JP6057363B1 - Ni基超耐熱合金の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本願発明は、γ’モル率を40%以上となる組成を有するNi超基耐熱合金インゴットを加工率5%以上30%未満で冷間加工を行う第1冷間加工工程と、第1冷間加工を行った冷間加工材にγ’固溶温度を超える温度で熱処理する第1の熱処理工程とを含むNi基超耐熱合金の製造方法により、鋼γ’含有Ni基超耐熱合金の熱間加工を容易とする。また、上記製造方法は、第1の熱処理工程後の熱処理材に、加工率20%以上で第2の冷間加工を行う第2冷間加工工程と、第2冷間加工を行った第2冷間加工材にγ’ソルバス温度未満で熱処理する第2の熱処理工程をさらに含むことが好ましい。

Description

本発明は、Ni基超耐熱合金の製造方法に関するものであり、特に、分塊用中間素材の製造方法に関するものである。
航空機エンジンや発電用のガスタービンに耐熱部品として、例えば、718合金のようなNi基超耐熱合金が多く用いられている。ガスタービンの高性能化と低燃費化に伴って、高い耐熱温度を有する耐熱部品が求められる。Ni基超耐熱合金の耐熱性を向上させるには、Ni(Al,Ti)などの組成で示される金属間化合物の析出強化相であるガンマプライム(以下γ’と記す)相の量を増やすことが最も有効である。今後、高耐熱性・高強度を満足させるために、Ni基超耐熱合金のγ’モル率がますます高めることが求められる。
しかし、γ’相の増加は、熱間加工時の変形抵抗が高くなり、鍛造加工が困難になる。また、γ’モル率が高いほど、鋳造凝固時の偏析傾向が強くなり、インゴットでの高温不安定相や鋳造欠陥が多くなり、インゴットの熱間鍛造性が低下する。その上、γ’生成元素であるAl、Tiの大量添加は合金の固相線温度低下、再結晶温度上昇も起こして、熱間鍛造温度領域を狭くさせる(一般に熱間鍛造は固相線温度以下、再結晶温度以上で行われる)。従来γ’モル率が40%以上では事実上鍛造できる温度範囲がほぼ存在せず、熱間鍛造が困難とされている。そのため、γ’モル率が高いNi基超耐熱合金の製造には、鍛造加工の困難を避けて、鋳造ままで使用する鋳物や、初期インゴットを粉末焼結で製造する粉末冶金法などの提案がある(例えば、特開平10−46278号公報(特許文献1))。
特開平10−46278号公報
前述した特許文献1の方法のように、鋳造のままで部品として使用する鋳造材は、粗大鋳造組織や合金元素の鋳造偏析、鋳造欠陥が存在するため、力学性能や信頼性が限られるため、例えば、タービンディスクのような高い信頼性が求められる部品には適用できない。粉末冶金法は高いγ’モル率の合金を焼成材として製造可能であるが、溶解・鍛造法に比べて、工程プロセスが複雑であり、製造工程における不純物の混入防止のために高度な管理が不可欠であり、製造コストが高い課題がある。そのため、鋳造材や焼成材は一部の特別用途に限定されている。
本発明の目的は、高γ’相含有Ni基超耐熱合金を製造する際に問題となっていた、熱間加工を容易とするNi基超耐熱合金の製造方法を提供するものである。
本発明の一観点によれば、γ’モル率を40%以上となる組成を有するNi基超耐熱合金インゴットを準備する工程と、
前記Ni基超耐熱合金インゴットを加工率5%以上30%未満で冷間加工を行う第1の冷間加工工程と、
前記第1の冷間加工を行った冷間加工材にγ’固溶温度(以下、γ’ソルバス温度と記す)を超える温度で熱処理する第1の熱処理工程と
を含むNi基超耐熱合金の製造方法が提供される。
前記第1の熱処理を行う温度が、ガンマプライム固溶温度プラス40℃以下かつ前記Ni基超耐熱合金の固相線温度未満であることが好ましい。
一具体例によれば、前記製造方法は、
前記第1の熱処理工程を施された熱処理材に加工率20%以上で第2の冷間加工を行う第2冷間加工工程と、
前記第2の冷間加工を行った第2冷間加工材にγ’ソルバス温度未満の温度で熱処理する第2の熱処理工程をさらに含むことが好ましい。
前記第2の熱処理を行う温度が、ガンマプライム固溶温度マイナス80℃以上であることが好ましい。
本発明の一具体例では、前記第1の冷間加工または前記第2の冷間加工は、鍛造、延伸加工、噴射加工の何れかまたは2種以上の組合わせであることが好ましい。
本発明の一具体例では、Ni基超耐熱合金の組成は質量%で、C:0.001〜0.250%、Cr:8.0〜22.0%、Co:28.0%以下、Mo:2.0〜7.0%、W:6.0%以下、Al:2.0〜8.0%、Ti:0.5〜7.0%、Nb:4.0%以下、Ta:3.0%以下、Fe:10.0%以下、V:1.2%以下、Hf:1.0%以下、B:0.001〜0.300%、Zr:0.001〜0.300%を含み、残部はNi及び不純物からなることが好ましい。
