JP2023534287A - 脱毛防止及び発毛促進用の組成物 - Google Patents

Abstract

本発明は、毛髪成長の促進を誘導する成分を含む脱毛防止及び発毛促進用の組成物に関する。本発明の脱毛防止及び発毛促進用の組成物は、特定の有効成分間の組合せによって毛乳頭細胞の活性、毛乳頭細胞のミトコンドリア活性及びＷｎｔ／β－カテニン信号伝達系の活性を促進して脱毛防止及び発毛促進効果に著しいシナジー効果を起こす。

Description

本発明は、脱毛防止及び発毛促進用の組成物に関する。

本出願は、２０２０年７月１４日出願の韓国特許出願第１０－２０２０－００８６８７８号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。

最近、美容に対する関心がますます高まるにつれ、毛髪も重要な部分を占めている。毛髪は、皮膚の表面で産生され、細く角化した構造である。これは、外部衝撃に対するクッションの役割と共に、直射日光、寒冷、摩擦、危険などの外部刺激から人体を保護し、身体に有害なヒ素、水銀、亜鉛などの重金属を体外へ排出するように機能し、現代には、装飾のような美容的な面においても強調されている。しかし、食生活の変化や内外的ストレスの増加などの多様な原因によって脱毛を訴える人が増加しつつある。脱毛は、遺伝的要因が最も主な原因として作用することが知られているが、前述したように社会的ストレスの増加、環境汚染、頻繁なパーマとヘアカラー及び正しくない頭皮管理も脱毛の原因として挙げられている。

ヒトの毛髪は、約１０～１５万本程度であり、各々の毛髪は相異なる成長周期を有する。発生初期の毛嚢（ｈａｉｒ ｆｏｌｌｉｃｌｅ）の形成は、β－カテニン（β－ｃａｔｅｎｉｎ）の作用により、基底層の上皮細胞によってプラコード（ｐｌａｃｏｄｅ）が形成される（Ｓａｒａｈ Ｅ． Ｍｉｌｌｅｒ， ２００２）。形成されたプラコードから信号を受けた真皮線維芽細胞が皮膚凝縮物（ｄｅｒｍａｌ ｃｏｎｄｅｎｓａｔｅ）を形成する。それと共にプラコードは、真皮方向へ成長、陥入して皮膚凝縮物と合わせられて一次毛芽（ｐｒｉｍａｒｙ ｈａｉｒ ｇｅｒｍ）を形成する。毛芽を形成した上皮細胞は、発生する真皮方向へ長く成長し、多層からなる長い棒状の構造物である毛杭（ｈａｉｒ ｐｅｇ）を形成すると共に、皮膚凝縮物は球状の毛乳頭（ｄｅｒｍａｌ ｐａｐｉｌｌａ）に形成される。毛杭の先は次第に厚くなって毛球（ｈａｉｒ ｂｕｌｂ）が形成され、毛球は毛乳頭を囲む形態になって毛嚢が完成され、毛嚢内部の上皮細胞が分化して毛髪が生成される。

初めて生成された毛髪は、成長期の時期を経て退行期、休止期に進み、その後、毛髪が脱落してからさらに成長期に戻る周期を反復する。毛髪成長周期は３段階で構成され、毛髪が最も活発に成長する成長期（ａｎａｇｅｎ ｓｔａｇｅ）、毛髪の退化が始まる退行期（ｃａｔａｇｅｎ ｓｔａｇｅ）及び毛髪の成長が止まるか、または休息に入る休止期（ｔｅｌｏｇｅｎ ｓｔａｇｅ）に分類される。

このような毛髪成長周期の調節において、毛嚢を構成する毛乳頭細胞と毛嚢幹細胞を含む外毛根鞘細胞（ｏｕｔｅｒ ｒｏｏｔ ｓｈｅａｔｈ ｃｅｌｌ）の活性、及びこれらの細胞で生産される多様なサイトカイン及び成長因子が重要な役割を果たすと知られている。例えば、ＤＫＫ－１（Ｄｉｃｋｋｏｐｆ－１）は、毛嚢成長の阻害と死滅に重要な役割を果たす。一方、周期的な毛髪成長のためには、毛嚢の再生と幹細胞の活性化が行われなければならず、これは、Ｗｎｔ／β－カテニンの生成及び活性化によって行われると知られている。その他にも、ＶＥＧＦ、ＩＧＦ－１、ＦＧＦなどの成長因子は、毛髪の成長期を促進すると知られており、ＴＧＦｂ－１、ＥＧＦなどは毛嚢の退行期を誘導する成長因子として知られている。

