JP2023166798A - ブームスプレーヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】サイドブームが走行機体に接触して破損することを抑制できるブームスプレーヤを提供する。【解決手段】ブームスプレーヤ1は、少なくとも、リフトセンサ125および傾斜センサ(122L,122R)からの信号に基づいて、センターブーム5が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾きが所定の角度以上であるときにロック装置32を動作させる制御装置100を備える。【選択図】図4
Description
本開示は、ブームスプレーヤに関する。
特許文献1には、ブームスプレーヤが開示されている。ブームスプレーヤは、センターブームと、サイドブームと、センターブームの高さ位置を移動させる昇降装置と、サイドブームを動作させる油圧シリンダと、サイドブームが格納状態と展開状態とに切り替わるように昇降装置及び油圧シリンダを制御する制御装置と、格納状態と展開状態との切り替えの指示を制御装置に入力するためのスイッチと、を備える。このブームスプレーヤでは、入力装置から格納状態と展開状態との切り替えの指示が制御装置に入力されることで、昇降装置及び油圧シリンダが制御され、格納状態と展開状態との切り替えが実行される。
例えば、特許文献1に記載されたブームスプレーヤでは、センターブームが水平制御装置に支持されている。水平制御装置は、センターブームが水平な状態となるように昇降装置に対してセンターブームを揺動させ得る。この場合、サイドブームが格納された状態で走行機体が移動したときに、揺動したサイドブームが走行機体に接触して破損することが考えられる。
本開示の一形態は、サイドブームが走行機体に接触して破損することを抑制できるブームスプレーヤを提供することを目的とする。
一例のブームスプレーヤは、走行機体(3)の前部又は後部において、走行機体(3)に対して左右方向に振り子状に揺動可能に支持されたセンターブーム(5)と、センターブーム(5)の両端部にそれぞれ基端が接続された一対のサイドブーム(6)と、走行機体(3)に対するセンターブーム(5)の高さ位置を移動させる昇降装置(30)と、サイドブーム(6)の先端がセンターブーム(5)の高さよりも高い高位置と高位置の状態よりもサイドブーム(6)の先端が低い低位置との間でサイドブーム(6)を傾動させる傾動装置(57)と、走行機体(3)の左右方向に対してセンターブーム(5)が平行になるように、走行機体(3)に対するセンターブーム(5)の揺動をロックするロック装置(32)と、昇降装置(30)によって移動するセンターブーム(5)の高さ位置を検出する高さ検出センサ(125)と、傾動装置(57)によって傾動するサイドブーム(6)の傾動位置を検出する傾動センサ(122L,122R)と、少なくとも、高さ検出センサ(125)および傾動センサ(122L,122R)からの信号に基づいて、センターブーム(5)が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム(5)に対するサイドブーム(6)の傾きが所定の角度以上であるときに、ロック装置(32)を動作させる制御装置(100)と、を備える。
上記のブームスプレーヤでは、センターブーム(5)の両端部にサイドブーム(6)が接続されている。そのため、昇降装置(30)によってセンターブーム(5)の高さ位置が変更されると、サイドブーム(6)の高さ位置も同様に変更される。制御装置(100)は、センターブーム(5)の高さ位置が所定の高さ以上であり、サイドブーム(6)が所定の角度以上に傾いている場合に、ロック装置(32)を動作させる。この状態は、一般に、ユーザがブームを格納するときの過程で生じる。そのため、ユーザがセンターブーム(5)の水平ロックを忘れてしまったとしても、ブームが格納される際には必ずロック装置(32)が動作することになる。したがって、サイドブーム(6)が走行機体(3)に接触して破損することを抑制できる。
一例の高さ検出センサ(125)は、高さ位置をアナログ出力するセンサであってもよい。この構成では、制御装置(100)においてセンターブーム(5)の高さ位置を常時把握可能である。したがって、センターブーム(5)の高さを正確に検出できる。
一例のサイドブーム(6)は、センターブーム(5)に対して直線上に左右方向に並ぶ開位置と走行機体(3)の側方に折り畳まれる閉位置との間で旋回可能であり、ブームスプレーヤは、センターブーム(5)に対して旋回するサイドブーム(6)の旋回位置を検出する旋回センサ(123L,123R)、をさらに含み、制御装置(100)は、高さ検出センサ(125)、傾動センサ(122L,122R)および旋回センサ(123L,123R)からの信号に基づいて、センターブーム(5)が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム(5)に対するサイドブーム(6)の傾きが所定の角度以上であり、且つ、サイドブーム(6)が閉位置であるときに、ロック装置(32)を動作させて、センターブーム(5)の揺動をロックしてもよい。
