JP2023166229A - 不織布 - Google Patents

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Soichi Fujita
飛生馬 伊藤
Hyuma Ito
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Abstract

【課題】不織布の厚みの保持性と、手のひらや指先で撫でる程度の微小荷重の接触時の柔らかい弾力性との両立を可能にする不織布を提供する。【解決手段】複数の凸部と、隣り合う凸部間に設けられた底部とを備えた凹凸構造を有し、繊維融着部を備える不織布であって、前記複数の凸部それぞれは、頂部と、該頂部を支持する壁部とを備え、前記壁部の繊維が縦配向しており、前記凹凸構造の構成繊維には、融点の異なる2種類以上の樹脂が繊維の構成成分として繊維の長手方向に連続的に配され且つ該各樹脂が繊維の周方向に沿って交互に配置され、各樹脂間が離間可能に構成されている分割型複合繊維が含まれており、前記分割型複合繊維の前記周方向に沿って交互に配置された樹脂には第1熱融着樹脂と第1熱融着樹脂よりも融点の高い第2熱融着樹脂とを含み、前記第1熱融着樹脂と他の繊維との繊維交点に前記第1繊維融着部が配されている、不織布。【選択図】図1

Description

本発明は不織布に関する。
不織布には様々な構造を備えたものがある。
例えば、特許文献1には、吸収性物品の表面シートとして、複数の畝部と底部とを有し、前記底部に開孔を配した不織布が記載されている。
特許文献2には、吸収性物品の表面シートとして、構成繊維の一部が自由端部を有する起毛繊維を備えた不織布が記載されている。また、同文献には、2枚の繊維シートの接合部を含む凹部と該凹部で囲まれた凸部とを有し、前記凸部における前記繊維シート間に前記起毛繊維が配された不織布が記載されている。
特開2020-467号公報 特開2013-27686号公報
上記の特許文献1及び2に記載された不織布は、それぞれの凹凸構造により厚みを有したクッション性を有する。また、特許文献1に記載された不織布では、壁部領域において繊維が底部に対して略垂直に配向していることで厚み保持性が高められている。これにより、不織布には厚みによる安心の風合いが備わる。
しかし、不織布において上記の厚み保持性だけでなく、触れたときの弾力を伴う柔らかさも、不織布の繊維構造の特性の1つとして更なる向上が求められる。例えば、手のひらや指先で撫でるような微小荷重の接触の際の柔らかい弾力性は、不織布のふっくらした触感をもたらし、肌触りの更なる向上につながる。近年、不織布の厚みを保つことと、前記微小荷重時における柔らかい弾力性を両立させて共に向上させることは、不織布の肌触りの向上の観点からより強く求められている。この点、従来の不織布では、厚み保持性が高いと、触れた際の前記弾力性を更に高めることには限度があり、更なるクッション性の向上の観点から改善の余地がある。
本発明は、上記の点に鑑み、不織布の厚みの保持性と、手のひらや指先で撫でる程度の微小荷重の接触時の柔らかい弾力性との両立を可能にする不織布に関する。
本発明は、複数の凸部と、隣り合う凸部間に設けられた底部とを備えた凹凸構造を有し、繊維融着部を備える不織布であって、前記複数の凸部それぞれは、頂部と、該頂部を支持する壁部とを備え、前記壁部の繊維が縦配向しており、前記凹凸構造の構成繊維には、融点の異なる2種類以上の樹脂が繊維の構成成分として繊維の長手方向に連続的に配され且つ該各樹脂が繊維の周方向に沿って交互に配置され、各樹脂間が離間可能に構成されている分割型複合繊維が含まれており、前記分割型複合繊維の前記周方向に沿って交互に配置された樹脂には第1熱融着樹脂と第1熱融着樹脂よりも融点の高い第2熱融着樹脂とを含み、前記第1熱融着樹脂と他の繊維との繊維交点に前記繊維融着部が配されている、不織布を提供する。
本発明の不織布は、不織布の厚みの保持性と、手のひらや指先で撫でる程度の微小荷重の接触時の柔らかい弾力性との両立を実現する。
本発明に係る不織布の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 未分割状態の分割型複合繊維の一実施形態を模式的に示す拡大斜視図である。 (A)及び(B)は、分割型複合繊維を含む繊維融着部を模式的に示す平面図であり、(C)は分割型複合繊維以外の他の繊維同士の繊維融着部を模式的に示す平面図である。 分割型複合繊維の横断面における第1樹脂及び第2樹脂の周方向にそった交互配置の例を示す図面代用写真である。 (A)は、分割型複合繊維以外の従来の熱可塑性繊維(芯鞘複合繊維)が壁部を形成していた場合の熱可塑性繊維同士の繊維融着部を模式的に示す平面図であり、(B)はその図面代用写真である。 (A)は、本実施形態の不織布の壁部における、分割型複合繊維を含む繊維融着部(繊維交点融着部)を模式的に示す平面図であり、(B)はその図面代用写真である。 分割型複合繊維が分割部と非分割部とを有する状態を模式的に示す平面図である。 (A)~(D)は、分割型複合繊維の分割部における各樹脂の存在状態の態様を模式的に示す断面図である。 (A)~(C)は、分割型複合繊維の非分割部における各樹脂の存在状態の態様を模式的に示す断面図である。 図1に示す不織布の一具体例を模式的に示す一部切欠斜視図である。 図10に示す不織布のR1-R1線断面図である。 図10に示す不織布のR2-R2線断面図である。 図10に示す不織布のR3-R3線断面図である。 本実施形態の不織布の好ましい製造方法の一部を模式的に示す工程図であり、(A)は支持体雄材に繊維ウエブを載置する工程を示し、(B)は繊維ウエブの上から支持体雌材にて押さえ込んで賦形すると共に第1の熱風で熱風処理する工程を示し、(C)は賦形後の繊維ウエブから支持体雌材を取り外して第2の熱風で熱風処理する工程を示す。 支持体雄材の平面図である。 支持体雌材の平面図である。 支持体雄材と支持体雌材とを組み合わせた状態を示す平面図である。
本発明に係る不織布の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら、以下に説明する。
本実施形態の不織布10は、繊維同士の交差部に繊維融着部を有する、いわゆるサーマルボンド不織布である。例えば、エアスルー法によって前記繊維融着部を形成したエアスルー不織布が挙げられる。
このような本実施形態の不織布10は、図1に示すように、一方の面側10Tと他方の面側10Bとの表裏面を有する。不織布10は、一方の面側10Tに突出する複数の凸部1と、隣り合う凸部1、1間に設けられた底部2とを有する。これにより、不織布10は厚み方向Zに凹凸構造を有する。凸部1は、不織布10の厚み方向Zに立設された立体的な繊維層であり、底部2よりも一方の面側10Tの高い位置にある。底部2は、凸部1、1の間で他方の面側10Bに窪んだ凹部の底にある繊維層であり、他方の面側10Bの外表面をなしている。複数の凸部1のそれぞれは、頂部1Aと、頂部1Aを支持する壁部1Bとを備える。
頂部1Aの一方の面側10T及び底部2の他方の面側10Bそれぞれの外形は、平坦面であってもよく、曲面であってもよい。頂部1Aの一方の面側10Tは、着用者の肌に接する肌当接面とする場合の触感をより柔らかくする観点から、ドーム状の曲面であることが好ましい。底部2の他方の面側10Bは、不織布10の厚みを支える基底部としての安定性を高める観点、不織布10を表面シートとして用いる場合の吸収体との固定性を高め、排泄液の移行性を高める観点から、平坦面であることが好ましい。
凸部1の壁部1Bの繊維は、底部2に対して縦配向している。これは、壁部1Bの繊維が不織布10の平面方向に対して縦配向していることを意味する。ここで言う不織布10の平面配向とは、不織布10(底部2)の他方の面側10Bの表面に接する平面(例えば平坦な台座)に沿う方向を意味する。この繊維の縦配向は、壁部1Bの、頂部1A及び底部2に対する厚み方向の支持力を高め、荷重を柔らかく吸収でき、荷重下でも不織布10の凸部1の厚みを残しやすくする。また、荷重が無くなった際の凸部1の厚み回復性を高める。これにより、不織布10は厚み保持性が高められ、弾力のある厚みが感じられる。また、不織布10を吸収性物品における吸収体よりも肌面側の部材、例えば表面シートとした場合に、体液の液透過の作用が荷重下においてもより持続されやすく、吸収体から肌面側への液戻り(ウエットバック)が抑制される。
壁部1Bの繊維の縦配向とは、不織布10の厚み方向Zに沿う繊維が多いことを意味し、後述の測定方法によって得られる縦配向率が60%以上であることを意味する。上記の作用をより高める観点から、60%以上がより好ましく、63%以上が更に好ましい。また、前記縦配向率は、その上限には特に制限は無いが、繊維同士の交点を作って融着点を形成し、繊維同士で柱状になって、力に耐える構造を作る観点から、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下が更に好ましい。
(壁部1Bにおける繊維の縦配向率の測定方法)
図1に示すように、壁部1Bに対し、下記の手順で測定を行う。
すなわち、不織布10の凸部1及び底部2を含む厚み方向の断面において画定された壁部1Bの繊維層断面をSEMで50倍に拡大して観察する。観察画像に基準線として一辺が50μmの正方形の線を付す。正方形の各辺(基準線)は、不織布10の断面における厚み方向及び平面方向それぞれと直交する辺とする。正方形の各辺からなる基準線に繊維が通過する延べ本数をそれぞれ数える。不織布の平面方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「横繊維本数」、不織布10の厚み方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「縦繊維本数」と定義する。縦配向率として、(縦繊維本数)/(横繊維本数+縦繊維本数)×100=縦配向率(%)として算出する。それらを各3点測定し、平均したものを縦配向率の値とする。
