JP2023548997A - 木材アセチル化流体の精製 - Google Patents

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Abstract

木材をアセチル化する処理から回収された利用後のアセチル化流体を精製する方法を開示する。前記方法は、回収されたアセチル化流体を冷却結晶化することを含む。この方法により、テルペン及びテルペノイド不純物が除去されるとともに、他の不純物も除去される。また、アセチル化された木材と酢酸を含む利用後のアセチル化流体とを得て、前記利用後のアセチル化流体を冷却結晶化によって精製する、木材をアセチル化する方法も開示する。

Description

本発明は、例えば、副生成物及び/又は木質系不純物の除去につながる、木材アセチル化プロセスから回収された酢酸の精製に関する。特に、本発明は、前記酸からのテルペン不純物及びテルペノイド不純物の除去に関する。
リグノセルロース材料(以下、木材と称する)のアセチル化は、これらの材料の様々な特性を改善することができるよく知られた方法である。これは、とりわけ、耐久性及び寸法安定性に関係する。
木材のアセチル化プロセスは、一般に、適切なアセチル化条件下で、木材をアセチル化流体と接触させるという共通点がある。背景技術文献は、国際公開第2009/095687号である。ここでは、木材のアセチル化のための方法が記載されており、この方法は、木材を反応圧力容器内のアセチル化液に浸す工程、含浸手順を実施する工程、過剰なアセチル化流体を除去する工程、不活性流体(典型的には窒素ガスであり、不活性流体は、非不活性な無水酢酸及び/又は酢酸を含む可能性がある)を容器内に導入する工程、木材の適切なアセチル化をもたらすために、加熱方式に従って不活性流体を循環及び加熱する工程、並びに循環流体を除去し、アセチル化された木材を冷却させる工程を含む。
アセチル化流体は、一般に、酢酸、無水酢酸、及びそれらの混合物から選択される。木材アセチル化プロセスの後、利用後のアセチル化流体は木材から除去される。これによって、例えば、除去されたアセチル化媒体を再循環させ、木材アセチル化で再使用することで、除去されたアセチル化媒体を無駄にすることを回避することが望まれる。
多くの例では、利用後のアセチル化流体は、酢酸がアセチル化の副生成物として形成されるため、過剰の酢酸を含む。このような酢酸を分離し、これを別に利用するか、化学品として販売するか、及び/又はケテンの製造に使用することが望ましい。
しかし、そのような酢酸の特定の源、すなわち、木材のアセチル化からのものは、木材からテルペン不純物及びテルペノイド不純物が存在することに起因して、それらの更なる使用に固有の制限がある。除去するのが望ましい他の不純物は、典型的には、アセトニトリル並びに酢酸メチル及び酢酸エチルなどの酢酸エステルなどの副生成物を含む。木材アセチル化は、また、利用後のアセチル化流体中の塩化物の存在をもたらし得る。利用後のアセチル化流体中の塩化物濃度は、塩化物含有量、一般にアセチル化前の木材の化学組成の塩化物含有量に依存する。木材中に存在する塩化物不純物のレベルは、また、木材種及び木材の原産地に依存してもよく、例えば、塩化物は、特に沿岸地域で成長した場合に、ラバーウッド(rubberwood)で特に顕著である。
テルペン及びテルペノイドは、天然木材不純物と、天然木材のテルペン及びテルペノイドが木材アセチル化中に受ける熱に起因する変換生成物との両方を含む。
このような不純物、特にテルペン及びテルペノイドは、除去が非常に困難である。これは、特に、制御された方法で所望の高いアセチル化度を得るには、制御された純度のアセチル化流体を使用する必要があるため、アセチル化流体を再循環させる場合に望ましくない。さらに、不純物、特にテルペン及びテルペノイド不純物の存在は、木材アセチル化から回収された酢酸の単独での販売だけでなく、更なる用途を制限する。例えば、前記テルペン不純物及びテルペノイド不純物は、ケテン炉で与えられる高温により、炉内でコークスが形成されやすくなるため、ケテン炉でそれを使用するのは望ましくない。
木材アセチル化から回収された酢酸の精製は、国際公開第2009/120257号で取り上げられている。ここでは、前記不純物を含む酢酸は、水と共に蒸留塔に供給される。このような蒸留に一般に必要とされる量の水の必要な添加は、所望よりも多くの希酢酸を生成するという欠点をもたらす。熱エネルギー消費などの他の点でも、蒸留塔に水を加えることは、プロセスの経済的実現可能性を低下させる。したがって、テルペン及びテルペノイドを水で蒸留することなく除去することが望まれる。
本発明は、一態様では、木材をアセチル化する処理から回収された利用後のアセチル化流体を精製する方法であって、前記回収されたアセチル化流体が酢酸を含み、前記方法は、前記回収されたアセチル化流体を結晶の形成下で酢酸の融点未満に冷却すること、及び前記結晶を前記流体から分離することを含む、方法を提示する。