本発明により、従来、熱間鍛造等の熱間加工が困難とされていたγ’モル率40%以上の難加工Ni基超合金の分塊鍛造等の熱間加工を容易に行うことができる。これにより、高γ’相含有Ni基超耐熱合金を用いて、例えば、航空機用や発電用高性能タービンディスク製造を可能とすることができる。
以下の非限定的な具体例の説明および添付の図面を参照することにより、本発明の他の利点、特徴及び詳細が明らかになるであろう。
No.A合金に第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を適用した本発明の製造方法により製造したNi基超耐熱合金(No.1)の金属組織写真である。 No.A合金に第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を適用した本発明の製造方法により製造したNi基超耐熱合金(No.2)の金属組織写真である。 No.A合金に第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を適用した本発明の製造方法により製造したNi基超耐熱合金(No.7)の金属組織写真である。 No.A合金に第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を適用した本発明の製造方法により製造したNi基超耐熱合金(No.8)の金属組織写真である。 No.A合金の比較例(No.14)の金属組織写真である。 No.B合金に第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を適用し、更に第2の冷間加工工程と第2の熱処理工程を適用した本発明の製造方法により製造したNi基超耐熱合金の金属組織写真である。 No.C合金に第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を適用し、更に第2の冷間加工工程と第2の熱処理工程を適用した本発明の製造方法により製造したNi基超耐熱合金の金属組織写真である。 径方向からの圧縮する冷間加工を説明するための模式図である。実線が加工前、点線が加工後の素材形状を示す。 軸方向据え込圧縮の冷間加工を説明するための模式図である。実線が加工前、点線が加工後の素材形状を示す。
以下に、本発明の製造方法の各工程と、その条件の限定理由を述べる。
<インゴット>
本発明製造方法に適用するNi基超合金はγ’モル率が40%以上となる組成を有するインゴットを準備する。インゴットの製造方法は、真空溶解と真空アーク再溶解やエレクトロスラグ再溶解等の常法を適用すれば良い。なお、後述する本発明の製造方法は、特に、従来の熱間鍛造分塊技術で対応できないγ’モル率が60%〜70%Ni基超合金の加工に好適である。
<第1の冷間加工工程>
本発明では、先ず、上記インゴットに冷間で加工を行う。冷間加工と再結晶熱処理における再結晶のメカニズムはまだ完全解明に至っていないが、本発明で冷間加工を適用した理由は、まず、熱間鍛造加工に比較して、加工過程での回復や動的再結晶が行われず、塑性加工によるひずみエネルギーを最も有効に材料に導入できるためである。次に、インゴットのままでは不均一に分布する共晶γ’相、炭化物、他析出相が存在し、μmオーダーのミクロ塑性変形の不均一性を利用して、ひずみ勾配が高いポイントを作るのに有利であるからである。ひずみ勾配が高いサイトは再結晶核生成起点になりやすい。この冷間加工を適用することで、低い冷間加工率と後述する適切な熱処理により首尾よく再結晶組織を得ることができる。
前述の冷間加工として、本発明では第1の冷間加工工程の加工率を5%以上、30%未満とする。原理的に、塑性変形した材料の再結晶はひずみ量の増加と共に容易になることがある。加工率が5%未満ではインゴットへのひずみの導入が不足し、後に行う熱処理を適用しても再結晶を起こすことはできない。そのため、第1の冷間加工工程の加工率の下限を5%とする。再結晶組織をより確実に得るには、第1の冷間加工工程の加工率の下限を8%とするのが好ましい。
一方、加工率が高いほど、後に行う熱処理にて再結晶が容易になり、再結晶粒を微細とすることができるため、第1の冷間加工工程の加工率は高い方が好ましい。しかし、鋳造ままのインゴットあるいはソーキング熱処理を行ったインゴットはデントライトの粗大組織を呈し、インゴット中に凝固偏析や鋳造欠陥などが存在して、冷間加工延性が限られる。そのため、冷間加工時の欠陥発生リスクを考慮し、第1の冷間加工工程の加工率の上限を30%未満とする。好ましい第1の冷間加工工程の加工率の上限は20%であり、さらに好ましくは15%である。
