JP2023172899A - スラブの幅圧下方法、鋼板の製造方法及びスラブの幅圧下装置 - Google Patents

スラブの幅圧下方法、鋼板の製造方法及びスラブの幅圧下装置 Download PDF

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紘弥 箕輪
Koya Minowa
慎也 山口
Shinya Yamaguchi
雅康 植野
Masayasu Ueno
由紀雄 高嶋
Yukio Takashima
侑紀 野口
Yuki Noguchi
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Abstract

Figure 2023172899000001
【課題】幅圧下中のスラブをパスラインに維持できるスラブの幅圧下方法、当該幅圧下方法を用いた鋼板の製造方法及びスラブの幅圧下装置を提供する。
【解決手段】スラブを幅圧下する一対の金型と、スラブのパスラインを上下方向に挟んで設置される少なくとも2組の上下一対の座屈防止ロールと、を用いて、スラブを幅圧下するスラブの幅圧下方法であって、スラブの進行方向の入側に位置する座屈防止ロールの下ロールを、下ロールの上端位置がパスライン位置に固定されるように位置制御し、他の座屈防止ロールを、他の座屈防止ロールのそれぞれから幅圧下中のスラブに予め定められた押力が付与されるように押力制御する。
【選択図】図1

Description

本発明はスラブをパスライン位置に維持できるスラブの幅圧下方法、鋼板の製造方法及びスラブの幅圧下装置に関する。
連続鋳造設備から搬送されたスラブは、加熱炉で所望の温度に加熱された後、必要に応じスケールが除去されてから、スラブの幅圧下装置に送られる。スラブの幅圧下装置では、スラブはピンチロールによって、スラブの幅方向に対向するように設置された一対の金型の間に搬送され、揺動運動をする金型にプレスされて幅圧下される。また、スラブが幅圧下されてスラブの幅が狭められるとスラブは増厚する。幅圧下後、金型を開放し、入側ピンチロール及び出側ピンチロールによりスラブを搬送する。スラブの未幅圧下部が金型位置に搬送された後、再度幅圧下する。このようにスラブの幅圧下と搬送とを繰り返し行うことでスラブ全長を幅圧下する。
一般的に、スラブの先端側を幅圧下する際、スラブは入側ピンチロールで支持されるが、出側ピンチロールで支持されないので、スラブは片持ち状態となる。片持ち状態ではスラブはその自重によりたわみ、パスラインから逸脱してしまう。ここで、スラブがパスラインから逸脱するとは、スラブ中立線が設備中心線から逸脱することを意味する。スラブ中立線とはスラブの幅中央断面におけるスラブの上面と下面の中間位置をつないだ線、すなわちスラブ厚さ中心線であり、設備中心線は金型高さ中心を通る水平線である。
スラブがパスラインから逸脱するとスラブの座屈が発生しやすくなる。また、スラブがパスラインから逸脱すると、金型を回転させるモーメントが生じプレス面が傾斜してしまう。プレス面が傾斜した状態で幅圧下を行うとスラブの座屈が発生しやすくなる。さらに、金型を回転させるモーメントが大きくなると幅圧下装置に大きな力が作用して機器の破損を招く。また、金型のプレス面にはエッジシーム疵防止のため、カリバーと呼ばれる傾斜面を上下に設けることがある。しかし、スラブがパスラインから逸脱すると、スラブ厚さ中心と金型中心との位置がずれ、カリバーとスラブの接触範囲が上下非対称になるため、エッジシーム疵の発生にとどまらず、金型の偏摩耗が進行して金型の交換回数が増大する。このため、スラブの幅圧下時には、幅圧下する金型間に配置され、上下方向に設置された座屈防止ロールでスラブの上下面を拘束支持している。これにより、スラブの座屈を抑制するとともに、自重でたわもうとするスラブ先端をパスラインに維持している。
スラブの座屈を防止し、スラブをパスライン位置に保持できる座屈防止ロールを備えた幅圧下方法および装置として、特許文献1には、上下少なくとも2対の座屈防止ロールをそれぞれ油圧シリンダで支持し、当該座屈防止ロールの下ロール及び上ロールからスラブに一定押力が付与されるように押力制御するスラブの幅圧下方法が開示されている。特許文献1によると、押力制御された座屈防止ロールを用いることで、スラブ幅圧下後に板厚が増加しても、また、片持ち状態のスラブが自重でたわもうとしてもスラブをパスラインに維持でき、これにより、スラブの座屈を防止できるとしている。
特許文献2には、少なくとも2対の座屈防止ロールをそれぞれ油圧シリンダで支持し、スラブの幅圧下を行う前に、予め対象となるスラブの幅圧下前後における増厚量を算出し、スラブの幅圧下時に下座屈防止ロールをパスラインから増量量の半量下げて固定するとともに上座屈防止ロールを押力制御とするスラブの幅圧下方法が開示されている。特許文献2によると、下座屈防止ロールをパスラインから増量量の半量下げて固定し、上座屈防止ロールを押力制御とすることで、スラブの座屈を防止でき、且つ、スラブをパスラインに維持できるとしている。
特許文献3には、パスライン近傍において入側の下座屈防止ロールでスラブを支持し、出側の下座屈防止ロールを、予め設定された下降速度でスラブの増厚分に対応した距離だけ下降させるスラブの幅圧下方法が開示されている。特許文献3によれば、出側の下座屈防止ロールの下降速度は、スラブの材質やサイズに応じて、あらかじめ計算により求められたスラブの増厚速度に対応した値に設定される。このように、パスライン近傍において下座屈防止ロールでスラブを支持し、出側の下座屈防止ロールを予め設定された下降速度で下降させることで、スラブをパスラインに正確に保持できるとしている。