なお、上記の不織布10の断面における平面方向は、図1に示す、隣り合う底部2の下面を繋いだ直線L(すなわち、不織布10の他方の面側10Bの表面に接する直線L)に相当する。厚み方向は、直線Lに直交する方向に相当する。
上記の、不織布10の凸部1及び底部2を含む厚み方向の断面において、壁部1Bの繊維層は、次の方法により頂部1A及び底部2の繊維層との境界線を引いて区画することができる。
すなわち、頂部1A及び底部2を含む厚み方向の断面を有する不織布を、底部2(他方の面側10B)を下にして、マイクロスコープVHX6000(商品名、株式会社キーエンス製)の台座に載せる。次いで、前記不織布に頂部1A側(一方の面側10T)に平板(例えばフラットアクリルプレート)を載せて0.05kPaの荷重をかける。この状態で前記厚み方向の断面を、前記マイクロスコープにより20倍で観察し、台座に接している部分の繊維層を底部2、平板に接している部分の繊維層を頂部1A、そして頂部1Aの端部と底部2の端部とを繋いだ部分の繊維層を壁部1Bとする。
なお、壁部1Bの特定にあたっては、壁部1Bの無い部分での頂部1A及び底部2それぞれの厚みを頂部1Aの端部及び底部2の端部それぞれの厚みとし、その厚みを除く部分を壁部1Bとする。
加えて、上記の凹凸構造の構成繊維には、分割型複合繊維が含まれている。「分割型複合繊維」とは、融点の異なる2種類以上の樹脂が繊維の構成成分として繊維の長手方向(繊維長さ方向)に連続的に配され且つ該各樹脂が繊維の周方向に沿って交互に配置され、各樹脂間が離間可能に構成された繊維を意味する。上記2種類以上の樹脂うち、一部種類の樹脂が繊維融着部を形成する第1熱融着樹脂であり、残りの樹脂が第1熱融着樹脂よりも融点の高い第2熱融着樹脂である。前記「離間可能」とは、分割型複合繊維の繊維長さ方向に直交する方向に沿う横断面において、各樹脂成分が複数に区分されており、該繊維に熱及び外力の少なくとも一方を付与することによって各樹脂間が分割して離間し得ることを意味する。融点が異なる樹脂成分が繊維の周方向に沿って交互に並べて配置されることで、隣り合う樹脂同士が一体化し難く、離間しやすくされている。
以下、前記第1熱融着樹脂及び前記第2熱融着樹脂が、融点の異なる2種類の樹脂(構成成分)である第1樹脂と第1樹脂よりも融点の高い第2樹脂とから構成されている分割型複合繊維を例にとり説明する。ただし、本発明の不織布において分割型複合繊維は、融点の異なる3種類以上の樹脂を含むものであってもよい。いずれの場合も、一部種類の樹脂が繊維融着部を形成する第1熱融着樹脂であり、残りの樹脂がこれよりも融点が高い第2熱融着樹脂である。
図2に示す分割型複合繊維5は、互いに融点の異なる二種類の樹脂である第1樹脂51と第1樹脂51よりも融点の高い第2樹脂52とを含む。第1樹脂51は繊維融着部を形成し得る熱融着樹脂(例えばポリエチレン樹脂)である。第2樹脂52は、第1樹脂51よりも融点が高く(熱溶融性が低く)、繊維形状を保持する熱融着樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート樹脂)である。第1樹脂51及び第2樹脂52はそれぞれ、分割型複合繊維5の長手方向(繊維長さ方向)に連続的に配されており、且つ繊維の周方向Wに沿って交互に配されている。第1樹脂51及び第2樹脂52は、繊維の横断面において、周方向Wに沿って複数に区分された円弧状部をなしており、前記横断面の中心から外周方向に放射状に配置されている。図2においては、第1樹脂51からなる4つの円弧状部と第2樹脂52からなる4つの円弧状部とによって、分割型複合繊維5の外周面が形成されている。なお、図2においては、第1樹脂51及び第2樹脂52の配置の理解のため、第2樹脂52に模様を付して示しているが、実際にはこのような模様があることを示すものではない。
このように分割型複合繊維5は、周方向Wに沿って交互に配置された樹脂に第1樹脂(第1熱融着樹脂)51と第1樹脂よりも融点の高い第2樹脂(第2熱融着樹脂)52とを含む。すなわち、第1樹脂51と第2樹脂52とが周方向Wに交互に配置されている。なお、図2において、分割型複合繊維5の横断面は真円形状に示しているが、これに限定されず非真円形状であってもよい。非真円形状としては、例えば、楕円形、三角形、四角形、五角形及び六角形等の凸多角形状又は正多角形状等の幾何学形状が挙げられる。なお、分割型複合繊維5が後述する分割部と非分割部とを有する場合、前述の分割型複合繊維5の横断面の形状は、非分割部における形状を意味する。
不織布10は前述のとおり繊維同士の交差部に繊維融着部7を有する。繊維融着部7には、分割型複合繊維5の、熱融着樹脂である第1樹脂51と他の繊維(他の分割型複合繊維5又は他の種類の繊維8)との繊維交点に配された繊維融着部(繊維交点融着部ともいう)71が含まれる(図3(A)及び(B))。4つの円弧状部とされた第1樹脂51の中でも、繊維交点6に位置する第1樹脂51が溶融することで、他の繊維(他の分割型複合繊維5又は他の種類の繊維8)との繊維交点融着部71が形成されている。
繊維交点融着部71を形成する繊維交点6には、分割型複合繊維5同士の繊維交点61、分割型複合繊維5と他の種類の繊維(例えば芯鞘型熱可塑性繊維などの熱可塑性繊維)8との繊維交点62が含まれる(図3(A)、(B))。また、不織布10が有する繊維融着部7には、分割型複合繊維5とは異なる他の種類の繊維8同士の繊維交差部81における繊維融着部72が含まれてもよく(図3(C))、含まれなくてもよい。
繊維交点融着部71、繊維融着部72は、不織布10の繊維構造内に三次元的に分散して存在する。繊維交点融着部71、繊維融着部72は、繊維を構成する樹脂が熱及び圧力の少なくとも一方によって溶融する等して、繊維同士の交点における各繊維の境界が不明瞭となっている。
(繊維融着部7の確認方法)
まず、測定対象となる不織布を液体窒素で凍結させて、繊維の存在状態を固定する。次に、カミソリの刃などを用いて、凍結状態の不織布を構成繊維の横断面が形成されるように切断して、測定サンプルを作製する。続いて、マイクロスコープ又はSEMを用いて、測定サンプルの断面を、構成繊維の断面が認識でき、繊維断面の寸法が測定可能な程度の任意の倍率で観察する。上記の溶融状態の有無を観察することによって、繊維融着部7の有無を判断することができる。この場合の倍率は例えば100倍とすることができる。この観察方法は本明細書における他の測定方法における観察方法においても同様に適用される。
繊維8は、分割型複合繊維5とは異なる従来型の熱可塑性繊維であり、繊維8の横断面における外周の半分以上が熱融着樹脂で構成されている。例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性樹脂を構成成分とする芯鞘複合繊維又はサイド・バイ・サイド複合繊維等の分割型複合繊維5以外の複合繊維が挙げられる。繊維8の横断面の形状は、前述の各種の幾何学形状とすることができる。
これに対して、分割型複合繊維5は、第1樹脂(第1熱融着樹脂)51と第2樹脂(第2熱融着樹脂)52とを周方向Wに交互に配置しており、繊維外周面における第1熱融着樹脂の露出面積が従来の繊維8よりも小さくなる。そのため、分割型複合繊維5は、他の繊維との繊維交点融着部71(図3(A)及び(B))における融着面積が従来の繊維8同士の繊維融着部72(図3(C))の融着面積よりも低減される構造を備える。この融着面積の差は、繊維が縦配向している壁部1Bで顕著である。
第1樹脂51は繊維交点融着部71を形成する熱可塑性樹脂であり、前述の融着性を高めて不織布10の強度を高める観点から、好ましくは融点が160℃以下の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは融点が140℃以下の熱可塑性樹脂である。
また、第2樹脂52は、分割型複合繊維の保形性と前述の各樹脂間の離間可能性を高める観点から、好ましくは熱可塑性樹脂であり、より好ましくは融点が140℃を超える熱可塑性樹脂であり、更に好ましくは第1樹脂の融点よりも10℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂であり、より更に好ましくは第1樹脂の融点よりも20℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂である。
図2において、交互配置される第1樹脂51及び第2樹脂52の区分数(円弧状部の数)は合計で8区分とされている。ただし、不織布10に含まれる分割型複合繊維の横断面における樹脂の区分数はこれに限定されない。
前記区分数は、繊維交点融着部71の面積を低減させる観点から、4以上が好ましく、8以上がより好ましい。また、前記区分数は、実用に耐えうる不織布強度を維持する観点から、48以下が好ましく、32以下がより好ましく、16以下が更に好ましい。
(分割型複合繊維5の区分数の測定方法)
分割型複合繊維5の横断面における樹脂の区分数は、以下の方法で測定することができる。
まず、前述の(繊維融着部7の確認方法)と同様の方法によって測定サンプルを作製する。続いて、マイクロスコープ又はSEMを用いて、測定サンプルの断面を、構成繊維の断面が認識でき、繊維断面の寸法が測定可能な程度の任意の倍率で観察する(例えば図4参照)。目視で横断面における樹脂の区分数を測定する。この場合の倍率は例えば100倍とすることができる。なお、分割型複合繊維5が後述の各樹脂の間が完全に離間した分割部と完全に離間していない非分割部とがある場合は、非分割部において観察する。
分割型複合繊維5の構成樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂を組み合わせて用いることができる。具体的には、分割型複合繊維の構成樹脂としては、ポリエチレン(以下、PEともいう)、ポリプロピレン(以下、PPともいう)等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;及びこれらの共重合体;などの2種類以上の異なる樹脂を組み合わせて使用することができる。
