JP2024046547A - 吸収性物品用不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたクッション性と、液吸収時における表面の高いドライ性とを同時に備える吸収性物品用不織布を提供する。【解決手段】厚み方向に積層された第1繊維層と第2繊維層とを有し、それぞれの繊維層に繊維同士の交差部における繊維融着部を含む不織布であって、前記第1繊維層は、複数の凸部と、隣り合う凸部間に設けられた底部とを備えた凹凸構造を有し、前記複数の凸部それぞれは、頂部と、該頂部を支持する壁部とを備え、内部に中空部を有し、前記第1繊維層の前記底部がある側に前記第2繊維層を有しており、前記第2繊維層は、熱可塑性繊維及び吸水性繊維を含み、熱可塑性繊維及び吸水性繊維の混合層が前記第1繊維層の中空部にまで入り込んでいる、吸収性物品用不織布。【選択図】図1

Description

本発明は吸収性物品用不織布に関する。
不織布は、おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の構成部材など様々な用途に用いられており、そのため様々な構造を有するものが開発されている。
例えば、厚み方向の凹凸構造を有する不織布であって、該凹凸構造における凸部を中空にしたもの(例えば特許文献1)、前記凸部をドーム状で中実にしたもの(例えば特許文献2)などがある。また、中実でドーム状の凸部を含む凹凸構造を有する不織布で、前記凸部の非肌対向面側となる底部にコットン及び熱可塑性繊維を含むもの(例えば特許文献3)がある。
特開2019-44293号公報 特開2014-12913号公報 特開2019-69089号公報
前述のような凹凸構造は、不織布におけるクッション性を高める作用がある。該不織布を例えば吸収性物品の着用者の肌に触れる表面シートとして用いると、該吸収性物品の装着時の触感が柔らかいものとなる。一方で、吸収性物品においては排泄液の吸収性が重要な基本性能であるが、その上前記不織布において表面の液残りを低減したドライ性が求められる。
このような不織布におけるクッション性及び液吸収時のドライ性は、近年の吸収性物品の着用感に対する要求水準が高まっている中で、更なる向上が求められている。
本発明は、上記の点に鑑み、優れたクッション性と、液吸収時における表面の高いドライ性とを同時に備える吸収性物品用不織布に関する。
本発明は、厚み方向に積層された第1繊維層と第2繊維層とを有し、それぞれの繊維層に繊維同士の交差部における繊維融着部を含む不織布であって、前記第1繊維層は、複数の凸部と、隣り合う凸部間に設けられた底部とを備えた凹凸構造を有し、前記複数の凸部それぞれは、頂部と、該頂部を支持する壁部とを備え、内部に中空部を有し、前記第1繊維層の前記底部がある側に前記第2繊維層を有しており、前記第2繊維層は、熱可塑性繊維及び吸水性繊維を含み、熱可塑性繊維及び吸水性繊維の混合層が前記第1繊維層の中空部にまで入り込んでいる、吸収性物品用不織布を提供する。
本発明の吸収性物品用不織布は、優れたクッション性と、液吸収時における表面の高いドライ性とを同時に備えものとなる。
本発明に係る吸収性物品用不織布の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明に係る吸収性物品用不織布の別の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本実施形態の吸収性物品用不織布の具体例を一方の面側から模式的に示す平面図である。 図3に示す吸収性物品用不織布のR1-R1線断面図である。 図3に示す吸収性物品用不織布のR2-R2線断面図である。 図3に示す吸収性物品用不織布のR3-R3線断面図である。 図3に示す吸収性物品用不織布のR4-R4線断面図である。 本発明に係る吸収性物品用不織布の製造方法の好ましい一実施形態を模式的に示す説明図であり、(A)は押し込み工程を示し、(B)は第1の熱風により凹凸不織布を得る工程を示し、(C)は第2繊維ウエブを凹凸不織布に積層する工程を示し、(D)は第2の熱風により凹凸不織布と第2繊維ウエブとを一体化し、第2繊維ウエブを不織布化する工程を示している。 支持体の平面図である。 押し込み部材の平面図である。 支持体と押し込み部材とを組み合わせた状態を示す平面図である。 支持体の別の態様を示す断面図である。
本発明に係る吸収性物品用不織布の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら、以下に説明する。なお、本明細書において、吸収性物品用不織布を単に不織布ということがある。
本実施形態の不織布10は、繊維同士の交差部に繊維融着部を有する、いわゆるサーマルボンド不織布である。例えば、エアスルー法によって前記繊維融着部を形成したエアスルー不織布が挙げられる。そのため、不織布10は構成繊維に熱可塑性繊維を含む。すなわち、不織布10を構成する後述の第1繊維層M1及び第2繊維層M2は構成繊維に熱可塑性繊維を含み、前記繊維融着部を形成した不織布である。第1繊維層M1と第2繊維層M2とは互いの繊維同士の交差部における繊維融着部によって一体化されている。
このような本実施形態の不織布10は、図1に示すように、厚み方向Zに積層された第1繊維層M1と第2繊維層M2とを有する。不織布10は一方の面側10Tと他方の面側10Bとの表裏面を有し、一方の面側10Tに第1繊維層M1が配され、他方の面側10Bに第2繊維層M2が配される。不織布10において、例えば一方の面側10Tを使用面とすることができる。例えば、不織布10を、吸収性物品の吸収体よりも肌面側の部材、例えば表面シートとして用いる場合、一方の面側10Tを肌面側とすることができる。この場合、第1繊維層M1は上層、第2繊維層M2は下層ともいう。なお、上記の一方の面側10Tと他方の面側10Bとは、不織布10全体の表裏面を意味すると同時に、第1繊維層M1及び第2繊維層M2のそれぞれの表裏面も意味する。また、不織布10の厚み方向Zは、第1繊維層M1及び第2繊維層M2のそれぞれの厚み方向Zも意味する。
第1繊維層M1は、一方の面側10Tに突出する複数の凸部1と、隣り合う凸部1、1間に設けられた底部2とを有する。これにより、第1繊維層M1は厚み方向Zに凹凸構造を有する。凸部1は、第1繊維層M1の厚み方向Zに立設された立体的な繊維層であり、底部2よりも一方の面側10Tの高い位置にある。複数の凸部1のそれぞれは、頂部1Aと、頂部1Aを支持する壁部1Bとを備える。第1繊維層M1の底部2は凸部1、1の間で他方の面側10Bに窪んだ凹部の底にあり、第2繊維層M2に隣接している。
頂部1Aの一方の面側10Tの外形は、平坦面であってもよく、曲面であってもよい。着用者の肌に接する肌当接面とする場合の触感をより柔らかくする観点から、頂部1Aの一方の面側10Tはドーム状の曲面であることが好ましい。
壁部1Bの繊維は、不織布10(第2繊維層M2)の他方の面側10Bの平面方向に対して縦配向していることが好ましい。ここで言う不織布10の平面方向とは、不織布10(第2繊維層M2)の他方の面側10Bの表面に接する平面(例えば平坦な台座など)に沿う方向を意味する。
この繊維の縦配向は、壁部1Bの、頂部1A及び第2繊維層M2に対する厚み方向の支持力を高め、荷重下でも不織布10の凸部1の厚みを残しやすくする。これにより、第1繊維層M1及び第2繊維層M2を含む不織布10は、厚みが残りやすく、繊維層の繊維構造による弾力性と相俟って、優れたクッション性を備える。すなわち、不織布10は肌当たりに優れた柔らかさを持つ。また、不織布10を吸収性物品における吸収体よりも肌面側の部材、例えば表面シートとした場合に、体液の液透過の作用が荷重下においてもより持続されやすくし、吸収体から肌面側への液戻り(ウエットバック)が抑制される。
壁部1Bの繊維の縦配向とは、第1繊維層M1の厚み方向Zに沿う繊維が多いことを意味し、後述の測定方法によって得られる縦配向率が60%以上であることを意味する。上記の作用をより高める観点から、61%以上が好ましく、62%以上がより好ましい。また、前記縦配向率は、その上限には特に制限は無いが、配向繊維同士の交差部を作って融着点を形成し、繊維同士で柱状になって、力に耐える構造を作る観点から、90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下が更に好ましい。
(壁部1Bにおける繊維の縦配向率の測定方法)
図1に示すように、壁部1Bに対し、下記の手順で測定を行う。