なお、代表的な加工方法としては、図8に示すような径方向からの圧縮方式と図9に示す据え込み鍛造のような径の長さが殆ど変化せず、長さ方向に圧縮する加工方法がある。図8および図9ではいずれも矢印の方向に圧縮力が加えられる。
例えば、図8に示す径方向圧縮の加工率は下記の式(1)で定義する。
加工率(%)=((L0−L1)/L0)×100%…(1)
ここで、L0は冷間加工前の径であり、L1は径方向からの圧縮加工後の寸法である。
なお、例えば、径方向からの圧縮としては、鍛伸のように径の断面積を小さくして、素材の長さを長尺とする加工方法があり、その場合は、鍛伸前の径と鍛伸後の径とで加工率を求めると良い。また、本発明を適用する場合、後述の実施例1に示すような加工方法がある。例えば、素材の長さ方向を拘束した丸棒材に対して、軸方向に所定の角度の回転と、その都度径方向の圧縮を繰り返す方法である。この方法によれば、長さ方向と径方向は結果として殆ど変化しないが、材料自体に均一に歪を加えることができる。この場合の加工率は、1パス毎の径方向の変化で上記(1)式を用いて計算する。
なお、図9に示す据え込み圧縮の加工率は式(2)で定義する。
加工率(%)=((L2−L3)/L2)×100%…(2)
ここで、L2は圧縮加工前の長さ(高さ)、L3は加工後の長さ(高さ)である。
<第1の熱処理工程>
次に本発明による製造方法では、前述の第1の冷間加工を行った冷間加工材に対して、第1の熱処理を行う。第1の熱処理工程の温度は被加工Ni基超耐熱合金のγ’ソルバス温度を超える温度とする(スーパーソルバス熱処理)。本発明者の検討によれば、第1の冷間加工を行った冷間加工材に対して熱処理を行うと、熱処理温度の上昇により再結晶が進行することが分かった。特にγ’ソルバス温度上下では挙動が大きく変わることを知見した。γ’ソルバス温度以下では低ひずみ変形の健全な再結晶組織を得られないが、γ’ソルバス温度を超える温度域では、95%以上の再結晶組織が得られた。そのため、第1の熱処理工程をNi基超耐熱合金のγ’ソルバス温度を超える温度で行う。より健全な再結晶組織を得るための好ましい第1の熱処理温度の下限はγ’ソルバス温度プラス5℃であり、より好ましくはγ’ソルバス温度プラス10℃である。
なお、健全な再結晶組織を維持するための第1の熱処理温度の上限はNi基超耐熱合金の固相線未満である。固相線以上に加熱するとNi基超耐熱合金の一部が溶解し始めて、熱処理とは呼べなくなる。また、第1の熱処理温度が過度に高くなると再結晶粒の成長を促進して、結晶粒の粗大化を促進することがあるため、第1の熱処理温度の上限はγ’ソルバス温度プラス40℃とするのが好ましい。ただし、その温度と固相線温度の低い方とする。さらに好ましくは、第1の熱処理温度の上限はγ’ソルバス温度プラス20℃である。ただし、その温度と固相線温度の低い方とする。
この第1の冷間加工工程と、第1の熱処理工程の組合せにより、Ni基超耐熱合金に熱間加工を適用することが可能な、再結晶率を90%以上とすることができる。
インゴットは鋳造組織を有し、結晶粒径が粗大である。また、冷却方向に依存する異方性を持つ柱状晶が存在することが多い。このような鋳造組織は熱間変形時にmmオーダーのマクロ塑性変形が不均一となり、熱間加工時に早期の割れが発生しやすい。再結晶で作る結晶組織は等軸結晶であり、結晶粒径を微細にすることができるため、熱間変形が均一となり、局所的な転位の蓄積が起こり難い。それため、熱間加工時に割れの発生が抑制され、熱間加工性に優れている。
<第2の冷間加工工程と第2の熱処理工程>
本発明では、上述した第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程の組合せにより、熱間加工を容易にするのに必要な再結晶粒を得ることができるが、この再結晶組織を微細とするには、更に第2の冷間加工工程と第2の熱処理工程を行うことが好ましい。
本発明は第2の冷間加工工程の加工率を20%以上とし、第2の熱処理工程の温度はγ’ソルバス温度未満(サブソルバス熱処理)とする。上述したように冷間での加工率が高いほど後に行う第2の熱処理工程で再結晶率が高く、再結晶粒径が微細になる。健全な再結晶組織を得て、後工程の熱間鍛造で十分な加工延性を得るために、第2の冷間加工工程の加工率の下限を20%とする。より微細均一な再結晶組織を作るための好ましい第2の冷間加工工程の加工率の下限は30%であり、より好ましくは40%である。一方、加工率の上限は特に設定しないが、第2の冷間加工工程で割れが発生しないことを目安とすると、80%の加工率を上限とするのが現実的である。
