JP2023165278A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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和也 上西
Kazuya Uenishi
佑樹 高橋
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Abstract

【課題】加硫後に、切断時強度及び切断時伸びが高く、低発熱性にも優れるゴム組成物、及び、上記ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供する。【解決手段】ジエン系ゴムと、複合体とを含有するゴム組成物であって、上記複合体が、(メタ)アクリレートと、環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有し、上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が重合性不飽和基含有基を有する、ロタキサンとの共重合体からなる、高分子微粒子と、無機フィラーとの、複合体である、ゴム組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
従来、カーボンブラックやシリカを含有するゴム組成物が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2014-28902号公報
昨今、求められる安全レベルの向上に伴い、加硫後の切断時強度や切断時伸びの向上が求められている。また、環境問題に伴い、加硫後の発熱性の低減も求められている。
このようななか、本発明者らが特許文献1に記載のゴム組成物について検討したところ、将来のさらなる要求まで考慮した場合、切断時強度、切断時伸び、及び、低発熱性のさらなる向上が望ましいことが明らかになった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、加硫後に、切断時強度及び切断時伸びが高く、低発熱性にも優れるゴム組成物、及び、上記ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、(メタ)アクリレートとロタキサンとの共重合体からなる高分子微粒子と、無機フィラーとの複合体を配合することで、切断時強度、切断時伸び、及び、低発熱性が向上することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) ジエン系ゴムと、複合体とを含有するゴム組成物であって、
上記複合体が、
(メタ)アクリレートと、環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有し、上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が重合性不飽和基含有基を有する、ロタキサンとの共重合体からなる、高分子微粒子と、
無機フィラーとの、複合体である、ゴム組成物。
(2) 上記高分子微粒子における、上記(メタ)アクリレートに対する上記ロタキサンの割合が、0.001モル%以上0.1モル%未満である、上記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 上記環状分子及び上記軸分子の両方が、重合性不飽和基含有基を有する、上記(1)又は(2)に記載のゴム組成物。
(4) 上記複合体の含有量(ただし、さらにカーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有する場合は、上記複合体と上記充填剤との合計の含有量)が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部である、上記(1)~(3)のいずれかに記載のゴム組成物。
(5) 上記ジエン系ゴムが、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム及び天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、上記(1)~(4)のいずれかに記載のゴム組成物。
(6) 上記高分子微粒子の調和平均径が、2000nm以下である、上記(1)~(5)のいずれかに記載のゴム組成物。
(7) 上記(1)~(6)のいずれかに記載のゴム組成物を用いて製造された、タイヤ。
以下に示すように、本発明によれば、加硫後に、切断時強度及び切断時伸びが高く、低発熱性にも優れるゴム組成物、及び、上記ゴム組成物を用いて製造されたタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤの実施態様の一例を表す部分断面概略図である。
以下、本発明のゴム組成物、及び、本発明のタイヤについて説明する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について量とは、特段の断りが無い限り、合計の量を指す。
また、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
また、本明細書において、脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であっても、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、また、鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
また、本発明のゴム組成物について、加硫後に、切断時強度及び切断時伸びが高く、低発熱性に優れ、硬度が高いことを、「本発明の効果等が優れる」とも言う。
[I]ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、
ジエン系ゴムと、複合体とを含有するゴム組成物であって、
上記複合体が、
(メタ)アクリレートと、環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有し、上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が重合性不飽和基含有基を有する、ロタキサンとの共重合体からなる、高分子微粒子(以下、「特定高分子微粒子」とも言う)と、
無機フィラーとの、複合体(以下、「特定複合体」とも言う)である、ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)である。
特定複合体において、特定高分子微粒子は、無機フィラーを被覆する等、無機フィラーと相互作用して複合体を形成している。ここで、特定高分子微粒子は(メタ)アクリレートとロタキサンとの共重合体であり、柔軟性に優れる。そのため、特定複合体は、特定高分子微粒子の柔軟性と無機フィラーの剛性とが相まって、極めて優れた機械的特性(切断時強度、切断時伸び、硬度)を示すものと考えられる。本発明の組成物はこのような複合体を含有するため、極めて優れた機械的特性を示すものと考えられる。
