JP2023162803A - 反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法 - Google Patents

反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒドロシリル化反応を促進でき、かつ、重合体の貯蔵安定性を向上させることができる反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法の提供。【解決手段】第8族金属触媒及びカルボン酸化合物と下式(1)で表されるハロゲン化シラン化合物を含む助触媒Aを添加して、不飽和基含有有機重合体とシリル化剤とを反応させる、又は、前記第8族金属触媒及びカルボン酸化合物を含み前記ハロゲン化シラン化合物を含まない助触媒Bを添加して、不飽和基含有有機重合体とシリル化剤とを反応させた後、前記ハロゲン化シラン化合物を添加する、反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。XmSiR14-m式(1)[式(1)中、Xはハロゲン原子、mは1~3の整数、R1は炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法に関する。
反応性ケイ素基を有する重合体は、室温においても、湿分等による反応性ケイ素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状の硬化物が得られるという性質を有することが知られている。
これらの反応性ケイ素基を有する重合体の中で、オキシアルキレン重合体、飽和炭化水素重合体、アクリル酸アルキルエステル重合体、及びメタクリル酸アルキルエステル重合体は、既に工業的に生産され、シーリング材、接着剤、塗料等の用途に広く使用されている。反応性ケイ素基を有する重合体は、重合体同士のシラノール縮合反応により高分子量化して架橋体を形成する。
反応性ケイ素基を有する重合体は、例えば末端基として不飽和基を有する重合体を製造した後、シリル化剤を用いてヒドロシリル化することにより製造されている。しかしながら、ヒドロシリル化反応は多くの副反応を伴い、末端基の全てに反応性ケイ素基が導入されず、末端基中の反応性ケイ素基の割合であるシリル化率が低下してしまうという問題がある。そのため、ヒドロシリル化反応の促進はこれまでも検討されており、ヒドロシリル化反応で使用する第8族金属触媒にカルボン酸化合物を加えることで、シリル化率が向上することが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特開2000-95785号公報 特開2000―143679号公報
しかしながら、ヒドロシリル化反応において、第8族金属触媒にカルボン酸化合物を添加する場合、カルボン酸化合物が脱アルコール縮合反応の酸触媒として作用し、重合体を貯蔵中に重合体の粘度が上昇し、貯蔵安定性が低下するという課題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、ヒドロシリル化反応を促進でき、かつ、貯蔵中の重合体の粘度の上昇を抑制し、貯蔵安定性を向上させることができる反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、下記[1]~[5]である。
[1] 第8族金属触媒及びカルボン酸化合物と下式(1)で表されるハロゲン化シラン化合物を含む助触媒Aを添加して、不飽和基含有有機重合体とシリル化剤とを反応させる、又は、前記第8族金属触媒及びカルボン酸化合物を含み、前記ハロゲン化シラン化合物を含まない助触媒Bを添加して、不飽和基含有有機重合体とシリル化剤とを反応させた後、前記ハロゲン化シラン化合物を添加する、下式(2)で表される反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
SiR 4-m 式(1)
-SiR 3-a 式(2)
[式(1)中、Xはハロゲン原子、mは1~3の整数、Rは炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示す。mが1又は2の場合、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。mが2又は3の場合、Xは、互いに同一でも異なっていてもよい。式(2)中、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Zはハロゲン原子、水酸基、又は加水分解性基を示す。aは0~2の整数である。aが2の場合、Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、aが0又は1の場合、Zは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
[2] 第8族金属触媒が、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を有する、[1]の反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
[3] 前記ハロゲン化シラン化合物が、クロロトリメチルシランである[1]又は[2]の反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
[4] 前記反応性ケイ素基含有有機重合体がオキシアルキレン単量体に基づく単位を有する重合体である、[1]~[3]のいずれかの反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
[5] 前記反応性ケイ素基含有有機重合体がアクリル酸アルキルエステル単量体、又はメタクリル酸アルキルエステル単量体に基づく単位を有する重合体である、[1]~[3]のいずれかの反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
本発明によれば、ヒドロシリル化反応を促進でき、かつ、貯蔵中の重合体の粘度の上昇を抑制し、貯蔵安定性を向上させることができる反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法を提供することができる。
本明細書における用語の意味及び定義は以下のとおりである。
「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
重合体を構成する「単位」とは単量体の重合により直接形成された原子団を意味する。
「オキシアルキレン重合体」は、主鎖と末端基からなる重合体である。オキシアルキレン重合体における「主鎖」は、開始剤の残基と、オキシアルキレン単量体に基づく繰り返し単位(ポリオキシアルキレン鎖)を含む。オキシアルキレン重合体における「末端基」は、前記ポリオキシアルキレン鎖中の酸素原子のうち、分子末端に最も近い酸素原子を含む原子団を意味する。但し、原子団が開始剤の残基を含む場合は、末端基とはみなさない。
「(メタ)アクリル酸エステル重合体」とは、アクリル酸アルキルエステル単量体に基づく繰り返し単位から形成される重合鎖及びメタクリル酸アルキルエステル単量体に基づく繰り返し単位から形成される重合鎖の一方又は両方を有する重合体を意味する。
「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の一方又は両方を意味する。
「不飽和基」とは、分子末端にある不飽和性の炭素-炭素2重結合又は、炭素-炭素3重結合を含む1価の基を意味する。
「カルボン酸化合物」はカルボキシ基を有する化合物を意味する。
「シリル化率」は、NMR分析によって測定でき、下式によって求められる。
シリル化率=反応性ケイ素基の数/[反応性ケイ素基の数+(炭素-炭素2重結合の数)+(炭素-炭素3重結合の数)×2]
本明細書における数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)とは、テトラヒドロフランを溶離液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用し、分子量既知のポリスチレン重合体を用いて検量線を作成して測定した、ポリスチレン換算分子量である。分子量分布(Mw/Mn)は、Mnに対するMwの比率である。
≪反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法≫
本発明の第1実施形態に係る反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法は、第8族金属触媒及びカルボン酸化合物と後述の式(1)で表されるハロゲン化シラン化合物を含む助触媒Aを添加して、不飽和基含有有機重合体とシリル化剤とを反応させる。
本発明の第2実施形態に係る反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法は、第8族金属触媒及びカルボン酸化合物を含む助触媒Bを添加して、不飽和基含有有機重合体とシリル化剤とを反応させた後、前記ハロゲン化シラン化合物を添加する。
第1実施形態及び第2実施形態の製造方法により製造される反応性ケイ素基含有有機重合体は、後述の式(2)で表される反応性ケイ素基を含む。