すなわち、第1繊維層M1の凸部1及び第2繊維層M2を含む、不織布10の厚み方向の断面において画定された壁部1Bの繊維層断面を走査電子顕微鏡(SEM)で35倍に拡大して観察する。観察画像に基準線として一辺が500μmの正方形の線を付す。正方形の各辺(基準線)は、不織布10の断面における厚み方向及び平面方向それぞれと直交する辺とする。正方形の各辺からなる基準線に繊維が通過する延べ本数をそれぞれ数える。不織布10の平面方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「横繊維本数」、不織布10の厚み方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「縦繊維本数」と定義する。縦配向率として、(縦繊維本数)/(横繊維本数+縦繊維本数)×100=縦配向率(%)として算出する。それらを各3点測定し、平均したものを縦配向率の値とする。
なお、上記の不織布10の断面における平面方向は、図1に示す、第2繊維層M2の他方の面側10Bの表面に接する直線Lに相当する。厚み方向は、直線Lに直交する方向Zに相当する。
上記の、第1繊維層M1の凸部1及び底部2を含む、不織布10の厚み方向Zの断面において、壁部1Bの繊維層は、次の方法により区画することができる。
すなわち、第1繊維層M1の頂部1A、壁部1B及び第2繊維層M2を含む厚み方向Zの断面を有する不織布10を、第2繊維層M2(他方の面側10B)を下にして、マイクロスコープVHX6000(商品名、株式会社キーエンス製)の台座に載せる。次いで、不織布10に頂部1A側(一方の面側10T)に平板(例えばフラットアクリルプレート)を載せて4.9mN/cmの荷重をかける。この状態で前記厚み方向Zの断面を、前記マイクロスコープにより20倍で観察し、第1繊維層M1のうち平板に接している部分の繊維層を頂部1Aとする。頂部1Aの端部と第2繊維層M2の一方の面側10Tの面とを繋いだ部分を壁部1Bとする。なお、頂部1Aと壁部1Bとの境界の特定にあたっては、壁部1Bの無い部分での頂部1Aの厚みを頂部1Aの端部の厚みとし、その厚みを除く部分を壁部1Bとする。また、壁部1Bは、他方の面側10Bに端部(付け根部1Dともいう)を有しており、底部2は、当該付け根部1Dを含む、隣り合う凸部1、1間に設けられた領域を指す。
加えて、第1繊維層M1において、凸部1はその内部に中空部1Cを有する。中空部1Cとは、実質的に不織布10の繊維で満たされていない空間である。具体的には、後述する方法により求められる繊維密度が10本/mm未満であることを意味する。中空部1Cにおける繊維密度は小さい程よい。第1繊維層M1において、凸部1の中空部1Cは、他方の面側10Bの第2繊維層M2の側に開口している。
(繊維密度の測定方法)
繊維密度は、不織布10の断面を観察して、以下の手法により測定することができる。不織布10は、測定対象の部位(例えば、壁部1B間)を通るように厚み方向に切断する。走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JCM-6000Plus(商品名))を使用して中空部1Cを含む切断面を拡大観察し、中空部1Cを含む一定面積の切断面内の繊維の本数を数える。拡大観察は、繊維断面が30本から60本程度計測できる倍率(35倍以上200倍以下)に調節する。次に、1mm当たりの繊維の本数に換算し、これを繊維密度(本/mm)とする。5カ所の測定結果を平均して、そのサンプルの繊維密度とする。
中空部1Cが凸部1の内部にあることで、凸部1の柔らかい触感が更に向上し、前述のクッション性がより高められ、不織布10の肌触りが更に良好なものとなる。また、不織布10を吸収性物品の表面シート等の、吸収体よりも肌面側の部材とする場合に、中空部1Cの介在により、吸収体からの液戻り経路が絶たれ、液戻り防止性が高まる。加えて、中空部1Cは、排泄量が過大になった場合の一次貯留空間ともなり、表面シートの肌当接面側での液残り量を更に低減することができる。
第2繊維層M2は、第1繊維層M1の底部がある側に配置されている。第2繊維層M2は、熱可塑性繊維61及び吸水性繊維62を含み、熱可塑性繊維61及び吸水性繊維62の混合層が凸部1の内部に部分的に進入して、第1繊維層M1の中空部1Cに入り込んでいる。なお、前記混合層は、第2繊維層の全体にあってもよく、一部にあってもよい。以下、中空部1Cに進入する前記混合層を、進入混合層5という。なお図1において、吸水性繊維62は、その存在を強調して示すため熱可塑性繊維61より太く、数も少なくして示しているが、実際の状態はこれと異なるものであってもよい。
吸水性繊維62とは、素材自体が親水性であり、繊維内に水分を保水することができる性質を有するものである。例えばセルロース素材の繊維である。具体的には、天然セルロース繊維、再生セルロース繊維、精製セルロース繊維及び半合成セルロース繊維が挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。このような吸水性繊維62は熱可塑性を有さず、他の繊維との融着部を形成しない性質を有する。
天然セルロース繊維としては、例えばコットン、木材パルプ、竹、麻、果実(やし、バナナ等)繊維などが挙げられる。その中でも、不織布製造時の元素材となる繊維ウエブの成形性の観点から、コットンが好ましい。
再生セルロース繊維としては、例えばビスコースレーヨン、ポリノジック、モダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン等のレーヨン繊維が挙げられる。
精製セルロース繊維としては、例えばテンセル(商標)、ヴェオセル(商標)として市販されているリヨセルが挙げられる。
半合成セルロース繊維としては、例えばトリアセテート、ジアセテート等のアセテート繊維が挙げられる。
上記の再生セルロール繊維、精製セルロース繊維、半合成セルロース繊維の中でも、不織布製造時の元素材となる繊維ウエブの成形性の観点から、レーヨンやリヨセルが好ましい。
熱可塑性繊維61とは、素材自体が疎水性の合成繊維であり、表面に親水性の界面活性剤を含むことで親水性を具備するものが挙げられる。このような熱可塑性繊維は、毛細管現象を利用した繊維間での保水が可能であるが、繊維内部での保水は殆どできない。
このような熱可塑性繊維としては、不織布の素材として通常用いられるものを特に制限なく採用できる。例えば、単一の樹脂成分からなる繊維や、複数の樹脂成分からなる複合繊維などであってもよい。複合繊維としては、例えば芯鞘構造、サイドバイサイド構造などがある。
熱可塑性繊維として低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維(例えば鞘が低融点成分、芯が高融点成分である芯鞘構造の複合繊維)を用いる場合、製造工程において繊維ウエブに吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満であることが好ましい。より好ましくは、低融点成分の融点以上高融点成分の融点より10℃低い温度であり、さらに好ましくは、低融点成分の融点より5℃以上高く高融点成分の融点より20℃以上低い温度である。また弾力性の観点から、芯鞘構造の複合繊維の中でも、高融点成分である芯が多いほど弾力性が高い。そのため断面面積比で芯成分が大きいほうが好ましい。鞘が低融点成分、芯が高融点成分である芯鞘構造の複合繊維の具体例としては、鞘がポリエチレン樹脂(以下、PEともいう)、芯がポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETともいう)である芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。
また、芯鞘構造の複合繊維において、芯の樹脂成分よりも鞘の樹脂成分の方が、ガラス転移点が低い場合(以下、低ガラス転移点樹脂成分という。例えば、芯の樹脂成分がPETで鞘の樹脂成分がPE)、低ガラス転移点樹脂成分の質量比を小さくすることで、不織布の厚みの回復性をより高められる。
不織布10は、前述の中空部1Cの存在と共に、中空部1Cに進入混合層5があることによって、更にクッション性が高められて柔らかさが増す。中空部1Cにおいて、進入混合層5を構成する吸水性繊維62は他の繊維との融着部を形成せずに存在する。そのため、凸部1の触感を柔らかくする中空部1Cの底部側にて、吸水性繊維62を含む進入混合層5が、融着部による剛性を抑えた弾力のクッション層を形成する。これにより、凸部1の頂部1Aへ触れた程度では厚みが保持されやすく、安心の厚みを感じることができる。より強い押圧で凸部1は変形して沈み込む一方で、更なる沈み込みの段階では、進入混合層5の存在、特に融着部を形成しない吸水性繊維62の存在による柔らかい弾力性が凸部1に付与される。また、進入混合層5の存在により、凸部1が底部2にまで沈み込むことが生じ難く、肌の触感として、安心のクッション感が得られる。これにより、不織布10は、一方の面側10Tから触れた際に多段の特有のクッション性が発現されて柔らかさが増す。
