JP4084279B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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本発明は、スキンケア剤を含有する吸収性物品に関する。
おむつは、着用時間が比較的長く、その間に数度の排泄があるため、汗や排泄物によって内部の湿度が非常に高くなり易い。特に、漏れ抑制目的でギャザー部を設けたおむつでは、肌への密着性がギャザー部で相対的に高く、おむつ内の他の部分で相対的に低くなることから、ギャザー部が当接している肌部分で汗をかき易く、蒸れによってかぶれが生じ易い状態になる。同様のことが、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー、おりものシート等、ギャザー部を備えている他の吸収性物品についてもいえる。
そこで、スキンケア効果を付与してかぶれの発生を抑制した吸収性物品が提案されている。
例えば特許文献1、2には、エモリエント剤と当該エモリエント剤を固定化し得る固定化剤とを含むローション剤がトップシートまたは脚部カフスに塗布された吸収製品ないし吸収性用品が記載されている。また、特許文献3、4には、所定部位に所定の薬効を有する薬剤が固定ないし保持された吸収性物品が記載されている。そして、特許文献5には、スキンローションが含浸された多孔質シートや、スキンローションが含浸された領域を有するおむつが記載されている。
特許3217792号公報 特許3217793号公報 特開2002−113039号公報 特開2002−200112号公報 国際公開 WO 94/9757号公報
エモリエント剤やスキンケア剤等の薬剤を吸収性物品に予め塗布しておくことにより、かぶれの発生を抑制したり、かぶれの治癒を図ったりすることが可能であるが、上記の薬剤が塗布された従来の吸収性物品によっても、着用者の肌がかぶれることがある。
そこで、本発明は、少なくともギャザー部周りでの肌のかぶれを抑制することが可能な吸収性物品を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様では、液不透過性の外層シート(15)と、該外層シート上に固定された吸収体(20)とを少なくとも備え、伸縮弾性部材を有するギャザー部が少なくとも1つの所定部位(30a、30b、35a、35b、45a、45b、60a、60b)に形成されている吸収性物品(70)であって、前記ギャザー部の着用者肌に当接する面に水溶性スキンケア剤が存在し、前記水溶性スキンケア剤上であって該水溶性スキンケア剤よりも着用時における着用者の肌側の少なくとも一部に油性スキンケア剤が存在することを特徴とする吸収性物品を提供して、上記の課題を解決する。
油性スキンケア剤の少なくとも一部が水溶性スキンケア剤よりも着用時における着用者の肌側に存在するようにして、これら油性スキンケア剤と水溶性スキンケア剤とをギャザー部に塗布することにより、油性スキンケア剤と水溶性スキンケア剤との両方の薬効を活用して肌のかぶれを抑制することが可能になる。
すなわち、吸収性物品着用後の初期段階では、油性スキンケア剤を着用者の肌に移行させてその薬効を発現させ、その後、油性スキンケア剤の下にあった水溶性スキンケア剤を着用者の肌に移行させてその薬効を発現させて、肌のかぶれを抑制することが可能になる。
したがって、上記の吸収性物品を用いることにより、従来の吸収性物品に比べて少なくともギャザー部周りでの肌のかぶれを抑制することが可能になる。
本発明によれば、少なくともギャザー部周りでの肌のかぶれを抑制することが可能な吸収性物品が提供される。したがって、本発明によれば、安全性が更に向上した吸収性物品を提供することが容易になる。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下、本発明の吸収性物品の実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1(A)は、本発明に係る一実施形態の吸収性物品を緊張状態に保持し、これを上面からみたときの概略図であり、図1(B)は、図1(A)に示した吸収性物品を自然状態に保持して図1(A)に示したIB−IB線に相当する箇所で切断したときの断面の概略図である。
ここで、本明細書で吸収性物品についていう「上面」とは、着用時に着用者の体表側に当てられる面を上にして置かれた吸収性物品についての上面を意味する。また、「吸収性物品を緊張状態に保持する」とは、吸収性物品に設けられている弾性体の収縮に起因する変形が実質的に消失するように、当該吸収性物品をその幅方向および長手方向に張力を加えて保持することを意味する。
図示の吸収性物品70は展開型のおむつ(以下、「おむつ70」という。)であり、図1(A)中に矢印D1で示す長手方向(以下、「長手方向D1」という。)に沿って、便宜上、3つの領域に区分することができる。1つは、主として着用者の臀部から背部に当てられる背側領域R1であり、他の1つは主として着用者の下腹部に当てられる股下領域R2であり、さらに他の1つは、主として着用者の腹部に当てられる腹側領域R3である。
着用者の大腿部へのフィット性を高め、かつ、装着性をよくするために、股下領域2の幅方向D2の両側にはレッグ開口部1a、1bが形成されており、その結果として、股下領域R2の幅は他の2つの領域R1、R3の最大幅よりも狭くなっている。背側領域R1における股下領域R2側の縁部の幅、および腹側領域R3における股下領域R2側の縁部の幅は、股下領域R2に近づくに従って漸次狭くなっている。
