上記の技術的課題の少なくとも1つを解決するために、本願の実施例の1つの目的は、ポンプ装置を提供する。
本願の実施例の別の目的は、上記のポンプ装置を有する車両を提供する。
上記の目的を実現するために、本願の第1態様の実施例は、ハウジング、モータ部、ポンプ部、第1軸受、第1油溝及び絞り溝を含むポンプ装置を提供する。ここで、ハウジングはチャンバを有する。モータ部は、モータ部の中心軸線の周りを回転する回転軸を含む。ポンプ部は、モータ部の軸方向の一方側に設けられるとともに、回転軸に接触し、ポンプ部は、回転軸に連動されて回転可能になる。ポンプ部は、第1圧力室及び第2圧力室を含み、第1圧力室が受ける圧力は第2圧力室が受ける圧力よりも大きい。第1軸受は、ハウジングに連結されるとともに、回転軸に嵌設され、第1軸受は、モータ部とポンプ部との間に位置する。第1油溝は、第1軸受のポンプ部を向く第1端面に設けられ、第1油溝は、第1圧力室と連通する。絞り溝は、第1端面に設けられ、絞り溝は、第1油溝と、第1軸受と回転軸との間の隙間とを連通する。
本願にて提供されるポンプ装置の実施例によれば、ポンプ装置は、ハウジング、モータ部、ポンプ部、第1軸受、第1油溝及び絞り溝を含む。ここで、ハウジングはチャンバを有し、モータ部及びポンプ部はチャンバ内に設けられるため、ハウジングにより、モータ部やポンプ部が外部環境の影響を受けずに正常に稼働できることを確保する。モータ部は、モータ部の中心軸線の周りを回転する回転軸を含み、ポンプ部は、モータ部の軸方向の一方側に設けられ、かつ、回転軸に接触し、具体的には、ポンプ部は回転軸と締まり嵌めであり、ポンプ部が回転軸に連動されて回転可能になり、これは、モータ部が回転軸を介してポンプ部を駆動して作動させると理解できる。ポンプ部は、第1圧力室及び第2圧力室を含み、第1圧力室が受ける圧力は第2圧力室が受ける圧力よりも大きく、さらに、第1圧力室は、高圧室であってもよく、第2圧力室は低圧室であってもよい。
また、第1軸受はハウジングに連結され、第1軸受は、モータ部とポンプ部との間に位置し、第1軸受は、回転軸に嵌設され、第1軸受は、ある程度回転軸を支持する役割を果たすことができる。なお、第1軸受は、回転軸に潤滑支持を提供でき、第1軸受及び回転軸は、軸心が重なるため、実際に動作中に、回転軸が、ポンプ部を駆動して回転させるので、ポンプ部は、回転軸に径方向の力を印加し、回転軸は、径方向の力を受けながら、第1軸受が一方側に偏るように押し、このとき、回転軸は、第1軸受に接触し、第1軸受は、回転軸に支持作用を提供し、それにより、回転軸の遊隙を合理的な範囲内に制御することができるため、回転軸の軸心の制御が容易になる。
なお、第1軸受は滑り軸受であり、滑り軸受とは、滑り摩擦で動作する軸受を言う。滑り軸受は、転がり軸受の形態に比べ、円滑で、確実で、騒音なく動作し、液体で潤滑する条件で、滑り面が潤滑油によって分離されて、直接接触せず、摩擦損失及び表面摩耗を大幅に低減することができ、かつ、滑り軸受と回転軸との間の隙間に潤滑油が充填され、滑り面の潤滑油が油膜を1層形成して、流体での潤滑を実現し、油膜は、一定の振動吸収能力も有し、第1軸受及び回転軸の耐用年数を延ばす。
さらに、第1油溝は、第1軸受のポンプ部を向く第1端面に設けられ、第1油溝は第1圧力室と連通し、第1圧力室内の圧力が大きいため、オイルの一部は第1圧力室から第1油溝に流れてから、回転軸と第1軸受との隙間に流入して、第1軸受と回転軸との間の潤滑性能を保証する。
さらに、絞り溝は、第1端面に設けられ、即ち、絞り溝は第1軸受のポンプ部を向く第1端面に設けられ、絞り溝は、第1油溝と、第1軸受と回転軸との間の隙間とを連通するために用いられる。つまり、第1圧力室内のオイルは、先に、第1油溝に流れ、続いて、絞り溝を介して第1軸受と回転軸との間の隙間に流れ、絞り溝は、第1軸受と回転軸との隙間にオイルが過剰に流れ、さらに、ポンプ装置の吐出量に影響を与えることを効果的に回避できる。
そのため、第1軸受と回転軸との間の流体潤滑性能を確保するために、つまり、第1軸受と回転軸との間の隙間に潤滑油を十分に提供するとともに、ポンプ部の吐出量が大きく漏れないように、即ち、ポンプ部の吐出量が潤滑用のオイルの影響を顕著に受けないように確保するために、第1油溝と絞り溝とを合わせて使用することにより、第1軸受と回転軸との間の潤滑要件を実現するだけでなく、第1軸受内の流量が大きすぎて、ポンプ装置の吐出量を低下させることにもならない。
具体的には、第1油溝は、ポンプ部の高圧側の各収容室間の圧力を釣り合わせることができ、それにより、高圧側の各収容室の圧力が近くなるため、稼働中の騒音及び機械的振動を低減することができる。
さらに、絞り溝の流路断面積が第1油溝の流路断面積未満であるため、絞り溝により、第1軸受と回転軸との間の隙間内の潤滑油の流量を制御できる。
また、本願にて提供される上記の技術的手段は、さらに、下記のような付加的な技術的特徴を有してもよい。
上記の技術的手段において、さらに、第1軸受の内側壁の一部が回転軸から離れる方向へ凹んで、絞り溝と連通する第1潤滑溝を形成する。
当該技術的手段において、第1潤滑溝は、第1軸受の内側壁の一部が回転軸から離れる方向へ凹んで形成され、第1潤滑溝は絞り溝と連通する。圧力差があるため、第1圧力室内のオイルは、第1油溝、絞り溝を順次通過してから、第1軸受と回転軸との間の隙間に流入しつつ、第1潤滑溝を充填することもでき、回転軸の回転に伴い、第1潤滑溝内のオイルが回転軸の表面に塗布され、ここで、第1潤滑溝は潤滑油を一時的に貯蔵する役割を果たし、それにより、第1軸受の内壁と回転軸との間に流体潤滑油膜が形成されて、回転軸と軸受との間の確実な潤滑性を一層確保できる。さらに、第1潤滑溝は、軸方向に沿って第1軸受に穿設され、第1潤滑溝は第1軸受の軸穴と連通し、第1潤滑溝の一端は絞り溝と連通し、第1潤滑溝の他端は、モータ室の方向に向いて延びる。さらに、第1潤滑溝の数は少なくとも1つであり、実際の潤滑要件に応じて柔軟に設置すればよい。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、絞り溝の流路断面積S1と第1潤滑溝の流路断面積S2との比は、0.1以上0.4以下である。
当該技術的手段において、0.1≦(S1/S2)≦0.4であり、絞り溝の流路断面積が大きくなりすぎないように、絞り溝の流路断面積を制御することより、ポンプ部の高圧側のオイルがポンプ部の正常な圧縮に影響を与えるほど漏れすぎないことを確保でき、即ち、オイルが絞り溝を介して第1潤滑溝に流れすぎず、ポンプ部の吐出量に顕著な影響を与えない。第1潤滑溝の流路断面積が小さくなりすぎないように、第1潤滑溝の流路断面積を限定することにより、第1軸受と回転軸との間に油膜を形成できるのに十分な流量の潤滑油を確保でき、流体で潤滑する要件を満たす。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、第1潤滑溝の流路断面積S2と第1軸受の軸穴の横断面積S0との比は、0.02以上0.08以下である。
当該技術的手段において、0.02≦(S2/S0)≦0.08であり、第1潤滑溝の流路断面積が小さくなりすぎないように、第1潤滑溝の流路断面積を限定することにより、第1軸受と回転軸との間に油膜を形成するのに十分な流量の潤滑油を確保でき、流体で潤滑する要件を満たす。第1潤滑溝の流路断面積は、第1軸受と回転軸との間に形成される油膜が厚すぎて、回転軸の消費電力が増加するほど大きくなりすぎない。
さらに、第1軸受の軸穴の横断面積を限定することにより、それを適切な範囲内に位置させ、オイルが回転軸と第1軸受との間の隙間に入るのに影響を与えるほど小さすぎることがなく、同様に、第1軸受の軸穴の横断面積が、第1軸受自体の強度に影響を与えるほど大きすぎることもない。具体的には、第1軸受の軸径は、6mm以上12mm以下である。第1軸受の軸径と第1軸受の変形量との関係図、及び第1軸受の軸径と消費電力との関係図から分かるように、比較すると、軸径が6mm未満である場合、軸受の変形量が大きく、軸受が回転軸を支持するのに不利であり、軸径が12mmよりも大きい場合、軸受の消費電力が急増するため、第1軸受の軸径が上記の範囲を満たし、軸受消費電力の要件を満たすだけでなく、軸受が過度に変形することも回避できる。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、ポンプ装置は、さらに、第1軸受のポンプ部から離れた側に接続されるシール部材を含み、シール部材は、回転軸に嵌設され、シール部材、第1軸受及び回転軸によって液通過室が形成され、液通過室は第1潤滑溝と連通する。
当該技術的手段において、第1軸受はハウジングに接続され、第1軸受は、ハウジングに囲まれたチャンバをモータ室とポンプ室に仕切ることができ、それにより、空間の配置が合理的になり得る。モータ部はモータ室に位置し、ポンプ部はポンプ室に位置する。ここで、シール部材は、第1軸受のポンプ部から離れた側に接続され、かつ、シール部材は、回転軸に嵌設される。具体的には、シール部材がモータ室とポンプ室とを遮断できるため、動作媒体がモータ室内に流入することがなく、モータ室内のステータ、ロータ、制御部などの部材の正常な使用に影響を与えず、モータ室内の部品が腐食されないことを保証するために、モータ室内に他の構造を別途に設置する必要がなく、ポンプ装置のシール性能がよりよくなり、かつ、構造がより簡単になり、コストを低減するのに有利である。
なお、第1軸受の一部は、ポンプ部から離れる方向に延びて取り付け位置を構成し、取り付け位置が第1軸受と一体型構造であるため、後加工の方式に比べ、一体型構造の力学的性質がよいため、接続強度を向上させることができる。また、第1軸受を大量生産して、製品の加工効率を向上させ、製品の加工コストを低下させ、ポンプ装置の全体性を向上させ、部品の数を減らし、取り付け工程を減らし、取り付け効率を向上させる。また、第1軸受の一部がシール部材を取り付けるための取り付け位置を形成することにより、シール部材の取り付けの正確性を向上させ、組立が簡単で、シール性能がよく、コストが低い。
さらに、シール部材、第1軸受及び回転軸によって、第1潤滑溝と連通する液通過室が形成される。シール部材、第1軸受及び回転軸によって形成された液通過室は、一部の潤滑油を貯蔵でき、液通過室は、第1潤滑溝からの潤滑油を貯蔵するために用いられ、シール部材と第1軸受との接続強度、即ちシール部材自体が耐え得る圧力を制御することにより、液通過室は、緩衝の役割を果たすことができ、それにより、液通過室、第1潤滑溝、絞り溝におけるオイルを均圧状態にすることができ、シール部材の位置の安定性を確保する前提で、回転軸と第1軸受との流体潤滑性能を確保するのに有利である。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、ポンプ装置は、さらに、第1軸受に設けられ、液通過室と第2圧力室とを連通する放圧溝を含む。
当該技術的手段において、放圧溝は、第1軸受に設けられ、放圧溝は、液通過室と第2圧力室とを連通するために用いられる。ここでの放圧溝は、貫通穴の両端が第2圧力室と液通過室とを連通するように、貫通穴の形をとってもよく、第2圧力室内の圧力が小さいため、液通過室内の圧力をよりよく放出することができ、オイルの圧力を緩衝するのに、液通過室自体のみに依頼するのではない。
さらに、第1軸受に放圧溝を設置することにより、完全な第1軸受の潤滑油経路を形成でき、即ち第1圧力室(高圧室)内のオイルが第1油溝に入ってから、絞り溝経由で第1軸受と回転軸との隙間及び第1潤滑溝に流入して、回転軸及び第1軸受を十分に潤滑し、油膜を形成して流体で潤滑する要件を満たし、その後、潤滑油は、液通過室に流入して、さらに、放圧溝から第2圧力室(低圧室)に流入し、それにより、潤滑油経路全体における圧力が高くなりすぎないこと、即ち液通過室内の圧力が高くなりすぎないことを確保でき、圧力が、シール部材が耐え得る圧力の限界値よりも高いことを回避し、シール部材の位置の信頼性を確保して、高圧でシール部材が第1軸受から外れて、潤滑油が漏れ、モータ室とポンプ室との間のシール性能を確保できないことを効果的に回避する。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、放圧溝の流路断面積S3と第1潤滑溝の流路断面積S2との比は、1以上4以下である。
当該技術的手段において、1≦(S3/S2)≦4である。第1潤滑溝の流路断面積が小さくなりすぎないように、第1潤滑溝の流路断面積を限定して、第1軸受と回転軸との間に油膜を形成するのに十分な流量の潤滑油を確保し、流体で潤滑する要件を満たし、また、第1潤滑溝の流路断面積は、第1軸受と回転軸との間に形成される油膜が厚すぎて、回転軸の消費電力が増加するほど大きくなりすぎない。