以下、本発明の組成物が含有する各成分について説明する。
[1]ジエン系ゴム
本発明の組成物が含有するジエン系ゴムは特に限定されない。
本発明の組成物は1種のジエン系ゴムを含有するのでも2種以上のジエン系ゴムを含有するのでもよい。
[具体例]
上記ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br-IIR、Cl-IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。上記芳香族ビニル-共役ジエン共重合体ゴムとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレン共重合ゴムなどが挙げられる。
上記ジエン系ゴムは、本発明の効果等がより優れる理由から、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム及び天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含むのが好ましく、スチレンブタジエンゴムを含むのがより好ましい。
上記ジエン系ゴムがNR又はSBRを含有する場合、その含有量は、本発明の効果等がより優れる理由から、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されず、100質量%である。
[分子量]
上記ジエン系ゴムの数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、50,000~2,500,000であることが好ましく、100,000~1,500,000であることがより好ましく、150,000~1,000,000であることがさらに好ましい。
上記ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、100,000~5,000,000であることが好ましく、200,000~3,000,000であることがより好ましく、300,000~2,000,000であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、Mn及びMwは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
[2]特定複合体
特定複合体は、
(メタ)アクリレートと、環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有し、上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が重合性不飽和基含有基を有する、ロタキサンとの共重合体からなる、高分子微粒子(特定高分子微粒子)と、
無機フィラーとの、複合体である。
[特定高分子微粒子]
特定複合体に使用される特定高分子微粒子は、
(メタ)アクリレートと、環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有し、上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が重合性不飽和基含有基を有する、ロタキサンとの共重合体からなる、高分子微粒子である。
〔(メタ)アクリレート〕〕
特定高分子微粒子に用いられる(メタ)アクリレートは特に制限されず、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ジシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグルコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2-モルホリノエチル(メタ)アクリレート、9-アントリル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トランス-1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、p-メチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリメチルフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
<好適な態様>
上記(メタ)アクリレートは、本発明の効果等がより優れる理由から、下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Rは、炭素数1~10のアルキル基、又は、芳香族環を有するアルキル基を表す。
上記芳香族環を有するアルキル基としては、例えば、ベンジル基が挙げられる。
上記(メタ)アクリレートは、本発明の効果等がより優れる理由から、(メタ)アクリル酸と炭素数1~10のアルコールとのエステルであることが好ましく、(メタ)アクリル酸と炭素数1~5のアルコールとのエステルであることがより好ましい。
上記(メタ)アクリレートとして1種を用いても2種以上を併用してもよいが、本発明の効果等がより優れる理由から、2種以上を併用するのが好ましく、(メタ)アクリル酸と炭素数2~5のアルコールとのエステルとメチル(メタ)アクリレートとを併用するのがより好ましい。
〔その他のモノマー〕
特定高分子微粒子は、上述した(メタ)アクリレートに加えて、(メタ)アクリレート以外のモノマー(その他のモノマー)を使用してもよいが、全モノマー((メタ)アクリレート、その他のモノマー)に対する(メタ)アクリレートの合計の割合は、本発明の効果等がより優れる理由から、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。全モノマーに対する(メタ)アクリレートの合計の割合の上限は特に制限されず、100モル%である。
〔特定ロタキサン〕
特定高分子微粒子に用いられるロタキサンは、環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有し、上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が重合性不飽和基含有基を有する、ロタキサン(以下、「特定ロタキサン」とも言う)である。
<環状分子>
上記環状分子は特に制限されないが、その具体例としては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、クラウンエーテル、及び、これらの誘導体等が挙げられる。