互いに融点が異なる第1樹脂51(第1熱可塑性樹脂)及び第2樹脂52(第2熱可塑性樹脂)の組み合わせとしては、例えば、「第1樹脂/第2樹脂」で表して、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン6、ナイロン6/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられるが、本発明の効果が奏される限りにおいて、構成樹脂の組み合わせは特に限定されない。
これらのうち、比較的低い温度で溶融して繊維同士を良好に接着させる観点から、第1樹脂51は、ポリエチレンであることが好ましく、高密度ポリエチレンであることがより好ましい。熱接着処理を行ってもへたり難く、不織布のふっくらとした高い柔軟性を得る観点から、第2樹脂52は、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンを用いることが好ましく、また、樹脂そのものの弾性率が高く、不織布の柔軟性を一層高くできる観点から、ポリエチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。
樹脂の融点は、JIS K7121(1987)に準じて測定したDSC曲線から算出することができる。
詳細には、樹脂の融点は、示差走査熱量測定計(日立ハイテクサイエンス株式会社製、DSC7000x(商品名))を用いて測定することができる。まず、細かく裁断した繊維試料(1mg)を用いて、該試料の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定する。融点は、一回目昇温時の融解ピーク温度で定義される。融点がこの方法で明確に測定できない場合、この樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。融点を持たない樹脂である場合、軟化点を融点とする。
このように不織布10において、分割型複合繊維5の外周面に露出する熱融着樹脂が第1樹脂51に限定されているため、繊維交点融着部71における融着面積が小さくなる。融着面積が小さくなる分、繊維交点6において構成繊維が拘束される面積が抑えられている。これにより、繊維融着部7によって形成された繊維の立体ネットワーク構造において、繊維交点融着部71を起点とした構成繊維の可動性が高められている。その結果、不織布10は、前述の壁部1Bの繊維の縦配向で厚みが潰れ難くされている中にあって、融着面積の低減によって繊維の繊維交点融着部71を起点とした緩やかな弾力性を備える。
特に、壁部1Bにおいては、縦配向によって繊維同士が面で接触しやすくなるため、分割型複合繊維5によってその融着面積の低減効果が高い。すなわち、従来の熱可塑性繊維(例えば芯鞘型熱可塑性繊維)であれば繊維の外周全体が熱融着樹脂で覆われており、壁部1Bにおける繊維8同士は、図5(A)及び(B)に示すように繊維の長手方向に沿って面で融着して、面の繊維融着部72を形成する。これに対して、本実施形態の不織布10では、分割型複合繊維5が、その周方向における一部の第1樹脂51において繊維交点融着部71が形成される。そのため、壁部1Bにおいて繊維が縦配向していても、融着面積が低減されている(図6(A)及び(B))。その結果、壁部1Bは、繊維の縦配向による厚みの潰れ難さと、縦配向する繊維同士の融着面積の低減による繊維間の緩やかな可動性、弾力性とを同時に備えた構造となる。
これにより、本実施形態の不織布10は、不織布の厚みの保持性と、手のひらや指先で撫でる程度の微小荷重の接触時の柔らかい弾力性との両立を実現している。これにより、不織布10は、前述の弾力のある厚みがより柔軟でふっくらとしたものに感じられ、高い厚み保持性を有しながら、優れたクッション性を備える。
本発明において、上記の微小荷重時の圧縮特性は、下記の方法により測定される値であり、クッション感を表す特性値として定義する。この微小荷重時の圧縮特性値はクッション感と相関があることを見出している。(微小荷重時の)圧縮特性値は高い数値ほど、小さな荷重で潰れやすいこと(指等で触れた部分が窪みやすいこと)を示しており、人間のクッション感を感じる感覚の良好さを表すことができる。
(微小荷重時の圧縮特性値の測定方法)
測定は22℃65%RH環境下にて行う。微小荷重時の圧縮特性値の算出の元となるデータの測定はカトーテック株式会社製のKES FB3-AUTO-A(商品名)を用いた。測定対象の不織布を20cm×20cmに3枚カットして測定サンプルを準備する。次にそのうちの1枚の測定サンプルを試験台に上に向けて設置する。次に、面積2cm2の円形平面をもつ鋼板間で圧縮する。圧縮速度20μm/sec、最大圧縮荷重9.80cN/cm2(10.0gf/cm2)、回復過程も同一速度で測定する。このとき、鋼板間の変位量をx(mm)とし、荷重をy(cN/cm2)とし、荷重を検知した点の位置をx=0として圧縮方向に測定する。xの値は圧縮されるほど大きくなる。
微小荷重時の圧縮特性値は測定したデータ(x、y)より、微小荷重時の厚みの変形量を抽出して算出する。具体的には回復過程ではない一回目の、荷重が0.29cN/cm2(0.30gf/cm2)から0.98cN/cm2(1.00gf/cm2)の間の荷重とそのときの変形量のデータを抽出し、xとyの関係について近似直線を最小二乗法により求め、そのときの傾きを上記特性値とする(単位(cN/cm2)/mm)。1枚の測定サンプルで3箇所測定する。3枚のサンプル合計9箇所の測定を行う。9箇所それぞれの特性値を算出して、それらの平均値をその不織布の微小荷重時の圧縮特性値とする。
なお、不織布について測定するに際して、その測定対象の不織布が吸収性物品の構成部材として使用され、接着剤や融着などによって他の構成部材と接合されている場合には、測定対象の不織布を無理に剥がさずに、他の構成部材との接合部を除去した上で、吸収性物品から取り出すことが好ましい。斯かる接合部の除去方法としては、例えば、溶剤の塗布、ドライヤーによる熱風吹き付け、コールドスプレー(例えばニチバン株式会社製の市販品)の吹き付けなどが挙げられる。特に、測定対象の不織布の変質を極力避ける観点から、測定対象の不織布と他の構成部材との接合部にコールドスプレーを吹き付けてから、測定対象の不織布を剥がすことが好ましい。この不織布を取り出す方法は、本明細書の他の測定においても同様に適用される。
不織布10において、上記の微小荷重時の圧縮特性値は、微小荷重の接触の際の柔軟性や柔らかい弾力性を高める観点から、1.7(cN/cm)/mm以上が好ましく、2.0(cN/cm)/mm以上がより好ましく、2.2(cN/cm)/mm以上が更に好ましい。また、上記の微小荷重時の圧縮特性値の上限は特にないが、なめらかな風合いを保持する観点から、10(cN/cm)/mm以下が好ましく、8(cN/cm)/mm以下がより好ましく、5(cN/cm)/mm以下が更に好ましい。
不織布10において、壁部1Bに含まれる繊維融着部7の内、分割型複合繊維5を含む繊維融着部7(繊維交点融着部71)の個数割合は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい。これにより、前述の繊維間の緩やかな可動性、弾力性がより高められる。
また、壁部1Bに含まれる繊維融着部7の内、分割型複合繊維5を含む繊維融着部7(繊維交点融着部71)の個数割合は、不織布強度を高める観点から、98%以下であることが好ましく、95%以下がより好ましく、90%以下が更に好ましい。
(壁部1Bに含まれる繊維融着部7の内、分割型複合繊維5を含む繊維融着部7(繊維交点融着部71)の個数割合の測定方法)
(1)まず、測定対象となる不織布を液体窒素で凍結させて、繊維の存在状態を固定する。次に、カミソリの刃などを用いて、壁部1Bの厚み方向Zの中央部の横断面が形成されるように厚み方向Zに対して垂直に切断して、測定サンプルを作製する。
(2)測定サンプルの横断面に対して、電子顕微鏡(JCM-6000Plus(商品名)、日本電子株式会社製)を用いて下記(撮像条件)にて撮像する。
(撮像条件)
撮影倍率:300倍
撮影方向:壁部1Bの厚み方向Zの中央部の横断面を一方の面側10Tから撮影。
(3)横断面の撮像画像から、目視にて分割型複合繊維を含む融着部(図3の(A)及び(B))と、分割型複合繊維とは異なる他の種類の繊維同士の融着部(図3の(C))とをそれぞれカウントする。カウントする融着部個数は160個以上とする(1枚の撮像画像からカウントすることができる融着部個数に限りがあるので、合計で160個以上となるように、多くの写真を用いてカウントする)。
分割型複合繊維を含む融着部の、カウントした全体の融着部個数に占める割合を算出し、壁部1Bに含まれる繊維融着部7の内、分割型複合繊維5を含む繊維融着部7(繊維交点融着部71)の個数割合とする。
壁部1Bの構成繊維の内、分割型複合繊維5の本数割合が15%以上であることが好ましい。これにより、繊維融着部7に占める繊維交点融着部71の割合が増し、前述の繊維間の緩やかな可動性、弾力性がより高められる。この観点から、壁面1Bの構成繊維の本数に占める分割型複合繊維5の本数割合は、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましく、40%以上がより更に好ましく、また同様の観点から、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。
また、不織布10全体の構成繊維の本数に占める分割型複合繊維5の本数割合も上記の範囲にあることが好ましい。
(壁部1Bの構成繊維の内、分割型複合繊維の本数割合の測定方法)
(1)まず、前記(壁部1Bに含まれる繊維融着部7の内、分割型複合繊維5を含む繊維融着部7(繊維交点融着部71)の個数割合の測定方法)の(1)と同様の方法により、測定サンプルを作製する。