以下、各構成について説明するが、不飽和基含有有機重合体、シリル化剤、第8族金属触媒、反応条件、反応性ケイ素基含有有機重合体(反応性ケイ素基含む)は、第1実施形態及び第2実施形態の製造方法において共通する。
<不飽和基含有有機重合体>
不飽和基含有有機重合体としては、例えば不飽和基含有ポリエーテル系重合体、不飽和基含有ビニル系重合体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
不飽和基含有ポリエーテル系重合体としては不飽和基含有オキシアルキレン重合体が例示される。不飽和基含有ビニル系重合体としては不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体例示される。
不飽和基含有有機重合体のMnは500~200,000が好ましく、Mw/Mnは1.80以下が好ましい。不飽和基含有有機重合体の1分子中の不飽和基の数としては、1.0~8.0個が好ましく、1.0~6.0個がより好ましい。
(不飽和基含有オキシアルキレン重合体)
不飽和基含有オキシアルキレン重合体は、不飽和基及びオキシアルキレン単量体に基づく繰り返し単位を有する重合体である。不飽和基含有オキシアルキレン重合体は主鎖と末端基からなり、主鎖は開始剤の残基及びオキシアルキレン単量体に基づく繰り返し単位を有し、末端基は不飽和基を有する。主鎖は開始剤の残基及びオキシアルキレン単量体に基づく繰り返し単位からなり、末端基は酸素原子及び不飽和基を有することが好ましい。オキシアルキレン単量体としては、エチレンオキシド単量体、プロピレンオキシド単量体、ブチレンオキシド単量体、テトラメチレンオキシド単量体が挙げられる。プロピレンオキシド単量体が好ましい。不飽和基含有オキシアルキレン重合体の主鎖中のポリオキシアルキレン鎖が2種以上のオキシアルキレン単量体の共重合鎖である場合、ブロック重合鎖でもよくランダム重合鎖でもよい。
不飽和基含有オキシアルキレン重合体の1分子中の末端基の数は、1~8個が好ましく、2~6個がより好ましく、2~4個がさらに好ましい。
不飽和基含有オキシアルキレン重合体の1分子中の不飽和基の数は、1.0~8.0個が好ましく、2.0~6.0個がより好ましく、2.0~4.0個がさらに好ましい。
不飽和基含有オキシアルキレン重合体の1つの末端基あたりの不飽和基の数は、0.5個~4.0個が好ましく、0.6~2.0個がより好ましい。
不飽和基含有オキシアルキレン重合体のMnは、2,000~100,000が好ましく、5,000~50,000がより好ましい。
不飽和基含有オキシアルキレン重合体のMw/Mnは1.80以下が好ましい。1.50以下がより好ましく、1.40以下がさらに好ましく、1.20以下が特に好ましい。
(不飽和基含有オキシアルキレン重合体の製造方法)
不飽和基含有オキシアルキレン重合体の製造方法は従来公知の方法を用いることができ、開始剤に1種以上のオキシアルキレン単量体を開環付加重合して得られた重合体の末端基の水酸基をアルケニルオキシ基又はアルキニルオキシ基に変換して製造することができる。重合に必要な開始剤などの副資材についても従来公知のものを用いることができ、反応温度や反応圧力などの反応条件も適宜選択できる。
開始剤に1種以上のオキシアルキレン単量体を開環付加重合させる際の開環重合触媒としては、従来公知の触媒を用いることができ、例えば、KOHのようなアルカリ触媒、有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような金属化合物-ポルフィリン錯体触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、ホスファゼン化合物からなる触媒が挙げられる。
重合体の分子量分布を狭くすることができ、粘度の低い硬化性組成物が得られやすい点から複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒は、従来公知の化合物を用いることができ、複合金属シアン化物錯体を用いた重合体の製造方法も公知の方法を採用できる。例えば、国際公開公報第2003/062301号、国際公開公報第2004/067633号、特開2004-269776号公報、特開2005-15786号公報、国際公開公報第2013/065802号、特開2015-010162号公報に開示される化合物及び製造方法を用いることができる。
重合体の末端基の水酸基をアルケニルオキシ基又はアルキニルオキシ基に変換する方法としては、重合体にアルカリ金属塩を作用させた後、炭素-炭素2重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させる方法、重合体にアルカリ金属塩を作用させた後、不飽和基を有するエポキシ化合物を反応させ、次いで不飽和基を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させる方法、又は、重合体にアルカリ金属塩を作用させた後、炭素-炭素3重結合を有するハロゲン化炭化水素化合物を反応させる方法等が挙げられる。
(不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体)
不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体は、不飽和基、及びアクリル酸アルキルエステル単量体又はメタクリル酸アルキルエステル単量体に基づく繰り返し単位を有する重合体である。不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体は、アクリル酸アルキルエステル単量体又はメタクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能なその他の単量体に基づく繰り返し単位を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成する単量体としては、例えば、特開平11-130931号公報に記載される、従来公知の単量体を用いることができる。
不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成する全単量体単位に対して、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に基づく単位の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%でもよい。
不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体の1分子中の不飽和基の数は、1.0~8.0個が好ましく、1.0~6.0個がより好ましい。
不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体のMnは、500~100,000が好ましく、1,000~80,000がより好ましい。
不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体のMw/Mnは1.80以下が好ましい。1.50以下がより好ましく、1.40以下がさらに好ましく、1.20以下が特に好ましい。
(不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法)
不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法は従来公知の方法を用いることが出来る。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と、不飽和基と重合性不飽和結合を有する化合物を重合する方法や、リビングラジカル重合法を用い、重合反応の終期にアルケニル基を2個有する化合物を反応させる方法などが挙げられる。任意の分子量を有し、分子量分布が狭く、低粘度の重合体が得られることから、リビングラジカル重合法が好ましい。
リビングラジカル重合法として、例えば、有機ハロゲン化物、又はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を重合する原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP法)が挙げられる。原子移動ラジカル重合(ATRP法)として、特開平11-130931号公報に記載の従来公知の重合方法で重合できる。不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体は、原子移動ラジカル重合(ATRP法)により、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を重合させた後に、例えば1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエンなどのようなアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させることで、不飽和基を導入する方法で得られる。ATRP法により得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体における「末端基」は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の鎖中の炭素原子のうち、分子末端に最も近い炭素原子を含む原子団を指し、原子団が開始剤の残基を含む場合は、末端基とはみなさない。