通常、脱毛症とは、このような周期において、成長期の毛髪の割合が少なくなり、退行期または休止期の毛髪が多くなって、非正常に毛髪の脱落数が多くなることを称する。脱毛は、正常な現象であるが、正常な人が成長期の毛髪が多い一方、通常の脱毛症の人は、休止期の毛髪が多く、肉眼で見える脱毛現象を現すようになる。脱毛症の人の特徴は、毛髪の小型化にある。脱毛が進むほど、成長期の期間が短くなって退行期、休止期への移行が促進され、次いで毛乳頭の体積が小さくなって毛嚢がますます小型化する。したがって、脱毛の治療のためには、休止期状態の毛嚢を成長期へ速く戻すようにし、短くなった成長期を延ばすことが重要である。

前述したように、脱毛の原因には、男性ホルモン過剰、皮脂過剰分泌、血液循環不良、過酸化物や細菌などによる頭皮機能低下、遺伝的要因、老化、ストレスなどが提起されてきたが、脱毛の原因は現在まで明確に知られていない状態であり、非常に複雑な要因がからんでいると知られている。

このように多様かつ複雑な脱毛原因に対し、現在まで知られた脱毛防止製品には、有効成分として、血行促進、毛根機能強化、頭皮保湿効果、ふけ防止効果、抗酸化効果、毛髪成長期延長効果、男性ホルモン作用抑制などを目的とする成分などが含まれているが、効果の面で著しい効果を奏するものは未だに存在しない状態であり、副作用の問題が提起されることもある。

一方、アデノシンは、細胞で作られるアミノ酸の構成物であって、細胞エネルギー代謝の主成分である。アデノシンは、遺伝子であるＤＮＡを構成している要素の一つであって、アデニンという塩基とリボースという糖が結合した化合物である。アデノシンは、糖に三つのリン酸が結合すると、細胞内の主エネルギー源であるＡＴＰ（ａｄｅｎｏｓｉｎｅ ５’－ｔｒｉｐｈｏｓｐｈａｔｅ）になる。これによってアデノシンは身体を構成しながら全ての代謝が円滑に行われるのに決定的な役割を果たす重要な要素として知られている。アデノシンは、細胞内成分であるため、皮膚への浸透時、安定性と持続力に優れており、真皮層でＤＮＡとタンパク質の合成を促進することで皮膚のしわ改善を向上させる作用をする。

また、ナイアシンアミドは、ビタミンＢ複合体の一種であって、植物系ではニコチン酸と共存して広範囲に分布しており、動物系の生体内で酸化還元助酵素であるＮＡＤまたはＮＡＤＰの成分として存在する。ナイアシンアミドは、ピリジン－３－カルボン酸とも知られたビタミンＢ３の生理活性アミドであり、これは、抗炎症性原料または抗酸化剤としての役割も果たすと知られている。ナイアシンアミドは、メラノソームの移動を阻害して、合成されたメラニンのケラチノサイトへの移動を阻害し、これによって皮膚色素沈着を減少させて美白作用を向上させる。また、ナイアシンアミドは、コラーゲン合成及び細胞間脂質の合成を増加させて皮膚保湿などに有利な作用をする。

また、Ｄ－パンテノール（デクスパンテノール）は、ビタミンＢ５（Ｐａｎｔｏｔｈｅｎｉｃ ａｃｉｄ）のアルコール形態であって、プロビタミンＢ５といえる。Ｄ－パンテノールは、皮膚に吸収されながらビタミンＢ５に転換されて使用される。Ｄ－パンテノールは、皮膚保湿剤、しわ改善剤などの成分として化粧品、生活用品によく使用され、また、傷の治療、やけど、かゆみ改善などの軟膏剤としても使用される。また、Ｄ－パンテノールは、浸透性のある保湿剤として知られており、皮膚と毛髪にコンディショニング効果を与え、損傷毛髪の回復を増加させる効能が知られている。