また、放圧溝の流路面積を限定することにより、オイルシール室の圧力が高くなりすぎないことを確保し、オイルシールのシール効果を確保し、液通過室内の圧力が高すぎて、オイルシールが第1軸受から外れることを回避する。本願は、絞り溝の流路断面積、第1潤滑溝の流路断面積及び放圧溝の流路断面積を考慮して、三者が上記の関係式を満たすようにすることにより、第1潤滑溝内のオイル流量が第1軸受と回転軸との潤滑を確保するのに十分であることを保証でき、また、液通過室内の圧力が十分に低くて、シール部材と第1軸受との間のシール接続に影響を与えないことも保証でき、オイルの漏れを効果的に低減させる。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、ポンプ装置は、さらに、第1軸受のポンプ部から離れた端面に設けられる緩衝室を含む。
当該技術的手段において、緩衝室は、第1軸受のポンプ部から離れた端面に設けられ、具体的には、緩衝室は、テーパ状であってもよく、即ち、緩衝室は、テーパ状室であってもよいため、緩衝室は、第1軸受の剛性を低下させることができ、回転軸を柔軟に支持し、第1軸受のポンプ部から離れる軸方向端面の表面圧力を低下させ、第1軸受と回転軸との摩耗状況を効果的に改善する。
さらに、緩衝室の開口の面積は緩衝室の底壁の面積よりも大きい。緩衝室は、回転軸に近い壁面である第1壁面を含み、第1壁面と回転軸との間隔は、緩衝室の開口端から緩衝室の底壁にかけて大きくなり、これは、第1壁面が、斜めに設けられるとともに、緩衝室の開口端に位置する第1壁面の位置が回転軸により近く、第1壁面と回転軸との間隔が開口部で小さく、第1壁面と回転軸との間隔が室の底部に位置する位置で大きく、これにより、第1壁面と溝本体の溝底部との間に直角構造が形成されないと理解できる。第1軸受は、通常、アルミニウム合金材料で製造されるため、回転軸が第1軸受の端部に接触すると、第1軸受が変形し、第1壁面とテーパ状室の底壁との接続箇所は直角構造であり、第1壁面と溝本体の溝底部との接続箇所に、応力が集中する現象が発生し、第1軸受が回転軸の圧力を受けると、第1軸受は、第1壁面と緩衝室の底壁との接続構造箇所で破断しやすくなる。第1壁面が回転軸の軸方向に対して斜めに設けられると、第1壁面と緩衝室の底壁との間は直角構造ではないため、第1軸受の破損率を効果的に低下させることができる。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、緩衝室は、第1壁面と対向して設けられる第2壁面を含み、第2壁面と回転軸との間の間隔は、緩衝室の開口端から緩衝室の底壁にかけて小さくなる。
当該技術的手段において、第2壁面は、回転軸の軸方向に対して斜めに設けられ、第2壁面は、第1壁面と対向して設けられ、第2壁面と回転軸との間の間隔は、緩衝室の開口端から緩衝室の底壁にかけて小さくなり、それにより、第2壁面と第1壁面とは、緩衝室の中心線に対して軸対称に設けられてもよく、即ち、緩衝室は、規則的なテーパ状であってもよく、さらに、回転軸をより柔軟に支持することができる。モータ部から離れる軸方向において、第1壁面と回転軸との間隔が大きくなり、第2壁面と回転軸との隙間が小さくなって、緩衝室が逆テーパ状に構成され、緩衝室の加工中に、逆テーパ状の緩衝室は金型抜きに有利であることが理解できる。
さらに、緩衝室は、リング状構造に構成され、つまり、第1軸受の周方向にかけて緩衝室が設けられ、回転軸が回転すると、第1軸受が受ける径方向の力が随時変化する可能性があり、即ち、第1軸受が複数の方向の変化する径方向の力を受け、第1軸受が受ける径方向の力がどの方向を向いても、リング状の緩衝室の存在により、第1軸受をある程度変形させることができ、それにより、回転軸と第1軸受とが柔軟に接続され、第1軸受が回転軸の径方向の力に対して緩衝の役割を果たし、回転軸と第1軸受との剛性接続により第1軸受が破損しやすいという問題を回避する。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、ポンプ装置は、さらに、ハウジングに連結されるとともに、回転軸に嵌設され、ポンプ部の第1軸受から離れた側に位置する第2軸受を含む。
当該技術的手段において、第2軸受は、ハウジングに連結されるとともに、回転軸に嵌設され、第2軸受はポンプ部の第1軸受から離れた側に位置し、即ち、第1軸受及び第2軸受は、それぞれポンプ部の軸方向の両側に配置され、第1軸受は第2軸受よりもモータ部により近い。第1軸受及び第2軸受は、回転軸を支持する役割を果たすことができ、回転軸、第1軸受及び第2軸受を合わせて使用することにより、ポンプ部の負荷を、回転軸、第1軸受及び第2軸受の3つの部分に均等に分担させ、負荷が回転軸に集中することによって発生可能な回転軸の破損を回避できる。
具体的には、第1軸受及び第2軸受は滑り軸受である。滑り軸受は、ダブル転がり軸受の形態に比べ、円滑で、確実で、騒音なく動作し、液体で潤滑する条件で、滑り面が潤滑油によって分離されて、直接接触せず、摩擦損失及び表面摩耗を大幅に低減することができ、かつ、滑り軸受と回転軸との間の隙間に潤滑油が充填され、滑り面の潤滑油が油膜を1層形成して、流体での潤滑を実現し、油膜は、一定の振動吸収能力も有し、第1軸受、第2軸受及び回転軸の耐用年数を延ばす。2つの滑り軸受が回転軸を支持し、回転軸の遊隙が小さく、回転軸の軸心の正規位置を合理的な範囲内に制御することができ、ダブル転がり軸受と滑り軸受とを合わせて使用する形態に比べ、本実施例は、2つの滑り軸受のみを使用し、支持構造を簡素化することができるだけでなく、コストも低減できる。
さらに、第1軸受は、回転軸に近い第1軸受面を有し、第2軸受は、回転軸に近い第2軸受面を有し、第2軸受面の軸方向高さは第1軸受面の軸方向高さ未満であるかそれと同じであり、即ち以下である。第1軸受とポンプ部との距離が第2軸受とポンプ部との距離と同じである場合、第1軸受及び第2軸受に担持されるポンプ部からの負荷は同じである。しかしながら、第1軸受は第2軸受よりもモータ部により近いため、モータ部のロータの回転中に、ステータとロータとの間に径方向の力が発生し、回転軸に対しても負荷が発生するため、第1軸受は、モータ部からの負荷も担持する必要があり、第2軸受面を第1軸受面以下にすることにより、第1軸受及び第2軸受を回転軸の異なる位置での異なる負荷の要求により適応させ、回転軸の潤滑信頼性を保証する前提で、回転軸の消費電力を最小限まで抑えることができる。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、第2軸受の内側壁の一部が回転軸から離れる方向へ凹んで、第1圧力室と連通する第2潤滑溝を形成する。
当該技術的手段において、第2潤滑溝は、第2軸受の内側壁の一部が回転軸から離れる方向へ凹んで形成され、第2潤滑溝は第1圧力室と連通する。圧力差があるため、第1圧力室内のオイルは、第2潤滑溝を介して第1軸受と回転軸との間の隙間に流入し、回転軸の回転に伴って、第2潤滑溝内のオイルが回転軸の表面に塗布され、ここで、第2潤滑溝は、潤滑油を一時的に貯蔵する役割を果たすことができ、それにより、第2軸受の内壁と回転軸との間に流体潤滑油膜が形成され、回転軸と軸受との間の潤滑性能を一層確保する。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、ポンプ装置は、さらに、第2軸受のポンプ部に近い端面に設けられ、第2軸受の軸穴と連通するスラスト潤滑溝を含む。
当該技術的手段において、スラスト潤滑溝は第2軸受のポンプ部に近い端面に設けられ、スラスト潤滑溝は第2軸受の軸穴と連通する。回転軸は、高速回転時に、第2軸受との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力の作用下で、第2軸受の油溝を介してスラスト潤滑溝に入り、一定の速度及び圧力を形成する。内側歯車の端面とポンプ蓋の端面とは相対的に移動し、スラスト潤滑溝内の潤滑油は油膜を形成でき、したがって、内側歯車の端面及びポンプ蓋の端面の接触面の間に流体潤滑条件が構成され、歯車を潤滑して騒音が低下し、さらに、歯車に対してスラスト力を形成でき、スラスト面、即ち内側歯車とポンプ蓋との間の滑り面の消費電力及び摩耗を大幅に改善することができる。
具体的には、スラスト潤滑溝は、第2軸受のポンプ部に近い端面に設けられ、スラスト潤滑溝は、第2軸受及び第2軸受の軸穴と連通する。第2軸受と回転軸との嵌合隙間内に潤滑油があり、回転軸の高速回転中に、回転軸は、自分と第2軸受との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力ωの作用下で、嵌合隙間からスラスト潤滑溝内に入り、このとき、スラスト潤滑溝内に入った潤滑油は、一定の速度及び圧力を有する。第2軸受とポンプ部との接触端面隙間が小さく、スラスト潤滑溝内の潤滑油は、第2軸受とポンプ部との端面隙間に流れてもよい。また、ポンプ部と第2軸受とは相対的に移動するので、ポンプ部と第2軸受との接触端面の間に流体潤滑条件が構成され、即ち、第2軸受とポンプ部との接触端面に油膜が形成されるため、第2軸受とポンプ部との間は、境界潤滑から流体潤滑に推移し、それにより、ポンプ部と第2軸受との接触端面の摩耗状況を大幅に改善して、消費電力を低下させることができる上に、ポンプ装置の稼働騒音も低下させることができる。
さらに、スラスト潤滑溝の軸方向での溝口の面積は、スラスト潤滑溝の溝底部の面積よりも大きい。
当該実施例において、スラスト潤滑溝は、溝口を2つ含み、2つの溝口の向きは異なり、1つの溝口はポンプ部を向き、他の溝口は回転軸を向く。本設計では、ポンプ部を向く溝口の面積が溝底部の面積よりも大きいと限定する。つまり、ポンプ部から離れる軸方向、即ち上から下への方向において、スラスト潤滑溝は、クビレ状を呈する。即ち、スラスト潤滑溝の溝壁は傾斜状を呈し、このとき、スラスト潤滑溝内に入った潤滑油は一定の速度及び圧力を有する一方、第2軸受とポンプ部とが接触する端面の隙間が小さいため、スラスト潤滑溝の溝壁は傾斜状を呈し、すると、スラスト潤滑溝と端面隙間との間は収束するくさび形の挟角を呈し、スラスト潤滑溝内の潤滑油は傾斜した溝壁に沿って、ポンプ部と第2軸受との端面隙間に流れ、即ち、潤滑油が「大口」から「小口」に入る。なお、「大口」とは、スラスト潤滑溝を言い、「小口」とは第2軸受とポンプ部との隙間を言う。それにより、ポンプ部と第2軸受との間の潤滑性を高めることができるため、両者間の潤滑状態は、境界潤滑から流体潤滑に推移し、それにより、両者間の摩耗率を効果的に低下させる。
また、回転軸及びポンプ部の高速回転中に、ポンプ部と第2軸受との接触面の間の油膜によってポンプ部が上向きに移動するように押す力Fが生成され、それにより、第2軸受及びポンプ部の端面内に位置する潤滑油は、フローティングシールの役割を果たすため、端面の漏れを一層低減することができる。関連文献によると、ポンプ装置の端面漏れは、ポンプ装置の総漏れ量の75%~80%を占め、したがって、ポンプ装置の各接触端面間の漏れを改善することは最も重要になる。なお、潤滑油は、一定の粘度を有する。
さらに、スラスト潤滑溝は、少なくとも1つのスラストセグメントを含むスラスト壁を含み、少なくとも1つのスラストセグメントは、第1スラストセグメントを含み、第1スラストセグメントは、ポンプ部から離れる軸方向において、スラスト潤滑溝の中心に近く延びる。
当該技術的手段において、スラスト潤滑溝は、傾斜壁であるスラスト壁を含む。スラスト壁は、ポンプ部から離れる軸方向、即ち上から下への方向において、スラスト潤滑溝の中心に近く延びる。スラスト壁は、少なくとも1つのスラストセグメントを含み、少なくとも1つのスラストセグメントは第1スラストセグメントを含み、第1スラストセグメントは、ポンプ部から離れる軸方向において、スラスト潤滑溝の中心に近く延びる。このとき、スラスト潤滑溝、ポンプ部及び第2軸受の端面の間に端面隙間が形成され、両者間に収束したくさび形の挟角が形成されると、スラスト潤滑溝内の潤滑油は、傾斜した第1スラストセグメントに沿ってポンプ部と第2軸受との端面隙間内に流れ、即ち、潤滑油は「大口」から「小口」に入る。なお、「大口」とはスラスト潤滑溝を言い、「小口」とは第2軸受とポンプ部との隙間を言う。そのため、ポンプ部と第2軸受との間の潤滑性を高めることができることにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
なお、第1スラストセグメントは、少なくとも1つのストレートセグメント、少なくとも1つの湾曲セグメントで構成されたものであってもよく、第1スラストセグメントは、ポンプ部に近い第1端及びポンプ部から離れた第2端を有し、第1スラストセグメントの第2端は、スラスト潤滑溝の中心に近く延び、つまり、第1スラストセグメントの斜めに延びる傾向は、上記の関係を満たすと、潤滑油が流動しやすくなるようにすることができる。第1スラストセグメントは、複数の曲面から構成されてもよいし、複数の円弧から構成されてもよい。
さらに、第1スラストセグメントと第2軸受の軸方向端面との間の挟角αは、0°よりも大きく90°未満である。