更に、凸部1を構成する壁部1Bが繊維の縦配向を有することが好ましく、これにより、繰り返しの外押があっても凸部1の厚みが残りやすくヘタり難い。加えて、第2繊維層M2では、熱可塑性繊維同士の繊維融着部による繊維立体ネットワークの中に吸水性繊維62が内包されやすい。そのため、吸水性繊維62が吸水し膨潤しても第2繊維層M2の層構造が保持されやすくヘタり難く、むしろ弾力性が増しやすい。特に進入混合層5が上記作用により第1繊維層M1の凸1の形状保持性を高めて、吸水膨潤を伴う柔らかい弾力性を付与する。これらにより不織布10において、前述の多段の特有のクッション性が繰り返し発現されやすい。
加えて、不織布10は、第2繊維層M2における吸水性繊維62が第1繊維層M1の凸部1の液を引き込みやすいため、高い液吸収性を備える。しかも、第1繊維層M1で被覆された第2繊維層M2が、一方の面側10Tに露出することなく不織布10に液吸収性を付与する。これにより第1繊維層M1に残る液が少なくなる。加えて、吸水性繊維62の液引き込み力が、第2繊維層M2から第1繊維層M1への液戻りを抑える。その結果、そのため不織布10は一方の面側10Tでのドライ性が高められ、べたつきが抑えられる。しかも中空部1C内には、中空部1Cの空間を頂部1A側に残しながら、その底部側の一部に進入混合層5がある。進入混合層5の吸水性繊維62は、一方の面側10T寄りにありながら凸部1の繊維層で被覆されて一方の面側10Tに露出することなく不織布10に液吸収性を付与する。また、凸部1内の中空部1Cの空間の存在で、進入混合層5から頂部1Aへの直接的な液戻りが抑えられる。更に、繊維の縦配向による壁部1Bのヘタり難さが、下層である第2繊維層M2からの液戻りをより生じ難くする。これにより、不織布10の表面のである一方の面側10Tのドライ性が高められる。
しかも凸部1を構成する壁部1Bが繊維の縦配向を有することが好ましく、これにより、壁部1Bの縦配向する繊維に沿って液が降下促進され、第2繊維層M2、特に進入混合層5の吸水性繊維62へと迅速に素早く引き渡される。また、このような作用は、繊維の縦配向による壁部1Bのヘタり難さで維持され得る。
このような不織布10について、吸収性物品における液吸収性に関し、吸水性繊維62を含む第2繊維層M2、特に進入混合層5の存在が次のような作用を奏し得る。すなわち、不織布10の一方の面側10Tを肌面側とし、例えば吸収性物品の表面シート等の、吸収体よりも肌面側の部材とした場合に、液を素早く肌から引き離して他方の面側10Bへと一方向に引き込んで逆戻りさせずに保持できる。吸収性物品においては、肌面側の部材として配した不織布10がその底部側の第2繊維層M2にて液を吸収することで、その下層の吸収体へとより多くの液を効率的に移行(排液)させることができる。これにより、更に肌面側での液残りが抑えられ、肌面側でのドライ性が高められ、べたつきが抑えられる。
このように不織布10は、優れたクッション性と、液吸収時における表面(一方の面側10T)の高いドライ性とを同時に備えるものとなる。特に、前述の中空部1Cが、一度液を吸収した第2繊維層M2から不織布10の表面への直接的な戻りを抑制するので、変形性を伴う高いクッション性があっても、液吸収時における表面の高いドライ性が実現される。更に壁部1Bの繊維が縦配向している場合は、その縦配向が前述の中空部1Cの作用を促進する。
不織布10において、第1繊維層M1の厚み(凸部1の厚み)H1に対する進入混合層5の厚みH2の比(H2/H1)は、上記作用をより高める観点から、0.05以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましい。
第1繊維層M1の厚み(凸部1の厚み)H1に対する進入混合層5の厚みH2の比(H2/H1)は液戻り抑制力を高める観点から、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下が更に好ましい。
なお、第1繊維層M1の厚みH1は、頂部1Aの一方の面側10Tの表面から、壁部1Bの付け根側と第2繊維層M2との境界までの厚み方向Zに沿う高さをいう。また、進入混合層5の厚みH2は、壁部1Bの付け根部1Dと第2繊維層M2との境界から、進入混合層5が凸部1の中空部1Cにおいて最も一方の面側10Tに進入している地点までの厚み方向Zに沿う高さをいう。これらは、4.9mN/cmの荷重をかけた状態で、前述の壁部1Bの繊維層の区画方法と同様にして行うことができる。
第2繊維層M2の構成繊維に占める吸水性繊維62の本数割合は、上記のクッション性及び吸収性をより効果的にする観点から、8%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。また、不織布10の製造時において、一定割合の非熱融着性の吸水性繊維62を含むことで賦形する繊維ウエブの構成繊維が熱風処理時にも動きやすく、凸部1の中空部1Cの中に進入混合層5が入り込みやすくなる。
また、第2繊維層M2の構成繊維に占める吸水性繊維62の本数割合は、不織布の強度を保持する観点、製造時の繊維融着による不織布形成性を高める観点から、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
この本数割合は、特に混合進入部5で満たされることが好ましい。
なお、該本数割合は、第2繊維層M2における平均本数割合を意味する。
(第2繊維層M2の構成繊維に占める吸水性繊維62の本数割合の測定方法)
測定対象となる第2繊維層M2の構成繊維に占める吸水性繊維62の本数割合を求めるに当たり、吸水性繊維62は繊維径及び/又は繊維密度の違いからその境界を判別して厚みを算出するか、又は繊維の種類によって色が変わる繊維識別用試薬(例えば一般財団法人ボーケン品質評価機構製、BOKENSTAIN II、以下の説明ではこれを用いる。)を用いて染色し、染色された繊維の色から目視にて判定することで吸水性繊維62と判断することができる。
測定対象となる第2繊維層M2を液体窒素で凍結させて、繊維の存在状態を固定する。次に、カミソリの刃などを用いて、厚み方向Zの横断面が形成されるように他方の面側10Bの平面方向に対して垂直に切断して、測定サンプルを作製する。測定サンプルの横断面に対して、電子顕微鏡(JCM-6000Plus(商品名)、日本電子株式会社製)を用いて500倍の撮像条件にて撮像する。横断面の撮像画像から、繊維断面が確認できる繊維すべてを目視で確認し、吸水性繊維か吸水性繊維以外の他の種類の繊維かを判別し、それぞれの繊維本数をカウントする。カウントする繊維の合計本数は、80本以上とする(1枚の撮像画像からカウントすることができる繊維本数に限りがあるので、合計で80本以上となるように、多くの撮像画像を用いてカウントする)。吸水性繊維62の本数の、カウントした全体の本数に占める割合を算出し、吸水性繊維62の本数割合とする。
第2繊維層M2に含まれる熱可塑性繊維61の繊維径(D1)が吸水性繊維62の繊維径(D2)よりも大きいことが好ましい。このことは、不織布10の製造時において、第2繊維層M2を形成する繊維ウエブで熱可塑性繊維61が吸水性繊維62よりも太いことで、吸水性繊維62が熱可塑性繊維61の間を動きやすくなり、凸部1の中空部1C内により多くの吸水性繊維62が配置されやすくなることを意味する。これにより得られる不織布10は、前述のクッション性、並びに液吸収性が及びそれによる表面のドライ性が更に高められる。加えて、第2繊維層M2における、吸水性繊維62よりも太い熱可塑性繊維61の存在が、進入混合層5の弾力性を高めて前述のクッション性を更に高める。
この観点から、第2繊維層M2において、熱可塑性繊維61の繊維径(D1)に対する吸水性繊維62の繊維径(D2)の比(D2/D1)は、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上が更に好ましい。また、前記比(D2/D1)は、クッション性を高める観点から、0.98以下が好ましく、0.96以下がより好ましく、0.94以下が更に好ましい。
更に上記の比(D2/D1)を満たす範囲で、第2繊維層M2において、吸水性繊維62の繊維径(D2)は、クッション性を高める観点から、8μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、12μm以上が更に好ましい。また、第2繊維層M2において、吸水性繊維62の繊維径(D2)は、液吸収性を高める観点から、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましい。
