JP7434494B1 - 磁性基体、磁性基体を備えるコイル部品、コイル部品を備える回路基板、及び回路基板を備える電子機器 - Google Patents

磁性基体、磁性基体を備えるコイル部品、コイル部品を備える回路基板、及び回路基板を備える電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 磁気飽和特性及び磁気特性に優れた磁性基体を提供する。【解決手段】一実施形態における磁性基体は、複数の軟磁性金属粒子と、複数の軟磁性金属粒子の各々の表面を覆う複数の絶縁膜と、を備える。複数の軟磁性金属粒子は、第1軟磁性金属粒子を含み、複数の絶縁膜は、第1軟磁性金属粒子の表面を覆う第1絶縁膜を含む。第1絶縁膜は、Fe及びCrを含有し、ラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおいて730cm-1にピーク強度を有する一又は複数の第1酸化物領域を含む。【選択図】図4

Description

本明細書における開示は、主に、磁性基体、磁性基体を備えるコイル部品、コイル部品を備える回路基板、及び回路基板を備える電子機器に関する。
コイル部品において、軟磁性材料から構成された複数の軟磁性金属粒子を含む軟磁性基体が用いられている。軟磁性基体に含まれる軟磁性金属粒子の各々の表面は絶縁膜で覆われており、隣接する軟磁性金属粒子同士は、当該絶縁膜を介して結合している。軟磁性基体は、フェライトから構成される磁性基体よりも磁気飽和が起こりにくいという特徴を有するため、大電流が流れる回路で使用されるコイル部品での使用に特に適している。
軟磁性金属粒子は、例えば、Feを主成分とする軟磁性材料から構成される。磁性基体は、軟磁性材料からなる原料粉を樹脂と混合して混合樹脂組成物を生成し、この混合樹脂組成物を加熱することで作製される。加熱により原料粉粒子に含まれるFeが酸化するので、原料粉粒子の表面には、Feの酸化物を含む絶縁膜が形成される。この絶縁膜により、隣接する軟磁性金属粒子間が電気的に絶縁される。絶縁膜には、原料粉に添加されているFe以外の元素の酸化物も含まれる。
特許文献1には、軟磁性金属粒子間の耐電圧性を高めるために、軟磁性金属粒子の表面に4層の酸化物層が積層された絶縁膜を有する磁性基体が記載されている。この絶縁膜において、2層目と4層目の酸化物層は、Feの酸化物を主成分として含んでいる。
特開2021-158261号公報
軟磁性金属粒子を覆う絶縁膜に含まれるFeの酸化物は、マグネタイト(Fe34)又はヘマタイト(Fe23)の形態で存在することが知られている。マグネタイトは、強磁性を呈するため、絶縁膜にマグネタイトが存在していると軟磁性金属粒子間の比透磁率が不均一となる。このため、絶縁膜におけるマグネタイトの含有割合が大きいと、マグネタイトが存在する領域で局所的な磁気飽和が起こりやすくなるので、磁性基体の磁気飽和特性が劣化してしまう。
ヘマタイトは非磁性であるため、絶縁膜におけるヘマタイトの含有割合を多くすることにより、磁性基体の磁気飽和特性の劣化を抑制することができる。しかしながら、原料粉に含まれるFeからヘマタイトを生成するためには、加熱時に原料粉の表面付近に多量の酸素を供給する必要がある。このため、ヘマタイトの含有比率を増やすべく酸素濃度が高い雰囲気下で原料粉を加熱すると、原料粉に含まれるFe及びFe以外の添加元素の酸化が過剰に進行してしまい、耐電圧性を確保するために必要な膜厚以上の厚さに絶縁膜が成長してしまうことがある。過剰に成長した絶縁膜は、磁性基体における軟磁性金属粒子の充填率を低下させるため、磁性基体の磁気特性の劣化に繋がる。
本明細書において開示される発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決又は緩和することである。本発明のより具体的な目的の一つは、磁気飽和特性及び磁気特性に優れた磁性基体を提供することである。
本発明の前記以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。特許請求の範囲に記載される発明は、「発明を解決しようとする課題」から把握される課題以外の課題を解決するものであってもよい。
一実施形態における磁性基体は、複数の軟磁性金属粒子と、複数の軟磁性金属粒子の各々の表面を覆う複数の絶縁膜と、を備える。複数の軟磁性金属粒子は、第1軟磁性金属粒子を含み、複数の絶縁膜は、第1軟磁性金属粒子の表面を覆う第1絶縁膜を含む。第1絶縁膜は、Fe及びCrを含有し、ラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおいて730cm-1にピーク強度を有する一又は複数の第1酸化物領域を含む。
本明細書により開示される発明の実施形態によれば、磁気飽和特性及び磁気特性に優れた磁性基体を提供することができる。
一実施形態による磁性複合体を備えるコイル部品を模式的に示す斜視図である。 図1のコイル部品の分解斜視図である。 図1のコイル部品をI-I線で切断した断面を模式的に示す断面図である。 一実施形態による磁性基体の断面の一部の領域を拡大して模式的に示す拡大断面図である。 別の実施形態による磁性基体の断面の一部の領域を拡大して模式的に示す拡大断面図である。 本発明の一実施形態によるコイル部品の製造工程を示すフロー図である。 本発明の別の実施形態によるコイル部品の製造工程を示すフロー図である。
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。複数の図面において共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。以下で説明される本発明の実施形態は、必ずしも特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。以下の実施形態で説明されている諸要素が発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本明細書に開示される実施形態は、コイル部品の磁性基体に関する。この磁性基体は、複数の軟磁性金属粒子を含む。以下では、まず、図1から図3を参照して、一実施形態による磁性基体を備えるコイル部品1について説明し、その後に、図4ないし図6を参照して磁性基体の微細構造について説明する。
図1は、コイル部品1を模式的に示す斜視図であり、図2は、コイル部品1の分解斜視図である。図3は、図1のI-I線に沿ってコイル部品1を切断したコイル部品1の模式的な断面図である。図2においては、説明の便宜のために、外部電極の図示が省略されている。
図1から図3には、コイル部品1の例として、積層インダクタが示されている。図示されている積層インダクタは、本発明を適用可能なコイル部品1の一例であり、本発明は積層インダクタ以外の様々な種類のコイル部品に適用され得る。例えば、コイル部品1は、巻線型のコイル部品や平面コイルにも適用され得る。
図示されているように、コイル部品1は、基体10と、基体10の内部に設けられたコイル導体25と、基体10の表面に設けられた外部電極21と、基体10の表面において外部電極21から離間した位置に設けられた外部電極22と、を備える。基体10は、磁性材料から構成された磁性基体である。基体10は、特許請求の範囲に記載されている「磁性基体」の例である。
基体10は、多数の軟磁性金属粒子を含む。基体10に含まれる複数の軟磁性金属粒子の平均粒径は、例えば1μm~20μmの範囲とされる。基体10に含まれる軟磁性金属粒子の平均粒径は、基体10をその厚さ方向(T軸方向)に沿って切断して断面を露出させ、当該断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により10000倍から50000倍程度の倍率で撮影したSEM像において、画像解析により各軟磁性金属粒子の円相当径(ヘイウッド径)を求め、その各軟磁性金属粒子の円相当径の平均値を軟磁性金属粒子の平均粒径とすることができる。基体10に含まれる軟磁性金属粒子の平均粒径は、1μm~10μmであってもよく、2μm~8μmであってもよい。軟磁性金属粒子の平均粒径と、原料粉の平均粒径とは大きく異ならないため、原料粉の粒度分布をJIS Z 8825に従ってレーザ回折散乱法により測定し、このレーザ回折散乱法によって測定された体積基準の粒度分布のD50値を、基体10に含まれる軟磁性金属粒子の平均粒径としてもよい。
外部電極21は、コイル導体25の一端と電気的に接続されており、外部電極22は、コイル導体25の他端と電気的に接続されている。
