JP2023547633A - 脂肪肝の治療及び/又は予防のためのメチルシクロデキストリンを含む組成物 - Google Patents

脂肪肝の治療及び/又は予防のためのメチルシクロデキストリンを含む組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、脂肪肝及び関連する疾患の治療及び/又は予防における少なくとも1種のメチルシクロデキストリンを含む医薬組成物の新規な使用に関する。本発明はまた、肝臓における脂質の蓄積を減少させるためのメチルシクロデキストリンの使用に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、個体の肝臓における脂質の貯蔵を減少させるための医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は、脂肪肝及び脂肪肝に関連する疾患又は病状の治療及び/又は予防における医薬組成物の使用に関する。
非アルコール性ステアトパチー(非アルコール性脂肪肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease)又はNAFLD)は、アルコールの過剰摂取がない場合の肝臓内脂肪の異常な蓄積を特徴とする。
NAFLDは、以下の2つの主要なエンティティ:単独の、又は最小の小葉炎症を伴う脂肪肝(非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver)又はNAFL)と非アルコール性脂肪性肝炎((non-alcoholic steatohepatitis)又はNASH)とに区別することができる広い範囲の肝臓の病態を包含する。NASHは、小葉炎症及び肝細胞のバルーニングを伴う脂肪肝の存在によって定義される。それは、肝実質における線維症の蓄積を促進し、肝硬変及びその合併症(肝不全、腹水、静脈瘤破裂、肝細胞癌)に進行する疾患の攻撃的形態に相当する。
NAFLD及びNASHの社会的及び医療的ケアの影響は非常に大きく、常に増え続けている。米国の人口の約30%がNAFLDに罹患していると推定されている。米国においてNASHの有病率は8%である。
NAFLD及びその重症度の素因となるいくつかの遺伝因子が同定されている。NAFLDは代謝異常及びインスリン抵抗性の状況で発生する。メタボリックシンドロームの基準(ウエストサイズ、動脈圧、空腹時グルコースレベル、トリグリセリド、HDL-コレステロール)の累積及びインスリン抵抗性の程度は、NAFLDの有病率及びその重症度(NASH、線維症)の増悪に関連する。
環境因子(バランスの悪い食事、スポーツ活動の欠如)もまた重要な危険因子である。
NAFLDは一般にゆっくりと進行する疾患であるが、その自然経過は依然としてほとんど分かっていない。NASHはこの疾患の攻撃的形態であり、単にNAFLを有する患者と比較して、NASHを有する患者では、線維症の進行速度がより速く、より肝硬変になりやすく、肝合併症の発症がより多く、死亡率がより高い。
この疾患の発症に関与するメカニズムには、肝臓における脂質の蓄積、それに続く炎症及び瘢痕化のプロセスが含まれる。最も進行した段階(肝硬変)では、肝組織は徐々に瘢痕組織に置き換わる。
現在までに考えられている治療は不十分であり、ほとんどの場合、病理学的プロセスの下流で作用する。例えば、炎症を引き起こす細胞死プロセスに作用するカスパーゼ又はASK1阻害剤を挙げることができる。
最後に、肝臓における脂質の蓄積を制限するために上流で作用することができる医薬品市場にはまだ薬剤が存在しない。さらに、脂肪肝及び脂肪肝に関連する疾患又は病状を制御することができる薬物が常に必要とされている。
メチルシクロデキストリンをベースとした医薬組成物が、肝臓における脂質の貯蔵を減少させることができ、したがって脂肪肝の治療及び/又は予防に有用であることを発見したことは、本出願人の功績である。
したがって、本発明は、脂肪肝及び脂肪肝に関連する疾患の治療及び/又は予防に使用するための少なくとも1種のメチルシクロデキストリンを含む医薬組成物に関する。
本発明はまた、脂肪肝の治療及び/又は予防に使用するための医薬の製造のためのメチルシクロデキストリンの使用に関する。
さらに、本発明は、治療上有効な量のメチルシクロデキストリンを患者に投与することを含む脂肪肝を治療及び/又は予防する方法を提供する。
本発明者らは、脂肪肝及び脂肪肝に関連する疾患の治療及び/又は予防における少なくとも1種のメチルシクロデキストリンを含む医薬組成物の新規な用途を特定した。
本発明の意味において、「脂肪肝」という用語は、アルコールの過剰摂取に関連するアルコール性脂肪肝、及び非アルコール性脂肪肝の両方を包含する。好ましくは、それは非アルコール性脂肪肝を含む。
「非アルコール性脂肪肝」という用語は、肝臓が罹患し、脂質の過剰な蓄積を特徴とする病状の進展の全ての段階を包含する。それは、非アルコール性脂肪肝(「非アルコール性脂肪肝疾患」を表すNAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であってもよい。
本発明はまた、急性又は慢性の肝炎、肝線維症、腹部肥満、肝不全及び肝硬変などの脂肪肝に関連する疾患又は病状の治療及び/又は予防に関する。
本発明の一実施形態において、脂肪肝に関連する疾患は糖尿病ではない。
