JP2023184086A - Ni基合金部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】γ’相が50体積%以上析出した場合でも再結晶粒の発生を抑制できるNi基合金部材の製造方法を提供する。【解決手段】本開示のNi基合金部材の製造方法は、鋳造工程S10と、第1歪除去熱処理工程S11と、溶体化熱処理工程S13と、時効工程S14と、を備え、鋳造工程S10では、時効工程S14においてγ相中に50体積%以上のγ’相が析出可能なNi基合金鋳造材を鋳造し、第1歪除去熱処理工程S11では、γ’相の固溶温度をTs℃としたとき、Ts×0.90℃以上、Ts℃以下の第1歪除去温度域で1時間以上、鋳造工程S10後のNi基合金鋳造材を加熱し、溶体化熱処理工程S13では、γ相の融点をTm℃としたとき、第1歪除去温度域から、Ts+t1℃超、Tm℃以下の溶体化温度域まで第1歪除去熱処理工程S11後のNi基合金鋳造材を加熱し、溶体化温度域で2時間以上温度を保持し、t1が10℃以下である。【選択図】図1

Description

本開示はNi基合金部材の製造方法に関する。
火力発電プラント、航空機のタービンで用いられる高温部材(タービン翼など)は、高温環境下での機械的特性を満足するために、Ni基合金が多く使用される。
高温部材に用いられるNi基合金では、母相であるγ(ガンマ)相(FCC相)に、γ相と結晶格子が整合するγ’(ガンマプライム)相(L1構造)を析出させることで高い強度を得ている。
γ’相を析出させることで強化したγ’相析出強化型のNi基合金を用いた部材(Ni基合金部材)では、鋳造時に析出したγ’相を母材に固溶させるための固溶熱処理を行う。Ni基合金部材を鋳造する際に、Ni基合金と鋳型および中子との間には熱膨張率に差があるので内部歪が生じる。内部歪がある状態で、高温での固溶熱処理を行うと、内部歪を駆動力として、強度特性の低下原因となる再結晶粒が生成される。
再結晶を抑制する方法として、特許文献1には、γ相基質内に粗大なγ’相が存在するニッケル基超合金単結晶物品を鋳込む段階と;前記鋳込後の凝固またはその後の取扱中に、前記単結晶物品に応力集中が形成される段階であって、前記単結晶製品を前記γ’相がγ相内に固溶させるため溶体化処理温度に加熱する際に、再結晶を起すに足る強さの応力集中が形成される段階と;前記単結晶物品を、前記応力集中が存在する部分での再結晶温度よりは低い回復温度で加熱して応力集中の強さを低減させる工程と;前記応力集中低減の後で、該物品の固相線温度よりは低く、前記再結晶温度と回復温度よりは高い温度で前記物品を加熱してγ’相をγ相中に固溶させる溶体化処理の工程と;その後で微細化されたγ’相をγ相基質内に析出させるが、該物品の単結晶構造を維持しうる析出工程との諸工程を含むニッケル基単結晶超合金物品の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、タービンで所定時間使用したNi基合金部材である使用済部材に対して、γ’相の固溶温度より10℃高い温度以上かつγ相の融点より10℃低い温度以下の温度で、前記γ相の再結晶粒が生じない時間範囲の保持時間の溶体化・非再結晶熱処理を行う溶体化・非再結晶熱処理工程S2と、前記溶体化・非再結晶熱処理を施した使用済部材に対して、前記γ相中に前記γ’相を析出させる時効処理を行う時効工程S3とを有し、前記溶体化・非再結晶熱処理工程S2後の使用済部材に対して、XRD法により前記γ相の結晶粒の所定の結晶面のロッキングカーブを測定した場合に、該ロッキングカーブの半値幅が0.25°以上0.30°以下であるNi基合金再生部材の製造方法が開示されている。
特開昭59-64593号公報 特開2019-112702号公報
しかし、特許文献1および特許文献2に開示の製造方法では、γ’相が50体積%以上析出した場合に、再結晶を十分に抑制できない場合があった。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、γ’相が50体積%以上析出した場合でも再結晶粒の発生を抑制できるNi基合金部材の製造方法を提供することを目的とする。
本開示のNi基合金部材の製造方法は、鋳造工程と、第1歪除去熱処理工程と、溶体化熱処理工程と、時効工程と、を備え、前記鋳造工程では、前記時効工程においてγ相中に50体積%以上のγ’相が析出可能な化学組成を有するNi基合金鋳造材を鋳造し、前記第1歪除去熱処理工程では、前記γ’相の固溶温度をTs℃としたとき、Ts×0.90℃以上、Ts℃以下の第1歪除去温度域で1時間以上、前記鋳造工程後の前記Ni基合金鋳造材を加熱し、前記溶体化熱処理工程では、前記γ相の融点をTm℃としたとき、前記第1歪除去温度域から、Ts+t1℃超、Tm℃以下の溶体化温度域まで前記第1歪除去熱処理工程後の前記Ni基合金鋳造材を加熱し、前記溶体化温度域で2時間以上温度を保持し、前記t1が10℃以下である。