背側領域R1における幅方向D2の左右両側縁に分かれて、面状ファスナ用オス材3aを片面に備えたテープ状部材3が一対固定されている。また、腹側領域R3の裏面(外側面)には、着用時にテープ状部材3を止着するために、例えば不織布からなる面状ファスナ用メス材(図示せず。)が固着されている。
図1(B)に示すように、おむつ70は、着用時に着用者の肌に接する内側シート10と、当該内側シート10の裏側(外側)に配された外層シート15(図1(B)参照)と、排泄物を吸収するための吸収体20とを備えており、吸収体20は、内側シート10と外層シート15との間に配置されている。
内側シート10は、不織布等によって形成された液透過性の表面シート11と、不織布等によって形成された液不透過性のサイドシート13a、13bとを有しており、表面シート11は吸収体20を平面視上覆っている。当該表面シート11おける幅方向D2の左側縁および右側縁に、サイドシート13aまたは13bが1枚ずつ接合されている。
外層シート15は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の有機高分子材料を利用して形成された液不透過性のシートであり、排泄物の漏出を防止する。
吸収体20は、例えば、レーヨン、セルロース等の親水性繊維の集合体や、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維に親水化処理を施したものの集合体、前記親水性繊維と前記親水化処理を施した合成繊維との集合体、あるいは、これらの集合体に吸水性ポリマーを保持させたもの等からなる吸収材層によって、または、当該吸収材層を紙、不織布、開孔フィルム等の1種または複数種で包むことによって形成される。
内側シート10の輪郭形状および大きさは外層シート15の輪郭形状および大きさと略同じであり、当該内側シート10および外層シート15によって、テープ状部材3の各々を除いたおむつ70の平面視上の輪郭形状および大きさが実質的に決定されている。
図1(A)に示すように、長手方向D1についてみたときに、吸収体20の長手方向端よりも更に外側の領域が、着用時に着用者のウエスト周りに配されるウエストフラップ30a、30bである。また、レッグ開口部1a、1bよりもウエストフラップ30a、30bよりの領域における吸収体20の幅方向側縁よりも外側の領域が、着用時に着用者の胴周りに配される胴回りフラップ35a、35bである。したがって、背側領域R1および腹側領域R3のそれぞれに、ウエストフラップ30aまたは30b、および、胴回りフラップ35aまたは35bがある。図1(A)においては、背側領域R1中のウエストフラップ30a、および腹側領域R3中のウエストフラップ30bに、それぞれスマッジングを付してある。
ウエストフラップ30aには、幅方向D2に延在するようにして、複数本の伸縮弾性部材33a(以下、「ウエスト弾性部材33a」という。)が配されている。同様に、ウエストフラップ30bには、幅方向D2に延在するようにして、複数本の伸縮弾性部材33b(以下、「ウエスト弾性部材33b」という。)が配されている。
これらのウエスト弾性部材33a、33bとしては、例えば糸ゴムや平ゴム等が用いられ、いずれのウエスト弾性部材33a、33bも、内側シート10と外層シート15との間に伸張状態の下に固定されている。このため、おむつ70が自然状態にあるときやおむつ70の着用時には、ウエスト弾性部材33a、33bの各々が相対的に収縮して、各ウエストフラップ30a、30bにウエストギャザー部が形成される。
また、本実施形態においては、胴回りフラップ35a、35bそれぞれに伸縮弾性部材37aまたは37b(以下、「胴回り弾性部材37a、37b」という。)が複数本ずつ配されている。さらに、幅方向D2についてみたときの吸収体20の左側方(図1(A)での左側方)には、長手方向D1に延在するようにして複数本の伸縮弾性部材40a(以下、「レッグ弾性部材40a」という。)が配され、吸収体20の右側方(図1(A)での右側方)には、長手方向D1に延在するようにして複数本の伸縮弾性部材40b(以下、「レッグ弾性部材40b」という。)が配されている。
上述の胴回り弾性部材37a、37bおよびレッグ弾性部材40a、40bとしても、ウエスト弾性部材33a、33bと同様に糸ゴムや平ゴム等が用いられ、いずれの弾性部材37a、37b、40a、40bも、内側シート10と外層シート15との間に伸張状態の下に固定されている。このため、おむつ70が自然状態にあるときやおむつ70の着用時には、各胴回り弾性部材37a、37bが相対的に収縮して胴回りギャザー部が形成されると共に、各レッグ弾性部材40a、40bが相対的に収縮してレッグギャザー部が形成される。レッグギャザー部は、着用時に着用者の鼠けい部周辺から大腿部周りにかけて当てられる。
図1(A)においては、レッグ弾性部材40aによってレッグギャザー部が形成される領域を参照符号45aで示すと共に、レッグ弾性部材40bによってレッグギャザー部が形成される領域を参照符号45bで示し、これらの領域にスマッジングを付してある。ただし、図示した領域45a、45bそれぞれの範囲は厳密なものではなく、大まかなものである。