特開2001-252704号公報 特開2017-30031号公報 特開2015-123486号公報
一般的に、スラブの先端側が幅圧下され、当該スラブが出側に搬送されるに従って片持ち状態となるスラブ重量、すなわち入側ピンチロールに接触する部分からスラブ先端までのスラブ重量は徐々に増加する。特許文献1に開示されたスラブの幅圧下方法を用いて座屈防止ロールの下ロール及び上ロールからスラブに一定押力を付与する構成であっても、増加したスラブ重量によって入側の下ロールは徐々に下がってしまう。この結果、スラブは正規のパスラインから下方向にずれてしまい、スラブをパスラインに維持できなくなる、という課題があった。
また、特許文献2に開示されたスラブの幅圧下方法では、スラブ搬送前にパスラインから増厚量の半量下げた高さに下ロールを固定している。このため、幅圧下が完了するまで当該下ロールはスラブに接触しないので幅圧下前および幅圧下開始直後において、下ロールとスラブの間には隙間が生じる。さらに、座屈防止のために上ロールから押力がスラブに付与されるので、片持ち状態にあるスラブは下方向にたわむ。このスラブの下方向へのたわみによって、スラブがパスラインから逸脱してしまい、これにより、スラブを幅圧下する金型の偏摩耗が誘発される場合がある、という課題があった。
また、特許文献3に開示されたスラブの幅圧下方法においても入側の下座屈防止ロールは押力制御されているので、スラブに一定押力を付与する構成であったとしても、増加したスラブ重量によって入側の下座屈防止ロールは徐々に下がってしまう。この結果、スラブは正規のパスラインから下方向にずれてしまい、スラブをパスラインに維持できなくなる、という課題があった。
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、幅圧下中のスラブをパスラインに維持できるスラブの幅圧下方法、当該幅圧下方法を用いた鋼板の製造方法及びスラブの幅圧下装置を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)スラブを幅圧下する一対の金型と、前記スラブのパスラインを上下方向に挟んで設置される少なくとも2組の上下一対の座屈防止ロールと、を用いて、スラブを幅圧下するスラブの幅圧下方法であって、前記スラブの進行方向の入側に位置する座屈防止ロールの下ロールを、該下ロールの上端位置が前記パスライン位置に固定されるように位置制御し、他の座屈防止ロールを、該他の座屈防止ロールのそれぞれから幅圧下中の前記スラブに予め定められた押力が付与されるように押力制御する、スラブの幅圧下方法。
(2)前記スラブの進行方向の出側に位置する座屈防止ロールの上ロールの押力及び前記スラブの重量と、前記スラブの進行方向の出側に位置する座屈防止ロールの下ロールの押力とが釣り合うように押力制御する、(1)に記載のスラブの幅圧下方法。
(3)前記スラブの尾端が前記スラブの進行方向の入側に位置する座屈防止ロールを通過した後に、前記スラブの進行方向の出側に位置する前記座屈防止ロールの下ロールを、該下ロールの上端位置が前記幅圧下による前記スラブの増厚量に基づいて定められる位置に固定されるように位置制御する、(1)または(2)に記載のスラブの幅圧下方法。
(4)前記スラブの増厚量に基づいて定められる位置は、幅圧下による前記スラブの増厚量の半量分、前記パスライン位置から鉛直下方に下げた位置である、(3)に記載のスラブの幅圧下方法。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載のスラブの幅圧下方法で前記スラブを幅圧下して鋼板を製造する、鋼板の製造方法。
(6)スラブを幅圧下する一対の金型と、前記スラブのパスラインを上下方向に挟んで設置される少なくとも2組の上下一対の座屈防止ロールと、前記座屈防止ロールのそれぞれの動作を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記スラブの進行方向の入側に位置する座屈防止ロールの下ロールの上端位置が前記パスライン位置に固定されるように該下ロールを位置制御し、他の座屈防止ロールのそれぞれから幅圧下中の前記スラブに所定の押力が負荷されるように該他の座屈防止ロールのそれぞれを押圧制御する、スラブの幅圧下装置。
(7)前記制御装置は、前記スラブの進行方向の出側に位置する座屈防止ロールの上ロールの押力及び前記スラブの重量と、前記スラブの進行方向の出側に位置する座屈防止ロールの下ロールの押力とが釣り合うように押力制御する、(6)に記載のスラブの幅圧下装置。
(8)前記スラブの尾端が前記進行方向の入側に位置する座屈防止ロールを通過したことを検出して検出信号を出力する検出手段をさらに有し、前記制御装置は、前記検出信号を取得すると、前記スラブの進行方向の出側に位置する前記座屈防止ロールの下ロールの上端位置が前記幅圧下による前記スラブの増厚量に基づいて定められる位置に固定されるように該下ロールを位置制御する、(6)または(7)に記載のスラブの幅圧下装置。
(9)前記スラブの増厚量に基づいて定められる位置は、幅圧下による前記スラブの増厚量の半量分、前記パスライン位置から鉛直下方に下げた位置である、(8)に記載のスラブの幅圧下装置。
本発明の実施により、片持ち状態のスラブが自重で撓んだとしても当該スラブをパスライン位置に維持できる。これにより、幅圧下用の金型のカリバー内でスラブを幅圧下できるので金型の偏摩耗が抑制され、この結果、金型交換回数の低減やスラブ品質の向上による歩留まり向上が実現できる。
