JP2023150954A - コイル部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガラス層や樹脂層により覆われていないコイル導体を有するコイル部品においてコイル導体に含まれる金属のイオンマイグレーションを抑制すること。【解決手段】コイル部品1は、基体10と、この基体の内部に設けられており銅を主成分とするコイル導体25と、を備える。コイル導体25の表面には、酸化銅被膜60が形成されている。基体10は、Fe、Si及び元素A(ただし、元素Aは、Cr及びAlから成る群より選択される少なくとも一つの元素である。)を含有する複数の金属磁性粒子31を含む。金属磁性粒子31の表面は、酸化被膜41によって覆われている。酸化被膜41においては、Siの原子割合と元素Aの原子割合との合計がFeの原子割合よりも高い。【選択図】 図4

Description

本明細書において開示される発明は、主にコイル部品に関する。
コイル部品は、様々な電子機器に搭載されている。コイル部品は、例えば、回路の電源ラインや信号ラインにおいてノイズを除去するために用いられる。一般的なコイル部品は、磁性材料から構成された基体と、基体に設けられたコイル導体と、を備える。
コイル部品の基体として、軟磁性材料から構成された多数の金属磁性粒子を含む軟磁性基体が用いられる。軟磁性基体において、金属磁性粒子の表面は絶縁膜で覆われており、隣接する金属磁性粒子同士は、絶縁膜を介して互いに結合している。軟磁性基体は、フェライトから構成される磁性基体よりも磁気飽和が起こりにくいため、大電流が流れる回路に適している。
コイル導体の表面は、絶縁性のコーティング膜で被覆されることがある。例えば、特開2020-191408号公報(特許文献1)に記載されているコイル部品は、絶縁性のガラス層により被覆されたコイル導体を備えている。また、国際公開第2018/088264号公報(特許文献2)に記載されているコイル部品は、ポリイミド樹脂で被覆されたコイル導体を備えている。
コイル導体の表面を絶縁性のコーティング層(例えば、上記のガラス層やポリイミド樹脂層)で被覆することにより、コイル部品の絶縁耐圧が高められる。
コイル導体の主成分として銀が用いられることが多い。銀は、イオンマイグレーションを発生させやすい。コイル導体の表面にコーティング層を設けることにより、コイル導体と他の導体(例えば、外部導体)との間でのイオンマイグレーションを抑制することができる。
また、コイル導体の表面のコーティング層により、コイル導体に含まれる金属元素の酸化を抑制し、コイル導体の直流抵抗の増加を抑制することができる。
特開2020-191408号公報 国際公開第2018/088264号
以上のように、コイル導体の表面にガラス層や樹脂層を設けることによる利点がある。他方、コイル導体の表面にコーティング層を設けるためには、製造時に追加的な工程が必要となる。例えば、コイル部品がシート積層法で作製される場合には、磁性体シートに導電性ペーストを塗布し、この導電性ペーストを加熱することでコイル導体が作製されるが、このようにして作製されるコイル導体の表面にコーティング層を設けるためには、磁性体シートに導電性ペーストを塗布した後に、コーティング層用のペーストをさらに塗布する必要がある。
他方、コイル導体の表面にコーティング層が設けられていないと、コイル部品の特性が劣化するおそれがある。例えば、コイル導体の表面にコーティング層が設けられていない場合には、コイル導体と外部電極との間のイオンマイグレーションが増加しやすくなる。
本発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決又は緩和することである。本発明のより具体的な目的の一つは、ガラス層や樹脂層により覆われていないコイル導体を有するコイル部品においてコイル導体に含まれる金属のイオンマイグレーションを抑制することである。
本発明の前記以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。特許請求の範囲に記載される発明は、「発明を解決しようとする課題」から把握される課題以外の課題を解決するものであってもよい。
本発明の一態様におけるコイル部品は、Fe、Si及び元素A(ただし、元素Aは、Cr及びAlから成る群より選択される少なくとも一つの元素である。)を含有し、表面がFeの酸化物及び前記元素Aの酸化物を含む酸化被膜で覆われた複数の金属磁性粒子を含む基体と、前記基体の内部に配置された銅を主成分とするコイル導体と、前記コイル導体の表面の全体を覆い、酸化銅を主成分とする酸化銅被膜と、を備える。一態様において、前記酸化被膜におけるSiの原子割合と前記元素Aの原子割合との合計がFeの原子割合よりも高い。
本発明によれば、コイル導体の表面をガラス層や樹脂層で被覆することなく、コイル導体に含まれる金属のイオンマイグレーションを抑制することができる。
本発明の一態様によるコイル部品の斜視図である。 図1のコイル部品の分解斜視図である。 図1のコイル部品のI-I線断面図である。 図3の領域Aを拡大して模式的に示す拡大断面図である。 図4の領域Bを拡大して模式的に示す拡大断面図である。 本発明の一態様によるコイル部品の製造方法を示すフロー図である。 大気中で加熱されたアクリル樹脂、エチルセルロース、及び銅の重量変化を示すTG曲線を示すグラフである。 窒素雰囲気中で加熱されたアクリル樹脂、エチルセルロース、及び銅の重量変化を示すTG曲線を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。以下で説明される本発明の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。以下の実施形態で説明されている諸要素が発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1から図3を参照して、本発明の一実施形態によるコイル部品1について説明する。図示の実施形態において、コイル部品1は、積層インダクタである。この積層インダクタは、電源ラインに組み込まれるパワーインダクタ及びそれ以外の様々なインダクタとして使用され得る。本発明は、図示されている積層インダクタ以外の様々なコイル部品に適用され得る。
図示のように、コイル部品1は、基体10と、基体10内に設けられたコイル導体25と、基体10の表面に設けられた外部電極21と、基体10の表面において外部電極21から離間した位置に設けられた外部電極22と、を備える。
コイル部品1は、実装基板2aに実装されている。回路基板2は、コイル部品1と、このコイル部品1が実装される実装基板2aと、を備える。実装基板2aには、ランド部3a、3bが設けられている。コイル部品1は、外部電極21とランド部3aとを接合し、また、外部電極22とランド部3bとを接合することで実装基板2aに実装されている。回路基板2は、コイル部品1及びコイル部品1以外の様々な電子部品を備えることができる。
