JP2023156461A - 核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法 - Google Patents

核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法に関する。【解決手段】具体的には、核酸を抽出するための溶液としてTween20のみを含ませ、重合酵素連鎖反応を行うためのPCR緩衝溶液のみを添加した混合物に対して重合酵素連鎖反応を行うことにより、別の核酸抽出過程なしに重合酵素連鎖反応を行って分子診断のための時間を最小化し、抽出に用いられる専用装置および消耗品を最小化することで分子診断の費用を節減できる核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法に関する。【選択図】図2

Description

本発明は、核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法に関し、具体的には、核酸を抽出するための溶液としてTween20のみを含ませ、重合酵素連鎖反応を行うためのPCR緩衝溶液のみを添加した混合物に対して重合酵素連鎖反応を行うことにより、別の核酸抽出過程なしに重合酵素連鎖反応を行って分子診断のための時間を最小化し、抽出に用いられる専用装置および消耗品を最小化することで分子診断の費用を節減できる核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法に関する。
最近、ヒト遺伝子研究の結果に基づいて遺伝子レベルで疾病の原因を解析することにより、人間の疾病を治癒または予防しようとする目的で生体試料の操作および生化学的分析に対する要求が次第に増加している。また、疾病の診断以外にも、新薬開発、ウイルスやバクテリア感染の有無の事前検査および法医学などの多様な分野で生体試料や細胞が含まれた試料から核酸を抽出、分析する技術が要求される。
一方、分子診断のためには、ウイルスや細菌に感染したヒトの唾液または血液などから遺伝子情報を含んでいるDNAまたはRNAである核酸を抽出し、これを増幅して疾病の感染の有無を確認することが一般的である。
図1は、従来技術による重合酵素連鎖反応を示す概略図である。従来の場合、検体から遺伝子情報を含んでいる核酸を抽出(Extraction)するために、検体の分注を行った後、検体内に含まれる核酸を抽出した。核酸を抽出する過程で約60分の時間がかかり、以後、核酸を収集し、PCR試薬を混合し分注して核酸を分注し、以後、PCRを行った。これにより、核酸を増幅して結果を分析することが一般的である。前記核酸を抽出(Extraction)するためには、溶解(Lysis)、精製(Purufication)および溶離(Elution)する過程を必要としていた。ただし、核酸を抽出するために行われる溶解、精製および溶離する過程では、これを行うための専用の抽出装置および抽出のために消耗する用品(プラスチックからなるツール、磁性ビーズまたは溶液など)が必要となっていた。
上述した従来技術により核酸を抽出する場合、純度の高い核酸を抽出することができるが、抽出する過程で長い時間がかかり、緊急な状況や救急室での診断または検診をするのに好適でない問題があり、ウイルスの急激な拡散により国レベルの防疫が必要な状況においてその適用や抽出のための専用機器および消耗用品を持続的に用いなければならないため、診断のために高い費用を支払わなければならない問題点があった。
したがって、上述した問題点を解決するために特定の組成物を用いることにより、別の核酸抽出過程なしに重合酵素連鎖反応で核酸抽出および増幅を同時に行える技術に対する開発が急がれるのが現状である。
本発明が解決しようとする技術的課題は、細胞内の核酸を抽出するために細胞を溶解する過程で特定の溶液を用い、重合酵素連鎖反応に必要な組成物を一度に混合して重合酵素連鎖反応を行うことにより、別の核酸抽出過程を省略し、重合酵素連鎖反応で核酸抽出および増幅を実現できる核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法を提供することである。
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、述べていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
本発明の一実施態様は、Tween20および蒸留水を含む核酸抽出のための細胞溶解用組成物;核酸を含む試料;プレミックス;ならびにプライマーおよびプローブが含まれた溶液;を含む混合物を製造するステップと、前記混合物に対して重合酵素連鎖反応を行って核酸を抽出および増幅するステップとを含む分子診断方法を提供する。
