JP2023528451A - 酢酸の製造及び精製 - Google Patents

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Abstract

酢酸の製造及び精製のための方法が提供される。特に、本開示は、VIII族金属カルボニル化触媒の存在下でメタノールをカルボニル化することによって酢酸を製造及び精製するための改善された方法に関する。本明細書に記載の酢酸の製造及び精製方法は、1,1-ジメトキシエタンなどのアセタール不純物の形成及び質量組成を制御する。【選択図】なし

Description

優先権
本出願は、2020年6月3日に出願された米国仮特許出願第63/034,078号に基づく優先権を主張するものであり、これはあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、概して、酢酸の製造及び精製のための方法に関する。特に、本開示は、VIII族金属カルボニル化触媒の存在下でメタノールをカルボニル化することによって酢酸を製造及び精製するための改善された方法に関する。より具体的には、本開示は、1,1-ジメトキシエタンなどのアセタール不純物が制御された製造及び精製に関する。
酢酸の製造(合成)に適した工業的方法として、メタノールのカルボニル化プロセス(メタノールをカルボニル化することによる酢酸製造)が知られている。この方法では、例えば、反応槽(反応器)内で金属触媒(触媒系)の存在下、メタノールが一酸化炭素と連続的に反応することができる。反応混合物は蒸発器(例えばフラッシャー)の中で蒸発し、フラッシュされた蒸気部分が蒸留塔(軽質留分塔又はスプリッター塔と呼ばれる)の中で精製され、低沸点成分が除去される。その後、反応混合物がさらに精製されるか、或いは1つ以上の後続の蒸留塔で処理されることで、生成物である酢酸が得られる。
酢酸を製造するためのカルボニル化プロセスでは、反応及び/又は後続の精製工程中に他の副生成物(例えばカルボニル不純物)も形成される。例えば、アセトアルデヒドが副生成物(不純物)として形成される場合がある。さらに、これらの副生成物は、後続の反応を経てさらに不純物を生成する場合がある。例えば、アセトアルデヒドのアルドール縮合によりクロトンアルデヒドが生成される場合があり、クロトンアルデヒドのアルドール縮合により2-エチルクロトンアルデヒドが生成される場合がある。これらの副生成物(不純物)は、特に生成物である酢酸の過マンガン酸カリウム試験値に影響を与えることにより、生成物である酢酸の品質を低下させる。したがって、酢酸カルボニル化プロセスの流れからこれらの不純物の存在を低減又は除去することが望まれる。
酢酸のカルボニル化プロセスにおいてアセトアルデヒドの濃度を低下させるシステムは知られており、酢酸の工業生産において広く使用されている。これらのシステムは、典型的には、例えば蒸留、吸収、又はそれらの組み合わせによって、第1の蒸留塔の塔頂流の少なくとも一部を処理してアセトアルデヒドを分離することを含む。場合によっては、塔頂流をレシーバーで回収し、相に分離させることができる(相分離)。特に、塔頂流は、上相と下相などの相に分離させることができる。その後、上相及び/又は下相の一部がさらに処理されることで、アセトアルデヒドを分離及び除去することができる。
既存のカルボニル化プロセスは非常に効率的であるものの、安全且つ効率的な方式で酢酸を回収するためのさらなる改善が継続的に望まれている。
本開示の実施形態は、優れた過マンガン酸カリウム試験値を有する酢酸を効果的且つ効率的に製造するための工業的方法を提供する。
本開示の別の実施形態は、酢酸を製造するプロセス中に1,1-ジメトキシエタンの質量組成を効果的に減少させる方法を提供することである。本明細書において使用される「質量組成」又は「濃度」という用語は、総質量に対する物質の質量分率を指し、別段の指示がない限り通常は重量%で表される。
本開示のさらに別の実施形態は、酢酸を製造するプロセス中に1,1-ジメトキシエタンの酸化を効果的に防止する方法を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った。これらの研究の結果、以下の方法が開発された。
一実施形態では、(a)金属触媒とイオン性金属ヨウ化物とヨウ化メチルとを含む反応系、酢酸、酢酸メチル、及び水の存在下、反応器内でメタノールを一酸化炭素と連続的に反応させる反応工程;(b)反応工程で得られた反応混合物を、加熱あり又はなしで蒸気流と液状残渣流とに分離する蒸発工程;(c)蒸気流の少なくとも一部を第1の蒸留塔で蒸留して第1の塔頂流と側流とを形成する第1の蒸留工程であって、第1の塔頂流が水、ヨウ化メチル、及び/又はアセトアルデヒドを含み、側流が酢酸を含む工程;(d)第1の塔頂流を1つ以上のコンデンサーで凝縮し、凝縮液をレシーバーで回収し、凝縮液を上相と下相とに分離する相分離工程;(e)下相の少なくとも一部を第2の蒸留塔で蒸留して、アセトアルデヒドを含む第2の混合物を形成する第2の蒸留工程;並びに(f)第2の混合物をアセトアルデヒド流と第1の戻り流とに分離するアセトアルデヒド分離工程;を含む、酢酸の製造方法が提供される。この方法の液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%以下に制御される。この方法は、以下の(g)~(k):(g)側流を精製して酢酸生成物流を得る精製工程;(h)プロセスからの1つ以上のオフガス流を吸収溶媒で吸収し、一酸化炭素流と第2の戻り流とを形成するオフガス処理工程;(i)酢酸生成物流から高沸点成分を除去する高沸点物質除去工程;(j)酢酸生成物流をイオン交換樹脂と接触させて、酢酸生成物流からヨウ素化合物を分離するヨウ素除去工程;並びに(k)アセトアルデヒド流からアセトアルデヒドを抽出して、抽出物とラフィネートとを形成する抽出工程であって、抽出物がアセトアルデヒドを含み、ラフィネートがヨウ化メチルを含む工程;からなる群から選択される少なくとも1つの工程も含んでいてもよく、この方法の液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%以下に制御される。
本発明は、添付の非限定的な図面を踏まえてより深く理解される。
本開示の実施形態による酢酸の製造及び精製のための方法の概略図である。 本開示の実施形態によるアセトアルデヒド又はPRCの除去システムの概略図である。 本開示の実施形態によるアセトアルデヒド又はPRCの除去システムの概略図である。
初めに、任意のそのような実際の実施形態の開発において、システム関連及びビジネス関連の制約への準拠など、開発者の具体的な目標を達成するために、実施ごとに異なるであろう多数の実施固有の決定を行わなければならないことに留意すべきである。さらに、本明細書に開示の方法は、当該技術分野において平均的な又は十分な技術を有する者に明らかなように、引用又は具体的に言及されているもの以外の構成要素を含むこともできる。
図面及び本明細書で示す文章から明らかなように、様々な実施形態が想定される。
本明細書で説明するように、方法は、連続的な酢酸製造に関し、特に、系からアセトアルデヒド及び他のカルボニル不純物を除去及び/又は低減するための1つ以上の工程を含む酢酸製造方法に関する。本発明者らは、鋭意検討を行い、他の不純物が系内に存在する場合があることを突き止めた。特に、本発明者らは、酢酸の製造及び精製システムにおける様々な液体流中に1,1-ジメトキシエタンを含むアセタールが存在し得ることを見出した。本発明者らは、1,1-ジメトキシエタンが、外部からプロセスに導入された流れによって、及び/又は例えばアセトアルデヒドとメタノールとの反応による系内における形成によってなど、様々な要因によって液体流に入る場合があることを見出した。一実施形態では、液体流は、ヨウ化メチルを含んでいてもよく、1より大きい、例えば3より大きい又は5より大きい水に対するヨウ化メチルの質量比を有する。
系内に1,1-ジメトキシエタンが存在すると、多くの問題が生じる。不純物としての1,1-ジメトキシエタンは、酢酸生成物の品質(純度)を低下させる。さらに、本発明者らは、1,1-ジメトキシエタンが反応してアセトアルデヒドを形成し得ることを見出した。アセトアルデヒドの量が増えると酢酸生成物の品質(純度)が低下し、アセトアルデヒドは他のカルボニル不純物を生成する副反応を起こす可能性がある。したがって、アセトアルデヒドの系内における形成は、酢酸生成物の品質に悪影響を及ぼすのみならず、例えばアセトアルデヒド除去システムによる、系からアセトアルデヒドを低減及び/又は除去するためのシステムの効率を低下させる。
本開示の一実施形態による酢酸の製造方法(メタノールのカルボニル化による酢酸の製造)は、金属触媒(例えばロジウム又はイリジウム触媒)とイオン性金属ヨウ化物とヨウ化メチルとを含む反応系(触媒系)、酢酸、酢酸メチル、及び水の存在下、反応器(反応槽)内でメタノール及び/又はメタノール誘導体、例えば酢酸メチルやジメチルエーテルを一酸化炭素と連続的に反応させる反応工程;反応工程で得られた反応混合物を、加熱あり又はなしで蒸気流と液状残渣流とに分離する蒸発工程;蒸気流の少なくとも一部を第1の蒸留塔(スプリッター塔又は軽質留分塔とも呼ばれる)で蒸留して第1の塔頂流と側流とを形成する第1の蒸留工程であって、第1の塔頂流が水、ヨウ化メチル、及び/又はアセトアルデヒドを含み、側流が酢酸を含む工程;第1の塔頂流を1つ以上のコンデンサーで凝縮し、凝縮液をレシーバーで回収し、凝縮液を上相(例えば水相、軽相と呼ばれる)と下相(例えば有機相、重相とも呼ばれる)とに分離する相分離工程;下相の少なくとも一部を第2の蒸留塔で蒸留して、アセトアルデヒドを含む第2の混合物を形成する第2の蒸留工程;第2の混合物をアセトアルデヒド流と第1の戻り流とに分離するアセトアルデヒド分離工程;を含み、この方法の液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%以下に制御及び/又は維持される。これらの工程に加えて、方法は、側流を精製して酢酸生成物流を得る精製工程;プロセスからの1つ以上のオフガス流を吸収溶媒で吸収し、一酸化炭素流と第2の戻り流とを形成するオフガス処理工程;酢酸生成物流から高沸点成分を除去する高沸点物質除去工程;酢酸生成物流をイオン交換樹脂と接触させて、酢酸生成物流からヨウ素化合物を分離するヨウ素除去工程;並びにアセトアルデヒド流からアセトアルデヒドを抽出して、抽出物とラフィネートとを形成する抽出工程であって、抽出物がアセトアルデヒドを含み、ラフィネートがヨウ化メチルを含む工程;からなる群から選択される少なくとも1つの工程を含み得る。精製工程、高沸点物質除去工程、ヨウ素除去工程、及び/又はイオン交換樹脂の順序はプロセスに応じて変えることができ、いくつかの実施形態では、これらの工程はスキップされ得ることが理解されるべきである。
一実施形態によれば、この方法の液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、メタノールの質量組成によって制御及び/又は維持される。本発明者らは、アセタール、特に1,1-ジメトキシエタンの形成が、メタノールとアセトアルデヒドの可逆反応によるものであることを見出した。反応を完了させるために過剰(多量)の試薬を用いて反応を調整することができるため、1,1-ジメトキシエタンの形成は過剰(多量)のメタノールによって促進される。したがって、液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、メタノールの量を制御することによって制限又は減少させることができる。特に、アセトアルデヒドは第1の蒸留塔で1,1-ジメトキシエタンを形成する場合があることから、蒸発工程で生成する蒸気流中のメタノールの量を制御することにより、1,1-ジメトキシエタンの質量組成を減少させることができる。さらに、アセトアルデヒドは第2の蒸留塔で1,1-ジメトキシエタンを形成する場合があることから、相分離工程の下相のメタノールの量を制御することにより、1,1-ジメトキシエタンの質量組成を減少させることができる。
別の実施形態によれば、この方法の液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、第1の蒸留塔及び/又は第2の蒸留塔における滞留時間を調節することによって制御される。上述したように、本発明者らは、1,1-ジメトキシエタンがこれらの塔の一方又は両方で形成される傾向があることを見出した。特に、本発明者らは、蒸留時間が1,1-ジメトキシエタンの形成に寄与することを見出した。したがって、液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、滞留時間を制御することによって減少させることができる。特に、1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、第1の蒸留塔(軽質留分塔;スプリッター塔)及び/又は第2の蒸留塔における滞留時間を制御することによって減少させることができる。これらの実施形態では、第1の蒸留塔(軽質留分塔、スプリッター塔)及び/又は第2の蒸留塔における滞留時間は、例えば1分以上、好ましくは2分以上、より好ましくは5分以上である。蒸留工程は精製の重要な側面であるため、生成物である酢酸の最終純度に悪影響を与えるほど滞留時間を厳しく制限しないことが重要である。
本開示の実施形態では、液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%以下、例えば0.15重量%以下、0.1重量%以下、又は0.05重量%以下である。範囲に関し、1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.001重量%~0.2重量%、例えば0.01重量%~0.2重量%、0.01重量%~0.15重量%、0.01重量%~0.1重量%、又は0.01重量%~0.05重量%であってよい。
以降で本開示の実施形態について説明する。図1は、一実施形態によるメタノールのカルボニル化プロセス(メタノールのカルボニル化による酢酸製造)100の流れ図である。この装置は、酢酸を連続的に製造できるように構成されている。このカルボニル化プロセスの流れ図に関連する酢酸製造装置は、反応器(反応槽)106、蒸発器122、第1の蒸留塔140、レシーバー160、第2の蒸留塔(202)、及び第3の塔180を含む。本明細書で示され記載されているように、本明細書に記載のプロセスによって様々な液体流が生成する。ヨウ化メチル含有量が多いため、これらの液体流のほとんどは反応器106に再循環され、その結果これらの液体流中の不純物はプロセス中に蓄積する傾向がある。特に、反応器106に戻される第2の蒸留塔の残渣(塔底流)206から得られる液体流には不純物が蓄積する場合があり、そのため残渣206において1,1-ジメトキシエタンの質量組成を0.2重量%以下の値で制御又は維持することが望ましい。一実施形態では、反応器に戻される液体流は、1より大きい、例えば3より大きい、又は5より大きい、水に対するヨウ化メチルの質量比を有する。さらに、過酸化物の形成を防止するために、液体流は空気と接触しない。
本明細書で示され記載されているように、液体流は、側流、凝縮液、塔底流、上相、下相、第2の混合物、及び/又は酢酸生成物流から選択される流れなどの、図1に示されている液体流のいずれか1つであってよい。一実施形態では、液体流は、蒸留塔からの塔底流又は残渣である。
熱交換器、レシーバー、ポンプ、制御装置、バルブなどの様々な処理装置が図1に詳細に示されていないことは、当業者に理解されるべきである。別段の明記がない限り、そのような処理装置が存在しないことに関し、そのような処理装置が必要に応じて使用され得ることを当業者は理解するであろう。
以降で、必要に応じて図面を参照しながら、実施形態について詳細に説明する。様々なプロセスで説明されている各工程に少なくとも1つの対応するユニットが存在し、互換的に参照することができる。
反応工程
反応工程では、メタノール(メタノール誘導体)が、反応系の存在下、反応器内で一酸化炭素と連続的に反応する。例えば、図1に示されている実施形態では、メタノール含有供給流(第1の試薬)102及び一酸化炭素含有供給流(第2の試薬)104が、反応器(例えば液相カルボニル化反応器)106に供給され、そこでカルボニル化反応が生じて酢酸が形成される。図示されていないものの、それぞれの流れを制御及び/又は監視するために、両方の供給流上にフロートランスミッターが存在していてもよい。特に、メタノール含有供給流の質量流量を制御及び/又は監視することは、プロセスの効率の決定に有用である。
メタノール含有供給流102は、メタノール、並びに/又はメタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種の反応性誘導体を含む。メタノール含有供給流102は、新しい供給流、系からの再循環流、又はそれらの複数の組み合わせに部分的に由来していてもよい。メタノール及び/又はその反応性誘導体の少なくとも一部は、酢酸とのエステル化反応によって液体媒体中で酢酸メチルに変換され、その結果液体媒体中に酢酸メチルとして存在する。反応器106内の未反応メタノール量は、反応混合物の総重量を基準として1重量%以下、例えば0.8重量%以下、0.5重量%未満、又は0.3重量%未満であってよい。