(2)前記(壁部1Bに含まれる繊維融着部7の内、分割型複合繊維5を含む繊維融着部7(繊維交点融着部71)の個数割合の測定方法)の(2)と、撮影倍率を300倍から500倍に変えたこと以外は、同様の条件にて撮像する。
(3)横断面の撮像画像から、繊維断面が確認できる繊維すべてを目視で確認し、分割型複合繊維か分割型複合繊維以外の他の種類の繊維かを判別し、それぞれの本数をカウントする。カウントする繊維の合計本数は、80本以上とする(1枚の撮像画像からカウントすることができる繊維本数に限りがあるので、合計で80本以上となるように、多くの撮像画像を用いてカウントする)。分割型複合繊維の本数の、カウントした全体の本数に占める割合を算出し、壁部1Bの構成繊維の内、分割型複合繊維5の本数割合とする。
壁部1Bにおいて、分割型複合繊維5が含まれることで、繊維融着部7の融着面積が低減される。融着面積の低減による、前述の繊維間の緩やかな可動性、弾力性をより高める観点から、壁部1Bにおける繊維融着部7の融着面積は、100mm以下が好ましく、70mm以下がより好ましく、50mm以下が更に好ましい。また、壁部1Bにおける繊維融着部7の融着面積は、不織布強度を高める観点から、1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上が更に好ましい。
(壁部1Bにおける繊維融着部7の融着面積の測定方法)
測定対象の不織布から、壁部1Bより垂直方向に4mm、水平方向に7mmの方形の領域を厚み方向の全体にわたって切り出して測定サンプルとし、この測定サンプルを10枚用意する。測定サンプルの表面を電子顕微鏡(JCM-6000Plus(商品名)、日本電子株式会社製)を用いて倍率300倍で撮像する。
上記電子顕微鏡による撮像では、測定サンプルの被撮像面における最表層の繊維に焦点を合わせる。1枚の測定サンプルにつき、互いに位置が異なる10箇所を撮影し、3枚の測定サンプルについて計30枚の電子顕微鏡写真を得る。電子顕微鏡写真の表面に無色透明シート(例えばOHPシート)を重ね、該無色透明シートを介して電子顕微鏡写真を目視で観察し、繊維融着部が存在している場合には、その繊維融着部の輪郭をペン等の筆記具でなぞるなどして、繊維融着部7とその周辺部とが区別できるように印を付ける。そして、市販の画像解析ソフト(商品名「Image-Pro Plus 6.2J」)を用いて、電子顕微鏡写真における繊維融着部7の面積を測定する。
不織布10において、分割型複合繊維5には、隣り合う少なくとも一対の前記各樹脂間が完全離間して形成された分割部53と、隣り合うすべての前記各樹脂間が完全に離間していない非分割部54とを有するものが含まれていることが好ましい(図7)。分割部53と非分割部54とは、分割型複合繊維5の長手方向に沿って交互に配される。以下、分割部53及び非分割部54を有するものを分割状態の分割型複合繊維5といい、分割部53を有さないものを未分割状態の分割型複合繊維5という。なお、非分割部54は、本発明の繊維融着部7には含まれない。
分割部53は、例えば図8(A)~(D)に示すように、以下の態様(i)~(v)のいずれかによって構成されていることが好ましい。これらの態様は、各分割部53において、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
(i)第1樹脂51と、該第1樹脂51と隣り合う第2樹脂52とがそれぞれ完全に離間しており、各樹脂51、52は互いに接触していない態様(図8(A)参照)。
(ii)分割型複合繊維5を構成する一部の第1樹脂51が剥離する等して、隣り合う第2樹脂52から完全に離間した態様(図8(B)参照)。
(iii)分割型複合繊維5を構成する一部の第2樹脂52が剥離する等して、隣り合う第1樹脂51から完全に離間した態様(図8(B)参照)。
(iv)一つの第1樹脂51に着目したときに、その第1樹脂51に隣り合う一方の第2樹脂52からは完全に離間しているが、該第1樹脂51に隣り合う他方の第2樹脂52からは完全に離間していない状態で構成樹脂の一部が剥離する等して、隣り合う樹脂から完全に離間した態様(図8(C)及び(D)参照)。
(v)一つの第2樹脂52に着目したときに、その第2樹脂52に隣り合う一方の第1樹脂51からは完全に離間しているが、該第2樹脂52に隣り合う他方の第1樹脂51からは完全に離間していない状態で構成樹脂の一部が剥離する等して、隣り合う樹脂から完全に離間した態様(図8(C)及び(D)参照)。
(vi) 前記(i)~(v)の形態のうち2つ以上が混在した態様。
これによって、分割部53には、非分割部54における繊維径よりも小さい繊維径を有する細分化繊維55が1本又は複数本存在している(図7参照)。細分化繊維55は、分割型複合繊維5を構成する第1樹脂51及び第2樹脂52からなる。前記(i)~(iii)の態様では、第1樹脂51又は第2樹脂52からなる細分化繊維55が形成される。また前記(iv)及び(v)の態様では、第1樹脂51及び第2樹脂52を含み、且つ未分割状態の分割型複合繊維5よりも繊維径が小さい細分化繊維55が形成されている。この態様には、図8(B)~(D)に示すように、細分化繊維55中における隣り合う樹脂どうしが完全離間していない態様も包含する。
このような細分化繊維55は、繊維融着部7によって形成された繊維の立体ネットワーク構造の中で、可動性を高める部分となる。これにより、不織布10の微小荷重の接触時の柔らかい弾力性をより高める。また、不織布表面の滑らかな触感や、不織布10のふっくらとした高い柔軟性を発現させることができる。
他方、非分割部54は、分割型複合繊維5を構成するすべての各樹脂の間が完全に離間していないように形成されている。具体的には、図9(A)~(C)に示すように、1つの非分割部54に着目したときに、非分割部54は、以下の態様(ア)~(オ)のいずれかによって構成されている。これらの形態は、各非分割部54において、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、非分割部54において一部離間した樹脂は本発明における細分化繊維55には含まれない。
(ア)第1樹脂51と、該第1樹脂51と隣り合う第2樹脂52とが互いに接触しており、且つ空隙が形成されていない態様(図9(A)参照)。
(イ)第1樹脂51と、該第1樹脂51と隣り合う第2樹脂52とが互いに接触しているが、一部の第1樹脂51が隣り合う第2樹脂52から一部離間して空隙Sが形成されている態様(図9(B)参照)。
(ウ)第1樹脂51と、該第1樹脂51と隣り合う第2樹脂52とが互いに接触しているが、一部の第2樹脂52が隣り合う第1樹脂51から一部離間して空隙Sが形成されている態様(図9(B)参照)。
(エ)非分割部54の横断面の輪郭が楕円形等の非真円形となる等して、隣り合う各樹脂51、52は互いに接触しているが、隣り合う各樹脂51、52がそれぞれ一部離間して空隙Sが形成されている態様(図9(C)参照)。
(オ)前記(ア)~(エ)の形態のうち2つ以上が混在した態様。
非分割部54には、図9(A)のように等方性の断面を有するものと、図9(C)のように繊維が扁平になる等の異方性の断面を有するものとが包含される。好ましくは扁平等の異方性の断面を有する非分割部54が等方性の断面を有するものよりも多く形成されている。いずれの場合であっても、非分割部54の繊維径は、未分割状態の分割型複合繊維5における繊維径と同等であるか、又は該繊維径よりも大きくなっている。
非分割部54は、図9(B)及び(C)に示すように、各樹脂51,52間が一部離間して形成された空隙Sを有することが好ましい。空隙Sは、好ましくは繊維長さ方向に沿って形成される。このような空隙Sは、例えば後述する製造方法において、支持体雌材130を支持体雄材120に押し込む程度を適宜調整することで形成することができる。
このような空隙Sは、未分割状態の分割型複合繊維5にも形成されていることが好ましい。
このような空隙Sが非分割部54、未分割状態の分割型複合繊維5に含まれていると、不織布10における繊維の立体ネットワーク構造の中での繊維の可動性をより高める。これにより、前述の柔らかい弾力性を更に高めることができる。
上記のような分割部53及び非分割部54を有する分割状態の分割型複合繊維5においては、前述の繊維交点融着部71は、分割部53における細分化繊維55、非分割部54のいずれに配されていてもよい。細分化繊維55に繊維交点融着部71が配されていると、不織布の柔らかい弾力性を更に高めることができ好ましい。また、不織布10における繊維の毛羽立ちや毛羽抜けの発生を防止することができ、不織布10の肌触りをより良好にすることができる。
なお、分割状態の分割型複合繊維5における繊維交点融着部71の存在の有無は、前述の(繊維融着部7の確認方法)と同様の方法により判断できる。また、同方法によって分割状態の分割型複合繊維5を観察することにより、各樹脂の間が完全に離間していない部位を非分割部54として特定することができる。
分割状態の分割型複合繊維5では、分割部53と非分割部54とを繊維の長手方向に沿って交互に配した構造を有することで、分割部53に存在する細分化繊維55に起因する良好な肌触りと、非分割部54による適度な外力抵抗性に起因する柔軟性とを両立して発現させることができる。その結果、不織布10は、細径の繊維のみから構成された不織布と比較して、不織布表面の滑らかさを高めつつ、ふっくらとした柔軟性を発現させることができる。
分割型複合繊維5の中で、分割部53及び非分割部54を有する分割状態のものの本数割合は、不織布10における分割型複合繊維5の本数に対する割合として、良好な風合いを実現する観点から、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上が更に好ましい。また、その割合は、十分な不織布強度を得る観点から、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が更に好ましい。
(分割部53及び非分割部54を有する分割状態のものの本数割合の測定方法)
