JP2023183502A - 自動分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】分注機構が複数種類の液体を連続的に吸引および吐出する場合であっても、目標分注量の液体を反応容器に供給し、分析精度の高い自動分析装置を提供する。
【解決手段】本発明の自動分析装置は、検体容器または試薬容器から液体を吸引し、反応容器に吐出する分注機構と、目標分注量になるよう前記分注機構の動作を制御する制御部と、を備え、前記分注機構は、分注時に、前記目標分注量の液体に加え、余剰吸引量の液体を吸引する自動分析装置であって、前記分注機構が、複数種類の液体を連続的に吸引し、吸引した複数種類の液体を連続的に吐出する場合、前記制御部は、吸引する液体の順序に応じて、前記分注機構が吸引する余剰吸引量を変更する。
【選択図】 図9
【解決手段】本発明の自動分析装置は、検体容器または試薬容器から液体を吸引し、反応容器に吐出する分注機構と、目標分注量になるよう前記分注機構の動作を制御する制御部と、を備え、前記分注機構は、分注時に、前記目標分注量の液体に加え、余剰吸引量の液体を吸引する自動分析装置であって、前記分注機構が、複数種類の液体を連続的に吸引し、吸引した複数種類の液体を連続的に吐出する場合、前記制御部は、吸引する液体の順序に応じて、前記分注機構が吸引する余剰吸引量を変更する。
【選択図】 図9
Description
本発明は、自動分析装置に関する。
近年、全自動または半自動で生化学分析、免疫分析や遺伝子分析を行う自動分析装置は、臨床検査などの分野に幅広く活用されている。自動分析装置では一般的に、試薬および検査対象となる検体が分注機構によって容器から吸引され、インキュベータ上の反応容器に吐出される。そして、反応容器内の試薬および検体の混合液に含まれる成分が、検出ユニットによって検出される。
ここで、分析精度を向上させるための技術として、特許文献1には、分注対象となる検体の総量に応じて先端余剰量および後端余剰量を増減する自動分析装置が開示されている。
分析項目によっては、洗浄回数の低減や分注時間の短縮を実現するために、分注機構が1回の分注で、複数種類の液体(複数の試薬、試薬と検体)を連続的に吸引し、吸引した液体を連続的に反応容器に吐出することがある。このような場合、先に吸引される液体は、分注機構の奥の方に保持されるので、吐出される際に分注機構の中に残り易く、後に吸引される液体は、相対的に液残りが少ない。
本発明の目的は、分注機構が複数種類の液体を連続的に吸引および吐出する場合であっても、目標分注量の液体を反応容器に供給し、分析精度の高い自動分析装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明の自動分析装置は、検体容器または試薬容器から液体を吸引し、反応容器に吐出する分注機構と、目標分注量になるよう前記分注機構の動作を制御する制御部と、を備え、前記分注機構は、分注時に、前記目標分注量の液体に加え、余剰吸引量の液体を吸引する自動分析装置であって、前記分注機構が、複数種類の液体を連続的に吸引し、吸引した複数種類の液体を連続的に吐出する場合、前記制御部は、吸引する液体の順序に応じて、前記分注機構が吸引する余剰吸引量を変更する。
本発明によれば、分注機構が複数種類の液体を連続的に吸引および吐出する場合であっても、目標分注量の液体を反応容器に供給し、分析精度の高い自動分析装置を提供できる。詳細な課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
実施例1に係る自動分析装置は、分注機構のプローブ先端に装着されるチップ内に試薬と検体を吸引し、反応容器に吐出するものである。また、本実施例では、分注機構が最大で3種類の液体(試薬または検体)を連続的に吸引し、これらの液体を連続的に反応容器に吐出する場合を例に挙げて説明する。
図1は、実施例1に係る自動分析装置の概略構成図である。自動分析装置1は、主に、試薬ディスク102と、検体ディスク104と、インキュベータ106と、検出ユニット109と、分注機構111と、洗浄機構116と、制御部207(図2参照)と、を備える。
分析に使用される試薬を収容する試薬ボトル101(試薬容器)は、試薬ディスク102に保持され、検体を収容する検体容器103は、検体ディスク104に保持される。検体と試薬を反応させる反応容器105は、一定温度に温調されたインキュベータ106に保持される。
反応容器105は、反応容器トレイ107に支持された状態で自動分析装置に搭載され、グリッパ108を介してインキュベータ106上に搬送される。反応容器105内で反応が進んだ溶液は、検出ユニット109によって成分が検出される。検出が終了し、使用済となった反応容器105は、グリッパ108を介して、反応容器廃棄口110に廃棄される。
試薬ディスク102、検体ディスク104およびインキュベータ106には、それぞれを回転駆動する試薬ディスク駆動機構102a、検体ディスク駆動機構104aおよびインキュベータ駆動機構106aが、一体的に設けられている。試薬ディスク102、検体ディスク104およびインキュベータ106は、駆動機構により、分注機構111が液体にアクセス可能な位置に移動する。ここでいうアクセスとは、単に液体に接近することのみならず、液体を吸引することをいう。以下においても同様である。
分注機構111は、分注に際して検体や試薬の成分を次の分析に持ち越すことを防ぐために、使い捨てのチップ112を使用する。分注機構111は、チップバッファ113に設置されたチップ112を用いて、必要な検体と試薬を吸引する。チップ112は、チップトレイ114に支持された状態で自動分析装置に搭載され、チップトレイ114からチップバッファ113上にグリッパ108を介して搬送される。分注が終わったチップ112は、チップ廃棄口115に廃棄される。洗浄機構116は、異なる液体を分注する際の成分の持越しを防ぐために、分注機構111を洗浄するものである。
図2は、分注機構の概略構成図である。分注機構111を構成するプローブ201の先端には、チップ112が取り付けられる。プローブ201は、チューブ202を介して、液体を吸引・吐出するためのシリンジ203に結合されている。シリンジ203は、シリンダ203aに対してプランジャ203bが移動することにより、液体を吸引・吐出可能となっている。分注機構111の流路内は洗浄水204で満たされており、この洗浄水204が圧力伝播を効率化する役割と汚れを洗浄する役割を果たしている。