また、上記の比(D2/D1)を満たす範囲で、第2繊維層M2において、熱可塑性繊維61の繊維径(D1)は、クッション性を高める観点から、10μm以上が好ましく、13μm以上がより好ましく、15μm以上が更に好ましい。また、第2繊維層M2において、熱可塑性繊維61の繊維径(D1)は、液吸収性を高める観点から、60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。
これら繊維径に関する数値範囲は、特に混合進入部5で満たされることが好ましい。
なお、上記の繊維径は、第2繊維層M2における平均繊維径を意味する。
(第2繊維層M2における吸水性繊維62及び熱可塑性繊維61の繊維径の測定方法)
繊維径は、繊維層の断面を観察して、以下の手法により測定することができる。
測定対象の部位(第2繊維層M2)を、コールドスプレー又は液体窒素などを用いて、無荷重状態で凍結して構造を固定し、その状態でカッター刃を用いて厚み方向に切断することで、測定部位の横断面を露出させる。走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JCM-5100)を使用して横断面を拡大観察し、繊維断面が計測できる倍率(300倍)に調節する。その状態で撮影した観察写真を5枚撮影することで、断面観察写真を得る。次いで、1写真あたり30本の繊維の繊維径を測定して、その算術平均値を本発明の繊維径とする。繊維が非真円形である場合には、横断面における周縁上の2点を結び、且つ断面の最大差し渡し長さの線分を長軸と定め、その長軸に直交する最大長さを有する線分を短軸と定め、そして、長軸及び短軸の各長さを画像解析ソフトウェア等で解析して算出することで、各繊維の長軸及び短軸の各長さを測定し、繊維一本での長軸長さと短軸長さとの算術平均値を各繊維の繊維径とし、該繊維径の30本の算術平均値を、測定対象の部位における構成繊維の繊維径とする。
測定対象の不織布が吸収性物品等の衛生品に組み込まれている場合は、該衛生品にコールドスプレーを吹きかけ、ホットメルト接着剤を固化させてから、測定対象の不織布を丁寧に剥がす。この手段は本明細書の他の測定においても共通である。
また不織布10において、図2に示すように、第1繊維層M1は、底部2に、厚み方向Zに貫通する開孔部3を有することが好ましい。これにより、一方の面側10Tより離間した第1繊維層M1の底部2の開孔部3から第2繊維層M2が露出する。これにより、不織布10の液吸収性が更に高められる。このとき、壁部1Bの繊維が縦配向している場合、その縦配向する繊維に沿って液が降下促進され、開孔部3から露出する第2繊維層M2の吸水性繊維62でより素早く吸収され得る。また、開孔部3から露出する第2繊維層M2は、第1繊維層M1の凸部1、1間の底部2にあるため、肌に触れる頂部1Aから離間しており、加えて壁部1Bの繊維が縦配向している場合、その作用で、前記離間状態が保持されやすい。これにより、不織布10の一方の面側10Tを吸収性物品の肌面側とした場合に、肌面側への液戻りが抑えられ、液を吸収した吸水性繊維62に起因する肌面側でのべたつきが抑えられてドライ感が更に高められる。
この開孔部3は、上記作用を良好にする観点から、底部2に加え、又は底部2に代えて頂部1Aにあってもよい。
ここで言う開孔部3における貫通は、第1繊維層M1に着目したときに、第1繊維層M1の構成繊維が配されない部分が厚み方向Zに第1繊維層M1の両面を貫いていることを意味する。
開孔部3は、繊維間に形成される微細な孔径とは異なり、第1繊維層M1を加工して意識的に形成した孔であり、繊維間に形成される微細な孔径よりも遥かに大きい孔面積を有している。図2においては、付け根部1D以外の底部2全体が開孔部3となっているものとして示しているが、開孔部3の大きさは底部2の幅等に応じて適宜選択することができる。例えば、第1繊維層M1において、底部2の付け根部1D以外の全体を開孔部3とはせずに、開孔部3の周辺に付け根部1Dから延びる繊維層が存在するようにしてもよい。少なくとも1.0mm以上の孔面積を有することが好ましい。
開孔部3の大きさは、前述のマイクロスコープを用いて測定することができる。具体的には、マイクロスコープにて開孔部3の面積を5箇所測定し、それらの平均値を各開孔部の孔面積とする。
開孔部3の面積は、液透過性の作用を高める観点から、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2.0mm以上が更に好ましい。また、開孔部3の面積は、液戻りを抑制する観点から、50mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましく、35mm以下が更に好ましい。
開孔部3の平面形状は、液透過性を高める観点から種々のものとすることができ、例えば、円形、楕円形、矩形などが挙げられる。
不織布10の坪量は、不織布の地合いを良好にする観点から、20g/m以上が好ましく、30g/m以上がより好ましく、40g/m以上が更に好ましい。また、不織布10の坪量は、着用者の快適な使用感を妨げないようにする観点から、100g/m以下が好ましく、90g/m以下がより好ましく、85g/m以下が更に好ましい。
不織布10の4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下における厚みは、クッション性を高める観点から、0.8mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、1.2mm以上が更に好ましい。この厚みは、4.9mN/cm荷重下においてレーザー変位計等を用いて測定することができる。上記の4.9mN/cm荷重とは、不織布表面の毛羽立ちを想定した荷重である。不織布10の4.9mN/cm荷重下における厚みが上記の範囲にあることにより、液戻り防止性能を高めて着用者の肌が濡れにくくなる。
また、不織布10の4.9mN/cm荷重下における厚みは、着用者の快適な使用感を妨げないようにする観点から、10mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、5mm以下が更に好ましい。
次に、本実施形態の不織布10において、前述の凹凸構造のより好ましい態様について説明する。
第1繊維層M1が有する壁部1Bは、不織布10(第2繊維層M2)の他方の面側10Bの平面に沿う方向に対して垂直に延在する形状を有することが好ましい。これにより、垂直な壁部1Bは頂部1Aと第2繊維層M2とを垂直に連結し、頂部1Aの柔らかい繊維層が、壁部1Bの弾力の繊維層で支持された状態で残りやすい。この作用は、壁部1Bの繊維の縦配向があることで強化される。その結果、頂部1Aを介して凸部1の繊維層の厚みが感じられ、進入混合層5の存在による多段のクッション性がより高められる。これにより、より柔らかい触感が得られやすい。より詳細には、この柔らかい触感は、触れる程度の軽い押圧下で優しい安心の厚みとして感じられ、更なる押圧下で凸部1が変形しながらもヘタり難く、弾力のある柔らかい厚みとして感じられる。このような優れたクッション性により、前述の凹凸構造による肌触りが更に良好となる。
加えて、壁部1Bの繊維の縦配向ある場合、その繊維に沿った液の降下促進作用がより高められ、前述の液吸収性がより優れたものとなる。
壁部1Bの「垂直」は、図1に示す不織布10(第2繊維層M2)の他方の面側10Bの平面に対する角度θが厳密に90°である場合だけでなく、60°以上120°以下であることを意味する。この範囲にあることで、壁部1Bは、不織布10の厚み方向Zにおいて実質的に90°と認められる角度で延出する形状を有する。角度θは、不織布10の他方の面側10Bの平面と壁部1Bの延長線との交差角度を意味する。具体的には、図1に示すように、凸部1を含む厚み方向Zの断面において壁部1Bの繊維層の幅の中心線Mとし、不織布10(第2繊維層M2)の他方の面側10Bの表面に接する直線Lとがなす角度のうちの内角の角度を意味する。この角度θは、前述のマイクロスコープによって得られる断面の顕微鏡写真を観察して求めることができる。
図1に示す例では、壁部1Bは、頂部1Aと第2繊維層M2との間において直線状に延在しており、壁部1Bの全体が第2繊維層M2に対して垂直に立設されている。しかし、これに限定されるものではなく、壁部1Bが頂部1Aと第2繊維層M2との間において湾曲状や波状に延在する部分を含む構成としてもよい。この場合には、頂部1Aと壁部1Bとの境界点と、第2繊維層M2の他方の面側10Bの平面と壁部1Bとの境界点とを結ぶ線を上記中心線Mとして、上記角度θを特定するものとする。
また、複数ある壁部1Bの全てが、第2繊維層M2に対して垂直に延在することが好ましいが、壁部1Bの一部に、第2繊維層M2の他方の面側10Bの平面に対して垂直に延在しないものが含まれてもよい。後者の場合、垂直となる壁部1Bの数は、不織布10における前述の作用を更に効果的にする観点から、複数の凸部1全体にある壁部1Bの内の60%以上であることが好ましい。