当該実施例において、第2軸受の軸方向端面とは、第2軸受上のポンプ部に近い軸方向端面を言い、第1スラストセグメントと当該軸方向端面との間の挟角は、0°<α<90°を満たすため、第1スラストセグメントがよりよく潤滑油を第2軸受とポンプ部との間の端面隙間内にガイドすることができ、潤滑油が、自分の速度及び圧力かつ第1スラストセグメントのガイドにより、端面隙間に入ることを確保し、スラスト潤滑溝と端面隙間との間が収束するくさび形の挟角になり、すると、スラスト潤滑溝内の潤滑油は、傾斜した溝壁に沿ってポンプ部と第2軸受との端面隙間内に流れ、即ち、潤滑油は、「大口」から「小口」に入る。それにより、ポンプ部と第2軸受との間の潤滑性を高めるため、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。さらに、第1スラストセグメントと第2軸受の軸方向端面との間の挟角αは45°である。なお、フォーミングカッターでの加工により、第2軸受のポンプ部に近い端面に傾斜した第1スラストセグメントを加工できる。具体的には、スラスト潤滑溝の縦断面(軸方向に沿う)は逆三角形や半円形などを呈することができる。
さらに、少なくとも1つのスラストセグメントは、さらに、軸方向に延びて第1スラストセグメントとスラスト潤滑溝の溝底部との間に接続される第2スラストセグメントを含む。
当該実施例において、少なくとも1つのスラストセグメントは、さらに、軸方向に沿って延びて第1スラストセグメント及び溝底部に接続される第2スラストセグメントを含み、第2スラストセグメントと第1スラストセグメントとは協働してスラスト壁を形成し、それにより、スラスト潤滑溝の体積が潤滑要件を満たすことを確保する。なお、加工中に、第2軸受のポンプ部を向く端面にストレート溝を加工してから、面取りを加工することにより、第1スラストセグメント及び第2スラストセグメントを形成でき、上記の加工順序により、スラスト潤滑溝の加工難易度を低減することができる。
さらに、スラスト壁の数は、少なくとも2つである。
当該実施例において、スラスト壁の数は少なくとも2つであり、少なくとも2つのスラスト壁の各々は、少なくとも1つのスラストセグメントを含む。少なくとも1つのスラストセグメントは、第1スラストセグメントを含む。少なくとも1つのスラストセグメントは、さらに、第2スラストセグメントを含む。なお、少なくとも2つのスラスト壁の構造は等しくてもよいし、等しくなくてもよく、スラスト壁の数が3つである場合、3つのスラスト壁の構造は、一部が等しくてもよいし、一部が等しくなくてもよい。
さらに、少なくとも2つのスラスト壁は、第1スラスト壁を含み、第1スラスト壁の第1端は、第2軸受の内側壁に連結され、第1スラスト壁と第2軸受の内側壁との接続点が位置する接平面が第1基準面であり、第1スラスト壁と第1基準面との間の挟角β1は、0°以上90°未満である。
当該実施例において、第1スラスト壁の第1端が第1スラスト壁の始端であり、第1スラスト壁の第2端が第1スラスト壁の終端であり、第1端は、第2軸受の内側壁に連結され、第2軸受の内側壁が第2軸受の軸穴の側壁である。第1端と第2軸受との接続点が位置する接平面が第1基準面であり、第1スラスト壁と第1基準面との間の挟角β1が、0°以上90°未満である。回転軸の高速回転中に、回転軸は、自分と第2軸受との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力ωの作用下で、嵌合隙間からスラスト潤滑溝内に入り、このとき、スラスト潤滑溝内に入った潤滑油は、一定の速度及び圧力を有する。第1スラスト壁が回転軸の回転方向に偏るため、スラスト潤滑溝内の潤滑油が軸カット及び面カットされ、それにより、スラスト潤滑溝の軸穴に近い位置に負圧が形成されて、回転軸と第2軸受との間の潤滑油を吸い込み、スラスト潤滑溝の軸穴から離れる位置での圧力は高く、よりよくスラスト潤滑溝内の潤滑油を傾斜したスラスト壁に沿って第2軸受とポンプ部との間の端面隙間に流せることができ、そのため、ポンプ部と第2軸受との間の潤滑性を高めることができ、それにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
さらに、少なくとも2つのスラスト壁は、さらに、第1スラスト壁と対向して設けられる第2スラスト壁を含み、第2スラスト壁の第1端は、第2軸受の内側壁に連結され、第2スラスト壁と第2軸受の内側壁との接続点が位置する接平面が第2基準面であり、第2スラスト壁と第2基準面との間の挟角β2は、0°よりも大きく90°未満である。
当該実施例において、少なくとも2つのスラスト壁は、さらに、第2スラスト壁を含み、第2スラスト壁の第1端が第2スラスト壁の始端であり、第2スラスト壁の第2端が第2スラスト壁の終端であり、第2端は第2軸受の内側壁に連結され、第2軸受の内側壁が第2軸受の軸穴の側壁である。第1端と第2軸受との接続点が位置する接平面が第2基準面であり、第2スラスト壁と第2基準面との間の挟角β2は、0°以上90°未満である。回転軸の高速回転中に、回転軸は、自分と第2軸受との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力ωの作用下で、嵌合隙間からスラスト潤滑溝内に入り、このとき、スラスト潤滑溝内に入った潤滑油は、一定の速度及び圧力を有する。第2スラスト壁が回転軸の回転方向に偏るため、スラスト潤滑溝内の潤滑油が軸カット及び面カットされ、それにより、スラスト潤滑溝の軸穴に近い位置に負圧が形成されて、回転軸と第2軸受との間の潤滑油を吸い込み、スラスト潤滑溝の軸穴から離れる位置での圧力は高く、よりよくスラスト潤滑溝内の潤滑油を傾斜したスラスト壁に沿って第2軸受とポンプ部との間の端面隙間に流せることができる。そのため、ポンプ部と第2軸受との間の潤滑性を高めることができ、それにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
さらに、少なくとも2つのスラスト壁は、さらに、第1スラスト壁の第2端及び第2スラスト壁の第2端にそれぞれ連結される第3スラスト壁を含む。
当該実施例において、少なくとも2つのスラスト壁は、さらに、第1スラスト壁の第2端及び第2スラスト壁の第2端にそれぞれ連結される第3スラスト壁を含む。即ち、第1スラスト壁、第2スラスト壁及び第3スラスト壁が一緒にスラスト潤滑溝を構成するため、スラスト潤滑溝の形状設計が容易になる。
なお、第1スラスト壁、第2スラスト壁及び第3スラスト壁の第2軸受の軸方向端面での投影は、ストレートセグメントであってもよいし、曲面セグメントであってもよい。
さらに、スラスト潤滑溝の第3スラスト壁は円弧状壁である。
当該実施例において、第3スラスト壁は円弧状壁であり、即ち第3スラスト壁の第2軸受の軸方向端面での投影が円弧状セグメントである。第3スラスト壁に対応する位置は、スラスト潤滑溝の軸穴から離れた位置であるため、スラスト潤滑溝内でこの位置に対応する潤滑油の圧力が高く、第3スラスト壁を円弧状壁にすることにより、スラスト潤滑溝内の潤滑油が流れやすくなり、即ち、潤滑油が「大口」から「小口」に入りやすく、ポンプ部と第2軸受との間の潤滑性を高めることができ、それにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、ハウジングは、ケース及びポンプ蓋を含み、ケースは、モータ部及びポンプ部の外側に周設され、ケースは第1軸受に連結される。ポンプ蓋は、ケースに接続され、ポンプ蓋はケースとチャンバを形成し、ポンプ蓋は第2軸受に連結され、ポンプ蓋は、一部がポンプ部から離れる方向に延びて、オイルプールを形成するための延在部を構成する。第2軸受の軸穴は、軸方向に貫通する貫通穴であり、貫通穴の一端は、スラスト潤滑溝と連通し、貫通穴の他端は、オイルプールと連通するために用いられる。
当該技術的手段において、ハウジングは、ケースと、ケースに接続されるポンプ蓋とを含み、ポンプ蓋はケースとチャンバを形成し、ケースはモータ部及びポンプ部の外側に周設される。ケースは第1軸受に連結され、ポンプ蓋は第2軸受に連結される。第1軸受はケースと一体成形されてもよく、ケースは第1軸受と一体成形され、後加工の方式に比べ、接続強度がより高く、スペースも節約でき、機械全体の高さを低くし、そして、製造プロセスの難易度を低下させ、製造コストを低減することができる。ポンプ蓋は第2軸受と一体成形されてもよく、より多くの高さスペースを節約でき、機械全体の高さを低くすることができるだけでなく、コストを低減することもできる。
さらに、延在部は、ポンプ蓋の一部がポンプ部から離れる方向に延びる構造で形成されるので、延在部はポンプ蓋と一体成形され、後加工の方式に比べ、接続強度が大きい。延在部は、潤滑油を貯蔵できるオイルプールを形成するために用いられる。第2軸受の軸穴は、軸方向に貫通する貫通穴であり、貫通穴の両端は、それぞれスラスト潤滑溝及びオイルプールと連通する。
具体的には、回転軸の高速回転中に、回転軸は、自分と第2軸受との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力の作用下で、嵌合隙間(貫通穴)からスラスト潤滑溝内に入り、このとき、スラスト潤滑溝内に入った潤滑油は一定の速度及び圧力を有する。スラスト潤滑溝内の潤滑油が軸カット及び面カットされるため、スラスト潤滑溝の軸穴に近い位置に負圧が形成されて、回転軸と第2軸受との間の潤滑油を吸い込み、スラスト潤滑溝の軸穴から離れる位置での圧力は高く、よりよくスラスト潤滑溝内の潤滑油を第2軸受とポンプ部との間の端面隙間に押し入れることができる。そのためポンプ部と第2軸受との間の潤滑性を高めることができ、それにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
さらに、オイルは、ポンプ部と第2軸受との間の接触面を潤滑するために、スラスト潤滑溝内にポンプされてから、第2軸受とポンプ部との間の隙間に入り、その後、圧力差及び重力の作用下で、低圧領域のオイルプールに入る。
具体的には、第2軸受の潤滑油経路は、次のとおりである。オイルは、オイルプール経由で第2軸受と回転軸との隙間内(貫通穴、第2潤滑溝)に入ってから、スラスト潤滑溝内に入り、スラスト潤滑溝の作用下で、オイルはポンプ部と第2軸受との端面隙間内に入り、圧力差及び重力の作用下で、低圧オイルプールに入る。第2軸受に対して完全な潤滑油経路を形成することは、第2軸受と回転軸との間の潤滑性能を確保するのに有利である。
さらに、ポンプ蓋は第2軸受と一体成形され、後加工の方式に比べ、接続強度がより高く、スペースも節約でき、機械全体の高さを低くし、そして、製造プロセスの難易度を低下させ、製造コストを低減することができる。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、ハウジングは、ケース及びポンプ蓋を含み、ケースは、モータ部及びポンプ部の外側に周設され、ケースは第1軸受に連結される。ポンプ蓋は、ケースに接続されて、ケースとチャンバを形成し、第2軸受に連結され、第2軸受の軸穴は、一端が開口した止まり穴である。連通溝は、第2軸受及び/又はポンプ蓋に開けられ、連通溝は、第1圧力室と止まり穴とを連通する。
当該技術的手段において、ハウジングは、ケースと、ケースに接続されるポンプ蓋とを含み、ポンプ蓋は、ケースとチャンバを形成し、ケースはモータ部及びポンプ部の外側に周設される。ケースは第1軸受に連結され、ポンプ蓋は第2軸受に連結される。第1軸受はケースと一体成形されてもよく、ケースは第1軸受と一体成形され、後加工の方式に比べ、接続強度がより高く、スペースも節約でき、機械全体の高さを低くし、そして、製造プロセスの難易度を低下させ、製造コストを低減することができる。ポンプ蓋は第2軸受と一体成形されてもよく、より多くの高さスペースを節約でき、機械全体の高さを低くすることができるだけでなく、コストを低減することもできる。
さらに、第2軸受の軸穴は、一端が開口した止まり穴であり、連通溝は第2軸受及び/又はポンプ蓋に開けられ、連通溝は第1圧力室と止まり穴とを連通するために用いられる。具体的には、第2軸受の潤滑油経路は、次のとおりである。加圧後のオイルは第1圧力室(高圧室)から連通溝経由で止まり穴(第2軸受と回転軸との間の隙間、第2潤滑溝)内に入ってから、第2軸受とポンプ部との間の隙間経由で低圧領域に戻り、ここでの低圧領域とは、具体的には、オイル供給口や第2圧力室を言う。第2軸受に対して完全な潤滑油経路を形成することにより、第2軸受と回転軸との間の潤滑性能を確保するのに有利である。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、ポンプ部は、第1回転部材及び第2回転部材を含み、第1回転部材は回転軸と嵌合する。第2回転部材は、第1回転部材の外側に設けられ、第2回転部材は第1回転部材に連動されて回転可能になり、第2回転部材は、第1回転部材と第1圧力室及び第2圧力室を構成する。ポンプ装置は、さらに、オイル供給口及びオイル出口を含み、オイル供給口は、ポンプ蓋及び/又は第2軸受に軸方向に開けられ、オイル供給口は第2圧力室と連通し、オイル出口は、ポンプ蓋及び第2軸受に径方向に開けられ、オイル出口はポンプ部の第1圧力室と連通する。