図1は、本実施形態に係るスラブの圧下方法が実施できるスラブの幅圧下装置を示す斜視模式図である。 図2は、座屈防止ロールの制御を説明する側面模式図である。 図3は、スラブの座屈量δCの算出に用いられる各寸法を示すスラブの断面模式図である。 図4は、比較例1、2及び発明例1、2の幅圧下装置を用いて幅圧下したスラブの叩き位置ずれを示すグラフである。 図5は、比較例1、2、3及び発明例1、2の幅圧下装置を用いて幅圧下した全スラブの叩き位置ずれの標準偏差を示すグラフである。 図6は、比較例1、2、3及び発明例1、2の幅圧下装置を用いて幅圧下したスラブの尾端座屈量を示すグラフである。
本発明者等は、スラブの幅圧下でのスラブのパスラインからのずれの対応について鋭意検討した。本発明者等は、幅圧下完了後のスラブの幅は装置出側ほど狭くなるので、装置入側の座屈防止ロールの長手位置ではスラブの増厚量は小さく、装置出側の座屈防止ロールの長手位置では増厚量が大きいことに着目した。この増厚量の差から、幅圧下によるスラブの増厚量が小さい入側の下ロールは、スラブがパスライン位置に固定されるように位置制御とし、スラブが片持ち状態になって先端部が自重で撓もうとするスラブをパスラインに保てる構成にした。
一方、幅圧下によるスラブの増厚量が大きいために、増厚量を設定するモデルの予測誤差が大きくなりやすい出側の上下ロールは、予め定められた押力が付与されるように押力制御とした。さらに、入側の上ロールも予め定められた押力が付与されるように押力制御とした。これにより、幅圧下終了後まで各座屈防止ロールのスラブへの接触が保持され、スラブをパスラインに保てる構成になる。さらに、入側の下ロールを位置制御とし、残りのロールを押力制御としたので、残りのロールの押力が設定値と異なって当該ロールの押力に若干の差が生じた場合であっても、スラブは位置制御である入側の下ロールにより支持されるので、スラブはパスラインから大きくずれることがない。以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るスラブの幅圧下方法、スラブの幅圧下装置及び鋼板の製造方法を説明する。
図1は、本実施形態に係るスラブの圧下方法が実施できるスラブの幅圧下装置を示す斜視模式図である。スラブの幅圧下装置10は、スラブ100の両側面であるOp側及びDr側から幅圧下する一対の金型12a、12bと、上下一対の上ロール14a及び下ロール14bを有する座屈防止ロール14と、上下一対の上ロール16a及び下ロール16bを有する座屈防止ロール16と、これらロールの動作を制御する制御装置18と、センサー20とを有する。上ロール14a、16a及び下ロール14b、16bは、それぞれ独立して昇降可能に設けられている。
本実施形態では、2組の座屈防止ロール14、16を有するスラブの幅圧下装置10の例を用いて説明するが、座屈防止ロールの組数は2組以上であればよい。すなわち、スラブの幅圧下装置10は、少なくとも2組の座屈防止ロールを有していればよく、座屈防止ロールを3組以上設ける場合には、座屈防止ロール14と座屈防止ロール16との間に座屈防止ロールを追加すればよい。座屈防止ロールを3組以上設ける場合、金型中心より入側に設けられた上ロールは上ロール14aと、金型中心より出側に設けられた上ロールは上ロール16aと同様に制御すればよい。また、金型中心より入側に設けられた上ロールは上ロール14aと、金型中心より出側に設けられた下ロールは下ロール16bと同様に制御すればよい。
スラブ100を幅圧下する金型12a、12bは、スラブ100の進行方向に沿って設置される。金型12a、12bは、スラブ100の進行方向の入側から出側に向かって間隔が狭くなるように形成されたテーパー部と、当該テーパー部に続くスラブ100の進行方向に平行な面が形成された平行部とを有する。
スラブ100は加熱炉(不図示)を出た後、必要に応じデスケーリングされ、入側Aから金型12a、12bの間に搬送されて幅圧下される。幅圧下後、スラブ100は、出側Bへと搬送され、熱間圧延等の圧延処理工程に供される。スラブ100の形状は、各面が矩形により形成される板形状であることが好ましいが、この形状に限定されるものではない。
スラブ100は、金型12a、12bによって幅圧下される。金型12a、12bの圧下と開放による幅圧下は、スラブ100の搬送中に複数回行われる。これにより、スラブ100は、全長が所望の板幅の鋼板となる。図1に示した例は、スラブ100の先端(B側)の幅圧下のみが完了した状態を示しており、この後、スラブ100は出側Bへ搬送され、先端に続くスラブ100の中央部及び尾端部の幅圧下が順次行われ、所望の板幅の鋼板が製造される。スラブ100はピンチロール40、42によって搬送される。
上ロール14a、16aはスラブ100の上面側に配され、スラブ100の上面の幅方向中央部を押圧する。下ロール14b、16bはスラブ100の下面側に配され、スラブ100の下面の幅方向中央部を押圧する。これらの座屈防止ロール14、16の上ロール及び下ロールは、通常、金型12a、12bのテーパー部やテーパー部よりも出側に設けられた平行部に対応する上下位置に設けられる。