シクロデキストリンは、デンプンの酵素分解に由来する環状オリゴ糖である。3つの最も一般的な天然シクロデキストリンは、α-1,4結合によって互いに連結された椅子型立体配置の6、7、又は8個のα-D-グルコピラノースユニットからなる。それらは、より一般的には、それぞれα、β、又はγシクロデキストリンと呼ばれる。それらの三次元構造は、円錐台の形態であり、その外側は、シクロデキストリンの高度に親水性の部分であるヒドロキシル基である。シクロデキストリンの円錐又は空洞の内部は、C3及びC5炭素に結合した水素原子、並びにグリコシド結合に関与する酸素原子からなり、したがって、それらに非極性の特性を与える。親水性の外側部分と疎水性の空洞を有するシクロデキストリンは、一般に、疎水性化合物をカプセル化するそれらの能力のために、したがって、疎水性の活性成分の保護剤及び可溶化剤としてのそれらの役割のために使用される。それらは典型的には食品産業において見られるが、経口投与される医薬製剤又は局所投与される化粧品製剤における賦形剤として使用される医薬の形態においても見られる。
天然シクロデキストリンの水溶性を改善するために、ヒドロキシル官能基上に様々な基をグラフトすることによって多くの誘導体が合成された。すなわち、シクロデキストリンのグルコピラノースユニットはそれぞれ、C2、C3及びC6炭素上に結合した3つの反応性ヒドロキシル基を含む。
誘導体の例としては、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、メチルシクロデキストリン及びシクロデキストリンの「硫酸化」誘導体が挙げられる。
本出願人は、驚くべきことに、メチルシクロデキストリンが脂肪肝の治療及び/又は予防にも使用できることを実証した。さらに驚くべきことに、本出願人は、メチルシクロデキストリン、より具体的には0.05~1.5のモル置換値を有するメチルシクロデキストリンが、肝臓における脂質の蓄積を減少させるために、他のシクロデキストリン誘導体よりもさらに有効であることを発見した。
さらに、本出願人は、0.05~1.5のモル置換値を有するメチルシクロデキストリンがコレステロールの除去の増加を促進できることを実証した。
「モル置換値(MS)」という用語は、各グルコピラノースユニットの、特にメチル基によって置換されたヒドロキシルの数を意味すると理解される。モル置換値(MS)は、シクロデキストリン1分子当たりのメチル基によって置換されたヒドロキシルの数に対応するものである、したがってメチルシクロデキストリンを構成するグルコピラノースユニットの数を考慮に入れたものである分子置換度(DS)とは異なることに留意する。
本発明において、MSは、プロトン核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance、NMR)によって、又は質量分析(エレクトロスプレーイオン化質量分析(electrospray ionization mass spectrometry、ESI-MS)若しくはマトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry、MALDI-MS))によって決定することができる。これらの技術は当業者に公知であるが、本発明のメチルシクロデキストリンを決定するための最適条件は、http://tel.archives-ouvertes.fr/docs/00/18/55/42/PDF/jacquet.pdf(2013年11月27日にアクセス)で入手できるRomain JACQUETの参照論文:”Hydrophilic cyclodextrins:characterization and study of their enantioselective and complexing properties.Use of liquid chromatography and mass spectrometry”Thesis in Chemistry and Physicochemistry of Compounds of Biological Interest.University of Orleans,2006,”の特に第2章、パートB(59~83頁)に特によく記載されている。
好ましくは、MSは、以下の方法に従ってNMRによって決定され、すなわち、測定はDPX 250MHz Advance型装置(Bruker,Rheinstetten,ドイツ)で25℃で行う。キャリブレーションはD2Oシグナルを用いて行う。本発明のメチルシクロデキストリン及び天然(すなわち、非メチル化)シクロデキストリンの試料を、0.75mLのD2O中5mgの濃度で調製する。溶液を窒素流下で蒸発させて乾固し、次いで0.75mLのD2O中で再構成する。この操作を2回繰り返して、ヒドロキシル官能基のプロトン全ての交換を確実にする。
本発明で使用されるメチルシクロデキストリンは、純粋な生成物に相当し得るが、一般には、異なる構造のメチルシクロデキストリンの混合物に相当することに留意すべきである。これは、例えば、特に、前述のRomain JACQUETの論文、特に第2章、パートB(59~83頁)で決定されるような物理的/化学的特性を有する本出願人が所有する製品KLEPTOSE(登録商標)Crysmebの場合である。
結果として、この場合の測定されたMSは、メチルシクロデキストリンの混合物全体の全てのグルコピラノースユニットで生じる置換の平均である。
この混合物は、特に、残存する天然の、すなわちメチル化されていないシクロデキストリンを含有し得るが、一般に無視できる量、特にメチルシクロデキストリンの総乾燥重量に対して乾燥重量で1%未満、好ましくは0.5%未満、さらにより優先的には0.1%未満の量で含有し得る。