コイル部品1は、実装基板2aに実装され得る。図示の実施形態において、実装基板2aには、ランド部3a、3bが設けられている。コイル部品1は、外部電極21とランド部3aとを接合し、また、外部電極22とランド部3bとを接続することで実装基板2aに実装される。本発明の一実施形態による回路基板2は、コイル部品1と、このコイル部品1が実装される実装基板2aと、を備える。回路基板2は、様々な電子機器に搭載され得る。回路基板2が搭載され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、自動車の電装品、サーバ及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。
コイル部品1は、インダクタ、トランス、フィルタ、リアクトル、インダクタアレイ、及びこれら以外の様々なコイル部品であってもよい。コイル部品1は、カップルドインダクタ、チョークコイル及びこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品であってもよい。コイル部品1の用途は、本明細書で明示されるものには限定されない。
一実施形態において、基体10は、L軸方向における寸法(長さ寸法)がW軸方向における寸法(幅寸法)及びT軸方向における寸法(高さ寸法)よりも大きくなるように構成される。例えば、長さ寸法は、1.0mm~6.0mmの範囲にあり、幅寸法は0.5mm~4.5mmの範囲にあり、高さ寸法は0.5mm~4.5mmの範囲にある。基体10の寸法は、本明細書で具体的に説明される寸法には限定されない。本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。基体10の寸法及び形状は、本明細書で明示されるものには限定されない。
基体10は、第1主面10a、第2主面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fを有する。基体10は、これらの6つの面によってその外表面が画定されている。第1主面10aと第2主面10bとはそれぞれ基体10の高さ方向両端の面を成し、第1端面10cと第2端面10dとはそれぞれ基体10の長さ方向両端の面を成し、第1側面10eと第2側面10fとはそれぞれ基体10の幅方向両端の面を成している。図1に示されているように、第1主面10aは基体10の上側にあるため、第1主面10aを「上面」と呼ぶことがある。同様に、第2主面10bを「下面」又は「底面」と呼ぶことがある。コイル部品1は、第2主面10bが実装基板2aと対向するように配置されるので、第2主面10bを「実装面」と呼ぶこともある。上面10aと下面10bとの間は基体10の高さ寸法だけ離間しており、第1端面10cと第2端面10dとの間は基体10の長さ寸法だけ離間しており、第1側面10eと第2側面10fとの間は基体10の幅寸法だけ離間している。
図2に示されているように、基体10は、本体層20と、本体層20の下面に設けられた下側カバー層19と、本体層20の上面に設けられた上側カバー層18と、を有する。上側カバー層18、下側カバー層19、及び本体層20は、基体10の構成要素である。
本体層20は、磁性膜11~17を備える。本体層20においては、T軸方向のマイナス側からプラス側に向かって、磁性膜17、磁性膜16、磁性膜15、磁性膜14、磁性膜13、磁性膜12、磁性膜11の順に積層されている。
磁性膜11~17の上面には、導体パターンC11~C17がそれぞれ形成されている。複数の導体パターンC11~C17の各々は、コイル軸Ax1(図3参照)に直交する平面(LW平面)内でコイル軸Ax1周りに延びている。導体パターンC11~C17は、例えば、導電性に優れた金属又は合金から成る導電性ペーストをスクリーン印刷法により印刷することにより形成される。この導電性ペーストの材料としては、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金を用いることができる。導電性ペーストは、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金等の導電性に優れた導電性材料から構成される導体粉をバインダー樹脂及び溶剤と混練して生成される。バインダー樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、前記以外のバインダー樹脂として公知の樹脂、又はこれらの混合物であってもよい。導体粉としてCu粉が用いられる場合には、脱脂時におけるCu粉の過剰な酸化を抑制するために、バインダー樹脂としてアクリル樹脂等の熱分解性樹脂が用いられてもよい。熱分解性樹脂は、酸素との燃焼反応によらずに分解される。熱分解性樹脂は、非酸素雰囲気(例えば、窒素雰囲気)においても、熱分解温度以上の温度まで昇温した場合に熱分解し、残渣が残らない。よって、バインダー樹脂として熱分解性樹脂を用いることにより、脱脂処理を非酸素雰囲気下で行うことができる。導電性ペースト用のアクリル樹脂として、例えば、(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、又はスチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いることができる。溶剤として、トルエン、エタノール、ターピネオール、又はこれらの混合物を用いることができる。導電性ペーストは、チクソ性を調整するための調整剤を含むことができる。導体パターンC11~C17は、これ以外の材料及び方法により形成されてもよい。導体パターンC11~C17、例えば、スパッタ法、インクジェット法、又はこれら以外の公知の方法で形成されてもよい。
磁性膜11~磁性膜16の所定の位置には、ビアV1~V6がそれぞれ形成される。ビアV1~V6は、磁性膜11~磁性膜16の所定の位置に、磁性膜11~磁性膜16をT軸方向に貫く貫通孔を形成し、当該貫通孔に導電材料を埋め込むことにより形成される。導体パターンC11~C17の各々は、隣接する導体パターンとビアV1~V6を介して電気的に接続される。
導体パターンC11のビアV1に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極22に接続される。導体パターンC17のビアV6に接続されている端部と反対側の端部は、外部電極21に接続される。
上側カバー層18は、磁性材料から成る磁性膜18a~18dを備え、下側カバー層19は、磁性材料から成る磁性膜19a~19dを備える。本明細書においては、磁性膜18a~18d及び磁性膜19a~19dを総称して「カバー層磁性膜」と呼ぶことがある。
図3に示されているように、コイル導体25は、厚さ方向(T軸方向)に沿って延びるコイル軸Ax1の周りに巻回されている周回部25aと、周回部25aの一端から基体10の第1端面10cまで延伸する引出部25b1と、周回部25aの他端から基体10の第2端面10dまで延伸する引出部25b2と、を有する。導体パターンC11~C17及びビアV1~V6が、スパイラル状の周回部25aを形成する。すなわち、周回部25aは、導体パターンC11~C17及びビアV1~V6を有する。
次に、図4を参照して、基体10の微細構造を説明する。図4は、図3に示されている断面の一部の領域を拡大して模式的に示す拡大断面図である。図4には、基体10に含まれる多数の軟磁性金属粒子のうちの2つの一部分が模式的に示されている。
図4に示されているように、基体10に含まれる軟磁性金属粒子には、第1軟磁性金属粒子30aと、第2軟磁性金属粒子30bと、が含まれる。第1軟磁性金属粒子30aと第2軟磁性金属粒子30bとは隣接して配置されている。図4においては、第1軟磁性金属粒子30a及び第2軟磁性金属粒子30bの断面が、便宜上、円形に描かれている。基体10に含まれる軟磁性金属粒子は、円形以外の様々な断面形状を取り得る。基体10に含まれる軟磁性金属粒子は、Feを主成分とする。第1軟磁性金属粒子30a及び第2軟磁性金属粒子30bは、基体10に含まれる軟磁性金属粒子の例である。第1軟磁性金属粒子30a及び第2軟磁性金属粒子30bに関する説明は、基体10に含まれる第1軟磁性金属粒子30a又は第2軟磁性金属粒子30b以外の軟磁性金属粒子にも当てはまる。
