JP2023533813A - 一定用量配合剤のアッセイ - Google Patents

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Abstract

一定用量配合剤の品質および量の属性を分析するアッセイが提供される。特に、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤について、ならびにペルツズマブおよびトラスツズマブを含む皮下製剤についてのアッセイが、本明細書に記載される。【選択図】なし

Description

本発明は、一定用量配合剤の品質および量の属性を分析するアッセイに関する。特に、本発明は、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤について、ならびにペルツズマブおよびトラスツズマブを含む皮下製剤についてのアッセイに関する。
生物医薬品剤の安全性および有効性を確実にするためには、製品品質を連続的にモニターする必要がある。製品バッチが放出される前には、重要品質属性(CQA)を含むある特有の基準が満たされる必要がある。重要品質属性(CQA)は、所望の製品品質、安全性および有効性を確実にする適切な限度、範囲または分配の範囲内でなければならない物理的、化学的、生物学的または微生物学的性質または特性である。
力価試験は、他の多数の試験と共に、製品の適合試験、比較可能性研究および安全性試験の一部として実施される。これらの試験は、製品品質および製造管理に関連する製品属性を測定するために使用され、臨床試験の全段階に使用される製品の素性、純度、強度(力価)および安全性を確実にするために実施される。同様に、力価測定は、定義された特異化または許容基準を満たす製品ロットのみが臨床調査の全段階に投与されることを実証するため、および後の販売許可のために使用される。
イオン交換クロマトグラフィー(IEX)は、治療用タンパク質の詳細な特徴づけに広く使用され、電荷不均一性の定性的および定量的評価の参照的で強力な技術と考慮することができる。IEXは、典型的には、特異化が特にモノクローナル抗体(mAb)の酸性種、主要種および塩基性種それぞれの分配によって設定される放出方法である。これらの荷電種は、力価に影響を与えうる製品関連不純物と考慮される。さらに、変性が加えられていない天然であることの確証によってタンパク質を特徴づけることができる、数少ない方法のうちの1つである。IEXはまた、ある特定の生物学的製剤の素性方法として使用することもでき、安定性および貯蔵寿命の正当化のための常套的試験である。
量は、通常、タンパク質含有量として測定されるCQAである。生物工学的および生物学的製品にとって重要であり、通常は物理化学的性格の適切なアッセイを使用して決定されるべきである。大部分の生物医薬品剤では、タンパク質含有量は、UV吸収により測定される。
一定用量配合剤(FDC)は、2つの異なる活性成分を単一投与製剤に組み合わせる。2つの抗HER2抗体のトラスツズマブおよびペルツズマブとヒアルロニダーゼ酵素との組み合わせは、2つの高度に類似したモノクローナル抗体の合剤(co-formulation)の史上初の臨床開発である。ペルツズマブおよびトラスツズマブの作用機序は、両方ともHER2受容体に結合するが異なる場所に結合するので、互いに補完すると考えられる。ペルツズマブとトラスツズマブの配合剤は、HERシグナル伝達経路のより包括的な二重遮断を提供すると考えられる。IVハーセプチンおよび化学療法と組み合わせたパージェタの標準IV製剤(パージェタベースレジメン)は、早期および転移性HER2陽性乳がんの両方の治療のために100を超える国々で承認されている。ネオアジュバント早期乳がん(eBC)設定では、パージェタベースレジメンは、ハーセプチンおよび化学療法と比較して、ほぼ二倍のpCR率を示している。加えて、配合剤は、アジュバントeBC設定において浸潤性疾患の再発または死亡のリスクを有意に低減することを示している。転移性設定において、配合剤は、HER2陽性転移性乳がんを有する、これまで治療を受けていない(第一線)患者に前例のない生存利益を示している。
FDC中の酵素ヒアルロニダーゼは、適切な共投与治療薬のSC薬物送達を可能にし、最適化する。組換えヒトヒアルロニダーゼPH20(rHuPH20)は、体内のグリコサミノグリカンまたは天然糖類鎖であるヒアルロナンを一時的に分解して、他の注射治療薬の分散および吸収を助ける酵素である。
トラスツズマブおよびペルツズマブは、93%を超える配列同一性を有し、合計で30Daだけが異なっている。両方の抗体は、およそ148kDaの分子量を有し、ほぼ同じ等電点を有する。これらは同じ標的(HER2)に結合し、in vivoで相乗効果を有する。構造的および機能的な類似性のために、大部分の通常分析方法をこの合剤に適用することができない。
一実施形態において、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)の結合アッセイであって、
a.FDCを、修飾HER2 ECDサブドメインを含む捕獲試薬と接触させることと;
b.試料を検出可能な抗体と接触させることと;
c.捕獲試薬に結合した抗体のレベルを、検出可能な抗体の検出手段を使用して定量化することと、
を含む、結合アッセイが提供される。
一実施形態において、一定用量配合剤は、HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体、およびHER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体を含む。
一実施形態において、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FDC)のための結合アッセイが提供され、ここでHER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体の結合が定量化される。
一実施形態において、捕獲試薬は、組換えHER2細胞外ドメインIIを含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号2または配列番号23を含む。一実施形態において、捕獲試薬は、組換えHER2細胞外ドメインI、II、IIIを含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号24を含む。一実施形態において、捕獲試薬は、HER2サブドメインIVを含まない。
一実施形態において、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FDC)のための結合アッセイが提供され、ここでHER2サブドメインIIに結合する抗体の結合が定量化される。一実施形態において、捕獲試薬は、組換えHER2細胞外ドメインIVを含む。
一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号4または配列番号28を含む。一実施形態において、捕獲試薬は、HER2サブドメインIIを含まない。一実施形態において、捕獲試薬は、組換えHER2細胞外ドメインI、III、IVおよびEGFRのドメインIIを含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号29を含む。
一実施形態において、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FDC)のための結合アッセイが提供され、ここで結合アッセイは抗HER2抗体のうちの1つの生物活性を分析するためのものである。一実施形態において、生物活性は、細胞ベースアッセイにおいて測定して、捕獲試薬に結合した抗体のレベルを、単離抗体の生物活性と相関させることによって定量化される。
一実施形態において、捕獲試薬は、マイクロタイタープレートにコートされる。一実施形態において、検出可能な抗体は、抗HER2抗体のF(ab’)2部分を標的にする。
一実施形態において、結合アッセイにより分析される一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。
一実施形態において、配列番号24を含む単離タンパク質が提供される。一実施形態において、配列番号29を含む単離タンパク質が提供される。
さらに提供されるものは、HER2細胞外サブドメインIIに結合する第1の抗体および第2の抗HER2抗体の一定用量配合剤(FDC)において、HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体の結合を特異的に定量化するキットであって、
a.配列番号1、配列番号2および配列番号34を含むタンパク質を捕獲試薬として含有する容器と、
b.HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体の結合を定量化するための指示書と、
を含むキットである。
さらに提供されるものは、HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体および第2の抗HER2抗体の一定用量配合剤(FDC)において、HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体の結合を特異的に定量化するキットであって、
a.配列番号33、配列番号36、配列番号3および配列番号4を含むタンパク質を捕獲試薬として含有する容器と、
b.HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体の結合を定量化するための指示書と、
を含む、キット。
本発明の別の態様において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法であって、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65であることと、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7であることと、
を含む、方法が提供される。
一実施形態において、イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、強陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を含む。
一実施形態において、工程bは塩勾配で実施される。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーは塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、上記のペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法は、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、方法は32~40℃の温度で実施される。一実施形態において、分析されるペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。
一実施形態において、組成物を作製する方法であって、(1)ペルツズマブ、トラスツズマブおよびこれらの1つまたは複数の変異体を含む一定用量配合剤を生産すること、ならびに(2)そのように生産された組成物を分析アッセイに付して、変異体の量を評価することを含み、変異体が、(i)HC-Asn-391で脱アミド化されているペルツズマブ、ペルツズマブFCシアル酸変異体およびペルツズマブリジン糖化変異体、(ii)ペルツズマブ天然抗体、(iii)トラスツズマブ天然抗体、(vi)一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを含む、方法が提供される。
一実施形態において、組成物を作製する方法であって、工程(2)の分析アッセイが、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65であることと、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7であることと、
を含む方法が提供される。
一実施形態において、イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、強陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を含む。
一実施形態において、工程bは塩勾配で実施される。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーは塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、工程(2)の分析アッセイは、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、方法は32~40℃の温度で実施される。
一実施形態において、工程(1)のペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。
一実施形態において、工程(1)のペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を23%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも28%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも16%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを12%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を23%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも38%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも16%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを9%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を21%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも28%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも23%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを12%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、ピーク1~3の合計の23%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも28%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも16%のピーク領域、およびピーク8の12%未満のピーク領域を含み、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65である工程と、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7である工程と、
を含む方法によって決定される。
一実施形態において、イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、強陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を含む
一実施形態において、工程bは塩勾配で実施される。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーは塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、上記のペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法は、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、方法は32~40℃の温度で実施される。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、rHuPH20を追加的に含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、ピーク1~3の合計の23%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも38%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも16%のピーク領域、およびピーク8の9%未満のピーク領域を含み、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65である工程と、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7である工程と、
を含む方法によって決定される。
一実施形態において、イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、強陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を含む。
一実施形態において、工程bは塩勾配で実施される。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーは塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、上記のペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法は、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、方法は32~40℃の温度で実施される。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、rHuPH20を追加的に含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、ピーク1~3の合計の21%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも28%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも233%のピーク領域、およびピーク8の12%未満のピーク領域を含み、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65である工程と、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7である工程と、
を含む方法によって決定される。
一実施形態において、イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、強陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を含む。
一実施形態において、工程bは塩勾配で実施される。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーは塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、上記のペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法は、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、方法は32~40℃の温度で実施される。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、rHuPH20を追加的に含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む。
本発明の更なる態様において、本明細書に提供される組成物は、以下の工程:
a.所定量のペルツズマブを配合容器に添加する工程と、
b.トラスツズマブを、トラスツズマブとペルツズマブの1:1の比またはトラスツズマブとペルツズマブの1:2の比で添加する工程と、
c.rHuPH20を添加する工程と、
を含む方法により得られる。
さらなる態様において、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法であって、
a.RP-HPLCフェニルカラムを準備することと;
b.2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)をRP-HPLCカラムに装填することと;
c.2つの抗HER2抗体を0.2~0.4mL/分の流量で分離し、カラム温度が64℃~76℃であることと、
を含む方法が提供される。
一実施形態において、一定用量配合剤は、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、工程c)の分離は、水-2-プロパノール/アセトニトリル勾配で達成される。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、工程c)の流量は約0.3mL/分である。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、抗体は10~20分間にわたって分離される。1つのそのような実施形態において、抗体は15分間にわたって分離される。一実施形態において、抗体は、約0.3mL/分の流量で15分間にわたって分離される。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、カラム温度は70℃+-2℃である。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、フェニルカラムは、Agilent Zorbax RRHD 300-Diphenylカラム、Acclaim Phenyl-1(Dionex)、Pursuit(登録商標)XRs Diphenyl、Pinnacle(登録商標)Biphenyl、Zorbax(登録商標)Eclipse(登録商標)Plus Hexyl Phenyl、Ascentis PhenylおよびAgilent AdvanceBio RP mAb Diphenylの群から選択されるカラムである。
HER2タンパク質構造、およびその細胞外ドメインのドメインI~IV(それぞれ、配列番号1~4)についてのアミノ酸配列の模式図を提供する。 マウスモノクローナル抗体2C4(それぞれ、配列番号5および6)の可変軽鎖(V)(図2A)ドメインおよび可変重鎖(V)(図2B)ドメイン;変異体574/ペルツズマブ(それぞれ、配列番号7および8)のVドメインおよびVドメイン、ならびにヒトVおよびVコンセンサスフレームワーク(hum κ1、軽鎖カッパサブグループI;humIII、重鎖サブグループIII)(それぞれ、配列番号9および10)のアミノ酸配列のアライメントを描画する。アスタリスクは、ペルツズマブの可変ドメインとマウスモノクローナル抗体2C4との間の、またはペルツズマブの可変ドメインとヒトフレームワークとの間の差異を明らかにする。相補性決定領域(CDR)は、角括弧内にある。 ペルツズマブ軽鎖(図3A:配列番号11)および重鎖(図3B:配列番号12)のアミノ酸配列を示す。CDRを太線で示す。軽鎖および重鎖の計算された分子量は、23,526.22Daおよび49,216.56Daである(還元型におけるシステイン類)。炭化水素部分を重鎖のAsn299に結合させる。 トラスツズマブ軽鎖(配列番号13)のアミノ酸配列を示す。可変軽鎖ドメインの境界を矢印で示す。 トラスツズマブ重鎖(配列番号14)のアミノ酸配列を示す。可変重鎖ドメインの境界を矢印で示す。 ペルツズマブ変異体の軽鎖配列(配列番号15)を描写する。 ペルツズマブ変異体の重鎖配列(配列番号16)を描写する。 HER2細胞外ドメイン、および本明細書に記載されるELISAアッセイに有用な捕獲試薬の模式図を描写する。P-HER2変異体:ペルツズマブ力価を分析するための修飾HER2 ECDである。T-HER2変異体:トラスツズマブ力価を分析するための修飾HER2 ECDである。 細胞ベースアッセイにおける選択的感受性を描写する。図7A:MDA-MB-175 VII細胞を使用したペルツズマブ抗増殖アッセイである。図7B:BT-474細胞を使用したトラスツズマブ抗増殖アッセイである。 細胞ベース抗増殖アッセイにおけるペルツズマブおよびトラスツズマブの相補性機構を描写する。図8A:ペルツズマブ抗増殖アッセイ:トラスツズマブを1:1比で添加すると、用量応答曲線は低濃度に向かってシフトする。図8B:トラスツズマブ抗増殖アッセイ:ペルツズマブを1:1比で添加すると、用量応答曲線は低濃度に向かって僅かにシフトする。 細胞ベース抗増殖アッセイにおける遮蔽効果を描写する。図9A:ペルツズマブ抗増殖アッセイ:HER2に対するペルツズマブ突然変異体(HC S55A)の大きく低減された親和性であり(中実シンボル)、トラスツズマブの添加によりペルツズマブ突然変異体の親和性損失が遮蔽される(中空シンボル)。図9B:トラスツズマブ抗増殖アッセイ:HER2に対するトラスツズマブ突然変異体(LC H91A)の大きく低減された親和性であり(中実シンボル)、ペルツズマブの添加によりトラスツズマブ突然変異体の親和性損失が遮蔽される(中空シンボル)。 ペルツズマブELISAの代表的な用量応答曲線を描写する。 トラスツズマブELISAの代表的な用量応答曲線を描写する。 ペルツズマブ・トラスツズマブFDC電荷変異体を分析する、本明細書に提供されるIEC方法の代表的なクロマトグラムを示す。 ペルツズマブ・トラスツズマブFDC薬品、ペルツズマブおよびトラスツズマブのIE-HPLCクロマトグラムを描写する。 ELISAによりHERT2親和性突然変異体を示す。図14A:ペルツズマブELISA:ペルツズマブ(中実シンボル)と比較したHER2(中空シンボル)へのペルツズマブ突然変異体(HC S55A)の大きく低減された結合活性である。図14B:トラスツズマブELISA:トラスツズマブ(中実シンボル)と比較したHER2(中空シンボル)へのトラスツズマブ突然変異体(LC H91A)の大きく低減された親和性である。 FDC LD参照標準のタンパク質含有量を分析するRP-UHPLCクロマトグラムの例を描写する。 FDC MD参照標準のタンパク質含有量を分析するRP-UHPLCクロマトグラムの例を描写する。
I.定義
「約」という用語は、本特許明細書に使用される場合、提供される特定の値がある程度まで変動しうることを明記することが意図され、例えば、+10%の範囲の変動が所定値に含まれることを意味する。一実施形態において、+/-5%の範囲の変動が所定値に含まれる。
「HER受容体」は、HER受容体ファミリーに属する受容体タンパク質チロシンキナーゼであり、EGFR、HER2、HER3およびHER4受容体が挙げられる。HER受容体は、一般に、HERリガンドが結合しうる、および/または別のHER受容体分子により二量体化しうる細胞外ドメイン;親油性膜貫通ドメイン;保存された細胞内チロシンキナーゼドメイン;ならびにリン酸化されうるいくつかのチロシン残基を保有するカルボキシル末端シグナル伝達ドメインを含む。HER受容体は、「天然配列の」HER受容体またはその「アミノ酸配列変異体」であってもよい。好ましくは、HER受容体は、天然配列のヒトHER受容体である。
「ErbB2」および「HER2」という表現は、本明細書において互換的に使用され、例えば、Sembaら、PNAS(USA)82巻:6497~6501頁(1985年)およびYamamotoら、Nature 319巻:230~234頁(1986年)(Genebank受入番号X03363)に記載されているヒトHER2タンパク質を指す。「erbB2」という用語は、ヒトErbB2をコードする遺伝子を指し、「neu」は、ラットp185neuをコードする遺伝子を指す。好ましいHER2は、天然配列のヒトHER2である。
本明細書において、「HER2細胞外ドメイン」または「HER2 ECD」は、細胞膜に固定されている、または循環中にその断片を含んでいる、のいずれか一方で細胞の外側にあるHER2のドメインを指す。HER2のアミノ酸配列を図1に示す。一実施形態において、HER2の細胞外ドメインは、4つのサブドメイン:「サブドメインI」(約1~195のアミノ酸残基;配列番号1)、「サブドメインII」(約196~319のアミノ酸残基;配列番号2)、「サブドメインIII」(約320~488のアミノ酸残基;配列番号3)および「サブドメインIV」(約489~630のアミノ酸残基;配列番号4)(シグナルペプチドなしの残基番号付け)を含むことができる。Garrettら、Mol.Cell.11巻:495~505頁(2003年)、Choら、Nature 42巻:756~760頁(2003年)、Franklinら、Cancer Cell 5巻:317~328頁(2004年)およびPlowmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.90巻:1746~1750頁(1993年)、ならびに本明細書の図1を参照のこと。「組換えHER2細胞外サブドメイン」または「組換えHER2 ECDサブドメイン」は、対応する完全長または切断型天然HER2 ECDサブドメインを含む。修飾HER2 ECDの立体構造が天然HER2 ECDに可能な限りよく似るように、組換えHER2 ECDサブドメインを6個のアミノ酸まで、好ましくはC末端で切断することができる。
「抗HER2抗体」または「HER2抗体」は、HER2受容体に結合する抗体である。任意選択で、HER2抗体は、HER2の活性化または機能にさらに干渉する。本明細書の目的の抗HER2抗体は、ペルツズマブおよびトラスツズマブである。
HER2の「細胞外サブドメインIIに結合する」抗体は、ドメインII(配列番号2)の残基に結合し、任意選択でHER2の他のサブドメイン、例えば、サブドメインIおよびIII(それぞれ配列番号1および3)の残基に結合する。好ましくは、細胞外サブドメインIIに結合する抗体は、HER2の細胞外サブドメインI、IIおよびIIIの間の接合部に結合する。一実施形態において、細胞外サブドメインIIに結合する抗体は、ペルツズマブまたはその変異体である。
本明細書における目的のために、「ペルツズマブ」および「rhuMAb 2C4」は、互換的に使用され、それぞれ配列番号7および8の可変軽鎖および可変重鎖アミノ酸配列を含む抗体を指す。ペルツズマブがインタクトな抗体である場合、それは、好ましくはIgG1抗体を含み、一実施形態では、配列番号11または15の軽鎖アミノ酸配列および配列番号12または16の重鎖アミノ酸配列を含む。抗体は、任意選択で組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞により産生される。本明細書における「ペルツズマブ」および「rhuMAb 2C4」という用語は、米国一般名称(USAN)または国際一般名(INN):ペルツズマブに関する薬物のバイオシミラーバージョンを網羅する。
HER2の「細胞外サブドメインIVに結合する」抗体は、ドメインIV(配列番号4)の残基に結合し、任意選択でHER2の他のサブドメインの残基に結合する。一実施形態において、細胞外サブドメインIVに結合する抗体は、トラスツズマブまたはその変異体である。
本明細書における目的のために、「トラスツズマブ」および「rhuMAb4D5」は、互換的に使用され、それぞれ配列番号13および14の範囲内の可変軽鎖および可変重鎖アミノ酸配列を含む抗体を指す。トラスツズマブがインタクトな抗体である場合、それは、好ましくはIgG1抗体を含み、一実施形態では、配列番号13の軽鎖アミノ酸配列および配列番号14の重鎖アミノ酸配列を含む。抗体は、任意選択でチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞により産生される。本明細書において、用語「トラスツズマブ」および「rhuMAb4D5」は、米国一般名称(USAN)または国際一般名称(INN):トラスツズマブに関する薬物のバイオシミラーバージョンを網羅する。
「合剤」という用語は、2つ以上の活性成分を含む単一のすぐに使用できる医薬製剤、例えば、皮下(SC)投与のために一緒に製剤化されたペルツズマブおよびトラスツズマブを含む単一のすぐに使用できる医薬製剤を指すために本明細書で使用される。
「一定用量配合剤」または「FDC」という用語は、2つ以上の活性成分を含む単一のすぐに使用できる医薬製剤、例えば、皮下(SC)投与のために一緒に製剤化されたペルツズマブおよびトラスツズマブを含む単一のすぐに使用できる医薬製剤を指すために本明細書で使用される。「ペルツズマブ・トラスツズマブFDC」は、ペルツズマブ、トラスツズマブおよび任意選択でヒアルロニダーゼを含む。
「ヒアルロニダーゼ」または「ヒアルロニダーゼ酵素」という用語は、動物界全体に見出される一般に中性活性または酸活性酵素の群である。ヒアルロニダーゼは、基質の特異性および作用機序に関して異なっている(国際公開第2004/078140号)。ヒアルロニダーゼには3つの一般的なクラスが存在する:1.主な最終生成物として四糖および六糖を有するエンド-β-N-アセチルヘキソサミニダーゼである、哺乳動物型ヒアルロニダーゼ(EC3.2.1.35)。それらは加水分解性活性およびトランスグリコシダーゼ活性の両方を有し、ヒアルロナンおよびコンドロイチン硫酸(CS)、一般にC4-SおよびC6-Sを分解することができる。2.細菌性ヒアルロニダーゼ(EC4.2.99.1)は、ヒアルロナンを、様々な程度でCSおよびDSへと分解する。それらは、主に二糖の最終生成物を生じるベータ脱離反応により作動する、エンド-β-N-アセチルヘキソサミニダーゼである。3.ヒル、他の寄生生物および甲殻類からのヒアルロニダーゼ(EC3.2.1.36)は、β1-3連結の加水分解を介して四糖および六糖の最終生成物を生成するエンド-ベータ-グルクロニダーゼである。哺乳動物ヒアルロニダーゼは、2つの群:中性活性酵素および酸活性酵素にさらに分けることができる。ヒアルロニダーゼ様酵素はまた、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー、例えば、ヒトHYAL2およびヒトPH20を介して原形質膜に一般にロックされているもの[Danilkovitch-Miagkovaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、2003年;100巻(8号):4580~4585頁;Phelpsら、Science 1988年;240巻(4860号):1780~1782頁]、ならびに一般的に可溶性であるもの、例えばヒトHYAL1[Frost,I.G.ら、「Purification,cloning,and expression of human plasma hyaluronidase」、Biochem.Biophys.Res.Commun.1997年;236巻(1号):10~15頁]により特徴づけることもできる。ウシPH20は、原形質膜に非常に緩く結合し、ホスホリパーゼ感受性アンカーを介して固定されていない[Lalancetteら、Biol.Reprod.、2001年;65巻(2号):628~36頁]。このウシヒアルロニダーゼの独自の特色は、臨床使用のための抽出物としての可溶性ウシ精巣ヒアルロニダーゼ酵素(Wydase(商標)、Hyalase(商標))の使用を可能にしている。他のPH20種は、一般に洗剤またはリパーゼの使用なしでは可溶性にならない脂質アンカー酵素である。例えば、ヒトPH20は、GPIアンカーを介して原形質膜に固定される。天然に存在するマカク精子ヒアルロニダーゼは、可溶性形態と膜結合形態の両方に見出される。64kDaの膜結合形態はpH7.0で酵素活性を有するが、54kDa形態はpH4.0でのみ活性である[Cherrら、Dev.Biol.、1996年;10版;175巻(1号):142~53頁]。国際公開第2006/091871号は、皮下組織への治療薬の投与を促進する、可溶性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)を記載する。細胞外空間においてHAを素早く脱重合することによって、sHASEGPは間質の粘性を低減し、それにより水伝導度を増加して、より大きな容量を安全および快適にSC組織中に投与することが可能になる。好ましいヒアルロニダーゼ酵素は、ヒトヒアルロニダーゼ酵素、最も好ましくは、rHuPH20(ボルヒアルロニダーゼアルファ)として公知の組換えヒトヒアルロニダーゼ酵素である。rHuPH20は、N-アセチルグルコサミンのC位置とグルクロン酸のC位置との間のβ-1,4連結の加水分解によりヒアルロナンを脱重合する、中性および酸活性β-1,4グリコシルヒドロラーゼのファミリーのメンバーである。EU加盟国において承認されたヒアルロニダーゼ製品には、Hylase(登録商標)「Dessau」およびHyalase(登録商標)が挙げられる。米国において承認された動物由来のヒアルロニダーゼ製品には、Vitrase(商標)、Hydase(商標)およびAmphadase(商標)が挙げられる。
