JP2023179369A - 吸収性物品の表面材 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率的な抗菌効果の発現が可能な吸収性物品の表面材に関する。【解決手段】吸収性物品の表面材は、肌側面と、非肌側面とを有する。上記肌側面は、複数の凸部と複数の上記凸部間に位置する複数の凹部とを有する。上記表面材は、上記肌側面を構成する上層と上記非肌側面を構成する。上記凸部はその内部に中空部を有し、該中空部は上記上層と上記下層との間に位置する。上記中空部を形成する上記上層の非肌側面を構成する繊維と、上記上層の肌側面を構成する繊維は、金属酸化物抗菌剤を含有する繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品の表面材に関する。
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収性物品を着用すると、蒸れ等によって皮膚にかぶれが生じることがある。そのため、かぶれの発生を抑制するべく、吸収性物品に抗菌剤を用いた吸収性物品が提案されている。
例えば特許文献1及び2には、着用者の肌に接する表面材を構成する繊維中に抗菌剤が練り込まれた吸収性物品が記載されている。
特開2006-55187号公報 特開2021-52938号公報
抗菌剤を用いる吸収性物品において、抗菌剤が水に溶けにくいことで、抗菌効果を十分に発揮する前に尿等の排泄液が表面シート(表面材)を透過してしまい、効率的に抗菌効果が発現しにくいという課題があった。
本発明は、効率的な抗菌効果の発現が可能な吸収性物品の表面材に関する。
本発明の一形態に係る吸収性物品の表面材は、肌側面と、非肌側面とを有する。
上記肌側面は、複数の凸部と複数の上記凸部間に位置する複数の凹部とを有する。
上記表面材は、上記肌側面を構成する上層と上記非肌側面を構成する。
上記凸部はその内部に中空部を有し、該中空部は上記上層と上記下層との間に位置する。
上記中空部を形成する上記上層の非肌側面を構成する繊維と、上記上層の肌側面を構成する繊維は、金属酸化物抗菌剤を含有する繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む。
本発明の一形態に係る吸収性物品は、吸収体と、上記吸収体の肌側面側に位置する表面材とを備える。
上記表面材は、肌側面と、非肌側面とを有する。
上記表面材の肌側面は、複数の凸部と複数の上記凸部間に位置する複数の凹部とを有する。
上記表面材は、上記肌側面を構成する上層と上記非肌側面を構成する。
上記凸部はその内部に中空部を有し、該中空部は上記上層と上記下層との間に位置する。
上記中空部を形成する上記上層の非肌側面を構成する繊維と、上記上層の肌側面を構成する繊維は、金属酸化物抗菌剤を含有する繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む。
本発明の吸収性物品の表面材によれば、効率的な抗菌効果の発現が可能となる。
本発明の吸収性物品の一実施形態としての使い捨ておむつの一例を示す図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に広げた状態を示す肌側(表面材側)の模式平面図である。 図1のII-II線で切断した吸収性物品の模式断面図である。 上記使い捨ておむつの一部を構成する表面材の一部を拡大して示す模式断面図である。 実施形態の表面材に用いられる金属酸化物抗菌剤配合繊維の模式斜視図である。
以下、本発明の表面材を備える吸収性物品について、使い捨ておむつを例にあげ、図面を参照しながら説明する。
<使い捨ておむつの全体構成>
図1に示す本実施形態の使い捨ておむつ1は、いわゆる展開型の使い捨ておむつである。尚、展開型の使い捨ておむつに限定されず、パンツ型の使い捨ておむつにも本発明の表面材を適用できる。
使い捨ておむつ1及び該使い捨ておむつ1を構成する各構成部材は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、使い捨ておむつ1及び該使い捨ておむつ1を構成する各構成部材は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。
本明細書において、各構成における肌側とは、使い捨ておむつ着用時の着用者の肌側に位置する側を示す。各構成における非肌側とは、使い捨ておむつ着用時の着用者の肌側とは反対側に位置する側を示す。また、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上、着衣に近い側を下ということがある。
使い捨ておむつ1は、以下、おむつ1と称する。
また、本実施形態では、テープタイプの使い捨ておむつを例にあげるが、パンツタイプ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッドにも適用することができる。
図1に示すように、おむつ1は、縦方向X腹側に位置する腹側領域Aと、縦方向X背側に位置する背側領域Bと、腹側領域Aと背側領域Bとの間に位置する股下領域Cと、に区分される。
背側領域Bは、股下領域Cから左右の横方向Y外方に突出した側部を含む。当該側部の横方向Yにおける側縁部には、ファスニングテープ9が設けられている。同様に、腹側領域Aは、股下領域Cから左右の横方向Y外方に突出した側部を含む。
腹側領域Aの非肌側面には、ファスニングテープ9を接着させるためのランディングテープ(図示せず)が設けられている。該ランディングテープは、機械的面ファスナーの雌部材からなる。ファスニングテープ9は、機械的面ファスナーの雄部材からなる止着部91を有する。
股下領域Cは、腹側領域A及び背側領域Bよりも幅狭となるように、横方向Y内方に括れた脚繰りが形成され、着用時に着用者の排尿部及び肛門等を含む股間部に配置される。
なお、ここでいう「着用時」は、通常想定される適正な着用位置が維持された状態をいう。
図1及び2に示すように、おむつ1は、表面材(トップシート)2と、裏面材(バックシート)3と、吸収体4と、サイドシート5と、一対のファスニングテープ9と、中間シート7と、防漏シート8と、を有する。おむつ1は、裏面材3、防漏シート8、吸収体4、中間シート7及び表面材2が厚み方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
吸収体4は、縦方向Xに沿って延び、表面材2と裏面材3との間に配置される。すなわち、吸収体4は、表面材2の非肌側に配される。吸収体4は、着用者の尿や便に含まれる水分等の液状排泄物(以下、単に「液」又は「排泄液」ということがある。)を表面材2側の面から吸収し、内部で拡散させて当該液を保持する。
吸収体4は、吸収性コア40と、コアラップシート41と、を有する。
吸収性コア40は、液を保持することが可能な吸収性材料を主体として構成される。具体的に、吸収性コア40は、親水性繊維の積繊体、当該積繊体に吸収性ポリマーを担持させた構成、又は吸水性ポリマーのみからなる構成等を有する。
コアラップシート41は、吸収性コア40を被覆し、例えば吸収性コア40の形状を保持する機能等を有する。コアラップシート41は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。
表面材2は、おむつ1の着用時、着用者の肌に接するように配置される。表面材2は、吸収体4の肌側面4a側(厚み方向Z上方側)に配置され、例えば、おむつ1の肌側面の横方向Y中央部を構成する。表面材2は、液透過性のシート材として構成され、合成繊維又は天然繊維からなる不織布等で形成される。
表面材2は、肌側面2aと、非肌側面2bと、を有する。
表面材2の詳細については後述する。
表面材2と吸収体4との間に、中間シート7が設けられていてもよい。中間シート7には、各種製法によって得られる不織布を用いることができる。中間シート7は、表面材2から吸収体4への液の透過性の向上、吸収体4に吸収された液の表面材2への液戻りの防止等の観点から配置される。
裏面材3は、吸収体4の非肌側(厚み方向Z下方)に配置され、例えば、おむつ1の非肌側面のほぼ全体を構成し、着用時のおむつ1の外装を構成する。裏面材3は、防漏性を有していることが好ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。
一対のサイドシート5は、表面材2の横方向Y側部に配置され、例えば、おむつ1の肌側面の横方向Y側部を構成する。サイドシート5は、防漏性を備えていることが望ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。一対のサイドシート5では、横方向Y中央部側が表面材2に重なって配置され、横方向Y側部が表面材2の外側まで延出し、裏面材3と接合される。