基体10に含まれる軟磁性金属粒子は、基体10が高い磁気飽和特性を有するように、95wt%以上の含有比率でFeを含むことが望ましい。基体10に含まれる軟磁性金属粒子に含まれるFeの含有比率は、コイル軸Axに沿って基体10を切断することで基体10の断面を露出させ、この断面においてエネルギー分散型X線分光(EDS)分析を行うことにより測定される。Feの含有比率の測定は、エネルギー分散型X線分光(EDS)検出器を搭載した走査型電子顕微鏡(SEM)により行うことができる。EDS検出器を搭載したSEMによるEDS分析は、SEM-EDS分析と呼ばれる。Feの含有比率は、例えば、株式会社日立ハイテク製の走査型電子顕微鏡SU7000及びアメテック株式会社製のエネルギー分散型X線分光検出器Octane Eliteを用い、加速電圧5kVで測定される。第1軟磁性金属粒子30aに含まれるFe以外の元素の含有比率も、Feの含有比率と同様にSEM-EDS分析により測定される。
基体10に含まれる軟磁性金属粒子の各々の表面は、絶縁膜により被覆されている。このため、基体10に含まれている軟磁性金属粒子同士は、互いから電気的に絶縁される。例えば、第1軟磁性金属粒子30aの表面は、第1絶縁膜40aにより覆われており、第2軟磁性金属粒子30bの表面は、第2絶縁膜40bにより覆われている。第1絶縁膜40aは、第1軟磁性金属粒子30aの表面全体を覆っていることが望ましく、第2絶縁膜40bは、第2軟磁性金属粒子30bの表面全体を覆っていることが望ましい。基体10において、各軟磁性金属粒子は、隣接する軟磁性金属粒子と、それぞれの表面に設けられた絶縁膜を介して結合される。つまり、隣接する軟磁性金属粒子の各々の表面に設けられた絶縁膜同士が互いに結合しており、この絶縁膜同士の結合により、絶縁膜で覆われた軟磁性金属粒子同士が結合する。例えば、第1軟磁性金属粒子30aは、この第1軟磁性金属粒子30aに隣接する第2軟磁性金属粒子30bと、当該第1軟磁性金属粒子30aの表面に設けられた第1絶縁膜40a及び当該第2軟磁性金属粒子30bの表面に設けられた第2絶縁膜40bを介して結合される。
基体10に含まれる軟磁性金属粒子は、例えば、軟磁性材料から成る原料粉を加熱することで得られる。詳しくは後述するように、基体10は、軟磁性材料からなる軟磁性金属粉を樹脂と混合して混合樹脂組成物を生成し、この混合樹脂組成物を加熱することで作製され得る。この基体10の製造プロセスにおける加熱処理により、原料粉に含まれている元素が原料粉の表面に拡散し、原料粉の表面で酸化されることにより、軟磁性金属粒子の表面に、原料粉に含まれる元素の酸化物を含む絶縁膜が形成される。
基体10に含まれる軟磁性金属粒子の原料粉は、Feを主成分とする。基体10に含まれる軟磁性金属粒子の原料粉は、Feに加えて添加元素を含有することができる。例えば、基体10に含まれる軟磁性金属粒子の原料粉は、Feに加えて、添加元素としてCrを含むことができる。原料粉は、Crに加えて、元素α及び元素βを添加元素として含有することができる。
元素α及び元素βは、Feよりも酸化しやすい元素である。元素αは、元素βよりも酸化しやすい元素であってもよい。一実施形態において、元素α及び元素βは、Crよりも酸化しやすい元素である。一実施形態において、元素αは、Alである。一実施形態において、元素βは、Siである。元素βは、Tiであってもよい。Cr、元素α、及び元素βはいずれもFeよりも酸化されやすいため、酸素が存在する雰囲気中で原料粉に加熱処理を行う際に、Feよりも先に酸化される。よって、原料粉がFeに加えてCr、元素α、及び元素βが存在することにより、Feの酸化が抑制される。軟磁性金属粒子の原料粉は、Fe、Cr、元素α元素β以外の元素を微量に含むことができる。軟磁性金属粒子の原料粉に微量に含まれ得る元素には、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ボロン(B)、炭素(C)、及びニッケル(Ni)が含まれ得る。
基体10に含まれる軟磁性金属粒子の表面に設けられる絶縁膜は、原料粉に含まれる元素の酸化物を含む。「基体10に含まれる軟磁性金属粒子の表面に設けられる絶縁膜」には、第1軟磁性金属粒子30aの表面に設けられる第1絶縁膜40a及び第2軟磁性金属粒子30bの表面に設けられる第2絶縁膜40bが含まれる。説明の便宜のために、基体10に含まれる軟磁性金属粒子の表面に設けられる絶縁膜を単に「絶縁膜」と呼ぶことがある。元素α及び元素βは、Feよりも酸化されやすいので、原料粉がFeに加えて元素α及び元素βを含む場合には、絶縁膜には、元素αの酸化物及び元素βの酸化物が含まれる。絶縁膜には、上記の酸化物以外に、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ボロン(B)、炭素(C)、及びニッケル(Ni)のうちの少なくとも一つの酸化物が含まれていてもよい。一実施形態において、絶縁膜の厚さは、5~20nmである。
軟磁性金属粒子の表面を覆う絶縁膜について、図4を参照してさらに説明する。図4に示されている実施形態では、第1絶縁膜40aは、Fe及びCrの酸化物を含む第1酸化物領域41aと、元素αの酸化物を主成分として含む第2酸化物領域42aと、元素βの酸化物を主成分として含む第3酸化物領域43aと、を含む。
第1酸化物領域41aは、クロマイト(FeCr24)を含む。第1酸化物領域41aは、クロマイト(FeCr24)に加えて、ヘマタイト(Fe23)及びマグネタイト(Fe34)をそれぞれ含み得る。第1酸化物領域41aがクロマイト、ヘマタイト、及びマグネタイトをそれぞれ含有する場合、クロマイトの含有比率が最も高く、マグネタイトの含有比率が最も低い。クロマイト、ヘマタイト、及びマグネタイトの含有比率の比較は、ラマン分光分析により行うことができる。より具体的には、基体10をT軸に沿って切断した断面の第1酸化物領域41a付近の領域に波長488nmの励起レーザーを照射したときの散乱光を測定して得られるラマンスペクトルにおいて、クロマイト、ヘマタイト、及びマグネタイトのそれぞれに由来するピークのピーク強度を比較し、ピーク強度が強い方の含有比率が高いと判断することができる。ラマンスペクトルにおいて、波数730cm-1付近に存在するピークは、クロマイト(FeCr24)に由来するピークであり、波数680cm-1付近に存在するピークは、マグネタイト(Fe34)に由来するピークであり、波数300cm-1付近に存在するピークは、ヘマタイト(Fe23)に由来するピークである。クロマイト(FeCr24)に由来するピークは、ラマンスペクトルにおいて、波数700cm-1~760cm-1の範囲に現れる。マグネタイト(Fe34)に由来するピークは、ラマンスペクトルにおいて波数640cm-1~700cm-1の範囲に現れる。ヘマタイト(Fe23)に由来するピークは、ラマンスペクトルにおいて波数270cm-1~330cm-1の範囲に現れる。
上述のとおり、第1酸化物領域41aにおいて、クロマイト、ヘマタイト、及びマグネタイトの含有比率を比較すると、マグネタイトの含有比率が最も低い。基体10において軟磁性金属粒子間に強磁性のマグネタイトが存在すると、マグネタイトが存在する領域において局所的な磁気飽和が起こりやすくなる。Feを含む第1酸化物領域41aにおいて、マグネタイトよりも非磁性のクロマイトの含有比率を高くすることにより、軟磁性金属粒子間における透磁率の均一性を向上させることができ、その結果、軟磁性金属粒子間において局所的な磁気飽和の発生を抑制することができる。これにより、マグネタイトを多く含む従来の磁性基体と比較して、基体10の磁気飽和特性を向上させることができる。
一実施形態において、第1酸化物領域41aは、クロマイトをマグネタイトよりも2倍以上多く含有していても良い。例えば、第1酸化物領域41aにラマン分光分析を行って得られるラマンスペクトルの波数680cm-1付近に存在するピーク(すなわち、マグネタイトに由来するピーク)の大きさに比べて波数730cm-1付近に存在するピーク(すなわち、クロマイトに由来するピーク)の大きさが、2倍以上であってもよい。非磁性のクロマイトの含有割合を高くとすることにより、強磁性の酸化物(例えば、マグネタイト)が多く含まれる場合と比較して、絶縁膜の比透磁率を小さくすることができ、基体10の磁気飽和特性を向上させることができる。別の実施形態においては、第1酸化物領域41aに含まれるクロマイトとヘマタイトとマグネタイトの割合は、ラマンスペクトルの波数300cm-1付近に存在するピーク(すなわち、ヘマタイトに由来するピーク)の大きさと比べて波数730cm-1付近に存在するピーク(すなわち、クロマイトに由来するピーク)の大きさが1倍より大きく、更にラマンスペクトルの波数300cm-1付近に存在するピーク(すなわち、ヘマタイトに由来するピーク)の大きさと比べて波数680cm-1付近に存在するピーク(すなわち、マグネタイトに由来するピーク)の大きさが1倍より小さくなるように定められてもよい。第1酸化物領域41aにおける非磁性のクロマイトの含有割合及びヘマタイトの含有割合をいずれもマグネタイトの含有割合よりも大きくすることにより、強磁性の酸化物(例えば、マグネタイト)が多く含まれる場合と比較して、絶縁膜の比透磁率を小さくすることができ、基体10の磁気飽和特性を向上させることができる。