rHuPH20は、治療用途に現在利用可能な最初で唯一の組換えヒトヒアルロニダーゼ酵素である。rHuPH20(HYLENEX(商標))のアミノ酸配列は周知であり、CAS登録番号75971-58-7で入手可能である。およその分子量は61kDaである。一実施形態において、ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、ヒアルロニダーゼを任意選択で2000U/mLの濃度で含む。
本明細書における「負荷」量は、一般に、患者に投与される治療剤の初期量を含み、その後、1つまたは複数の維持量が続く。ペルツズマブ・トラスツズマブFDCの負荷量(LD)は、40mg/mLのトラスツズマブ、80mg/mLのペルツズマブおよび2000U/mLのrHuPH20を含む。
本明細書における「維持」量は、治療期間にわたって患者に投与される治療剤の1つまたは複数の用量を指す。通常、維持量は、間隔を置いた治療間隔によって、例えば、ほぼ毎週、ほぼ2週間ごと、ほぼ3週間ごと、またはほぼ4週間ごと、好ましくは3週間ごとに投与される。ペルツズマブ・トラスツズマブFDCの維持量(MD)は、60mg/mLのトラスツズマブ、60mg/mLのペルツズマブおよび2000U/mLのrHuPH20を含む。
本明細書に使用される場合、「捕獲試薬」は、被分析物に結合することができる任意の薬剤(例えば、抗HER2抗体)を指す。好ましくは、「捕獲試薬」は、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤において抗HER2抗体により特異的に結合される任意の薬剤を指す。一定用量配合剤における2つの抗HER2抗体のうちの1つの結合を具体的に分析するため、捕獲試薬は、その抗体に特異的でなければならず、例えば、分析される抗体は、FDCの第2の抗HER2抗体より捕獲試薬に高い結合親和性および/または特異性を有するべきである。一実施形態において、アッセイに提供される捕獲試薬は、修飾HER2 ECDである。
「修飾HER2 ECD」は、1つまたは複数の組換えHER2 ECDサブドメインを含む遺伝子操作されたタンパク質またはペプチドである。HER2 ECDは、FDCにおいて査定される抗HER2抗体のうちの1つが結合し、FDCにおける第2の抗HER2抗体が結合しないように修飾される。これは、第2の抗HER2抗体が結合するHER2 ECDサブドメインを省くこと、またはそれを抗HER2抗体のいずれにも結合しない構造的に近いサブドメインに置き換えること、のいずれかによって達成される。好ましくは、修飾HER2 ECDは、天然HER2 ECDを限りなく近く模倣するように構築される。サブドメインは、完全長でありうる、またはNもしくはC末端で数個のアミノ酸により短縮されうる。HER2 ECDの三次元構造の完全性は、C末端で約4~5個のアミノ酸により短縮されている1つまたは複数の組換えHER2 ECDサブドメインを使用すると保持または改善されることが、本発明の発明者たちによって見出されている。
本明細書における「Fcドメイン」は、免疫グロブリン重鎖のC末端ドメインを定義するように使用される。Fcドメインは、様々なものに由来し、例えば、マウス、ラット、ヤギまたはヒト由来のものでありうる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変わりうるが、ヒトIgG重鎖Fcドメインは、通常、Cys226位のアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシル末端まで伸びることが定義される。別途指示がない限り、本明細書において、免疫グロブリン重鎖中の残基の番号付けは、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service,National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991年)のようなEUインデックスの番号付けである。「KabatにおけるEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。
「検出可能な抗体」という用語は、本明細書に使用される場合、検出可能なシグナルを生成することができる薬剤または検出可能な標識に連結している抗体を指し、これを使用して、検出される被分析物(すなわち、抗HER2抗体)の存在および/または量を査定することができる。
「標識」または「検出可能な標識」という用語は、検出可能な抗体に連結することができる任意の化学基または部分である。検出可能な標識の例には、発光標識(例えば、蛍光標識、リン光標識、化学発光標識、生物発光標識および電気化学発光標識)、放射性標識、酵素、粒子、磁気物質、電気活性種などが挙げられる。あるいは、検出可能な標識は、特異的結合反応に関与することによってその存在をシグナル伝達しうる。このような標識の例には、ハプテン、抗体、ビオチン、ストレプトアビジン、Hisタグ、ニトリロ三酢酸、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、グルタチオンなどが挙げられる。
「検出手段」という用語は、本明細書におけるアッセイで読み取られるシグナル報告を介して、検出可能な抗体の存在を検出するために使用される部分または技法を指す。「フォトルミネセンス」は、材料による光(電磁放射線.またはemrと代替的に称される)の吸収の後に、その材料が発光する過程である。蛍光およびリン光は、2つの異なるタイプのフォトルミネセンスである。「化学発光」の過程は、化学反応による発光種の創出を伴う。「電気化学発光」または「ECL」は、ある種が、例えば目的の抗体が、適切な周辺化学環境下でその種の電気化学的エネルギーへの曝露時に発光する過程である。
本明細書に使用される場合、「ELISA」(酵素結合免疫吸着法としても公知である)という用語は、主に、生物学的試料中の抗体の存在を検出するために使用される生化学技術を指す。本出願の目的において、ELISA技術は、一定用量配合剤中の抗HER2抗体の検出および定量化のために使用される。ELISAベースアッセイにとって典型的には、捕獲試薬は、固定化される、または固定化可能である。
本明細書において、「力価」は、生物治療薬(biotherapeutic drug)の治療活性または意図される生物学的効果を指す。生物治療薬の力価は、前記生物治療薬の活性成分の生物活性を測定または定量化することによって決定することができる。
本明細書において、モノクローナル抗体の「生物活性」は、抗原に結合して、in vitroまたはin vivoで測定することができる測定可能な生物学的応答をもたらす抗体の能力を指す。一実施形態において、生物活性とは、本明細書に提供される結合アッセイにおいて捕獲試薬に結合する能力を指す。一実施形態において、FDC中の抗HER2抗体の結合は、単一抗体製剤中の抗HER2抗体がヒト乳がん細胞株の増殖を阻害する能力に相関する。ペルツズマブを試験するために好適なヒト乳がん細胞株は、MDA-MB-175-VIIである。トラスツズマブを試験するために好適なヒト乳がん細胞株は、BT-474である。
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、およびそれらが所望の生物活性を呈する限り抗体断片を網羅する。
非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小の配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の超可変領域の残基を、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類の超可変領域の残基で置き換えた抗体である。一部の場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、抗体性能をさらに洗練させるために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのうちの実質的にすべてを含み、超可変ループのうちのすべて、または実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRのうちのすべて、または実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体はまた、任意選択で免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部分も含む。さらなる詳細については、Jonesら、Nature 321巻:522~525頁(1986年);Riechmannら、Nature 332巻:323~329頁(1988年);およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.2巻:593~596頁(1992年)を参照のこと。ヒト化HER2抗体には、参照により本明細書所に明示的に組み込まれる米国特徴5,821,337号の表3に記載され、本明細書に定義されているトラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標));ならびにヒト化2C4抗体、例えば、本明細書に記載および定義されているペルツズマブが具体的に挙げられる。
本明細書における「インタクトな抗体」は、2つの抗原結合領域および1つのFc領域を含むものである。好ましくは、インタクトな抗体は、機能性Fc領域を有する。
「抗体断片」は、好ましくはその抗原結合領域を含む、インタクトな抗体の一部分を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)およびFv断片;ダイアボディ(diabody);直鎖状抗体;単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖が1つのジスルフィド共有結合により重鎖に連結されるが、ジスルフィド連結の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖および軽鎖はまた、規則的に間隔を置いた鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(V)を有し、その後に多数の定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(V)を有し、他方の末端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと位置が揃っており、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと位置が揃っている。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に接触面を形成すると考えられている。
本明細書に使用されるとき、「超可変領域」という用語は、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、「相補性決定領域」または「CDR」のアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基24~34(L1)、50~56(L2)および89~97(L3)、および重鎖可変ドメイン中の残基31~35(H1)、50~65(H2)および95~102(H3);Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service,National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991年))、ならびに/または「超可変ループ」の残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基26~32(L1)、50~52(L2)および91~96(L3)、および重鎖可変ドメイン中の残基26~32(H1)、53~55(H2)および96~101(H3);ChothiaおよびLesk J.Mol.Biol.196巻:901~917頁(1987年))を含む。「フレームワーク領域」または「FR」残基は、それらの、本明細書に定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、インタクトな抗体には、異なる「クラス」を割り当てることができる。インタクトな抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのいくつかを、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2にさらに分けてもよい。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元配置は周知である。
「ネイキッド抗体」は、異種分子、例えば細胞障害性部分または放射標識にコンジュゲートされない抗体である。
「親和性成熟」抗体は、その1つまたは複数の超可変領域内に1つまたは複数の改変を有し、これらの改変が、これらの改変を有さない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改善をもたらす抗体である。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル、またはさらにはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野に公知の手順によって産生される。Marksら、Bio/Technology 10巻:779~783頁(1992年)はVHおよびVLドメインシャッフリングによる親和性成熟を記載している。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbasら、Proc Nat.Acad.Sci,USA 91巻:3809~3813頁(1994年);Schierら、Gene 169巻:147~155頁(1995年);Yeltonら、J.Immunol.155巻:1994~2004頁(1995年);Jacksonら、J.Immunol.154巻(7号):3310~9頁(1995年);およびHawkinsら、J.Mol.Biol.226巻:889~896頁(1992年)に記載されている。
「バイアル」は、液体または凍結乾燥調製物を保持するのに好適な容器である。一実施形態において、バイアルは、使い捨てバイアル、例えば、栓の付いた10mLまたは20mLの使い捨てバイアル、例えば、20mmの栓が付いた10mLの使い捨てガラスバイアルである。
本明細書に使用される場合、「溶出」は、陽イオン交換材料を囲むバッファーのイオン強度を、バッファーがイオン交換材料の荷電部位の分子と競合するように改変することによって、陽イオン交換材料から目的のタンパク質(例えば、抗体)を除去することを指す。
本明細書に使用される場合、「クロマトグラフィー」という用語は、混合物中の目的の溶質、例えば、目的のタンパク質を、方法の特定の緩衝条件下で溶質の性質、例えば、パイ、疎水性、サイズおよび構造に起因して多少は強く吸着または保持する吸着剤を通した混合物のパーコレーションによって、混合物中の他の溶質から分離する方法を指す。
「イオン交換」および「イオン交換クロマトグラフィー」という用語は、目的の溶質が混合物中の溶質不純物または夾雑物より多少は非特異的に荷電化合物と相互作用するようなpHおよび伝導性の適切な条件下で、目的のイオン化可能な溶質(例えば、FDCの抗体、ならびにこれらの酸性および塩基性変異体)が、固体相イオン交換材料に連結した(例えば、共有結合により)逆荷電リガンドと相互作用するクロマトグラフィーの方法を指す。
「イオン交換クロマトグラフィー」には、具外的に、陽イオン交換(CEX)クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび混合モードクロマトグラフィーが挙げられる。
「陽イオン交換材料」または「CEX材料」は、負に荷電している、および固体相を通過する、または中を通る水溶液中の陽イオンとの交換のために遊離陽イオンを有する固体相である。陽イオン交換材料を形成するのに好適な固体相に結合した任意の負荷電リガンドを使用することができ、例えば、下記に記載されるカルボキシレート、スルホネートなどでありうる。市販の陽イオン交換材料には、例えば、スルホネートに基づいた基を有するもの(例えば、GE HealthcareからのMonoS、MiniS、Source 15Sおよび30S、SP Sepharose Fast Flow(商標)、SP Sepharose High Performance、TosohからのToyopearl SP-650SおよびSP-650M、BioRadからのMacro-Prep High S、Pall TechnologiesからのCeramic HyperD S、Trisacryl MおよびLS SP、Spherodex LS SP);スルホエチルに基づいた基を有するもの(例えば、EMDからのFractogel SE、Applied BiosystemsからのPoros S-10およびS-20);スルホプロピルに基づいた基を有するもの(例えば、TosohからのTSK Gel SP 5PWおよびSP-5PW-HR、Applied BiosystemsからのPoros HS-20およびHS 50);スルホイソブチルに基づいた基を有するもの(例えば、EMDからの「Fractogel EMD SO3」);スルホエチルに基づいた基を有するもの(例えば、WhatmanからのSE52、SE53およびExpress-Ion S);カルボキシメチルに基づいた基を有するもの(例えば、GE HealthcareからのCM Sepharose Fast Flow、Biochrom Labs Inc.からのHydrocell CM、BioRadからのMacro-Prep CM、Pall TechnologiesからのCeramic HyperD CM、Trisacryl M CM、Trisacryl LS CM、MilliporeからのMatrx Cellufine C500およびC200、WhatmanからのCM52、CM32、CM23およびExpress-Ion C、TosohからのToyopearl CM-650S、CM-650MおよびCM-650C);スルホン酸およびカルボン酸に基づいた基を有するもの(例えば、J.T.BakerからのBAKERBOND Carboxy-Sulfon);カルボン酸に基づいた基を有するもの(例えば、J.T BakerからのWP CBX、Dow Liquid SeparationsからのDOWEX MAC-3、Sigma-AldrichからのAmberlite Weak Cation Exchangers、DOWEX Weak Cation ExchangerおよびDiaion Weak Cation Exchangers、EMDからのFractogel EMD COO-);スルホン酸に基づいた基を有するもの(例えば、Biochrom Labs Inc.からのHydrocell SP、Dow Liquid SeparationsからのDOWEX Fine Mesh Strong Acid Cation Resin、J.T.BakerからのUNOsphere S、WP Sulfonic、SartoriusからのSartobind S membrane、Sigma-AldrichからのAmberlite Strong Cation Exchangers、DOWEX Strong CationおよびDiaion Strong Cation Exchanger);ならびにオルトホスフェートに基づいた基を有するもの(例えば、WhatmanからのPI 1)が挙げられるが、これらに限定されない。
荷電基/置換基の化学性に応じて、「イオン交換クロマトグラフィー材料」は、共有結合荷電置換基の強さによって強または弱イオン交換材料と分類されうる。「強陽イオン交換材料」または「(SCX)材料」は、本明細書に使用される場合、スルホン酸に基づいた基、例えば、スルホネート、スルホプロピル基、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムまたはポリAMPS(ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸))を有する。
タンパク質または抗体の「等電点」または「pI」は、タンパク質または抗体の実効電荷が中性であるpH値に対応する。pIは、標準的な実験方法により、例えば、等電点電気泳動法または計算法(「理論的pI」)により決定することができる。計算法の例は、フリーオンライン標準ツールの「ExPASy」(http://web.expasy.org/compute_pi/)であり、これはタンパク質または抗体のアミノ酸配列に基づいてpIを計算する。トラスツズマブの理論的pIは8.4であり、ペルツズマブの理論的pIは8.7である。
「移動相」は、クロマトグラフィー系の中を流れる液体または気体であり、分離されるべき材料を固定相において異なる速さで動かす。好ましくは、移動相は液体である。一例において、移動相は、ローディングバッファー(「移動相A」)または溶出バッファー(「移動相B」)でありうる。
「ローディングバッファー」は、標的分子がイオン交換クロマトグラフィー材料のリガンドと有効に相互作用して、親和性媒体に保持され、他のすべての分子がカラムから洗い流されることを確実にする条件を提供する。
「溶出バッファー」を使用して、最初に非結合タンパク質を洗い出し、より大きな濃度で電荷変異体および天然抗体をリガンドから遊離させる。
本明細書における「主要種抗体」または「天然抗体」という用語は、組成物中で量的に優勢な抗体分子である、組成物中の抗体アミノ酸配列構造を指す。2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤に関して、2つの主要種抗体は組成物の一部である。よって、一実施形態において、主要種抗体は、HER2の細胞外サブドメインIIに結合する抗体、および細胞外サブドメインIVに結合する抗体である。一実施形態において、FDCの主要種抗体は、ペルツズマブおよびトラスツズマブである。
「電荷変異体」は、主要種抗体の変異体であり、主要種抗体と全体的に異なる電荷を有する。電荷変異体の例は、酸性変異体および塩基性変異体である。
「酸性変異体」は、主要種抗体の変異体であり、主要種抗体よりも酸性である。酸性変異体は、主要種抗体と比べて負電荷を得ている、または正電荷を失っている。そのような酸性変異体は、電荷に従ってタンパク質を分離する分離方法、例えば、イオン交換クロマトグラフィーを使用して分解することができる。主要種抗体の酸性変異体は、陽イオン交換クロマトグラフィーにより分離すると、主ピークより早く溶出する。ペルツズマブおよびトラスツズマブの酸性変異体は、本明細書に記載されているイオン交換クロマトグラフィーにより分離および定量化されうる。酸性ペルツズマブ変異体の例は、391位(HC-Asn-391)の重鎖アスパラギンで脱アミド化されているペルツズマブ、ペルツズマブFcシアル酸変異体およびペルツズマブリジン糖化変異体である。酸性トラスツズマブ変異体の例は、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブおよびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブである。
「塩基性変異体」は、主要種抗体の変異体であり、主要種抗体よりも塩基性である。塩基性変異体は、主要種抗体と比べて正電荷を得ている、または負電荷を失っている。そのような塩基性変異体は、電荷に従ってタンパク質を分離する分離方法、例えば、イオン交換クロマトグラフィーを使用して分解することができる。主要種抗体の塩基性変異体は、陽イオン交換クロマトグラフィーにより分離すると、主ピークより遅く溶出する。ペルツズマブおよびトラスツズマブの塩基性変異体は、本明細書に記載されているイオン交換クロマトグラフィーにより分離および定量化されうる。
「勾配」という用語は、本明細書に使用される場合、クロマトグラフィー試料を流している最中の移動相の性質変化を意味する。「連続勾配」において、移動相の1つまたは複数の条件、例えば、pH、イオン強度、塩濃度および/または移動相の流れは連続的に変化する、すなわち、上昇または低下する。変化は、直線的または指数関数的または漸近的でありうる。「段階的勾配」において、1つまたは複数の条件、例えば、pH、イオン強度、塩濃度および/またはクロマトグラフィーの流れは、直線的変化と対照的に増加的に、すなわち段階的に変化しうる。
「RP-UHPLC」という用語は、逆相超高速液体クロマトグラフィーを意味する。RP-HPLCという用語は、逆相高速液体クロマトグラフィーを表す。HPLCは、化合物を、化合物の極性およびカラムの固定相との相互作用に基づいて分離するために使用される。逆相クロマトグラフィーは、移動相が固定相より有意に極性である液体クロマトグラフィーに使用される溶出手順である。
「RP-HPLCフェニルカラム」は、本明細書に使用される場合、カラム充填材料または樹脂(固定相)に存在する疎水性フェニル基を有するカラムを指す。例えば、フェニルカラムは、カラムの中を流れる材料を非置換フェニル基に曝露する。フェニルカラムは、例えば、シリカ表面またはジフェニル相に共有結合した短アルキルフェニルリガンドを含有する。一部のフェニルカラムは、フェニル基とシリカ表面の間にアルキルスペーサーを有するフェニル基を有する。アルキルスペーサーの長さを増加することによって、立体選択性および芳香族選択性が増強されうる。RP-HPLCフェニルカルムは、芳香族基の数(モノフェニル対ビフェニル)、シリカ表面とフェニル基との間のアルキルスペーサーの長さ、結合リガンドの置換基の特質(典型的にはメチル、またはより立体的に嵩高のイソブチル基)、芳香族環のπ電子系を活性化するためのリンカー中への酸素原子の包含、および最後にシリカ固定表面がエンドキャップされているか否かにより異なっている。例えば、RP-HPLCフェニルカルムは、以下の基:メチル側基およびエンドキャップされたシリカ表面を有するエチルフェニル、伸長した(ヘキシル)リガンドスペーサーメチル側基を有するフェニルヘキシル相、立体保護(イソブチル)側基を有するエチルフェニルリガンド、メチル側基を有するヘキシルビフェニル、メチル側基を有するビフェニル相、メチル側基を有する酸素活性化フェニルエチルフェニル相を有することができる。フェニル(例えば、単一フェニル、ビフェニル、ジフェニル、フェニルヘキシル、フェニルプロピル)で修飾された固定相を有するHPLCカラムは、大部分の主要なカラム供給会社から容易に入手可能であり、例えば、Acclaim Phenyl-1(Dionex)、Pursuit(登録商標)XRs Diphenyl、Pinnacle(登録商標)Biphenyl、Zorbax(登録商標)Eclipse(登録商標)Plus Hexyl Phenyl、Ascentis Phenyl、Agilent Zorbax RRHD 300-DiphenylおよびAgilent AdvanceBio RP mAb Diphenylである。
「がん」および「がん性」という用語は、制御されていない細胞成長を典型的に特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指す、または説明する。
「進行」がんは、元の部位または臓器の外側に、局所浸潤(「局所進行性」)または転移(「転移性」)のいずれかによって広がっているがんである。したがって、「進行」がんという用語は、局所進行性疾患および転移性疾患の両方を含む。
「転移性」がんは、身体の1つの部分(例えば、乳房)から身体の別の部分へ広がっているがんを指す。
「難治性」がんは、抗腫瘍剤、例えば化学療法、または生物学的療法、例えば免疫療法が、がん患者に投与されているにもかかわらず進行するがんである。難治性がんの例は、白金難治性がんである。
「再発」がんは、初期療法、例えば手術への応答後に、初期部位または遠位部位のいずれかにおいて再成長したがんである。
「局所再発」がんは、治療後に以前に治療されたがんと同じ場所で再発するがんである。
「切除不能な(non-resectable)」または「切除不能な(unresectable)」がんは、手術によって除去(切除)することができない。
本明細書において「早期乳がん」は、乳房または腋窩リンパ節を越えて広がらない乳がんを指す。そのようながんは、一般にネオアジュバントまたはアジュバント療法により治療される。
「ネオアジュバント療法」または「ネオアジュバント治療」または「ネオアジュバント投与」は、手術の前に与えられる全身療法を指す。
「アジュバント療法」または「アジュバント治療」または「アジュバント投与」は、手術の後に与えられる全身療法を指す。
本明細書において、「患者」または「対象」は、ヒト患者である。患者は「がん患者」、すなわち、がん、特に乳がんの1つまたは複数の症状を罹患している、または罹患するリスクがあるがん患者でありうる。
「患者集団」は、がん患者の群を指す。このような集団を使用して、薬物、例えばペルツズマブおよび/またはトラスツズマブの統計的に有意な有効性および/または安全性を実証することができる。
「再発」患者は、寛解後にがんの兆候または症状を有する患者である。任意選択で、患者は、アジュバント療法またはネオアジュバント療法後に再発している。
「HER発現、増幅または活性化を示す」がんまたは生物学的試料は、診断試験において、HER受容体を発現する(過剰発現を含む)もの、増幅したHER遺伝子を有するもの、および/またはそうでなければHER受容体の活性化もしくはリン酸化を実証するものである。
「HER活性化を示す」がんまたは生物学的試料は、診断試験において、HER受容体の活性化またはリン酸化を示すものである。そのような活性化は、直接的に(例えば、ELISAによりHERリン酸化を測定することによって)、または間接的に(例えば、本明細書に記載されるように、遺伝子発現プロファイリングによって、またはHERヘテロ二量体を検出することによって)決定することができる。
「HER受容体過剰発現または増幅」を伴うがん細胞は、同じ組織型の非がん性細胞と比較して有意に高いレベルのHER受容体タンパク質または遺伝子を有するがん細胞である。そのような過剰発現は、遺伝子の増幅によって、または転写もしくは翻訳の増加によって引き起こされることもある。HER受容体過剰発現または増幅は、細胞の表面に存在するHERタンパク質の増加したレベルを評価すること(例えば、免疫組織化学アッセイ、IHCを介して)によって、診断または予後アッセイにおいて決定することができる。代替としてまたは加えて、細胞中のHERコード核酸のレベルを、例えば、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH;1998年10月発行の国際公開第98/45479を参照のこと)およびクロモジェニックin situハイブリダイゼーション(CISH;例えば、Tannerら、Am.J.Pathol.157巻(5号):1467~1472頁(2000年);Bellaら、J.Clin.Oncol.26巻:(5月20日付録;抄録22147)(2008年)を参照のこと)、サザンブロッティング、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術、例えば、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)を含むin situハイブリダイゼーション(ISH)を介して測定することができる。また、HER受容体過剰発現または増幅は、生体液、例えば血清中の脱落抗原(例えば、HER細胞外ドメインを測定することによっても研究することができる(例えば、1990年6月12日発行の米国特許第4,933,294号;1991年4月18日公開の国際公開第91/05264号;1995年3月28日発行の米国特許第5,401,638号、およびSiasら、J.Immunol.Methods 132巻:73~80頁(1990年)を参照のこと)。上記のアッセイの他に、様々なin vivoアッセイが当業者に利用可能である。例えば、患者の身体内の細胞を、検出可能な標識、例えば、放射能のin situ放射性により任意選択で標識されている抗体に曝露することができる、またはこの抗体に以前に曝露された患者から採取された生検を分析することができる。
「HER2陽性」がんは、正常レベルよりも高いレベルのHER2を有するがん細胞を含む。任意選択で、HER2陽性がんは、免疫組織化学(IHC)スコアの2+もしくは3+を有する、および/またはin situハイブリダイゼーション(ISH)、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)もしくはクロモジェニックin situハイブリダイゼーション(CISH)陽性であり、例えば、ISH/FISH/CISH増幅非の≧2.0を有する。