別の態様では、本発明は、木材をアセチル化する処理から回収された利用後のアセチル化流体から、塩化物、アセトニトリル、酢酸メチル及び酢酸エチルなどの酢酸エステル、テルペン、テルペノイド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を除去するための方法であって、前記回収されたアセチル化流体が酢酸を含み、前記方法は、前記回収されたアセチル化流体を結晶の形成下で酢酸の融点未満に冷却すること、及び前記結晶を前記流体から分離することを含む、方法を提供する。
本発明は、具体的には、さらに別の態様において、リグノセルロース材料をアセチル化する処理から回収された利用後のアセチル化流体から、テルペン、テルペノイド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を除去するための方法であって、前記回収されたアセチル化流体が酢酸を含み、前記方法は、前記回収されたアセチル化流体を結晶の形成下で酢酸の融点未満に冷却すること、及び前記結晶を前記流体から分離することを含む、方法を含む。
さらに別の態様では、本発明は、木材のアセチル化のための方法であって、前記木材を、木材アセチル化条件下で、無水酢酸及び/又は酢酸を含むアセチル化流体と接触させ、アセチル化された木材と酢酸を含む利用後のアセチル化流体とを得ること、及び前記利用後のアセチル化流体を本概要の先行する段落のいずれかに記載の方法によって精製することを含む、方法を提示する。
さらなる態様では、本発明は、酢酸からケテンを製造する際、及び/又は酢酸とケテンから無水酢酸を製造する際の反応物としての、本明細書に記載の精製方法により得られた酢酸の使用、並びに木材のアセチル化及び無水酢酸の製造のための統合された方法を提供する。
本発明は、利用後のアセチル化流体を冷却結晶化に供するための慎重な見識を利用する。これにより、酢酸の融点よりも低い場合だけでなく、酢酸の融点よりも高い場合でもテルペンから精製された酢酸が得られることが見出された。このようなテルペンは結晶化するか、又は酢酸と共結晶化すると予想されるため、この発見は驚くべきものである。また、利用後のアセチル化流体からテルペン不純物及びテルペノイド不純物を除去することが非常に困難であることを考慮すると、共沸蒸留とは異なるさらに別の方法が見出されたことは予想外であった。
予期せぬ更なる発見として、塩化物、アセトニトリル、水、酢酸メチル及び酢酸エチルなどの酢酸エステルからなる群から選択される1つ又は複数の不純物を除去するために、利用後のアセチル化流体の冷却結晶化を適用することが見出された。塩化物は、典型的には、酢酸/無水酢酸分離後に水で急冷した後の酢酸中に存在するイオン性塩化物である。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、検出された塩化物が塩化水素と(一般に加水分解された)塩化アセチルとを含むと考えている。プロセス中の他の塩化物は、安定な有機塩化物と、無水物/酢酸の分離で無水物とともに残る非揮発性塩化物を含み得る。
本発明は、好ましくは、テルペン、テルペノイド、又はそれらの組み合わせである不純物の利用後のアセチル化流体からの除去に関する。テルペンは、樹木を含む様々な植物によって生成される、広く多様な種類の有機化合物である。テルペンは、炭化水素である。テルペノイドは、通常酸素含有の付加的な官能基を含む、変性テルペンである。テルペンは、モノテルペンとオリゴテルペンとして存在する。
テルペンは、分子内のイソプレン単位の数によって分類されてもよく、名称中の接頭語は、分子を組み立てるために必要なテルペン単位の数を示す。ヘミテルペンは、単一のイソプレン単位からなる。ソプレン自体は唯一のヘミテルペンと考えられるが、プレノールやイソ吉草酸などの酸素含有誘導体はヘミテルペノイドである。モノテルペンは、2つのイソプレン単位からなり、分子式C1016を有する。モノテルペン及びモノテルペノイドの例は、ゲラニオール、テルピネオール、リモネン、ミルセン、リナロール、又はピネンを含む。イリドイドはモノテルペンに由来する。セスキテルペンは、3つのイソプレン単位からなり、分子式C1524を有する。セスキテルペン及びセスキテルペノイドの例は、フムレン、ファルネセン、ファルネソールを含む。ジテルペンは、4つのイソプレン単位から構成され、分子式C2032を有する。ジテルペン及びジテルペノイドの例は、カフェストール、カーウェオール、センブレン、及びタキサジエンである。25個の炭素及び5つのイソプレン単位を有するテルペンである、セスタテルペンは、他のサイズに比べて希少である。セスタテルペノイドの例は、ゲラニルファルネソールである。トリテルペンは、6つのイソプレン単位からなり、分子式C3048を有する。セスクアテルペンは、7つのイソプレン単位から構成され、分子式C3556を有する。セスクアテルペノイドの例は、フェルギカジオール(ferrugicadiol)及びテトラプレニルクルクメンである。テトラテルペンは、8つのイソプレン単位を含み、分子式C4064を有する。
