JP2023158508A - トレー型紙容器 - Google Patents

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幸子 菅谷
Yukiko Sugaya
清人 古▲瀬▼
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【課題】本発明の解決しようとする課題は、紙とフィルムの積層体を成形してなるトレー型紙容器において、紙の坪量を小さくしても容器の剛性や保形性が低下しないトレー型紙容器を提案するものである。【解決手段】紙を基材とし、その表面または裏面に熱可塑性樹脂層4を有する積層体2からなる平面ブランクBLを成形してなるトレー型紙容器1であって、紙基材3の坪量が180g/m2以上、350g/m2未満であり、長辺6、短辺7、コーナー辺8からなる八角形形状の底面板5と、底面板の長辺および短辺から連設された側面板9と、底面板のコーナー辺から連設されたコーナー板10を有し、各側面板および各コーナー板の、それぞれ底面板と対向する辺には山折罫線を介して連設されたフランジ板11を有し、側面板、底面板、フランジ板から選択される1以上に、筋状のリブ14を有することを特徴とするトレー型紙容器である。【選択図】図1

Description

本発明は、食品類等を収納するためのトレー型紙容器に関し、特に平坦なフランジ部を有することにより蓋材の密封性に優れ、さらに側面等にリブ加工を施すことにより、形状安定性や強度を向上させたトレー型紙容器に関する。
地球環境を保全しようとする意識の高まりから、海洋汚染の原因となっているプラスチック容器を、再生産可能な資源であり、しかも生分解性を有する紙を主材料として用いた紙容器に代替する試みが種々なされている。トレー型の容器についても従来のプラスチック製のトレーを紙容器で代替する試みがなされている。
トレー型の容器は、単にトレーとして用いる用途と、開口部を蓋材で密封して保存容器として用いる用途とに大別される。後者の場合、蓋材をシールし易いように、開口部の周縁に水平なフランジ部を設けることが一般的である。
プラスチック容器の場合には、水平でかつ平坦なフランジ部を形成することは容易であるが、紙容器の場合、フランジ部に繋ぎ目やしわや段差が生じ易いため平坦なフランジ部を安定的に形成することは、容易ではなかった。
出願人の出願になる特許文献1に記載されたトレー容器用ブランクは、従来のトレー型紙容器において、立壁同士が接続するコーナー部において、フランジ部付け根部分にピンホールができ易く、液もれが生じる場合があったのを改善したものである。
特許文献1に記載されたトレー容器用ブランクは、問題の生じる可能性のあるコーナー部に小突起を設けることにより、従来のコーナー部におけるピンホール対策には、効果を発揮するものとなったが、フランジ部に紙の重なりに基づく段差が存在するため、蓋材とフランジ部との間に紙の厚さに基づく隙間が生じる可能性が残っていた。
同じく出願人の出願になる特許文献2に記載されたトレー状容器は、万一製函工程において部分的な接着不良が生じたとしても、密封性が損なわれず、なおかつシートの重なりが厚くならないトレー状容器である。
特許文献1に記載されたトレー状容器も、特許文献2に記載されたトレー状容器もいずれも紙ベースとして、坪量が350~400g/mの紙を用いていた。これは、容器としての剛性を保つ上で必要なためであるが、紙の厚さが厚くなるため、必然的にフランジ部における紙の重なり部分において生じる段差も大きくなり、蓋材をシールする際にピンホールが発生する危険性が依然として指摘されていた。
紙の坪量を小さくすることにより、段差を小さくすることが可能であるが、容器としての剛性や保形性が低下するため、例えば本来直線的であるべき容器形状が丸みを帯び易くなるという問題等があった。
特開2000-255546号公報 特開2010-260621号公報
本発明の解決しようとする課題は、紙とフィルムの積層体を成形してなるトレー型紙容器において、紙の坪量を小さくしても容器の剛性や保形性を確保しやすいトレー型紙容器を提案するものである。
上記の課題を解決するための手段として、本発明は、紙基材と、その表面または裏面もしくは両面に熱可塑性樹脂層とを有する積層体からなる平面ブランクを成形してなるトレー型紙容器であって、前記紙基材の紙の坪量が180g/m以上350g/m未満であり、長辺、短辺、コーナー辺からなる底面板と、底面板の長辺および短辺から谷折罫線を介して連設された台形形状の側面板と、底面板のコーナー辺から谷折罫線を介して連設されたコーナー板を有し、各前記側面板および各前記コーナー板の、前記底面板と対向する辺には山折罫線を介して連設されたフランジ板を有し、平面ブランクにおいて、前記側面板と前記コーナー板の間、および前記フランジ板の間には、前記熱可塑性樹脂層のみが存在し、前記側面板、前記底面板、前記フランジ板の少なくともいずれか一つに、筋状のリブを有することを特徴とするトレー型紙容器である。
本発明に係るトレー型紙容器は、側面板、底面板、フランジ板のいずれか1以上に筋状のリブを形成したことにより、低坪量の紙基材を使用しても、必要十分な剛性や保形性を有するものとなった。