本発明の一実施態様に係る核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法は、別の核酸抽出過程を省略し、前記溶解した溶液を用いて重合酵素連鎖反応を行うことにより、核酸を増幅して分子診断する過程でかかる時間を最小化することができ、核酸の抽出に用いられる専用装置および消耗品を最小化することで分子診断の費用を節減させることができる。
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、述べていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
従来技術による重合酵素連鎖反応を示す概略図である。 本発明の一実施態様に係る核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法のフローチャートである。 実験例1~6による重合酵素連鎖反応においてサイクルによる蛍光値を示すグラフである。
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の一実施態様は、Tween20および蒸留水を含む核酸抽出のための細胞溶解用組成物;核酸を含む試料;プレミックス;ならびにプライマーおよびプローブが含まれた溶液;を含む混合物を製造するステップと、前記混合物に対して重合酵素連鎖反応を行って核酸を抽出および増幅するステップとを含む分子診断方法を提供する。
本発明の一実施態様に係る核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法は、別の核酸抽出過程を省略し、前記溶解した溶液を用いて重合酵素連鎖反応を行うことにより、核酸を増幅して分子診断する過程でかかる時間を最小化することができ、核酸の抽出に用いられる専用装置および消耗品を最小化することで分子診断の費用を節減させることができる。
前記図1を参照すれば、従来技術による分子診断法は、細胞内のDNAまたはRNAなどの核酸を抽出(Extraction)するために、溶解(Lysis)、精製(Purification)および溶離(Elution)過程を経て、溶離された溶液に追加的なPCR緩衝溶液(buffer)を添加してPCR(重合酵素連鎖反応)を行う。以後、前記PCRによって増幅された核酸を診断に用いることが一般的であった。ただし、前記方法は、溶解過程、精製過程および溶離過程に用いられる専用機器が要求され、前記過程で用いられる溶液またはプラスチックワイヤのような多様な消耗品を持続的に用いなければならない問題点があった。
図2は、本発明の一実施態様に係る核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法のフローチャートである。前記図2を参照すれば、本発明は、細胞溶解用組成物;核酸を含む試料;プレミックス;ならびにプライマーおよびプローブが含まれた溶液;を含む混合物を製造するステップS11を行った後、前記混合物に対して重合酵素連鎖反応を行って核酸を抽出および増幅するステップS13を行うことにより、単純な方法で核酸を抽出および増幅を同時に実現することができる。具体的には、本発明は、前記細胞壁の溶解過程で用いられる溶液を特定の種類に限定するとともに、一般的に用いられる溶液を追加せず、単に前記Tween20のみを含む細胞溶解用組成物を用い、PCRを行うためのPCR緩衝溶液、すなわち、プレミックス(Premix)とプライマー(Primer)およびプローブ(Probe)を追加的に添加して、別の核酸抽出過程なしに単にPCRを行うことにより、前記核酸を抽出および増幅し、これを分子診断することが可能である。
本発明の一実施態様によれば、前記核酸抽出のための細胞溶解用組成物は、Tween20;および蒸留水;のみを含む混合物であってもよい。より具体的には、前記核酸抽出のための細胞溶解用組成物は、Tween20(ポリソルベート20);および蒸留水;から構成されたものであってもよい。上述のものから前記核酸抽出のための細胞溶解用組成物の成分を調節することにより、分子診断を単純化させることができ、核酸抽出過程を省略し、PCRで核酸抽出および増幅を同時に実現して分子診断にかかる時間を短縮させることができる。
本発明の一実施態様によれば、Tween20および蒸留水を含む核酸抽出のための細胞溶解用組成物;核酸を含む試料;プレミックス;ならびにプライマーおよびプローブが含まれた溶液;を含む混合物を製造するステップを含む。具体的には、前記核酸抽出のための細胞溶解用組成物は、Tween20および蒸留水のみを含むものであってもよいし、前記プレミックス;ならびに前記プライマーおよびプローブが含まれた溶液;は、PCR緩衝溶液であってもよい。上述のように前記混合物を製造するステップを含むことにより、別の核酸抽出過程なしにPCRを行って核酸抽出および増幅を同時に実現することができ、これにより、分子診断にかかる時間を短縮させることができる。