まず、測定対象となる不織布を液体窒素で凍結させて、繊維の存在状態を固定する。測定対象の不織布から、頂部より4mm四方の方形の領域を厚み方向の全体にわたって切り出して測定サンプルとする。測定サンプルの被撮像面における最表層の繊維に焦点を合わせる。測定サンプルについて、互いに位置が異なる3箇所からサンプルを取り、電子顕微鏡(JCM-6000Plus(商品名)、日本電子株式会社製)を用いて倍率500倍で撮像し、各箇所10枚計30枚の電子顕微鏡写真を得る。撮像画像から、目視にて各樹脂の間が完全に離間していない部位を非分割部54として特定し、非分割部54を含む繊維本数と非分割部54を含まない繊維本数(分割型繊維と通常繊維を含めて)とをそれぞれカウントする。カウントする繊維本数は60本以上とする(30枚の撮像画像からカウントすることができる繊維本数に限りがあるので、合計で60本以上となるように、多くの測定サンプルを用いてカウントする)。
未分割状態の分割型複合繊維5の繊維径は、不織布の良好な肌触り観点から、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、18μm以下が更に好ましい。また、未分割状態の分割型複合繊維5の繊維径は、品質の良いウエブを得る観点から、8μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、12μm以上が更に好ましい。
第1樹脂51又は第2樹脂52からなる細分化繊維55は、未分割状態の分割型複合繊維5よりも繊維径が小さいものであり、かつ横断面が非真円形状となる。特に、第2樹脂52からなる細分化繊維55は、繊維交点融着部71の形成時に溶融せずに繊維形状が保持されて、一定の繊維径を有する。
第2樹脂52からなる細分化繊維55の繊維径は、不織布10における前述の柔らかい弾力性等をより高める観点から、15μm以下が好ましく、12μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。また、第2樹脂52からなる細分化繊維55の繊維径は、十分な不織布強度を得る観点から、0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上が更に好ましい。
非分割部54の繊維径は、未分割状態の分割型複合繊維5の繊維径の繊維径と同様の範囲とすることが好ましい。
また、不織布10が分割型複合繊維5と共に、分割型複合繊維5以外の他の繊維8を含む場合、繊維8の繊維径は、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。また、繊維8の繊維径は、6μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。
(繊維径の測定方法)
測定対象の不織布から、壁部1Bより垂直方向に4mm、水平方向に7mmの方形の領域を厚み方向の全体にわたって切り出して測定サンプルとし、この測定サンプルを3枚用意する。測定サンプルの表面を電子顕微鏡(JCM-6000Plus(商品名)、日本電子株式会社製)を用いて倍率1000倍で撮像する。
上記電子顕微鏡による撮像では、測定サンプルの被撮像面における最表層の繊維に焦点を合わせる。1枚の測定サンプルにつき、互いに位置が異なる10箇所を撮影し、3枚の測定サンプルについて計30枚の電子顕微鏡写真を得る。そして、電子顕微鏡観察用ソフト(JCM-6000Plus(商品名) Ver.1.6.)で測定(ソフトの測長コマンドを使用)を用いて、撮像画像から、繊維断面が確認できる繊維すべてを目視で確認し、分割型複合繊維とその他の繊維を目視で判別し、それぞれの繊維径を測定する。測定する繊維は、分割型複合繊維とその他の繊維についてそれぞれ30本以上とする。分割型複合繊維とその他の繊維についての平均繊維径をそれぞれの繊維径とする。
不織布10は、上記の構造により厚み保持性が高められており、4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下における厚みは1.0mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましく、1.5mm以上が更に好ましい。この厚みは、4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下においてレーザー変位計等を用いて測定することができる。上記の4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重とは、不織布表面の毛羽立ちを想定した荷重である。不織布10の4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下における厚みが上記の範囲にあることにより、液戻り防止性能を高めて着用者の肌が濡れにくくなる。
また、不織布10の4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下における厚みは、着用者の快適な使用感を妨げないようにする観点から、10mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、5mm以下が更に好ましい。
不織布10の坪量は、十分な不織布強度を得る観点から、8g/m以上が好ましく、10g/m以上がより好ましく、15g/m以上が更に好ましい。また、不織布10の坪量は、着用者の快適な使用感を妨げないようにする観点から、80g/m以下が好ましく、50g/m以下がより好ましく、40g/m以下が更に好ましい。
次に、本実施形態の不織布10において、前述の凹凸構造のより好ましい態様について説明する。
不織布10において、壁部1Bは、底部2に対して垂直に延在する形状を有することが好ましい。これは、壁部1Bが不織布10の平面方向に対して垂直に延在する形状を有することを意味する。これにより、壁部1Bは頂部1Aと底部2とを垂直に連結し、繊維の縦配向による前述の作用を強化する。すなわち、頂部1Aの柔らかい繊維層が、壁部1Bの弾力の繊維層で支持された状態で残りやすい。この頂部1Aを介して凸部1の繊維層の厚みが感じられ、より柔らかい触感が得られやすい。より詳細には、この柔らかい触感は、触れる程度の軽い押圧下で優しい安心の厚みとして感じられ、更なる押圧下で凸部1が変形しながらもへたり難く、弾力のある柔らかい厚みとして感じられる。このような優れたクッション性により、前述の凹凸構造による肌触りが更に良好となる。
壁部1Bの「垂直」は、図1に示す底部2の他方の面側10Bの平面に対する角度θが厳密に90°である場合だけでなく、60°以上120°以下であることを意味する。この範囲にあることで、壁部1Bは、不織布10の厚み方向において実質的に90°と認められる角度で延出する形状を有する。角度θは、不織布10の他方の面側10Bの表面に接する平面と壁部1Bとの交差角度を意味する。具体的には、図1に示すように、凸部1及び凹部2を含む厚み方向の断面において、壁部1Bの繊維層の幅の中心線Mと、隣り合う底部2の下面を繋いだ直線Lとがなす角度のうちの内角の角度を意味する。この角度θは、前述のマイクロスコープによって得られる断面の顕微鏡写真を観察して求めることができる。
図1に示す例では、壁部1Bが頂部1Aと底部2との間において直線状に延在しており、壁部1Bの全体が底部2に対して垂直に立設されている。しかし、これに限定されるものではなく、壁部1Bが頂部1Aと底部2との間において湾曲状や波状に延在する部分を含む構成としてもよい。この場合には、頂部1Aと壁部1Bとの境界点と、底部2と壁部1Bとの境界点とを結ぶ線を上記中心線Mとして、上記角度θを特定するものとする。
また、複数ある壁部1Bの全てが、底部2に対して垂直に延在することが好ましいが、壁部1Bの一部に、底部2に対して垂直に延在しないものが含まれてもよい。後者の場合、底部2に対して垂直となる壁部1Bの数は、不織布10における繊維の縦配向の作用を更に効果的にする観点から、複数の凸部1全体にある壁部1Bの内の60%以上であることが好ましい。
加えて、不織布10において、凸部1の他方の面側10Bに中空領域1Cがあることが好ましい。中空領域1Cとは、実質的に不織布10の繊維で満たされていない空間である。具体的には、後述する方法により求められる繊維密度が10本/mm未満であることを意味する。中空領域1Cにおける繊維密度は小さい程よい。
(繊維密度の測定方法)
繊維密度は、不織布10の断面を観察して、以下の手法により測定することができる。不織布10は、測定対象の部位(例えば、壁部1B間)を通るように厚み方向に切断する。走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JCM-6000Plus(商品名))を使用して切断面を拡大観察し、一定面積の切断面内の切断されている繊維の断面を数える。拡大観察は、繊維断面が30本から60本程度計測できる倍率(150倍以上500倍以下)に調節する。次に、1mm当たりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度(本/mm)とする。3カ所の測定結果を平均して、そのサンプルの繊維密度とする。
中空領域1Cが凸部1の他方の面側10Bにあることで、凸部1の柔らかい触感が更に向上し、前述のクッション性がより高められ、不織布10の肌触りが更に良好なものとなる。また、不織布10を吸収性物品の表面シートとする場合に、中空領域1Cの介在により、吸収体からの液戻り経路が絶たれ、液戻り防止性が高まる。加えて、中空領域1Cは、排泄量が過大になった場合の一次貯留空間ともなり、表面シートの肌当接面側での液残り量を更に低減することができる。
次に、図1に示す不織布10の具体例(不織布20)について、図10~図13を参照して説明する。不織布20は、不織布10について示した前述の構成を備えるものであり、前述の分割型複合繊維5を含み、分割型複合繊維5の熱融着樹脂(第1樹脂51)において他の繊維との繊維交点融着部71を含む。
