃度が5~80質量%の範囲となる量であることが好ましく、10~75質量%の範囲となる量であることがより好ましく、15~70質量%の範囲となる量であることがさらに好ましい。
〔他の成分〕
本発明の組成物は、例えば、被接着部材として光学異方性層を形成する場合、上述した高分子化合物および溶媒の他に、液晶性化合物、ボロン化合物および重合開始剤などを含有することができる。
これらの成分としては、国際公開第2018/062068号の段落[0085]~[0112]に記載されたものが挙げられ、これらの記載は、参照により本明細書に取り込まれる。
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、上述した本発明の高分子化合物を含有する光学フィルムであるか、上述した本発明の組成物の硬化層を有する光学フィルムである。
上述した本発明の組成物の硬化層としては、例えば、上述した本発明の高分子化合物および溶媒とともに液晶性化合物を含有する液晶組成物を硬化させた光学異方性層などが挙げられる。
〔支持体〕
本発明の光学フィルムは、支持体を有していてもよい。
上記支持体としては、例えば、ガラス基板やポリマーフィルムが挙げられ、ポリマーフィルムの材料としては、セルロース系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー等が挙げられる。
これらのうち、セルロース系ポリマー、特に、セルロースアシレート系ポリマーを用いたポリマーフィルム(セルロースアシレート系フィルム)、または、シクロオレフィン系ポリマーを用いたポリマーフィルム(シクロオレフィン系フィルム)を支持体として用いることが好ましい。
本発明においては、上記支持体の厚みについては特に限定されないが、機械的強度や本発明の光学フィルムを長尺のロール形態で保管する場合などを考慮して、5~100μmであることが好ましく、10~75μmであることがより好ましく、15~55μmであることがさらに好ましい。
[光学積層体]
本発明の光学積層体は、上述した本発明の光学フィルムと、親水性部材とが、接着層を介して貼り合わされている光学積層体である。
また、本発明の光学積層体は、親水性部材として後述する偏光子を有する偏光板であることが好ましい。
〔偏光子〕
偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であれば特に限定されず、従来公知の吸収型偏光子および反射型偏光子を利用することができる。
吸収型偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子などが用いられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子があり、いずれも適用できるが、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、特許第4751486号公報を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用することができる。
反射型偏光子としては、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、選択反射域を有するコレステリック液晶と1/4波長板とを組み合わせた偏光子などが用いられる。
なかでも、接着性がより良好となる理由から、ポリビニルアルコール系樹脂(-CH-CHOH-を繰り返し単位として含むポリマー、特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つ)を含む偏光子であることが好ましい。
本発明においては、偏光子の厚みは特に限定されないが、1μm~50μmであるのが好ましく、2μm~30μmであるのがより好ましく、3μm~20μmであるのがさらに好ましい。
〔接着層〕
本発明の光学積層体が有する接着層は、接着剤から形成されたものであればよい。
接着剤としては、水酸基を有する樹脂を含む接着剤が好ましく、ポリビニルアルコール系接着剤のほか、エポキシ系の活性エネルギー線硬化型接着剤、例えば特開2004-245925号公報に示されるような、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を含有し、加熱または活性エネルギー線の照射により硬化する接着剤、特開2008-174667号公報記載の(メタ)アクリル系化合物の合計量100質量部中に、(a)分子中に(メタ)アクリロイル基を2以上有する(メタ)アクリル系化合物と、(b)分子中に水酸基を有し、重合性二重結合をただ1個有する(メタ)アクリル系化合物と、(c)フェノールエチレンオキサイド変性アクリレートまたはノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレートとを含有する活性エネルギー線硬化型接着剤などが挙げられる。これらの中で、ポリビニルアルコール系接着剤が最も好ましい。
なお、ポリビニルアルコール系接着剤は変性または未変性ポリビニルアルコールを含む接着剤である。ポリビニルアルコール系接着剤は、変性または未変性ポリビニルアルコールのほか、架橋剤を含有していてもよい。接着剤の具体例としては、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール(例、ポリビニルブチラール)の水溶液や、ビニル系ポリマー(例、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリブチルアクリレート)のラテックスが挙げられる。特に好ましい接着剤は、ポリビニルアルコールの水溶液である。このとき、ポリビニルアルコールは完全鹸化されたものが好ましい。