シリンジ203は、シリンジ駆動部205によって吸引・吐出動作をし、プローブ201は、プローブ駆動部206(移動機構)によって上下回転動作をする。制御部207は、これらの動作量やタイミングを制御する。洗浄水タンク208に入れられた洗浄水204は、ポンプ209を通じて流路内に送られる。制御部207は、洗浄水204をプローブ201に送液する場合、電磁弁210を開閉して送液を開始または停止する。
チップバッファ113においてプローブ201の先端に取り付けられたチップ112は、試薬ボトル101に収容される3種類の試薬211a,211b,211c、検体容器103に収容される検体212、反応容器105、洗浄機構116にアクセスした後に、チップ廃棄口115に廃棄される。洗浄機構116は、洗浄ノズル116aと排水カップ116bで構成されており、洗浄ノズル116aによりチップ112の外壁を洗浄することができる。チップを外した状態でプローブ201より洗浄水を排水カップ116bに吐出することにより、プローブ201の内壁を洗浄することができる。洗浄ノズル116aへの洗浄水の送液の開始と停止は、制御部207による電磁弁213の開閉によって実施される。
<3種類の液体を同時に分注する例>
図3は、3種類の液体を連続的に吸引し、同時に反応容器に吐出する場合における、プローブおよびチップの内部の様子を示す図である。最初、プローブ201内は、洗浄水204で満たされている(図3(1))。続いて、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気301を吸引した後、プローブ201を、チップバッファ113にアクセスさせ、チップ112を取り付ける(図3(2))。このように、プローブ201内に予め分節空気301を吸引しておくことで、チップ112を取り付ける際の洗浄水204の液だれが防止できる。
図3は、3種類の液体を連続的に吸引し、同時に反応容器に吐出する場合における、プローブおよびチップの内部の様子を示す図である。最初、プローブ201内は、洗浄水204で満たされている(図3(1))。続いて、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気301を吸引した後、プローブ201を、チップバッファ113にアクセスさせ、チップ112を取り付ける(図3(2))。このように、プローブ201内に予め分節空気301を吸引しておくことで、チップ112を取り付ける際の洗浄水204の液だれが防止できる。
次に、制御部207は、プローブ201を駆動させ、液体302にチップ112を浸漬する。ここで、液体302は、試薬211a、211b、211c、検体212のいずれかである。浸漬の後、制御部207は、シリンジ203を駆動させ、液体302をチップ112内に吸引する(図3(3))。吸引に際して、チップ112の外壁には、液体302が付着する。このため、制御部207は、プローブ201を洗浄機構116にアクセスさせ、洗浄ノズル116aから洗浄水204をチップ112外壁に吐出することにより、チップ112の外壁に付着した液体302を洗い流す。この洗浄の前もしくは後に、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気303を吸引することにより、液体302の液だれを防ぐ(図3(4))。
続いて、制御部207は、プローブ201を駆動させ、液体304にチップ112を浸漬する。ここで、液体304は、試薬211a、211b、211c、検体212のいずれかである。浸漬の後、制御部207は、シリンジ203を駆動させ、液体304をチップ112内に吸引する(図3(5))。吸引に際して、チップ112の外壁には、液体304が付着する。このため、制御部207は、プローブ201を洗浄機構116にアクセスさせ、洗浄ノズル116aから洗浄水204をチップ112外壁に吐出することにより、チップ112の外壁に付着した液体304を洗い流す。この洗浄の前もしくは後に、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気305を吸引することにより、液体304の液だれを防ぐ(図3(6))。
最後に、制御部207は、プローブ201を駆動させ、液体306にチップ112を浸漬する。ここで、液体306は、試薬211a、211b、211c、検体212のいずれかである。浸漬の後、制御部207は、シリンジ203を駆動させ、液体306をチップ112内に吸引する(図3(7))。ここまでの工程により、分注すべきすべての液体を吸引し終えたので、制御部207は、プローブ201を駆動させ反応容器105にアクセスさせ、すべての液体を吐出する(図3(8))。これによって、液体302、液体304、液体306の3種類の液体を、1つのチップ112で分注することが可能となる。なお、制御部207は、3種類の液体が反応容器105に吐出された後、反応容器105内の液体をチップ112内に吸引・吐出することにより、液体を攪拌してもよい。
図4は、3種類の液体を同時に分注する場合における、分注機構の動作手順を示すフローチャートである。最初、プローブ201の内部に洗浄水204が供給され、プローブ201内が洗浄される(ステップS401)。続いて、プローブ201内に分節空気301が吸引され(ステップS402)、プローブ201の先端にチップ112が装着される(ステップS403)。
次に、分注機構111は、液体302へ以下の手順でアクセスする。すなわち、プローブ201が駆動してチップ112が液体302に浸漬し(ステップS404)、チップ112内に液体302が吸引される(ステップS405)。その後、分注機構111は、チップ112の外壁を洗浄するために、洗浄機構116にアクセスし、チップ112の洗浄と分節空気303の吸引が実施される(ステップS406)。
次に、分注機構111は、液体304へ以下の手順でアクセスする。すなわち、プローブ201が駆動してチップ112が液体304に浸漬し(ステップS407)、チップ112内に液体304が吸引される(ステップS408)。その後、分注機構111は、チップ112の外壁を洗浄するために、洗浄機構116にアクセスし、チップ112の洗浄と分節空気305の吸引が実施される(ステップS409)。