上記環状分子は置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ヘキサノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、1,2-ジヒドロキシプロピル基、シクロヘキシル基、ブチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基、フェニル基、ポリカプロラクトン基、アルコキシシラン基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シンナモイル基、ポリマー鎖(ポリカプロラクトン基、ポリカーボネート基など)、及び、これらの誘導体等が挙げられる。
上記環状分子は、本発明の効果等がより優れる理由から、クラウンエーテル、又は、クラウンエーテルの誘導体であることが好ましい。
1つの特定ロタキサンが有する環状分子の数は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、1であることが好ましい。
<軸分子>
上記軸分子は、上記環状分子を貫通する軸状(棒状)の分子であり、通常、その両末端に上述した環状分子の脱離を防止するための嵩高い末端官能基を有する。
(軸状部分)
上記軸分子は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
なお、上記2価の脂肪族炭化水素基を構成する1又は2以上の炭素原子は、-O-、-S-、-SO-、-N(R)-(R:水素原子又は置換基)、-CO-、-COO-、-CONR-(R:水素原子又は置換基)、又は、これらを組み合わせた基によって置き換えられていてもよい。
上記2価の脂肪族炭化水素基は、本発明の効果等がより優れる理由から、上記2価の脂肪族炭化水素基を構成する少なくとも1つの炭素原子が、-O-、-S-、-SO-、-N(R)-(R:水素原子又は置換基)、-CO-、-COO-、-CONR-(R:水素原子又は置換基)、又は、これらを組み合わせた基によって置き換えられたものであることが好ましい。
(末端官能基)
上述のとおり、上記軸分子は、通常、その両末端に上述した環状分子の脱離を防止するための嵩高い末端官能基を有する。
上記末端官能基は特に制限されないが、その具体例としては、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、ジニトロフェニル基、アダマンタン基、トリチル基、フルオレセイン基、シルセスキオキサン基、ピレン基、及び、これらの誘導体等が挙げられる。
上記軸分子は、本発明の効果等がより優れる理由から、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基であることがより好ましい。
<炭素数>
上記軸分子の炭素数は、本発明の効果等がより優れる理由から、4~12であることが好ましい。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、6~10であることが好ましい。
なお、上記「軸分子の炭素数」とは、軸分子の軸状部分の炭素数であり、上述した末端官能基の炭素数、及び、軸分子が有する置換基(例えば、後述する重合性不飽和基含有基)の炭素数は含まれない。
<重合性不飽和基含有基>
上述のとおり、上述した環状分子及び上述した軸分子のうち少なくとも一方は、重合性不飽和基含有基を有する。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した環状分子及び上述した軸分子の両方が重合性不飽和基含有基を有するのが好ましい。上述した環状分子及び上述した軸分子の両方が重合性不飽和基含有基を有することで、特定ロタキサンのスライディング効果が生じて、柔軟性及び強靭性がさらに向上する。
また、上述した軸分子が上記重合性不飽和基含有基を有する場合、軸分子の軸状部分が上記重合性不飽和基含有基を有するのが好ましい。
上述した環状分子及び上述した軸分子は、それぞれ2以上の重合性不飽和基含有基を有していてもよい。
上記重合性不飽和基含有とは、重合性不飽和基、又は、重合性不飽和基を含有する基であり、-L-P(ここで、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Pは重合性不飽和基を表す)で表される基である。
上記重合性不飽和基含有基の重合性不飽和基は特に制限されないが、その具体例としては、ビニル基、アクリル基(アクリロイル基)、メタクリル基(メタクリロイル基)、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が好ましい。
上記-L-P中のLが2価の連結基である場合のその具体例としては、2価の脂肪族炭化水素基(特にアルキレン基)、2価の芳香族炭化水素基、-O-、-S-、-SO-、-N(R)-(R:水素原子又は置換基)、-CO-、-COO-、-CONR-(R:水素原子又は置換基)、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
<合成方法>
特定ロタキサンの合成方法は特に制限されず、公知の方法を組み合わせることで合成することができる。
〔特定ロタキサン/(メタ)アクリレート〕
上述した(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートに加えてその他のモノマーを使用する場合には、(メタ)アクリレートとその他のモノマーとの合計)に対する上述した特定ロタキサンの割合(以下、「割合A」とも言う)は、本発明の効果等がより優れる理由から、0.001モル%以上10モル%以下であることが好ましく、0.005モル%以上1モル%以下であることがより好ましく、0.01モル%以上0.1モル%未満であることがさらに好ましい。
〔合成方法〕
特定高分子微粒子の合成方法は特に制限されないが、(メタ)アクリレート(及び、その他のモノマー)並びに特定ロタキサンを、水中で開始剤とともに混合し、加熱することで、ラジカル重合させる方法等が挙げられる。
〔調和平均径〕
特定高分子微粒子の調和平均径は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、2000nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。上記調和平均径の下限も特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましく、200nm以上であることが特に好ましい。
なお、上記調和平均径は、粒子径測定機(マルバーン社製ゼータサイザーナノS)を用いてキュムラント法によって測定されたDMF(ジメチルホルムアミド)中の調和平均径である。
〔膨潤度〕
特定高分子微粒子の膨潤度は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、5以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましい。上記膨潤度の上限は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。