当該技術的手段において、ポンプ部は、第1回転部材及び第2回転部材を含み、第1回転部材は回転軸と嵌合し、第2回転部材は、第1回転部材の外側に設けられ、第2回転部材は、第1回転部材に連動されて回転可能になり、これは、回転軸が第1回転部材を介して第2回転部材を作動させることができると理解できる。第1回転部材及び第2回転部材の構造を設置することにより、第1圧力室及び第2圧力室を形成し、かつ、第1圧力室が高圧室で、第2圧力室が低圧室である。
なお、第1回転部材が内側歯車で、第2回転部材が外側歯車であり、即ちポンプ部は歯車ポンプである。具体的には、歯車ポンプの噛み合い過程において、前の一対の歯が未だ噛合から外れていないうちに、後ろの一対の歯はすでに噛合過程に入り、各内歯面が全部外歯面に接触して、密閉収容室を形成し、内側歯車の自転に伴って、密閉収容室の体積が変化し、アンロードチャネルに連通できないと、閉じ込み容積を形成する。液体の圧縮性が非常に小さいため、閉じ込み容積が大きいものから小さいものに変わると、閉じ込み容積に存在する液体が押され、圧力が急激に上昇して、歯車ポンプの動作圧力を大幅に上回る。また、閉じ込み容積内の液体もすべての漏れ可能なスリットから無理に押されるため、回転軸及び軸受の両方ともとても大きい衝撃荷重を受け、動力損失が増加して油が熱くなって、騒音及び振動が発生し、歯車ポンプの動作の円滑性及び耐用年数を低下させる。閉じ込み容積が小さいものから大きいものになるとき、真空が形成され、液体中に溶け込んだ空気が分離されて気泡が発生し、キャビテーション、騒音、振動、流量、圧力脈動などの弊害をもたらす。閉込現象を解決する方法として、歯車の両端の蓋にアンロード溝を開け、密閉容積が小さくなるときに、アンロード溝が圧油室と連通し、密閉容積が大きくなるときに、アンロード溝を介して吸油室と連通する方法を採用する。
具体的には、内側歯車は、外側歯車の共役曲線歯形の輪郭との噛合により、各歯はいずれも互いに接触し、外側歯車が連動されて同じ方向に回転する。内側歯車によって外側歯車の内部キャビティが複数の動作室に仕切られ、内側歯車と外側歯車の中心が偏っているため、複数の動作室の容積は、ロータの回転により変化し、容積が大きくなる領域に一定の真空が形成され、オイル供給口が当該部位に設けられ、容積が小さくなる領域の圧力が高くなり、オイル出口は対応してそこに設けられる。
さらに、ポンプ装置は、さらに、オイル供給口及びオイル出口を含み、オイル供給口は、ポンプ蓋及び/又は第2軸受に軸方向に開けられ、かつ、オイル供給口は第2圧力室と連通する。第2圧力室が低圧室であり、室外と圧力差があるため、オイルは、オイル供給口を介して第2圧力室内に入る。オイル出口は、ポンプ蓋及び第2軸受に径方向に開けられ、かつ、オイル出口は第1圧力室と連通する。第1圧力室が高圧室であり、室外と圧力差があるため、第1圧力室内のオイルは、オイル出口を介して流出する。即ち、ポンプ装置のメイン油路は、次のとおりである。第2圧力室及びオイル供給口に負圧が発生でき、負圧の作用下で、オイルプール内のオイルがオイル供給口に吸引されて、第2圧力室(低圧室)に入り、第2圧力室に入ったオイルは第1回転部材及び第2回転部材の作用下で、高圧室に入って加圧され、加圧後のオイルはオイル出口を介して排出される。
なお、オイル供給口及びオイル出口の設計原理は次のとおりである。歯車の回転を保証する過程において、オイル供給口を第1回転部材や第2回転部材の歯間にできるだけ早く連通させ、内側歯車及び外側歯車に最大容積が形成されるまで、歯車容積室は常にオイル供給口と連通し、そして、内歯と外歯との間の容積室内にオイルを充満させて吸油量を保証するように、オイルの充填時間をできるだけ延長する必要がある。オイル出口もできるだけ早く歯間の高圧オイルに連通させて、歯間の過圧縮仕事を減らし、できるだけ遅く閉じて、流体の慣性を十分に利用して歯間のオイルを排出し尽くし、それより、内側噛合する歯車式のオイルポンプの容積効率を向上させる。しかし、内側歯車と外側歯車とが最大容積を形成する場合、オイル供給口と連通できず、ポンプ装置の低速時の容積効率に影響を与えることを回避することに留意されたい。
上記のいずれか1つの技術的手段において、さらに、モータ部は、さらに、ロータ及びステータを含み、ロータは回転軸に連結され、ステータはロータの外側に嵌設され、ステータはステータコア及びステータ巻線を含み、ステータ巻線はステータコアに設けられる。ポンプ装置は、さらに、モータ部のポンプ部から離れた側に設けられる制御部を含み、制御部は、ハウジングに接続されているとともにチャンバ内に位置し、ステータ巻線の端部は制御部に電気的に接続される。
当該技術的手段において、モータ部は、さらに、ロータ及びステータを含む。ここで、ロータは回転軸に連結され、可能に、ロータと回転軸とは同軸に設けられてもよく、かつ、ロータと回転軸との嵌合方式は締まり嵌めであってもよく、また、可能に、ロータと回転軸とは異なる軸に設けられるが、両者は伝達可能に接続され、実際の状況に応じて柔軟に設けられる。ステータはロータの外側に嵌設され、ステータはステータコア及びステータ巻線を含み、ステータ巻線はステータコアに設けられる。
また、ポンプ装置は、さらに、モータ部のポンプ部から離れた側に設けられる制御部を含み、即ち、制御部は、モータ部のポンプ部から離れた位置に設けられ、動作中にポンプ部に近い位置の振動が明らかであり、かつ、受ける負荷が大きいため、制御部はポンプ部から離れ、制御部をある程度保護する役割を果たすことができ、制御部の耐用年数を延ばす。
さらに、制御部は、ハウジングに接続されているとともに、チャンバ内に位置し、ステータ巻線の端部は制御部に電気的に接続される。
具体的には、ポンプ装置の動作中に、制御部はステータにおけるステータ巻線の電流が一定の規則にしたがって変化するように制御することにより、ステータを制御して変化する励磁磁界を発生し、ロータが励磁磁界の作用下で回転することにより、ポンプ部における第1回転部材が回転軸に連動されて回転し、さらに、第2回転部材が移動するようになる。ポンプ部における第1回転部材及び第2回転部材が回転すると、第2回転部材が偏って移動するため、第1回転部材と第2回転部材との間に形成された圧縮室の容積が変化することにより、圧縮室内に入った動作媒体がオイル出口に押し出されて流れる動力が発生する。
本願の第2態様の実施例は、上記のいずれか1つの実施例におけるポンプ装置を含む車両を提供する。
本願の車両の実施例によれば、ポンプ装置を含み、さらに、車両は、特殊車両であってもよく、かつ、車両はポンプ装置のすべての利点を有する。
なお、車両は、従来のガソリン車であってもよいし、新エネルギー車であってもよい。ここで、新エネルギー車には、純電気自動車、レンジエクステンデッド型電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、水素エンジン自動車などが含まれる。
上記の技術的手段において、車両は、ポンプ装置が設けられる車体と、車体に設けられる、ポンプ装置の延在部に連結される取り付け座を含むエンジンとを含む。
当該技術的手段において、車両は、車体及びエンジンを含む。ポンプ装置及びエンジンは、両方とも車体に設けられ、エンジンは、ポンプ装置の延在部に連結される取り付け座を含むため、取り付け座と延在部との嵌合により、エンジンとポンプ装置との接続を実現できる。
ここで、車両が上記の第1態様のいずれか1つのポンプ装置を含むため、上記のいずれか1つの実施例の有益な効果を有し、ここでは詳細な説明を省略する。
本願の実施例の追加の態様及び利点は、以下の説明の節で明らかとなるか、または、本願の実施によって理解されるであろう。
本願の実施例の上記の目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、以下では、図面及び具体的な実施形態を参照しながら、本願の実施例についてさらに詳細に説明する。なお、矛盾が生じない限り、本願の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせてもよい。
下記の説明において、本願を十分に理解させるために、多くの具体的な詳細が記載されているが、本願の実施例は、ここに説明されているものと異なる形態で実施されてもよく、そのため、本願の保護範囲は以下に開示された具体的な実施例に限定されない。
以下、図1~図6を参照しながら、本願の一部の実施例にて提供されるポンプ装置100及び車両200について説明する。
実施例1
本願の第1態様の実施例は、ポンプ装置100を提供し、図1、図2及び図3に示すように、ハウジング110、モータ部120、ポンプ部130、第1軸受140、第1油溝141及び絞り溝142を含む。ここで、ハウジング110はチャンバ111を有する。モータ部120は、モータ部120の中心軸線の周りを回転する回転軸121を含む。ポンプ部130は、モータ部120の軸方向の一方側に設けられるとともに、回転軸121に接触し、ポンプ部130は、回転軸121に連動されて回転可能になる。ポンプ部130は、第1圧力室131及び第2圧力室132を含み、第1圧力室131が受ける圧力は、第2圧力室132が受ける圧力よりも大きい。第1軸受140は、ハウジング110に連結されるとともに、回転軸121に嵌設され、第1軸受140はモータ部120とポンプ部130との間に位置する。第1油溝141は、第1軸受140のポンプ部130を向く第1端面に設けられ、第1油溝141は、第1圧力室131と連通する。絞り溝142は、第1端面に設けられ、絞り溝142は、第1油溝141と、第1軸受140と回転軸121との間の隙間とを連通する。
本願にて提供されるポンプ装置100の実施例によれば、ポンプ装置100は、ハウジング110、モータ部120、ポンプ部130、第1軸受140、第1油溝141及び絞り溝142を含む。ここで、ハウジング110はチャンバ111を有し、モータ部120及びポンプ部130はチャンバ111内に設けられるため、ハウジング110により、モータ部120やポンプ部130が外部環境の影響を受けずに正常に稼働できることを確保する。モータ部120は、モータ部120の中心軸線の周りを回転する回転軸121を含み、ポンプ部130は、モータ部120の軸方向の一方側に設けられ、かつ、回転軸121に接触し、具体的には、ポンプ部130は回転軸121と締まり嵌めであり、ポンプ部130が回転軸121に連動されて回転可能になり、これは、モータ部120が回転軸121を介してポンプ部130を駆動して作動させると理解できる。ポンプ部130は、第1圧力室131及び第2圧力室132を含み、第1圧力室131が受ける圧力は第2圧力室132が受ける圧力よりも大きく、さらに、第1圧力室131は高圧室であってもよく、第2圧力室132は低圧室であってもよい。
また、第1軸受140はハウジング110に連結され、第1軸受140は、モータ部120とポンプ部130との間に位置し、第1軸受140は回転軸121に嵌設され、第1軸受140は、ある程度回転軸121を支持する役割を果たすことができる。なお、第1軸受140は、回転軸121に潤滑支持を提供でき、第1軸受140及び回転軸121は、軸心が重なるため、実際に動作中に、回転軸121が、ポンプ部130を駆動して回転させるので、ポンプ部130は、回転軸121に径方向の力を印加し、回転軸121は、径方向の力を受けながら、第1軸受140が一方側に偏るように押し、このとき、回転軸121は、第1軸受140に接触し、第1軸受140は、回転軸121に支持作用を提供し、それにより、回転軸121の遊隙を合理的な範囲内に制御することができるため、回転軸121の軸心の制御が容易になる。
なお、第1軸受140は滑り軸受であり、滑り軸受とは、滑り摩擦で動作する軸受を言う。滑り軸受は、転がり軸受の形態に比べ、円滑で、確実で、騒音なく動作し、液体で潤滑する条件で、滑り面が潤滑油によって分離されて、直接接触せず、摩擦損失及び表面摩耗を大幅に低減することができ、かつ、滑り軸受と回転軸121との間の隙間に潤滑油が充填され、滑り面の潤滑油が油膜を1層形成して、流体での潤滑を実現し、油膜は、一定の振動吸収能力も有し、第1軸受140及び回転軸121の耐用年数を延ばす。
さらに、図3に示すように、第1油溝141は、第1軸受140のポンプ部130を向く第1端面に設けられ、第1油溝141は第1圧力室131と連通し、第1圧力室131内の圧力が大きいため、オイルの一部は第1圧力室131から第1油溝141内に流れてから、回転軸121と第1軸受140との隙間に流入して、第1軸受140と回転軸121との間の潤滑性能を保証する。