また、エポキシ系の活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線の照射によりエポキシ基が開環し、水酸基を生じるので本発明に係る共重合体と架橋することができる。そのため、本発明においてはエポキシ系の活性エネルギー線硬化型接着剤も水酸基含有接着剤として含み、適宜用いることができる。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、上述した光学フィルムまたは上述した光学積層体と、画像表示素子とを有する画像表示装置である。
〔画像表示素子〕
本発明に用いられる画像表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、および、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セルまたは有機EL表示パネルであるのが好ましく、液晶セルであるのがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、画像表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、画像表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であるのが好ましく、液晶表示装置であるのがより好ましい。
<液晶セル>
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、FFSやIPS(In-Plane-Switching)モード、または、TN(TwistedNematic)モードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60~120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2-176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58~59(1998)記載)、および、(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、および、PSA(Polymer-Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006-215326号公報および特表2008-538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶性分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10-54982号公報、特開平11-202323号公報、特開平9-292522号公報、特開平11-133408号公報、特開平11-305217号公報、特開平10-307291号公報などに開示されている。
<有機EL表示パネル>
本発明に用いられる画像表示素子として用いられる有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔合成例1〕
<高分子化合物A-1の合成例>
(単量体成分M-1の合成)
冷却管、温度計、滴下ロート、攪拌装置を取り付けた300mL三口フラスコに、4-アミノ-2-フルオロフェニルボロン酸5.0g(0.03モル)、トリエチルアミン4.2g、酢酸エチル100mLを入れて10℃以下に冷却した。アクリル酸クロライド3.8g(0.04モル)を慎重に滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌した。得られた溶液を0.1mol/L塩酸で分液を行い、有機層を取り出した。さらに重層水溶液で分液を行い、有機層に硫酸マグネシウムを添加して乾燥させたのちに溶媒を留去することで、下記式(M-1)で表される単量体成分M-1を6.4g得た。
(高分子化合物A-1の合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下ポンプを取り付けた300mL三口フラスコに、シクロヘキサノン10g、イソプロピルアルコール(IPA)10gを入れ、窒素気流下で85℃に加熱した。
次いで、単量体成分M-1の5.4g、2-(パーフルオロブチル)エチルアクリレート6.6g、1,3-プロパンジオール2.7g、アゾ重合開始剤(V-601、和光純薬(株)製)0.16g、シクロヘキサノン10g、および、IPA10gの混合溶液を、3時間かけて滴下した。1時間熟成させた後、V-601の0.16g、および、シクロヘキサノン1gの溶液を添加してさらに3時間熟成させ、下記式(A-1)で表される高分子化合物A-1を含有する溶液を得た。
得られた高分子化合物A-1の重量平均分子量は12000であった。
〔他の合成例〕
単量体成分の種類またはその配合量を変更した以外は、高分子化合物A-1と同様の方法で、下記式(A-2)~(A-20)および(CA-1)~(CA-5)で表される高分子化合物A-2~A-20およびCA-1~CA-5を得た。なお、高分子化合物A-2、A-5およびA-6の合成については、単量体成分は変更せず、重合開始剤の配合量を変更し、下記表1に示す重量平均分子量となるように調整して合成した。























