JP7472747B2 - トレー型紙容器 - Google Patents

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本発明は、食品等を収納するためのトレー型紙容器に関し、特に平坦なフランジ部を有し、蓋材による密封性に優れたトレー型紙容器に関する。
地球環境を保全しようとする意識の高まりから、海洋汚染の原因となっているプラスチック容器を、再生産可能な資源であり、しかも生分解性を有する紙を主材料として用いた容器に代替する試みが種々なされている。
トレー型の容器は、単にトレーとして用いる用途と、開口部を蓋材で密封して保存容器として用いる用途とに大別される。後者の場合、蓋材をシールし易いように、開口部の周縁に水平なフランジ部を設けることが一般的である。
プラスチック容器の場合には、水平でかつ平坦なフランジ部を形成することは容易であるが、紙容器の場合、フランジ部に繋ぎ目やしわや段差が生じ易いため平坦なフランジ部を安定的に形成することは、容易ではなかった。
出願人の出願になる特許文献1に記載されたトレー容器用ブランクは、従来のトレー型紙容器において、立壁同士が接続するコーナー部において、フランジ部付け根部分にピンホールができ易く、液もれが生じる場合があったのを改善したものである。
特許文献1に記載されたトレー容器用ブランクは、問題の生じる可能性のあるコーナー部に小突起を設けることにより、従来のコーナー部におけるピンホール対策には、効果を発揮するものとなったが、フランジ部に紙の重なりに基づく段差が存在するため、蓋材とフランジ部との間に紙の厚さに基づく隙間が生じる可能性が残っていた。
特開2000-255546号公報
本発明の解決しようとする課題は、紙を主材料とするトレー型紙容器において、フランジ部を平坦にすることにより、蓋材との密閉性を高めた紙容器を提案するものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、紙層と内面樹脂層を有する積層体からなる1枚のブランクシートより成形されるトレー型紙容器であって、ブランクシートは、紙層に必要な打ち抜きを施した後に全面に内面樹脂層を形成して、しかる後に所定の形状に打ち抜いたものであり、ブランクシートは、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板を有し、底面板の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線を介して長方形状のコーナー板が連設されており、底面板の他の辺には、それぞれ山折罫線を介して逆台形形状の側面板が連設され、各側面板には谷折罫線を介してフランジ部が連設されており、各コーナー板と、側面板およびフランジ部との間には紙層が打ち抜かれて内面樹脂層のみの部分が存在し、コーナー板の底辺の長さをC、コーナー板の先端とフランジ部の先端との距離をfとした時、f>C/2であり、成形に当たっては、各側面板の先端部とフランジ部が、各コーナー板の内側に折り込まれて、それぞれの
先端同士が重ならないように成形されたことを特徴とするトレー型紙容器である。
本発明に係るトレー型紙容器は、ブランクシートの形状を検討することにより、4辺のフランジ部同士が重ならないようにしたため、成型後のフランジ部に段差が生じず、蓋材の密封性が高まった。
また、請求項2に記載の発明は、ブランクシートにおいて、前記コーナー板の底辺の長さをC、コーナー板の先端とフランジ部の先端との距離をf、紙層の厚さをtとした時、f>C/2+2tであることを特徴とする請求項1に記載のトレー型紙容器である。
また、請求項3に記載の発明は、側面板とフランジ部とを画する前記谷折罫線の両端部において、側面板とフランジ部に及ぶ切り欠きを紙層に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のトレー型紙容器である。
本発明に係るトレー型紙容器は、ブランクシートの形状を検討することにより、4辺のフランジ部同士が重ならないようにしたため、成型後のフランジ部に積層体の重なりに基づく段差が生じず、蓋材の密封性が高まる。
また、紙層に必要な打ち抜きを施した後に、全面に内面樹脂層を形成して、しかる後に所定の形状に打ち抜いたブランクシートを用いているため、成型後のトレー型紙容器において水漏れの心配がない。
請求項2に記載の発明のように、ブランクシートにおいて、コーナー板の底辺の長さをC、コーナー板の先端とフランジ部の先端との距離をf、紙層の厚さをtとした時、f>C/2+2tとすることにより、コーナー部におけるフランジ部同士の隙間が、生じ難くなる効果を有する。