さらに、図3に示すように、絞り溝142は、第1端面に設けられ、即ち、絞り溝142は、第1軸受140のポンプ部130を向く第1端面に設けられ、絞り溝142は、第1油溝141と、第1軸受140と回転軸121との間の隙間とを連通するために用いられる。つまり、第1圧力室131内のオイルは、先に、第1油溝141に流れ、絞り溝142を介して第1軸受140と回転軸121との間の隙間に流れ、絞り溝142は、第1軸受140と回転軸121との隙間にオイルが過剰に流れ、さらに、ポンプ装置100の吐出量に影響を与えることを効果的に回避できる。
そのため、第1軸受140と回転軸121との間の流体潤滑性能を確保するために、つまり、第1軸受140と回転軸121との間の隙間に潤滑油を十分に提供するとともに、ポンプ部130の吐出量が大きく漏れないように、即ち、ポンプ部130の吐出量が潤滑用のオイルの影響を顕著に受けないように確保するために、第1油溝141と絞り溝142とを合わせて使用することにより、第1軸受140と回転軸121との間の潤滑要件を実現するだけでなく、第1軸受140内の流量が大きすぎて、ポンプ装置100の吐出量を低下させることにもならない。
具体的には、第1油溝141は、ポンプ部130の高圧側の各収容室間の圧力を釣り合わせることができ、それにより、高圧側の各収容室の圧力が近くなるため、稼働中の騒音及び機械的振動を低減することができる。
さらに、図3に示すように、絞り溝142の流路断面積が第1油溝141の流路断面積未満であるため、絞り溝142により、第1軸受140と回転軸121との間の隙間内の潤滑油の流量を制御できる。
さらに、図1~図3に示すように、第1軸受140の内側壁の一部が回転軸121から離れる方向へ凹んで、絞り溝142と連通する第1潤滑溝143を形成する。
当該実施例において、第1潤滑溝143は、第1軸受140の内側壁の一部が回転軸121から離れる方向へ凹んで形成され、第1潤滑溝143は絞り溝142と連通する。圧力差があるため、第1圧力室131内のオイルは、第1油溝141、絞り溝142を順次通過してから、第1軸受140と回転軸121との間の隙間に流入しつつ、第1潤滑溝143を充填することもでき、回転軸121の回転に伴い、第1潤滑溝143内のオイルが回転軸121の表面に塗布され、ここで、第1潤滑溝143は潤滑油を一時的に貯蔵する役割を果たし、それにより、第1軸受140の内壁と回転軸121との間に流体潤滑油膜が形成されて、回転軸121と軸受との間の確実な潤滑性を一層確保できる。さらに、第1潤滑溝143は、軸方向に沿って第1軸受140に穿設され、第1潤滑溝143は第1軸受140の軸穴と連通し、第1潤滑溝143の一端は絞り溝142と連通し、第1潤滑溝143の他端は、モータ室の方向に向いて延びる。さらに、第1潤滑溝143の数は少なくとも1つであり、実際の潤滑要件に応じて柔軟に設置すればよい。
さらに、絞り溝142の流路断面積S1と第1潤滑溝143の流路断面積S2との比は、0.1以上0.4以下である。
当該実施例において、0.1≦(S1/S2)≦0.4であり、絞り溝142の流路断面積が大きくなりすぎないように、絞り溝142の流路断面積を制御することにより、ポンプ部130の高圧側のオイルが、ポンプ部130の正常な圧縮に影響を与えるほど漏れすぎないことを確保でき、即ち、オイルが絞り溝142を介して第1潤滑溝143に流れすぎず、ポンプ部130の吐出量に顕著な影響を与えない。第1潤滑溝143の流路断面積が小さくなりすぎないように、第1潤滑溝143の流路断面積を限定することにより、第1軸受140と回転軸121との間に油膜を形成できるのに十分な流量の潤滑油を確保でき、流体で潤滑する要件を満たす。
さらに、第1潤滑溝143の流路断面積S2と第1軸受140の軸穴の横断面積S0との比は、0.02以上0.08以下である。
当該実施例において、0.02≦(S2/S0)≦0.08であり、第1潤滑溝143の流路断面積が小さくなりすぎないように、第1潤滑溝143の流路断面積を限定することにより、第1軸受140と回転軸121との間に油膜を形成するのに十分な流量の潤滑油を確保でき、流体で潤滑する要件を満たす。第1潤滑溝143の流路断面積は、第1軸受140と回転軸121との間に形成される油膜が厚すぎて、回転軸121の消費電力が増加するほど大きくなりすぎない。
さらに、第1軸受140の軸穴の横断面積を限定することにより、それを適切な範囲内に位置させ、オイルが回転軸121と第1軸受140との間の隙間に入るのに影響を与えるほど小さすぎることがなく、同様に、第1軸受140の軸穴の横断面積が、第1軸受140自体の強度に影響を与えるほど大きすぎることもない。具体的には、第1軸受140の軸径は、6mm以上12mm以下である。第1軸受140の軸径と第1軸受140の変形量との関係図、及び第1軸受140の軸径と消費電力との関係図からわかるように、比較すると、軸径が6mm未満である場合、軸受の変形量が大きく、軸受が回転軸121を支持するのに不利であり、軸径が12mmよりも大きい場合、軸受の消費電力が急増するため、第1軸受140の軸径が上記の範囲を満たし、軸受消費電力の要件を満たすだけでなく、軸受が過度に変形することも回避できる。
さらに、図1、図2及び図4に示すように、ポンプ装置100は、さらに、第1軸受140のポンプ部130から離れた側に接続されるシール部材150を含み、シール部材150は、回転軸121に嵌設され、シール部材150、第1軸受140及び回転軸121によって液通過室151が形成され、液通過室151は第1潤滑溝143と連通する。
当該実施例において、第1軸受140はハウジング110に接続され、第1軸受140はハウジング110に囲まれたチャンバ111をモータ室とポンプ室に仕切ることができ、それにより、空間の配置が合理的になり得る。モータ部120はモータ室に位置し、ポンプ部130はポンプ室に位置する。ここで、シール部材150は、第1軸受140のポンプ部130から離れた側に接続され、かつ、シール部材150は、回転軸121に嵌設される。具体的には、シール部材150がモータ室とポンプ室とを遮断できるため、動作媒体がモータ室内に流入することがなく、モータ室内のステータ123、ロータ122、制御部190などの部材の正常な使用に影響を与えず、モータ室内の部品が腐食されないことを保証するために、モータ室内に他の構造を別途に設置する必要がなく、ポンプ装置100のシール性能がよりよくなり、かつ、構造がより簡単になり、コストを低減するのに有利である。
なお、図1、図2及び図4に示すように、第1軸受140の一部は、ポンプ部130から離れる方向に延びて取り付け位置を構成し、取り付け位置が第1軸受140と一体型構造でるため、後加工の方式に比べ、一体型構造の力学的性質がよいため、接続強度を向上させることができる。また、第1軸受140を大量生産して、製品の加工効率を向上させ、製品の加工コストを低下させ、ポンプ装置100の全体性を向上させ、部品の数を減らし、取り付け工程を減らし、取り付け効率を向上させる。また、第1軸受140の一部がシール部材150を取り付けるための取り付け位置を形成することにより、シール部材150の取り付けの正確性を向上させ、組立が簡単で、シール性能がよく、コストが低い。
さらに、図2に示すように、シール部材150、第1軸受140及び回転軸121によって、第1潤滑溝143と連通する液通過室151が形成される。シール部材150、第1軸受140及び回転軸121によって形成された液通過室151は、一部の潤滑油を貯蔵でき、液通過室151は、第1潤滑溝143からの潤滑油を貯蔵するために用いられ、シール部材150と第1軸受140との接続強度、即ちシール部材150自体が耐え得る圧力を制御することにより、液通過室151は、緩衝の役割を果たすことができ、それにより、液通過室151、第1潤滑溝143、絞り溝142におけるオイルを均圧状態にすることができ、シール部材150の位置の安定性を確保する前提で、回転軸121と第1軸受140との流体潤滑性能を確保するのに有利である。
さらに、図1、図2、図3及び図4に示すように、ポンプ装置100は、さらに、第1軸受140に設けられ、液通過室151と第2圧力室132とを連通する放圧溝144を含む。
当該実施例において、放圧溝144は、第1軸受140に設けられ、放圧溝144は、液通過室151と第2圧力室132とを連通するために用いられる。ここでの放圧溝144は、貫通穴の両端が第2圧力室132と液通過室151とを連通するように、貫通穴の形をとってもよく、第2圧力室132内の圧力が小さいため、液通過室151内の圧力をよりよく放出することができ、オイルの圧力を緩衝するのに、液通過室151自体のみに依頼するのではない。
さらに、第1軸受140に放圧溝144を設置することにより、完全な第1軸受140の潤滑油経路を形成でき、即ち第1圧力室131(高圧室)内のオイルが第1油溝141に入ってから、絞り溝142経由で第1軸受140と回転軸121との隙間及び第1潤滑溝143に流入して、回転軸121及び第1軸受140を十分に潤滑し、油膜を形成して流体で潤滑する要件を満たし、その後、潤滑油は、液通過室151に流入して、さらに、放圧溝144から第2圧力室132(低圧室)に流入し、それにより、潤滑油経路全体における圧力が高くなりすぎないこと、即ち液通過室151内の圧力が高くなりすぎないことを確保でき、圧力が、シール部材150が耐え得る圧力限界値よりも高いことを回避し、シール部材150の位置の信頼性を確保して、高圧でのシール部材150が第1軸受140から外れて、潤滑油が漏れ、モータ室とポンプ室との間のシール性能を確保できないことを効果的に回避する。
さらに、放圧溝144の流路断面積S3と第1潤滑溝143の流路断面積S2との比は、1以上4以下である。
当該実施例において、1≦(S3/S2)≦4である。第1潤滑溝143の流路断面積が小さくなりすぎないように、第1潤滑溝143の流路断面積を限定することにより、第1軸受140と回転軸121との間に油膜を形成するのに十分な流量の潤滑油を確保し、流体で潤滑する要件を満たし、また、第1潤滑溝143の流路断面積は、第1軸受140と回転軸121との間に形成される油膜が厚すぎて、回転軸121の消費電力が増加するほど大きくなりすぎない。
また、放圧溝144の流路面積を限定することにより、オイルシール室の圧力が高くなりすぎないことを確保し、オイルシールのシール効果を確保し、液通過室151内の圧力が高すぎて、オイルシールが第1軸受140から外れることを回避する。本願は、絞り溝142の流路断面積、第1潤滑溝143の流路断面積及び放圧溝144の流路断面積を考慮して、三者が上記の関係式を満たすようにすることにより、第1潤滑溝143内のオイル流量が第1軸受140と回転軸121との潤滑を確保するのに十分であることを保証でき、また、液通過室151内の圧力が十分に低くて、シール部材150と第1軸受140との間のシール接続に影響を与えないことも保証でき、オイルの漏れを効果的に低減させる。
シミュレーションデータにしたがって、第1軸受140の潤滑油経路内の潤滑油の流量は3ml/sより低くてはならないことが決定され、第1軸受140の軸径は8mmであり、シミュレーションにより軸受の強度を確かめた後、第1潤滑溝143の流路断面積S2=1.57mm2が最適な選択であることが決定される。次に、異なる絞り溝142の流路断面積S1及び放圧溝144の流路断面積S3の構造を設計して、表1に示すようなシミュレーションデータを得る。
表1のシミュレーションデータに基づいて、番号3の解決手段が最適な手段であることが決定でき、即ち、絞り溝142の流路断面積S1が0.4mm2であり、第1潤滑溝143の流路断面積S2が1.57mm2であり、放圧溝144の流路断面積S3が3.14mm2であり、この場合、第1潤滑溝143内のオイル流量は7.3ml/sであり、潤滑要件を満たして、第1軸受140内のオイル流量が、ポンプ装置100の吐出量を低下させるほど大きくならず、また、液通過室151内の圧力は112kPaであり、圧力が高くなりすぎることがないため、深刻なオイル漏れを回避できる。
実施例2
本実施例は、実施例1を基に、第1軸受140の具体的な構造について説明し、図2に示すように、ポンプ装置100は、さらに、第1軸受140のポンプ部130から離れた端面に設けられる緩衝室160を含む。
当該実施例において、緩衝室160は、第1軸受140のポンプ部130から離れた端面に設けられ、具体的には、緩衝室160は、テーパ状であってもよく、即ち、緩衝室160はテーパ状室であってもよいため、緩衝室160は、第1軸受140の剛性を低下させることができ、回転軸121を柔軟に支持し、第1軸受140のポンプ部130から離れる軸方向端面の表面圧力を低下させ、第1軸受140と回転軸121との摩耗状況を効果的に改善する。