「HER2突然変異」がんは、例えば、次世代シーケンシング(NGS)またはリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって確認することができるキナーゼドメイン突然変異を含む、HER2活性化突然変異を有するがん細胞を含む。「HER2突然変異」がんは、具体的には、HER2のエクソン20への挿入、HER2のアミノ酸残基755~759の周囲での欠失、突然変異G309A、G309E、S310F、D769H、D769Y、V777L、P780-Y781insGSP、V842I、R896C(Boseら、Cancer Discov 2013年;3巻:1~14頁)のいずれか、ならびに2つまたは複数の独特な標本に見出されたCOSMICデータベースにおける以前に報告された同一の非同義推定活性化突然変異(または、インデル)を特徴とする、がんを含む。さらなる詳細については、例えば、Stephensら、Nature 2004年;431巻:5256頁;Shigematsuら、Cancer Res 2005年;65巻:16426頁;Buttittaら、Int J Cancer 2006年;119巻:258691頁;Liら、Oncogene 2008年;27巻:470211頁;Sequistら、J Clin Oncol 2010年;28巻:307683頁;Arcilaら、Clin Cancer Res 2012年;18巻:49108頁;Greulichら、Proc Natl Acad Sci USA 2012年;109巻:1447681頁;およびHerter-Sprieら、Front Oncol 2013年;3巻:110頁を参照のこと。
本明細書において、「抗腫瘍剤」は、がんを治療するために使用される薬物を指す。本明細書において、抗腫瘍剤の非限定的な例には、化学療法剤、HER二量体化阻害剤、HER抗体、腫瘍関連抗原に対する抗体、抗ホルモン化合物、サイトカイン、EGFR標的薬、抗血管新生剤、チロシンキナーゼ阻害剤、成長抑制剤および抗体、細胞傷害性剤、アポトーシスを誘導する抗体、COX阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬、がん胎児性タンパク質CA125に結合する抗体、HER2ワクチン、Rafまたはras阻害薬、リポソームドキソルビシン、トポテカン、タキサン、二重チロシンキナーゼ阻害剤、TLK286、EMD-7200、ペルツズマブ、トラスツズマブ、エルロチニブ、ならびにベバシズマブが挙げられる。
「治療」は、治療的処置(therapeutic treatment)および予防的または防止的手段の両方を指す。治療を必要とする者には、がんを既に有する者が挙げられ、同様にがんが防止されるべき者が挙げられる。したがって、本明細書において治療される患者は、がんを有していると診断されていることがある、またはがんの素因がありうる、もしくはがんになりやすいことがある。
「有効量」という用語は、患者においてがんを治療するのに有効な薬物の量を指す。有効量の薬物は、がん細胞の数を低減する、腫瘍サイズを低減する、末梢臓器へのがん細胞浸潤を阻害する(すなわち、ある程度遅延し、好ましくは停止させる)、腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅延し、好ましくは停止させる)、腫瘍成長をある程度阻害する、および/またはがんと関連する症状の1つもしくは複数をある程度軽減することができる。既存のがん細胞の成長を防止する、および/またはそれらを死滅させることができる程度まで、薬物は、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性でありうる。有効量は、無増悪生存を延ばす(例えば、固形腫瘍の反応評価基準、RECISTもしくはCA-125変化により測定される)、客観的応答をもたらす(部分応答、PRもしくは完全応答、CRを含む)、全生存期間を増加する、および/またはがんの1つもしくは複数の症状を改善する(例えば、FOSIにより査定される)ことができる。
「細胞傷害性剤」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞の機能を阻害または防止する、および/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、およびLuの放射性同位体)、化学療法剤、ならびに毒素、例えば、細菌、真菌、植物または動物由来の低分子毒素または酵素的に活性な毒素を含むことが意図され、これらの断片および/または変異体が含まれる。
「化学療法」は、がんの治療に有用な化学化合物の使用である。化学療法に使用される化学療法剤の例には、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa);アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミン(trimethylolomelamine)を含む、エチレンイミンおよびメチラメラミン(methylamelamine);TLK286(TELCYTA(商標));アセトゲニン(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン(bullatacinone));デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体トポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)および9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(このアドゼレシン、カルゼレシン(carzelesin)およびビセレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリニック酸;テニポシド;クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体のKW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチイン(sarcodictyin);スポンギスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、コロロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロメタミンオキシド(mechlorethamine oxide hydrochloride)、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロスウレア(nitrosurea)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムヌスチン(ranimnustine);ビスホスホネート、例えばクロドロネート;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、とりわけ、カリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1(例えば、Agnew、Chem Intl.Ed.Engl.33巻:183~186頁(1994年)を参照のこと)、およびアントラサイクリン、例えば、アンナマイシン(annamycin)、AD32、アルカルビシン(alcarubicin)、ダウノルビシン、ドキソルビシン、デクスラゾキサン、DX-52-1、エピルビシン、GPX-100、イダルビシン、バルルビシン、KRN5500、メノガリル、ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン、エスペラミシン、ネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オートラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよび デオキシドキソルビシンを含む)、エソルビシン(esorubicin)、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチンおよびゾルビシン;葉酸類似体、例えば、デノプテリン(denopterin)、プテロプテリンおよびトリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)およびチオグアニン;ピリジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン(dideoxyuridine)、ドキシフルリジン、エノシタビンおよびフロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタンおよびテストラクトン;副腎皮質ホルモン合成阻害薬(anti-adrenal)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタンおよびトリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸(ロイコボリン);アセグラトン;葉酸代謝拮抗剤抗悪性腫瘍剤(anti-folate anti-neoplastic agents)、例えば、ALIMTA(登録商標)、LY231514ペメトレキセド、メトトレキセートなどのジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤、5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗薬およびそのプロドラッグ、例えば、UFT、S-1およびカペシタビン、ならびにチミジル酸シンターゼ阻害剤およびグリシンアミドリボヌクレオチドトランスホルミラーゼ阻害剤、例えば、ラルチトレキセド(TOMUDEX(登録商標)、TDX);ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼの阻害剤、例えばエニルウラシル;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン(diaziquone);エロフニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシノイド、例えば、マイタンシンおよびアンサマイトシン(ansamitocin);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン(losoxantrone);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK7多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、OR);ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン;クロラムブシル;ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金;白金類似体または白金ベース類似体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));ビンカアルカロイド;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン(novantrone);エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメトルヒルオルニチン(difluorometlhylornithine)(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体;ならびに上記の2つ以上の組み合わせ、例えば、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾロンの併用療法の略語であるCHOP、および5-FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))の治療レジメンの略語であるFOLFOXが挙げられる。
また、この定義に含まれるものは、腫瘍へのホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗エストロゲン薬および選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)などの抗ホルモン剤であり、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびFARESTON(登録商標)トレミフェン;アロマターゼ阻害剤;および抗アンドロゲン薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリドおよびゴセレリン;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、たとえば、PKC-アルファ、Raf、H-Rasおよび上皮増殖因子受容体(EGF-R)などの異常な細胞増殖と関連付けられたシグナル伝達経路の遺伝子の発現を阻害するもの;遺伝子療法ワクチンなどのワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチンおよびVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼI阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。
「タキサン」は、有糸分裂を阻害し、マイクロチューブに干渉する化学療法である。タキサンの例には、パクリタキセル(TAXOL(登録商標);Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.);パクリタキセルまたnab-パクリタキセルのクレモフォール無含有のアルブミン操作ナノ粒子製剤(ABRAXANE(商標);American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Illinois);およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標);Rhone-Poulenc Rorer、Antony、France)が挙げられる。
「アントラサイクリン」は、真菌のストレプトコッカス・ピウセチウス(Streptococcus peucetius)から生じるタイプの抗生物質であり、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、および前記に列挙されたものを含む任意の他のアントラサイクリン化学療法剤が挙げられる。
「アントラサイクリンベース化学療法」は、1つまたは複数のアントラサイクリンからなる、またはこれらを含む化学療法レジメンを指す。例には、限定されることなく、5-FFU、エピルビシンおよびシクロホスファミド(FEC);5-FU、ドキソルビシンおよびシクロホスファミド(FAC);ドキソルビシンおよびシクロホスファミド(AC);エピルビシンおよびシクロホスファミド(EC);投与集中ドキソルビシンおよびシクロホスファミド(ddAC)などが挙げられる。
本明細書における目的のために、「カルボプラチンベース化学療法」は、1または複数のカルボプラチンからなる、またはこれらを含む化学療法レジメンを指す。例は、TCH(ドセタキセル/TAXOL(登録商標)、カルボプラチンおよびトラスツズマブ/HERCEPTIN(登録商標))である。
「アロマターゼ阻害剤」は、副腎内でエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害する。アロマターゼ阻害剤の例には、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾールおよびARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールが挙げられる。一実施形態において、本明細書におけるアロマターゼ阻害剤は、レトロゾールまたはアナストロゾールである。
「代謝拮抗薬化学療法」は、代謝産物と構造的に類似しているが、産生方式によって身体で使用することができない薬剤についての用途である。多くの代謝拮抗薬化学療法は、核酸、RNAおよびDNAの産生に干渉する。代謝拮抗化学療法剤の例には、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(XELODA(商標))、6-メルカプトプリン、メトトレキセート、6-チオグアニン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、アラビノシルシトシンARA-Cシタラビン(CYTOSAR-U(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-DOME(登録商標))、アゾシトシン(azocytosine)、デオキシシトシン、ピリドミデン(pyridmidene)、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、クラドリビン、2-デオキシ-D-グルコースなどが挙げられる。
「化学療法抵抗性」がんとは、がん患者が化学療法レジメンを受けている間に進行している(すなわち、患者が「化学療法難治性」である)こと、または患者が化学療法レジメン完了後の12か月以内に(たとえば、6か月以内に)進行していることを意味する。
「プラチン」という用語は、限定されることなくシスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンが挙げられる白金ベース化学療法を指すため、本明細書において使用される。
「フルオロピリミジン」という用語は、限定されることなくカペシタビン、フロクスウリジンおよびフルオロウラシル(5-FU)が挙げられる代謝拮抗薬化学療法を指すために本明細書において使用される。
本明細書における治療剤の「一定」または「フラット」用量は、ヒト患者に、患者の体重(WT)または体表面積(BSA)に関係なく投与される用量を指す。したがって一定またはフラット用量は、mg/kg用量またはmg/m用量として提供されず、むしろ治療剤の絶対量として提供される。
II.アッセイ
治療用モノクローナル抗体(mAb)と一定用量配合剤(FDC)との合剤は、薬品の複雑性を増加し、特徴づけ、および製品品質の管理にとって難題をもたらす。この難題は、合剤抗体が、類似した等電点、配列類似性およびサイズに有意な差がないなどの類似した物理化学的性質を有する場合に悪化する。さらに、合剤抗体のそれぞれは、製造の際にサイズ、電荷および翻訳後修飾に不均一性を呈することがありうる。これらの理由から、一定用量配合剤中のmAb間の相互作用を特徴づけ、理解する必要がある。本明細書に記載されているものは、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤の重要な品質属性(CQA)を決定する分析方法である。
一態様において、これらのアッセイは、2つの抗HER2抗体のトラスツズマブおよびペルツズマブの一定用量配合剤を分析するために好適である。トラスツズマブおよびペルツズマブは、93%を超える配列同一性を有し、30Daのみが異なり、両方ともおよそ148kDaの分子量を有する。さらに、両方の抗体は、非常に類似した等電点を有し、同じ標的(HER2)に結合し、in vivoで相乗効果を有する。これらの構造的および機能的な類似性のために、大部分の通常の公知の分析方法をこの合剤に適用することができない。加えて、試験戦略のために開発されたアッセイは、トラスツズマブ・ペルツズマブ一定用量配合剤がペルツズマブSC原体とトラスツズマブ原体の比が異なっている2つの異なる投与量、すなわち、負荷量および維持量で提供されることを考慮している。
(i)効力検定
力価は、治療用モノクローナル抗体を含む生物治療薬の放出および安全性試験において、制御系に含まれるCQAである。力価は、生物活性起因するに対する製品品質属性の累積的影響をモニターし、安全性および有効性に潜在的に影響を与えることがあり、すなわち、高い力価は安全性の懸念を与えることがあり、一方で低い力価は有効性に関しての考慮が生じる。理想的には、効力アッセイは、製品の作用機序(すなわち、関連する治療活性または意図される生物学的効果)を表す。米国食品医薬品局(FDA)の「細胞および遺伝子治療用製品の効力試験に関する産業界への指針(「Guidance for Industry on Potency Tests for Cellular and Gene Therapy Products」)に従って、生物学的製品の力価を査定する伝統的な手法は、所定の結果をもたらす特定の能力に関連する製品の活性を測定する、定量生物学的アッセイ(バイオアッセイ)を開発することである。バイオアッセイは、生体系内で製品の活性成分を評価することによって、力価の測定を提供することができる。バイオアッセイは、in vivo動物研究、in vitro臓器、組織もしくは細胞培養系、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。力価を決定または定量化するバイオアッセイの広く使用されている例は、細胞ベースアッセイである。細胞成長の阻害を測定するために設計された、具体的にはペルツズマブまたはトラスツズマブのための2つの特有の細胞ベースアッセイ(抗増殖アッセイ)を、ペルツズマブ・トラスツズマブ一定用量配合剤の生物活性を制御する適合性について査定した。この査定は、合剤に配合された場合に個々の抗体の製品品質の関連する変化の制御を妨げる制約のため、アッセイが一定用量配合剤には適していないことを実証した。同じ受容体に結合し、かつ類似したシグナル伝達経路を阻害する2つの抗体の合剤の特質のため、これらの制約を克服することができる代替的なHER2発現細胞株はない。
同じ受容体に結合し、かつ標的細胞において類似したシグナル伝達経路を阻害するトラスツズマブおよびペルツズマブでは、下流シグナル伝達、遺伝子発現、およびHER2発現標的細胞の増殖に対する効果は、HER2の対応するエピトープへの結合化性によって媒介される。したがって、HER2駆動細胞成長を阻害する力価に影響する、抗体の潜在的な分子変化を、結合レベルで観察することができる。この仮説を、選択した製品の変異体(電荷およびサイズの変異体、ならびにCDR親和性の突然変異体)による比較研究で査定し、本明細書の実施例において示されている。この研究は、本明細書に提供される結合アッセイにより検出された結合の差が、サイズの変異体を除いて、試験した大部分の製品変異体の抗増殖活性に観察された変化を反映することを確証した。力価に影響する単一抗体品質変化を検出するための、本明細書に提供される抗増殖アッセイにおける干渉および結合アッセイの能力を考慮すると、本明細書に提供される新たな結合アッセイは、標的結合およびRER2シグナル伝達に影響する製品品質の関連する変化を制御することが可能な最良のアッセイであると考慮される。
一実施形態において、ペルツズマブ・トラスツズマブFDC薬品は、力価を決定するためにペルツズマブまたはトラスツズマブへのHER2結合を特異的に測定する結合アッセイによって試験される。トラスツズマブおよびペルツズマブは、両方ともHER2を標的にするが、HER2細胞外ドメイン(ECD)の別個の重複しないエピトープに結合し、トラスツズマブは、膜近傍領域であるサブドメインIVを認識し、ペルツズマブは、二量体化領域であるサブドメインIIを認識する(Rocca A、Andreis D、Fedeli Aら、Pharmacokinetics, pharmacodynamics and clinical efficacy of pertuzumab in breast cancer therapy.Expert Opin Drug Metab Toxicol 2015年;11巻:1647~63頁)。HER2サブドメインIVへのトラスツズマブの結合は、リガンド独立HER2シグナル伝達を、そのホモ二量体化をブロックすることによって阻害し(Junttila TT、Akita RW、Parsons Kら、Ligand-independent HER2/HER3/PI3K complex is disrupted by trastuzumab and is effectively inhibited by the PI3K inhibitor GDC-0941.Cancer Cell 2009年;15巻:429~40頁)、ECDのタンパク質分解性切断を防止し、それによって、続く関連細胞内シグナル伝達経路の構成的活性化を禁止する(Molina MA、Codony-Servat J、Albanell Jら、Trastuzumab (Herceptin),a humanized anti-HER2 receptor monoclonal antibody,inhibits basal and activated HER2 ectodomain cleavage in breast cancer cells.Cancer Research 2001年;61巻:4744~9頁)。結果として、トラスツズマブは、HER2を過剰発現するヒト腫瘍細胞の増殖を阻害し、in vitroアッセイおよび動物の両方において示されている。HER2サブドメインIIへのペルツズマブの結合は、HR2と、EGFR、HER3およびへR4を含む他のHERファミリーメンバーとのリガンド依存性ヘテロ二量体化をブロックする(Franklin MC、Carey KD、Vajdos FFら、Insights into ErbB signaling from the structure of the ErbB2 pertuzumab complex.Cancer Cell 2004年;5巻:317~28頁;Adams CW、Allison DE、Flagella Kら、Humanization of a recombinant monoclonal antibody to produce a therapeutic HER dimerization inhibitor,pertuzumab.Cancer Immunol Immunother 2006年;55巻:717~27頁;Diermeier-Daucher S、Hasmann M、Brockhoff G.Flow cytometric FRET analysis of erbB receptor interaction on a cell by cell basis.Ann NY Acad Sci 2008年;1130巻:280~6頁)。結果として、ペルツズマブは、リガンド開始細胞内シグナル伝達を阻害し、細胞成長の阻止を誘導し、HER2を過剰発現するヒト腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。
ペルツズマブおよびトラスツズマブは、互いに競合することなくHER2 ECDの別個の重複しないエピトープに結合し、HER2シグナル伝達を破壊する相補性機構を有する。このことは、ペルツズマブおよびトラスツズマブが配合剤で投与されると、in vitroおよびin vivoで増大された抗増殖活性をもたらす(Scheuer W、Friess T、Burtscher Hら、Strongly enhanced antitumor activity of trastuzumab and pertuzumab combination treatment on HER2-positive human xenograft tumor models.Cancer Res 2009年;69巻:9330~6頁)。一実施形態において、FDC薬品の抗増殖活性およびHER2シグナル伝達は、ペルツズマブ・トラスツズマブFDC薬品における2つの抗体のそれぞれの品質の制御を確実する2つの別個のHER2結合アッセイを使用して決定される。
一実施形態において、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)の結合アッセイであって、
a.FDCを捕獲試薬と接触させ、捕獲試薬が修飾HER2 ECDであることと、
b.試料を検出可能な抗体と接触させることと、
c.捕獲試薬に結合した抗体のレベルを、検出可能な抗体の検出手段を使用して定量化することと、
を含む、結合アッセイが提供される。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤を、捕獲試薬が目的の抗HER2抗体のうちの1つを捕獲して、または1つに結合して検出工程で検出されうるように、捕獲試薬と接触させ、インキュベートする。捕獲試薬は、1つまたは複数の組換えHER2 ECDサブドメインを含む修飾HER2 ECDである。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、1つまたは複数の組換えHER2 ECDサブドメインを含む遺伝子操作されたタンパク質またはペプチドである。一実施形態において、HER2 ECDは、FDCにおいて査定される抗HER2抗体のうちの1つが結合し、FDCにおける第2の抗HER2抗体が結合しないように修飾される。これは、第2の抗HER2抗体が結合するHER2 ECDサブドメインを省くこと、またはそれを抗HER2抗体のいずれにも結合しない構造的に近いサブドメインに置き換えること、のいずれかによって達成される。構造的に近いサブドメインは、修飾HER2 EDCとインキュベートしたときに修飾HER2 ECDの三次元立体構造を妨害しない、任意のサブドメインでありうる。構造的に近いサブドメインの例は、EGFR、HER3またはHER4の対応するサブドメインである。好ましくは、修飾HER2 ECDは、天然HER2 ECDを限りなく近く模倣する三次元立体構造を有する。サブドメインは、完全長でありうる、またはNもしくはC末端で数個のアミノ酸により短縮されうる。HER2 ECDの三次元構造の完全性は、C末端で約4~5個のアミノ酸により短縮されている1つまたは複数の組換えHER2 ECDサブドメインを使用すると保持または改善されることが、本発明の発明者たちによって見出されている。
一実施形態において、修飾HER2 ECDはペプチドまたはタンパク質と融合して、捕獲試薬を固体基質に固定化することを促進する。好適なペプチドまたはタンパク質の例は、ビオチン、ウシ血清アルブミン(BSA)およびFcドメインである。1つの修飾HER2細胞外ドメインはFcドメインに融合する。一実施形態において、前記Fcドメインは、分析される抗HER2抗体のFcドメインの種と異なる種からのものである。例えば、分析される抗HER2抗体がヒトFcドメインを含む場合、捕獲試薬は、非ヒトFcドメイン、例えば、マウス、ヤマアラシ、ラット、ウサギなどのものを含むべきである。一実施形態において、組換えHER2 ECDサブドメインのFcドメインは、マウスFcドメインである。一実施形態において、前記Fcドメインは配列番号35を含む。
次の工程では、捕獲試薬および捕獲抗HER2抗体を含む試料を、検出可能な抗体と共にインキュベートする。検出可能な抗体は、結合した目的の抗HER2抗体のいずれかと接触すると、目的の抗体に結合する。次の工程では、検出手段を使用して、検出可能な抗体の標識を検出し、よってFDCに存在する目的の抗HER2抗体の存在または量を検出する。
一実施形態において、一定用量配合剤は、HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体、およびHER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体を含む。一実施形態において、HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体はペルツズマブである。一実施形態において、HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体はトラスツズマブである。一実施形態において、一定用量配合剤は、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む。一実施形態において、一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。1つのそのような実施形態において、ヒアルロニダーゼは組換えヒトヒアルロニダーゼである。1つ好ましい実施形態において、前記ヒアルロニダーゼはrHUPH20である。ペルツズマブ・トラスツズマブFDC薬品は、2つの異なる投与量、すなわち、負荷量(LD)および維持量(MD)により提供される。LDおよびMDは、同じ総タンパク質含有量を有し、ペルツズマブSC原体とトラスツズマブ原体の比が異なっている。一実施形態において、結合アッセイを使用してペルツズマブ・トラスツズマブFDCのLDを分析する。一実施形態において、結合アッセイを使用して、40mg/mLのトラスツズマブおよび80mg/mLのペルツズマブを含むペルツズマブ・トラスツズマブFDCを分析する。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、rHuPH20を2000U/mLで追加的に含む。一実施形態において、結合アッセイを使用してペルツズマブ・トラスツズマブFDCのMDを分析する。一実施形態において、結合アッセイを使用して、60mg/mLのトラスツズマブおよび60mg/mLのペルツズマブを含むペルツズマブ・トラスツズマブFDCを分析する。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、rHuPH20を2000U/mLで追加的に含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブの結合は、2つの別々の結合アッセイにより決定される。
ペルツズマブ結合アッセイは、ペルツズマブが組換えHER2捕獲試薬のエピトープに特異的に結合する能力として特定の生物活性を決定する。一実施形態において、ペルツズマブの結合は定量化される。1つのそのような実施形態において、捕獲試薬は、HER2細胞外サブドメインIIまたはその一部を含む。一実施形態において、捕獲試薬は、ヒトHER2細胞外サブドメインIIを含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号23または配列番号2を含む。
一実施形態において、修飾HER2 ECDは、HER2 ECDサブドメインI、IIおよびIIIまたはこれらの一部を含む。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、ヒトHER2 ECDサブドメインI、IIおよびIIIまたはこれらの一部を含む。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、サブドメインIVを含まない。修飾HER2 ECDは、C末端で短縮されている組換えサブドメインIIIを含む場合、天然HER2 ECDに似ている三次元立体構造で産生されうることを本発明者たちは見出している。1つのそのような実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号1、配列番号2および配列番号34を含む。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号24を含む。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号24に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。