おむつ70は、上述した各ギャザー部に加えて、吸収体20に近接して配置されたギャザー部である立体ガード60a、60bを有している。これらの立体ガード60a、60bは、いずれも、おむつ70の長手方向D1に沿って設けられている。
図示の立体ガード60a、60bは、サイドシート13aまたは13b(図1(B)参照)を表面シート11の一部に接着して固定端とし、自由端(外層シート15からみて遠い側の端)となる領域の内側に、長手方向D1に延在する伸縮弾性部材63aまたは63bを伸張状態で固定することによって着用者方向に起立するように形成されている。着用時においては自由端部が着用者肌側へ起立して立体的なギャザー部を形成する。
本発明におけるおむつ70の最大の特徴は、上述した各ギャザー部の少なくとも一つに、所定のパターンで水溶性スキンケア剤と油性スキンケア剤とが塗布されていることにある。
本実施形態においては、ウエストフラップ30a、30b、胴回りフラップ35a、35b、各領域45a、45b、および立体ガード60a、60bそれぞれの内側面(着用時に着用者の肌に当てられる側の面)に水溶性スキンケア剤が塗布され、その上に油性スキンケア剤が塗布されている。
以下、上記の水溶性スキンケア剤および油性スキンケア剤について、順次詳述する。
(A)水溶性スキンケア剤
上記の水溶性スキンケア剤は、水溶性または水分散性を有すると共に、かぶれや炎症の発生を抑制し、かぶれや炎症が生じた場合には、当該かぶれや炎症の進行を抑制するか、または当該かぶれや炎症を緩和させることができるものであることが好ましい。
水溶性スキンケア剤の具体例としては、(1)各種植物エキス、(2)コラーゲン、(3)天然保湿成分(NMF)、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の保湿剤、(4)アルギニン、グアニジン誘導体(例えば、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルグアニジンの有機酸塩(例えばコハク酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩等))等の角質柔軟化剤、(5)グアイアズレン、タンニン、没食子酸誘導体等の消炎剤等が挙げられる。
水への溶解性、スキンケア効果、およびコストを勘案すると、水溶性スキンケア剤としては、植物エキスまたは天然保湿成分(NMF)を用いることが好ましい。
上記植物エキスの具体例としては、オーツ麦エキス、海藻(ヒバマタ)エキス、柚エキス、ハマメリスエキス、ワレモコウエキス、アスナロエキス、アロエエキス、オウバクエキス、スギナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、モモ葉エキス等が挙げられる。特に、柚エキス、ハマメリスエキス、アスナロエキス、アロエエキス、オウバクエキス、ユーカリエキスまたはモモ葉エキスを用いることにより、高いスキンケア効果を得ることができる。
吸収体の材料として高吸水性ポリマーを使用する場合には、上記の水溶性スキンケア剤によって高吸水性ポリマーの吸水性能が劣化するなどの変質が引き起こされないことが好ましく、そのためには、水溶性スキンケア剤として柚エキス、ハマメリスエキス、アスナロエキス、アロエエキス、オウバクエキス、またはモモ葉エキス、特に、柚エキス、ハマメリスエキス、またはアスナロエキスを用いることが好ましい。
植物エキスは、例えば、各種植物の全体または葉、樹皮、根および枝のうちの一または二以上の箇所を乾燥させ、または乾燥させることなく粉砕した後、常温または加温下に溶剤によって抽出するか、ソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することができる。植物エキスとして1,3−ブチレングリコール抽出物を用いると、水への溶解性が高くなるばかりでなく、繊維またはおむつ吸収性物品の製造過程で加熱処理を行っても防爆対応を必要としなくなる。また、表面シートまたはその材料となるシートもしくは繊維に塗布したとしても、おむつ吸収性物品を構成する吸収体の吸収性能の低下が抑制される。
通常、植物エキスは、有効成分に加え、抽出に使用した溶剤成分および水分を含んだ状態となっている。この状態での植物エキスの有効成分量(揮発溶剤成分や水分を除いた量)は、概ね0.001〜5重量%であればよい。抽出用の溶剤成分として1,3−ブチレングリコールを用いた場合には、植物エキスの有効成分と1,3−ブチレングリコールとの総和が上記の範囲内にあればよい。植物エキスの有効成分の量は、溶剤成分の量に対して、概ね0.001〜10重量%であることが好ましい。
上述した水溶性スキンケア剤は、水分によって離脱可能な状態でおむつ吸収性物品の所定箇所(図示のおむつ70では各ウエストフラップ30a、30b、胴回りフラップ35a、35b、各領域45a、45b、および各立体ガード60a、60b)に固定されていることが好ましく、特に、尿、便、経血、おりもの等(以下、これらを「排泄物」と総称する。)と接触することによって、あるいは汗と接触することによって、当該排泄物中または汗中に溶解もしくは分散する状態で吸収性物品に固定されていることが好ましい。水溶性スキンケア剤がこのような状態で吸収性物品に存在していると、吸収性物品着用中に水溶性スキンケア剤が着用者の肌に容易に達するようになるので、そのスキンケア効果が発現し易い。