おむつ1では、サイドシート5は、糸状又は帯状の弾性部材50が配されることで、立体ギャザー形成用シートを構成している。
防漏シート8は、液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなり、裏面材3の肌側面を被覆する。
<表面材>
表面材2について説明する。
[表面材の概略構成]
本実施形態の表面材2は、凹凸面を有する凹凸表面材である。より詳細には、図3に示すように、肌側面2aは複数の中空の凸部33及び複数の凹部34が設けられた凹凸面となっており、非肌側面2bは平坦面となっている。
肌側面2aが凹凸面であることで、着用時、表面材2の肌側面2aが部分的に肌に接する。すなわち、着用時、表面材2が部分的に、より詳細には、凸部33の頂部及びその近傍の領域が、肌に接しやすくなっている。これにより、表面材2の肌側面2aが肌に全面的に接触することに起因するべたつき感やムレ、擦れに起因する刺激感が低減され、炎症、湿疹や肌かぶれ等の皮膚トラブルが抑制される。
尚、本明細書でいう「平坦」は、巨視的に凹凸が無く平坦であることを意味し、繊維で構成されているが故に生じ得る比較的小さな凹凸の存在は許容される。例えば、厚み方向における凸部の頂部と凹部の底部との差が0.3mm未満の凹凸は許容される。
図3に示すように、表面材2は、下層LLと下層LL上に形成された上層ULとが積層されて構成される。下層LLは表面材2の非肌側面2bを構成する。上層ULは表面材2の肌側面2aを構成する。
図3に示すように、表面材2は、その肌側面2aに、複数の凹部34と複数の凸部33とを有する。凸部33は、肌側面2aの一面に複数形成される。凸部33は肌側に向かって突出して構成され、凸部33どうしの間には、非肌側に向かって凹陥した凹部34が形成されている。
凸部33は、平坦な下層LLの部分と、おむつ1としたときに着用者の肌に向かってドーム状に突出した上層ULの部分と、を有する。
凸部33の内部は空洞となっており、凸部33は中空部10を有する。該中空部10は、上層ULと下層LLとの間に位置し、上層ULの非肌側面ULbと下層LLの肌側面LLaとに囲まれた空間である。
複数の凸部33は、これらが例えば千鳥格子状に形成されている。複数の凹部34も、同様に千鳥格子状に形成されている。尚、凸部33及び凹部34それぞれの形状及び配置は特に限定されない。
表面材2は、上層ULと下層LLとが部分的に圧搾加工によって繊維が圧密化されて接合された圧密領域52aと、上層ULと下層LLとが圧搾加工されず上層ULが肌側に隆起して凸部33を形成する凸領域52bを有する。
凹部34は、圧密領域52aと該圧密領域52aの周囲に位置する凸部33の側面とによって形成される。凹部34は排泄物を貯めやすい空間30を有する。
圧密領域52aにおける圧密化は、表面材2を構成する繊維材料の溶融を伴う方法を利用してもよいし、繊維材料の溶融が伴わない方法を利用してもよい。繊維材料の溶融を伴う圧搾加工として、具体的には、熱を伴うエンボス加工、超音波エンボス等の公知のエンボス加工が挙げられ、圧密領域52aはエンボス部ともいう。
図3に示すように、表面材2において、上層ULは、肌側から非肌側に向かって(図上、上から下に向かって)順に位置する第1層21と第2層22とが積層されて構成される。
第1層21の肌側面は上層ULの肌側面ULaを構成する。該肌側面ULaは表面材の肌側面2aを構成する。肌側面ULaは着用者の肌と直に接し得る面である。
第2層22の非肌側面は上層ULの非肌側面ULbを構成する。
図3に示すように、表面材2において、下層LLは、下層LLの肌側面LLaを構成する第3層23を含む。本実施形態の表面材2では、下層LLは1層構造を有し、下層LLは第3層23から構成され、下層LLの肌側面LLaは第3層23の肌側面23aといえる。以下、下層LLを第3層23と言い換え、下層LLの肌側面LLaを第3層23の肌側面23aと言い換えて説明する。
第1層21、第2層22及び第3層23はそれぞれ繊維材料のシート状物からなる。シート状物としては、例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布を用いることができる。
[第1層の構成]
図3に示すように、第1層21は繊維集合体からなり、第1層21を構成する繊維を第1繊維61という。第1繊維61は、金属酸化物抗菌剤を含有する金属酸化物抗菌剤配合繊維である。本実施形態では、第1層21を構成する第1繊維61が全て金属酸化物抗菌剤配合繊維である場合を例にあげて説明する。以下、第1繊維61を第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61と言い換えて説明する。金属酸化物抗菌剤配合繊維に練り込まれる金属酸化物抗菌剤は、後述する図4の符号6として示され、以下、金属酸化物抗菌剤6という。
尚、第1層21が、金属酸化物抗菌剤配合繊維と、金属酸化物抗菌剤が配合されない金属酸化物抗菌剤非配合繊維の双方を含んで構成されてもよい。
第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61は、繊維に金属酸化物抗菌剤6が練り込まれて構成される。第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61では、噴霧、塗工する等して繊維に抗菌剤を付着させる場合と比較して、金属酸化物抗菌剤の繊維からの脱落が効果的に防止される。金属酸化物抗菌剤6が繊維に練り込まれていることで、金属酸化物抗菌剤6は、排泄液とともに他の層に移行し難く、表面材2に留まりやすくなっている。後述する第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621についても同様である。
金属酸化物抗菌剤配合繊維及び金属酸化物抗菌剤非配合繊維の詳細については後述する。
[第2層の構成]
第2層22は繊維集合体からなり、第2層22を構成する繊維を第2繊維62という。第2繊維62は、金属酸化物抗菌剤6を含有する繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維621(以下、第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621という。)と、金属酸化物抗菌剤非配合繊維622(以下、第2金属酸化物抗菌剤非配合繊維622という。)と、を有する。第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621は、繊維に金属酸化物抗菌剤6が練りこまれて構成される。
[第3層の構成]
第3層23は繊維集合体からなり、第3層23を構成する繊維を第3繊維63という。本実施形態では、第3層23を構成する第3繊維63が全て金属酸化物抗菌剤非配合繊維である場合を例にあげて説明する。以下、第3繊維63を第3金属酸化物抗菌剤非配合繊維63と言い換えて説明する。尚、第3層23が、金属酸化物抗菌剤非配合繊維と金属酸化物抗菌剤配合繊維の双方を含んで構成されてもよい。
[表面材の全体構成]
図3において、第1層21を構成する第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61を、内部が塗りつぶされた線状で示している。第2層22を構成する第2繊維62(第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621及び第2金属酸化物抗菌剤非配合繊維622を含む)を、内部に斜線が引かれた線状で示している。第3層23を構成する第3金属酸化物抗菌剤非配合繊維63を、内部が白い輪郭線だけの線状で示している。また、図4において、内部が白い輪郭線だけの小円、内部が黒い小円は、いずれも繊維同士の溶融部を模式的に示したものである。
本実施形態の表面材2では、上層ULの肌側面ULa及び非肌側面ULbは、金属酸化物からなる金属酸化物抗菌剤が練り込まれた金属酸化物抗菌剤配合繊維を含んで構成される。一方、下層LLの肌側面LLaは、金属酸化物抗菌剤が練り込まれていない金属酸化物抗菌剤非配合繊維によって構成される。
[抗菌剤]
金属酸化物抗菌剤としては、酸化亜鉛、酸化銀、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化銅等を用いることができる。これらの金属酸化物抗菌剤は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも抗菌性、安全性、価格面より酸化亜鉛を含むことが好ましい。