一実施形態において、組換えHER2細胞外サブドメインI、II、IIIはFcドメインに融合している。一実施形態において、前記Fcドメインは、マウス、ラット、ウサギまたはヤマアラシFcドメインである。上記の実施形態のいずれかにおいて、ペルツズマブの結合を査定するための捕獲試薬は、HER2細胞外サブドメインIVを含まない。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号25、配列番号26または配列番号27を含む。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号25に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号26に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号27に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。
一実施形態において、トラスツズマブの結合は定量化される。1つのそのような実施形態において、捕獲試薬は、組換えHER2細胞外サブドメインIVまたはその一部を含む。1つのそのような実施形態において、捕獲試薬は、ヒト組換えHER2細胞外サブドメインIVを含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号28または配列番号4を含む。
一実施形態において、捕獲試薬は、組換えHER2細胞外サブドメインI、IIIおよびIVを含む。一実施形態において、捕獲試薬は、ヒトHER2細胞外サブドメインI、IIIおよびIVを含む。一実施形態において、捕獲試薬は、組換えHER2細胞外サブドメインI、IIIおよびIV、ならびにEGFRのサブドメインIIを含む。一実施形態において、捕獲試薬は、組換えヒトHER2細胞外サブドメインI、IIIおよびIV、ならびにEGFRの組換えヒトサブドメインIIを含む。修飾HER2 ECDは、両方ともC末端で短縮されている組換えHER2細胞外サブドメインIおよび組換えHER2細胞外サブドメインIVを含む場合、天然HER2 ECDに似ている三次元立体構造で産生されうることを本発明者たちは見出している。一実施形態において、修飾ECDは、配列番号33、配列番号3および配列番号28を含む。一実施形態において、修飾ECDは、配列番号33、配列番号36、配列番号3および配列番号28を含む。
一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号29を含む。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号29に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。
一実施形態において、組換えHER2細胞外サブドメインI、IIIおよびIV、ならびにEGFRのサブドメインIIは、Fcドメインに融合している。一実施形態において、前記Fcドメインは、マウス、ラット、ウサギまたはヤマアラシFcドメインである。上記の実施形態のいずれかにおいて、トラスツズマブの結合を査定するための捕獲試薬は、HER2サブドメインIIを含まない。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号30、配列番号31または配列番号32を含む。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号30に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号31に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。一実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号32に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。
上記の実施形態のいずれかにおいて、検出可能な抗体は、様々な方法による検出が可能になる標識を含む。これらの標識には、直接検出されうる部分、例えば、蛍光色素標識、化学発光標識および放射性標識、ならびに検出のために反応または誘導体化させなければならない部分、例えば酵素が挙げられる。そのような標識の例には、放射性同位体32P、14C、125I、3Hおよび131I、フルオロフォア、例えば、希土類キレートまたはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ルテニウム、ダンシル、ウンベリフェロン、ルセリフェラーゼ(luceriferases)、例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、HRP、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼおよびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化させる酵素、例えば、HRP、ラクトペルオキシダーゼまたはマイクロペルオキシダーゼとカップリングされた複素環式オキシダーゼ、例えば、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ、ビオチン(例えば、MUGを用いたアビジン、ストレプトアビジン、ストレプトアビジン-HRPおよびストレプトアビジン-β-ガラクトシダーゼにより検出可能)、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定したフリーラジカルなどが挙げられる。
検出可能な抗体に好ましい標識は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である。HRPに一般的に使用される基質は、異なるカテゴリーに入り、それぞれ着色、蛍光また発光誘導体を生成するか否かに応じて、色素原基質(例えば、アミノエチルカルバゾール(AEC)、3,3’-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド(DAB)、ジアミノベンジジンと組み合わせたクロロナフトール(CN/DAB)、テトラメチルベンジジン(TMB)、o-フェニレンジアミンジヒドロクロリド(OPD)、2,2’-アジノビス[3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸]-二アンモニウム塩(ABTS))、蛍光原基質(例えば、ADHP)、および化学発光(例えば、増強化学発光(ECL))基質が挙げられる。好ましい基質はABTSである。
一実施形態において、検出可能な抗体は、ヒトIgGのF(ab’)2部分を標的にする。一実施形態において、検出可能な抗体は、抗HER2抗体のF(ab’)2部分を標的にする。
一実施形態において、結合アッセイは、酵素結合免疫吸着法(ELISA)である。ELISAにおいて、捕獲試薬は固体基質に結合している。固定化に使用される固体相は、本質的に非水溶性であり、免疫測定アッセイに有用である任意の不活性支持体または担体であってもよく、例えば、表面、粒子、多孔性マトリックスなどの形態の支持体が挙げられる。一般に使用される支持体の例には、小さなシート、SEPHADEX(登録商標)ゲル、ポリ塩化ビニル、プラスチックビーズ、およびポリエチレン、ポリプロピレ、ポリスチレンなどから製造されるアッセイプレートまたは試験管が挙げられ、これには、96ウェルマイクロタイタープレート、ならびに粒子材料、例えば、ろ紙、アガロース、架橋デキストランおよび他の多糖類が挙げられる。あるいは、反応性非水溶性マトリックス、例えば、米国特許第3,969,287号、同第3,691,016号、同第4,195,128号、同第4,247,642号、同第4,229,537号および同第4,330,440号に記載されている臭化シアン活性化炭水化物および反応基質は、捕獲試薬の固定化に好適に用いられる。好ましい実施形態において、固定化された捕獲試薬は、マイクロタイタープレートにコートされ、特に、使用される好ましい固体相は、いくつかの試料を一度に分析することに使用できるマルチウェルマイクロタイタープレートである。好ましいマイクロタイタープレートは、極性または親水性基を有する分子に高い親和性のある高度に荷電されたポリスチレン表面を有するプレートであり、タンパク質に対して高い結合能を有する。最も好ましいものは、MICROTEST(登録商標)またはMAXISORP(登録商標)96ウェルELISAプレートであり、例えば、NUNC MAXISORB(登録商標)またはIMMULON(登録商標)として販売されているものである。
96ウェルプレートは、好ましくは、捕獲試薬により少なくとも30分、40分、50分、60分、約20~80分、または約30~60分にわたってコートされる。96ウェルプレートは、捕獲試薬により好ましくは約4~20℃の温度、より好ましくは約2~8℃でコートされる。プレートをアッセイに先立って積層およびコートしてもよく、次いでアッセイを、手動、半自動または自動様式で、例えば、ロボット工学によって、いくつかの試料に同時に実行することができる。
用いられる捕獲試薬の量は、良好なシグナルを与えるのに十分な大きさであるが、試料中の目的の抗体の最大曝露レベルと比較して過剰モルではない。一実施形態において、コート試薬濃度は、約0.5μg/mL~5μg/mL、好ましくは約1μg/mL~1.5μg/mLである。
次いでコートされたプレートを、典型的には、結合部位に非特異的に結合し、結合部位を飽和させるブロッキング剤で処理して、プレートのウェルの過剰部位への遊離リガンドの望ましくない結合を防止する。この目的のために適切なブロッキング剤の例には、例えば、ゼラチン、ウシ血清アルブミン、卵アルブミン、カゼインおよび脱脂乳が挙げられる。ブロッキング処理は、典型的には、常温の条件下で約1~4時間、約1~3時間、好ましくは約1~1.5時間行われる。
コーティングおよびブロッキングした後、分析される標準またはFDC試料を標準希釈剤によって、コートされたプレートに添加する。一実施形態において、漸増濃度のペルツズマブ・トラスツズマブFDC(標準、製品対照、および分析される試料)を、コートされたプレートに添加する。
FDC試料と固定化された捕獲試薬とのインキュベーションの条件は、アッセイの感受性を最大限にし、解離を最小限にするように、およびFDC試料において査定される抗HER2抗体が、固定化された捕獲試薬に結合することを確実にするように選択される。好ましくは、インキュベーションは、約0℃~約40℃の範囲のほぼ一定した温度、好ましくは室温または概ね室温で達成される。インキュベーションの時間は、一般に約10時間以下である。好ましくは、FDC試料において査定される抗HER2抗体の、捕獲試薬への結合を最大限するため、インキュベーション時間は、室温または概ね室温で約0.5~3時間、より好ましくは約1~1.5時間である。
任意の結合抗HER2抗体を有する固定化された捕獲試薬を、検出可能な抗体と、好ましくは約20~40℃の温度、より好ましくは室温で接触させ、2つを接触させる正確な温度および時間は、主に、用いられる検出手段によって左右される。
別の実施形態において、結合アッセイは、電気化学発光(ECL)である。
一実施形態において、結合アッセイは、抗HER2抗体のうちの1つの力価を分析するために使用される。よって、一実施形態において、結合アッセイは、
d.捕獲試薬に結合した抗体のレベルを、前記抗体の生物活性と相関させる工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、試料により生成された用量応答曲線を標準の用量応答曲線と比較する。一実施形態において、標準の力価は、結合アッセイで得られた結果を、細胞ベースアッセイにおける単離抗体の生物活性と別々に相関させることによって定量化する。
一実施形態において、試料および標準により生成された非線形4パラメーター用量応答曲線を比較する。標準と試料の用量応答曲線の類似性基準が査定されると、試料の相対力価は、標準および試料の用量応答曲線フィット間の濃度シフトに基づき、4パラメーター平行線分析を使用して計算される。
一実施形態において、結合アッセイは、ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤のバッチ放出のためである。一実施形態において、結合アッセイは、ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤の貯蔵寿命を決定するためである。1つのそのような実施形態において、ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、貯蔵の最中のいくつかの時点で上記実施形態の結合アッセイにより分析される。
(ii)電荷変異体の分析
一実施形態において、ペルツズマブとトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法であって、組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体の量を査定することを含む方法が提供される。一実施形態において、前記一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。一実施形態において、前記方法はイオン交換クロマトグラフィーである。イオン交換クロマトグラフィー(IEX)は、治療用タンパク質の詳細な特徴づけに広く使用され、電荷不均一性の定性的および定量的評価の参照的で強力な技術と考慮することができる。イオン交換高速液体クロマトグラフィー(IE-HPLC、IEC)は、溶液中の分子を電荷の不均一性に従って分離する。分離は、カラム充填材料に固定化された逆の電荷のイオン交換基への荷電溶質分子の可逆的な吸着によって起こされる。固体支持体への分子の吸着は、2つの部分のイオン相互作用によって駆動される。相互作用の強さは、分子および固定相における電荷の数および位置によって決定される。IEXは、典型的には特異化が特にmAbの酸性種、主要種および塩基性種それぞれの分配によって設定される放出方法である。これらの荷電種は、力価に影響を与えうる製品関連不純物と考慮される。さらに、変性が加えられていない天然であることの確証によってタンパク質を特徴づけることができる、数少ない方法のうちの1つである。IEXはまた、ある特定の生物学的製剤の素性方法として使用することもでき、安定性および貯蔵寿命の正当化のための常套的試験である。
トラスツズマブおよびペルツズマブなどの非常に類似した等電点を有する2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤の電荷変異体の分布を分析することは、すべての関連種の正確な隔離が可能になる特異的イオン交換クロマトグラフィープロトコールを必要とする。
一実施形態において、ペルツズマブとトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法であって、組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体の量を査定することを含む方法が提供される。一実施形態において、前記一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。一実施形態において、前記方法はイオン交換クロマトグラフィーである。1つの特定の実施形態において、前記方法は陽イオン交換クロマトグラフィーである。陽イオン交換クロマトグラフィーでは、ペルツズマブ/トラスツズマブ一定用量配合剤(FDC)に適用されると、正荷電分子が負荷電固定相に保持される。酸性種は、塩基性種より少ない保持時間で溶出する。
カラムおよび試料適用を平衡にした後、FDCの抗HER2抗体のペルツズマブとトラスツズマブは、カラムリガンドに吸着される。次いでカラムを洗浄して、非吸着タンパク質を除去し、pHを事前規定範囲内に保ちながら、移動相のイオン強度を変えることによって溶出を実施する。一実施形態において、pHは一定値に保たれる。
イオン強度は、漸増塩濃度の勾配を適用することによって変化させ、勾配は、段階勾配または連続勾配のいずれかである。本発明の発明者たちは、2つの抗HER2抗体のペルツズマブとトラスツズマブのFDCの電荷変異体の分析において、ローディングバッファー(移動相A)および溶出バッファー(移動相B)のpH範囲が重要であることを見出した。電荷変異体の最高の分離は、ローディングバッファー(移動相A)の事前規定pH範囲のpH7.5~7.65、および溶出バッファー(移動相B)の事前規定pH範囲のpH7.5~7.7によって得られる。一実施形態において、pHは一定値に保たれる。一実施形態において、ローディングバッファーの前記一定pH値は7.5、7.55、7.6または7.65である。一実施形態において、溶出バッファーの前記一定pH値は、7.5、7.55、7.6、7.65または7.7である。
溶出した後、カラムをローディングバッファー(移動相A)で再び平衡にする。
一実施形態において、ペルツズマブ・トラスツズマブ一定用量配合剤を陽イオン交換材料と接触させ、電荷変異体および天然抗体を、移動相のpHを事前規定範囲内に保ちながら、塩勾配で溶出させる。一実施形態において、塩勾配は連続塩勾配である。一実施形態において、ローディングバッファーの移動相(移動相A)のpHは、pH7.5~pH7.65である。一実施形態において、溶出バッファーの移動相(移動相B)のpHは、pH7.5~pH7.7である。
一実施形態において、塩勾配は塩化ナトリウム勾配である。一実施形態において、塩勾配は塩化ナトリウム勾配であり、溶出バッファーの移動相(移動相B)のpHは、pH7.5~pH7.7である。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法であって、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65であることと、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7であることと、
を含む方法が提供される。
一実施形態において、工程bの溶出は塩勾配を使用して実施される。一実施形態において、前記塩勾配は連続塩勾配である。一実施形態において、塩勾配はナトリウム(Na+)勾配である。よって、一実施形態において、前記溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムイオン(Na+)を含む。一実施形態において、ナトリウム勾配は塩化ナトリウム(NaCl)勾配である。一実施形態において、前記溶出バッファーはNaClを含む。ローディングバッファーおよび溶出バッファーに好適なバッファーは、MES(2-エタンスルホン酸)、ACES(N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、リン酸バッファー、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、TAPS([トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸)、CAPSO(N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、PIPES(ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸))、TPP(トリス、リン酸塩、ピペラジン)である。好ましいバッファーは、ACESおよびHEPESである。
一実施形態において、溶出バッファー(移動相B)の塩化ナトリウム濃度は、約180~220mMのNaCl、約200mMのNaCl、約180mMのNaCl、約190mMのNaCl、約210mMのNaCl、または約220mMのNaClである。
一実施形態において、前記イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。本発明の方法をさらに最適化する場合、本発明者たちは、電荷変異体の分離が強陽イオン交換カラム材料を使用したときに改善されることを見出した。好ましい実施形態において、方法は、Na+を溶出の対イオンとして使用する、スルホネート基を有する非多孔性SCXカラムを使用して実施される。よって、一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を有する。1つのそのような実施形態において、陽イオン交換材料は、スルホネート基を有する強陽イオン交換(SCX)カラムであり、溶出バッファーはナトリウムを含む。1つのそのような実施形態において、溶出バッファーはナトリウムイオンを含む。一実施形態において、前記SCXカラムは非多孔性である。本明細書に有用な好ましい陽イオン交換カラムは、YMC Bio Pro SP-Fカラム、MabPac SCX-10、Waters BioResolve SCX mAb、Sepax Proteomix SCX-NP1.7または非多孔性Agilent Bio SCXである。
一実施形態において、上記の方法の工程aおよびbは32℃~40℃の温度または約36℃で実施される。
一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーは、約50μg~149μgまたは約51μg~153μgの総タンパク質量を負荷して実施される。一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーは、約50μg~149μgのペルツズマブ・トラスツズマブFDCの負荷量で総タンパク質量を負荷することにより実施される。一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーは、約51μg~153μgのペルツズマブ・トラスツズマブFDCの維持量で総タンパク質量を負荷することにより実施される。一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーに負荷される総タンパク質は、約100μgである。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法であって、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65であることと、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7であることと、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出することと、
を含む方法が提供される。
一実施形態において、一定用量配合剤中のトラスツズマブおよびペルツズマブの酸性変異体、天然形態および塩基性変異体は、選択的に検出される。
一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーは、クロマトグラフィーカラムに負荷される前にカルボキシペプチダーゼBで消化されている、ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤で実施される。
一実施形態において、前記ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。1つのそのような実施形態において、ヒアルロニダーゼは組換えヒトヒアルロニダーゼである。一実施形態において、前記ヒアルロニダーゼはrHuPH20である。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、約2000U/mLのrHuPH20を含む。ペルツズマブ・トラスツズマブFDC薬品は、2つの異なる投与量、すなわち、負荷量(LD)および維持量(MD)により提供される。LDおよびMDは、同じ総タンパク質含有量を有し、ペルツズマブSC原体とトラスツズマブ原体の比が異なっている。一実施形態において、方法は、ペルツズマブおよびトラスツズマブFDCの負荷量の電荷変異体を決定するために有用である。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブの両方の電荷変異体は、同時に、すなわち同じ方法によって決定される。一実施形態において、方法を使用して、40mg/mLのトラスツズマブおよび80mg/mLのペルツズマブを含むペルツズマブ・トラスツズマブFDCの電荷変異体を分析する。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、rHuPH20を2000U/mLで追加的に含む。一実施形態において、方法は、ペルツズマブおよびトラスツズマブFDCの維持量の電荷変異体を決定するために有用である。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブの両方の電荷変異体は、同時に、すなわち同じ方法によって決定される。一実施形態において、方法を使用して、60mg/mLのトラスツズマブおよび60mg/mLのペルツズマブを含むペルツズマブ・トラスツズマブFDCの電荷変異体を分析する。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、rHuPH20を2000U/mLで追加的に含む。
一実施形態において、天然抗体、ならびにこれらの酸性および塩基性変異体は、少なくとも44分かけて1~100%(溶媒B)の塩勾配で溶出される。一実施形態において、塩勾配は、43分かけて1から47%の溶媒Bに増加される。一実施形態において、塩勾配は、約1.8から103.4mMのNaClに増加される。別の実施形態において、塩勾配は、約2mMのNaClから約94mMのNaClに増加される。
一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーの移動相はACESバッファーを含む。一実施形態において、移動相Aおよび移動相BはACESバッファーを含む。一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーの溶媒Aは、約10~50mM、約15~25mM、約18~22mMまたは約20mMのACESを含む。一実施形態において、イオン交換クロマトグラフィーの溶媒Bは、約10~50mM、約15~25mM、約18~22mMまたは約20mMのACES、および約180~220mMのNaClを含む。一実施形態において、溶媒Bは約20mMのACESを含む。
(ii)含量/タンパク質含有量アッセイ
UV分光測光法は、製剤試料の総タンパク質含有量を決定する典型的な方法である。しかし、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FDC)では、異なる手法が必要であり、それは従来の方法が、FDC中の抗HER2抗体それぞれについて別々で定量的なタンパク質含有量の分析が可能ではないからである。異なるクロマトグラフィー方法を試験し、例えば、疎水性相互作用(HIC)および逆相クロマトグラフィー(RPC)であった。ペルツズマブ・トラスツズマブFDCの別々の定量的タンパク質含有量の分析に関しては、逆相クロマトグラフィーが最も好適な方法であることが証明された。
逆相超高速液体クロマトグラフィー(RP-UHPLC、RPC)は、溶液中の分子を疎水性に従って分離する。分離は、カラム中の非極性固定相への分子の可逆的な疎水性吸着によって起こされる。固体支持体への分子の吸着は、2つの部分の疎水性/非極性相互作用によって駆動される。相互作用の強さは、分子および固定相における官能基の数および位置によって決定される。逆相クロマトグラフィーにおいて、非極性分子は、極性分子より多い保持時間で固定相から溶出する。2つの抗HER2抗体のトラスツズマブおよびペルツズマブが93%を超える配列同一性を有し、合計で30Daだけが異なっているので、信頼のおける全体分解能およびピーク分離を提供し、かつ有意な持ち越し汚染を有さない(すなわち、持ち越し汚染は後続の分析において0.2%を超えるべきではない)頑健的な方法を開発した。加えて、試験戦略のために開発された含有量アッセイは、トラスツズマブ・ペルツズマブ一定用量配合剤がペルツズマブSC原体とトラスツズマブ原体の比が異なっている2つの異なる投与量、すなわち、負荷量および維持量で提供されることを考慮している。フェニルベースカラムは特に頑健な結果を与えること、および頑健な方法にとって最も重要なパラメーターはカラム温度および流量であることが、本発明者たちによって見出された。フェニルベースRP-UHPLCカルムは、当該技術に公知であり、以下の基:メチル側基およびエンドキャップされたシリカ表面を有するエチルフェニル、伸長した(ヘキシル)リガンドスペーサーメチル側基を有するフェニルヘキシル相、立体保護(イソブチル)側基を有するエチルフェニルリガンド、メチル側基を有するヘキシルビフェニル、メチル側基を有するビフェニル相、メチル側基を有する酸素活性化フェニルエチルフェニル相を有することができる。フェニル(例えば、単一フェニル、ビフェニル、ジフェニル、フェニルヘキシル、フェニルプロピル)で修飾された固定相を有するHPLCカラムは、大部分の主要なカラム供給会社から容易に入手可能である。本明細書に有用なフェニルカルムの一例は、Agilent Zorbax RRHD 300-Diphenlyカラムである。一実施形態において、前記カラムは、2.1×100mmカラムである。
本明細書に提供されるものは、2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法であって、
a.RP-HPLCフェニルカラムを準備することと、
b.2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)をRP-HPLCカラムに負荷することと、
c.2つの抗HER2抗体を0.2~0.4mL/分の流量で分離し、カラム温度が64℃~76℃であることと、
を含む方法である。
RP-HPLCの分離原理は、クロマトグラフィー樹脂表面におけるポリペプチド溶質と疎水性リガンドの疎水性会合に基づいている。RP-HPLCカラムは、通常、真空脱ガス器、試料冷却器を有するオートサンプラー、カラム加熱器およびUV/VIS検出器を直列で備えたUHPLC系の一部である。好適なUHPLC系の例は、Waters AquityおよびThermo Ultimate 3000 RSである。
2つの抗HER2抗体のFDCは、その試料をRP-HPLC系に注入することによってカラムに負荷される。通常、試料は、例えば、およそ0.5~5mg/mLまたは1mg/mLの濃度に希釈される。試料濃度の1.0mg/mLは、検出器のシグナルを飽和することなく微量種の良好な検出を可能にすることが、本発明者たちによって見出された。一実施形態において、試料は製剤バッファーで希釈される。一実施形態において、前記製剤バッファーは、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物、L-メチオニン、α,α-トレハロース二水和物、スクロースおよびポリソルベート20を含む。製剤バッファーを希釈剤として使用することによって、以前と異なる希釈剤の使用が試料および参照溶液を変化させるリスクが存在しなくなる。RP-HPLC方法を用いると、製剤バッファーからの関連する干渉は観察されなかった。一実施形態において、注入容量は、0.5~100μL、1~50μL、5~10μL、または10μLである。一実施形態において、注入容量は10μLである。一実施形態において、カラムへの総タンパク質負荷量は10μgである。
タンパク質は水性移動相でRP-HPLCカラムに結合し、移動相の疎水性を増加することによってカラムから溶出される。次いでタンパク質は、これらの疎水性に従って分離される。2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、工程c)の分離は、水-2-プロパノール/アセトニトリル勾配で達成される。1つのそのような実施形態において、タンパク質は、水:2-プロパノール(98:2)+0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含む水性相(溶出剤A)でカラムに結合され、アセトニルを含む有機相の漸増濃度により溶出される。1つのそのような実施形態において、有機層(溶出剤B)は、2-プロパノール:アセトニル:溶出剤A(70:20:10)を含む。フェニルベースカラムのタイプのおかげで、改善された特異性が達成され、新たな種が2-プロパノールだけで検出されたが、純粋なアセトニトリルでは検出されなかった。異なる特異性が達成され、それはフェニルベースカラムが伝統的な疎水性相互作用を介し、また追加的にπ-π相互作用を介しても被分析物と相互作用したからである。純粋なアセトニトリルはこれらの相互作用を妨げること、一方で2-プロパノールは妨げないことが文献から示されている(Yang,M.、Fazio,S.、Munch,D.およびDrumm,P.Impact of methanol and acetonitrile on separations based on π-π interactions with a reversed-phase phenyl column.Journal of Chromatography A 1097巻、124~129頁)。しかし、2-プロパノールの高い粘性およびそれに関連する逆圧の増加を考慮して、20%のアセトニトリルを添加して、系の逆圧を低下させた。
一実施形態において、水性移動相は、70%の溶出剤Aおよび30%の溶出剤Bを含み、ここで溶出剤Aは、水:2-プロパノール(98:2)+0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含み、溶出剤Bは、2-プロパノール:アセトニトリル:溶出剤A(70:20:10)を含む。1つのそのような実施形態において、有機層(溶出剤B)は、55%の溶出剤Aおよび45%の溶出剤Bに増加される。一実施形態において、勾配は、15分かけて45%の溶媒Bに増加される。
一実施形態において、有機層(溶出剤B)は、10%の溶出剤Aおよび90%の溶出剤Bに増加される。一実施形態において、勾配は、20分かけて90%の溶媒Bに増加される。
0.4および0.2mL/分の流量を試験し、実施した方法に有意な影響を与えないことが見出された。2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、工程c)の流量は約0.3mL/分である。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、抗体は10~20分間にわたって分離される。1つのそのような実施形態において、抗体は15分間にわたって分離される。一実施形態において、抗体は、約0.3mL/分の流量で15分間にわたって分離される。