元素αがAlの場合には、第2酸化物領域42aは、アルミナ(Al23)を主成分として含む。EDS分析において第2酸化物領域42aに含まれる酸素以外の元素のうちAl元素の存在量(Al元素の原子割合(at%))が最も多い場合に、第2酸化物領域42aは、アルミナを主成分として有するということができる。第2酸化物領域42aは、絶縁性のアルミナを主成分とするため、高い絶縁性を有する。第2酸化物領域42aにアルミナ以外のアルミニウムの酸化物(例えば、酸化アルミニウム(II))が含有される可能性がある場合には、ラマン分光分析を行うことにより、第2酸化物領域42aに主成分として含有される酸化物が酸化アルミニウム(II)ではなくアルミナ(酸化アルミニウム(III))であることを決定してもよい。
元素βがSiの場合には、第3酸化物領域43aは、シリカ(SiO2)を主成分として含む。EDS分析において第3酸化物領域43aに含まれる酸素以外の元素のうちSi元素の存在量(Si元素の原子割合(at%))が最も多い場合に、第3酸化物領域43aは、シリカを主成分として有するということができる。第3酸化物領域43aは、絶縁性のシリカを主成分とするため、高い絶縁性を有する。第3酸化物領域43aにシリカ以外のケイ素の酸化物(例えば、一酸化ケイ素)が含有される可能性がある場合には、ラマン分光分析を行うことにより、第3酸化物領域43aに主成分として含有される酸化物が一酸化ケイ素ではなくシリカ(二酸化ケイ素)であることを決定してもよい。
第1酸化物領域41aは、第1軟磁性金属粒子30aの表面から離間した位置に形成されている。言い換えると、第1酸化物領域41aと第1軟磁性金属粒子30aの表面との間には、第2酸化物領域42a及び第3酸化物領域43aの少なくとも一方が介在している。図示の実施形態では、第1酸化物領域41aは、第3酸化物領域43aからも離間して配置されている。言い換えると、第1酸化物領域41aと第3酸化物領域43aとの間には、第2酸化物領域42aが介在している。第1酸化物領域41aは、第3酸化物領域43aと接するように形成されてもよい。
第2酸化物領域42aは、第1軟磁性金属粒子30aの表面の一部である第1表面領域31aを覆う。第3酸化物領域43aは、第1軟磁性金属粒子30aの表面の一部である第2表面領域32aを覆う。第1軟磁性金属粒子30aの表面は、第1表面領域31aと第2表面領域32aとに区画される。第1軟磁性金属粒子30aの表面のうち第1表面領域31aが第2酸化物領域42aによって覆われ、第2表面領域32aが第3酸化物領域43aによって覆われているので、第1軟磁性金属粒子30aの表面の全体が絶縁性の第2酸化物領域42a及び第3酸化物領域43aによって覆われている。
第2酸化物領域42aは、第1軟磁性金属粒子31の第1表面領域31aだけでなく、第3酸化物領域43aの外側の表面の少なくとも一部を覆うように形成されてもよい。第3酸化物領域43aの外側の表面を第2酸化物領域42aによって覆うことにより、第3酸化物領域43aの一部に欠陥が生じても、その欠陥が生じた部位を第2酸化物領域42aで覆うことにより、第3酸化物領域43aに生じた欠陥を起点として絶縁破壊が生じることを防止できる。図4に示されている態様では、第3酸化物領域43aの外側の表面の全体が第2酸化物領域42aによって覆われている。第3酸化物領域43aの外側の表面の全体を第2酸化物領域42aで覆うことにより、絶縁破壊をさらに抑制することができる。
第2酸化物領域42aは、第3酸化物領域43aの外側の表面の一部のみを覆うように設けられてもよい。この場合、第1軟磁性金属粒子30aの表面に存在する第2酸化物領域42aの量を減らすことができる。よって、第2酸化物領域42aが第3酸化物領域43aの外側の表面の一部のみを覆うことにより、第2酸化物領域42aが第3酸化物領域43aの外側の表面の全体を覆う態様と比較して、基体10における軟磁性金属粒子の充填率を向上させることができる。
第1酸化物領域41aは、第2酸化物領域42aよりも第1軟磁性金属粒子30aの径方向外側に設けられている。一実施形態において、複数の第1酸化物領域41aのうちの少なくとも一つは、第1軟磁性金属粒子30aの周りの周方向において、第1表面領域31aに対応する位置に設けられていてもよい。言い換えると、複数の第1酸化物領域41aのうちの少なくとも一つは、第1表面領域31aの径方向外側に設けられていてもよい。第1軟磁性金属粒子30aの周方向において第1表面領域31aに対応する領域には、第2酸化物領域42aのみが設けられており第3酸化物領域43aは設けられていない。他方、第1軟磁性金属粒子30aの周方向において第2表面領域32aに対応する領域には、第3酸化物領域43aが設けられており、さらにその径方向外側に第2酸化物領域42aが設けられている。このため、第2酸化物領域42aは、第1軟磁性金属粒子30aの周方向における第1表面領域31aに対応する位置において内側に向かって凹んでいる。一実施形態において、第1酸化物領域41aは、第1軟磁性金属粒子30aの周方向において第1表面領域31aに対応する位置にある第2酸化物領域42aの凹みに配置される。第2酸化物領域42aの凹みに第1酸化物領域41aを配置することにより、第1絶縁膜40aの膜厚を周方向において均一にすることができる。第1絶縁膜40aの一部が他の部位よりも薄い場合には、その膜厚が薄い部位から絶縁破壊が起こる可能性がある。第1絶縁膜40aの膜厚を周方向において均一にすることで、第1絶縁膜40aの膜厚が薄い部位から絶縁破壊が起こることを防止できる。第1酸化物領域41aが第1表面領域31aの径方向外側に設けられている場合には、第1軟磁性金属粒子30aの幾何中心Caと第1表面領域31aの径方向外側に設けられている第1酸化物領域41aとを結ぶ直線は、第2酸化物領域42aを通過するが、第3酸化物領域43aを通過しない。
第1酸化物領域41aと同様に、第1酸化物領域41bは、第2軟磁性金属粒子30bの表面から離間した位置に形成されている。また、第1酸化物領域41bは、第3酸化物領域43bから離間して配置されてもよい。第1酸化物領域41bは、第3酸化物領域43bと接するように形成されてもよい。さらに、第1酸化物領域41bは、第2軟磁性金属粒子30bの周方向において第1表面領域31bに対応する位置にある第2酸化物領域42bの凹みに配置されてもよい。
図4に示されている態様では、第1絶縁膜40aは、互いから離間している複数の第3酸化物領域43aを含んでいる。このように、元素βの酸化物は、第1軟磁性金属粒子30aの表面の全体を覆うように層状に形成されるのではなく、第1軟磁性金属粒子30aの表面に、複数の第3酸化物領域43aに分割して形成される。原料粉が含有する元素βの量を微量とすることにより、第1軟磁性金属粒子30aの表面に複数の第3酸化物領域43aを離散的に形成することができる。第1軟磁性金属粒子30aの表面に複数の第3酸化物領域43aを離散的に形成するための原料粉における元素βの添加量は、例えば、3wt%以下である。原料粉における元素βの添加量は、1~3wt%とすることができる。
第1軟磁性金属粒子30aと隣接して配置されている第2軟磁性金属粒子30bの表面には、第2絶縁膜40bが設けられている。第2絶縁膜40bは、Fe及びCrの酸化物を含む第1酸化物領域41bと、元素αの酸化物を主成分として含む第2酸化物領域42bと、元素βの酸化物を主成分として含む第3酸化物領域43bと、を含む。第2酸化物領域42bは、第2軟磁性金属粒子30bの表面の一部である第1表面領域31bを覆っている。第3酸化物領域43bは、第2軟磁性金属粒子30bの表面の一部である第2表面領域32bを覆っている。第1酸化物領域41aに関する上記の説明は、第1酸化物領域41bにも当てはまる。第2酸化物領域42aに関する上記の説明は、第2酸化物領域42bにも当てはまる。第3酸化物領域43bは、第3酸化物領域43aと同様に元素βの酸化物を主成分として含む。第3酸化物領域43aに関する上記の説明は、第3酸化物領域43bにも当てはまる。
図4においては、第1絶縁膜40aと第2絶縁膜40bとの間の境界が点線で示されているが、基体10の断面を観察した場合、第1絶縁膜40aと第2絶縁膜40bとの境界は、明瞭に視認できないことがある。