メタノール含有供給流102は、1,1-ジメトキシエタンを含む場合があり、系内の不純物源となり得る。好ましくは、メタノール含有供給流は、1,1-ジメトキシエタンを実質的に含まない。原料の供給源に応じて、メタノール含有供給流は、例えば0.2重量%以下、例えば0.0001重量%以下、又は0.00005重量%以下の非常に少量のアセタールを含み得る。メタノール含有供給流は、量が少ないとしても1,1-ジメトキシエタンを含む場合があることから、酸化のリスクを低減するために、空気などの酸素を含む流れをメタノール含有供給流と接触させないようにすることが好ましい。
一実施形態では、酢酸メチルを形成するために、1,1-ジメトキシエタンを含む流れを十分な量のオゾンと接触させることができる。酢酸メチルは、酢酸の生成を増加させるための反応物として使用することができる。
一酸化炭素含有供給流104は、主に95体積%以上、例えば97体積%以上、又は99体積%以上の一酸化炭素を含むことができる。いくつかの実施形態では、水素、二酸化炭素、酸素、及び/又は窒素などの少量の不純物は、5体積%未満、例えば3体積%未満又は1体積%未満の量で存在し得る。これらの少量の不純物は、運転条件における様々な副反応によって生成する場合もある。
カルボニル化の典型的な反応温度は150~250℃であり、180~225℃の温度範囲が好ましい範囲である。カルボニル化のための反応圧力は、15atm~40atm(絶対圧)であり、20~35atm(絶対圧)の圧力範囲が好ましい。反応器内の一酸化炭素分圧は、広く変えることができるが、典型的には2~30atm、例えば3~10atmである。反応器内の水素分圧は、典型的には0.3~2atm、例えば0.3~1.5atm、又は0.4~1.5atmである。これらの分圧は、一酸化炭素含有流若しくは水素含有流を反応器に導入することを含む公知の方法によって、及び/又は例えばライン108を介して反応器を排気することによって維持することができる。排気された流れのライン108の一部は、凝縮してライン110を介して反応器に戻すことができる。酢酸の製造速度は、5~50mol/L・h、例えば10~40mol/L・h、好ましくは15~35mol/L・hであってよい。「より高い製造速度」は、通常20mol/L・hを超えて運転することを指す。
反応器(液相カルボニル化反応器)106は、好ましくは自己撹拌型(撹拌可能)であり、例えば、機械撹拌される槽、エダクト式若しくはポンプアラウンド式混合を備えた槽、又は撹拌機あり若しくはなしの気泡塔型槽であり、その中で、反応液体又はスラリーの成分が、好ましくは自動的に所定のレベルに維持され、このレベルは好ましくは通常の運転中に実質的に一定のままである。カルボニル化反応器106に、新鮮なメタノール、一酸化炭素、及び十分な水が必要に応じて連続的に導入されることで、反応混合物中の適切な質量組成が維持される。一酸化炭素は、望まれる内部反応器圧力を維持するのに十分な速度で導入される。いくつかの実施形態では、一酸化炭素は、望ましくは撹拌機の下方でカルボニル化反応器に連続的に導入され、この撹拌機は、内容物を撹拌するために、及び液体反応媒体全体に一酸化炭素を十分に分散させるために使用することができる。
カルボニル化反応器及びその内部の材料は、特に限定されず、金属、セラミック、ガラス、又はそれらの組み合わせであってよい。例えば、材料には、高い耐食性を有する傾向があるジルコニウム系の材料及び合金が含まれ得るが、鉄系合金(ステンレス鋼)、ニッケル系合金(HASTELLOY(商標)又はINCONEL(商標))、チタン系の材料及び合金、又はアルミニウム系の材料若しくは合金も含まれ得る。
上述したように、反応工程の反応系は金属触媒を含む。金属触媒(カルボニル化触媒)は第VIII族金属を含み得る。適切なVIII族触媒としては、コバルト、ロジウム、及び/又はイリジウム触媒が挙げられる。ロジウム触媒が使用される場合、ロジウム触媒は、ロジウムが[Rh(CO)アニオンを含む平衡混合物として触媒溶液中に存在するように、任意の適切な形態で添加することができる。一実施形態では、金属触媒は均一系触媒であってよい。別の実施形態は、例えば固定床上に触媒を担持することができる。
反応系は、イオン性金属ヨウ化物(ヨウ化物塩;塩補助促進剤)などの触媒補助促進剤も含む。これらは、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の可溶性塩、四級アンモニウム、ホスホニウム塩、又はこれらの混合物の形態であってよい。特定の実施形態では、触媒補助促進剤は、ヨウ化リチウム、酢酸リチウム、及び/又はそれらの混合物である。イオン性金属ヨウ化物は、ヨウ化物塩を生成する非ヨウ化物塩として添加されてもよい。ヨウ化物系触媒安定剤は、反応系に直接導入されてもよい。或いは、反応系の運転条件下では、多様な非ヨウ化物塩前駆体が反応混合物中でヨウ化メチル又はヨウ化水素酸と反応して対応する補助促進剤であるヨウ化物塩系安定剤を生成することになるため、ヨウ化物塩は系内で生成されてもよい。ロジウムの触媒作用及びヨウ化物塩の生成に関する追加の詳細な事項については、米国特許第5,001,259号明細書;同第5,026,908号明細書;同第5,144,068号明細書;及び同第7,005,541号明細書を参照のこと。これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。イリジウム触媒を利用するメタノールのカルボニル化は周知であり、米国特許第5,942,460号明細書;同第5,932,764号明細書;同第5,883,295号明細書;同第5,877,348号明細書;同第5,877,347号明細書;及び同第5,696,284号明細書に概略的に記載されている。これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
反応系は、有機ハロゲン化物を含むハロゲン化合物などの触媒系のハロゲン含有触媒促進剤(補助促進剤)も含む。したがって、アルキル、アリール、及び置換アルキル若しくはアリールハロゲン化物を使用することができる。好ましくは、ハロゲン含有触媒促進剤は、ハロゲン化アルキルの形態で存在する。さらに好ましくは、ハロゲン含有触媒促進剤は、カルボニル化される原料アルコールのアルキルラジカルにアルキルラジカルが対応するハロゲン化アルキルの形態で存在する。したがって、メタノールの酢酸へのカルボニル化において、ハロゲン化物系促進剤は、ハロゲン化メチル、より好ましくはヨウ化メチルを含む。
カルボニル化反応は、発熱を伴う発熱反応であり、反応温度を制御(又は調節)して製造レベルを維持することができる。カルボニル化反応の性質を考慮して、反応器の温度を様々な方法で調節することができる。本開示の目的のためには、反応器の温度を調節するために、任意の適切な冷却を使用することができる。一実施形態では、温度は、熱除去可能な(又は熱除去)ユニット又は冷却ユニット(例えばジャケット)を使用すること、冷却のためのポンプアラウンドループを使用すること、冷却された若しくは熱が除去された凝縮液を再循環すること、又はその他の手段によって制御することができる。反応熱の一部を除去するための使用可能なプロセスにより、反応器からの蒸気(ベントガス)をコンデンサー、熱交換器、又は蒸気を液体成分と気体成分とに分離する他の手段で冷却することができ、液体成分及び/又は気体成分は反応器に再循環させることができる。米国特許第5,374,774号明細書には、反応器のための再循環ラインの冷却ユニットが記載されている。カルボニル化反応器の温度を調節しながら蒸気を生成するための追加の熱を生成するために、ポンプアラウンドループを使用することができる。これは米国特許第8,530,696号明細書に詳しく記載されている。いくつかの実施形態では、反応器の温度は、反応器に戻されるフラッシュ塔頂流の一部を凝縮することによって制御することができる。これは米国特許第8,957,248号明細書に詳しく記載されている。
反応器106に戻ると、反応媒体中の触媒は、メタノールのカルボニル化反応を促進する役割を果たす。商業生産では、金属触媒はメタノールを直接活性化しないため、より反応性の高いメチル基質(反応物)を系内で生成しなければならない。ヨウ化水素などのヨウ化物系促進剤は、メタノールをヨウ化メチルに変換する。しかしながら、反応媒体のほとんどが酢酸であるため、メタノールは酢酸メチルへとエステル化され、これはヨウ化水素によってヨウ化メチルに活性化される。
反応混合物の成分は、酢酸を確実に十分に生成するために、規定された限度内に維持される。反応混合物は、例えばロジウムなどの金属として100~3000wppm、例えば400~2000wppm、又は400~1500wppmの量の、金属触媒、例えばロジウム触媒の質量組成を含む。反応混合物中の水の質量組成は、14重量%未満、例えば0.1重量%~14重量%、0.2重量%~10重量%又は0.25重量%~5重量%に維持される。好ましくは、反応は低水分条件下で行われ、反応混合物は、4重量%未満、例えば3.5重量%未満、3重量%未満、又は2重量%未満の水を含有する。範囲に関し、反応混合物は、0.1~3.5重量%、例えば0.1~3重量%又は0.5~2.8重量%の水を含有する。反応混合物中のヨウ化メチルの質量組成は、1~25重量%、例えば5~20重量%、4~13.9重量%に維持される。反応混合物中のヨウ化物塩、例えばヨウ化リチウムの質量組成は、1~25重量%、例えば2~20重量%、3~20重量%に維持される。反応混合物中の酢酸メチルの質量組成は、0.5~30重量%、例えば0.3~20重量%、0.6~4.1重量%に維持される。以下の量は、反応混合物の総重量基準である。この用途で開示されている範囲には、終点、部分範囲、及び個々の値が含まれる。連続プロセスでは、成分の量は規定の範囲内に維持され、これらの範囲内での変動が想定される。当業者は、反応媒体中の成分の量を維持するためにプロセスを制御する方法を容易に理解するであろう。
反応混合物中の酢酸の質量組成は、通常30重量%超であり、例えば40重量%超又は50重量%超である。
いくつかの実施形態では、望まれるカルボン酸とアルコールとのエステル、望ましくはカルボニル化で使用されるアルコール、及びヨウ化水素として存在するヨウ化物イオン以外の追加のヨウ化物イオンを反応混合物中に維持することによって、水分が少ない質量組成であっても望まれる反応速度が得られる。望ましいエステルは酢酸メチルである。追加のヨウ化物イオンは望ましくはヨウ化物塩であり、ヨウ化リチウム(LiI)が好ましい。米国特許第5,001,259号明細書に記載の通り、水分が少ない条件下では、酢酸メチル及びヨウ化リチウムは、これらの成分のそれぞれの質量組成が相対的に高い場合にのみ速度促進剤として機能し、これらの成分の両方が同時に存在する場合に促進がより大きいことが見出されている。
一実施形態では、メタノールから酢酸生成物へのカルボニル化反応は、カルボニル化生成物を形成するのに適した温度及び圧力の条件で、金属(ロジウム)触媒と、MeI系促進剤と、メタノールのエステル(酢酸メチル)と、追加の可溶性ヨウ化物塩とを含有する酢酸溶媒反応混合物を通してバブリングされた気体状一酸化炭素(第2の試薬)と、メタノール供給流を接触させることによって行われる。重要なことは触媒系におけるヨウ化物イオンの質量組成であり、ヨウ化物と結びついたカチオンではないこと、及びヨウ化物の所定のモル質量組成では、カチオンの性質はヨウ化物の質量組成の影響ほど重要ではないことが一般的に認識されるであろう。全ての金属ヨウ化物塩、又は任意の有機カチオンの任意のヨウ化物塩、又はアミン又はホスフィン化合物に基づくものなどの他のカチオン(任意選択的には四級カチオン)は、塩が反応混合物に十分に溶解して望まれるレベルのヨウ化物を提供することを条件として、反応混合物中で維持されることができる。ヨウ化物が金属塩である場合、好ましくは、CRC Press,Cleveland,Ohio,2002-03によって公開された「Handbook of Chemistry and Physics」(83rd edition)に記載されている周期表のIA族及びIIA族の金属からなる群の金属のヨウ化物塩である。特に、ヨウ化アルカリ金属が有用であり、ヨウ化リチウムが特に適している。低水分カルボニル化プロセスにおいて、ヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンに加えて、総ヨウ化物イオン質量組成が1~25重量%になり、酢酸メチルが概して0.5~30重量%の量で存在し、ヨウ化メチルが概して1~25重量%の量で存在するような量で、追加のヨウ化物イオンが触媒溶液中に通常存在する。ロジウム触媒は通常200~3000wppmの量で存在する。
反応混合物(粗製液体混合物)は、副生成物の形成を避けるために制御されるべき不純物も含み得る。これらの成分の例としては、ヨウ化エチル、ギ酸、プロピオン酸、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、2-エチルクロトンアルデヒド、及び/又は酢酸ブチルが挙げられる。反応混合物中に存在する不純物は、酢酸よりも沸点が低い低沸点不純物と、酢酸よりも沸点が高い高沸点不純物とに分類することができる。低沸点不純物の例としては、アセトアルデヒド及びクロトンアルデヒドが挙げられ;高沸点不純物の例としては、プロピオン酸、酢酸ブチル、2-エチルクロトンアルデヒド、及びこれらの混合物が挙げられる。また、様々な反応中に発生する気体成分(限定するものではないが、水素、メタン、及び/又は二酸化炭素など)も存在し得る。
これらの不純物は、酢酸生成物の品質(純度)に悪影響を有する。さらに、副生成物及び/又は不純物の形成は、反応器に限定されず、これは蒸留塔やレシーバー槽などの下流の処理システムで発生する可能性がある。上述したように、本開示の目的のためには、1,1-ジメトキシエタンの存在は特に問題であり、液体流が許容できないほど多量に有する場合に蓄積する。1,1-ジメトキシエタンは、反応器ではなく下流の処理システムにおいてかなり有利になる傾向があるものの、いくつかの実施形態では、反応混合物(例えば液体流)中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%以下、例えば0.15重量%以下、0.1重量%以下、又は0.05重量%以下に維持することができる。
副生成物は、反応媒体を調節することによって制御することができ、さらに、副生成物は、本明細書でさらに説明する分離プロセスによって除去することができる。例えば米国特許第8,017,802号明細書で記載されているように、ギ酸は、反応器中の含水量及び/又は反応器の温度によって制御することができ、その結果、酢酸生成物中のギ酸含有量は、160wppm未満、例えば140wppm未満、又は100wppm未満になる。副生成物の分離は、それに伴うコストによって制限される場合がある。副生成物、特に高沸点成分が除去されない場合、成分は酢酸生成物に濃縮される可能性がある。したがって、分離の必要性を減らすために、反応器内での副生成物の生成を制限することが有用である。例えば、いくつかの実施形態では、酢酸生成物中のプロピオン酸の質量組成は、酢酸生成物からプロピオン酸を除去せずに、反応媒体中のヨウ化エチルの質量組成を750wppm以下、例えば400wppm以下、350wppm以下、又は300wppm以下に維持することによって、250wppm未満にさらに維持することができる。
一実施形態では、一酸化炭素は、反応器(液相カルボニル化反応器)に、望ましくは内容物(反応液)を撹拌するために使用され得る撹拌機の下に連続的に導入される。この撹拌手段により、一酸化炭素のガス供給流を内容物(反応液)中に十分に分散させることができる。オフガス(気体パージ流)108は、ガス状副生成物の蓄積を防止し、所定の反応器全圧で一酸化炭素分圧を維持又は制御するために、反応器106から排出することができる。一実施形態では、気体パージ流108は、1重量%以下、例えば0.9重量%以下、0.8重量%以下、0.7重量%以下、0.6重量%以下、0.5重量%以下の少量のヨウ化水素を含む、及び/又はガス流は、0.001重量%以上、例えば0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上の量でヨウ化水素を含む。反応器の温度は制御することができ、一酸化炭素供給流は、望まれる反応器全圧を維持するのに十分な速度で導入される。
蒸発工程
蒸発工程(例えばフラッシュ分離工程)では、反応混合物の少なくとも一部がライン120を介して反応器106から連続的に抜き出され、蒸発器及び/又はフラッシャー122に導入又は供給される。反応混合物は、中で一定レベルを維持するのに十分な速度で反応器106から抜き出され、連続的に抜き出すことができる。反応媒体は、酢酸を含む蒸気流(フラッシュ塔頂流)126と、触媒含有溶液を含む液体残渣流124とを得るために、フラッシュ分離工程で分離することができる。いくつかの実施形態では、液体残渣流は、ライン124を介して反応器106に再循環される。
いくつかの実施形態では、変換反応器(図示せず)又は管型反応器(図示せず)を、反応器と蒸発器との間の流路で使用することができる。管型反応器は、米国特許第5,672,744号明細書に記載されており、反応媒体中で溶解した一酸化炭素を反応させるために使用される。中国特許第1043525C号明細書には、後続のフラッシングの前に反応をより大きく進行させることを可能にする変換反応器が記載されている。