金属酸化物抗菌剤は、金属酸化物抗菌剤が他の層へ移動し難くする観点から水難溶性若しくは水不溶性であることが好ましい。
本実施形態では、金属酸化物抗菌剤として水難溶性の酸化亜鉛を用いる例をあげる。
尚、酸化亜鉛の抗菌メカニズムには諸説ある。例えば、亜鉛イオンが細菌の細胞膜を不安定化し、細胞死を誘導させる説、酸化亜鉛が水と反応し、発生する過酸化水素が菌の作用を抑制させる説等がある。
酸化亜鉛は、水難溶性であることで表面材2を厚み方向Zに移動する排泄液とともに吸収体4等の他の層へ移動し難く、表面材2に残留しやすい。加えて、酸化亜鉛は、繊維に練り込まれて構成されているため、表面材2により残留しやすくなっている。
本実施形態では、上層ULの肌側面ULa及び非肌側面ULbは金属酸化物抗菌剤配合繊維を含んで構成されており、表面材2において、金属酸化物抗菌剤は上層ULの肌側面ULa及び非肌側面ULbに留まりやすい形態となっている。
[金属酸化物抗菌剤配合繊維]
第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61及び第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621は、例えば、予め金属酸化物抗菌剤が練り込まれた合成樹脂を紡糸する工程を経て得ることができる。
第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61及び第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621は、例えば、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等がある。
抗菌効果の効率的な発現の観点から、金属酸化物抗菌剤配合繊維の表面に金属酸化物抗菌剤が露出していることが好ましい。
金属酸化物抗菌剤を繊維表面に効率的に露出させる観点から、第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61及び第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621は、芯鞘型繊維であることが特に好ましい。
図4に示すように、金属酸化物抗菌剤6が練り込まれた第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61(第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621)は、芯部61C(621C)と鞘部61S(621S)を有する。金属酸化物抗菌剤6は、鞘部61S(621S)にのみ配合される。このように、鞘部61S(621S)にのみ金属酸化物抗菌剤6が配合されることにより、少ない含有量の金属酸化物抗菌剤で、繊維表面に金属酸化物抗菌剤6を露出させやすくすることができる。
金属酸化物抗菌剤6による皮膚トラブル防止効果が効率的かつ効果的に発揮されるとともに、肌の常在菌バランスを良好に維持する観点から、芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維(第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61又は第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621)に占める金属酸化物抗菌剤6の割合は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上2.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下である。
金属酸化物抗菌剤配合繊維に占める金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法については後述する。
また、芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維(第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61又は第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621)において、繊維表面に金属酸化物抗菌剤6が露出して金属酸化物抗菌剤6による皮膚トラブル防止効果が効率的かつ効果的に発揮されるとともに、肌の常在菌バランスを良好に維持する観点から、鞘部のみに金属酸化物抗菌剤が含まれることが好ましい。芯鞘型の金属酸化物抗菌剤配合繊維(第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61又は第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621)において、上記観点から、鞘部(61S又は621S)を構成する樹脂に占める金属酸化物抗菌剤6の割合は、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上4.0質量%以下である。
原料繊維となる芯鞘型の第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61(第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621)は、例えば、芯部61C(62C)がPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)、鞘部61S(62S)は金属酸化物抗菌剤(酸化亜鉛)が練り込まれたPE(ポリエチレン)からなり、芯鞘比が質量比で20/80~80/20のものを用いることができる。なお、芯鞘比は芯と鞘各々を構成する樹脂の質量比(芯/鞘)を示す。
金属酸化物からなる金属酸化物抗菌剤6の粒径は、該金属酸化物抗菌剤が配合される繊維(第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61及び第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621)の太さや、該繊維への金属酸化物抗菌剤の練り込みやすさの観点から適宜設定される。一般に、金属酸化物抗菌剤の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表して1.0μm以上7μm以下である。
[抗菌剤非配合繊維]
第2金属酸化物抗菌剤非配合繊維622及び第3金属酸化物抗菌剤非配合繊維63は、例えば、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。
第2金属酸化物抗菌剤非配合繊維622及び第3金属酸化物抗菌剤非配合繊維63は、例えば、芯部はPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)、鞘部はPE(ポリエチレン)からなり、芯鞘比が質量比で20/80~80/20の芯鞘型複合繊維である。
[中空部及び凹部]
上述したように、凸部33は、その内部に中空部10を有する。中空部10では、表面材2に供給され上層ULを通過した排泄液が一時的に留まりやすくなっている。
また、凹部34では、その窪んだ形状から排泄物が留まり易くなっている。加えて、本実施形態の表面材2では、凹部34の一部を構成する圧密領域52a及びその近傍は、これらの周辺(圧搾加工されていない凸領域52bにほぼ対応する部分)よりも、繊維どうしの融着又は圧着により繊維密度が高く、繊維間距離が小さくなっている。このため、圧密領域52a及びその近傍は、これらの周辺との繊維密度差により、排泄液を引き込みやすく、液が透過しにくい構成となっており、より凹部34に排泄物が留まりやすい構成となっている。
このように、中空部10内及び凹部34は、着用者からの排泄物が留まりやすくなっている。
凹部34において、上層ULの肌側面ULaは、凹部34に留まる排泄物と直接接する面である。
中空部10において、上層ULの非肌側面ULbは、中空部10に溜まっている排泄物と直接接する面である。
ここで、おむつは漏れを防ぐ構造となっていることで、おむつ内は、汗や尿等の水分により高温多湿の環境となっている。このように、おむつ内は、皮膚が蒸れて浸軟(ふやけ)して肌のバリア機能が低下しやすい環境にあり、また、排尿後や排便後のおむつ内は細菌が増えやすい環境となっている。