制御装置18は、位置制御もしくは押力制御で、上ロール14a、16a及び下ロール14b、16bの動作を制御する。本実施形態において、位置制御とは、上ロール14a、16aであればロールの下端位置、下ロール14b、16bであればロールの上端位置が所定の位置になるように各ロール位置を固定する制御を意味する。また、押力制御とは、各ロールからスラブ100に予め定められた押力を付与する制御を意味する。例えば、下ロール16bを押力制御にすると、当該下ロール16bが上昇してスラブ100の下面に所定の押力が付与される。一方、押力制御は、ロール位置が固定されていないので、仮に所定の押力よりも大きい下向きの負荷が下ロール16bに生じた場合には、当該負荷により下ロール16bは下降する。
センサー20は、スラブ100の尾端が入側の座屈防止ロール14を通過したことを検出して検出信号を制御装置18に出力する。センサー20は、スラブ100の尾端が入側の座屈防止ロール14を通過したことを検出する検出手段の一例であり、例えば、発光部と受光部と、スラブ100で反射された反射光を受光する受光部とを有する光学センサーが用いられる。なお、上ロール14aの位置からスラブ100の尾端が座屈防止ロール14を通過したことを検出してもよく、この場合には、上ロール14aがスラブ100の尾端が入側の座屈防止ロール14を通過したことを検出する検出手段となる。
図2は、座屈防止ロールの制御を説明する側面模式図である。図2に示すように、上ロール14a、16a及び下ロール14b、16bはパスラインを上下方向に挟んで設置される。上ロール14a、16a及び下ロール14b、16bはそれぞれ、油圧シリンダ22、24、26、28に接続される。油圧シリンダ26、28は、下ロール14b、16bの上端位置のそれぞれがパスラインに一致するよう最大ストロークが設定されている。また、油圧シリンダ22、24は、上ロール14a、16aの下限位置が最小板厚のスラブ100の上面より低くなるように最大ストロークが設定されている。各油圧シリンダにはリリーフ弁が設けられており、このリリーフ弁の設定圧力を調整することで、座屈防止ロールのぞれぞれは予め定められた押力をスラブ100の上下面に付与できる。また、油圧シリンダ26、28にはサーボバルブ30、32が接続されており、このサーボバルブ30、32によって座屈防止ロールが所定位置に固定される。ここで、パスラインとは、スラブ100を搬送するテーブルロールや搬送ロールの上端面高さに相当する水平面によって形成されるラインを指す。図2であれば、ピンチロール40の下ロールの上端高さと水平な面によって形成されるライン(一点鎖線)がパスラインとなる。
制御装置18は、例えば、ワークステーション、パソコン等の汎用コンピュータである。制御装置18は、油圧シリンダ22、24、26、28及びサーボバルブ30、32を制御する制御信号を出力するとともに、これら油圧シリンダから圧力情報及び位置情報を取得する。制御装置18は、制御信号の出力および圧力情報及び位置情報の取得により、油圧シリンダ22、24、26、28及びサーボバルブ30、32を介して上ロール14a、16a及び下ロール14b、16bを位置制御もしくは押圧制御に制御する。同様に、制御装置18は、制御信号を出力することにより、下ロール14b、16bを押圧制御から位置制御に切り替えることができ、また、位置制御から押圧制御に切り替えることもできる。
本実施形態において、制御装置18は、上ロール14a、16a及び下ロール16bを押力制御とする。一方、制御装置18は、下ロール14bを位置制御として、ロールの上端位置がパスライン位置になるように下ロール14bの位置を固定する。この状態において幅圧下によってスラブ100が増厚すると、押力制御とされている上ロール14a、16a及び下ロール16bは、スラブ100の増厚に追随して、スラブ100の中心から上下方向に逃げるように昇降する。すなわち、上ロール14a、16aは上昇し、下ロール16bは下降する。
以上のように構成した幅圧下装置10による幅圧下を、スラブ100の先端部の幅圧下、及び、スラブ100の尾端が入側に位置する座屈防止ロール14を通過し、座屈防止ロール16でスラブ100が拘束された状態の幅圧下のそれぞれについて説明する。
まず、スラブ100の先端部の幅圧下について説明する。スラブ100の先端部の幅圧下前においては、スラブ100の進行方向上流側はピンチロール40や座屈防止ロール14に拘束されているが、スラブ100の先端側は拘束されないまま、入側に位置するピンチロール40によって金型12a、12b間に搬送される。
スラブ100の搬送時に入側に位置する下ロール14bによりスラブ100の高さ方向の位置が設定される。すなわち、スラブ100は、その先端側の未プレス部の下面が位置制御によってパスライン位置に固定されている下ロール14bによって支持される。これにより、スラブ中立線が設備中心線に維持される。すなわち、スラブ100はパスラインに維持されるので、スラブ100は金型12a、12bのカリバー内に維持される。ここで、スラブ中立線とはスラブ100の幅中央断面におけるスラブ100の上面と下面の中間位置をつないだ線、すなわち、スラブ厚さ中心線である。また、設備中心線は金型中心を通る水平線である。
スラブ100が搬送され、スラブ100の先端部が出側に位置する上下のロール16a、16b間まで到達すると、出側に位置する下ロール16bは、下ロール14bを補助し、スラブ100に押されて下がることのできる押力、すなわち、スラブ100の自重と上ロール16aの押力の和でスラブ100の下面に押し当てる押力制御に変更される。また、上ロール14aと上ロール16aは、スラブ100に座屈防止ロールの自重で触れさせる押力制御に変更される。下ロール14bはパスライン位置に固定する位置制御のまま維持される。以上の設定にてスラブ100の下面をパスラインに設定し、スラブ100をパスラインに維持した状態でスラブ100の幅圧下が開始される。