フラッシャー122の下側部分に集められた触媒含有溶液は、少量の酢酸メチル、ヨウ化メチル、酢酸リチウム、及び水と共にロジウムとヨウ化物塩とを含有する主に酢酸であってよく、これは反応器に再循環される。液体残渣を反応器に戻す前に、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛、及びモリブデンなどの同伴腐食金属を除去するために、スリップ流は、米国特許第5,731,252号明細書(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、イオン交換床などの腐食金属除去床を通過することができる。また、アミンなどの窒素化合物を除去するために、米国特許第8,697,908号明細書(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように腐食金属除去床を使用することができる。
蒸発工程は、恒温フラッシュ、断熱フラッシュ、又はこれらの条件の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、フラッシャー122及び/又は反応混合物は、蒸発工程中に加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば蒸発工程は、約100~250℃、例えば110~200℃、120~180℃、125~170℃、又は130~160℃の温度で行うことができる。いくつかの実施形態では、例えば蒸発器の圧力(ゲージ圧)は、0.1~10atm、例えば0.3~10atm、0.5~5atm、0.8~3atm、又は1~2atmであってよい。
フラッシャー122は、皿形鏡板、半楕円体形鏡板、又は全半球形鏡板を有する垂直蒸発器であってもよい。保守又はアクセスを可能にするために、フラッシャー122は1つ以上の人用通路を備えていてもよい。ライン120の反応媒体用のノズルは、フラッシャー122の上部、例えばフラッシャー122内の液面より上にあってもよい。蒸気部分をさらに切り離すために、反応媒体を接線方向に導入する1つ以上のノズル(図示せず)が存在していてもよい。いくつかの実施形態では、フラッシャー122は、下部よりも大きな円筒直径を有する上部を有していてもよい。フラッシャー122は、そこに供給される反応媒体をフラッシャー122内に維持して望まれるカルボニル化生成物を蒸気流(フラッシュ塔頂流)126へと気化させるために、液体残渣流124を再循環する前に、大きな容積を有する必要がある。一実施形態では、約1分以上のフラッシャー122内の滞留時間が望ましく、いくつかの実施形態では、少なくとも約2分以上の滞留時間を使用することができる。
酢酸に加えて、蒸気流126は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、PRC、及び他のヨウ化物も含む。反応器106を出てフラッシャー122に入る溶存ガスは、一酸化炭素の一部を含み、メタン、水素、及び二酸化炭素などのガス状副生成物も含み得る。そのような溶存ガスは、消費されない限り、蒸気流126の一部としてフラッシャー122を出る。一実施形態では、ガス状パージ流108中の一酸化炭素をフラッシャー122の底部に供給することで、ロジウムの安定性を高めることができる。
一実施形態では、蒸気流126は、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、アセトアルデヒド、及びヨウ化水素を含む。一実施形態では、蒸気流126は、蒸気流の総重量を基準として、45~75重量%の量の酢酸、20~50重量%の量のヨウ化メチル、9重量%以下の量の酢酸メチル、及び15重量%以下の量の水を含む。別の実施形態では、蒸気流126は、蒸気流の総重量を基準として、45~75重量%の量の酢酸、24~36重量%以下の量のヨウ化メチル、9重量%以下の量の酢酸メチル、及び15重量%以下の量の水を含む。より好ましくは、蒸気流126は、55~75重量%の量の酢酸、24~35重量%の量のヨウ化メチル、0.5~8重量%の量の酢酸メチル、及び0.5~14重量%の量の水を含む。さらに好ましい実施形態では、蒸気流126は、60~70重量%の量の酢酸、25~35重量%の量のヨウ化メチル、0.5~6.5重量%の量の酢酸メチル、及び1~8重量%の量の水を含む。蒸気流中のアセトアルデヒド質量組成は、蒸気流の総重量を基準として0.005~1重量%、例えば0.01~0.8重量%、又は0.01~0.7重量%の量であってよい。いくつかの実施形態では、アセトアルデヒドは0.01重量%以下の量で存在し得る。蒸気流126は、蒸気流の総重量を基準として1重量%以下、例えば0.5重量%以下、又は0.1重量%以下のヨウ化水素を含み得る。
蒸気流126は、メタノール、特に少量のメタノールを含み得る。上述したように、メタノールはアセトアルデヒドと反応して、アセタール1,1,-ジメトキシエタンを形成する。同様に上述したように、本発明者らは、アセタール形成反応は平衡状態にあるが、過剰(高質量組成)のメタノールを用いて反応を完結できることを見出した。したがって、いくつかの実施形態では、蒸気流126中のメタノールの質量組成は、液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が0.2重量%以下に制御されるように制御することができる。
いくつかの実施形態では、任意選択的なミストエリミネーターを蒸気出口の近くで使用することで、液滴を合体させることができる。金属触媒又は他の金属成分から蒸気流126への同伴を防止及び/又は低減するために、フラッシャーの蒸気出口に任意選択的なスクラビングセクション(図示せず)がさらに使用されてもよい。任意選択的なスクラビングセクションに洗浄液を導入することができる。別の実施形態では、インラインセパレータを蒸気流126のラインで使用して旋回運動を付与し、同伴液体を合体させることができる。液体を抜き出してフラッシャー122に戻すことで、蒸気流126への同伴を低減することができる。
液体残渣流124は、酢酸、金属触媒、腐食金属、並びにギ酸、酢酸ブチル、及び/又は1,1-ジメトキシエタンなどの(ただしこれらに限定されない)他の様々な化合物を含む。一実施形態では、液体残渣流は、60~90重量%の量の酢酸、0.01~0.5重量%の量の金属触媒、10~2500wppmの合計量の腐食金属(例えばニッケル、鉄、クロム)、5~20重量%の量のヨウ化リチウム、0.5~5重量%の量のヨウ化メチル、0.1~5重量%の量の酢酸メチル、0.1~8重量%の量の水、1重量%以下の量のアセトアルデヒド(例えば0.0001~1重量%のアセトアルデヒド)、及び0.5重量%以下の量のヨウ化水素(例えば0.0001~0.5重量%のヨウ化水素)を含む。
流量を維持し、装置の損傷を防止し、且つ十分に制御できる方法で液体残渣流124を処理するために、フラッシャー122の液体出口の近くでボルテックスブレーカー(図示せず)を使用することができる。
いくつかの実施形態では、蒸発工程(加熱あり又はなし)の蒸発率は、20~80質量%、例えば20~70%、25~75%、25~60%、25%~50%、又は30%~40%であってよい。
第1の蒸留工程
第1の蒸留工程では、蒸気流126の少なくとも一部が第1の蒸留塔(軽質留分塔又はスプリッター塔と呼ばれる)140に供給(連続的に供給)される。蒸気流126中の酢酸を分離可能にするために、第1の蒸留塔140は、棚段塔、充填塔、又はこれらの組み合わせを含むことができる。蒸気流126は、第1の塔頂流142、側流144、及び塔底流146に分離される。第1の塔頂流142は、第1の蒸留塔の頂部及び/又は第1の蒸留塔の上方の位置から抜き出される。側流144は、主に酢酸を含むサイドカット(液体流)であり、塔頂流の上側の位置よりも下側の位置且つ蒸気流126の入口位置よりも上側の位置から取り出される。塔底流146は、第1の蒸留塔の底部から及び/又蒸気流126の入口位置よりも低い位置から抜き出される。第1の塔頂流142の割合は、蒸気流126の約20%~60%、例えば約35%~50%であってよい。側流144の割合は、蒸気流126の約30%~80%、例えば約40%~70%であってよく、通常、第1の塔頂流142よりも大きい。塔底流146の割合は、蒸気流126の約0%~10%、例えば約0%~3%であってよい。
第1の塔頂流は、好ましくは、水、酢酸メチル、ヨウ化メチル、及びカルボニル不純物などの低沸点不純物を含有する。第1の塔頂流の中の水の量は、通常5重量%以上である。第1の塔頂流の中に存在するカルボニル不純物には、アセトアルデヒドだけでなく、アセトアルデヒドから誘導される様々な副生成物、例えばクロトンアルデヒド及び2-エチルクロトンアルデヒドが含まれる。
側流144は、好ましくは、蒸気流126よりも高い質量組成の酢酸を含有する。酢酸の量は、80重量%超、例えば85重量%超、又は90重量%超であってよい。それにもかかわらず、側流144は、少量の水及びヨウ化メチル並びに/又は酢酸メチルを含み得る。サイドドロー中の水の質量組成は、還流比に応じて変化し得るものの、通常0.5重量%~5重量%、例えば0.6~3重量%、又は0.7~2.8重量%である。ヨウ化メチルは、好ましくは塔頂流に濃縮されるが、サイドドロー144中にも6重量%以下、例えば3重量%以下又は1.7重量%以下の少量で存在し得る。同様に、酢酸メチルの質量組成は、塔頂流142よりも側流144で低く、3重量%以下、例えば1.5重量%以下又は1.2重量%以下であってよい。高品質の酢酸を維持するために、側流144は1,1-ジメトキシエタンを実質的に含まない。
側流144として取り出された酢酸は、好ましくは、精製工程、高沸点物質除去工程、ヨウ素除去工程、又はそれらの組み合わせなどにおいて、追加の精製を受ける。この追加の精製により、流れから水、高沸点不純物、又は他の不純物を除去し、それによって高品質(純度)の酢酸生成物流を生成することができる。これら工程については以降でさらに詳しく説明する。
ロジウムなどの同伴触媒が追加の精製工程(蒸留塔)に入らないように隔離する一実施形態では、第1の蒸留塔140の下流に樹脂床(図示せず)が存在していてもよい。同伴される触媒は、最大100ppbの量の場合がある。この樹脂床は、定常運転中に側流144を処理するために運転することができ、再生のためにオフラインで取り出すことができる。第1の蒸留塔140の下流の樹脂床は、側流144の腐食性のため、ニッケルベース又はジルコニウムベースの冶金が有効である。樹脂床は、窒素含有ヘテロ環繰り返し単位を有するポリマーを含むポリマー基材であってもよく、これには、限定するものではないが、ビニルピロリドンやビニルピリジン樹脂が含まれる。そのような適切な樹脂は、米国特許第7,902,398号明細書に詳しく記載されており、その内容及び開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
第1の蒸留塔の塔底流146は、典型的には少なくとも水と酢酸を含む。塔底流146の中の水は、0.5重量%~5重量%、例えば0.6~3重量%の範囲であってよい。塔底流146は、メタノール、プロピオン酸、及びその他の化合物も含み得る。塔底流146は、同伴金属触媒(ロジウム触媒)も含み得る。塔底流146は排出されてもよく、或いは塔底流の一部又は全部が反応工程(反応器)に再循環されてもよい。塔底流146は、液体流であってもよく、低レベルの1,1-ジメトキシエタンを含んでいてもよい。
第1の蒸留塔(軽質留分塔、スプリッター塔)140の内部温度は、内部圧力によって変化する。0.6~3atm(ゲージ圧)、例えば0.7~1.5atmの運転圧力を使用することができる。例えば、約1atmの内部圧力で、第1の蒸留塔は、50~180℃、例えば70~170℃、80~160℃、又は90~150℃の塔頂温度(塔頂流温度)を有し得る。棚段塔を使用する実施形態では、棚段の理論段数は、5~80段、例えば10~60段又は15~50段の範囲であってよい。
第1の蒸留塔に供給されて分離された蒸気流126の一部は、側流124中の酢酸を濃縮するのに十分な滞留時間で蒸留される。したがって、いくつかの実施形態では、液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が0.2重量%以下になるように制御するために、第1の蒸留における蒸気流126の滞留時間を制御することができる。特に、第1の蒸留塔における滞留時間は、30秒以上、例えば1分以上、又は5分以上に制御することができる。
相分離工程
上述したように、第1の蒸留塔140から分離された第1の塔頂流142は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水などの少なくとも1つの反応成分を含み、これらの反応成分はプロセス内に保持されることが好ましい。第1の塔頂流(軽質留分塔頂流)142は、1つ以上のコンデンサー(熱交換器)148によって流れ150に凝縮され、これは反応器106に再循環され得る、及び/又は第1の蒸留塔140に還流され得る。オフガス成分は、凝縮された第1の塔頂流142から排出することができ、以下に記載の後続の処理を受けることができる。
いくつかの実施形態では、第1の塔頂流142は、好ましくは、例えばコンデンサー148内で凝縮することができ、ライン150を介してレシーバー(塔頂流相分離ユニット又はデカンター)160に向けることができる。凝縮された第1の塔頂流142がレシーバー内で分離して、上相(軽相、水相)162と下相(重相、有機相)164とを形成できるように、条件が維持されることが望ましい。典型的には、上相は水を多く含み、下相はヨウ化メチルを多く含む。相分離は、相間に第3の相又はエマルションを形成せずに2つの別の相を維持する必要がある。オフガス成分170は、デカンターから排出されることができ、後続の処理を受けることができる。いくつかの実施形態では、塔頂流デカンター内の凝縮された第1の塔頂流142の平均滞留時間は、1分以上、例えば3分以上、5分以上、10分以上である、及び/又は平均滞留時間は60分以下、例えば45分以下、又は30分以下、又は25分以下である。さらに、ヨウ化メチルの過剰な滞留を防止するために低い界面レベルを維持するように塔頂流デカンターを配置及び構築することができる。
上相162は、典型的には酢酸メチル、酢酸、ヨウ化水素、アセトアルデヒド、ジメチルエーテル、メタノール、及び少量のヨウ化メチルと共に、主に水を含む。ヨウ化メチルは、酢酸メチル、アセトアルデヒド、ジメチルエーテル、ヨウ化水素、メタノール、並びに少量の水及び酢酸をさらに含む下相に濃縮される。ヨウ化水素、ギ酸、ジメチルエーテル、及びクロトンアルデヒドなど(ただしこれらに限定されない)の他の副生成物及び不純物が微量で存在する場合がある。上相及び下相中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、2重量%以下、例えば1重量%以下又は0.5重量%以下であってよい。いくつかの実施形態では、上相のアセトアルデヒドの質量組成は、重量%基準で下相よりも大きい。例えば、上相は、表1に示す以下の組成を有し得る。
Figure 2023528451000002
上相又は下相から十分な還流流れを得ることができる。いくつかの実施形態では、上相162の一部を、ライン162aを介して第1の蒸留塔140に還流することができる。第1の蒸留塔140に対する上相の還流比(上相還流量/上相留出物量)は、0.5~20、例えば0.5~15、1~15、又は1.5~12である。上相162の一部は、ライン166を介して、例えば反応器106に戻す(再循環する)ことができる。
主にヨウ化メチルである下相164は、ライン168を介して反応器106に戻される(再循環される)。これにより、下相164中の水に対するヨウ化メチルの重量比を1より大きく、例えば3より大きく、又は5より大きくすることができる。いくつかの実施形態では、下相の一部を単独で、又は上相とともに第1の蒸留塔140に還流することができる。下相の比重は、1.3~2、例えば1.5~1.8、1.5~1.75、又は1.55~1.7であってよい。米国特許第6,677,480号明細書に記載されているように、下相で測定される比重は、反応媒体中の酢酸メチルの質量組成に相関し得る。比重が減少するのに伴い、反応媒体中の酢酸メチルの質量組成が増加する。いくつかの実施形態では、レシーバーは、低い界面レベルを維持してヨウ化メチルの過剰な滞留を防止するように配置及び構築される。例えば、下相は表2に示す以下の組成を有し得る。
Figure 2023528451000003
下相は、1,1-ジメトキシエタンを含み得る。下相中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%未満、例えば0.15重量%未満、0.1重量%未満、又は0.05重量%未満であってよい。上相も、1,1-ジメトキシエタンを含み得る。上相中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%未満、例えば0.15重量%未満、0.1重量%未満、又は0.05重量%未満であってよい。上相及び/又は下相は1,1-ジメトキシエタンを含み得るため、酸化のリスクを低減するために、空気又は酸素を含む流れが上相及び/又は下相に接触できないようにすることが好ましい。