また、便にはタンパク質分解酵素や脂肪分解酵素などの酵素、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの腸内細菌が含まれる。黄色ブドウ球菌は、皮膚に対して悪影響を及ぼす悪玉菌である。おむつ内は、排尿により、尿に含まれる尿素が黄色ブドウ球菌によって分解されてアンモニアに変化してアルカリ環境になりやすい。おむつ内がアルカリ環境になると、黄色ブドウ球菌の働きが活発になり、黄色ブドウ球菌は毒素を作り出し、炎症、湿疹や肌かぶれ等の皮膚トラブルを引き起こす。また、おむつ内に便がある場合、おむつ内がアルカリ環境となることで、便中の酵素の作用が活性化され、浸軟して肌のバリア機能が低下している皮膚を刺激して、皮膚トラブルを引き起こしやすい。
これに対し、本実施形態の表面材2を用いたおむつ1では、着用者の肌に接する表面材2の肌側面2a(上層ULの肌側面ULa)に金属酸化物抗菌剤配合繊維が含まれることで、排泄初期から抗菌効果が発揮され得る。
その上、表面材2では、上述のように、中空の凸部33を有する凹凸構造を有し、排泄物が留まりやすい中空部10及び凹部34の、排泄物と直接接する上層ULの肌側面ULa及び非肌側面ULbは、金属酸化物抗菌剤が表面材2に留まりやすいように練り込んで形成された金属酸化物抗菌剤配合繊維を含んで構成されている。これにより、中空部10及び凹部34に留まっている排泄物と金属酸化物抗菌剤とが高い頻度で効率的に接触し得る。
従って、少ない含有量の金属酸化物抗菌剤であっても、効率的かつ効果的に抗菌効果が発揮され得、排泄初期から着用者からの排泄物に起因する細菌の繁殖が抑制され、皮膚トラブルが抑制される。
加えて、表面材2では圧密領域52aが設けられているので、凹部34での抗菌効果がより効率的かつ効果的に発現され得る。すなわち、上述したように、凹部34の一部を構成する圧密領域52a及びその近傍は、これらの周辺との繊維密度差により、着用者からの排泄液を引き込みやすく、液状排泄物が圧密領域52a及びその近傍を透過しにくい構成となっており、より凹部34に排泄物が溜まりやすい構成となっている。このため、金属酸化物抗菌剤と排泄物との効率的な接触が可能となる。
尚、繊維材料の溶融を伴う圧搾加工によって形成された圧密領域52aでは、表面材が本来有していた繊維形態が失われてフィルム化している場合がある。このようなフィルム化している状態の圧密領域52aを排泄液はより透過しにくく、より凹部34に排泄物が溜まりやすい構成とすることができ、金属酸化物抗菌剤と排泄物とのより効率的な接触が可能となる。
このように、本実施形態の表面材2では、中空部を有する凹凸構造とすることで排泄物が表面材に留まりやすい形態とし、排泄物が留まる部分で排泄物と金属酸化物抗菌剤とが高頻度で接触する形態となるように表面材に金属酸化物抗菌剤を配合している。これにより、効率的に抗菌効果の発現が可能となり、少ない含有量の金属酸化物抗菌剤で、優れた抗菌効果を得ることができる。
また、表面材2では、表面材を構成する全層に亘って金属酸化物抗菌剤を配することなく効率的な抗菌効果の発現が可能であるので、金属酸化物抗菌剤の含有量を低く抑えることができる。
ここで、金属酸化物抗菌剤は、肌かぶれの原因となる排泄物由来の菌だけでなく、肌のバリア機能を助ける皮膚常在菌にも作用して肌の常在菌のバランスがくずれ皮膚トラブルを引き起こす可能性がある。
しかしながら、本実施形態の表面材2では、十分な抗菌効果を得つつも金属酸化物抗菌剤の含有量を低く抑えることができるので、過剰な量の金属酸化物抗菌剤によって肌の常在菌のバランスがくずれるということがなく、皮膚トラブルが効果的に抑制されるとともに、コストの削減が可能となる。
[上層について]
本実施形態の表面材2では、上述したように、上層ULは第1層21と第2層22との2層からなる多層構造を有する。
尚、上層ULを1層で構成してもよいし、3層以上の多層構造で構成してもよい。多層構造で構成する場合、多層のうち上層ULの肌側面ULaを構成する層と非肌側面ULbを構成する層が、それぞれ、金属酸化物抗菌剤配合繊維を含んで構成されればよい。これにより、肌側面ULa及び非肌側面ULbは金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む形態となる。
表面材2において、第1層21及び第2層22それぞれの金属酸化物抗菌剤の含有割合は同等であってもよいが、金属酸化物抗菌剤による十分な抗菌効果を得るとともに、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤量を低減させて肌の常在菌のバランスを良好に保持しやすくする観点から、第1層21は第2層22よりも金属酸化物抗菌剤の含有割合が高いことが好ましい。
ここで、第1層21は着用者の肌に直に接し得る面である。第1層21により構成される表面材2の肌側面2aは凹凸構造を有することで、肌と表面材2との接触面積を減少させ、表面材2による肌のこすれを抑制することができる。その一方で、凹凸構造とすることで、肌に付着した排泄物由来の菌と金属酸化物抗菌剤との接触の機会が減少しやすい。
これに対し、本実施形態の表面材2では、上層ULにおいて、第1層21の金属酸化物抗菌剤の含有割合を相対的に高く構成することで、凹凸構造であっても、排泄物由来の菌と金属酸化物抗菌剤との接触の機会を十分に確保することができ十分な抗菌効果を得ることができる。一方、第2層22には、中空部10に存在する排泄物の抗菌が十分なされる程度に金属酸化物抗菌剤が配合されていればよく、相対的に第1層21よりも金属酸化物抗菌剤の含有割合を低くすることができる。
このように、表面材2では、第1層21を第2層22よりも金属酸化物抗菌剤の含有割合を高くすることで、金属酸化物抗菌剤による十分な抗菌効果を得るとともに、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤量を低減させて肌の常在菌のバランスを良好に保持しやすくなる。
本実施形態の表面材2において、上層ULを多層構造で構成することで、上層ULの肌側面ULa及び非肌側面ULbそれぞれに含まれる金属酸化物抗菌剤の含有割合を容易に調整することができる。
すなわち、上層ULを多層構造で構成する場合、上層ULの肌側面ULaを構成する層と非肌側面ULbを構成する層それぞれにおいて、各層の金属酸化物抗菌剤の含有割合を異ならせることで、上層ULの肌側面ULa及び非肌側面ULbそれぞれに含まれる金属酸化物抗菌剤の含有割合を容易に調整することができる。これにより、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤量を低減させつつも十分な抗菌効果を得ることができるように、表面材2の金属酸化物抗菌剤の分布を調整することが容易となる。
[下層について]
上述したように、下層LL(第3層23)は、金属酸化物抗菌剤配合繊維を含んでもよいし、含まなくてもよい。
本実施形態の表面材2において、下層LLは1層構造であるが、2層以上が積層してなる多層構造であってもよい。多層構造で構成される場合、下層LLは、肌側面LLaを構成する第3層23を含んで構成される。該第3層は、金属酸化物抗菌剤配合繊維を含んでもよいし、含まなくてもよい。
[第1層、第2層、及び第3層それぞれの金属酸化物抗菌剤の含有割合の関係]
第1層21が第2層22よりも金属酸化物抗菌剤の含有割合が高いのに加え、第2層22が第3層23よりも金属酸化物抗菌剤の含有割合が高くてもよい。
換言すると、表面材2において、表面材2を構成する3層(第1層21、第2層22、第3層23)のうち、最も非肌側に位置する第3層23における金属酸化物抗菌剤の含有割合を最も低くしてもよい。
本実施形態の表面材2では、第1層21における金属酸化物抗菌剤の含有割合が最も高く、次いで第2層22における金属酸化物抗菌剤の含有割合が高く、第3層23における金属酸化物抗菌剤の含有割合が最も低くなる。
このような構成とすることで、効率的かつ効果的な抗菌効果を得るとともに、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤含有量を低減させることで肌の常在菌のバランスを良好に保持しやすくなる。
すなわち、表面材2において、上層ULの肌側面ULaと非肌側面ULbに金属酸化物抗菌剤が含まれることで、上層ULの非肌側面ULbを用いて形成される中空部10及び肌側面ULaを用いて形成される凹部34に溜まる排泄物と金属酸化物抗菌剤との高頻度の接触が可能となる。このため、表面材2において、第3層23の金属酸化物抗菌剤の含有割合を相対的に低くしても十分な抗菌効果が得られる。従って、第3層23の金属酸化物抗菌剤の含有割合を低くすることで、表面材2全体の金属酸化物抗菌剤量を低減させて肌の常在菌のバランスを良好に保持しやすくなる。