さらに、緩衝室160の開口の面積は緩衝室160の底壁の面積よりも大きい。緩衝室160は、回転軸121に近い壁面である第1壁面161を含み、第1壁面161と回転軸121との間隔は、緩衝室160の開口端から緩衝室160の底壁にかけて大きくなり、これは、第1壁面161が、斜めに設けられるとともに、緩衝室160の開口端に位置する第1壁面161の位置が回転軸121により近く、第1壁面161と回転軸121との間隔が開口部で小さく、第1壁面161と回転軸121との間隔が室の底部に位置する位置で大きく、これにより、第1壁面161と溝本体の溝底部との間に直角構造が形成されないと理解できる。第1軸受140は、通常、アルミニウム合金材料で製造されるため、回転軸121が第1軸受140の端部に接触すると、第1軸受140が変形し、第1壁面161とテーパ状室の底壁との接続箇所は直角構造であり、第1壁面161と溝本体の溝底部との接続箇所に、応力が集中する現象が発生し、第1軸受140が回転軸121の圧力を受ける場合、第1軸受140は、第1壁面161と緩衝室160の底壁との接続構造箇所で破断しやすくなる。第1壁面161が回転軸121の軸方向に対して斜めに設けられると、第1壁面161と緩衝室160の底壁との間は、直角構造ではないため、第1軸受140の破損率を効果的に低下させることができる。
さらに、緩衝室160は、第1壁面161と対向して設けられる第2壁面162を含み、第2壁面162と回転軸121との間の間隔は、緩衝室160の開口端から緩衝室160の底壁にかけて小さくなる。
当該実施例において、第2壁面162は、回転軸121の軸方向に対して斜めに設けられ、第2壁面162は、第1壁面161と対向して設けられ、第2壁面162と回転軸121との間の間隔は、緩衝室160の開口端から緩衝室160の底壁にかけて小さくなり、それにより、第2壁面162と第1壁面161とは、緩衝室160の中心線に対して軸対称に設けられてもよく、即ち、緩衝室160は、規則的なテーパ状であってもよく、さらに、回転軸121をより柔軟に支持することができる。モータ部120から離れる軸方向において、第1壁面161と回転軸121との間隔が大きくなり、第2壁面162と回転軸121との隙間が小さくなって、緩衝室160が逆テーパ状に構成され、緩衝室160の加工中に、逆テーパ状の緩衝室160は金型抜きに有利であることが理解できる。
さらに、緩衝室160は、リング状構造に構成され、つまり、第1軸受140の周方向にかけて緩衝室160が設けられ、回転軸121が回転すると、第1軸受140が受ける径方向の力が随時変化する可能性があり、即ち、第1軸受140が複数の方向の変化する径方向の力を受け、第1軸受140が受ける径方向の力がどの方向を向いても、リング状の緩衝室160の存在により、第1軸受140をある程度変形させることができ、それにより、回転軸121と第1軸受140とが柔軟に接続され、第1軸受140が回転軸121の径方向の力に対して緩衝の役割を果たし、回転軸121と第1軸受140との剛性接続により、第1軸受140が破損しやすいという問題を回避する。
実施例3
前述の実施例を基に、本実施例は、ポンプ装置100の回転軸121の支持構造について説明し、さらに、図1、図4及び図5に示すように、ポンプ装置100は、さらに、ハウジング110に連結されるとともに、回転軸121に嵌設され、ポンプ部130の第1軸受140から離れた側に位置する第2軸受170を含む。
当該実施例において、第2軸受170は、ハウジング110に連結されるとともに、回転軸121に嵌設され、第2軸受170はポンプ部130の第1軸受140から離れた側に位置し、即ち、第1軸受140及び第2軸受170は、それぞれポンプ部130の軸方向の両側に配置され、第1軸受140は第2軸受170よりもモータ部120により近い。第1軸受140及び第2軸受170は、回転軸121を支持する役割を果たすことができ、回転軸121、第1軸受140及び第2軸受170を合わせて使用することにより、ポンプ部130の負荷を、回転軸121、第1軸受140及び第2軸受170の3つの部分に均等に分担させ、負荷が回転軸121に集中することによって発生可能な回転軸121の破損を回避できる。
具体的には、第1軸受140及び第2軸受170は滑り軸受である。滑り軸受は、ダブル転がり軸受の形態に比べ、円滑で、確実で、騒音なく動作し、液体で潤滑する条件で、滑り面が潤滑油によって分離されて、直接接触せず、摩擦損失及び表面摩耗を大幅に低減することができ、かつ、滑り軸受と回転軸121との間の隙間に潤滑油が充填され、滑り面の潤滑油が油膜を1層形成して、流体での潤滑を実現し、油膜は、一定の振動吸収能力も有し、第1軸受140、第2軸受170及び回転軸121の耐用年数を延ばす。2つの滑り軸受が回転軸121を支持し、回転軸121の遊隙が小さく、回転軸121の軸心の正規位置を合理的な範囲内に制御することができ、ダブル転がり軸受と滑り軸受とを合わせて使用する形態に比べ、本実施例では、2つの滑り軸受のみを使用して、支持構造を簡素化できるだけでなく、コストも低減できる。
さらに、第1軸受140は、回転軸121に近い第1軸受面を有し、第2軸受170は、回転軸121に近い第2軸受面を有し、第2軸受面の軸方向高さは第1軸受面の軸方向高さ未満であるかそれと同じであり、即ち以下である。第1軸受140とポンプ部130との距離が第2軸受170とポンプ部130との距離と同じである場合、第1軸受140及び第2軸受170に担持されるポンプ部130からの負荷は同じである。しかしながら、第1軸受140は第2軸受170よりもモータ部120により近いため、モータ部120のロータ122の回転中に、ステータ123とロータ122との間に径方向の力が発生し、回転軸121に対しても負荷が発生するため、第1軸受140は、モータ部120からの負荷も担持する必要があり、第2軸受面を第1軸受面以下にすることにより、第1軸受140及び第2軸受170を回転軸121の異なる位置での異なる負荷の要求により適応させ、回転軸121の潤滑信頼性を保証する前提で、回転軸121の消費電力を最小限まで抑えることができる。
さらに、図5に示すように、第2軸受170の内側壁の一部が回転軸121から離れる方向へ凹んで、第1圧力室131と連通する第2潤滑溝171を形成する。
当該実施例において、第2潤滑溝171は、第2軸受170の内側壁の一部が回転軸121から離れる方向へ凹んで形成され、第2潤滑溝171は第1圧力室131と連通する。圧力差があるため、第1圧力室131内のオイルは、第2潤滑溝171を介して第1軸受140と回転軸121との間の隙間に流入し、回転軸121の回転に伴って、第2潤滑溝171内のオイルが回転軸121の表面に塗布され、ここで、第2潤滑溝171は、潤滑油を一時的に貯蔵する役割を果たすことができ、それにより、第2軸受170の内壁と回転軸121との間に流体潤滑油膜が形成され、回転軸121と軸受との間の潤滑性能を一層確保する。
実施例4
前述の実施例を基に、本実施例は、第2軸受170の具体的な構造について説明し、さらに、図5に示すように、ポンプ装置100は、さらに、第2軸受170のポンプ部130に近い端面に設けられ、第2軸受170の軸穴と連通するスラスト潤滑溝172を含む。
当該実施例において、スラスト潤滑溝172は第2軸受170のポンプ部130に近い端面に設けられ、スラスト潤滑溝172は第2軸受170の軸穴と連通する。回転軸121は、高速回転時に、第2軸受170との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力の作用下で、第2軸受170の油溝を介してスラスト潤滑溝172に入り、一定の速度及び圧力を形成する。内側歯車の端面とポンプ蓋113の端面とは相対的に移動し、スラスト潤滑溝172内の潤滑油は油膜を形成でき、したがって、内側歯車の端面及びポンプ蓋113の端面の接触面の間に流体潤滑条件が構成され、歯車を潤滑して騒音が低下し、さらに、歯車に対してスラスト力を形成でき、スラスト面、即ち内側歯車とポンプ蓋113との間の滑り面の消費電力及び摩耗を大幅に改善することができる。
具体的には、スラスト潤滑溝172は、第2軸受170のポンプ部130に近い端面に設けられ、スラスト潤滑溝172は、第2軸受170及び第2軸受170の軸穴と連通する。第2軸受170と回転軸121との嵌合隙間内に潤滑油があり、回転軸121の高速回転中に、回転軸121は、自分と第2軸受170との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力ωの作用下で、嵌合隙間からスラスト潤滑溝172内に入り、このとき、スラスト潤滑溝172内に入った潤滑油は、一定の速度及び圧力を有する。第2軸受170とポンプ部130との接触端面隙間が小さく、スラスト潤滑溝172内の潤滑油は、第2軸受170とポンプ部130との端面隙間に流れてもよい。また、ポンプ部130と第2軸受170とは相対的に移動するので、ポンプ部130と第2軸受170との接触端面の間に流体潤滑条件が構成され、即ち、第2軸受170とポンプ部130との接触端面に油膜が形成されるため、第2軸受170とポンプ部130との間は、境界潤滑から流体潤滑に推移し、それにより、ポンプ部130と第2軸受170との接触端面の摩耗状況を大幅に改善して、消費電力を低下させることができる上に、ポンプ装置100の稼働騒音も低下させることができる。
さらに、スラスト潤滑溝172の軸方向での溝口の面積は、スラスト潤滑溝172の溝底部の面積よりも大きい。
当該実施例において、スラスト潤滑溝172は、溝口を2つ含み、2つの溝口の向きは異なり、1つの溝口はポンプ部130を向き、他の溝口は回転軸121を向く。本設計では、ポンプ部130を向く溝口の面積が溝底部の面積よりも大きいと限定する。つまり、ポンプ部130から離れる軸方向、即ち上から下への方向において、スラスト潤滑溝172は、クビレ状を呈する。即ち、スラスト潤滑溝172の溝壁は傾斜状を呈し、このとき、スラスト潤滑溝172内に入った潤滑油は一定の速度及び圧力を有する一方、第2軸受170とポンプ部130とが接触する端面の隙間が小さいため、スラスト潤滑溝172の溝壁は傾斜状を呈し、すると、スラスト潤滑溝172と端面隙間との間は収束するくさび形の挟角を呈し、スラスト潤滑溝172内の潤滑油は傾斜した溝壁に沿って、ポンプ部130と第2軸受170との端面隙間に流れ、即ち、潤滑油が「大口」から「小口」に入る。なお、「大口」とは、スラスト潤滑溝172を言い、「小口」とは第2軸受170とポンプ部130との隙間を言う。それにより、ポンプ部130と第2軸受170との間の潤滑性を高めることができるため、両者間の潤滑状態は、境界潤滑から流体潤滑に推移し、それにより、両者間の摩耗率を効果的に低下させる。
また、回転軸121及びポンプ部130の高速回転中に、ポンプ部130と第2軸受170との接触面の間の油膜によってポンプ部130が上向きに移動するように押す力が生成され、それにより、第2軸受170及びポンプ部130の端面内に位置する潤滑油は、フローティングシールの役割を果たすため、端面の漏れを一層低減することができる。関連文献によると、ポンプ装置100の端面漏れは、ポンプ装置100の総漏れ量の75%~80%を占め、したがって、ポンプ装置100の各接触端面間の漏れを改善することは最も重要になる。なお、潤滑油は、一定の粘度を有する。
さらに、スラスト潤滑溝172は、少なくとも1つのスラストセグメントを含むスラスト壁を含み、少なくとも1つのスラストセグメントは第1スラストセグメントを含み、第1スラストセグメントは、ポンプ部130から離れる軸方向において、スラスト潤滑溝172の中心に近く延びる。
当該実施例において、スラスト潤滑溝172は、傾斜壁であるスラスト壁を含む。スラスト壁は、ポンプ部130から離れる軸方向、即ち上から下への方向において、スラスト潤滑溝172の中心に近く延びる。スラスト壁は、少なくとも1つのスラストセグメントを含み、少なくとも1つのスラストセグメントは第1スラストセグメントを含み、第1スラストセグメントは、ポンプ部130から離れる軸方向において、スラスト潤滑溝172の中心に近く延びる。このとき、スラスト潤滑溝172、ポンプ部130及び第2軸受170の端面の間に端面隙間が形成され、両者間に収束したくさび形の挟角が形成されると、スラスト潤滑溝172内の潤滑油は、傾斜した第1スラストセグメントに沿ってポンプ部130と第2軸受170との端面隙間内に流れ、即ち、潤滑油は「大口」から「小口」に入る。なお、「大口」とはスラスト潤滑溝172を言い、「小口」とは第2軸受170とポンプ部130との隙間を言う。そのため、ポンプ部130と第2軸受170との間の潤滑性を高めることができることにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
なお、第1スラストセグメントは、少なくとも1つのストレートセグメント、少なくとも1つの湾曲セグメントで構成されたものであってもよく、第1スラストセグメントは、ポンプ部130に近い第1端及びポンプ部130から離れた第2端を有し、第1スラストセグメントの第2端は、スラスト潤滑溝172の中心に近く延び、つまり、第1スラストセグメントの斜めに延びる傾向は、上記の関係を満たすと、潤滑油が流動しやすくなるようにすることができる。第1スラストセグメントは、複数の曲面から構成されてもよいし、複数の円弧から構成されてもよい。