本発明の文脈において、組成物は、0.05~1.5のモル置換値を有する少なくとも1種のメチルシクロデキストリンを含む。有利には、メチルシクロデキストリンは、0.1~1.4、優先的には0.1~1.3、優先的には0.2~1.2、優先的には0.3~1.1、優先的には0.3~1、優先的には0.5~0.9、優先的には0.6~0.8、例えば0.7、特に0.67のMSを有する。例えば、メチルシクロデキストリンは、0.10~1.40、0.10~1.30、0.10~1.20、0.15~1.40、0.15~1.30、0.15~1.20、0.20~1.40、0.20~1.30、0.20~1.20、0.20~1.10、0.25~1.40、0.25~1.30、0.25~1.20、0.25~1.10、0.15~0.90、0.15~0.80、0.25~1.00、0.25~0.90、0.25~0.80、0.30~1.40、0.30~1.30、0.30~1.20、0.30~1.00、0.50~0.90、0.60~0.80のMSを有してもよい。
好ましくは、本発明の文脈で使用されるメチルシクロデキストリンのメチル基の少なくとも50%、好ましくは60~80%、典型的には約75%が、グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシルに位置する。
同時に、他のメチル基は、一般に、グルコピラノースユニットのC3及び/又はC6炭素に結合したヒドロキシルに主に位置する。
当業者には、メチルシクロデキストリンのグルコピラノースユニットのヒドロキシル上のメチル基の分布を、例えばNMRによって決定する方法が知られている。
有利には、本発明の文脈で使用されるメチルシクロデキストリンは、7個のα-D-グルコピラノースユニットを含む。したがって、それはメチル-β-シクロデキストリンである。
特定の実施形態において、メチルシクロデキストリンはメチル-β-シクロデキストリンであり、0.05~1.5、優先的には0.1~1.4、優先的には0.1~1.3、優先的には0.2~1.2、優先的には0.3~1.1、優先的には0.4~1、優先的には0.5~0.9、優先的には0.6~0.8、例えば0.7、特に0.67のMSを有する。例えば、メチルシクロデキストリンは、0.10~1.40、0.10~1.30、0.10~1.20、0.15~1.40、0.15~1.30、0.15~1.20、0.20~1.40、0.20~1.30、0.20~1.20、0.20~1.10、0.25~1.40、0.25~1.30、0.25~1.20、0.25~1.10、0.25~1.00、0.25~0.90、0.25~0.80、0.30~1.40、0.30~1.30、0.30~1.20、0.30~1.00、0.50~0.90、0.60~0.80のMSを有してもよい。
メチルシクロデキストリンは、グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシル上で、又はグルコピラノースユニットのC3及び/若しくはC6炭素に結合したヒドロキシル上で、又はグルコピラノースユニットのC2、C3及び/若しくはC6炭素、好ましくはC2及びC6炭素の組合せに結合したヒドロキシル上で置換されていてもよい。
別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリンは、1種のメチルシクロデキストリン、好ましくはメチル-β-シクロデキストリンであり、そのメチル基の少なくとも50%、優先的には60~80%、典型的には約75%が、グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシルに位置し、0.05~1.5、優先的には0.1~1.4、優先的には0.1~1.3、優先的には0.2~1.2、優先的には0.3~1.1、優先的には0.4~1、優先的には0.5~0.9、優先的には0.6~0.8、例えば0.7、特に0.67のMSを有する。例えば、メチルシクロデキストリンは、0.10~1.40、0.10~1.30、0.10~1.20、0.15~1.40、0.15~1.30、0.15~1.20、0.20~1.40、0.20~1.30、0.20~1.20、0.20~1.10、0.25~1.40、0.25~1.30、0.25~1.20、0.25~1.10、0.25~1.00、0.25~0.90、0.25~0.80、0.30~1.40、0.30~1.30、0.30~1.20、0.30~1.00、0.50~0.90、0.60~0.80のMSを有してもよい。