本発明の上記態様によれば、γ’相が50体積%以上析出した場合でも再結晶粒の発生を抑制できるNi基合金部材の製造方法を提供できる。
本発明の第1実施形態に係るNi合金部材の製造方法のフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るNi合金部材の電子顕微鏡写真である。 本発明の第2実施形態に係るNi合金部材の製造方法のフローチャートである。 熱処理試験後の試料の観察方向を説明するための図である。 条件Aの熱処理後の外観観察写真である。 条件Bの熱処理後の外観観察写真である。 条件Cの熱処理後の外観観察写真である。
本発明者らが鋭意検討した結果、γ’相(例えば、NiAl相)を50体積%以上析出可能な化学組成を有するNi基合金において、再結晶の原因となる歪を所定の温度域で除去し、その後、冷却することなく、γ’相を固溶させることで、再結晶を大きく低減できることを知見した。本発明は上記知見に基づく発明である。なお、Ni基合金とは、例えば、Niを50質量%以上含み、かつ、Cr、W、Al、Ta、Co、Mo、Ti、C、およびBからなる群から選択される1種以上の合金を含む合金である。
<第1実施形態>
以下、図1を参照し、第1実施形態に係るNi基合金部材の製造方法S100を説明する。図1は、実施形態に係るNi基合金部材の製造方法S100のフローチャートである。Ni基合金部材の製造方法S100は、鋳造工程S10、第1歪除去熱処理工程S11、溶体化熱処理工程S13、および時効工程S14を備える。以下、各工程について説明する。なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。なお、本明細書において、加熱温度などの温度はNi基合金鋳造材の表面の温度とする。
(鋳造工程S10)
鋳造工程S10では、時効工程S14においてγ相中に50体積%以上のγ’相が析出可能なNi基合金鋳造材を鋳造する。鋳造の方法は特に限定されない。Ni基合金鋳造材は、例えば、ロストワックス法で製造することができる。Alなどの活性な金属を含むので真空中で溶解、鋳造を行うことが好ましい。例えば、Ni基合金を構成する組成成分を溶解し、得られた溶湯を、鋳型および中子等によって形成された空隙に注入して、Ni基合金鋳造材を得る。
Ni基合金鋳造材の化学組成は、時効工程S14においてγ相中に50体積%以上のγ’相が析出可能であれば、特に限定されない。このようなNi基合金鋳造材は、例えば、化学組成が、質量%で、Cr:5~15%、W:3~10%、Al:3.0~7.0%、Ta:3~15%、Co:0~15%、Mo:0~5%、Ti:0~5.0%、C:0~0.10%、B:0~0.05%を含み、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金である。
Cr:5~15%
Crは、高温時の強度を向上させるM23析出物を生成する元素である。また、Crを含有することで、高温環境下での耐酸化性も向上する。上記の効果を得るためには、Cr含有量は、5%以上であることが好ましい。Cr含有量は、8%以上であることが好ましい。Cr含有量が15%超であると、有害相の析出を招き、Ni基合金部材の強度低下および延性低下を引き起こすので、Cr含有量は15%以下が好ましい。
W:3~10%
Wは、Ni基合金のマトリックスであるγ相に固溶して、固溶強化によって、Ni基合金部材の強度向上に寄与する元素である。上記効果を得るためには、W含有量は、3%以上であることが好ましい。より好ましいW含有量は4%以上である。W含有量が10%超であると、有害相が析出してNi基合金部材の強度低下および延性低下を引き起こすので、W含有量は10%以下が好ましい。より好ましいW含有量は8%以下である。
Al:3.0~7.0%
Alは、高温時のNi基合金部材の強度を向上させるγ’相を生成する元素である。また、Alは、高温での耐酸化性、耐食性向上にも効果がある元素である。上記の効果を得るためには、Al含有量は、3.0%以上であることが好ましい。より好ましいAl含有量は、3.5%以上である。Al含有量が7.0%超であると、Ni基合金部材の溶接性が低下し,Ni基合金部材の製造時や補修時に割れを発生させる恐れがある。そのため、Al含有量は7.0%以下であることが好ましい。より好ましいAl含有量は、5.5%以下である。
Ta:3~15%
Taは、高温時のNi基合金部材の強度を向上させるγ’相を生成する元素である。上記の効果を得るためには、Ta含有量は、3%以上であることが好ましい。より好ましいTa含有量は、4%以上である。Ta含有量が15%超であると、高温安定なMC炭化物を結晶粒内に生成し,高温時のNi基合金部材の強度に寄与するM23が生成されにくくなる。そのため、Ta含有量は、15%以下が好ましい。より好ましいTa含有量は11%以下である。
Co:0~15%