重量に基づいた、レシーバーから抜き出される下相の流量に対するレシーバーから抜き出される上相の流量の比は、例えば約0.1/1~10/1(例えば約0.3/1~3/1)、好ましくは約0.5/1~2/1(例えば約0.7/1~1.5/1)であってよい。
連続プロセスでは、流れに変動が存在する場合があり、これを調整しないままにすると、中断が生じたり処理が困難になったりする可能性がある。これらの変動を考慮するために、プロセスは、第1の蒸留塔30とレシーバーとの間、又はレシーバーの後に上相又は下相のいずれかの流れを緩衝するための保持タンクが配置されてもよい。使用される場合、保持タンクはレシーバーを出入りする流れの最大20%の変動を考慮したサイズにされる。
第2の蒸留工程;アセトアルデヒド分離工程
アセトアルデヒド除去プロセス中にヨウ化メチル及び酢酸メチルを回収するために、上相及び/又は下相の少なくとも一部を分離してそれぞれライン162’又は164’を介してアセトアルデヒド又はPRCの除去システムに送ることができる。上相と下相には、それぞれアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、及び2-エチルクロトンアルデヒドなどのカルボニル不純物(副生成物)が含まれており、プロセスは、酢酸生成物の品質(純度)を低下させるこれらのカルボニル不純物を除去する工程を含み得る。
図1には、上相162’及び/又は下相164’(第1の塔頂流142の一部である)を処理するためのアセトアルデヒド又はPRCの除去システム200の一実施形態が示されている。
一実施形態では、上相又は下相のいずれか、又はそれらの組み合わせが、ライン201を介して第2の蒸留塔202に導入され、アセトアルデヒドは、第2の塔頂流204又はサイドドロー204’で除去され、塔内で形成された1,1-ジメトキシエタンを含む1,1-ジメトキシエタンは、塔202内を落ちて塔底流(液体)206に入る。蒸留は、バッチ式蒸留又は連続蒸留のいずれかで行うことができる。分離を可能にするために、第2の蒸留塔202は、棚段塔、充填塔、又はこれらの組み合わせを含むことができる。棚段塔を使用する実施形態では、その棚段の理論段数は、1~100段、例えば2~80段又は5~75段の範囲であってよい。
上相162’及び/又は下相164’は、塔頂から最初の棚段と塔底部より上の最初の棚段との間の位置に供給される。1,1-ジメトキシエタンの過剰な形成を防止するために、蒸留塔202にメタノールを導入せずに相を分離することができる。蒸留塔202への供給流は、少量のメタノールを含み得る。
蒸留に供給されるか塔内で形成された蒸留塔202内のいずれかの1,1-ジメトキシエタンは、塔底流(液体)206へと下降する。この液体流は、蒸留塔202の下側部分で、例えば塔の底部又は底部近くから抜き出される。塔底流(液体)206中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%未満、例えば0.001~0.2重量%、0.005~0.18重量%、又は0.01~0.15重量%であってよい。一実施形態では、塔底流(液体)206は、1より大きい、例えば3より大きい、又は5より大きい、水に対するヨウ化メチルの質量比を有する。
理論に拘束されるものではないが、1,1-ジメトキシエタンは、アセトアルデヒドとメタノールが存在する条件下で形成されると考えられる。メタノールは反応器に供給されるが、メタノールは急速に変換され、反応器内の未反応メタノールの質量組成は1,1-ジメトキシエタンの形成には低すぎる。しかしながら、精製プロセス中に、アセトアルデヒドとメタノールの存在が1,1-ジメトキシエタンを形成するのに十分であるゾーンが存在する。
一実施形態では、1,1-ジメトキシエタンは、アセトアルデヒドを流れの中に濃縮する塔内で十分な量で形成されることが見出された。アセトアルデヒドが濃縮される場合、塔内の条件は1,1-ジメトキシエタンが生成されるのに十分であり、これは濃縮されて液体流に集まる。
アセトアルデヒドが代表的な化合物である過マンガン酸塩還元化合物(PRC)の、蒸留塔202への供給流組成物(第1の混合物)中の総質量組成は、0.05~50重量%、0.05~10重量%、0.1~5重量%、又は0.1~1重量%で変動し得る。したがって、目標量の過マンガン酸塩還元化合物を分離することができる。本明細書で使用される「過マンガン酸塩還元化合物の質量組成」又は「過マンガン酸塩還元化合物質量組成」という用語は、全ての過マンガン酸塩還元化合物の総質量組成であってもよく、或いは各過マンガン酸塩還元化合物の質量組成であってもよい。代表的な過マンガン酸塩還元化合物としてはアセトアルデヒドが挙げられる。
過マンガン酸塩還元化合物(PRC)に加えて、供給流は、2.5重量%~90重量%、例えば10重量%~85重量%、又は20~70重量%のヨウ化メチルの質量組成と、0.5重量%~90重量%、例えば1重量%~90重量%、又は1.5重量%~85重量%の水の質量組成も含む。供給流組成物は、最大30重量%、例えば0.1~28重量%、又は1~20重量%の量の酢酸メチルと、最大25重量%、例えば0.01~12重量%、又は0.5~7.5重量%の量の酢酸と、最大1重量%、例えば0.001~1重量%、又は0.004~0.8重量%の量のジメチルエーテルと、2重量%以下、例えば1.8重量%以下、1.5重量%以下、1.1重量%以下、1.0重量%以下、又は0.5重量%以下の量のメタノールも含み得る。
供給流組成物は、均一な液体であってもよく、或いは下相と上相との混合物であってもよい。
第2の蒸留塔202は、塔頂流204又はサイドドロー204’として抜き出すことができる第2の混合物と、塔底流(液体)206とを分離するように機能する。いくつかの実施形態では、第2の混合物204/204’は塔頂流(又はその一部)及び/又はサイドドロー(又はその一部)を含む。第2の蒸留塔202における抽出により、供給流よりも大幅に多いアセトアルデヒドを含む第2の混合物が得られる。それにより、第2の混合物204/204’におけるヨウ化メチルに対するアセトアルデヒドの比は、重量基準で、供給流におけるヨウ化メチルに対するアセトアルデヒドの比よりも大きい。第2の混合物は、第2の蒸留塔202で蒸留又は処理された主要なPRCであるアセトアルデヒドを含み、これは、さらに詳細に説明するように、プロセスからアセトアルデヒドを除去するために、又はアセトアルデヒドの質量組成を減少させるために、その後処理することができる。第2の混合物は、第1の位置よりも高い、第2の蒸留塔202の頂部の近くで抜き出すことができる。精留を提供するために、一実施形態では、第1の位置と第2の混合物204/204’が抜き出される位置との間に少なくとも1つ以上の実際の棚段が存在していてもよい。
一実施形態では、アセトアルデヒドは、ヨウ化メチルの損失を低減する効率的なプロセスでヨウ化メチルから分離することができ、第1の混合物が酢酸メチル、メタノール、酢酸、又はこれらの組み合わせを含むように製造された場合であっても機能又は作用することができる。特に、アセトアルデヒドは、塔底流(液体)206中のアセトアルデヒドの質量組成を低減するために、第1の混合物から分離される。塔底流206は、ヨウ化メチルと酢酸メチルの相対量のため、再循環として(直接的に又は間接的に)反応器102に戻すことができる。間接再循環とは、流れが反応器102に戻る前に別の容器を通過するプロセスを指す。直接再循環には、再循環流を1つ以上の他の再循環流と一緒にすることが含まれ得る。
塔底流(液体)206の中のアセトアルデヒドの質量組成が低減又は抑制されるものの、再循環でアセトアルデヒドに変換され得るアセトアルデヒドの反応副生成物を制御することも有用である。特に、第2の蒸留塔202の抽出工程で形成される傾向があるアセトアルデヒドの1つの副生成物は、1,1-ジメトキシエタンなどの(ただしこれに限定されない)アセタールである場合がある。メタノールとの様々な二次反応又は副反応により、アセトアルデヒドは1,1-ジメトキシエタンに変換され得る。アルデヒドと比較してアセタールの沸点が比較的高いため、アセタールは塔底流(液体)206に落ち、その後再循環される。例えば、1,1-ジメトキシエタンは64℃の沸点を有する。第2の蒸留塔202は、アセトアルデヒドを効果的に除去せずにアセタールを下部に蓄積させ、反応器に戻すため、アセタールの形成は第2の蒸留塔の効率を低下させる。可逆反応により、再循環されたアセタールからアセトアルデヒドが生成し、第2の蒸留塔202の有効性が低下する可能性がある。アセタールを増加させ得る要因は多数存在し、これには、最初の混合物中に、又は別々に、過剰なメタノールが第2の蒸留塔202に導入される場合が含まれる。第2の蒸留塔202の温度及び還流比も、アセタールの質量組成に影響を与える可能性がある。
一実施形態では、塔底流(液体)206は、0.2重量%以下、例えば0.18重量%以下、0.15重量%以下、又は0.1重量%以下の質量組成で1,1-ジメトキシエタンを含む。そのような低レベルを維持することは、過酸化物の形成を引き起こす可能性のある空気(酸素)の侵入に対するプロセスの堅牢性を高めることに有用である。本明細書で説明するように、過酸化物の形成は多くの問題を引き起こす。
第2の蒸留塔202への供給流組成物は、上相162’又は下相164’の一部を含み得る。これにより、供給流は、底部から最初の棚段の上の位置で第2の蒸留塔202に導入することができる。
さらに、第2の蒸留塔202には、混合物からのアセトアルデヒドの抽出に適した組成を有する抽出剤を供給することができる。これは図1~3に抽出剤として示されている。抽出剤は、第1の混合物からアセトアルデヒドを抽出するのに適した組成物とすることができる。処理を容易にするために、抽出剤は、液-液分離及び/又は膜分離などの低エネルギー技術を使用してヨウ化メチルから分離可能であってもよい。抽出剤は、水、混合溶媒、又は水溶性有機溶媒(グリコール、グリセリン、アセトン、エーテル、及び/又はエステル)を抽出することを含んでいてもよい。水を導入することは、抽出混合物を液-液分離状態に維持するのに有利であり、そのため、抽出剤は、80重量%以上の水、例えば90重量%以上の水、又は95重量%以上の水を含むようにされる。一実施形態では、過剰な形成を防止するために、抽出剤は実際にはメタノール又は他のモノアルコールを含まない。したがって、第2の蒸留塔202に追加のメタノールは供給されない。水又は水含有抽出剤が好ましい抽出混合物であるものの、いくつかの実施形態では、第2の蒸留塔202は、追加の水なしで上相及び/又は下相を蒸留することができる。
一実施形態では、供給される水は、プロセス外部の未使用の水の供給源からのものであってよい。別の実施形態では、抽出剤のための供給される水は、第2の蒸留塔202の頂部に再度送られる水を含む内部流であってもよい。本明細書でさらに詳しく説明される任意の適切な内部流を使用することができる。一実施形態では、0.1重量%以下のメタノールの質量組成を有する内部流などの、メタノールが少ない内部流を抽出剤として使用することが好ましい。内部流が多量のメタノールを含む場合には、適切な方法でメタノール質量組成を減少させるために、これらの内部流を処理することができる。これらの内部流に含まれる全てのアセトアルデヒド又は他のPRCは、第2の混合物204/204’で回収することができる。
図2に示されているように、第2の蒸留塔202は、これに導入された成分を抽出蒸留によって分離する。一実施形態では、供給ラインは、第1の位置よりも上にある第2の蒸留塔204の上部ゾーンに導入される抽出剤203で抽出することができる。一実施形態では、抽出剤203は、第1の位置から離れた第2の蒸留塔202の頂部に導入することができる。したがって、抽出剤203が上相162’の一部を含むようにされる実施形態では、上相162’は、供給流の上方に、供給流とは別に供給される。PRCの質量組成は上部ゾーンでより高く、このゾーンに抽出剤203を導入すると抽出剤混合物が得られ、これはアセトアルデヒド及び他のPRCを多く含む第2の混合物(塔頂流204又はサイドドロー204’のいずれか)として抜き出される。一実施形態では、第2の混合物204/204’は、2重量%以下のメタノール、例えば1重量%以下のメタノール、又は0.5重量%以下のメタノールを含む。アセトアルデヒドを含むPRCが下流の流れとは対照的に第2の混合物(塔頂流204又はサイドドロー204’)の中に抽出される場合には、比較的少量の抽出剤を使用することができる。例えば、供給流組成物に対する抽出剤203の流量比(重量基準)は、0.0001/100~100/100の範囲、例えば0.001/100~50/100、0.0001/100~20/100、0.001/100~10/100、0.01/100~8/100、又は0.1/100~5/100の範囲であってよい。
第2の蒸留塔202に供給される供給流組成物が液-液分離された後に下相164’を含む場合、第1の混合物は、上の表2で示された組成を有し得る。必ずしも好ましいわけではないものの、供給流組成物が液-液分離からの上相162’を含む場合、この供給流は、上の表1に示される組成を有し得る。
第2の蒸留工程で抽出蒸留が使用される場合、PRC及び/又はヨウ化メチルは、エネルギー要件を低減する効率的な方法で処理することができる。
抽出蒸留を用いることにより、第2の蒸留塔202の段数を減らすことができる。一実施形態では、第2の蒸留塔は、100段以下、例えば80段以下、又は45段以下有する。供給流の位置と抜き出された第2の混合物の位置を説明するために、以下の実施例は50段を使用して提供されており、底部52は0番目の棚段であり、塔頂流51は50番目の棚段である。これらの実例は、異なる量の段又は棚段を有する蒸留塔に適用することができる。供給ライン201が導入される第1の位置は、1番目の棚段から35番目の棚段まで、例えば3番目の棚段から25番目の棚段まで、又は5番目の棚段から20番目の棚段までの範囲で選択することができる。第2の位置が回収トレイなど第1の位置の上方にある棚段から抜き出されることを条件として、サイドドローを抜き出すための第2の位置は、20番目から49番目の棚段、例えば25番目から48番目の棚段、又は35番目から48番目の棚段の範囲で選択することができる。一実施形態では、第2の位置と第1の位置とを分離する少なくとも1つの棚段、例えば少なくとも5つの分離棚段が存在していてもよい。抽出剤203は、頂部、例えば50番目の棚段に添加されてもよいものの、いくつかの実施形態では、抽出剤は、45番目から50番目の棚段、例えば45番目から49番目の棚段の範囲で選択された位置に添加することができる。
抽出効率は、抽出剤203を第2の蒸留塔202の上部ゾーンに向流的に添加することによって増加させることができる。さらに、抽出剤203は、噴霧若しくは散布、又は液滴形態での添加などの任意の他の適切な方法によって添加することができる。一実施形態では、抽出剤203は、0℃~60℃、例えば10℃~50℃、及び20℃~40℃の温度を有することができる。別の実施形態では、プロセスは、抽出剤を30℃~150℃、例えば50℃~110℃又は60℃~110℃の温度に予熱又は加温することを含み得る。
図2の第2の蒸留塔202は、供給ライン201から上部ゾーンへの良好な蒸気分配、及びサイドドロー204’として取り出される抽出混合物の全量の保持を可能にするために、回収トレイ(棚段)205を含み、これはハットトレイ又はチムニートレイと呼ばれる場合がある。任意の適切な回収トレイ205の設計を、本明細書に記載の実施形態で使用することができる。回収トレイ205は、サイドドロー204’が取り出される位置に実際には配置され、したがって、抽出剤203は回収トレイ205の上方に添加される。これにより、第2の蒸留塔202の上部から落ちる液体を回収トレイ205で受けることが可能になる。図2には示されていないものの、回収トレイ205が混合組成物の供給位置よりも低い位置に配置される場合には、回収トレイ205は塔底流206の上方に位置する。
一実施形態では、第2の蒸留塔202は、少なくとも1つの回収トレイ205、例えば2つ以上の回収トレイ205を備える。複数の回収トレイを有する蒸留塔202については、抽出剤203は最も上の回収トレイの上方に添加することができる。
一実施形態では、第2の蒸留塔202は回収トレイ205を備えており、抽出剤(又は抽出水)203は、回収トレイ205の上方の上部ゾーンに添加される。上部ゾーンは、第1の位置と蒸留塔202の頂部との間の空間に形成される。アセトアルデヒドは、PRCとして比較的低い沸点を有しており、上部ゾーンで形成されるヨウ化メチルは、C~C12アルキルヨウ化物として相対的に低い沸点を有しており、第2の混合物は、流れ204及び/又は204’として上部ゾーンから抜き出される。一実施形態では、回収トレイ205は、第2の蒸留塔202の上側の位置に配置することができる。上部ゾーンからサイドドロー204’を抜き出すことによってPRCが効率的に抽出されるため、回収トレイ205の位置は、供給ライン201(混合組成物)の第1の位置よりも実際には上である。回収トレイ205は、特定の位置に限定されず、第1の位置の高さレベルと同じ高さレベルに配置されてもよく、或いは第1の位置よりも下の下部ゾーンに配置されてもよい。