幅圧下の開始時に、幅圧下時の座屈防止に備え、上ロール14aと上ロール16aおよび下ロール16bの押力設定を変更する。具体的には、上ロール14a、16a及び下ロール16bは、幅圧下中にスラブ100の座屈荷重を支持し、幅圧下に伴うスラブ100の増厚により、これ以上の逆負荷がかかると上下方向に後退する押力をスラブ100に付与する押力制御とされる。この際、出側に位置する上ロール16a及び下ロール16bによってスラブ100を支えるため、スラブ100に作用する上ロール16aの押力及びスラブ100の重量と、下ロール16bの押力とが釣り合うように、下ロール16bが押力制御される。この際の押力は、スラブ100が座屈せず、且つ、スラブ100の増厚に対しスラブ100に圧痕が生じない範囲で適切な押力に設定すればよい。下ロール14bはパスライン位置に固定する位置制御のまま維持される。このため、下ロール14bの上端位置はパスライン位置に固定される。
本実施形態に係るスラブの幅圧下装置10では、幅圧下中、入側に位置する下ロール14bがパスライン位置に固定されるので、スラブ100が出側に搬送されるに従って片持ち状態になるスラブ100の重量が増加しても下ロール14bは下降しない。この結果、スラブ100が片持ち状態となって自重でたわもうとする先端もパスライン位置に維持できる。
また、上ロール14aはスラブ100が幅圧下されて増厚した増厚分、上下方向に後退するだけである。また、上述したように上ロール16a及び下ロール16bは、釣り合うように押力制御されるので、スラブ100の増厚量が大きいために、増厚量を設定するモデルの予測誤差が大きくなりやすい出側の上ロール16aおよび下ロール16bも、幅圧下終了後までスラブ100への接触が保持される。つまり、スラブ100の増厚量が設定値と異なる場合であっても、幅圧下中に出側の下ロール16bとスラブ100の下面の間に隙間が生じることはなく、また、出側の下ロール16bがスラブ100を押し上げることもない。すなわち、スラブ100の増厚量が設定値と異なる場合であっても、スラブ100をパスライン位置に維持できる。
さらに、ロールの実際の押力が設定値と異なり、押力制御である上下ロールの押力に差が発生した場合も、スラブ100はパスライン上に維持される。まず、出側の上ロール16aの押力よりも下ロール16bの押力が大きくなった場合、入側の下ロール14bが支持していたスラブ100の自重が出側の下ロール16bに作用するため、スラブ100に作用する出側の上ロール16aと出側の下ロール16bの押力の差が解消される。この際、入側の下ロール14bは位置固定であるから、スラブ100が上方向に大きく移動することはない。また、出側の上ロール16aの押力よりも下ロール16bの押力が小さくなった場合は、スラブ100に作用する出側の上ロール16aと下ロール16bの押力差は入側の下ロール14bに支持される。そのため、スラブ100がパスラインから大きく下にずれることはない。さらに、入側の上ロール14aの実際の押力が設定値と異なった場合は、位置固定である入側の下ロール14bに押力の誤差は支持されるため、スラブ100はパスライン上に維持される。従って、ロールの実際の押力が設定値と異なる場合もスラブ100はパスライン上に維持され、大きくずれることがなく、ピンチロール42にスラブ100の先端を搬送できる。
次に、スラブ100の尾端が入側に位置する座屈防止ロール14を通過し、座屈防止ロール16でスラブ100が拘束された状態の幅圧下について説明する。スラブ100の尾端が入側に位置する座屈防止ロール14を通過すると、スラブ100の尾端部は自由端になるので、スラブ100の座屈が発生しやすくなる。スラブ100の尾端部が自由端になる場合においても、尾端部が座屈防止ロール14によって拘束されているときと同じように座屈防止ロールを制御すると、出側の上ロール16a及び下ロール16bの押力はスラブ100の重量込みで釣り合うように設定されているので、スラブ100の尾端部を幅圧下する際に座屈を抑制するために必要な拘束荷重が発生しない。このため、スラブ100が出側の座屈防止ロール16のみで拘束された状態では、スラブ100の座屈を抑制する効果がほとんど得られない。
そこで、スラブ100の尾端部を幅圧下する場合に、制御装置18は、出側の下ロール16bをそれまでの押力制御から、下ロール16bの上端位置を幅圧下によるスラブ100の増厚量に基づいて定められる位置に固定する位置制御に切り替えることが好ましい。すなわち、スラブ100の尾端が入側に位置する座屈防止ロール14を通過したことを検出すると、センサー20は制御装置18に検出信号を出力する。制御装置18は、検出信号を受信すると、下ロール16bの制御を押圧制御から位置制御に切り替える。なお、スラブ100の増厚量に基づいて定められる位置とは、増厚量の半量分、パスライン位置から鉛直下方に下げた位置である。スラブ100の増厚量は、スラブの鋼種、スラブの温度、スラブ幅、幅圧下量等の条件を用いて算出できる。
