JP2023150282A - デュアルインターフェースicカードおよびその製造方法 - Google Patents

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Makoto Yasuhara
健太 淵
Kenta Fuchi
真彦 藤原
Masahiko Fujiwara
崇弘 尾島
Takahiro Ojima
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Abstract

【課題】ICモジュール及びアンテナの電気的接続と、ICモジュール及びカード基体の機械的接続との両方の信頼性を向上させ、外観を良好とするデュアルインターフェースICカード及びその製造方法を提供する。【解決手段】デュアルインターフェースICカード1は、凹部9を備えたカード基体2と、端部84を有するアンテナ80と、端子73aを有するICモジュール70と、を備える。凹部は、外周の一部を含み互いに分離した第1凹部91と、第1凹部と隣接し互いに分離した第2凹部92a、92bと、第1凹部と隣接し凹部の中央側に形成された第3凹部93とから構成される。第2凹部において、端部84が部分的にカード基体2から露出している。ICモジュール70は、端子73a及び端部84が電気的に接続されるように凹部に配置される。凹部は、第2凹部よりも第1凹部が深く形成され、かつ、第1凹部よりも第3凹部が深く形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、外部機器との接触通信および非接触通信が可能なデュアルインターフェースICカードに関する。
従来、ICカードとして、カード表面の外部接続端子を通じて電気信号の入出力を行う接触ICカードや、アンテナを介して電磁誘導等により電気信号の入出力を行う非接触ICカードが用いられている。また、これらに加えて、カードが備える単一のICチップにより、接触ICカードの機能と非接触ICカードの機能とのいずれをも実現できる接触および非接触共用ICカード、すなわちデュアルインターフェースICカードも用いられている。中でも、デュアルインターフェースICカードは、金融決済時には入出力データの外部漏洩の抑制に効果的な接触ICカードとして使用でき、部屋への入退室時や駅の改札機等に対しては近接状態でデータのやり取りを行う利便性の高い非接触ICカードとして使用できる。このため、デュアルインターフェースICカードについても、市場での普及が進んでいる。
ところで、デュアルインターフェースICカードの製造は以下のようにして行われる。まず、特許文献1に記載されるように、1または複数のコアシートを含むカード基材を形成し、当該カード基材の表面から、ICモジュールを埋め込む埋め込み予定領域を切削する。そして、当該ICモジュールを、埋め込み予定領域に埋め込む。ここで1または複数のコアシートのうちの1つに導線が配置されており、導線が、前記非接触通信機能を提供するための巻線アンテナ部、およびICモジュールの端子と電気的に接触している接触端子部を形成しており、その接触端子部は、例示的にはメアンダ形状に配置されている。
ここで、埋め込み予定領域は、第1の凹部、第2の凹部、および第1の凹部に存在する接点開口部を含むように切削され、第1の凹部は、ICモジュールの基板部を収容するためのもので、カード基材内部に存在する導線の接触端子部を露出しない深さまで切削する。また、第2の凹部は、ICモジュールの封止部を収容するためのものであり、カード基材内部に存在する導線の接触端子部を貫通するまで切削する。一方、第1の凹部に存在する接点開口部は、接触端子部が露出するまで第1の凹部よりも深く切削される。接点開口部に導電性接着剤を充填することで、接触端子部と、ICモジュールの基板部の裏側の端子とが導電性接着剤を介して電気的に接触される。また、ICモジュールの基板部の裏側に接着テープを貼着することによって、ICモジュールが埋め込み予定領域の第1の凹部に固定される。
特開2019-219732号公報
デュアルインターフェースICカードの製造の効率化を図るには、ICモジュールおよびアンテナの電気的接続と、ICモジュールおよびカード基体の機械的接続とのそれぞれを、同一材料の接着剤で行うことが望ましい。一方、接着層の材料や特性により、ICモジュールおよびアンテナの電気的接続を図る上で要求される接着条件と、ICモジュールおよびカード基体の機械的接続を図る上で要求される接着条件とは異なることが多い。特に、被接着体間の距離条件が接着力に及ぼす影響は大きいと考えられる。さらに、ICモジュールを埋設するための凹部は、ICモジュールを配置する装置の機械的誤差を吸収するためにICモジュールよりも多少大きめに形成される。このため、接着層の種類によっては、ICモジュールをカード基体の凹部に配置した際に溶融した接着剤の余剰分がICモジュールの外周から外側にはみ出してしまい、外観不良となる可能性がある。
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ICモジュールおよびアンテナの電気的接続と、ICモジュールおよびカード基体の機械的接続との両方の信頼性を向上させ、外観を良好とするデュアルインターフェースICカードおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本実施の形態による、外部機器との接触通信および非接触通信が可能なデュアルインターフェースICカードは、凹部を備えたカード基体と、前記カード基体の内部に配置された、端部を有するアンテナと、ICチップと電気的に接続された端子を有するICモジュールと、を備え、前記凹部は、当該凹部の外周の一部を含み、互いに分離した第1凹部と、前記第1凹部と隣接し、互いに分離した第2凹部と、前記第1凹部と隣接し、かつ当該第1凹部および前記第2凹部よりも前記凹部の中央側に形成された第3凹部と、から構成され、前記ICモジュールと対向する前記第2凹部において、前記端部が前記カード基体から前記ICモジュールに向けて露出しており、前記ICモジュールは、前記端子および前記端部が電気的に接続されるように前記凹部に配置され、前記第2凹部よりも前記第1凹部が深く形成され、かつ前記第1凹部よりも前記第3凹部が深く形成されている。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースICカードにおいて、前記端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成されていてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースICカードにおいて、前記外周は、前記カード基体の短辺および長辺と略平行な辺を有する略矩形であり、前記端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の前記カード基体の短辺と略平行な辺である前記外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成されてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースICカードにおいて、前記アンテナの前記折り返し構造の屈曲部以外の部分が前記外周に沿う直線に対して傾斜していてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースICカードにおいて、前記端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線の先端に溶接されたプレート状の導電部材によって構成されていてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースICカードにおいて、前記ICモジュールは、互いに対向する前記端子および前記端部が、異方性導電フィルムを介してそれぞれ電気的に接続されてもよい。
また、本実施の別の形態によるデュアルインターフェースICカードにおいて、前記異方性導電フィルムは、前記第1凹部および前記第2凹部と重畳するように配置されてもよい。
本実施の形態によるデュアルインターフェースICカードの製造方法は、第1の基材、第2の基材、並びにICチップと電気的に接続された端子を有するICモジュール、を準備する工程と、前記第1の基材の一方の面に、端部を有するアンテナを形成する工程と、前記アンテナを挟むように前記第1の基材と前記第2の基材とを熱融着により、または接着剤を介して、積層して積層体を形成する工程と、前記積層体をカードサイズに打ち抜いてカード基体を形成する工程と、前記カード基体に、凹部を形成する工程と、前記ICモジュールを、前記端子および前記端部が電気的に接続されるように前記凹部に配置する工程と、を備え、前記凹部は、当該凹部の外周の一部を含み、互いに分離した第1凹部と、前記第1凹部と隣接し、互いに分離した第2凹部と、前記第1凹部と隣接し、かつ当該第1凹部および前記第2凹部よりも前記凹部の中央側に形成された第3凹部と、から構成され、前記ICモジュールと対向する前記第2凹部において、前記端部が前記カード基体から前記ICモジュールに向けて露出しており、前記第2凹部よりも前記第1凹部が深く形成され、かつ前記第1凹部よりも前記第3凹部が深く形成されている。
