JP2023150575A - 自動車用除電性布帛 - Google Patents

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Kohei Ohara
有喜彦 白畑
Yukihiko Shirahata
貴之 大石
Takayuki Oishi
竜也 福井
Tatsuya Fukui
忠義 角谷
Tadayoshi Kadoya
昌絵 木村
Masae Kimura
達也 鈴木
Tatsuya Suzuki
博丈 野田
Hirotake Noda
好金 河合
Yoshikane Kawai
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Abstract

【課題】優れた除電機能を有し、自動車の操縦走行安定性を高めることが可能な布帛、特に運転席の表装シート布地の提供。【解決手段】本発明の自動車用除電性布帛は、プラスの電荷に帯電する基材としてポリエステル繊維布帛1を含み、当該繊維布帛1の表面側には、バインダー樹脂を介して無機微粒子が固着された第一層2が設けられており、当該第一層2の上には、マイナスの電荷に帯電する層としてフッ素系樹脂からなる第二層3が設けられており、前記フッ素系樹脂が前記無機微粒子の表面に固着し、当該フッ素系樹脂のフッ素系撥水撥油基が前記繊維布帛の最表側に位置しており、この繊維布帛の裏面側には、マイナスの電荷に帯電する層として、消臭剤と難燃剤を含むバインダー樹脂からなる第三層4が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、優れた除電機能を有し、自動車などの内装用布帛(例えば、座席の表装シート布地)に用いた際に、車体やタイヤに帯電した電荷を除去することにより車体廻りの風流れを整流化して操縦走行安定性の向上効果を発揮する布帛(自動車用除電性布帛)に関する。
布帛への静電気の蓄積を防止する方法については、従来から様々な方法が検討されてきた。また、布帛の用途によって要求される帯電防止性(制電性)が異なることがあり、例えば衣類の場合は洗濯耐久性が重要であり、イスやソファーなどに用いられる布帛の場合は洗濯耐久性よりも摩擦耐久性が重要である。特に自動車などの座席の表装シートとして用いられる布帛の場合、布帛表面が摩耗されやすいため、摩耗後の帯電防止性能の保持が極めて難しい。
車両内装用に用いられる布帛(主にポリエステル系布帛)については、耐久的な制電性を得るために、基布に導電性繊維を織(編)込むとともに、この基布の裏面に導電性カーボンを含むバッキング剤をコーティング処理する技術が知られている。しかし、この方法によれば、制電性の耐久性を向上させることはできるが、制電機能にかけるコストが高くなるという問題や、裏面の導電性カーボンバッキング剤加工による表皮物性の悪化(伸縮性の低下、剛性の増加など)や意匠性が劣るという問題がある。
一方、薬剤を繊維に後加工で付着させることにより、布帛に帯電防止性を付与する方法も検討されている。例えば、下記の特許文献1には、ポリエチレングリコールジアミンとポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが特定のモル比で存在する水溶液を合成繊維に付与し、乾燥することなく飽和蒸気処理した後、洗浄を行うことを特徴とする合成繊維の帯電防止加工法が開示されている。また、親水性を有する加工薬剤(グアニジン系薬剤やエステル系薬剤)をDip‐Nip法やスプレー法により、布帛に後加工で付着させる方法も検討されている。
しかしながら、このような加工では、摩耗によって薬剤が脱落し易いために、自動車などの内装用布帛に要求される制電性の保持が極めて難しいという問題があった。
さらに下記の特許文献2には、自動車のゴム製タイヤが、走行時に路面上を転がることによって常に静電気が発生し、その静電気がハンドル操作や足回りの動きなどの操縦安定性に悪影響を及ぼすことが開示されているが、走行時に生じたプラスの電荷を除去(除電)することが可能なシート布地についてはほとんど知られておらず、除電を行った際の操縦走行安定性への影響についても十分な検討がなされていないのが現状である。
特開平6-280166号公報 特許第6168157号公報
