JP2023520610A - 真核細胞におけるdna断片の維持、手法、および使用 - Google Patents

真核細胞におけるdna断片の維持、手法、および使用 Download PDF

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Abstract

Figure 2023520610000001
真核細胞へのDNA断片の導入は、これらのDNA断片を破壊して機能を低下させる能力を有するDNaseのような細胞酵素にDNA断片を曝露させる。本発明は、細胞にトランスフェクトされた直鎖状DNA断片の酵素的破壊を低下させる手段および方法を提供する。この目的のために、DNA断片に結合し、直鎖状DNA断片の酵素的破壊を防ぐタンパク質の遺伝子を有する発現コンストラクトを設計する。ウイルス遺伝子治療ベクターの産生を増強するためのパッケージング細胞の改変におけるこれらの遺伝子および発現ベクターの使用、ならびにこれらのパッケージング細胞を作製する方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイオテクノロジー、分子生物学、および細胞生物学の分野に関し、より詳細には、真核細胞に導入されたDNAコンストラクトの細胞DNaseの活性からの保護;ウイルスベクターの産生を増強するための真核細胞の改変;より詳細には、パッケージング細胞の改変および組換えウイルスベクターのバッチを生成するためのその使用に関する。
遺伝物質をヒト細胞に輸送するために最も一般的に使用されるベクターには、アデノウイルス(Ad)がある。
アデノウイルスは多数の様々な種から単離されており、100を超える様々な血清型が報告されている。アデノウイルスゲノムの全体的な構成は、特定の機能が同様に配置されるように、血清型間で保存されている。アデノウイルスのゲノムは直鎖状の、セグメント化されていない二本鎖DNAで、約34~43キロ塩基対(kbp)である(サイズは群によって異なる)。アデノウイルスゲノムは、アデノウイルスの複製に不可欠な(左右)逆位末端反復配列(LITRおよびRITR)が両側に隣接している。ウイルスの感染サイクルは、初期段階および後期段階に分けられる。初期段階では、ウイルスは被覆されておらず、ゲノムが核に輸送された後で初期遺伝子領域E1-E4の転写が活性化される。
初期領域1(E1)は、E1AおよびE1Bと称される2つの転写領域を含有する。E1A領域(時々、最初期領域と呼ばれる)は、宿主細胞周期の改変およびその他のウイルス転写領域の活性化に関与する2つの主要なタンパク質をコードする。E1B領域は、19Kおよび55Kという2つの主要なタンパク質をコードしており、これらは異なる経路を介して、E1Aタンパク質の活性によって生じるアポトーシスの誘導を防ぐ。さらに、E1B-55Kタンパク質は、後期にウイルスmRNAを選択的に輸送し、宿主タンパク質発現を阻害するために必要である。初期領域2(E2)はまた、いずれもウイルスゲノムの複製に関与する3つのタンパク質、DNA結合タンパク質、ウイルスDNAポリメラーゼ(Pol)、および前末端タンパク質(Tp)を一緒にコードするE2A領域およびE2B領域に分けられる。E3領域は、in vitroにおける複製には必要ないが、ウイルス感染に対する宿主の防御機構を崩壊させるいくつかのタンパク質をコードしている。E4領域は、ウイルスmRNAのスプライシングおよび輸送、宿主細胞のmRNA輸送、ウイルスおよび細胞の転写および形質転換に関するいくつかの異なる機能に関与する少なくとも6つのタンパク質をコードする。
ウイルスカプシドの形成およびウイルスゲノムのパッケージングに必要な後期タンパク質は全て、ウイルスDNA複製の開始後に完全に活性化する主要後期転写単位(MLTU)から生成される。ディファレンシャルスプライシングおよびポリアデニル化の複雑な方法によって、3つの部分からなるリーダー配列を共有する15個を超えるmRNA種が生じる。初期タンパク質E1B-55KおよびE4-0rf3およびOrf6は、後期ウイルスmRNAのプロセシングおよび核からの輸送の調節に極めて重要な役割を果たす。
新たに形成されたウイルスゲノムのあらかじめ形成されたカプシドへのパッケージングは、アデノウイルス5ゲノムの左端に位置するウイルスパッケージングシグナル(Ψ)との相互作用を介して、少なくとも2つのアデノウイルスタンパク質、後期タンパク質52/55K、および中間体タンパク質IVa2によって媒介される。2番目の中間体タンパク質piXはカプシドの一部であり、ヘキソン-ヘキソン相互作用を安定化することが知られている。さらに、piXは、E1Aプロモーターおよび主要後期プロモーター(MLP)のようなTATA含有プロモーターをトランス活性化することが記載されている。
アデノウイルスベースのベクターおよびアデノウイルスパッケージング細胞株
アデノウイルスベースのベクターは、様々な細胞型への高レベル遺伝子導入を達成するための手段として、ワクチン輸送ビヒクルとして、遺伝子療法のために同種異系組織移植片に遺伝子導入するため、ならびに普通ならば高効率でトランスフェクトすることが困難な細胞株および組織で組換えタンパク質を発現させるために使用されている。アデノウイルスベースのベクターをパッケージングするために現在知られている系は、宿主細胞およびアデノウイルス後期遺伝子の原料で構成されている。
ヒト胚性腎臓293(HEK293)、QBI、およびPERC6細胞などの現在知られている宿主細胞株は、パッケージングに必要なアデノウイルス後期(構造)遺伝子ではなく、初期(非構造)アデノウイルス(Ad)遺伝子のみを発現する。アデノウイルス後期遺伝子は、アデノウイルスベクター自体、ヘルパーアデノウイルス、または発現プラスミドのいずれかによってあらかじめ提供されている。
「ガットレス」アデノウイルスベクター、すなわちウイルスタンパク質をコードするDNA配列を全て欠いているベクターが開発されている。ガットレスアデノウイルスベクターは、ウイルスゲノムの末端(LITRおよびRITR)、治療用遺伝子配列、および通常のパッケージング認識シグナル(Ψ)のみを含有するため、このゲノムを選択的にパッケージングして細胞から放出することができる。
ヘルパーウイルス依存性アデノウイルスベクター
ガットレスアデノウイルスベクターを増殖させるためには、アデノウイルス遺伝子パッケージング認識シグナル(Ψ)を含有するヘルパーアデノウイルス(ヘルパー)が必要である。このヘルパー依存系は、約32kbまでの外来DNAの導入が可能であるが、ヘルパーウイルスはガットレスアデノウイルスベクターの調製物を汚染する。この複製可能な汚染ヘルパーウイルスは、複製可能なウイルスのため、およびヘルパーウイルス中のアデノウイルス遺伝子に対する宿主の免疫応答のために、遺伝子療法、ワクチン、および移植への適用に深刻な問題をもたらす。このヘルパー依存性ベクター系におけるヘルパー汚染を低減するための1つの手法は、パッケージング認識シグナル(Ψ)に条件付き遺伝子欠陥を導入して、そのDNAがビリオンにパッケージングされる可能性を低くすることであった。このような系で産生されたガットレスアデノウイルスベクターは、依然としてヘルパーウイルスで著しく汚染される。ヘルパーウイルスに汚染されることなくガットレスアデノウイルス遺伝子導入ベクターを産生することができると、毒性はさらに低下し、動物での遺伝子発現が延長される。
ヘルパーウイルス非依存性アデノウイルスベクター
ガットレスアデノウイルスベクターの産生に対するより最近の手法では、アデノウイルス由来のベクターゲノムの複製およびパッケージングに必要なアデノウイルス遺伝子は、少なくともパッケージング認識シグナル(Ψ)およびITRの1つが欠失した複製欠損環状発現プラスミドによってもたらされる。この完全に欠失したヘルパーウイルス非依存性アデノウイルス(fdAd)ベクターのプラットフォームは、2つの遺伝子コンストラクト、fdAdベクターゲノムモジュールおよびfdAdパッケージング発現プラスミド、ならびにパッケージング細胞から構成されている。