好ましい実施形態において、メチルシクロデキストリン組成物は、グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシル上で置換されたメチル-β-シクロデキストリン、グルコピラノースユニットのC3及び/又はC6炭素に結合したヒドロキシル上で置換されたメチル-β-シクロデキストリン、グルコピラノースユニットのC2、C3及び/又はC6炭素、好ましくはC2及びC6炭素に結合したヒドロキシル上で置換されたメチル-β-シクロデキストリンからなる群から選択され、0.05~1.5、優先的には0.1~1.4、優先的には0.1~1.3、優先的には0.2~1.2、優先的には0.3~1.1、優先的には0.4~1、優先的には0.5~0.9、優先的には0.6~0.8、例えば0.7、特に0.67のMSを有する、1種以上のメチル-β-シクロデキストリンを含む。例えば、メチルシクロデキストリンは、0.10~1.40、0.10~1.30、0.10~1.20、0.15~1.40、0.15~1.30、0.15~1.20、0.20~1.40、0.20~1.30、0.20~1.20、0.20~1.10、0.25~1.40、0.25~1.30、0.25~1.20、0.25~1.10、0.25~1.00、0.25~0.90、0.25~0.80、0.30~1.40、0.30~1.30、0.30~1.20、0.30~1.00、0.50~0.90、0.60~0.80のMSを有してもよい。好ましくは、メチルシクロデキストリン組成物は、グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシル上で置換された少なくとも50、60、又は75%のメチルを有する。
上述したように、本発明のメチルシクロデキストリンは混合物であってもよい。メチル-β-シクロデキストリンである製品KLEPTOSE(登録商標)CRYSMEBの質量分析から、特に、それが、それらのDSによって区別される7つの主要なメチルシクロデキストリンのグループを含む多分散生成物であることが明らかである。理論上、メチル-β-シクロデキストリンでは0から21まで変化し得るこのDSは、製品KLEPTOSE(登録商標)CRYSMEBでは2から8まで変化する。
有利には、本発明の組成物は、0.2~1.2のMSを有するメチルシクロデキストリンを少なくとも50、60、70、80又は90%含むメチルシクロデキストリンの混合物を含む。好ましくは、少なくとも40、50、60、70、80又は90%のメチルシクロデキストリンが0.3~1.1のMSを有する。好ましくは、メチルシクロデキストリンの少なくとも30、40、50、60、70、80又は90%が0.5~0.9のMSを有する。さらにより優先的には、メチルシクロデキストリンの少なくとも25、30、40、50、60、70、80又は90%が0.6~0.8のMSを有する。
メチルシクロデキストリン組成物は、任意で、本発明において定義される組成物を得るために定められたMSを有する様々なメチルシクロデキストリンを添加して調製してもよく、又はそれらはその合成の結果として得てもよい。
したがって、別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン組成物、好ましくはメチル-β-シクロデキストリン組成物は、モル百分率で表される以下に対応する置換プロファイルを有する。
-2個のメチル基(DSが2)を含む0~5%のメチル-β-シクロデキストリン、
-3個のメチル基(DSが3)を含む5~15%のメチル-β-シクロデキストリン、
-4個のメチル基(DSが4)を含む20~25%のメチル-β-シクロデキストリン、
-5個のメチル基(DSが5)を含む25~40%のメチル-β-シクロデキストリン、
-6個のメチル基(DSが6)を含む15~25%のメチル-β-シクロデキストリン、
-7個のメチル基(DSが7)を含む5~15%のメチル-β-シクロデキストリン、
-8個のメチル基(DSが8)を含む0~5%のメチル-β-シクロデキストリンである。
ここで、組成物は任意で、微量の異なるDSのメチルシクロデキストリン、並びに微量の、天然の、すなわちメチル化されていないシクロデキストリンを含有してもよいが、合計は一般に約100%である。
置換プロファイルは、当業者に公知の任意の技術によって、例えば、ESI-MS又はMALDI-TOF-MSによって決定することができる。これらの2つの方法によって置換プロファイルを決定するための最適条件は、特に、Romain JACQUETの前述の論文の第2章、パートB、ポイントII.3及びII.2(67~82頁)並びに付録IIに詳細に論じられている。
好ましい実施形態において、メチルシクロデキストリン、好ましくはメチル-β-シクロデキストリンの組成は、メチル基の少なくとも50%、好ましくは60~80%、典型的には約75%が、グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシルに位置するものであり、モル百分率で表される以下の置換プロファイルを有する。
-2個のメチル基(DSが2)を含む0~5%のメチル-β-シクロデキストリン、
-3個のメチル基(DSが3)を含む5~15%のメチル-β-シクロデキストリン、
-4個のメチル基(DSが4)を含む20~25%のメチル-β-シクロデキストリン、
-5個のメチル基(DSが5)を含む25~40%のメチル-β-シクロデキストリン、
-6個のメチル基(DSが6)を含む15~25%のメチル-β-シクロデキストリン、
-7個のメチル基(DSが7)を含む5~15%のメチル-β-シクロデキストリン、
-8個のメチル基(DSが8)を含む0~5%のメチル-β-シクロデキストリンであり、
ここで、組成物は任意で、微量の異なるDSのメチルシクロデキストリン、並びに微量の、天然の、すなわちメチル化されていないシクロデキストリンを含有してもよいが、合計は一般に約100%である。
さらに、特にそれらのDSに応じて、メチルシクロデキストリン分子の分子又はグループの割合を変化させることの検討、あるいはメチルシクロデキストリン分子の分子又はグループの分離が十分に可能である。