回路基板2は、様々な電子機器に搭載され得る。回路基板2が搭載され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、サーバ、自動車の電装品及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。コイル部品1が搭載される電子機器は、本明細書で明示されるものには限定されない。
本発明の一又は複数の実施形態において、基体10は磁性材料からおおむね直方体状に形成される。基体10は、第1の主面10a、第2の主面10b、第1の端面10c、第2の端面10d、第1の側面10e、及び第2の側面10fを有する。基体10は、これらの6つの面によってその外面が画定される。第1の主面10aと第2の主面10bとは互いに対向し、第1の端面10cと第2の端面10dとは互いに対向し、第1の側面10eと第2の側面10fとは互いに対向している。図1において第1の主面10aは基体10の上側にあるため、第1の主面10aを「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2の主面10bを「下面」と呼ぶことがある。コイル部品1は、第2の主面10bが回路基板2と対向するように配置されるので、第2の主面10bを「実装面」と呼ぶこともある。コイル部品1の上下方向に言及する際には、図1の上下方向を基準とする。本明細書においては、文脈上別に理解される場合を除き、コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向、及び「高さ」方向はそれぞれ、図1の「L軸」方向、「W軸」方向、及び「T軸」方向とする。L軸、W軸、及びT軸は互いに直交している。
本発明の一又は複数の実施形態において、コイル部品1は、長さ寸法(L軸方向の寸法)が0.2~6.0mm、幅寸法(W軸方向の寸法)が0.1~4.5mm、高さ寸法(T軸方向の寸法)が0.1~4.0mmとなるように形成される。これらの寸法はあくまで例示であり、本発明を適用可能なコイル部品1は、本発明の趣旨に反しない限り、任意の寸法を取ることができる。一又は複数の実施形態において、コイル部品1は、低背に形成される。例えば、コイル部品1は、その幅寸法が高さ寸法よりも大きくなるように形成される。
図2及び図3に示されているように、基体10は、積層された複数の磁性体層を有する。図示のように、基体10は、本体部20、この本体部20の上面に設けられた上部カバー層18、この本体部20の下面に設けられた下部カバー層19を備えてもよい。本体部20は、積層された磁性体層11~16を含む。基体10においては、T軸方向のマイナス側からプラス側に向かって、下部カバー層19、磁性体層16、磁性体層15、磁性体層14、磁性体層13、磁性体層12、磁性体層11、上部カバー層18、の順に積層されている。
上部カバー層18は、4枚の磁性体層18a~18dを含む。この上部カバー層18においては、図2の下から上に向かって、磁性体層18a、磁性体層18b、磁性体層18c、磁性体層18dの順に積層されている。
下部カバー層19は、4枚の磁性体層19a~19dを含む。この下部カバー層19においては、図2の上から下に向かって、磁性体層19a、磁性体層19b、磁性体層19c、磁性体層19dの順に積層されている。
コイル部品1は、磁性体層11~磁性体層16、磁性体層18a~18d、及び磁性体層19a~19d以外にも、必要に応じて、任意の数の磁性体層を含むことができる。磁性体層11~磁性体層16、磁性体層18a~18d、及び磁性体層19a~19dの一部は、適宜省略することができる。図3においては、磁性体層間の境界が示されているが、本発明が適用された実際のコイル部品の基体においては磁性体層間の境界は視認できないこともある。
導体パターンC11~C16の各々は、隣接する導体パターンとビアV1~V6を介して電気的に接続される。このようにして接続された導体パターンC11~C16が、スパイラル状の周回部25aを形成する。すなわち、コイル導体25の周回部25aは、導体パターンC11~C16及びビアV1~V5を有する。
磁性体層11~磁性体層16の各々には、対応する導体パターンC11~C16が設けられている。これらの導体パターンC11~C16により、周回部25aが構成される。各導体パターンC11~C16は、コイル軸Axの周りに延伸するように形成される。図示の実施形態において、コイル軸Axは、T軸方向に延伸しており、磁性体層11~磁性体層16の積層方向と一致する。コイル軸Axは、T方向に沿って延びている。コイル軸Axは、例えば、平面視で長方形形状を有する第1の主面10aの対角線の交点を通り第1の主面10aに垂直な方向に延びる。
導体パターンC11のビアV1に接続されている端部と反対側の端部は、引出導体25b2を介して外部電極22に接続される。導体パターンC16のビアV5に接続されている端部と反対側の端部は、引出導体25b1を介して外部電極21に接続される。このように、コイル導体25は、周回部25aと、引出導体25b1と、引出導体25b2と、を有する。
導体パターンC11~C16は、対応する磁性体層11~磁性体層16上にそれぞれ形成される。導体パターンC11~C16は、後述するように磁性体シートに導電性ペーストを導体パターンC11~C16の形状となるように塗布し、この磁性体シートに塗布された導電性ペーストを加熱することで形成される。磁性体層11~磁性体層15の所定の位置には、ビアV1~V5がそれぞれ形成される。ビアV1~V5は、磁性体層11~磁性体層15の所定の位置に、磁性体層11~磁性体層15をT軸方向に貫く貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電性材料を埋め込むことにより形成される。導体パターンC11~C16及びビアV1~V5は、銅を主成分として含んでいる。
このように、コイル導体25は、コイル軸Axの周りに延びる周回部25aを有しており、基体10内に配置されている。コイル導体25は、その引出導体25b1及び引出導体25b2の端部が基体10から外に向かって露出しているが、それ以外の部分は基体10内に配置されている。つまり、コイル導体25は、周回部25aと、引出導体25b1と、引出導体25b2と、を有する。コイル導体25は、銅を主成分として含んでいる。コイル導体25には、焼結銅として銅が含まれている。コイル導体25の表面は、その全体が後述する酸化銅被膜60で覆われている。コイル導体25の表面の全体とは、コイル導体25の表面のうち外部電極21との接続面及び外部電極22との接続面以外の表面を意味する。