図4には、第1軟磁性金属粒子30aの幾何中心Ca及び第2軟磁性金属粒子30bの幾何中心Cb及びこの幾何中心Ca、Cbを通る仮想的な直線L1が示されている。また、図4には、幾何中心Ca、Cbを通る仮想的な直線L1と垂直に交わり、第1軟磁性金属粒子30aの表面からの距離と第2軟磁性金属粒子30bの表面からの距離とが等しい基準線RLが示されている。第1軟磁性金属粒子30aと基準線RLとの距離は、第1軟磁性金属粒子30aの表面の任意の点から基準線RLに下ろした垂線の長さのうち最も短い長さを意味する。同様に、第2軟磁性金属粒子30bと基準線RLとの距離は、第2軟磁性金属粒子30bの表面の任意の点から基準線RLに下ろした垂線の長さのうち最も短い長さを意味する。第2絶縁膜40bは、基準線RLに対して、第1絶縁膜40aと非対称に構成される。例えば、第2絶縁膜40bに含まれる第3酸化物領域43bは、基準線RLに対して、第1絶縁膜40aに含まれる第3酸化物領域43aと非対称な位置に配置されている。図4に示されている態様において直線L1に沿って第1軟磁性金属粒子30aの表面と第2軟磁性金属粒子30bの表面との間の領域を観察すると、第1軟磁性金属粒子30aの表面には、第3酸化物領域43aが設けられており、この第3酸化物領域43aの外側に第2酸化物領域42aが設けられているが、第2軟磁性金属粒子30bの表面には、第2酸化物領域42bのみが設けられている。このように、第1絶縁膜40aと第2絶縁膜40bとの基準線RLに対する非対称性は、直線L1に沿って第1絶縁膜40a及び第2絶縁膜40bを観察することで確認されてもよい。
基体10においては、軟磁性金属粒子の表面全体が、元素α及び元素βの2種類の酸化物を含む絶縁膜により覆われているので、基体10の耐電圧性を高めることができる。単一の種類の酸化物から構成される絶縁膜により高い耐電圧性を実現するためには、軟磁性金属粒子の表面全体が当該酸化物の層により覆われなければならない。しかしながら、基体10の製造工程において、酸化される元素が不均一に拡散すると、軟磁性金属粒子の表面の一部に当該元素の酸化物が形成されないことがある。この場合、軟磁性金属粒子の表面の一部が絶縁膜に覆われずに露出してしまうので、磁性基体の耐電圧性が劣化してしまう。本願の基体10においては、絶縁被膜が2種類の元素の酸化物を含むので、軟磁性金属粒子の表面が2種類の元素の酸化物を含む絶縁膜で被覆されている。このため、軟磁性金属粒子の表面に一方の元素の酸化物により被覆されない領域があっても、当該領域を他方の元素の酸化物により被覆することができる。具体的には、基体10においては、第1軟磁性金属粒子30aの一部のみ(つまり、第2表面領域32aのみ)に第3酸化物領域43aが形成されているが、第1軟磁性金属粒子30aの表面の他の領域(つまり、第1表面領域31a)は、元素αの酸化物を主成分とする第2酸化物領域42aにより覆われている。このため、第1軟磁性金属粒子30aの表面の一部が露出することによる耐電圧性の低下を抑制することができる。基体10に含まれる第1軟磁性金属粒子30a以外の軟磁性金属粒子も、2種類の元素(すなわち、元素α及び元素β)の酸化物を含む絶縁膜により覆われているので、基体10の耐電圧性を高くすることができる。
本願の基体10に含まれる軟磁性金属粒子の表面に設けられる絶縁膜(例えば、第1絶縁膜40a)と、従来の軟磁性金属粒子の表面に設けられる絶縁膜との違いについて説明する。従来、軟磁性金属粒子の表面を覆う絶縁膜が2種類以上の元素の酸化物を含む場合、その絶縁膜は、各元素の酸化物が層状に形成され、この層状に形成された酸化物層が積層された積層構造を有している。つまり、従来の磁性基体の絶縁膜は、軟磁性金属粒子の外表面の全体を第1の元素の酸化物を主成分とする第1酸化物層で覆い、その第1酸化物層の外表面の全体を第2の元素の酸化物を主成分とする第2酸化物層で覆っている。絶縁膜が積層構造を有する従来の磁性基体は、例えば、特開2021-158261号公報に記載されている。
これに対して、本願の基体10においては、第1軟磁性金属粒子30aの表面のうちの第1表面領域31aが第2酸化物領域42aで覆われ、第1軟磁性金属粒子30aの第2表面領域32aが第2酸化物領域で覆われている。このため、本発明が適用される基体10においては、2以上の酸化物層が積層された絶縁膜を有する従来の磁性基体と比べて、基体10において絶縁膜が占める割合を小さくすることができる。その結果、基体10における軟磁性金属粒子の充填率を大きくすることができるので、2以上の酸化物層が積層された絶縁膜を有する従来の磁性基体に比べて磁気特性を改善することができる。
上述したように、基体10に含まれる軟磁性金属粒子の表面を覆う絶縁膜に含まれるクロマイトは、軟磁性金属粒子の原料粉に含まれるFe及びCrに由来するものであってもよいが、別の実施形態においては、クロマイトは、軟磁性金属粒子の原料粉に由来するものではなくともよい。例えば、サブミクロンの粒径を有する金属クロムの微粒子粉末を軟磁性金属粒子の原料粉と混合した混合粉を樹脂と混合して混合樹脂組成物を生成し、この混合樹脂組成物を加熱することで、軟磁性金属粒子の表面を覆う絶縁膜に、原料粉に含有されるFe及びCrに由来しないクロマイトを含有させることができる。また、軟磁性金属粒子の原料粉の表面に粉末スパッタリング法により金属クロムをコートし、この表面が金属クロムでコートされた原料粉や、メカノケミカル法で原料粉に金属クロム粉を付着させ、この表面に金属クロム粉が付着した原料粉を用いることにより、軟磁性金属粒子の表面を覆う絶縁膜に、原料粉に含有されるFe及びCrに由来しないクロマイトを含有させることができる。
また、上述したように、基体10に含まれる軟磁性金属粒子の表面を覆う絶縁膜に含まれる元素βの酸化物は、軟磁性金属粒子の原料粉に含まれる元素βに由来するものであってもよいが、別の実施形態においては、元素βの酸化物は、軟磁性金属粒子の原料粉に由来するものではなくともよい。元素βがSiの場合には、TEOS(テトラエトキシシラン)、エタノール、及びアンモニア水を混合させた混合溶液に原料粉を含浸させ、この混合溶液を撹拌した後に乾燥することで、原料粉(軟磁性金属粒子)の表面にSiの酸化物(シリカ)を形成することができる。これにより、軟磁性金属粒子の表面に、原料粉に含有されるSi元素に由来しないSiの酸化物を付着させることができる。第3酸化物領域43a、43bは、この軟磁性金属粒子の表面に形成されたシリカから構成されてもよい。軟磁性金属粒子の表面を覆う絶縁膜に含まれる元素βの酸化物が原料粉に含まれる元素に由来するものでない場合には、原料粉は、元素βを含まなくともよい。
次に、図5を参照して、本発明が適用される基体110について説明する。図5は、基体110の断面の一部の領域を拡大して模式的に示す拡大断面図である。図5に示されている基体110の断面は、3つの軟磁性金属粒子の境界付近を拡大して示している。図示されているように、基体110は、第1軟磁性金属粒子30a、第2軟磁性金属粒子30b、及び第3軟磁性金属粒子30cを有する。第1軟磁性金属粒子30a、第2軟磁性金属粒子30b、及び第3軟磁性金属粒子30cは、互いに隣接して配置されている。上述のように、第1軟磁性金属粒子30aは第1絶縁膜40aにより覆われ、第2軟磁性金属粒子30bは第2絶縁膜40bにより覆われている。これと同様に、第3軟磁性金属粒子30cは、第3絶縁膜40cにより覆われている。第3絶縁膜40cは、第1絶縁膜40a及び第2絶縁膜40bと同様に構成される。すなわち、第3絶縁膜40cは、第1酸化物領域41cと、第2酸化物領域42cと、第3酸化物領域43cと、を含む。第2酸化物領域42cは、第3軟磁性金属粒子30cの表面の一部である第1表面領域31cを覆い元素αの酸化物を主成分として含む。第3酸化物領域43cは、第3軟磁性金属粒子30cの表面の一部である第2表面領域32cを覆い元素βの酸化物を主成分として含む。第1酸化物領域41cは、第3軟磁性金属粒子30cの表面から離間して配置されており、Fe及びCrの酸化物を含む。第1酸化物領域41cは、第1酸化物領域41a、41bと同様に、クロマイト(FeCr24)を含む。第1酸化物領域41cは、クロマイト(FeCr24)に加えて、ヘマタイト(Fe23)及びマグネタイト(Fe34)をそれぞれ含み得る。第1酸化物領域41cがクロマイト、ヘマタイト、及びマグネタイトをそれぞれ含有する場合、クロマイトの含有比率が最も高く、マグネタイトの含有比率が最も低い。