また、第2の熱処理工程の温度をγ’ソルバス温度未満とする理由は下記のとおりである。γ’ソルバス温度を超えるスーパーソルバス熱処理は再結晶が容易であるが、再結晶粒径が粗大である。一方、サブソルバス熱処理では再結晶の進行が遅いが、得られる再結晶組織が微細である。第2の冷間加工工程とサブソルバス熱処理の第2の熱処理工程とを組み合わせることにより、再結晶組織の微細化が図れる。そのため、本発明で行う第2の熱処理工程はγ’ソルバス温度未満とする。再結晶組織をより確実に微細化するための第2の熱処理工程の好ましい温度の上限はγ’ソルバス温度マイナス10℃であり、より好ましくはγ’ソルバス温度マイナス20℃である。一方で、第2の熱処理温度が低すぎると再結晶率が低くなる場合があるため、第2の熱処理温度の下限はγ’ソルバス温度マイナス80℃とすると良い。より好ましい第2の熱処理温度の下限はγ’ソルバス温度マイナス50℃であり、更に好ましくはγ’ソルバス温度マイナス40℃である。
再結晶の結晶粒をさらに微細化させることにより、局所的な転位の蓄積を抑制する効果を向上させ、熱間変形の均一性をさらに向上させ、熱間加工性が一層向上することができる。
上述する冷間加工の方法は、プレスや鍛伸等の鍛造、スエジング等の延伸加工、ショットブラストやショットピーニング等の噴射加工を適用すると良い。冷間加工はNi基超耐熱合金インゴットにひずみを導入するために行う。基本的にはひずみを導入できる方法のすべてが適用できるが、素材がインゴットであることを考慮すると、鍛造、延伸加工、噴射加工を適用するのが好ましい。このうち、噴射加工単独で5%以上の加工率で冷間加工を行うのは困難であるため、鍛造や延伸加工を組合わせるのが好ましい。噴射加工は主としてインゴット表面に対してひずみを導入するものであり、インゴットの割れの発生が表面を起点として発生するため、特に割れやすいNi基超耐熱合金製のインゴットへの冷間加工には好適である。また、加工効率とコストの観点から、ひずみ導入の量やひずみ速度が制御しやすく、ひずみエネルギーが効率的に材料に蓄積できる加工方法としては、例えば油圧プレス(鍛造)を適用するのが好ましい。
次に本発明の製造方法で用いるNi基超耐熱合金の好ましい組成について説明する。本発明は、γ’モル率が40%以上になる組成であれば、広く適用できるが、中でも以下の組成が特に好適である。なお、組成の単位は質量%である。
<C:0.001〜0.250%>
Cは、結晶粒界の強度を高める効果を有する。この効果は、0.001%以上で現れるが、Cを過剰に含有した場合は、粗大な炭化物が形成され、強度、熱間加工性を低下させるため、0.250%を上限とする。好ましい下限は0.005%であり、より好ましくは0.010%である。また、好ましい上限は0.150%であり、より好ましくは0.110%である。
<Cr:8.0〜22.0%>
Crは、耐酸化性、耐食性を向上させる元素である。その効果を得るには、8.0%以上が必要である。Crを過剰に含有すると、σ相などの脆化相を形成し、強度、熱間加工性を低下させるので、上限は22.0%とする。好ましい下限は9.0%であり、より好ましくは9.5%である。また、好ましい上限は18.0%であり、より好ましくは16.0%である。
<Co:28.0%以下>
Coは、組織の安定性を改善し、強化元素であるTiを多く含有しても熱間加工性を維持することを可能とする。他元素との組み合わせにより、28.0%以下の範囲で含有することができる選択元素の一つである。Co含有量を高めると熱間加工性は向上し、特に難加工性のNi基超耐熱合金においては、Coの添加は有効である。一方で、Coは高価であるため、コストが上昇する。熱間加工性を向上させる目的でCoを添加する場合の好ましい下限は8.0%とすると良い。更に好ましくは10.0%である。また、Coの好ましい上限は18.0%とする。より好ましくは16.0%である。なお、γ’生成元素やNiマトリックス生成のバランスにより、Coを無添加レベル(原料の不可避不純物レベル)としても良い場合は、Coの下限を0%とする。
<Fe:10.0%以下>