好ましくは、本発明の方法は、主な木質系テルペンからアセチル化流体を精製する。このような木質系テルペンは、とりわけ、カンフェン、α-テルピノレン、ミルセン、α-ピネン、β-ピネン、p-シメン、3-カレン、及びリモネンを含む。
本発明の方法は、任意の木材アセチル化処理から回収された利用後のアセチル化流体で実施される。このような木材アセチル化処理は、液相プロセス、気相プロセス、及びこれらの組み合わせを含む。一般に、アセチル化される木材は、アセチル化流体に含浸され、一般に高圧下で、1つ又は複数の加熱工程に供される。アセチル化流体は、酢酸、無水酢酸、又はそれらの組み合わせであり得る。一般に、利用後のアセチル化流体は、木材アセチル化からの副生成物、テルペン及び/又はテルペノイドなどの木材から抽出された成分、並びに余分なアセチル化流体を含む。典型的には、アセチル化流体中に無水酢酸を含む場合、副生成物は酢酸である。余分なアセチル化流体は、一般に無水酢酸、酢酸、又はその両方である。
しばしば、利用後のアセチル化流体として無水酢酸と酢酸との組み合わせを生成するアセチル化プロセスの場合には、まず、酢酸を無水酢酸から分離することが望ましい。これは、一般に蒸留によって行われる。当該技術で言及されているように、このような蒸留は、テルペン及び/又はテルペノイドなどの木材由来不純物が除去されていないか、又は少なくとも十分に除去されていない酢酸をもたらす。
一実施形態では、冷却結晶化される利用後のアセチル化流体において、酢酸に加えて、無水酢酸が存在する。
一実施形態では、利用後のアセチル化流体は、本発明の冷却結晶化方法に供される前に無水酢酸を除去する工程に供されている。無水酢酸の除去は、好適には蒸留によって達成されることが理解される。
本発明の方法は、一般に、当該分野で知られているような最適化されたアセチル化プロセスに従って行われる。好ましいプロセスは、以下の工程を含む:
・木材(無垢材(solid wood)又は木材要素)を提供する工程;
・木材又は木材要素の含水量を制御し、必要に応じて調整する工程;
・木材又は木材要素にアセチル化流体を含浸させる工程;
・木材要素のアセチル化を達成するために、含浸された木材又は木材要素に1つ又は複数の加熱工程を施す工程;
・アセチル化木材又は木材要素を過剰なアセチル化流体から分離する工程。
したがって、本発明は、また、木材のアセチル化のための方法であって、木材を、木材アセチル化条件下で、無水酢酸及び/又は酢酸を含むアセチル化流体と接触させ、アセチル化された木材と酢酸を含む利用後のアセチル化流体とを得ることを含む方法に関する。この方法において、利用後のアセチル化流体は、前述及び後述の実施形態のいずれか1つ又は複数に従って、冷却結晶化方法によって精製される。
アセチル化プロセス自体は、当技術分野で知られているように、液体及び/又は気体のアセチル化流体を使用して行うことができる。典型的なアセチル化流体は、酢酸、無水酢酸、及びそれらの混合物である。好ましくは、使用される初期アセチル化流体は、無水酢酸(アセチル化反応の結果として、酢酸が形成されるため、プロセス中にアセチル化流体の組成が変化する)である。
興味深い実施形態では、アセチル化は、国際公開第2009/095687号、国際公開第2011/95824号、国際公開第2013/117641号、国際公開第2013/139937号、又は国際公開第2016/008995号に記載されているアセチル化プロセスのいずれかに従って実施され、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
アセチル化反応は、一般に、120℃~200℃の温度、例えば160℃~180℃で行われる。アセチル化処理の持続時間は、一般に、30分~3時間の範囲である。当業者は、所与の反応装置及びアセチル化される木材種に応じて、時間及び温度条件を最適化することができる。
本発明の方法において、利用後のアセチル化流体は冷却結晶化される。この目的のために、回収された流体は、利用後のアセチル化流体の融点未満に冷却される。アセチル化流体に無水酢酸の実質的な除去を行った実施形態では、冷却は酢酸の融点未満となる。前記融点は16.6℃であり、冷却は、一般に、この温度より低い温度、例えば、0°から16℃の範囲、例えば10℃から15℃の範囲の温度まで行われる。一般に、より低い温度を適用することができ、アセチル化流体の凝固点が低い場合(例えば、水及び/又は無水酢酸などの低融点化合物が相当量存在する場合)により低い温度を適用する。当業者は、利用後のアセチル化流体などの任意の流体の凝固点を困難なく決定することができる。