なお、上記膨潤度は、下記式によって表されるパラメータである。
膨潤度=(D(DMF))/(D(水))
ここで、D(DMF)は、上述したDMF中の調和平均径を表す。また、D(水)は水中の調和平均径を表し、その測定方法は、DMFの代わりに水を用いる点以外上述したDMF中の調和平均径と同じである。
〔分子量〕
特定高分子微粒子の重量平均分子量は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、1,000~1,000,000であることが好ましく、10,000~100,000であることがより好ましい。
〔破断伸び〕
特定高分子微粒子の破断伸びは特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、400%を超えるのが好ましい。破断伸びの上限は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、1000%以下であることが好ましい。
なお、上記破断伸びは以下のように測定したものとする。
高分子微粒子の分散液(5質量%、7mL)(遠心精製、透析済)を用いて5cm四方のフィルム(厚み:約0.4mm)を作製し、得られたフィルムから1cm×4cmのフィルムを4枚切り出して、長手方向中央にダイヤモンドカッターを使用して2mmの切り込みを入れる。このようにして、得られた引張試験用の試験片について、テンシロン引張試験機を用いて引張試験(ロードセル:50N、伸長速度:10mm/分、試験温度:25℃)を行う。
〔残留歪〕
特定高分子微粒子の残留歪は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、25%を超えるのが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。残留歪の上限は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、80%以下であることが好ましい。
なお、上記残留歪みは以下のように測定したものとする。
高分子微粒子の分散液(5質量%、7mL)(遠心精製、透析済)を用いて5cm四方のフィルム(厚み:約0.4mm)を作製し、得られたフィルムに対して100kPaの応力を10時間印加し、その後14時間緩和させた後の残留歪を測定する。
[無機フィラー]
特定複合体に使用される無機フィラーは特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、カーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、シリカであることがより好ましい。
〔カーボンブラック〕
上記カーボンブラックは、1種のカーボンブラックを単独で用いても、2種以上のカーボンブラックを併用してもよい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
特定複合体において、上記カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した特定高分子微粒子100質量部に対して、1~50質量部であることが好ましい。
〔シリカ〕
上記シリカは特に制限されず、従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積(以下、「CTAB吸着比表面積」を単に「CTAB」とも言う)は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、100~300m/gであることが好ましく、150~200m/gであることがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
特定複合体において、上記シリカの含有量は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した特定高分子微粒子100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、2~50質量部であることがより好ましく、5~20質量部であることがより好ましい。
〔窒素吸着比表面積〕
上記カーボンブラック又は上記シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、60~160m/gであることが好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(NSA)は、カーボンブラック又はシリカへの窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
〔含有量〕
特定複合体において、上記無機フィラーの含有量(2種以上の無機フィラーを含有する場合は合計の含有量)は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、上述した特定高分子微粒子100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、2~50質量部であることがより好ましく、5~20質量部であることがより好ましい。
[製造方法]
特定複合体の製造方法は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、
(メタ)アクリレートと、環状分子と上記環状分子を貫通する軸分子とを有し、上記環状分子及び上記軸分子のうち少なくとも一方が重合性不飽和基含有基を有する、ロタキサン(特定ロタキサン)とを、水中でラジカル重合させることで、上記(メタ)アクリレートと上記ロタキサンとの共重合体からなる高分子微粒子(特定高分子微粒子)の水分散液を得る、重合工程と、
上記高分子微粒子の水分散液に無機フィラーを添加し、混合することで、上記高分子微粒子と無機フィラーとの複合体を得る、複合化工程とを備える方法であることが好ましい。特定高分子微粒子及び無機フィラーについては上述のとおりである。
[含有量]
本発明の組成物において、特定複合体の含有量は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、2~80質量部であることがより好ましく、5~70質量部であることがさらに好ましく、20~50質量部であることが特に好ましい。
[3]任意成分
本発明の組成物は、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに他の成分(任意成分)を含有することができる。