本開示の一側面によれば、サイドブームが走行機体に接触して破損することを抑制できるブームスプレーヤが提供される。
以下、一例のブームスプレーヤについて図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。説明に際しては、図面に示されたXYZ直交座標系を参照する場合がある。なお、X方向を前後方向とし、Y方向を左右方向又は幅方向とし、Z方向を上下方向として説明する場合がある。
図1は、一例のブームスプレーヤを斜め前方から見た斜視図である。ブームスプレーヤ1は、圃場において農地または作物に薬液等の液体散布を行う、自走式の乗用管理機である。ブームスプレーヤ1は、機体フレームを有する走行機体3と、走行機体3の前部に取り付けられたブーム装置4とを備える。ブーム装置4は、走行機体3に支持された昇降装置30と、昇降装置30に支持されたセンターブーム5と、センターブーム5の両端に連結された一対のサイドブーム6とを含んでいる。センターブーム5及びサイドブーム6は、複数のノズルが設けられた薬液散布用の送液管を有する。薬液散布を行う場合、サイドブーム6は、センターブーム5に対して一直線状となるように展開される。サイドブーム6は、薬液散布を行わないときには折り畳まれた状態で格納されている。
サイドブーム6は、センターブーム5に接続された基端ブーム61と、スライド機構によって基端ブーム61に沿ってスライド移動する先端ブーム65とを含む伸縮ブームである。一例として、先端ブーム65は、基端ブーム61に設けられたスライド用の油圧モータ(伸縮装置)67の動作によって、基端ブーム61に沿ってスライド移動する。サイドブーム6は、油圧モータ67が動作することによって、先端ブーム65が最も基端側に位置する縮小状態と、先端ブーム65が最も先端側に位置する伸長状態との間を移行することができる。
走行機体3の前部には、作業者が着座する空間を形成するキャビン7が設けられている。走行機体3の後部には、エンジンを収容するエンジンルーム8が設けられている。キャビン7とエンジンルーム8との間には、センターブーム5及びサイドブーム6から散布される薬液を収容する薬液タンク9が設けられている。走行機体3は、一対の前輪11と、一対の後輪12とを含んでいる。
ブームスプレーヤ1は、乗降性を向上させるために、サイドフロア20を更に備えている。図示例のサイドフロア20は、走行機体3の前方に向かってキャビン7の左側から側方に張り出した部分である。サイドフロア20の高さ位置は、キャビン7の高さ位置と略同じであってよい。
走行機体3には、格納された状態のサイドブーム6を支持するための一対のブーム受け2が設けられている。一対のブーム受け2は、薬液タンク9の左右にそれぞれ配置されている。ブーム受け2は、走行機体3に固定されており、サイドブーム6が格納されるときに、サイドブーム6の先端部を下側から支持する。サイドブーム6がブーム受け2に支持される状態では、サイドブーム6は、基端よりも先端の高さ位置が高くなるようにセンターブーム5に対して傾いている。
続いて、ブーム装置4について、さらに説明する。図2は、ブーム装置4を斜め後方から見た斜視図である。図3は、ブーム装置4を後方の上側から見た図である。図2に示すブーム装置では、サイドブームが省略されている。また、図3では、ブーム装置が部分的に示されている。
上述の通り、ブーム装置4は、昇降装置30、センターブーム5及びサイドブーム6を含む。昇降装置30は、走行機体3に対するセンターブーム5の高さ位置を移動させ得る。図2に示すように、昇降装置30は、左右方向に互いに離間して配置される一対の4節リンク機構40を含む。一対の4節リンク機構40同士は、左右方向においてキャビン7の幅と同程度の距離だけ互いに離間していてもよい。一例の昇降装置30では、右側に配置される4節リンク機構40の左右方向の位置がキャビン7の右端の位置に一致しており、左側に配置される4節リンク機構40の左右方向の位置がキャビン7の左端の位置に一致している。
4節リンク機構40のそれぞれは、第1リンク部材41、第2リンク部材42、第3リンク部材43、及び第4リンク部材44を含む。第1リンク部材41は、走行機体3に固定されており、上下方向に延在している。例えば、第1リンク部材41は、断面コの字状の鋼材であってよい。第2リンク部材42は、第1リンク部材41の上端に回動可能に支持されている。上下方向から見たときに、第2リンク部材42は、前後方向に沿って延在している。例えば、第2リンク部材42は、角形鋼管であってよい。第3リンク部材43は、第1リンク部材41の下端に回動可能に支持されている。上下方向から見たときに、第3リンク部材43は、前後方向に沿って延在しており、第2リンク部材42に重複している。例えば、第3リンク部材43は、角形鋼管であってよい。