基体110において、軟磁性金属粒子の間に、絶縁膜で埋められていない空隙が存在する。例えば、図5に示されているように、基体110において、第1軟磁性金属粒子30aと第2軟磁性金属粒子30bと第3軟磁性金属粒子30cとの間には、空隙G1が存在している。空隙G1の少なくとも一部は、Fe及びCrの酸化物を含む第1酸化物領域41dによって画定される。言い換えると、第1酸化物領域41dは、軟磁性金属粒子の間に存在する空隙に臨む位置に配置される。第1酸化物領域41dは、第1酸化物領域41a~41cと同様に、クロマイト(FeCr24)に加えて、ヘマタイト(Fe23)及びマグネタイト(Fe34)をそれぞれ含み得る。第1酸化物領域41dがクロマイト、ヘマタイト、及びマグネタイトをそれぞれ含有する場合、クロマイトの含有比率が最も高く、マグネタイトの含有比率が最も低い。
基体110においては、軟磁性金属粒子の間に存在する空隙の一部が第1酸化物領域41dによって埋められているので、第1酸化物領域41dが存在しない場合と比べて、基体110の機械的強度を向上させることができる。第1酸化物領域41dにおいてクロマイトの含有比率が最も高い場合には、クロマイトが高い硬度を有することから、基体110の機械的強度をさらに向上させることができる。
次に図6を参照して、コイル部品1の製造方法の一例について説明する。コイル部品1を製造する過程で基体10が作製されるので、基体10の製造方法についても図6を参照して説明される。図6は、本発明の一実施形態によるコイル部品1の製造方法を示すフロー図である。以下の説明では、コイル部品1がシート積層法により製造されることを想定している。コイル部品1は、シート積層法以外の公知の方法で作製されてもよい。例えば、コイル部品1は、印刷積層法、薄膜プロセス法、又はスラリービルド法などの積層法により作製され得る。
まず、ステップS1において、磁性体シートが作製される。磁性体シートは、軟磁性金属粒子の原料となる軟磁性金属粉(原料粉)をバインダー樹脂及び溶剤と混練して得られる磁性材ペーストから生成される。この原料粉は、軟磁性金属材料から成る。原料粉は、Fe、Cr、元素α、及び元素βを含む。以下の製造方法の説明においては、説明の分かりやすさのために、元素αとしてAlを含有し、元素βとしてSiを含有する原料粉が用いられると想定する。原料粉は、95wt%以上のFeを含有する。Cr、元素α、及び元素β以外の添加元素の含有比率は、合計で5wt%以下とされる。原料粉は、0.5~1.5wt%のCrを含有することができる。原料粉は、1~3wt%のAlを含有することができる。原料粉は、0.5~3wt%のSiを含有することができる。原料粉におけるAlの含有率は、Siの含有率よりも高くてもよい。
磁性材ペースト用のバインダー樹脂は、例えば、アクリル樹脂である。磁性材ペースト用のバインダー樹脂は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、前記以外のバインダー樹脂として公知の樹脂、又はこれらの混合物であってもよい。溶剤は、例えば、トルエンである。この磁性材ペーストは、ドクターブレード法又はこれ以外の一般的な方法にてプラスチック製のベースフィルムの表面に塗布される。このベースフィルムの表面に塗布された磁性材ペーストを乾燥させることでシート状の成型体が得られる。このシート状の成型体を型内で10~100MPa程度の成型圧力で加圧成型することにより磁性体シートが複数作製される。
次に、ステップS2において、ステップS1で準備された複数の磁性体シートの一部に導電性ペーストが塗布される。導電性ペーストは、Ag、Pd、Cu、Al又はこれらの合金等の導電性に優れた導電性材料から構成される導体粉をバインダー樹脂及び溶剤と混練して生成される。導電性ペースト用のバインダー樹脂は、磁性材ペースト用のバインダー樹脂と同じ種類の樹脂であってもよい。導電性ペースト用のバインダー樹脂及び磁性材ペースト用のバインダー樹脂はいずれもアクリル樹脂であってもよい。
磁性体シートに導電性ペーストを塗布することにより、当該磁性体シートに、焼成後に導体パターンC11~C17となる未焼成導体パターンが形成される。磁性体シートの一部には積層方向に貫通する貫通孔が形成される。貫通孔を有する磁性体シートに導電性ペーストが塗布されるときには、貫通孔内にも導電性ペーストが埋め込まれる。このようにして、磁性体シートの貫通孔内に焼成後にビアV1~V5となる未焼成ビアが形成される。導電性ペーストは、例えば、スクリーン印刷法により磁性体シートに塗布される。
次に、ステップS3において、ステップS1で作製された磁性体シートを積層することで、上側カバー層18となる上部積層体、本体層20となる中間積層体、及び下側カバー層19となる下部積層体を作製する。上部積層体及び下部積層体はそれぞれ、ステップS1で準備された磁性体シートのうち未焼成導体パターンが形成されていないものを4枚積層することによって形成される。上部積層体の4枚の磁性体シートは、完成品であるコイル部品1において磁性膜18a~18dとなり、下部積層体の4枚の磁性体シートは、完成品であるコイル部品1において磁性膜19a~19dとなる。中間積層体は、未焼成導体パターンが形成された磁性体シート7枚を所定の順序で積層することにより形成される。中間積層体の7枚の磁性体シートは、完成品であるコイル部品1において磁性膜11~17となる。上記のように作製された中間積層体を上下から上部積層体及び下部積層体で挟み込み、この上部積層体及び下部積層体を中間積層体に熱圧着して本体積層体を得る。次に、ダイシング機やレーザ加工機などの切断機を用いて当該本体積層体を所望のサイズに個片化することでチップ積層体が得られる。チップ積層体は、加熱処理後に基体10となる素体及び加熱処理後にコイル導体25となる未焼成導体パターンを含む成型体の例である。加熱処理後に基体10となる素体及び加熱処理後にコイル導体25となる未焼成導体パターンを含む成型体は、シート積層法以外の方法で作製されてもよい。
ステップS3において作製される成型体において、原料粉の充填率は、85%以上となる。成型体における原料粉の充填率は、バインダー樹脂の種類、原料分の粒径、及びこれら以外のパラメータに応じて磁性体シートを成型する際の成型圧力を調整することにより実現される。よって、ステップS1においては、成型体における原料粉の充填率が85%以上となる成型圧力で磁性体シートが成型される。成型体における原料粉の充填率は、成型体の断面のSEM像において、その観察視野の全面積に対する原料粉が占める面積の比を百分率で表したものとすることができる。
次に、ステップS4において、ステップS3で作製された成型体に対して脱脂処理が行われる。磁性材ペースト及び導電性ペーストのバインダー樹脂として熱分解性樹脂が用いられる場合には、成型体に対する脱脂処理は、窒素雰囲気等の非酸素雰囲気下で行うことができる。脱脂処理を非酸素雰囲気下で行うことにより、脱脂処理において原料粉に含まれるFeが酸化されることを防止できる。脱脂処理は、磁性材ペースト用のバインダー樹脂の熱分解開始温度よりも高い温度で行われる。磁性材ペースト用のバインダー樹脂としてアクリル樹脂が用いられる場合には、脱脂は、アクリル樹脂の熱分解開始温度よりも高い温度、例えば300℃~500℃で行われる。脱脂処理により、成型体に含まれる熱分解性樹脂が分解されるので、脱脂処理の完了後の成型体には、熱分解性樹脂は残存しない。導電性ペースト用のバインダー樹脂を磁性材ペースト用のバインダー樹脂と同じ熱分解性樹脂とすることにより、ステップS4の脱脂処理において、未焼成導体パターンに含まれる熱分解性樹脂も熱分解される。このように、ステップS4においては、成型体を構成する磁性体シート及び未焼成導体パターンの両方が脱脂される。
次に、ステップS5において、脱脂された成型体に対して第1加熱処理が施される。第1加熱処理は、5~1000ppmの範囲の酸素を含有する低酸素濃度雰囲気において、750℃~900℃の第1加熱温度で行われる。第1加熱処理は、5~10ppm程度の低酸素濃度雰囲気で行われてもよい。原料粉を750℃~900℃で加熱することにより、各原料粉においてCr、Al、及びSiが熱拡散により表面付近に拡散し、雰囲気中の酸素と結合する。第1加熱処理においては、各原料粉の表面に移動した添加元素のうち、酸化されやすいAl及びSiの酸化物が生成される。第1加熱処理により、加熱された原料粉の表面に、図4及び図5に示されているように、Alの酸化物を主成分とする酸化物領域(例えば、第2酸化物領域42a)及びSiの酸化物を主成分とする酸化物領域(例えば、第3酸化物領域43a)が形成される。第1加熱処理が行われる第1加熱時間は、1時間~6時間の間とすることができる。第1加熱時間は、例えば、1時間とすることができる。第1加熱処理においては、Al及びSiに比べて酸化しにくいFeも僅かに酸化する可能性がある。第1加熱処理は、低酸素濃度雰囲気において行われるため、Feが酸化される場合、Feの酸化物としては、ヘマタイト(Fe23)に比べてマグネタイト(Fe34)の方が多く生成される。第1加熱処理において、Feの酸化物は、第2酸化物領域42a及び第3酸化物領域43aよりも径方向外側に生成される。