図10に示す不織布20は、一方の面側20Tからの平面視において、前述の凸部1として、一方向Yに延出し、互いに、一方向Yと交差する方向Xに離間して配列されている複数の畝部11を有する。畝部11の他方の面側20Bは中空領域11Cとされている。
一方向Y及び一方向Yと交差する方向Xは、不織布20の一方の面側20Tの面において、目的に応じて適宜設定することができる。例えば、一方向Y及び一方向Yと交差する方向Xは互いに直交する方向であることが好ましい。不織布20を吸収性物品における表面シート等の構成部材とする場合に、一方向Yを吸収性物品の長手方向とし、一方向Yと交差する方向Xは吸収性物品の幅方向とすることが好ましい。
複数の畝部11は互いに、延出方向に沿って同等の高さを有している。高さが「同等」とは、マイクロスコープVHX6000(商品名、株式会社キーエンス製)を用いて測定した高さが、測定平均値に対して0.8倍以上1.2倍以下の範囲内であることを意味する。
複数の畝部11のそれぞれは、頂部11Aと、頂部11Aを支持する壁部11Bとを備える。頂部11Aは、吸収性物品においては着用者の肌に当接する繊維層であり、壁部11Bは頂部11Aと底部12とを厚み方向に繋ぐ繊維層である。すなわち、不織布20を吸収性物品に適用する場合、一方の面側20Tは肌当接面側となり、他方の面側20Bは非肌当接面側となる。壁部11Bの繊維は前述のとおり縦配向している。また、壁部の形状は底部12に対して垂直に延在し、頂部11Aと底部12とを垂直に連結している。
この繊維の縦配向を示す縦配向率は、図11に示すように、畝部11の延出する方向と直交する断面(図10における、一方向Yと交差する方向Xに沿うR1-R1線の位置における厚み方向断面)において、前述の(壁部1Bにおける繊維の縦配向率の測定方法)に基づいて測定することができる。
また、壁部11Bの「垂直」を示す前述の角度θは、図11に示すように、畝部11の延出する方向と直交する断面(図10における、一方向Yと交差する方向Xに沿うR1-R1線の位置における厚み方向断面)において、壁部11Bの繊維層の幅の中心線Mと、隣り合う底部12の下面を繋いだ直線Lとがなす角度のうちの内角の角度を意味する。この角度θは、前述のマイクロスコープによって得られるR1-R1線断面の顕微鏡写真を観察して求めることができる。
不織布20は、前述の凸部1として、前述の畝部11と共に、隣り合う畝部11、11を繋ぐ鞍部15を有する。鞍部15は、畝部11と同様に、底部12から不織布20の一方の面側20Tに突出しており、不織布20の厚み方向に立設された立体的な繊維層である。より具体的には、鞍部15は、一方の面側20Tの頂部15Aと頂部15Aを支持する壁部15Bとを備える。壁部15Bの繊維は前述のとおり縦配向している。また、壁部15Bは、前述の底部12に連結しており、底部12に対して垂直に延在している。前記「垂直」は、前述の畝部11において定義した「垂直」と同義である。
鞍部15における壁部15Bの縦配向を示す縦配向率及び壁部15Bの「垂直」は、図12に示すように、鞍部15の延出する方向と直交する断面(図10における、一方向Yに沿うR2-R2線の位置における厚み方向断面)について、壁部11Bについての前述の測定方法と同様にして測定できる。
上記構造により、鞍部15によって繋がれた畝部11同士が接近し難くされ、押圧等の外力で畝部11が一方向に倒れてしまうことが抑制される。すなわち、鞍部15が、畝部11を側面側から支持して、畝部11の形状保持性を高めている。これにより、荷重下での畝部11の厚みが更に残りやすい。例えば、不織布20を表面シート等として吸収性物品に組み込んだ場合に吸収性物品の着用時の着用者の体圧があっても、頂部11Aと他方の面側(非肌当接面側)20Bの吸収体側との距離が保持されやすく、一方の面側(肌当接面側)20Tへの液戻りが更に生じ難くされている。更に、鞍部15の存在によって、畝部11、11間において排泄液の堰き止め作用が働き、不織布20の一方の面側(肌当接面側)20Tにおいて液流れ防止性が高められる。
鞍部15は、不織布20の一方の面側20Tからの平面視において、畝部11の延出する一方向Yと交差する方向Xに延出している。鞍部15の延出する方向Xは、隣り合う畝部11を繋ぐ方向である限り種々の方向とすることができ、畝部11の延出する一方向Yと直交する方向であることが好ましい。例えば、畝部11の延出する一方向Yを吸性物品の長手方向とし、鞍部15の延出する、前記一方向Yと交差する方向Xを吸収性物品の幅方向とすることが好ましい。以下、一方向Y及び該一方向Yと直交する方向Xは、畝部11の延出方向Y及び鞍部15の延出方向Xともいう。
鞍部15は、不織布20の一方の面側20Tの平面視において、畝部11、11の間の、畝部11と平行に延在する複数の帯領域16に配されている。各帯領域16において、並走する畝部11の延出方向Yに沿って、複数の鞍部15が間隔をあけて配されている。鞍部15が間隔をあけた部分に前述の底部12がある。すなわち、各帯領域16において、鞍部15と底部12(図1における底部2に相当)とが交互に配置されている。これにより、底部12は、畝部11と鞍部15とによって囲まれている。より具体的には、厚み方向に立設された立体的な繊維層である複数の畝部11及び複数の鞍部15に囲まれた領域が箱型又は筒型の凹部とされ、該凹部の底に底部12が配されている。図10に示す例では、不織布20の一方の面側20Tからの平面視において、畝部11及び鞍部15が格子状に配置され、底部12が格子状の中に点在して升目状に配置されている。
鞍部15は、畝部11と同様の立体的な繊維構造を有するものの、図12及び図13に示すように、畝部11よりも底部12からの高さが低い部分を有することが好ましい。これにより、不織布20の一方の面側20Tでの肌との接触面積を低減して、肌触りの良さを保持し、通気性を高めて肌との間で蒸れを更に抑えることができる。
畝部11の厚み方向の高さH1と鞍部15の厚み方向の高さH2の差(H1-H2)は、上記作用をより良好にする観点から、0.5mm以上7mm以下が好ましい。なお、畝部11の厚み方向の高さH1は、底部12の他方の面側20Bから畝部11の頂部11Aの一方の面側20Tまでの厚み方向の距離である。鞍部15の厚み方向の高さH2は、底部12の他方の面側20Bから鞍部15の頂部15Aの最も低い位置の一方の面側20Tまでの厚み方向の距離である。
(畝部11の厚み方向の高さと鞍部15の厚み方向の高さの差の測定方法)
不織布20について、図12に示すように、鞍部15の最も高さの低い位置における、鞍部15が配列する帯領域16の延出方向に沿った厚み方向断面(図10における、一方向Yに沿うR2-R2線の位置における厚み方向断面)を作製し、水平な台に底部12の他方の面側10Bが当接するよう設置する。水平な台から畝部11の頂部11Aの一方の面側20Tまでの高さH1と、鞍部15の頂部15Aの一方の面側20Tまでの高さH2を測定する。これらの測定値から、高さの差(H1-H2)を算出する。水平な台からの高さの測定には、いずれも前述のマイクロスコープを用いることができる。
また、鞍部15は、不織布20を吸収性物品の表面シート等とした場合における不織布20の他方の面側20Bへの排液を更に促進させる観点から、図10示すように中空領域15Cを有することがより好ましい。この中空領域15Cの定義及び測定方法は、畝部11における中空領域11Cのものと同様である。鞍部15の中空領域15Cは、畝部11の中空領域11Cと連通していることが好ましい。これにより、不織布20の他方の面側20Bでの排泄液の拡散を促進して、一方の面側20Tでの液滞留を更に抑制する。その結果、不織布20での液残り量が更に低減されやすく、液の肌付着量の更なる低減を可能にする。
次に、不織布20の製造方法の好ましい実施形態について、図14~図17を参照しながら説明する。以下に示す製造方法は、不織布20を包含する不織布10の製造方法にも適用され得る。
まず図14(A)に示すように、不織布化する前の、繊維同士が交点で融着されていない繊維ウエブ110を支持体雄材120の上に載置する。
次いで、図14(B)及び図17に示すように、繊維ウエブ110の上から支持体雌材130にて押さえて挟み込んで賦形する。
なお、繊維ウエブ110には、未分割状態で、繊維融着部7が形成される前の分割型複合繊維5が含まれる。この繊維ウエブ110は、所定の厚さとなるようカード機(図示せず)から供給される。
支持体雄材120には、例えば図15に示すものがある。図15に示す支持体雄材120では、複数の突起121が一方向(第一方向D1)とそれに直交する方向(第二方向D2)に間隔を空けて配置されている。複数の突起121が第一方向D1に配列されてなる突起部列121Aが複数、第二方向D2に互いに離間して配列されている。
突起121の頂部側から見た平面形状は、図15に示すような矩形に限らず、種々取り得る。例えば、円形、楕円形、ひし形などであってもよい。
凹部125には、突起部列121A、121A間で第一方向D1に延在する第一凹部125A、突起部列121Aにおいて突起121、121間にある第二凹部125Cを有する。第二凹部125Cは、隣接する第一凹部125Aに接続し、第一凹部125Aを介して間欠的に第二方向D2に延在している。
支持体雄材120において、突起121は、不織布20の底部12が賦形される位置に対応して複数、配置されている。突起部列121Aにおける突起121、121間の第二凹部125Cは、不織布20の鞍部15が賦形される位置にある。すなわち、突起部列121Aは、不織布20における畝部11、11間の帯領域16となる位置にある。第一凹部125Aは、不織布20の第1繊維層M1における畝部11となる位置にある。
各凹部125の底部は熱風が吹き抜ける構造となっており、例えば複数の孔が配されている(図示せず)。
支持体雌材130には、図16に示すように、第一方向D1に連続する突起131が複数、第二方向D2に間隔をあけて配置されている。突起131、131間は、第一方向D1に連続する凹部132とされている。