また、本発明は、筋状のリブの延びる方向が、紙基材の紙目と平行であってもよい。
また、本発明は、紙基材の坪量が250g/m以上、300g/m以下であってもよい。
本発明に係るトレー型紙容器は、坪量が180g/m以上、350g/m未満の低坪量の紙基材を用いながら、側面板、底面板、フランジ板のいずれか1以上に筋状のリブを形成したことにより紙容器全体の剛性や保形性が向上した。
リブの形成は、平面ブランクをトレーに成形する工程において、同時に付与することもできるので、その場合は工程増にならず、従ってコストアップは少なくて済む。
また、筋状のリブの延びる方向を、紙基材の紙目と平行であるようにした場合には、リブの入りが良く、安定して生産することができる。
紙基材の坪量については、250g/m以上、300g/m以下とした場合に、本発明の効果を最も顕著に発揮することができる。
図1は、本発明に係るトレー型紙容器の一実施態様を示した斜視図である。 図2は、図1に示したトレー型紙容器の成形前の平面ブランクを示した平面模式図である。 図3は、本発明に係るトレー型紙容器に使用する積層体の層構成の一例を示した断面模式図である。 図4は、本発明に係るトレー型紙容器に使用する積層体の層構成の他の例を示した断面模式図である。 図5は、本発明に係るトレー型紙容器の平面ブランクの他の例を示した平面模式図である。 図6は、本発明に係るトレー型紙容器の平面ブランクの他の例を示した平面模式図である。 図7は、本発明に係るトレー型紙容器の平面ブランクの他の例を示した平面模式図である。 図8は、従来のトレー型紙容器の例を示した斜視図である。
以下図面を参照しながら、本発明に係るトレー型紙容器の一の形態について詳細に説明する。図1は、本発明に係るトレー型紙容器1の一実施態様を示した斜視図である。図2は、図1に示したトレー型紙容器の成形前の平面ブランク(BL)を示した平面模式図である。図3は、本発明に係るトレー型紙容器に使用する積層体2の層構成の一例を示した断面模式図である。
本発明に係るトレー型紙容器1は、紙を基材3とし、その表面または裏面または両面に熱可塑性樹脂層4を有する積層体2からなる平面ブランク(BL)を成形してなるトレー型紙容器である。
紙基材3の坪量は、180g/m以上350g/m未満であり、長辺6、短辺7、コーナー辺8からなる八角形形状の底面板5と、底面板5の長辺6および短辺7から谷折罫線を介して連設された台形形状の側面板9と、底面板5のコーナー辺8から谷折罫線を介して連設されたコーナー板10を有し、各側面板および各コーナー板の、それぞれ底面板5と対向する辺には山折罫線を介して連設されたフランジ板11を有する。
平面ブランク(BL)において、各側面板9とコーナー板10の間、および各フランジ板11の間には、前記熱可塑性樹脂層のみの部分16が存在する。平面ブランク(BL)をトレー形状に成形した状態において、隣り合うフランジ板同志は重複することなくひとつながりのフランジ部13を形成し、側面板9、底面板5、フランジ板11から選択される1以上に、筋状のリブ14を有することを特徴とする。
図5~7は、いずれも本発明に係るトレー型紙容器1の平面ブランク(BL)の他の例を示した平面模式図である。図5に示した例では、底面板5と、底面板5の長辺6から谷折罫線を介して連設された側面板9、9に筋状のリブ14が形成されている。この例では、筋状のリブ14は、いずれも紙目の方向15に平行するように設けられている。
図6に示した例では、底面板5と4枚の側面板9に筋状のリブ14が形成されている。また図7に示した例では、4枚のフランジ板11に筋状のリブ14が形成されている。このように、筋状のリブ14は、側面板9、底面板5、フランジ板11から選択される1以上に設けることにより、トレー型紙容器1の剛性や保形性を向上させる効果がある。
図8は、筋状のリブを設けていない従来のトレー型紙容器の例であるが、容器全体の保形性に問題があり、フランジ部13の平面性にも難点がある。これを防止するため、従来
は紙基材の坪量を400g/m以上とする必要があった。本発明に係るトレー型紙容器においては、紙基材の坪量は、180g/m以上350g/m未満が好ましい。また、紙基材の坪量は、250g/m以上300g/m以下でもよい。
次に本発明に係るトレー型紙容器の製造方法について説明する。まず紙基材3に必要に応じて印刷を施した後、抜型で不要な部分を打ち抜く。次に全面に熱可塑性樹脂層4を形成する。熱可塑性樹脂層4は、紙基材の片面または両面に設けることができる。これにより、熱可塑性樹脂層のみの部分16が形成される。
熱可塑性樹脂層4は、図3に示したように単層でも良いし、図4に示したように複数の層からなるものでも良い。図4に示した例では、紙基材3の上に接着層17が形成され、紙基材と熱可塑性樹脂層4とが、接着樹脂層18を介して接着されている。
紙基材3と熱可塑性樹脂層4とが積層された積層体2が完成したら、次に所定の平面ブランク(BL)形状に打ち抜く。この時、打ち抜きと同時に折罫線を形成しても良い。さらに筋状のリブ14も同時に形成しても良い。