fdAdベクターモジュールは、最大33kbの導入遺伝子コンストラクトを収容するように設計されている。それらは、選択された導入遺伝子、すなわち導入遺伝子または導入遺伝子コンストラクトと一緒に左右のITRおよびパッケージングシグナル(Ψ)を有し、最適なパッケージングのベクターゲノムサイズを提供する必要がある場合は、サイズ補正スタッファー配列を有する。
fdAdパッケージングプラスミドは、異なる血清型、種、または動物型のアデノウイルスの必要な後期および初期アデノウイルス遺伝子を提供するように設計されている。それらは、アデノウイルス後期遺伝子、L1、L2、L3、L4、L5を、初期遺伝子E2およびE4と一緒にトランスで有しており、パッケージングシグナル(Ψ)および少なくとも1つのITRが欠失している。
ヘルパーウイルス非依存性アデノウイルスベクターのパッケージング
fdAdベクターモジュールは、fdAdパッケージングプラスミドの助けを借りて、アデノウイルスカプシドにパッケージングされる。fdhiAdベクターモジュールをカプシド化するために、fdhiAdベクターゲノムは酵素切断によってそのプラスミドから放出される。図1に示したように、直鎖状ベクターゲノムが生成される。導入遺伝子、すなわち導入遺伝子または導入遺伝子コンストラクトには、場合によっては不活性なスタッファーDNA配列と一緒に、パッケージング認識シグナル(Ψ)ならびにITR、LITRおよびRITRの両方が隣接している。
放出された直鎖状fdAdベクターゲノムモジュールDNAは、パッケージング発現プラスミドのDNAと一緒に、真核生物パッケージング細胞にトランスフェクトされる(図2)。次に、fdhiAdベクターモジュールDNAがパッケージング細胞中で複製され、パッケージング発現プラスミドによってコードされたアデノウイルスカプシドにパッケージングされる。fdAdベクターゲノムを有する組み立てられたアデノウイルスベクターを収集し、使用することができる。パッケージング発現プラスミドはパッケージングされていない。
ヘルパーウイルス非依存性アデノウイルスベクターのためのパッケージング細胞
この手法によるfdAdベクターゲノムのパッケージングは、HEK293由来細胞またはアデノウイルスE1遺伝子などの初期アデノウイルス遺伝子を発現するように操作されたその他の細胞などのパッケージング細胞に直鎖状のDNAを導入することを包含する。パッケージング細胞では、fdhiAdベクターゲノムの直鎖状DNAが細胞のDNaseに曝露される。これらのDNaseは、直鎖状DNA断片の遊離末端を消化することができる細胞ヌクレアーゼの可能性がある。この酵素消化によって、fdAdベクターゲノムのパッケージ可能な量が低下するため、ベクターのパッケージングおよび産生の効率が低下する。さらに、直鎖状DNA断片は哺乳動物細胞に対して毒性があり、細胞周期の停止および/または細胞死を引き起こす可能性がある。
直鎖状DNA断片のある特定の末端配列が、ある特定の細菌および真核細胞のエキソヌクレアーゼの活性から直鎖状二本鎖DNAを保護することができることが実証されている。染色体の末端テロメア配列は、DNA損傷応答への構成的曝露から末端をマスクする核タンパク質キャップによって保護される。
ある特定の直鎖状タンパク質に結合することがわかっているその他のタンパク質。アデノウイルスの場合、末端タンパク質(Tp)前駆体は、DNA鎖のITRのヌクレオチドに共有結合的に結合する。これはウイルスDNAの5’末端に共有結合的に結合したままであり、ビリオンの成熟中に成熟したTpに切断される。アデノウイルスDNAポリメラーゼと一緒に、Tpはアデノウイルスゲノムの複製を担っている。ファージTpはまた、DNA複製を刺激するウイルスゲノムに共有結合的に結合することができる。どちらの場合も、TpはDNAエキソヌクレアーゼが直鎖状のDNAを酵素的に破壊するのを防ぐ。
ベクターパッケージング中に直鎖状fdAdベクターゲノムを保護するために、転写活性化のためにアデノウイルスE1遺伝子を有するHEK293細胞を、末端タンパク質(Tp)およびDNAポリメラーゼ(Pol)をコードするアデノウイルス遺伝子を発現するプラスミドを安定的にトランスフェクションすることによって改変した。この目的のために、アデノウイルス5由来のTpおよびPol遺伝子を双方向プロモーターSurfeit1(Surf1)の制御下に有する真核生物発現ベクターを構築した。ベクターの設計および配列を図3に示す。
遺伝子療法およびタンパク質発現のためのアデノウイルスベクター
遺伝子送達または遺伝子療法は、後天性および遺伝性疾患の治療に有望な方法である。異常な発現が生命を脅かすヒト疾患に関連する数々の遺伝子が続々とクローン化され、同定されている。このようなクローン化された遺伝子をヒトで発現させる能力は、最終的に、多くの重要なヒト疾患、現在治療法が不十分であるか、または存在していない疾患の予防および/または治療を可能にするだろう。
アデノウイルスに対する免疫の問題を克服しようとする2つの進歩は、「ガットレス」(完全に欠失した)アデノウイルスベクターの使用および希少なアデノウイルス血清型の使用、ならびにアデノウイルスヘキソンのシュードタイピングである。「ガットレス」アデノウイルスベクターを使用すると、治療用ベクターからL3遺伝子が除去されるが、これらの「ガットレス」ウイルスの増殖は、まだL3遺伝子を含有するヘルパーアデノウイルスの存在を必要とする可能性がある。その上、これらのヘルパーウイルスは、「ガットレス」アデノウイルスベクターの治療用製剤において重大な汚染物である。
希少なアデノウイルス血清型または動物アデノウイルスを使用すると、所与のアデノウイルスにこれまで曝露されたことがない一部の患者における既存の免疫の問題を回避することができる。それでも、アデノウイルスのヘキソンタンパク質は免疫原性が高いため、希少な血清型をベースにして最小限改変したアデノウイルス遺伝子送達ベクターによる治療は、ヒトまたは動物の血清型または種のアデノウイルスベクターのその後の使用に干渉する中和抗体などの免疫反応を誘導する。この免疫反応は、炎症反応を誘導し、ベクターの治療機能に干渉する可能性がある。
ワクチンベクターとしてのアデノウイルス
アデノウイルスは、遺伝子置換療法の手段から本物のワクチン輸送ビヒクルへと移行している。それらは、哺乳動物宿主で自然免疫応答および適応免疫応答の両方を誘導するので、魅力的なワクチンベクターである。現在、アデノウイルスベクターは、マラリアからHIV-1に至るまでの多数の感染性病原体のサブユニットワクチン系として試験されている。さらに、多数の腫瘍関連抗原に対するワクチンとしても研究されている。これまでのところ、ほとんどの取り組みは、ヒトのワクチンとして最終的に使用するために、ヒトまたはサルの血清型のアデノウイルスに由来するベクターに焦点が当てられてきた一方、ウシ、ブタ、およびヒツジのアデノウイルスは獣医学での使用が研究されてきた。
アデノウイルス遺伝子発現の動力学によって、真のアデノウイルスパッケージング細胞株の産生が困難になった。アデノウイルス初期機能転写領域(E1A)遺伝子の発現は、アデノウイルス後期遺伝子(構造的、免疫原性遺伝子)の発現を誘導し、その結果細胞を殺滅する。したがって、アデノウイルス初期遺伝子を構成的に発現する宿主細胞は、「野生型」アデノウイルス後期シストロンを有することができない。アデノウイルスベクターを増殖させるこれまでの宿主細胞は、「パッケージング」細胞ではない。具体的には、293、QBI、およびPER.C6細胞は、パッケージングに必要なアデノウイルス後期遺伝子ではなく、初期(非構造)アデノウイルス遺伝子のみを発現する。アデノウイルス後期遺伝子はあらかじめ、アデノウイルスベクター自体またはヘルパーアデノウイルスのいずれかによって提供されている。アデノウイルスベクターまたはヘルパーアデノウイルスにおけるこれらのアデノウイルス後期遺伝子は、アデノウイルスベクターに対する炎症反応に関与し;アデノウイルスベースのワクチンに対する免疫応答に干渉し;同種異系移植適用においてアデノウイルスに対する免疫非応答性を誘導し、アデノウイルスベースのタンパク質発現における汚染に関与する。さらに、それらは占有する。
本発明は、真核細胞におけるDNA安定性の問題に取り組み、操作された細胞系、ならびに真核細胞内でのDNAの直鎖状DNA断片の保護およびアデノウイルスベースの遺伝子導入ベクターの産生のためのその使用を提供する。