続いて、分注機構111は、液体306へ以下の手順でアクセスする。すなわち、プローブ201が駆動してチップ112が液体306に浸漬し(ステップS410)、チップ112内に液体306が吸引される(ステップS411)。
最後に、分注機構111は、インキュベータ106にアクセスし、吸引した液体を吐出する。すなわち、プローブ201が反応容器105に移動し(ステップS412)、液体302、液体304および液体306が反応容器105内に吐出される(ステップS413)。その後、プローブ201は、チップ廃棄口115に移動し、チップ112が取り外される(ステップS414)。なお、ステップS413において液体が反応容器105に吐出された直後に、分注機構111は、反応容器105内の液体をチップ112内に吸引・吐出することにより、攪拌をしてもよい。
ここで、図3および図4に示す例の場合、吸引順序の1番目、2番目、3番目は、それぞれ液体302、液体304、液体306となる。液体302は、吸引順序が1番目であるため、図3のチップ112の上部まで到達する。一方で、液体306は、吸引順序が3番目であるため、チップ112の下部までしか到達しない。液体304は、吸引順序が2番目であるので、液体302と液体306の中間の高さまで到達する。
図4のステップ413において液体が反応容器105に吐出される工程では、チップ112内に液膜に起因する液残りが発生する。液膜による液残りは、チップ112内での液体の移動距離が長いほど多くなる。このため、チップ112の上部まで到達する液体302の液残りが最も多い。一方で、チップ112の下部までしか到達しない液体306液残りが最も少ない。液体304は、液体302と液体306の中間的な液残り量となる。
液体302、液体304および液体306それぞれの目標分注量を正確に吐出するためには、吐出する工程でのチップ112内の液残りを考慮して、想定される液残り量だけ液体302、液体304および液体306を余剰に吸引する必要がある。具体的には、制御部207が、目標分注量だけでなく、余剰に吸引すべき量(余剰吸引量)も予め設定しておく。そして、制御部207は、図4におけるステップS405、ステップS408およびステップS411において、目標分注量と余剰吸引量の総和に相当する液体を分注機構111に吸引させる。ここで、制御部207は、吸引順序に応じて余剰吸引量を変更する。望ましくは、最初に吸引する液体302の余剰吸引量が最も多く設定され、最後に吸引する液体306の余剰吸引量が最も少なく設定され、液体304の余剰吸引量が液体302と液体306の中間の量に設定される。
ここで、液膜の厚みは、液体の粘性、表面張力などの液体の物性にも依存する。すなわち、液体の物性値の違いによっても液残り量が異なるため、液体の物性値が吸引前に分かっている場合には、液体の物性値に応じた余剰吸引量が設定されるのが望ましい。
<2種類の液体を同時に分注する例>
図5は、2種類の液体を連続的に吸引し、同時に反応容器に吐出する場合における、プローブおよびチップの内部の様子を示す図である。最初、プローブ201内は、洗浄水204で満たされている(図5(1))。続いて、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気501を吸引した後、プローブ201をチップバッファ113にアクセスさせ、チップ112を取り付ける(図5(2))。
図5は、2種類の液体を連続的に吸引し、同時に反応容器に吐出する場合における、プローブおよびチップの内部の様子を示す図である。最初、プローブ201内は、洗浄水204で満たされている(図5(1))。続いて、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気501を吸引した後、プローブ201をチップバッファ113にアクセスさせ、チップ112を取り付ける(図5(2))。
次に、制御部207は、プローブ201を駆動させ、液体502にチップ112を浸漬する。ここで、液体502は、試薬211a、211b、211c、検体212のいずれかである。浸漬の後、制御部207は、シリンジ203を駆動させ、液体502をチップ112内に吸引する(図5(3))。吸引に際して、チップ112の外壁には、液体502が付着する。このため、制御部207は、プローブ201を洗浄機構116にアクセスさせ、洗浄ノズル116aから洗浄水204をチップ112外壁に吐出することにより、チップ112の外壁に付着した液体502を洗い流す。この洗浄の前もしくは後に、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気503を吸引することにより、液体502の液だれを防ぐ(図5(4))。
最後に、制御部207は、プローブ201を駆動させ、液体504にチップ112を浸漬する。ここで、液体504は、試薬211a、211b、211c、検体212のいずれかである。浸漬の後、制御部207は、シリンジ203を駆動させ、液体504をチップ112内に吸引する(図5(5))。ここまでの工程により、分注すべきすべての液体を吸引し終えたので、制御部207は、プローブ201を駆動させ反応容器105にアクセスさせ、すべての液体を吐出する(図5(6))。これによって、液体502と液体504の2種類の液体を、1つのチップ112で分注することが可能となる。なお、制御部207は、2種類の液体が反応容器105に吐出された後、反応容器105内の液体をチップ112内に吸引・吐出することにより、液体を攪拌してもよい。
図6は、2種類の液体を同時に分注する場合における、分注機構の動作手順を示すフローチャートである。最初、プローブ201の内部に洗浄水204が供給され、プローブ201内が洗浄される(ステップS601)。続いて、プローブ201内に分節空気501が吸引され(ステップS602)、プローブ201の先端にチップ112が装着される(ステップS603)。
次に、分注機構111は、液体502へ以下の手順でアクセスする。すなわち、プローブ201が駆動してチップ112が液体502に浸漬し(ステップS604)、チップ112内に液体502が吸引される(ステップS605)。その後、分注機構111は、チップ112の外壁を洗浄するために、洗浄機構116にアクセスし、チップ112の洗浄と分節空気503の吸引が実施される(ステップS606)。