したがって、別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリンは、2~8の範囲の整数、特に2、3、4、5、6、7又は8から選択されるDSを示すメチル-β-シクロデキストリンである。
別の好ましい実施形態において、メチルシクロデキストリンは、メチル基の少なくとも50%、好ましくは60~80%、典型的には約75%がグルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシルに位置し、2~8の範囲の整数、特に2、3、4、5、6、7又は8から選択されるDSを有するメチル-β-シクロデキストリンである。
別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、0.1~0.3、特に0.2~0.3、特に0.20~0.30のMSを有する。別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、0.3~0.5、特に0.30~0.50のMSを有する。別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、0.5~0.6、特に0.50~0.60のMSを有する。別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、0.6~0.7、特に0.60~0.70のMSを有する。別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、0.7~0.8、特に0.70~0.80のMSを有する。別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、0.8~0.9、特に0.80~0.90のMSを有する。別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、0.9~1.1、特に0.90~1.10のMSを有する。別の特定の実施形態において、メチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、1.1~1.2、特に1.10~1.20のMSを有する。
一般に、本発明で使用されるメチルシクロデキストリンの還元糖のレベルは、乾燥重量で1%未満、優先的には0.5%未満である。
本発明のメチル-β-シクロデキストリン組成物は、米国特許第6,602,860(B1)号に記載されている方法によって得ることができる。そのような組成物の例は、グルコースユニット当たり0.7、より正確には0.67のモル置換値でメチル化された製品KLEPTOSE(登録商標)CRYSMEBである。
任意で、本発明の組成物は、無置換の1種のシクロデキストリン、特にβ-シクロデキストリン、並びに/又はスルホブチルエーテル(sulfobutylether、SBE-)、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル(hydroxypropyl、HP-)、カルボキシメチル、カルボキシエチル、アセチル、トリアセチル、スクシニル、エチル、プロピル、ブチル、スルフェート基、好ましくはスルホブチル及びヒドロキシプロピルで置換され、好ましくは0.05~1.5のモル置換値を有する1種のシクロデキストリン、特にβ-シクロデキストリンをさらに含んでもよい。
しかしながら、好ましくは、本発明の組成物は、本発明に有用なメチルシクロデキストリン(及び任意で、上記のように微量の天然のシクロデキストリン)以外のシクロデキストリンを含まない。
任意で、本発明のメチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、特に先に列記したものから選択される追加の基によって置換されていてもよい。したがって、例えば、硫酸化メチル-β-シクロデキストリンであってもよい。
しかしながら、好ましくは、本発明に有用なメチルシクロデキストリン、特にメチル-β-シクロデキストリンは、メチル基以外の基で置換されていない。
本発明の別の実施形態において、本出願において定義され、α-1,4結合によって互いに連結されたα-D-グルコピラノースユニットから構成されるメチルシクロデキストリンは、本発明の医薬組成物において、α-1,6結合によって互いに連結されたα-D-グルコピラノースユニットによって部分的に又は完全に置き換えられていてもよい。
本発明の好ましい実施形態において、メチルシクロデキストリンは医薬組成物の唯一の活性成分である。
別の実施形態において、医薬組成物は、脂肪肝に関連する症状及び/又は病態の予防及び/又は治療に有用なものから典型的には選択される1つ以上の活性成分をさらに含む。
本発明の組成物はまた、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。当業者に知られているガレヌス形態に適した全ての賦形剤を、特に全身投与、優先的には経口投与、非経口投与、皮膚又は粘膜投与に使用することができ、特に皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経鼻、肺、直腸、皮膚、髄腔内又は脊髄、好ましくは経口に使用することができる。