上記任意成分としては、例えば、カーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤、シランカップリング剤、テルペン樹脂(例えば、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、オイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤、加硫活性化剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
[充填剤]
本発明の組成物は、本発明の効果等がより優れる理由から、さらにカーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有するのが好ましい。
なお、上記充填剤は、上述した特定高分子微粒子と複合体を形成していない点等から、上述した特定複合体と区別されるものである。
〔カーボンブラック〕
本発明の組成物は、本発明の効果等がより優れる理由から、充填剤としてカーボンブラックを含有するのが好ましい。
上記カーボンブラックは、1種のカーボンブラックを単独で用いても、2種以上のカーボンブラックを併用してもよい。
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
本発明の組成物において、カーボンブラックの含有量は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、2~50質量部であることがより好ましい。
〔シリカ〕
本発明の組成物は、本発明の効果等がより優れる理由から、充填剤としてシリカを含有するのが好ましい。
上記シリカは特に制限されず、従来公知の任意のシリカを用いることができる。
上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。上記シリカは、1種のシリカを単独で用いても、2種以上のシリカを併用してもよい。
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積(以下、「CTAB吸着比表面積」を単に「CTAB」とも言う)は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、100~300m/gであることが好ましく、150~200m/gであることがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217-3:2001「第3部:比表面積の求め方-CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
本発明の組成物において、シリカの含有量は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、10~90質量部であることがより好ましく、20~70質量部であることがさらに好ましく、30~50質量部であることが特に好ましい。
〔窒素吸着比表面積〕
上記充填剤(上記カーボンブラック及び/又は上記シリカ)の窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、60~160m/gであることが好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(NSA)は、充填剤への窒素吸着量をJIS K6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
〔含有量〕
本発明の組成物において、上記充填剤の含有量(2種以上の充填剤を含有する場合は合計の含有量)は、本発明の効果等がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であるのが好ましく、10~90質量部であることがより好ましく、20~70質量部であることがさらに好ましく、30~50質量部であることが特に好ましい。
本発明の組成物が、さらにカーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有する場合、上述した複合体と上記充填剤との合計の含有量は、本発明の効果等がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、50~95質量部であることがより好ましく、70~90質量部であることがさらに好ましい。
[シランカップリング剤]
本発明の組成物は、本発明の効果等がより優れる理由から、さらにシランカップリング剤を含有するのが好ましい。特に、充填剤としてシリカを含有する場合、本発明の効果等がより優れる理由から、本発明の組成物はさらにシランカップリング剤を含有するのが好ましい。
シランカップリング剤は、加水分解性基および有機官能基を有するシラン化合物であれば特に制限されない。
上記加水分解性基は特に制限されないが、例えば、アルコキシ基、フェノキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、アルコキシ基であることが好ましい。加水分解性基がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果等がより優れる理由から、1~16であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
上記有機官能基は特に制限されないが、有機化合物と化学結合を形成し得る基であることが好ましく、例えば、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、スルフィド基、メルカプト基、ブロックメルカプト基(保護メルカプト基)(例えば、オクタノイルチオ基)などが挙げられ、なかでも、本発明の効果等がより優れる理由から、スルフィド基(特に、ジスルフィド基、テトラスルフィド基)、メルカプト基、ブロックメルカプト基が好ましい。
シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シランカップリング剤は、本発明の効果等がより優れる理由から、硫黄含有シランカップリング剤であることが好ましい。
上記シランカップリング剤の具体例としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル-メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル-メタクリレート-モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイル-テトラスルフィド、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔含有量〕
本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果等がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましく、2~10質量部であることがより好ましい。