次に、ステップS6において、第1加熱処理で加熱された後の成型体に対して、第1加熱処理における酸素濃度よりも高い酸素濃度で第2加熱処理が施される。第2加熱処理は、1000ppmより大きく10000ppm以下の低酸素雰囲気で行われてもよい。第2加熱処理は、第1加熱処理よりも高い酸素濃度で行われるため、第2加熱処理において、Si及びAlの酸化がさらに進む。また、第2加熱処理において、第1加熱処理において生成されたマグネタイトがCrと結合し、クロマイト(FeCr24)が生成される。上述したように、成型体における原料粉の充填率は、85%以上と高いため、原料粉の表面への過剰な酸素の供給が抑制される。このため、第2加熱処理において、原料粉の表面付近においてマグネタイト及びCr元素が存在する領域では、ヘマタイト(Fe23)や酸化クロム(III)よりも、クロマイト(FeCr24)が生成されやすい。このように、第2加熱処理により、第2酸化物領域42a又は第3酸化物領域43aの径方向外側に、クロマイトを高い含有比率で含む酸化物領域(例えば、第1酸化物領域41a)が生成される。
従来は、磁性基体にクロマイトを含有させることの有用性が認識されていなかった。このため、従来の磁性基体の製造方法においては、Fe及びCrを含む原料粉は用いられていたものの、この原料粉からクロマイトを生成する手法は知られていなかった。本願においては、原料粉の充填率を85%以上とした成型体に対して、まず低酸素濃度での加熱処理(ステップS5の第1加熱処理)を行い、次に、第1加熱処理が施された成型体に対して第1加熱処理よりも高い酸素濃度での加熱(ステップS6の第2加熱処理)を行うことにより、第1加熱処理において生成されたマグネタイトをCrと結合させてクロマイトを生成している。この結果、Fe及びCrを含む酸化物領域において、クロマイト、ヘマタイト、及びマグネタイトのうち、クロマイトの含有比率を最も高くすることができる。また、クロマイトを生成するためにマグネタイトが消費されるので、Fe及びCrを含む酸化物領域において、クロマイト、ヘマタイト、及びマグネタイトのうち、マグネタイトの含有比率を最も低くすることができる。
図6に示されている製造方法によれば、成型体における原料粉の充填率が85%以上とされており、また、第1加熱処理及び第2加熱処理ともに低酸素濃度雰囲気下で行われるため、原料粉の表面への酸素の供給量が制限されている。第2加熱処理において原料粉の周囲に酸素が過剰に存在すると、クロマイトが高温下で酸素と接することによりFe2O及びCr23に変化しやすいが、原料粉の充填率が85%以上であるとともに第2加熱処理が低酸素雰囲気下で行われるため、生成されたクロマイトの他の酸化物への変化を抑制することができる。また、成型体における原料粉の充填率を高くする(例えば、85%以上とする)ことで、第2加熱処理が行われる雰囲気の酸素濃度の範囲を広げる(上限を高くする)ことができる。
また、成型体における原料粉の充填率を85%以上とし、また、第1加熱処理及び第2加熱処理を低酸素濃度雰囲気下で行うことにより、原料粉に酸素が大量に供給されることによる絶縁膜の過剰な成長を抑制することができる。本願の製造方法によれば、絶縁膜の膜厚を20nm以下に抑制することができる。これにより、完成品の基体10において、軟磁性金属粒子の充填率を低下させることなく、優れた耐電圧性を確保することができる。加熱前の成型体における原料粉の充填率を85%以上とし、この成型体を加熱することにより生成される絶縁膜の膜厚を抑制することにより、基体10における軟磁性金属粒子の充填率も85%程度に維持することができる。
第2加熱処理においては、原料粉の酸化に加えて、未焼結導体パターン中の導体粉の焼結も起こる。未焼結導体パターン中の導体粉が焼結することで、コイル導体25が得られる。導体粉として銅粉が用いられる場合には、銅結晶が緻密に焼結し、コイル導体25となる。
第2加熱処理は、第2加熱温度で、第2加熱時間だけ行われる。第2加熱温度及び第2加熱時間は、原料粉の表面に絶縁性確保のために十分な膜厚を有する絶縁膜が形成されるように定められる。第2加熱温度は、例えば、500℃から700℃の間の温度とすることができる。第2加熱温度が高いほど酸化の進行が速いため、第2加熱時間は、第2加熱温度によって変わる。第2加熱温度が500℃の場合には、第2加熱時間は、1時間から6時間の間とすることができる。第2加熱温度が700℃の場合には、第2加熱時間は、30分から1時間の間とすることができる。
このように、第1加熱処理及び第2加熱処理により、成型体に含まれる原料粉が酸化されることで、原料粉から表面が絶縁膜により覆われた軟磁性金属粒子が生成される。具体的には、図4又は図5に示されているように、クロマイトを有する酸化物領域41aを含むように第1絶縁膜40aが生成され、また、クロマイトを有する酸化物領域41bを含むように及び第2絶縁膜40bが生成される。第2加熱処理により、隣接する軟磁性金属粒子同士は、互いの表面に形成された絶縁膜を介して結合される。このようにして、軟磁性金属粒子が結合した基体10が得られる。
次に、ステップS7において、ステップS6で得られた基体10表面に外部電極21及び外部電極22を形成する。外部電極21は、コイル導体25の一端に接続され、外部電極22は、コイル導体25の他端と接続される。外部電極21、22の形成前に、第2加熱処理後の成型体を樹脂に含浸させてもよい。成型体は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に含浸される。これにより、基体10内の軟磁性金属粒子の隙間に樹脂が浸透する。そして、基体10に含浸した樹脂を硬化させることにより、基体10の機械的強度を向上させることができる。
以上の工程により、コイル部品1が作製される。
次に、図7を参照して、コイル部品1の製造方法の別の態様について説明する。図7に示されている製造方法は、磁性体シートの作製前に、原料粉に予備加熱を行い、この予備加熱により原料粉の表面に元素βの酸化物を生成する点で、図6に示されている製造方法と異なっている。
図7に示されているように、まず、ステップS21において、軟磁性金属粒子の原料となる原料粉を準備し、この原料粉に対して予備加熱を行う。予備加熱は、500℃より低い温度で、1時間行われる。この予備加熱により、原料粉の表面に元素β(Si又はTi)の酸化物が離散的に生成される。この表面に元素βの酸化物が離散的に形成された原料粉を用いて、図6と同様にステップS1~S3の工程が行われ、磁性体シートが積層された成型体が作製される。この成型体に対して、ステップS4において、脱脂が行われる。
次に、ステップS22において、脱脂された成型体に対して加熱処理が行われる。ステップS22における加熱処理は、図6のステップS6における第2加熱処理と同じ条件で行われる。この第2加熱処理により、成型体に含まれる原料粉の元素αが酸化されて元素αの酸化物が生成されることで、原料粉から表面が絶縁膜により覆われた軟磁性金属粒子が生成される。ステップS22における加熱処理により、隣接する軟磁性金属粒子同士は、互いの表面に形成された絶縁膜を介して結合される。このようにして、軟磁性金属粒子が結合した基体10が得られる。
次に、ステップS7において、ステップS22で得られた基体10の表面に外部電極21及び外部電極22を形成する。以上の工程により、コイル部品1が作製される。
前述の様々な実施形態で説明された各構成要素の寸法、材料及び配置は、それぞれ、各実施形態で明示的に説明されたものに限定されず、当該各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料及び配置を有するように変形することができる。
本明細書において明示的に説明していない構成要素を、上述の各実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
本明細書では、以下の技術も開示される。
[付記1]
複数の軟磁性金属粒子と、
前記複数の軟磁性金属粒子の各々の表面を覆う複数の絶縁膜と、
を備え、