本発明は、優れた除電性能により自動車の操縦走行安定性を高めることが可能な布帛(特に自動車などの座席の表装シート布地)を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討を行った結果、プラスの電荷に帯電するポリエステル繊維布帛の表面に、バインダー樹脂を介して無機微粒子が固着された第一層を設け、更にこの層の上に、マイナスの電荷に帯電する層としてフッ素系樹脂からなる第二層を設けて、フッ素系樹脂を無機微粒子の表面に固着させると、フッ素系樹脂のフッ素系撥水撥油基が繊維布帛の最表側に位置した構造となり、更に、ポリエステル繊維布帛の裏面にもマイナスの電荷に帯電する層として、消臭剤と難燃剤を含む第三層を設け、プラスの電荷に帯電するポリエステル繊維布帛がマイナスの電荷に帯電する2つの層により挟まれたサンドイッチ構造とした場合に、除電機能に優れた布帛が得られることを見出して、本発明を完成した。
そして、上記の層構成を有する除電性布帛を自動車などの座席の表装シート布地として用いた場合、走行時に発生するプラスの電荷や乗員が発生させるプラスの電荷をシート表装布地のマイナスの電荷によって除去することができ、これによって操縦走行安定性(例えば、ハンドル操作性、アクセル・ブレーキ操作性など)を高めることができることを見出した。
即ち、本発明の自動車用除電性布帛は、除電機能を有し、自動車の操縦走行安定性を高めることが可能な布帛であって、当該布帛が、プラスの電荷に帯電する基材としてポリエステル繊維布帛を含み、当該ポリエステル繊維布帛の表面側には、バインダー樹脂を介して無機微粒子が固着された第一層が設けられており、当該第一層の上には、マイナスの電荷に帯電する層としてフッ素系樹脂からなる第二層が設けられており、前記フッ素系樹脂が前記無機微粒子の表面に固着し、当該フッ素系樹脂のフッ素系撥水撥油基が前記繊維布帛の最表側に位置していること、および、前記ポリエステル繊維布帛の裏面側に、マイナスの電荷に帯電する層として、消臭剤と難燃剤を含むバインダー樹脂からなる第三層が設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、上記の特徴を有した自動車用除電性布帛において、前記布帛が、裏面側にも、前記第一層及び、その上に設けられた前記第二層を有しており、前記第二層の上に前記第三層が設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記の特徴を有した自動車用除電性布帛において、前記フッ素系樹脂が、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を側鎖に有する樹脂であり、前記フッ素系樹脂の固着量が、前記ポリエステル繊維布帛の単位面積当たり0.15g/m2以上であることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記の特徴を有した自動車用除電性布帛において、前記無機微粒子が、平均粒子径0.1μm以下の非晶質シリカであり、前記バインダー樹脂を介して固着された非晶質シリカの固着量が、前記ポリエステル繊維布帛の単位面積当たり0.25~2.0g/m2であることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記の特徴を有した自動車用除電性布帛において、前記第一層および前記第三層に含まれるバインダー樹脂が、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂からなるグループより選ばれたものであることを特徴とするものでもある。
更に、本発明は、上記の特徴を有した自動車用除電性布帛において、前記難燃剤がリン系難燃剤であり、前記消臭剤が、アミン系化合物および、亜鉛または銅を含む金属化合物からなるグループより選ばれた少なくとも1種を担体に担持させたものであり、前記第三層に含まれる難燃剤と消臭剤の含有量がそれぞれ、前記ポリエステル繊維布帛の単位面積当たり20~60g/m2、6~23g/m2であることを特徴とするものである。
本発明の自動車用除電性布帛は、優れた除電機能を有しており、特に自動車などの座席の表装シート布地として用いた際に操縦走行安定性を高めることができる。
本発明の自動車用除電性布帛(ファブリック)の層構成を示す図であり、Aは、ポリエステル繊維布帛1の表面側に第一層2と第二層3が設けられ、裏面側に第三層4が設けられたもの、Bは、ポリエステル繊維布帛1の裏面側にも第一層2と第二層3が設けられ、さらに第二層3の上に第三層4が設けられたものである。