Coは、高温時のNi基合金部材の強度を向上させるγ’相の固溶温度を向上させる効果がある元素である。また、Coは、γ’相を高温での安定化に寄与する元素である。Co含有量が15%超であると、Ni基合金部材の有害相の析出を招き、Ni基合金部材の強度低下および延性低下を引き起こす。そのため、Co含有量は15%以下が好ましい。より好ましいCo含有量は、10%以下である。Coは含有していなくてもよいので、Co含有量の下限は0%である。
Mo:0~5%
Moは、Ni基合金のマトリックスであるγ相に固溶して、固溶強化によってNi基合金部材の強度向上に寄与する元素である。Mo含有量が5%超であると有害相の析出を招き、Ni基合金部材の強度低下および延性低下を引き起こす。そのため、Mo含有量は、5%以下であることが好ましい。より好ましいMo含有量は3%以下である。Moは含有していなくてもよいので、Mo含有量の下限は0%である。
Ti:0~5.0%
Tiは、高温時のNi基合金部材の強度を向上させるγ’相を生成する元素である。また、高温時のNi基合金部材の耐酸化性および耐食性向上にも寄与する元素である。Ti含有量が5%超であると、Ni基合金部材の溶接性が低下し,製造時または補修時にNi基合金部材に割れを発生させる恐れがある。そのため、Ti含有量は5.0%以下であることが好ましい。より好ましいTi含有量は、3.5%以下である。Tiは含有していなくてもよいので、Ti含有量の下限は0%である。
C:0~0.10%
Cは、Ni基合金部材の高温時の強度向上に寄与するM23析出物を構成する元素である。C含有量が0.10%超であると、結晶粒内に析出するMC炭化物が多くなり,粒内強度が上昇し、延性が低下する恐れがある。そのため、C含有量は0.10%以下であることが好ましい。Cは含有していなくてもよいので、C含有量の下限は0%である。
B:0~0.05%
Bは、結晶粒界に存在することで粒界を強化して、Ni基合金部材の高温クリープ強度向上に効果がある元素である。B含有量が0.05%超であると、ホウ化物が生成され、Ni基合金部材の延性が低下するおそれがある。そのため、B含有量は0.05%以下出ることが好ましい。Bは含有していなくてもよいので、B含有量の下限は0%である。
残部:Niおよび不純物
本開示のNi基合金鋳造材の残部はNiおよび不純物である。ここで、不純物とは、Ni基合金鋳造材を鋳造する際に、原料や製造工程において混入する成分である。不純物は、本開示のNi基合金部材の効果が得られる範囲で許容される。
Ni基合金鋳造材の化学組成は、公知の方法をもちいて分析することができる。例えば、誘導結合プラズマ質量分析法などで分析することができる。
(第1歪除去熱処理工程)
第1歪除去熱処理工程S11では、γ’相の固溶温度をTs℃としたとき、Ts×0.90℃以上、Ts℃以下の第1歪除去温度域で1時間以上、鋳造工程S10後のNi基合金鋳造材を加熱する。鋳造工程S10で形成されたNi基合金鋳造材の内部に形成された内部歪(鋳込み後の冷却時にNi基合金鋳造材と鋳型および中子との間の熱膨張差に起因して蓄積された内部歪)を除去することができる。γ’相の固溶温度は、γ’相が母相に完全に固溶する温度をいう。γ’相の固溶温度は、化学組成に基づいた熱力学計算ソフトウェア(例えばSente Software社製JMatPro)から計算することで得られる。
第1歪除去温度がTs×0.9℃未満の場合、温度が低いことに加え、γ’相の体積率が高くなりすぎるので、Ni基合金部材の内部歪を十分に除去することができない。そのため、第1歪除去温度はTs×0.9℃以上である。第1歪除去温度がTs℃を超えると、温度が高く、γ’相が(消失)固溶することで、再結晶粒が生じやすくなる。そのため、第1歪除去温度はTs℃以下である。
第1歪除去熱処理工程S11において、第1歪除去温度域での加熱時間は1時間以上である。加熱時間が1時間未満の場合、十分にNi基合金鋳造材の内部歪を除去することができない。
室温(5~35℃)から第1歪除去温度域までの昇温速度は50℃/min以下であることが好ましい。Ni基合金鋳造材が急速に加熱されると、第1歪除去温度域以上に温度が上昇する可能性がある。第1歪除去温度域を超えると、再結晶粒が生じる可能性があるので、室温~第1歪除去温度域までの昇温速度は50℃/min以下である。
(溶体化熱処理工程)
溶体化熱処理工程S13では、γ相の融点をTm℃としたとき、第1歪除去温度域から、Ts+t1℃超、Tm℃以下の溶体化温度域まで第1歪除去熱処理工程S11後のNi基合金鋳造材を加熱し、溶体化温度域で2時間以上温度を保持する。t1は、10℃以下である。t1は、1℃以上であることが好ましい。より好ましくは、t1は5℃以上である。溶体化熱処理工程S13では、Ni基合金鋳造材を冷却せずに第1歪除去温度域から溶体化温度域まで加熱する。これによって、γ相とγ’相との熱膨張差に起因した歪を発生させずに、γ’相を固溶できる。そのため、再結晶粒を大きく低減できる。γ相の融点Tmは、化学組成に基づいた熱力学計算ソフトウェア(例えばSente Software社製JMatPro)から計算することで得られる。