前記複数の軟磁性金属粒子は、第1軟磁性金属粒子を含み、
前記複数の絶縁膜は、前記第1軟磁性金属粒子の表面を覆う第1絶縁膜を含み、
前記第1絶縁膜は、Fe及びCrを含有し、ラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおいて730cm-1にピーク強度を有する一又は複数の第1酸化物領域を含む、
磁性基体。
[付記2]
前記第1酸化物領域においてマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおける730cm-1のピーク強度は、前記第1酸化物領域においてラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおける680cm-1のピーク強度よりも大きい、
[付記1]に記載の磁性基体。
[付記3]
前記第1酸化物領域においてラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおける730cm-1のピーク強度は、前記第1酸化物領域においてラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおける300cm-1のピーク強度よりも大きい、
[付記1]又は[付記2]に記載の磁性基体。
[付記4]
前記第1酸化物領域は、前記第1軟磁性金属粒子の表面から離間している、
[付記1]から[付記3]のいずれか一つに記載の磁性基体。
[付記5]
前記第1絶縁膜は、Fe及びCrを含有しておりラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおいて730cm-1にピーク強度を有する複数の第1酸化物領域を含有しており、
前記複数の第1酸化物領域の各々は、互いから離間している、
[付記1]から[付記4]のいずれか一つに記載の磁性基体。
[付記6]
前記複数の第1酸化物領域の各々は、前記第1軟磁性金属粒子の幾何中心を中心とする周方向において、互いから離間している、
[付記5]に記載の磁性基体。
[付記7]
前記複数の軟磁性金属粒子は、前記第1軟磁性金属粒子に隣接する第2軟磁性金属粒子、並びに、前記第1軟磁性金属粒子及び前記第2軟磁性金属粒子にそれぞれ隣接する第3軟磁性金属粒子を含み、
前記第1軟磁性金属粒子と前記第2軟磁性金属粒子と前記第3軟磁性金属粒子との間に存在する空隙の少なくとも一部は、前記第1酸化物領域により画定される、
[付記1]から[付記6]のいずれか一つに記載の磁性基体。
[付記8]
前記第1絶縁膜は、前記第1軟磁性金属粒子の表面の一部である第1表面領域を覆い元素α(Al)の酸化物を主成分として含む第2酸化物領域と、前記軟磁性金属粒子の前記第1表面領域とは異なる第2表面領域を覆い元素βの酸化物を主成分として含む第3酸化物領域と、をさらに含む、
[付記1]から[付記7]のいずれか一つに記載の磁性基体。
[付記9]
前記第1酸化物領域は、前記第2酸化物領域の径方向外側にある、
[付記8]に記載の磁性基体。
[付記10]
前記複数の軟磁性金属粒子の各々は、Fe及びSiを含有する、
[付記1]から[付記9]のいずれか一つに記載の磁性基体。
[付記11]
前記複数の軟磁性金属粒子の各々におけるFeの含有率は、95wt%以上である、
[付記10]に記載の磁性基体。
[付記12]
前記元素βは、Feよりも酸化しやすい元素であり、
前記元素αは、前記元素βよりも酸化しやすい元素である、
[付記8]に記載の磁性基体。
[付記13]
前記元素αは、Alであり、
前記元素βは、Siである、
[付記12]に記載の磁性基体。
[付記14]
[付記1]から[付記13]のいずれか一つに記載の磁性基体と、
前記磁性基体に備えられるコイル導体と、
を備えるコイル部品。
[付記15]
[付記14]に記載のコイル部品を含む、回路基板。
[付記16]
[付記15]に記載の回路基板を含む、電子部品。
[付記17]
複数の軟磁性金属粒子と、
前記複数の軟磁性金属粒子の各々の表面を覆う複数の絶縁膜と、
を備え、
前記複数の軟磁性金属粒子は、第1軟磁性金属粒子を含み、
前記複数の絶縁膜は、前記第1軟磁性金属粒子の表面を覆う第1絶縁膜を含み、
前記第1絶縁膜は、Fe及びCrを含有する、
磁性基体。
1 コイル部品
10、110 基体(磁性基体)
21、22 外部電極
30a 第1軟磁性金属粒子
30b 第2軟磁性金属粒子
30c 第3軟磁性金属粒子
40a、40b、40c 絶縁膜
41a、41b、41c、41d 第1酸化物領域
42a、42b、42c 第2酸化物領域
43a、43b、43c 第3酸化物領域

Claims (14)

  1. 複数の軟磁性金属粒子と、
    前記複数の軟磁性金属粒子の各々の表面を覆う複数の絶縁膜と、
    を備え、
    前記複数の軟磁性金属粒子は、第1軟磁性金属粒子を含み、
    前記複数の絶縁膜は、前記第1軟磁性金属粒子の表面を覆う第1絶縁膜を含み、
    前記第1絶縁膜は、Fe及びCrを含有し、ラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおいて730cm-1にピーク強度を有する一又は複数の第1酸化物領域を含み、
    前記第1酸化物領域においてラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおける730cm-1のピーク強度は、前記第1酸化物領域においてラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおける680cm-1のピーク強度よりも大きく、
    前記第1酸化物領域は、前記第1軟磁性金属粒子の表面から離間している、
    磁性基体。
  2. 前記第1酸化物領域においてラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおける730cm-1のピーク強度は、前記第1酸化物領域においてラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおける300cm-1のピーク強度よりも大きい、
    請求項1に記載の磁性基体。
  3. 前記第1絶縁膜は、FeとCrを含有し、ラマン分光測定により得られるラマンスペクトルにおいて730cm-1にピーク強度を有する複数の第1酸化物領域を含有しており、
    前記複数の第1酸化物領域の各々は、互いから離間している、
    請求項1又は2に記載の磁性基体。
  4. 前記複数の第1酸化物領域の各々は、前記第1軟磁性金属粒子の幾何中心を中心とする周方向において、互いから離間している、
    請求項1又は2に記載の磁性基体。
  5. 前記複数の軟磁性金属粒子は、前記第1軟磁性金属粒子に隣接する第2軟磁性金属粒子、並びに、前記第1軟磁性金属粒子及び前記第2軟磁性金属粒子にそれぞれ隣接する第3軟磁性金属粒子を含み、
    前記第1軟磁性金属粒子と前記第2軟磁性金属粒子と前記第3軟磁性金属粒子との間に存在する空隙の少なくとも一部は、前記第1酸化物領域により画定される、
    請求項1又は2に記載の磁性基体。
  6. 前記第1絶縁膜は、前記第1軟磁性金属粒子の表面の一部である第1表面領域を覆い元素αの酸化物を主成分として含む第2酸化物領域と、前記軟磁性金属粒子の前記第1表面領域とは異なる第2表面領域を覆い元素βの酸化物を主成分として含む第3酸化物領域と、をさらに含む、
    請求項1又は2に記載の磁性基体。
  7. 前記第1酸化物領域は、前記第2酸化物領域の径方向外側にある、
    請求項6に記載の磁性基体。
  8. 前記複数の軟磁性金属粒子の各々は、Fe及びSiを含有する、
    請求項1又は2に記載の磁性基体。
  9. 前記複数の軟磁性金属粒子の各々におけるFeの含有率は、95wt%以上である、
    請求項8記載の磁性基体。
  10. 前記元素βは、Feよりも酸化しやすい元素であり、
    前記元素αは、前記元素βよりも酸化しやすい元素である、
    請求項6に記載の磁性基体。
  11. 前記元素αは、Alであり、
    前記元素βは、Siである、
    請求項10に記載の磁性基体。
  12. 請求項1又は2に記載の磁性基体と、
    前記磁性基体に備えられるコイル導体と、
    を備えるコイル部品。
  13. 請求項12に記載のコイル部品を含む、回路基板。
  14. 請求項13に記載の回路基板を含む、電子機器。
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