ここで、本明細書において水溶性スキンケア剤についていう「水分によって脱離可能な状態で固定されている」とは、当該水溶性スキンケア剤が高い水溶性または水分散性を有していることを意味する。例えば、水溶性スキンケア剤が固定化されているシートを、当該シートの重量の10倍量の水(液温25℃)に浸漬したときに、水溶性スキンケア剤が完全に溶解もしくは分散すれば、「水分によって脱離可能な状態で固定されている」といえる。
水溶性スキンケア剤は、水分を主たる手段として吸収性物品から着用者の肌に移行できればよく、水分以外の補助的手段で着用者の肌に移行してもよい。
吸収性物品への水溶性スキンケア剤の固定は、例えば、表面シートもしくは内側シートまたはこれらのシートの材料となるシートの所定箇所に、水溶性スキンケア剤を含有したコーティング液を塗布し、乾燥させることによって行うことができる。
本発明において、特にウエストギャザー部においては上記のコーティング液に界面活性剤を含有させることが好ましい。これによって、発汗前や排泄前の段階では水溶性スキンケア剤が内側シート表面に安定して固定されるので、着用直後に油性スキンケア剤が着用者の肌へ移行するに際に一緒に水溶性スキンケア剤が肌側へ移行してしまうということが抑制される。その他、界面活性剤を併用することにより、親水性や、吸収性物品における吸収体の繰り返し吸収性、あるいは、不織布や吸収性物品の製造設備に対する防錆性、不織布加工性等の点でもメリットがある。
排泄が起こると、界面活性剤と共に、水溶性スキンケア剤の多くが吸収体側へ移行するが、このとき水溶性スキンケア剤の一部は着用者の肌側へ移行する。水溶性スキンケア剤が着用者の肌側へ移行する。したがって、排泄物が肌に接触しても水溶性スキンケア剤が肌を守ることとなり、かぶれの発生が抑制あるいは、症状が緩和される。また、水溶性スキンケア剤の肌への移行が発汗や排泄を契機にして起こり易いので、排泄物の吸収によって吸収性物品内の湿度が高まり、この状態が長時間に及んだとしても、水溶性スキンケア剤のスキンケア効果を十分に持続させることが可能である。その結果として、当該スキンケア効果によって着用者の肌が守られ、かぶれの発生が抑制あるいは、症状が緩和される。
吸収性物品への水溶性スキンケア剤の固定は、当該水溶性スキンケア剤の固定対象物が不織布である場合には、当該不織布を構成する繊維に予め水溶性スキンケア剤を固定し、この繊維を材料として用いて不織布を作製することによっても行うことができる。この場合の水溶性スキンケア剤の固定は、例えば、水溶性スキンケア剤を含有すると共に、必要に応じて界面活性剤や、高級アルコール等の繊維処理剤が添加されたコーティング液を調製し、このコーティング液をディッピング、スプレーコーティング、ロールコーティング等の方法によって上記の繊維に付着させた後に乾燥させることにより、行うことができる。
いずれの方法によって固定する場合でも、水溶性スキンケア剤は、固定対象物の表面に被膜状もしくは層状に連続的に付着させてもよいし、不連続的に(例えば粒子状や不連続膜状に)付着させてもよい。
水溶性スキンケア剤の好ましい固定量は、使用する水溶性スキンケア剤の種類により異なり、肌へ悪影響を与えない範囲内で適宜選定可能である。水溶性スキンケア剤の固定量が多すぎるとスキンケア効果が飽和するので、スキンケア効果と経済性とを勘案して当該固定量の上限を定めることが好ましい。例えば水溶性スキンケア剤として植物エキスを用い、当該水溶性スキンケア剤を繊維表面に固定する場合には、その固定量を0.01〜5重量%とすることができ、特に0.05〜2重量%程度とすることが好ましい。
図1(A)に示したウエストフラップ30a、30bの内側面のように、疎水性繊維によって形成されている領域に水溶性スキンケア剤を水分によって脱離可能な状態で固定するうえからは、水溶性スキンケア剤と界面活性剤とを併用することが好ましく、更に1,3−ブチレングリコールを併用することが好ましい。1,3−ブチレングリコールは、前述したように水溶性スキンケア剤そのものとして用いることもできるが、水溶性スキンケア剤として植物エキスを用いる場合には、当該植物エキスを繊維表面に固定するための溶媒として用いることが特に好ましい。
上述のコーティング液に含ませる界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、および非イオン界面活性剤のいずれをも用いることができる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル金属塩、アルキル硫酸エステル金属塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル金属塩、アルキルリン酸エステル金属塩、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸ソルビタンエステル(モノ、ジ、およびトリエステルのいずれでもよい。)、アルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルコハク酸エステル金属塩等が挙げられる。上記の各金属塩としては、例えばナトリウム塩やカリウム塩を用いることができる。