第4リンク部材44は、上下方向に沿って延在している。例えば、第4リンク部材44は、断面コの字状の鋼材であってよい。第4リンク部材44の上部は第2リンク部材42の前端に回動可能に支持されおり、第4リンク部材44の下端は第3リンク部材43の前端に回動可能に支持されている。なお、図示例の第4リンク部材44は、第2リンク部材42との接続位置よりも上側に突出した上部延在部44aを含む。
第4リンク部材44における第2リンク部材42の支持位置から第3リンク部材43の支持位置までの距離は、第1リンク部材41における第2リンク部材42の支持位置から第3リンク部材43の支持位置までの距離と同じであってよい。また、第2リンク部材42における第1リンク部材41の支持位置から第4リンク部材44の支持位置までの距離は、第3リンク部材43における第1リンク部材41の支持位置から第4リンク部材44の支持位置までの距離と同じであってよい。すなわち、一例の4節リンク機構40は、4節平行リンク機構であってよい。
一対の4節リンク機構40同士は、接続部材によって互いに接続されている。一例において、一対の4節リンク機構40同士は、第1接続部材45、第2接続部材46及び第3接続部材47によって、互いに接続されている。第1接続部材45は、第1リンク部材41同士を互いに接続している。例えば、第1接続部材45は、一方の第1リンク部材41における上下方向の中央と他方の第1リンク部材41における上下方向の中央とに固定されている。
第2接続部材46及び第3接続部材47は、左右の第4リンク部材44同士を互いに接続している。例えば、第2接続部材46及び第3接続部材47は、左右方向に沿って延在する角形鋼管である。第2接続部材46は、一方の第4リンク部材44上端と他方の第4リンク部材44上端とに固定されている。第3接続部材47は、一方の第4リンク部材44下端と他方の第4リンク部材44の下端とに固定されている。
一対の4節リンク機構は、それぞれに設けられた油圧シリンダ37によって動作する。油圧シリンダ37は、第1リンク部材41及び第2リンク部材42に対して左右方向に沿った回転軸41a,42a(図2参照)を介してそれぞれ接続されている。このような昇降装置30では、油圧シリンダ37が伸縮することによって、走行機体3の前部となる第4リンク部材44の高さ位置を変動させることができる。一例においては、一対の4節リンク機構のそれぞれの油圧シリンダ37は、常に同じ長さに制御される。
センターブーム5は、昇降装置30を介して走行機体3の前部に設けられており、走行機体3の左右方向に沿って延びている。一形態においては、昇降装置30の前部に水平保持機構35が設けられており、この水平保持機構35にセンターブーム5が支持されている。図示例では、昇降装置30の第4リンク部材44の上部延在部44aに水平保持機構35が設けられている。水平保持機構35は、例えば左右一対のダンパー36a,36bの作用によって、センターブーム5が水平な状態となるように昇降装置30に対してセンターブーム5を揺動させ得る。すなわち、センターブーム5は、走行機体3に対して左右方向に振り子状に揺動可能に支持されている。なお、図示例では、一方のダンパー36aが伸縮可能に構成されている。そのため、ダンパー36aの長さを制御することにより、水平方向に対するセンターブーム5の角度を変更することができる。
図3に示すように、水平保持機構35は、センターブーム5の揺動をロックするロック装置32を含む。ロック装置32は、センターブーム5の後面であって、センターブーム5の左右方向の中央の位置に設けられている。これにより、ロック装置32は、走行機体3の前方に向かって右側に配置された4節リンク機構40の第4リンク部材44と左側に配置された4節リンク機構40の第4リンク部材44との間に配置される。ロック装置32は、走行機体3の左右方向に延在する油圧シリンダであり、シリンダチューブ33と、シリンダチューブ33内に配置された一対のピストンロッド34a,34bとを有する。一方のピストンロッド34aは、シリンダチューブ33の軸方向に沿って右側を向くように配置されている。他方のピストンロッド34bは、シリンダチューブ33の軸方向に沿って左側を向くように配置されている。
ロック装置32が動作して一対のピストンロッド34a,34bが伸長している状態では、右側を向くピストンロッド34aが右側の第4リンク部材44に当接し、左側を向くピストンロッド34bが左側の第4リンク部材44に当接する。これにより、センターブーム5の揺動がロックされる。センターブーム5がロックされた状態では、センターブーム5は走行機体3の左右方向に平行となっている。すなわち、センターブーム5の延在方向は、走行機体3の上下方向に垂直となっている。一方、ロック装置32が解除され一対のピストンロッド34a,34bが縮小している状態では、左右のピストンロッド34a,34bが第4リンク部材44から離間している。ロックが解除されている状態では、センターブーム5は揺動可能となる。