請求項3に記載の発明のように、側面板とフランジ部とを画する谷折罫線の両端部において、側面板とフランジ部に及ぶ切り欠きを紙層に設けた場合には、最も紙層が重なり易い部分の紙層を予め除去することになり、フランジ部同士の重なりや側面板同士の重なりが、生じ難くなる効果を有する。
図1は、本発明に係るトレー型紙容器の平面模式図であり、蓋材をシールしていない状態を示したものである。 図2は、図1のA-A´断面を示した断面模式図である。 図3は、図1に示したトレー型紙容器のブランクシートを紙層側から見た状態を示した平面模式図である。 図4は、図3に示したブランクシートのコーナー部分の拡大図であり、コーナー板の底辺の長さC、コーナー板の先端とフランジ部の先端との距離fの説明図である。 図5は、図4のB-B´断面を示した断面模式図であり、紙層を下にした状態を示したものである。 図6は、本発明に係るトレー型紙容器の他の実施態様におけるブランクシートのコーナー部分の拡大図であり、切り欠きの説明図である。 図7は、図6に示したブランクシートをトレー型紙容器に成型した状態を示した平面説明図である。
以下図面を参照しながら、本発明に係るトレー型紙容器について詳細に説明する。図1は、本発明に係るトレー型紙容器1の平面模式図であり、蓋材をシールしていない状態を示したものである。図2は、図1のA-A´断面を示した断面模式図である。図3は、図1に示したトレー型紙容器のブランクシートを紙層側から見た状態を示した平面模式図である。図1は、トレー型紙容器1を内面樹脂層4側から見た状態を示している。
本発明に係るトレー型紙容器1は、紙層3と内面樹脂層4とを有する積層体2からなる1枚のブランクシート(BL)より成形されるトレー型紙容器である。ブランクシートは、紙層3に必要な打ち抜きを施した後に全面に内面樹脂層4を形成して、しかる後に所定の形状に打ち抜いたものである。ブランクシートは、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板5を有し、底面板5の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線e、f、g、hを介して長方形状のコーナー板6が連設されている。
通常容器の外側に当たる紙層には印刷表示が行われ、積層体の表面側となる。従って紙層側が山となる折罫線が山折罫線であり、紙層側が谷となる折罫線が谷折罫線である。図3において山折罫線は点線で表示され、谷折罫線は一点鎖線で表示されている。
底面板5の他の辺には、それぞれ山折罫線a、b、c、dを介して逆台形形状の側面板7が連設され、各側面板には谷折罫線i、j、k、lを介してフランジ部8が連設されている。
各コーナー板6と、側面板7およびフランジ部8との間には紙層3が打ち抜かれて内面樹脂層4のみの部分が存在する。成形に当たっては、各側面板7の先端部とフランジ部8が、各コーナー板6の内側に折り込まれて、それぞれの先端同士が重ならないように成形される。
4辺のフランジ部8同士が重ならないようにしたことにより、成型後のフランジ部8が平坦な仕上りとなり、段差がないため、蓋材10をシールする際にピンホールの発生等がなく、密封性が高まった。
また、紙層3に必要な打ち抜きを施した後に、全面に内面樹脂層4を形成して、しかる後に所定の形状に打ち抜いたブランクシートを用いているため、成型後のトレー型紙容器において内面樹脂層4は底面からフランジ部まで連続して存在するため、水漏れが生じる心配がない。
図4は、ブランクシート(BL)のコーナー部分の拡大図であり、コーナー板6の底辺の長さC、コーナー板6の先端とフランジ部8の先端との距離fの説明図である。fの値については、幾何学的には、f=C/2とすることによりフランジ部8の先端同士がぴったりと合って隙間が生じないはずであるが、実際には紙層3の厚さや、内面樹脂層4の厚さがあるため、f=C/2とすると、隙間が生じてしまうことが判明している。隙間が生じても、ある程度の範囲内であれば、ピンホールの発生を招くことはない。
フランジ部8同士の間に極端な隙間が生じると、蓋材をシールする際に、シール不良を招く結果となる。そこで、f>C/2とすることにより、成型時にコーナー板6上におい
て側面板7の先端同士、フランジ部8の先端同士が重なることなく、また隙間も許容範囲内に収まり安全に成型できる。
なお紙層の厚さをtとした時、さらにf>C/2+2tとすることにより、隙間はより少なくなり、さらに安全性が増す。
図6は、本発明に係るトレー型紙容器1の他の実施態様におけるブランクシート(BL)のコーナー部分の拡大図であり、切り欠き9の説明図である。また図7は、図6に示したブランクシートをトレー型紙容器に成型した状態を示した平面説明図である。
この例では、側面板7とフランジ部8とを画する谷折罫線の両端部において、側面板7とフランジ部8に及ぶ切り欠き9を紙層に設けたことを特徴とする。このようにすることにより、最も紙層が重なり易い部分の紙層3を予め除去することになり、フランジ部8同士の重なりや側面板7同士の重なりが、より生じ難くなる効果を有する。