本明細書で例示した態様によれば、アデノウイルス初期領域1(E1)コード配列ならびにいずれも細胞ゲノムに安定的に組み込まれるか、または真核生物発現ベクターの助けを借りて細胞内で一過性に発現するアデノウイルスTpおよびPolを有する、アデノウイルスベクターの複製を許容するように操作された真核生物パッケージング細胞株が提供される。
本明細書で例示したその他の態様によれば、アデノウイルスTpおよび/またはアデノウイルスPolの遺伝子の発現を駆動する真核生物発現ベクターの系が提供され、これらは細胞ゲノムに安定的に組み込まれるか、または真核細胞で一過性に発現する。
本明細書で例示した態様によれば、直鎖状DNA断片が、真核細胞内に見出される細胞内DNaseから保護されるように、アデノウイルスTpおよび/またはPolが結合できる直鎖状DNA断片を操作するための設計が提供される。
本明細書で例示した態様によれば、(a)アデノウイルスE1、Tpおよび/またはPolを発現するように操作されたアデノウイルスパッケージング細胞;(b)fdAdベクターゲノムモデル;および(c)パッケージング発現プラスミドを含む系が提供され、fdAdベクターゲノムおよびパッケージングコンストラクトがアデノウイルスパッケージング細胞にトランスフェクトされ、ヘルパーアデノウイルスに非依存的にfdAdベクターゲノムのカプシド形成が引き起こされる。
本明細書で例示した態様によれば、アデノウイルスE1、Tpおよび/Polを発現するように操作され、E1欠失、非完全欠失アデノウイルスベクターなどの最小限に改変されたパッケージングを増強するアデノウイルスパッケージング細胞が提供される。
その他の目的および特徴の一部は明らかであり、一部を以下で指摘する。
目的の様々な遺伝子の収容を可能にするマルチプルクローニング部位(MCS)を含む制限酵素部位と一緒に、fdAdベクターコンストラクトの設計を示した図である。 fdAdベクターゲノム(GreVacモジュール)をアデノウイルスカプシドにパッケージングする方法を記載した図である。線状化されたfdAdベクターゲノムは、パッケージング発現プラスミド(pPaCh)と共にパッケージング細胞(宿主細胞)にコトランスフェクトされ、そこでfdAdベクターゲノムは複製され、パッケージング発現プラスミドにコードされたアデノウイルスカプシドにパッケージングされる。 アデノウイルス末端タンパク質およびDNAポリメラーゼの発現を駆動するように設計された真核生物発現ベクターを示した図である。TpおよびPolの遺伝子の発現は、ヒト双方向Surfeit1プロモーターから駆動される。 緑色蛍光タンパク質(GFP)を有するfdAd由来アデノウイルスベクターによる真核細胞の形質導入を示した図である。緑色蛍光の程度は、蛍光顕微鏡で検出した。fdAdGFPベクターは、fdAdGFPベクターゲノムおよびパッケージング発現プラスミドの未改変HEK293細胞へのコトランスフェクションによってカプシド形成された。 未改変親HEK293細胞のパッケージング効率を、アデノウイルス末端タンパク質およびDNAポリメラーゼを安定して発現するようにトランスフェクトされたQ7細胞のクローン化株のパッケージング効率と比較した図である。収集されたパッケージングfdAdGFPベクターを使用して、真核細胞を形質導入した。緑色蛍光の程度は、蛍光顕微鏡で検出した。
本開示はとりわけ、パッケージング発現プラスミドの関与の有無に関わらず、fdAdベクターゲノムを含むがこれに限定されないアデノウイルスベクターゲノムのカプシド形成のための改善されたパッケージング細胞を提供する。
この改善されたパッケージング細胞によってカプシド形成されたアデノウイルスベクターは、遺伝子およびタンパク質の発現、ワクチン開発、ならびに免疫抑制療法のための遺伝子導入ベクターとして使用される。
一実施形態では、アデノウイルスTpおよびPolの遺伝子は、ヒト血清型5のアデノウイルスから得られる。その他の実施形態では、アデノウイルスTpおよびPolの遺伝子は、その他のヒト血清型またはサルもしくはその他の動物アデノウイルス型のアデノウイルスから得られる。
その他の実施形態では、TpおよびPolの遺伝子は、その他のウイルスから得られる。
一実施形態では、fdAdベクターゲノムは、ヒト血清型5のアデノウイルスから得られる。その他の実施形態では、fdAdベクターゲノムは、その他のヒト血清型またはサルもしくはその他の動物アデノウイルス型のアデノウイルスから得られる。
一実施形態では、直鎖状DNA断片は、閉環状構造と連結していない二本鎖DNA断片と定義される。別の実施形態では、直鎖状DNA断片は、閉環状構造と連結していない一本鎖DNA断片と定義される。
別途定義しない限り、本明細書で使用した技術用語および科学用語は全て、本開示が属する分野の当業者が一般に理解している意味と同じ意味を有する。全般的に、本明細書で使用した命名法、ならびに細胞培養、分子遺伝学、および核酸化学および以下に記載したハイブリダイゼーションにおける実験手順は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。組換え核酸法、ポリヌクレオチド合成、ならびに微生物培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)には標準的な技術が使用される。全般的に、酵素反応および精製工程は、製造者の仕様書に従って実施される。
技術および手順は全般的に、当技術分野における従来の方法およびこの文書を通じて提供されている様々な一般的参考文献に従って実施される(全般的に、本明細書に参考として組み入れたSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.を参照のこと)。単位、接頭辞、および記号は、SIで承認された形式で示すことができる。別途指示がない限り、核酸は左から右へ5’から3’の向きで書かれており、アミノ酸配列は、それぞれ左から右にアミノからカルボキシルへの方向で書かれている。数値範囲には、範囲を定義する数値が含まれ、定義された範囲内の各整数が含まれる。アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている三文字記号またはIUPAC-IUB生化学命名委員会が推奨する一文字記号のいずれかによって称することができる。同様に、ヌクレオチドは、一般的に受け入れられている一文字コードによって称することができる。別途定められていない限り、本明細書で使用したソフトウェア、電気用語、および電子用語は、The New IEEE Standard Dictionary of Electrical and Electronics Terms(5版、1993)で定義されている通りである。本開示を通じて使用されるように、以下の用語は、別途指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるべきであり、明細書全体を参照することによってより完全に定義される。
本明細書で使用した「アデノウイルス」および「アデノウイルス粒子」という用語は、全群、部分群、および血清型を含む、ヒトまたは動物に感染する任意のアデノウイルスを含む、アデノウイルスとして分類することができるありとあらゆるウイルスを含む。したがって、本明細書で使用したように、「アデノウイルス」および「アデノウイルス粒子」は、ウイルス自体またはその誘導体を意味し、全血清型およびサブタイプ、ならびに天然に存在する型および組換え型の両方を網羅する。一実施形態では、このようなアデノウイルスはヒト細胞に感染する。このようなアデノウイルスは、野生型であってもよく、または当技術分野で知られているか、もしくは本明細書で開示した様々な方法で改変されていてもよい。このような改変には、感染性ウイルスを作製するために粒子にパッケージングされたアデノウイルスゲノムへの改変が含まれる。このような改変には、E1a、E1b、E2a、E2b、E3、またはE4コード領域の1つまたは複数における欠失など、当技術分野で知られている欠失が含まれる。