次に、図4及び図5を参照して、基体10及びコイル導体25の微細構造を説明する。図4は、図3に示されている領域Aを模式的に示す拡大断面図であり、図5は、図4に示されている領域Bを模式的に示す拡大断面図である。領域Aは、基体10をT軸に沿って切断した断面の一部の領域である。領域Aは、基体10をT軸に沿って切断した断面の一部を占め、導体パターンC13から磁性体層12及び磁性体層13に跨がる領域である。図4及び図5には、コイル導体25のうち導体パターンC13を含む領域が例示されているため、図4及び図5を参照した説明では、主に導体パターンC13に言及される。導体パターンC13に関する説明は、コイル導体25を構成する他の導体パターン(導体パターンC11~C12及びC14~C16)にも当てはまる。
図4に示されているように、磁性体層12及び磁性体層13は、複数の金属磁性粒子31を含んでいる。磁性体層12及び磁性体層13は、2種類以上の金属磁性粒子を含んでもよい。金属磁性粒子31の平均粒径は、例えば、1~10μmである。金属磁性粒子31の平均粒径は、体積基準で測定した粒度分布から算出される平均粒径(メジアン径(D50))とすることができる。磁性体層12及び磁性体層13に関する説明は、基体10の磁性体層12及び磁性体層13以外の領域についても当てはまる。
基体10に含まれる金属磁性粒子31は、Fe基の軟磁性材料から構成されたFe基金属磁性粒子であってもよい。例えば、金属磁性粒子31は、Feに加えて、Si及び元素A(ただし、元素Aは、Cr及びAlから成る群より選択される少なくとも一つの元素である。)を含有する。金属磁性粒子31がFe、Si、Cr及びAlを含む場合、各元素の含有比率は、Feが93~97wt%、Siが2.5~6.5wt%、Crが0~2wt%、Alが0~3wt%の範囲とすることができ、各元素の含有比率を合計すると100wt%となる。
基体10に含まれる金属磁性粒子の表面には、その金属磁性粒子に含まれる金属元素の酸化物を含む絶縁性の酸化被膜が設けられる。図5に示されているように、金属磁性粒子31の表面は、酸化被膜41で覆われている。酸化被膜41が形成された金属磁性粒子31は、原料粉(軟磁性金属粉)を熱処理し、この熱処理により原料粉に含まれる元素を酸化することで得られる。図5に示されているように、金属磁性粒子31の表面には酸化被膜41が設けられている。隣接する金属磁性粒子31同士は、酸化被膜41を介して結合している。
基体10に含まれる金属磁性粒子31の表面の酸化被膜41は、Fe及び元素Aの酸化物を含む。例えば、金属磁性粒子31がFe-Cr-Si系合金から成る場合、その表面の酸化被膜41には、Fe、Cr、及びSiの酸化物が含まれる。例えば、Fe-Al-Si系合金から成る場合、その表面の酸化被膜41には、Fe、Al、及びSiの酸化物が含まれる。例えば、金属磁性粒子31がFe-Cr-Al-Si系合金から成る場合、その表面の酸化被膜41には、Fe、Cr、Al及びSiの酸化物が含まれる。金属磁性粒子31の表面に設けられる酸化被膜41におけるSiの原子割合と元素Aの原子割合との合計は、酸化被膜41に含まれるFeの原子割合よりも高い。例えば、酸化被膜41に、Fe、Cr、及びSiが含まれる場合、つまり、酸化被膜41にSi及び元素AとしてのCrが含まれる場合には、この酸化被膜41におけるSiの原子割合とCrの原子割合との合計は、Feの原子割合よりも高い。よって、酸化被膜41において、Crの原子割合は、Feの原子割合より低いことがあり得るが、その場合であっても、Crの原子割合とSiの原子割合との合計は、Feの原子割合よりも高い。例えば、酸化被膜41に、Fe、Al、及びSiが含まれる場合、つまり、酸化被膜41に元素AとしてAlが含まれる場合には、酸化被膜41において、Alの原子割合は、Feの原子割合より低いことがあり得るが、その場合であっても、Alの原子割合とSiの原子割合との合計は、Feの原子割合よりも高い。例えば、酸化被膜41に、Fe、Cr、Al及びSiが含まれる場合(つまり、酸化被膜41に元素AとしてCr及びAlが含まれる場合)には、酸化被膜41において、Crの原子割合もしくはAlの原子割合は、Feの原子割合より低いことがあり得るが、その場合であっても、Crの原子割合とAlの原子割合とSiの原子割合との合計は、Feの原子割合よりも高い。酸化被膜に含まれるFe、Si及び元素Aの原子割合は、STEM-EDXなどを用いて酸化被膜内の5点以上、好ましくは10点以上について点分析を行い、各点におけるFeの原子割合、Siの原子割合、および元素Aの原子割合を測定し、各点で測定された原子割合を平均することで算出できる。各元素の原子割合の測定には、例えばEDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)分析が用いられてもよい。
図4に示されているように、導体パターンC13と磁性体層12との間及びコイル導体25と磁性体層13との間には、酸化銅(CuO)を主成分とする酸化銅被膜60が設けられている。同様に、コイル導体25を構成する他の導体パターンの表面にも酸化銅被膜60が設けられている。酸化銅被膜60は、酸化被膜41を介して金属磁性粒子31と接している。後述するように、酸化銅被膜60は、コイル導体25に含まれる銅が酸化することで形成される。
図示されているように、酸化銅被膜60は、導体パターンC13の表面の全ての領域を覆っていてもよい。例えば、基体10をT軸に沿って切断して断面を露出させ、L軸方向において均等な間隔で配置された3点(5点であってもよい。)の各々において視野に導体パターンC13の表面の一部及び基体10を含むように5000倍の倍率で当該断面のSEM写真を撮影し、この撮影したSEM写真の各々において導体パターンC13の表面全体が酸化銅被膜60によって覆われている場合に、酸化銅被膜60が導体パターンC13の表面の全てを覆っていると判断することができる。コイル導体25は、その表面のうち外部電極21、22との接続面以外の全ての領域が酸化銅被膜60によって覆われていてもよい。コイル導体25の表面全体(コイル導体25の表面のうち外部電極21、22との接続面以外の全ての領域)が酸化銅被膜60によって覆われることで、金属銅のマイグレーションが抑制される。また、コイル導体25の表面全体が酸化銅被膜60によって覆われることにより、コイル導体25内部の金属銅と金属磁性粒子31とが直接接することを防止できる。
酸化銅被膜60の厚さは、導体パターンC13の厚さよりも薄い。酸化銅被膜60の厚さは、酸化銅被膜60のT軸方向における寸法を意味する。図示されているように、酸化銅被膜60の表面には凹凸が存在するため、酸化銅被膜60の厚さは均一でないことがある。この場合、基体10をT軸に沿って切断して断面を露出させ、L軸方向において均等な間隔で配置された10点の各々における酸化銅被膜60のT軸方向に沿った寸法を計測し、この10点で計測された寸法の平均を酸化銅被膜60の厚さとすることができる。酸化銅被膜60の厚さと同様に、導体パターンC13の厚さは、導体パターンC13のT軸方向における寸法を意味し、L軸方向において均等な間隔で配置された10点の各々において計測された導体パターンC13の寸法の平均を、導体パターンC13の厚さとすることができる。