第2の蒸留塔202における回収トレイ205の高さレベルは、供給ライン201の第1の位置よりも上側である。回収トレイ205が使用される場合、回収トレイは、蒸留塔の棚段を置き換えることができる。第2の蒸留塔の棚段の数に応じて、回収トレイ205の高さレベルは、塔の最上段(塔の頂部から1番目の棚段)と供給ライン201よりも少なくとも1段上にある棚段との間であるか、又は第2の蒸留塔の頂部若しくはその近くに配置される。蒸留塔の棚段の総数が40である場合、回収トレイ205の高さレベルは、蒸留塔の頂部から1番目の棚段から35番目の棚段まで、例えば2番目の棚段から30番目の棚段まで、又は2番目の棚段から15番目の棚段までの範囲から選択することができる。これらの実例は、異なる量の段又は棚段を有する蒸留塔に適用することができる。
第2の蒸留塔202の運転条件は、第2の混合物204/204’を回収するための抽出環境を維持するように構成される。理解されるように、第2の蒸留塔202の内部温度は、塔頂圧力(絶対圧)と関係する。この圧力は、通常100kPa~500kPa、例えば100kPa~250kPa、又は100kPa~200kPaの圧力内に制御又は維持される。大気圧(約101kPa)では、第2の蒸留塔は、15℃~120℃、例えば15℃~100℃、又は15℃~80℃の頂部温度、及び35℃~165℃、例えば202℃~150℃、又は202℃~115℃の底部温度で運転される。一実施形態では、底部温度は、第2の混合物204/204’の中に抽出するための上部ゾーンにアセトアルデヒドを向かわせるために、回収トレイ205の下方でアセトアルデヒドが気体状態に維持される温度よりも上に維持される。
PRC(アセトアルデヒドなど)とC~C12アルキルヨウ化物(ヨウ化メチルなど)の両方との親和性を有する傾向がある酢酸メチル及び/又は酢酸の存在にかかわらず、アセトアルデヒドは、供給ライン201内の混合組成に応じて、第2の混合物204/204’の中に効果的に抽出され得る。一実施形態では、第2の混合物(塔頂流204及び/又はサイドドロー204’を含む)の中のアセトアルデヒドの質量組成は、重量基準で供給流組成物中の量の5~1000倍、例えば10~500倍又は20~300倍である。
一実施形態では、第2の混合物204/204’はサイドドロー204’から取り出され、塔頂流204は凝縮され、第2の蒸留塔202の頂部で還流される。還流される塔頂流の量/蒸留された塔頂流の量である第2の蒸留塔への還流比は、0.2~15、例えば0.5~15、1~15、又は2~10である。いくつかの実施形態では、第2の蒸留塔202の頂部から取り出される留出物が存在し得るものの、通常塔頂流204の凝縮した部分が還流される。塔頂流204は、15℃~120℃の温度で第2の蒸留塔202を出る。コンデンサー(又は必要に応じて複数のコンデンサー)は、塔頂流204をヨウ化メチルの沸点よりも低い温度まで凝縮することができる。凝縮された液体204aは、塔頂流レシーバー212に溜まり、ライン207を介して還流される。抽出条件を維持するために、ライン207は、抽出剤203の位置とサイドドロー204’の抜き出し位置との間(例えば回収トレイ205の上方)で第2の蒸留塔202に入ることができる。この還流は、過剰量の抽出剤、すなわち水が塔頂流204に存在することを防ぐために使用することができる。
第2の蒸留塔202の下部には、混和性溶媒を直接的に又は間接的に供給することができる。この溶媒は、ヨウ化メチルを含むプロセス流と混和する。混和性溶媒は、水、酢酸、ヨウ化メチル、及びメタノールからなる群から選択される少なくとも1つの成分であってよい。添加される場合、混和性溶媒は、回収棚段55から抜き出されるサイドドロー204’の量に対して30重量%以下、例えば15重量%以下、又は10重量%以下であってよい。
塔頂流204の組成は、通常、残りの有機成分の総質量組成よりも多いPRCとC~C12アルキルヨウ化物の総量を有する。一実施形態では、塔頂流204の組成は、1~75重量%、例えば5~65重量%又は10~50重量%の総PRC質量組成、及び1~85重量%、例えば10~80重量%、又は20~60重量%のC~C12アルキルヨウ化物の質量組成を有し得る。残りの有機成分は、酢酸メチル、酢酸、メタノール、及びジメチルエーテルを含むことができ、これらは10重量%以下、例えば5重量%以下の量を含み得る様々な量である。塔頂流204中の水の質量組成は、供給ライン201中の供給流組成物中の水よりも少なくてよい。塔頂流204は、20重量%以下、例えば15重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下の水の質量組成を有し得る。塔頂流204は、最大10重量%、例えば最大5重量%、又は最大1重量%の酢酸メチルの質量組成を有し得る。塔頂流204は、最大10重量%、例えば最大5重量%、又は最大1重量%の酢酸の質量組成を有することができる。通常、供給ライン201内の酢酸を減らすことによって可能な限り少ない酢酸の質量組成にすることが望ましい。同様に、塔頂流中のジメチルエーテル及びメタノールの質量組成も低レベルに維持することができる。塔頂流中のジメチルエーテルの質量組成は、1.8重量%以下、例えば1.5重量%以下、又は1重量%以下であってよく、塔頂中のメタノールの質量組成は、0.55重量%以下、例えば0.35重量%以下、又は0.25重量%以下であってよい。
いくつかの実施形態では、第2の混合物は、塔頂流204であってもよく、或いは塔頂流204の一部を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、塔頂流204は凝縮され、留出物部分は、PRCを除去するための第2の混合物として使用される。図2に示されている実施形態では、塔頂流204の組成物は、塔頂流レシーバー212内で水相208と有機相207とに相分離可能であってよい。有機相207はヨウ化メチルを多く含み水が少ない可能性がある一方、水相208は有用な量のPRCと水とを含み得る。
サイドドロー204’(第2の混合物)は、蒸留塔202から液体流として抜き出される。蒸留塔202の抽出できる性質の結果として、サイドドロー204’は、重量基準で、供給流組成物中のヨウ化アルキルに対するPRCの比よりも大きいヨウ化アルキルに対するPRCの比(例えばアセトアルデヒドとヨウ化メチルの比)を有することができる。これにより、除去のためにPRCがさらに濃縮される。本発明による方法は、大量のアセタールを蓄積せずにPRCを濃縮する。一実施形態では、サイドドロー204’の組成は、0.1~90重量%、例えば0.2~65重量%又は0.5~50重量%のPRCの質量組成と、0.5~95重量%、例えば1~95重量%、5~90重量%、又は10~60重量%のC~C12アルキルヨウ化物の質量組成と、0.1~25重量%、例えば0.5~20重量%、又は0.5~10重量%の酢酸メチルの質量組成と、0~10重量%、例えば0.01~5重量%、又は0.05~1重量%の酢酸の質量組成と、0.1~20重量%、例えば0.5~15重量%、又は0.5~8重量%の水の質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~2.1重量%、又は0.05~2重量%のメタノールの質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~1.7重量%、又は0.05~1.5重量%のアセタールの質量組成と、0~1.2重量%、例えば0.01~0.8重量%、又は0.05~0.5重量%のジメチルエーテルの質量組成とを有し得る。
図2に示されているように、凝縮された塔頂流204aは槽214に集められる。槽214は、緩衝タンクであってもよく、或いは第2の混合物を受け取って凝縮した塔頂流204aを相に分離できる液-液分離槽であってもよい。いくつかの実施形態では、槽214は、液-液分離可能な凝縮された塔頂流204aを水相215と有機相216とに分離する。アセトアルデヒドなどのPRCは、有機相216よりも水相215により有利に分配される。さらに、抽出剤は水相215により有利に分離され、抽出剤を回収する必要はないものの、抽出剤は後続の水相の処理によって回収することができる。有機相は、第2の蒸留塔202に戻すことができ、或いは塔底流206と合わせて反応器106に戻される。さらに、アセトアルデヒドを追加の処理なしで排出できるように、水相215中のヨウ化メチルの量を減らすことが望ましい。
一実施形態では、槽214は、第2の混合物204’を水相215と有機相216とに分離する。水相215と有機相216の質量流量比は、1:1000~1:1(水相対有機相)、例えば1:900~1:10、又は1:650~1:100であってよい。結局、水相は、質量流量に基づいて有機相よりも小さい流れとすることができる。有機相216は抽出剤の量が少なく、第2の蒸留塔202に戻すことができる。
水相215は、有機相216よりも高いPRC(アセトアルデヒド)の質量組成を有しており、水相215は、C~C12アルキルヨウ化物(ヨウ化メチル)よりも高いPRC質量組成を有し得る。代表としてアセトアルデヒド及びヨウ化メチルを使用すると、水相215は、重量基準で2:1~60:1、例えば3:1~45:1、3:1~30:1、又は4:1~20:1の前者対後者の比率を有し得る。水相215の組成は、1~50重量%、例えば5~45重量%又は10~35重量%のPRC(アセトアルデヒド)の質量組成と、40~95重量%、例えば50~90重量%、又は60~75重量%の水の質量組成と、0.01~15重量%、例えば0.1~10重量%、又は0.5~6重量%のC~C12アルキルヨウ化物(ヨウ化メチル)の質量組成と、0.1~25重量%、例えば0.5~20重量%、又は0.5~10重量%の酢酸メチルの質量組成と、0~5重量%、例えば0.01~2.5重量%、又は0.05~1重量%の酢酸の質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~2.1重量%、又は0.05~2重量%のメタノールの質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~1.7重量%、又は0.05~1.5重量%のアセタールの質量組成と、0~1.2重量%、例えば0.01~0.8重量%、又は0.05~0.5重量%のジメチルエーテルの質量組成とを含む。
有機相216は、回収トレイ205の下方で第2の蒸留塔202に戻すことができる。一実施形態では、有機相216の組成は、0.1~90重量%、例えば5~85重量%、又は10~80重量%のC~C12アルキルヨウ化物(ヨウ化メチル)の質量組成と、0.1~30重量%、例えば0.5~20重量%、又は0.5~10重量%の酢酸メチルの質量組成と、0.01~15重量%、例えば0.5~10重量%又は0.5~5重量%のPRC(アセトアルデヒド)の質量組成と、0~5重量%、例えば0.01~2.5重量%、又は0.05~1重量%の酢酸の質量組成と、0.01~5重量%、例えば0.05~4重量%、又は0.5~3.5重量%の水の質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~2.1重量%、又は0.05~2重量%のメタノールの質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~1.7重量%、又は0.05~1.5重量%のアセタールの質量組成と、0~1.2重量%、例えば0.01~0.8重量%、又は0.05~0.5重量%のジメチルエーテルの質量組成とを含む。
効果的に運転するためには、一実施形態では、下方流207は、特に供給流組成物が下方流164’の一部を含むようにされる場合、供給流組成物からのヨウ化メチルのかなりの部分を含む。蒸留塔202の下方流207は、反応器106に戻される有用なヨウ化メチルを含む。製造を実現するためには、蒸留塔は、下方流207への供給流組成物中のヨウ化メチルの60~99.9%、例えば75~99.5%又は80~99.1%を除去する。ヨウ化メチルの除去が成功すると、10~90重量%、例えば15~85重量%、又は20~80重量%のC~C12アルキルヨウ化物(ヨウ化メチル)の質量組成を有する下方流207が得られる。しかしながら、そうすると、反応器への1,1-ジメトキシエタンの戻りが増加する。これらの欠点を克服し、下方流207を効率的に使用するために、水の質量組成は、1,1-ジメトキシエタンを変換又は転化するのに十分なレベルに維持される。
塔底流206も、1,1-ジメトキシエタンをあまり変換させることができない不十分な量の水を含む。これにより、水に対するヨウ化メチルの質量比を1より大きく、例えば3より大きく、又は5より大きくすることができる。一実施形態では、塔底流206の水の質量組成は、1.5質量%未満、例えば1.1重量%未満、1.0重量%未満、0.7重量%未満、又は0.5重量%未満である。アセトアルデヒド含有量は、塔底流206において非常に少ないと見込まれ、0.05重量%未満、例えば0.04重量%未満、0.02重量%未満、又は0.005重量%未満であってよい。同様に、メタノールの質量組成は液体流中で比較的小さく、通常1重量%未満、例えば0.8重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満である。酢酸メチル及び酢酸は、液体流42中に蓄積する可能性があり、酢酸メチルのそれぞれの質量組成は、5~60重量%、例えば10~50重量%、又は10~35重量%であり、酢酸は、1~20重量%、例えば1.5~15重量%、又は2~10重量%である。
下方流207は、30℃~1214℃、例えば35℃~120℃、又は202℃~100℃の温度で抜き出すことができる。
補助的なアセトアルデヒド除去
他のPRCを含むアセトアルデヒドは、第2の蒸留塔202から第2の混合物204/204’において除去されるものの、補助的な処理によってアセトアルデヒドを除去又は低減し、有用な有機成分及び/又は抽出剤のいずれかを回収することが望ましい場合がある。そのようなアセトアルデヒドの補助的な除去を実現するためのいくつかの利用可能な方法が存在する。本発明の目的のためには、これらの補助的な除去プロセスは、使用される場合であっても、処理設備の要件に応じて変えることができる。補助的なアセトアルデヒド除去の1つの態様は、プロセスが下方流207で1,1-ジメトキシエタンの質量組成を増加させてはならないことである。
一実施形態では、アセトアルデヒドは、プロセスから第2の混合物204/204’をパージすることによって除去又は低減することができる。これは、非常に少量のヨウ化メチル、特に1重量%未満、例えば0.5重量%未満の量のヨウ化メチルを含む第2の混合物204/204’で行うことができる。第2の混合物204/204’がより多量のヨウ化メチルを含む場合、補助的なアセトアルデヒド除去プロセスを用いることによって第2の混合物204/204’のパージを回避することが望ましい場合がある。
別の実施形態では、段を有さない抽出器又は段を有する蒸留塔における第2の混合物204/204’の第2の抽出工程が存在していてもよい。この補助的なアセトアルデヒド除去プロセスでは、第2の抽出で補助的な抽出剤(追加の水)が使用され、アセトアルデヒドを含む抽出剤とヨウ化メチルを含むラフィネートが得られる。これにより、ラフィネートを回収し、抽出剤をさらに廃棄又はパージすることができる。この構成では、第2の抽出は、第2の蒸留塔202との連続段階として配置することができる。抽出段階、すなわち第2の蒸留塔202と抽出器との間にコンデンサー/冷却器が存在していてもよい。コンデンサー/冷却器を使用する第2の混合物204/204’の温度は、10℃~80℃、例えば12℃~65℃、又は13℃~45℃であってよい。
一実施形態では、アセトアルデヒド分離工程は、第2の混合物204/204’を1つ以上の抽出器及び/又は1つ以上の追加の蒸留塔で分離することを含む。
図2は、アセトアルデヒド又はPRC除去システム200の別の実施形態を示している。図2では、供給流組成物は塔頂流201として表されているが、供給流組成物は上述した液-液分離された上方流及び下方流を含む塔頂流201の一部を含んでいてもよいことが理解されるべきである。供給流組成物が蒸留塔202で蒸留及び/又は抽出された後、第2の混合物は第2の蒸留塔202から側流204’として抜き出され、槽214に導入される。塔頂流204は凝縮され、凝縮された部分204aはライン207を介して還流される。抽出剤203として水が使用され、第2の蒸留塔202の頂部に導入される。下方流206は、第2の蒸留塔202の底部から除去され、少なくとも1.5重量%以上の水を含む槽に再循環されて、中に含まれる1,1-ジメトキシエタンを変換する。槽214からの有機相216は、第2の蒸留塔202の下側の部分に再循環される。第2の混合物と比較してヨウ化メチルを多く含む有機相216は、サイドドロー204’を抜き出す位置よりも下側の位置、例えば回収トレイ205よりも下側の位置に再循環することができる。槽214からの有機相216は、反応器(図示せず)に再循環されてもよい。