本実施の形態によれば、ICモジュールおよびアンテナの電気的接続と、ICモジュールおよびカード基体の機械的接続との両方の信頼性を向上させ、外観を良好とするデュアルインターフェースICカードおよびその製造方法を提供することができる。
第1実施形態に係るデュアルインターフェースICカードの構造を説明する平面図である。 図1(b)においてA-A線で切った断面を示す断面図である。 図1(b)においてB-B線で切った断面を示す断面図である。 ICモジュール並びにICモジュールおよびアンテナの接続を説明する図である。 第2実施形態に係るデュアルインターフェースICカードの構造を説明する図1(b)に対応する平面図である。 第3実施形態に係るデュアルインターフェースICカードの構造を説明する図1に対応する平面図である。 図6(b)においてD-D線で切った断面を示す図2に対応する断面図である。 図6(b)においてE-E線で切った断面を示す図3に対応する断面図である。
以下、図面等を参照して、本開示のデュアルインターフェースICカードの一例について説明する。ただし、本開示のデュアルインターフェースICカードは、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
1.第1実施形態
本開示のデュアルインターフェースICカードの第1実施形態の一例について説明する。ここで、説明の便宜上、デュアルインターフェースICカード1についてXYZ座標系を設定する。まず、図1(a)や図2(b)等に示すように、デュアルインターフェースICカード1の主面の法線方向にZ軸をとる。そして、ICモジュール70の外部接続端子71が配置されていない側の主面から、当該外部接続端子71が配置されている側の主面に向かう方向を+Z方向または厚さ方向の上方とし、その反対方向を-Z方向または厚さ方向の下方とする。
また、デュアルインターフェースICカード1を+Z方向から見たとき、デュアルインターフェースICカード1の両短辺およびZ軸に垂直な直線をX軸とする。また、外部接続端子71に近い側の一の短辺から他の短辺に向かう方向を+X方向または右方向とし、その反対方向を-X方向または左方向とする。さらに、X軸およびZ軸に垂直な軸をY軸とし、外部接続端子71から遠い側の一の長辺から他の長辺に向かう方向を+Y方向または上方とし、その反対方向を-Y方向または下方とする。
ここで、図1(a)は、デュアルインターフェースICカード1を+Z方向から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)のデュアルインターフェースICカード1のうち、外部接続端子71付近を拡大したアンテナ80の配置を説明する図である。ただし、アンテナ80の構成をわかり易くするため、ICモジュール70を外した状態を表している。一方、図2(a)は、図1(b)のデュアルインターフェースICカード1をX軸と平行なA-A線に沿った面で切った断面を-Y方向から見た図である。図2(a)は、ICモジュール70を省略した図であり、図2(b)は、図2(a)において、ICモジュール70が搭載された状態の図である。また、図3(a)は、図1(b)のデュアルインターフェースICカード1をY軸と平行なB-B線に沿った面で切った断面を-X方向から見た図である。図3(a)は、ICモジュール70を省略した図であり、図3(b)は、図3(a)において、ICモジュール70が搭載された状態の図である。
図1(a)に示すように、デュアルインターフェースICカード1は、+Z方向側からの平面視において、4隅に丸みを備えた略矩形状の薄板の形態を有する。また、デュアルインターフェースICカードの+Z方向側の表面には、中心よりもやや左上、すなわち中心よりも-X方向寄りでありかつ+Y方向寄りに外部接続端子71を含むICモジュール70が視認できる。ICモジュール70は、図2(a)や図2(b)に示すように、カード基体2に形成された凹部9の中に埋設され、外部接続端子71の+Z方向側の表面がカード基体2の+Z方向側の表面と略同一面となるように配置されている。このようなデュアルインターフェースICカード1の形態は、ICカードの国際規格であるISO/IEC7816に準拠している。
図2(a)に示すように、デュアルインターフェースICカード1のカード本体を構成するカード基体2は、-Z方向側から順に、オーバーシート層7、インナー層6、アンテナ保持層5、インナー層4およびオーバーシート層3が積層されて一体化したものである。典型的には、オーバーシート層7および3が透明色の基材であり、インナー層6および4並びにアンテナ保持層5が白色の基材であるが、これには限定されない。また、アンテナ保持層5およびインナー層4の間には、アンテナ80を構成するアンテナ線83が両者に挟まれるように配置されている。
このアンテナ80を構成するアンテナ線83は、凹部9のうち、比較的浅く形成されている第2凹部92aの底面92pの領域において、その一部がICモジュール70側に向けて露出しており、当該領域以外では、カード基体2の内部に完全に埋設されている。言い換えると、アンテナ線83は、カード基体2の内部に埋設されているが、カード基体2を切削して凹部9を形成する工程で、アンテナ線83の一部が断線しない程度に一緒に切削され、そのアンテナ線83の切削面が、第2凹部92aの底面92pに露出している。なお、凹部9は、外周97側に沿って形成された、第2凹部92aよりも深い第1凹部91と、第2凹部92aよりも凹部9の中央側に形成され、当該第1凹部91よりも深い第3凹部93をさらに備えている。
ICモジュール70は、図2(b)に示すように、外部接続端子71およびこれを支持する基板72が前述した凹部9の第2凹部92aの底面92pに載置されるように埋設される。そして、基板72とカード基体2の第2凹部92aの底面92pに露出したアンテナ線83とが、導電接着層11を介して機械的に接合される。ちなみに、第3凹部93には、ICモジュール70のうち、突起状部位であるICチップ体74が収納されている。また、基板72の外部接続端子71とは反対側の面には、ICモジュール70が内部に備えるICチップとの電気的接続がされた端子73aが設けられている。このとき、カード基体2の凹部9にICモジュール70を埋設する際の熱圧の作用により、底面92pに露出したアンテナ線83と端子73aとが、導電接着層11を介して電気的に接続する。
ここで、大部分がカード基体2の内部に埋設され、その一部が第2凹部92aや92bから露出するように形成されているアンテナ80のアンテナ線83の両端部は、図1(b)の第1端部81や第2端部82に示すような端部84としての形態を備える。第1端部81や第2端部82は、凹部9の中央にある第3凹部93を挟んでX軸に沿った左右側に並列的に配置される。アンテナ80の両端部である第1端部81および第2端部82は、それぞれ、アンテナ線83が第2凹部92aおよび92bの外周97から凹部9の中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成されている。言い換えると、第1端部81および第2端部82は、いわゆるジグザグ形状、メアンダ形状または蛇腹形状と称される構造を備えるように形成されている。このように、凹部9において露出している単位面積当たりのアンテナ線83の露出面積を広くすることで、ICモジュール70の端子73aとアンテナ80との電気的接続の信頼性を向上できる。
また、第1端部81および第2端部82が配置される領域のうち、アンテナ線83が+Z方向側に向けて露出している領域である第1露出部86および第2露出部87は、凹部9のうちの第2凹部92aおよび92bの範囲内にそれぞれ形成されている。また、凹部9のうちの第3凹部93および第2凹部92a、92bを除く部分に+Y方向側および-Y方向側に互いに分離した第1凹部91が形成されている。ここで、第2凹部92aおよび92bは略同一の深さであり、いずれも第1凹部91よりも浅く形成される。なお、理解の容易化を図るため、図1(b)では、第1凹部91の領域を横線模様で表示し、第2凹部92aおよび92bの領域を点状模様で表示している。なお、後述する図5(a)や図6(b)も同様である。
図3(a)および図3(b)に示すように、カード基体2の凹部9のうち、ICモジュール70の基板72が埋設される箇所には、第1凹部91および第2凹部92a、92bという2種類の深さの凹部が存在する。このため、場所によって基板72とカード基体2との隙間の距離が異なり、その結果、両者に挟まれた導電接着層11の接着後の厚さが異なる。すなわち、基板72のうち端子73aが形成された領域と、端子73aからX方向に沿って離間した領域とでは、これと対向するカード基体2の凹部9の深さが異なり、前者の領域には第2凹部92aが対向し、後者の領域には第2凹部92aよりも深い第1凹部91が対向する。
ここで、端子73aは所定の厚さの銅箔等により形成された層であり、基板72の-Z方向側の面からさらに所定の厚さ分だけ同一方向に延在している。よって、ICモジュール70に熱圧を掛けてカード基体2の側に押し付けたとき、導電接着層11を介した端子73aと第2凹部92aの底面92pに露出したアンテナ線83との距離が適正範囲となるように、第2凹部92aの深さが定められる。すなわち、当該距離において、端子73aおよびアンテナ線83との良好な導通を得ることができる。