本発明の冷却結晶化方法を実施する際には、結晶化後に残存する液体、すなわち母液を、結晶化の各ラウンドの後に廃棄するのではなく、再循環させることが好ましい。これにより、再循環された流体は、新鮮な回収されたアセチル化流体で補充される。これは、廃棄物を減少させる利点を有し、プロセスをより経済的にする。好ましい実施形態では、このような母液は、少なくとも20回、例えば少なくとも50回、例えば20~200回、好ましくは50~100回再循環される。このような再循環の際、酢酸の繰り返し結晶化の結果として、酢酸以外の存在する可能性のある液体の濃度が増加する。例えば、新鮮な回収されたアセチル化流体中に水が0.1%存在する場合、再循環された母液において60回再循環した後、5%超上昇する。
実際には、水は、酢酸中の他の不純物と比べて比較的高い含有量で存在する不純物とみなすことができ、母液中に蓄積する(凍結しない他の全ての分子と同様)。このような新鮮な回収されたアセチル化流体と再循環母液との混合は、利用後のアセチル化流体のための回収容器からバッチ式に起こり得る。結晶化プロセスは、好ましくは、連続プロセスとして実施される。これにより、新鮮な回収された利用後のアセチル化流体は、依然としてバッチで、又は連続供給として添加することができる。
追加の液体は、典型的には無水酢酸又は水である。前者は、アセチル化流体の元の組成の結果として存在し、その量は、利用後のアセチル化流体を本発明の結晶化方法に供する前に、そのような無水物が任意に除去される程度に依存する。木材アセチル化流体として使用される酢酸及び/又は無水酢酸の濃度に応じて、水が存在し得る。水は、無水物を急冷するために添加することができる。これにより、結晶化装置における腐食の危険性が低減されるが、これは、このような急冷が、効果的に無水物を除去して、得られた処理液(結晶化に送られる利用後のアセチル化液体)をより腐食性が低いものにするためである。本発明の方法は、有利には、利用後のアセチル化流体中に存在する無水酢酸及び/又は水の量が増加したような状況下でも機能する。これは、特に水が存在する場合に、そのような追加の液体が存在する結果として酢酸の凝固点(又は、別の言い方をすれば融点)が低下することを考慮すると、予測できなかったことである。例えば、10%の水が存在する場合、酢酸の凝固点は、16℃から5℃まで低下する。
冷却は、結晶を形成するのに適した任意の容器又は管で行うことができる。当業者は、掻面型晶析装置(scraped-wall crystalliser)などの適切な設備に精通している。本方法を実施するためには、結晶化装置は冷却を可能にすることが理解される。典型的には、形成された結晶は、一般に洗浄カラムにおいて洗浄され、例えば、融解結晶化中に典型的に残存する母液の液膜を除去する。当業者は、結晶化装置の操作方法に精通している。
結晶化をもたらすために、特別な手段をとる必要はない。所望であれば、結晶化の開始を助けるために、例えば、10重量%未満、5重量%未満、例えば1重量%~3重量%などの少量の適切な混入物質(例えば、水又は無水酢酸)を添加することによって、プロセスを補助することができる。当業者は、結晶化の発生を容易にする技術、例えばスパチュラで晶析装置の壁を引っ掻くことなどを認識するであろう。
酢酸の種晶を1つ又は複数存在させることにより、結晶化を促進することが有利であり得る。そのような種晶は、流体の温度が酢酸の融点付近又はそれを下回るときに流体に加えることができる。種晶は、一般に、事前に得て保管される。有利には、種晶は本発明の方法においてin situで得ることもできる。
興味深い実施形態では、結晶化は2段階で行われる。これにより、第1工程では、回収されたアセチル化流体を結晶形成下で酢酸の融点未満に冷却する。この工程は、種晶の有無にかかわらず、上記のように行うことができる。次に、第2工程では、一般に残留原料液の膜を洗い落とした後に、得られた結晶の第1の部分を融解させて酢酸融解物を得る。全ての結晶が融解するわけではないため、その第2の部分が保持される。酢酸融解物は再循環され、酢酸の融点未満に再び冷却される。この冷却は保持された結晶の少なくとも一部の存在下で行われ、したがって、第2の結晶化工程は種の存在下で行われる。再循環された融解物は、そのまま冷却されるか、又は木材アセチル化プロセス(同じプロセスランから、又はその異なるランから、又は、例えば、複数のアセチル化反応器が並列に動作する場合には、異なるプロセスから)から回収されたさらなる量の利用後のアセチル化流体と組み合わせた後に冷却されることができる。前記プロセスは、複数の洗浄及び再結晶工程を提供するように繰り返すことができ、一般にさらなる純度をもたらす。