支持体雌材130の突起131は、支持体雄材120の第一凹部125Aに対応する。支持体雌材130の凹部132は、支持体雄材120の突起部列121Aに対応する。支持体雌材130の凹部132の底部は熱風が吹き抜ける構造となっており、例えば複数の孔が配されている(図示せず)。
支持体雌材130の突起131の高さは、支持体雄材120の突起121同士の間に十分に挿入されるようにするために、1mm以上の長さを有することが好ましい。
支持体雄材120及び支持体雌材130における前述の第一方向D1及び第二方向D2は、製造工程における機械流れ方向(Machine Direction、MD)及び機械流れ方向に直交する幅方向(Cross Direction、CD)であることが好ましい。製造工程における機械流れ方向及び幅方向は、不織布20における一方向Y及び一方向Yと交差する方向Xに対応することが好ましく、該不織布20を含む吸収性物品における長手方向及び幅方向に対応することが好ましい。ただし、第一方向D1及び第二方向D2は、これらに限定されない。
図14に示す不織布20の製造方法において、支持体雄材120上に載置した繊維ウエブ110上から、支持体雌材130を支持体雄材120に押し込む(図14(A))。このとき、支持体雄材120の突起121を支持体雌材130の凹部132に挿入する。支持体雄材120の第一凹部125Aに支持体雌材130の突起131を挿入する(図14(B)及び図17)。
支持体雄材120の第一凹部125Aの位置で、支持体雌材130の突起131にて繊維ウエブ110を押し込んで賦形する。この部分が不織布20の畝部11になる。このとき、支持体雄材120の突起121と支持体雌材130の突起131との間で、繊維ウエブ110の繊維が厚み方向に沿う垂直立設された形状に賦形される。賦形された繊維は、融着していない移動性の高いものであるため、厚み方向に配向する。この部分が不織布20における畝部11の壁部11Bとなる。
一方、支持体雄材120の突起121の位置で繊維ウエブ110の繊維が支持体雌材130の凹部132の底部へと押し上げられる。この部分が不織布20の底部12となる。底部12は前述の壁部11Bと垂直に接続されたものとして賦形される。
支持体雄材120の突起部列121Aにおける突起121、121間の第二凹部125Cには、支持体雌材130の凹部132が対応するため、支持体雌材130が入り込まない。しかし、突起部列121Aの第二凹部125Cにある繊維ウエブ110の繊維に対して、その両脇において、支持体雌材130の突起131、131の押し込み力が作用する。この作用により、第二凹部125Cにある繊維ウエブ110の繊維は、両脇の突起131、131によって第二方向D2に伸ばされ、厚み方向に押し込まれて、厚み方向に賦形されると共に繊維の配向が変わる。この部分が、不織布20の鞍部15になる。鞍部15は頂部15Aと壁部15Bを有するものとされ、壁部15Bは、畝部11の壁部11Bと同様のものとなる。
このような押し込みによる外力を繊維ウエブ110に付与することによって、未分割状態の分割型複合繊維5を構成する各樹脂を分割離間させて分割部53を形成することができる。
次に、図14(B)に示すように、支持体雌材130を支持体雄材120に挿入した状態で、支持体雌材130の側から繊維ウエブ110に対し第1の熱風W1を吹き付ける。すなわち、不織布20における他方の面側20Bとなる側から第1の熱風W1を吹き付ける。これにより、繊維ウエブ110は不織布20の凹凸形状を保持可能な程度に融着される。繊維ウエブ110においては、繊維同士が極めて緩く融着している状態となっている。
第1の熱風W1の温度は、熱可塑性繊維が厚み方向と平面方向に形状を保持できる温度に設定される。繊維ウエブ110に含まれる分割型複合繊維5の第1樹脂51の融点に対して0℃以上70℃以下高いことが好ましく、5℃以上50℃以下高いことがより好ましい。
第1の熱風W1の風速は、効果的に融着させる観点から、2m/s以上が好ましく、3m/s以上がより好ましい。また、第1の熱風W1の風速は、装置規模をコンパクトにできる観点から、100m/s以下が好ましく、80m/s以下がより好ましい。
このようにして、繊維ウエブ110を仮融着させて凹凸形状に保持する。
なお、支持体雄材120の突起121の高さ及び支持体雄材130の突起131の高さは、製造する不織布20の見掛け厚み等によって適宜決定される。例えば、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上が更に好ましく、また、15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、9mm以下が更に好ましい。具体的には、2mm以上15mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましく、5mm以上9mm以下が更に好ましい。
次に、支持体雌材130を取り外し、図14(C)に示すように、凹凸形状に賦形された繊維ウエブ110に含まれる分割型複合繊維5の第1樹脂51が適度に融着可能な温度の第2の熱風W2を吹きつけて、繊維同士をさらに融着させる。この場合も第1の熱風W1と同様に、繊維ウエブ110に対し、不織布20における他方の面側20Bとなる側から第2の熱風W2を吹き付ける。このときの第2の熱風W2の温度は、繊維ウエブ110に含まれる分割型複合繊維5の第1樹脂51の融点に対して0℃以上70℃以下高いことが好ましく、5℃以上50℃以下高いことがより好ましい。
第2の熱風W2の風速は、支持体雄材120の突起121の高さにもよるが、2m/s以上が好ましく、3m/s以上がより好ましい。これにより、繊維への熱伝達を十分なものとして繊維同士を融着させ、凹凸形状の固定を十分なものとすることができる。また、第2の熱風W2の風速は、100m/s以下が好ましく、80m/s以下がより好ましい。これにより、繊維へ過度な熱伝達を抑えて、不織布20の風合いを良好なものとすることができる。
なお、支持体雌材130の表面粗さを小さくすることで、第1の熱風W1の吹き付けの工程を省略することが可能である。表面粗さを小さくすることで、融着していない繊維をまとわりつかせることがなく、第2の熱風W2の吹き付けの工程での支持体雌材取り外しが可能である。つまりウエブを作製後、支持体雄材と雌材を嵌合し、そのまま雌材を取り外し、第2の熱風W2によって処理をすることが可能である。これにより、より簡便な加工となる。
このようにして繊維ウエブ110を賦形、融着させて、分割型複合繊維5の熱融着樹脂において他の繊維との繊維交点融着部71を有する不織布20を形成する。
なお、上記の不織布20の製造方法では、繊維ウエブ110を賦形する支持体雌材130は、図16に示すような、第一方向D1に連続する突起131を備えるものに限定されない。例えば、突起131を格子状にして、格子状の突起131の間を枡状の凹部132としてもよい。この場合、賦形される鞍部15の高さがより高くなり、凹凸がより明確になる。
本発明の不織布は各種用途に用いることができる。例えば、各種の吸収性物品の構成部材として用いることができる。前記各種の吸収性物品には、成人用や乳幼児用のおむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の身体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。また、本発明の不織布は、おしり拭きシート、清掃シート、フィルター、温熱具の被覆シートとして用いることもできる。
本発明の不織布を有する吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。前記吸収性物品において、本発明の不織布は、着用者の肌に当接する表面シートとして好適に使用することができる。また、本発明の不織布は、表面シートと吸収体との間に介在させるサブレイヤー、吸収体の被覆シート(コアラップシート)などとして用いることもできる。その他、本発明の不織布は吸収性物品の表面シート、ギャザー、外装シート、ウイングとして用いることもできる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
不織布の原料繊維として、横断面が真円形状であり、繊維径14.7μmの分割型複合繊維5を用いた。原料繊維としての分割型複合繊維5は、未分割状態で、熱融着部の形成される前のものを用いた。この分割型複合繊維5は、第1樹脂51(第1熱融着樹脂)であるPE(融点:132℃)樹脂成分と、第2樹脂52(第2熱融着樹脂)であるPET(融点:250℃)樹脂成分とが繊維の長手方向に連続的に配され且つ該各樹脂が繊維の周方向Wに沿って交互に配されており、各樹脂間が離間可能に構成されているものであった。また、分割型複合繊維5は、その横断面において、PE及びPETがそれぞれ4個ずつの計8個に区分されており(区分数:8)、これらの樹脂は放射状に配されていた。
まず、坪量が25.5g/mとなるように調整した分割型複合繊維のみからなる繊維ウエブ110を形成し、図14に示す製造方法にて、図10に示す実施例1の不織布試料を作製した。
支持体雄材120は、図15に示すパターンで突起121を有するものを用いた。突起121は、高さ10mmの角柱形状であり、上面視において2mm×2mmの正方形のものであった。突起121のピッチは、第一方向D1及び第二方向D2それぞれ5mmとした。
支持体雌材130は金属製であり、図16に示すパターンで突起131を有するものを用いた。突起131は、幅2mmの直線状で、5mmピッチで配置されていた。
こうした支持体雌材130の突起131を、支持体雄材120の突起121の間に押し込んだ。支持体雄材120に支持体雌材130が押し込まれた時の繊維が入る空間は、片側1mmであった。
ただし、図14(B)に示す支持体雌材130を支持体雄材120に挿入した状態では第1の熱風W1による吹き付け処理は行わず、図14(C)に示す支持体雌材130を支持体雄材120から取り外した状態でのみ第2の熱風W2による吹き付け処理を行った。