また、鋳造後のNi基合金鋳造材には、γ’相が粗大な状態で析出し、また化学成分の偏在が生じている。溶体化熱処理工程S13においてγ’相を固溶化させることで、均質化させることができる。溶体化熱処理工程S13において、γ相は100%であることが好ましいが、高温時の強度が低下しない範囲で別の相を含んでいてもよい。なお、第1歪除去熱処理工程S11および溶体化熱処理工程S13が終わった後のNi基合金鋳造材を顕微鏡観察すると、再結晶粒がなく、デンドライト模様を呈するγ相の単相を確認することができる。
溶体化温度がTs+t1℃以下の場合、γ’相を十分固溶することができない場合がある。そのため、溶体化温度は、Ts+t1℃超である。t1は、10℃以下である。t1は、1℃以上であることが好ましい。より好ましくは、t1は5℃以上である。溶体化温度がγ相の融点Tm℃を超えてしまうと、γ相が溶けてしまう。そのため、溶体化温度は、Tm℃以下である。
第1歪除去温度域から溶体化温度域までの昇温速度は50℃/min以下であることが好ましい。Ni基合金鋳造材が急速に加熱されると、溶体化温度域以上に温度が上昇する可能性がある。溶体化温度域を超えると、γ相が溶けてしまう可能性があるので、第1歪除去温度域~溶体化温度域までの昇温速度は50℃/min以下である。
溶体化温度域にまで昇温した後、溶体化温度域で一定時間温度を保持する。温度保持の時間が2時間未満の場合、γ’相の溶解が十分でない可能性がある。そのため、溶体化熱処理工程S13において、温度保持の時間は2時間以上である。
溶体化温度域での温度保持後、溶体化温度域から室温まで冷却する。冷却方法は、例えばガス冷却である。強化相であるγ’相は、その後の時効工程S14で目標とする体積率に調整する。溶体化温度域での温度保持後の冷却時に、想定外のγ’相が析出するおそれがあるので、冷却速度は可能な限り早くすることが好ましい。そのため、冷却速度は、10℃/min以上であることが好ましい。
(時効工程)
溶体化熱処理工程S13後のNi基合金鋳造材に時効工程S14を行うことで、γ’相を析出させることができ、本開示のNi基合金部材を得ることができる。時効工程S14では、850℃以上、870℃以下の時効温度域で、溶体化熱処理工程S13後のNi基合金鋳造材を2時間~20時間加熱することが好ましい。これによって、γ相中に、50体積%以上のγ’相を析出させやすくすることができる。
溶体化熱処理工程S13後のNi基合金鋳造材の時効する温度域(時効温度域)は、850℃以上、870℃以下であることが好ましい。この時効温度域であれば、γ相中に析出するγ’相の体積率を50体積%以上にしやすくなるので、好ましい。
溶体化熱処理工程S13後のNi基合金鋳造材の時効温度域で加熱する時間は2時間~20時間であることが好ましい。この加熱時間であれば、γ相中に析出するγ’相の体積率を50体積%以上にしやすくなるので、好ましい。
時効工程S14後のγ相とγ’相の体積率は、Ni基合金部材の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで評価することができる。図2に時効工程S14後のNi基合金部材のSEM観察で得られた電子顕微鏡写真を示す。図2に示すように、本開示のNi基合金部材において、矩形のγ’相とその隙間の格子模様のγ相とが観察される。この得られた観察像に対し、例えば、画像処理ソフトを用いることで、γ’相の面積率を評価することができる。γ’相の体積率は、この断面の電子顕微鏡写真から得られたγ’相の面積率とすることができる。
以上説明したように、本実施形態に係るNi基合金部材の製造方法によれば、再結晶粒を抑制することができる。
<第2実施形態>
以下、図3を参照し、第2実施形態に係るNi基合金部材の製造方法S100Bを説明する。図3は、実施形態に係るNi基合金部材の製造方法S100Bのフローチャートである。Ni基合金部材の製造方法S100Bは、鋳造工程S10、第1歪除去熱処理工程S11、第2歪除去熱処理工程S12、溶体化熱処理工程S13、および時効工程S14を備える。以下、各工程について説明する。
(鋳造工程S10)
鋳造工程S10では、時効工程S14においてγ相中に50体積%以上のγ’相が析出可能なNi基合金鋳造材を鋳造する。鋳造の方法は特に限定されない。Ni基合金鋳造材は、例えば、ロストワックス法で製造することができる。Alなどの活性な金属を含むので真空中で溶解、鋳造を行うことが好ましい。例えば、Ni基合金を構成する組成成分を溶解し、得られた溶湯を、鋳型および中子等によって形成された空隙に注入して、Ni基合金鋳造材を得る。
Ni基合金鋳造材の化学組成は、時効工程S14においてγ相中に50体積%以上のγ’相が析出可能であれば、特に限定されない。このようなNi基合金鋳造材は、例えば、化学組成が、質量%で、Cr:5~15%、W:3~10%、Al:3.0~7.0%、Ta:3~15%、Co:0~15%、Mo:0~5%、Ti:0~5.0%、C:0~0.10%、B:0~0.05%を含み、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金である。