本発明の一実施態様によれば、前記混合物に対して重合酵素連鎖反応を行って核酸を抽出および増幅するステップを含む。上述のように前記混合物に対して重合酵素連鎖反応を行って核酸を抽出および増幅することにより、分子診断のための核酸を確保することができ、分子診断のためにかかる時間を最小化することができる。
本発明の一実施態様によれば、前記核酸を含む試料をもって別途に核酸を抽出するステップを含まない。上述のように別の核酸抽出ステップを含まないことにより、分子診断にかかる時間を短縮させることができ、核酸抽出のための消耗品や専用装置を用いずに費用を節減させることができる。
本発明の一実施態様によれば、前記Tween20の濃度は、2.0vol/vol%以上16.0vol/vol%未満であってもよい。具体的には、前記Tween20の濃度は、2.2vol/vol%以上15.8vol/vol%以下、2.4vol/vol%以上15.6vol/vol%以下、2.6vol/vol%以上15.4vol/vol%以下、2.8vol/vol%以上15.2vol/vol%以下、3.0vol/vol%以上15.0vol/vol%以下、3.2vol/vol%以上14.8vol/vol%以下、3.4vol/vol%以上14.6vol/vol%以下、3.6vol/vol%以上14.4vol/vol%以下、3.8vol/vol%以上14.2vol/vol%以下、4.0vol/vol%以上14.0vol/vol%以下、4.2vol/vol%以上13.8vol/vol%以下、6.0vol/vol%以上12.0vol/vol%以下、7.0vol/vol%以上11.0vol/vol%以下、8.0vol/vol%以上10.0vol/vol%以下、または8.0vol/vol%以上9.0vol/vol%以下であってもよい。上述の範囲で前記Tween20の濃度を調節することにより、前記細胞の溶解効果を向上させることができ、これにより、別の追加過程なしにPCRにより核酸を抽出および増幅させることで分子診断にかかる時間を減少させることができる。
本発明の一実施態様によれば、前記核酸抽出のための細胞溶解用組成物に核酸を分析するための試料、すなわち、核酸を含む試料を添加することにより、試料が含まれる混合物の濃度は変化可能である。具体的には、前記核酸抽出のための細胞溶解用組成物と前記試料とを同一の体積で混合することにより、前記試料が含まれた混合物の前記界面活性剤の濃度は、上述した核酸抽出のための細胞溶解用組成物の濃度の半分に減少することができる。本明細書全体において、「核酸を含む試料」は、細胞内にDNAまたはRNA核酸が含まれた試料、細胞内で溶出した状態で核酸を含む試料など試料内に核酸を含むものを意味することができる。
本発明の一実施態様によれば、前記試料と前記細胞溶解用組成物の体積比は、1:0.5~1:2.0であってもよい。上述の範囲で前記試料と前記細胞溶解用組成物の体積比を調節することにより、前記Tween20の濃度を調節して細胞内の核酸の抽出を早い時間に実現することができる。
本発明の一実施態様によれば、前記プレミックス;ならびに前記プライマーおよびプローブが含まれた溶液;の体積比は、1:1~1:10であってもよい。上述の範囲で前記プレミックスと前記プライマーおよびプローブが含まれた溶液の体積を調節することにより、前記核酸の抽出および増幅効果を極大化して分子診断にかかる時間を短縮させることができる。
本発明の一実施態様によれば、前記核酸が抽出された混合物と前記プレミックスの体積比は、1:0.5~1:2.0であってもよい。上述の範囲で前記核酸が抽出された混合物と前記プレミックスの体積を調節することにより、前記核酸の抽出および増幅効果を極大化して分子診断にかかる時間を短縮させることができる。
本発明の一実施態様によれば、前記核酸を抽出および増幅するステップは、前記混合物を60℃超過100℃以下の温度で行われるものであってもよい。具体的には、前記核酸を抽出および増幅するステップは、61℃以上99℃以下、62℃以上98℃以下、63℃以上97℃以下、64℃以上96℃以下、65℃以上95℃以下、66℃以上94℃以下、67℃以上93℃以下、68℃以上92℃以下、69℃以上91℃以下、または70℃以上90℃以下の温度で使用されるものであってもよい。より具体的には、前記50℃以上100℃以下の温度で行われることが好ましい。上述の範囲で前記核酸を抽出および増幅するステップの温度を調節することにより、前記細胞の溶解効果を向上させることができ、これにより、別の核酸抽出過程なしにPCRにより核酸を増幅させることで分子診断にかかる時間を減少させることができる。
本発明の一実施態様によれば、前記混合物を製造するステップの後、前記混合物をインキュベータ(incubator)に具備して放置するステップをさらに含むことができる。上述のように前記混合物を製造するステップの後、前記混合物をインキュベータに具備して放置することにより、核酸抽出効果を向上させることができる。本明細書において、インキュベータは、内部に空間が形成された装置で、温度、湿度および圧力などを調節可能なあらゆる装置を意味することができ、前記名称に限定されない。