サイドドロー204’の部分は、水相215に相対的に多くのアセトアルデヒドを含む。水相215は、その含水量のため、第2の蒸留塔202のための適切な抽出混合物として存在することができ、ライン215’のこの部分は、抽出剤203として再循環することができる。ライン215’のこの再循環部分は、抽出剤203全体を含んでいてもよく、或いは追加の水供給源と一緒になって抽出剤203の一部を構成してもよい。一実施形態では、水相215は抽出混合物として使用されず、ライン215’は、閉鎖可能な弁を有することができ、或いはライン215はプロセスから除去することができる。
サイドドロー204’(第2の混合物)の比較的高い温度と同様に、槽214からの水相215は、デカンター220に回収される前にコンデンサー(冷却器)を通過することによって冷却され得る。冷却水はクーラントとして使用することができる。水相215の温度は、-5℃~60℃、例えば0℃~30℃又は3℃~20℃であってよい。
デカンター220には、液-液分離によって残渣流221へと分離可能な残留量のヨウ化メチルが存在し得る。残渣流221は、水相215よりも多くのヨウ化メチルを含む。デカンター220内で形成された残渣流221(ヨウ化メチルを多く含む重相又は下相)は、槽214の有機相216と一緒にされるか、又はコレクター棚段205の下方で第2の蒸留塔202に添加されることによって、第2の蒸留塔202に再循環される。残渣流221は、第2の蒸留塔202を迂回し、下方流206と共に反応器106に戻されてもよいが、反応器106に戻る前に残渣流221中の不純物を最初に減少させることが好ましい。相の問題を防ぐために、残渣流221を槽214に戻して導入することは望ましくない。
デカンター220は、液体流222も生成する。液体流222は、除去すべき目的のアセトアルデヒドを含む。液体流222と残渣流221の質量流量比は、1:500~1:0.5(液体対残渣)、例えば1:400~1:1又は1:375~1:10であってよい。相対的に小さい流れにもかかわらず、液体流222は、有用な量のアセトアルデヒドを含む。量に基づく液体流222中のアセトアルデヒド質量組成は、残渣流221中の量の2×(2倍)超、例えば3倍超又は4倍超であってよい。
液体流222は、アセトアルデヒドの質量組成を減らすために廃棄できるものの、抽出混合物に使用されるヨウ化メチル及び/又は抽出剤(水)をさらに保持しようとするプロセスが存在する場合がある。したがって、液体流222又はその一部は、第3の蒸留塔230を使用してさらに分離することができる。このような蒸留において、第3の蒸留塔230により、1~99重量%の量のアセトアルデヒドと0.1~30重量%の量のヨウ化メチルとを含む塔頂流231と、主成分としての10重量%以上の量の抽出剤と1重量%以下の量のヨウ化メチルとを含む塔底流232とが得られる(ただし、各流れは不純物を含めて100重量%の合計量である)。塔底流232の一部は、ライン233を介して抽出剤として使用することができ、第2の蒸留塔202に戻され得る。別の実施形態では、塔底流232はプロセスから除去又は排出することができる。
第3の蒸留塔230は、100~500kPa、例えば115~375kPa及び125~250kPaの塔頂圧(絶対圧)を有することができる。塔頂流を効果的に分離するために、大気圧の第3の蒸留塔230は、塔頂で10~90℃、例えば15~80℃又は20~60℃の温度を有する、及び/又は70~170℃、例えば80~160℃又は90~150℃の塔底温度を有する。第3の蒸留塔230の段(棚段)数は、分離に十分な数とすることができ、例えば1~50段、例えば2~45段又は3~30段であってよい。第3の蒸留塔230の還流比(還流:留出物)は、1:20~20:1、例えば1:15~15:1、又は5:1~10:1である。
塔頂流231又はその留出物は、より多くのアセトアルデヒドを含み、第2の混合物よりも低いヨウ化メチルの質量組成を有する。一実施形態では、塔頂流231の組成は、45~99重量%、例えば50~99重量%又は60~98重量%のPRC(アセトアルデヒド)の質量組成と、0.1~30重量%、例えば0.5~25重量%、又は1~20重量%のC~C12アルキルヨウ化物(ヨウ化メチル)の質量組成と、0.1~25重量%、例えば0.5~20重量%、又は0.5~12重量%の酢酸メチルの質量組成と、0~5重量%、例えば0~1.5重量%、又は0~1重量%の酢酸の質量組成と、0~5重量%、例えば0~2.5重量%、又は0.01~2重量%の水の質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~2.1重量%、又は0.05~2重量%のメタノールの質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~1.7重量%、又は0.05~1.5重量%のアセタールの質量組成と、0~1.2重量%、例えば0.01~0.8重量%、又は0.05~0.5重量%のジメチルエーテルの質量組成とを含む。一実施形態では、塔頂流231は、第3の蒸留塔230への供給流中の酢酸メチルに対するヨウ化メチルの比率(重量に基づく)よりも高いこの比率を有する。これに加えて又は独立に、塔頂流231は、第3の蒸留塔230への供給流中の酢酸メチルに対するヨウ化メチルの比率(重量に基づく)よりも高いこの比率を有することができる。
塔頂流231は、大気圧で15~100℃、20~90℃、又は35~75℃の温度を有する。塔頂流231を凝縮して塔頂流231を60℃以下、例えば45℃以下又は30℃以下の温度に冷却するために、従来のコンデンサー/冷却器を使用することができる。
一実施形態では、抽出剤203が水である場合、塔底流232中の液体は、主成分として水を含む。主成分に加えて、塔底流232は、酢酸メチルと、それより少ない量の酢酸、メタノール、ジメチルエーテル、ヨウ化メチル、及び/又はアセトアルデヒドとを含み得る。これにより、塔底流232の一部又は塔底流232全体を、ライン233で第2の蒸留塔202に再循環させることにより、抽出剤203として使用することができる。塔底流232は、85~99.99重量%、例えば90~99.98重量%又は92~99重量%の水の質量組成を有し得る。酢酸メチルは、第3の蒸留塔230の下側部分に保持することができ、下方流232に抜き出される。塔底流232中の酢酸メチルの質量組成は、0.1~15重量%、例えば0.5~10重量%、又は0.7~7重量%であってよい。他の成分は、存在する場合、通常5重量%以下の低い個々の量である。一実施形態では、塔底流232は、1重量%以下、例えば0.5重量%以下又は0.3重量%以下のアセトアルデヒドの質量組成、1.5重量%以下、例えば1重量%以下、又は0.5重量%以下のヨウ化メチルの質量組成、5重量%以下、例えば1重量%以下、又は0.5重量%以下の酢酸の質量組成、1重量%以下、例えば0.5重量%以下、又は0.1重量%以下のメタノールの質量組成、及び/又は0.1重量%以下、例えば0.01重量%以下、又は0.001重量%以下のジメチルエーテルの質量組成を有し得る。塔底流232は、大気圧で65~165℃、例えば230~120℃又は85~105℃の温度を有する。
図2は、液体流222が蒸留されることを示していが、別の実施形態では、第2の混合物204/204’及び/又は水性流215は、槽214及び/又はデカンター220のいずれも通過せずに第3の蒸留塔230で蒸留され得る。
蒸留のみによってアセトアルデヒドからヨウ化メチルを分離すると、ヨウ化メチルの質量組成が塔頂流231で低くてもヨウ化メチルを完全に回収することができないことが明らかになっている。さらに単純な蒸留を行うと、ヨウ化メチルの回収はわずか又は漸進的な改善しか得られないため、補完的な処理のためにはより効果的な処理が魅力的な利点を提供する。蒸留を伴う又は伴わない抽出は、ヨウ化メチルの回収を促進する効果的なプロセスとして使用することができる。一実施形態では、ヨウ化メチルの回収を促進するために、第2の抽出蒸留塔を使用することができる。図2に示されているように、塔頂流231又はその留出物部分は、水含有抽出混合物を使用する抽出蒸留として機能する第4の蒸留塔240に導入される。第4の蒸留塔240は、ヨウ化メチルを多く含む塔頂流241と、アセトアルデヒドと水である抽出剤とを多く含む水性の塔底流242と、が得られるように機能する。水性の塔底流242の全部など少なくとも一部は、抽出混合物としてライン243を介して第2の蒸留塔202に再循環するか、又は戻ることができる。
一実施形態では、第4の蒸留塔240は、アセトアルデヒドに対するヨウ化メチルの比(重量基準)が塔頂(留出物)流231中の供給流よりも大きい上方流241を分離する。上方流241は、塔頂流として、又は第4の蒸留塔240の頂部近くの流れとして取り出すことができる。回収を維持するために、上方流241を直接的に又は間接的に反応器106に向けることが有用な場合がある。いくつかの実施形態では、上方流241の一部は、好ましくは下側の部分で、第2の蒸留塔202に導入することができる。
抽出のためには、ライン244を介して第4の蒸留塔240の頂部で水抽出混合物を向流方向に添加することで十分である。米国特許第8,859,810号明細書(この全内容及び開示は参照により組み込まれる)に記載されているように、水抽出混合物は、水、グリコール、グリセロール、高沸点アルコール、これらの混合物を含み得る。水抽出蒸留では、水は抽出剤と同じ温度であってもよい。水は、抽出剤と同じ温度の加温水又は加熱水として添加されてもよく、或いは気化した水(又は水蒸気)として添加されてもよい。一実施形態では、水抽出混合物84は、0~60℃、例えば10~50℃又は20~40℃の範囲内に制御又は維持された温度を有する。塔頂流231又はその留出物部分の流量に対する水抽出混合物244の流量の重量比[前者/後者]は、1:1000~10:1、例えば1:500~5:1、1:100~5:1、又は1:4~4:1の範囲であってよい。
第4の蒸留塔240では、例えばコンデンサー(間接コンデンサー)を通過することにより塔頂流241が冷却及び/又は凝縮され、凝縮液の第1の部分は蒸留塔240に戻されるか又は還流され、凝縮液の第2の部分は図1の反応器106に再循環される。塔底流242は液体流であり、塔底又は塔底近くなどの蒸留塔240の下側の部分で抜き出すことができ、これはアセトアルデヒド及び抽出剤を含む。アセトアルデヒドの質量組成が大きいため、液体流242はパージされるか、又は系の外側に排出される。液体流242の一部は、第2の蒸留塔202及び/又は第4の蒸留塔240のいずれかで抽出剤として使用することができる。塔頂流241は、液体流242中のアセトアルデヒドに対するヨウ化メチルの重量比よりも大きいアセトアルデヒドに対するヨウ化メチルの重量比を有する。
第4の蒸留塔240は、100~500kPa、例えば100~400kPa及び105~350kPaの塔頂圧力(絶対圧)を有し得る。塔頂流を効果的に分離するために、大気圧の第4の蒸留塔240は、塔頂で10~90℃、例えば15~80℃若しくは20~60℃の温度を有する、及び/又は70~170℃、例えば80~160℃若しくは90~150℃の塔底温度を有する。第4の蒸留塔240の段(棚段)数は、分離に十分な数とすることができ、例えば1~50段、例えば2~45段又は3~30段であってよい。第4の蒸留塔240の還流比(還流:留出物)は、1:20~20:1、例えば1:15~15:1、又は5:1~10:1である。
一実施形態では、第4の蒸留塔240は、例えば50段未満の理論段数(又は棚段)を有していてもよく、塔頂流241又はその凝縮された部分は、20~80重量%、例えば30~75重量%又は40~65重量%のヨウ化メチルの質量組成と、0.1~70重量%、例えば0.5~65重量%、又は1~20重量%のPRCの質量組成と、0.01~15重量%、例えば0.05~10重量%、又は0.1~10重量%の酢酸メチルの質量組成と、0~5重量%、例えば0~3重量%、又は0~1重量%の酢酸の質量組成と、0~10重量%、0~8重量%、又は0.01~5重量%の水の質量組成とを有し得る。塔頂流241の質量組成におけるジメチルエーテル及び/又はメタノールなどの他の有機物の質量組成は、少量、例えば1重量%以下又は0.5重量%以下であってよい。また、第4の蒸留塔240が50段未満の棚段を含む場合、塔底流242は、1~90重量%、例えば5~80重量%、又は10~50重量%のPRCの質量組成と、10~95重量%、15~90重量%、又は20~85重量%の水の質量組成と、0~2重量%、例えば0.01~1.5重量%又は0.05~1重量%のヨウ化メチルの質量組成と、0.01~15重量%、例えば0.05~10重量%、又は0.1~10重量%の酢酸メチルの質量組成と、0~5重量%、例えば0~3重量%、又は0~1重量%の酢酸の質量組成と、3重量%以下、例えば1重量%以下又は0.5重量%以下の有機物(ジメチルエーテル及び/又はメタノール)の質量組成とを有し得る。塔底液242がプロセスから排出及び/又はパージされる場合、アセトアルデヒド対ヨウ化メチルの質量比は、20:1~2000:1、例えば35:1~1800:1又は50:1~1000:1であってよい。
酢酸を製造するための連続プロセスにおいて、蒸気流又は液体流の両方のプロセス流は、上で詳しく説明されていないものの、不純物である様々な成分を含有し得る。これらの不純物は、副反応によって反応器内で形成され得る。そのような不純物を回避するためには、不純物の形成を抑制するか、又は不純物をパージして蓄積を防止することが望ましい。様々なプロセス流は、様々な量のギ酸、より高級な酸、及び/又はヨウ化水素を含み得る。
図2に示されている分離プロセスの様々な構成が存在し得る。これには、第3及び/又は第4の蒸留塔を補足又は交換する追加ユニットが含まれる。これにより、デカンター220からの液体流222が第3の蒸留塔230を迂回可能になり、第4の蒸留塔240に供給されるか、或いは1つ以上の抽出容器に供給され得る。したがって、必要に応じて、アセトアルデヒドは、ミキサー及びセトラーを備えた1つ以上の水抽出槽によって、又は第4の蒸留塔240によって、液体流222から水で抽出することができる。別の実施形態では、液体流222を精製するために第3及び/又は第4の蒸留塔を使用する必要がない場合がある。
図3は、アセトアルデヒド又はPRC除去システム200の別の実施形態を示している。一実施形態では、第2の蒸留塔202に導入されるライン201内の供給流組成物は、図1の凝縮された塔頂流からの下相を有する。これにより、ライン201の供給流組成物は、60~98重量%、例えば60~95重量%又は75~93重量%の量のC~C12アルキルヨウ化物(主にヨウ化メチルが占める)と、最大5重量%、例えば最大3重量%又は最大0.5重量%の量のPRC(アセトアルデヒド)と、最大3重量%、例えば最大1重量%又は最大0.8重量%の量の水とを含むことができる。さらに、供給ラインは少量のメタノールも含み、メタノールを調整する必要がある場合は、供給ラインが上相の一部を含むようにすることができる。上述したように、抽出剤は回収トレイ205の上方でライン203を介して添加される。頂部の全ての蒸気は回収され、凝縮され、第2の蒸留塔202に還流される。
この実施形態では、側流204’は、デカンター220に直接供給するために、-5℃から60℃まで凝縮又は冷却され、その結果、液-液分離して残渣流221(ヨウ化メチルを含む)と液体流222(アセトアルデヒドを含む)とを得るための図2の槽214がスキップされる。液体流222と残渣流221の質量流量比は、1:500~1:0.5(液体対残渣)、例えば1:400~1:1又は1:375~1:10であってよい。側流は、相分離に適した組成を有することができ、一実施形態では、側流204’の組成は、0.1~90重量%、例えば0.2~65重量%又は0.5~50重量%のPRCの質量組成と、0.5~95重量%、例えば1~95重量%、5~90重量%、又は10~60重量%のC~C12アルキルヨウ化物(ヨウ化メチル)の質量組成と、0.1~25重量%、例えば0.5~20重量%、又は0.5~10重量%の酢酸メチルの質量組成と、0~10重量%、例えば0.01~5重量%、又は0.05~1重量%の酢酸の質量組成と、0.1~20重量%、例えば0.5~15重量%、又は0.5~8重量%の水の質量組成と、0~2.5重量%%、例えば0.01~2.1重量%、又は0.05~2重量%のメタノールの質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~1.7重量%、又は0.05~1.5重量%のアセタールの質量組成と、0~1.2重量%、例えば0.01~0.8重量%、又は0.05~0.5重量%のジメチルエーテルの質量組成とを有することができる。図3に示されているプロセスは、大量のアセタールを蓄積せずにPRCをさらに濃縮する。
図3に示されているように、残渣流221は、第2の蒸留塔202からの下方流206と合わせられる。いくつかの実施形態では、残渣流221は、第2の蒸留塔202の下側部分に供給することができる。混和性溶媒としての酢酸は、第2の蒸留塔202の下側部分への供給ライン203’から供給され、いくつかの実施形態では、流れ203の供給位置よりも下方に供給することができる。図3に示されていないものの、第2の蒸留塔202に供給される混和性溶媒が存在していてもよい。