本明細書で理解されるような「アデノウイルスパッケージング細胞」または「パッケージング細胞」または「宿主細胞」とは、ウイルス粒子を産生するためにアデノウイルスゲノムまたは改変されたゲノムをパッケージングすることができる細胞である。欠落している遺伝子産物またはその同等物を提供することができる。したがって、パッケージング細胞は、アデノウイルスゲノムで欠失した遺伝子を補完する機能を提供することができ、アデノウイルスゲノムをアデノウイルス粒子にパッケージングすることができる。このような粒子の産生には、ゲノムの複製および感染性ウイルスの組み立てに必要なタンパク質の産生が必要である。
粒子は、ウイルス粒子の成熟に必要なある特定のタンパク質を必要とする場合もある。このようなタンパク質は、ベクター、パッケージングコンストラクト、またはパッケージング細胞によって提供することができる。本発明に従ってパッケージング細胞株を作製するために使用することができる例示的なパッケージング細胞には、Tpおよび/またはPolを発現させるために改変することができる細胞、A549、HeLa、MRC5、W138、CHO細胞、Vera細胞、ヒト胚網膜細胞、または任意の真核細胞が含まれるが、これらに限定されない。
アデノウイルス遺伝子Tpおよび/またはPolの発現によって改変することができるいくつかの細胞株には、脂肪細胞、軟骨細胞、上皮の(epithelial)、線維芽細胞、膠芽細胞腫、肝細胞、ケラチノサイト、白血病、リンパ芽球様細胞、単球、マクロファージ、筋芽細胞、およびニューロンが含まれる。その他の細胞型には、初代細胞培養物由来の細胞、例えば、ヒト初代前立腺細胞、ヒト胚網膜細胞、ヒト幹細胞が含まれるが、これらに限定されない。真核細胞二倍体および異数体細胞株は、本発明の範囲内に含まれる。組換え遺伝子導入ベクターの高力価ストックを生成するために、アデノウイルスパッケージング細胞として、細胞は、fdAdベクターゲノムの産物を発現し、および/またはそれらの産物に適切なレベルで発現プラスミドをパッケージングできる細胞でなければならない。
「コード配列」または選択されたポリペプチドを「コードする」配列は核酸分子であり、適切な調節配列(または「制御要素」)の制御下に置かれると、in vivoにおいてポリペプチドに転写され(DNAの場合)、翻訳される(mRNAの場合)。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。転写終結配列は、コード配列に対して3’に位置していてもよい。コード配列の転写および翻訳は、典型的には、転写プロモーター、転写エンハンサーエレメント、シャインおよびデラガモ配列(Shine and Delagamo sequences)、転写終結シグナル、ポリアデニル化配列(翻訳停止コドンの3’に位置する)、翻訳開始の最適化のための配列(コード配列の5’に位置する)、および翻訳終結配列を含むがこれらに限定されない「制御要素」によって調節される。
「コンストラクト」という用語は、完全に欠失したアデノウイルスベクターコンストラクト、パッケージング発現プラスミド、またはある特定の遺伝子の発現を駆動するように設計された任意のその他のプラスミドおよび直鎖状DNAのうちの少なくとも1つを意味する。
本明細書で使用したような「欠失する」または「欠失した」という用語は、削除、消去、または除去を意味する。
本明細書で使用したような「E1領域」という用語は、アデノウイルスゲノムに存在する遺伝子群を意味する。限定はしないがE1AおよびE1Bなどのこれらの遺伝子は、ウイルス複製の初期段階で発現し、その他のウイルス遺伝子の発現を活性化する。一実施形態では、本開示のアデノウイルスパッケージング細胞株は、E1領域を構成する全コード配列を含む。
本明細書で使用したような「末端タンパク質」という用語は、アデノウイルスまたは別のウイルスのゲノムに遺伝子が存在するタンパク質を意味する。
本明細書で使用したような「DNAポリメラーゼ」という用語は、その機能がDNA配列の複製であるタンパク質を意味する。一実施形態では、DNAポリメラーゼはアデノウイルスによってコードされる。
一実施形態では、本開示のアデノウイルスパッケージング細胞株は、E1領域(例えば、E1AまたはE1B)を構成するいくつかのコード配列を含む。
一実施形態では、本開示のアデノウイルスパッケージング細胞株は、末端および/またはポリメラーゼ遺伝子を構成するコード配列を含む。
「発現」という用語は、細胞内の内因性遺伝子、導入遺伝子、またはコード領域の転写および/または翻訳を意味する。
本明細書で使用したような「完全欠失アデノウイルスベクター」、「fdAd」、「ガットレス」、「ガット」、「ミニ」、「完全欠失」、「D」、または「疑似」ベクターという用語は、直線状の、約28から37kb離れた逆位末端反復(ITR)、ウイルスパッケージングシグナル(¥)、および少なくとも1つのDNA挿入物(目的の少なくとも1つの遺伝子の全てまたは断片)を有する二本鎖DNA分子を意味する。
遺伝子発現の調節は、1)遺伝子構造の変化:部位特異的リコンビナーゼ(例えば、Cre-loxP系をベースにしたCre)は、プロモーターと遺伝子の間に挿入された配列を除去することによって遺伝子発現を活性化することができる;2)転写の変化:誘導(保護)または阻害の緩和による;3)mRNAに組み込まれた特定の配列またはsiRNAによるmRNA安定性の変化;および4)mRNAの配列による翻訳の変化の1つによって達成することができる。
fdAdにはウイルスコード遺伝子は含まれていない。fdAdはまた、最大36キロ塩基のDNAを収容することができるので、「大容量」アデノウイルスと呼ばれる。ベクターカプシドはアデノウイルスゲノム全体の75~105%のDNAのみを効率的にパッケージングし、治療用発現カセットは通常最大でも36kbにはならないため、カプシド形成するためのゲノムサイズを完成させるために「スタッファー」DNAを使用する必要がある。
ある特定のfdAdは、必須のアデノウイルスコード領域を有するヘルパーアデノウイルスを必要とするので、「ヘルパー依存性」アデノウイルスと呼ばれる。
本明細書で使用したような「遺伝子発現コンストラクト」という用語は、プロモーター、目的の遺伝子の少なくとも1つの断片、およびポリアデニル化シグナル配列を意味する。
「目的の遺伝子」は、RNAまたはタンパク質のレベルでその効果を発揮するものであってもよい。目的の遺伝子の例には、治療遺伝子、免疫調節遺伝子、ウイルス遺伝子、細菌遺伝子、タンパク質産生遺伝子、阻害性RNAまたはタンパク質、および制御タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。例えば、治療遺伝子によってコードされるタンパク質は、遺伝性疾患の治療に使用することができ、例えば、嚢胞性線維症の治療では、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子をコードするeDNAを使用することができる。さらに、治療遺伝子は、例えば、アンチセンスメッセージまたはリボザイム、当技術分野で知られているようなsiRNA、代替RNAスプライスアクセプターもしくはドナー、スプライシングもしくは3’プロセシング(例:ポリアデニル化)に影響を与えるタンパク質、または細胞内の別の遺伝子の発現レベルに影響を与えるタンパク質(すなわち、遺伝子発現は、転写の開始からプロセシングされたタンパク質の産生までの全工程を含むと広く考えられている場合)をコードすることによって、おそらく、とりわけmRNA蓄積の速度変化、mRNA輸送の変化、および/または転写後調節の変化を媒介することによって、RNAレベルでその効果を発揮することができる。
本明細書で使用したように、「遺伝子療法」という語句は、遺伝的または後天的な疾患または状態を治療または予防するために、目的の遺伝物質(例えば、DNAまたはRNA)を宿主に輸送することを意味する。目的の遺伝物質は、in vivoでの産生が望まれる産物(例えば、タンパク質ポリペプチド、ペプチド、または機能的RNA)をコードする。例えば、目的の遺伝物質は、治療価値のあるホルモン、受容体、酵素、または(ポリ)ペプチドをコードすることができる。目的の遺伝物質の例には、嚢胞性線維症膜貫通制御因子(CFTR)、第VIII因子、低密度リポタンパク質受容体、ベータガラクトシダーゼ、アルファガラクトシダーゼ、ベータグルコセレブロシダーゼ、インスリン、副甲状腺ホルモン、およびアルファ-1-アンチトリプシンをコードするDNAが含まれる。