続いて、分注機構111は、液体504へ以下の手順でアクセスする。すなわち、プローブ201が駆動してチップ112が液体504に浸漬し(ステップS607)、チップ112内に液体504が吸引される(ステップS608)。
最後に、分注機構111は、インキュベータ106にアクセスし、吸引した液体を吐出する。すなわち、プローブ201が反応容器105に移動し(ステップS609)、液体502と液体504が反応容器105内に吐出される(ステップS610)。その後、プローブ201は、チップ廃棄口115に移動し、チップ112が取り外される(ステップS611)。なお、ステップS610において液体が反応容器105に吐出された直後に、分注機構111は、反応容器105内の液体をチップ112内に吸引・吐出することにより、攪拌をしてもよい。
ここで、図5および図6に示す例の場合、吸引順序の1番目、2番目は、それぞれ液体502、液体504となる。液体502は、吸引順序が1番目であるため、図5のチップ112の上部まで到達する。一方で、液体504は、吸引順序が2番目であるため、チップ112の下部までしか到達しない。
図6のステップS610において液体が反応容器105に吐出される工程では、チップ112内に液膜に起因する液残りが発生する。液膜による液残りは、チップ112内での液体の移動距離が長いほど多くなる。このため、チップ112の上部まで到達する液体502の液残りは多い。一方で、チップ112の下部までしか到達しない液体504の液残りは少ない。
液体502および液体504それぞれの目標分注量を正確に吐出するためには、吐出する工程でのチップ112内の液残りを考慮して、想定される液残り量だけ液体502および液体504を余剰に吸引する必要がある。具体的には、制御部207が、目標分注量だけでなく、余剰に吸引すべき量(余剰吸引量)も予め設定しておく。そして、制御部207は、図6におけるステップS605およぶステップS608において、目標設定量と余剰吸引量の総和に相当する液体を分注機構111に吸引させる。ここで、制御部207は、吸引順序に応じて余剰吸引量を変更する。望ましくは、先に吸引する液体502の余剰吸引量が多く設定され、後に吸引する液体504の余剰吸引量が少なく設定される。
ここで、液膜の厚みは、液体の粘性、表面張力などの液体の物性にも依存する。すなわち、液体の物性値の違いによっても液残り量が異なるため、液体の物性値が吸引前に分かっている場合には、液体の物性値に応じた余剰吸引量が設定されるのが望ましい。
<1種類の液体を分注する例>
図7は、1種類の液体を反応容器に分注する場合における、プローブおよびチップの内部の様子を示す図である。最初、プローブ201内は、洗浄水204で満たされている(図7(1))。続いて、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気701を吸引した後、プローブ201をチップバッファ113にアクセスさせ、チップ112を取り付ける(図7(2))。
図7は、1種類の液体を反応容器に分注する場合における、プローブおよびチップの内部の様子を示す図である。最初、プローブ201内は、洗浄水204で満たされている(図7(1))。続いて、制御部207は、シリンジ203を駆動させて、プローブ201内に分節空気701を吸引した後、プローブ201をチップバッファ113にアクセスさせ、チップ112を取り付ける(図7(2))。
次に、制御部207は、プローブ201を駆動させ、液体702にチップ112を浸漬する。ここで、液体704は、試薬211a、211b、211c、検体212のいずれかである。浸漬の後、制御部207は、シリンジ203を駆動させ、液体702をチップ112内に吸引する(図7(3))。ここまでの工程により、分注すべき液体を吸引し終えたので、制御部207は、プローブ201を駆動させ反応容器105にアクセスし、液体を吐出する(図7(4))。これによって、単一の液体702を、チップ112で分注することが可能となる。
図8は、1種類の液体を分注する場合における、分注機構の動作手順を示すフローチャートである。最初、プローブ201の内部に洗浄水204が供給され、プローブ201内が洗浄される(ステップS801)。続いて、プローブ201内に分節空気701が吸引され(ステップS802)、プローブ201の先端にチップ112が装着される(ステップS803)。
次に、分注機構111は、液体702への以下の手順でアクセスする。すなわち、プローブ201が駆動してチップ112が液体702に浸漬し(ステップS804)、チップ112内に液体702が吸引される(S805)。
最後に、分注機構111は、インキュベータ106にアクセスし、吸引した液体を吐出する。すなわち、プローブ201が反応容器105に移動し(ステップS806)、液体702が反応容器105内に吐出される(ステップS807)。その後、プローブ201は、チップ廃棄口115に移動し、チップ112が取り外される(ステップS808)。なお、ステップS807において液体が反応容器105に吐出された直後に、分注機構111は、反応容器105内の液体をチップ112内に吸引・吐出することにより、攪拌をしてもよい。
ここで、図7および図8における分注の場合、吸引対象は液体702のみである。図8のステップS807において液体が反応容器105に吐出される工程では、チップ112内に液膜に起因する液残りが発生する。液体702の目標分注量を正確に吐出するためには、吐出する工程でのチップ112内の液残りを考慮して、想定される液残り量だけ液体702を余剰に吸引する必要がある。具体的には、制御部207が、目標分注量だけでなく、余剰に吸引すべき量(余剰吸引量)を予め設定しておく。そして、制御部207は、図8におけるステップS805において、目標分注量と余剰吸引量の総和に相当する液体を分注機構111に吸引させる。
ここで、液膜の厚みは、液体の粘性、表面張力などの液体の物性にも依存する。すなわち、液体の物性値の違いによっても液残り量が異なるため、液体の物性値が吸引前に分かっている場合には、液体の物性値に応じた余剰吸引量が設定されるのが望ましい。