本発明の一実施態様によれば、前記インキュベータに放置するステップは、1分以上10分以下の間に行われるものであってもよい。上述の範囲で前記混合物がインキュベータに放置される時間を調節することにより、前記細胞の溶解効果を向上させることができる。
本発明の一実施態様によれば、前記混合物に対して重合酵素連鎖反応を行って核酸を抽出および増幅するステップの後に、前記核酸が抽出および増幅された溶液を分析するステップをさらに含むことができる。上述のように前記分析ステップをさらに含むことにより、核酸の増幅して分子診断する過程でかかる時間を最小化し、核酸の抽出に用いられる専用装置および消耗品を最小化することで分子診断の費用を節減させることができる。
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
実験例1
検査対象であるE-coli DH3のターゲット遺伝子である16S rRNAを増幅するために、スピン-カラム(spin-column)抽出方法で前記遺伝子を抽出した。具体的には、前記検査対象であるE-coli DH3を採取した後、従来のQiagenの抽出方式で溶解過程、精製過程および溶離過程を実施して前記16S rRNAを抽出した。
以後、抽出された混合物にintercalating dye(Ssofast pol.EvaGreen、Green)を添加して、2分間95℃で予備反応を行った。以後、10秒間95℃に維持し、以後、10秒間61℃に維持することを50サイクル繰り返して、ターゲット遺伝子である16S rRNAを増幅し、毎サイクルごとに蛍光値を測定し、この過程で前記核酸を増幅して結果を確認できる最小限の閾値回数であるCt(Threshold Cycle)を測定して、下記表1にまとめた。
実験例2
検査対象であるE-coli DH3のターゲット遺伝子である16S rRNAを増幅するために、E3抽出方法を利用して前記遺伝子を抽出した。より具体的には、E3抽出方法は核酸自動化抽出方法であり、大きく、抽出試薬(E3 NA(Nucleic acid)extraction kit)と抽出装置とに区分することができる。前記方法は、酸化鉄(Iron oxide)でコーティングされたmagnetic beadを用いて人体由来検体から核酸(DNA/RNA)を抽出する方法である。Reagent tubeには4つのwellが具備されており、それぞれLysis Buffer、Washing Buffer、Elution Bufferが含まれている。Lysis BufferとWashing Bufferに含有された高濃度のChaotropic saltは細胞膜を破壊しタンパク質から核酸を分離し、この環境でmagnetic beadは負電荷の核酸と吸着する。Magnetic beadに吸着された核酸は核酸抽出器具(E3装置)のmagnetic rodによってtubeの各カラムに順次に移動し、数回のwashingステップを経る。最後に、Elution bufferがmagnetic beadに吸着されていた核酸を分離させ、magnetic rodがmagnetic beadのみを除去してElution bufferに純粋な核酸だけが残るようになる。上述の方法で16S rRNAを抽出した。
以後、抽出された混合物にintercalating dye(Ssofast pol.EvaGreen、Green)を添加して、2分間95℃で予備反応を行った。以後、10秒間95℃に維持し、以後、10秒間61℃に維持することを50回繰り返して、ターゲット遺伝子である16S rRNAを増幅し、毎サイクルごとに蛍光値を測定し、この過程で前記核酸を増幅して結果を確認できる最小限の閾値回数であるCt(Threshold Cycle)を測定し、前記実験例1とのCtの差である△Ctを計算して、下記表1にまとめた。
実験例3
検査対象であるE-coli DH3のターゲット遺伝子である16S rRNAを増幅するために、Tween20と蒸留水を含む核酸抽出のための細胞溶解用組成物を10vol/vol%の濃度のもので用意し、前記組成物に検査対象を含む試料を添加することにより、前記Tween20の濃度を5vol/vol%に調節した混合物を用意した。以後、室温で5分間インギュベーション(incubation)で放置した後、前記混合物を15分間遠心分離機を用いて15,000gで遠心分離した。
以後、抽出された混合物にintercalating dye(Ssofast pol.EvaGreen、Green)を添加して、2分間95℃で予備反応を行った。以後、10秒間95℃に維持し、以後、10秒間61℃に維持することを50回繰り返して、ターゲット遺伝子である16S rRNAを増幅し、毎サイクルごとに蛍光値を測定し、この過程で前記核酸を増幅して結果を確認できる最小限の閾値回数であるCt(Threshold Cycle)を測定し、前記実験例1とのCtの差である△Ctを計算して、下記表1にまとめた。