紙層3の材質については、特に制約はないが、一般的に紙容器に用いられる各種板紙、コートボール紙、カートン原紙、カップ原紙等が使用できる。
内面樹脂層4に用いられる材質としては、トレー型紙容器の使用用途に応じて選択が可能であり、例えば電子レンジ加熱が必要な場合であれば、高温耐性を有するポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等を用いる。高温耐性が不要な場合であれば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などの一般的にシーラントとして用いられる合成樹脂を単体または組み合わせて用いることができる。
以下実際に、コーナー板6の先端とフランジ部8の先端との距離fを、さまざまに変化させた時の仕上り状態を確認した。
坪量260g/m2のカップ原紙にフランジ部重なり部の上側に当たる部分を窓抜き後、用紙の内面側に内面樹脂層を貼り合わせた後、ブランクシートを打ち抜いた。内面樹脂層としては、ポリエチレン樹脂15μm/ポリエチレンテレフタレート樹脂12μm/ポリエチレン樹脂30μmの3層フィルムを用いた。紙層の厚さは、0.5mmである。コーナー板の底辺の長さCは20mmである。コーナー板の先端とフランジ部の先端との距離fを12mmとした。このブランクシートを成型して、トレー型紙容器を作製した。フランジ部に蓋材をシールして密封性を確認した。
fの値を11.5mmとした以外は、実施例1と同様にトレー型紙容器を作製し、同様に評価した。
fの値を11mmとした以外は、実施例1と同様にトレー型紙容器を作製し、同様に評価した。
fの値を10.5mmとした以外は、実施例1と同様にトレー型紙容器を作製し、同様に評価した。
<比較例1>
fの値を10mmとした以外は、実施例1と同様にトレー型紙容器を作製し、同様に評価した。
<比較例2>
fの値を9.5mmとした以外は、実施例1と同様にトレー型紙容器を作製し、同様に評価した。
<比較例3>
fの値を9mmとした以外は、実施例1と同様にトレー型紙容器を作製し、同様に評価した。
以上の結果を表1にまとめた。
Figure 0007472747000001
表1の結果から本発明に係るトレー型紙容器は、フランジ部分の密封性に優れていることが分かる。
1・・・トレー型紙容器
BL・・・ブランクシート
2・・・積層体
3・・・紙層
4・・・内面樹脂層
5・・・底面板
6・・・コーナー板
7・・・側面板
8・・・フランジ部
9・・・切り欠き
10・・・蓋材
C・・・コーナー板の底辺の長さ
f・・・コーナー板の先端とフランジ部の先端との距離
t・・・紙層の厚さ
a~h・・・山折罫線
i~l・・・谷折罫線

Claims (3)

  1. 紙層と内面樹脂層を有する積層体からなる1枚のブランクシートより成形されるトレー型紙容器であって、
    ブランクシートは、紙層に必要な打ち抜きを施した後に全面に内面樹脂層を形成して、しかる後に所定の形状に打ち抜いたものであり、
    ブランクシートは、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板を有し、底面板の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線を介して長方形状のコーナー板が連設されており、
    底面板の他の辺には、それぞれ山折罫線を介して逆台形形状の側面板が連設され、各側面板には谷折罫線を介してフランジ部が連設されており、
    各コーナー板と、側面板およびフランジ部との間には紙層が打ち抜かれて内面樹脂層のみの部分が存在し、
    コーナー板の底辺の長さをC、コーナー板の先端とフランジ部の先端との距離をfとした時、f>C/2であり、
    成形に当たっては、各側面板の先端部とフランジ部が、各コーナー板の内側に折り込まれて、それぞれの先端同士が重ならないように成形されたことを特徴とするトレー型紙容器。
  2. ブランクシートにおいて、前記コーナー板の底辺の長さをC、コーナー板の先端とフランジ部の先端との距離をf、紙層の厚さをtとした時、f>C/2+2tであることを特徴とする請求項1に記載のトレー型紙容器。
  3. 側面板とフランジ部とを画する前記谷折罫線の両端部において、側面板とフランジ部に及ぶ切り欠きを紙層に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のトレー型紙容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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