本実施形態の表面材2において、金属酸化物抗菌剤6による皮膚トラブル防止効果が効率的かつ効果的に発揮されるとともに、肌の常在菌のバランスをより一層良好に保持して皮膚トラブルを抑制する観点から、第1層21、第2層、及び第3層23それぞれの金属酸化物抗菌剤の好ましい含有割合は以下の通りである。各層の金属酸化物抗菌剤の含有割合の算出方法については後述する。
第1層21において、金属酸化物抗菌剤の含有割合は、好ましくは0.04質量%以上2.5質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下である。
第2層22において、金属酸化物抗菌剤の含有割合は、好ましくは0.025質量%以上2.25質量%以下であり、より好ましくは0.045質量%以上1.25質量%以下である。
第3層23において、金属酸化物抗菌剤の含有割合は、好ましくは0質量%以上1.25質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上1.25質量%以下である。
[第1層、第2層、及び第3層それぞれの金属酸化物抗菌剤配合繊維の含有割合]
第1層21、第2層22及び第3層23それぞれの金属酸化物抗菌剤の含有割合は、例えば、各層の金属酸化物抗菌剤配合繊維の含有割合を調整することにより、上記した第1層、第2層及び第3層における金属酸化物抗菌剤の含有割合の関係を満たすように調整することができる。
本実施形態の表面材2において、第1層21、第2層22、及び第3層23それぞれの金属酸化物抗菌剤配合繊維の好ましい含有割合は以下の通りである。
第1層21において、第1層21を構成する繊維のうち金属酸化物抗菌剤配合繊維が占める割合(含有割合)は、肌側面2aでの効率的かつ効果的な抗菌発現の観点から、好ましくは80~100質量%である。尚、本実施形態では、第1層21における金属酸化物抗菌剤配合繊維の含有割合は100質量%である。
第2層22において、第2層22を構成する繊維のうち金属酸化物抗菌剤配合繊維が占める割合(含有割合)は、中空部10内での効率的かつ効果的な抗菌発現及び肌の常在菌のバランスの良好な保持の観点から、好ましくは50~90質量%である。尚、本実施形態では、第2層22における金属酸化物抗菌剤配合繊維の含有割合は85質量%である。
第3層23において、第3層23を構成する繊維のうち金属酸化物抗菌剤配合繊維が占める割合(含有割合)は、肌の常在菌のバランスの良好な保持の観点から、好ましくは0~50質量%である。尚、本実施形態では、第3層23における金属酸化物抗菌剤配合繊維の含有割合は0質量%である。
[表面材全体に占める金属酸化物抗菌剤の割合]
金属酸化物抗菌剤6による皮膚トラブル防止効果が効率的かつ効果的に発揮されるとともに、肌の常在菌のバランスをより一層良好に保持して皮膚トラブルを抑制する観点から、表面材全体に占める金属酸化物抗菌剤の割合(含有割合)は、好ましくは0.015質量%以上2.0質量%以下であり、より好ましくは0.04質量%以上0.75質量%以下である。
表面材全体に占める金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法については後述する。
[表面材全体に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合]
例えば、表面材全体に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合(含有割合)を調整することにより、上記した表面材全体に示す金属酸化物抗菌剤の割合の範囲とすることができる。
金属酸化物抗菌剤6による皮膚トラブル防止効果が効率的かつ効果的に発揮されるとともに、肌の常在菌のバランスをより一層良好に保持して皮膚トラブルを抑制する観点から、表面材全体に占める金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上70質量%以下である。
[繊維間距離]
第1層21、第2層22及び第3層23は、それぞれ繊維密度が異なっていてもよい。言い換えると、第1層21、第2層22及び第3層23は、繊維間距離(繊維と繊維との隙間)が互いに異なっていてもよい。
「繊維密度が異なる」とは、繊維間距離が異なることを意味する。「繊維密度が高い」とは繊維間距離が相対的に小さい状態を示し、「繊維密度が低い」とは繊維間距離が相対的に大きい状態を示す。繊維間距離が小さい状態とは繊維が密集した状態である。繊維間距離が小さい方が、繊維間距離が大きい方よりも、毛管による液の引き込み力が大きくなる。
より効率の良い金属酸化物抗菌剤による抗菌効果の発揮の観点から、表面材2において、第1層21は第2層22よりも繊維間距離が相対的に小さく、第2層22は第3層23よりも繊維間距離が相対的に小さいことが好ましい。すなわち、繊維密度は、第1層21が最も高く、次いで第2層22が高く、第3層23が最も低いことが好ましい。
このような構成とすることで、表面材2の厚み方向Zにおいて、表面材2の肌側面ULa寄りで排泄物が留まりやすくすることができる。これにより、肌側面ULa寄りに位置する第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61及び第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621と排泄物とを効率的に高頻度で接触させることができる。
より詳細には、上記構成とすることで、表面材2において、液の引き込み力は、第1層21が最も大きく、次いで第2層22が大きく、第3層23が最も小さくなる。第1層21が液の引き込み力が最も大きいことで、凹部34に排泄物が留まる時間をより確実に確保することができる。これにより、金属酸化物抗菌剤と排泄物との接触頻度をより高くすることができ、効率的な抗菌が可能となる。更に、上層ULを透過し中空部10に移行した排泄物は、第2層22と第3層23との繊維間距離の違いによる液の引き込み力の違いにより、中空部10内で排泄液が一時的に留まる時間をより確実に確保することができる。これにより、中空部10内の排泄物と金属酸化物抗菌剤との接触頻度をより高くすることができ、効率的な抗菌が可能となる。
各層の繊維間距離の調整は、例えば、各層に用いる繊維の繊維径を異ならせることによって行うことができる。一例として、本実施形態の表面材2において、第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61と第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621の繊維径を15μmとし、第2金属酸化物抗菌剤非配合繊維622と第3金属酸化物抗菌剤非配合繊維63との繊維径を20μmとすることによって、第1層21、第2層22及び第3層23それぞれの繊維間距離を上述のような関係とすることができる。
尚、上層UL及び下層LLがそれぞれ1層から構成される場合、表面材において、上層ULが下層LLよりも繊維間距離が相対的に小さいことが好ましい。
このような構成とすることで、表面材2において、液の引き込み力は、上層ULが最も大きく、下層LLが最も小さくなる。上層ULが液の引き込み力が最も大きいことで、凹部34に排泄物が留まる時間をより確実に確保することができ、金属酸化物抗菌剤と排泄物との接触頻度をより高くすることができ、効率的な抗菌が可能となる。更に、上層ULを透過し中空部10に移行した排泄物は、上層ULと下層LLとの繊維間距離の違いによる液の引き込み力の違いにより、中空部10内で排泄液が一時的に留まる時間をより確実に確保することができ、効率的な抗菌が可能となる。
以下、第1層21、第2層22、及び第3層23それぞれにおける繊維間距離の具体的な数値をあげるが、これらは一例であり、これらに限定されない。
表面材2において、凹部34に排泄物が留まる時間をより確実に確保し、金属酸化物抗菌剤と排泄物との接触頻度を高める観点から、第1層21における繊維間距離は、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下であり、好ましくは30μm以上100μm以下であり、より好ましくは50μm以上80μm以下である。
中空部10に移行した排泄物が、中空部10内で一時的により留まりやすくして、金属酸化物抗菌剤と排泄物との接触頻度を高める観点から、第2層22における繊維間距離と第3層23における繊維間距離との差分は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。