サイドブーム6は、左右方向において走行機体3よりも外側に張り出すことができるブームである。一形態では、一対のサイドブーム6の基端がセンターブーム5の両端部にそれぞれ接続されている。サイドブーム6は、センターブーム5に対して旋回可能、且つ、傾動可能に接続される。例えば、一例のサイドブーム6は、上下方向に沿った回転軸6a及び水平方向に沿った回転軸6bを介してセンターブーム5に接続されている(図2参照)。
一例のブーム装置4は、センターブーム5と直線上に左右方向に並ぶ開位置と走行機体3側に折り畳まれる閉位置との間でサイドブーム6を旋回させる油圧シリンダ(図示省略)を有する。このような構成では、油圧シリンダが伸縮することによって、センターブーム5に支持されたサイドブーム6の旋回位置を変動させることができる。
また、ブーム装置4は、傾斜状態と平行状態との間でサイドブーム6を傾動させる油圧シリンダ(傾動装置)57を有する。傾斜状態は、サイドブーム6の先端の高さがセンターブーム5の高さよりも高くなるようにサイドブーム6がセンターブーム5に対して傾斜した状態であってよい。平行状態は、サイドブーム6の先端の高さがセンターブーム5の高さと略同じになるようにサイドブーム6の延在方向がセンターブーム5の延在方向に沿った状態であってよい。このような構成では、油圧シリンダ57が伸縮することによって、サイドブーム6の傾動位置を変動させることができる。
図4は、ブーム装置4における制御系統の構成の一例を説明するブロック図である。図4に示すように、ブーム装置4は制御装置100を備えている。制御装置100は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入出力回路等を含んでいる。制御装置100は、記憶装置に記憶されたプログラムをプロセッサが実行することで、ブームスプレーヤの動作を制御し得る。制御装置100には、例えば信号線を介して油圧バルブ111L,111R,112L,112R,113L,113R,115、117がそれぞれ接続されている。
油圧バルブ111L,111Rは、油圧モータ67の流路を切り替えるためのバルブである。油圧バルブ112L,112Rは、油圧シリンダ57の流路を切り替えるためのバルブである。油圧バルブ113L,113Rは、左右のサイドブームのそれぞれを開閉させる一対の油圧シリンダの流路を切り替えるためのバルブである。油圧バルブ115は、一対の油圧シリンダ37の流路を切り替えるためのバルブである。なお、一例では、左右一対の油圧シリンダ37が同様に制御されることを前提としているため、一つの油圧バルブ115を備える構成としているが、それぞれの油圧シリンダ37に対して別々の油圧バルブが設けられてもよい。油圧バルブ117は、ロック装置32の油圧シリンダの流路を切換えるためのバルブである。制御装置100は、油圧バルブ111L,111R,112L,112R,113L,113R,115,117に制御信号を出力することにより、各油圧バルブの動作を制御する。
制御装置100は、油圧バルブ111Lの流路を切り替えることにより、走行機体3の前方に向かって左側に配置されたサイドブーム6の油圧モータ67の動作を制御する。制御装置100は、油圧バルブ111Rの流路を切り替えることにより、走行機体3の前方に向かって右側に配置されたサイドブーム6の油圧モータ67の動作を制御する。すなわち、制御装置100は、一対のサイドブーム6のそれぞれの伸縮動作を制御する。
また、制御装置100は、油圧バルブ112Lの流路を切り替えることにより、走行機体3の前方に向かって左側に配置されたサイドブーム6の油圧シリンダ57の動作を制御する。制御装置100は、油圧バルブ112Rの流路を切り替えることにより、走行機体3の前方に向かって右側に配置されたサイドブーム6の油圧シリンダ57の動作を制御する。すなわち、制御装置100は、一対のサイドブーム6のそれぞれの傾動を制御する。
また、制御装置100は、油圧バルブ113Lの流路を切り替えることにより、走行機体3の前方に向かって左側に配置されたサイドブーム6の油圧シリンダの動作を制御する。制御装置100は、油圧バルブ113Rの流路を切り替えることにより、走行機体3の前方に向かって右側に配置されたサイドブーム6の油圧シリンダの動作を制御する。すなわち、制御装置100は、一対のサイドブーム6のそれぞれの開閉動作を制御する。
また、制御装置100は、油圧バルブ115の流路を切り替えることにより、昇降装置30に設けられた油圧シリンダ37の動作を制御する。すなわち、制御装置100は、昇降装置30における第4リンク部材44の高さ位置を制御することにより、センターブーム5及びサイドブーム6の高さ位置を制御する。