界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。親水性や、おむつにおける吸収体の繰り返し吸収性、あるいは、不織布やおむつの製造設備に対する防錆性や不織布加工性等を勘案すると、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル金属塩、アルキルリン酸エステル金属塩、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルグルコシド、およびアルキルコハク酸エステル金属塩のうちの1種または2種以上を用いることが特に好ましい。
また、水溶性スキンケア剤を疎水性繊維表面に安定に固定させるという観点からは、親水性の界面活性剤と疎水性の界面活性剤を混合して用いることが好ましい。例えば、2種以上の非イオン界面活性剤を混合して用いる場合にはHLB(親水性親油性バランス)を指標として用いることができる。HLBが8以上、特に10以上の親水性の界面活性剤と、HLBが6以下、特に5以下の疎水性の界面活性剤とを、概ね親水性界面活性剤/疎水性界面活性剤=90/10〜30/70(重量%)の混合比で混合して使用すると、疎水性繊維を主要材料にして作製されたシートと水溶性スキンケア剤との固定が安定し、吸収性物品の着用直後に着用者の肌との接触によって油性スキンケア剤が離脱しても、水溶性スキンケア剤がシートに残り易くなる。しかも、排泄時には水溶性スキンケア剤がシート表面から容易に離脱し易くなる。
上述のコーティング液には、界面活性剤や繊維処理剤の他に、帯電防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、平滑剤、乳化剤、抗菌剤、防黴剤、香料等を配合することもできる。
(B)油性スキンケア剤
油性スキンケア剤としては、着用者の肌に対して保護、治癒等の効能を有するものを特に制限なく用いることができ、例えば、化粧品の分野においてエモリエント剤として用いられているもの等を用いることができる。
当該油性スキンケア剤の具体例としては、流動パラフィン、シリコーンオイル、動植物油(オリーブ油、ホオバ油、ベニバナ油、スクワランおよびスクワレン等)、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、脂肪族エーテル(ミリスチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ステアリル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−メチルプロピルエーテル、ステアリル−1,3−メチルプロピルエーテル等)、および、イソステアリル−コレステロールエステル等が挙げられる。
また、パラフィンワックス、C12〜C22脂肪酸、C12〜C44脂肪酸エーテル、C12〜C22脂肪アルコール、ワセリン、金属石鹸(ステアリン酸マグネシウム等)、ショ糖脂肪酸エステル、シクロデキストリン脂肪酸エステル、シリコーン系レジン、およびアルキルシリコーンや、特許文献1または特許文献3〜5に記載されている発明で使用されるエモリエント剤等を上記の油性スキンケア剤として用いることもできる。
さらには、国際公開公報WO00/61097号に記載されている下式(I)で表されるジアミド誘導体を油性スキンケア剤として用いることもできる。
Figure 0004084279
油性スキンケア剤は、主に、ギャザー部と着用者皮膚との間の摩擦を低減すると共に、ギャザーの締め付け力によって着用者の肌に移行して、排泄物が着用者の肌に直接触れるのを抑制する。これによってギャザーによる摩擦と排泄物による刺激を緩和してかぶれの発生を抑える、という役割を担うものである。このため、当該油性スキンケア剤は、水溶性スキンケア剤が塗布(固定)されているシートもしくは吸収性物品の所定領域に塗布され、固定される。
本実施形態においては、36℃における粘度が5000mPa・s以下、特に200〜5000mPa・s、とりわけ500〜2000mPa・sの油性スキンケア剤を使用するか、そのようになるように粘度調節された油性スキンケア剤を用いることが好ましい。
上記粘度の油性スキンケア剤を用いることによって、着用者の肌へ当該油性スキンケア剤を効果的に移行させることができる。油性スキンケア剤の粘度が5000mPa・s以下であると肌への移行性が極めて良好となり、所望のかぶれ抑制効果を発現するために多量の油性スキンケア剤を用いる必要がない。また、吸収性への影響が小さくなる。油性スキンケア剤の粘度が200mPa・s以上の場合は吸収性物品の着用前の保存期間が長期に亘る場合であっても、油性スキンケア剤が他の部位へ移行してしまうことが有効に防止できるので所望のスキンケア効果が効果的に得られる。
なお、本発明でいう「油性スキンケア剤の粘度」とは、以下のようにして測定した粘度を意味する。
<粘度の測定方法>
音叉型振動式粘度計(本実施形態では、代表的にVIBRO NISCOMETERCJV5000(株式会社エー・アンド・デイ社製)を使用)を用いて測定を行う。予め100℃程度に加熱した油性スキンケア剤を室温まで徐冷し、所望温度での粘度を測定する。
本発明で使用する油性スキンケア剤は、粘度の温度依存性が小さいものが好ましい。具体的には、36℃での粘度が上述の範囲であって、かつ80℃での粘度が50〜200mPa・sであるものが好ましい。粘度の温度依存性が小さいと、シートに油性スキンケア剤を均一に塗工し易く、しかも多少の温度変化が起きたとしても安定してシート上に固定されているので、吸収体へ油性スキンケア剤が浸み込んだり拡散したりすることによる吸収阻害が起きにくい。また、初めに油性スキンケア剤が着用者肌へ移行し、次いで水溶性スキンケア剤が移行するという2段階のスキンケア効果が発現し易くなる。