図1のA,Bに示されるように、本発明の自動車用除電性布帛は、プラスの電荷に帯電する基材としてポリエステル繊維布帛1を含み、当該ポリエステル繊維布帛1の表面側には、バインダー樹脂を介して無機微粒子が固着された第一層2が設けられており、当該第一層2の上には、フッ素系樹脂からなる第二層3が設けられている。この第二層3は、摩擦によりプラスの電荷に帯電するポリエステル繊維布帛1に対してマイナスの電荷に帯電する層である。
そして、ポリエステル繊維布帛1の裏面側には、マイナスの電荷に帯電する層として、消臭剤と難燃剤を含むバインダー樹脂からなる第三層4が設けられている。
本発明において、ポリエステル繊維布帛とは、難燃性の高いポリエステル繊維を含む布帛を意味し、ポリエステル繊維単独からなる織物、編物、不織布だけでなく、ポリエステル繊維と他の繊維(木綿、羊毛などの天然繊維やポリアミド、レーヨン、アクリルなどの化学繊維)を組み合わせて使用した交織品、交編品などのいずれであってもよく、ポリエステルを材質とする合成皮革(人工皮革)であってもよい。
上記布帛の構成繊維に占めるポリエステル繊維の割合は60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上が特に好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。
上記の第一層2に含まれる無機微粒子は、後述する第二層3のフッ素系樹脂のフッ素系撥水撥油基が繊維布帛の最表側に来るように隙間を埋める働き(マイナスの電荷が出やすいように表面積を増やす働き)をする。このような無機微粒子としては、シリカ系粒子、炭酸カルシウム粉末、水酸化アルニミウム粉末、アパタイト粉末等が好ましい。この際、平均粒子径が0.1μm以下のものが好ましく、特に好ましい無機微粒子は、平均粒子径が0.1μm以下の非晶質シリカである。
尚、本発明では、第一層2に含まれる無機微粒子が非晶質シリカである場合、非晶質シリカの固着量は、ポリエステル繊維布帛1の単位面積当たり0.25~2.0g/m2であることが好ましい。
また、上記の無機微粒子を固着するための第一層2に含まれるバインダー樹脂は、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂から選ばれたものであり、ポリエステル繊維布帛1に付着している上記バインダー樹脂の量は、繊維布帛の単位面積当たり0.1~1.0g/m2(乾燥重量)であることが好ましい。本発明では、自動車用除電性布帛の難燃性を重視する場合には、ポリエステル系樹脂を使用することが好ましく、コストや風合いを重視する場合は、アクリル系樹脂を使用することが好ましい。
前記第一層2を形成する際に使用される上記のバインダー樹脂としては、通常の布帛用コーティング組成物のバインダーとして用いられる市販のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂を使用することができる。
本発明では、第一層2を形成する際、前記の無機微粒子を分散させたバインダー樹脂液を調製し、この樹脂液をポリエステル繊維布帛1の表面に塗布した後、乾燥を行うのが一般的である。この際、塗布方法は特に限定されるものではなく、ディッピング加工や、グラビアロール加工、ロールコーター加工などを用いることができる。尚、本発明では、ディッピング加工によって、図1のBに示されるようにして、ポリエステル繊維布帛1の表面だけでなく裏面側にも第一層2が形成されてもよい。
バインダー樹脂を介して無機微粒子が固着された第一層2は、摩擦によりマイナスの電荷に帯電し易いフッ素系樹脂からなる第二層3に対してプラスの電荷に帯電する。
そして、本発明の自動車用除電性布帛においては、上記の第一層2の上に、図1のA,Bに示されるようにして、マイナスの電荷に帯電し易いフッ素系樹脂(フッ素系撥水撥油剤)からなる第二層3が設けられており、このフッ素系樹脂は、第一層2の外表面側に表出した無機微粒子の表面に固着し、フッ素系樹脂のフッ素系撥水撥油基が、繊維布帛の外表側を向くようにして位置しており、上側の最表層は第二層3である。
本発明において、前記ポリエステル繊維布帛1に対してマイナスの電荷に帯電する第二層3に含まれるフッ素系樹脂とは、炭化水素基中の水素原子の全てあるいは一部をフッ素原子で置き換えたフルオロアルキル基を含有する化合物であり、特に、パーフルオロアルキル基を有する単量体を含む重合体であることが好ましい。また、環境保全や安全性の観点から、前記パーフルオロアルキル基は炭素数6以下のものが好ましい。