また、制御装置100は、油圧バルブ117の流路を切り替えることにより、ロック装置32に設けられた油圧シリンダの動作を制御する。すなわち、制御装置100は、センターブーム5の揺動を制御する。
さらに、制御装置100には、左伸縮センサ121L、右伸縮センサ121R、左傾斜センサ122L、右傾斜センサ122R、左開閉センサ123L、右開閉センサ123R及びリフトセンサ125が通信可能に接続されている。制御装置100には、左伸縮センサ121L、右伸縮センサ121R、左傾斜センサ122L、右傾斜センサ122R、左開閉センサ123L、右開閉センサ123R及びリフトセンサ125のそれぞれの検出信号が入力される。
左伸縮センサ121L及び右伸縮センサ121Rは、油圧モータ67によってスライドする一対のサイドブーム6の伸縮状態を検出するためのセンサである。例えば、左伸縮センサ121L及び右伸縮センサ121Rは、油圧モータ67又はサイドブーム6に設けられた変位センサであってよい。制御装置100は、左伸縮センサ121L及び右伸縮センサ121Rからの信号に基づいて、一対のサイドブーム6の伸縮状態をそれぞれ取得する。
左傾斜センサ122L及び右傾斜センサ122Rは、油圧シリンダ57によって傾動した一対のサイドブーム6の傾動位置を検出するためのセンサである。例えば、左傾斜センサ122L及び右傾斜センサ122Rは、油圧シリンダ57又はサイドブーム6(例えば水平方向の回転軸6b)に設けられた変位センサであってよい。制御装置100は、左傾斜センサ122L及び右傾斜センサ122Rからの信号に基づいて、一対のサイドブーム6の傾動状態をそれぞれ取得する。
左開閉センサ123L及び右開閉センサ123Rは、センターブーム5に対して旋回した一対のサイドブーム6の旋回位置を検出するためのセンサである。例えば、左開閉センサ123L及び右開閉センサ123Rは、サイドブーム6の回転軸6aに設けられた変位センサであってよい。また、左開閉センサ123L及び右開閉センサ123Rは、サイドブーム6を旋回させる油圧シリンダに設けられた変位センサであってもよい。制御装置100は、左開閉センサ123L及び右開閉センサ123Rからの信号に基づいて、一対のサイドブーム6の開閉状態をそれぞれ取得する。
リフトセンサ125は、昇降装置30によって移動したセンターブーム5及びサイドブーム6の高さ位置を検出するためのセンサである。例えば、リフトセンサ125は、油圧シリンダ37に設けられた変位センサであってよい。一例のリフトセンサ125は、油圧シリンダ37に設けられたストロークセンサであってもよい。制御装置100は、リフトセンサ125からの信号に基づいて、センターブーム5及びサイドブーム6の高さ位置を取得する。なお、一例では、昇降装置30を構成する左右の4節リンク機構40が同様の動作を行うため、左右のいずれか一方の油圧シリンダ37にリフトセンサ125が設けられているが、例えば、左右の油圧シリンダにそれぞれリフトセンサが設けられてもよい。
また、制御装置100には、格納・展開スイッチ131及び手動操作レバー133が接続されている。作業者によって格納・展開スイッチ131及び手動操作レバー133がそれぞれ操作されることによって、制御装置100には、格納・展開スイッチ131及び手動操作レバー133からの信号がそれぞれ入力される。一例において、格納・展開スイッチ131及び手動操作レバー133は、例えば、キャビン7の内側に設けられた運転席の周辺に配置されていてよい。
格納・展開スイッチ131は、ブーム装置4における格納状態と展開状態との切り替えの指示を制御装置100に入力するための装置である。一例の格納・展開スイッチ131は、格納状態を指示するための信号と展開状態を指示するための信号とを選択的(択一的)に出力し得る。例えば、格納・展開スイッチ131は、いわゆるトグルスイッチであり、一方向に押圧されると格納状態を指示するための信号を出力し、他方向に押圧されると展開状態を指示するための信号を出力する。なお、格納・展開スイッチ131は、押圧されない状態では、いずれの信号も出力しない。一例においては、走行機体3の前方に向かって右側のサイドブーム6に対応した格納・展開スイッチ131と、左側に対応した格納・展開スイッチ131とを別々に備えていてもよい。以下の説明では、左右のサイドブーム6が同時に制御されることを前提としている。すなわち、ブーム装置4の全体が一つの格納・展開スイッチ131によって制御される例、又は、左右のサイドブーム6に対応する2つのスイッチが同時に制御される例について説明する。