「遺伝子導入ベクター」とは、ヘルパーアデノウイルスなしでパッケージングされた本開示のカプシド形成された完全欠失アデノウイルスベースのベクターを含む、遺伝物質を細胞および組織に輸送することができるDNAコンストラクトの組成物を意味する。
本明細書で使用したような「ヘルパー非依存性」という用語は、その複製のためにヘルパーウイルスの存在を必要としない、カプシド形成された完全欠失アデノウイルスベースの遺伝子導入ベクターを生成する方法を意味する。
アデノウイルスベクターには、「第1世代」および「第2世代」のアデノウイルスベクターが含まれる。第1世代アデノウイルスベクターは、外因性DNAがE1領域、または場合によってはE3領域、または場合によってはE1およびE3領域の両方を置換するアデノウイルスを意味する。第2世代アデノウイルスベクターは、E1およびE3領域に加えて、アデノウイルスゲノムのE2領域、E4領域、もしくは任意のその他の領域、またはそれらの組み合わせにさらなる欠失を含有する第1世代アデノウイルスベクターを意味する。
本明細書で使用したような「ヘルパーウイルス」という用語は、それ自体では複製する能力を有さないヘルパー依存性ウイルスベクターのコピーを産生するときに使用されるウイルスを意味する。ヘルパーウイルスは、ガットレスウイルスと一緒に細胞に同時感染するために使用され、ガットレスウイルスのゲノムの複製に必要な酵素、およびガットレスウイルスカプシドの組み立てに必要な構造タンパク質を提供する。
「免疫応答」とは、好ましくは、細胞性または体液性免疫応答などの後天性免疫応答を意味する。
本明細書で使用したような「逆位末端反復」(ITR)という用語は、アデノウイルスゲノムの左右端に位置するDNA配列を意味する。これらの配列は互いに同一であるが、反対方向に配置されている。アデノウイルスの逆位末端反復の長さは、アデノウイルスまたはウイルスの型または異なる科もしくは属に応じて、約50bpから約170bpまで変動する。ITRは、ウイルスDNA複製のコア起点およびE1領域の活性化のためのエンハンサーエレメントなど、ウイルス増殖に必要ないくつかの異なるシス作用性エレメントを含有していてもよい。ITRはまた、TpおよびPolタンパク質などであるがこれらに限定されない、ウイルスおよび/または細胞タンパク質の共有結合および/または非共有結合を可能にする配列および構造を含有していてもよい。
「in vivo遺伝子療法」および「in vitro遺伝子療法」は、一般に知られており、エクスビボ適用を含めて、当業者によって「遺伝子療法」と呼ばれている療法の、過去、現在、および将来の変種および改変全てを包含するものとする。
本明細書で使用したような「導入する」という用語は、細胞への遺伝子配列の安定した組込みまたは一過性の維持のための発現ベクターの輸送を意味する。ベクターは、典型的には、物理的手段(例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、もしくはリポフェクション)による細胞への異種DNAの挿入を意味するトランスフェクション;典型的には、感染病原体、すなわち、ウイルスによる導入を意味する感染;または、典型的には、ウイルスによる細胞の安定した感染もしくはウイルス病原体(例えば、バクテリオファージ)によるある微生物から別の微生物への遺伝物質の輸送を意味する形質導入によって細胞に導入することができる。上記のように、ベクターは、プラスミド、ウイルス、またはその他のビヒクルであってもよい。
本明細書で使用したような「直鎖状DNA」という用語は、環状化されていないDNA分子を意味する。
本明細書で使用したような「天然に」という用語は、自然界に;野生型で;本質的または本来的に見出されることを意味する。
「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを意味し、別途限定されていない限り、天然に存在するヌクレオチドと同様の方法で一本鎖核酸にハイブリダイズする天然のヌクレオチドの本質的な性質を有する公知の類似体(例えば、ペプチド核酸)を包含する。
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に配置されている場合に、核酸は「動作可能に連結している」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に動作可能に連結している。一般的に、「動作可能に連結された」とは、連結されているDNA配列が近接していることを意味する。しかし、エンハンサーは近接していなくてもよい。連結は、便利な制限酵素認識部位でのライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが従来の慣例に従って使用される。
「パッケージング発現プラスミド」または「パッケージング発現コンストラクト」という用語は、DNA分子がプロモーターの制御下にアデノウイルス後期遺伝子(例えば、L1、L2、L3、L4、L5、E2A、およびE4)の少なくとも1つのサブセットを含む、環状二本鎖DNA分子の操作されたプラスミドコンストラクトを意味する。パッケージング発現プラスミドパッケージング発現プラスミドは、パッケージングシグナル配列(Ψ)および複数のITRを含まない。
パッケージング発現プラスミドは「複製不能」であり、ウイルスゲノムは、単独で細胞内で感染性ウイルス粒子を産生する非依存的複製を可能にするために十分な遺伝情報を含んでいない。
任意のサブタイプ、サブタイプの混合物、またはキメラアデノウイルスを、fdAdベクターゲノムおよびパッケージング発現プラスミドの生成のためのDNA源として使用することができる。
本明細書で使用したような「パッケージングシグナル」という用語は、ウイルスゲノムに存在し、ウイルス組み立て中にウイルスカプシド内にウイルスゲノムを組み込むために必要なヌクレオチド配列を意味する。アデノウイルスのパッケージングシグナルは天然では、左逆位末端反復の下流の左末端に位置しており、「¥」と表すことができる。
「許容」される細胞は、ウイルス遺伝子の発現および/またはウイルスの複製を支持する。
本明細書で使用したような「プラスミド」という用語は、染色体DNAとは別の染色体外DNA分子を意味する。多くの場合、環状で二本鎖である。
「ポリリンカー」という用語は、任意のプロモーターまたはDNAセグメントの容易な挿入を可能にする多数の特有の制限酵素認識部位を有する、人工的に合成されたDNAの短い鎖に対して使用される。「異種」という用語は、通常、自然界では密接に関連していないことがわかっているDNA配列の任意の組み合わせに対して使用される。
「プロモーター」という用語は、特定の遺伝子の転写を容易にするDNAの調節領域を意味するものとする。プロモーターは通常、特定のコード配列の適切な転写開始部位でRNA合成を開始するようにRNAポリメラーゼIIに指示できるTATAボックスを含む。プロモーターは、転写開始速度に影響を与える、上流プロモーターエレメントと呼ばれる、一般的にTATAボックスの上流または5’に位置するその他の認識配列をさらに含んでいてもよい。「構成的プロモーター」とは、多くの細胞型において関連遺伝子の継続的な転写を可能にするプロモーターを意味する。「誘導性プロモーター系」とは、調節因子(テトラサイクリン、ペプチド、およびステロイドホルモンなどの低分子、神経伝達物質、ならびに熱および浸透圧などの環境因子を含む)を使用して遺伝子を誘導またはサイレンシングする系を意味する。このような系は、調節因子の濃度に依存して応答が段階的に変化するという意味で「アナログ」である。また、このような系は、調節因子の除去により可逆的である。これらのプロモーターの活性は、生物的または非生物的因子の存在または非存在によって誘導される。誘導性プロモーターは、生物体の発生のある特定の段階または特定の組織において、それらに動作可能に連結された遺伝子の発現をオンまたはオフにできるため、遺伝子工学における強力な道具である。
本明細書で使用したような「増殖する」または「増殖した」という用語は、任意の方法によって数、量または程度が再現、増大、または増加することを意味する。