また、何首烏とは、タデ科に属するつる性多年草であって薬用植物であり、学名は、Ｐｌｅｕｒｏｐｔｅｒｕｓ ｍｕｌｔｉｆｌｏｒｕｓ、Ｐｏｌｙｇｏｎｕｍ ｍｕｌｔｉｆｌｏｒｕｍ、Ｆａｇｏｐｙｒｕｍ ｍｕｌｔｉｆｌｏｒｕｍ、Ｒｅｙｎｏｕｔｒｉａ ｍｕｌｔｉｆｌｏｒａまたはＦａｌｌｏｐｉａ ｍｕｌｔｉｆｌｏｒａなど多様である。何首烏抽出物は、強壮剤、補精剤、通経剤、補血剤または鎮咳剤などに活用され、風邪、吐血、神経衰弱または関節炎の治療などに使用されると知られている。

また、魚腥草（Ｈｏｕｔｔｕｙｎｉａ ｃｏｒｄａｔａ）は、三白草科の多年草の一種であって、地獄蕎麦、重薬、どくだみまたは十薬と知られた薬草である。魚腥草は、多様な精油成分を含んでいることから、魚くさい匂いのような独特のにおいがするため魚腥草と呼ばれる。魚腥草は、主に５～７月に花が咲き、民間でりん疾、膓炎、尿路感染症、肺炎または気管支炎などに使用される薬草である。

また、ジンクピリチオン（ｚｉｎｃ ｐｙｒｉｔｈｉｏｎｅ）は、抗菌作用があり、頭皮と皮膚で微生物の繁殖を阻む。特に、ジンクピリチオンは、マラセチア（ｍａｌａｓｓｅｚｉａ）とは異なる真菌類に対する繁殖抑制作用があり、頭皮の脂漏性皮膚炎及び頭垢生成を防止する役割を果たす。

また、サリチル酸は、アスピリンの主成分であり、抗炎症剤、鎮痛剤または解熱剤として広く使用されてきた。サリチル酸は、皮膚の角質除去及び角質軟化作用をする。サリチル酸は、主にクレンジングフォームのような化粧品に添加されて角質を軟化及び剥離させて毛穴を柔らかくする。これによって、サリチル酸は、毛穴の奥の皮脂の排出を助けて皮膚をきれいに維持可能にする。また、サリチル酸は、抗菌及び抗炎症作用を示し、頭皮または皮膚微生物の繁殖を抑制して皮膚及び頭皮を改善するか、または頭垢を防止できる。

一方、現在、米国食品医薬品局（ＦＤＡ）から承認を受けた塗布剤の脱毛治療剤は、ミノキシジル（２，４－ｄｉａｍｉｎｏ－６－ｐｉｐｅｒｉｄｉｎｏｐｙｒｉｍｉｄｉｎｅ－３－ｏｘｉｄｅ）が唯一であるが、３２週～４８週の使用時、その効果が各々３８％及び１３％であって満足できない実情であり、前髪には効果が劣るという短所がある。

このように、脱毛防止または発毛促進の効果が優秀な組成物の開発が求められおり、前記アデノシン、Ｄ－パンテノール、ナイアシンアミド、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸などを組み合わせる場合、脱毛防止または発毛促進に如何なる効果を示されるかについては、さらに研究が必要な実情である。

本発明は、優秀な脱毛防止及び／または発毛促進効果を奏する脱毛防止または発毛促進用の組成物を提供することを目的とする。

また、本発明は、前記脱毛防止または発毛促進用の組成物を含む毛髪または頭皮用の製品を提供することを他の目的とする。

本発明者は、従来の脱毛治療剤の副作用及び使用上の注意事項などの問題点を改善し、脱毛防止／養毛剤の発毛促進効果が微々たるなどの短所なく、人体に安全でありながらも脱毛防止及び発毛促進に効果的に作用する組成物を開発するために鋭意努力をした。その結果、本発明者は、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物に特定の有効成分をさらに組み合わせる場合、脱毛防止及び発毛促進に著しいシナジー効果が発生することを見出した。

具体的には、本発明者は、インビトロ（ｉｎ－ｖｉｔｒｏ）実験によって、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上をさらに組み合わせる場合、毛乳頭細胞活性増進効果（実験例１）、毛乳頭細胞ミトコンドリア活性促進効果（実験例２）、毛乳頭細胞活性信号（Ｗｎｔ／β－カテニン）促進効果（実験例３）に著しいシナジー効果が発生することを確認した。また、本発明者は、前記組合せを含む脱毛防止または発毛促進用の組成物を脱毛症の患者に処理した結果、単位面積当たりの毛髪の数及び毛髪の平均厚さが大幅に改善され、脱毛症の治療に著しく優秀な効果を奏することを確認した（実験例４、５）。