第2層22における繊維間距離は、好ましくは40μm以上、より好ましくは60μm以上であり、好ましくは110μm以下、より好ましくは90μm以下であり、好ましくは40μm以上110μm以下であり、より好ましくは60μm以上90μm以下である。
第3層23における繊維間距離の値は、好ましくは50μm以上、より好ましくは70μm以上であり、好ましくは190μm以下、より好ましくは170μm以下であり、好ましくは50μm以上190μm以下であり、より好ましくは70μm以上170μm以下である。
繊維間距離の測定方法については後述する。
[金属酸化物抗菌剤の溶解度]
金属酸化物抗菌剤配合繊維に練り込まれる金属酸化物抗菌剤は、便による肌かぶれ(皮膚トラブル)を長時間にわたって防止するという効果を一層顕著なものとする観点から、水への溶解性が低い難溶性であることが好ましい。水への溶解性は、後述する溶解度の測定方法により得られる溶解度で評価することができる。
金属酸化物抗菌剤の溶解度は、好ましくは0.01g/100ml以上0.5g/100ml以下、より好ましくは0.03g/100ml以上0.3g/100ml以下、更に好ましくは0.05g/100ml以上0.2g/100ml以下である。
<表面材の製造方法例>
以下、表面材2の製造方法例をあげるが、これに限定されない。
肌側面2aが凹凸面、非肌側面2bが平坦面の表面材2は、第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61からなる不織布と第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621及び第2金属酸化物抗菌剤非配合繊維622の積層体からなる不織布と、第3金属酸化物抗菌剤非配合繊維63からなる不織布を重ね合わせ、これら不織布を部分的に接合することによって製造することができる。
第1金属酸化物抗菌剤配合繊維61からなる不織布と、第2金属酸化物抗菌剤配合繊維621及び第2金属酸化物抗菌剤非配合繊維622の積層体からなる不織布との積層体は、表面材2の上層ULを構成する。
第3金属酸化物抗菌剤非配合繊維63からなる不織布は、表面材2の下層LLを構成する。
製造方法の一例として、特開2004-174234号公報に記載される製造方法を用いることができる。
すなわち、相互に噛み合う2つの、周面に凹凸形状を有するギアロール間に、上層ULとなる不織布のシート状物を噛みこませることによって、当該シート状物が間欠的に延伸され、凹凸賦形加工がなされる。このように凹凸加工されたシート状物において、延伸された部分は凸部33を構成する。一方、延伸されない部分が、表面材2としたときに、凹部34を構成する。このように複数の凸部33が形成された上層ULとなるシート状物を、下層LLとなるシート状物に重ね合わせ、その重ね合わせたものを、少なくとも一方が所定温度に加熱された2つのロール間で狭圧し、部分的に接合する。これにより、上層ULと下層LLとは、圧密化して圧密領域52a(凹部34の一部)で熱融着によって部分的に接合され、凹凸構造を有する表面材2が製造される。該表面材2における上層UL側の面(肌側面2a)は凹凸を有し、表面材2の下層LL側の面(非肌側面2b)はほぼ平坦である。
<補足説明>
[中空の凸部であること等の確認方法]
表面材が凹凸を有し、凸部が中空部を有することは、表面材を剃刀(例えばフェザー安全剃刀株式会社製片刃)で切断して測定片を得、該測定片の切断面を拡大して観察することで確認することができる。
例えば、測定片の切断面を日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型操作電子顕微鏡を用いて各層が全て視野に収まる倍率に調整して観察する。
切断面観測時に、既知の寸法のものを同時に写し込むことで、凸部33の高さ、各層の厚みといった各構成要素の寸法を求めることができる。
切断面観測から、表面材が互いに繊維間距離が異なる層が積層されて構成されることを確認することができる。
切断面観測から、繊維の断面輪郭の他、例えば芯鞘型繊維であるか、単繊維構造であるかといった繊維構造を把握することができる。更に、芯鞘型繊維である場合、切断面観測により、芯部及び鞘部それぞれの面積比率を算出することができる。
切断面観測から、繊維中の金属酸化物抗菌剤の存在、鞘部に金属酸化物抗菌剤が配されていること、繊維表面に金属酸化物抗菌剤が露出していることを確認することができる。
また、繊維断面をSEM-EDX分析することで、鞘部に含まれる剤が酸化亜鉛(金属酸化物抗菌剤)であることを確認することができる。
[第1層、第2層及び第3層における金属酸化物抗菌剤の含有割合の算出方法]
表面材の対象の層(第1層、第2層又は第3層)を1gはかり取り、できるだけ小さく切り刻んで300mlビーカーに入れ、更に該ビーカーにイオン交換水200mlを入れてマグネティックスターラーで攪拌し、繊維が完全に水と触れるようにする。液を撹拌しながら濃塩酸(約10M)3mlを少しずつ加え、更に1時間撹拌し、対象の層を構成する繊維の表面に存在する金属酸化物抗菌剤を溶出させる。次いで、5.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を6ml加えて液を中和させた後、pH10.7の緩衝液(28質量%・NH水溶液54.7mlと0.535gのNHClとを含み、イオン交換水で溶解させたもの)10mlを加えてpHの微調整を行う。
続いて、エリオクロムブラックT試薬(エリオクロムブラックT粉末0.125gと塩酸ヒドロキシルアミン1.125gを無水エタノール25mlに溶解させたもの)を指示薬として加え、液を淡いピンク色とする。0.0002MのEDTA・2Naを滴定液として用いて滴定を行い液がピンク色から淡い青~緑に変色したときの該滴定液の添加量(ml)を滴定値Aとする。そして、以下の式により金属酸化物抗菌剤の質量を算出する。下記式中の「5000000」は、1mоl当たりの滴定液の体積(ml)を意味する。
金属酸化物抗菌剤の質量(g)=滴定値A×金属酸化物抗菌剤1mоl当たりの質量/5000000
以上のようにして算出された金属酸化物抗菌剤の質量は、1gの対象の層に含まれる金属酸化物抗菌剤の質量である。したがって、算出された金属酸化物抗菌剤の質量を100倍した値が対象の層における金属酸化物抗菌剤の含有割合となる。
[表面材全体に占める金属酸化物抗菌剤の割合の算出方法]
対象試料として、第1層、第2層及び第3層を含むように表面材1gをはかり取り、上記第1層、第2層及び第3層における金属酸化物抗菌剤の含有割合の算出方法と同様の手法で表面材全体に占める金属酸化物抗菌剤の割合を算出する。
[繊維間距離の測定方法]
繊維集合体である不織布の繊維間距離は、Wrotonowskiの仮定に基づく下記式(1)により求められる。下記式(1)は、一般に、繊維集合体の繊維間距離を求める際に用いられる。Wrontnowskiの仮定の下では、繊維は円柱状であり、それぞれの繊維は交わることなく規則正しく並んでいる。
測定対象の表面材は、粗領域を構成する第1層と、密領域を構成する第2層と、を含む多層構造である。粗領域及び密領域それぞれにおける繊維間距離を、下記式(1)により算出する。
算出の際、下記式(1)で用いる厚みt、坪量W、繊維の樹脂密度ρ及び繊維径Dは、それぞれ、測定対象の粗領域(第1層)及び密領域(第2層)それぞれについてのものを用いる。厚みt、坪量W及び繊維径Dは、それぞれ、複数の測定点における測定値の平均値である。
厚みt(mm)は以下の方法にて測定する。まず、測定対象の表面材をX方向50mm×Y方向50mmに切断し該表面材の切断片を作製する。次に、この切断片を平板上に載せ、その上に平板上のガラス板を載せ、ガラス板を含めた荷重が49Paになるようにガラス板上に重りを均等に載せた上で、該切断片の厚みを測定する。測定環境は温度20±2℃、相対湿度65±5%、測定機器にはマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX-1000)を用いる。切断片の厚みの測定は、まず、該切断片の切断面の拡大写真を得る。この拡大写真には、既知の寸法のものを同時に写し込む。次に、前記切断片の切断面の拡大写真にスケールを合わせ、該切断片における粗領域及び密領域の各厚みを測定する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を、測定対象の層の厚みtとする。
上記切断片の切断面において、粗領域と密領域とは以下の方法により区別される。粗領域は、密領域よりも構成繊維の密度が低い(繊維間距離が大きい)ので、上記切断片の切断面において、繊維間距離が相対的に大きい領域が粗領域であり、相対的に小さい領域が密領域である。これら2領域は、肉眼でも識別可能である。