また、本発明の組成物において、シランカップリング剤の含有量は、本発明の効果等がより優れる理由から、上述したシリカの含有量に対して1~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
[4]製造方法
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄又は加硫促進剤を含有する場合は、硫黄及び加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100~160℃)で混合し、冷却してから、硫黄又は加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
[II]タイヤ
本発明のタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造されたタイヤである。本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、空気、窒素等の不活性ガス及びその他の気体を充填することができる。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッド(キャップトレッド)に用いた(配置した)空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明のタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明のタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
本発明のタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ロタキサンの合成]
〔軸状部分前駆体の合成〕
3,5-ジメチルベンズアルデヒド(3.3g)のTHF(テトラヒドロフラン)(250mL)溶液に6-アミノ-1-ヘキサノール(2.9g)を加えて、室温で一昼夜攪拌した。溶媒を留去した後、残渣をメタノール(250mL)に溶解させ、NaBH(2.9g)に滴下した。その混合溶液を室温で5時間攪拌し、溶媒を留去した後、残渣をクロロホルム(100mL)に溶解させ、その有機相を蒸留水で洗浄した。得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、有機溶媒を留去させ、N-(3,5-ジメチルベンジル)-6-ヒドロキシヘキシルアミン)(化合物1)(5.8g)を無色のオイルとして得た。
次に、得られた化合物1をメタノール(100mL)に溶解させ、12Nの塩酸水溶液(8mL)を加えた。その混合溶液をジエチルエーテル(1L)に滴下すると沈殿物が固体成分として得られ、その固体成分を濾過した。得られた固体成分をヘキサフルオロホスフェートアンモニウム塩の飽和水溶液に加え、その溶液をメタノールに滴下すると、沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過した後、その固体成分を水洗した後乾燥し、N-(3,5-ジメチルベンジル)-6-ヒドロキシヘキシルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート塩)(化合物2)(1.4g)を白色固体として得た。
〔環状分子の合成〕
ヒドロキシメチルジベンゾ-24-クラウン-8-エーテル(1.9g)の塩化メチレン(45mL)溶液に2-イソシアナートエチルメタクリレート(1.4mL)とジブチル錫ジラウレート(0.2mL)を0℃で加えて、室温で48時間攪拌した。得られた混合物を10mLに濃縮し、ヘキサン中に投入し沈殿物を得た。その沈殿物を酢酸エチル/ヘキサン混合溶液(2/3)に溶解させ、シリカカラムで生成した。目的の環状分子(化合物3)を2.5g得た。
〔ロタキサンの合成〕
上記化合物2(150mg)と上記化合物3(260mg)の塩化メチレン(1mL)混合溶液を透明になるまで室温で超音波を照射した。その溶液にジブチル錫ジラウレート(1mg)と3,5-ジメチルフェニルイソシアナート(160mg)を加えて、室温で5時間攪拌した。その後、その溶液にメタノールを加えて、未反応のイソシアナートを失活させた。揮発成分を留去した後、残渣をTHF(4mL)に溶解した。そのTHF溶液にトリエチルアミン(810mg)と2-イソシアナートエチルメタクリレート(620mg)を加え、室温で2.5日攪拌した。その溶液から揮発成分を留去した後、カラムで生成することによって目的のロタキサン(下記)(290mg)を得た。
得られたロタキサンは、環状分子(化合物3)と上記環状分子を貫通する軸分子とを有し、上記軸分子がその両末端に上記環状分子の脱離を防止するための嵩高い末端官能基(ジメチルフェニル基)を有し、上記環状分子が重合性不飽和基(メタクリロイルオキシ基)含有基を有し、上記軸分子が重合性不飽和基(メタクリロイルオキシ基)含有基(-C(=O)NHCOC(=O)C(CH)=CH)を有する、ロタキサンであり、上述した特定ロタキサンに該当する。
[高分子微粒子の合成]
下記表1に記載の割合[mol%]のモノマー及び架橋剤の混合溶液(水:36g、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):0.1g、ハイドロホーブ(ヘキサデカン):0.46g、総モノマー濃度:1600mM)を、超音波ホモジナイザーで超音波照射(375W、3分)してエマルジョン化した後、得られたエマルジョンに開始剤(過硫酸カリウム)(0.1g)を加えて、70℃で4時間ラジカル重合させ(撹拌速度:200rpm(rotations per minute)、各高分子微粒子の分散液を得た。
下記表1中のモノマーの略称は以下のとおりである。
・BA:アクリル酸ブチル
・MMA:メタクリル酸メチル
下記表1中の架橋剤の略称は以下のとおりである。
・RC:上述のとおり合成したロタキサン
・HDD:1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(化学架橋剤)
[複合体の製造]
各高分子微粒子の分散液(高分子微粒子として100質量部)にシリカ10質量部を添加し、攪拌した。このようにして、高分子微粒子とシリカとの各複合体(高分子微粒子100質量部に対するシリカの含有量:10質量部)の分散液を得た。高分子微粒子と複合体との対応は表1に示すとおりである。
なお、特定複合体1~2は、(メタ)アクリレートと特定ロタキサンとの共重合体からなる高分子微粒子(特定高分子微粒子)と、シリカ(無機フィラー)との複合体であり、上述した特定複合体に該当する。一方、比較複合体1は、(メタ)アクリレートのみの共重合体からなる高分子微粒子(特定高分子微粒子以外の高分子微粒子)と、シリカとの複合体であり、上述した特定複合体に該当しない。また、比較複合体2は、(メタ)アクリレートと1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートとの共重合体からなる高分子微粒子(特定高分子微粒子以外の高分子微粒子)と、シリカとの複合体であり、上述した特定複合体に該当しない。