本発明の脱毛防止及び発毛促進用の組成物は、特定の有効成分間の組合せによって毛乳頭細胞の活性、毛乳頭細胞のミトコンドリア活性及びＷｎｔ／β－カテニン信号伝達系の活性を促進して脱毛防止及び発毛促進効果に著しいシナジー効果を起こす。

本発明は、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物；及び何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含む脱毛防止または発毛促進用の組成物を提供する。本発明の一態様で、本発明は、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物；何首烏抽出物、魚腥草抽出物またはこれら全部；及びジンクピリチオン、サリチル酸またはこれら全部を有効成分として含む脱毛防止または発毛促進用の組成物を提供する。前記脱毛防止または発毛促進用の組成物は、前記有効成分間の組合せによって脱毛防止または発毛促進に著しいシナジー効果が発生する。

本発明の一態様で、前記何首烏抽出物または魚腥草抽出物は、当業界における公知の方法によって抽出可能であり、その方法は特に限定されない。または、市販の抽出物を用いてもよい。他の様態で、前記何首烏抽出物または魚腥草抽出物は、何首烏または魚腥草を水及び／または有機溶媒で抽出して得た抽出物を使用することができ、前記有機溶媒は、極性有機溶媒、非極性有機溶媒またはこれらの混合溶媒であり得る。前記極性有機溶媒は、炭素数１～５の低級アルコール、エチルアセテートまたはアセトンなどであり得る。非極性有機溶媒は、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、核酸またはジクロロメタンなどであり得る。例えば、前記炭素数１～５の低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールまたはイソプロパノールなどであり得る。

本発明の一態様で、前記何首烏抽出物または魚腥草抽出物は、前述した抽出溶媒を用いて抽出された一次抽出物を、極性の異なる他の抽出溶媒を用いて分画した分画物を含み得る。例えば、何首烏抽出物または魚腥草抽出物は、炭素数１～５のアルコールで抽出した後、エーテル、ベンゼン、ヘキサンなどの極性の異なる他の溶媒でさらに分画した分画物であり得る。前記分画時の溶媒は、二種以上が使用可能であり、溶媒の極性によって順次に使用するか、または混合して使用することで各溶媒抽出物を製造し得る。

本発明の一態様で、前記製造された抽出物または前記分画過程を行って得られた分画物に対して、濾過するか、或いは濃縮または乾燥過程を行って溶媒を除去することでき、前記濾過、濃縮及び乾燥を全部行い得る。具体的には、前記濾過は、濾過紙を用いるか、または減圧濾過器を用い得る。濃縮は、減圧濃縮器などを用いて減圧濃縮し得る。乾燥は、凍結乾燥法を行い得る。なお、前記製造された抽出物または前記分画過程を経て得た分画物に対して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーまたは高性能液体クロマトグラフィーなどの多様なクロマトグラフィーを用いて精製することでさらに精製された分画を得ることができる。

本発明の一態様で、本発明の脱毛防止または発毛促進用の組成物に含まれるアデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物；及び何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含む有効成分の含量は、組成物の総重量に対して０．０００１～１０重量％、望ましくは０．００１～７重量％、より望ましくは０．０１～５重量％であり得る。前記有効成分の総含量が組成物の総重量に対して０．０００１重量％未満である場合には、発毛誘導促進効果が微々であり、１０重量％超過の場合には、剤形安定性が低下して望ましくない。本発明では、有効成分が前記含量範囲である場合に脱毛防止及び発毛促進効能が著しく優秀であることを実験から確認した。

本発明の一態様で、本発明の脱毛防止または発毛促進用の組成物に有効成分として含まれるアデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物の含量は、組成物の総重量に対して０．０００１～１０重量％、望ましくは０．００１～１０重量％であり得る。前記アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物の含量が組成物の総重量に対して０．０００１重量％未満である場合には、発毛誘導促進効果が微々であり、１０重量％超過の場合には剤形安定性が低下して望ましくない。

本発明の一態様で、本発明の脱毛防止または発毛促進用の組成物に追加的な有効成分として含まれる何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上の含量は、組成物の総重量に対して０．００００１～１０重量％、望ましくは０．０００１～５重量％であり得る。前記何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上の含量が組成物の総重量に対して０．００００１重量％未満である場合には、発毛促進のシナジー効果が微々であり、１０重量％超過の場合には剤形安定性が低下して望ましくない。