Feは、高価なNi、Coの代替として用いる選択元素の一つであり、合金コストの低減に有効である。この効果を得るには、他元素の組み合わせで添加するかどうかを決定すると良い。ただし、Feを過剰に含有するとσ相などの脆化相を形成し、強度、熱間加工性を低下させるので、Feの上限は10.0%とする。好ましい上限は9.0%であり、より好ましくは8.0%である。一方、γ’生成元素やNiマトリックス生成のバランスにより、Feを無添加レベル(原料の不可避不純物レベル)としても良い場合は、Feの下限を0%とする。
<Mo:2.0〜7.0%>
Moは、マトリックスの固溶強化に寄与し、高温強度を向上させる効果がある。この効果を得るためには、2.0%以上が必要であるが、Moが過剰となると金属間化合物相が形成されて高温強度を損なうため、上限を7.0%とする。好ましい下限は2.5%であり、より好ましくは3.0%である。また、好ましい上限は5.0%であり、より好ましくは4.0%である。
<W:6.0%以下>
Wは、Moと同様に、マトリックスの固溶強化に寄与する選択元素の一つである。Wが過剰となると有害な金属間化合物相が形成されて高温強度を損なうため、上限を6.0%とする。好ましい上限は5.5%であり、より好ましくは5.0%である。前述のWの効果をより確実に発揮させるには、Wの下限を1.0%とすると良い。また、WとMoとを複合添加することにより、より固溶強化効果が発揮できる。複合添加の場合のWは0.8%以上の添加が好ましい。なお、Moの十分な添加により、Wを無添加レベル(原料の不可避不純物レベル)としても良い場合は、Wの下限を0%とする。
<V:1.2%以下>
Vは、マトリックスの固溶強化、炭化物生成による粒界強化に有用な選択元素の一つである。このVの効果をより確実に発揮させるには、Vの下限を0.5%とすると良い。ただし、Vの過度の添加は製造過程の高温不安定相の生成を招き、製造性および高温力学性能に悪影響を招くので、Vの上限を1.2%とする。好ましい上限は1.0%であり、より好ましくは0.8%である。なお、合金中の他合金元素のとのバランスにより、Vを無添加レベル(原料の不可避不純物レベル)としても良い場合は、Vの下限を0%とする。
<Al:2.0〜8.0%>
Alは、強化相であるγ’(NiAl)相を形成し、高温強度を向上させる必須元素である。その効果を得るためには最低2.0%が必要であるが、過度の添加は熱間加工性を低下させ、加工中の割れなどの材料欠陥の原因となるので、2.0〜8.0%に限定する。好ましい下限は2.5%であり、より好ましくは3.0%である。また、好ましい上限は7.5%であり、より好ましくは7.0%である。
<Ti:0.5〜7.0%>
TiもAlと同様にγ’相を形成し、γ’相を固溶強化して高温強度を高める必須元素である。その効果を得るためには最低0.5%必要であるが、過度の添加はガンマプライム相が高温で不安定となって高温での粗大化を招くとともに有害なη(イータ)相を形成し、熱間加工性を損なうのでTiの上限を7.0%とする。他のγ’形成元素やマトリックスのバランスを考慮すると、Tiの好ましい下限は0.7%であり、より好ましくは0.8%である。また、好ましい上限は6.5%であり、より好ましくは6.0%である。
<Nb:4.0%以下>
Nbは、AlやTiと同様にγ’相を形成し、γ’相を固溶強化して高温強度を高める選択元素の一つである。このNbの効果をより確実に発揮させるには、Nbの下限を2.0%とすると良い。ただし、Nbの過度の添加は有害なδ(デルタ)相を形成し、熱間加工性を損なうのでNbの上限を4.0%とする。好ましい上限は3.5%であり、より好ましくは2.5%である。他のγ’形成元素の添加により、Nbを無添加レベル(原料の不可避不純物レベル)としても良い場合は、Nbの下限を0%とする。
<Ta:3.0%以下>
Taは、AlやTiと同様にγ’相を形成し、γ’相を固溶強化して高温強度を高める選択元素の一つである。このTaの効果をより確実に発揮させるには、Taの下限を0.3%とすると良い。ただし、Taの過度の添加はガンマプライム相が高温で不安定となって高温での粗大化を招くとともに有害なη(イータ)相を形成し、熱間加工性を損なうのでTaの上限を3.0%とする。好ましくは2.5%以下である。一方、TiやNbなどのγ’形成元素添加やマトリックスのバランスにより、Taは無添加レベル(原料の不可避不純物レベル)としても良い場合は、Taの下限を0%とする。
<Hf:1.0%以下>
Hfは、合金の耐酸化性向上、炭化物生成による粒界強化に有用な選択元素の一つである。このHfの効果をより確実に発揮させるには、Hfの下限を0.1%とすると良い。ただし、Hfの過度の添加は製造過程の酸化物生成、高温不安定相の生成を招き、製造性および高温力学性能に悪影響を招くので、Hfの上限を1.0%とする。なお、合金中の他合金元素のとのバランスにより、Hfは無添加レベルの原料(不可避不純物レベル)としても良い場合は、Hfの下限を0%とする。