2段階の実施形態では、前記第1の部分(すなわち、再融解される結晶)は、一般に第1工程で形成された結晶の50%超を含む。好ましくは、前記第1の部分は、第1工程で形成された結晶の60%~99%、より好ましくはその85%~95%を含む。所望であれば、任意の3段目及び以降の段階を実施でき、第2工程の結晶化後に、その時形成された結晶の一部を再び再融解させることができ、上記の処理を継続することができる。したがって、本発明の精製プロセスを伴う木材アセチル化及びアセチル化流体の回収は、連続的又は半連続的操作であり得る。
別の興味深い実施形態では、種晶は、貯蔵から提供されるなどして別個に添加され、結晶化される同じアセチル化流体から得られる再融解結晶を必要としない。本実施形態の利点は、連続プロセスでの結晶化の実施をより容易にすることである。連続プロセスも有利には再融解及び再結晶化を含んでもよいことが理解される。
また、上記実施形態の組み合わせも考えられる。これにより、いずれの段階においても、種晶は、貯蔵から選択されるか、又はin situ結晶形成から選択されることができる。例えば、第1段階の種晶は、貯蔵から提供することができ、1つ又は複数の後続の段階では、種晶は、形成された結晶の一部を再融解から除外することによって得られる。
アセチル化される木材は、木材要素又は無垢材の形態であり、また、ベニヤ板も含む。木材要素は、好ましくは、木材チップ、木材ストランド、木材粒子であることができる。木材は、好ましくは、典型的にはトウヒ、マツ又はモミである針葉樹などのソフトウッドなどの非耐久性木材種、又はラバーウッドなどの非耐久性ハードウッドに属する。適切な種類の木材の非限定的な例は、トウヒ、シトカストウヒ、カイガンショウ、スコットパイン、ラジアータパイン、ユーカリ、レッドアルダー、ヨーロッパアルダー、ブナ、カバノキ、ロブロリーパイン、ロッジポールパイン、ピッチパイン、アカマツ、サザンイエローパイン、ジャパニーズシーダー(スギ)、及びヘムロックである。ヤシなどの単子葉植物、及びキリ、ラバーウッド、チーク、カエデ、オーク、ホワイトオークなどの他のハードウッドも適している。
典型的には、アセチル化される木材は木材パルプではない。特に、木材アセチル化プロセスは、パルプなどの木質系出発材料が、セルロース系出発材料からナノセルロースを製造するなどの、新たな材料及び/又は形状の形成を伴う化学反応を受けるプロセスと区別される。本質的に、木材アセチル化プロセスは、木材(無垢材、ベニヤ板、木材要素)をその元の形状に保持し、木材をアセチル化された状態にする程度に変化させるだけである。特に、ナノセルロースの場合以外には、アセチル化木材は、セルロース以外にもヘミセルロース、及び特にリグニンを含む。木材をアセチル化する効果は、これらの木材成分をアセチル化し、アセチル化セルロース、アセチル化ヘミセルロース、アセチル化リグニンの存在をもたらす。
アセチル化された木材要素の典型的な寸法を以下の表に示す。
いくつかの実施形態では、木材要素は、長さ1.0~75mm、幅0.05~75mm、及び厚さ0.05~15mmを有する。
代替的な実施形態では、木材は、無垢材又は木材のベニヤ板であり、好ましくは、少なくとも8cmの長さ又は幅を有する。厚さは、好ましくは少なくとも1mmである。いくつかの実施形態では、木材は、幅2cm~30cm、厚さ2cm~16cm、及び長さ1.5~6.0mを有する。他の実施形態では、木材は、厚さが少なくとも1mm、幅が20cm~2.5m、及び長さが20cm~6mである。
要するに、本開示は、木材のアセチル化プロセスから回収された利用後のアセチル化流体の精製方法を提供する。前記方法は、回収されたアセチル化流体を冷却結晶化することを含む。この方法により、テルペン及びテルペノイド不純物が除去され、他の不純物も除去される。また、アセチル化された木材と酢酸を含む利用後のアセチル化流体とを得て、前記利用後のアセチル化流体を冷却結晶化によって精製する、木材をアセチル化する方法も開示されている。
前述の精製方法から得られた生成物は、精製された酢酸であることが理解される。この得られた精製酢酸は、別個の使用に供することができ、化学品として販売されることができ、特に、無水酢酸、ケテン、又はより一般的にアセチル化剤、アセチル化剤構成成分、アセチル化流体の中間体又は成分の製造に使用することができる。