制御装置18によって下ロール16bが位置制御に切り替えられることで、出側に位置する下ロール16bの位置が固定される。上ロールは押力制御であるから、下ロール16bの位置を固定することで、上ロール16aで座屈荷重を支持できるようになり、座屈の拡大を抑制できる。また、下ロール16bの位置は、スラブ100の増厚量の半量分、パスライン位置から下げた位置に固定される。このため、スラブ100が幅圧下されて増厚しても、当該増厚によってパスライン位置から逸脱するような不具合は発生しない。なお、3組以上の座屈防止ロールを用いる際は、スラブ100の尾端が抜けた座屈防止ロールより一つ出側に設置された座屈防止ロールの下ロールを押力制御から順次位置制御に切り替えればよい。スラブ100の幅圧下終了後、各座屈防止ロールの設定はスラブ100の搬送時の設定に戻され、次のスラブ100が金型12a、12b間に搬送される。
次に、図1に示したスラブの幅圧下装置10を用いて、本実施形態に係るスラブの幅圧下方法およびスラブの幅圧下装置の効果を検証した実施例を説明する。本実施例では、座屈防止ロールを構成する上ロール及び下ロールとして、ロール径580mm、バレル幅200mmのロールを用いた。幅圧下に供したスラブは、厚みが260mmであり、幅が1280mmであり、長さが8000mmであって、スラブ内平均温度が1100℃である軟鋼スラブであり、当該スラブを計25本準備した。また、幅圧下量を350mm(幅圧下後のスラブ幅は930mm)とし、送り量を350mmとし、幅圧下荷重を2400tonfとして上記軟鋼スラブを幅圧下した。
比較例1では、スラブの搬送中は入側の上ロール及び出側の上ロールを、それぞれのロールがスラブ上面に自重で触れる押力制御とした。また、入側の下ロール及び出側の下ロールを、それぞれのロールから6tonfの押力がスラブに付与される押力制御とした。スラブの幅圧下中は、入側の上ロール及び出側の上ロールを、それぞれのロールから20tonfの押力がスラブに付与される押力制御とし、入側の下ロール及び出側の下ロールを、スラブの自重を支持するため、それぞれのロールから上ロールの押力よりもスラブ自重分大きい25tonfの押力がスラブに付与される押力制御とした。すなわち、比較例1では全ての上ロール及び下ロールを押力制御としてスラブの幅圧下を行った。
比較例2では、スラブの搬送中は入側の上ロール及び出側の上ロールを、それぞれのロールがスラブ上面に自重で触れる押力制御とした。また、入側の下ロール及び出側の下ロールを、パスラインからあらかじめ予想した幅圧下による増厚量の半量分下げた位置がロールの上端位置となる位置に固定する位置制御とした。スラブの幅圧下中は、入側の上ロール及び出側の上ロールを、それぞれのロールから20tonfの押力がスラブに付与される押力制御とした。また、入側の下ロール及び出側の下ロールを、スラブの搬送中と同じ位置に固定する位置制御とした。すなわち、比較例2では全ての上ロールの押力制御とし、全ての下ロールを幅圧下による増厚量の半量分下げた位置がロールの上端位置となるように下ロール位置を固定する位置制御としてスラブの幅圧下を行った。
本発明例1では、スラブの搬送中は入側及び出側の上ロールを、それぞれのロールがスラブ上面に自重で触れる押力制御とした。また、入側の下ロールを、パスライン位置がロールの上端位置となる位置に固定する位置制御とし、出側の下ロールを、当該ロールから6tonfの押力がスラブに付与される押力制御とした。スラブの幅圧下中は、入側の下ロールはスラブの搬送中と同じ位置に固定する位置制御とした。入側の上ロール及び出側の上ロールは、それぞれのロールから20tonfの押力がスラブに付与される押力制御とし、出側の下ロールを、スラブの自重を支持するため、上ロールの押力よりもスラブ自重分大きい25tonfの押力がスラブに付与される押力制御とした。すなわち、本発明例1では全ての上ロールと、出側の下ロールを押力制御とし、かつ、入側の下ロールを、パスライン位置がロールの上端位置となるように下ロール位置を固定する位置制御としてスラブの幅圧下を行った。
本発明例2では、順送されるスラブの尾端が入側ロールを通過するまでは本発明例1と同様に幅圧下を行った。スラブの尾端が入側座屈防止ロールを通過した後は、出側の下ロールを位置制御に切り替えて、出側の下ロールを、幅圧下による増厚量の半量分に相当する22mm分パスラインから下げた位置が下ロールの上端位置となるように下ロール位置を固定する位置制御として幅圧下を行った。
比較例1、2及び本発明例1、2の各条件で軟鋼スラブを1本ずつ幅圧下し、叩き位置ずれδyおよびスラブ端部の座屈量δCを測定した。叩き位置ずれδyは下記(1)式で定義される値である。叩き位置ずれδyは、スラブが金型中心より上側にずれた場合に正となり、下側にずれた場合に負となる。
δy=(yOp+yDr)/2・・・・・(1)
上記(1)式におけるyOp、yDrは、スラブ両端に転写された凹溝の高さ(mm)である。yOp、yDrは、金型12a、12bの厚さ中央に設けられた突起部がスラブに転写された凹溝の高さを図1に示したOp、Dr側でそれぞれ測定して求められる値である。本実施例では、比較例1、2及び本発明例1、2の各条件で幅圧下したスラブの叩き位置ずれδyを送り量と等しい350mmピッチでスラブ先端から測定した。
座屈量δCは下記(2)式で定義される値である。座屈量δCは、上反り(凹形状)の場合に正となり、下反り(凸形状)の場合に負となる。
δC=(y’Op+y’Dr)/2-y’Cr・・・・・(2)
上記(2)式におけるy’Crは幅中央でのスラブ板厚中心高さ(mm)であり、y’Opおよびy’Drは、スラブ幅両端でのスラブ板厚中心高さ(mm)である。
図3は、スラブの座屈量δCの算出に用いられる各寸法を示すスラブの断面模式図である。図3(a)は下反り(凸形状)の座屈量δCを示し、図3(b)は上反り(凹形状)の座屈量δCを示す。本実施例では、スラブ尾端部から100mmの長手位置断面についてy’Op、y’Dr、y’Crをそれぞれ測定して座屈量δCを計算した。なお、スラブ板厚中心高さy’Crは、レーザー変位計にて幅圧下後のスラブにおける上下面の幅方向のスラブ形状を測定することで求めた。