次に、図1に示す不織布10の具体例(不織布20)について、図3~図7を参照して説明する。不織布20は、不織布10について示した前述の構成を備える。なお、不織布20において、図2に示すような開孔部3が配されていてもよい。
図3~図7に示す不織布20は、一方の面側20Tからの平面視、第1繊維層M1における前述の凸部1として、一方向Yに延出し、互いに、一方向Yと交差する方向Xに離間して配列されている複数の畝部11を有する。畝部11の他方の面側20Bは、内部に中空部11Cを有する。
一方向Y及び一方Y向と交差する方向Xは、不織布20の一方の面側20Tの面において、目的に応じて適宜設定することができる。例えば、一方向Y及び一方向Yと交差する方向Xは互いに直交する方向であることが好ましい。不織布20を吸収性物品における表面シート等の、吸収体よりも肌面側の部材とする場合に、一方向Yを吸収性物品の長手方向とし、一方向Yと交差する方向Xは吸収性物品の幅方向とすることが好ましい。
複数の畝部11は互いに、延出方向に沿って同等の高さを有している。高さが「同等」とは、マイクロスコープVHX900(商品名、株式会社キーエンス製)を用いて測定した高さが、測定平均値に対して0.8倍以上1.2倍以下の範囲内であることを意味する。
複数の畝部11のそれぞれは、頂部11Aと、頂部11Aを支持する壁部11Bとを備える。頂部11Aは、吸収性物品においては着用者の肌に当接する繊維層であり、壁部11Bは頂部11Aと第2繊維層M2とを厚み方向に繋ぐ繊維層である。すなわち、不織布20を吸収性物品に適用する場合、一方の面側20Tは肌当接面側となり、他方の面側20Bは非肌当接面側となる。壁部11Bの繊維は前述のとおり縦配向していることが好ましい。また、壁部11Bの形状は第2繊維層M2に対して垂直に延在し、頂部11Aと底部12とを垂直に連結している。
この壁部11Bの繊維の縦配向を示す縦配向率は、図4に示すように、畝部11の延出する方向と直交する断面(図3における、一方向Yと交差する方向Xに沿うR1-R1線の位置における厚み方向断面)において、前述の方法(壁部1Bにおける繊維の縦配向率の測定方法)に基づいて測定することができる。
また、壁部11Bの「垂直」は、図4に示すように、畝部11の延出する方向と直交する断面(図3における、一方向Yと交差する方向Xに沿うR1-R1線の位置における厚み方向断面)において、壁部11Bの繊維層の幅の中心線Mと、不織布20(第2繊維層M2)の他方の面側20Bの表面に接する直線Lとがなす角度のうちの内角の角度を意味する。この角度θは、前述のマイクロスコープによって得られるR1-R1線断面の顕微鏡写真を観察して求めることができる。
各畝部11は、図4に示すように、第2繊維層M2の進入混合層5が食い込んで配されている。この進入混合層5は、図5に示すように、畝部11の延出する方向に沿う断面(図3における、一方向Yに沿うR2-R2線の位置における厚み方向断面)において、畝部11すなわち中空部11Cの延出方向である一方向Yに沿って延出して配されている。そのため、進入混合層5による前述の作用が、畝部11に沿う一方向Y全体で発現される。
不織布20は、第1繊維層M1における前述の凸部1として、前述の畝部11と共に、隣り合う畝部11、11を繋ぐ鞍部15を有する。鞍部15は、畝部11と同様に、第2繊維層M2から不織布20の一方の面側20Tに突出しており、不織布20の厚み方向に立設された立体的な繊維層である。より具体的には、鞍部15は、一方の面側20Tの頂部15Aと頂部15Aを支持する壁部15Bとを備える。壁部15Bの繊維は前述のとおり縦配向していることが好ましい。また、壁部15Bは、第2繊維層M2に対して垂直に延在している。前記「垂直」は、前述の畝部11において定義した「垂直」と同義である。
鞍部15における壁部15Bの縦配向を示す縦配向率及び壁部11Bの「垂直」は、図6に示すように、鞍部15の延出する方向と直交する断面(図3における、一方向Yに沿うR3-R3線の位置における厚み方向断面)について、壁部11Bについての前述の測定方法と同様にして測定できる。
上記構造により、鞍部15によって繋がれた畝部11同士が接近し難くされ、押圧等の外力で畝部11が一方向に倒れてしまうことが抑制される。すなわち、鞍部15が、畝部11を側面側から支持して、畝部11の形状保持性を高めている。これにより、荷重下での畝部11の厚みが更に残りやすい。例えば、不織布20を表面シート等として吸収性物品に組み込んだ場合に吸収性物品の着用時の着用者の体圧があっても、頂部11Aと他方の面側(非肌当接面側)20Bの吸収体側との距離が保持されやすく、一方の面側(肌当接面側)20Tへの液戻りが更に生じ難くされている。更に、鞍部15の存在によって、畝部11、11間において排泄液の堰き止め作用が働き、不織布20の一方の面側(肌当接面側)20Tにおいて液流れ防止性が高められる。
鞍部15は、不織布20の一方の面側20Tからの平面視において、畝部11の延出する一方向Yと交差する方向Xに延出している。鞍部15の延出する方向Xは、隣り合う畝部11を繋ぐ方向である限り種々の方向とすることができ、畝部11の延出する一方向Yと直交する方向であることが好ましい。例えば、畝部11の延出する一方向Yを吸性物品の長手方向とし、鞍部15の延出する、前記一方向と交差する方向Xを吸収性物品の幅方向とすることが好ましい。以下、一方向Y及び該一方向Yと直交する方向Xは、畝部11の延出方向Y及び鞍部15の延出方向Xともいう。
また、各鞍部15の、一方の面側20Tから見た平面形状は、図3に示すような矩形に限らず、種々のものとすることができる。例えば、鞍部15の、一方の面側20Tから見た平面形状は、畝部11に向かうにつれて幅が広がるようにされてもよい。
鞍部15は、不織布20の一方の面側20Tの平面視において、畝部11、11の間の、畝部11と平行に延在する複数の帯領域16に配されている。各帯領域16において、並走する畝部11の延出方向Yに沿って、複数の鞍部15が間隔をあけて配されている。鞍部15が間隔をあけた部分に前述の底部12がある。すなわち、各帯領域16において、鞍部15と底部12(図1における底部2に相当)とが交互に配置されている。これにより、底部12は、畝部11の壁部11Bと鞍部15の壁部15Bによって囲まれている。より具体的には、厚み方向に立設された立体的な繊維層である複数の畝部11及び複数の鞍部15に囲まれた領域が箱型又は筒型の凹部とされ、該凹部の底に底部12が配されている。図3に示す例では、不織布20の一方の面側20Tからの平面視において、畝部11及び鞍部15が格子状に配置され、底部12が格子状の中に点在して升目状に配置されている。
鞍部15は、畝部11と同様の立体的な繊維構造を有するものの、図6及び図7に示すように、畝部11よりも底部12からの高さが低い部分を有することが好ましい。これにより、不織布20の一方の面側20Tでの肌との接触面積を低減して、肌触りの良さを保持し、通気性を高めて肌との間で蒸れを更に抑えることができる。
畝部11の厚み方向の高さH3と鞍部15の厚み方向の高さH4の差(H3-H4)は、上記作用をより良好にする観点から、0.5mm以上7mm以下が好ましい。なお、畝部11の厚み方向の高さH3は、不織布20(第2繊維層M2)の他方の面側10Bの平面から畝部11の頂部11Aの一方の面側20Tまでの厚み方向の距離である。鞍部15の厚み方向の高さH4は、不織布20(第2繊維層M2)の他方の面側20Bの平面から鞍部15の頂部15Aの最も低い位置の一方の面側20Tまでの厚み方向の距離である。
(畝部11の厚み方向の高さH3と鞍部15の厚み方向の高さH4の差の測定方法)
不織布20について、図6に示すように、鞍部15の最も高さの低い位置における、鞍部15が配列する帯領域16の延出方向に沿った厚み方向断面(図3における、R3-R3線の位置における厚み方向断面)を作製し、水平な台に第2繊維層M2の他方の面側20Bの平面が当接するよう設置する。水平な台から畝部11の頂部11Aの一方の面側20Tまでの高さH3と、鞍部15の頂部15Aの一方の面側20Tまでの高さH4を測定する。これらの測定値から、高さの差(H3-H4)を算出する。水平な台からの高さの測定には、いずれも前述のマイクロスコープを用いることができる。
また、鞍部15は、不織布20を吸収性物品の表面シート等とした場合における不織布20の液吸収性及びそれによる表面のドライ性を高める観点、他方の面側20Bへの排液を更に促進させる観点から、図6示すように中空部15Cを有する。この中空部15Cの定義及び測定方法は、畝部11における中空部11Cのものと同様である。これにより、不織布20の液吸収性を高め、他方の面側20Bでの排泄液の拡散を促進して、一方の面側20Tでの液滞留を更に抑制する。その結果、不織布20での液残り量が更に低減されやすく、液の肌付着量の更なる低減を可能にする。