<シリル化剤>
シリル化剤は、不飽和基と反応して結合を形成し得る基(例えばスルファニル基)及び後述の式(2)で表される反応性ケイ素基の両方を有する化合物、ヒドロシラン化合物(例えばHSiR 3-a、R、Z、aの定義は、後述の式(2)と同じである。)が例示できる。具体的には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリス(2-プロペニルオキシ)シラン、トリアセトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシエチルシラン、ジイソプロポキシメチルシラン、(α-クロロメチル)ジメトキシシラン、(α-クロロメチル)ジエトキシシランが例示できる。活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシランが好ましく、ジメトキシメチルシラン又はトリメトキシシランがより好ましい。
例えばメチルジメトキシシランを用いて、不飽和基含有有機重合体のヒドロシリル化を行った場合には、メチルジメトキシシリル基(反応性ケイ素基の一種)を有する重合体を得ることができる。反応性ケイ素基を有する重合体は、空気中の湿分等によるシリル基の加水分解反応、及びそれに続く他の重合体分子とのシラノール縮合反応により架橋体を与える。反応性ケイ素基を有する重合体は、例えば接着剤、粘着剤、塗料、シーリング材、防水材など耐候性、耐熱性、耐透湿性を要求される用途に利用される。
不飽和基含有有機重合体の不飽和基が炭素-炭素2重結合の場合、シリル化剤の使用量は不飽和基1molに対して1~20molが好ましく、1~2molがより好ましい。不飽和基含有有機重合体の不飽和基が炭素-炭素3重結合の場合、シリル化剤の使用量は不飽和基1molに対して2~40molが好ましく、2~4molがより好ましい。上限値以下であると、コストが低減されること、反応後にシリル化剤を除去する操作が簡易になることから好ましい。下限値以上であると、高シリル化率になるため、好ましい。
<第8族金属触媒>
第8族金属触媒は、短周期型周期表における第8族の金属を有する触媒である。第8族の金属としてはコバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましく、ルテニウム、パラジウム、プラチナ(白金)からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属であることがより好ましく、プラチナ(白金)がさらに好ましい。第8族金属触媒としては、第8族の金属の単体、金属塩あるいは有機化合物との錯体として用いられる。具体的には、例えば白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持させた担体上の白金金属、アルコール、アルデヒド、ケトン等を配位子とする塩化白金酸の錯体又は塩化白金酸の錯体、白金-オレフィン錯体[例えばPt(CH=CH(PPh)、Pt(CH=CHCl]、白金-アセチルアセトナート錯体[Pt(C]、白金-ビニルシロキサン錯体[Pt{(vinyl)MeSiOSiMe(vinyl)}、Pt{Me(vinyl)SiO}]、白金-ホスフィン錯体[Ph(PPh、Pt(PBu]、白金-ホスファイト錯体[Pt{P(OPh)]等の白金錯体等が好ましい。
これらの第8族金属触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。塩化白金酸、白金オレフィン錯体、白金-アセチルアセトナート錯体、白金-ビニルシロキサン錯体は、反応活性が高いため好ましい。具体的には、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物と白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体溶液が好ましい。
第8族金属触媒の使用量には特に制限はないが、不飽和基含有有機重合体に対して第8族金属触媒の使用量は、1.0~20質量ppmが好ましく、1.5~10質量ppmがより好ましい。第8族金属触媒の使用量が上記範囲の下限値以上であると、ヒドロシリル化反応が充分に進行しやすく、上記範囲の上限値以下であるとコスト面で好ましい。
<助触媒>
第1実施形態の製造方法では、カルボン酸化合物とハロゲン化シラン化合物を含む助触媒Aを使用する。第2実施形態の製造方法では、カルボン酸化合物を含む助触媒Bを使用する。
<助触媒A>
助触媒Aは、カルボン酸化合物とハロゲン化シラン化合物を含む。以下、カルボン酸化合物とハロゲン化シラン化合物について説明する。
<カルボン酸化合物>
カルボン酸化合物の炭素数は、2以上17以下が好ましく、3以上10以下がさらに好ましい。
カルボン酸化合物は、カルボキシ基を有する化合物であり、カルボン酸、ジカルボン酸が例示できる。
カルボン酸としては、α位に炭素―炭素2重結合を有するカルボン酸及びα位に炭素―炭素3重結合を有するカルボン酸が好ましく、α位に炭素―炭素3重結合を有するカルボン酸がより好ましい。
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、クロトン酸、2-ヘキセン酸、フェニルプロピオール酸、プロピオール酸、2―ブチン酸、2-ヘプチン酸、2-メチル-3―ブチン酸、2-ヒドロキシ-3―ブチン酸、3-ブチン酸が好ましく、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、クロトン酸、フェニルプロピオール酸がより好ましく、フェニルプロピオール酸がさらに好ましい。
ジカルボン酸としては、α位炭素に炭素-炭素2重結合を有するジカルボン酸、α位に炭素―炭素3重結合を有するジカルボン酸が例示できる。ジカルボン酸としては、α位に炭素―炭素3重結合を有するジカルボン酸が好ましい。α位に炭素―炭素3重結合を有するジカルボン酸としては、両方のα位に3重結合があるジカルボン酸と、一方のα位のみに3重結合があるジカルボン酸が例示でき、両方のα位に3重結合があるジカルボン酸がより好ましい。ジカルボン酸としては、アセチレンジカルボン酸が好ましい。
助触媒Aに含まれるカルボン酸化合物の使用量は、不飽和基含有重合体の不飽和基1molに対して0.1~20mol%が好ましく、1~10mol%がより好ましい。この範囲の下限値以上であると、シリル化率がより向上する。この範囲の上限値以下であると、溶液中の酸の量が抑えられ、増粘が抑えられる。
<ハロゲン化シラン化合物>
助触媒Aのハロゲン化シラン化合物は下式(1)で表される。
SiR 4-m 式(1)
前記式(1)中、Xはハロゲン原子、mは1~3の整数、Rは炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示す。mが1又は2の場合、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。mが2又は3の場合、Xは、互いに同一でも異なっていてもよい。mは1であることが好ましい。
Xはハロゲン原子であって、塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、及びアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
前記ハロゲン化シラン化合物として、ブロモシラン化合物とクロロシラン化合物が好ましく、クロロシラン化合物がより好ましい。クロロシラン化合物として、クロロトリメチルシラン、クロロトリイソプロピルシラン、クロロエチルジメチルシラン、ジメチル-n-オクチルクロロシラン、クロロ(ドデシル)ジメチルシラン、クロロジメチルイソプロピルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、クロロジメチルビニルシランが挙げられ、クロロトリメチルシランが好ましい。ブロモシラン化合物として、ブロモトリメチルシラン、ブロモトリイソプロピルシラン、ブロモエチルジメチルシランが挙げられる。
助触媒Aであるカルボン酸化合物とハロゲン化シラン化合物について、カルボン酸化合物に対するハロゲン化シラン化合物の混合比はモル比率で0.5~2.0が好ましく、1.0~1.5がより好ましい。下限値以上だと重合体の増粘が抑えられ、上限値以下だとヒドロシリル化反応が進みやすい。
カルボン酸化合物は、ヒドロシリル化反応を促進させる一方で、カルボン酸化合物とハロゲン化シラン化合物の反応により、ハロゲン化水素が発生する。発生したハロゲン化水素は、シラノール縮合触媒として、重合体の粘度を増粘させるため、ヒドロシリル化反応後、高温減圧下で除去されることが好ましい。ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素)の沸点は常温(25℃)以下であるため、常温以上、例えば50℃以上の温度で、減圧した条件により除去されやすい。
<助触媒B>
助触媒Bはカルボン酸化合物を含み、上記式(1)で表されるハロゲン化シラン化合物を含まない助触媒である。助触媒Bに含まれるカルボン酸化合物は、前記助触媒Aで挙げたカルボン酸化合物と同じである。