<B:0.001〜0.300%>
Bは、粒界強度を向上させ、クリープ強度、延性を改善する元素である。この効果を得るには最低0.001%が必要となる。一方でBは融点を低下させる効果が大きいこと、また、粗大なホウ化物が形成されると加工性が阻害されることから、0.300%を超えないように制御すると良い。好ましい下限は0.003%であり、より好ましくは0.005%である。また、好ましい上限は0.20%であり、より好ましくは0.020%である。
<Zr:0.001〜0.300%>
Zrは、Bと同様に粒界強度を向上させる効果を有しており、この効果を得るには最低0.001%とする。一方でZrが過剰となると、やはり融点の低下を招き、高温強度、熱間加工性が阻害されるため、上限は0.300%とする。好ましい下限は0.005%であり、より好ましくは0.010%である。また、好ましい上限は0.250%であり、より好ましくは0.200%である。
以上、説明する元素以外の残部はNiとするが、当然、不可避的な不純物は含まれる。
(実施例1)
以下の実施例で本発明を更に詳しく説明する。
Ni基超耐熱合金を真空溶解し、ロストワックス精密鋳造でNi基超耐熱合金Aのインゴット(φ40mm×200mmL)を作製した。Ni基超耐熱合金Aの化学組成を表1に示す。Ni基超合金は平衡状態で析出できるγ’の量やγ’ソルバス温度は原理的にその合金組成で決められる。Ni基超耐熱合金Aのγ’ソルバス温度とγ’モル率は市販計算ソフトJMatPro(Version 8.0.1、Sente Software Ltd.社製品)を用いて計算し、γ’ソルバス温度は1188℃であり、700℃のγ’モル%は69%であった。
得られたNi基超耐熱合金Aのインゴットからインゴットの長手方向と平行の方向からφ13mm×100mmLの圧縮試験用サンプルを採取した。
第1の冷間加工は、φ13mm×100mmLの圧縮サンプルを径方向から複数パスの圧縮を行った。異なる圧縮パスの圧縮方向は下記のように行った。
1パス目:径方向の任意方向で第1回目の圧縮。
2パス目:第1回目の圧縮の方向を基準に、90°方向に回転させて第2の圧縮。
3パス目:第1回目の圧縮の方向を基準に、プラス45°方向に回転させて圧縮。
4パス目:第1回目の圧縮の方向を基準に、マイナス45°方向に回転させて圧縮。
5パス目:第1パス方向を基準に、プラス22.5°方向に回転させて圧縮。
6パス目:第1パス方向を基準に、マイナス22.5°方向に回転させて圧縮。
7パス目:第2パスの方向を基準に、プラス22.5°方向に回転させて圧縮。
8パス目:第2パスの方向を基準に、マイナス22.5°方向に回転させて圧縮。
上記の順番で2パス目〜8パス目までそれぞれ実施した。それぞれの加工パス数を表2に示す。表示の仕方は、例えば、2パス目まで実施したものは加工パス数を2、8パス目まで実施したものは加工パス数を8というように表記した。
なお、加工率の計算は、上記の(1)式の通り、加工(圧縮)率(%)=(L0−L1)/L0×100%として計算し、L0とL1はパス毎の径方向の圧縮前後寸法である。圧縮加工温度は室温、圧縮のひずみ速度はいずれも0.1/sであった。
上記第1の冷間加工工程を行った材料は所定温度と保持時間の第1の熱処理工程を施した。第1の冷間加工工程の条件を表2に示す。第1の熱処理工程として表2に示す「サブソルバス処理」の熱処理条件は、1150℃×30分であり、「スーパーソルバス処理(A)」の熱処理条件は1200℃×5分、「スーパーソルバス処理(B)」の熱処理条件は1200℃×30分である。なお、熱処理後はいずれのサンプルも空冷を行った。
また、第1の熱処理工程後の丸棒から厚み5mmのミクロ観察用サンプルを切り出し、丸棒の軸方向から光学顕微鏡観察を行った。組織観察の腐食液はKalling液、再結晶率の算出は再結晶組織の面積率で算出した。再結晶率の測定結果を表2に併せて示す。実施例および比較例のミクロ写真を図1〜図5に示す。
表2及び図1〜5の結果から、本発明で規定する第1の冷間加工工程(加工率5%以上)と第1の熱処理工程(スーパーソルバス熱処理)を適用したものは、十分な再結晶組織が得られることが分かる。一方、第1の冷間加工工程の加工率が5%未満であったり、第1の熱処理工程(スーパーソルバス熱処理)の温度に満たない温度領域で熱処理を行ったものは50%以上の再結晶組織は得られなかった。
(実施例2)