更に、図7の、鞍部15の延出する方向の断面(図3における、一方向Yと交差する方向Xに沿うR4-R4線の位置における厚み方向断面)に示すように、鞍部15と畝部11との交差する部分において、鞍部15の中空部15Cが畝部11の中空部11Cと繋がって連通していることが好ましい。これにより、第2繊維層M2の他方の面側20Bにおいて、中空部15Cと中空部11Cとの間で液を縦横に流通させることができ、第2繊維層M2の吸水性繊維での液吸収性を高めることができる。また、中空部15Cと中空部11Cとの間での通気性が高められ、蒸れを抑制することができる。
加えて、鞍部15において、図6及び図7に示すように、第2繊維層M2の進入混合層5が食い込んで配されている。この進入混合層5は、鞍部15すなわち中空部15Cの延出方向である、一方向Yと交差する方向Xに沿って延出して配されことで、進入混合層5による前述の作用が、鞍部15に沿う方向X全体で発現される。
さらに、図7に示すような中空部11Cと中空部15Cとの連通に伴い、進入混合層5が中空部11C及び中空部15Cで繋がって縦横に格子状に配置されると、前述のクッション性、並びに、液吸収性及びそれによる表面のドライ性が不織布10全体で均等に発現されることとなり好ましい。
次に、不織布20の製造方法の好ましい実施形態について、図8~図12を参照しながら説明する。以下に示す製造方法は、不織布10の製造方法にも適用され得る。
本実施形態の製造方法は、図8に示す通り、次の4つの工程を有する(以下、それぞれの工程を、工程(I)、工程(II)、工程(III)、工程(IV)ということがある。)。
(I)複数の突起121と突起121、121間の凹部125とを備えた凹凸形状の支持体120上に第1繊維ウエブ100を載置し、凹部125に沿って、繊維ウエブ100を、押し込み部材130の押し込み部131によって押し込んで賦形し、凹凸繊維ウエブ101を形成する、押し込み工程。
(II)支持体120から押込み部材130を取り外した後、凹凸繊維ウエブ101に第1の熱風W1を吹き付けて繊維同士を融着させて凹凸不織布102を得る工程。
(III)第2繊維ウエブ103を供給して、凹凸不織布102における突起121にて押し上げられた部分の側に積層させる工程。
(IV)第2の熱風W2を吹き付けて凹凸不織布102と第2繊維ウエブ103との繊維同士を融着させ、かつ第2繊維ウエブ103中の繊維同士を融着する熱融着工程。
上記の第1繊維ウエブ100は不織布20における第1繊維層M1の前駆体であり、熱可塑性繊維を含む。第2繊維ウエブ103は不織布20における第2繊維層M2の前駆体であり、熱可塑性繊維61及び吸水性繊維62を混合して含む。
上記の第1繊維ウエブ100及び第2繊維ウエブ103の「繊維ウエブ」とは、熱可塑性繊維を含む構成繊維が融着固定されずに緩やかに交絡し、それ自体ではシートとしての保形性を有さない繊維集合体のことである。すなわち、不織布化される前の繊維集合体である。そのため、繊維ウエブにおける繊維間の移動性は高く、前記押し込み工程における繊維ウエブの変形性が高い。このような第1繊維ウエブ100及び第2繊維ウエブ103はそれぞれ、所定の厚さとなるようカード機(図示せず)から供給される。
工程(I)において、図8(A)に示す通り、支持体120上の第1繊維ウエブ100に対して押し込み部材130を用いて機械的な圧力で直接的に押し込む。これにより、不織布20における第1繊維層M1となる凹凸繊維ウエブ101を形成する。このような賦形は、風などの、機械的でない圧力で押し込んだ場合に比べ、繊維が強配向し、不織布平面に対して垂直な配向を得ることができる。また、第1繊維ウエブ100に対して賦形する凹凸高低差を大きくするのに、さほど押し込む力を強くする必要がなく、第1繊維ウエブ100を柔らかく賦形することができる。また、繊維の乱れを抑えて賦形性を高めることができる。
支持体120には、例えば図8に示すようなドラム状のものであり、ドラム周面にて、例えば図8(A)に示すような突起121を有る。支持体120のドラム周面では、例えば図9に示すように、複数の突起121が一方向(第一方向D1)とそれに直交する方向(第二方向D2)に間隔を空けて配置されている。複数の突起121が第一向D1に配列されてなる突起部列121Aが複数、第二方向D2に互いに離間して配列されている。
凹部125には、突起部列121A、121A間で第一方向D1に延在する第一凹部125A、突起部列121Aにおいて突起121、121間にある第二凹部125Cを有する。第二凹部125Cは、隣接する第一凹部125Aに接続し、第一凹部125Aを介して間欠的に第二方向D2に延在している。
支持体120において、突起121は、不織布20における第1繊維層M1の底部12が形成される位置に対応して複数、配置されている。突起部列121Aにおける突起121、121間の第二凹部125Cは、不織布20における第1繊維層M1の鞍部15が賦形される位置にある。すなわち、突起部列121Aは、不織布20の第1繊維層M1における畝部11、11間の帯領域16となる位置にある。第一凹部125Aは、不織布20の第1繊維層M1における畝部11となる位置にある。
各凹部125の底部は熱風が吹き抜ける構造となっており、例えば複数の孔が配されている(図示せず)。
押し込み部材130は、例えば図8に示すようなロール状のものであり、ロール周面にて、例えば図8(A)に示すような押し込み部131を有する。押し込み部材130のロール周面では、例えば図10に示すように、第一方向D1に連続する押し込み部131が複数、第二方向D2に間隔をあけて配置されている。押し込み部131、131間は、第一方向D1に連続する凹部132とされている。
押し込み部材130の押し込み部131は、支持体120の第一凹部125Aに対応する。押し込み部材130の凹部132は、支持体120の突起部列121Aに対応する。
押し込み部材130の凹部132の底部は熱風が吹き抜ける構造となっており、例えば複数の孔が配されている(図示せず)。
押し込み部材130の押し込み部131の高さは、支持体120の突起121同士の間に十分に挿入されるようにするために、1mm以上の長さを有することが好ましい。
支持体120及び押し込み部材130における前述の第一方向D1及び第二方向D2は、製造工程における機械流れ方向(Machine Direction、MD)及び機械流れ方向に直交する幅方向(Cross Drection、CD)であることが好ましい。製造工程における機械流れ方向及び幅方向は、不織布20における一方向Y及び一方向Yと交差する方向Xに対応することが好ましいく、不織布20を含む吸収性物品における長手方向及び幅方向に対応することが好ましい。ただし、第一方向D1及び第二方向D2は、これらに限定されない。
工程(I)において、支持体120の突起121を支持体130の凹部132に挿入する。支持体120の第一凹部125Aに支持体130の突起131を挿入する(図8(A)及び図11)。この支持体120(図9)と押し込み部材130(図10)との間の押し込み合いにより、第1繊維層M1が有する凹凸形状を好適に形成することができる。
支持体120の第一凹部125Aの位置で、押し込み部材130の押し込み部131にて第1繊維ウエブ100を押し込んで賦形する。この部分が、不織布20の第1繊維層M1における畝部11になる。このとき、支持体120の突起121と押し込み部材130の押し込み部131との間で、第1繊維ウエブ100の繊維が厚み方向に沿う垂直立設された形状に賦形される。賦形された繊維は、融着していない移動性の高いものであるため、厚み方向に配向する。この部分が、不織布20の第1繊維層M1における畝部11の壁部11Bとなる。
一方、支持体120の突起121の位置で第1繊維ウエブ100の繊維が押し込み部材130の凹部132の底部へと押し上げられる。この部分が、不織布20の第1繊維層M1における底部12となる。
支持体120の突起部列121Aにおける突起121、121間の第二凹部125Cには、押し込み部材130の凹部132が対応するため、押し込み部131が入り込まない。しかし、突起部列121Aの第二凹部125Cにある第1繊維ウエブ100の繊維に対して、その両脇において、押し込み部材130の押し込み部131、131の押し込み力が作用する。この作用により、第二凹部125Cにある第1繊維ウエブ100の繊維は、両脇の押し込み部131、131によって第二方向D2に伸ばされ、厚み方向に押し込まれて、厚み方向に賦形されると共に繊維の配向が変わる。この部分が、不織布20の第1繊維層M1における鞍部15になる。鞍部15は頂部15Aと壁部15Bを有するものとされ、壁部15Bは、畝部11の壁部11Bと同様のものとなる。