助触媒Bであるカルボン酸化合物の使用量は、不飽和基含有重合体の不飽和基1molに対して0.1~20mol%が好ましく、1~10mol%がより好ましい。この範囲の下限値以上であると、シリル化率がより向上する。この範囲の上限値以下であると、溶液中の酸の量が抑えられ、増粘が抑えられる。
第8族金属触媒や助触媒を種々の溶媒に溶解し希釈することにより、第8族金属触媒や助触媒を安定化し、触媒や助触媒の取扱を容易にすることが好ましい。好ましい溶媒として、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素、アルコール、グリコール類、エーテル類、エステル類,ケトン類、ニトリル類、アミド類等を挙げることができる。中でもアルコール、ケトン類、ニトリル類、アミド類が好ましく、イソプロピルアルコール、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリルがより好ましく、アセトニトリルがさらに好ましい。第8族金属触媒や助触媒は2種以上の溶媒に希釈されていても良い。
<第1実施形態の製造方法における第8族金属触媒、助触媒、及びシリル化剤の添加方法>
第1実施形態では、助触媒Aを使用する。ヒドロシリル化反応の際の第8族金属触媒、助触媒A、シリル化剤の添加方法としては、第8族金属触媒と助触媒Aを前記溶媒に溶解したものをプレミックスとして不飽和基含有有機重合体を含む反応液中に添加した後に、シリル化剤を添加してヒドロシリル化する方法、又は各々反応液中に添加した後に、シリル化剤を添加してヒドロシリル化する方法が挙げられる。第8族金属粒子コロイドを予め形成することのメリットがあるため、プレミックスを反応液中に添加することが好ましい。
<第2実施形態の製造方法における第8族金属触媒、助触媒、シリル化剤、ハロゲン化シラン化合物の添加方法>
第2の実施形態では、助触媒Bを使用する。ヒドロシリル化反応の際の第8族金属触媒、助触媒B、シリル化剤の添加方法としては、第8族金属触媒と助触媒Bを前記溶媒に溶解したものをプレミックスとして不飽和基含有有機重合体を含む反応液中に添加した後に、シリル化剤を添加してヒドロシリル化する方法、又は各々反応液中に添加した後に、シリル化剤を添加してヒドロシリル化する方法が挙げられる。第8族金属粒子コロイドを予め形成することのメリットがあるため、プレミックスを反応液中に添加することが好ましい。また、第2の実施形態の製造方法ではヒドロシリル化反応終了後(NMR分析にて、未反応のシリル化剤がなくなったことを確認後)に、ハロゲン化シラン化合物を添加する。添加するハロゲン化シラン化合物は、前記助触媒Aで挙げたハロゲン化シラン化合物と同じである。
第2の実施形態において、助触媒Bのカルボン酸化合物に対する前記ハロゲン化シラン化合物のモル比は、0.5~2.0が好ましく、1.0~1.5がより好ましい。この範囲の下限値以上であると、溶液中の酸の量が抑えられ、増粘が抑えられる。
<反応条件>
ヒドロシリル化反応は無溶媒系でも、溶媒存在下でも行うことができる。ヒドロシリル化反応の溶媒としては、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル類、エステル類、ニトリル類を用いることができるが、イソプロピルアルコール、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトニトリル等を用いることが好ましい。また、不飽和基含有有機重合体は固体あるいは高粘度の液体であることが多いので、反応液の粘度を低下させるために溶媒を用いることが好ましい。
ヒドロシリル化反応を行う際の反応器気相部は、窒素やヘリウムなどの不活性ガスのみから成ってもよいし、酸素等が存在してもよい。ヒドロシリル化反応を行う際には、可燃性物質取り扱う場合には、反応器気相部は窒素やヘリウムなどの不活性ガスの存在下で実施することが好ましい。気相部に酸素が存在すると、ヒドロシリル化反応が促進されやすい。
気相部に酸素を導入する場合には、反応溶媒の酸化を抑える観点から、酸化防止剤の存在下でヒドロシリル化反応を行うことができる。酸化防止剤としては、特に限定されないが、ラジカル連鎖禁止剤の機能を有するフェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤を用いることができる。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、テトラキス{メチレン-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタンなどを用いることができる。アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル-β-ナフチルアミン、α-ナフチルアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミンなどを用いることも出来る。
ヒドロシリル化反応温度は、40℃以上150℃以下が好ましく、40℃以上100℃以下がより好ましい。
<反応性ケイ素基含有有機重合体>
反応性ケイ素基含有有機重合体の有機重合体の種類、Mn、Mw/Mnは、前記不飽和基含有有機重合体で記載したものと同じであり、好ましい範囲も同じである。
1分子当たりの反応性ケイ素基の数は、0.72個~8.0個が好ましく、0.75個~6.0個がより好ましい。
またシリル化率は72%~100%が好ましく、75%~100%がより好ましく、78%~100%がさらに好ましく、80%~100%が特に好ましい。
反応性ケイ素基含有有機重合体の25℃における粘度は、25Pa・s以下が好ましく、3~25Pa・sがより好ましく、4~20Pa・sがさらに好ましい。反応性ケイ素基含有有機重合体の粘度が前記範囲の下限値以上であると作業中の液だれが起こりにくく、上限値以下であると作業性が良好になりやすい。
<反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体>
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体は、反応性ケイ素基及びオキシアルキレン単量体に基づく繰り返し単位を有する重合体である。反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体は主鎖と末端基からなり、主鎖は開始剤の残基及びオキシアルキレン単量体に基づく繰り返し単位を有し、末端基は反応性ケイ素基を有する。主鎖は開始剤の残基及びオキシアルキレン単量体に基づく繰り返し単位からなることが好ましい。
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体における、オキシアルキレン単量体、1分子中の末端基の数、Mn、Mw/Mnは、前記不飽和基含有オキシアルキレン重合体で記載したものと同じであり、好ましい範囲も同じである。
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の1分子中の反応性ケイ素基の数は、0.72個~8.0個が好ましく、0.8個~6.0個がより好ましい。
反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の1つの末端基あたりの反応性ケイ素基の数は、0.72個~4.0個が好ましく、0.75~2.0個がより好ましい。
<反応性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体>
反応性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体は、反応性ケイ素基及びアクリル酸アルキルエステル単量体又はメタクリル酸アルキルエステル単量体に基づく繰り返し単位を有する重合体である。
反応性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成する単量体、1分子中の末端基の数、Mn、Mw/Mnは、前記不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体で記載したものと同じである。
反応性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体の1分子中の反応性ケイ素基の数は、0.72個~8.0個が好ましく、0.75個~6.0個がより好ましい。
(反応性ケイ素基)
反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成して架橋し得る。シロキサン結合を形成する反応は硬化触媒によって促進される。反応性ケイ素基は下式(2)で表される。
-SiR 3-a 式(2)
[式(2)中、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Zはハロゲン原子、水酸基又は加水分解性基を示す。aは0~2の整数である。aが2の場合、Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、aが0又は1の場合、Zは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