当業者は、酢酸からケテンを製造する方法、並びに酢酸及びケテンから無水酢酸を製造する方法に十分に精通している。ケテン製造プロセスは、一般に、酢酸を加熱して脱水することを含む。これは、典型的には、例えば700℃~750℃の範囲の温度で操作される、ケテン炉で起こる。無水酢酸は、ケテンを酢酸と反応させることによって、発熱反応で形成することができる。本発明は、本開示で提示された精製方法によって得られた酢酸の使用を含み、全ての実施形態において、酢酸からケテンを製造する際の反応物として、酢酸及びケテンから無水酢酸を製造する際の反応物として、又は両方における反応物として使用することを含む。無水酢酸の製造に使用されるケテンは、他から供給することができるが、好ましくは、無水酢酸製造プロセスに組み合わせられているケテン製造プロセスで得られる。より好ましくは、ケテン製造プロセス及び無水酢酸プロセスのいずれか又は両方は、本明細書に記載の結晶化方法に従ってアセチル化流体が回収及び精製される木材アセチル化プロセスに組み合わせられている。この組み合わせは、得られた精製酢酸がケテン製造プロセス及び無水酢酸製造プロセスのいずれか又は両方に導かれるようなものである。これは、例えば、国際公開第2016/09060号における図1の一般的なプロセススキームに従って達成することができる。これは、木材アセチル化から回収された利用後のアセチル化流体中の無水酢酸から分離された(ACA/ANH分離)後に得られる酢酸を、ケテン炉(分解炉)及び無水酢酸製造用反応器(ANH反応)のいずれか又は両方に送ることを含む。本発明のこの実施形態では、前述のような冷却結晶化プロセスは、ACA/ANH分離の下流であって、分解炉及びANH反応の両方の上流で実施される。好ましくは、これは、木材のアセチル化及び無水酢酸の製造のための統合プロセスを可能にする。その中で、木材のアセチル化のための方法は、木材アセチル化条件下で、無水酢酸及び/又は酢酸を含むアセチル化流体と木材とを接触させることを含む。この結果、アセチル化された木材と酢酸を含む利用後のアセチル化流体とが得られ、これにより、前記方法は、すべての実施形態において、実質的に前述したように冷却結晶化によって、利用後のアセチル化流体を精製することを含む。本発明の結晶化プロセスは、精製された酢酸を得ることにつながり、精製された酢酸は、新鮮な酢酸と混合されてもよく、前述のようにケテン及び無水酢酸の製造に使用される。次いで、製造された無水物は、木材のアセチル化のための前記方法におけるアセチル化流体として、又はその成分として、さらに使用することができる。
組み合わせられている方法の変形が十分に可能であることは理解されるであろう。例えば、精製された酢酸はケテンの製造に使用することができ、一方、無水酢酸の製造は新鮮な酢酸を使用するか、又はその逆で使用することができる。又は、例えば、生成された無水酢酸は、木材のアセチル化では使用されず、統合されたプロセスの外で使用又は販売される。これら及び他の変形は、当業者には明らかであろう。
得られた精製酢酸の他の用途は、ポリ(酢酸ビニル)及び他のポリマーに重合される酢酸ビニルモノマーの製造用であり、インク、塗料、及びコーティングにおける溶媒として使用されるエステルの製造用、並びに食品用途のためである。
本発明は、以下の非限定的な例を参照して示される。
別段の記載がない限り、すべての百万分率(ppm)、百分率(%)、及び比率値は、それぞれ、キログラム当たりのミリグラム、重量パーセント、及び重量比の値に対応する。これらの実施例に記載されている全ての溶液の密度は等しいと考える。
別段の記載がない限り、本明細書に開示される実験は、Accoya(登録商標)木材を製造する工業用木材アセチル化プラントの利用後のアセチル化流体を蒸留して製造された不純な酸を用いて実施した。この不純酢酸は、無水酢酸を約1%、いくつかのテルペンを10未満から100ppm超の範囲の濃度で、酢酸メチルを約1,000ppm、及び酢酸エチルとアセトニトリルとを約50ppm含んでいた。不純物は、テルペン、テルペノイド、酢酸エステル、アセトニトリル、又はそれらの組み合わせとして理解される。
不純酢酸は、主成分としての酢酸と本発明により除去される不純物とを含む溶液として理解される。
別段の記載がない限り、無水酢酸を含む不純酢酸に水を加えた場合には、無水酢酸の加水分解が完了するのに十分な時間を保持した。
有機不純物中の濃度を特定するために、不純酢酸、精製された酢酸、及び母液をガスクロマトグラフィーで分析した。塩化物中の濃度を特定するために、急冷された不純酢酸、急冷された精製酢酸、及び急冷された母液を銀滴定で分析することができる。結果は、元の不純酢酸中の濃度のppm及び%で与えられる。実験的及び分析的精度は、各不純物の質量バランスコントロールで評価した。
別段の記載がない限り、実験的結晶化セットアップは、循環冷却器を備えたジャケットを有する管状晶析装置から構成されていた。蠕動ポンプを使用して、管の内部を通して酢酸を連続的に再循環させた。結晶化の開始前に、晶析装置内の滞留時間を測定すると、1.5分であった。冷却ジャケット内の温度がすべての点で均一になるような流量で、冷却水を管のジャケットを通して圧送した。結晶化セットアップから出た酢酸の温度が1分間に1℃を超えて変化しなかった場合には、温度平衡に達したと見なした。
別段の記載がない限り、生成された結晶は、融解前に、室温で最小量の氷酢酸で洗浄した。
実施例では、以下の不純物が言及されている。
3C=3-カレン
αP=α-ピネン
βP=β-ピネン
αTA=α-酢酸テルピニル
fen=フェンコン