実験例4
前記実験例3において、核酸抽出のための細胞溶解用組成物のTween20の濃度を20vol/vol%に調節したことと、前記混合物における前記Tween20の濃度を10vol/vol%に調節したことを除き、前記実験例3と同様に、毎サイクルごとに蛍光値およびCt(Threshold Cycle)を測定し、前記実験例1とのCtの差である△Ctを計算して、下記表1にまとめた。
実験例5
前記実験例3において、核酸抽出のための細胞溶解用組成物を、Tween20の代わりにTriton X-100を用いたことを除き、前記実験例3と同様に、毎サイクルごとに蛍光値およびCt(Threshold Cycle)を測定し、前記実験例1とのCtの差である△Ctを計算して、下記表1にまとめた。
実験例6
前記実験例4において、核酸抽出のための細胞溶解用組成物を、Tween20の代わりにTriton X-100を用いたことを除き、前記実験例4と同様に、毎サイクルごとに蛍光値およびCt(Threshold Cycle)を測定し、前記実験例1とのCtの差である△Ctを計算して、下記表1にまとめた。
図3は、実験例1~6による重合酵素連鎖反応においてサイクルによる蛍光値を示すグラフである。前記図3および表1を参照すれば、核酸抽出のための細胞溶解用組成物として濃度が10vol/vol%であるTween20を用いた実験例3は、従来の核酸抽出方法である実験例1および2と類似の水準に相当することを確認した。ただし、実験例3は、核酸抽出過程で精製過程および溶離過程を行わないので、実験例1および2に比べて分子診断のためにかかる時間が少ないことを確認した。
これに対し、核酸抽出のための細胞溶解用組成物としてTriton X-100を用いた実験例5および6は、同一の時間内に細胞壁が溶解する時間が遅くて同一の蛍光値(RFU)でCt値が増加することを確認した。
さらに、Tween20を用いたものの濃度が20vol/vol%である実験例4は、濃度が10vol/vol%である実験例3に比べて、同一の蛍光値(RFU)を有するためのCt値が増加することを確認した。
前記実験例1~3を通して、細胞内の核酸を抽出するための核酸抽出のための細胞溶解用組成物としてTween20が好適であることを確認した。
以下、従来の分子診断方法と本発明の一実施態様に係る分子診断方法の効果を比較した。
比較例1
検査対象であるM.tuberculosis、M.avium、およびM.intracellulareに含まれた遺伝子を増幅するために、スピン-カラム(spin-column)抽出方法で前記遺伝子を抽出した。具体的には、前記検査対象であるM.tuberculosis、M.avium、およびM.intracellulareを採取した後、従来のQiagenの抽出方式で溶解過程、精製過程および溶離過程をすべて実施して前記遺伝子を抽出した。
以後、抽出された混合物16μlに、M.tuberculosisとNTM(非結核抗酸菌;M.aviumおよびM.intracellulareを含む)を特異的に検出できるプライマー/プローブ混合液4μlとTaq polymerase premix(RealhelixTM qPCR Kit、ナノヘリックス、韓国)20μlを添加して、5分間95℃で予備反応を行った。以後、10秒間95℃に維持し、以後、40秒間60℃に維持することを40サイクル繰り返して遺伝子を増幅し、この過程で前記核酸を増幅して結果を確認できる最小限の閾値回数であるCt(Threshold Cycle)を測定して、下記表2にまとめた。
比較例2
検査対象であるM.tuberculosis、M.avium、およびM.intracellulareに含まれた遺伝子を増幅するために、5.0vol/vol%の濃度となるようにTween20の体積と蒸留水の体積を計量して混合することにより、核酸抽出のための細胞溶解用組成物を製造し、以後、細胞が含まれた試料20μlと前記核酸抽出のための細胞溶解用組成物20μlとを混合してTween20の濃度が2.5vol/vol%となるように試料が含まれた混合物(detegent)を製造し、90℃の条件で前記細胞を5分間溶解させて、細胞内に含まれた核酸を抽出した。
以後、抽出された混合物16μlに、M.tuberculosisとNTM(非結核抗酸菌;M.aviumおよびM.intracellulareを含む)を特異的に検出できるプライマー/プローブ混合液4μlとTaq polymerase premix(RealhelixTM qPCR Kit、ナノヘリックス、韓国)20μlを添加して、5分間95℃で予備反応を行った。以後、10秒間95℃に維持し、以後、40秒間60℃に維持することを40回繰り返して、ターゲット遺伝子であるIS6110とITS regionを増幅し、毎サイクルごとに蛍光値を測定し、この過程で前記核酸を増幅して結果を確認できる最小限の閾値回数であるCt(Threshold Cycle)を測定し、前記実験例1とのCtの差である△Ctを計算して、下記表2にまとめた。