本発明の一態様において、導体パターンC13の厚さは、導体パターンC13の厚さと酸化銅被膜60の厚さとの合計の90%以上とされる。本発明の一態様において、導体パターンC13の厚さは、5μm以上100μm以下とされる。本発明の一態様において、酸化銅被膜60の厚さは、0.01μm以上5μm以下とされる。酸化銅被膜60は、コイル導体25の材料である導電性ペーストに含まれる銅粉が酸化して形成されたものであるため、酸化銅被膜60の厚さを薄くすることにより導電性の導体パターンC13の断面積を大きくすることができ、これにより酸化銅被膜60を設けることによる導体パターンC13の導電率の低下を抑制することができる。また、酸化銅被膜60の厚さを0.01μm以上とすることにより、コイル導体25に含まれる銅のイオン化を抑制することができ、金属銅のマイグレーションを防止することができる。さらに、導体パターンC13と基体10に含まれる金属磁性粒子との間の絶縁を確保することができる。導体パターンC13の厚さに関する説明は、コイル導体25を構成する他の導体パターンの厚さにも当てはまる。
導体パターンC13は、後述するように、銅粉を熱分解性樹脂であるアクリル樹脂に分散させた導電性ペーストを加熱することにより形成される。本明細書において、熱分解性樹脂とは酸素との燃焼反応によらずに分解される樹脂を言い、窒素雰囲気にて昇温した場合に熱分解し残渣が残らない樹脂を言う。残渣が残らないとはその重量の99%以上が熱分解により気化されることを言い、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて窒素雰囲気にて3℃/分の昇温速度にて測定することができる。このため、導体パターンC13は、銅結晶の緻密な焼結体である。従来は、導電性ペースト用のバインダー樹脂として、セルロース系樹脂が用いられている。セルロース系樹脂を完全に分解するには、酸素による燃焼が必要である。セルロース系樹脂を導電性ペーストのバインダー樹脂として用いたのでは、熱分解だけでは残渣が発生するため、銅結晶の緻密な焼結体の成長が妨げられる。図4に示されているように、導体パターンC13は、互いに結晶方位が異なる銅結晶51及び銅結晶52を含むことができる。銅結晶51と銅結晶52との境界は、基体10をT軸に沿って切断して断面を露出させ、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて断面の反射電子像を観察することことで観察することができる。反射電子像では、互いに結晶方位が異なる銅結晶51と銅結晶52との境界は、結晶方位が異なることに起因するコントラストの差異として現れる。導体パターンC13に含まれる銅結晶の結晶方位や粒径は、電界放出形走査顕微鏡を用いたEBSD解析によって解析することができる。
導体パターンC13には、銅結晶の間に形成された空洞Hが含まれていてもよい。導電性ペーストを加熱する際に、熱分解されたアクリル樹脂が存在していた領域のうち銅粉の結晶成長により閉塞されなかった領域が、加熱後の導体パターンC13において空洞Hとして残存する。空洞Hは、周囲が銅結晶で囲まれた閉孔であってもよい。
本発明の一態様において、導体パターンC13における所定量域内で銅結晶の占める割合を示す占有率は、85vol%以上とされる。基体10の断面の観察視野において、導体パターンC13に占める銅結晶の面積の割合を、銅結晶の占有率とすることができる。導体パターンC13における銅結晶の占有率を高くすることにより、導体パターンC13の電気導電率を高くすることができる。
本発明の一態様において、導体パターンC13に含まれる銅結晶の平均粒径は、導体パターンC13の厚さ(T軸方向における寸法)の1/5以上である。銅結晶の平均粒径は、当業者に用いられる通常の測定方法、例えばインターセプト法により計測することができる。より具体的には、基体10をT軸に沿って切断した断面をSEMにより観察し、この観察像上に所定長さの直線を複数本平行に引き、銅結晶粒子を上記直線が横切った部分の直線の長さの平均値を、銅結晶の平均粒径とすることができる。導体パターンC13における銅結晶の平均粒径を大きくすることにより、導体パターンC13の電気導電率を高くすることができる。
コイル部品1におけるコイル導体25は、銅を主成分とし、その表面が酸化銅被膜60によって覆われていることにより、コイル導体25の表面にガラス層や樹脂層を設けなくとも、優れた特性を示すことができる。まず、銅は、コイル導体用の材料として広く用いられている銀よりもイオンマイグレーションを発生させにくい。また、コイル導体25の表面が酸化銅被膜60により覆われているため、コイル導体25と使用環境に存在する水分との接触が抑制され、これによりコイル導体25に含まれる銅のイオン化が抑制される。これにより、コイル導体25と他の導体(例えば、外部電極21、22)との間のイオンマイグレーションがさらに抑制される。さらに、酸化銅被膜60によりコイル導体25が大気に暴露されないため、コイル導体25に含まれる銅の酸化が抑制され、これによりコイル導体25の直流抵抗の増加が抑制される。さらに、酸化銅被膜60は、比抵抗が高いため、コイル導体25と金属磁性粒子31との間でのショートの発生を抑制することができ、これによりコイル部品1の絶縁耐圧を高めることができる。
酸化銅被膜60は、コイル部品の製造工程における加熱処理において、コイル導体の前駆体となる導電性ペーストに含まれる銅粉が酸化することにより、コイル導体の表面に形成される。このように、銅を主成分とするコイル導体を有するコイル部品の製造工程においては、コイル導体25の前駆体となる導電性ペーストからの脱脂や銅結晶の焼結のために加熱処理が必須である。酸化銅被膜60は、コイル部品1の製造工程において必須の加熱処理が行われる際に形成されるから、コイル部品1の製造時に酸化銅被膜60を形成するための工程を新たに追加することなく形成可能である。なお、従来のコイル部品の材料として広く用いられている銀は、酸素との結合が弱いため、銀を主成分とするコイル導体の表面に安定的な酸化銀を形成することは困難である。このように、コイル導体25の主成分を銅とすることにより、コイル部品1の製造時に新たな工程を追加することなく、コイル導体25の表面に、イオンマイグレーション抑制、コイル導体25中の銅の酸化抑制、及び絶縁耐圧の向上に寄与する酸化銅被膜60を形成できる。
また、基体10は、複数の金属磁性粒子31を有しており、金属磁性粒子31の各々の表面は、酸化被膜41で覆われている。酸化被膜41は、Feの酸化物、Siの酸化物、及び元素A(Cr、及びAlから成る群より選択される少なくとも一つの元素)の酸化物を含む。元素AのうちCr及びAlは、銅よりもイオン化エネルギーが小さい。このため、コイル部品1が金属のイオン化が発生しやすい環境(例えば、高温多湿な環境)に置かれた場合でも、コイル部品1の周囲に存在する酸化被膜41中のCr及びAlがコイル導体25に含まれる銅よりも優先的にイオン化されることにより、コイル導体25に含まれる銅のイオン化を抑制することができる。これにより、コイル導体25と他の導体との間でのイオンマイグレーションをさらに抑制することができる。