[スラブが片持ち状態になり自重でたわむ先端の影響について]
幅圧下装置10の破損や、金型のプレス面にカリバーを設けた場合におけるエッジシーム等のスラブの品質欠陥や、金型12a、12bの偏摩耗下を防ぐために、叩き位置ずれは全長にわたり0mm±10mm以内に収めることが好ましい。図4は、比較例1、2及び本発明例1、2の幅圧下装置を用いて幅圧下したスラブ各1本の幅圧下開始時の叩き位置ずれを示すグラフである。
比較例1では3回目のプレス以降、叩き位置ずれが徐々に下側にずれていき、11回目のプレスで叩き位置ずれが-10mmを超えた。比較例1では、スラブ搬送中、幅圧下中ともに入側の下ロールの圧力設定が一定としている。このため、スラブの幅圧下を行いつつスラブを出側に搬送するに従い、片持ち状態となるスラブ重量が増加したことで下ロールがスラブに押されて下がり、これにより、スラブが下側にずれて叩き位置ずれが発生した。
比較例2では、叩き位置ずれが全体的にマイナスになり、9回目のプレスで叩き位置ずれが-10mmを越えた。比較例2では、下ロールを幅圧下前に予め下げている。このため、幅圧下前および幅圧下開始直後に下ロールとスラブとの間に隙間が生じる。この隙間により片持ち状態にあるスラブが上ロールの押圧力により下側にたわみ、この状態で幅圧下されることで叩き位置ずれが発生した。
本発明例1、2では、叩き位置ずれが比較例1、2よりも小さくなり、本発明例1、2の叩き位置ずれは目標とする0mm±10mmの範囲内となった。本発明例1、2では、入側の下ロールを位置制御したことで搬送中のスラブ及び幅圧下中のスラブをパスラインに維持させることができた。さらに、他のロールを押力制御して、これらロールをスラブに接触させることで、幅圧下中のスラブがパスラインに維持されることを補助できた。これらの効果により、叩き位置ずれが比較例1、2よりも小さくなり、叩き位置ずれを目標範囲内にすることができた。この結果から、本実施形態に係るスラブの幅圧下装置およびスラブの幅圧下方法を用いてスラブを幅圧下することで、スラブをパスラインに維持できることが確認された。スラブをパスラインに維持できれば、金型カリバー内でスラブを幅圧下できるようになるので金型の偏摩耗が抑制され、この結果、金型交換回数の低減やスラブ品質の向上による歩留まり向上が実現できる。
[スラブの実際の増厚量が設定値と異なる影響について]
幅圧下装置10の破損や、型のプレス面にカリバーを設けた場合におけるエッジシーム等のスラブの品質欠陥や、金型12a、12bの偏摩耗を防ぐため、叩き位置ずれの変動は少ないほうが好ましい。図5は、比較例1、2、3及び本発明例1、2の幅圧下装置を用いて幅圧下した全スラブの幅圧下開始時の叩き位置ずれの標準偏差を示すグラフである。
比較例3では、スラブの搬送中は入側の上ロール及び出側の上ロールを、それぞれのロールがスラブ上面に自重で触れる押力制御とした。また、入側の下ロール及び出側の下ロールを、パスライン位置がロールの上端位置となる位置に固定する位置制御とした。スラブの幅圧下中は、入側の上ロール及び出側の上ロールは、それぞれのロールから20tonfの押力がスラブに付与される押力制御とした。入側の下ロールはスラブの搬送中と同じ位置に固定する位置制御とし、出側の下ロールは、スラブの種類に応じてあらかじめ計算により求められたスラブの増厚速度に対応した下降速度で下降させる位置制御とした。すなわち、比較例3では全ての上ロールを押力制御とし、入側の下ロールを、パスライン位置がロールの上端位置となるように下ロール位置を固定する位置制御とした。また、出側の下ロールについては、スラブの搬送中はロールの上端位置となるように下ロール位置を固定する位置制御とし、スラブの幅圧下中はあらかじめ定めた下降速度で下降させる位置制御としてスラブの幅圧下を行った。
比較例1は、すべてのロールを押力制御にしているため、図4に示したように叩き位置ずれは大きくなるものの叩き位置ずれの標準偏差は比較的小さくなった。比較例2では、入側の下ロール及び出側の下ロールを、幅圧下による増厚量の半量分下げた位置がロールの上端位置となる位置に固定する位置制御にしている。このため、幅圧下によるスラブの増厚量が大きい出側の増厚量の変動により叩き位置ずれの変動が大きくなり、比較例2の叩き位置ずれの標準偏差は大きくなった。比較例3では、あらかじめ設定した下降速度で出側の下ロールを下降させる位置制御にしている。このため、幅圧下によるスラブの増厚量が大きい出側の増厚量の変動により、叩き位置ずれの変動が大きくなり、比較例6の叩き位置ずれの標準偏差は大きくなった。
本発明例1、2では叩き位置ずれの全長平均値の変動が比較例2、3よりも小さくなり、変動量は±1mmの範囲内になった。本発明例1、2では、幅圧下によるスラブの増厚量が大きい出側のロールを押力制御にしている。このため、幅圧下によるスラブの増厚量が大きい出側の増圧量が変動しても当該変動が押力制御により吸収されるので、増厚量の変動による影響が小さくなり、本発明例1、2の叩き位置ずれの標準偏差は小さくなった。これら結果を下記表1に示す。
Figure 2023172899000002