(第1歪除去熱処理工程)
第1歪除去熱処理工程S11では、γ’相の固溶温度をTs℃としたとき、Ts×0.90℃以上、Ts℃以下の第1歪除去温度域で1時間以上、鋳造工程S10後のNi基合金鋳造材を加熱する。鋳造工程S10で形成されたNi基合金鋳造材の内部に形成された内部歪(鋳込み後の冷却時にNi基合金鋳造材と鋳型および中子との間の熱膨張差に起因して蓄積された内部歪)を除去することができる。γ’相の固溶温度は、γ’相が母相に完全に固溶する温度をいう。γ’相の固溶温度は、化学組成に基づいた熱力学計算ソフトウェア(例えばSente Software社製JMatPro)から計算することで得られる。
第1歪除去温度がTs×0.9℃未満の場合、温度が低いことに加え、γ’相の体積率が高くなりすぎるので、Ni基合金部材の内部歪を十分に除去することができない。そのため、第1歪除去温度はTs×0.9℃以上である。第1歪除去温度がTs℃を超えると、温度が高く、γ’相が(消失)固溶することで、再結晶粒が生じやすくなる。そのため、第1歪除去温度はTs℃以下である。
第1歪除去熱処理工程S11において、第1歪除去温度域での加熱時間は1時間以上である。加熱時間が1時間未満の場合、十分にNi基合金鋳造材の内部歪を除去することができない。
室温(5~35℃)から第1歪除去温度域までの昇温速度は50℃/min以下であることが好ましい。Ni基合金鋳造材が急速に加熱されると、第1歪除去温度域以上に温度が上昇する可能性がある。第1歪除去温度域を超えると、再結晶粒が生じる可能性があるので、室温~第1歪除去温度域までの昇温速度は50℃/min以下である。
(第2歪除去熱処理工程)
第2歪除去熱処理工程S12では、Ts℃超、Tm℃以下であり、かつ、溶体化温度域に対してt1℃低い温度域を第2歪除去温度域としたとき、第1歪除去温度域から第2歪除去温度域まで第1歪除去熱処理工程S11後のNi基合金鋳造材を加熱する。その後、Ni基合金鋳造材を第2歪除去温度域で1時間以上温度保持する。第2歪除去熱処理工程では、Ni基合金鋳造材を冷却せずに第1歪除去温度域から第2歪除去温度域まで加熱する。これによって、第1歪除去熱処理工程S11後に残留した内部歪を除去することができる。
第2歪除去熱処理工程S12において、第2歪除去温度域での加熱時間は1時間以上である。加熱時間が1時間未満の場合、十分にNi基合金鋳造材の内部歪を除去することができない場合がある。
第1歪除去温度域から第2歪除去温度域までの昇温速度は50℃/min以下であることが好ましい。Ni基合金鋳造材が急速に加熱されると、第2歪除去温度域以上に温度が上昇する可能性がある。第2歪除去温度域を超えると、歪を十分に除去することができない可能性があるので、第1歪除去温度域~第2歪除去温度域までの昇温速度は50℃/min以下であることが好ましい。
(溶体化熱処理工程)
溶体化熱処理工程S13では、γ相の融点をTm℃としたとき、第2歪除去温度域から、溶体化温度域まで第2歪除去熱処理工程S12後のNi基合金鋳造材を加熱し、溶体化温度域で2時間以上温度を保持する。溶体化熱処理工程S13では、Ni基合金鋳造材を冷却せずに第2歪除去温度域から溶体化温度域まで加熱する。これによって、γ相とγ’相との熱膨張差に起因した歪を発生させずに、γ’相を固溶できる。そのため、再結晶粒を大きく低減できる。γ相の融点Tmは、化学組成に基づいた熱力学計算ソフトウェア(例えばSente Software社製JMatPro)から計算することで得られる。
また、鋳造後のNi基合金鋳造材には、γ’相が粗大な状態で析出し、また化学成分の偏在が生じている。溶体化熱処理工程S13においてγ’相を固溶化させることで、均質化させることができる。溶体化熱処理工程S13において、γ相は100%であることが好ましいが、高温時の強度が低下しない範囲で別の相を含んでいてもよい。なお、第1歪除去熱処理工程S11、第2歪除去熱処理工程S12および溶体化熱処理工程S13が終わった後のNi基合金鋳造材を顕微鏡観察すると、再結晶粒がなく、デンドライト模様を呈するγ相の単相を確認することができる。
溶体化温度がTs+t1℃以下の場合、γ’相を十分固溶することができない場合がある。そのため、溶体化温度は、Ts+t1℃超である。ここで、t1は、10℃以下である。t1は、1℃以上であることが好ましい。より好ましくは、t1は5℃以上である。溶体化温度がγ相の融点Tm℃を超えてしまうと、γ相が溶けてしまう。そのため、溶体化温度は、Tm℃以下である。
第2歪除去温度域から溶体化温度域までの昇温速度は50℃/min以下であることが好ましい。Ni基合金鋳造材が急速に加熱されると、溶体化温度域以上に温度が上昇する可能性がある。溶体化温度域を超えると、γ相が溶けてしまう可能性があるので、第2歪除去温度域~溶体化温度域までの昇温速度は50℃/min以下である。