また、Cr、Si、及びAlの酸化物はいずれも安定性が高いため、これらの酸化物からコイル導体に含まれる銅に対して酸素が供給されにくい。また、Cr、Si、及びAlの酸化物は、絶縁性に優れている。酸化被膜において、Feの酸化物は、マグネタイト(Fe34)又はヘマタイト(Fe23)として存在する可能性がある。マグネタイトの比抵抗は、ヘマタイトやCr、Si、又はAlの酸化物の比抵抗よりも低いため、マグネタイトの含有比率が高くなると、コイル部品の絶縁耐圧が低下する原因となる。また、ヘマタイトにおけるFeとOとの結合は、マグネタイトにおけるFeとOとの結合よりも弱いため、酸素をコイル導体中の銅に供給しやすい。このため、金属磁性粒子31の表面を覆う酸化被膜41においてFeの酸化物の割合が高くなると、絶縁耐圧の劣化又はコイル導体中の銅の酸化の進行という不具合が起こる可能性がある。本発明の一態様においては、金属磁性粒子31の表面を覆う酸化被膜41において、Siの原子割合と元素Aの原子割合との合計が、Feの原子割合よりも高いので、ヘマタイトによる絶縁耐圧の低下やマグネタイトからの酸素の供給による銅の酸化を抑制することができる。このように、本発明の一態様においては、酸化被膜41において、Feの原子割合よりもSiの原子割合と元素Aの原子割合との合計の方が高いため、コイル部品1の絶縁耐圧の劣化を抑制し、また、コイル導体25と外部電極21、22との間のイオンマイグレーションやコイル導体25中の銅の酸化の進行を抑制することができる。
次に図6を参照して、コイル部品1の製造方法の一例について説明する。図4は、本発明の一実施形態によるコイル部品1の製造方法を示すフロー図である。以下の説明では、コイル部品1がシート積層法により製造されることを想定している。コイル部品1は、シート積層法法以外の公知の方法で作製されてもよい。例えば、コイル部品1は、印刷積層法、薄膜プロセス法、又はスラリービルド法により作製され得る。
まず、ステップS1において、磁性体シートが作製される。磁性体シートは、金属磁性粒子31の原料となる軟磁性金属粉をバインダー樹脂及び溶剤と混練して得られる磁性材ペーストから生成される。軟磁性金属粉は、Fe及び元素Aを含む。磁性材ペースト用のバインダー樹脂は、例えば、アクリル樹脂である。磁性材ペースト用のバインダー樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、前記以外のバインダー樹脂として公知の樹脂、又はこれらの混合物であってもよい。溶剤は、例えば、トルエンである。この磁性材ペーストは、ドクターブレード法又はこれ以外の一般的な方法にてプラスチック製のベースフィルムの表面に塗布される。このベースフィルムの表面に塗布された磁性材ペーストを乾燥させることでシート状の成型体が得られる。このシート状の成型体を型内で10~100MPa程度の成型圧力で加圧することにより磁性体シートが複数作製される。
次に、ステップS2において、ステップS1で準備された複数の磁性体シートの一部に導電性ペーストが塗布される。これにより、磁性体シートに、焼成後に導体パターンC11~C16となる未焼成導体パターンが形成される。磁性体シートの各々には積層方向に貫通する貫通孔が形成されてもよく、導電性ペーストが磁性体シートに塗布されるときに、導電性ペーストは貫通孔内に埋め込まれ、焼成後にビアV1~V5となる未焼成ビアが形成される。導電性ペーストは、例えば、スクリーン印刷法により磁性体シートに塗布される。
本発明の一態様において、導電性ペーストは、銅粉を熱分解性樹脂であるアクリル樹脂及び溶剤と混練して生成される。導電性ペーストとして使用される樹脂は、後述のステップS4、ステップS5での加熱処理においても燃焼による分解が起こらない熱分解性の樹脂が選ばれる。燃焼により分解される樹脂は、燃焼後の残渣が銅粒子間に残存しやすく、銅の緻密な焼結を妨げる要因となるが、燃焼による分解が起こらない熱分解樹脂を用いることにより、銅粒子間に燃焼後の残渣が残らなくなる。銅粉の平均粒径は、例えば、0.5μmである。銅粉は、導電性ペーストに90wt%以上の割合で混合される。導電性ペーストにおける銅粉の割合を90wt%以上とすることで、完成品のコイル部品1においてコイル導体25の導電率を向上させることができる。
導電性ペースト用のアクリル樹脂として、例えば、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、又はスチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いることができる。溶剤として、トルエン、エタノール、ターピネオール、又はこれらの混合物を用いることができる。導電性ペーストは、チクソ性を調整するための調整剤を含むことができる。
次に、ステップS3において、ステップS1で作製された磁性体シートを積層することで、上部カバー層18となる上部積層体、中間積層体、及び下部カバー層19となる下部積層体を作製する。上部積層体及び下部積層体はそれぞれ、ステップS1で準備された磁性体シートのうち未焼成導体パターンが形成されていないものを4枚積層することによって形成される。上部積層体の4枚の磁性体シートは、完成品であるコイル部品1において磁性体層18a~18dとなり、下部積層体の4枚の磁性体シートは、完成品であるコイル部品1において磁性体層19a~19dとなる。中間積層体は、未焼成導体パターンが形成された磁性体シート6枚を所定の順序で積層することにより形成される。中間積層体の6枚の磁性体シートは、完成品であるコイル部品1において磁性体層11~16となる。上記のように作製された中間積層体を上下から上部積層体及び下部積層体で挟み込み、この上部積層体及び下部積層体を中間積層体に熱圧着して本体積層体を得る。次に、ダイシング機やレーザ加工機などの切断機を用いて当該本体積層体を所望のサイズに個片化することでチップ積層体が得られる。チップ積層体は、加熱処理後に基体10となる素体及び加熱処理後にコイル導体25となる未焼成導体パターンを含む成型体の例である。加熱処理後に基体10となる素体及び加熱処理後にコイル導体25となる未焼成導体パターンを含む成型体は、シート積層法以外の方法で作製されてもよい。
次に、ステップS4において、ステップS3で作製されたチップ積層体に対して第1加熱処理が施される。第1加熱処理は、大気よりも酸素濃度が低い低酸素雰囲気化で行われる。第1加熱処理は、例えば、酸素濃度が1000ppm以上9000ppm以下の低酸素雰囲気下で行われる。また、第1加熱処理は、第1温度で、第1加熱時間(例えば、4時間)だけ行われる。第1温度は、導電性ペーストに含まれるアクリル樹脂の熱分解開始温度よりも高い温度である。