上記のフッ素系樹脂としては、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂が挙げられ、例えば、炭素数が6以下のパーフロロアルキル基(CF-(CF-)を側鎖に有した合成樹脂や、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂)(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(四フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合樹脂)(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(四フッ化エチレン-エチレン共重合樹脂)(ETFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロジオキソールコポリマー (TFE/PDD)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー(三フッ化塩化エチレン-エチレン共重合樹脂)(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ化塩化エチレン共重合樹脂)(PCTFE)などである。
本発明では、上記のフッ素系樹脂として市販品を使用することができ、例えば、旭硝子株式会社からアサヒガード-Eの名称で販売されているフッ素系樹脂や、日華化学株式会社からNKガードSの名称で販売されているフッ素系樹脂が挙げられる。
ポリエステル繊維布帛1の表面側に設けられる第二層3を構成するフッ素系樹脂は1種類でもよく、複数(例えば2~3種類)であってもよい。
本発明では、第二層3を形成する際、上記の無機微粒子が固着された第一層2の表面にフッ素系樹脂を塗布した後、乾燥を行うのが一般的であり、塗布方法については特に限定されるものではなく、例えば、ディッピング加工や、グラビアロール加工、ロールコーター加工などが使用できる。尚、本発明では、ディッピング加工によって、図1のBに示されるようにして、ポリエステル繊維布帛1の表裏両面に第二層3が形成されてもよい。
上記のフッ素系樹脂の固着量は、ポリエステル繊維布帛1の単位面積当たり0.15g/m2以上であることが好ましく、0.3~1.0g/m2であることが特に好ましい。
更に、本発明の自動車用除電性布帛においては、ポリエステル繊維布帛1の裏面側に、消臭剤と難燃剤を含むバインダー樹脂からなる第三層4が設けられており、この層に含まれる消臭剤と難燃剤により消臭効果と難燃効果が発揮される。本発明における第三層4は、通常の布帛用コーティング組成物のバインダー樹脂として用いられる市販のポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂またはアクリル系樹脂中に消臭剤と難燃剤を分散させて得た混合溶液を、ポリエステル繊維布帛1の裏面に塗布し、乾燥を行うことにより形成される。この際、塗布方法としては、グラビアロール加工、ロールコーター加工などが使用でき、このようにして塗布形成された第三層4は、ポリエステル繊維布帛1に対してマイナスの電荷に帯電する。
この際、第三層4における上記バインダー樹脂は、ポリエステル繊維布帛1の単位面積当たり4~10g/m2の塗布量であることが好ましい。
上記の第三層4に含まれる消臭剤としては、不活性な無機多孔質粒子(担体)に消臭成分を担持させたものを使用することが好ましい。このように、無機多孔性粒子に消臭成分を担持させることにより、消臭成分が相互に直接接触するのを防止でき、また、難燃剤の存在によって阻害されることを防止できる。
本発明では、例えば、アミン系化合物、金属化合物またはシクロデキストリンをそれぞれ別々の担体に担持させて使用することが好ましく、担体としては、シリカ、シリカ・アルミナ複合体または層状複水酸化物などが好ましい。
上記のアミン系化合物としては、分子内に第一級アミン基を有する化合物、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酢酸などの吸着に特に有効なヒドラジン系化合物を使用することが好ましい。
このようなヒドラジン系化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジドなどが挙げられる。