手動操作レバー133は、ブーム装置4における、昇降装置30の昇降制御と、サイドブーム6の回動、傾動、伸縮の各制御とを実行するための入力装置である。ユーザは、手動操作レバー133を操作することにより、油圧バルブ111L,111R,112L,112R,113L,113R,115を任意に制御するための信号を制御装置100に出力することができる。すなわち、ユーザは、格納・展開スイッチ131を利用することにより、自動操作によってブーム装置4の格納及び展開を実行できるだけでなく、手動操作レバー133を利用することでマニュアル操作によってブーム装置4の格納及び展開を実行できる。また、手動操作レバー133は、格納状態と展開状態との移行のみではなく、昇降装置30の昇降制御と、サイドブーム6の回動、傾動、伸縮の各制御とを任意に行うことができる。
図5は、制御装置100の機能部を説明するためのブロック図である。図5に示すように、一例の制御装置100は、ブーム制御部100aと、状態判定部100bと、ロック動作部100cとを有する。ブーム制御部100aは、ブーム装置4の動作制御を実行するための機能部である。ブーム制御部100aは、格納・展開スイッチ131及び手動操作レバー133から入力される信号に基づいて、油圧バルブ111L,111R,112L,112R,113L,113R,115を制御する。これにより、ブーム制御部100aは、ユーザによる格納・展開スイッチ131及び手動操作レバー133の操作に対応するように、ブーム装置4の動作を制御する。
一例のブーム制御部100aは、格納状態を指示する信号が格納・展開スイッチ131から入力されると、ブーム装置4が格納状態となるように油圧バルブ111L,111R,112L,112R,113L,113R,115を自動で制御する。格納状態とは、昇降装置30によって制御されるセンターブーム5の高さ位置が所定の高さ以上であり、且つ、サイドブーム6の旋回位置が閉位置であり、且つ、サイドブーム6がブーム受け2に支持されるようにサイドブーム6が所定の角度傾いており、且つ、サイドブーム6が縮小している状態であってよい。なお、一例において、格納状態におけるセンターブーム5の高さ位置は、地面から1300mm以上であってよく、格納状態におけるセンターブーム5に対するサイドブーム6の傾斜角度(仰角)は、19°以上であってよい。
また、ブーム制御部100aは、展開状態を指示する信号が格納・展開スイッチ131から入力されると、ブーム装置4が展開状態となるように油圧バルブ111L,111R,112L,112R,113L,113R,115を自動で制御する。展開状態とは、少なくともサイドブーム6の旋回位置が開位置であり、且つ、サイドブーム6の傾動位置が水平(すなわちセンターブーム5に沿っている状態)となっている状態である。
また、ブーム制御部100aは、ブーム装置4に対する動作制御についての信号が手動操作レバー133から入力されると、入力された信号に対応した動作が実行されるように、油圧バルブ111L,111R,112L,112R,113L,113R,115を制御する。例えば、手動操作レバー133によって、サイドブーム6の伸縮についての制御信号が入力された場合には、ブーム制御部100aは、油圧バルブ111L,111Rの制御を実行する。また、手動操作レバー133によって、サイドブーム6の傾動についての制御信号が入力された場合には、ブーム制御部100aは、油圧バルブ112L,112Rの制御を実行する。また、手動操作レバー133によって、サイドブーム6の開閉についての制御信号が入力された場合には、ブーム制御部100aは、油圧バルブ113L,113Rの制御を実行する。また、手動操作レバー133によって、昇降装置30の昇降についての制御信号が入力された場合には、ブーム制御部100aは、油圧バルブ115の制御を実行する。
状態判定部100bは、ブーム装置4の状態を判定する機能部である。状態判定部100bは、各種センサからの信号に基づいて、センターブーム5の揺動をロックする状況か否かを判定する。一例の状態判定部100bは、サイドブーム6が格納状態に移行するための格納過程にあるかを判定する。例えば、状態判定部100bは、リフトセンサ125(高さ検出センサ)、左傾斜センサ122L(傾動センサ)及び右傾斜センサ122R(傾動センサ)からの信号に基づいて、センターブーム5が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾きが所定の角度以上である場合に、サイドブーム6が格納過程にあると判定する。この場合、格納過程であると判定されるセンターブーム5の高さ位置は、格納状態におけるセンターブーム5の高さ位置と同じであってよい。また、格納過程であると判定されるサイドブーム6の傾斜角度は、格納状態におけるサイドブーム6の傾斜角度と同じであってよい。
なお、状態判定部100bは、リフトセンサ125、左傾斜センサ122L、右傾斜センサ122R、左開閉センサ123L(旋回センサ)及び右開閉センサ123R(旋回センサ)からの信号に基づいて、センターブーム5が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾きが所定の角度以上であり、且つ、サイドブーム6が閉位置であるときに、サイドブーム6が格納過程にあると判定してもよい。この状態は、例えば、ブーム受け2の直上の離間した位置にサイドブーム6が配置された状態であってよい。