なお、支持体120の突起121の高さ及び押し込み部材130の押し込み部131の高さは、製造する不織布の厚み等によって適宜決定される。例えば、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上が更に好ましく、また、15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、9mm以下が更に好ましい。具体的には、2mm以上15mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましく、5mm以上9mm以下が更に好ましい。
次いで、工程(II)は、支持体120から押込み部材130を取り外した後、凹凸繊維ウエブ101に第1の熱風W1を吹き付けて繊維同士を融着させて凹凸不織布102を得る(図8(B))。この凹凸不織布102が、不織布20の第1繊維層M1となる。例えば、支持体120上に凹凸繊維ウエブ101を保持したまま回転して、支持体120と押し込み部材130との噛み合い箇所を通過後、図8(B)において凹凸開孔繊維ウエブ101に対する第1の熱風W1の吹き付けが、熱風吹き付け部140の位置において行われる。支持体120は、ドラム内部において、熱風吹き付け部140と対向する位置に熱風吸引部141を有することが好ましい。
第1の熱風W1の温度は、凹凸繊維ウエブ101を構成する熱可塑性繊維を溶融して、繊維同士の交差部に繊維融着部を形成できる温度に設定される。この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、凹凸繊維ウエブ101を構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃以上70℃以下高いことが好ましく、5℃以上50℃以下高いことがより好ましい。
第1の熱風W1の風速は、効果的に融着させる観点から、1m/s以上が好ましく、2m/s以上がより好ましい。また、第1の熱風W1の風速は、装置規模をコンパクトにできる観点から、100m/s以下が好ましく、80m/s以下がより好ましい。
次いで、工程(III)は、第2繊維ウエブ103を供給して、凹凸不織布102の突起121にて押し上げられた部分(底部12)の側に積層させる(図8(C))。例えば、第1の熱風W1を吹き付けて形成した凹凸不織布102を支持体120のドラム周面から離間させて、突起121によって底部12が形成された側を上にしてベルトコンベアーで下流へと搬送し、その底部12の側に第2繊維ウエブ103を合流させて積層する。
次いで、工程(IV)は、融着炉170内にて、第2の熱風W2を吹き付けて凹凸不織布102と第2繊維ウエブ103との繊維同士を融着させ、かつ第2繊維ウエブ103中の繊維同士を融着する(図8(D))。これにより、凹凸不織布102と第2繊維ウエブ103とを一体化すると同時に、第2繊維ウエブ103を不織布化する。この第2繊維ウエブ103を不織布化したものが、不織布20の第2繊維層M2となる。
このとき、図8(D)に示すように、凹凸不織布102側を下にしてネット180上に載置して、第2繊維ウエブ103の側から第2の熱風W2を吹き付けることで、第2繊維ウエブ103が押し込まれる。押し込まれた第2繊維ウエブ103が凹凸不織布102の畝部11の中空部11C及び鞍部15の中空部15Cに食い込むようにして進入し、進入混合層5が形成される。このようにして、凹凸不織布102(第1繊維層M1)の他方の面側20Bに第2繊維層M2(第2繊維ウエブ103の不織布化したもの)が密着し、繊維同士の交差部における繊維融着部を形成して一体化して、前述の不織布20が得られる。
第2の熱風W2の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、凹凸不織布102及び第2繊維ウエブ103を構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃以上70℃以下高いことが好ましく、5℃以上50℃以下高いことがより好ましい。
第2の熱風W2の風速は、第2繊維ウエブ中の繊維同士を融着させる観点、及び凹凸不織布102と第2繊維ウエブ103とを十分な強度で固定させる観点から、0.3m/s以上が好ましく、0.4m/s以上がより好ましい。また、第2の熱風W2の風速は、クッション性を高める観点から、50m/s以下が好ましく、30m/s以下がより好ましい。
なお、上記の製造方法では、押し込み部材130は、図10に示すような、第一方向D1に連続する押し込み部131を備えるものに限定されない。例えば、押し込み部131を格子状にして、格子状の押し込み部131の間を枡状の凹部132としてもよい。この場合、賦形される鞍部15の高さがより高くなり、凹凸がより明確になる。
上記の不織布20の製造方法において、図2に示すように底部2に開孔部13を形成する場合、例えば、図12に示す支持体雄材120Aを用いることができる。
支持体雄材120Aは、突起121の先端に尖塔部122を有する。この尖塔部122により、第1繊維層M1の底部12における開孔部3を形成する。
本実施形態の不織布の製造方法において、第1の熱風W1を吹き付けた後に、冷却工程があることが好ましい。例えば図8に示すように、第1の熱風W1を吹き付けて得た凹凸不織布102が支持体110のドラム外周に沿わされている位置において、冷却ノズルを有する冷却部160と、支持体110のドラム内部の冷却吸引部161とを対向配置させることが好ましい。これにより、支持体120を一定温度以下に抑えることができ、得られた不織布を、形状を保持したまま剥がすことができる。その結果、製造される不織布20において、第1繊維層M1の壁部11B及び15Bの形状を良好に保持して、良好なクッション性、並びに、液吸収性及びそれによる表面のドライ性をより優れたものとすることができる。
本発明の不織布は各種用途に用いることができる。例えば、各種の吸収性物品の構成部材として用いることができる。前記各種の吸収性物品には、成人用や乳幼児用のおむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の身体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
本発明の不織布を有する吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。前記吸収性物品において、本発明の不織布は、着用者の肌に当接する表面シートとして好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」は、特に断らない限りいずれも質量基準である。「←」は、左側の欄と同じ値を有することを意味する。
(実施例1)
図8に示す製造方法に基づいて、図3~図7に示す不織布を下記条件にて作製し、これを実施例1の不織布試料とした。
第1繊維ウエブ100は、繊度1.3dtex(繊維径13μm)の芯鞘型(ポリエチレンテレフタレート(PET)(芯):ポリエチレン(PE)(鞘)=5:5(質量比))の熱可塑性繊維を用いた坪量30g/mの繊維ウエブとした。
第2繊維ウエブ103は、繊度2.4dtex(繊維径17μm)の芯鞘型(ポリエチレンテレフタレート(PET)(芯):ポリエチレン(PE)(鞘)=5:5(質量比))の熱可塑性繊維と、繊度3.0dtex(繊維径14μm)のコットン繊維(丸三産業株式会社製)を用いた坪量40g/mの繊維ウエブとした。第2繊維ウエブ103全体の繊維本数に占める熱可塑性繊維61の含有本数割合を90%とし、吸水性繊維62の含有本数割合を10%とした。
支持体120の突起121の平面視におけるMDピッチを5mm、CDピッチを5mmとし、突起高さを12.0mmとした。押込み部材130の押し込み部131のCDピッチを5.0mmとし、押し込み部高さを5.0mmとした。
第1の熱風W1の温度160℃、風速20m/秒とした。第2の熱風W2の温度160℃、風速2.0m/秒とした。
作製した実施例1の不織布試料は、第1繊維層M1と第2繊維層M2とを有し、第1繊維層M1の凸部である縦畝部11及び横畝部15の中空部11C及び15Cに入り込む第2繊維層M2の進入混合層5を有していた。第1繊維層M1の厚み(凸部1の厚み)H1に対する進入混合層5の厚みH2の比(H2/H1)は0.33であった。また、実施例1の不織布試料の4.9mN/cm(0.05gf/cm)荷重下における厚みは、表1に示すとおりであった。
(実施例2)
第2繊維ウエブ103全体の繊維本数に占める熱可塑性繊維及び吸水性繊維の含有割合をそれぞれ50%ずつとした以外は、実施例1と同様にして実施例2の不織布試料を作製した。