さらに、第1スラストセグメントと第2軸受170の軸方向端面との間の挟角αは、0°よりも大きく90°未満である。
当該実施例において、第2軸受170の軸方向端面とは、第2軸受170上のポンプ部130に近い軸方向端面を言い、第1スラストセグメントと当該軸方向端面との間の挟角は、0°<α<90°を満たすため、第1スラストセグメントがよりよく潤滑油を第2軸受170とポンプ部130との間の端面隙間内にガイドすることができ、潤滑油が、自分の速度及び圧力かつ第1スラストセグメントのガイドにより、端面隙間に入ることを確保し、スラスト潤滑溝172と端面隙間との間が収束するくさび形の挟角になり、すると、スラスト潤滑溝172内の潤滑油は、傾斜した溝壁に沿ってポンプ部130と第2軸受170との端面隙間内に流れ、即ち、潤滑油は、「大口」から「小口」に入る。それにより、ポンプ部130と第2軸受170との間の潤滑性を高めるため、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。さらに、第1スラストセグメントと第2軸受170の軸方向端面との間の挟角αは45°である。なお、フォーミングカッターでの加工により、第2軸受170のポンプ部130に近い端面に傾斜した第1スラストセグメントを加工できる。具体的には、スラスト潤滑溝172の縦断面(軸方向に沿う)は逆三角形や半円形などを呈することができる。
さらに、少なくとも1つのスラストセグメントは、さらに、軸方向に延びて第1スラストセグメントとスラスト潤滑溝172の溝底部との間に接続される第2スラストセグメントを含む。
当該実施例において、少なくとも1つのスラストセグメントは、さらに、軸方向に沿って延びて第1スラストセグメント及び溝底部に接続される第2スラストセグメントを含み、第2スラストセグメントと第1スラストセグメントとは協働してスラスト壁を形成し、それにより、スラスト潤滑溝172の体積が潤滑要件を満たすことを確保する。なお、加工中に、第2軸受170のポンプ部130を向く端面にストレート溝を加工してから、面取りを加工することにより、第1スラストセグメント及び第2スラストセグメントを形成でき、上記の加工順序により、スラスト潤滑溝172の加工難易度を低減することができる。
さらに、スラスト壁の数は、少なくとも2つである。
当該実施例において、スラスト壁の数は少なくとも2つであり、少なくとも2つのスラスト壁の各々は、少なくとも1つのスラストセグメントを含む。少なくとも1つのスラストセグメントは、第1スラストセグメントを含む。少なくとも1つのスラストセグメントは、さらに、第2スラストセグメントを含む。なお、少なくとも2つのスラスト壁の構造は等しくてもよいし、等しくなくてもよく、スラスト壁の数が3つである場合、3つのスラスト壁の構造は、一部が等しくてもよいし、一部が等しくなくてもよい。
さらに、少なくとも2つのスラスト壁は、第1スラスト壁を含み、第1スラスト壁の第1端は、第2軸受170の内側壁に連結され、第1スラスト壁と第2軸受170の内側壁との接続点が位置する接平面が第1基準面であり、第1スラスト壁と第1基準面との間の挟角β1は、0°以上90°未満である。
当該実施例において、第1スラスト壁の第1端が第1スラスト壁の始端であり、第1スラスト壁の第2端が第1スラスト壁の終端であり、第1端は、第2軸受170の内側壁に連結され、第2軸受170の内側壁が第2軸受170の軸穴の側壁である。第1端と第2軸受170との接続点が位置する接平面が第1基準面であり、第1スラスト壁と第1基準面との間の挟角β1が、0°以上90°未満である。回転軸121の高速回転中に、回転軸121は、自分と第2軸受170との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力ωの作用下で、嵌合隙間からスラスト潤滑溝172内に入り、このとき、スラスト潤滑溝172内に入った潤滑油は、一定の速度及び圧力を有する。第1スラスト壁が回転軸121の回転方向に偏るため、スラスト潤滑溝172内の潤滑油が軸カット及び面カットされ、それにより、スラスト潤滑溝172の軸穴に近い位置に負圧が形成されて、回転軸121と第2軸受170との間の潤滑油を吸い込み、スラスト潤滑溝172の軸穴から離れる位置での圧力は高く、よりよくスラスト潤滑溝172内の潤滑油を傾斜したスラスト壁に沿って第2軸受170とポンプ部130との間の端面隙間に流せることができ、そのため、ポンプ部130と第2軸受170との間の潤滑性を高めることができ、それにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
さらに、少なくとも2つのスラスト壁は、さらに、第1スラスト壁と対向して設けられる第2スラスト壁を含み、第2スラスト壁の第1端は、第2軸受170の内側壁に連結され、第2スラスト壁と第2軸受170の内側壁との接続点が位置する接平面が第2基準面であり、第2スラスト壁と第2基準面との間の挟角β2は、0°よりも大きく90°未満である。
当該実施例において、少なくとも2つのスラスト壁は、さらに、第2スラスト壁を含み、第2スラスト壁の第1端が第2スラスト壁の始端であり、第2スラスト壁の第2端が第2スラスト壁の終端であり、第2端は第2軸受170の内側壁に連結され、第2軸受170の内側壁が第2軸受170の軸穴の側壁である。第1端と第2軸受170との接続点が位置する接平面が第2基準面であり,第2スラスト壁と第2基準面との間の挟角β2は、0°以上90°未満である。回転軸121の高速回転中に、回転軸121は、自分と第2軸受170との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力ωの作用下で、嵌合隙間からスラスト潤滑溝172内に入り、この場合、スラスト潤滑溝172内に入った潤滑油は、一定の速度及び圧力を有する。第2スラスト壁が回転軸121の回転方向に偏るため、スラスト潤滑溝172内の潤滑油が軸カット及び面カットされ、それにより、スラスト潤滑溝172の軸穴に近い位置に負圧が形成されて、回転軸121と第2軸受170との間の潤滑油を吸い込み、スラスト潤滑溝172の軸穴から離れる位置での圧力は高く、よりよくスラスト潤滑溝172内の潤滑油を傾斜したスラスト壁に沿って第2軸受170とポンプ部130との間の端面隙間に流せることができる。そのため、ポンプ部130と第2軸受170との間の潤滑性を高めることができ、それにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
さらに、少なくとも2つのスラスト壁は、さらに、第1スラスト壁の第2端及び第2スラスト壁の第2端にそれぞれ連結される第3スラスト壁を含む。
当該実施例において、少なくとも2つのスラスト壁は、さらに、第1スラスト壁の第2端及び第2スラスト壁の第2端にそれぞれ連結される第3スラスト壁を含む。即ち、第1スラスト壁、第2スラスト壁及び第3スラスト壁が一緒にスラスト潤滑溝172を構成するため、スラスト潤滑溝172の形状設計が容易になる。
なお、第1スラスト壁、第2スラスト壁及び第3スラスト壁の第2軸受170の軸方向端面での投影は、ストレートセグメントであってもよいし、曲面セグメントであってもよい。
さらに、スラスト潤滑溝172の第3スラスト壁は円弧状壁である。
当該実施例において、第3スラスト壁は円弧状壁であり、即ち第3スラスト壁の第2軸受170の軸方向端面での投影が円弧状セグメントである。第3スラスト壁に対応する位置は、スラスト潤滑溝172の軸穴から離れた位置であるため、スラスト潤滑溝172内でこの位置に対応する潤滑油の圧力が高く、第3スラスト壁を円弧状壁にすることにより、スラスト潤滑溝172内の潤滑油が流れやすくなり、即ち、潤滑油が「大口」から「小口」に入りやすく、ポンプ部130と第2軸受170との間の潤滑性を高めることができ、それにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
実施例5
前述の実施例を基に、本実施例は、第2軸受170の潤滑油経路について説明し、さらに、図4に示すように、ハウジング110は、ケース112及びポンプ蓋113を含み、ケース112は、モータ部120及びポンプ部130の外側に周設され、ケース112は、第1軸受140に連結される。ポンプ蓋113は、ケース112に接続され、ポンプ蓋113はケース112とチャンバ111を形成し、ポンプ蓋113は第2軸受170に連結され、ポンプ蓋113は、一部がポンプ部130から離れる方向に延びて、オイルプール115を形成するための延在部114を構成する。第2軸受170の軸穴は、軸方向に貫通する貫通穴であり、貫通穴の一端は、スラスト潤滑溝172と連通し、貫通穴の他端は、オイルプール115と連通するために用いられる。
当該実施例において、ハウジング110は、ケース112と、ケース112に接続されるポンプ蓋113とを含み、ポンプ蓋113はケース112とチャンバ111を形成し、ケース112はモータ部120及びポンプ部130の外側に周設される。ケース112は第1軸受140に連結され、ポンプ蓋113は第2軸受170に連結される。第1軸受140はケース112と一体成形されてもよく、ケース112は第1軸受140と一体成形され、後加工の方式に比べ、接続強度がより高く、スペースも節約でき、機械全体の高さを低くし、そして、製造プロセスの難易度を低下させ、製造コストを低減することができる。ポンプ蓋113は第2軸受170と一体成形されてもよく、より多くの高さスペースを節約でき、機械全体の高さを低くすることができるだけでなく、コストを低減することもできる。
さらに、延在部114は、ポンプ蓋113の一部がポンプ部130から離れる方向に延びる構造で形成されるので、延在部114はポンプ蓋113と一体成形され、後加工の方式に比べ、接続強度が大きい。延在部114は、潤滑油を貯蔵できるオイルプール115を形成するために用いられる。第2軸受170の軸穴は、軸方向に貫通する貫通穴であり、貫通穴の両端は、それぞれスラスト潤滑溝172及びオイルプール115と連通する。
具体的には、回転軸121の高速回転中に、回転軸121は、自分と第2軸受170との嵌合隙間内の潤滑油をカットし、潤滑油は、カット力の作用下で、嵌合隙間(貫通穴)からスラスト潤滑溝172内に入り、この場合、スラスト潤滑溝172内に入った潤滑油は一定の速度及び圧力を有する。スラスト潤滑溝172内の潤滑油が軸カット及び面カットされるため、スラスト潤滑溝172の軸穴に近い位置に負圧が形成されて、回転軸121と第2軸受170との間の潤滑油を吸い込み、スラスト潤滑溝172の軸穴から離れる位置での圧力は高く、よりよくスラスト潤滑溝172内の潤滑油を第2軸受170とポンプ部130との間の端面隙間に押し入れることができる。そのためポンプ部130と第2軸受170との間の潤滑性を高めることができ、それにより、両者間の潤滑状態が境界潤滑から流体潤滑に推移し、両者間の摩耗率を効果的に低減させる。
さらに、オイルは、ポンプ部130と第2軸受170との間の接触面を潤滑するために、スラスト潤滑溝172内にポンプされてから、第2軸受170とポンプ部130との間の隙間に入り、その後、圧力差及び重力の作用下で、低圧領域のオイルプール115に入る。
具体的には、第2軸受170の潤滑油経路は、次のとおりである。オイルは、オイルプール115経由で第2軸受170と回転軸121との隙間内(貫通穴、第2潤滑溝171)に入ってから、スラスト潤滑溝172内に入り、スラスト潤滑溝172の作用下で、オイルはポンプ部130と第2軸受170との端面隙間内に入り、圧力差及び重力の作用下で、低圧オイルプール115に入る。第2軸受170に対して完全な潤滑油経路を形成することは、第2軸受170と回転軸121との間の潤滑性能を確保するのに有利である。
さらに、ポンプ蓋113は第2軸受170と一体成形され、後加工の方式に比べ、接続強度がより高く、スペースも節約でき、機械全体の高さを低くし、そして、製造プロセスの難易度を低下させ、製造コストを低減することができる。
実施例6
前述の実施例を基に、本実施例は、第2軸受170の別の潤滑油経路について説明し、さらに、図1に示すように、ハウジング110は、ケース112及びポンプ蓋113を含み、ケース112は、モータ部120及びポンプ部130の外側に周設され、ケース112は第1軸受140に連結される。ポンプ蓋113は、ケース112に接続されて、ケース112とチャンバ111を形成し、第2軸受170に連結され、第2軸受170の軸穴は、一端が開口した止まり穴である。連通溝は、第2軸受170及び/又はポンプ蓋113に開けられ、連通溝は、第1圧力室131と止まり穴とを連通する。