しかし、端子73aからY軸方向に沿って離間した基板72の領域では、基板72とカード基体2との隙間が上述した当該距離であっても、ICモジュール70およびカード基体2を良好に機械的接続できるとは限らない。すなわち、端子73aおよびアンテナ線83が良好な電気的接続を行い得るための隙間の条件と、ICモジュール70およびカード基体2が良好な機械的接続を行い得るための隙間の条件とは、一般的に異なっている。
これに対して、本実施形態では、端子73aからY軸方向に沿って離間した基板72の領域では、基板72とカード基体2との隙間が、ICモジュール70およびカード基体2の接着力を向上し、両者の機械的接続を良好とするべく、カード基体2の凹部9の深さを変更している。具体的には、当該領域の凹部9を、第2凹部92aよりも深い第1凹部91としている。第2凹部92aの深さは、基板72から-Z方向に飛び出して延在する端子73aとアンテナ線83との電気的接続を考慮して定めたものである。
もしも、端子73aが存在しない領域において、カード基体2の凹部9の深さを第2凹部92aと同一にすると、基板72とカード基体2との間隔が短かすぎて導電接着層11が必要以上に圧縮されすぎる。その結果、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続のために必要な導電接着層11の厚さが確保できず、押し出された導電接着層11の接着剤成分がICモジュール70の外周からカード基体2の外側にはみ出ることとなる。また、厚さが薄い導電接着層11は、引張り等の外力に対して凝集破壊を起こしやすく、基板72やカード基体2の表面上の微小な凹凸に接着剤が入り込むことによるくさび効果等による機械的接着力も不十分となり得る。このため、導電接着層11の機械的な接着力の低下や、はみ出した接着剤による外観不良が起きやすくなる。
本実施形態のデュアルインターフェースICカード1は、ICモジュール70およびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続との両方の信頼性を向上させることができる。具体的には、同一の導電接着層11に対して、ICモジュール70およびアンテナ80の電気的接続を良好とする第2凹部92a、92bの深さと、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続を良好とする第1凹部91の深さとを異なるようにしている。すなわち、第1凹部91よりも第2凹部92a、92bが浅く形成されている。
第1凹部91および第2凹部92a、92bをこのように構成することで、ICモジュール70およびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続とを同一の導電接着層11によって実現できる。このため、デュアルインターフェースICカード1の製造の効率化が図れる。さらには、デュアルインターフェースICカード1の外観を良好とすることができる。
以下に、本実施形態のデュアルインターフェースICカード1の構成およびその製造方法の詳細を説明する。
(a)カード基体
カード基体2は、デュアルインターフェースICカード1を構成する、ICモジュール70を除くカード本体を指す。カード基体2は、前述したとおり、典型的には厚さ方向の-Z方向側の一端からオーバーシート層7、インナー層6、アンテナ保持層5、インナー層4およびオーバーシート層3がこの順に積層された構成を有している。また、アンテナ保持層5およびインナー層4の間には、ループ形状に巻かれ、被覆導線等から形成されたアンテナ80が配置されている。カード基体2は、凹部9が形成される前のもの、および凹部9の形成後のものの両方を指すことがあり、アンテナ80を含まないもの、およびこれを含むものの両方を指す場合がある。また、アンテナ80の始点および終点のいずれか一方および他方となる第1端部81および第2端部82は、前述したようにアンテナ線83が所定の形状に加工されて構成されている。
ただし、カード基体2の層構成は、これに限らず、インナー層、アンテナ保持層、インナー層の3層構成、インナー層、インナー層の2層構成、または、オーバーシート層、インナー層、アンテナ保持層、アンテナ保持層、インナー層、オーバーシート層の6層構成等であってもよい。また、カード基体2のオーバーシート層3または7のインナー層4または6とは反対側の表面に印刷や磁気ストライプの埋め込みがされていてもよく、インナー層4または6のオーバーシート層3または7との隣接表面に印刷がされていてもよい。
カード基体2の厚さは、ISO/IEC7810等の規格に準拠する観点からは、0.76mm以上、0.84mm以下であることが好ましいが、この範囲外であってもよい。
(i)インナー層
インナー層4および6としては、白色または着色された各種のプラスチックシートを幅広く使用することができ、以下にあげる単独のフィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用できる。インナー層はコア層ともいう。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET-G(テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。インナー層のシートの厚さは、カードの全体厚さを勘案して適宜に選択することができるが、例えば、0.25mm以上、0.38mm以下程度とすることができる。なお、後述するように、アンテナ保持層5またはインナー層4のいずれかの表面上に、両層に挟まれる位置関係となるようにアンテナ80を配置する必要がある。
(ii)オーバーシート層
オーバーシート層3および7としては、通常、インナー層と同質の材料を使用するが、厚さが0.05mm以上、0.10mm以下程度の透明材料が使用されることが多い。インナー層およびオーバーシート層の積層体を熱プレス等で一体化する際のカールの発生を防止する観点からは、オーバーシート層3および7の厚さが同一であることが好ましいが、必ずしも同一でなくてもよい。
オーバーシート層の材料は、熱により接着性を有するものであればよいが、オーバーシート層自体が熱による接着性を有しない場合でも、熱等により接着力を発生させる公知の接着剤の層をインナー層およびオーバーシート層の間に追加形成することで両者を一体化できる。また、デュアルインターフェースICカード1を磁気カードとして使用する場合には、オーバーシート層3および7のいずれかまたは両方について、インナー層4および6とは反対の主面側に磁気ストライプを熱転写等によりあらかじめ埋め込んでおいてもよい。
(iii)アンテナ保持層
本実施形態では、後述するように、アンテナ保持層5の一方の面に、アンテナ80が形成され、当該アンテナ80を構成するアンテナ線83の端部84である第1端部81および第2端部82が、それぞれ所定の形状に加工されて配置されている。このようなアンテナ保持層5へのアンテナ80の形成は、アンテナ線83に対して所定の熱圧を掛けて、これをアンテナ保持層5に埋め込むことによって行う。アンテナ80がアンテナ保持層5に埋め込まれた中間生成物をアンテナシート12と称することがある。アンテナシート12は、それのみでデュアルインターフェースICカード1を製造するための部品として市場に流通させることができる。さらには、アンテナ保持層5等のシート材を加工業者に供給し、これを当該加工業者がアンテナシート12に加工して供給元に納品する、という商形態が存在し得る。
アンテナシート12の形成方法の詳細は後述するが、概略として以下のようになる。まず、アンテナ保持層5の表面に、絶縁部材で被覆された被覆導線を、第1端部81または第2端部82のいずれか一方を始点とし、他方を終点として、巻き線形成機により埋め込む。すなわち、アンテナ保持層5に対して所定の熱圧を加えながら、図1(a)に示すようなループ形状にアンテナ供給ヘッドを描画させ、当該アンテナ供給ヘッドから供給されたアンテナ線83をアンテナ保持層5に順次、埋め込む。
ここで、アンテナ線83の始点および終点のいずれかとなる第1端部81および第2端部82は、後述する所定の形状となるように、ICモジュール70の搭載予定位置の左右方向に並んで、その一部がICモジュール70の端子73aおよび73bと重畳するように配置される。そして、巻き線形成機は、アンテナ80の終点となる第1端部81または第2端部82のいずれかを形成後にアンテナ線83を切断する。このようにしてアンテナシート12が完成する。
なお、本実施形態ではアンテナ保持層5の一方の面にアンテナ線83を、熱圧を掛けて埋め込むことによりアンテナシート12を形成しているが、アンテナシート12の形態はこれには限られない。例えば、インナー層4のアンテナ保持層5と対向する側の面にアンテナ線83を、熱圧を掛けて埋め込むことによりアンテナシート12を形成してもよい。この場合のアンテナシート12は、インナー層4およびアンテナ80から構成されている。
(iv)アンテナ
アンテナ保持層5に形成されたアンテナ80は、その第1端部81および第2端部82に、ICモジュール70の端子73aおよび73bがそれぞれ電気的に接続することにより、ICモジュール70が備えるICチップおよびアンテナ80が非接触通信の通信回路を構成する。当該通信回路は、例えば、ISO/IEC144443等で規定される13.56MHzのHF周波数帯域を用いて近接通信を行うものでもよい。または、それ以外の、例えば920MHzのUHF周波数帯域や125KHzのLF周波数帯域、マイクロ波の2.45GHzの周波数帯を用いて通信を行うものでもよい。