Ni基超耐熱合金を真空溶解し、Ni基超耐熱合金Bのインゴット(φ100mm×110mmL)を作製した。Ni基超耐熱合金Bの化学組成を表3に示す。Ni基超耐熱合金Bのγ’ソルバス温度とγ’モル率は市販計算ソフトJMatProで計算し、γ’ソルバス温度は1162℃であり、700℃のγ’モル%は46%であった。
得られたNi基超耐熱合金Bのインゴットの1/4直径位置からインゴットの軸方向と平行方向でφ22mm×55mmLの圧縮試験用サンプルを採取した。
第1の冷間加工工程は、φ22mm×55mmLの丸棒を軸方向から据え込み方式とし、加工率10%で冷間加工を行った。なお、加工率の計算は、上記(2)式の通り、第1の冷間加工(圧縮)は圧縮加工率(%)=(L2−L3)/L2×100%で定義し、L2とL3はそれぞれ圧縮加工前と後の長さ(高さ)である。なお、第1の冷間加工工程において加工率40%で加工した圧縮試験用サンプルには割れが発生したため、その後の第1の熱処理工程は行わなかった。
次に、第1の熱処理工程を実施した。第1の熱処理工程の条件は、保持温度1180℃×8時間保持後、60℃/hの冷却速度で500℃まで冷却し、500℃で熱処理炉からサンプルを取り出して空冷した。
第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を施した後、実施例1と同様な方法でミクロ組織を評価し、再結晶率が100%であることを確認した。なお、再結晶粒径サイズをASTM法で評価したところ、平均粒径は320μmであった。
第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を経た圧縮試験後のサンプルに、さらに、第2の冷間加工工程として、軸方向から据え込み圧縮で加工率30%の冷間加工を行った後、第2の熱処理工程を施した。第2の熱処理工程の条件は、保持温度1130℃×30分保持後空冷した。
第2の冷間加工工程と第2の熱処理工程を施した圧縮試験後のサンプルを長さ方向の中心線を通るように切断し、1/4D(Dは直径)位置のミクロ組織を観察した。腐食は電解腐食を採用した(電解腐食液:10%シュウ酸水溶液、腐食電圧:4V、腐食時間2秒)。これで得られた組織を図6に示し、その平均粒径は10.6μm(ASTM#9.7)であった。
この結果から、本発明で規定するNi基超耐熱合金の製造方法を適用することにより、結晶粒の微細化が十分に図れることがわかる。
(実施例3)
Ni基超耐熱合金を真空溶解し、Ni基超耐熱合金Cのインゴット(φ100mm×110mmL)を作製した。Ni基超耐熱合金Cの化学組成を表4に示す。Ni基超耐熱合金Cのγ’ソルバス温度とγ’モル率は市販計算ソフトJMatProで計算し、γ’ソルバス温度は1235℃であり、γ’モル%は72%であった。
得られたNi基超耐熱合金Cのインゴットの1/4直径位置からインゴットの軸方向と平行方向でφ22mm×55mmLの圧縮試験用サンプルを採取した。
第1の冷間加工工程は、φ22mm×55mmLの丸棒を軸方向から据え込み方式とし、加工率10%で冷間加工を行った。加工率は上記の(2)式の通りである。なお、第1の冷間加工工程において加工率40%で加工した圧縮試験用サンプルには割れが発生したため、その後の第1の熱処理工程は行わなかった。
次に、第1の熱処理工程を実施した。第1の熱処理工程の条件は、保持温度1250℃×8時間保持後、60℃/hの冷却速度で500℃まで冷却し、500℃で熱処理炉からサンプルを取り出して空冷した。
第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を施した後、実施例1と同様な方法でミクロ組織を評価し、再結晶率が100%であることを確認した。なお、再結晶粒径サイズをASTM法で評価したところ、平均粒径が290μmであった。
第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程を経た圧縮試験後のサンプルをさらに、第2の冷間加工工程として、軸方向から加工率30%の冷間加工を行った後、第2の熱処理工程を施した。第2の熱処理工程の条件は、保持温度1200℃×30分保持後空冷した。
第2の冷間加工工程と第2の熱処理工程を施した圧縮試験後のサンプルを長さ方向の中心線を通るように切断し、1/4D(Dは直径)位置のミクロ組織を観察した。腐食は電解腐食を採用した(電解腐食液:10%シュウ酸水溶液、腐食電圧:4V、腐食時間1.5秒)。これで得られた組織を図7に示す。その平均粒径は9.8μm(ASTM#10)であった。