本明細書で使用したような「精製」という用語は、外来の、異質な、または好ましくない要素を精製する、または遊離させる方法を意味する。
本明細書で使用したような「調節配列」(「調節領域」または「調節エレメント」とも呼ばれる)という用語は、プロモーター、エンハンサー、または転写因子などの制御タンパク質が優先的に結合するDNAのその他のセグメントを意味する。
調節配列は遺伝子発現を制御し、したがってタンパク質発現を制御する。
本明細書で使用したような「リコンビナーゼ」という用語は、Cre、Hin、Tre、もしくはFLPリコンビナーゼまたはCRISPR/Cas系DNAリコンビナーゼ系などであるがこれらに限定されない、遺伝子組換えを触媒する酵素を意味する。リコンビナーゼ酵素は、2本の長いDNA鎖の間のDNAの短い断片の交換、特に対になった母方の染色体と父方の染色体との間のホモログ領域の交換を触媒する。
「制限酵素」(または「制限エンドヌクレアーゼ」)という用語は、二本鎖DNAを切断する酵素を意味する。「制限酵素認識部位」または「制限認識部位」という用語は、DNA分子を切断する部位として制限酵素によって認識されるヌクレオチドの特定の配列を意味する。これらの部位は一般的に回文構造であるが(制限酵素は通常ホモダイマーとして結合するため)、必ずしも回文構造である必要はなく、特定の酵素はその認識部位内または近くのどこかで2つのヌクレオチド間を切断することができる。
本明細書で使用したような「複製」または「複製すること」という用語は、例えば、限定はしないが、ウイルス粒子などの物体の同一のコピーを作製することを意味する。
本明細書で使用したような「複製欠損」という用語は、自然環境で複製することができないウイルスの特徴を意味する。複製欠損ウイルスは、例えば、限定はしないがアデノウイルスのE1遺伝子などのその複製に不可欠な遺伝子の1つまたは複数が欠失したウイルスである。複製欠損ウイルスは、実験室において欠失遺伝子を発現する細胞株で増殖させることができる。
本明細書で使用したような「スタッファー」という用語は、サイズを増大させるために別のDNA配列に挿入されるDNA配列を意味する。例えば、スタッファー断片をアデノウイルスゲノム内に挿入して、サイズを約36kbに増大することができる。スタッファー断片は通常、どのタンパク質もコードせず、転写エンハンサーやプロモーターなどの遺伝子発現の調節エレメントも含有していない。
本明細書で使用したような「標的」または「標的化された」という用語は、その活性が外部刺激によって改変され得る、例えば、限定はしないが、タンパク質、細胞、器官、または核酸などの生物学的実体を意味する。刺激の性質に応じて、標的に直接的な変化がない場合もあれば、標的の立体構造変化が誘導される場合もある。
本明細書で使用したように、「標的細胞」は、単一の実体として存在することができるか、またはより大きな細胞集合の一部であってもよい。このような「より大きな細胞集合」は、例えば、細胞培養物(混合物または単一物)、組織(例えば、上皮またはその他の組織)、器官(例えば、心臓、肺、肝臓、胆嚢、膀胱、眼、またはその他の器官)、器官系(例えば、循環器系、呼吸器系、消化器系、泌尿器系、神経系、外皮系、またはその他の器官系)、または生物体(例えば、鳥、哺乳動物、特にヒトなど)を含んでいてもよい。好ましくは、標的となる器官/組織/細胞は、循環器系(例えば、心臓、血管、および血液を含むが、これらに限定されない)、呼吸器系(例えば、鼻、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支、肺など)、消化器系(例えば、口、咽頭、食道、胃、腸、唾液腺、膵臓、肝臓、胆嚢など)、泌尿器系(例えば、腎臓、尿管、膀胱、尿道など)、神経系(例えば、脳および脊髄、目などの特殊な感覚器官を含むが、これらに限定されない)、および外皮系(例えば、皮膚)のものである。さらにより好ましくは、細胞は、心臓、血管、肺、肝臓、胆嚢、膀胱、眼細胞、および幹細胞からなる群から選択される。一実施形態では、標的細胞は、卵母細胞または精母細胞を含むがこれらに限定されない天然の幹細胞または前駆体細胞である。一実施形態では、標的細胞は誘導幹細胞または誘導前駆体細胞である。
本明細書で使用したような「トランスフェクション」という用語は、DNAとしての細胞DNAへの導入(例えば、本開示の単離された核酸分子またはコンストラクトの導入)を意味する。本明細書で開示したパッケージング細胞株は、アデノウイルスゲノムまたはパッケージング発現ベクターの少なくとも1つと一緒に特定のウイルス遺伝子の発現を引き起こす遺伝子コンストラクトでトランスフェクトされる。本明細書で使用したような「形質導入」という用語は、DNAとしての、または遺伝子導入ベクターによる細胞DNAへの導入を意味する。遺伝子導入ベクターを標的細胞に導入することができる。
「ベクター」という用語は、宿主細胞の感染に使用され、ポリヌクレオチドを挿入することができる核酸を意味する。発現ベクターは、そこに挿入された核酸の転写を可能にする。いくつかの一般的なベクターには、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージ、組換え発現カセット、およびトランスポゾンが含まれるが、これらに限定されない。「ベクター」という用語はまた、ある場所から別の場所への遺伝子の輸送を助ける要素を意味することができる。
本明細書で使用したような「ウイルスDNA」という用語は、ウイルス粒子に認められるDNAの配列を意味する。
本明細書で使用したような「ウイルスゲノム」という用語は、ウイルス粒子に見出され、ウイルス複製に必要な全要素を含有するDNAの全体を意味する。ゲノムは、ウイルス複製の各サイクルで複製され、ウイルスの子孫に伝達される。
本明細書で使用したような「ビリオン」という用語は、ウイルス粒子を意味する。各ビリオンは、保護タンパク質カプシド内の遺伝物質で構成されている。
本明細書で使用したような「野生型」という用語は、生物体、株、遺伝子、タンパク質、核酸、または自然界に存在する特徴の典型的な形態を意味する。野生型とは、自然集団において最も一般的な表現型を意味する。「野生型」および「天然に存在する」という用語は、同義に使用される。
以下の実施例は、本発明の様々な態様を例示する。もちろん、実施例は、本発明のある特定の実施形態のみを例示するだけであり、本明細書の最後に添付されている特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
本開示を詳細に説明してきたが、特許請求の範囲から逸脱することなく改変および変更が可能であることは明らかであろう。
以下の非限定的な実施例は、本開示をさらに例示するために提供する。
実施例1
末端タンパク質およびDNAポリメラーゼ発現ベクターの操作
ヒト血清型5のアデノウイルスのTpおよびPol遺伝子の発現を駆動する発現ベクターを作製した(図3および配列番号1)。アデノウイルス末端タンパク質(Tp)およびDNAポリメラーゼ(Pol)の両方の遺伝子をピューロマイシン選択マーカーと一緒に有する双方向発現カセットを、pUC57(GeneScript)のマルチクローニングサイトに移動することによって操作した。
得られたTp/Polベクターを、強制クローニング戦略を使用して、限定された制限酵素認識部位に組み入れる。Tp/Pol発現ベクターpUTp/Polは、以下のように構成されている:
1.ベクターDNA(1~431)および(7576~9860)は、クローニングベクターpUC57(完全配列Y14837)に属する。
2.DNAカセットを合成し、pUC57クローニングベクターに移動した。以下の成分から構成された:
(i)Tp遺伝子のポリアデニル化部位(ベクターDNA440~505)は「人工」配列に対応する。
(ii)アデノウイルスTp遺伝子(ベクターDNA506~2,521)は、野生型アデノウイルスヒト血清型5(AC000008)のヌクレオチド8,583~10,590に対応する。
(iii)Surfeit双方向プロモーター(ベクターDNA2,522~2,689)は、ヒト染色体9q34(AC002107)のゲノム配列のヌクレオチド37,174~37,293に対応する。