本発明の一態様で、前記アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物の重量比は、１：０．３～５：０．２～８、望ましくは１：０．５～４：０．３～６（アデノシン：Ｄ－パンテノール：ナイアシンアミド）であり得る。前記アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物が前記特定の重量比で組み合わせられる場合、脱毛防止及び発毛促進効果が卓越になる。

本発明の一態様において、本発明の脱毛防止または発毛促進用の組成物は、医薬組成物、医薬部外品用の組成物、化粧料組成物または健康機能食品組成物として使用され得る。本発明の組成物は、通常、皮膚に適用可能な如何なる形態にも剤形化できるが、望ましくは、皮膚外用剤の形態に剤形化できる。本発明の組成物は、例えば、液状、クリーム状、ペースト状または固状など、皮膚に適用可能な剤形に製造できる。

本発明のアデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物；及び何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上は、前記組成物または剤形に脱毛防止剤または毛髪成長促進剤として含まれ得る。

本発明の剤形が液状である場合には、担体成分として、溶媒、可溶化剤または乳濁化剤などが使われ得、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、１，３－ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルなどが使われ得る。

本発明の剤形が、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、でん粉、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが使われ得る。

本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケートまたはポリアミドパウダーなどが用いられ得る。特に、スプレー剤形である場合には、追加的に、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン／ブタンまたはジメチルエーテルなどのような推進体を含み得る。

本発明の組成物には、前記有効成分の他に、皮膚に適用可能な外用剤に通常使用される成分を含み得る。例えば、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、キレート剤、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤、色素及び香料などからなる群より選択される一つ以上の添加剤をさらに含み得る。

なお、本発明は、前記脱毛防止または発毛促進用の組成物を含む毛髪または頭皮用製品を提供する。前記毛髪または頭皮用製品は、発毛剤、頭皮クレンジング剤、頭皮スケーリング剤、頭皮マッサージ剤、頭皮ケア剤、洗浄剤、シャンプー、トニック、ヘアコンディショナー、ヘアローション、ゲル、パック、クリーム、エッセンス、パウダー、スプレー、オイル、石けん、軟膏、ヘアスタイリング剤、染毛剤及びパーマ剤からなる群より選択されるいずれか一つであり得るが、これらに限定されない。

本発明の一態様で、前記脱毛防止または発毛促進用の組成物は、ヘアトニックまたはヘアローションの剤形に製造され得る（製造例１～３）。

本発明の脱毛防止または発毛促進用の組成物は、望ましくは、皮膚に直接塗布するか、または散布するなどの経皮投与の方法で使われ得る。

また、本発明は、前記脱毛防止または発毛促進用の組成物を含む健康機能食品組成物を提供する。前記健康機能食品組成物は、当業界で通常使用される方法によって製造され得る。前記製造時には、当業界で通常添加する原料及び成分を添加して製造し得る。また、前記健康機能食品の剤形も健康機能食品と認められる剤形であれば、制限なく製造可能である。本発明の健康機能食品は、多様な形態の剤形に製造可能であり、食品を原料とする薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所があり、携帯性に優れ、脱毛防止または発毛促進効果を増進させるための補助剤として摂取され得る。

また、本発明は、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物；及び何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含む脱毛防止または発毛促進用の組成物を患者（ｓｕｂｊｅｃｔ）に投与する段階を含む脱毛防止または発毛促進方法を提供する。本発明の一態様で、前記脱毛防止または発毛促進方法は、前記脱毛防止または発毛促進用の組成物を患者の頭皮または毛髪に処理する段階を含み得る。

本発明において使用される用語、「投与」は、任意の適切な方法で本発明の組成物を導入することを意味する。本発明の組成物の投与経路は、目的とする組織に到達可能であれば、任意の一般的な経路によっても投与可能である。望ましくは、経皮投与可能であり、その中でも局所塗布が最も望ましい。本発明の組成物の適用回数は、処方、必要または所望に応じて決定可能である。

本発明の脱毛防止または発毛促進用の組成物の使用量は、年齢、病変の程度などの個人差や剤形によって適切に調節でき、通常、１日１回ないし数回、適量を頭皮に塗布し、一週間～数ヶ月間使用することが望ましい。本発明の実験例においては、脱毛治療用の組成物１を一週に５回ずつ６ヶ月間使用した結果、優秀な毛髪成長促進効果を奏したことを確認した（実験例４、５）。