デカンター220から抜き出された後、液体流222は第3の蒸留塔230に供給される。相対的な流れが小さいにもかかわらず、液体流222は有用な量のアセトアルデヒドを含む。量に基づく液体流222中のアセトアルデヒドの質量組成は、残渣流221中の量の2倍超、例えば3倍超、又は4倍超であってもよい。上述したように、第3の蒸留塔230は、1~99重量%の量のアセトアルデヒドと0.1~30重量%の量のヨウ化メチルとを含む塔頂流231と、10重量%以上の量の主成分としての抽出剤と1重量%以下の量のヨウ化メチルとを含む塔底流232と、が得られるように機能する(ただし、各流れは不純物を含めて100重量%の合計量である)。塔底流232の一部は、抽出剤として使用することができ、第2の蒸留塔202に戻され得る。別の実施形態では、塔底流232はプロセスから除去又は排出することができる。
塔頂流231又はその留出物は、第2の混合物よりも多くのアセトアルデヒドを含み、且つ低いヨウ化メチルの質量組成を有する。一実施形態では、塔頂流231の組成は、45~99重量%、例えば50~99重量%又は60~98重量%のPRC(アセトアルデヒド)の質量組成と、0.1~30重量%、例えば0.5~25重量%、又は1~20重量%のC~C12アルキルヨウ化物(ヨウ化メチル)の質量組成と、0.1~25重量%、例えば0.5~20重量%、又は0.5~12重量%の酢酸メチルの質量組成と、0~5重量%、例えば0~1.5重量%、又は0~1重量%の酢酸の質量組成と、0~5重量%、例えば0~2.5重量%、又は0.01~2重量%の水の質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~2.1重量%、又は0.05~2重量%のメタノールの質量組成と、0~2.5重量%、例えば0.01~1.7重量%、又は0.05~1.5重量%のアセタールの質量組成と、0~1.2重量%、例えば0.01~0.8重量%、又は0.05~0.5重量%のジメチルエーテルの質量組成とを含む。一実施形態では、塔頂流231は、第3の蒸留塔230への供給流中の酢酸に対するヨウ化メチルの比率(重量に基づく)よりも高いこの比率を有する。これに加えて又は独立に、塔頂流231は、第3の蒸留塔230への供給流中の酢酸メチルに対するヨウ化メチルの比率(重量に基づく)よりも高いこの比率を有することができる。塔底流232は、85~99.99重量%、例えば90~99.98重量%、又は92~99重量%の水の質量組成を有し得る。一実施形態では、塔底流232はプロセスから除去され、或いはその少なくとも一部が抽出剤として第2の蒸留塔202に戻され得る。
前の図と同様に、図3は、塔頂流231又はその留出物部分を、水含有抽出混合物を使用する抽出蒸留として機能する第4の蒸留塔240に導入することによって処理する。上述したように、第4の蒸留塔240は、ヨウ化メチルを多く含む塔頂流241と、アセトアルデヒドと水である抽出剤とを多く含む水性の塔底流242と、とを得るために、ライン244を介して水抽出混合物を用いる方式で運転される。水性の塔底流242の全部などの少なくとも一部は、抽出混合物としてライン243を介して第2の蒸留塔202に再循環するか、又は戻ることができる。
後続の処理工程
上述したように、本明細書に記載のプロセスは、酢酸の品質(純度)を精製又は改善するための1つ以上の後続の精製工程を含む。これらは
いくつかの実施形態では、第1の蒸留塔140の側流144はさらに精製される。例えば、側流144を介して取り出された酢酸は、脱水塔180などでさらに蒸留することができる。脱水塔180は、側流144を分離して、主に水が含まれる塔頂流182と、主に酢酸が含まれる酢酸生成物流184、184’とを形成する。塔頂流182は、25重量%以上、例えば30重量%以上又は50重量%以上の量の水を含み得る。一実施形態では、塔頂流182は、50~75重量%の量の水を含み得る。酢酸メチル及びヨウ化メチルも側流から除去され、塔頂流182に濃縮される。酢酸生成物流184、184’は、好ましくは、酢酸を含むか、又は酢酸から本質的になる。好ましい実施形態では、酢酸生成物流184、184’は、酢酸を90重量%以上、例えば95重量%以上、又は98重量%以上の量で含む。さらに、好ましい実施形態では、酢酸生成物流184、184’は、0.2重量%以下の水、例えば0.15重量%以下の水を含む。
脱水塔180からの塔頂流182は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水などの反応成分を含んでいてもよく、これらの反応成分をプロセス内に保持することが好ましい。そのようにするために、塔頂流182は、例えば熱交換器によって凝縮することができ、また反応器106に再循環されることができる、及び/又は脱水塔180に還流することができる。一実施形態では、塔頂流182(又はその凝縮部分)は、脱水塔180に、0.2~15の還流比で還流され、ここでの還流比は、塔頂流還流量/蒸留された塔頂流の量である。凝縮した塔頂流182からオフガス成分が排出されてもよい。凝縮した低沸点の塔頂蒸気流と同様に、脱水塔180の凝縮した塔頂流も分離して水相と有機相を形成することができ、これらの相は、反応媒体中の量を維持するために必要に応じて再循環又は還流することができる。
酢酸生成物流は、好ましくは脱水塔からの下方流である。プロセスのいくつかの実施形態では、酢酸生成物流は、脱水塔の塔底流184、脱水塔の下方側流、又はそれらの組み合わせである。
上述したように、酢酸生成物流184、184’は生成物である酢酸を含む。好ましくは、酢酸生成物流184、184’は、側流(粗製酢酸流)144よりも多量の酢酸を有する。それにもかかわらず、酢酸生成物流は、少量の不純物、例えば1,1-ジメトキシエタンを含み得る。酢酸生成物流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成は、0.2重量%未満、例えば0.15重量%未満、0.1重量%未満、又は0.05重量%未満であってよい。酢酸生成物流は1,1-ジメトキシエタンを含む可能性があるため、酸化のリスクを低減するために、酢酸生成物流に空気又は酸素を含む流れを接触させないことが好ましい。
酢酸生成物流184、184’は、例えば高沸点成分を除去することにより、さらに処理されてもよい。いくつかの実施形態では、酢酸生成物流を重質留分除去塔(仕上げ塔)190などでさらに蒸留することによる高沸点成分。重質留分除去塔は、酢酸生成物流184を塔底流としての重質留分流194に分離する。ベントガス192はオフガスとして除去され、例えばスクラバーシステム内でさらに処理される。精製された酢酸生成物流196は、重質留分除去塔190の側流として取り出されてさらに処理を受けてもよい。
酢酸生成物流184’及び/又は精製された酢酸生成物流196は、商業的使用のために貯蔵又は輸送される前に、例えばイオン交換樹脂198を通すことによってさらに処理されてもよい。ハロゲン化物及び/又は腐食金属で汚染された例えば酢酸流などのカルボン酸流は、広範囲の運転条件下でイオン交換樹脂組成物と接触することができる。好ましくは、イオン交換樹脂組成物はガード床で提供される。汚染されたカルボン酸流を精製するためのガード床の使用は、例えば米国特許第4,615,806号明細書;同第5,653,853号明細書;同第5,731,252号明細書;及び同第6,225,498号明細書(これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)など、当該技術分野において十分に文書化されている。通常、汚染された液体カルボン酸流は、好ましくはガード床に配置されたイオン交換樹脂組成物と接触する。ハロゲン化物である汚染物質、例えばヨウ化物である汚染物質は、金属と反応して金属ヨウ化物を形成する。いくつかの実施形態では、ヨウ化物と結合し得る炭化水素部位、例えばメチル基が、カルボン酸をエステル化する場合がある。例えば、ヨウ化メチルで汚染された酢酸の場合、ヨウ化物除去の副生成物として酢酸メチルが生成し得る。このエステル化生成物の形成は、典型的には処理されたカルボン酸流に悪影響を及ぼさない。
一実施形態では、反応媒体中に酢酸リチウムが存在するため、望ましくないリチウムの持ち越しが生じる場合がある。理論に拘束されるものではないが、反応において酢酸リチウムに由来するリチウムが酢酸生成物に持ち越される可能性がある。リチウムは、金属交換された強酸性カチオン部位を有する置換を引き起こす可能性がある。金属交換された強酸カチオン部位を有する樹脂を使用する前に陽イオン交換体を使用してリチウムを除去することにより、リチウムによる金属交換部位からの銀、水銀、パラジウム、及び/又はロジウムの置換が低減又は除去される。一実施形態によれば、リチウム、好ましくはリチウムカチオンは、ヨウ化物が除去される前に除去されることで、金属イオン交換樹脂における置換が防止される。
重質留分及び他の仕上げ装置が存在しない場合に、リチウムは粗製酸生成物中に同伴されることも見出された。粗製酸生成物中の10wppbの非常に少量のリチウムであっても、金属交換樹脂の置換に問題が生じる可能性がある。酢酸プロセスの脱水塔、例えば一次精製トレインの最後の塔を出る酸含有粗製酸生成物中のリチウムは、10wppm以下、例えば5wppm以下、1wppm以下、500wppb以下、300wppb以下、又は100wppb以下のリチウムの量であってよい。範囲に関しては、粗製酸生成物は、0.01wppm~10wppm、例えば0.05wppm~5wppm又は0.05wppm~1wppmの量のリチウムを含み得る。粗製酸生成物を金属交換樹脂に導入する前に、酸形態の陽イオン交換体を利用することにより、かなりの量のリチウムを除去することができる。例えば、流れ中のリチウムの90重量%以上、例えば95重量%又は99重量%が陽イオン交換体によって除去され得る。したがって、酸形態の陽イオン交換体を出る流れは、50wppb以下、例えば10wppb以下、又は5wppb以下のリチウムを含み得る。このようなリチウムの除去により、金属交換樹脂の寿命を大幅に延ばすことができる。
酢酸精製トレイン内のガード床の構成は、広く変えることができる。例えばガード床は、脱水塔の後に構成することができる。追加的に又は代わりに、ガードは、重質留分除去塔(仕上げ塔)の後に構成されていてもよい。図1に示されている実施形態では、例えば、重質留分除去塔190の酢酸生成物流184’及び精製された酢酸生成物流196が抜き出され、ガード床198で処理される。好ましくは、ガード床は、酢酸生成物流の温度が低い、例えば120℃以下又は100℃以下である位置に構成される。上述した利点とは別に、低温で運転すると、高温における運転と比較して腐食が低減される。上述したように樹脂の全体の寿命を短くする可能性がある腐食金属汚染物質の形成は、低温での運転ほど少なくなる。また、運転温度が低いと腐食が少なくなるため、槽は有利なことに高価な耐腐食性金属製である必要がなく、例えば標準ステンレス鋼などの低級グレードの金属を使用することができる。その後、最終生成物流199がガード床198から取り出される。
一実施形態では、ガード床を通る流量は、1時間あたり0.1床容積(「BV/時間」)~50BV/時間、例えば1BV/時間~20BV/時間、又は6BV/時間~10BV/時間の範囲である。有機媒体の床容積は、樹脂床が占める体積に等しい媒体の容積である。1BV/時間の流量は、樹脂床が占める体積に等しい量の有機液体が1時間で樹脂床を通過することを意味する。
総ヨウ化物質量組成が高い精製された酢酸生成物が樹脂を消耗させることを回避するために、一実施形態では、精製された酢酸の総ヨウ化物質量組成が1wppm以下である場合に、塔底流127中の精製された酢酸生成物はガード床と接触する。総ヨウ化物の質量組成には、有機物源であるC~C14アルキルヨウ化物とヨウ化水素などの無機物源の両方由来のヨウ化物が含まれる。精製された酢酸組成物は、ガード床処理の結果として得られる。精製された酢酸組成物は、一実施形態では、100wppb以下、例えば90wppb以下、50wppb以下、又は25wppb以下のヨウ化物を含む。一実施形態では、精製された酢酸組成物は、1000wppb以下、例えば750wppb以下、500wppb以下、又は250wppb以下の腐食金属を含む。本発明の目的のためには、腐食金属には、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属が含まれる。範囲に関しては、精製された酢酸組成物は、0~100wppb、例えば1~50wppbのヨウ化物、及び/又は0~1000wppb、例えば1~500wppbの腐食金属を含み得る。別の実施形態では、ガード床は、粗製酢酸生成物から少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%又は少なくとも75重量%のヨウ化物を除去する。一実施形態では、ガード床は、粗製酢酸生成物から少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%又は少なくとも75重量%の腐食金属を除去する。
上述したように、オフガス流は、プロセスの様々な工程、例えば反応工程、相分離工程、及び/又は精製工程の間に排出され得る。これらの排気流、特に図1のライン108、112、170、182、及び192は、残留有機物及びヨウ化物を含み得る。これらの価値がある成分を回収するために、これらのラインは、例えば酢酸、メタノール、酢酸メチル、及びそれらの組み合わせなどの吸収溶媒(スクラビング溶媒)115を用いて運転されるスクラバー114に供給して酢酸メチル及びヨウ化メチルを除去することができる。適切なスクラバーは、米国特許第8,318,977号明細書に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。そこに記載されているように、オフガス処理工程は、例えば異なる吸収溶媒及び/又は異なる圧力を用いる複数の吸収工程を含んでいてもよい。例えば、一酸化炭素、酢酸メチル、及び/又はヨウ化メチルなどの残存する有用な成分をインラインで回収するために、ベント流を吸収塔に導入することができる。塔は、0.7atm(ゲージ圧)以上、例えば1atm以上又は2atm以上の圧力で運転することができる。吸収塔における分離及び回収は、水、酢酸、酢酸メチル、又はメタノールなどの吸収液を使用する湿式プロセスに従って行うことができる。粗製酢酸生成物が吸収溶媒115として使用されてもよい。この湿式プロセスにより、気体部分に存在する実質的に全ての残留ヨウ化メチルが除去され、吸収液への吸収によってヨウ化メチルが回収される。ベントパージ(気体成分)116は、吸収塔の頂部から除去(拡散)することができる。一方で、第2のベント流は、一酸化炭素、酢酸メチル、及び/又はヨウ化メチルなどの残りの有用な成分をインラインで回収するために、同じ又は別の圧力吸収塔(図示せず)に進むことができる。第2のベント流中のヨウ化メチル、ヨウ化水素、及び他の凝縮可能な気体成分は、同じ又は別の吸収塔内の吸収液(吸収剤)によって吸収することができる。第2のベントパージ(気体成分)は、第1の圧力で第1の吸収溶媒を用いて吸収塔から、及び/又は第1の圧力よりも低い第2の圧力で第2の吸収溶媒を用いて吸収塔から、除去(拡散)することができる。
本明細書に記載の蒸留塔は、従来の蒸留塔、例えば棚段塔、充填塔など、及びそれらの組み合わせであってもよい。棚段塔としては、多孔板塔、バブルキャップ塔、キッテルトレイ塔、ユニフラックストレイ、又はリップルトレイ塔を挙げることができる。棚段塔については、棚段の理論段数は特に限定されず、分離される成分の種に応じて、最大80段、例えば2~80段、5~60段、5~50段、より好ましくは7~35段などが含まれ得る。蒸留塔は、異なる蒸留装置の組み合わせを含んでいてもよい。除外されない限り、バブルキャップ塔と多孔板塔との組み合わせ、及び多孔板塔と充填塔との組み合わせが使用されてもよい。
塔、バルブ、コンデンサー、レシーバー、ポンプ、リボイラー、及び内部構造物、並びに蒸留システムにそれぞれ連通する様々なラインなどの、蒸留システムに関連する各部材又はユニットの材料は、ガラス、金属、セラミック、又はそれらの組み合わせなどの適切な材料から製造することができ、特定のものに特に限定されない。本発明によれば、前述した蒸留システム及び様々なラインの材料は、遷移金属、又は鉄合金などの遷移金属系合金、例えばステンレス鋼、ニッケル若しくはニッケル合金、ジルコニウム若しくはそのジルコニウム合金、チタン若しくはそのチタン合金、又はアルミニウム合金である。適切な鉄系合金には、主成分として鉄を含むもの、例えばクロム、ニッケル、モリブデンなども含むステンレス鋼が含まれる。適切なニッケル系合金には、主成分としてのニッケルと、クロム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、マンガンなどのうちの1つ以上とを含むもの、例えばHASTELLOY(商標)及びINCONEL(商標)が含まれる。耐腐食性金属は、蒸留システム及び様々なラインの材料として特に適している場合がある。
初めに、任意のそのような実際の実施形態の開発において、システム関連及びビジネス関連の制約への準拠など、開発者の具体的な目標を達成するために、実施ごとに異なるであろう多数の実施固有の決定を行わなければならないことに留意すべきである。さらに、本明細書に開示の方法は、当該技術分野において平均的な又は十分な技術を有する者に明らかなように、引用又は具体的に言及されているもの以外の構成要素を含むこともできる。
上で示した図面及び文章から明らかなように、様々な実施形態が想定される。