溶体化温度域にまで昇温した後、溶体化温度域で一定時間温度を保持する。温度保持の時間が2時間未満の場合、γ’相の溶解が十分でない可能性がある。そのため、溶体化熱処理工程S13において、温度保持の時間は2時間以上である。
溶体化温度域での温度保持後、溶体化温度域から室温まで冷却する。冷却方法は、例えばガス冷却である。強化相であるγ’相は、その後の時効工程S14で目標とする体積率に調整する。溶体化温度域での温度保持後の冷却時に、想定外のγ’相が析出するおそれがあるので、冷却速度は可能な限り早くすることが好ましい。そのため、冷却速度は、10℃/min以上であることが好ましい。
(時効工程)
溶体化熱処理工程S13後のNi基合金鋳造材に時効工程S14を行うことで、γ’相を析出させることができ、本開示のNi基合金部材を得ることができる。時効工程S14では、850℃以上、870℃以下の時効温度域で、溶体化熱処理工程S13後のNi基合金鋳造材を2時間~20時間加熱することが好ましい。これによって、γ相中に、50体積%以上のγ’相を析出させやすくすることができる。
溶体化熱処理工程S13後のNi基合金鋳造材の時効する温度域(時効温度域)は、850℃以上、870℃以下であることが好ましい。この時効温度域であれば、γ相中に析出するγ’相の体積率を50体積%以上にしやすくなるので、好ましい。
溶体化熱処理工程S13後のNi基合金鋳造材の時効温度域で加熱する時間は2時間~20時間であることが好ましい。この加熱時間であれば、γ相中に析出するγ’相の体積率を50体積%以上にしやすくなるので、好ましい。
以上説明したように、第2実施形態に係るNi基合金部材の製造方法によれば、再結晶粒を抑制することができる。第2歪除去熱処理工程S12によって、第1歪除去熱処理工程S11後に残留した内部歪を除去することができ、より再結晶を抑制することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
化学組成が、質量%で、Cr:8%、W:8%、Al:5.5%、Ta:11%、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金鋳造材を鋳造した。これらの化学組成から熱力学計算を行い得られたγ’相の固溶温度Tsは1305℃、Ts×0.9℃は1175℃、γ相の融点Tmは1336℃であった。
この得られたNi基合金鋳造材を1175℃以上、1305℃以下の第1歪除去温度域まで50℃/min以下の昇温速度で昇温し、当該第1歪除去温度域で1時間以上第1歪除去熱処理を行った。その後冷却せずに、第1歪除去温度域から1305℃超、1336℃以下の溶体化温度域まで50℃/min以下の昇温速度で昇温した。昇温後、当該溶体化温度域で2時間保持し、その後10℃/minで冷却した。冷却後のNi基合金鋳造材を顕微鏡観察したところ、再結晶粒がなく、デンドライト模様を呈するγ相の単相を確認できた。
冷却後、850℃~870℃の時効温度域で2時間~20時間加熱し、実施例1のNi基合金部材を得た。
(実施例2)
化学組成が、質量%で、Cr:15%、W:4%、Al:3.5%、Ta:4%、Co:10%、Mo:3%、Ti:3.5%、C:0~0.10%、B:0~0.03%、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金鋳造材を鋳造した。これらの化学組成から熱力学計算を行い得られたγ’相の固溶温度Tsは1136℃、Ts×0.9℃は1022℃、γ相の融点Tmは1274℃であった。
この得られたNi基合金鋳造材を1022℃以上、1136℃以下の第1歪除去温度域まで50℃/min以下の昇温速度で昇温し、当該第1歪除去温度域で1時間以上第1歪除去熱処理を行った。その後冷却せずに、第1歪除去温度域から1136℃超、1274℃以下の溶体化温度域まで50℃/min以下の昇温速度で昇温した。昇温後、当該溶体化温度域で2時間保持し、その後10℃/minで冷却した。冷却後のNi基合金鋳造材を顕微鏡観察したところ、再結晶粒がなく、デンドライト模様を呈するγ相の単相を確認できた。
冷却後、850℃~870℃の時効温度域で2時間~20時間加熱し、実施例2のNi基合金部材を得た。
(実施例3)
化学組成が、質量%で、Cr:8%、W:8%、Al:5.5%、Ta:11%、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金鋳造材を鋳造した。これらの化学組成から熱力学計算を行い得られたγ’相の固溶温度Tsは1305℃、Ts×0.9℃は1175℃、γ相の融点Tmは1336℃であった。