図9は、実施例1における分析項目ごとの分注パターンを設定する表である。図9で設定されている分析例1~分析例4は、異なる分析項目に対応するものであり、それぞれの分析パターンは一部が異なっている。すなわち、各分析例は、試薬211a、試薬211bおよび試薬211cの3種類の試薬と検体212が、共通の反応容器105に2回の分注で供給される点では共通するものの、各回で分注される液体の種類の数、目標分注量、吸引順序のいずれかが異なる。各液体の余剰吸引量は、吸引順序と目標分注量に応じて決められる。
(分析例1)
まず、分注機構111は、1回目の分注である第一分注において、試薬211aおよび検体212を同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211aを先に吸引し(吸引順序1)、検体212を後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、新しいチップ112がプローブ201に装着される。
まず、分注機構111は、1回目の分注である第一分注において、試薬211aおよび検体212を同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211aを先に吸引し(吸引順序1)、検体212を後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、新しいチップ112がプローブ201に装着される。
次に、分注機構111は、2回目の分注である第二分注において、試薬211bおよび試薬211cを同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211bを先に吸引し(吸引順序1)、試薬211cを後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、分析例1の分注動作が完了する。
前述のように、第一分注では、試薬211aの吸引順序が1番目、検体212の吸引順序が2番目となる。このため、試薬211aは図5および図6における液体502、検体212は図5および図6における液体504に対応する。よって、試薬211aと検体212を分注する際には、試薬211aが検体212より液残り量が多くなる。したがって、試薬211aの余剰吸引量は1.1μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて31.1μLがプローブ201によって吸引される。一方で、検体212の余剰吸引量は0.7μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.7μLがプローブ201によって吸引される。
前述のように、第二分注では、試薬211bの吸引順序が1番目、試薬211cの吸引順序が2番目となる。このため、試薬211bは図5および図6における液体502、試薬211cは図5および図6における液体504に対応する。よって、試薬211bと試薬211cを分注する際には、試薬211bが試薬211cより液残り量が多くなる。したがって、試薬211bの余剰吸引量は1.0μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて31.0μLがプローブ201によって吸引される。一方で、試薬211cの余剰吸引量は0.5μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.5μLがプローブ201によって吸引される。
また、第一分注での試薬211aおよび検体212の余剰吸引量は、第二分注での試薬211bおよび試薬211cの余剰吸引量より多く設定されている。これは、第一分注で試薬211aおよび検体212を反応容器105に吐出した後、第二分注で試薬211bおよび試薬211cを同一の反応容器105に吐出する際に、チップ112に(反応容器105に吐出済みの)試薬211aおよび検体212の成分が付着するためである。この付着による試薬211aおよび検体212の成分持ち出しを考慮して、第一分注と第二分注で異なる余剰吸引量が設定される。
(分析例2)
まず、分注機構111は、1回目の分注である第一分注において、試薬211aおよび検体212を同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211aを先に吸引し(吸引順序1)、検体212を後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、新しいチップ112がプローブ201に装着される。
まず、分注機構111は、1回目の分注である第一分注において、試薬211aおよび検体212を同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211aを先に吸引し(吸引順序1)、検体212を後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、新しいチップ112がプローブ201に装着される。
次に、分注機構111は、2回目の分注である第二分注において、試薬211bおよび試薬211cを同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211cを先に吸引し(吸引順序1)、試薬211bを後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、分析例2の分注動作が完了する。
前述のように、第一分注では、試薬211aの吸引順序が1番目、検体212の吸引順序が2番目となる。このため、試薬211aは図5および図6における液体502、検体212は図5および図6における液体504に対応する。よって、試薬211aと検体212を分注する際には、試薬211aが検体212より液残り量が多くなる。したがって、試薬211aの余剰吸引量は1.6μLに設定され、目標分注量の60μLと合わせて61.6μLがプローブ201によって吸引される。一方で、検体212の余剰吸引量は0.4μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.4μLがプローブ201によって吸引される。