また、状態判定部100bは、リフトセンサ125、左傾斜センサ122L、右傾斜センサ122R、左開閉センサ123L、右開閉センサ123R、左伸縮センサ121L及び右伸縮センサ121Rからの信号に基づいて、センターブーム5が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾きが所定の角度以上であり、且つ、サイドブーム6が閉位置であり、且つ、サイドブームが縮小した状態のときに、サイドブーム6が格納過程にあると判定してもよい。
ロック動作部100cは、状態判定部100bによってサイドブーム6が格納過程にあると判定された場合に、ロック装置32を動作させて、センターブーム5の揺動をロックする。これにより、センターブーム5は、センターブーム5の延在方向が走行機体3の上下方向(Z方向)に対して垂直な方向に沿った状態で固定される。
図6は、例えば、展開状態にあったブーム装置が格納状態へと移行する場合における、制御装置の制御フローを示す。図6では、制御装置100によるロック装置32の制御のみが示されている。展開状態から格納状態への移行は、格納・展開スイッチ131の操作、又は、ユーザによる手動操作レバー133の操作によって実行される。
図6に示すように、制御装置100では、ブームが格納過程にあるか否かの判定が実行されている(ステップS1)。この判定は、上述のとおり、状態判定部100bによって実行されている。ステップS1において、ブームが格納過程にあると判定された場合、制御装置100は、ロック装置32を動作させる(ステップS2)。
以上説明したように、一例のブームスプレーヤ1は、少なくとも、リフトセンサ125、左傾斜センサ122L及び右傾斜センサ122Rからの信号に基づいて、センターブーム5が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾きが所定の角度以上であるときに、ロック装置32を動作させる制御装置100を備える。
図7はロック装置32が動作しておらず、センターブーム5が傾いた状態のブームスプレーヤを示す。図7では、昇降装置30が高位置となっており、サイドブーム6の先端側が高くなるようにサイドブーム6が傾斜している。この状態でロック装置32が動作した場合、サイドブーム6が走行機体3に接触することなくセンターブーム5を水平にすることができる。例えば、昇降装置30が低位置の場合、或いは、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾きが小さい場合には、ロック装置32の動作によってサイドブーム6が走行機体3に接触する可能性がある。
上記のブームスプレーヤ1では、センターブーム5の両端部にサイドブーム6が接続されている。そのため、昇降装置30によってセンターブーム5の高さ位置が変更されると、サイドブーム6の高さ位置も同様に変更される。制御装置100は、センターブーム5の高さ位置が所定の高さ以上であり、サイドブーム6が所定の角度以上に傾いている場合に、ロック装置32を動作させる。この状態は、一般に、ユーザがブームを格納するときの過程で生じる。そのため、ユーザがセンターブーム5の水平ロックを忘れてしまったとしても、格納・展開スイッチ131によって自動でブーム装置4が格納される際、及び、手動操作レバー133によって手動でブーム装置4が格納される際には、必ずロック装置32が動作することになる。したがって、サイドブーム6が走行機体3に接触して破損することが抑制される。
なお、ブーム装置4が格納状態に移行される際にロック装置32を動作させる方法としては、例えば、格納・展開スイッチ131の操作開始時にロック装置32を動作させるということも考えられる。しかしながら、ロック装置32を動作させた場合には、水平状態に移行するセンターブーム5の動きに応じてサイドブーム6が大きく上下方向に揺動する可能性がある。この場合、ブームスプレーヤ1の状態、及びブームスプレーヤ1の周囲の作物の状況によっては、サイドブーム6が作物にぶつかり、作物が損傷する可能性がある。上記のブームスプレーヤ1では、少なくとも、センターブーム5が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾きが所定の角度以上であるときにロック装置32が動作される。一例では、センターブーム5の高さ位置が地面から1300mm以上であり、且つ、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾斜角度が19°以上である場合にロック装置32が動作される。この場合、ブーム装置4が地面よりも比較的高い位置にあるため、サイドブーム6によって作物が損傷することが抑制される。このような観点では、状態判定部100bは、センターブーム5の揺動がロックされた場合に、サイドブーム6が周囲の物体(走行機体、作物など)に接触する等の不具合が生じないかどうかの判定をしているともいえる。