この得られたNi基合金鋳造材を1175℃以上、1305℃以下の第1歪除去温度域まで50℃/min以下の昇温速度で昇温し、当該第1歪除去温度域で1時間以上第1歪除去熱処理を行った。その後冷却せずに、第1歪除去温度域から第2歪除去温度域(1305℃以上、1336℃以下、かつ溶体化温度域より10℃低い温度域)まで、50℃/min以下の昇温速度で昇温し、1時間以上第2歪除去熱処理を行った。次に、第2歪除去温度域から溶体化温度域(1305℃超、1336℃以下、かつ第2歪除去温度域より10℃高い温度域)まで50℃/min以下の昇温速度で昇温した。昇温後、当該溶体化温度域で2時間保持し、その後10℃/minで冷却した。冷却後のNi基合金鋳造材を顕微鏡観察したところ、再結晶粒がなく、デンドライト模様を呈するγ相の単相を確認できた。
冷却後、850℃~870℃の時効温度域で2時間~20時間加熱し、実施例3のNi基合金部材を得た。
(γ相の体積率)
熱力学計算から実施例1のγ’相の体積率は70%、実施例2のγ’相の体積率は、51%、実施例3のγ’相の体積率70%であった。なお、実施例1、実施例2、及び実施例3ともに、再結晶粒は観察されなかった。
(予歪付与実験)
鋳造時に発生する内部歪を模擬するために、曲げ変形を加えた。曲げ変形を実施した試験片の化学組成は、実施例1の化学組成と同じとした。曲げ変形を試料に加えた後、下記の条件A、条件B、および条件Cでそれぞれ加熱処理を行い、再結晶粒の大きさをエッチングにより金属組織を現出した後外観観察写真を撮り、評価した。なお、記載されていない昇温などの他の条件については、実施例1と同様の条件とした。
条件A:第1歪除去熱処理工程(Ts×0.9℃以上、Ts℃以下で1時間以上加熱)、第2歪除去熱処理工程(Ts℃超、Tm℃以下、かつ溶体化熱処理工程よりも10℃低い温度で1時間以上加熱)および溶体化熱処理工程(Ts+10℃超、Tm℃以下で2時間以上で加熱)
条件B:第1歪除去熱処理温度域以下での熱処理工程(Ts×0.9℃未満で1時間以上加熱)、および溶体化熱処理工程(Ts℃超、Tm℃以下で2時間以上で加熱)
条件C:溶体化熱処理工程(Ts℃超、Tm℃以下で2時間以上で加熱)
図4は、熱処理後の試料の観察方向を説明するための図である。熱処理後の試料は図4の矢印の方向から外観観察写真を撮った。得られた写真を図5~図7に示す。なお、各写真は、エッチングによって金属組織を現出させた。図5は、条件Aで熱処理した後の外観観察写真である。図6は、条件Bで熱処理した後の外観観察写真である。図7は、条件Cで熱処理した後の外観観察写真である。図5に示すように、本開示の温度条件を満足する熱処理を行った試料では、再結晶粒が発生しなかった。図6に示すように、第1歪除去熱処理温度域以下での熱処理を実施した条件Bでは、曲げ変形部に再結晶組織が発生した。図7に示すように、第1歪除去熱処理を行わなかった条件Cでは、曲げ変形部に顕著に再結晶組織が発生した。以上の結果から、本開示のNi基合金部材の製造方法を用いることで、γ’相が50体積%以上の場合でも再結晶粒の発生を大きく低減できることが確認された。
<付記>
上記の実施形態に記載のNi基合金部材の製造方法は以下のように把握され得る。
(1)本開示の第1の態様に係るNi基合金部材の製造方法は、鋳造工程S10と、第1歪除去熱処理工程S11と、溶体化熱処理工程S13と、時効工程S14と、を備え、鋳造工程S10では、時効工程S14において、γ相中に50体積%以上のγ’相が析出可能な化学組成を有するNi基合金鋳造材を鋳造し、第1歪除去熱処理工程S11では、γ’相の固溶温度をTs℃としたとき、Ts×0.90℃以上、Ts℃以下の歪除去温度域で1時間以上、鋳造工程S10後のNi基合金鋳造材を加熱し、溶体化熱処理工程S13では、γ相の融点をTm℃としたとき、歪除去温度域から、Ts+t1℃超、Tm℃以下の溶体化温度域まで歪除去熱処理工程S11後のNi基合金鋳造材を加熱し、溶体化温度域で2時間以上温度を保持し、t1が10℃以下である。
このようにすることで、溶体化熱処理工程における再結晶粒の発生を抑制することができる。
(2)本開示の第2の態様に係るNi基合金部材の製造方法は、(1)のNi基合金部材の製造方法であって、第1歪除去熱処理工程S11と溶体化熱処理工程S13との間に、
第2歪除去熱処理工程S12をさらに、備え、Ts℃超、Tm℃以下であり、かつ、前記溶体化温度域に対して前記t1℃低い温度域を第2歪除去温度域としたとき、第2歪除去熱処理工程S12では、前記第1歪除去温度域から前記第2歪除去温度域まで第1歪除去熱処理工程S11後の前記Ni基合金鋳造材を加熱し、前記第2歪除去温度域で1時間以上温度保持し、溶体化熱処理工程S13では、第2歪除去温度域S12から前記溶体化温度域まで第2歪除去熱処理工程S12後の前記Ni基合金鋳造材を加熱し、前記溶体化温度域で2時間以上温度を保持する。
第2歪除去熱処理工程を備えることで、より歪を除去することができる。
(3)本開示の第3の態様に係るNi基合金部材の製造方法は、(1)または(2)のNi基合金部材の製造方法であって、時効工程S14では、850℃以上、870℃以下の時効温度域で、溶体化熱処理工程S13後の前記Ni基合金鋳造材を2時間~20時間加熱する。
このようにすることで、γ’相の体積率を調整することができる。