吸収性物品もしくはその材料への油性スキンケア剤の塗布は、例えば、当該油性スキンケア剤を塗工装置(アプリケーター)のタンク内に投入し、必要に応じて加熱してその流動性を高めてから、おむつもしくはその材料の所定箇所にコーティングすることによって行うことができる。
油性スキンケア剤のコーティング方式としては、ダイスコーター方式、スロットスプレー方式、カーテンスプレー方式、メルトブローン方式、スパイラルスプレー方式、グラビア方式、ビード方式等が挙げられる。
スプレー方式のようにエアーで吹き付ける方式を適用した場合には、油性スキンケア剤が細かい粒子、あるいは霧状となって塗布対象物の表面に吹き付けられる。このため、油性スキンケア剤は、巨視的には塗布対象物上に連続して設けられるが、微視的には塗布対象物の表面に不連続的に分布することとなる。
その結果として、スキンケア効果を広い範囲で奏しつつ表面シートの液透過性を確保して、吸収体の吸収性能を有効に活用することが容易になる。エアーで吹き付ける方式による油性スキンケア剤の塗布は、所望の吸収性物品を得るうえで好適である。勿論、エアーで吹き付ける方式を適用する場合であっても、油性スキンケア剤の塗布量域の形状は、ストライプ状や格子状等、所望のパターンとすることが可能である。
スキンケア効果、風合い等を勘案すると、油性スキンケア剤の塗布量(油性スキンケア剤が実際に塗布されている領域での塗布量を意味する。)は、使用する油性スキンケア剤の種類および塗布パターンに応じて0.05〜20g/m の範囲内とすることが好ましく、0.1〜10g/m の範囲内とすることが更に好ましい。これらの塗布量は、油性スキンケア剤を塗布する前と塗布した後の塗布対象物の重量差から求めることができる。
必要に応じて、1つの吸収性物品中で2種類の塗布方式を併用してもよい。例えば、前記ギャザー部においてはダイスコーター方式を採用し、吸収性能とスキンケア効果の両立が求められる排尿部付近においてはスプレー方式を採用してもよい。
本実施形態のおむつ70では、上述した水溶性スキンケア剤および油性スキンケア剤がウエストフラップ30a、30b、胴回りフラップ35a、35b、領域45a、45b、および立体ガード60a、60bに塗布されているので、おむつ70を着用した初期段階では、油性スキンケア剤が着用者のウエスト周り、胴回り、鼠けい部およびその周辺、ならびに大腿部周りに移行してそのスキンケア効果が発現する。その後、油性スキンケア剤の下に固定されていた水溶性スキンケア剤が汗や排泄物に由来する水分に溶解もしくは分散して着用者の肌に移行し、そのスキンケア効果が発現する。
したがって、おむつ70では、ウエスト周り、胴周囲部、鼠けい部およびその周辺、ならびに大腿部周りでの肌のかぶれを抑制することができる。
上述したおむつ70では、全てのギャザー部に水溶性スキンケア剤および油性スキンケア剤が塗布されているが、これらのスキンケア剤は、一部のギャザー部にのみ塗布するようにしてもよい。また、一部のギャザー部には油性スキンケア剤および水溶性スキンケア剤を塗布し、一部のギャザー部には油性スキンケア剤あるいは水溶性スキンケア剤のどちらかを塗布するようにしてもよい。ただし、肌のかぶれを防止するという観点からは、少なくともウエストフラップ部(ウエストギャザー部)に塗布することが好ましい。
ウエストフラップ30a、30b、胴回りフラップ35a、35b、領域45a、領域45b、および立体ガード60a、60bにおいては、水溶性スキンケア剤および油性スキンケア剤を全体に塗布する以外に局所的に塗布することもできる。全体に塗布する場合および局所的に塗布する場合のいずれにおいても、油性スキンケア剤の少なくとも一部が、吸収性物品の着用時に水溶性スキンケア剤よりも着用者の肌側に存在するように、これらスキンケア剤の塗布形態を選定することが好ましい。
スキンケア剤をウエストフラップ30a、30b、胴回りフラップ35a、35b、領域45a、領域45b、または立体ガード60a、60bにおいて局所的に塗布する場合、その塗布領域の分布形態の具体例としては、ストライプ状、ドット状(アイランド状)、格子状等が挙げられる。
実施形態として挙げた吸収性物品は展開型のおむつであるが、本発明の吸収性物品はパンツ型おむつであってもよいし、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー、おりものシート等、ギャザー部を有するものであればおむつ以外の吸収性物品であってもよい。
例えばパンツ型おむつにおいては、上記の外層シートに、ウエストフラップ、胴回りフラップ、およびレッグギャザーが形成される領域があるので、これらの部位のうちの所望の部位に、前述した水溶性スキンケア剤と油性スキンケア剤とを塗布する。
吸収性物品の材料として使用される各シートは、多くの場合、不織布によって形成される。水溶性スキンケア剤や油性スキンケア剤を不織布に塗布(固定)するうえで当該不織布を構成する繊維に特別の制限はなく、レーヨンやテンセル等の半合成繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリル酸、ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる単一繊維、あるいは、芯鞘型もしくはサイド・バイ・サイド型の複合繊維等の合成繊維は勿論、パルプやコットン等の天然繊維であってもよい。