外部機器であるリーダライタ等にデュアルインターフェースICカード1をかざしたときに、当該通信回路にはリーダライタが形成する磁界等により電流が発生して、ICチップに電力を供給する。これにより、ICチップは駆動可能となり、リーダライタと非接触による情報の送受信が可能であり、メモリに対する情報の読み出しや書き換え等を行なう。
アンテナ80を構成するアンテナ線83は、典型的には、銅線の周囲が絶縁部材で被覆された被覆導線により形成される。なお、これ以外にも、Cu-Ni、Cu-Cr、Cu-Zn、Cu-Sn、Cu-Be等の銅合金線、または鉄、ステンレス、アルミ等の種々の金属線、金属合金線を選択することもできる。デュアルインターフェースICカード1は、被覆導線を用いることにより、例えば銅箔エッチング方式等に比較して安価に製造できる。
アンテナ線83の直径は、非接触の通信回路としての特性を確保できる限りにおいて特段の制限はないが、例えば、0.03mm以上、0.30mm以下とすることができ、好ましくは、0.05mm以上、0.15mm以下とすることができる。後者の範囲とすることで、埋め込み加工による熱圧や切削加工による外力への耐久性が向上でき、良好な通信特性を確保できる。
次に、第1端部81および第2端部82の構成の詳細を説明する。図1(b)において-X方向側から+X方向に向けて延びているアンテナ線83の一端は、その後、凹部9の第3凹部93の-X方向側付近に外周97から中心に向けた繰り返しの折り返し構造である第1端部81を構成する。同様に、+X方向側から-X方向に向けて延びているアンテナ線83の一端は、その後、凹部9の+X方向側付近に外周97から中心に向けた繰り返しの折り返し構造である第2端部82を構成する。アンテナ線83は、折り返し構造が複数回連続するように延びている。
当該折り返し構造は、+Y方向側および-Y方向側の端、すなわち上端および下端において略円弧状の屈曲部を有し、上端の屈曲部と下端の屈曲部とを結ぶ屈曲部以外の部分が略直線状または略曲線状である。ただし、屈曲部以外の部分は、アンテナ線83のアンテナ保持層5への埋め込み加工の作業効率やアンテナ線83の材料節約の観点から、なるべく略直線状に形成することが好ましい。
本実施形態では、外周97は、カード基体2の短辺および長辺と略平行な辺を有する略矩形である。また、第1端部81および第2端部82は、アンテナ80を構成するアンテナ線83による、凹部9のカード基体2の短辺と略平行な辺である外周97の-X方向側の辺97aおよび+X方向側の辺97bから、それぞれ中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成される。
また第1端部81の当該折り返し構造の屈曲部以外の部分は、凹部9の外周97の辺97aに沿うY軸に平行な直線に沿って延びており、隣り合う屈曲部以外の部分同士のジグザグ形状のアンテナ線83の中心間距離、すなわちピッチが略一定である。さらには、第1端部81の全体および第1露出部86におけるY軸に沿った方向の幅がW12であり、アンテナ線83が露出した部分のX軸に沿った方向の幅が第2凹部92aの幅と略同一となるような矩形の輪郭に沿うように配置されている。当該折り返し構造の+Y方向側の端から-Y方向側の端までの距離、すなわち上端から下端までの長さは、互いに略同一長さとなる。
また、本実施形態では、第1端部81のうち、アンテナ線83が実際にカード基体2から露出している領域である第1露出部86は、第2凹部92aの-X方向側の端から+X方向側の端に至るまでのアンテナ線83の連続した区間を含む。すなわち、アンテナ線83は、当該折り返し構造の屈曲部の部分と、屈曲部以外の部分とを含めた全体が第2凹部92aにおいて露出しており、カード基体2や被覆材による被覆がなく、導線が剥き出しになっている。このとき、第2凹部92aのY軸に沿った方向の幅W11は、第1端部81のY軸に沿った方向の幅W12と同じかこれよりも長い。なお、以上の第1端部について述べた内容は、凹部9の辺97aを97bに、第2凹部92aを92bに、第1露出部86を第2露出部87に、それぞれ置き換えることにより、第2端部82についても同様にあてはまる。
上述のアンテナ線83のピッチは、巻き線形成機の能力や、アンテナ保持層5へアンテナ線83を埋め込んだ後のアンテナシート12の品質等にも依存するが、0.50mm以下であることが好ましく、0.25mm以下であることがさらに好ましい。当該ピッチが前者の範囲であることにより、第1端部81における単位面積当たりのアンテナ線83の露出面積を向上でき、ICモジュール70の端子73aとの電気的接続の領域を拡張できる。これにより、電気的な接続信頼性が上がるとともに、アンテナ線83と端子73aとの接点部分の電気抵抗を下げることができる。また、当該ピッチが後者の範囲であることにより、上述の効果をさらに大きくできる。
なお、本実施形態では、第1端部81のX軸に沿った領域のうち、+X方向側の端は第2凹部92aと第3凹部93との境界と略同一位置であり、-X方向側の端は凹部9の外周97である第2凹部92aの端よりも-X方向側にある。このように、第1端部81の+X方向側の端が第2凹部92aと第3凹部93との境界と略同一位置であるか、これよりも-X方向側にある場合は、第3凹部93の切削時にアンテナ線83を切削しないか、アンテナ線83の切削量を低減することができる。このため、切削する深さが深いほど生じやすくなるアンテナ線83の分岐、すなわちヒゲの発生を抑制できる。
また、第1端部81のX方向に沿った領域のうち、-X方向側の端が凹部9の外周97である第2凹部92aの端よりも-X方向側にある。このことにより、アンテナ80のアンテナ保持層5に対する配置ずれや凹部9の形成位置のずれがあっても、アンテナ線83の密集した領域が途切れずに存在する。このため、ICモジュール70の端子73aとの確実な電気的接続が図れる。ただし、凹部9の形成前の第1端部81のX方向に沿った領域のうち、+X方向側の端が第2凹部92aと第3凹部93との境界よりも+X方向側にあってもよく、-X方向側の端が凹部9の外周97である第2凹部92aの端よりも+X方向側にあってもよい。
上述の説明は、アンテナ80の第1端部81およびこれと電気的に接続するICモジュール70の端子73aとの関係についてのものであるが、同様の関係が第2端部82およびこれと電気的に接続する端子73bとの間にも成り立つ。また、当該実施形態では、ICモジュール70と電気的な接続を図るためのアンテナ80の端部として第1端部81および第2端部82の2箇所である前提で説明した。しかし、アンテナ80の端部84は3箇所以上設けてもよく、これに対応するICモジュール70の端子数もこれと同数設けてもよい。
(b)ICモジュール
次に、ICモジュール70の主要な構成要素の各部について、主に図2(b)や図4に基づいて説明する。図4(a)は、図1(a)と同様に、+Z方向側からICモジュール70の外部接続端子71を見た図である。図4(b)は、ICモジュール70を図4(a)とは反対側の-Z方向側から見た図である。ここでは、内部を透視できるよう、ICチップ体74のモールド部74bの大半を省略して記載している。また、図4(c)は、図2(b)の端子73a付近のC部を拡大した断面図である。
ICモジュール70は、カード基体2に対して形成された凹部9に埋設され、ICモジュール70の端子73aおよび73bがアンテナ80の第1端部81および第2端部82とそれぞれ電気的に接続することで、非接触通信の通信回路を形成できる。また、ICモジュール70が備える外部接続端子71を通じて、接触式リーダライタ等と接触通信を行うことができる。
基板72はガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の可撓性を有する絶縁性の樹脂フィルムの表裏に銅箔が接着剤を介して貼り込まれ、当該樹脂フィルムの表裏面に貼り込まれた銅箔を、所定のパターンを形成するように残存させたものである。具体的には、当該樹脂フィルムの一方の銅箔面に外部接続端子71を、他方の銅箔面に端子73aおよび73bを形成するように、感光材の塗付、所定パターンが形成されたフィルム版の載置、露光、非感光部位のエッチング除去、を順次行う。これにより、当該樹脂フィルムの表裏面に所定のパターンの銅箔が一部残存した基板72が形成される。また、基板72にはあらかじめ、外部接続端子71へのワイヤボンディングのための貫通孔であるボンディングホール76が複数箇所設けられている。
基板72の厚さに特に制限はないが、カード基体2の曲げにある程度、追従できることを考慮して、例えば、0.03mm以上、0.50mm以下とすることができ、好ましくは、0.07mm以上0.20mm以下とすることができる。
外部接続端子71には、図4(a)に示すように、ISO/IEC7816―2規格で定められた、外部端子の各区画が画定されている。これらの各区画とICチップ74aとは、図4(b)に示すように、基板72に設けられた上述のボンディングホール76を通じて、金ワイヤ等のワイヤ75によって結線されている。また、端子73aおよび73bとICチップ74aとの間も同様に、ワイヤ75によって結線されている。これらのボンディングホール76やワイヤ75は、モールド部74bによって被覆保護されている。