Figure 2023165278000004
なお、表1中、D(水)、D(DMF)及び膨潤度については上述のとおりである。
[ゴム組成物の調製]
下記表2に示す成分を、同表に示す割合(質量部)で配合した。
具体的には、まず、下記表2に示す成分のうち硫黄及び加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて140℃付近に温度を上げてから、5分間混合した後に放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄及び加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。なお、表2中、SBRの質量部はゴムの正味の量(オイルを除いた量)である。
[評価]
得られた各ゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で15分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。そして、得られた各加硫ゴムシートについて以下の評価を行った。
〔硬度〕
得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6253-3に準拠し、20℃で硬度(タイプAデュロメータ硬さ)を評価した。
結果を表2に示す。結果は、比較例1の値を100とする指数で表した。
〔TB、EB〕
得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6251:2010に準拠し、JIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、温度20℃、引張り速度500mm/分の条件で切断時強度(TB)及び切断時伸び(EB)を評価した。
結果を表2に示す。結果は比較例1を100とする指数で表した。
〔tanδ(60℃)〕
得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6394:2007に準拠し、粘弾性スペクトロメーター(東洋精機製作所社製)を用いて、伸張変形歪率10%±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件でtanδ(60℃)を測定した。
結果を表2に示す。結果は比較例1を100とする指数で表した。指数が小さいほど低発熱性に優れることを意味する。
Figure 2023165278000005
表2中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・SBR:SBR:TUFDENE E581(SBR、ガラス転移温度:-36℃、スチレン含有量:35.6質量%、ビニル結合量:41.3%、油展品(油展量:37.5質量%)、旭化成ケミカルズ社製)
・オイル:SBRの油展オイル
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シリカ:ZEOSIL 1165MP(CTAB吸着比表面積:159m/g、ローディア社製)
・比較複合体1~2及び特定複合体1~2:上述のとおり製造した比較複合体1~2及び特定複合体1~2
・酸化亜鉛:酸化亜鉛
・加硫活性化剤:加硫活性化剤
・加工助剤:加工助剤
・老化防止剤:アミン系老化防止剤(フレキシス社製、サントフレックス6PPD)
・シランカップリング剤:Si69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、エボニックデグッサ社製)
・加硫促進剤1:1,3-ジフェニルグアニジン(ノクセラーDPG、大内新興化学工業社製)
・硫黄:硫黄
・加硫促進剤2:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(ノクセラーCZ-G、大内新興化学工業社製)
表2から分かるように、特定複合体を含有しない比較例1~3と比較して、特定複合体を含有する実施例1~3は、優れた、引張強さ、引張伸び及び低発熱性を示した。なかでも、割合Aが0.02モル%以上である実施例2~3は、より優れた、引張強さ、引張伸び及び低発熱性を示した。そのなかでも、ジエン系ゴム100質量部に対する特定複合体の含有量が20質量部以上である実施例3は、さらに優れた、引張強さ、引張伸び及び低発熱性を示した。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (7)

  1. ジエン系ゴムと、複合体とを含有するゴム組成物であって、
    前記複合体が、
    (メタ)アクリレートと、環状分子と前記環状分子を貫通する軸分子とを有し、前記環状分子及び前記軸分子のうち少なくとも一方が重合性不飽和基含有基を有する、ロタキサンとの共重合体からなる、高分子微粒子と、
    無機フィラーとの、複合体である、ゴム組成物。
  2. 前記高分子微粒子における、前記(メタ)アクリレートに対する前記ロタキサンの割合が、0.001モル%以上0.1モル%未満である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記環状分子及び前記軸分子の両方が、重合性不飽和基含有基を有する、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記複合体の含有量(ただし、さらにカーボンブラック及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種の充填剤を含有する場合は、前記複合体と前記充填剤との合計の含有量)が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1~100質量部である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  5. 前記ジエン系ゴムが、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム及び天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  6. 前記高分子微粒子の調和平均径が、2000nm以下である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  7. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いて製造された、タイヤ。
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