本発明に記載した全ての成分は、望ましくは、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパ、日本などの関連法規、規範（例えば、化粧品安全基準などに関する規定（韓国）、化粧品安全技術規範（中国）、食品公典（韓国）、食品添加物公典（韓国）、健康機能食品公典（韓国）などで規定した最大使用値を超過しない。即ち、望ましくは、本発明による医薬組成物、医薬部外品用の組成物、化粧料組成物または健康機能食品組成物は、各国の関連法規、規範で許容する含量の限度で本発明による成分を含む。

以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は他の多様な形態に変更可能であり、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は本発明が属する分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。

製造例１：脱毛治療用の組成物１（ヘアトニック）
アデノシン、Ｄ－パンテノール、ナイアシンアミドの混合物の重量比を異にして、下記の表１に示した処方によって通常の方法でヘアトニックを製造した。

製造例２：脱毛治療用の組成物２（ヘアトニック）
下記の表２に示した処方によって、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオンまたはサリチル酸を各々一種ずつ添加して、通常の方法でヘアトニックを製造した。

製造例３：脱毛治療用の組成物３（ヘアローション）
アデノシン、Ｄ－パンテノール、ナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上を添加して、下記の表３に示した処方によって通常の方法でヘアローションを製造した。

実験例１：毛乳頭細胞活性増進効果
ヒトの毛乳頭細胞（Ｄｅｒｍａｌ Ｐａｐｉｌｌａ Ｃｅｌｌｓ，ＤＰＣｓ）は、ＰｒｏｍｏＣｅｌｌ社から購入した。前記ＤＰＣｓを、５％ウシ胎児血清（ＦＢＳ；Ｇｉｂｃｏ，ＮＹ，ＵＳＡ）、ペニシリン１００ｕｎｉｔ／ｍＬ及びストレプトマイシン１００μｇ／ｍＬが含まれたＤＭＥＭ（Ｈｙｃｌｏｎｅ Ｉｎｃ，ＵＴ，ＵＳＡ）で、３７℃及び５％のＣＯ_２条件下で培養した。培養したＤＰＣｓ ３，０００ｃｅｌｌｓ／ｗｅｌｌを９６－ウェルプレートに分注した後、０．１％血清条件で２４時間培養した。その後、培養した細胞に、無血清ＤＭＥＭに１：１０００で希釈したＤＭＳＯ（ｖｅｈｉｃｌｅ）を対照群に使用し、ミノキシジル２μｇ／ｍｌを陽性対照群に使用し、アデノシン、Ｄ－パンテノール、ナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上を下記の表４のように一日間処理し、インキュベートした。インキュベートした後、ＣＣＫ方法を用いて細胞の増殖程度を評価した。ＣＣＫ－８を培養液を１：１０で処理し、１時間インキュベートした。１時間後、各ウェルの吸光度（ａｂｓｏｒｂａｎｃｅ）を４５０ｎｍで測定した。全ての実験を、３回ずつ繰り返して吸光度値の平均を求めた。その結果は、対照群を１００にして、それに対する処理群のパーセントとして表された。

前記表４に示した結果から、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上をさらに含めて処理する場合、毛乳頭細胞活性能の増進に著しいシナジー効果が発生することを確認した。

実験例２：毛乳頭細胞ミトコンドリア活性促進効果
ヒトの毛乳頭細胞（ＤＰＣｓ）は、ＰｒｏｍｏＣｅｌｌ社から購入した。前記ＤＰＣｓを、５％ウシ胎児血清（ＦＢＳ；Ｇｉｂｃｏ，ＮＹ，ＵＳＡ）、ペニシリン１００ｕｎｉｔ／ｍＬ及びストレプトマイシン１００μｇ／ｍＬが含まれたＤＭＥＭ（Ｈｙｃｌｏｎｅ Ｉｎｃ，ＵＴ，ＵＳＡ）で、３７℃及び５％のＣＯ_２条件下で培養した。培養したＤＰＣｓ ３，０００ｃｅｌｌｓ／ｗｅｌｌを９６－ウェルプレートに分注した後、０．１％血清条件で２４時間培養した。その後、培養した細胞に、無血清ＤＭＥＭに１：１０００で希釈したＤＭＳＯ（ｖｅｈｉｃｌｅ）を対照群に使用し、ミノキシジル２μｇ／ｍｌを陽性対照群に使用し、アデノシン、Ｄ－パンテノール、ナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上を下記の表５のように一日間処理し、インキュベートした。インキュベートした後、ＪＣ－１方法を用いて細胞の増殖程度を評価した。ＪＣ－１を培養液に１：１００で処理し、１時間インキュベートした。１時間後、各ウェルの蛍光（ｆｌｕｏｒｅｓｃｅｎｃｅ）を５９０ｎｍ及び５３０ｎｍで測定した。全ての実験を、３回ずつ繰り返して蛍光値の平均を求めた。その結果は、対照群を１００にして、それに対する処理群のパーセントとして表された。