前記式(2)において、Rは炭素数1~20の1価の有機基を示す。Rは加水分解性基を含まない。
は、炭素数1~20の炭化水素基及びトリオルガノシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、α-クロロアルキル基及びトリオルガノシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、α-クロロメチル基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基及びトリフェニルシロキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。反応性ケイ素基を有する重合体の硬化性と硬化性組成物の安定性が良い点からメチル基又はエチル基が好ましい。硬化物の硬化速度が速い点からα-クロロメチル基が好ましい。容易に入手できる点からメチル基が好ましい。
前記式(2)において、Zは、ハロゲン原子、水酸基又は加水分解性基を示す。Zは互いに同一でも異なっていてもよい。
加水分解性基としては、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、スルファニル基、アルケニルオキシ基が例示できる。
加水分解性が穏やかで取扱いやすい点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。アルコキシ基がメトキシ基又はエトキシ基であると、シロキサン結合を速やかに形成し硬化物中に架橋構造を形成しやすく、硬化物の物性値が良好となりやすい。
前記式(2)において、aは0~2の整数である。aが2の場合、Rは互いに同一でも異なってもよい。aが0又は1の場合、Zは互いに同一でも異なってもよい。硬化物の物性値が優れたものとなりやすいため、aは0又は1が好ましく、aは1であることがより好ましい。
前記式(2)で表される反応性ケイ素基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリス(2-プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、メチルジイソプロポキシシリル基、(α-クロロメチル)ジメトキシシリル基、(α-クロロメチル)ジエトキシシリル基が例示できる。活性が高く良好な硬化性が得られる点から、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基が好ましく、ジメトキシメチルシリル基及びトリメトキシシリル基がより好ましい。
<硬化性組成物>
硬化性組成物は、前記反応性ケイ素基含有有機重合体とその他の必要な成分とを混合して得られる。
硬化性組成物の総質量に対する反応性ケイ素基含有有機重合体の含有割合は、1~50質量%が好ましく、1~45質量%がより好ましく、2~40質量%がさらに好ましい。上記範囲の上限値以下であると、硬化物の強度により優れ、且つ伸び特性がより良好となる。
[その他の成分]
上記その他の成分としては、反応性ケイ素基含有有機重合体以外の硬化性化合物、硬化触媒(シラノール縮合触媒)、充填剤、可塑剤、チクソ性付与剤、安定剤、接着性付与剤、物性調整剤、脱水剤、接着性付与樹脂、フィラーなどの補強材、表面改質剤、難燃剤、発泡剤、溶剤、シリケートが例示できる。
その他の成分は、国際公開第2013/180203号、国際公開第2014/192842号、国際公開第2016/002907号、特開2014-88481号公報、特開2015-10162号公報、特開2015-105293号公報、特開2017-039728号公報、特開2017-214541号公報などに記載される従来公知のものを、制限なく組み合わせて用いることができる。各成分は2種類以上を併用してもよい。
[作用機序]
ヒドロシリル化反応において、カルボン酸化合物を使用すると、ヒドロシリル化反応が促進される。一方で、反応後にカルボン酸化合物が残存すると、このカルボン酸化合物が、重合体を貯蔵している間にも脱アルコール縮合反応の酸触媒として作用し、重合体の粘度を上昇させ、貯蔵安定性の低下を招くと考えられる。一方、本発明では、ヒドロシリル化反応中又は反応後にハロゲン化シラン化合物を添加することにより、カルボン酸化合物の一部又は全部がハロゲン化水素に変換され、酸触媒としての作用が抑制される、かつ、生成したハロゲン化水素自体は反応後の処理工程で容易に除去される。その結果、ヒドロシリル化反応の促進及び重合体の貯蔵安定性を両立できるものと推察される。
[用途]
本発明の反応性ケイ素基含有有機重合体を含む硬化性組成物の用途としては、接着剤、シーリング材(例えば建築用弾性シーリング材、複層ガラス用シーリング材、ガラス端部の防錆・防水用封止材、太陽電池裏面封止材、建造物用密封材、船舶用密封材、自動車用密封材、道路用密封材)、電気絶縁材料(電線・ケーブル用絶縁被覆材)、が好適である。特に、硬化物の高いモジュラス、良好な引張強度及び伸び物性が要求される接着剤用途に好適である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
≪測定方法・評価方法≫
<Mn、Mw/Mn>
HLC-8220GPC(東ソー社製品名)、カラムはTSKgel SupermultiporeHZ-M(東ソー社製品名)、溶媒にテトラヒドロフランを用い、サンプルポンプを0.350mL/min、リファレンスポンプを0.350mL/min、検出器の温度を40℃、収集時間を6分~15分に設定し、収集時間6分~11分に現れるピークを解析することにより、Mw、Mn及びMw/Mnを求めた。
<オキシアルキレン重合体の水酸基価>
オキシアルキレン重合体中に存在する水酸基価(mgKOH/g)は、JIS K1557:2007に準拠した水酸基価の測定方法で分析した。
<不飽和基価の測定方法>
重合体の不飽和基価(以下、USVという。)は、不飽和基価測定法(Wijs法)に準拠して行った。すなわち、重合体(約2g)を三角フラスコに入れ、それを正確に秤量し、クロロホルム40mlを入れて溶解した。ウイス試薬を、20mlホールピペットを用いて正確に量り加えた後、フラスコを冷暗所に1時間放置した。ヨウ化カリウム(2g)を100mlの水に溶かしたヨウ化カリウム水溶液にでんぷん溶液を数滴加えたものをフラスコ中に加えた後、撹拌しながらN/10チオ硫酸ナトリウムを滴下し、フラスコ中の溶液が無色透明になった時点を終点とした。終点により、下記式により不飽和基価を求めた。なお、空試験滴定量は、重合体を加えないクロロホルムを使用して、上記操作を実施した。
不飽和基価(mmol/g)=((空試験滴定量(ml)-試料液滴定量(ml))×チオ硫酸ナトリウム溶液の力価)÷(20×試料(g))
<シリル化率>
重合体のシリル化率は、H-NMRの内部標準法で測定した。
表1~3のオキシアルキレン重合体における末端基数は開始剤の水酸基である。一分子当たりの反応性ケイ素基導入数は以下の式にて算出した。
1分子あたりの反応性ケイ素基数はH-NMRの内部標準法で測定した。
<粘度>
重合体の1mLを採取し、E型粘度計(東機産業社製品名:RE80型)を用い、ローターNo.4の条件で粘度を測定した。校正用標準液としては、JS14000(日本グリース社製品名)を使用した。測定温度は25±2℃とした。
<粘度上昇率>
各重合体の粘度を測定した(以下、「初期粘度」という。)。
各重合体15gを容量24mLのガラス瓶に移し、気相部を窒素で置換して密閉し、90℃の恒温槽内に静置した。静置してから2週間後の重合体を恒温槽から取り出し、室温となるまでさらに静置し、次いで、粘度を測定した(以下、「促進試験後の粘度」という。)。下記式により粘度上昇率を算出し、下記の基準で評価した。
粘度上昇率(単位:%)=(促進試験後の粘度-初期粘度)/(初期粘度)×100
AA:粘度上昇率が10%以下である。
A:粘度上昇率が10%より大きく15%以下である。
B:粘度上昇率が15%より大きく20%以下である。
C:粘度上昇率が20%より大きい。
<引張特性の評価(H型試験)>
JIS A 1439:2016の建築用シーリング材の試験方法に準拠してH型試験体を作製し引張特性を評価した。
測定対象の硬化性組成物を厚さ2mmの型枠に充填し、温度23℃、湿度50%で7日間養生し、更に温度50℃、湿度65%で7日間養生した。得られた硬化物について、テンシロン試験機にて引張速度500mm/分で引張試験を行い、50%伸張した時の応力であるモジュラス(M50、単位:N/mm)、100%伸張したときの応力(M100、単位:N/mm)、最大点凝集力である引張強度(Tmax、単位:N/mm)、最大点伸び(Emax、単位:%)を測定した。
M50、M100の値が大きいほど硬化物が硬いことを意味し、最大点凝集力の値が大きいほど硬化物の引張強度が高いことを意味し、最大点伸びの値が大きいほど硬化物の伸びが良いことを意味する。
例1~例32、例42が実施例であり、例33~例41が比較例である。
(例1:重合体A1)
ポリオキシプロピレングリコールを開始剤とし、触媒として配位子がt-ブチルアルコールの亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体(以下、「TBA-DMC触媒」ともいう。)を用いてプロピレンオキシドを重合し、2つの末端基が水酸基である水酸基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体P1)を得た。得られた前駆重合体P1の水酸基価は6.2mgKOH/gであった。