不織布を構成する繊維は1種のみであってもよいし2種以上であってもよく、各繊維は、長繊維および短繊維のいずれの形態であってもよい。さらに、繊維の繊度にも特別の制限はなく、目的とする吸収性物品の用途やグレード等に応じて適宜選択可能であるが、上記の内側シートや表面シートに使用される繊維の繊度は、概ね0.5〜8.9dtex 、特に、概ね1〜5.6dtex の範囲内になることが多い。
立体ガードは、実施形態のおむつ70におけるように表面シート11とサイドシート13とを用いて形成する以外に、これら表面シート11およびサイドシート13とは別部材のシートを用いて形成することもできる。
水溶性スキンケア剤に加えて、肌の傷つきを抑える目的で、他の摩擦低減剤を吸収性物品に付着させることもできる。他の摩擦低減剤としては、有機物質からなる板状結晶体や有機微粒子を用いることができる。上記の板状結晶体としては、例えば、アシル化タウリン金属塩(ラウロイルタウリンカルシウム塩、ラウロイル−β−アラニルカルシウム)、ジステアリルエーテル、セチルリン酸亜鉛ナトリウム、およびN−ε−ラウロイル−L−リジン等が挙げられる。上記の有機粒子としては、例えば、シリコーンビーズ、ナイロンビーズ、キトサンビーズ等が挙げられる。
水溶性スキンケア剤が塗布されている領域には、必要に応じて、アルミニウムヒドロキシクロライド、アルミニウムージルコニウム塩、パラフェノールスルホン酸亜鉛等の抑汗剤を塗布することもできる。
以上、現時点において最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本件明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う吸収性物品もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
領域45a、45b(図1(A)参照)に水溶性スキンケア剤および油性スキンケア剤のいずれもが塗布されていない以外は実施形態のおむつ70と同様の構成を有する展開型おむつを作製した。
このとき、表面シート11としては、芯成分がポリプロピレンで、鞘成分がポリエチレンである繊度3.3dtex の芯鞘型複合繊維を用いた坪量30g/m の不織布を使用した。上記の芯鞘型複合繊維には、不織布化に先立って、水溶性スキンケア剤としてのハマメリス抽出エキス(1、3ブチレングリコール抽出液)、親水性の界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB=13.3)、疎水性の界面活性剤であるソルビタントリステアレート(HLB=2.1)、モノアルキルホスフェートカリウム塩、帯電防止剤、平滑剤等を混合したコーティング液を塗布した。コーティング液を調製するにあたっては、ソルビタントリステアレートの添加量をポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの添加量と等量にした。表面シート11には、その全体に亘って、水溶性スキンケア剤が塗布されている。
また、不織布化後に、油性スキンケア剤として下式(II)で表されるジアミド誘導体をウエストフラップ30a、30bに塗布した。このジアミド誘導体は、前記式(I)で表されるジアミド誘導体の1種である。
Figure 0004084279
上記のハマメリス抽出エキスの塗布量(固定量)は0.07重量%であり、上記のジアミド誘導体の塗布量(塗布した領域での塗布量)は1.0g/m である。また、塗布されたジアミド誘導体の36℃での粘度は1800mPa・sである。なお、ジアミド誘導体の塗布は、スプレーコーターを用いて80℃の温度条件下に行った。
サイドシート13a、13bとしては、ポリプロピレン繊維によって形成された坪量15g/m の不織布を用い、外層シート15としては、直鎖状低密度ポリエチレンと炭酸カルシウムとを均一混合した後にダイスから押し出して得たフィルムに一軸延伸処理を施して得た透湿度(JIS Z 0208準拠)4800g/m・24時間の液不透過性通気性フィルムを用いた。そして、吸収体20としては、高吸水性ポリマーとパルプとを重量比で50:50の割合で混合して得た吸収材全体を台紙で覆ったものを用いた。
(比較例1)
ウエストフラップ30a、30bに油性スキンケア剤を塗布しなかった以外は実施例1と同様にして、おむつを作製した。
<おむつかぶれ防止能の評価>
実施例1および比較例1でそれぞれ作製したおむつを10名のモニターに使用してもらい、比較例1のおむつでのかぶれ発生頻度を1としたときの相対的な発生頻度を求めた。この値が小さいほど、比較例1のおむつに比べてかぶれ防止能が高い。
各おむつでのかぶれ発生頻度の測定結果を、当該おむつに塗布されているスキンケア剤の種類および塗布部位と共に表1に示す。
Figure 0004084279
表1から明らかなように、実施例1で作製したおむつは、比較例1で作製したおむつに比べて、かぶれ防止能に優れている。
(実施例2)
<紅斑の発生を抑制する性能試験1>
健康な成人5人の前腕内側(両手)を使用して、表2に示す水溶性スキンケア剤及び油性スキンケア剤の所定の組み合わせによるパッチテストを行い、紅斑の発生を抑制する性能について試験を行った。サンプルNo.2の油性スキンケア剤としては、下式(III)で表されるモノアミド化合物(36℃における粘度は1000mPa・s)を用いた。
Figure 0004084279