[実施例1~20および比較例1~5]
〔光学フィルムの作製〕
合成した各高分子化合物と、以下の液晶性化合物などとを混合し、下記組成の液晶組成物を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶組成物
――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物G1 100.0質量部
・下記配向助剤H1 1.0質量部
・下記ボロン化合物J1 4.5質量部
・下記単量体K1 8.0質量部
・下記重合開始剤L1 5.0質量部
・下記表1に示す高分子化合物 0.5質量部
・下記質量比の混合溶媒 357質量部
(質量比:アセトン/酢酸メチル/メタノール=70/20/10)
――――――――――――――――――――――――――――――――
・液晶性化合物G1:下記液晶性化合物(RA)(RB)(RC)の83:15:2(質量比)の混合物
・配向助剤H1
・ボロン化合物J1
・単量体K1:ビスコート#360(大阪有機化学工業株式会社製)
・重合開始剤L1:OXE-01(BASF社製)
また、シクロレフィンポリマーフィルム(JSR(株)製 商品名:アートンフィルム、Re=95nm、Rth=100nm、膜厚25μm)の片面を放電量125W・min/mでコロナ処理を施した。
その後、コロナ処理を施した面に、調製した各液晶組成物を、#2.6のワイヤーバーで塗布した。組成物の溶媒の乾燥、および、液晶性化合物の配向熟成のために、70℃の温風で90秒加熱した。
次いで、窒素パージ下酸素濃度100ppmで40℃にて紫外線照射(300mJ/cm)を行い、液晶性化合物の配向を固定化し、光学フィルムを作製した。
〔偏光板の作製〕
<フィルムの表面処理>
セルロースアセテートフィルム(富士フイルム製、フジタックTD40UC)を37℃に調温した1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(けん化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、さらに水洗浴を通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したセルロースアセテートフィルムを作製した。
<偏光子の作製>
特開2001-141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚み12μmの偏光子を作製した。
<貼り合わせ>
作製した各光学フィルム、および、作製した鹸化処理したセルロースアセテートフィルムを用いて、作製した偏光子を挟んだ後、下記接着剤を用いて、偏光子の吸収軸とフィルムの長手方向とが平行になるようにロールツーロールで積層した。
ここで、偏光子の一方の面は、上記光学フィルムの塗布面が偏光子側となるようにし、偏光子の他方の面は、上記セルロースアセテートフィルムとした。
積層後70℃10分間の乾燥により硬化させることにより偏光板を作製した。
(接着剤)
ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA-117H)3%水溶液
[評価]
〔溶解性〕
合成した高分子化合物A-1~A-20およびCA-1~CA-5の各1.0gを、それぞれメチルエチルケトン15.0gに添加した。溶液を目視で観察して下記の基準で評価した。結果を下記表1に示す。
<評価基準>
2:濁りが観察されない
1:わずかに濁りがある
〔面状〕
作製した光学フィルムの光学異方性層の面状性能を、各偏光板をクロスニコルに重ねた間に挿入した状態で観察した。
ムラの程度を目視で評価し、下記の基準で評価した。結果を下記表1に示す。
<評価基準>
5:ムラが全く視認されない
4:僅かにムラが視認されるが気にならない
3:ムラが視認されるが実用上問題ないレベル
4:ムラが視認され、実用上問題となる
5:ムラが強く視認され、非常に気になる
〔接着性〕
接着性は、JIS-K-5600-5-6-1に記載のクロスカット法にて評価を行った。
作製した偏光板について、光学フィルム表面に1mm間隔で100個の碁盤目を入れ、セロハンテープ(ニチバン(株)製)で密着試験を行った。新しいセロハンテープを貼ったあとに剥離することを3回繰り返し、下記の基準で判定した。結果を下記表1に示す。なお、碁盤目は、光学フィルムのシクロレフィンポリマーフィルム(支持体)側から、偏光子の表面に届くまで切れ込みを入れて作製した。
<評価基準>
5:碁盤目中のマスの剥離が起こらない
4:碁盤目中のマスの剥離が無いものが70%以上100%未満
3:碁盤目中のマスの剥離が無いものが50%以上70%未満
2:碁盤目中のマスの剥離が無いものが20%以上50%未満
1:碁盤目中のマスの剥離が無いものが20%未満
ここで、評価結果が5、4および3であれば実用上問題がなく、評価が5であることが好ましい。
Figure 2024003997000041
表1に示す結果から、本発明の高分子化合物を配合しない場合は、親水性部材である偏光子と被接着部材である光学異方性層との接着性が劣ることが分かった(比較例1~5)。
これに対し、本発明の高分子化合物を配合した場合は、親水性部材である偏光子と被接着部材である光学異方性層との接着性が良好となることが分かった(実施例1~20)。
特に、実施例2、16および17の対比から、上記式(1)中のAがベンゼン環を表すと、得られる高分子化合物の溶解性が良好となり、また、形成される被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となることが分かった。
また、実施例3と実施例4との対比から、上記式(2)中のXが、単結合、または、-COO-、-OCO-、-CONH-、-O-、-CO-、および、置換もしくは無置換のフェニレン基からなる群から選択される少なくとも1種の2価の連結基を表すと、形成される被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となることが分かった。
また、実施例3と実施例18との対比から、本発明の高分子化合物が上記式(3)で表される繰り返し単位を有していると、形成される被接着部材の面状が良好となり、また、被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となることが分かった。
また、実施例3、12および13の対比から、上記式(3)で表される繰り返し単位が、上記式(4)で表される繰り返し単位であると、形成される被接着部材の面状がより良好となり、また、被接着部材と親水性部材との接着性がさらに良好となることが分かった。
また、実施例3、14および15の対比から、上記式(1)中のRが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、-OCOR、-COOR、カルボキシ基、および、アセチル基からなる群から選択されていると、形成される被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となることが分かった。
また、実施例2、5および6の対比から、本発明の高分子化合物の重量平均分子量が5000~100000であると、形成される被接着部材の面状が良好となり、また、被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となることが分かった。
また、実施例2、7および8の対比から、上記式(1)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量の上限値が60質量%以下であると、得られる高分子化合物の溶解性が良好となり、また、形成される被接着部材の面状が良好となることが分かり、実施例2と実施例9の対比から、上記式(1)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量の下限値が5質量%以上であると、被接着部材と親水性部材との接着性がより良好となることが分かった。