前駆重合体P1の水酸基に対して1.05モル当量のナトリウムメトキシドを添加し、減圧下でメタノールを留去した。前駆重合体P1の水酸基に対して過剰量の塩化アリルを添加して反応させ、減圧下で未反応の塩化アリルを除去した。精製して金属塩を除去し、水酸基をアリルオキシ基に変換した不飽和基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体Q1)を得た。得られた前駆重合体Q1のUSVは0.12mmоl/gであった。
白金触媒である白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(以下、「Karstedt触媒」という。)イソプロピルアルコール溶液(白金濃度3wt%)(前駆重合体Q1の1000gに対して212.3ml、白金添加量としては前駆重合体Q1に対して6.4質量ppm)とカルボン酸化合物(前駆重合体Q1の1000gに対して0.38gで、前駆重合体Q1の不飽和基1molに対して5mol%)である酢酸を混合し、さらにハロゲン化シラン化合物であるクロロトリメチルシランをカルボン酸化合物に対して1.2のモル比でアセトニトリルに溶解させた溶液(酢酸とクロロトリメチルシランを含む溶液)を前駆重合体Q1に添加した。前駆重合体Q1の不飽和基1molに対して、1.1molのジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、70℃にて3時間反応させた後、未反応のシリル化剤等を80℃2時間の減圧下で除去して重合体A1を得た。得られた重合体A1の1分子あたりの末端基数、1分子あたりの反応性ケイ素基導入数、Mn、Mw/Mn、シリル化率、粘度上昇率を表1に示す(以下、同様に表1~3に示す。)。
(例2:重合体A2)
例1において、白金触媒をヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(前駆重合体Q1の1000gに対して13.3mg、白金添加量としては前駆重合体Q1に対して5.0質量ppm)に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A2を得た。
(例3:重合体A3)
例1において、カルボン酸化合物をギ酸に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A3を得た。
(例4:重合体A4)
例1において、カルボン酸化合物をトリフルオロ酢酸に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A4を得た。
(例5:重合体A5)
例1において、カルボン酸化合物を安息香酸に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A5を得た。
(例6:重合体A6)
例1において、カルボン酸化合物をクロトン酸に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A6を得た。
(例7:重合体A7)
例1において、カルボン酸化合物をフェニルプロピオール酸に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A7を得た。
(例8:重合体A8)
例1において、ハロゲン化シラン化合物をブロモトリメチルシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A8を得た。
(例9:重合体A9)
例1において、ハロゲン化シラン化合物をクロロトリイソプロピルシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A9を得た。
(例10:重合体A10)
例1において、ハロゲン化シラン化合物をクロロエチルジメチルシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A10を得た。
(例11:重合体A11)
例1において、ハロゲン化シラン化合物をジメチル-n-オクチルクロロシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A11を得た。
(例12:重合体A12)
例1において、ハロゲン化シラン化合物をクロロ(ドデシル)ジメチルシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A12を得た。
(例13:重合体A13)
例1において、ハロゲン化シラン化合物をクロロジメチルイソプロピルシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A13を得た。
(例14:重合体A14)
例1において、ハロゲン化シラン化合物をクロロジメチルフェニルシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A14を得た。
(例15:重合体A15)
例1において、ハロゲン化シラン化合物をクロロジメチルビニルシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A15を得た。
(例16:重合体A16)
例1において、シリル化剤をトリメトキシシランに変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A16を得た。
(例17:重合体A17)
例1において、カルボン酸化合物の使用量を前駆重合体Q1の不飽和基1molに対して0.9mol%に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A17を得た。
(例18:重合体A18)
例1において、カルボン酸化合物の使用量を前駆重合体Q1の不飽和基1molに対して1.0mol%に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A18を得た。
(例19:重合体A19)
例1において、カルボン酸化合物の使用量を前駆重合体Q1の不飽和基1molに対して10mol%に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A19を得た。
(例20:重合体A20)
例1において、カルボン酸化合物の使用量を前駆重合体Q1の不飽和基1molに対して11mol%に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A20を得た。
(例21:重合体A21)
例1において、カルボン酸化合物に対するハロゲン化シラン化合物のモル比を0.45に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A21を得た。なお、カルボン酸化合物の量は例1と同じとし、ハロゲン化シラン化合物の量を変更した。以下、例22~26も同様である。
(例22:重合体A22)
例1において、カルボン酸化合物に対するハロゲン化シラン化合物のモル比を0.5に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A22を得た。
(例23:重合体A23)
例1において、カルボン酸化合物に対するハロゲン化シラン化合物のモル比を1に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A23を得た。
(例24:重合体A24)
例1において、カルボン酸化合物に対するハロゲン化シラン化合物のモル比を1.5に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A24を得た。
(例25:重合体A25)
例1において、カルボン酸化合物に対するハロゲン化シラン化合物のモル比を2に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A25を得た。
(例26:重合体A26)
例1において、カルボン酸化合物に対するハロゲン化シラン化合物のモル比を2.2に変更した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A26を得た。
(例27:重合体A27)
例1における前駆重合体P1の代わりに、例1と同様の操作を行い、前駆重合体P1とは重合度が異なる、2つの末端基が水酸基である水酸基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体P2)を得た。得られた前駆重合体P2の水酸基価は7.5mgKOH/gであった。
前駆重合体P2の水酸基に対して、1.15モル当量のナトリウムメトキシドを添加し、減圧下でメタノールを留去した。次いで、前駆重合体P2の水酸基に対して、1.05モル当量のアリルグリシジルエーテルを添加し、130℃で2時間反応させた。さらに、前駆重合体P2の水酸基に対して、0.28モル当量のナトリウムメトキシドを添加し、メタノールを除去した。そして、前駆重合体P2の水酸基に対して、2.10モル当量の塩化アリルを添加し、130℃で2時間反応させ、減圧下で未反応の塩化アリルを除去した。精製して金属塩を除去し、1つの末端基あたり2.0個のアリル基を有する、不飽和基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体Q2)を得た。得られた前駆重合体Q2のUSVは、0.29mmоl/gであった。