まず、前腕内側の所定箇所をアセトン/エーテル(1:1)溶液で清拭し、ここに4.4kPaの圧力下で、油性スキンケア剤を1.0g/mの割合で塗布した不織布を押し付けた。この後、同じ箇所に水溶性スキンケア剤と、アンモニア1.5質量%生理食塩水溶液(100μl)を含浸させたパッチテスト用バンソウコウを1.5時間貼付した。バンソウコウを除去した後、30分静置し、紅斑の発生状態を4段階で(0:紅斑なし、1:ごくわずかに赤い、2:やや赤い、3:赤い)目視判定により確認した。表2に紅斑の発生状態の平均値(紅斑の重篤度のレベル)を示す。
Figure 0004084279
表2から明らかなように、本願発明の態様である油性スキンケア剤および水溶性スキンケア剤を組み合わせて用いた方が、油性スキンケア剤または水溶性スキンケア剤単独で用いるよりも、紅斑の発生を効果的に抑制することが確認された。
(実施例3)
<紅斑の発生を抑制する性能試験2>
健康な成人13人の上腕部内側を使用して、表3に示す水溶性スキンケア剤による紅斑の発生を抑制する性能について試験を行った。まず、上腕部内側の所定箇所をアセトン/エーテル(1:1)溶液で清拭した。その後、アンモニア2質量%生理食塩水溶液(15μl)および表3に示す各種植物抽出エキス1%溶液(1,3−ブチレングリコール抽出溶液)(モモ葉エキスは乾燥粉体であるため、モモ葉エキスのみ0.01%)15μlを含浸させたパッチテスト用バンソウコウを3時間貼付した。バンソウコウを除去後、さらに150分静置して紅斑の発生状態を、上記した4段階で目視判定により確認した。アンモニアのみを含浸させたバンソウコウを用いた場合の紅斑の目視判定結果(A)と、それぞれの水溶性スキンケア剤を用いた場合の紅斑の目視判定結果(B)との比(B/A)を各人毎にとり、この値が1未満となった成人の人数を全13人で除した値を消炎スコアとした。結果を表3に示す。なお、消炎スコアが大きい程、紅斑の発生を抑制する効果が高いことを示している。
Figure 0004084279
表3から明らかなように、いずれの水溶性スキンケア剤を用いた場合においても、これらを用いない場合に比べて、紅斑の発生を効果的に抑制することが確認され、いずれも高いスキンケア効果を有することが確認された。したがって、上記した実施例1及び実施例2においてハマメリスエキスに替えてこれらの水溶性スキンケア剤を用いた場合にも同様のスキンケア効果が奏されることが予想される。
図1(A)は、本発明に係る一実施形態のおむつを緊張状態に保持し、これを上面からみたときの概略図であり、図1(B)は、図1(A)に示したおむつを自然状態に保持して図1(A)に示したIB−IB線に相当する箇所で切断したときの断面の概略図である。
符号の説明
1a、1b レッグ開口部
15 外層シート
20 吸収体
30a、30b ウエストフラップ
33a、33b ウエスト弾性部材
35a、35b 胴回りフラップ
37a、37b 胴回り弾性部材
40a、40b レッグ弾性部材
45a、45b レッグギャザー部が形成される領域
60a、60b 立体ガード
70 吸収性物品(おむつ)
R1 背側領域
R2 股下領域
R3 腹側領域

Claims (5)

  1. 液不透過性の外層シートと、該外層シート上に固定された吸収体とを少なくとも備え、伸縮弾性部材を有するギャザー部が所定部位に形成されており、実質的に縦長形状であると共に、その長手方向に沿って、着用時に着用者の腹部、股下部、背部おのおのに配される腹側領域、股下領域および背側領域を有している吸収性物品であって、
    前記ギャザー部の着用者肌に当接する面に水溶性スキンケア剤が存在し、前記水溶性スキンケア剤上であって該水溶性スキンケア剤よりも着用時における着用者の肌側の少なくとも一部に油性スキンケア剤が存在することを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記所定部位が前記腹側領域または背側領域の長手方向端部を含み、該長手方向端部に形成されているギャザー部が前記吸収性物品の幅方向に延在するようにして伸縮弾性部材を配置することによって形成されたウエストギャザー部である請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記股下領域の前記幅方向両側に、該股下領域の幅を前記背側領域および腹側領域の最大幅よりも狭くするレッグ開口部を有しており、
    前記所定部位が前記幅方向において前記レッグ開口部に隣接する部位を含み、該部位の各々に形成されているギャザー部が着用時に前記レッグ開口部が着用者の脚部周りに配されるように伸縮弾性部材を配置することによって形成されたレッグギャザー部である請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記所定部位が前記吸収体の幅方向左右側縁それぞれに近接する部位を含み、これらの部位それぞれに形成されているギャザー部が前記吸収体の長手方向に沿って伸縮弾性部材を配置することによって形成された立体ガードである請求項1〜3いずれか記載の吸収性物品。
  5. 前記水溶性スキンケア剤が植物エキスであり、前記油性スキンケア剤が下式(I)
    Figure 0004084279
    で表されるジアミド誘導体である請求項1〜4いずれか記載の吸収性物品。
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