坪量W(g/m)は、測定対象の表面材における粗領域及び密領域それぞれを所定の大きさ(例えば12cm×6cmなど)にカットし、質量測定後に、その質量測定値を、該所定の大きさから求まる面積で除することで求められる(「坪量W(g/m)=質量÷所定の大きさから求められる面積」)。この測定を4回繰り返し、その平均値を坪量とする。
繊維の樹脂密度ρ(g/cm)は、密度勾配管を使用して、JIS L1015化学繊維ステープル試験方法に記載の密度勾配菅法の測定方法に準じて測定する(URLはhttp://kikakurui.com/l/L1015-2010-01.html、書籍ならJISハンドブック繊維―2000、(日本規格協会)のp.764~p.765に記載)。
繊維径D(μm)は、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型走査電子顕微鏡を用いて、粗領域及び密領域それぞれから採取した繊維の繊維断面を10本測定し、その平均値を繊維径D(μm)とする。繊維径Dの測定方法は後述する[繊維径の測定方法]に従う。
Figure 2023179369000002
[繊維径の測定方法]
測定対象の表面材の圧密領域を除く領域を剃刀(例えばフェザー安全剃刀株式会社製片刃)で切断し、平面視四角形形状の測定片を得る。この測定対象の切断の際には、その切断によって形成される測定片の切断面の構造が、切断時の圧力などによって破壊されないように注意する。好ましい測定対象の切断方法として、測定対象の切断に先立って、測定対象を液体窒素中に入れて十分に凍結させ、しかる後切断する方法が挙げられる。
紙両面テープ(ニチバン株式会社製内スタックNW-15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は30秒とする。
測定片の切断面を、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型操作電子顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察する。
表面材は、粗領域と密領域を有するので、電子顕微鏡像より、繊維どうしの繊維間距離の違いから粗領域及び密領域の境界を判別し、各層(粗領域又は密領域)に存する繊維それぞれについて、繊維の長手方向に対する幅方向の長さを10本測定し、その平均値を繊維径とする。
表面材の切断面観測から相対的に繊維間距離が大きいか小さいかを把握することができ、表面材における粗密状態を把握することができる。従って、表面材の切断面観測から密領域のみに金属酸化物抗菌剤が存在することを確認できる。
[金属酸化物抗菌剤の溶解度の測定方法]
金属酸化物抗菌剤5gを100mlの水に加えて、室温(25℃)にて300rpmで30分間攪拌する。これとは別に、ろ紙の質量を測定し、測定された質量をろ紙の初期質量とする。
質量測定したろ紙を用いて、攪拌後の溶液をろ過し、該ろ紙を乾燥機にて40℃、2時間乾燥させる。乾燥後のろ紙の質量を測定し、測定された質量をろ紙の乾燥後質量とする。そして、下記式により溶解度を算出する。
溶解度(g)=5(g)―{(ろ紙の乾燥後質量)(g)-(ろ紙の初期質量)(g)}
このようにして算出した溶解度が大きいほど、水に対する溶解性が大きいことを表し、該溶解度が小さいほど、水に対する溶解性が小さいことを表す。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、以上の実施形態では、吸収性物品として使い捨ておむつの例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、例えば、尿取りパットやおりものシート、生理用ナプキン等であってもよく、これら吸収性物品の表面材として本発明の表面材を用いることができる。吸収性物品は、一般に、液透過性の表面材、液不透過性の裏面材、及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有して構成される。
また、上述の各実施形態において、金属酸化物抗菌剤配合繊維に金属酸化物抗菌剤以外の界面活性剤・有機化合物などの抗菌剤が含まれていてもよい。
また、金属酸化物抗菌剤配合繊維にスキンケア剤が含まれていてもよい。
スキンケア剤としては、疎水性スキンケア剤、親水性スキンケア剤等を用いることができる。
疎水性スキンケア剤とは、水溶性及び水分散性を有さないか、また極めて溶解性が低い疎水性成分のことであり、且つ着用者の肌に対して保護、治癒等の効能を有する組成物又は化合物のことである。より具体的には、疎水性成分とは、成分の剤10gをイオン交換水1L中で混合した後に24時間静置したときの溶解量が1g未満のものを言い、好ましくは、0.1g以下の溶解量のものであり、特に好ましくは完全に溶解しないものである。
疎水性スキンケア剤としては、炭素鎖長12~28の脂肪酸又は該脂肪酸とグリセリンのエステル化合物や、ワックス、ワセリン等が挙げられ、特に、炭素差長12~28の不飽和脂肪酸又は該不飽和脂肪酸のグリセリンエステル化合物を含むことが好ましい。当該グリセリンエステルは、グリセリンと前述の不飽和脂肪酸のモノエステル、ジエステル又はトリエステルであるが、特に、トリエステルであることが好ましい。脂肪酸又は脂肪酸化合物を含む剤としては、アルガンオイル、シアバター等の天然物抽出成分が好ましく使用できる。特に、不飽和脂肪酸を含む疎水性の植物油であるアルガンオイルは、肌の水分と油分のバランスを保ち乾燥を防ぎ、スキンケア剤として機能する。また、アルガンオイルは、オレイン酸、リノール酸といった不飽和脂肪酸を多くふくみ、活性酸素除去力が強く、例えば日焼けによる肌のダメージを軽減させることができる。
一方、親水性スキンケア剤とは、水溶性又は水分散性を有する親水性成分のことであり、かぶれや炎症の発生を抑制し、かぶれや炎症が生じた場合には、当該かぶれや炎症の進行を抑制するか、又は当該かぶれや炎症を緩和させることができるものであることが好ましい。より具体的には、親水性成分とは、成分の剤10gをイオン交換水1L中で混合した後に24時間静置したときの溶解量又は分散量が1g以上のものを言い、好ましくは、5g以上の溶解量又は分散量のものであり、より好ましくは、1g以上溶解するもの、一層好ましくは5g以上溶解するもので、最も好ましいのは、完全に溶解するものである。
親水性スキンケア剤としては、桃の葉エキス、ハマメリスエキス等の天然物抽出成分や炭鎖数が2~4の多価アルコール、ポリエチレングリコール、スキンケア等の機能を有する親水性化合物等を用いることができる。
これらの中でも、植物抽出エキスである桃の葉エキス(親水性エキス)は、抗菌作用、抗炎症作用を有することから好ましい。表面材に供給された液に親水性成分である桃の葉エキスがとけ、肌に移行することによりスキンケア効果が生じる。
炭鎖数が2~4の多価アルコールは、親水性成分であり、典型的には、1,3-ブチレングリコールである。1,3-ブチレングリコールを用いることにより、保湿効果と潤滑性が向上する。潤滑性が向上することにより、肌と不織布との摩擦を低減することができ、肌へのダメージが抑制される。1,3-ブチレングリコールは、保湿性のある液状の水溶性基剤成分で、さらっとした使用感でべたつきが少なく、肌の潤いを保つ。1,3-ブチレングリコールは、保湿剤として用いられる他、溶剤としても用いられる。例えば、桃の葉エキスをスキンケア剤として用いる場合、桃の葉エキスの溶剤として1,3-ブチレングリコールを用いることができる。尚、ここでは、1,3-ブチレングリコールを例にあげたが、炭鎖数が2~4の多価アルコールであれば同様の効果を示し、例えばプロピレングリコールを用いてもよい。プロピレングリコールも桃の葉エキス(親水性エキス)の抽出溶媒として用いることができる。
本発明は以下の構成をとることもできる。
<1>
複数の凸部と複数の前記凸部間に位置する複数の凹部とを有する肌側面と、非肌側面とを有する吸収性物品の表面材であって、
前記肌側面を構成する上層と前記非肌側面を構成する下層を有し、
前記凸部はその内部に中空部を有し、該中空部は前記上層と前記下層との間に位置し、
前記中空部を形成する前記上層の非肌側面を構成する繊維と、前記上層の肌側面を構成する繊維は、金属酸化物抗菌剤を含有する繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む
吸収性物品の表面材。
<2>
前記金属酸化物抗菌剤配合繊維は、前記金属酸化物抗菌剤が繊維に練りこまれたものである
前記<1>に記載の吸収性物品の表面材。
<3>
前記上層は、前記肌側面を構成する第1層と、前記非肌側面を構成する第2層を含む