Karstedt触媒のイソプロピルアルコール溶液(白金濃度3wt%)(前駆重合体Q2の1000gに対して212.3ml、白金添加量としては前駆重合体Q2に対して6.4質量ppm)とカルボン酸化合物(前駆重合体Q2の1000gに対して0.76gで、前駆重合体Q2の不飽和基1molに対して5mol%)である酢酸を混合し、さらにハロゲン化シラン化合物であるクロロトリメチルシランをカルボン酸化合物に対して1.2のモル比でアセトニトリルに溶解させた溶液を前駆重合体Q2に添加した。前駆重合体Q2の不飽和基1molに対して、1.1molのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた後、未反応のシリル化剤等を80℃2時間の減圧下で除去して重合体A27を得た。
(例28:重合体A28)
前駆重合体P2の水酸基に対して1.05モル等量のナトリウムメトキシドを添加し、減圧下でメタノールを留去した。次いで、前駆重合体P1の水酸基に対して過剰量の臭化プロパルギルを反応させ、1つの末端基あたり1.0個のプロパルギル基を有するオキシアルキレン重合体(前駆重合体Q3)を得た。得られた前駆重合体Q3のUSVは、0.29mmоl/gであった。
Karstedt触媒のイソプロピルアルコール溶液(白金濃度3wt%)(前駆重合体Q3の1000gに対して212.3ml、白金添加量としては前駆重合体Q3に対して6.4質量ppm)とカルボン酸化合物(前駆重合体Q3の1000gに対して0.76gで、前駆重合体Q3の不飽和基1molに対して5mol%)である酢酸を混合し、さらにハロゲン化シラン化合物であるクロロトリメチルシランをカルボン酸化合物に対して1.2のモル比でアセトニトリルに溶解させた溶液を前駆重合体Q3に添加した。前駆重合体Q3のプロパルギル基1molに対して4.0molのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて3時間反応させた後、未反応のシリル化剤等を80℃2時間の減圧下で除去して重合体A28を得た。
(例29:重合体A29)
2Lフラスコに臭化第一銅の8.39g、アセトニトリルの112mLを添加し、窒素気流下70℃で20分間加熱撹拌した。これに2,5-ジブロモアジピン酸ジエチルの17.6g、アクリル酸エチルの130mL、アクリル酸ブチルの720mL、アクリル酸ステアリルの251gを添加し、さらに70℃で40分間加熱撹拌した。これにペンタメチルジエチレントリアミン(以下、「トリアミン」ともいう。)0.41mLを添加して反応を開始した。引き続き70℃で加熱撹拌を続け、さらにトリアミンの2.05mLを添加した。反応開始から330分後に1,7-オクタジエンの244mL及びトリアミンの4.1mLを添加し、引き続き70℃で加熱撹拌を続け、反応開始から570分後に加熱を停止した。得られた反応溶液をトルエンで希釈してろ過し、ろ液を減圧加熱処理して、末端としてアルケニル基を有する未精製のアクリル酸エステル重合体を得た。未精製のアクリル酸エステル重合体の、1分子あたりのアルケニル基の数は2.0個であった。
さらに、窒素雰囲気下、2Lフラスコに、未精製のアクリル酸エステル重合体の全量、酢酸カリウムの17.2g、N,N-ジメチルアセトアミドメチル(以下、「DMAc」という。)の700mLを添加し、100℃で10時間加熱撹拌した。反応溶液を減圧加熱してDMAcを除去し、トルエンを添加してろ過した。ろ液を減圧加熱して揮発分を除去した残りを2Lフラスコに添加し、吸着剤(キョーワード500SNとキョーワード700SN(いずれも協和化学工業社製品名)の質量比で1対1の混合物)の100gを添加し、窒素気流下130℃で9時間加熱撹拌した。トルエンで希釈し、ろ過して吸着剤を除去し、ろ液中のトルエンを減圧留去して不飽和基含有アクリル酸エステル重合体(前駆重合体Q4)を得た。
Karstedt触媒のイソプロピルアルコール溶液(白金濃度3wt%)(前駆重合体Q4の1000gに対して212.3ml、白金添加量としては前駆重合体Q4に対して6.4質量ppm)とカルボン酸化合物(前駆重合体Q4の1000gに対して0.38gで、前駆重合体Q4の不飽和基1molに対して5mol%)である酢酸を混合し、さらにハロゲン化シラン化合物であるクロロトリメチルシランをカルボン酸化合物に対して1.2のモル比でアセトニトリルに溶解させた溶液を前駆重合体Q4に添加した。前駆重合体Q4の不飽和基1molに対して、1.1molのトリメトキシシランをシリル化剤として添加し、70℃にて3時間反応させた後、未反応のシリル化剤等を80℃2時間の減圧下で除去して重合体A29を得た。
(例30:重合体A30)
例1において、開始剤をn-ブチルアルコールに変更し、例1と同様の操作を実施して、1つの末端基が水酸基である水酸基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体P3)を得、不飽和基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体Q5)を得、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体である重合体A30を得た。得られた前駆重合体P3の水酸基価は11.2mgKOH/g、前駆重合体Q5のUSVは0.22mmоl/gであった。
(例31:重合体A31)
例1において、開始剤をグリセリンに変更し、例1と同様の操作を実施して、3つの末端基が水酸基である水酸基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体P4)を得、不飽和基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体Q6)を得、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体である重合体A31を得た。得られた前駆重合体P4の水酸基価は7.0mgKOH/g、前駆重合体Q6のUSVは0.14mmоl/gであった。
(例32:重合体A32)
例1において、開始剤をソルビトールに変更し、例1と同様の操作を実施して、6つの末端基が水酸基である水酸基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体P5)を得、不飽和基含有オキシアルキレン重合体(前駆重合体Q7)を得、反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体である重合体A32を得た。得られた前駆重合体P5の水酸基価は8.0mgKOH/g、前駆重合体Q7のUSVは0.16mmоl/gであった。
(例33:重合体A33)
例1において、カルボン酸化合物とハロゲン化シラン化合物を使用せず、白金触媒をアセトニトリルに溶解した溶液を添加した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A33を得た。
(例34:重合体A34)
例1において、ハロゲン化シラン化合物を使用せず、白金触媒とカルボン酸化合物をアセトニトリルに溶解して溶液を添加した。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A34を得た。
(例35:重合体A35)
例27において、ハロゲン化シラン化合物を使用せず、白金触媒とカルボン酸化合物をアセトニトリルに溶解して溶液を添加した。それ以外は、例27と同様の操作を実施して、重合体A35を得た。
(例36:重合体A36)
例28において、ハロゲン化シラン化合物を使用せず、白金触媒とカルボン酸化合物をアセトニトリルに溶解して溶液を添加した。それ以外は、例28と同様の操作を実施して、重合体A36を得た。
(例37:重合体A37)
例29において、ハロゲン化シラン化合物を使用せず、白金触媒とカルボン酸化合物をアセトニトリルに溶解して溶液を添加した。それ以外は、例29と同様の操作を実施して、重合体A37を得た。
(例38:重合体A38)
例30において、ハロゲン化シラン化合物を使用せず、白金触媒とカルボン酸化合物をアセトニトリルに溶解して溶液を添加した。それ以外は、例30と同様の操作を実施して、重合体A38を得た。
(例39:重合体A39)
例31において、ハロゲン化シラン化合物を使用せず、白金触媒とカルボン酸化合物をアセトニトリルに溶解して溶液を添加した。それ以外は、例31と同様の操作を実施して、重合体A39を得た。
(例40:重合体A40)
例32において、ハロゲン化シラン化合物を使用せず、白金触媒とカルボン酸化合物をアセトニトリルに溶解して溶液を添加した。それ以外は、例32と同様の操作を実施して、重合体A40を得た。
(例41:重合体A41)
例1において、カルボン酸化合物を使用せず、白金触媒とハロゲン化シラン化合物をアセトニトリルに溶解して溶液を添加した。ハロゲン化シラン化合物の添加量は例1と同じである。それ以外は、例1と同様の操作を実施して、重合体A41を得た。
(例42:重合体A42)