また、金属化合物としては、硫化水素およびメルカプタン類の臭気に対する消臭効果を発揮する亜鉛または銅を含む金属化合物、例えば亜鉛または銅の酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩などを例示することができ、ケイ酸亜鉛、酸化亜鉛などが特に有用である。
本発明において「消臭性」の程度は、アンモニア、硫化水素、およびアセトアルデヒドに対する4時間後の消臭率(減臭率)がそれぞれ、80%以上であることが好ましい(85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい)。特に、アンモニア、および硫化水素に対する4時間後の消臭率がそれぞれ、90%以上(特に95%以上)で、アセトアルデヒドに対する4時間後の消臭率が85%以上(特に90%以上)である布帛が好ましく、 上記の第三層4に含まれる消臭剤の含有量は、ポリエステル繊維布帛1の単位面積当たり、6g/m2~23g/m2が好ましく、9g/m2~20g/m2がより好ましい。
また、上記の第三層4に含まれる難燃剤は、ハロゲンを実質的に含有しないものが好ましく、リン系難燃剤であることが好ましい。特に、消臭剤との併用で機能性を害されないように、シリコーンで表面処理したものや水に難溶解性のものを使用するのが好ましく、特にシリコーン被覆ポリリン酸アンモニウムまたはジアルキルホスフィン酸金属塩が有用である。なお、ジアルキルホスフィン酸金属塩において、アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルおよび/またはフェニルが挙げられ、金属としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、亜鉛、錫またはジルコニウムが挙げられる。これらのうちで、特に好ましいのは、ジエチルホスフィン酸アルミニウムである。
難燃剤が「ハロゲンを実質的に含有しない」とは、不純物程度で、本発明の効果を阻害しない程度のハロゲンは含有されてもよいことを意味する。
また、上記の第三層4に含まれる難燃剤の含有量は、ポリエステル繊維布帛1の単位面積当たり20g/m2~60g/m2が好ましく、35g/m2~45g/m2がより好ましい。
本発明の自動車用除電性布帛が有する難燃性は、具体的には、米国連邦自動車安全基準(FMVSS:Federal Motor-Vehicle Safety Standard)に定められている「内装材料の燃焼性」に準じて試験を行った際に、布帛(試験片)に炎を15秒間あてても着火しないか、着火するがA標線(燃焼速度測定開始線)までに消火する場合「N」、または、布帛に炎をあてると着火するが、炎がA標線を越えた後、燃焼速度が101mm/min以下であることが好ましい。特に、前記評価で「N」となる布帛が好ましい。
上記の層構成を有する本発明の自動車用除電性布帛は、布帛の表面を綿布で5回摩擦させた後、マイナス帯電し、車室内や人から発生するプラス帯電を中和し、マイナス帯電電位は-10V以下が好ましく、-100V以下がより好ましい。また、摩擦前の初期帯電位がマイナスであることが好ましい。
以下、比較例および実施例により、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:フッ素系樹脂の塗布量を変化させた際の帯電電位の測定実験
ポリエステル繊維布帛として、以下の3種類のものを準備した。
・ポリエステル繊維布帛a:無地調織物(目付け210g/m2
・ポリエステル繊維布帛b:組織織物(目付け210g/m2
・ポリエステル繊維布帛c:スエード(目付け400g/m2
そして、第一層を形成させるために処理液Iとして、非晶質シリカ(日揮触媒化成株式会社製のコロイダルシリカ、カタロイドSI-30:不揮発分30%)0.59%およびポリエステルバインダー(互応化学工業株式会社製、プラスコートZ105:不揮発分25%)0.27%の混合溶液を調製し、この混合溶液中に上記のポリエステル繊維布帛a~cをディッピングした後、150℃で2分30秒乾燥し、第一層を形成した。
次に、第二層を形成させるために処理液IIとして、フッ素系撥水撥油剤(AGC株式会社製、アサヒガードAG-E082:不揮発分20%)およびフッ素系撥水撥油剤(AGC株式会社製、アサヒガードAG-E904:不揮発分20%)の混合溶液(混合溶液中の総フッ素系樹脂濃度:0.12、0.26、0.54、1.08重量%)をそれぞれ調製し、各混合溶液中に、第一層を形成した上記加工布をディッピングした後、150℃で2分30秒乾燥し、第二層(フッ素系樹脂の塗布量:0.07、0.15、0.3、0.6g/m2)を形成した。