基板72の、外部接続端子71の形成面とは反対側の面に、ICチップ体74が配置されている。ICチップ体74は、基板72に接着剤を介して接着、固定されたICチップ74aと、結線のためのボンディング用のワイヤ75と、これらを保護するための封止樹脂であるモールド部74bとから構成される。ICチップ74aは、接触通信および非接触通信の両方の動作を制御するためのCPUと、RAMやROM、EEPROM、フラッシュメモリー等の記憶装置を備えている。またICチップ74aは、接触通信および非接触通信の入力信号解読と出力信号生成を行うインターフェース回路や電力発生回路等の各種回路と、を備えている。なお、各種回路はICチップ74aとは別個の素子として設けられていてもよい。
モールド部74bは、ICチップ74aやワイヤ75を外力負荷や環境負荷から保護するために、これらを被覆する突起状部位として設けられる。モールド部74bとして、絶縁性の紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂等が使用される。
ICチップ体74の厚さは、内部に備えるICチップ74aの厚さやボンディングされたワイヤの形状にもよるが、例えば、0.45mm以上、0.75mm以下とすることができる。また、ICモジュール70の総厚は、例えば、0.35mm以上、1.0mm以下とすることができ、好ましくは、0.40mm以上、0.65mm以下とすることができる。後者の範囲であることにより、第3凹部93の深さを0.7mm以下にすることができ、デュアルインターフェースICカード1の全体の厚さをISO/IEC7810規格に定められた0.84mm以下に抑えることができるからである。
(c)導電接着層
カード基体2に対してICモジュール70を埋設するための凹部9を、エンドミルによる切削加工等によって形成した後、ICモジュール70を当該凹部9に埋設固定し、電気的および機械的に接続する導電接着層11について説明する。導電接着層11は、図4(c)に示すように、アンテナ線83の一部が切削されて底面92pに露出している部分のアンテナ保持層5と、その上方に埋設、配置されるICモジュール70の基板72および基板72に形成された端子73aとに挟まれるように配置される。導電接着層11は、液状またはテープ状の部材である。
導電接着層11は、あらかじめ、ICモジュール70の基板72の外部接続端子71とは反対側の面に塗付、貼付されていてもよく、カード基体2の凹部9の切削後の底面92p上に塗付、貼付されていてもよい。
典型的な導電接着層11は、ICモジュール70と切削済みのカード基体2との機械的接続を兼ねるため、基板72の裏面の全面または凹部9のうちの、第1凹部91および第2凹部92a、92bに対応する部位に塗付、貼付されていてもよい。こうすることで、ICチップ74aおよびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続とを同一種類の導電接着層11で行うことができ、工程の簡略化に寄与する。
一方、導電接着層11が、基板72の裏面のうち、端子73aおよび73bの領域のみを覆うように塗付、貼付され、その他の基板72の裏面には、導電性を有しない別の接着剤が塗付、貼付されていてもよい。当該別の接着剤が導電性を考慮しなくてもよいことにより、より機械的接続に有利なものを選定し易くできるからである。
電気的接続と機械的接続との兼用が図れる導電接着層11としては、ACF(Anisotropic Conductive Film)、すなわち、異方性導電フィルムや、ACP(異方性導電ペースト)を使用できる。また、その他、エポキシ樹脂中に銀粒子をフィラーとして分散した、いわゆる導電性ペースト等を使用できる。中でも、ACFを使用すれば、ICモジュール70の基板72の裏面全体にACFを熱ラミネートしておき、当該ICモジュール70を切削済みのカード基体2の凹部9に埋設後、これを所定温度、荷重でヒートプレスすることができる。これにより、ICチップ74aとアンテナ80との電気的接続が容易に図れる。さらには、ICモジュール70のカード基体2への機械的接続も同時に図れるため、ICモジュール70のカード基体2への実装工程を簡易化することができる。
導電接着層11としてACFを使用した際の、ICチップ74aおよびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続とは、図4(c)に基づいて以下のように説明できる。導電接着層11は、絶縁性の接着成分を含有するバインダーである接着剤11bの中に、球状樹脂または球状金属の周りに金属膜が形成された導電粒子11aが分散した構成を有している。ここで、アンテナ線83が一部、露出しているアンテナ保持層5と、ICモジュール70の基板72および基板72に形成された端子73aと、に挟まれるように配置された導電接着層11が圧縮されるように、基板72に対して+Z方向から-Z方向に向かう熱圧を掛ける。
その結果、導電接着層11のうち、特に間隔が狭い、アンテナ保持層5と端子73aとに挟まれた部位に強い熱圧が掛かる。そして、この部位の導電接着層11の導電粒子11aが、導電接着層11の厚さ方向に沿ってアンテナ保持層5の露出したアンテナ線83および端子73aから押し付けられる。また、導電粒子11aが小さい場合は、導電粒子11aが導電接着層11の厚さ方向に沿ってアンテナ線83から端子73aまで数珠つなぎに重なる。すなわち、導電粒子11aを介して、露出したアンテナ線83と端子73aとが導通する。
一方、アンテナ保持層5と、端子73aの存在しない領域の基板72との間では、導電粒子11aが導電接着層11の厚さ方向に沿ってアンテナ線83および端子73aから押し付けられる程度、または、数珠つなぎに重なる程度にまでは圧縮されない。しかしながら、その熱圧によって生じた接着剤11bの接着力によって、アンテナ保持層5と基板72とが機械的に接続される。接着剤11bの接着力の一つとして考えられるのは、接着剤11bがアンテナ保持層5や基板72の表面の微小な凹凸に入り込むことにより生じるくさび効果によるものが挙げられる。
上記より、ICモジュール70は、互いに対向する端子73aおよび73b並びに第1端部81および第2端部82が、例えばACFを介してそれぞれ電気的に接続される。ACFは、第1凹部91および第2凹部92a、92bとZ軸方向に沿った平面視において重畳するように凹部9の外周97に沿う領域に配置される。
(d)凹部
カード基体2に対してICモジュール70を埋設するために形成される凹部9は、外周97の一部を含み、互いに分離した第1凹部91を有している。また、当該凹部9は、第1凹部91と隣接し、互いに分離した第2凹部92aおよび92bと、第1凹部91と隣接し、かつ第1凹部91および第2凹部92a、92bよりも中央側に形成された第3凹部93と、を有している。本実施形態では、図1(b)に示すように、第2凹部92aおよび92bは、中央の第3凹部93を挟むX軸に沿った両側にそれぞれ配置される、Z軸に沿った平面視で略矩形の領域である。前述したように、アンテナ80の第1端部81および第2端部82が、当該第2凹部92aおよび92bとそれぞれ重畳し、その重畳した領域として、アンテナ線83の露出部分である第1露出部86および第2露出部87がそれぞれ構成されている。
一方、第1凹部91は、第2凹部92aおよび92bのそれぞれと隣接し、中央の第3凹部93を挟むY軸に沿った両側に分割して配置される領域である。本実施形態では、平面視で第1凹部91と、第1端部81および第2端部82とは、Z軸に沿った平面視で互いに重畳していない。第2凹部92aおよび92bは略同一の深さであるものの、第1凹部91よりも浅く形成され、かつ第3凹部93が、第1凹部91よりも深く形成されている。
ここで、図3(b)に示すように、第1凹部91の深さd1および第2凹部92a、92bの深さd2は、それぞれ異なる目的のために、最適な深さとして独立に設定できる。すなわち、第1凹部91の深さd1は、ICモジュール70およびカード基体2を良好に機械的接続することを考慮して定めることができる。また、第2凹部92a、92bの深さd2は、ICモジュール70の端子73a、73bおよび露出したアンテナ線83を良好に電気的接続することを考慮して、第1凹部91の深さd1とは無関係に定めることができる。
まず、第1凹部91の深さd1は、以下のように検討することができる。例えば、基板72の厚さをTp1とし、導電接着層11の厚さをTacf1とし、所定の熱圧を掛けた際の導電接着層11の厚さ方向の収縮量をΔacf1とし、カード基体2の厚さ方向の収縮量をΔcb1とする。このとき、ICモジュール70の外部接続端子71の表面がカード基体2の表面と略同一となるようにすると、第1凹部91の深さd1は、d1=Tp1+Tacf1-Δacf1-Δcb1となる。ここで、ICモジュール70およびカード基体2の接着力が最大となる、荷重、温度、時間等の条件である熱圧条件と、そのときのΔacf1およびΔcb1を求めることにより、最適なd1を定めることができる。
次に、第2凹部92a、92bの深さd2は、以下のように検討することができる。例えば、基板72から-Z方向側に延在する端子73aの厚さをTp2とし、所定の熱圧を掛けた際の導電接着層11の厚さ方向の収縮量をΔacf2とし、カード基体2の厚さ方向の収縮量をΔcb2とする。その他の寸法については上記の定義を流用する。このとき、第2凹部92aの深さd2は、d2=Tp1+Tp2+Tacf1-Δacf2-Δcb2となるが、Δcb1およびΔcb2は、第1凹部91であるか第2凹部92a、92bであるかには関わらずほぼ同一と考えられる。ここで、ICモジュール70の端子73aおよび露出したアンテナ線83の電気的接続がもっとも良好となる熱圧条件と、そのときのΔacf2およびΔcb2(またはΔcb1)を求めることにより、最適なd2を定めることができる。