アクリル樹脂は、その種類や重合度などによって分解温度は変わるが、概ね295℃から熱分解が始まる、このため、第1温度は、295℃以上の温度、例えば300℃とすることができる。第1温度は、アクリル樹脂の熱分解開始温度よりも20℃以内だけ高い温度とすることができ、好ましくは10℃以内だけ高い温度とすることができる。アクリル樹脂の熱分解開始温度が295℃の場合には、第1温度は、295℃~315℃、好ましくは295℃~305℃の間の温度とすることができる。アクリル樹脂の熱分解開始温度は、市販されている熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて窒素雰囲気にて3℃/分の昇温速度にて測定することができる。この測定結果において、重量減率が5%の時の温度を熱分解開始温度とすることができる。
以上のとおり、ステップS4での第1加熱処理により、未焼成導体パターンに含まれるアクリル樹脂が熱分解される。つまり、未焼成導体パターンが脱脂される。また、上述のとおり、磁性体シートに含まれるバインダー樹脂もアクリル樹脂とすることができる。磁性体シートに含まれるバインダー樹脂を未焼成導体パターンに含まれるアクリル樹脂と同じ種類のものとすることにより、ステップS4において、積層された磁性体シートも脱脂される。
ステップS4では、未焼成導体パターンに含まれる銅粉のうち、未焼成導体パターンの表面付近にある銅粉が酸化する。これにより未焼成導体パターンの表面に酸化銅の被膜が形成される。この酸化銅の被膜は、コイル部品1における酸化銅被膜60となる。第1加熱処理は、1000ppm~9000ppmの低酸素濃度雰囲気にて行われるため、未焼成導体パターンに含まれる銅粉のうち表面付近にある銅粉のみが酸化される。
また、ステップS4の第1加熱処理では、加熱温度をアクリル樹脂の熱分解開始温度よりや高い温度(10℃~20℃高い温度)に設定している(上記の例では、295℃~315℃としている。)。第1加熱処理における第1加熱温度をアクリル樹脂の熱分解開始温度よりや高い温度とすることにより、未焼成導体パターンに含まれる銅粉の過剰な酸化を防ぎ、これにより未焼成導体パターンに含まれる銅粉のうち表面付近にある銅粉のみを酸化している。このため、第1加熱処理において形成される酸化銅の被膜は、薄い被膜となる。第1酸化処理により形成される酸化銅被膜の厚さは、例えば、0.01μm以上5μm以下となる。
ステップS4では、磁性材ペーストに含まれる軟磁性金属粉も酸化され、その表面に酸化被膜が形成される。既述のとおり、軟磁性金属粉には、Fe、Si及び元素A(Cr及びAlから成る群より選択される少なくとも一つの元素)が含まれる。よって、軟磁性金属粉の表面に形成される酸化被膜は、Feの酸化物、Siの酸化物、及び元素Aの酸化物を含む。第1加熱処理は、1000ppm~9000ppmの低酸素濃度雰囲気にて行われるため、軟磁性金属粉に含まれる元素のうちFeの酸化物よりもSiの酸化物、Crの酸化物、及びAlの酸化物はエネルギー的に安定しているので、FeよりもSi、Cr、及びAlが選択的に酸化され、Si、Cr及びAlの多くが酸素と結合した後に、Feの酸化が進行する。このため、軟磁性金属粉の表面に形成される酸化被膜においては、Siの原子割合と元素Aの原子割合との合計がFeの原子割合よりも高くなる。一態様において、軟磁性金属粉は、Si及びCr又はAlの少なくとも一方を含む。これにより、軟磁性金属粉の表面を覆う酸化被膜において、Siの原子割合と元素Aの原子割合との合計をFeの原子割合よりも確実に高くすることができる。軟磁性金属粉の表面に形成される酸化被膜は、完成品であるコイル部品1において、金属磁性粒子31の表面を覆う酸化被膜41となる。
ステップS4の第1加熱時間は、導電性ペーストに含まれるアクリル樹脂が分解するために十分な長さの時間とすることができ、加熱時の酸素濃度に応じて例えば、0.5時間から8時間の間で設定することができる。ステップS5の第2加熱処理においてもアクリル樹脂は熱分解されるため、ステップS4での第1加熱処理において全てのアクリル樹脂が熱分解される必要はない。第1加熱処理後に、未分解又は分解途中のアクリル樹脂が第1加熱処理前のアクリル樹脂の2割未満となるように、第1加熱処理の加熱時間の最短所間を例えば4時間と設定することができる。第1加熱処理において、過剰な長時間にわたって加熱が行われると、軟磁性金属粉の表面に形成される酸化被膜の生成が進み膜厚が増加してしまう。逆に、必要とされる時間より短時間の加熱が行われると、軟磁性金属粉の表面に形成される酸化被膜の生成が進まず、必要とされる酸化被膜の膜厚が得られなくなってしまう。酸化被膜の膜厚が増加すると透磁率の低下してしまい好ましくない。最低限度の酸化被膜の膜厚が得られない場合、絶縁抵抗を確保できず好ましくない。また、第1加熱処理において、過剰な長時間にわたって加熱が行われると、未焼結導体パターンに含まれる銅粉のうち表面付近にある銅粉のみならず、内部の銅粉の酸化することにより酸化銅皮膜の生成が過剰に進み酸化銅皮膜の膜厚が増加してしまう。酸化銅皮膜の膜厚が厚いとコイル導体25の金属銅の比率が減少し導体抵抗が上昇してしまうため好ましくはない。ステップS4の第1加熱時間は、アクリルバインダーの熱分解が進む最低限の時間を確保できれば、処理雰囲気の酸素濃度に応じて定められてもよい。
次に、ステップS5において、第2加熱処理が行われる。第2加熱処理は、非酸素雰囲気、例えば酸素濃度が5ppm以下の窒素雰囲気下で、第2温度で行われる。第2温度は、未焼成導体パターンに含まれるアクリル樹脂の熱分解終了温度よりも高い温度であり、銅の結晶粒成長や軟磁性金属粉の表面の酸化膜の熱拡散による成長に十分な高温とされる。第2温度は、600℃~900℃の間の温度とすることができる。第2温度は、600℃以上とすることで銅の結晶粒成長が生じさせることができ、コイル導体の抵抗値を低減することができる。また900℃以上では軟磁性金属粉同士が焼結、ネッキングし電気絶縁的に良好な磁性基体が得られない。第2加熱処理が行われる第2加熱時間は、例えば、1時間である。アクリル樹脂の熱分解終了温度は、市販されている熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて窒素雰囲気にて3℃/分の昇温速度にて測定することができる。この測定結果において、重量減率が99%以上の時の温度を熱分解終了温度とすることができる。
第2加熱処理においては、未焼成導体パターンに残っているアクリル樹脂が完全に熱分解され、未焼成導体パターン中の銅粉が焼結することで、銅結晶の緻密な焼結体であるコイル導体25が得られる。第1加熱処理において未焼成導体パターン中にアクリル樹脂が残っている場合には、このアクリル樹脂が第2加熱処理において分解されることにより、コイル導体25中に空洞Hが形成されてもよい。第2加熱処理後のコイル導体25中には、アクリル樹脂の分解の残渣に由来した炭素が含まれない。導電性ペーストとして使用される樹脂は、ステップS4、ステップS5での加熱処理においても燃焼による分解が起こらない熱分解性の樹脂であれば、アクリル樹脂に限らない。燃焼により分解される樹脂は、燃焼後の残渣が銅粒子間に残存しやすく、銅の緻密な焼結を妨げる要因となるが、燃焼による分解が起こらない熱分解樹脂を用いることにより、銅粒子間に燃焼後の残渣が残らなくなる。これにより第2加熱処理時にバインダーの残渣により妨げられることなく銅の結晶が成長できコイル導体25の抵抗値を低くすることができる。