(4)本開示の第4の態様に係るNi基合金部材の製造方法は、(1)~(3)のいずれか1つのNi基合金部材の製造方法であって、歪除去熱処理工程S11において、室温から前記第1歪除去温度域までの昇温速度が50℃/min以下である。
このようにすることで、溶体化熱処理工程における再結晶粒の発生を抑制することができる。
(5)本開示の第5の態様に係るNi基合金部材の製造方法は、(1)~(4)のいずれか1つのNi基合金部材の製造方法であって、溶体化熱処理工程S13において、前記歪除去温度域から前記溶体化温度域までの昇温速度が50℃/min以下である。
このようにすることで、溶体化熱処理工程におけるγ相の溶解を抑制することができる。
(6)本開示の第6の態様に係るNi基合金部材の製造方法は、(1)~(5)のいずれか1つのNi基合金部材の製造方法であって、溶体化熱処理工程S13において、2時間以上温度を保持した後、前記溶体化温度域から室温まで10℃/min以上の冷却速度で冷却する。
このようにすることで、冷却中における想定外のγ’相の析出を抑制することができる。
(7)本開示の第7の態様に係るNi基合金部材の製造方法は、(1)~(6)のいずれか1つのNi基合金部材の製造方法であって、前記Ni基合金鋳造材の化学組成が、質量%で、Cr:5~15%、W:3~10%、Al:3.0~7.0%、Ta:3~15%、Co:0~15%、Mo:0~5%、Ti:0~5.0%、C:0~0.10%、B:0~0.05%を含み、残部がNiおよび不純物からなる。
このようにすることで、γ相中に50体積%以上のγ’相を析出させやすくすることができる。
本開示のNi基合金部材の製造方法は、再結晶粒を低減できるので、産業上の利用可能性が高い。
S100 Ni基合金部材の製造方法、S10 鋳造工程、S11 第1歪除去熱処理工程、S12 第2歪除去熱処理工程、S13 溶体化熱処理工程、S14 時効工程

Claims (7)

  1. 鋳造工程と、
    第1歪除去熱処理工程と、
    溶体化熱処理工程と、
    時効工程と、
    を備え、
    前記鋳造工程では、前記時効工程においてγ相中に50体積%以上のγ’相が析出可能な化学組成を有するNi基合金鋳造材を鋳造し、
    前記第1歪除去熱処理工程では、前記γ’相の固溶温度をTs℃としたとき、Ts×0.90℃以上、Ts℃以下の第1歪除去温度域で1時間以上、前記鋳造工程後の前記Ni基合金鋳造材を加熱し、
    前記溶体化熱処理工程では、前記γ相の融点をTm℃としたとき、前記第1歪除去温度域から、Ts+t1℃超、Tm℃以下の溶体化温度域まで前記第1歪除去熱処理工程後の前記Ni基合金鋳造材を加熱し、前記溶体化温度域で2時間以上温度を保持し、
    前記t1が10℃以下である、Ni基合金部材の製造方法。
  2. 前記第1歪除去熱処理工程と前記溶体化熱処理工程との間に、
    第2歪除去熱処理工程をさらに、備え、
    Ts℃超、Tm℃以下であり、かつ、前記溶体化温度域に対して前記t1℃低い温度域を第2歪除去温度域としたとき、前記第2歪除去熱処理工程では、第1歪除去温度域から前記第2歪除去温度域まで前記第1歪除去熱処理工程後の前記Ni基合金鋳造材を加熱し、前記第2歪除去温度域で1時間以上温度保持し、
    前記溶体化熱処理工程では、前記第2歪除去温度域から前記溶体化温度域まで前記第2歪除去熱処理工程後の前記Ni基合金鋳造材を加熱し、前記溶体化温度域で2時間以上温度を保持する、請求項1に記載のNi基合金部材の製造方法。
  3. 前記時効工程では、850℃以上、870℃以下の時効温度域で、前記溶体化熱処理工程後の前記Ni基合金鋳造材を2時間~20時間加熱する、請求項1または2に記載のNi基合金部材の製造方法。
  4. 前記第1歪除去熱処理工程において、室温から前記第1歪除去温度域までの昇温速度が50℃/min以下である、請求項1または2に記載のNi基合金部材の製造方法。
  5. 前記溶体化熱処理工程において、前記第1歪除去温度域から前記溶体化温度域までの昇温速度が50℃/min以下である、請求項1に記載のNi基合金部材の製造方法。
  6. 前記溶体化熱処理工程において、2時間以上温度を保持した後、前記溶体化温度域から室温まで10℃/min以上の冷却速度で冷却する、請求項1または2に記載のNi基合金部材の製造方法。
  7. 前記Ni基合金鋳造材の化学組成が、質量%で、
    Cr:5~15%、
    W:3~10%、
    Al:3.0~7.0%、
    Ta:3~15%、
    Co:0~15%、
    Mo:0~5%、
    Ti:0~5.0%、
    C:0~0.10%、
    B:0~0.05%
    を含み、
    残部がNiおよび不純物からなる、請求項1または2に記載のNi基合金部材の製造方法。
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