上記表1に示すように、本実施形態に係るスラブの幅圧下装置およびスラブの幅圧下方法を用いてスラブを幅圧下することで、スラブが片持ち状態にあり自重でたわむ先端の影響を受けず、スラブの増厚量が設定値と異なる影響も受けず、スラブをパスラインに維持できることが確認された。このようにスラブをパスラインに維持することで、スラブの幅圧下時に金型を回転させるモーメントが抑制されるので、金型に過大な力が作用して機器の破損を招く事態を抑制できることが確認された。また、幅圧下用の金型プレス面にカリバーを設ける場合にはカリバー内でスラブを幅圧下できる。これにより、スラブにシーム疵が発生するのを抑制できるので歩留まりが向上する。また、金型の偏摩耗も低減するので、金型交換回数も少なくなる。
一方、比較例1、2では、スラブが片持ち状態になり自重でたわむ先端の影響により叩き位置ずれが大きくなることが確認された。比較例2、3では、スラブの増厚量が設定値と異なる影響を受け、叩き位置ずれの変動が大きくなることが確認された。このため、比較例1、2、3の構成では、幅圧下装置10の破損を抑制できず、金型のプレス面にカリバーを設けた場合におけるエッジシーム等のスラブの品質欠陥や、金型12a、12bの偏摩耗下を抑制できないことが確認された。
図6は、比較例1、2、3及び発明例1、2の幅圧下装置を用いて幅圧下したスラブの尾端座屈量を示すグラフである。発明例2では、スラブ尾端部を幅圧下する際に、出側の下ロールの制御を押圧制御から位置制御に切り替えたので、発明例1よりも尾端部の座屈量が小さくなった。この結果から、スラブの尾端部を幅圧下する場合に、出側の下ロールを押力制御から位置制御に切り替えることが好ましく、これにより、尾端部の座屈量を小さくできることが確認された。
10 幅圧下装置
12a 金型
12b 金型
14 座屈防止ロール
14a 上ロール
14b 下ロール
16 座屈防止ロール
16a 上ロール
16b 下ロール
18 制御装置
20 センサー
22 油圧シリンダ
24 油圧シリンダ
26 油圧シリンダ
28 油圧シリンダ
30 サーボバルブ
32 サーボバルブ
40 ピンチロール
42 ピンチロール
100 スラブ

Claims (11)

  1. スラブを幅圧下する一対の金型と、
    前記スラブのパスラインを上下方向に挟んで設置される少なくとも2組の上下一対の座屈防止ロールと、を用いて、スラブを幅圧下するスラブの幅圧下方法であって、
    前記スラブの進行方向の入側に位置する座屈防止ロールの下ロールを、該下ロールの上端位置が前記パスライン位置に固定されるように位置制御し、他の座屈防止ロールを、該他の座屈防止ロールのそれぞれから幅圧下中の前記スラブに予め定められた押力が付与されるように押力制御する、スラブの幅圧下方法。
  2. 前記スラブの進行方向の出側に位置する座屈防止ロールの上ロールの押力及び前記スラブの重量と、前記スラブの進行方向の出側に位置する座屈防止ロールの下ロールの押力とが釣り合うように押力制御する、請求項1に記載のスラブの幅圧下方法。
  3. 前記スラブの尾端が前記スラブの進行方向の入側に位置する座屈防止ロールを通過した後に、前記スラブの進行方向の出側に位置する前記座屈防止ロールの下ロールを、該下ロールの上端位置が前記幅圧下による前記スラブの増厚量に基づいて定められる位置に固定されるように位置制御する、請求項1または請求項2に記載のスラブの幅圧下方法。
  4. 前記スラブの増厚量に基づいて定められる位置は、幅圧下による前記スラブの増厚量の半量分、前記パスライン位置から鉛直下方に下げた位置である、請求項3に記載のスラブの幅圧下方法。
  5. 請求項1または請求項2に記載のスラブの幅圧下方法で前記スラブを幅圧下して鋼板を製造する、鋼板の製造方法。
  6. 請求項3に記載のスラブの幅圧下方法で前記スラブを幅圧下して鋼板を製造する、鋼板の製造方法。
  7. 請求項4に記載のスラブの幅圧下方法で前記スラブを幅圧下して鋼板を製造する、鋼板の製造方法。
  8. スラブを幅圧下する一対の金型と、
    前記スラブのパスラインを上下方向に挟んで設置される少なくとも2組の上下一対の座屈防止ロールと、
    前記座屈防止ロールのそれぞれの動作を制御する制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、前記スラブの進行方向の入側に位置する座屈防止ロールの下ロールの上端位置が前記パスライン位置に固定されるように該下ロールを位置制御し、他の座屈防止ロールのそれぞれから幅圧下中の前記スラブに所定の押力が負荷されるように該他の座屈防止ロールのそれぞれを押圧制御する、スラブの幅圧下装置。
  9. 前記制御装置は、前記スラブの進行方向の出側に位置する座屈防止ロールの上ロールの押力及び前記スラブの重量と、前記スラブの進行方向の出側に位置する座屈防止ロールの下ロールの押力とが釣り合うように押力制御する、請求項8に記載のスラブの幅圧下装置。
  10. 前記スラブの尾端が前記進行方向の入側に位置する座屈防止ロールを通過したことを検出して検出信号を出力する検出手段をさらに有し、
    前記制御装置は、前記検出信号を取得すると、前記スラブの進行方向の出側に位置する前記座屈防止ロールの下ロールの上端位置が前記幅圧下による前記スラブの増厚量に基づいて定められる位置に固定されるように該下ロールを位置制御する、請求項8または請求項9に記載のスラブの幅圧下装置。
  11. 前記スラブの増厚量に基づいて定められる位置は、幅圧下による前記スラブの増厚量の半量分、前記パスライン位置から鉛直下方に下げた位置である、請求項10に記載のスラブの幅圧下装置。
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