ここで、同一の導電接着層11を、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続と、ICモジュール70の端子73aおよびアンテナ線83の電気的接続の両方に兼用することを考える。この場合は、上述したICモジュール70に掛ける熱圧条件は第1凹部91および第2凹部92a、92bで同一となる。しかしながら、第1凹部91と第2凹部92a、92bとは深さが異なるため、深さが浅い第2凹部92a、92bにおいて、導電接着層11からの反発力がより強くなる。その結果、ICモジュール70に掛かる加圧条件は、第1凹部91において比較的小さい荷重となり、第2凹部92a、92bにおいて比較的大きい荷重となる。これにより、導電接着層11の厚さ方向の収縮量は、Δacf2がΔacf1よりも大きくなる。
なお、導電接着層11がACFであり、その導電粒子の平均粒径がdc1である場合、一般的には、Tacf1>dc1であり、適切な電気的接続を図るためには、Tacf1-Δacf2=dc1またはTacf1-Δacf2<dc1であることが好ましい。
このとき、端子73aおよびアンテナ線83の空隙を埋めるACFに含まれる導電粒子は、その状態のままあるいは圧縮されて端子73aおよびアンテナ線83の両方と当接するため、確実な電気的接続が図れる。ただし、Tacf1-Δacf2の値を極端に小さくしてしまうと、ACFの導電粒子が破壊されて良好な電気的接続が図れない可能性がある。このような導電粒子の破壊を抑制するため、例えば、Tacf1-Δacf2>(dc1)/2であることが好ましい。
一方、導電接着層11がACFである場合のICモジュール70およびカード基体2の機械的接続を良好にするためのΔacf1の適切値は、上述の適切な電気的接続を図るための条件であるΔacf2よりも小さくなると推定される。特に、導電接着層11にICモジュール70およびカード基体2に対する接着剤成分のくさび効果による機械的接着力を期待する場合、導電接着層11が、ICモジュール70およびカード基体2の表面の微小な凹凸に入り込むことが必要である。そして、ある程度の導電接着層11の厚さの確保が必要となる。これより、第2凹部92aの深さd2は、第1凹部91の深さd1よりも、所定分だけ浅くすることが好ましい。
例示的には、第1凹部91の深さは、例えば、0.17mm以上、0.5mm以下程度であり、第2凹部92aおよび92bの深さは、例えば0.12mm以上、0.4mm以下程度である。端子73aや73bの厚さが0.015mm以上、0.15mm以下である場合、第2凹部92a、92bの深さと第1凹部91の深さとの差分は、第1の条件として、0.005mm以上、0.1mm以下程度となることが好ましい。また、第2の条件として、0.005mm以上、0.03mm以下程度となることがより好ましい。さらには、第3の条件として、0.01mm以上、0.02mm以下程度となることが一層好ましい。
第1の条件であることにより、導電接着層11の選択範囲を拡張できる。第2の条件であることにより、第1凹部91および第2凹部92a、92bの深さの差分が小さく抑えられ、導電接着層11の接着剤成分の第2凹部92a、92bから第1凹部91への流動が抑制できるため、第2凹部92a、92bでも良好な機械的接着が期待できる。また、第3の条件であることにより、第1凹部91におけるICモジュール70およびカード基体2の機械的接続と、接着成分のICモジュール70の外周からのはみ出しの抑制の両立が効果的に図れる。
このようにして、ICモジュール70をカード基体2の凹部9に搭載した後の断面は、図3(a)および(b)に示すようになる。すなわち、第1凹部91における導電接着層11の厚さはd11となり、第2凹部92aおける導電接着層11の厚さは、端子73a以外の領域ではd22となり、端子73aの領域ではd3となる。上述した当該機械的接続を良好にする条件と当該電気的接続を良好にする条件とを両立させる場合は、一般的にd11>d22>d3となる。
なお、このような凹部9をカード基体2に形成するための具体的な切削順番は、切削加工におけるミリング用プログラムに応じて任意に定めることができる。加工時間の効率化や切削品質の確保の観点から求まる例示的な加工順番は、以下のようになる。例えば図1(b)において、まず、外周97に沿って第1凹部91および第2凹部92a、92bに共通する領域を、第2凹部92a、92bの深さにて、左回りまたは右回りにミリングツールを移動させながら切削する。次にこれらの中央側の領域を、第1凹部91よりも深い第3凹部93の深さにて、同様に左回りまたは右回りにミリングツールを移動させながら切削する。
そして、最後に、第1凹部91に共通する領域を、第2凹部92a、92bよりも深く、第3凹部93よりも浅い深さにて、ミリングツールを移動させながら切削する。なお、第2凹部92aのみを左回りまたは右回りにミリングツールを移動させながら切削し、次に第2凹部92bのみを同様に切削し、その後に第1凹部91の切削を行ってもよい。あるいは、第2凹部92a、92bにまたがりながら、ミリングツールを左右方向に移動させて、これを順次上方から下方にずらしながら連続的に切削を行い、第2凹部92a、92bを同時に形成することとしてもよい。
(e)デュアルインターフェースICカードの製造方法
次に、上述したカード基体2、ICモジュール70および導電接着層11を用いた、デュアルインターフェースICカード1の製造方法の一例を説明する。
まず、アンテナ保持層5やインナー層4、ICモジュール70を含め、カード基体2やデュアルインターフェースICカード1を構成するための必要な部材を準備する。次に、アンテナ保持層5のインナー層4と対向する側の表面に、絶縁部材で被覆された被覆導線をアンテナ線83として、第1端部81または第2端部82のいずれか一方を始点とし、いずれか他方を終点として、巻き線形成機により埋め込む。具体的には、例えば、アンテナ保持層5に対して所定の熱圧を加えながら、図1(a)に示すようなループ形状にアンテナ供給ヘッドを描画させ、当該アンテナ供給ヘッドから供給されたアンテナ線83をアンテナ保持層5に順次、埋め込む。アンテナ保持層5を第1の基材と称してもよい。
ここで、ICモジュール70の搭載予定位置の左右の所定位置に、第1端部81および第2端部82が左右方向に並ぶようにアンテナ線83を配置し、その終点でアンテナ線83を切断する。第1端部81および第2端部82は、アンテナ80を構成するアンテナ線83による、凹部9の外周97から中心に向けた、繰り返しの折り返し構造によって構成されるように、巻き線形成機の動きを変更してアンテナ線83の配置位置を調整する。また、アンテナ線83の当該折り返し構造の屈曲部以外の部分が外周97に沿う直線であるY軸と平行な直線に沿い、かつ、第1端部81および第2端部82が、それぞれ矩形の輪郭に沿うようにアンテナ80がアンテナ保持層5に埋め込み形成される。
次に、アンテナ80が形成されたアンテナシート12であるアンテナ保持層5を用いて、図2(a)に示すとおり、厚さ方向の下側からオーバーシート層7、インナー層6、アンテナ保持層5、インナー層4およびオーバーシート層3をこの順に重ねる。その後、カードが縦横に多面付けで配置された大判シートの積層体の単位で、厚さ方向の上下からステンレス板で挟み込み、当該ステンレス板を介して、当該積層体に対して熱圧を加える。アンテナ保持層5と対向してアンテナ80を挟みこむインナー層4や当該インナー層4を含めた複数層の積層物を第2の基材と称してもよい。
このような熱プレス工程を経ることにより、積層体の各層が一体化した大判シート単位のカード基体を得ることができる。また、オーバーシート層、インナー層およびアンテナ保持層のいずれかが、所定温度で熱融着しない耐熱性を有する場合は、以下のようにできる。すなわち、各層間に所定温度で熱融着する接着シートを挟み、あるいは、接着剤を塗付した上で、これらを熱プレス工程に掛けることにより、一体化した大判シート単位のカード基体を得る。
上記により得られた、カードが縦横に多面付けで配置された大判シート単位のカード基体を、打ち抜き機によりISO/IEC7810のカードサイズであるカード基体2として打ち抜く。また、当該カード基体2に、ICモジュール70を埋設するための凹部9を、エンドミルによる切削加工にて形成する。これにより、切削済みのカード基体2が得られる。凹部9は、ICモジュール70の平板状の基板72を収納するための第1凹部91および第2凹部92a、92bと、凸状のICチップ体74を収納するための第3凹部93と、の合計3段で構成されることは前述したとおりである。
ここで、第1凹部91の深さは、ICモジュール70を埋設して、カード基体2に対して接着することと、外部接続端子71の表面が、カード基体2の非切削領域の表面と略同一面となることとを考慮して定められる。また、第2凹部92aや92bの深さは、アンテナ80の第1端部81および第2端部82の埋設深さと対応付けられている。すなわち、第2凹部92a、92bを切削加工により形成したとき、その底面92pには、第1端部81および第2端部82のアンテナ線83の一部が露出する。