lim=リモネン
cym=p-シメン
cam=カンフェン
ACN=アセトニトリル
EAc=酢酸エチル
MAc=酢酸メチル
αT=α-テルピネン
[実施例1]
実験は、Accoya(登録商標)アセチル化無垢材を製造する工業的木材アセチル化プラントから得られた利用後のアセチル化流体から蒸留して得られた酢酸を用いて実施した。
実験に先立って、不純物の量を特定するために、酢酸のサンプルをガスクロマトグラフィーカラムで分析した。
実験セットアップは、ジャケットを有するガラス管からなる。管の内部を通して酢酸を連続的に再循環させた。冷水(14℃)を、管のジャケットに圧送し、その後排出した。2つの回転ポンプを用いたが、一つは閉ループに酢酸を再循環させ、別の1つはジャケットに冷水を圧送した。
結晶化を起こすために、30~40分間冷却した後、酢酸ループを停止し、管の底部を閉じた。温度計を管の上部にそっと挿入すると、動きが生じ、システム内のサーフェイスが増加した。これにより、管全体でほぼ瞬時に酢酸が結晶化した。
次に、酢酸を約90%(目視による判断)融解し、結晶の約10%を残して、その後の結晶化のための種とした。前記融解後、再び酢酸ループを開始した。この時、結晶化は著しく遅く、管の壁及び内部の大部分は酢酸結晶に覆われていた。
平均的に不純物(主にテルペン)は、40%~50%程度除去された。この除去は、例えば、テルペンの融点に関係なく、特定された全てのテルペン不純物について一貫していた。カンフェン(凝固点50℃~51℃)など、酢酸よりも凝固点が高いテルペンが除去されることは予想外である。これは、水及び/又は無水物が存在する結果、酢酸の融点が実際に低下する実施形態にも当てはまる。例えば、テルペン フェンコン(融点6℃)は、水の不在下でも存在下でも、酢酸から効果的に除去される。
精製された酢酸で結晶を洗浄することにより、不純物の除去が大幅に改善される。さらに、洗浄した酢酸結晶を再溶解して再結晶することにより、改善された除去率が得られる。
[実施例2]
結晶化セットアップにおいて、Baで標識された不純酢酸100mLを循環させた。冷却水は13.0℃とした。酸及び冷水を温度平衡に達するまで循環させた。その後、50mgの結晶酢酸種をセットアップの結晶化ゾーンに配置し、不純酢酸の結晶化を起こした。15分後、Bbで標識された母液をセットアップから排出した。77mLの母液を回収した。セットアップの冷却を停止し、結晶を融解して、Bdで標識された精製酢酸18mLを得た。
分析結果は、全ての不純物について母液での増加及び精製酢酸での減少を示した。ppm濃度及び初期不純酢酸に対する濃度は、それぞれ表2及び表3に示される。
[実施例3]
この例では、酢酸の精製は、比較的多量の不純物(例えば、再循環を繰り返すと生じる)の存在下で行われる。この目的のために、80mLの不純酢酸は、工業グレードのリモネン、3-カレン、α-ピネン、カンフェン、パラ-シメン、β-ピネン、及び酢酸メチルによってさらに汚染した。生成された非常に不純な酢酸は、Caと標識した。
Caを結晶化セットアップ内で循環させた。冷却水を14.0℃とした。酸及び冷水を温度平衡に達するまで循環させた。その後、50mgの結晶酢酸種をセットアップの結晶化ゾーンに配置し、非常に不純な酢酸の結晶化を起こした。1時間後、Cbで標識された母液をセットアップから排出した。73mLの母液を回収した。セットアップの冷却を停止し、結晶を融解して、Cdで標識された精製酢酸10mLを得た。
分析結果は、ほぼ全ての不純物について母液での増加及び全ての不純物について精製酢酸での減少を示す。ppm濃度及び初期不純酢酸に対する濃度は、それぞれ表4及び表5に示される。
[実施例4]
結晶化セットアップにおいて、Daで標識された不純酢酸95mL及び水5mLからなる混合物を循環させた。冷却水は7.0℃とした。混合物Da及び冷水を温度平衡に達するまで循環させた。その後、50mgの結晶酢酸種をセットアップの結晶化ゾーンに配置し、不純酢酸の結晶化を起こした。冷却水は5.0℃とした。20分後、Dbで標識された母液をセットアップから排出した。88mLの母液を回収した。セットアップの冷却を停止し、結晶を融解して、Ddで標識された精製酢酸12mLを得た。
分析結果は、ほとんどの不純物について母液での増加及び全ての不純物について精製酢酸での減少を示す。ppm濃度及び初期不純酢酸に対する濃度は、それぞれ表6及び表7に示される。

Claims (20)

  1. 木材をアセチル化する処理から回収された利用後のアセチル化流体を精製する方法であって、前記回収されたアセチル化流体が酢酸を含み、前記方法は、前記回収されたアセチル化流体を結晶の形成下で酢酸の融点未満に冷却すること、及び前記結晶を前記流体から分離することを含む、方法。