前述のように、第二分注では、試薬211cの吸引順序が1番目、試薬211bの吸引順序が2番目となる。このため、試薬211cは図5および図6における液体502、試薬211bは図5および図6における液体504に対応する。よって、試薬211bと試薬211cを分注する際には、試薬211cが試薬211bより液残り量が多くなる。したがって、試薬211bの余剰吸引量は0.6μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.6μLがプローブ201によって吸引される。一方で、試薬211cの余剰吸引量は0.8μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.8μLがプローブ201によって吸引される。
また、分析例2の第一分注では、試薬211aと検体212の吸引順序が、分析例1の第一分注での吸引順序と同一である。しかし、試薬211aの目標分注量が、分析例1の30μLに対して、分析例2では60μLである。目標分注量が増加すると、図5のチップ112のより上部まで液体が到達するため、液残り量も増加する。したがって、分析例2の第一分注における試薬211aの余剰吸引量は、分析例1の第一分注における試薬211aの余剰吸引量より多く設定される。一方、分析例2の第一分注における試薬211aの分注量は分析例1より多いため、検体212は吐出の際に試薬211aによって洗い流されチップ112内に残り難い。したがって、分析例2の第一分注における検体212の余剰吸引量は、分析例1の第一分注における検体212の余剰吸引量より少なく設定される。
さらに、分析例2の第二分注では、試薬211bと試薬211cの吸引順序が、分析例1の第二分注と逆になる。このため、分析例1と比較し、分析例2の第二分注における試薬211bの液残り量が少なくなり、試薬211cの液残り量が多くなる。したがって、分析例2の第二分注における試薬211bの余剰吸引量は分析例1の試薬211bの余剰吸引量より少なく設定され、分析例2の第二分注における試薬211cの余剰吸引量は分析例1の試薬211cの余剰吸引量より多く設定される。
このように、分析例2を分析例1と比較すると、同時に分注する液体の吸引順序と目標分注量が一部異なるため、余剰吸引量も異なっていることが分かる。
(分析例3)
まず、分注機構111は、1回目の分注である第一分注において、試薬211aおよび検体212を同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211aを先に吸引し(吸引順序1)、検体212を後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、新しいチップ112がプローブ201に装着される。
まず、分注機構111は、1回目の分注である第一分注において、試薬211aおよび検体212を同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211aを先に吸引し(吸引順序1)、検体212を後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、新しいチップ112がプローブ201に装着される。
次に、分注機構111は、2回目の分注である第二分注において、試薬211bおよび試薬211cを同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211bを先に吸引し(吸引順序1)、試薬211cを後に吸引すると(吸引順序2)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、分析例3の分注動作が完了する。
前述のように、第一分注では、試薬211aの吸引順序が1番目、検体212の吸引順序が2番目となる。このため、試薬211aは図5および図6における液体502、検体212は図5および図6における液体504に対応する。よって、試薬211aと検体212を分注する際には、試薬211aが検体212より液残り量が多くなる。したがって、試薬211aの余剰吸引量は1.5μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて31.5μLがプローブ201によって吸引される。一方で、検体212の余剰吸引量は1.0μLに設定され、目標分注量の60μLと合わせて61.0μLがプローブ201によって吸引される。
前述のように、第二分注では、試薬211bの吸引順序が1番目、試薬211cの吸引順序が2番目となる。このため、試薬211bは図5および図6における液体502、試薬211cは図5および図6における液体504に対応する。よって、試薬211bと試薬211cを分注する際には、試薬211bが試薬211cより液残り量が多くなる。したがって、試薬211bの余剰吸引量は1.0μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて31.0μLがプローブ201によって吸引される。一方で、試薬211cの余剰吸引量は0.5μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.5μLがプローブ201によって吸引される。
また、分析例3の第一分注では、検体212の目標分注量が分析例1より多く、液残り易い。そのため、分析例3における検体212の余剰分注量が、分析例1の検体212の余剰分注量より多く設定される。さらに、検体212の目標分注量が分析例1より多いため、吸引順序が1番目である試薬211aは、分析例1の場合よりチップ112の上部に到達し、液残り量が多くなる。したがって、分析例3における試薬211aの余剰吸引量は、分析例1の試薬211aの余剰吸引量より多く設定されている。
このように、分析例3を分析例1と比較すると、特に、第一分注において、同時に分注する液体の目標分注量が一部異なるため、余剰吸引量も異なっていることが分かる。なお、第二分注においては、同時に分注する液体の吸引順序と目標分注量が、分析例1と分析例3とで同じであるため、余剰吸引量も各分析例で同じとなっていることも分かる。
(分析例4)
まず、分注機構111は、1回目の分注である第一分注において、試薬211a、試薬211bおよび検体212を同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211aを最初に吸引し(吸引順序1)、試薬211bを次に吸引し(吸引順序2)、検体212を最後に吸引すると(吸引順序3)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、新しいチップ112がプローブ201に装着される。