この結果から、本発明で規定するNi基超耐熱合金の製造方法を適用することにより、結晶粒の微細化が十分に図れることがわかる。
(実施例4)
真空溶解してNi基超耐熱合金Dのインゴット(φ100mm×110mmL)を作製した。Ni基超耐熱合金Dの化学組成を表5に示す。本合金のγ’ソルバス温度とγ’モル率は市販計算ソフトJMatProで計算し、γ’ソルバス温度は1159℃であり、700℃γ’モル%は47%であった。
得られたNi基超耐熱合金Dのインゴットの1/4直径位置からインゴットの軸方向と平行方向でφ22mm×35mmLの圧縮用サンプルを採取した。
第1の冷間加工工程は、φ22mm×35mmLの丸棒を軸方向から据え込み鍛造した。鍛造の加工率10%であった。加工率は式(2)に従って算出した。次に、第1の熱処理工程を実施した。第1の熱処理工程の条件は、保持温度1180℃×8時間保持後、60℃/hの冷却速度で500℃まで冷却し、500℃で熱処理炉からサンプルを取り出して空冷した。
上記熱処理材料から引張試験片を採取し、引張試験を行った。引張試験片はASTM標準の縮小版を採用した。試験全長30mm、標点距離7mm、直径2mmであった。なお、歪み速度は0.1/Sであり、引張試験温度は室温(22℃)と800℃で行った。なお、試験温度800℃は分解鍛造等の熱間加工を模擬したものである。また、比較例として、鋳造ままの材料から引張試験片を採取して、同様な引張条件で引張試験を行った。その結果を表6に示す。
表6に示すように本発明の第1の冷間加工工程と第1の熱処理工程により、γ’モル%40%以上の難加工Ni基超耐熱合金の高温延性が大幅に向上したことが分かる。
通常、1050〜1100℃での熱間加工では、絞りの値が60%程度確保できれば十分に熱間加工ができるものである。表6に示すように、本発明では、800℃という比較的低い温度であっても絞りが約60%に達成できた。通常、熱間加工は800℃より高い温度で行うことから本発明方法の適用により、熱間加工を容易に行えることが分かる。
以上、説明する本発明のNi基超耐熱合金の製造方法を、例えば、分塊用中間素材の製造に適用すると、従来、熱間鍛造等の熱間加工が困難とされていたγ’モル率40%以上の難加工Ni基超合金の分塊鍛造等の熱間加工を容易に行うことができる。これにより、高γ’含有Ni基超耐熱合金を用いて、例えば、航空機や発電用高性能タービンディスク製造を可能とすることができる。

Claims (7)

  1. ガンマプライム(γ’)相が40モル%以上となる組成を有するNi基超耐熱合金インゴットを準備する工程と、
    前記Ni基超耐熱合金インゴットを加工率5%以上、30%未満で冷間加工を行う第1の冷間加工工程と、
    前記第1の冷間加工を行った冷間加工材にガンマプライム固溶温度を超える温度で熱処理する第1の熱処理工程と
    を含む、Ni基超耐熱合金の製造方法。
  2. 前記第1の熱処理を行う温度が、ガンマプライム固溶温度プラス40℃以下、かつ前記Ni基超耐熱合金の固相線温度未満である請求項1に記載のNi基超耐熱合金の製造方法。
  3. 前記第1の熱処理を施された熱処理材に加工率20%以上で第2の冷間加工を行う第2の冷間加工工程と、
    前記第2の冷間加工を行った冷間加工材にガンマプライム固溶温度未満の温度で熱処理する第2の熱処理工程と
    をさらに含む請求項1または2に記載のNi基超耐熱合金の製造方法。
  4. 前記第2の熱処理を行う温度が、ガンマプライム固溶温度マイナス80℃以上である請求項3に記載のNi基超耐熱合金の製造方法。
  5. 前記第1の冷間加工は、鍛造、延伸加工、噴射加工の何れかまたは2種以上の組合わせである請求項1または2に記載のNi基超耐熱合金の製造方法。
  6. 前記第1の冷間加工または前記第2の冷間加工は、鍛造、延伸加工、噴射加工の何れかまたは2種以上の組合わせである請求項3または4に記載のNi基超耐熱合金の製造方法。
  7. 前記Ni基超耐熱合金の組成が、質量%で、C:0.001〜0.250%、Cr:8.0〜22.0%、Co:28.0%以下、Mo:2.0〜7.0%、W:6.0%以下、Al:2.0〜8.0%、Ti:0.5〜7.0%、Nb:4.0%以下、Ta:3.0%以下、Fe:10.0%以下、V:1.2%以下、Hf:1.0%以下、B:0.001〜0.300%、Zr:0.001〜0.300%を含み、残部はNi及び不純物からなる請求項1乃至6の何れかに記載のNi基超耐熱合金の製造方法。
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