前記表５に示した結果から、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上をさらに含めて処理する場合、毛乳頭細胞ミトコンドリア活性増進に著しいシナジー効果が発生することを確認した。

実験例３：毛乳頭細胞活性信号（Ｗｎｔ／β－カテニン）調節効果
一般的に、毛乳頭で活性化するＷｎｔ／β－カテニン信号は、毛髪の成長周期のうち退行期から活性期へ移行されるとき、即ち、毛髪が育ち始めるときから毛髪生長が起こる活性期にかけて起こる。休止期及び退行期には、Ｗｎｔ／β－カテニン信号が弱くなるか又はなくなり、毛嚢が退化して毛髪が抜ける現状が起こる。したがって、本発明のアデノシン、Ｄ－パンテノール、ナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上を処理した処理群が、Ｗｎｔ／β－カテニン信号増幅にどのぐらい寄与するかを本実験から確認した。

Ｗｎｔ／β－カテニン信号を増幅させる陽性対照群としてＷｎｔ３ａタンパク質を使用し、陰性対照群としてＤＭＳＯを使用した。培養９６－ウェルプレートに、約３×１０^４のＷｎｔレポーターＨＥＫ２９３Ａ細胞を各ウェルにシーディング（ｓｅｅｄｉｎｇ）した後、本発明のアデノシン、Ｄ－パンテノール、ナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上を下記表６のように処理した。その後、Ｐｒｏｍｅｇａ社のルシフェラーゼ分析キット（Ｌｕｃｉｆｅｒａｓｅ ａｓｓａｙ ｋｉｔ）（Ｅ１９６０）を用いてレポーターアッセイ（ｒｅｐｏｒｔｅｒ ａｓｓａｙ）を行った。製造社の実験方法に従って行い、ｌｕｍｉｎｏｍｅｔｅｒ Ｖｉｃｔｏｒ（ＰｅｒｋｉｎＥｌｍｅｒ，Ｗａｌｔｈａｍ，Ｍａｓｓａｃｈｕｓｅｔｔｓ，ＵＳＡ）を用いて、Ｗｎｔ／β－カテニンプローモーター活性度を測定した。

前記表６に示した結果から、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上をさらに含めて処理する場合、シナジー効果によってＷｎｔ／β－カテニン信号伝達系の活性を増進させることを確認した。Ｗｎｔ／β－カテニン信号は毛嚢幹細胞の毛髪成長促進信号であることから、前記実験結果から本発明の組成物が発毛促進に著しい向上効果を奏することが分かる。

実験例４：脱毛治療または発毛促進用の組成物１（ヘアトニック）の発毛効果
毛髪の数が正常の場合に比べて顕著に少ないか、または脱毛症状のある毛髪の弱い男女総７０人を対象にして本発明の脱毛または発毛促進用の組成物１（ヘアトニック）の発毛効果を実験した。前記男女総７０人を１０人ずつ７個群に分けて比較例１、２及び実施例１～５を使用し、週５回ずつ６ヶ月間毛髪及び頭皮に使用した。使用後の臨床写真撮影による研究者の評価とフォトトリコグラムによる評価を行った。臨床写真による研究者の評価は、塗布してから２、６ヶ月後の比較例と実施例に対して、「Ｇｏｏｄ」、「Ｓｌｉｇｈｔ」、または「ｎｏ ｃｈａｎｇｅ」の３項目として評価した（Ｇｏｏｄ：５０％～７５％好転、Ｓｌｉｇｈｔ：２５％～５０％好転、Ｎｏ ｃｈａｎｇｅ：変化なし）。フォトトリコトグラムによる単位面積当たりの毛髪の数と毛髪の平均厚さに対する評価は、塗布してから６ヶ月後に比較例及び実施例に対して測定を行い、その結果を表７に示した。