例1において、得られた前駆重合体Q1を使用してシリル化反応を実施した。Karstedt触媒のイソプロピルアルコール溶液(白金濃度3wt%)(前駆重合体Q1の1000gに対して212.3ml、白金添加量としては前駆重合体Q1に対して6.4質量ppm)とカルボン酸化合物(前駆重合体Q1の1000gに対して0.38gで、前駆重合体Q1の不飽和基1molに対して5mol%)である酢酸を混合し、アセトニトリルに溶解させた溶液を前駆重合体Q1に添加した。前駆重合体Q1の不飽和基1molに対して、1.1molのジメトキシメチルシランをシリル化剤として添加し、70℃にて3時間反応させた後、ハロゲン化シラン化合物であるクロロトリメチルシランをカルボン酸化合物に対して1.2のモル比で添加し、未反応のシリル化剤等を80℃2時間の減圧下で除去し、重合体A42を得た。
Figure 2023162803000001
Figure 2023162803000002
Figure 2023162803000003
例1~32は、本発明の第1実施形態の製造方法であり、例42は、本発明の第2実施形態の製造方法である。第8族金属触媒とカルボン酸化合物を添加して、ヒドロシリル化を実施した例(例1~例32、例34~例40、例42)では、第8族金属触媒のみでヒドロシリル化した例(例33と例41)より、シリル化率が高くなり、ヒドロシリル化反応が促進された。また、例33~例40のように、ハロゲン化シラン化合物を添加せずヒドロシリル化を行った場合よりも、例1~例32、例41のようにハロゲン化シラン化合物を添加してヒドロシリル化反応を行うことで重合体の粘度上昇率を抑制することができ、貯蔵安定性が向上した。
すなわち、本発明の第1実施形態の製造方法である例1~例32のように、第8金属触媒及びカルボン酸化合物とハロゲン化シラン化合物を含む助触媒Aを添加することで、ヒドロシリル化反応の促進と重合体の粘度上昇率の抑制という貯蔵安定性の向上を両立することができた。また、本発明の第2実施形態の製造方法である例42のように、第8金属触媒及びカルボン酸化合物を含み、ハロゲン化シラン化合物を含まない助触媒Bを添加してヒドロシリル化反応を実施し、反応終了後にハロゲン化シラン化合物を添加することによっても、ヒドロシリル化反応の促進と重合体の粘度上昇率の抑制という貯蔵安定性の向上を両立することができた。
<その他成分>
表4、5に記載の添加剤は以下のとおりである。
白艶化CCR:膠質炭酸カルシウム、白石工業社製品名。
ホワイトンSB:重質炭酸カルシウム、白石工業社製品名。
R820:酸化チタン、石原産業社製品名。
DINP: サンソサイザーDINP、ジイソノニルフタレート、新日本理化社製品名。
DIDP:フタル酸ジイソデシル、三菱ケミカル社製。
PMLS4012:プレミノールS4012、1分子あたり水酸基を2個有し、Mnが13,000である高分子量ポリオール、AGC社製品名。
サンソサイザーEPS:4,5-エポキシシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸-ジ-2-エチルヘキシル、新日本理化社製品名。
ディスパロン6500:水添ひまし油系チクソ性付与剤、楠本化成社製品名。
ディスパロン305:水添ひまし油系チクソ性付与剤、楠本化成社製品名。
バルーン80GCA:有機バルーン、松本油脂社製品名。
M309:アロニックスM-309:光硬化型樹脂、東亞合成社製品名。
グリセリンモノステアレート:試薬、東京化成工業社製。
KBM-1003:ビニルトリメトキシシラン、信越化学社製品名。
A-171:ビニルトリメトキシシラン、Momentive社製品名。
KBM-403:3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製品名。
KBM-603:3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、信越化学社製品名。
A-1120:3-(N-2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、Momentive社製品名。
TINUVIN765:3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤、BASF社製品名。
TINUVIN770:3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤、BASF社製品名。
サノ―ルLS770:ヒンダートアミン系光安定剤、三共ライフテック社製品名。
IRGANOX1010:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製品名。
TINUVIN326:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASF社製品名。
TINUVIN327:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASF社製品名。
桐油:空気酸化硬化性化合物、木村社製。
DBTDL: ジラウリン酸ジブチル錫。
U-220H:ジブチル錫ビス(アセチルアセテート)、日東化成社製品名。
スタノクト:オクチル酸第一錫、吉富製薬社製品名。
ラウリルアミン:試薬、純正化学社製。
グロマックスLL:焼成カオリン、竹原化学工業社製品名。
≪硬化性組成物の調製≫
表6、7に示す配合量(質量部)の重合体及び表4、5に示す配合量(質量部)の添加剤を添加して硬化性組成物を調製した。表4、5に示す各成分の配合量は、重合体の合計100質量部に対する値(単位:質量部)である。
得られた硬化性組成物を使用して、引張特性の評価(H型試験)を実施した。結果を表6、7に示す。
Figure 2023162803000004
Figure 2023162803000005
Figure 2023162803000006
Figure 2023162803000007

Claims (7)

  1. 第8族金属触媒及びカルボン酸化合物と下式(1)で表されるハロゲン化シラン化合物を含む助触媒Aを添加して、不飽和基含有有機重合体とシリル化剤とを反応させる、又は、前記第8族金属触媒及びカルボン酸化合物を含み、前記ハロゲン化シラン化合物を含まない助触媒Bを添加して、不飽和基含有有機重合体とシリル化剤とを反応させた後、前記ハロゲン化シラン化合物を添加する、下式(2)で表される反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
    SiR 4-m 式(1)
    -SiR 3-a 式(2)
    [式(1)中、Xはハロゲン原子、mは1~3の整数、Rは炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示す。mが1又は2の場合、Rは互いに同一でも異なっていてもよい。mが2又は3の場合、Xは、互いに同一でも異なっていてもよい。式(2)中、Rは、炭素数1~20の1価の有機基であって、加水分解性基以外の有機基を示し、Zはハロゲン原子、水酸基、又は加水分解性基を示す。aは0~2の整数である。aが2の場合、Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、aが0又は1の場合、Zは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
  2. 第8族金属触媒が、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム及び白金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を有する、請求項1に記載の反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
  3. 前記ハロゲン化シラン化合物が、クロロトリメチルシランである請求項1又は2に記載の反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
  4. 前記反応性ケイ素基含有有機重合体がオキシアルキレン単量体に基づく単位を有する重合体である、請求項1又は2に記載の反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
  5. 前記反応性ケイ素基含有有機重合体がオキシアルキレン単量体に基づく単位を有する重合体である、請求項3に記載の反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
  6. 前記反応性ケイ素基含有有機重合体がアクリル酸アルキルエステル単量体、又はメタクリル酸アルキルエステル単量体に基づく単位を有する重合体である、請求項1又は2に記載の反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
  7. 前記反応性ケイ素基含有有機重合体がアクリル酸アルキルエステル単量体、又はメタクリル酸アルキルエステル単量体に基づく単位を有する重合体である、請求項3に記載の反応性ケイ素基含有有機重合体の製造方法。
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