実施例1
検査対象であるM.tuberculosis、M.avium、およびM.intracellulareに含まれた遺伝子を増幅するために、12.5vol/vol%の濃度となるようにTween20の体積と蒸留水の体積を計量して混合することにより、核酸抽出のための細胞溶解用組成物を製造し、以後、細胞が含まれた試料20μlと前記核酸抽出のための細胞溶解用組成物20μlとを混合してTween20の濃度が6.25vol/vol%となるように試料が含まれた混合物を製造した(以後、以下のPCR反応液総液40ulでTween20の最終濃度が2.5vol/vol%となるようにするために濃度を調節した)。
以後、前記混合物16μlに、Taq polymerase premix(RealhelixTM qPCR Kit、ナノヘリックス、韓国)20μlおよびM.tuberculosisとNTM(非結核抗酸菌;M.aviumおよびM.intracellulareを含む)を特異的に検出できるプライマーとプローブが含まれた溶液4μlを添加して、5分間95℃で予備反応を行った。以後、10秒間95℃に維持し、以後、40秒間60℃に維持することを40サイクル繰り返して遺伝子を増幅し、この過程で前記核酸を増幅して結果を確認できる最小限の閾値回数であるCt(Threshold Cycle)を測定して、下記表2にまとめた。
さらに、前記表1から確認された各検査対象に対して、比較例1、比較例2および実施例1のCtの差である△Ctを求めて、下記表3にまとめた。
前記表2および表3を参照すれば、従来のQiagenのスピン-カラム(spin-column)抽出方法で核酸を抽出し、PCRを行って核酸を増幅させた比較例1と、本発明の一実施態様である実施例1とは、平均的に0.52Ctの差があることを確認し、Tween20のみを含む細胞溶解用組成物を用いて核酸を抽出し、以後、PCRを行って核酸を増幅した比較例2と、本発明の一実施態様である実施例1とは、平均的に0.47Ctの差があることを確認した。
結局、本発明の一実施態様に係る実施例1は、従来技術である比較例1および比較例2と類似するか、より優れた水準のCt値を示すが、核酸を抽出する過程がないので、従来技術に比べて分子診断にかかる時間が短縮したことを確認し、消耗品が用いられず分子診断にかかる費用が節減されることを確認した。
したがって、本発明の一実施態様に係る核酸抽出のための細胞溶解用組成物を用いた分子診断方法は、核酸を抽出するための溶液としてTween20のみを含ませ、重合酵素連鎖反応に必要な組成物を一度に混合して重合酵素連鎖反応を行うことにより、別の核酸抽出過程を省略し、重合酵素連鎖反応で核酸抽出および増幅を実現することができる。
以上、本発明はたとえ限られた実施例によって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と以下に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能であることは言うまでもない。
S11:混合物製造ステップ
S13:核酸抽出および増幅ステップ

Claims (8)

  1. Tween20および蒸留水を含む核酸抽出のための細胞溶解用組成物;核酸を含む試料;プレミックス;ならびにプライマーおよびプローブが含まれた溶液;を含む混合物を製造するステップと、
    前記混合物に対して重合酵素連鎖反応を行って核酸を抽出および増幅するステップとを含む分子診断方法。
  2. 前記Tween20の濃度は、2.0vol/vol%以上16.0vol/vol%未満である、請求項1に記載の分子診断方法。
  3. 前記試料と前記細胞溶解用組成物の体積比は、1:0.5~1:2.0である、請求項1に記載の分子診断方法。
  4. 前記プレミックス;ならびに前記プライマーおよびプローブが含まれた溶液;の体積比は、1:1~1:10である、請求項1に記載の分子診断方法。
  5. 前記核酸が抽出された混合物;と前記プレミックス;の体積比は、1:0.5~1:2.0である、請求項1に記載の分子診断方法。
  6. 前記核酸を抽出および増幅するステップは、60℃超過100℃以下の温度で行われるものである、請求項1に記載の分子診断方法。
  7. 前記混合物を製造するステップの後、
    前記混合物をインキュベータに具備して放置するステップをさらに含む、請求項1に記載の分子診断方法。
  8. 前記インキュベータに放置するステップは、1分以上10分以下の間に行われるものである、請求項7に記載の分子診断方法。
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