また、第2加熱処理においては、軟磁性金属粉の表面を覆っている酸化被膜間で元素が熱拡散することにより、隣接する軟磁性金属粉の酸化被膜同士が結合する。この第2加熱処理において、軟磁性金属粉は、表面に酸化被膜41が形成された金属磁性粒子31となる。隣接する金属磁性粒子31同士は、酸化被膜41を介して互いに結合する。
このように、第2加熱処理により、未焼成導体パターンがコイル導体25となり、積層体に含まれる軟磁性金属粉同士が結合して基体10となる。コイル導体25の表面には、酸化銅被膜60が形成されている。このようにして、基体10内にコイル導体25が設けられたチップ積層体が得られる。
次に、ステップS6において、ステップS5で得られたチップ積層体の表面に外部電極21及び外部電極22を形成する。外部電極21は、コイル導体25の一端に接続され、外部電極22は、コイル導体25の他端と接続される。外部電極21、22の形成前に、第2加熱処理後のチップ積層体を樹脂に含浸させてもよい。チップ積層体は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に含浸される。これにより、基体10内の金属磁性粒子31の隙間に樹脂が浸透する。そして、基体10に含浸した樹脂を硬化させることにより、基体10の機械的強度を向上させることができる。
以上の工程により、コイル部品1が得られる。
図7及び図8に、市販されている熱重量分析装置又は熱重量示差熱分析装置を用いて、室温から800℃まで昇温速度3℃/minで昇温させた場合におけるアクリル樹脂、エチルセルロース、及び銅粉の重量変化率を示す。エチルセルロースは、導電性ペーストのバインダーとして従来から広く用いられている樹脂である。図7に示されているように、大気中で銅粉を加熱すると酸化が進行することにより、銅粉の重量が増加する。また、大気中でアクリル樹脂及びエチルセルロース(エチセル)を加熱した場合、アクリル樹脂は295℃付近から開始する熱分解により完全に分解される一方、エチルセルロースは、250℃付近から熱分解により90%程度重量が減少した後、350℃付近から燃焼により熱分解で分解されなかった残渣分の重量が減少する。
図8に示されているように、窒素雰囲気で銅粉を加熱しても酸化が全く又はほとんど起こらないため、銅粉の重量は増加しない。アクリル樹脂、窒素雰囲気中で加熱した場合であっても、熱分解により完全に分解される。窒素雰囲気中でアクリル樹脂を加熱すると、295℃付近から熱分解が始まり380℃程度で完全に熱分解されて、熱分解が終了する。他方、窒素雰囲気でエチルセルロース(エチセル)を加熱すると、290℃付近から開始する熱分解により90%程度は分解されるが、10%程度の炭化したエチルセルロースが残る。窒素雰囲気中でエチルセルロースは燃焼しないので、エチルセルロースを800℃まで加熱しても、10%程度のエチルセルロースが炭化され、炭化されたエチルセルロースが残渣となる。
図7及び図8のTG曲線から、銅粉を導電性ペーストのバインダー樹脂として広く用いられているエチルセルロースに分散させた導電性ペーストを用いてコイル導体を作製すると、以下の不具合が生じることが分かる。例えば、銅粉をエチルセルロースに分散させた導電性ペーストを酸素雰囲気下(例えば、大気中)で加熱すると、銅粉の酸化が過剰に進行してしまい、基体におけるクラックの発生が増加し、コイル導体における比抵抗が増加する。銅粉をエチルセルロースに分散させた導電性ペーストを還元雰囲気(例えば、窒素と水素の混合雰囲気)で加熱すると、銅の酸化は起こらないが、エチルセルロースが10%程度も導電性ペースト内に残存してしまう。導電性ペースト内のエチルセルロースの残渣は、銅結晶の焼結を阻害し、コイル導体25内の銅結晶の緻密化を妨げる。このため、コイル導体の導電率が劣化してしまう。
これに対して、本発明の一態様では、導電性ペースト用のバインダー樹脂として、熱分解性樹脂であるアクリル樹脂を用いているので、第1加熱処理において、1000ppm以上9000ppm以下の低酸素雰囲気においてアクリル樹脂の焼結開始温度よりも高い第1温度でチップ積層体を加熱することにより、銅粉を過剰に酸化させることなく、脱脂(アクリル樹脂の熱分解)を行うことができる。また、第2加熱処理においては、窒素雰囲気中でアクリル樹脂の熱分解終了温度よりも高い第2温度でチップ積層体を加熱することにより、アクリル樹脂を完全に熱分解することができ、これにより銅結晶が緻密に焼結したコイル導体25を得ることができる。また、第1加熱処理が1000ppm以上9000ppm以下の低酸素雰囲気で行われているため、金属磁性粒子31の表面に酸化被膜41を形成し、また、コイル導体25の表面に酸化銅被膜60を形成することができる。
上記のステップS1~S3に従い、以下のようにして未加熱のチップ積層体を800個作製した。まず、Fe基の軟磁性金属粉(Fe:95wt%。Si:4.5wt%、Cr:0.5%)をアクリル樹脂及びトルエンと混合して磁性材ペーストを生成し、この磁性材ペーストをシート状に成型して磁性体シートを作製した。この磁性体シートに、導電性ペーストを塗布して、導体パターンC11~C16となる未焼成導体パターンを形成した。導電性ペーストは、平均粒径0.5μmの銅粉をアクリル樹脂及びトルエンと混練して生成した。導電性ペーストにおける銅粉の含有比率は、90wt%とした。次に、上記の磁性体シートを積層することでチップ積層体を作製した。このようにして作製された800個のチップ積層体を100個ずつ試料番号1~試料番号8の8つのグループに分類した。表1に記載されているとおり、試料番号1に属する100個のチップ積層体に対しては、900ppmの酸素濃度の低酸素雰囲気中で300℃で第1加熱処理を行った。試料番号2~8の各試料についても、表1に記載されている酸素濃度の雰囲気化で、4時間、第1加熱処理を行った。加熱温度は、各試料で共通に300℃とした。
次に、第1加熱処理が行われた試料番号1~8のチップ積層体の各々について酸素濃度が3ppmの窒素雰囲気化で800℃で、1時間、第2加熱処理を行った。
このように第2加熱処理が行われた試料番号1~8に含まれる800個の試料の各々の外観を実体顕微鏡で観察し、基体におけるクラックの有無を確認した。試料番号1~試料番号6については、各々の100個の試料すべてについてクラックの発生が確認できなかった。試料番号7については、100個の試料のうち1個についてクラックの発生が確認された。試料番号8については、100個の試料のうち2個についてクラックの発生が確認された。