例えば、医薬用途に適合し、当業者に知られている生理食塩水、生理溶液、等張溶液、緩衝溶液などの溶液を挙げることができる。組成物は、分散剤、可溶化剤、安定剤、保存剤などから選択される1つ以上の薬剤又はビヒクルを含有してもよい。製剤(液体及び/又は注射用)中に使用できる薬剤又はビヒクルは、特にメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリソルベート80、マンニトール、ゼラチン、ラクトース、植物油、アカシア、リポソームなどである。組成物は、注射用懸濁液、ゲル、油、錠剤、坐剤、散剤、ゲルカプセル、カプセル、エアロゾルなどの形態で、任意で、持続放出及び/又は遅延放出を確実にするガレヌス形態又はデバイスを用いて製剤化することができる。このタイプの製剤では、セルロース、炭酸塩又はデンプンなどの薬剤が有益に使用される。
本発明の文脈において、個体に注射によって投与することができる組成物は、個体の総体重に対して、1~100mg/kg、優先的には20~70mg/kg、さらにより優先的には30~50mg/kg、さらにより好ましくは40mg/kgの本発明で定義されたメチルシクロデキストリンを含む。もちろん、当業者は、治療する個体の体重及び投与様式に応じて、本出願で定義されたメチルシクロデキストリンの用量を合わせることができる。
本発明の好ましい実施形態では、医薬組成物は経口の形態で投与することができる。
本発明の医薬組成物が経口の形態で使用される場合、投与されるメチルシクロデキストリンの量は、患者の肝臓における脂質の貯蔵を減少させることができる量である。経口投与量は、例えば、10mg/kg/日~10,000mg/kg/日、好ましくは20mg/kg/日~7000mg/kg/日、50mg/kg/日~5000mg/kg/日、75mg/kg/日~4000mg/kg/日、100mg/kg/日~3000mg/kg/日、200mg/kg/日~2000mg/kg/日、300mg/kg/日~1000mg/kg/日、さらにより好ましくは400mg/kg/日~800mg/kg/日であってもよい。
以下の実施例は、本発明の他の態様及び利点を例示し示すために使用され、非限定なものと見なされるべきである。
図1は、実施例2の4群の動物の経時的な体重の推移を示す。 図2は、デノボでの脂質生合成及びこの生合成経路に関与する様々な遺伝子の概略図である。 図3は、実施例2の4群の動物におけるデノボでの脂質生合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図3は、実施例2の4群の動物におけるデノボでの脂質生合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図3は、実施例2の4群の動物におけるデノボでの脂質生合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図3は、実施例2の4群の動物におけるデノボでの脂質生合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図4は、デノボでのコレステロール合成と関与する様々な酵素の概略図である。 図5は、実施例2の4群の動物におけるデノボでのコレステロール合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図5は、実施例2の4群の動物におけるデノボでのコレステロール合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図5は、実施例2の4群の動物におけるデノボでのコレステロール合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図5は、実施例2の4群の動物におけるデノボでのコレステロール合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図5は、実施例2の4群の動物におけるデノボでのコレステロール合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図5は、実施例2の4群の動物におけるデノボでのコレステロール合成に関与する様々な遺伝子の発現レベルを示す。 図7は、実施例3の4群の動物の経時的な体重の推移を示す。 図8は、実施例3の4群の動物における試験終了時の肝臓及び脂肪組織の重量を示す。 図9は、実施例3の4群の動物における経時的な血清コレステロールレベル、トリグリセリド、不飽和脂肪酸及びLDLcを示す。 図9は、実施例3の4群の動物における経時的な血清コレステロールレベル、トリグリセリド、不飽和脂肪酸及びLDLcを示す。 図10は、実施例3の4群の動物における肝臓内脂質の百分率及び肝臓内に貯蔵されたコレステロールの量の測定結果を示す。
実施例1:材料及び方法
雄性LVGゴールデンシリアンハムスターを下の試験に使用した。基礎飼料は、SAFE diet社から販売されている飼料AO4Cからなっていた。高コレステロール食では、コレステロールを添加した(MP Biomedicalsから入手)。
様々なシクロデキストリンを試験した。
-第1は、本出願人によって「KLEPTOSE(登録商標)HPB」(経口グレード)の名称で販売されているヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)、
-第2は、出願人が所有するメチル-β-シクロデキストリン(MCD)「KLEPTOSE(登録商標)CRYSMEB」。
実施例2:高コレステロール血症に関連する肝臓の病態に対するメチル-β-シクロデキストリンの予防効果
この試験では、40匹のゴールデンシリアン由来のLVGハムスターを10匹ずつの4群に分けて、以下の食餌を6週間与えた。