平面ブランク(BL)を雄型と雌型からなる成形型に載置し、熱圧成形する。熱可塑性樹脂層4が溶融し、接着剤の働きをする。なおこの時同時に、筋状のリブ14を形成しても良い。筋状のリブ14を平面ブランクの段階で形成するか、熱圧成形の段階で形成するかは、任意である。いずれにしても、筋状のリブ14を形成するのに、余分な工程が加算されることはない。
紙基材3としては、坪量が180g/m以上350g/m未満の厚紙を使用する。具体的には、両面カード紙、裏白ボール紙、アイボリー紙、カートン原紙、カップ原紙、マニラボール紙、白ボール紙、コートボール紙、チップボール紙等である。
熱可塑性樹脂層4としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
熱可塑性樹脂層4は、平面ブランク(BL)を紙容器に成形する際に、接着剤として作用するものであるから、ある程度低温で溶融するものが好ましい。紙基材3の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合には、例えば紙容器の外面には、上記に例示したような低温で溶融する樹脂を使用し、紙容器の内面側には、より高温で溶融する樹脂を使用することもできる。
このような目的に使用する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ナイロン樹脂等が挙げられる。
積層体2の層構成中には、特に図示しないが、これらの他にガスバリア層を付加しても良い。ガスバリア層としては、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルムや、PETフィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層、あるいはアルミニウム箔等の金属箔などを用いることができる。層中にガスバリア層を含むことにより、内容物の長期保存性を高めることが可能となる。
成形が完了したトレー型紙容器1には、内容物を充填した後、フランジ部13に蓋材をシールして密封する。この時、フランジ部13が平坦であることにより、シール不良等の不具合が生じにくくなる。
以下、紙基材の坪量を変化させて、側面板および底面板における筋状のリブの有無により成型後の保形性とフランジ部のシール性がどのように変化するかを評価した。結果を表1に示す。
Figure 2023158508000002
表1の結果から、筋状のリブを形成することにより、その面のふくらみを防止し、平面性が向上することが分かる。また紙基材の坪量が350g/m以上であれば、筋状のリブが無くても平面性は保たれることが分かる。
次にフランジ部に筋状のリブを設けた場合の効果を同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2023158508000003
表2の結果からも同様に、筋状のリブを設けた場合には、フランジ部のフラット性が向上し、シール性も良好である。また紙基材の坪量が350g/m以上であれば、筋状のリブが無くても平面性は保たれることが分かる。
以上の結果から、本発明に係るトレー型紙容器は、低坪量の紙基材を用いた場合であっても、良好な平面性やシール適性を得られることが分かる。
BL・・・平面ブランク
1・・・トレー型紙容器
2・・・積層体
3・・・紙基材
4・・・熱可塑性樹脂層
5・・・底面板
6・・・長辺
7・・・短辺
8・・・コーナー辺
9・・・側面板
10・・・コーナー板
11・・・フランジ板
12・・・収納部
13・・・フランジ部
14・・・筋状のリブ
15・・・紙目方向
16・・・熱可塑性樹脂層のみの部分
17・・・接着層
18・・・接着樹脂層

Claims (3)

  1. 紙基材と、その表面または裏面もしくは両面に熱可塑性樹脂層とを有する積層体からなる平面ブランクを成形してなるトレー型紙容器であって、
    前記紙基材の紙の坪量が180g/m以上350g/m未満であり、
    長辺、短辺、コーナー辺からなる底面板と、底面板の長辺および短辺から谷折罫線を介して連設された台形形状の側面板と、底面板のコーナー辺から谷折罫線を介して連設されたコーナー板を有し、
    各前記側面板および各前記コーナー板の、前記底面板と対向する辺には山折罫線を介して連設されたフランジ板を有し、
    平面ブランクにおいて、前記側面板と前記コーナー板の間、および前記フランジ板の間には、前記熱可塑性樹脂層のみが存在し、
    前記側面板、前記底面板、前記フランジ板の少なくともいずれか一つに、筋状のリブを有することを特徴とするトレー型紙容器。
  2. 前記リブの延びる方向が、前記紙基材の紙目と平行であることを特徴とする請求項1に記載のトレー型紙容器。
  3. 前記紙基材の坪量が250g/m以上300g/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のトレー型紙容器。






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