Claims (16)

  1. 下記式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位を有する、高分子化合物。

    ここで、前記式(1)中、
    Aは、単環もしくは多環の芳香族炭素環、または、単環もしくは多環の芳香族複素環を表し、Aの環員数であるnは、3以上の整数を表す。
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子、あるいは、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表し、RおよびRは、アルキレン連結基、アリーレン連結基、または、これらの組み合わせからなる連結基を介して互いに連結していてもよい。
    は、ハメットの置換基定数σ値が正の値を示す1価の基を表し、mは、1以上(n-2)以下の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    は、単結合または2価の連結基を表し、*は、主鎖との結合位置を表す。
  2. 前記式(1)で表される構造を側鎖に含む繰り返し単位が、下記式(2)で表される繰り返し単位である、請求項1に記載の高分子化合物。

    ここで、前記式(2)中、
    A、R、R、Rおよびmの定義は、それぞれ、前記式(1)中のA、R、R、Rおよびmの定義と同じである。
    は、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表す。
    は、置換もしくは無置換のフェニレン基、-COO-、-OCO-、-CONH-、-O-、-CO-、および、-CH-からなる群から選択される少なくとも1種の2価の連結基を表す。
    は、単結合または2価の連結基を表す。
  3. 前記式(1)中のAが、ベンゼン環を表す、請求項1に記載の高分子化合物。
  4. 前記式(2)中のXが、単結合、または、-COO-、-OCO-、-CONH-、-O-、-CO-、および、置換もしくは無置換のフェニレン基からなる群から選択される少なくとも1種の2価の連結基を表す、請求項2に記載の高分子化合物。
  5. さらに、下記式(3)で表される繰り返し単位を有する、請求項1に記載の高分子化合物。

    ここで、前記式(3)中、
    は、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表す。
    は、炭素数4~20のアルキル基、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~20のアルキル基、または、-Si(Ra3)(Ra4)O-を含む1価の有機基を表し、Ra3およびRa4は、それぞれ独立に、アルキル基、ハロアルキル基またはアリール基を表す。
    は、-O-、-COO-、-OCO-、-CONH-、2価の脂肪族基、および、これらの組み合わせからなる群から選択される2価の連結基を表す。
  6. 前記式(3)で表される繰り返し単位が、下記式(4)で表される繰り返し単位である、請求項5に記載の高分子化合物。

    ここで、前記式(4)中、
    は、水素原子または炭素数1~20のアルキル基を表す。
    maおよびnaは、それぞれ独立に0~19の整数を表す。ただし、maおよびnaは、合計して0~19の整数を表す。
    Xは、水素原子またはフッ素原子を表す。
  7. 前記式(1)中のRが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、-OCOR、-COOR、カルボキシ基、および、-CORからなる群から選択される、請求項1に記載の高分子化合物。ここで、R、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を表す。
  8. 重量平均分子量が5000~100000である、請求項1に記載の高分子化合物。
  9. 前記式(1)で表される構造を含む繰り返し単位の含有量が5~60質量%である、請求項1に記載の高分子化合物。
  10. 親水性部材と接着させる被接着部材に用いる、請求項1に記載の高分子化合物。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の高分子化合物を含有する、組成物。
  12. さらに、溶媒を含有する、請求項11に記載の組成物。
  13. 請求項1~10のいずれか1項に記載の高分子化合物を含有する、光学フィルム。
  14. 請求項11に記載の組成物の硬化層を有する、光学フィルム。
  15. 請求項13に記載の光学フィルムと、親水性部材とが、接着層を介して貼り合わされている光学積層体。
  16. 請求項14に記載の光学フィルムと、親水性部材とが、接着層を介して貼り合わされている光学積層体。
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