まず、分注機構111は、1回目の分注である第一分注において、試薬211a、試薬211bおよび検体212を同時に分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211aを最初に吸引し(吸引順序1)、試薬211bを次に吸引し(吸引順序2)、検体212を最後に吸引すると(吸引順序3)、反応容器105にこれらの液体をまとめて吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、新しいチップ112がプローブ201に装着される。
次に、分注機構111は、2回目の分注である第二分注において、試薬211cのみを分注する。具体的には、プローブ201が、試薬211cのみを吸引すると(吸引順序1)、反応容器105に吐出する。その後、使用していたチップ112が廃棄され、分析例4の分注動作が完了する。
前述のように、第一分注では、試薬211aの吸引順序が1番目、試薬211bの吸引順序が2番目、検体212の吸引順序が3番目となる。このため、試薬211aは図3および図4における液体302、試薬211bは図3および図4における液体304、検体212は図3および図4における液体306に対応する。よって、試薬211a、試薬211bおよび検体212を分注する際には、試薬211a、試薬211b、検体212の順に、液残り量が多くなる。したがって、試薬211aの余剰吸引量は1.6μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて31.6μLがプローブ201によって吸引される。次に、試薬211bの余剰吸引量は0.9μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.9μLがプローブ201によって吸引される。そして、検体212の余剰吸引量は0.5μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.5μLがプローブ201によって吸引される。
前述のように、第二分注では、試薬211cのみが分注される。このため、試薬211cは図7および図8における液体702に対応する。試薬211cの余剰吸引量は0.6μLに設定され、目標分注量の30μLと合わせて30.6μLがプローブ201によって吸引される。
また、分析例4における第一分注では、3種類の液体が連続して吸引されるので、2種類の液体が連続して吸引される分析例1と比較し、吸引順序が1番目の試薬211aは、チップ112のより上部まで到達するため、液残り量がより多くなる。そのため、分析例4の試薬211aは、吸引順序および目標分注量が分析例1の場合と同一であっても、余剰吸引量は分析例1の場合より多く設定される。同様に、分析例4における第二分注では、試薬211cのみが吸引されるので、2種類の液体が連続して吸引される分析例2と比較し、試薬211cの液残り量が少なくなる。したがって、分析例4の試薬211cは、吸引順序および目標液量が分析例2の場合と同一であっても、余剰吸引量は分析例2の場合より少なく設定される。一方で、分析例4における試薬211cと分析例1における試薬211cを比較すると、分析例1における試薬211cは吐出時に試薬211bで洗い流されるが、分析例4における試薬211cは洗い流されない。このため、分析例1の試薬211cの余剰吸引量より、分析例4の試薬211cの余剰吸引量が多く設定される。
このように、分析例4を他の分析例と比較すると、同時に分注する液体の種類の数が異なるため、余剰吸引量も異なっていることが分かる。
図10は、制御部が分析項目に応じて分注機構を制御するときの情報の流れを示すブロック図である。分析項目は、入力部1001より入力され、分析項目記憶部1002に保存される。分析開始後、制御部207は、分注情報記憶部1003に予め保存された分注情報に基づき、同時に分注する液体の種類、各液体の目標分注量、吸引順序などを設定する。続いて、制御部207は、各液体の余剰吸引量を決定し、目標分注量と余剰吸引量との和である総吸引量を各液体について計算する。さらに、制御部207は、計算した総吸引量に基づき、分注制御手段1005(図2のシリンジ駆動部205など)を介してプローブ201による吸引動作を制御する。
また、入力部1001からは、分析項目に加えて、優先度(緊急度)の情報も入力される場合がある。この場合、制御部207は、優先度が異なっていると、分析項目が同じであっても、同時に分注する液体の種類の数などの異なる分注パターンを決定する。例えば、通常検体の場合、分析例1が採用され、第一分注により試薬211aと検体212を反応させて所定時間経過してから第二分注が行われる。一方で、緊急検体の場合、分析例4が採用され、第一分注により試薬211a、試薬211bおよび検体212を分注すると直ちに第二分注が行われる。このように、同じ分析項目でも緊急検体か否かによって、同時に分注する液体の組合せや吸引順序が異なるため、余剰吸引量も異なることとなる。
本実施例によれば、同時に分注する液体の種類の数や吸引順序に応じて余剰吸引量が設定され、目標分注量の液体を高い正確性で反応容器に供給できるので、洗浄回数の低減や分注時間の短縮だけでなく、多くの分析項目で信頼性の高い分析が可能となる。
実施例2について、図11を用いて説明する。図11は、実施例2における分析項目ごとの分注パターンを設定する表である。実施例2は、液体の吐出速度に応じて余剰吸引量を変更するものである。以下、実施例1との相違点のみを説明する。
実施例1で述べたステップS413、ステップS611およびステップS807における(液体の)吐出速度は、分析項目によって、異なるものに設定できる。例えば、図11に示すように、分析例6に相当する分析項目は、分析例5に相当する分析項目と比較して、吐出速度が大きく、処理効率が高くなっている。
ここで、液体の吐出速度が大きくなるほど、液膜が厚くなり、液残り量が多くなる。したがって、分析例6では、分析例5と比較して、すべての液体の余剰吸引量が多く設定される。なお、分析項目ごとの吐出速度に関する情報は、図10の分注情報記憶部1003に保存されており、この情報に基づき、制御部207が各液体の余剰吸引量を決定する。
本実施例によれば、目標分注量の液体をより高い正確性で反応容器に供給できるので、分析精度がより向上する。