負荷および溶出(分離)工程に加えて、RP-HPLC精製は、平衡、洗浄および再生などの追加の工程を含むことができる。一実施形態において、RP-HPLCフェニルカルムは、70%の溶出剤Aおよび30%の溶出剤Bで平衡を保ち、ここで溶出剤Aは、水:2-プロパノール(98:2)+0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含み、溶出剤Bは、2-プロパノール:アセトニトリル:溶出剤A(70:20:10)を含む。一実施形態において、RP-HPLCフェニルカルムは、10%の溶出剤Aおよび90%の溶移動相で洗浄され、ここで溶出剤Aは、水:2-プロパノール(98:2)+0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)を含み、溶出剤Bは、2-プロパノール:アセトニトリル:溶出剤A(70:20:10)を含む。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、カラム温度は70℃+-2℃である。室温と比較して、70℃のカラム温度は高い再現性を導き、テーリング効果を除去し、系の低い逆圧を示し、全体的な結果おいて良好な分解能および分離を示す。いくつかのカラム温度を試験し、70℃が改善されたピークパターンを示し、同時に系およびカラムタイプが可能とする最大温度に達していない。64℃と76℃、および66℃と74℃の温度をそれぞれ試験し、実施した方法に有意な影響を与えないことが見出された。
2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法の一実施形態において、フェニルカラムは、Agilent Zorbax RRHD 300-Diphenylカラム、Acclaim Phenyl-1(Dionex)、Pursuit(登録商標)XRs Diphenyl、Pinnacle(登録商標)Biphenyl、Zorbax(登録商標)Eclipse(登録商標)Plus Hexyl Phenyl、Ascentis Phenyl、BioResolve RP mAb PolyphenylおよびAgilent AdvanceBio RP mAb Diphenylの群から選択されるカラムである。一実施形態において、フェニルカルムはAgilent Zorbax RRHD 300-Diphenylカラムである。別の実施形態において、フェニルカルムはBioResolve RP mAb Polyphenylカラムである。
一実施形態において、タンパク質はUVにより検出される。一実施形態において、検出波長は280nmである。
一実施形態において、一定用量配合剤は、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。1つのそのような実施形態において、ヒアルロニダーゼは組換えヒトヒアルロニダーゼである。一実施形態において、前記ヒアルロニダーゼはrHuPH20である。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、約2000U/mLのrHuPH20を含む。ペルツズマブ・トラスツズマブFDC薬品は、2つの異なる投与量、すなわち、負荷量(LD)および維持量(MD)により提供される。LDおよびMDは、同じ総タンパク質含有量を有し、ペルツズマブSC原体とトラスツズマブ原体の比が異なっている。一実施形態において、方法は、ペルツズマブおよびトラスツズマブFDCの負荷量のタンパク質含有量を決定するために有用である。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブの両方のタンパク質含有量は、同時に、すなわち同じ方法によって決定される。一実施形態において、方法を使用して、40mg/mLのトラスツズマブおよび80mg/mLのペルツズマブを含むペルツズマブ・トラスツズマブFDCのタンパク質含有量を分析する。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、rHuPH20を2000U/mLで追加的に含む。一実施形態において、方法は、ペルツズマブおよびトラスツズマブFDCの維持量のタンパク質含有量を決定するために有用である。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブの両方のタンパク質含有量は、同時に、すなわち同じ方法によって決定される。一実施形態において、方法を使用して、60mg/mLのトラスツズマブおよび60mg/mLのペルツズマブを含むペルツズマブ・トラスツズマブFDCのタンパク質含有量を分析する。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、rHuPH20を2000U/mLで追加的に含む。
III.抗HER2抗体および組成物
(i)抗HER2抗体
抗体の産生に使用されるHER2抗原は、例えば、所望のエピトープを含むHER2受容体またはその一部分の細胞外ドメインの可溶形態でありうる。あるいは、細胞表面にHER2を発現する細胞(例えば、HER2を過剰発現するように形質転換されたNIH-3T3細胞;またはSK-BR-3細胞などの癌細胞株、Stancovskiら、PNAS(USA)88巻:8691~8695頁(1991年)を参照のこと)を使用して、抗体を生成することができる。抗体の生成に有用なHER2受容体の他の形態は、当業者に明らかである。
本明細書のモノクローナル抗体を作製する様々な方法が当該技術において利用可能である。例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature、256巻:495頁(1975年)によって最初に記載されたハイブリドーマ法を使用して作製してもよく、組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製してもよい。
本発明により使用される、抗HER2抗体、トラスツズマブ、およびペルツズマブは、市販されている。
米国特許第6,949,245号は、HER2に結合し、HER受容体のリガンド活性化をブロックする例示的なヒト化HER2抗体の産生を記載する。
ヒト化HER2抗体には、参照により本明細書所に明示的に組み込まれる米国特許第5,821,337号の表3に記載され、本明細書に定義されているトラスツズマブ;ならびにヒト化2C4抗体、例えば、本明細書に記載および定義されているペルツズマブが具体的に挙げられる。
本明細書のヒト化抗体は、例えば、ヒト可変重ドメインに組み込まれた非ヒト超可変領域残基を含んでもよく、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service,National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991年)に記述された可変ドメイン番号付けシステムを利用して69H、71Hおよび73Hからなる群から選択される位置にフレームワーク領域(FR)置換をさらに含んでもよい。一実施形態において、ヒト化抗体は、69H、71Hおよび73Hの位置のうちの2つ、またはすべてにFR置換を含む。
本明細書において目的の例示的なヒト化抗体は、可変重ドメイン相補性決定残基GFTFTDYTMX(配列番号17)(ここでXは、好ましくは、DもしくはSである);DVNPNSGGSIYNQRFKG(配列番号18);および/またはNLGPSFYFDY(配列番号19)を含み、任意選択でこれらのCDR残基のアミノ酸修飾を含み、例えば、修飾は抗体の親和性を本質的に維持または改善する。例えば、本発明の方法に使用される抗体変異体は、上記の可変重CDR配列に約1~約7個、または約5個のアミノ酸置換を有してもよい。このような抗体変異体は、例えば下記に記載されている親和性成熟によって調製されうる。
ヒト化抗体は、可変軽ドメイン相補性決定残基KASQDVSIGVA(配列番号20);SASYX(ここでXは、好ましくはRもしくはLであり、Xは、好ましくはYもしくはEであり、Xは、好ましくはTもしくはSである)(配列番号21);および/またはQQYYIYPYT(配列番号22)を、例えば、前段落のこれらの可変重ドメインCDR残基に加えて含んでもよい。このようなヒト化抗体は、上記のCDR残基のアミノ酸修飾を任意選択で含み、例えば、修飾は抗体の親和性を本質的に維持または改善する。例えば、目的の抗体変異体は、上記の可変軽CDR配列に約1~約7個、または約5個のアミノ酸置換を有してもよい。このような抗体変異体は、例えば下記に記載されている親和性成熟によって調製されうる。
本出願はまた、HER2に結合する親和性成熟抗体を企図する。親抗体は、ヒト抗体またはヒト化抗体であってもよく、例えば、それぞれ配列番号7および8の可変軽配列および/または可変重配列を含む(すなわち、ペルツズマブのVLおよび/またはVHを含む)ものであってもよい。ペルツズマブの親和性成熟変異体は、好ましくは、マウス2C4またはペルツズマブより優れた親和性(例えばELISAにより査定すると、例えば、約2倍または約4倍から約100倍または約1000倍まで改善された親和性)によってHER2受容体に結合する。置換の例示的な可変重CDR残基には、H28、H30、H34、H35、H64、H96、H99、または2個以上(例えば、これらの残基の2、3、4、5、6、または7個)の組み合わせが挙げられる。改変のための可変軽CDR残基の例には、L28、L50、L53、L56、L91、L92、L93、L94、L96、L97または2個以上(例えば、これらの残基の2個から3、4、5または約10個まで)の組み合わせが挙げられる。
トラスツズマブのものを含むヒト化変異体を生成するマウス4D5抗体のヒト化は、米国特許第5,821,337号、同第6,054,297号、同第6,407,213号、同第6,639,055号、同第6,719,971号および同第6,800,738号、ならびにCarterら、PNAS(USA)、89巻:4285~4289頁(1992年)に記載されている。HuMAb4D5-8(トラスツズマブ)は、マウス4D5抗体より3倍密接してHER2抗原に結合し、ヒトエフェクター細胞の存在下でヒト化抗体の指向型細胞傷害活性が可能になる二次免疫機能(ADCC)を有した。HuMAb4D5-8は、可変軽(VL)κサブグループIのコンセンサスフレームワークに組み込まれたVCDR残基、および可変重鎖(V)サブグループIIIのコンセンサスフレームワークに組み込まれたVCDR残基を含んだ。抗体は、さらに、Vの位置71、73、78および93(フレームワーク領域(FR)残基のKabat番号付け)にFR置換、ならびにVの位置66(FR残基のKabat番号付け)にFR置換を含んだ。トラスツズマブは、非Aアロタイプヒトγ1Fc領域を含む。
様々な形態のヒト化抗体または親和性成熟抗体が企図される。例えば、ヒト化抗体または親和性成熟抗体は、抗体断片であってもよい。あるいは、ヒト化抗体または親和性成熟抗体は、インタクトな抗体、例えば、インタクトなIgG1抗体であってもよい。
(ii)ペルツズマブ組成物
HER2抗体組成物の一実施形態において、この組成物は、天然のペルツズマブ抗体およびその1つまたは複数の変異体の混合物を含む。ペルツズマブ天然抗体の本明細書における好ましい実施形態は、配列番号7および8の可変軽および可変重アミノ酸配列を含むものであり、最も好ましくは、配列番号11の軽鎖アミノ酸配列および配列番号12の重鎖アミノ酸配列を含むものである。一実施形態において、この組成物は、天然ペルツズマブ抗体と、アミノ末端リーダー伸長を含むアミノ酸配列変異体との混合物を含む。好ましくは、アミノ末端リーダー伸長は、抗体変異体の軽鎖(例えば、抗体変異体の1つまたは2つの軽鎖)にある。主要種HER2抗体または抗体変異体は、完全長抗体または抗体断片(例えば、F(ab=)2断片のFab)でありうるが、好ましくは、両方とも完全長抗体である。本明細書における抗体変異体は、その重鎖または軽鎖のうちのいずれか1つまたは複数にアミノ末端リーダー伸長を含んでもよい。好ましくは、アミノ末端リーダー伸長は、抗体の1つまたは2つの軽鎖にある。アミノ末端リーダー伸長は、好ましくは、VHSを含む、またはVHSからなる。組成物中のアミノ末端リーダー伸長の存在は、N末端配列解析、電荷不均一性についてのアッセイ(例えば、陽イオン交換クロマトグラフィーまたはキャピラリーゾーン電気泳動)、質量分析などが挙げられるが、これらに限定されない様々な分析技法によって検出することができる。組成物中の抗体変異体の量は、一般に、変異体を検出するために使用される任意のアッセイ(好ましくは、N末端配列解析)の検出限界を構成する量から、主要種抗体の量未満の量までの範囲である。一般に、組成物中の抗体分子の約20%以下(例えば、約1%~約15%、例えば、5%~約15%)が、アミノ末端リーダー伸長を含む。そのような量の百分率は、好ましくは、定量的N末端配列解析または陽イオン交換分析を使用して(好ましくは、高分解能弱陽イオン交換カラム、例えば、PROPAC WCX-10(商標)陽イオン交換カラムを使用して)決定される。アミノ末端リーダー伸長変異体とは別に、主要種抗体および/または変異体のさらなるアミノ酸配列改変が企図され、重鎖の一方または両方にC末端リジン残基を含む抗体、脱アミド化抗体変異体などが挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、主要種抗体または変異体は、グリコシル化変形をさらに含んでもよく、その非限定的な例には、Fc領域に結合されるG1もしくはG2オリゴ糖を含む抗体、軽鎖に結合される炭水化物部分を含む抗体(例えば、抗体の1つもしくは2つの軽鎖に結合される、例えば、1つもしくは複数のリジン残基に結合される、1つもしくは2つの炭水化物部分、例えば、グルコースもしくはガラクトース)、1つもしくは2つの非グリコシル化重鎖を含む抗体、または1つもしくは2つの重鎖に結合されるシアリデート化(sialidated)オリゴ糖を含む抗体が挙げられる。
組成物は、遺伝子操作された細胞株、例えば、HER2抗体を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株から回収されうるか、またはペプチド合成によって調製されうる。
例示的なペルツズマブ組成物に関するさらなる情報については、米国特許第7,560,111号および同第7,879,325号、ならびに米国特許出願第2009/0202546A1号を参照のこと。
(iii)トラスツズマブ組成物
トラスツズマブ組成物は、一般に、主要種抗体(それぞれ配列番号13および14の軽鎖配列および重鎖配列を含む)と、これらの変異体形態、特に酸性変異体(脱アミド化変異体を含む)との混合物を含む。好ましくは、組成物中のそのような酸性変異体の量は、約25%未満、または約20%未満、または約15%未満である。米国特許第6,339,142号を参照のこと。また、ピークA(両方の軽鎖でAspに脱アミドされたAsn30);ピークB(一方の重鎖でisoAspに脱アミドされたAsn55);ピーク1(一方の軽鎖でAspに脱アミドされたAsn30);ピーク2(一方の軽鎖でAspに脱アミドされたAsn30、および一方の重鎖でisoAspに異性化されたAsp102);ピーク3(主ピーク形態、または主要種抗体);ピーク4(一方の重鎖でisoAspに異性化されたAsp102);ならびにピークC(一方の重鎖にAsp102スクシンイミド(Asu))を含む、陽イオン交換クロマトグラフィーによって分解可能なトラスツズマブの形態については、Harrisら、J.Chromatography、B752巻:233~245頁(2001年)を参照のこと。
(iv)一定用量配合剤中のトラスツズマブ・ペルツズマブ組成物
本実施例は、トラスツズマブ・ペルツズマブ一定用量配合剤に見出された様々な電荷変異体に対する広範囲な研究を開示している。許容基準を、臨床経験、ならびに生物活性/PKおよび安全性/免疫原性プロファイルに対す想定される影響に基づいて確立した。本明細書に提供される組成物は、追加的な免疫原性および安全性のリスクを有することなく、安全なバイオ医薬品(biomedicine)に必要な生物活性およびPKを有すると考慮される。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を23%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも28%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも16%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを12%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を23%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも38%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも16%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを9%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を21%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも28%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも23%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを12%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブ、トラスツズマブおよびこれらの電荷変異体を含む組成物は、イオン交換クロマトグラフィーにより分析される。一実施形態において、ペルツズマブ、トラスツズマブおよびこれらの電荷変異体を含む組成物は、上記の実施形態のいずれかに従ってイオン交換クロマトグラフィーを用いて分析される。一実施形態において、天然抗体および電荷変異体の百分率は、上記の実施形態のいずれかに従ってイオン交換クロマトグラフィーにより決定されるピーク領域に等しく、(i)HC-Asn-391で脱アミド化されているペルツズマブ変異体、ペルツズマブシアル酸変異体、ペルツズマブリジン糖化変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブおよびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブはピーク1~3で溶出し、よって組成物内のこれらの変異体の百分率はピーク領域1~3の合計と等しく、(ii)ペルツズマブ天然抗体はピーク4で溶出し、よって組成物中のペルツズマブ天然抗体の百分率はピーク4のピーク領域に等しく、(iii)トラスツズマブ天然抗体はピーク7で溶出し、よって組成物中のトラスツズマブ天然抗体の百分率はピーク7のピーク領域と等しく、(iv)一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブはピーク8で溶出し、よって組成物中のこの変異体の百分率はピーク8のピーク領域に等しい。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、上記の実施形態のいずれかに記載されている方法により決定して、ピーク1~3の合計の23%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも28%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも16%のピーク領域、およびピーク8の12%未満のピーク領域を含む。一態様において、前記方法は、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65である工程と、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7である工程と、
を含む。
一実施形態において、イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、強陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を含む。
一実施形態において、工程bは塩勾配で実施される。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーは塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、上記のペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法は、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、方法は32~40℃の温度で実施される。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、rHuPH20を追加的に含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、上記の実施形態のいずれかに記載されている方法により決定して、ピーク1~3の合計の23%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも38%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも16%のピーク領域、およびピーク8の9%未満のピーク領域を含む。一態様において、前記方法は、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65である工程と、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7である工程と、
を含む。
一実施形態において、イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、強陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を含む。
一実施形態において、工程bは塩勾配で実施される。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーは塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、上記のペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法は、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、方法は32~40℃の温度で実施される。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、rHuPH20を追加的に含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、上記の実施形態のいずれかに記載されている方法により決定して、ピーク1~3の合計の21%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも28%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも23%のピーク領域、およびピーク8の12%未満のピーク領域を含む。一態様において、前記方法は、
a.ローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させ、ローディングバッファーのpHが約7.5~約pH7.65である工程と、
b.溶出バッファーで抗体を溶出し、溶出バッファーのpHが約7.5~約pH7.7である工程と、
を含む。
一実施形態において、イオン交換材料は、陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィー材料は、強陽イオン交換材料である。一実施形態において、陽イオン交換材料はスルホネート基を含む。
一実施形態において、工程bは塩勾配で実施される。一実施形態において、溶出バッファーはナトリウムを含む。一実施形態において、溶出バッファーは塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、上記のペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法は、
c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
を追加的に含む。
一実施形態において、方法は32~40℃の温度で実施される。一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、rHuPH20を追加的に含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を22%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも29.2%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも21.8%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを5%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を22%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも39.4%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも21.8%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを4.1%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物が提供され、組成物は、HC-Asp-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を19.8%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも29.2%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも31%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを5%未満含む。
一実施形態において、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む。
本発明の更なる態様において、本明細書に提供される組成物は、以下の工程:
a.所定量のペルツズマブを配合容器に添加する工程と、
b.トラスツズマブを、トラスツズマブとペルツズマブの1:1の比またはトラスツズマブとペルツズマブの1:2の比で添加する工程と、
c.rHuPH20を添加する工程と、
を含む方法により得られる。
一実施形態においてトラスツズマブとペルツズマブの1:1の比は、60mg/mLのトラスツズマブおよび60mg/mLのペルツズマブを含む組成物をもたらす。一実施形態においてトラスツズマブとペルツズマブの1:2の比は、40mg/mLのトラスツズマブおよび80mg/mLのペルツズマブを含む組成物をもたらす。一実施形態において、rHuPH20を組成物に添加して、2000U/mlのrHuPH20の最終濃度を達成する。
IV.組換えHER2細胞外ドメイン
サブドメインIVを欠いている修飾HER2 ECDは、C末端で短縮されている組換えサブドメインIIIを含む場合、天然HER2 ECDに似ている三次元立体構造で産生されうることを本発明者たちは見出している。1つのそのような実施形態において、修飾HER2 ECDは、配列番号1、配列番号2および配列番号34を含む。一実施形態において、配列番号24を含む修飾HER2 ECDが提供される。一実施形態において、配列番号24に99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する修飾HER2 ECDが提供される。
一実施形態において、組換えHER2細胞外サブドメインI、II、IIIはFcドメインに融合している。一実施形態において、前記Fcドメインは、マウス、ラット、ウサギまたはヤマアラシFcドメインである。一実施形態において、配列番号25、配列番号26または配列番号27を含む修飾HER2 ECDが提供される。一実施形態において、配列番号25に99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する修飾HER2 ECDが提供される。一実施形態において、配列番号26に99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する修飾HER2 ECDが提供される。一実施形態において、配列番号27に99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する修飾HER2 ECDが提供される。
一実施形態において、配列番号33、配列番号3および配列番号4を含む修飾ECDが提供される。一実施形態において、修飾ECDは、配列番号33、配列番号36、配列番号3および配列番号4を含む。
サブドメインIIを欠いている修飾HER2 ECDは、C末端で短縮され、かつHER2 ECDサブドメインIIがEGFRサブドメインIIに置き換えられている組換えサブドメインIを含む場合、天然HER2 ECDに似ている三次元立体構造で産生されうることを本発明者たちは見出している。一実施形態において、配列番号29を含む修飾HER2 ECDが提供される。一実施形態において、配列番号29に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する修飾HER2 ECDが提供される。
一実施形態において、組換えHER2細胞外サブドメインI、IIIおよびIV、ならびにEGFRのサブドメインIIは、Fcドメインに融合している。一実施形態において、前記Fcドメインは、マウス、ラット、ウサギまたはヤマアラシFcドメインである。上記の実施形態のいずれかにおいて、トラスツズマブの結合を査定するための捕獲試薬は、HER2 ECDサブドメインIIを含まない。一実施形態において、配列番号30、配列番号31または配列番号32を含む組換えHER2細胞外ドメインが提供される。一実施形態において、配列番号30に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する修飾HER2 ECDが提供される。一実施形態において、配列番号31に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する修飾HER2 ECDが提供される。一実施形態において、配列番号32に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する修飾HER2 ECDが提供される。
組換えHER2細胞外ドメインは、当該技術に公知の方法によって産生および精製されうる。一実施形態において、組換えHER2細胞外ドメインを作製する方法が提供され、方法は、組換えHER2細胞外ドメインの発現に好適な条件下で組換えHER2細胞外ドメインをコードする核酸を含む宿主細胞を培養すること、および任意選択で組換えHER2細胞外ドメインを宿主細胞(または、宿主細胞培地)から回収することを含む。組換えHER2細胞外ドメインの組換え産生では、組換えHER2細胞外ドメインをコードする核酸が単離され、宿主細胞におけるさらなるクローニングおよび/または発現のために1つまたは複数のベクターに挿入される。そのような核酸は、容易に、従来の手順を使用して単離および配列決定すること、または組換え方法により産生すること、または化学合成によって得ることができる。
組換えHER2細胞外ドメインコードベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、本明細書に記載されている原核細胞または真核細胞が挙げられる。例えば、組換えHER2細胞外ドメインは細菌より産生されうる。細菌中の抗体断片およびポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、米国特許第5,789,199号、および米国特許第5,840,523号を参照のこと。発現後、組換えHER2細胞外ドメインを可溶性画分で細菌細胞ペーストから単離してもよく、さらに精製することができる。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物が、組換えHER2細胞外ドメインコードベクターに好適なクローニングまたは発現宿主である。組換えHER2細胞外ドメインの発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞および昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が確認されており、特に、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのために、昆虫細胞と併せて使用してもよい。植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。脊椎動物細胞も、宿主として使用されうる。例えば、懸濁液で成長するように適合された哺乳動物細胞株は有用でありうる。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7);ヒト胚腎臓株(例えば、Graham,F.L.ら、J.Gen Virol.36巻(1977年)59~74頁に記載されている293または293T細胞);仔ハムスター腎蔵細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,J.P.、Biol.Reprod.23巻(1980年)243~252頁に記載されているTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット腎臓細胞(BRL3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT060562);TRI細胞(例えば、Mather,J.P.ら、Annals N.Y.Acad.Sci.383巻(1982年)44~68頁に記載されているもの);MRC5細胞およびFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株には、チャイニーズハムスター卵巣(HO)細胞が挙げられ、DHFR-CHO細胞(Urlaub,G.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77巻(1980年)4216~4220頁);および骨髄腫細胞株、例えば、Y0、NS0およびSp2/0が含まれる。一態様において、宿主細胞は真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
V.キット
本発明はまた、HER2細胞外サブドメインIIに結合する第1の抗体および第2のHER2抗体の一定用量配合剤(FDC)において、HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体の結合を特異的に定量化するキットであって、
(a)配列番号1、配列番号2および配列番号34を含むタンパク質を捕獲試薬として含有する容器と、
(b)HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体の結合を定量化するための指示書と、
を含むキットである。