最後に、第三層を形成させるために混合溶液IIIとして、ウレタン樹脂バインダー6重量部、難燃剤として、リン酸エステル系難燃剤15重量部、無機系難燃剤15重量部、難燃補助剤15重量部、消臭剤として、シリカ担持酸化亜鉛2重量部、シリカ担持アミン化合物4重量部、水(増粘剤、分散剤・顔料を含む)50重量部の混合溶液を調製し、この混合溶液を、第一層および第二層が形成されたポリエステル繊維布帛a~cの裏面側にそれぞれ110g/m2の塗布量にて塗布し、150℃で2分30秒乾燥し、図1のBに示される構成を有した除電性布帛を作製した。
なお、比較対照として、第二層を設けていない布帛(フッ素系樹脂の塗布量が0g/m2)も準備した。
各布帛の帯電電位は、幅150mm、長さ150mmの大きさの試験片と、幅20mm、長さ100mmの大きさの綿帆布を準備し、上記の試験片の裏面に厚み10mmのウレタンフォームを敷いた後、上記綿帆布を指に当てて試験片の表面を5往復摩擦し、摩擦部の帯電電位を静電気測定器(キーエンス社製、SK-H050)用いて測定した。この際、表皮表面から約25mm離し、5秒間測定し、その最小電位を記録した。
尚、上記の測定は、温度23±2℃、湿度50%、60%、70%、80%の環境下で実施し、湿度の影響についても調べた。
上記の測定結果が、以下の表1に要約されている。
Figure 2023150575000002
上記表1の結果から、フッ素系樹脂の塗布量が、ポリエステル繊維布帛の単位面積当たり0.15g/m2以上の場合において、負の帯電電位が大きくなり、良好な除電性が得られることがわかった。また、基材となるポリエステル繊維布帛としては、スエード調のもの(ポリエステル繊維布帛c)が良好な除電性を示し、布帛cの場合には、高湿度下においても一定の除電性能を有していることが確認され、糸の表面積のある組織構造が除電には有利であることがわかった。
尚、除電加工を行っていない未処理のポリエステル繊維布帛bおよびcの摩擦後の帯電電位(測定湿度:50%)はそれぞれ、+146V、+121Vであった。
実施例2:各種層構成の繊維布帛の操縦走行安定性評価
繊維布帛として、前記実施例1で最も良好な除電性を示したポリエステル繊維布帛c、およびポリエステル繊維布帛bを準備し、フッ素系樹脂の量、非晶質シリカの量、ポリエステル樹脂バインダーの量、ウレタン樹脂バインダーの量、難燃剤の量、消臭剤の量が、以下の表2に記載される塗布量となるようにして塗布し、表2に記載される層構成を有する各種繊維布帛(本発明品1~3、比較品1~5)を作製した。尚、本発明品1、2と比較品1~5の基布として上記ポリエステル繊維布帛bを用い、本発明品3の基布として上記ポリエステル繊維布帛cを用いた。
そして、上記の各繊維布帛について、以下の方法で操縦走行安定性の評価を行った。
尚、帯電電位については、湿度50±5%の環境下にて、実施例1と同様の方法で測定を行った。
<操縦走行安定性評価>
上記の各繊維布帛を用いて自動車の座席の表装シートを作製した後、既存の表装シートに装着し、本発明品1~3、比較品1~5の繊維布帛について操縦走行安定性評価(走行時のハンドル操作安定性、足回りの動き、アクセル感度の総合評価)をテストドライバーによる官能評価にて行った。
〔評価基準〕
◎:ハンドル操作、足回りの動き、アクセル感度の向上効果が非常に良好であると感じられる
○:ハンドル操作、足回りの動き、アクセル感度の向上効果が感じられる
△:ハンドル操作、足回りの動き、アクセル感度の向上効果が不十分であると感じる
×:ハンドル操作、足回りの動き、アクセル感度の向上効果が全く感じられない
下記の表2には、上記の各評価結果が要約されている。
Figure 2023150575000003
表2に示されるように、摩擦によりプラスの電荷に帯電するポリエステル繊維布帛の表面側に、バインダー樹脂を介して無機微粒子が固着された第一層と、マイナスの電荷に帯電する層として、フッ素系樹脂からなる第二層が設けられ、当該ポリエステル繊維布帛の裏面側に、マイナスの電荷に帯電する層として、難燃剤と消臭剤を含むバインダー樹脂(ウレタン系樹脂)からなる第三層が設けられた層構成を有する本発明の自動車用除電性布帛(本発明品1~3)はいずれも、走行時に生じたプラスの電荷が表装シート布地のマイナスの電荷によって除去(除電)されることによって、ハンドル操作や足回りの動き、アクセル感度の向上が達成され、優れた操縦走行安定性評価を示すことが確認された。特に、第一層における非晶質シリカの塗布量が1.0g/m2で、ポリエステル樹脂バインダーの塗布量が0.4g/m2で、しかも、第二層におけるフッ素系樹脂の塗布量が0.6g/m2である本発明品2は、最も良好な操縦走行安定性評価と除電性能を示した。