(iv)DNAポリメラーゼ(Pol)遺伝子(ベクターDNA2,690~6,287)は、野生型アデノウイルスヒト血清型5(AC000008)のヌクレオチド8,785~5,197に対応する。
(v)Pol遺伝子のポリアデニル化部位(ベクターDNA6,296~6,414)は「人工」配列に対応する。
および
(vi)ピューロマイシン選択マーカー(ベクターDNA6,423~7,575)は、ヒトヘルペスウイルス5(AD169-BAC単離株、完全配列AC146999)のヌクレオチド231,893~231,290に対応する。
その他の実施形態では、Tpおよび/またはPol遺伝子を、限定はしないが、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター、サル空胞化ウイルス40(SV40)、伸長因子1a(EFla)プロモーター、ヒトユビキチンC遺伝子(Ubc)プロモーター、ヒトbアクチンプロモーター、またはテトラサイリン応答エレメント(TRE)プロモーターなどの構成的または誘導性真核細胞プロモーターの後に有する発現ベクターを産生する。
その他の実施形態では、限定はしないが、ポリオウイルス、ライノウイルス、肝炎ウイルス、またはヒト免疫不全ウイルスから得られたものなどの内部リボソーム侵入部位(IRES)によって分離されたTpおよびPol遺伝子の両方を有する発現ベクターを作製する。
その他の実施形態では、Tpおよび/またはPol遺伝子を有する発現ベクターは、以下の薬物、限定はしないが、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、G418/ネオマイシン、またはブレオマイシンなどの正または負の真核生物選択マーカーも有する。
その他の実施形態では、Tpおよび/またはPol遺伝子を有する発現ベクターを使用して、限定はしないが、リン酸カルシウム、脂質、またはポリエチレンイミンなどのトランスフェクタント試薬の助けを借りて細胞をトランスフェクトする。
その他の実施形態では、Tpおよび/またはPol遺伝子を有する発現ベクターを使用して、それらの遺伝子が細胞内に一過性に維持されるように細胞をトランスフェクトする。
その他の実施形態では、Tpおよび/またはPol遺伝子を有する発現ベクターを使用して、トランスフェクトされた細胞におけるTpおよび/またはPolの安定した発現を確立する。
実施例2
増強されたウイルスベクターパッケージング細胞の操作
ヘルパーウイルスを使用しないアデノウイルスベクターは、図2にまとめて示したように、以下の方法で作製することができる。
(1)HEK293由来細胞などのパッケージング細胞は、限定はしないが、5’および3’末端またはその近くにITRを有するfdAdベクターゲノムなどの線状化したアデノウイルスベクターゲノムDNAとパッケージング発現プラスミドとの混合物でトランスフェクトし、
(2)トランスフェクトされたパッケージング細胞は、線状化したアデノウイルスベクターゲノムが複製され、アデノウイルスカプシドにパッケージングされる間、しばらく培養して維持し、
(3)トランスフェクトされたパッケージング細胞を収集して、カプシド形成されたアデノウイルスベクターを回収する。
収集したカプシド形成されたfdAdベクターの機能は、CMV最初期/プロモーターエンハンサー、fdAdGFPの後ろに緑色蛍光タンパク質を有するfdAdベクターを用いて、本明細書で例示したように試験した(図4)。カプシド形成されたfdAdGFPベクターを使用して、HEK293由来細胞に形質導入した。24時間培養した後、細胞をGFPの発現について分析する。
限定はしないが、アデノウイルスベクターなどの直鎖状ウイルスゲノムを真核細胞に導入すると、エキソヌクレアーゼなどの細胞ヌクレアーゼによって破壊が引き起こされる可能性がある。細胞内の直鎖状ゲノムの活性レベルを高めるには、ヌクレアーゼからゲノムを保護する必要がある。新しいパッケージング細胞は、fdAdベクターのカプシド形成の割合を高めるために、HEK293細胞をベースにして操作した。HEK293細胞はもともと、切断されたアデノウイルス5型DNAによるトランスフェクションによって不死化されている(Graham、1977年)。アデノウイルス5挿入物の配列決定によって、ヌクレオチド1~4,344の近接するセグメントが染色体19(19ql3.2)に組み込まれていることが示された(Louis、1997)。HEK293細胞は、アデノウイルスE1AおよびE1B遺伝子、ならびにおそらくその他のアデノウイルス遺伝子を発現することが知られている。
HEK293細胞を、双方向性プロモーターSurfeit1(Surf1)の制御下でアデノウイルス5末端タンパク質(Tp)およびDNAポリメラーゼ(Pol)の遺伝子を有する真核生物発現ベクター(図3、および配列番号1)の安定的なトランスフェクションによって改変した。Tp/Polベクターは、NdeIで制限酵素切断して線状化した後、HEK293細胞をトランスフェクトするために使用した。ピューロマイシン耐性についてトランスフェクタント細胞を選択した。耐性細胞をクローニングした。Q7と称するクローン化された形質導入されたパッケージング細胞を、高いベクター産生効率について選択した。Tp/Polベクター統合の安定性は、定量的逆転写酵素PCR(RT-PCR)によってHTP7細胞におけるTpおよびPolの発現を経時的に測定することによって調査した。
Q7細胞のカプシド形成効率を、改変されていないHEK293親細胞株の効率と比較した。この目的のために、fdAdGFP線状化ベクターゲノムを、パッケージング発現プラスミドと共に2つのパッケージング細胞、Q7細胞およびHEK293親細胞にコトランスフェクトした。カプシド形成されたfdAdGFPベクターを両方の細胞株から収集し、ヒト細胞のトランスフェクションに使用した。24時間培養した後、細胞をGFPの発現について分析する。図5に例示したように、fdAdGFPに対するQ7のパッケージング効率は、HEK293親細胞よりも約50~100倍高かった。
実施例3
アデノウイルス末端タンパク質(Tp)前駆体は、直鎖状アデノウイルスゲノムのITR内のヌクレオチドに共有結合的に結合する。Tp前駆体はウイルスDNAの5’末端に共有結合的に結合したままで、ビリオンの成熟中に成熟したTpに切断される。TpはアデノウイルスDNAポリメラーゼ(Pol)と一緒に、アデノウイルスゲノムの複製を担っている。Tpはそれ自体またはアデノウイルスPolと組み合わせて、DNAエキソヌクレアーゼが直鎖状DNAを酵素的に破壊するのを防ぐ。
一実施形態では、直鎖状DNA断片は、アデノウイルスITRを直鎖状断片の末端に結合することによって改変される。アデノウイルスTpをそれ自体で、またはアデノウイルスPolと一緒に、前記ITR含有直鎖状DNA断片でトランスフェクトされている、またはトランスフェクトされた真核細胞に提供すると、前記ITR含有直鎖状DNA断片の酵素的破壊が制限されるだろう。結果として、前記ITR含有直鎖状DNA断片は、細胞内でより高いレベルで維持され、前記ITR含有直鎖状DNA断片の機能の増強をもたらす。
アデノウイルスTpは、それ自体またはアデノウイルスPolと一緒に、真核生物発現ベクターによる一過性もしくは安定的なトランスフェクションによって、または細胞に導入されるタンパク質もしくは改変タンパク質として、細胞に提供することができる。
実施例4
一実施形態では、ファージTpが直鎖DNA状断片に共有結合的に結合することができるように、直鎖状DNA断片を5’および3’末端で改変する。前記改変された直鎖状DNA断片でトランスフェクトされている、またはトランスフェクトされた真核細胞および/または原核細胞にTpを提供すると、前記改変された直鎖状DNA断片の酵素的破壊が制限されるだろう。結果として、前記改変された直鎖状DNA断片は、細胞内でより高いレベルで維持され、前記改変された直鎖状DNA断片の機能の増強をもたらす。
真核生物発現ベクターによる一過性もしくは安定的なトランスフェクションによって、または細胞に導入されるタンパク質または改変タンパク質として、ファージTpを細胞に提供することができる。
実施例5