当該実施例において、ハウジング110は、ケース112と、ケース112に接続されるポンプ蓋113とを含み、ポンプ蓋113は、ケース112とチャンバ111を形成し、ケース112はモータ部120及びポンプ部130の外側に周設される。ケース112は第1軸受140に連結され、ポンプ蓋113は第2軸受170に連結される。第1軸受140はケース112と一体成形されてもよく、ケース112は第1軸受140と一体成形され、後加工の方式に比べ、接続強度がより高く、スペースも節約でき、機械全体の高さを低くし、そして、製造プロセスの難易度を低下させ、製造コストを低減することができる。ポンプ蓋113は第2軸受170と一体成形されてもよく、より多くの高さスペースを節約でき、機械全体の高さを低くすることができるだけでなく、コストを低減することもできる。
さらに、第2軸受170の軸穴は、一端が開口した止まり穴であり、連通溝は第2軸受170及び/又はポンプ蓋113に開けられ、連通溝は第1圧力室131と止まり穴とを連通するために用いられる。具体的には、第2軸受170の潤滑油経路は、次のとおりである。加圧後のオイルは第1圧力室131(高圧室)から連通溝経由で止まり穴(第2軸受170と回転軸121との間の隙間、第2潤滑溝171)内に入ってから、第2軸受170とポンプ部130との間の隙間経由で低圧領域に戻り、ここでの低圧領域とは、具体的には、オイル供給口181や第2圧力室132を言う。第2軸受170に対して完全な潤滑油経路を形成することにより、第2軸受170と回転軸121との間の潤滑性能を確保するのに有利である。
実施例7
前述の実施例を基に、本実施例は、ポンプ部130の具体的な構造について説明し、さらに、図1及び図4に示すように、ポンプ部130は、第1回転部材133及び第2回転部材134を含み、第1回転部材133は回転軸121と嵌合する。第2回転部材134は、第1回転部材133の外側に設けられ、第2回転部材134は第1回転部材133に連動されて回転可能になり、第2回転部材134は、第1回転部材133と第1圧力室131及び第2圧力室132を構成する。ポンプ装置100は、さらに、オイル供給口181及びオイル出口182を含み、オイル供給口181は、ポンプ蓋113及び/又は第2軸受170に軸方向に開けられ、オイル供給口181は第2圧力室132と連通し、オイル出口182は、ポンプ蓋113及び第2軸受170に径方向に開けられ、オイル出口182はポンプ部130の第1圧力室131と連通する。
当該実施例において、ポンプ部130は、第1回転部材133及び第2回転部材134を含み、第1回転部材133は回転軸121と嵌合し、第2回転部材134は、第1回転部材133の外側に設けられ、第2回転部材134は、第1回転部材133に連動されて回転可能になり、これは、回転軸121が第1回転部材133を介して第2回転部材134を作動させることができると理解できる。第1回転部材133及び第2回転部材134の構造を設置することにより、第1圧力室131及び第2圧力室132を形成し、かつ、第1圧力室131が高圧室で、第2圧力室132が低圧室である。
なお、第1回転部材133が内側歯車で、第2回転部材134が外側歯車であり、即ちポンプ部130は歯車ポンプである。具体的には、歯車ポンプの噛み合い過程において、前の一対の歯が未だ噛合から外れていないうちに、後ろの一対の歯はすでに噛合過程に入り、各内歯面が全部外歯面に接触して、密閉収容室を形成し、内側歯車の自転に伴って、密閉収容室111の体積が変化し、アンロードチャネルに連通できないと、閉じ込み容積を形成する。液体の圧縮性が非常に小さいため、閉じ込み容積が大きいものから小さいものに変わると、閉じ込み容積に存在する液体が押され、圧力が急激に上昇して、歯車ポンプの動作圧力を大幅に上回る。また、閉じ込み容積内の液体もすべての漏れ可能なスリットから無理に押されるため、回転軸121及び軸受の両方ともとても大きい衝撃荷重を受け、動力損失が増加して油が熱くなって、騒音及び振動が発生し、歯車ポンプの動作の円滑性及び耐用年数を低下させる。閉じ込み容積が小さいものから大きいものになるとき、真空が形成され、液体中に溶け込んだ空気が分離されて気泡が発生し、キャビテーション、騒音、振動、流量、圧力脈動などの弊害をもたらす。閉込現象を解決する方法として、歯車の両端の蓋にアンロード溝を開け、密閉容積が小さくなるときに、アンロード溝が圧油室と連通し、密閉容積が大きくなるときに、アンロード溝を介して吸油室と連通する方法を採用する。
具体的には、内側歯車は、外側歯車の共役曲線歯形の輪郭との噛合により、各歯はいずれも互いに接触し、外側歯車が連動されて同じ方向に回転する。内側歯車によって外側歯車の内部キャビティが複数の動作室に仕切られ、内側歯車と外側歯車の中心が偏っているため、複数の動作室の容積は、ロータ122の回転により変化し、容積が大きくなる領域に一定の真空が形成され、オイル供給口181が当該部位に設けられ、容積が小さくなる領域の圧力が高くなり、オイル出口182は対応してここに設けられる。
さらに、ポンプ装置100は、さらに、オイル供給口181及びオイル出口182を含み、オイル供給口181は、ポンプ蓋113及び/又は第2軸受170に軸方向に開けられ、かつ、オイル供給口181は第2圧力室132と連通する。第2圧力室132が低圧室であり、室外と圧力差があるため、オイルは、オイル供給口181を介して第2圧力室132内に入る。オイル出口182は、ポンプ蓋113及び第2軸受170に径方向に開けられ、かつ、オイル出口182は第1圧力室131と連通する。第1圧力室131が高圧室であり、室外と圧力差があるため、第1圧力室131内のオイルは、オイル出口182を介して流出する。即ち、ポンプ装置100のメイン油路は、次のとおりである。第2圧力室132及びオイル供給口181に負圧が発生でき、負圧の作用下で、オイルプール115内のオイルがオイル供給口181に吸引されて、第2圧力室132(低圧室)に入り、第2圧力室132に入ったオイルは第1回転部材133及び第2回転部材134の作用下で、高圧室に入って加圧され、加圧後のオイルはオイル出口182を介して排出される。
なお、オイル供給口181及びオイル出口182の設計原理は次のとおりである。歯車の回転を保証する過程において、オイル供給口181を第1回転部材133や第2回転部材134の歯間にできるだけ早く連通させ、内側歯車及び外側歯車に最大容積が形成されるまで、歯車容積室は常にオイル供給口181と連通し、そして、内歯と外歯との間の容積室内にオイルを充満させて吸油量を保証するように、オイルの充填時間をできるだけ延長する必要がある。オイル出口182もできるだけ早く歯間の高圧オイルに連通させて、歯間の過圧縮仕事を減らし、できるだけ遅く閉じて、流体の慣性を十分に利用して歯間のオイルを排出し尽くし、それより、内側噛合する歯車式のオイルポンプの容積効率を向上させる。しかし、内側歯車と外側歯車とが最大容積を形成する場合、オイル供給口181と連通できず、ポンプ装置100の低速時の容積効率に影響を与えることを回避することに留意されたい。
実施例8
前述の実施例を基に、本実施例は、モータ部120の具体的な構造について説明し、さらに、図1及び図4に示すように、モータ部120は、さらに、ロータ122及びステータ123を含み、ロータ122は回転軸121に連結され、ステータ123はロータ122の外側に嵌設され、ステータ123はステータコア及びステータ巻線を含み、ステータ巻線はステータコアに設けられる。ポンプ装置100は、さらに、モータ部120のポンプ部130から離れた側に設けられる制御部190を含み、制御部190は、ハウジング110に接続されているとともにチャンバ111に位置し、ステータ巻線の端部は制御部190に電気的に接続される。
当該実施例において、モータ部120は、さらに、ロータ122及びステータ123を含む。ここで、ロータ122は回転軸121に連結され、可能に、ロータ122と回転軸121とは同軸に設けられてもよく、かつ、ロータ122と回転軸121との嵌合方式は締まり嵌めであってもよく、また、可能に、ロータ122と回転軸121とは異なる軸に設けられるが、両者は伝達可能に接続され、実際の状況に応じて柔軟に設けられる。ステータ123はロータ122の外側に嵌設され、ステータ123はステータコア及びステータ巻線を含み、ステータ巻線はステータコアに設けられる。
また、ポンプ装置100は、さらに、モータ部120のポンプ部130から離れた側に設けられる制御部190を含み、即ち、制御部190は、モータ部120のポンプ部130から離れた位置に設けられ、動作中にポンプ部130に近い位置の振動が明らかであり、かつ、受ける負荷が大きいため、制御部190はポンプ部130から離れ、制御部190をある程度保護する役割を果たすことができ、制御部190の耐用年数を延ばす。
さらに、制御部190は、ハウジング110に接続されているとともに、チャンバ111に位置し、ステータ巻線の端部は制御部190に電気的に接続される。
具体的には、ポンプ装置100の動作中に、制御部190はステータ123におけるステータ巻線の電流が一定の規則にしたがって変化するように制御することにより、ステータ123を制御して変化する励磁磁界を発生し、ロータ122が励磁磁界の作用下で回転することにより、ポンプ部130における第1回転部材133が回転軸121に連動されて回転し、さらに、第2回転部材134が移動するようになる。ポンプ部130における第1回転部材133及び第2回転部材134が回転すると、第2回転部材134が偏って移動するため、第1回転部材133と第2回転部材134との間に形成された圧縮室の容積が変化することにより、圧縮室内に入った動作媒体がオイル出口182に押し出されて流れる動力が発生する。
実施例9
図6に示すように、本願の第2態様の実施例は、上記いずれか1つの実施例のポンプ装置100を含む車両200を提供する。本願にて提供される車両200は、上記のいずれか1つの実施例のポンプ装置100を有するため、さらに、上記のいずれか1つの実施例の有益な効果を有し、ここでは詳細な説明を省略する。
なお、車両200は新エネルギー車であってもよい。ここで、新エネルギー車には、純電気自動車、レンジエクステンデッド型電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、水素エンジン自動車などが含まれる。当然のことながら、車両200は、従来のガソリン車であってもよい。
具体的な一実施例において、車両200は、車体210及びエンジン220を含む。ポンプ装置100及びエンジン220は、両方とも車体210に設けられ、エンジン220は、ポンプ装置100の延在部114に連結される取り付け座221を含むため、取り付け座221と延在部114との嵌合により、オイルプール115が形成され、さらに、オイルプール115をエンジン220のオイル源に連通させて、油路連通が実現される。
具体的な適用において、車両200が新エネルギー車である場合、エンジン220は電気モータであり、車両200がガソリン車である場合、エンジン220は燃料エンジンである。
本願において、用語「第1」、「第2」、「第3」は、説明のためにしか使用されず、相対的な重要性を明示又は示唆すると理解することはできない。用語「複数」は、特に明確に限定しない限り、2つ又は2つ以上を意味する。用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語はいずれも広義に理解されるべきであり、例えば、「接続」は固定的に接続されてもよいし、取り外し可能に接続されてもよいし、または一体的に接続されてもよく、「連結」は直接的に連結されても、中間の介在物を介して間接的に連結されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に基づいて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
なお、本願の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などの用語で示す方位または位置関係は、図面に示す方位または位置関係に基づくものであり、本願を説明しやすく、説明を簡単にするために用いられるだけで、示される装置またはユニットが必ずしも特定の方向性を有し、特定の方位で構造及び操作されなければならないことを明示または示唆することではないことを理解されるべきであり、したがって、本願を限定するものとして理解されることはできない。
本明細書において、用語「一実施例」、「一部の実施例」、「具体的な実施例」などの記述は、当該実施例または例示に記述された詳細の特徴、構造、材料または利点が本願の少なくとも1つの実施例または例示に含まれることを意図するものである。本明細書において、上記の用語に関する例示的な記述は必ずしも同じ実施例または例示を言うものとは限らない。しかも、説明される詳細の特徴、構造、材料または利点をいずれか1つまたは複数の実施例または例示において適切な方法で組み合わせることができる。
上記は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者であれば、本願に様々な修正や変更が可能である。本願の趣旨をしない範囲内でなされたすべての修正、同等な置換、改良などは、いずれも本願の保護範囲に含まれるものとする。