(実施例3)
第2繊維ウエブ103を構成する熱可塑性繊維の繊度を7.8dtex(繊維径33μm)とした以外は、実施例2と同様にして実施例3の不織布試料を作製した。
(実施例4)
図2に示すように、第1繊維層M1の底部2に開孔部3を形成した以外は、実施例2と同様にして実施例4の不織布試料を作製した。
(比較例1)
第2繊維ウエブ103にコットン繊維(吸水性繊維)を含有させなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の不織布試料を作製した。
(比較例2)
第2繊維ウエブ103にコットン繊維(吸水性繊維)を含ませなかった以外は、実施例3と同様にして比較例1の不織布試料を作製した。
(比較例3)
実施例3で用いた第1繊維ウエブ100と第2繊維ウエブ103とを積層し、その積層ウエブを実施例1と同様の支持体120に定着させ、押し込み操作を行うことなく実施例1と同様の熱処理を行うことで、中空部を持たない凹凸不織布を得た。この凹凸不織布を比較例3の不織布試料とした。
また、上記の各実施例及び各比較例について下記の試験を行った。その結果は下記表1に示す通りであった。
下記の各試験は、各不織布試料を用いて作製したおむつ試料に対して行った。おむつ試料の作製は次のようにして行った。
市販のベビー用おむつ(商品名「メリーズさらさらエアスルーSサイズ」、花王株式会社、2020年製)から表面シートを取り除いたものを吸収性コアとし、実施例及び比較例の各不織布試料から100×250mmに切出した不織布を積層した。前記不織布は、第2繊維層面側が前記吸収性コア側に向くようにして積層し、積層された不織布の周囲を固定して、評価用のおむつを作製した。
(1)クッション性(微小荷重時の圧縮特性値)
本発明において、上記の微小荷重時の圧縮特性は、下記の方法により測定される値であり、クッション感を表す特性値として定義する。この微小荷重時の圧縮特性値はクッション感と相関があることを見出している。(微小荷重時の)圧縮特性値は高い数値ほど、小さな荷重で潰れやすいこと(指等で触れた部分が窪みやすいこと)を示しており、人間のクッション感を感じる感覚の良好さを表すことができる。
測定は22℃65%RH環境下にて行う。微小荷重時の圧縮特性値の算出の元となるデータの測定はカトーテック株式会社製のKES FB3-AUTO-A(商品名)を用いた。測定対象の不織布を20cm×20cmに3枚カットして測定サンプルを準備する。次にそのうちの1枚の測定サンプルを試験台に上に向けて設置する。次に、面積2cmの円形平面をもつ鋼板間で圧縮する。圧縮速度20μm/sec、最大圧縮荷重9.80cN/cm(10.0gf/cm)、回復過程も同一速度で測定する。このとき、鋼板間の変位量をx(mm)とし、荷重をy(cN/cm)とし、荷重を検知した点の位置をx=0として圧縮方向に測定する。xの値は圧縮されるほど大きくなる。
微小荷重時の圧縮特性値は測定したデータ(x、y)より、微小荷重時の厚みの変形量を抽出して算出する。具体的には回復過程ではない一回目の、荷重が0.29cN/cm(0.30gf/cm)から0.98cN/cm(1.00gf/cm)の間の荷重とそのときの変形量のデータを抽出し、xとyの関係について近似直線を最小二乗法により求め、そのときの傾きを上記特性値とする(単位(cN/cm)/mm)。1枚の測定サンプルで3箇所測定する。3枚のサンプル合計9箇所の測定を行う。9箇所それぞれの特性値を算出して、それらの平均値をその不織布の微小荷重時の圧縮特性値とする。
なお、不織布について測定するに際して、その測定対象の不織布が吸収性物品の構成部材として使用され、接着剤や融着などによって他の構成部材と接合されている場合には、測定対象の不織布を無理に剥がさずに、他の構成部材との接合部を除去した上で、吸収性物品から取り出すことが好ましい。斯かる接合部の除去方法としては、例えば、溶剤の塗布、ドライヤーによる熱風吹き付け、コールドスプレー(例えばニチバン株式会社製の市販品)の吹き付けなどが挙げられる。特に、測定対象の不織布の変質を極力避ける観点から、前述のとおり、測定対象の不織布と他の構成部材との接合部にコールドスプレーを吹き付けてから、測定対象の不織布を剥がすことが好ましい。
(2)吸収性試験(液体の吸収時間)
不織布に13.6g/cmの圧力となる荷重を均等にかけ、不織布のほぼ中央に設置した筒(断面積1017mm)を介して人工尿を注入した。人工尿は、10分ごとに30gずつ3回注入し、全量が吸収されるまでの時間(秒)を測定した。筒内部に人工尿が確認されなくなったときを、「全量が吸収された」とした。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液体の吸収時間(秒)とし、液体の吸収時間が短いほど、液体が内部に浸透しやすい。すなわち、液体の引き込み性が優れている。
(3)吸収性試験(液戻り量試験)
この吸収性物品の長手方向において腹側端縁部から165mm、幅方向において中央部に当たる位置に着色した人工尿(組成:尿素1.940質量%、塩化ナトリウム0.795質量%、硫酸マグネシウム0.110質量%、塩化カルシウム0.062質量%、硫酸カリウム0.197質量%、赤色2号(染料)0.010質量%、水(約96.88質量%)30gを10秒間かけて注入した。注入開始から10分後に、再度30gを注入した。この操作をさらに1回繰り返し、計90gの人工尿を注入した。試験雰囲気の温度は室温(20±5℃)、人工尿の温度は室温(20±5℃)のものを使用した。
注入完了から10分後に、アドバンテック社製のろ紙No.4A(100mm×100mm,質量測定W1)を10枚重ねたものを、注入点を中心として不織布上に置いた。厚さ5mm、100mm×100mmのアクリル板を介して、3.5kPaの圧力を掛け、2分後にろ紙の質量を測定し(W2)、下記式(I)のようにして、液戻り量を算出した。
液戻り量(mg)
=加圧後のろ紙の質量(W2)-最初のろ紙の質量(W1)
以上の操作を3回行い、3回の平均値を液戻り量(mg)とし、液戻り量が少ないほど、液戻りが起こり難く高評価となる。
Figure 2024046547000002
表1に示すように、各実施例の不織布試料は、各比較例の不織布試料に比して、微小荷重時の圧縮変形特性値が高く、優れたクッション性を示していた。同時に、各実施例の不織布試料は、中空部を持たない比較例3の不織布試料に比して液体吸収時間が短く、各比較例の不織布試料に比して液戻り量が少なくなっていた。以上のことから、各実施例の不織布試料は、各比較例に比して優れたクッション性と、液吸収時における表面の高いドライ性とを同時に備えていた。
M1 第1繊維層
M2 第2繊維層
1 凸部
1A 頂部
1B 壁部
1C 中空部
2 底部
3 開孔部
5 進入混合層
10、20 不織布
10T、20T 一方の面側
10B、20B 他方の面側

Claims (8)

  1. 厚み方向に積層された第1繊維層と第2繊維層とを有し、それぞれの繊維層に繊維同士の交差部における繊維融着部を含む不織布であって、
    前記第1繊維層は、複数の凸部と、隣り合う凸部間に設けられた底部とを備えた凹凸構造を有し、前記複数の凸部それぞれは、頂部と、該頂部を支持する壁部とを備え、内部に中空部を有し、
    前記第1繊維層の前記底部がある側に前記第2繊維層を有しており、
    前記第2繊維層は、熱可塑性繊維及び吸水性繊維を含み、熱可塑性繊維及び吸水性繊維の混合層が前記第1繊維層の中空部にまで入り込んでいる、吸収性物品用不織布。
  2. 前記第2繊維層の構成繊維に占める吸水性繊維の本数割合が10%以上50%以下である、請求項1記載の吸収性物品用不織布。
  3. 前記第2繊維層に含まれる前記熱可塑性繊維の繊維径が前記吸水性繊維の繊維径よりも大きい、請求項1又は2記載の吸収性物品用不織布。
  4. 前記第1繊維層は、前記底部に、厚み方向に貫通する開孔部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  5. 目付が20g/m以上100g/m以下である、請求項1~4いずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  6. 4.9mN/cm荷重下における厚みが1.0mm以上10mm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  7. 前記壁部の繊維が縦配向している、請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の吸収性物品用不織布を有する吸収性物品。
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