また、試料番号1~8にそれぞれ分類される各100個の試料(合計で800個の試料)の各々について、1MHzでのインダクタンス値を測定し、この測定値が、インダクタンスの設計値の0.8倍以下となっている試料について層間短絡(隣接する導体パターン間での短絡)が発生していると評価した。試料番号2~試料番号8については、各々の100個の試料すべてについて層間短絡の発生が確認できなかった。試料番号1については、100個の試料中の2つについて層間短絡の発生が確認された。
以上から、第1加熱処理における酸素濃度が10000ppm以上の場合には、導電性ペーストに含まれる銅粉の酸化が進行することにより、未焼成導体パターンがコイル導体25となる過程で膨張したため、コイル導体25を囲む基体10にクラックが発生したと考えられる。
また、第1加熱処理における酸素濃度が900ppm以下の場合には、第1加熱処理において、未焼成導体パターンの表面に酸化銅の被膜が十分に形成されないため、隣接する導体パターン間での絶縁に不良が生じたと考えられる。
そこで、第1加熱処理における酸素濃度を1000ppm以上9000ppm以下とすることにより、基体10にクラックを発生させずにコイル導体25の表面に酸化銅被膜60を形成できることが分かった。
さらに、試料番号2~7に属する各々の100個の試料について85℃/85RH(室内湿度)で2000時間の耐湿性試験を行った。このとき、試験対象の試料の各々について、500mWの電力を印加して試験を行った。耐湿性試験の前後での各試料のQ値をキーサイト・テクノロジー社製のRFインピーダンス/マテリアル・アナライザE4991Aを用いて測定し、Q値の低下率を評価したところ、すべての試料においてQ値の低下率は10%以内と良好であった。他方、試料番号1については、100個の試料のうち3個についてQ値の低下率が10%を超えるものが確認された。このことから、第1加熱処理における酸素濃度が900ppm以下の場合には、第1加熱処理において、未焼成導体パターンの表面に酸化銅の被膜が十分に形成されないため、隣接する導体パターン間での絶縁が低く、Q値の低下率が大きくなったと考えられる。試料番号8については、100個の試料のうち7個についてQ値の低下率が10%を超えるものが確認された。このことから、第1加熱処理における酸素濃度が10000ppm以上の場合には、コイル導体25を囲む基体10にクラックが発生しており、その結果、Q値の低下率が大きくなったと考えられる。このように、第1加熱処理における酸素濃度を1000ppm以上9000ppm以下とすることにより信頼性の劣化がない銅を主成分とするコイル導体を有するコイル部品を得ることができた。
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
本明細書において説明した製造方法に含まれる工程の一部は、矛盾が生じない限り適宜省略可能である。本明細書において説明した製造方法においては、本明細書において明示的に説明されていない工程が必要に応じて実行され得る。本明細書において説明した製造方法に含まれる各工程の一部は、本発明の趣旨から逸脱しない限り、随時順番を入れ替えて実行され得る。本明細書において説明した製造方法に含まれる各工程の一部は、可能であれば、同時に又は並行して実行され得る。
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
本明細書では、以下の技術も開示される。
[1]
Fe、Si及び元素A(ただし、元素Aは、Cr及びAlから成る群より選択される少なくとも一つの元素である。)を含有し、表面がFeの酸化物及び前記元素Aの酸化物を含む酸化被膜で覆われた複数の金属磁性粒子を含む基体と、
前記基体の内部に配置された銅を主成分とするコイル導体と、
前記コイル導体の表面を覆い、酸化銅を主成分とする酸化銅被膜と、
を備え、
前記酸化被膜におけるSiの原子割合と前記元素Aの原子割合との合計がFeの原子割合よりも高い、
コイル部品。
[2]
一軸方向における前記コイル導体の厚さを表す第1厚さは、前記一軸方向における前記コイル導体の厚さと前記酸化銅被膜の厚さの合計の厚さを表す第2厚さの90%以上である、
[1]に記載のコイル部品。
[3]
前記酸化銅被膜の厚さは、0.01μm以上5μm以下である、
[1]又は[2]に記載のコイル部品。
[4]
前記コイル導体は、内部空隙を含む、
[1]から[3]のいずれかに記載のコイル部品。
[5]
前記複数の金属磁性粒子は、第1金属磁性粒子と、前記第1金属磁性粒子に隣接する第2金属磁性粒子と、を備え、
前記第1金属磁性粒子と前記第2金属磁性粒子とは、前記第1金属磁性粒子の表面を覆う前記酸化被膜及び前記第2金属磁性粒子の表面を覆う前記酸化被膜により結合されている、
[1]から[4]のいずれかに記載のコイル部品。
[6]
前記コイル導体は、焼結銅を含む、
[1]から[5]のいずれかに記載のコイル部品。
[7]
[1]から[6]のいずれかに記載のコイル部品を含む、回路基板。
[8]
[7]に記載の回路基板を含む、電子部品。
1 コイル部品
10 基体
25 コイル導体
31 金属磁性粒子
41 酸化被膜
60 酸化銅被膜

Claims (8)

  1. Fe、Si及び元素A(ただし、元素Aは、Cr及びAlから成る群より選択される少なくとも一つの元素である。)を含有し、表面がFeの酸化物及び前記元素Aの酸化物を含む酸化被膜で覆われた複数の金属磁性粒子を含む基体と、
    前記基体の内部に配置された銅を主成分とするコイル導体と、
    前記コイル導体の表面を覆い、酸化銅を主成分とする酸化銅被膜と、
    を備え、
    前記酸化被膜におけるSiの原子割合と前記元素Aの原子割合との合計がFeの原子割合よりも高い、
    コイル部品。
  2. 一軸方向における前記コイル導体の厚さを表す第1厚さは、前記一軸方向における前記コイル導体の厚さと前記酸化銅被膜の厚さの合計の厚さを表す第2厚さの90%以上である、
    請求項1に記載のコイル部品。
  3. 前記酸化銅被膜の厚さは、0.01μm以上5μm以下である、
    請求項1又は2に記載のコイル部品。
  4. 前記コイル導体は、内部に空隙を含む、
    請求項1又は2に記載のコイル部品。
  5. 前記複数の金属磁性粒子は、第1金属磁性粒子と、前記第1金属磁性粒子に隣接する第2金属磁性粒子と、を備え、
    前記第1金属磁性粒子と前記第2金属磁性粒子とは、前記第1金属磁性粒子の表面を覆う前記酸化被膜及び前記第2金属磁性粒子の表面を覆う前記酸化被膜により結合されている、
    請求項1又は2に記載のコイル部品。
  6. 前記コイル導体は、焼結銅を含む、
    請求項1又は2に記載のコイル部品。
  7. 請求項1又は2に記載のコイル部品を含む、回路基板。
  8. 請求項7に記載の回路基板を含む、電子部品。
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