実施例3について、図12を用いて説明する。図12は、実施例3における分析項目ごとの分注パターンを設定する表である。実施例3は、液体の粘度に応じて余剰吸引量を変更するものである。以下、実施例1との相違点のみを説明する。
分注される液体の粘度は、分析項目によって異なる。例えば、図12に示すように、分析例8に相当する分析項目は、分析例7に相当する分析項目と比較して、粘度が高くなっている。
ここで、液体の粘度が大きくなるほど、液膜が厚くなり、液残り量が多くなる。したがって、分析例8では、分析例7と比較して、すべての液体の余剰吸引量が多く設定される。なお、分析項目ごとの粘度に関する情報は、図10の分注情報記憶部1003に保存されており、この情報に基づき、制御部207が各液体の余剰吸引量を決定する。
本実施例によれば、目標分注量の液体をより高い正確性で反応容器に供給できるので、分析精度がより向上する。
本発明は、前述の各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述の各実施例では、チップ112を用いて分注する分注機構111について説明したが、チップを用いずにプローブ201の中に液体が直接吸引される分注機構であっても、前述の各実施例と同様の考え方が適用できる。また、前述の各実施例では、1種類から3種類の液体を一度に分注する場合について説明したが、一度に分注する液体は、4種類以上であっても良い。さらに、前述の各実施例では、共通の反応容器に対して2回の分注(第一分注と第二分注)を行う場合について説明したが、共通の反応容器に対する分注回数は、1回でも良いし、3回以上であっても良い。
さらに、実施例2や実施例3では、液体の吐出速度や粘度に応じて余剰吸引量を変更したが、液体の他の物性値に応じて余剰吸引量を変更しても良い。例えば、液体の表面張力が大きくなるほど、液膜が薄くなり、液残り量が少なくなる。したがって、液体の表面張力が大きい場合、液体の表面張力が小さい場合と比べて、余剰吸引量が少なくなるようにしても良い。また、液体の密度が大きくなるほど、液膜が厚くなり、液残り量が多くなる。したがって、液体の密度が大きい場合、液体の密度が小さい場合と比べて、余剰吸引量が多くなるようにしても良い。
1…自動分析装置、101…試薬ボトル、102…試薬ディスク、103…検体容器、104…検体ディスク、105…反応容器、106…インキュベータ、107…反応容器トレイ、108…グリッパ、109…検出ユニット、110…反応容器廃棄口、111…分注機構、112…チップ、113…チップバッファ、114…チップトレイ、115…チップ廃棄口、116…洗浄機構、116a…洗浄ノズル、116b…排水カップ、201…プローブ、202…チューブ、203…シリンジ、203a…シリンダ、203b…プランジャ、204…洗浄水、205…シリンジ駆動部、206…プローブ駆動部、207…制御部、208…洗浄水タンク、209…ポンプ、210…電磁弁、211a…試薬、211b…試薬、212…検体、213…電磁弁、301…分節空気、302…液体、303…分節空気、304…液体、305…分節空気、306…液体、501…分節空気、502…液体、503…分節空気、504…液体、701…分節空気、702…液体、1001…入力部、1002…分析項目記憶部、1003…分注情報記憶部、1005…分注制御手段
Claims (10)
- 検体容器または試薬容器から液体を吸引し、反応容器に吐出する分注機構と、
目標分注量になるよう前記分注機構の動作を制御する制御部と、を備え、
前記分注機構は、分注時に、前記目標分注量の液体に加え、余剰吸引量の液体を吸引する自動分析装置であって、
前記分注機構が、複数種類の液体を連続的に吸引し、吸引した複数種類の液体を連続的に吐出する場合、
前記制御部は、吸引する液体の順序に応じて、前記分注機構が吸引する余剰吸引量を変更することを特徴とする自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記分注機構が吸引する液体の種類の数は、分析項目によって異なることを特徴とする自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記分注機構が吸引する液体の順序は、分析項目によって異なることを特徴とする自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、先に吸引する液体の余剰吸引量が、後に吸引する液体の余剰吸引量よりも多くなるよう、前記分注機構を制御することを特徴とする自動分析装置。 - 請求項4に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、液体の目標分注量が多い場合、液体の目標分注量が少ない場合と比べて、余剰吸引量が多くなるよう、前記分注機構を制御することを特徴とする自動分析装置。 - 請求項4に記載の自動分析装置において、
前記分注機構が、共通の反応容器に対して2回以上分注を行う場合、
前記制御部は、1回目に分注される液体の余剰吸引量は、2回目に分注される液体の余剰吸引量よりも多くなるよう、前記分注機構を制御することを特徴とする自動分析装置。 - 請求項4に記載の自動分析装置において、
前記分注機構が、共通の反応容器に対して2回以上分注を行う場合、
分析項目が同じであっても、優先度が異なる場合には、1回目に分注される液体の種類の数が異なることを特徴とする自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、液体の吸引速度が大きい場合、液体の吸引速度が小さい場合と比べて、余剰吸引量が多くなるよう、前記分注機構を制御することを特徴とする自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、液体の粘度が大きい場合、液体の粘度が小さい場合と比べて、余剰吸引量が多くなるよう、前記分注機構を制御することを特徴とする自動分析装置。 - 請求項1に記載の自動分析装置において、
前記制御部は、液体の表面張力が大きい場合、液体の表面張力が小さい場合と比べて、余剰吸引量が少なくなるよう、前記分注機構を制御することを特徴とする自動分析装置。
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