前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品の表面材。
<4>
前記第2層は、前記第1層よりも前記金属酸化物抗菌剤の含有割合が低い
前記<3>に記載の吸収性物品の表面材。
<5>
前記下層は、前記下層の肌側面を構成する第3層を含み、
前記第3層は、前記第2層よりも前記金属酸化物抗菌剤の含有割合が低い
前記<4>に記載の吸収性物品の表面材。
<6>
前記第1層、前記第2層、及び前記第3層それぞれの層の質量に対する前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の含有割合は、
前記第1層では、80質量%以上100質量%以下であり、
前記第2層では、50質量%以上90質量%以下であり、
前記第3層では、0質量%以上50質量%以下である
前記<5>に記載の吸収性物品の表面材。
<7>
前記第1層、前記第2層、及び前記第3層それぞれの層の質量に対する前記金属酸化物抗菌剤の含有割合は、
前記第1層では、好ましくは0.04質量%以上2.5質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下であり、
前記第2層では、好ましくは0.025質量%以上2.25質量%以下であり、より好ましくは0.045質量%以上1.25質量%以下であり、
前記第3層では、好ましくは0質量%以上1.25質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上1.25質量%以下である
前記<5>に記載の吸収性物品の表面材。
<8>
前記第1層における繊維間距離は前記第2層における繊維間距離より小さく、前記第2層における繊維間距離は前記第3層における繊維間距離より小さい
前記<5>から<7>のいずれか1に記載の吸収性物品の表面材。
<9>
前記第1層における繊維間距離は、好ましくは30μm以上100μm以下であり、より好ましくは50μm以上80μm以下であり、
前記第2層における繊維間距離は、好ましくは40μm以上110μm以下であり、より好ましくは60μm以上90μm以下であり、
前記第3層における繊維間距離は、好ましくは50μm以上190μm以下であり、より好ましくは70μm以上170μm以下である
前記<8>に記載の吸収性物品の表面材。
<10>
前記第2層における繊維間距離と前記第3層における繊維間距離との差分は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である
前記<8>又は<9>に記載の吸収性物品の表面材。
<11>
前記金属酸化物抗菌剤配合繊維は、芯部と鞘部とを有する芯鞘型繊維であり、前記鞘部に前記金属酸化物抗菌剤が配合され、前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の表面に前記金属酸化物抗菌剤が露出している
前記<1>から<10>のいずれか1に記載の吸収性物品の表面材。
<12>
前記芯鞘型繊維に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.05質量%以上2.5質量%以下である
前記<11>に記載の吸収性物品の表面材。
<13>
前記金属酸化物抗菌剤は酸化亜鉛である
前記<1>から<12>のいずれか1に記載の吸収性物品の表面材。
<14>
前記表面材全体に占める前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、30質量%以上80質量%以下である
前記<1>から<13>のいずれか1に記載の吸収性物品の表面材。
<15>
前記表面材全体に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.015質量%以上2.0質量%以下である
前記<1>から<13>のいずれか1に記載の吸収性物品の表面材。
<16>
前記凹部は、前記上層と前記下層とが部分的に圧密化されて構成される
前記<1>から<15>のいずれか1に記載の吸収性物品の表面材。
<17>
吸収体と、
前記吸収体の肌側面側に位置する、前記<1>から<16>のいずれか1に記載の表面材と
を備える吸収性物品。
1…使い捨ておむつ(吸収性物品)
2…表面材(吸収性物品の表面材)
2a…表面材の肌側面
2b…表面材の非肌側面
6…金属酸化物抗菌剤
10…中空部
UL…上層
ULa…上層の肌側面
ULb…上層の非肌側面
LL…下層
33…凸部
34…凹部
61…第1金属酸化物抗菌剤配合繊維(金属酸化物抗菌剤配合繊維)
621…第2金属酸化物抗菌剤配合繊維(金属酸化物抗菌剤配合繊維)

Claims (15)

  1. 複数の凸部と複数の前記凸部間に位置する複数の凹部とを有する肌側面と、非肌側面とを有する吸収性物品の表面材であって、
    前記肌側面を構成する上層と前記非肌側面を構成する下層を有し、
    前記凸部はその内部に中空部を有し、該中空部は前記上層と前記下層との間に位置し、
    前記中空部を形成する前記上層の非肌側面を構成する繊維と、前記上層の肌側面を構成する繊維は、金属酸化物抗菌剤を含有する繊維である金属酸化物抗菌剤配合繊維を含む
    吸収性物品の表面材。
  2. 前記金属酸化物抗菌剤配合繊維は、前記金属酸化物抗菌剤が繊維に練りこまれたものである
    請求項1に記載の吸収性物品の表面材。
  3. 前記上層は、前記肌側面を構成する第1層と、前記非肌側面を構成する第2層を含む
    請求項1又は2に記載の吸収性物品の表面材。
  4. 前記第2層は、前記第1層よりも前記金属酸化物抗菌剤の含有割合が低い
    請求項3に記載の吸収性物品の表面材。
  5. 前記下層は、前記下層の肌側面を構成する第3層を含み、
    前記第3層は、前記第2層よりも前記金属酸化物抗菌剤の含有割合が低い
    請求項4に記載の吸収性物品の表面材。
  6. 前記第1層、前記第2層、及び前記第3層それぞれの層の質量に対する前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の含有割合は、
    前記第1層では、80質量%以上100質量%以下であり、
    前記第2層では、50質量%以上90質量%以下であり、
    前記第3層では、0質量%以上50質量%以下である
    請求項5に記載の吸収性物品の表面材。
  7. 前記第1層、前記第2層、及び前記第3層それぞれの層の質量に対する前記金属酸化物抗菌剤の含有割合は、
    前記第1層では、0.04質量%以上2.5質量%以下であり、
    前記第2層では、0.025質量%以上2.25質量%以下であり、
    前記第3層では、0質量%以上1.25質量%以下である
    請求項5に記載の吸収性物品の表面材。
  8. 前記第1層における繊維間距離は前記第2層における繊維間距離より小さく、前記第2層における繊維間距離は前記第3層における繊維間距離より小さい
    請求項5から7のいずれか一項に記載の吸収性物品の表面材。
  9. 前記金属酸化物抗菌剤配合繊維は、芯部と鞘部とを有する芯鞘型繊維であり、前記鞘部に前記金属酸化物抗菌剤が配合され、前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の表面に前記金属酸化物抗菌剤が露出している
    請求項1から8のいずれか1項に記載の吸収性物品の表面材。
  10. 前記芯鞘型繊維に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.05質量%以上2.5質量%以下である
    請求項9に記載の吸収性物品の表面材。
  11. 前記金属酸化物抗菌剤は酸化亜鉛である
    請求項1から10のいずれか1項に記載の吸収性物品の表面材。
  12. 前記表面材全体に占める前記金属酸化物抗菌剤配合繊維の割合は、30質量%以上80質量%以下である
    請求項1から11のいずれか1項に記載の吸収性物品の表面材。
  13. 前記表面材全体に占める前記金属酸化物抗菌剤の割合は、0.015質量%以上2.0質量%以下である
    請求項1から11のいずれか1項に記載の吸収性物品の表面材。
  14. 前記凹部は、前記上層と前記下層とが部分的に圧密化されて構成される
    請求項1から13のいずれか1項に記載の吸収性物品の表面材。
  15. 吸収体と、
    前記吸収体の肌側面側に位置する、請求項1から13のいずれか1項に記載の表面材と
    を備える吸収性物品。
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