第2の熱風W2による吹き付け処理は、温度160℃、風速1.5m/s、吹き付け時間1s条件で行った。
これにより得られた実施例1の不織布試料は支持体雄材120側の面側(熱風を吹き付けた側とは反対側)を一方の面側20Tとした。作製した不織布試料の坪量及び厚み(4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下)は表1に示す通りであった。
不織布試料において、壁部11Bにおける繊維が表1に示す縦配向率で縦配向していた。また、壁部11Bにおいて、分割型複合繊維5の第1樹脂51(第1熱融着樹脂)であるPEの部分で、他の繊維との繊維交点に繊維融着部(繊維交点融着部)7が配されていた。壁部11Bにおいて、分割型複合繊維5を含む繊維融着部7の個数割合、繊維融着部7の融着面積、分割型複合繊維5の本数割合は、表1に示す通りであった。これらは、前述の各測定方法により測定した。
また、不織布試料に含まれる分割型複合繊維5には、分割部53及び非分割部54を有する分割状態のものを含んでいた。分割部53において、第2樹脂52(第2熱融着樹脂)であるPET樹脂成分からなる細分化繊維55の繊維径は表1に示す通りであった。また、非分割部54には空隙部Sが含まれていた。
(実施例2~5)
実施例1で用いた分割型複合繊維5と、芯がPET樹脂成分、鞘がPE樹脂成分である芯鞘複合繊維(繊維径11.7μm、樹脂含有比率:芯が48.8質量%、鞘が51.2質量%)とが混合された繊維ウエブを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2~5それぞれの不織布試料を作製した。分割型複合繊維5と芯鞘複合繊維との混合比率は、表1に示す通りとした。各不織布試料の坪量及び厚み(4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下)は表1に示す通りであった。
各不織布試料において、壁部11Bにおける繊維が表1に示す縦配向率で縦配向していた。また、壁部11Bにおいて、分割型複合繊維5の第1樹脂51(第1熱融着樹脂)であるPEの部分で、他の繊維との繊維交点に繊維融着部(繊維交点融着部)7が配されていた。壁部1Bにおいて、分割型複合繊維5を含む繊維融着部7の個数割合、繊維融着部7の融着面積、分割型複合繊維5の本数割合は、表1に示す通りであった。これらは、前述の各測定方法により測定した。
また、不織布試料に含まれる分割型複合繊維5には、分割部53及び非分割部54を有する分割状態のものを含んでいた。分割部53において、第2樹脂52(第2熱融着樹脂)であるPET樹脂成分からなる細分化繊維55の繊維径は表1に示す通りであった。また、非分割部54には空隙部Sが含まれていた。
(比較例)
分割型複合繊維5を用いず、実施例2で用いた芯鞘複合繊維のみを用いた以外は、実施例1と同様にして比較例の不織布試料を作製した。不織布試料の坪量及び厚み(4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下)は表1に示す通りであった。
不織布試料において、壁部11Bにおける繊維が表1に示す縦配向率で縦配向していた。壁部11Bにおいて、分割型複合繊維5と他の繊維との繊維交点に繊維融着部7は無く、繊維融着部7の面積割合は、表1に示す通りであった。これらは、前述の各測定方法により測定した。
[微小荷重時の圧縮変形特性値]
前述の(微小荷重時の圧縮特性値の測定方法)に基づき測定した。
[クッション感評価]
各実施例及び比較例の不織布試料について、3名のパネラー(成人男女)に該不織布試料におけるクッション感を評価してもらった。斯かる肌触りの評価は、5点満点(最高評価は5点、最低評価は1点)として行った。その結果(肌触りについては3名のパネラーの平均点)を下記表1に示す。
[ウエットバック量]
(1)測定条件
評価サンプル:各実施例及び比較例の不織布試料を100mm×80mmに調製したサンプル
吸収体:日本製「メリーズ Mサイズ」(花王株式会社製)に含まれる吸収体
評価液:人工尿
人工尿注入位置:前側吸収体端部より155mm、幅方向は吸収体中央部
注入量:40g×4回(注入間隔10min)
注入方法:定量ポンプで注入(5g/sec設定で8秒間注入)
予備加圧:なし
マングル加圧:1往復(3mm厚アクリル板2枚の間に評価サンプルを挟んで行った。圧力は、評価サンプルを挟んだ状態で目盛りが0.2(85mm)になる様に調整した(マングルは稼働螺旋部が70mm開いた位置にセット))
加圧重量 1.5kg
加圧板 アクリル板(70mm×70mm×3mm)
液吸収 コラーゲンフィルム(70mm×70mm) 10枚
(2)測定方法
吸収体の人工尿注入位置を中心とし、70mm×70mmの四角を描いて印を付けた(加圧板使用)。評価サンプルを70mm×70mmにカットし、吸収体に描いた四角と重なるように載置し、マングルで加圧を行った。
中心点の10mm上に人工尿注入用チューブをセットして人工尿40gを注入し、注入後10分間放置した。その後、注入・放置を3回繰り返した。最後の放置後、質量を計った。
次いで、コラーゲンフィルム(10枚)を評価サンプル上に載置した。コラーゲンフィルムの上に加圧板と重り(1.5kg)を置き、30秒加圧する。
30秒後、重りと加圧板を外しコラーゲンフィルムの質量を計った。加圧後のコラーゲンフィルム質量と加圧前のコラーゲンフィルム質量の差分をウエットバックの値とした。
Figure 2023166229000002
表1が示すとおり、各実施例の不織布試料は、比較例の不織布試料に比して、微小荷重時の圧縮変形特性値が1.3倍以上高く、小さな荷重で窪みやすい柔らかい弾力性を示しており、人間の感じるクッション感覚の良好さの点で優れていることを示していた。実際、各実施例の不織布試料におけるクッション感評価の値が、比較例の不織布試料に比して、2.3倍以上であり、優れたクッション感を有すものと評価されていた。
同時に、各実施例の不織布試料は、比較例の不織布試料に比して、ウエットバック量が少なくなっていた。これは、各実施例の不織布試料が、1.5kgという大荷重下においても、比較例の不織布試料よりも厚みが保持されていたことによる。
以上の通り、各実施例の不織布試料は、厚みの保持性と、手のひらや指先で撫でる程度の微小荷重の接触時の柔らかい弾力性とを両立できており、液のウエット量の低減を実現できていた。
1 凸部
1A 頂部
1B 壁部
1C 中空領域
2 底部
5 分割型複合繊維
51 第1樹脂(第1熱融着樹脂)
52 第2樹脂(第2熱融着樹脂)
53 分割部
54 非分割部
55 細分化繊維
6 繊維交点
61 分割型複合繊維同士の繊維交点
62 分割型複合繊維と他の種類の繊維
7 繊維融着部
71 繊維交点融着部(分割型複合繊維の、熱融着樹脂である第1樹脂と他の繊維(他の分割型複合繊維又は他の種類の繊維)との繊維交点に配された繊維融着部)
72 (分割型複合繊維以外の、他の種類の繊維同士の繊維交差部における)繊維融着部
8 他の種類の繊維(分割型複合繊維とは異なる他の種類の繊維)
81 分割型複合繊維5以外の、他の種類の繊維同士の繊維交差部
11 畝部
11A 頂部
11B 壁部
11C 中空領域
12 底部
15 鞍部
15A 頂部
15B 壁部
15C 中空領域
16 帯領域
10、20 不織布
10T、20T 一方の面側
10B、20B 他方の面側
W 周方向

Claims (9)

  1. 複数の凸部と、隣り合う凸部間に設けられた底部とを備えた凹凸構造を有し、繊維融着部を備える不織布であって、
    前記複数の凸部それぞれは、頂部と、該頂部を支持する壁部とを備え、前記壁部の繊維が縦配向しており、
    前記凹凸構造の構成繊維には、融点の異なる2種類以上の樹脂が繊維の構成成分として繊維の長手方向に連続的に配され且つ該各樹脂が繊維の周方向に沿って交互に配置され、各樹脂間が離間可能に構成されている分割型複合繊維が含まれており、
    前記分割型複合繊維の前記周方向に沿って交互に配置された樹脂には第1熱融着樹脂と第1熱融着樹脂よりも融点の高い第2熱融着樹脂とを含み、前記第1熱融着樹脂と他の繊維との繊維交点に前記繊維融着部が配されている、不織布。
  2. 前記壁部に含まれる前記繊維融着部の内、前記分割型複合繊維を含む繊維融着部の個数割合が10%以上である、請求項1記載の不織布。
  3. 前記壁面の構成繊維の内、前記分割型複合繊維の本数割合が15%以上である、請求項1又は2記載の不織布。
  4. 前記分割型複合繊維の横断面における樹脂の区分数が4以上48以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記分割型複合繊維は、各樹脂間が一部離間して形成された空隙を有する、請求項4記載の不織布。
  6. 前記分割型複合繊維には、隣り合う少なくとも一対の前記各樹脂間が完全離間して形成された分割部と、隣り合うすべての前記各樹脂間が完全に離間していない非分割部とを、該繊維の長手方向に交互に備えたものが含まれており、
    前記分割部には、前記第1熱融着樹脂又は前記第2熱融着樹脂からなる細分化繊維が含まれ、前記第2熱融着樹脂からなる細分化繊維の繊維径が15μm以下である、請求項5記載の不織布。
  7. 4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下における厚みが1.0mm以上10.0mm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 坪量が8g/m以上80g/m以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の不織布。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の不織布を有する吸収性物品。
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