一実施形態において、捕獲試薬は配列番号24を含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号24に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。
一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号25、配列番号26または配列番号27を含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号25に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号26に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号27に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。
一実施形態において、前記指示書は、HER2細胞外サブドメインIIに結合する第1の抗体結合の結合を、その力価と相関させる指示書を含む。
一実施形態において、第2の抗体は第1の抗体と異なるエピトープに結合する。一実施形態において、第2の抗体は、HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体である。一実施形態において、第1の抗体はペルツズマブである。一実施形態において、第2の抗体はトラスツズマブである。
一実施形態において、前記ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。1つのそのような実施形態において、ヒアルロニダーゼは組換えヒトヒアルロニダーゼである。一実施形態において、前記ヒアルロニダーゼはrHuPH20である。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、約2000U/mLのrHuPH20を含む。
本発明はまた、HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体および第2のHER2抗体の一定用量配合剤(FDC)において、HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体の結合を特異的に定量化するキットであって、
a.配列番号33、配列番号36、配列番号3および配列番号4を含むタンパク質を捕獲試薬として含有する容器と、
(b)HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体の結合を定量化するための指示書と、
を含むキットである。
一実施形態において、捕獲試薬は配列番号29を含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号29に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。
一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号30、配列番号31または配列番号32を含む。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号30に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号31に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。一実施形態において、捕獲試薬は、配列番号32に少なくとも99%、98%、97%、96%、95%または90%の配列同一性を有する。
一実施形態において、前記指示書は、HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体の結合を、その力価と相関させる指示書を含む。
一実施形態において、第2の抗体は第1の抗体と異なるエピトープに結合する。一実施形態において、第2の抗体は、HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体である。一実施形態において、第1の抗体はトラスツズマブである。一実施形態におい第2の抗体はペルツズマブである。
一実施形態において、前記ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤は、ヒアルロニダーゼを追加的に含む。1つのそのような実施形態において、ヒアルロニダーゼは組換えヒトヒアルロニダーゼである。一実施形態において、前記ヒアルロニダーゼはrHuPH20である。一実施形態において、前記ペルツズマブ・トラスツズマブFDCは、約2000U/mLのrHuPH20を含む。
VI.製造方法
一実施形態において、組成物を作製する方法であって、(1)ペルツズマブ、トラスツズマブおよびこれらの1つまたは複数の変異体を含む一定用量配合剤を生産すること、ならびに(2)そのように生産された組成物を分析アッセイに付して、変異体の量を評価することを含み、変異体が、(i)HC-Asn-391で脱アミド化されているペルツズマブ、ペルツズマブFCシアル酸変異体、ペルツズマブリジン糖化変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ、HC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ、(ii)ペルツズマブ天然抗体、(iii)トラスツズマブ天然抗体、(vi)一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを含む、方法が提供される。
一実施形態において、変異体は、(i)次の変異体:HC-Asn-391で脱アミド化されているペルツズマブ、ペルツズマブFCシアル酸変異体およびペルツズマブリジン糖化変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ、HC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブを23%未満、(ii)ペルツズマブ天然抗体を少なくとも28%、(iii)トラスツズマブ天然抗体を少なくとも16%、(iv)一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを12%未満含む。
一実施形態において、変異体は、(i)次の変異体:HC-Asn-391で脱アミド化されているペルツズマブ、ペルツズマブFCシアル酸変異体、ペルツズマブリジン糖化変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ、HC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブを23%未満、(ii)ペルツズマブ天然抗体を少なくとも38%、(iii)トラスツズマブ天然抗体を少なくとも16%、(iv)一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを9%未満含む。
一実施形態において、変異体は、(i)次の変異体:HC-Asn-391で脱アミド化されているペルツズマブ、ペルツズマブCシアル酸変異体およびペルツズマブリジン糖化変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ、HC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブを21%未満、(ii)ペルツズマブ天然抗体を少なくとも28%、(iii)トラスツズマブ天然抗体を少なくとも23%、(iv)一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを12%未満含む
一実施形態において、前記分析アッセイはイオン交換クロマトグラフィーである。一実施形態において、前記分析アッセイは、上記の実施形態のいずれかによるイオン交換クロマトグラフィーである。一実施形態において、百分率は、上記の実施形態のいずれかに従ってイオン交換クロマトグラフィーにより決定されるピーク領域に等しく、(i)HC-Asn-391で脱アミド化されているペルツズマブ変異体、ペルツズマブFCシアル酸変異体、ペルツズマブリジン糖化変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブおよびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブはピーク1~3で溶出し、よって組成物内のこれらの変異体の百分率はピーク領域1~3の合計に等しく、(ii)ペルツズマブ天然抗体はピーク4で溶出し、よって組成物中のペルツズマブ天然抗体の百分率はピーク4のピーク領域に等しく、(iii)トラスツズマブ天然抗体はピーク7で溶出し、よって組成物中のトラスツズマブ天然抗体の百分率はピーク7のピーク領域に等しく、(iv)一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブはピーク8で溶出し、よって組成物中のこの変異体の百分率はピーク8のピーク領域に等しい。
一実施形態において、以下の追加的な変異体の量は分析アッセイによって分析される:(v)重鎖および軽鎖にN末端VHSを有するペルツズマブ、重鎖でC末端リジンを有するペルツズマブ、HC-Asnー392の脱アミド化を有するトラスツズマブ、リジン糖化を有するトラスツズマブ、および増加したFcシアル酸含有量を有するトラスツズマブ。
一実施形態において、前記分析アッセイはイオン交換クロマトグラフィーである。一実施形態において、前記分析アッセイは、上記の実施形態のいずれかによるイオン交換クロマトグラフィーである。一実施形態において、百分率は、上記の実施形態のいずれかに従ってイオン交換クロマトグラフィーにより決定されたピーク領域に等しく、(vii)重鎖および軽鎖にN末端VHSを有するペルツズマブ、重鎖でC末端リジンを有するペルツズマブ、HC-Asn-392の脱アミド化を有するトラスツズマブ、リジン糖化を有するトラスツズマブ、および増加したFcシアル酸含有量を有するトラスツズマブは、ピーク5~6で溶出し、よって、組成物中のこれらの変異体の百分率は、ピーク5~6のピーク領域に等しい。
一実施形態において、以下の追加的な変異体の量は分析アッセイによって分析される:(vi)一方の重鎖にスクシンイミドへのHC Asp 102の単独の異性化を有し、かつトラスツズマブFc酸化を有するトラスツズマブ。
一実施形態において、前記分析アッセイはイオン交換クロマトグラフィーである。一実施形態において、前記分析アッセイは、上記の実施形態のいずれかによるイオン交換クロマトグラフィーである。一実施形態において、百分率は、上記の実施形態のいずれかに従ってイオン交換クロマトグラフィーにより決定されたピーク領域に等しく、(vi)一方の重鎖にスクシンイミドへのHC Asp102の単独の異性化を有し、かつトラスツズマブFc酸化を有するトラスツズマブは、ピーク9~10で溶出する。よって、組成物中のこれらの変異体の百分率は、ピーク9~10のピーク領域に等しい。
一実施形態において、方法は、rHuPH20を追加的に含む組成物を作製するための方法である。一実施形態において、組成物は2000U/mlのrHuPH20を含む。一実施形態において、方法は、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む組成物を作製するための方法である。一実施形態において、組成物は、40mg/mLのトラスツズマブおよび80mg/mLのペルツズマブを含む。一実施形態において、組成物は、60mg/mLのトラスツズマブおよび60mg/mLのペルツズマブを含む。
一実施形態において、上記に記載された作製方法の工程(1)は、以下の工程:
a.所定量のペルツズマブを配合容器に添加する工程と、
b.トラスツズマブを、トラスツズマブとペルツズマブの1:1の比またはトラスツズマブとペルツズマブの1:2の比で添加する工程と、
c.rHuPH20を添加する工程と、
を含む。
一実施形態においてトラスツズマブとペルツズマブの1:1の比は、60mg/mLのトラスツズマブおよび60mg/mLのペルツズマブを含む組成物をもたらす。一実施形態においてトラスツズマブとペルツズマブの1:2の比は、40mg/mLのトラスツズマブおよび80mg/mLのペルツズマブを含む組成物をもたらす。
一実施形態において、rHuPH20を組成物に添加して、2000U/mlのrHuPH20の最終濃度を達成する。
VII.治療のための患者の選択
HER2発現または増幅の検出を使用して、本発明による治療のために患者を選択することができる。いくつかのFDA承認済みの市販アッセイは、HER2陽性、HER2発現、HER2過剰発現またはHER2増幅がんの患者を確認するために利用可能である。これらの方法には、HERCEPTEST(登録商標)(Dako)およびPATHWAY(登録商標)HER2(免疫組織化学(IHC)アッセイ)、ならびにPathVysion(登録商標)およびHER2 FISH pharmDx(商標)(FISHアッセイ)が挙げられる。使用者は、各アッセイの妥当性および性能の情報について特異的アッセイキットの添付文書を参照するべきである。
例えば、HER2発現または過剰発現は、例えば、HERCEPTEST(登録商標)(Dako)を使用してIHCにより分析することができる。腫瘍生検からのパラフィン包埋組織切片をIHCアッセイに付し、以下のHER2タンパク質染色強度基準に一致させることができる:
スコア0:染色が観察されない、または膜染色が腫瘍細胞の10%未満で観察される。
スコア1+:かすかな/ほとんど知覚できない膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて検出される。これらの細胞は、それらの膜の一部のみが染色されている。
スコア2+:弱度から中程度の完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて観察される。
スコア3+:中程度から強度の完全な膜染色が腫瘍細胞の10%を超えて観察される。
HER2過剰発現査定の0または1+のスコアを有するこれらの腫瘍を、HER2陰性と特徴づけることができ、2+または3+のスコアを有するこれらの腫瘍をHER2陽性と特徴づけることができる。
HER2を過剰発現する腫瘍は、細胞1個あたりの発現されるHER2分子のコピー数に対応する免疫組織化学スコアによって評価されてもよく、生化学的に決定されうる:
0=0~10,000個のコピー/細胞、
1+=少なくとも約200,000個のコピー/細胞、
2+=少なくとも約500,000個のコピー/細胞、
3+=少なくとも約2,000,000個のコピー/細胞。
3+レベルでのHER2の過剰発現は、チロシンキナーゼのリガンド非依存性活性化を導き(Hudziakら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84巻:7159~7163頁(1987年))、乳がんのおよそ30%で起こり、これらの患者では無再発生存期間および全生存期間が減少する(Slamonら、Science、244巻:707~712頁(1989年);Slamonら、Science、235巻:177~182頁(1987年))。
HER2タンパク質の過剰発現および遺伝子増幅の存在は高く相関しており、したがって代替的または追加的に、遺伝子増幅を検出するアッセイであるin situハイブリダイゼーション(ISH)、例えば蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)の使用を、本発明による治療に適切な患者の選択のために用いることもできる。FISHアッセイ、例えば、INFORM(商標)(Ventana、Arizonaにより販売)またはPathVysion(登録商標)(Vysi、Illinois)を、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織に実行して、腫瘍中のHER2増幅の程度(存在する場合)を決定することができる。
最も一般的には、HER2陽性状態は、前述の方法のいずれかを使用し、アーカイブのパラフィン包埋腫瘍組織を使用して確証される。
好ましくは、2+もしくは3+のIHCスコアを有する、および/またはFISHもしくはISH陽性であるHER2陽性患者は、本発明による治療に選択される。3+のIHCスコアおよびFISH/ISH陽性を有する患者は、本発明による治療に特に好適である。
HER2指向型療法への応答性と関連するHER2突然変異も確認されている。そのような突然変異には、限定されることなく、HER2のエクソン20への挿入、HER2のアミノ酸残基755~759周囲の欠失、G309A、G309E、S310F、D769H、D769Y、V777L、P780-Y781insGSP、V842I、R896C(Boseら、Cancer Discov 2013年;3巻:114頁)のいずれかの突然変異、ならびに2つ以上の独自標本に見出されるCOSMICデータベース中の以前に報告された同一の非同義推定活性化突然変異(または、インデル)が挙げられる。
ペルツズマブによる療法について患者をスクリーニングするための代替的アッセイについては、米国特許第7,981,418号および実施例も参照のこと。
Figure 2023533813000001
Figure 2023533813000002
実施例1
ペルツズマブ・トラスツズマブFDC
FDC薬品LDおよびMDにおける2つの活性成分であるペルツズマブおよびトラスツズマブは、HER2の細胞外ドメインに対するIgG1サブクラスの組換えヒト化モノクローナル抗体である。FDC薬品の第3の活性成分であるrHuPH20は、局所透過エンハンサーとして機能して、伝統的に静脈で送達される治療薬の皮下送達が可能になる一過性の活性酵素(組換えヒトヒアルロニダーゼ)である。
FDC薬品は、無色から僅かに茶色を帯びた滅菌の皮下注射用液剤として提供される。防腐剤を含有しない。以下に記載されている2つの製剤である。
負荷量FDC薬品LD
各20mLの単回用量バイアルは、1200mg(公称)のペルツズマブ、600mg(公称)のトラスツズマブおよび2000U/mLのヒアルロニダーゼ(rHuPH20、ボルヒアルロニダーゼアルファ)を目標pHの5.5で含有する。薬品は、80mg/mLのペルツズマブおよび40mg/mLのトラスツズマブで製剤化される。製剤に使用される添加物は、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物、L-メチオニン、α,α-トレハロース二水和物、スクロースおよびポリソルベート20である。
維持量FDC薬品MD
各15mLの単回用量バイアルは、600mg(公称)のペルツズマブ、600mg(公称)のトラスツズマブおよび2000U/mLのヒアルロニダーゼ(rHuPH20、ボルヒアルロニダーゼアルファ)を目標pHの5.5で含有する。薬品は、60mg/mLのペルツズマブおよび60mg/mLのトラスツズマブで製剤化される。製剤に使用される添加物は、L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩一水和物、L-メチオニン、α,α-トレハロース二水和物、スクロースおよびポリソルベート20である。
実施例2
細胞ベースアッセイによるペルツズマブ・トラスツズマブFDCの力価
この方法は、MDA-MB-175-VII細胞またはBT-474細胞それぞれの増殖を阻害する能力を測定して、ペルツズマブおよびトラスツズマブの力価を決定する。典型的なアッセイにおいて、96ウェルマイクロタイタープレートにMDA-MB-175-VII細胞またはBT-474細胞を播種し、加湿インキュベーターにおいて5%の二酸化炭素と共に37℃で一晩インキュベートする。インキュベートした後、培地を取り出し、様々な濃度の参照標準、アッセイ対照および試料をプレートに添加する。次いでプレートを3日間インキュベートし、生細胞の相対数を、レドックス色素のalamarBlueを間接的に使用して定量化する。
蛍光は、530nmでの励起および590nmでの放出を使用して測定する。
alamarBlue色素は酸化状態では青色および非蛍光性であるが、細胞の細胞内環境で還元されて、ピンク色の形態になり、これは極めて蛍光性である。色および蛍光の変化は、生細胞の数に比例している。RFUで表されている結果を抗体濃度に対してプロットし平行線分析プログラムを使用して、参照標準に対するFDC試料の抗増殖活性を推定する。
細胞ベースアッセイは、FDC薬品の一方またはもう一方の抗体に選択的に感受性があるが、図7AおよびBに示されているように、抗体の両方に感受性があるわけではない。個々に分析すると、トラスツズマブは、BT-474細胞に抗増殖活性を有するが、MDA-MD-175-VII細胞には有さず、ペルツズマブは、MDA-MB-175-VII細胞に抗増殖活性を有するが、BT-474細胞に対する活性は、高濃度へ強くシフトしている。2つの細胞株における感受性の差は、HER2への親和性の差ではなく、異なるHER2発現レベル(BT-474およびMDA-MB-175-VIIそれぞれに対して高度および中程度)に基づいている可能性がある。また、全体的な抗増殖活性に関与するHER3発現レベルおよび他の潜在的なパラメーター(例えば、HER3内因性リガンドヘレグリンの存在または非存在)が、感受性の差に寄与する可能性がある。加えて、原体細胞ベースアッセイにおいて、一方の抗体の存在がもう一方の抗体の応答に影響を及ぼし、一方またはもう一方の抗体で起こる潜在的な品質変化を遮蔽する。ペルツズマブおよびトラスツズマブは、HER2シグナル伝達を破壊する相補的な作用機序を有し、両方が存在する場合に高い抗増殖活性をもたらす(図8AおよびB)。トラスツズマブ単独では、ペルツズマブ抗増殖アッセイにおいてMDA-MB-175-VII細胞の増殖を阻害することができないが(図7AおよびB)、ペルツズマブの添加は、トラスツズマブ用量応答曲線を低いEC50値にシフトし、トラスツズマブおよびペルツズマブが組み合わせた場合の高い力価を反映している(図8A)。したがって、FDC薬品中のペルツズマブの僅かな品質変化は、MDA-MB-175-VII抗増殖アッセイによって検出されない。同様の観察は、あまり際立っていないが、BT-474抗増殖性アッセイのペルツズマブにおいて行われた(図8B)。さらに、逆方向への抗体の僅かな品質変化は、100%の力価をもたらしうる。
FDC薬品のいずれかの抗体の実質的な品質変化が抗増殖アッセイにより検出できないことを実証するため、CDRに指向型変化(それぞれ、HC S55A突然変異およびLC H91A突然変異)を有するペルツズマブおよびトラスツズマブHER2親和性突然変異体を、ペルツズマブおよびトラスツズマブ抗増殖アッセイにおいて試験した(図9AおよびB)。HER2に対して大きく低減した突然変異体の親和性は、対応する細胞ベースアッセイにおける抗増殖活性の低減と相関する。トラスツズマブ突然変異体へのペルツズマブ(または、ペルツズマブ突然変異体へのトラスツズマブ)の添加は、用量応答曲線の形状を部分的に回復し、したがって抗増殖活性を回復する。
要約すると、抗増殖アッセイにおいて観察された選択的感受性、相補性機序および遮蔽効果に基づいて、これらのアッセイは、合剤中のどちらかの抗体の活性に関連する変化を検出するために好適ではないと考慮される。これらの制限が、抗増殖アッセイをFDC薬品の生物活性の決定および制御に使用するには不適格にする。したがって、そのような交差干渉に影響を受けない2つの選択的力価のELISAを設計して、FDC薬品中の2つの抗体の結合活性における関連する変化を制御する。ELISAの選択性は、HER2受容体の異なるエピトープを一次結合標的として使用することによって確実になる。
実施例3
ELISAによるFDC中のペルツズマブの力価
FDC薬品の力価を、2つの別々のELISAを使用して制御する。ここに、FDC薬品のペルツズマブ成分の生物活性を制御するELISAを記載する。ペルツズマブは、HER2の細胞外サブドメインIIに特異的である、HER2に対するモノクローナルIgG1抗体である。結合すると、ペルツズマブはHER2のヘテロ二量体化をHER受容体ファミリーのリガンド活性化メンバーで防止して、HER2の活性化をブロックする。このことは、HER2過剰発現細胞の下流のシグナル伝達経路の阻害をもたらす。ペルツズマブのELISAは、ペルツズマブが組換えHER2のエピトープ(すなわち、サブドメインII)に特異的に結合する能力として特定の生物活性を決定する。図6は、ペルツズマブのELISAおよびトラスツズマブのELISAに使用される捕獲試薬の模式図を描写する(詳細は実施例6を参照のこと)。
結合は、ペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体を使用して測定する。試料および標準で生成された用量応答曲線は、定量化の基礎を提供する。ELISAでは、ペルツズマブの実際のタンパク質含有量(FDC薬品の実際のタンパク質総含有量ではない)が、希釈調製物において考慮される。ペルツズマブのELISAは、FDC薬品のLDとMDの両方に使用される。
機器および材料
96-ウェル免疫プレート(例えば、Maxisorp ELISA)
吸収度プレート読取り機
4パラメーターデータ整理ソフトウエアおよび並列処理分析ソフトウエア(例えば、SoftMaxPro)を備えたコンピューター
マイクロプレート洗浄機
試薬
●ペルツズマブコート試薬:マウスFcに融合されている組換えHER2細胞外ドメインI、II、III;ドメインIV(トラスツズマブエピトープに含有されている)は欠失している(配列番号27)。
●検出抗体:HRPコンジュゲートヤギ抗ヒト抗体(
ヒトIgGのF(ab’)2部分に特異的である)(例えば、Jackson ImmunoResearch)
●カルシウムおよびマグネシウムのない1×DPBS
●精製水、例えば、Milli-Q
●BSA画分V
●Tween20
●ABTS基質溶液
●リン酸濃縮液(85%)
溶液
注:処方箋は試薬の名目量のものであり、アッセイ要件に対応して調整することができる。
洗浄バッファー:1×DPBS、0.05%のTween20
アッセイ希釈剤:1×DPBS、0.05%のTween20、0.5%のBSA画分V
コーティング溶液:1×DPBS中のペルツズマブコート試薬(1μg/mL)
検出抗体:0.8mg/mLのHRPコンジュゲートヤギ抗ヒト抗体
検出溶液:検出抗体(0.8mg/mL)をアッセイ希釈剤に希釈して、16ng/mLの濃度にすることによって、検出溶液を調製する。使用前に新たに調製する。
停止溶液:1Mのリン酸
参照標準:FDCのMD参照基準
プレートのコーティング
-100μLのコーティング溶液をマイクロタイタープレートの各ウェルに移す。
-コートされたプレートを2℃~8℃で30~60分間インキュベートする。
プレートのブロッキング
-、コートされたすべてのプレートを300μL/ウェルの洗浄バッファーで3回洗浄して、過剰量のコーティング溶液を除去する。
-100μLのアッセイ希釈剤を各ウェルに添加して、すべてのプレートをブロックする。
-プレートを、穏やかに振とうしながら常温で60~90分間インキュベートする。
-プレートを300μL/ウェルの洗浄バッファーで3回洗浄ブロックする。
試料の移動
-100μL/ウェルのFDC参照基準、製品対照および試料希釈液をイムノプレートのウェルに移す。
-プレートを、穏やかに振とうしながら常温で60~90分間インキュベートする。
検出
-100μLの検出溶液(16ng/mL)をプレートの各ウェルに移す。
-プレートを、穏やかに振とうしながら常温で30~90分間インキュベートする。
-プレートを300μL/ウェルの洗浄バッファーで3回洗浄する。
基質の移動および測定
-100μL/ウェルのABTS基質溶液をプレートの各ウェルに移す。
-プレートを、穏やかに振とうしながら常温で20~35分間インキュベートする。
-反応を停止させるために、100μL/ウェルの停止溶液をプレートの各ウェルに移す。
-プレートを少なくとも1分間軽く撹拌して混合する。
-30分以内に、0D値を吸収度プレート読取り機により波長405nm(参照波長490nm)で測定する。
評価
-各ウェルのOD値を次のように計算する:OD(405nm)-OD(490nm)。
式中、OD(405nm):405nmでの検出吸光度、OD(490nm):490nmでの参照吸収度。
-複製のOD値を平均して、平均ODを決定する。
-平均OD(y)をペルツズマブ抗体濃度ng/mL(x)の濃度に対してプロットして、標準、製品対照および試料の用量応答曲線を生成する。
-以下の4パラメーター方程式を使用して、非線形回帰を適用する:
Figure 2023533813000003
式中:
A:下方漸近線
B:ヒルスロープ
C:EC50
D:上方漸近線
-標準、製品対照および試料曲線のRを計算する。
-標準デルタODを以下のように計算する:
標準デルタOD=(標準の平均最大OD)-(標準の平均最小OD)
-最大ODを以下のように決定する:
最大OD値は、用量応答曲線のすべての複製内で得た、405nmでの最大OD値である。
力価の計算
-4パラメーター平行線分析を使用して、標準および試料(または、製品対照)曲線のヒルスロープ、上方漸近線および下方漸近線の共通セットを計算する。
-標準および試料(または、製品対照)の得られた曲線方程式は、下記である:
Figure 2023533813000004
式中:
A=共通の下方漸近線
B=ヒルスロープ
標準=標準EC50
D=共通の上方漸近線
ρ=参照標準に対する試料および製品対照の力価
-相対力価を以下のように計算する:
相対力価=ρ×参照標準の活性
参照標準力価割当
FDC薬品のペルツズマブ力価は、FDC薬品の総タンパク質含有量ではなく、ペルツズマブのタンパク質含有量に基づいている。したがって、力価測定は、FDC薬品中の2つの分子の比と無関係であり、1個の単一分子参照標準を使用して、FDC薬品のMDおよびLD試料の力価を決定することができる。DCのMD参照標準を力価の参照標準として選択した。
FDCのMD参照基準の力価割当の詳細は、以下のように提供される:
-力価は、1.00×10U/mgと設定した。
-ELISAによるペルツズマブ力価の決定は、市販のペルツズマブIV参照標準anti2C4907-2に対して実施した。
-ELISAによるトラスツズマブ力価の決定は、市販のトラスツズマブSC参照標準G005.03EP1に対して実施した。
結果:ペルツズマブ・トラスツズマブ一定用量配合剤におけるペルツズマブの結合を、ペルツズマブELISAアッセイで分析した。代表的な用量応答曲線を図10に描写する。
実施例4
ペルツズマブELISAの特異性
実施例3のペルツズマブELISAの特異性を査定するため、製剤バッファーおよび構造的に関連する分子を単一プレートに最高アッセイ濃度で二重に試験した。構造的に関連する分子による干渉が観察される(複製の平均値が参照標準用量応答曲線の下方漸近線平均値より3倍高い)場合、1つの報告可能な決定結果(n=1)を有する完全用量応答曲線の増大が実施される。
結果は、ペルツズマブELISAがペルツズマブに特異的であることを実証する:
●rHuPH20含有FDCのLDおよびMD製剤バッファーの両方がアッセイに干渉を示さず、これらのマトリックスで製剤化されたFDC薬品使用を分析するためのアッセイへの適合性を実証した。
●トラスツズマブを含む(ペルツズマブを除く、下記を参照のこと)構造的に関連する分子は、ペルツズマブELISAに干渉しなかった。このことは、参照標準用量応答曲線の下方漸近線OD平均値より3倍低い複製の平均OD値によって示されている。
●予想されたように、FDC薬品製剤およびペルツズマブIVで製剤化されたペルツズマブSC原体は、同じHER2ドメインIIに結合するので、ペルツズマブELISAに干渉を示した。
結果を表3に示す。
Figure 2023533813000005
実施例5
ペルツズマブELISAの頑健性
ペルツズマブELISAの頑健性を、実践における変動の潜在源であるアッセイパラメーターの恣意的変動によって査定した。頑健性の結果は、得られた用量応答曲線パラメーター、系への適合性および類似性基準を方法の手順条件と比較して評価した。全体的な頑健性の結果を表4に要約する。
Figure 2023533813000006
実施例6
ELISAによるFDC中のトラスツズマブの力価
FDC薬品の力価を、2つ類似したELISAを使用して制御する。このセクションは、FDC薬品のトラスツズマブ成分の生物活性を制御するELISAを記載する。トラスツズマブは、HER2の細胞外サブドメインIVに特異的である、HER2に対するモノクローナルIgG1抗体である。結合すると、トラスツズマブはHER2細胞外ドメインのホモ二量体化およびシェディングを防止して、HER2の活性化をブロックする。
このことは、HER2過剰発現細胞の下流のシグナル伝達経路の阻害をもたらす。トラスツズマブのELISAは、トラスツズマブが組換えHER2のエピトープ(すなわち、サブドメインIV)に特異的に結合する能力として特定の生物活性を決定する。図6は、トラスツズマブのELISAに使用される捕獲試薬の模式図を描写する。
結合は、ペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体を使用して測定する。試料および標準で生成された用量応答曲線は、定量化の基礎を提供する。ELISAでは、トラスツズマブの実際のタンパク質含有量(FDC薬品の実際のタンパク質総含有量ではない)が、希釈調製物において考慮される。トラスツズマブのELISAは、FDC薬品のLDとMDの両方に使用される。
試薬、バッファーおよび手順は、コート試薬およびコーティング溶液を除いて、実施例3に概説されているとおりである。
●トラスツズマブコート試薬:マウスFcに融合されている組換えHER2細胞外ドメインI、II、III、IV;ドメインIIは、ペルツズマブに結合することができないEGFRの構造的に関連するドメインII(配列番号32)に置き換えられている。
●コーティング溶液:1×DPBS中のトラスツズマブコート試薬(1μg/mL)
評価
-各ウェルのOD値を次のように計算する:OD(405nm)-OD(490nm)。
式中、OD(405nm):405nmでの検出吸光度、OD(490nm):490nmでの参照吸収度。
-複製のOD値を平均して、平均ODを決定する。
-平均OD(y)をトラスツズマブ抗体濃度ng/mL(x)の濃度に対してプロットして、標準、製品対照および試料の用量応答曲線を生成する。
-以下の4パラメーター方程式を使用して、非線形回帰を適用する:
Figure 2023533813000007
式中:
A:下方漸近線
B:ヒルスロープ
C:EC50
D:上方漸近線
-標準、製品対照および試料曲線のRを計算する。
-標準デルタODを以下のように計算する:
標準デルタOD=(標準の平均最大OD)-(標準の平均最小OD)
-最大ODを以下のように決定する:
最大OD値は、用量応答曲線のすべての複製内で得た、405nmでの最大OD値である。
力価の計算
-4パラメーター平行線分析を使用して、標準および試料(または、製品対照)曲線のヒルスロープ、上方漸近線および下方漸近線の共通セットを計算する。
-標準および試料(または、製品対照)の得られた曲線方程式は、下記である:
Figure 2023533813000008
式中:
A=共通の下方漸近線
B=共通のヒルスロープ
標準=標準EC50
D=共通の上方漸近線