本発明は、以降の非限定的な実施例を踏まえて、より理解されるであろう。
本発明は、以降の非限定的な実施例を踏まえて、より理解されるであろう。
実施例1では、半経験的シミュレーターを使用して、1,1-ジメトキシエタンの形成に対するメタノールの質量組成の影響を調査した。試験では、実験用の第2の蒸留塔の下方流(残渣流)中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成に対するメタノールの質量組成の影響を評価した。これらの試験では、レシーバーからの下相の3つの異なるサンプルを、第2の蒸留工程の第2の蒸留塔に供給した。第2の蒸留塔は、37℃の塔頂温度、44℃の塔底温度、及び1.01atmの塔頂圧力を有していた。抽出蒸留は45個の棚段を有していた。抽出剤は含水流であり、抽出剤は一番上の棚段に供給された。抽出剤はメタノールを含んでおらず、最初の混合物以外他のメタノール源は抽出蒸留塔に供給されなかった。抽出剤の温度は20℃であった。これらの実施例の結果を表3に示す。
Figure 2023528451000004
各実験は、1より大きい水に対するヨウ化メチルの質量比を有する入口の第1の混合物を用いて運転された。さらに、残渣中の液体流も、例えば424(実施例1)、175(実施例2)、及び782(実施例3)など、1より大きい水に対するヨウ化メチルの質量比を有する。
実施例1の結果から、仕込み混合物のメタノールの質量組成が低いほど、第2の蒸留塔の塔底流(残渣流)中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が減少することが明らかである。
本発明を詳細に説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲内の変更は、当業者には容易に明らかになるであろう。前述した説明、当該技術分野における関連知識、並びに「背景技術」及び「発明を実施するための形態」に関連して上で説明した参考文献を考慮して、それらの開示は参照により全て本明細書に組み込まれる。さらに、本発明の態様、並びに以下に及び/又は添付の特許請求の範囲に記載されている様々な実施形態及び様々な特徴の一部は、全体として又は部分的に組み合わせるか交換できることが理解されるべきである。様々な実施形態の前述した説明において、別の実施形態に言及する実施形態は、当業者に理解されるように、他の実施形態と適切に組み合わせることができる。加えて、当業者は、前述した説明が例示にすぎず、本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
実施形態
以下で使用される一連の実施形態へのあらゆる言及は、それらの実施形態のそれぞれへの言及として選言的に理解されるべきである(例えば「実施形態1~4」は、「実施形態1、2、3、又は4」であるとして理解されるべきである)。
実施形態1は、(a)金属触媒とイオン性金属ヨウ化物とヨウ化メチルとを含む反応系、酢酸、酢酸メチル、及び水の存在下、反応器内でメタノールを一酸化炭素と連続的に反応させる反応工程;(b)反応工程で得られた反応混合物を、加熱あり又はなしで蒸気流と液状残渣流とに分離する蒸発工程;(c)蒸気流の少なくとも一部を第1の蒸留塔で蒸留して第1の塔頂流と側流とを形成する第1の蒸留工程であって、第1の塔頂流が水、ヨウ化メチル、及び/又はアセトアルデヒドを含み、側流が酢酸を含む工程;(d)第1の塔頂流を1つ以上のコンデンサーで凝縮し、凝縮液をレシーバーで回収し、凝縮液を上相と下相とに分離する相分離工程;(e)下相の少なくとも一部を第2の蒸留塔で蒸留して、アセトアルデヒドを含む第2の混合物を形成する第2の蒸留工程;(f)第2の混合物をアセトアルデヒド流と第1の戻り流とに分離するアセトアルデヒド分離工程;並びに以下の(g)~(k):(g)側流を精製して酢酸生成物流を得る精製工程;(h)プロセスからの1つ以上のオフガス流を吸収溶媒で吸収し、一酸化炭素流と第2の戻り流とを形成するオフガス処理工程;(i)酢酸生成物流から高沸点成分を除去する高沸点物質除去工程;(j)酢酸生成物流をイオン交換樹脂と接触させて、酢酸生成物流からヨウ素化合物を分離するヨウ素除去工程;並びに(k)アセトアルデヒド流からアセトアルデヒドを抽出して、抽出物とラフィネートとを形成する抽出工程であって、抽出物がアセトアルデヒドを含み、ラフィネートがヨウ化メチルを含む工程;からなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む酢酸の製造方法であって、方法の液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が0.2重量%以下に制御される、方法である。
実施形態2は、液体流が、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水からなる群から選択される少なくとも1つを含む、実施形態1に記載の方法である。
実施形態3は、液体流が、1より大きい水に対するヨウ化メチルの質量比を有する、実施形態1~2のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態4は、空気又は酸素を含む流れが液体流と接触しない、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態5は、第1の塔頂流中のメタノールの質量組成を制御することによって液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が0.2重量%以下に制御される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態6は、液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が、第1の蒸留塔及び/又は第2の蒸留塔における滞留時間を1分以下に制御することによって0.2重量%以下に制御される、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態7は、液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が0.01~0.2重量%に制御される、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態8は、液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が0.1重量%以下に制御される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態9は、液体流が、側流、塔底流、凝縮液、上相、下相、第2の混合物、及び/又は酢酸生成物流から選択される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態10は、下相中の水に対するヨウ化メチルの重量比が1より大きい、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態11は、第2の混合物が第2の蒸留塔の塔頂流及び/又はサイドカット流である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態12は、上相が0.5~20の還流比で第1の蒸留塔に還流され、還流比は還流された上相の量/蒸留された上相の量である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態13は、第2の蒸留塔の塔頂流が0.2~15の還流比で第2の蒸留塔に還流され、還流比は還流された塔頂流の量/蒸留された塔頂流の量である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態14は、第2の混合物が2重量%以下のメタノールを含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態15は、精製工程が、以下の工程(l)~(n):(l)側流を脱水塔に供給して、塔頂流と酢酸生成物を含む塔底流とを生成する工程;(m)側流を脱水塔に供給して、塔頂流と酢酸生成物を含む下方サイドカット流とを生成する工程;(n)側流を脱水塔に供給して、25重量%以上の量の水を含む塔頂流と0.2重量%以下の量の水を含む下方流とを生成する工程;からなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態16は、塔頂流が0.2~15の還流比で脱水塔に還流され、還流比は塔頂流の還流量/蒸留された塔頂流の量である、実施形態15に記載の方法である。
実施形態17は、オフガス処理工程が、以下の工程(o)~(q):(o)第1の圧力で、酢酸、メタノール、酢酸メチル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の吸収溶媒でオフガス流を吸収する工程;(p)第2の圧力で、酢酸、メタノール、酢酸メチル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の吸収溶媒でオフガス流を吸収する工程であって、第2の圧力が第1の圧力よりも低い工程;並びに(q)工程(o)及び/又は(p)で吸収した気体成分を拡散する工程;からなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態18は、高沸点成分が、プロピオン酸、酢酸ブチル、2-エチルクロトンアルデヒド、又はそれらの混合物を含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態19は、水素含有流を反応器に導入することによって反応器内の水素分圧を0.3~2atmに維持することをさらに含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態20は、アセトアルデヒド分離工程が1つ以上の抽出器及び/又は1つ以上の追加の蒸留塔において第2の混合物を分離することを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法である。

Claims (20)

  1. (a)金属触媒とイオン性金属ヨウ化物とヨウ化メチルとを含む反応系、酢酸、酢酸メチル、及び水の存在下、反応器内でメタノールを一酸化炭素と連続的に反応させる反応工程;
    (b)前記反応工程で得られた反応混合物を、加熱あり又はなしで蒸気流と液状残渣流とに分離する蒸発工程;
    (c)前記蒸気流の少なくとも一部を第1の蒸留塔で蒸留して第1の塔頂流と側流とを形成する第1の蒸留工程であって、前記第1の塔頂流が水、ヨウ化メチル、及び/又はアセトアルデヒドを含み、前記側流が酢酸を含む第1の蒸留工程;
    (d)前記第1の塔頂流を1つ以上のコンデンサーで凝縮し、凝縮液をレシーバーで回収し、前記凝縮液を上相と下相とに分離する相分離工程;
    (e)前記下相の少なくとも一部を第2の蒸留塔で蒸留して、アセトアルデヒドを含む第2の混合物を形成する第2の蒸留工程;
    (f)前記第2の混合物をアセトアルデヒド流と第1の戻り流とに分離するアセトアルデヒド分離工程;
    並びに以下の(g)~(k):
    (g)前記側流を精製して酢酸生成物流を得る精製工程;
    (h)プロセスからの1つ以上のオフガス流を吸収溶媒で吸収し、一酸化炭素流と第2の戻り流とを形成するオフガス処理工程;
    (i)前記酢酸生成物流から高沸点成分を除去する高沸点物質除去工程;
    (j)前記酢酸生成物流をイオン交換樹脂と接触させて、前記酢酸生成物流からヨウ素化合物を分離するヨウ素除去工程;並びに
    (k)前記アセトアルデヒド流からアセトアルデヒドを抽出して、抽出物とラフィネートとを形成する抽出工程であって、前記抽出物がアセトアルデヒドを含み、前記ラフィネートがヨウ化メチルを含む工程;
    からなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む酢酸の製造方法であって、前記方法の液体流中の1,1-ジメトキシエタンの質量組成が0.2重量%以下に制御される、方法。
  2. 前記液体流が、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記液体流が、1より大きい水に対するヨウ化メチルの質量比を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 空気又は酸素を含む流れが前記液体流と接触しない、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第1の塔頂流中のメタノールの質量組成を制御することによって前記液体流中の1,1-ジメトキシエタンの前記質量組成が0.2重量%以下に制御される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記液体流中の1,1-ジメトキシエタンの前記質量組成が、前記第1の蒸留塔及び/又は前記第2の蒸留塔における滞留時間を1分以下に制御することによって0.2重量%以下に制御される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記液体流中の前記1,1-ジメトキシエタンの前記質量組成が0.01~0.2重量%に制御される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記液体流中の前記1,1-ジメトキシエタンの前記質量組成が0.1重量%以下に制御される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記液体流が、前記側流、塔底流、前記凝縮液、前記上相、前記下相、前記第2の混合物、及び/又は前記酢酸生成物流から選択される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記下相中の水に対するヨウ化メチルの重量比が1より大きい、請求項1に記載の方法。
  11. 前記第2の混合物が前記第2の蒸留塔の塔頂流及び/又はサイドカット流である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記上相が0.5~20の還流比で前記第1の蒸留塔に還流され、前記還流比は還流された前記上相の量/蒸留された上相の量である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記第2の蒸留塔の塔頂流が0.2~15の還流比で前記第2の蒸留塔に還流され、前記還流比は還流された前記塔頂流の量/蒸留された塔頂流の量である、請求項1に記載の方法。
  14. 前記第2の混合物が2重量%以下のメタノールを含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記精製工程が、以下の工程(l)~(n):
    (l)前記側流を脱水塔に供給して、塔頂流と前記酢酸生成物を含む塔底流とを生成する工程;
    (m)前記側流を脱水塔に供給して、塔頂流と前記酢酸生成物を含む下方サイドカット流とを生成する工程;
    (n)前記側流を脱水塔に供給して、25重量%以上の量の水を含む塔頂流と0.2重量%以下の量の水を含む下方流とを生成する工程;
    からなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、請求項1に記載の方法。
  16. 前記塔頂流が0.2~15の還流比で前記脱水塔に還流され、前記還流比は前記塔頂流の還流量/蒸留された前記塔頂流の量である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記オフガス処理工程が、以下の工程(o)~(q):
    (o)第1の圧力で、酢酸、メタノール、酢酸メチル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の吸収溶媒で前記オフガス流を吸収する工程;
    (p)第2の圧力で、酢酸、メタノール、酢酸メチル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の吸収溶媒で前記オフガス流を吸収する工程であって、前記第2の圧力が前記第1の圧力よりも低い工程;並びに
    (q)前記工程(o)及び/又は(p)で吸収した気体成分を拡散する工程;
    からなる群から選択される少なくとも1つの工程を含む、請求項1に記載の方法。
  18. 前記高沸点成分が、プロピオン酸、酢酸ブチル、2-エチルクロトンアルデヒド、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
  19. 水素含有流を前記反応器に導入することによって前記反応器内の水素分圧を0.3~2atmに維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  20. 前記アセトアルデヒド分離工程が1つ以上の抽出器及び/又は1つ以上の追加の蒸留塔において前記第2の混合物を分離することを含む、請求項1に記載の方法。
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