  2. 塩化物、アセトニトリル、酢酸メチル及び酢酸エチルなどの酢酸エステル、テルペン、テルペノイド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される不純物を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記木材が、無垢材(solid wood)、ベニヤ板、及び木材要素からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記木材をアセチル化する処理が、前記木材を、無水酢酸を含むアセチル化流体、好ましくは無水酢酸からなるアセチル化流体に供することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記回収されたアセチル化流体を、酢酸の1つ又は複数の種晶の存在下で冷却することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. (a)前記回収されたアセチル化流体を結晶の形成下で酢酸の融点未満に冷却する工程;
    (b)前記結晶の第1の部分を融解させて酢酸融解物を得て、前記結晶の第2の部分を保持する工程;
    (c)前記酢酸融解物を再循環させる工程;
    (d)前記融解物を、前記保持された結晶の少なくとも一部の存在下で、酢酸の融点未満に冷却する工程;
    を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記第1の部分が、前記工程(a)で形成された結晶の60%~99%、好ましくは85%~95%を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 種晶を別々に添加することを含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記回収されたアセチル化流体が、無水酢酸及び酢酸を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記流体が冷却される前に、前記回収されたアセチル化流体を蒸留などによる無水酢酸の除去に供することを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記冷却が、酢酸の融点未満の温度まで行われる、請求項10に記載の方法。
  12. 前記冷却が、0°~16℃、好ましくは10℃~15℃の範囲の温度まで行われる、請求項11に記載の方法。
  13. 前記形成された結晶を洗浄することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 複数の後続の融解工程及び再結晶化工程を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記結晶を分離した後に残った前記流体を再循環させ、再び冷却工程及び結晶化工程を実施し、前記再循環は20~200回、好ましくは50~100回行う、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 木材のアセチル化のための方法であって、前記木材を、木材アセチル化条件下で、無水酢酸及び/又は酢酸を含むアセチル化流体と接触させ、アセチル化された木材と酢酸を含む利用後のアセチル化流体とを得ること、及び前記利用後のアセチル化流体を請求項1~15のいずれか1項に記載の方法によって精製すること、を含む方法。
  17. 酢酸を脱水してケテンを製造する際の酢酸反応物としての、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法により得られた精製酢酸の使用。
  18. 酢酸をケテンと反応させて無水酢酸を製造する際の酢酸反応物としての、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法により得られた精製酢酸の使用。
  19. 前記製造されたケテンが前記無水酢酸の製造における反応物として使用されるように、前記ケテンの製造と前記無水酢酸の製造とが組み合わせられている方法における、請求項17又は18に記載の使用であって、別の供給源からの酢酸と混合されていてもよい前記精製された酢酸が、前記ケテンの製造、前記無水酢酸の製造、又はその両方において、用いられる、使用。
  20. 木材のアセチル化及び無水酢酸の製造のための統合された方法であって、前記木材のアセチル化のための方法が、請求項16に記載の方法であり、これにより、精製された酢酸が得られ、新鮮な酢酸と混合されていてもよい前記精製された酢酸が、請求項19に記載のケテン及び無水酢酸の製造に使用され、これにより得られた無水酢酸が、木材のアセチル化のための前記方法で使用される前記アセチル化流体に提供される、方法。
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