ρ=参照標準に対する試料および製品対照の力価
-相対力価を以下のように計算する:
相対力価=ρ×参照標準の活性
参照標準力価割当
FDC薬品のトラスツズマブ力価は、FDC薬品の総タンパク質含有量ではなく、トラスツズマブのタンパク質含有量に基づいている。したがって、力価測定は、FDC薬品中の2つの分子の比と無関係であり、1個の単一分子参照標準を使用して、FDC薬品のMDおよびLD試料の力価を決定することができる。FDCのMD参照標準を力価の参照標準として選択した。
FDCのMD参照基準の力価割当の詳細は、以下のように提供される:
-力価は、1.00×10U/mgと設定した。
-ELISAによるペルツズマブ力価の決定は、市販のペルツズマブ参照標準anti2C4907-2に対して実施した。
-ELISAによるトラスツズマブ力価の決定は、市販のトラスツズマブSC参照標準G005.03EP1に対して実施した。
結果:ペルツズマブ・トラスツズマブ一定用量配合剤におけるトラスツズマブの結合を、トラスツズマブELISAアッセイで分析した。代表的な用量応答曲線を図11に描写する。
実施例7
トラスツズマブELISAの特異性
トラスツズマブELISAの特異性を査定するため、製剤バッファーおよび構造的に関連する分子を単一プレートに最高アッセイ濃度で二重に試験した。構造的に関連する分子による干渉が観察される(複製の平均値が参照標準用量応答曲線の下方漸近線平均値より3倍高い)場合、1つの報告可能な決定結果(n=1)を有する完全用量応答曲線の増大が実施される。
結果は、トラスツズマブELISAがトラスツズマブに特異的であることを実証する:
●rHuPH20含有FDCのLDおよびMD製剤バッファーの両方がアッセイに干渉を示さず、これらのマトリックスで製剤化されたFDC薬品使用を分析するためのアッセイへの適合性を実証した。
●ペルツズマブを含む(トラスツズマブを除く、下記を参照のこと)構造的に関連する分子は、トラスツズマブELISAに干渉しなかった。このことは、参照標準用量応答曲線の下方漸近線OD平均値より3倍低い複製の平均OD値によって示されている。
●予想されたように、トラスツズマブ(IVおよびSC)、ならびにトラスツズマブ エムタンシンは、同じHER2ドメインIVに結合するので、トラスツズマブELISAにおいて干渉を示した。
結果を表5に示す。
Figure 2023533813000009
実施例8
トラスツズマブELISAの頑健性
トラスツズマブELISAの頑健性を、実践における変動の潜在源であるアッセイパラメーターの恣意的変動によって査定した。頑健性の結果は、得られた用量応答曲線パラメーター、系への適合性および類似性基準を方法の手順条件と比較して評価した。全体的な頑健性の結果を表6に要約する。
Figure 2023533813000010
実施例9
FDC電荷変異体を分析するIECの開発
様々なイオン交換クロマトグラフィープロトコールを試験して、FDC電荷変異体を分解した。以下のパラメーターを試験した:カラムタイプ、バッファータイプおよび濃度、塩濃度、流量、注入容量、pH値、カラム温度、ならびに勾配プロファイル。
試験方法を開発して以下のピーク/ピーク群の相対存在度(総ピーク領域の%)を分離および決定する。
-ピーク1~3の合計
-ピーク4(ペルツズマブの主ピーク)
-ピーク5~6の合計
-ピーク7(トラスツズマブの主ピーク)
-ピーク8
-ピーク9~10の合計
FDCのIE-HPLC法を開発し、ペルツズマブ電荷変異体およびトラスツズマブ電荷変異体の最高の分離を達成できるように最適化した。トラスツズマブSCおよびペルツズマブSCを別々に分析して、予測される電荷変異体を推論することができる。パージェタSC(ロットGB0005、c=120mg/mL)およびハーセプチンSC(ロットP0003、c=120mg/mL)を個々に、また共混合物(co-mixture)として使用して、実験を実施した。
第1の工程では、パージェタIVおよびハーセプチンIV/SCの個々の分子への登録IE-HPLC法を試験した。これらの方法は、例えば、Zephania W.Kwong Gloverら、Compatibility and Stability of Pertuzumab and Trastuzumab Admixtures in i.v.Infusion Bags for Coadministration、Pharmaceutical Biotechnology、02巻、3版、794~812頁、2013年3月1日、DOI:https://doi.org/10.1002/jps.23403に公開されている。これらの方法では、弱陽イオン交換カラム(WCX-10)が使用される(表7、方法1および2を参照のこと)。次の工程では、ProPac WCX-10カラムを、ペルツズマブ/トラスツズマブの類似したpI値を担持する別のmAb製品で成功を収めた作動条件で試験した(表7の方法3を参照のこと)。次の工程では、強陽イオン交換カラムを使用し、異なるバッファーおよびpH値を試験した。使用したパラメーターおよび結果を下記の表7に要約する。
次の工程では、異なるカラムをスクリーニングした。最高の分解能を、強陽イオン交換カラム(Mab PAC SCX-10)で達成した。異なるバッファーおよびpH値を試験した(方法4~6)。使用したパラメーターおよび結果を表7に要約する。さらなる一連の処理を方法6に基づいて行い、最高の結果を得た(表8を参照のこと)。
結果
方法1:ペルツズマブ・トラスツズマブFDCを方法1の条件で分析すると、ピークの分解能は製品放出アッセイの要件を満たさなかった。ピーク7(トラスツズマブ主ピーク)とピーク8(トラスツズマブのIsoAsp102)の分解能は十分ではなく、ペルツズマブの塩基性領域はトラスツズマブの主ピークと重複していた。
方法2:ペルツズマブ・トラスツズマブFDCを方法2の条件で分析すると、ピークの分解能は製品放出アッセイの要件を満たさなかった。ペルツズマブの塩基性領域は、トラスツズマブ主ピーク(ピーク7)およびピーク8と完全に重複しており、したがって許容されない。
方法3:トラスツズマブとペルツズマブの両方の主ピークを分離することができ、ペルツズマブの塩基性領域の僅かな重複のみが観察された。しかし、トラスツズマブの酸性領域はペルツズマブの主ピークと重複していた。
方法4:ペルツズマブの塩基性領域を、トラスツズマブの主ピークおよびトラスツズマブのIsoAsp102ピーク(ピーク8)と重複させる。
方法5:1:pH7.5:主ピークとピーク8の両方とも良好な分離があり、ペルツズマブの塩基性領域とトラスツズマブの主ピークでは僅かな重複のみである。
方法52:pH8.0:ピーク8に良好な分離があるが、pH7.5の方法5と比較して、ペルツズマブの塩基性領域とトラスツズマブの主ピークに強い重複がある。
方法6:目的のすべての種に良好な分離がある。
Figure 2023533813000011
上記の表8に記載されたHPLCパラメーターに基づいて、いくつかの実験計画(実験計画(Design of Experiment、DoE)を実行した。以下のパラメーターを試験した。
●勾配プロファイル
●流量(0.5~1.0mL/分)
●移動相AおよびBのpH値(7.4~7.6および6.8)
●移動BのNaCl濃度(100~300mM)
●カラム温度(25~40℃)
これらに実験設計の枠内で得たデータを分析すると、以下の試験パラメーターが最高の結果を示した。
●溶出剤A 20mMのACES、pH7.5
●溶出剤B 20mMのACES、200mMのNaCl、pH7.5
●カラムMabPac SCX-10、BioLC、4×250mm
●カラム温度40℃
●流量 0.8mL/分
●注入量10μL(100μgのタンパク質)
●勾配 40分で1~47%のB
この開発された方法の頑健性を分析するため、Doeに基づいた要因実験計画(experimental factorial design)を実施した。したがって、以下のパラメーターはマトリックスによって変動した。
●ACES濃度:18~22mM
●NaCl濃度:180~220mM
●カラム温度:36~44℃
●流量:0.7~0.9mL/分
●pH:7.4~7.6
●注入容量:8~12μL(80~120μg)
これらの実験の結果は、試験方法がトラスツズマブの主ピーク(ピーク7)およびピーク8に関して試験範囲内で頑健であることを示した。しかし、ペルツズマブ主ピーク(ピーク4)および中間領域(ペルツズマブの主ピークとトラスツズマブの主ピークの間の領域)で得られた純度値に、高い変動性が観察された。この変動性は、pHおよびカラム温度に強く依存していた。この実験の統計的評価は、最終方法の設定をもたらした。
●溶出剤A 20mMのACES、pH7.6
●溶出剤B 20mMのACES、200mMのNaCl、p7.6
●カラム温度36℃
●流量0.8mL/分
●注入量10μL(100μgのタンパク質)
●勾配 40分で1~47%のB
ペルツズマブ・トラスツズマブFDC変異体の電荷不均一性を決定することが可能である代替案を評価した。これらの代替案のうち、異なるカラムタイプおよびpH勾配方法の適合性を査定した。
陰イオン交換カラムのProPac WAX-10 bio LC、4×250mmを以下のクロマトグラフィー条件下で使用して、いくつかの分離の試みも行った。
●以下の希釈剤AおよびBを調製し、試験した。
1.A=20mMのCAPSO pH10.0、B=20mMのCAPSO+250mMのNaCl、pH10.0
2.A=20mMのピペラジン pH10.0、B=20mMのピペラジン+250mMのNaCl、pH10.0
3.A=20mMのトリズマ(trisma) pH10.5、B=20mMのトリズマ+250mMのNaCl、pH10.5
4.A=20mMのトリズマ pH8.0、B=20mMのトリズマ+250mMのNaCl、pH8.0
5.A=20mMのホスファット pH11.0、B=20mMのホスファット+250mMのNaCl、pH11.0
●カラム温度30℃
●流量0.8mL/分;1.0mL/分
●注入量5μL(50μgのタンパク質)
●勾配1 60分で0~100%のB
●勾配2 40分で0~100%のB
弱陰イオン交換カラムで試験したすべての条件では、目的の種はカラムに保持されず、注入ピークと一緒に溶出し、よって、これらの実験条件がペルツズマブ・トラスツズマブFDCの電荷変異体の分離にはすべて好適ではないことを示している。
pH勾配分離モードの実験
pH勾配に基づいたIEC方法の適合性を、塩勾配方法の可能な代替案として査定した。強陽イオン交換カラム(MabPac SCX-10カラム)を、以下のHPLC試験パラメーターで使用した。
●溶出剤A 10mMのTris、10mMのホスファット、10mMのピペラジン、pH6.0
●溶出剤B 10mMのTris、10mMのホスファット、10mMのピペラジン、pH11.0
●溶出剤C 100mMのNaCl
●溶出剤D 純水
●カラムMabPac SCX-10、BioLC、4×250mm
●カラム温度35℃
●流量0.5mL/分
●注入量10μL(10μgのタンパク質)
●勾配 45分で10~50%のB(詳細は下記を参照のこと)
●機器 Waters Alliance
溶出剤CおよびDを組み合わせて、一定の塩濃度の0mM、10mM、20mM、30mM、40mMおよび50mMのNaClを提供した。したがって、溶出剤C/溶出剤Dの比は、0%の溶出剤C/50%の溶出剤D(0mMのNaCl)から50%の溶出剤C/0%の溶出剤D(50mMのNaCl)に変動した。パージェタSC(ロットGB0005、c=120mg/mL)およびハーセプチンSC(ロットP0003、c=120mg/mL)を個々に、また共混合物として使用して、実験を実施した。試験試料を90%の溶出剤A/10%の溶出剤Bで希釈して、最終濃度の1mg/mLにした。
最高の分離は、40mMのNaClを使用して得たが、そうであっても、これらの条件下ではピークが非常に早期に溶出し、2つの主ピークが幅広の形状および低減された高さを提示した。
実験計画(DoE)を、勾配プロファイルおよび流量を変えながら40mMのNaClの塩濃度設定で行った。それにもかかわらず設計モデルを確立することができ、試験条件の僅かな変更でさえも本発明の方法の頑健性を欠くことを示した。
上記で行った実験から、IEC方法に最も重要なパラメーターは、1.pH値、2.カラムタイプ、3.カラム温度、4.勾配プロファイルであると思われる。これらのパラメーターは、分解能に有意な影響を有する。一方、バッファータイプおよび濃度、塩濃度、流量、ならびに注入量は分解能に小さい影響しか有さない。
実施例10
FDC電荷変異体を分析するIEC
目的および原理
IE-HPLCは、薬品に存在するタンパク質を溶解状態の電荷性質に従って分離する。この分離は、タンパク質の表面電荷と、カラム充填物の表面に存在する荷電基との相互作用に基づいている。この分析手順に使用される陽イオン交換HPLCでは、塩勾配において酸性種が最初に溶出し、より塩基性の種が後に溶出する。同じ方法がFDC薬品のLDとMDに適用される。FDCのMD参照標準が、FDC薬品のLDとMDの両方の試験に使用される。
機器および材料
●UV検出器(2487/2489検出器または同等を有するWaters Alliance 2695/e2695)を備えたHPLC系
●HPLCカラム(Thermo Scientific MAbPac SCX-10、4mm~250mm、粒径:10μmまたは10μm相当)
溶液
●薬品希釈バッファー:20mMのL-ヒスチジン/L-ヒスチジン一塩酸塩、105mMのトレハロース、100mMのスクロース、10mMのメチオニン、0.04%[w/v]のポリソルベート20、pH5.5±0.2
●移動相A:20mMのACES、pH7.60±0.05
●移動相B:20mMのACES、200mMの塩化ナトリウム、pH7.60±0.05
●CpB溶液:1mg/mLのCpB(移動相A中)
試料溶液の調製:
FDC薬品を移動相Aで希釈して、およそ10mg/mの総タンパク質濃度およびおよそ0.08mg/mLのCpBを含有する試料溶液を調製する。
ブランク溶液の調製:
薬品希釈バッファーを試料と同じ方法で希釈する。
CpBの消化
参照標準、試料およびブランク溶液を37℃±2℃で20±5分間インキュベートする。試料を分析するまで10℃±4℃で保管し、HPLC分析を24時間以内に完了させる必要がある。
手順
最初の試料を注入する前に、カラムを安定したベースラインが得られるまで99%の移動相Aですすぐ。任意選択で、クロマトグラムの視覚評価が少なくとも2つの連続注入で一定したプロファイルを実証するまで、参照溶液をカラム条件づけの目的で注入する。
動作パラメーター
●検出波長:280nm
●注入容量:10μL
●流量:0.8mL/分
●カラム温度:36℃±2℃
●オートサンプラー温度:10℃±4℃
●運転時間:60分
Figure 2023533813000013
注入プロトコール
注入は、以下の順番で実施される
1.移動相A
2.ブランク溶液
3.参照標準
4.試料(10個の試料まで)
5.参照標準
6.ブランク溶液
注:10個を超える試料が分析される場合、10個ごとの試料を参照標準の注入で一括して取り扱う。
結果:
FDCの薬品のIE-HPLC法を開発し、ペルツズマブ電荷変異体およびトラスツズマブ電荷変異体の最高の分離を達成できるように最適化した。ペルツズマブ(pI8.7)とトラスツズマブ(pI8.4)の類似した等電点のため、IE-HPLCは、2つの抗体分子の電荷変異体を完全に分離することができない(図13を参照のこと)。個々の分子のすべての重要な電荷変異体を、すべての関連ピークが分解されるので、FDC薬品により制御することができる。FDC薬品の報告されているアッセイパラメーターは、ピーク1~3の合計、ピーク4(ペルツズマブの主ピーク)ピーク5~6の合計、ピーク7(トラスツズマブの主ピーク)、ピーク8およびピーク9~10の合計である。例示的なクロマトグラムが図12に示されている。
実施例11
HPLCの頑健性および反復性研究
様々な実験を実施して、異なる入力変数に対する実施例10の分析的手順の頑健性を評価した。これらの入力変数は、とりわけ下記である。
●カラム温度(32℃、36℃、40℃)
●流量(0.7mL/分、0.8mL/分、0.9mL/分)
●移動相AおよびBのpH(pH7.5~7.7)
●移動相Bの塩化ナトリウム濃度(180mM~220mM)
目的のパラメーターを変えた後の分析で得られたプロファイルおよび結果を、目標パラメーターに従った分析のプロファイルおよび結果と比較した。ピーク4、ピーク7、ピーク1~3の合計およびピーク8の相対ピーク領域(領域%)を、結果の相対的な差の計算に使用した。結果は許容基準を満たし、よって手順が意図される目的にとって好適に頑健であることを実証した。
分析手順の反復性は、ピーク4、ピーク7、ピーク1~3の合計およびピーク8において下記の範囲で実証された:、
-FDC薬品のLDでは50μg~149μgの注入タンパク質であり、名目処理量(タンパク質100μg)の50%~149%を網羅し、
-FDC薬品のMDでは51μg~153μgの注入タンパク質であり、名目処理量(タンパク質100μg)の51%~153%を網羅した。
実施例12
安定性指標性
FDC薬品の非ストレスおよびストレスMDおよびLD試料を実施例10の方法で試験し、手順が異なるストレス条件下で抗体を分離、確認およびその純度を決定する能力を実証した。以下のストレス条件を試験した:熱ストレス、強制酸化、高pH(pH7.4)ストレス、低pH(pH4)ストレスおよび光ストレス。不純物および異なる電荷の関連物質を分離した。非ストレス試料と比較して(図12および図13)、ストレス試料のクロマトグラフは、ピーク1~3の合計およびピーク8の量の増加を示す(データは示されず)。結論として、手順は安定性指標的である。
実施例13
ELISAによるFDC中のトラスツズマブおよびペルツズマブの電荷変異体およびCDR親和性突然変異体の力価
抗増殖活性を反映するELISAの能力を、電荷変異体およびCDR親和性突然変異体で実証した。
上記に記載されたペルツズマブおよびトラスツズマブHER2親和性突然変異体を、抗増殖アッセイおよびELISAで試験した(それぞれ、図9および図14)。HER2親和性突然変異体で観察された用量応答曲線の非存在または高濃度へのシフトは、類似性基準を満たせなかったことと共に(それぞれ、抗増殖アッセイおよびELISAの並行処理および高い漸近線偏)、同様に力価の大きな低減を実証している。電荷変異体の評価では、FDC薬品のMD製剤バッファーにトラスツズマブまたはペルツズマブのいずれかを含有する支持的技術バッチを使用して、細胞ベースアッセイにより上述のFDC薬品の交差干渉を除外した。
すべてのIE-HPLC画分は、ピーク9(Fc Met261の酸化が増加したトラスツズマブ)を除いて、細胞ベースアッセイとELISAの両方に(対応する方法の精度を考慮して)類似した力価を示した。このMet261でのFc酸化がCDRの標的結合活性に影響を与えるはずではないが、この変異体は、トラスツズマブELISAにおいて力価の低減を示した(細胞ベースアッセイにおいて73%対91%)。
非常に少量でのみ存在するこれらのアイソフォームの断片化過程が、この知見に寄与するか否か、および両方のアッセイの力価値が本当に異なっているか否かを、完全に解決することができなかった。しかし、トラスツズマブELISAはこの観点から保存的であると考慮され、それは、細胞ベース抗増殖アッセイで反映されない力価の減少を示すからである。
ELISAは、生物活性に影響を与えることが公知である製品変異体の生物活性を制御する能力において、抗増殖アッセイに等しく、下記に詳述される。
●ピーク1のトラスツズマブ脱アミド化製品変異体HC Asn55/isoAsp55およびLC Asn30/Asp30は、両方のアッセイに低減された活性を示した。
●一方の重鎖のAsp102位でスクシンイミドを有し、かつピーク10に増加したFc Met酸化を有するトラスツズマブ製品変異体は、両方のアッセイに低減された活性を示した。
・それぞれペルツズマブおよびトラスツズマブの主ピークに対応するピーク4および7を含む他のIE-HPLC画分は、すべて、予想されたように、両方のアッセイに80%~120%の不変の活性を示した。
ピーク8の類似した力価が細胞ベースアッセイおよびELISAの両方で得られたが、トラスツズマブIVの力価に対するHC IsoAsp102の公知の負の影響は、この研究で観察されなかったことが認められる。IE-HPLCのピーク4で溶出するトラスツズマブの一方の重鎖でのISoAspへのHC Asp102の異性化は、FDC薬品のIE-HPLCのピーク8に対応する。トラスツズマブSCの開発の際に実施された抗増殖活性に対するHC Asp102/isoAsp102形態の影響についての追加の研究は、トラスツズマブIVと比べてトラスツズマブSCにあまり際だった影響を示さなかった。
このことは、製剤の最適化(例えば、pHの変化)およびトラスツズマブSCの増加した安定性に起因しうる。最後に、この変異体の制御は、IE-HPLCによる確定許容基準を介してFDC薬品において維持されたことが留意される。
Figure 2023533813000014
実施例14
電荷変異体の特徴づけ
FDC薬品のIE-HPLC方法により分離および単離されたFDC薬品の電荷変異体を、特徴づけた(図13)。加えて、放出時のFDC製剤の個々の抗体の電荷変異体を、同じIE-HPLC方法で単離し、特徴づけた(図13)。
以下の方法を使用した包括的なピーク特徴づけ研究を実施して、FDC薬品の電荷変異体を確証した。
●化学分解部位の査定のためのトリプシン抗体ペプチドのLC-MS/MS
●リジン糖化含有量の評価のためのボロン酸アフィニティークロマトグラフィー
●Fcグリコシル化の分析のためのHILICと組み合わせた2-AB標識化
LC-MSペプチドマッピング:
関連するアミノ酸修飾のLC-MS/MSペプチドマッピングおよび定量化を、Schmidら、2018年(Schmid I、Bonnington L、Gerl Mら、Assessment of susceptible chemical modification sites of trastuzumab and endogenous human immunoglobulins at physiological conditions.Commun Biol 2018年;1巻:28頁)に記載されたように行った。簡潔には、すべての試料を8mol/Lのグアニジン塩酸塩(pH6.0)で変性し、ジチオスレイトールにより50℃で1時間還元した。
試料をバッファー交換し(0.02mol/L、ヒスチジン塩酸塩、pH6.0)、トリプシンにより37℃で18時間さらに消化した。BEH C18カラムのペプチド分離をACQUITY UPLC系で実施した。オンライン質量分析検出を、Synapt G2 HDMS Q-ToF質量分析計で達成した。修飾ペプチドの相対的定量化では、GRAMS AIソフトウエアを使用した。
ボロン酸アフィニティークロマトグラフィー:
ボロン酸アフィニティークロマトグラフィーを、TSKgel Boronate-5PWアフィニティーカラムを使用して実行した。100mmol/LのHEPES、70mmol/LのTris、200mmol/LのNaCl、500mmol/Lのソルビトール(pH8.6)からなる溶出バッファーを、280nmのUV検出を備えたHPLC系によるクロマトグラフィー分離に使用した。ピーク積分および糖化定量化を、記載されたように実施した(Fischer S、Hoernschemeyer J、Mahler HC.Glycation during storage and administration of monoclonal antibody formulations.Eur J Pharm Biopharm.2008年;70巻:42~50頁)。
グリカンの分析:
Fcグリコシル化の査定のため、試料をギ酸アンモニウムバッファー(pH8.6)にバッファー交換し、PNGase Fにより45℃で1時間インキュベートした。グリカン2-AB標識化を65℃で2時間実施した。標識グリカン構造をHILIC分離し、続くピーク積分およびグリカン定量化を記載されたように蛍光検出した(Reusch D、Haberger M、Maier Bら、Comparison of methods for the analysis of therapeutic immunoglobulin G Fc-glycosylation profiles--part 1:separation-based methods.MAbs.2015年;7巻:167~79頁)。
結果および結論:
FDC製剤の個々のペルツズマブ分子およびトラスツズマブ分子に見出されたすべての電荷変異体(≧1%の相対存在度)はまた、FDC薬品においても検出された。放出時および保管後のFDC製剤の個々の抗体と比較して、FDC薬品には新たな電荷変異体は検出されなかった。表10は知見を要約する。
Figure 2023533813000015
Figure 2023533813000016
ピーク1~3の合計は、ペルツズマブの酸性変異体(HC-Asn-391の脱アミド化、FCシアル酸およびリジン糖化)、ならびにトラスツズマブの酸性変異体(LC-Asn-30およびHC-Asn-55の脱アミド化)を含有する。
ピーク4は、ペルツズマブの主要電荷変異体(すなわち、天然の抗体)、ならびに低量のトラスツズマブ酸性変異体(LC-Asn-30の脱アミド化およびHC-Asp-102の異性化)を含有する。
ピーク5~6の合計は、ペルツズマブの塩基性変異体(重および軽鎖にN末端VHS、および重鎖にC末端リジン)、ならびにトラスツズマブの酸性変異体(HC-Asn-392の脱アミド化、リジン糖化、およびFcシアル酸含有量の増加)を含有する。
ピーク7は、トラスツズマブの主要電荷変異体(すなわち、天然の抗体)を含有し、ペルツズマブ変異体との重複を示さない。
ピーク8は、イソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを含有し、ペルツズマブ電荷変異体との重複を示さない。
-ピーク9~10の合計は、FC酸化が(HC-Met-255および-431で)増加したトラスツズマブ電荷変異体を含有し、HC-Asp-102の異性化はペルツズマブ変異体との重複を示さない。
ペルツズマブSC原体およびトラスツズマブSC原体に見出された豊富な電荷変異体は、すべてFDC薬品においても検出された。放出時および保管後のFDC薬品材料には、新たな電荷変異体は検出されなかった。個々の分子のすべての重要な電荷変異体を、FDC薬品において制御することができる。
追加の共溶出または現存するピーク共溶出の増加がないことは、ペルツズマブおよびトラスツズマブのストレス誘導電荷変異体が、早いおよび遅い溶出時間にそれぞれシフトするので、安定性の際に観察される、または予想される。ストレスを受けたペルツズマブのピークパターンはクロマトグラムの酸性領域にシフトし、ストレスを受けたトラスツズマブのピークパターンは塩基性領域にシフトする。
実施例15
FDC組成物
IE-HPLCによるFDC薬品のピーク1~3の合計
FDC薬品のピーク1~3の合計は、以下の変異体から構成される:
●ペルツズマブの酸性変異体(HC Asn391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化)。
●FDC薬品のIE-HPLC特徴づけ研究により微量レベルでのみ観察された、ペルツズマブにおけるAsn327の脱アミド化
●トラスツズマブの酸性変異体(主にLC Asn30およびHC Asn55の脱アミド化)。LC Asn30比較して、HC Asn55の低い分解感受性がバイオプロセスおよび生理条件で検証された(Schmid I、Bonnington L、Gerl Mら、Assessment of susceptible chemical modification sites of trastuzumab and endogenous human immunoglobulins at physiological conditions.Commun Biol 2018年;1巻:28頁)。
FDC薬品の貯蔵寿命終了の許容基準は、臨床経験、ならびにPK/生物活性および安全性/免疫原性プロファイルに対する予測される影響に基づいて正当化される。提案される許容基準は、製品品質を制御するため、ならびに原体、および薬品加工および保管に対する潜在的な影響を網羅するために好適である。
FDC薬品では、以下の貯蔵寿命終了の許容基準を確立した:ピーク1~3の合計:≦23.0領域%(LD)/≦21.0領域%(MD)。これらの許容基準を、臨床経験、ならびに生物活性/PKおよび安全性/免疫原性プロファイルに対する想定される影響に基づいて確立した。現在の臨床経験を超えた拡大は、生物活性およびPKに対する低い影響、ならびに免疫原性/安全性に対するリスクがないことによって正当化されると考慮される。
安全性および免疫原性のついての考慮:ペルツズマブおよびトラスツズマブの材料に見出される酸性変異体がIgG抗体に一般的に見出される修飾であるので、許容基準内の酸性変異体のレベルの任意の増加は、新たな形態を表すと予想されず、よって毒性およびADAの出現のリスクを増加すると予測されない。これは、FDC薬品臨床研究および良好な安全性プロファイルにおける低いADA出現によって支持される。FDC薬品LDの18.7領域%まで、およびFDC薬品MDの16.0領域%までの老化臨床研究材料が、中心的研究の際に患者に投与された。新たな酸性変異体は、保管および取り扱いの際に生成されない。さらに、保存Fc(HC Asn387、Asn392およびAsn393の脱アミド化)に位置する、またCDR(主にLC Asn30の脱アミド化およびHC Asn102の異性化)にも位置する溶媒露出残基の分解は、バイオプロセスおよびリアルタイム保管条件と比較して、一般にin vivoで有意に速く起こる(数日以内)ことがトラスツズマブについて公開された(Schmidら、2018年)。内因性ヒト抗体の同じFc Asn脱アミド化部位の分解レベルは、5℃で保管された液体薬品製剤で観察されるより有意に高かった。したがって、これらの分解は、患者に安全性/免疫原性の増加したリスクを課さないことが結論づけられている(Liu YD、van Enk JZ、Flynn GC.Human antibody Fc deamidation in vivo.Biologicals 2009年;37巻:313~22頁)。この結論を、唯一の脱アミド化部位がFc部分(HC Asn391)に位置するこのピーク領域で検出されるので、ペルツズマブ脱アミド化にも当てはめることができる。
まとめると、患者が曝露されるレベルを超えるピーク1~3の合計における潜在的な4.3領域%の増加は、製品の免疫原性および安全性プロファイルを変えると予想されない。
生物活性についての考慮:ペルツズマブおよびトラスツズマブの酸性変異体(ピーク1~3の合計)における18.7領域%(LD)および16.5領域%(MD)での最大臨床経験に対して、規格限界の23.0領域%(LD)および21.0領域%(MD)は、(表8に記載されたELISA値の力価によると)およそ4%までの減少をペルツズマブおよびトラスツズマブ結合活性に導くことができた。生物活性における4%の変化は、影響を与えうるものであると考慮されない。したがって、ピーク1~3の合計が規格限界に存在しても、有効性は維持されることが予想される。
PKについての考慮:Fcの抗体は、クリアランスに関与し(Jefferis R.Antibody therapeutics:isotype and glycoform selection.Expert Opin Biol Ther 2007年;7巻:1401~13頁)、したがって、CDRにおける脱アミド化はPKに影響を与えるとは予想されない。電荷性質は抗体のPK挙動に影響を与えることが公知であるが、脱アミド化により導入される単一負電荷はPKに影響を与えない(Khawliら、2010年)。注目すべきは、Fc脱アミド化における低レベルの改変(IE-HPLCのピーク3:ペルツズマブHC Asn391;IE-HPLCのピーク6:トラスツズマブHC Asn392)のみが、FDC薬品安定性の際に観察された。したがって、ピーク1~3の合計が規格限界に存在しても、PKは影響を受けないことが予想される。
IE-HPLCによるFDC薬品のピーク4
FDC薬品のピーク4は、IE-HPLC方法の報告されたアッセイパラメーターの一部であり、ペルツズマブの所望の主要電荷アイソフォームを構成する。規格に含めることは、製品の一貫した純度を確実にする。
原体および薬品の放出および安定性試験の許容基準を、IE-HPLCによる他の報告されたアッセイパラメーターに関連して、製造経験および安定性効果についての考慮と共に設定した。貯蔵寿命の終了時の≧38領域%(LD)および≧28領域%(MD)のFDC薬品許容基準は、製品の純度を確実にし、製造過程の適当な制御を確実する。
IE-HPLCによるFDC薬品のピーク5~6の合計
FDC薬品のピーク5~6の合計は、以下の変異体から構成される。
●ペルツズマブの塩基性アミノ酸(重および軽鎖のN末端VHS、N末端ピログルタメート、ならびに重鎖でのC末端リジンおよびプロリンアミド)
●トラスツズマブの酸性変異体(HC Asn392の脱アミド化、リジン糖化、およびFCシアル酸含有量の増加)
ピーク5~6の合計は、FDC薬品放出または安定性試験により制御されず、それは、ペルツズマブの塩基性変異体およびトラスツズマブの酸性変異体が薬品製造および保管の際に不変のままであり、したがって安定性指標パラメーターであると考慮されないからである。
IE-HPLCによるFDC薬品のピーク7
FDC薬品のピーク7は、IE-HPLC方法の出力の一部であり、トラスツズマブの所望の主要電荷アイソフォームを構成する。この規格は、製品の一貫した純度を確実にする。薬品の放出および安定性試験の許容基準を、IE-HPLCによる他の報告されたアッセイパラメーターに関連して、製造経験および安定性効果についての考慮と共に設定した。貯蔵寿命の終了時の≧16.0領域%(LD)および≧23.0領域%(MD)のFDC薬品許容基準は、製品の品質を確実にし、製造過程の適当な制御を確実にする。
IE-HPLCによるFDC薬品のピーク8
FDC薬品のピーク8は、(一方の重鎖に)イソアスパラギン酸へのHC Asp102の単独の異性化を有するトラスツズマブを含有し、ペルツズマブ電荷変異体と共溶出を示さない。ピークは、FDC薬品の放出および安定性試験で制御される。
FDC薬品の貯蔵寿命終了の許容基準の≦9.0領域%(LD)/≦12.0領域%(MD)は、臨床経験、ならびにPK/生物活性および安全性/免疫原性プロファイルに対する予測される影響に基づいて正当化される。提案される許容基準は、製品品質を制御するため、ならびに原体、および薬品加工および保管に対する潜在的な影響を網羅するために好適である。