一例のリフトセンサ125は、高さ位置をアナログ出力するセンサであってもよい。この構成では、制御装置100においてセンターブーム5の高さ位置が常時把握可能である。したがって、センターブーム5の高さを正確に検出できる。
一例の制御装置100は、リフトセンサ125、左傾斜センサ122L、右傾斜センサ122R、左開閉センサ123L及び右開閉センサ123Rからの信号に基づいて、センターブーム5が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、センターブーム5に対するサイドブーム6の傾きが所定の角度以上であり、且つ、サイドブーム6が閉位置であるときに、ロック装置32を動作させて、センターブーム5の揺動をロックしてもよい。この構成では、サイドブーム6が閉位置であるため、サイドブーム6が作物を損傷させることを一層抑制できる。
以上、一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られない。
例えば、ブーム装置4が走行機体3の前部に設けられているブームスプレーヤを例示したが、ブーム装置は走行機体の後部に設けられていてもよい。
また、左伸縮センサ121L、右伸縮センサ121R、左傾斜センサ122L、右傾斜センサ122R、左開閉センサ123L、右開閉センサ123R及びリフトセンサ125は、求められる機能を実現できれば、どのような位置においてどのように構成されてもよく、ストロークセンサ、ポテンショメータ等のアナログ出力による変位センサであってもよいし、複数の位置検出スイッチによって構成されるデジタル出力のセンサであってもよい。
1…ブームスプレーヤ、3…走行機体、4…ブーム装置、5…センターブーム、6…サイドブーム、30…昇降装置、32…ロック装置、57…油圧シリンダ(傾動装置)、100…制御装置、125…リフトセンサ、122L…左傾斜センサ(傾動センサ)、122R…右傾斜センサ(傾動センサ)、125…リフトセンサ(高さ検出センサ)、131…格納・展開スイッチ。
Claims (3)
- 走行機体(3)の前部又は後部において、前記走行機体(3)に対して左右方向に振り子状に揺動可能に支持されたセンターブーム(5)と、
前記センターブーム(5)の両端部にそれぞれ基端が接続された一対のサイドブーム(6)と、
前記走行機体(3)に対する前記センターブーム(5)の高さ位置を移動させる昇降装置(30)と、
前記サイドブーム(6)の先端が前記センターブーム(5)の高さよりも高い高位置と前記高位置の状態よりも前記サイドブーム(6)の先端が低い低位置との間で前記サイドブーム(6)を傾動させる傾動装置(57)と、
前記走行機体(3)の左右方向に対して前記センターブーム(5)が平行になるように、走行機体(3)に対する前記センターブーム(5)の揺動をロックするロック装置(32)と、
前記昇降装置(30)によって移動する前記センターブーム(5)の高さ位置を検出する高さ検出センサ(125)と、
前記傾動装置(57)によって傾動する前記サイドブーム(6)の傾動位置を検出する傾動センサ(122L,122R)と、
少なくとも、前記高さ検出センサ(125)および前記傾動センサ(122L,122R)からの信号に基づいて、前記センターブーム(5)が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、前記センターブーム(5)に対する前記サイドブーム(6)の傾きが所定の角度以上であるときに、前記ロック装置(32)を動作させる制御装置(100)と、を備える、ブームスプレーヤ。 - 前記高さ検出センサ(125)は、高さ位置をアナログ出力するセンサである、請求項1に記載のブームスプレーヤ。
- 前記サイドブーム(6)は、前記センターブーム(5)に対して直線上に前記左右方向に並ぶ開位置と前記走行機体(3)の側方に折り畳まれる閉位置との間で旋回可能であり、
前記ブームスプレーヤは、前記センターブーム(5)に対して旋回する前記サイドブーム(6)の旋回位置を検出する旋回センサ(123L,123R)、をさらに含み、
前記制御装置(100)は、前記高さ検出センサ(125)、前記傾動センサ(122L,122R)および前記旋回センサ(123L,123R)からの信号に基づいて、前記センターブーム(5)が所定の高さ以上の高さ位置にあり、且つ、前記センターブーム(5)に対する前記サイドブーム(6)の傾きが所定の角度以上であり、且つ、前記サイドブーム(6)が閉位置であるときに、前記ロック装置(32)を動作させて、前記センターブーム(5)の揺動をロックする、請求項1又は2に記載のブームスプレーヤ。
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