-「対照」群:通常食
-「対照HC」群:高コレステロール食(2.5重量%のコレステロールを含有)
-「HC+Crysmeb」群:高コレステロール食(2.5重量%のコレステロールを含有)+3重量%のCrysmeb(MCD)
-「HC+HPBCD」群:高コレステロール食(2.5重量%のコレステロールを含有)+3重量%のHPBCD
生理学的マーカー
図1に試験中の動物の体重の推移を示す。高コレステロール食が体重に影響を及ぼさなかったことが分かる。逆に、シクロデキストリンを追加した2群は成長が遅かった。
42日間の試験終了時に、動物を屠殺し、様々な器官の重量を測定した。
表1に様々な処置群における大動脈、脳、肝臓、小腸及び精巣上体の脂肪組織の重量を記載する。
表1に示されるように、シクロデキストリンによる処置によって最も影響を受けた組織は、油の貯蔵に関与する組織:肝臓及び精巣上体の脂肪組織(個体の総脂肪量と強く相関する)である。脂肪量の減少効果は、MCD Crysmebで最も顕著であった。
表2に、様々な時点:試験の開始時(0日目、D0)、14日目(D14)、28日目(D28)及び試験終了時(43日目、D43)における様々な群の血漿トリグリセリドレベルを示す。
HC食では、対照群と比較して、血中トリグリセリドのレベルの激しい増加が誘導されることが分かる。この増加はシクロデキストリンの添加によって正常化され、MCD Crysmebの効果はより顕著であった。
表3に42日間の処置の終了時に動物の肝臓において測定された生化学データを示す。
表3に示されるように、HC食は、主にコレステロールの形態であるがトリグリセリドの形態でもある、肝臓に貯蔵された脂質の量の激しい増加を引き起こす。飼料中へのシクロデキストリンの添加は、この貯蔵を減少させる効果を有した。この効果はMCDでさらにより顕著であり、正常レベルの%脂質、コレステロール及びトリグリセリドの貯蔵が測定された。
バイオマーカー(肝臓で発現されたメッセンジャーRNAの量)
デノボでの脂質生合成(図3)及びデノボでのコレステロール合成(図5)並びにコレステロール除去(図6)に関与する様々な遺伝子の発現レベルを、試験終了時に4群の動物の肝臓で測定した。
コレステロールに富む食餌はSCD1の発現の増加を誘導し、それはトリグリセリドなどの不飽和脂肪酸の産生の増加につながるはずである。飼料中へのHPBCDの添加によって、対照群と比較して、SCD1及びACC遺伝子の発現の阻害が生じ、それがトリグリセリドなどの脂肪酸の合成及び貯蔵の減少に関連している可能性がある。飼料中へのMCDの添加はHPBCDの添加よりもさらに顕著な効果をもたらし、FAS、ACC、SCD1及びSREBP1遺伝子の発現の全体的な阻害が生じた(図3)。
図5に示されるように、HC食では対照群と比較して、CYP51遺伝子の発現の減少が生じ、したがってコレステロールの合成が減少する。HPBCDの添加はほとんど効果がなかった。対照的に、Crysmeb MCBの添加は、SREB2、CYP51a1、及びHMGCR遺伝子の発現を増加させ、したがって、脂肪酸合成の代わりにコレステロールの合成を増加させた。
図6に示されるように、MCDの添加は、HC群と比較して、コレステロールの除去に関与する遺伝子の発現を正常化させる。この正常化は、HPBCDよりもMCDの方が大きい。
結論として、様々な測定したパラメータは、本発明のメチルシクロデキストリンが、高コレステロール食に起因する障害(肝臓における脂肪酸の貯蔵の増加及び脂肪酸の増加)を効果的に抑制できることを示している。
本発明のメチルシクロデキストリンの使用によって、肝臓における脂質の蓄積の減少及びコレステロールの除去の増加が促進される。
別のシクロデキストリンであるHPBCDよりも、本発明のMCDのこれらの効果の方が大きい。
実施例3:高コレステロール血症に関連する肝臓の病態に対するメチル-β-シクロデキストリンの治療効果
実施例2と同じプロトコールを実施したが、ここでは、高コレステロール血症の誘導の第1段階を2週間行い、続いて治療の第2段階を行い、その間はシクロデキストリンを「HC+Crysmeb」及び「HC+HPBCD」群の食餌に添加した。
この試験では、40匹のゴールデンシリアン由来のLVGハムスターを10匹ずつの4群に分けて、以下の食餌を6週間与えた。
-「対照」群:通常食
-「対照HC」群:高コレステロール食(2.5重量%のコレステロールを含有)
-「HC+Crysmeb」群:D1~D14の高コレステロール食(2.5重量%のコレステロールを含有)、次いでD15~D42の高コレステロール食(2.5重量%のコレステロールを含有)+3重量%のCrysmeb(MCD)
-「HC+HPBCD」群:D1~D14の高コレステロール食(2.5重量%のコレステロールを含有)、次いでD15~D42の高コレステロール食(2.5重量%のコレステロールを含有)+3重量%のHPBCD
生理学的マーカー
図7に試験中の動物の体重の推移を示す。高コレステロール食が体重に影響を及ぼさなかったことが分かる。逆に、シクロデキストリンを追加した2群は成長が遅かった。
42日間の試験終了時に、動物を屠殺し、様々な器官の重量を測定した。
様々な処置群における肝臓及び精巣上体の脂肪組織の重量を記載する図8は、シクロデキストリンによる処置によって最も影響を受けた組織が、油の貯蔵に関与する組織:肝臓及び精巣上体の脂肪組織(個体の総脂肪量と強く相関する)であることを示している。脂肪量の減少効果は、MCD Crysmebで最も顕著であった。