安全性および免疫原性のついての考慮:トラスツズマブの材料に見出される酸性変異体がIgG抗体に一般的に見出される修飾であるので、許容基準内の酸性変異体のレベルの任意の増加は、新たな形態を表すと思われず、よって毒性およびADAの出現のリスクを増加すると思われない。FDC薬品は、一般に安全であり、良好な耐容性を示した。酸性プロファイルは、ペルツズマブIV+トラスツズマブIV(P+H IV)の安全性プロファイルに匹敵した。ADAの出現は低く(≦5%)、PK、有効性または安全性に関する臨床的帰結はなかった。FDC薬品LDのピーク8の6.4領域%まで、およびFDC薬品MDのピーク8の9.4領域%までの老化臨床研究材料が、中心的研究の際に患者に投与された。新たな電荷変異体は、保管および取り扱いの際に生成されない。さらに、保存Fc(HC Asn387、Asn392およびAsn393の脱アミド化)に位置する、またCDR(主にLC Asn30の脱アミド化およびHC Asn102の異性化)にも位置する溶媒露出残基の分解は、バイオプロセスおよびリアルタイム保管条件と比較して、一般にin vivoで有意に速く起こる(数日以内)ことがトラスツズマブについて公開された(Schmidら、2018年)。内因性ヒト抗体の同じFc Asn脱アミド化部位の分解レベルは、5℃で保管された液体薬品製剤で観察されるより有意に高かった。したがって、これらの分解は、患者に安全性/免疫原性の増加したリスクを課さないことが結論づけられた(Liuら、2009年)。患者が曝露されるレベルを超えるピーク8(イソアスパラギン酸へのHC Asp102の異性化)における潜在的な2.5領域%の増加は、製品の免疫原性プロファイルを変えると予想されなかった。
生物活性についての考慮:豊富化ピーク8(ピーク純度92%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC Asp102の単独の異性化を主に含有する)は、参照標準と比較すると、類似したトラスツズマブ活性(100%の結合活性)を有する。したがって、ピーク8が規格限界に存在しても、FDC薬品の有効性は維持されることが予想される。
PKについての考慮:ペルツズマブおよびトラスツズマブのCDRにおけるイソアスパラギン酸へのアスパラギン酸異性化は電荷を変えず、PKに影響を与えることが予想されない。したがって、トラスツズマブHC Asp102の単一アスパラギン酸異性化は、PKに影響を与えることはない。
E-HPLCによるFDC薬品のピーク9~10の合計
FDC薬品のピーク9~10の合計は、(一方の重鎖に)スクシンイミドへのHC Asp102の単独の異性化を有するトラスツズマブから構成され、ペルツズマブ電荷変異体との重複を示さない。加えて、低レベルのトラスツズマブFc酸化がこれらのピークで検出される。低レベルのため、影響は予想されない。スクシンイミド(ピーク9~10の合計)がピーク8(iso-Asp)およびピーク7(Asp)と平衡するので、ピーク8およびピーク7の許容基準によって間接的に制御される。したがって、制御系においてピーク9~10の合計には許容基準が必要ない。
実施例16
FDC組成物の製造
ペルツズマブSC原体を薬品保管容器から蒸気滅菌ステンレススチール配合容器に移す。複数のペルツズマブSC原体バッチを、薬品製造のために組み合わせることができる。
配合容器に添加されるペルツズマブの量に基づいて(移したペルツズマブSC原体質量、密度、およびペルツズマブ含有量によって決定される)、標的量のトラスツズマブが定義される(すなわち、維持量には1:1のAPI比)。次いでトラスツズマブSC原体を(密度およびトラスツズマブ含有量に基づいて)、配合容器に添加する複数のトラスツズマブSC原体バッチを、FDC薬品製造のために組み合わせることができる。
配合容器に添加されるペルツズマブSC原体およびトラスツズマブSC原体の容量(質量および密度によって決定される)に基づいて、(rHuPH20溶液含有量および活性に基づいて)必要量の解凍rHuPH20を配合容器に添加する。複数のrHuPH20バッチを、薬品製造のために組み合わせることができる。
すべての成分を配合容器に移した後、溶液を混合により均一化する。
実施例17
FDCの含有量を決定するRP-UPHLCアッセイの開発
機器
同じ器具類および適切な作動条件を使用することができる。
HPLC系:データ取得ソフトウエアを備えたHPLC系(直列の真空脱ガス器を有する)
検出器:UV/可視吸収度検出器またはフォトダイオードアレイ検出器
膜フィルター:0.2μmフィルター(例えば、Corningカタログ番号430049)
カラム:TSK-Gel G3000SWXL、7.8×300mm、5μm(Bosoh Bioscienceカタログ番号08541)またはBioSuite 250、7.8×300mm、5μm(Watersカタログ番号186002165)
試薬
●精製水(Milli-Qで処理した水)
●トリフルオロ酢酸(TFA)(Flukaカタログ番号40967)
●アセトニトリル(Merckカタログ番号1.00030.2500)
●L-ヒスチジン無水物(Sigmaカタログ番号H8000)
●スクロース(Merckカタログ番号1.07687)
●L-メチオニン(Sigmaカタログ番号64319)
●氷酢酸(Merckカタログ番号1.00063.1000)
●ポリソルベート20(Sigmaカタログ番号93773)
溶媒A:Milli-Q水中0.1%のTFA
溶媒B:アセトニトリル中0.1%のTFA
製剤バッファー:20mMのヒスチジン酢酸塩、240mMのスクロース、10mMのメチオニンおよびポリソルベート20、0.02%[w/v]、pH5.7±0.2
希釈バッファー:20mMのヒスチジン酢酸塩、pH5.5
カラム保管溶液:60%のアセトニトリル(v/v)
試料溶液:試料を製剤バッファーでおよそ10mg/mLに希釈する。10mg/mLの試験試料溶液を希釈バッファーでおよそ1mg/mLに希釈する。
ブランク:製剤バッファーおよび希釈バッファーを未希釈で注入する。
流量:0.4mL/分
最大圧力:400bar/6000psi
波長:280nm
運転時間:29分
カラム温度設定:60℃
オートサンプラー温度設定:≦10℃
注入量 試料および参照標準:25μgのタンパク質(公称)
ブランクおよび移動相:参照標準と同じ注入容量
Figure 2023533813000017
ペルツズマブおよびトラスツズマブのピークはこの方法により明確に分離されたが、この上記方法の主要な持ち越し問題が明らかになった。ブランク試料(製剤バッファー)の5回の注入の後、微量のハーセプチン/パージェタが依然として検出可能であった。したがって、さらなる方法の開発が必要であった。異なるクロマトグラフィー技法を試験し、逆相クロマトグラフィー(RPC)をタンパク質含有量分析に最も好適な方法として選択した。複数のパラメーターを、方法の精度および反復性に関して評価した。
分離に対するカラムタイプの影響
異なるタイプのカラムをペルツズマブ/トラスツズマブFDCで試験した。
ペルツズマブ/トラスツズマブFDCのためにいくつかの潜在的なカラムを見出した。例えば、BEH300 C4は、良好な分離を示すが、高いカラム温度(90℃)を必要とした。Agilent AdvanceBio RP mAbはAgilent Zorbax RRHD 300-Diphenylと類似した分離を有したが、全体的に低い分解能を有した。最も好適なカラムは、Agilent Zorbax RRHD 300-Diphenyl、2.1×100mmカラムと決定され、これは低い持ち越しを呈し、初期方法と比較して2つの抗体の分離が改善された。
Agilent Zorbax RRHD 300-DiphenylカラムのDoE(実験計画)
移動相、流量、勾配およびカラムコンパートメント温度をAgilent Zorbax RRHD 300-Diphenyl、2.1×100mmカラムで試験した。逆相タンパク質含有量の方法の開発のDoEは、MODDE(登録商標)を使用して設定した。DoEの範囲内で試験した要因の要約を表12に列挙する。
「トラスツズマブ/ペルツズマブの分解能」の評価
全体的に、タンパク質含有量決定のための逆相クロマトグラフィー方法の分解能は、流量および勾配長さに強く影響を受ける。低い流量および長い勾配長さは、改善された分解能をもたらした。カラムコンパートメント温度および出発条件は方法に対して弱いが無視できない影響を有した。70℃の温度および30%Bの相対的に高い出発条件は、最高の結果を生じることが証明された。追加的な保持時間を加えることは、分解能に影響がなかった。
「微量形態の合計」の評価
微量形態の合計は、出発条件(高い)およびカラム温度(低い)に強く依存していた。流量および勾配時間は、僅かな影響しかなかった。保持時間は、単独では無視できるものであったが、流量およびカラム温度と組み合わせると影響を示した。
「高いトラスツズマブ比」の評価
高い比を達成するため、すなわち、トラスツズマブ主ピークに肩を加えないため、温度は低くする必要があった。流量分析は不明瞭であった。勾配時間および出発条件は、理想的には高い範囲内にあるべきである。ここでも、追加の保持時間は影響を示さなかった。
「ペルツズマブのUSPテーリング」の評価
ペルツズマブ主ピークのテーリングを低減するため、流量は増加させるべきであり、勾配と出発条件は減少させるべきである。ここでも、追加の保持時間は影響を示さなかった。
DoEの結果に従って、以下のパラメーターを選択した。
流量0.8mL/分
波長280nm
カラム温度70℃
オートサンプラー温度10℃
運転時間20分
Figure 2023533813000020
これらの結果に基づいて、カラム温度、勾配および流量をさらに最適化した。
分離に対するカラム温度の影響
逆相クロマトグラフィーにおける上昇された温度は、ピーク分離、テーリング効果および系圧に有意な影響を有しうる。3つの異なる温度を選択して、Agilent Zorbax RRHD 300 Diphenylカラムで試験した。温度の試験は、DoEの範囲内で実施した(結果は示されず)。全体的に、保持時間は、カラムコンパートメント温度を増加すると早期溶出にシフトした。このことは、溶出剤の粘度および二次カラム相互作用が温度増加により減少するので予想された。しかし、カラムコンパートメント温度を増加すると、全体的な分解能は減少した。したがって、実験の範囲内で最も好適なカラムコンパートメント温度は70℃であった。
分離に対する勾配プロファイルの影響
勾配は、被分析物の分離に劇的な影響を有する。逆相クロマトグラフィーによるタンパク質含有量決定のため、4つの主要勾配をAgilent Zorbax RRHD 300 Diphenylカラムで試験した(表14を参照のこと)。直接勾配比較では、カラムコンパートメント温度を70℃で一定に設定し、流量を0.6mL/分に設定した。最終流量が設定されると、勾配の再査定を行う必要があった。RPタンパク質含有量方法の最終勾配を表14の勾配5に列挙する。初期DoE勾配(表13)を最適分離のため、および新たな流量(0.3mL/分)との平衡時間のために変更した。
観察:
試験した5つの勾配は、すべて、十分なタンパク質保持および20~30%Bの範囲の精選された出発条件を示した。この範囲内の任意の出発条件がペルツズマブ/トラスツズマブFDCの分離に好適である。しかし、勾配時間および実行時間を短縮するため、30%の出発条件を選択した。勾配時間を考慮すると、試験した範囲(10~20分)が精選された。勾配時間は流量によっても大きく影響を受けるので、最終的に0.3mL/分の流量で15分の分離時間が精選された。
10分の分離時間により、特に30%Bの急傾斜勾配では、両方の抗体は、僅か1~2分の時間帯の範囲内で溶出した。しかし、20分の分離および20%Bの急傾斜勾配は、広い溶出プロファイル、およびあまり強くない検出シグナルをもたらした。
最後に15分の分離時間を15%Bの急傾斜勾配と組み合わせた。遅い流量(0.3mL/分)と一緒にすると、あまり多くのシグナル強度を失うことなく両方の抗体の良好なベースライン分離を示した。
分離に対する流量の影響
最終的に、最も好適な流量を決定する必要があった。速い流量は、通常、早期溶出を意味するが、分解の損失を導くことがある。初期実験を0.6または0.8mL/分の流量で実施した。流量が低いほど、この特定のRPタンパク質含有量方法にとって有益であることが後に発見された。4つの異なる流量を、単一mAb含有試料を使用してAgilent Zorbax RRHD 300 Diphenylカラムで試験した(0.3mL/分~0.6mL/分)。直接比較では、カラムコンパートメント温度を70℃に一定に設定し、表13に列挙された勾配をすべての分離に使用した。
流量を減少すると、より狭いピーク形状および高いシグナル強度をもたらした。保持時間は後期溶出にシフトした。特にサイドピークの分解能は遅い流量で改善された。したがって、この方法では0.3mL/分の流量が理想的である。勾配実行時間を30分に設定し、0.3mL/分で十分なカラム再平衡を示した。
これらの実験に基づいて、この方法に最も重要なパラメーターは、カラムタイプ、カラム温度および流量であることが見出された。フェニルベースカラムの使用は、改善された分解能をもたし、持ち越し問題はなかった。64℃~76℃および66℃~74℃の温度を試験し、方法の性能に有意な影響を有さなかった。フェーズIIIの頑健性実験およびBLA/MAA方法の妥当性の範囲内で、0.4および0.2mL/分の流量を試験し、方法の性能に有意な影響を有さないことが見出された。
実施例18
FDCの含有量を決定するRP-UPHLCアッセイ
注:同等の機器類、適切な作動条件、ならびに同等の品質の溶媒、化学薬品および試薬を使用することができる。
FDC薬品中のペルツズマブおよびトラスツズマブの含有量は、UV検出によるRP-UHPLCで決定される。ペルツズマブおよびトラスツズマブは、疎水性の差に基づいて分離される。ペルツズマブおよびトラスツズマブの対応する含有量は、様々な用量のFDC参照標準を注入する一連の分析のそれぞれによって生成された、外部較正曲線で計算される。同じ方法がFDC薬品のLDとMDに適用される。それぞれの投与形態が、対応する参照標準に対して測定される。
機器および材料
●UV検出器を有するUHPLC系(Thermo Ultimate 3000 RSまたは同等物)
●UHPLCカラム(Agilent Zorbax RRHD 300-Diphenyl、2.1×100mm、粒径:1.8μmまたは1.8μm相当)
試薬
●2-プロパノール
●アセトニトリル
●TFA
●L-ヒスチジン無水物
●L-ヒスチジン一塩酸塩一水和物
●スクロース
●トレハロース
●L-メチオニン
●ポリソルベート20
●水酸化ナトリウム
●塩酸
●精製水(例えば、Milli-Q)
溶液
薬品希釈バッファー
20mMのL-ヒスチジン/L-ヒスチジン一塩酸塩、105mMのトレハロース、100mMのスクロース、10mMのメチオニン、0.04%(w/v)のポリソルベート20、pH5.5±0.2
移動相A
2%(v/v)の2-プロパノール、水中0.1%(v/v)のTFA
移動相B
70%(v/v)の2-プロパノール、20%(v/v)のアセトニトリル、10%(v/v)の移動相A
参照標準溶液の調製
注:FDC薬品のLDおよびMD試料の測定のために、FDC LD参照標準およびFDC MD参照標準をそれぞれ調製する必要がある。対応する参照溶液を二重に調製しなければならない(参照A溶液および参照B溶液)。対応する参照標準を、薬品希釈バッファーを使用して1mg/mLの総タンパク質濃度に希釈する。
試料溶液の調製
FDC薬品を希釈バッファーで希釈して、およそ1mg/mの総タンパク質濃度を含有する試料溶液を調製する。
手順
最初の試料を注入する前に、カラムを安定したベースラインが得られるまで70%の移動相A/30%の移動相Bですすぐ。任意選択で、クロマトグラムの視覚評価が少なくとも2つの連続注入で一定したプロファイルを実証するまで、参照溶液をカラム条件づけの目的で注入する。
動作パラメーター
●検出波長:280nm
●注入容積:下記の注入プロトコールを参照のこと
●流量:0.3mL/分
●カラム温度:70℃±2℃
●オートサンプラー温度:10℃±4℃
・ 運転時間30分
Figure 2023533813000022
注入プロトコール
それぞれの投与形態では、対応する参照標準を使用して別々の順番を実施する必要がある。試料の注入は、表16に示されている順序で実施される。
Figure 2023533813000023
結果
典型的なクロマトグラフィープロファイルは、FDC薬品LDでは図15に示され、FDC薬品MDでは図16に示されている。
最終方法(実施例18)では、初期タンパク質含有量方法に実質的な改善が得られ、改善された全体的分解能/ピーク分析および試料持ち越しの排除が挙げられ、すなわち、持ち越しは、後続の分析において0.2%を超えない。さらに最終方法は、維持量および負荷量のペルツズマブおよびトラスツズマブの定量的タンパク質含有量決定を可能にする。異なるフェニルベースRPカラムは、2つの抗体に関して改善された特異性を示し、僅かに微量の試料持ち越しが検出され、正確なタンパク質含有量決定が可能になった。ペルツズマブ/トラスツズマブFDCにおけるタンパク質含有量決定のための最終逆相U-HPLC方法は、2個の分子をフェニルベース逆相カラム(Agilent Zorbax RRHD 300-Diphenyl)において、水-2-プロパノール/アセトニトリル勾配および0.1%のTFAを使用して70℃で分離する。
図15は、FDC LD参照標準のタンパク質含有量を分析するRP-UHPLCクロマトグラムの例を描写し、図16は、FDC MD参照標準のタンパク質含有量を分析するRP-UHPLCクロマトグラムの例を描写する。
データ分析
参照AおよびB溶液のクロマトグラムにおける、および試料溶液におけるペルツズマブピークおよびトラスツズマブピークを積分する。積分は、FDC薬品LDでは図15およびFDC薬品MDでは図16の代表的なクロマトグラムの助けを借りて定義される。それぞれの標準レベルの注入量(μg)に対してピーク領域をプロットすることによって、それぞれの抗体の標準曲線を生成する。標準曲線データを、線形回帰を使用して当てはめる。ゼロを介して曲線をフォースしないこと。
標準曲線方程式を使用することにより、各試料揺曳器および参照Bの注入の対応するピーク領域を使用して、ペルツズマブおよびトラスツズマブの量を計算する。
Figure 2023533813000024
スロープ較正曲線
ペルツズマブおよびトラスツズマブの含有量を計算するため、量を対応する注入容積で割り、希釈係数を掛ける。
Figure 2023533813000025
実施例19
FDCの含有量を決定するHI-HPLC
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HI-HPLC)を評価した。HI-HPLCは、特に分子変異体、例えば、翻訳後修飾または抗体薬物コンジュゲート種を確認する、抗体分析の一般的な方法である。加えて、HI-HPLCは非変性クロマトグラフィー方法であるので、ミスフォールドタンパク質または立体構造変化を確認することが可能である。
RP-UHPLCと比較すると、HI-HPLCとの主な差は下記である;
●HIクロマトグラフィーは非破壊的であり、タンパク質はフォールドしたままである。
●天然タンパク質フォールディングのため、タンパク質カラム相互作用はタンパク質表面に位置するアミノ酸でのみ生じる。
●溶出は、有機溶媒濃度を増加しても促進されないが、例えば、硫酸アンモニウムの量を減少して、タンパク質と固定相の疎水性-疎水性相互作用を弱める。したがって疎水性種を少なくすると、早期に溶出する。
HIC-HPLCの2つのカラムを試験した。
-TSKgelエーテルカラム、75mm×7.5mm、粒径10μm
-TSKgelブチルカラム、35mm×4.6mm、粒径2.5μm
移動相を試験した。
-溶出剤A:50mMのリン酸ナトリウム、pH7.0±0.05、5%(v/v)のエタノール
-溶出剤B:50mMのリン酸ナトリウム、2Mの硫酸アンモニウム、pH7.0±0.05
結果:
HI-HPLCは、いずれのカラムタイプでもペルツズマブ/トラスツズマブFDCの分子を分離することができる。ブチルカラムは、合剤試料においてエーテルカラムと比較して遙かに優れた分解能を有する(データ示されず)。RP-UHPLCとHI-HPLCの比較に関して、特にタンパク質含有量分析においては、RPUHPLCのほうがHI-HPLCより好ましかった。HIクロマトグラフィーは、2つの抗体を分離したが、前提的な分解能を欠いており、際だったテーリング効果を示した。逆相クロマトグラフィーは、HI-HPLCと比べて、ペルツズマブおよびトラスツズマブの改善された分解能を示す。特に、ペルツズマブおよびトラスツズマブの肩ピークは、HICよりRPCで良好に分解されている。さらに、RPCでは水平ベースラインをもたらし、これはHICの傾いたベースラインより好ましい。加えて、水-有機溶媒勾配の使用は、高-低塩勾配よりHPLC系にストレスが少ない。
Figure 2023533813000026
本発明のある特定の実施形態が本明細書に示され、説明されたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは、当業者には理解されるであろう。ここで、当業者は、多数の変化形、変更および置換を本発明から逸脱することなく想定するであろう。本明細書に記載されている実施形態に対する様々な代替形態が、本発明を実施する際に使用されうることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物を包含することが意図される。

Claims (57)

  1. 2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)の結合アッセイであって、
    a.FDCを、修飾HER2 ECDサブドメインを含む捕獲試薬と接触させることと;
    b.試料を検出可能な抗体と接触させることと;
    c.捕獲試薬に結合した抗体のレベルを、検出可能な抗体の検出手段を使用して定量化することと、
    を含む、結合アッセイ。
  2. 一定用量配合剤が、HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体、およびHER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体を含む、請求項1に記載の結合アッセイ。
  3. HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体の結合が定量化される、請求項1または2に記載の結合アッセイ。
  4. 捕獲試薬が、組換えHER2細胞外ドメインIIを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  5. 捕獲試薬が、配列番号2または配列番号23を含む、請求項4に記載の結合アッセイ。
  6. 捕獲試薬が、組換えHER2細胞外ドメインI、II、IIIを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  7. 捕獲試薬が、配列番号24を含む、請求項6に記載の結合アッセイ。
  8. 捕獲試薬が、HER2サブドメインIVを含まない、請求項3から6のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  9. HER2サブドメインIVに結合する抗体の結合が定量化される、請求項1または2に記載の結合アッセイ。
  10. 捕獲試薬が、組換えHER2細胞外ドメインIVを含む、請求項9に記載の結合アッセイ。
  11. 捕獲試薬が、配列番号4または配列番号28を含む、請求項10に記載の結合アッセイ。
  12. 捕獲試薬が、HER2サブドメインIIを含まない、請求項9から11のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  13. 捕獲試薬が、組換えHER2細胞外ドメインI、III、IVおよびEGFRのドメインIIを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  14. 捕獲試薬が、配列番号29を含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  15. 抗HER2抗体のうちの1つの力価を分析するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  16. 力価が、細胞ベースアッセイにおいて測定して、捕獲試薬に結合した抗体のレベルを、単離抗体の生物活性と相関させることによって定量化される、請求項15に記載の結合アッセイ。
  17. 捕獲試薬が、マイクロタイタープレートにコートされる、請求項1から16のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  18. 検出可能な抗体が、抗HER2抗体のF(ab’)2部分を標的にする、請求項1から17のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  19. 一定用量配合剤が、ヒアルロニダーゼを追加的に含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の結合アッセイ。
  20. 配列番号24を含む単離タンパク質。
  21. 配列番号29を含む単離タンパク質。
  22. HER2細胞外サブドメインIIに結合する第1の抗体および第2の抗HER2抗体の一定用量配合剤(FDC)において、HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体の結合を特異的に定量化するキットであって、
    a.配列番号1、配列番号2および配列番号34を含むタンパク質を捕獲試薬として含有する容器と、
    b.HER2細胞外サブドメインIIに結合する抗体の結合を定量化するための指示書と、
    を含む、キット。
  23. HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体および第2の抗HER2抗体の一定用量配合剤(FDC)において、HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体の結合を特異的に定量化するキットであって、
    a.配列番号33、配列番号36、配列番号3および配列番号4を含むタンパク質を捕獲試薬として含有する容器と、
    b.HER2細胞外サブドメインIVに結合する抗体の結合を定量化するための指示書と、
    を含む、キット。
  24. ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む一定用量組成物を評価する方法であって、
    a.pHが約7.5~約pH7.65のローディングバッファーを使用して、イオン交換材料に抗体を結合させることと、
    b.pHが約7.5~約pH7.7の溶出バッファーで抗体を溶出することと、
    を含む、方法。
  25. イオン交換材料が陽イオン交換材料である、請求項24に記載の方法。
  26. 陽イオン交換クロマトグラフィー材料が強陽イオン交換材料である、請求項25に記載の方法。
  27. 陽イオン交換材料がスルホネート基を含む、請求項25または26に記載の方法。
  28. 工程bが塩勾配で実施される、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 溶出バッファーがナトリウムを含む、請求項24から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 溶出バッファーが塩化ナトリウムを含む、請求項24から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. c.組成物中のペルツズマブおよびトラスツズマブの電荷変異体を選択的に検出する工程、
    を追加的に含む、請求項24から30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 32~40℃の温度で実施される、請求項24から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤が、ヒアルロニダーゼを追加的に含む、請求項24から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 組成物を作製する方法であって、(1)ペルツズマブ、トラスツズマブおよびこれらの1つまたは複数の変異体を含む一定用量配合剤を生産すること、ならびに(2)そのように生産された組成物を分析アッセイに付して、その中の変異体の量を評価することを含み、変異体が、(i)HC-Asn-391で脱アミド化されているペルツズマブ、ペルツズマブFCシアル酸変異体およびペルツズマブリジン糖化変異体、(ii)ペルツズマブ天然抗体、(iii)トラスツズマブ天然抗体、(vi)一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを含む、方法。
  35. 分析アッセイが、請求項24から33のいずれか一項に記載のアッセイである、請求項35に記載の方法。
  36. 一定用量配合剤が、ヒアルロニダーゼを追加的に含む、請求項34または35に記載の方法。
  37. 組成物が、40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む、請求項34から36のいずれか一項に記載の方法。
  38. ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物であって、HC-Asn-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を23%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも28%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも16%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを12%未満含む、組成物。
  39. HC-Asn-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を23%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも38%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも16%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを9%未満含む、請求項38に記載の組成物。
  40. HC-Asn-391の脱アミド化、Fcシアル酸およびリジン糖化から選択されるペルツズマブ酸性変異体、LC-Asn-30で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体、およびHC-Asn-55で脱アミド化されているトラスツズマブ変異体を21%未満、ペルツズマブ天然抗体を少なくとも28%、トラスツズマブ天然抗体を少なくとも23%、一方の重鎖にイソアスパラギン酸へのHC-Asp-102の単独の異性化を有するトラスツズマブを12%未満含む、請求項38に記載の組成物。
  41. ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む組成物であって、請求項24から33のいずれか一項に記載の方法により決定して、ピーク1~3の合計の23%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも28%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも16%のピーク領域、およびピーク8の12%未満のピーク領域を含む、組成物。
  42. 請求項24から33のいずれか一項に記載の方法により決定して、ピーク1~3の合計の23%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも38%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも16%のピーク領域、およびピーク8の9%未満のピーク領域を含む、請求項41に記載の組成物。
  43. 請求項24から33のいずれか一項に記載の方法により決定して、ピーク1~3の合計の21%未満のピーク領域、ピーク4(ペルツズマブ天然抗体)の少なくとも28%のピーク領域、ピーク7(トラスツズマブ天然抗体)の少なくとも23%のピーク領域、およびピーク8の12%未満のピーク領域を含む、請求項41に記載の組成物。
  44. rHuPH20を追加的に含む、請求項38から43のいずれか一項に記載の組成物。
  45. 40~60mg/mLのトラスツズマブおよび60~80mg/mLのペルツズマブを含む、請求項38から44のいずれか一項に記載の組成物。
  46. a.所定量のペルツズマブを配合容器に添加することと、
    b.トラスツズマブを、トラスツズマブとペルツズマブの1:1の比またはトラスツズマブとペルツズマブの1:2の比で添加することと、
    c.rHuPH20を添加すること、
    により得られる、請求項38から45のいずれか一項に記載の組成物。
  47. 2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)のタンパク質含有量を分析する方法であって、
    a.RP-HPLCフェニルカラムを準備することと、
    b.2つの抗HER2抗体の一定用量配合剤(FCD)をRP-HPLCカラムに負荷することと、
    c.2つの抗HER2抗体を0.2~0.4mL/分の流量で分離し、カラム温度が64℃~76℃であることと、
    を含む、方法。
  48. 一定用量配合剤が、ペルツズマブおよびトラスツズマブを含む、請求項47に記載の方法。
  49. ペルツズマブおよびトラスツズマブの一定用量配合剤が、ヒアルロニダーゼを追加的に含む、請求項47または48に記載の方法。
  50. 分離が、水-2-プロパノール/アセトニトリル勾配で達成される、請求項47から49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 流量が約0.3mL/分である、請求項47から50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 抗体が10~20分間にわたって分離される、請求項47から51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 抗体が15分間にわたって分離される、請求項52に記載の方法。
  54. 抗体が、約0.3mL/分の流量で15分間にわたって分離される、請求項52または53に記載の方法。
  55. カラム温度が70℃+-2℃である、請求項47から54のいずれか一項に記載の方法。
  56. フェニルカラムが、Acclaim Phenyl-1(Dionex)、Pursuit(登録商標)XRs Diphenyl、Pinnacle(登録商標)Biphenyl、Zorbax(登録商標)Eclipse(登録商標)Plus Hexyl Phenyl、Ascentis Phenyl、ならびにAgilent AdvanceBio RP mAb DiphenylおよびAgilent Zorbax RRHD 300-Diphenylカラムの群から選択されるカラムである、請求項47から55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 本質的に本明細書前記に記載されている方法、キットおよび組成物。
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