これに対し、比較品1~5の布帛の場合には、ハンドル操作や足回りの動き、アクセル感度の向上効果が得られず、本発明品1~3に比べて総合評価点が低く、十分な除電性能が発揮されなかった。
上記の結果から、本発明の自動車用除電性布帛は、運転席の表装シート布地として用いた際に、良好な除電効果を発揮し、良好な操縦走行安定性能が得られることが確認され、このような効果が発揮される理由としては、車体やタイヤに帯電したプラスの電荷が、運転席の表装シート布地のマイナスの電荷により除去されたためであると考えられる。
本発明の自動車用除電性布帛を、自動車などの乗り物の内装用布帛(座席の表装シート布地)として使用した場合には、車体やタイヤに帯電した電荷を除去することにより、操縦安定性が向上し、ハンドル操作やアクセル操作がし易くなり、足回りの動きも良くなり、この除電性布帛は、運転席の表装シート布地として特に有用である。
1 ポリエステル繊維布帛(摩擦によりプラスの電荷に帯電する基材)
2 第一層(摩擦によりプラスの電荷に帯電する層)
3 第二層(摩擦によりマイナスの電荷に帯電する層)
4 第三層(摩擦によりマイナスの電荷に帯電する層)

Claims (6)

  1. 除電機能を有し、自動車の操縦走行安定性を高めることが可能な布帛であって、当該布帛が、プラスの電荷に帯電する基材としてポリエステル繊維布帛を含み、当該ポリエステル繊維布帛の表面側には、バインダー樹脂を介して無機微粒子が固着された第一層が設けられており、当該第一層の上には、マイナスの電荷に帯電する層としてフッ素系樹脂からなる第二層が設けられており、前記フッ素系樹脂が前記無機微粒子の表面に固着し、当該フッ素系樹脂のフッ素系撥水撥油基が前記繊維布帛の最表側に位置していること、および、前記ポリエステル繊維布帛の裏面側に、マイナスの電荷に帯電する層として、消臭剤と難燃剤を含むバインダー樹脂からなる第三層が設けられていることを特徴とする自動車用除電性布帛。
  2. 前記布帛が、裏面側にも、前記第一層及び、その上に設けられた前記第二層を有しており、前記第二層の上に前記第三層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用除電性布帛。
  3. 前記フッ素系樹脂が、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基を側鎖に有する樹脂であり、前記フッ素系樹脂の固着量が、前記ポリエステル繊維布帛の単位面積当たり0.15g/m2以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用除電性布帛。
  4. 前記無機微粒子が、平均粒子径0.1μm以下の非晶質シリカであり、前記バインダー樹脂を介して固着された非晶質シリカの固着量が、前記ポリエステル繊維布帛の単位面積当たり0.25~2.0g/m2であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の自動車用除電性布帛。
  5. 前記第一層および前記第三層に含まれるバインダー樹脂が、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂からなるグループより選ばれたものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の自動車用除電性布帛。
  6. 前記難燃剤がリン系難燃剤であり、前記消臭剤が、アミン系化合物および、亜鉛または銅を含む金属化合物からなるグループより選ばれた少なくとも1種を担体に担持させたものであり、前記第三層に含まれる難燃剤と消臭剤の含有量がそれぞれ、前記ポリエステル繊維布帛の単位面積当たり20~60g/m2、6~23g/m2であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の自動車用除電性布帛。
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