一実施形態では、ある特定のタンパク質が直鎖DNA状断片に結合することができるように、直鎖状DNA断片を5’および3’末端で改変する。限定はしないが、このようなタンパク質(真核細胞および/または原核細胞から得られ、直鎖状DNAに結合することができるタンパク質など)を、前記改変された直鎖状DNA断片でトランスフェクトされている、またはトランスフェクトされた細胞に提供すると、前記改変された直鎖状DNA断片の酵素的破壊が制限されるだろう。結果として、前記改変された直鎖状DNA断片は、細胞内でより高いレベルで維持され、前記改変された直鎖状DNA断片の機能の増強をもたらす。
一実施形態では、細胞内の酵素的破壊が制限されるように、直鎖状および/または環状DNA断片に結合することができるタンパク質を収集または操作することができる。限定はしないが、このようなタンパク質(真核細胞および原核細胞から得られ、直鎖状DNAに結合することができるタンパク質など)を、前記DNA断片でトランスフェクトされている、またはトランスフェクトされた細胞に提供すると、前記DNA断片の酵素的破壊が制限されるだろう。結果として、前記DNA断片は、細胞内でより高いレベルで維持され、前記DNA断片の機能の増強をもたらす。
真核生物発現ベクターによる一過性もしくは安定的なトランスフェクションによって、または細胞に導入されるタンパク質または改変タンパク質として、このような保護タンパク質を細胞に提供することができる。
実施例6
保護タンパク質によって真核細胞および/または原核細胞内での破壊から保護されている直鎖状および/または環状DNA断片を使用して、限定はしないが、以下のような遺伝子コンストラクトを輸送することができる。
- ウイルスゲノム;
- 治療目的の遺伝子;
- タンパク質をコードする遺伝子;
- タンパク質および/または酵素をコードする一連の遺伝子;
- 細胞機能を改変するタンパク質および/または酵素の遺伝子;
- 限定はしないが、DNAリコンビナーゼ、DNAインテグラーゼ;CRISPR機構などのDNAを改変する酵素の遺伝子ならびにDNAおよび/またはRNAコンストラクト;
- 細胞ゲノムに組み込まれるDNAおよびRNA断片;ならびに
- 細胞機能を調節するDNAおよびRNA断片。
本開示またはその好ましい実施形態の要素を説明するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、1つまたは複数の要素があることを意味するものとする。「含む(comprising」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であるものとし、列挙した要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味する。
上記を考慮すると、本開示のいくつかの目的が達成され、その他の有利な結果が得られることがわかるであろう。
開示の範囲から逸脱することなく、上記の産物および方法に様々な変化を加えることができるので、上記の説明に含まれる事項は全て、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるべきであることが意図されている。

Claims (27)

  1. アデノウイルスを増殖させるパッケージング細胞およびアデノウイルスベースの遺伝子導入ベクターの機能を増強する方法であって、(a)末端タンパク質(Tp)の発現をコードする真核生物発現ベクターを提供すること;(b)この末端タンパク質発現ベクターをパッケージング細胞にトランスフェクトすること;(c)末端タンパク質が結合することができるアデノウイルス由来ゲノムの直鎖状断片の5’および3’末端の両方に末端配列を有するアデノウイルス由来ゲノムをパッケージング細胞に導入することを含む方法。
  2. Tp真核生物発現ベクターがパッケージング細胞内で一過性に維持される、請求項1に記載の方法。
  3. Tp真核生物発現ベクターがパッケージング細胞のゲノムに安定的に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
  4. Tp真核生物発現ベクターがアデノウイルス末端タンパク質の発現をコードする、請求項1に記載の方法。
  5. アデノウイルス末端タンパク質の発現をコードする真核生物発現ベクターが、アデノウイルスDNAポリメラーゼの発現もコードする、請求項1に記載の方法。
  6. アデノウイルス由来のゲノムが、アデノウイルスの左右の逆位末端反復(ITR)およびアデノウイルスパッケージングシグナル(Ψ)を有する、請求項1に記載の方法。
  7. アデノウイルス由来ゲノムが、内因性アデノウイルス遺伝子を部分的に欠失している、請求項1に記載の方法。
  8. アデノウイルス由来ゲノムが、内因性アデノウイルス遺伝子全てを完全に欠失している、請求項1に記載の方法。
  9. アデノウイルス由来のゲノムが、アデノウイルスの左右の逆位末端反復(ITR)およびアデノウイルスパッケージングシグナル(Ψ)以外の内因性アデノウイルス遺伝子構造を完全に欠失している、請求項1に記載の方法。
  10. アデノウイルス由来ゲノムが直鎖状である、請求項1に記載の方法。
  11. アデノウイルス由来ゲノムが、改変されたおよび/または非アデノウイルス遺伝子を有する、請求項1に記載の方法。
  12. アデノウイルス由来のゲノムが、限定はしないが、遺伝子療法、ワクチン接種、組織工学、およびゲノム改変などの遺伝子医療目的に使用される、請求項1に記載の方法。
  13. ウイルスまたは発現ベクターが、アデノウイルス由来ゲノムをアデノウイルスカプシドにパッケージングするのに必要な遺伝情報を提供するパッケージング細胞にコトランスフェクトされる、請求項1に記載の方法。
  14. 一旦真核細胞に導入されたらDNAコンストラクトの機能を増強する方法であって、
    (a)導入されたDNAコンストラクトを酵素消化から保護することができるタンパク質の発現をコードする真核生物発現ベクターを提供すること;
    (b)このタンパク質発現ベクターを真核細胞にトランスフェクトすること;
    (c)DNA保護タンパク質が結合するDNAコンストラクトを真核細胞に導入することを含む方法。
  15. 保護タンパク質のための真核生物発現ベクターがパッケージング細胞内で一過性に維持される、請求項14に記載の方法。
  16. 保護タンパク質のための真核生物発現ベクターがパッケージング細胞のゲノムに安定的に組み込まれる、請求項14に記載の方法。
  17. 保護タンパク質のための真核生物発現ベクターがバクテリオファージまたは細菌末端タンパク質の発現をコードする、請求項14に記載の方法。
  18. DNAコンストラクトが環状である、請求項14に記載の方法。
  19. DNAコンストラクトが直鎖状である、請求項14に記載の方法。
  20. DNAコンストラクトがバクテリオファージまたは細菌末端タンパク質の結合を増強するために改変されている、請求項14に記載の方法。
  21. DNAコンストラクトが、限定はしないが、遺伝子療法、ワクチン接種、組織工学、およびゲノム改変などの遺伝子医療目的に使用される、請求項14に記載の方法。
  22. 保護タンパク質のための真核生物発現ベクターが真核生物または原核生物由来のタンパク質をコードする、請求項14に記載の方法。
  23. DNAコンストラクトが前記保護タンパク質の結合を増強するために改変されている、請求項14に記載の方法。
  24. DNAコンストラクトの酵素的破壊が低下するように、DNAのDNA配列を変化させることによって、一旦真核細胞に導入されたらDNAコンストラクトの機能を増強する方法。
  25. DNAコンストラクトが直鎖状であり、その5’および3’末端がヌクレアーゼによる消化を低下させるために改変されている、請求項24に記載の方法。
  26. 直鎖状DNAコンストラクトが化学的に変化している、請求項24に記載の方法。
  27. 5’および3’末端の配列がDNAエキソヌクレアーゼの機能を制限するために改変されている、請求項24に記載の方法。
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