言い換えると、カード基体2の外部接続端子71の露出する側の表面から第2凹部92a、92bの底面92pまでの深さをd2とする。また、当該表面から第1端部81および第2端部82のいずれか一方のアンテナ線83の上端までの距離をd201とし、当該表面から当該一方のアンテナ線83の下端までの距離をd202とする。このとき、d2、d201およびd202の各値について、d201<d2<d202が成り立つ。これが満たされない場合、切削加工によってアンテナ線83が断線するか、底面92pから露出しない不具合が生じてしまうからである。
一方、カード基体2の製造および凹部9を形成するための切削加工とは別に、ICモジュール70への導電接着層11の貼付を行う。ICモジュール70としては、通常、1列取りまたは2列取りで連続的に長尺のテープに当該ICモジュール70が形成されているモジュールテープを使用する。このモジュールテープの外部接続端子71の形成面とは反対側の基板72の面に、テープ状のACFを一定の熱圧を加えながら貼り込んでいく。その後、ACFが貼り込まれたモジュールテープを、角に丸みを有する略長方形状のICモジュール70として打ち抜き機で打ち抜くことで、導電接着層11の貼付がされた個片のICモジュール70を得る。
その後、凹部9が形成されたカード基体2に対し、導電接着層11の貼付がされたICモジュール70を埋設し、外部接続端子71に所定のヒートブロックを押し当てて、カード基体2側に向けて所定時間、所定の熱圧を加える。これにより、ACFで構成された導電接着層11を溶融させることで、ICモジュール70の端子73aおよび73bとアンテナ80の第1端部81および第2端部82との電気的接続を図るとともに、ICモジュール70とカード基体2との機械的接続を図る。ACFは、その品種や組成により、熱圧条件に差異はあるが、一例としては、時間を0.5秒以上、10.0秒以下とし、温度を150℃以上、250℃以下とし、圧力を20MPa以上、100MPa以下とすることができる。
(f)第1実施形態のデュアルインターフェースICカードについて
以上をまとめると、第1実施形態のデュアルインターフェースICカード1は、カード基体2と、当該カード基体2の内部に配置された、少なくとも複数の端部84である第1端部81および第2端部82を有するアンテナ80と、を備える。さらに、デュアルインターフェースICカード1は、ICチップ74a並びに当該ICチップ74aと電気的に接続された複数の端子73aおよび73bを有するICモジュール70を備える。ICモジュール70は、互いに対向する複数の端子73aおよび73b並びに複数の第1端部81および第2端部82が、それぞれ電気的に接続されるようにカード基体2に設けられた凹部9に配置される。
複数の端部84である第1端部81および第2端部82は、アンテナ80を構成するアンテナ線83による、凹部9の外周97から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成され、かつ、その一部が凹部9、すなわち第2凹部92aおよび92bに露出している。これにより、凹部9において露出している単位面積当たりのアンテナ線83の露出面積を高め、ICモジュール70の端子73aや73bとアンテナ80との電気的接続の信頼性を向上できる。
この凹部9は、当該凹部9の外周97の一部を含み、互いに分離した第1凹部91と、第1凹部91と隣接し、互いに分離した第2凹部92a、92bとを備える。さらに、凹部9は、第1凹部91と隣接し、かつ当該第1凹部91および第2凹部92a、92bよりも凹部9の中央側に形成された第3凹部93を備える。また、第1凹部91は、第2凹部92a、92bよりも深く形成され、かつ第1凹部91よりも第3凹部93が深く形成されている。
これにより、ICモジュール70に熱圧を掛けてカード基体2の側に押し付けたとき、第2凹部92aの深さを以下のように定めることができる。すなわち、導電接着層11を介した基板72から凸状に飛び出した構造の端子73aと第2凹部92aの底面92pに露出したアンテナ線83との距離が電気的接続のための適正範囲となるように上記深さを定める。また、端子73aからY軸方向に沿って離間した基板72の領域では、基板72とカード基体2との距離が機械的接続のための適正範囲となるように、第1凹部91の深さを、第2凹部92a、92bの深さとは無関係に定めることができる。好ましくは、第1凹部91の深さは、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続を良好とすべく、第2凹部92a、92bの深さよりも深くなるように調整され得る。
よって、本実施形態のデュアルインターフェースICカード1は、ICモジュール70およびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続との両方の信頼性を向上させることができる。また、同一の導電接着層11を用いた場合でも、ICモジュール70およびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2の機械的接続とを実現できる。また、第1凹部91の深さが第2凹部92a、92bの深さよりも深いことにより、導電接着層11の厚さが十分に確保でき、引張り等の外力に対して凝集破壊を起こし難くできる。さらには、導電接着層11のくさび効果等による機械的接着力を十分に確保でき、接着剤成分のはみ出しを抑制することでデュアルインターフェースICカード1の外観を良好とすることができる。
2.第2実施形態
次に、本開示の第2実施形態に係るデュアルインターフェースICカードについて説明する。
図5(a)は、第2実施形態のデュアルインターフェースICカード1aに関する、図1(b)に対応するアンテナ80aの端部84aである第1端部81aおよび第2端部82a付近の構成を示す図である。図5(b)は、図5(a)の第1端部81aの構成のみを示した図である。本実施形態のデュアルインターフェースICカード1aにおいて、第1端部81aおよび第2端部82aは、アンテナ80aを構成するアンテナ線83による、凹部9aの外周97から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成される。さらに、その一部が凹部9aに露出しており、アンテナ80aの当該折り返し構造の屈曲部以外の部分が外周97に沿う直線に対して傾斜している。
端部84aである第1端部81aおよび第2端部82aのうち、アンテナ線83が露出している折り返し構造の屈曲部の領域は、Z軸方向に沿った平面視で第2凹部95aおよび95bと重畳する第1露出部86aおよび第2露出部87aである。端部84aである第1端部81aおよび第2端部82aにおいて、折り返し構造の上端および下端の屈曲部以外の部分が、それぞれ第1凹部91および第2凹部95a、95bの外周97に沿う辺97aおよび97bに平行な直線m1およびm2に対して斜めに傾斜している。直線m1およびm2は、Y軸と平行な直線である。さらに、第1端部81aおよび第2端部82aが、X軸方向に沿った幅がW31であり、Y軸方向に沿った幅がW22である矩形の輪郭に沿うように形成されている。
ここで、外周形状がICモジュール70のそれと略同一の略矩形である凹部9aを切削加工で形成する場合において、アンテナ線83を露出させながら第2凹部95aおよび95bを切削して形成する方法は、第1実施形態で説明したものと同様である。すなわち、図5(a)において、まず、外周97に沿って第1凹部91および第2凹部95a、95bに共通する領域を、第2凹部95a、95bの深さにて、左回りまたは右回りにミリングツールを移動させながら切削する。次にこれらの中央側の領域を、第1凹部91よりも深い第3凹部93の深さにて、同様に左回りまたは右回りにミリングツールを移動させながら切削する。
そして、最後に、第1凹部91に共通する領域を、第2凹部95a、95bよりも深く、第3凹部93よりも浅い深さにて、ミリングツールを移動させながら切削する。なお、第2凹部95aのみを左回りまたは右回りにミリングツールを移動させながら切削し、次に第2凹部95bのみを同様に切削し、その後に第1凹部91の切削を行ってもよい。あるいは、第2凹部95a、95bにまたがりながら、ミリングツールを左右方向に移動させて、これを順次上方から下方にずらしながら連続的に切削を行い、第2凹部95a、95bを同時に形成することとしてもよい。
ここで、第2凹部95aまたは95bの切削加工時には、ミリングツールがX軸に沿った方向およびY軸に沿った方向のそれぞれに移動しながら切削することとなる。このとき、アンテナ線83の配線方向とミリングツールの移動方向とが略平行となると、アンテナ線83を途中の部分で切削することにより、アンテナ線83の一部が分岐しながら意図しない枝分かれを生じる、いわゆるヒゲの発生が懸念され得る。しかし、本実施形態では、第1端部81aおよび第2端部82aの折り返し構造の上端および下端の屈曲部以外の部分が傾斜していることにより、上述する不具合が抑制できる。
第1端部81aにおいて、折り返し構造の屈曲部以外の部分は、凹部9aの外周97の辺97aに沿う直線であるY軸に対して所定角度である角度θだけ、時計回りに傾斜している。ここで、傾斜角θは、2度以上、20度以下であることが好ましく、5度以上、15度以下であることがさらに好ましい。また、傾斜角θは、すべての当該折り返し構造の屈曲部以外の部分において、厳密に同じである必要はなく、上述の範囲でばらついてもよい。傾斜角θが前者の範囲であることにより、アンテナ線83が凹部9aの切削加工時のエンドミルの移動方向であるX軸やY軸に沿う方向に対する傾斜を有するため、アンテナ線83が意図せず分岐される不具合を抑制できる。