前記表７に示した結果から、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物を含めて処理する場合、単位面積当たりの毛髪の数及び毛髪の平均厚さが向上することを確認した。特に、本発明によって、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドを特定の重量比で混合して処理する場合、単位面積当たりの毛髪の数及び毛髪の平均厚さの向上効果が著しく増進することを確認した。

実験例５：脱毛治療または発毛促進用の組成物２（ヘアトニック）の発毛効果
毛髪の数が正常な場合に比べて顕著に少ないか、または脱毛症状のある毛髪が弱い男女総６０人を対象にして本発明の脱毛治療または発毛促進用の組成物２（ヘアトニック）の発毛効果を実験した。前記男女総６０人を１０人ずつ６個のグループに分けて比較例１及び実施例６～９を使用し、一週に５回ずつ６ヶ月間毛髪及び頭皮に使用した。使用後の臨床写真撮影による研究者の評価とフォトトリコグラムによる評価を行った。臨床写真による研究者の評価は、塗布してから２、６ヶ月後の比較例と実施例に対して、「Ｇｏｏｄ」、「Ｓｌｉｇｈｔ」、または「ｎｏ ｃｈａｎｇｅ」の３項目として評価した（Ｇｏｏｄ：５０％～７５％好転、Ｓｌｉｇｈｔ：２５％～５０％好転、Ｎｏ ｃｈａｎｇｅ：変化なし）。フォトトリコトグラムによる単位面積当たりの毛髪の数と毛髪の平均厚さに対する評価は、塗布してから６ヶ月後に比較例及び実施例に対して測定を行い、その結果を表８に示した。

前記表８に示した結果から、実施例６～９のように、アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物に、何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン、サリチル酸のうち一種以上をさらに含めて処理する場合、単位面積当たりの毛髪の数及び毛髪の平均厚さが、実施例１～５に比べて著しく増加し、脱毛防止及び発毛促進に著しいシナジー効果を示めすことを確認した。

前記ヘアトニックまたはヘアローションのような剤形例は、本発明の脱毛防止または発毛促進用の組成物の一例であるだけであり、本発明の組成物の範囲がこれらの剤形のみに限定されないことは、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者にとって自明であろう。

Claims (11)

1. アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物と、
   何首烏抽出物、魚腥草抽出物、ジンクピリチオン及びサリチル酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上を有効成分として含む、脱毛防止または発毛促進用の組成物。
2. 前記有効成分の含量が、組成物の総重量に対して０．０００１～１０重量％である、請求項１に記載の脱毛防止または発毛促進用の組成物。
3. 毛乳頭細胞の活性を増進させる、請求項１に記載の脱毛防止または発毛促進用の組成物。
4. 毛乳頭細胞のミトコンドリア活性を促進させる、請求項１に記載の脱毛防止または発毛促進用の組成物。
5. Ｗｎｔ／β－カテニン信号伝達系の活性を促進させる、請求項１に記載の脱毛防止または発毛促進用の組成物。
6. 医薬組成物である、請求項１に記載の脱毛防止または発毛促進用の組成物。
7. 医薬部外品用の組成物である、請求項１に記載の脱毛防止または発毛促進用の組成物。
8. 化粧料組成物である、請求項１に記載の脱毛防止または発毛促進用の組成物。
9. 請求項１に記載の脱毛防止または発毛促進用の組成物を含む、毛髪または頭皮用の製品。
10. 前記製品が、発毛剤、頭皮クレンジング剤、頭皮スケーリング剤、頭皮マッサージ剤、頭皮ケア剤、洗浄剤、シャンプー、トニック、ヘアコンディショナー、ヘアローション、ゲル、パック、クリーム、エッセンス、パウダー、スプレー、オイル、石けん、軟膏、ヘアスタイリング剤、染毛剤及びパーマ剤からなる群より選択される、請求項９に記載の毛髪または頭皮用の製品。
11. アデノシン、Ｄ－パンテノール及びナイアシンアミドの混合物を有効成分として含む脱毛防止または発毛促進用の組成物であって、
    前記混合物の重量比が、１：０．３～５：０．２～８（アデノシン：Ｄ－パンテノール：ナイアシンアミド）であることを特徴とする、脱毛防止または発毛促進用の組成物。