図9に、経時的な様々な処置群におけるコレステロール、不飽和脂肪酸、トリグリセリド及びLDLcの血清濃度を示す。
HC食は、対照群と比較して、血中のトリグリセリド及びコレステロールのレベルの激しい増加を引き起こすことが分かる。HC食の14日後のMCD Crysmebの添加によって、これらの濃度を有意に低下させることができ、それらは対照群の濃度に近い。
図10に示されるように、HC食は、特にコレステロールの形態で肝臓に貯蔵される脂質の量の大幅な増加を引き起こす。誘導期後の食餌へのシクロデキストリンの添加は、この貯蔵を減少させる効果を有した。
HC群において、組織学的には微小胞液胞の出現及び炎症細胞による浸潤が観察された。MCDへの曝露によって、HC+Crysmeb群では、これらの組織学的徴候の重症度を低下させることができた(データは示さず)。
結論として、様々な測定したパラメータは、本発明のメチルシクロデキストリンが、高コレステロール食に起因する障害(肝臓における脂肪酸の貯蔵の増加及び脂肪酸の増加)を、これらの障害の誘導期の後にMCDを投与した場合であっても、効果的に抑制できることを示している。
本発明のメチルシクロデキストリンの使用は、肝臓における脂質の蓄積の減少及びコレステロールの除去の増加を促進し、実施例2で実証された予防効果に加えて治療効果を有する。
別のシクロデキストリンであるHPBCDよりも、本発明のMCDによるこれらの効果の方が大きい。
したがって、本出願人は、本発明のメチルシクロデキストリンにより、
-体内、特に肝臓における脂質の貯蔵を減少させること、
-代謝及びコレステロールの除去を増加させること、
-肝臓の組織構造を改善すること
が可能であることを実証した。
これらの効果は、高コレステロール血症の誘導中(予防効果モデル)又は高コレステロール血症の誘導の発症後(治療効果モデル)に本発明のメチルシクロデキストリンを投与した場合に観察された。
観察された効果は、別のシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンで観察されたものよりも大きかった。

Claims (10)

  1. 脂肪肝及び脂肪肝に関連する疾患の治療及び/又は予防に使用するための、少なくとも1種のメチルシクロデキストリンを含む医薬組成物。
  2. 前記脂肪肝が、非アルコール性脂肪肝(「非アルコール性脂肪肝疾患」NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
  3. 前記メチルシクロデキストリンが、0.05~1.5、優先的には0.2~1.2、さらにより優先的には0.4~0.9、最も好ましくは0.6~0.8のモル置換値を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 前記メチルシクロデキストリンがメチル-β-シクロデキストリンであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  5. 前記メチルシクロデキストリンが、グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシル上で、又は前記グルコピラノースユニットのC3及び/若しくはC6炭素に結合したヒドロキシル上で、又は前記グルコピラノースユニットのC2、C3及び/若しくはC6炭素の組合せ、好ましくは前記グルコピラノースユニットのC2及びC6炭素の組合せに結合したヒドロキシル上で置換されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  6. 前記メチルシクロデキストリン組成物が、前記グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシル上で置換されたメチル-β-シクロデキストリン、前記グルコピラノースユニットのC3及び/又はC6炭素に結合したヒドロキシル上で置換されたメチル-β-シクロデキストリン、前記グルコピラノースユニットのC2、C3及び/又はC6炭素、好ましくはC2及びC6炭素に結合したヒドロキシル上で置換されたメチル-β-シクロデキストリンからなる群から選択される1種以上のメチル-β-シクロデキストリンを含み、前記メチル-β-シクロデキストリンが0.6~0.8のモル置換値を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  7. 前記メチルシクロデキストリン組成物が、前記グルコピラノースユニットのC2炭素に結合したヒドロキシル上で置換された少なくとも50、60、又は75%のメチルを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  8. 前記組成物が経口投与可能であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  9. 脂質の貯蔵の減少、好ましくは肝臓における脂質の蓄積の減少をさらに促進する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  10. コレステロールの除去の増加をさらに促進する、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
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