一方、傾斜角θが後者の範囲であることにより、アンテナ線83の分岐であるヒゲの発生の抑制を一層図ることができる。また、凹部9aの加工前の第1端部81aの+X方向側の端が第2凹部95aと、第3凹部93との境界よりも+X方向側にある場合でも、第3凹部93の切削時にアンテナ線83を切削によるアンテナ線83の断線領域を一層低減できる。これにより、アンテナ80aとICモジュール70の端子73aとの電気的接続の信頼性をさらに向上できる。
なお、本実施形態では、第1端部81aのX軸方向に沿った領域のうち、+X方向側の端は第2凹部95aと第3凹部93との境界と略同一位置であり、-X方向側の端は凹部9aの外周97である第2凹部95aの端よりも-X方向側にある。このように、第1端部81aの+X方向側の端が第2凹部95aと第3凹部93との境界と略同一位置であるか、これよりも-X方向側にある場合は、第3凹部93の切削時にアンテナ線83を切削しないか、アンテナ線83の切削量を低減することができる。このため、切削する深さが深いほど生じやすくなるアンテナ線83の分岐、すなわちヒゲの発生を抑制できる。
また、切削前の第1端部81aの+X方向側の端が第2凹部95aと第3凹部93との境界よりも+X方向側にある場合は、第3凹部93の切削時にアンテナ線83を切削し、これが途中で断線する。しかし、傾斜角θが上述した範囲内であれば、アンテナ線83の断線領域を低減することができ、アンテナ80aとICモジュール70の端子73aとの確実な電気的接続が図れる。
さらに、凹部9aの加工前の第1端部81aの+X方向側の端が第2凹部95aと第3凹部93との境界よりも+X方向側にある場合は、この領域にはアンテナ線83のうち、折り返し構造の屈曲部を含み、当該屈曲部以外の部分を含まないように配置することが好ましい。このようにすることで、第3凹部93の切削時に、エンドミルの移動方向であるY軸に沿った方向から大きく角度がずれている屈曲部からのアンテナ線83の分岐は生じにくく、結果的に品質向上に寄与するからである。
なお、第2端部82aにおいて、折り返し構造の屈曲部以外の部分は、凹部9aの外周97の辺97bに沿う直線であるY軸に対して所定角度である角度θだけ、第1端部81aとは逆に反時計回りに傾斜している。ここで、傾斜角θの範囲は、向きが逆であることを除けば、第1端部81aの説明と共通である。第1端部81aにおける、屈曲部以外の部分の外周97に沿う直線に対する傾斜と、第2端部82aにおける、屈曲部以外の部分の外周97に沿う直線に対する傾斜とは、互いにY軸に沿った直線に対して線対称に形成される。すなわち、第1端部81aおよび第2端部82aは、そのアンテナ線83の屈曲部以外の部分の傾斜を含め、その構成の全体として、Y軸に沿った軸線に対して左右対称に配置されている。
このことにより、アンテナ保持層5にアンテナ線83を埋め込んでアンテナシート12を形成する際の、アンテナ保持層5のひずみや内部応力が互いに相殺および分散され、ひずみや内部応力の少ない均一化されたアンテナシート12を得ることが可能となる。
また、凹部9aにICモジュール70を埋設する際の、第1端部81aと端子73aとの間に加わる熱圧条件と、第2端部82aと端子73bとの間に加わる熱圧条件とが、互いに左右方向について対称的となる。これにより、熱圧条件の偏りが回避され、ICモジュール70およびアンテナ80の電気的接続やICモジュール70およびカード基体2の機械的接続の安定化が図れる。
ただし、第1端部81aにおける、屈曲部以外の部分の外周97に沿う直線に対する傾斜と、第2端部82aにおける、屈曲部以外の部分の外周97に沿う直線に対する傾斜とは、互いに線対称ではなく、同一であってもよい。すなわち、第2端部82aのアンテナ線83の構成は、第1端部81aのアンテナ線83の構成をそのまま、+X方向側に平行移動したものと略同一であってもよい。この場合、上述した第1端部81aの構成に関する作用効果がそのまま、第2端部82aにもあてはまる。
3.第3実施形態
次に、本開示の第3実施形態に係るデュアルインターフェースICカードについて説明する。
図6(a)は、デュアルインターフェースICカード1bを+Z方向から見た、図1(a)に対応する平面図であり、図6(b)は、外部接続端子71付近を拡大したアンテナ80bの配置を説明する、図1(b)に対応する図である。また、図7(a)は、図6(b)のデュアルインターフェースICカード1bをX軸と平行なD-D線に沿った面で切った断面を-Y方向から見た、図2(a)に対応する図である。図7(a)は、ICモジュール70を省略した、図2(a)に対応する図であり、図7(b)は、図7(a)において、ICモジュール70が搭載された状態の、図2(b)に対応する図である。また、図8は、図6(b)のデュアルインターフェースICカード1bをY軸と平行なE-E線に沿った面で切った断面を-X方向から見た、図3(a)に対応する図である。
図6(a)や図6(b)に示すように、デュアルインターフェースICカード1bは、 アンテナ80bのアンテナ線83の両端部が、第2凹部96aおよび96bの外周97から凹部9bの中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成されない点が、前述した実施形態とは異なる。すなわち、本実施形態では、アンテナ線83の両端に形成される端部100を構成する第1端部および第2端部は、プレート状の導電部材から構成された端部である第1プレート110および第2プレート120が対応する。言い換えると、アンテナ80bを構成するアンテナ線83は、略矩形のカードの周囲を周回するように巻かれた上、その両端が一対の導電性のプレート状の端部100である第1プレート110および第2プレート120と電気的に接続されている。
なお、デュアルインターフェースICカード1bのカード基体2bの層構成は、基本的に第1実施形態のデュアルインターフェースICカード1と同様である。ただし、アンテナ保持層5の一方の面に、アンテナ80bとしてアンテナ線83並びにその両端である第1端部81および第2端部82が設けられることに代えて、アンテナ線83並びにその両端と溶接された第1プレート110および第2プレート120が設けられる点のみが異なる。よって、カード基体2bの詳細な説明は省略する。
図7(a)に示すように、第1プレート110は第1部材111と第2部材112とが積層した構成を有しており、その第2部材112の表面が第2凹部96aの底面96pにおいて露出している。ただし、これは一例にすぎず、第1プレート110および第2プレート120は、ともに単一の部材で構成されてもよく、あるいはともに3層以上の異なる部材の積層構成を備えていてもよい。
本実施形態では、第1部材111および第2部材112は、互いに異種の金属の導電部材から構成され、第2部材112は、第1部材111よりも酸化し難い金属の導電部材で構成される。一例として、第1部材111を銅、第2部材112を銀メッキとすることができるがこれには限られない。なお、第2プレート120の構成もこれと同じとすることができる。
ICモジュール70のカード基体2b側を向く面には、前述したように、内包されるICチップと電気的に接続している端子73aおよび73bが設けられている。そして、図7(b)に示すように、端子73aは、導電接着層11を介して第1プレート110と電気的に接続するとともに、ICモジュール70は、カード基体2bと、導電接着層11を介して機械的にも接合される。ここで、第1プレート110および第2プレート120は、第2部材112が凹部9bの開口側を向き、第1部材111が凹部9bの開口側とは反対側を向くように、カード基体2bに配置されている。凹部9bの開口側とは、図7(b)における+Z方向側である。
アンテナ線83の先端は、第1プレート110の+Z方向側、すなわち第2部材112と当接することにより、第1プレート110との電気的接続が図られている。また、ICモジュール70の端子73aも、導電接着層11を介して、第1プレート110の第2部材112と当接することにより、第1プレート110との電気的接続が図られている。これにより、第1プレート110は、第2部材112の面側のみに必要な導電性があればよく、第1プレート110の部材の選択範囲が絶縁部材を含めて拡張できる。
また、第1プレート110が、導電部材である第1部材111と、第1部材111よりも酸化し難い導電部材である第2部材112と、が積層された構成を有することにより、以下の効果が期待できる。すなわち、アンテナ線83の先端および端子73a、73bを、いずれも第2部材112と対向して第1プレート110と電気的に接続でき、アンテナ線83の先端および端子73a、73bと、第1プレート110との電気的接続の信頼性が向上する。比較的、酸化し難い第2部材112は、その表面に酸化被膜が形成され難くなり、アンテナ線83の第1プレート110への溶接や、導電接着層11として異方性導電フィルム(ACF)を使用した場合、これが含有する金属粒子との接合が良好に行える可能性が高い。
また、第2部材112の表面には酸化被膜が形成され難い。このため、エンドミル等の切削加工により凹部9bを形成する際、第2部材112の表面に積層されているインナー層4等の樹脂基材との水素結合等による接着力が得られ難くなり、第2部材112と樹脂基材との密着性が下がる傾向にある。このため、エンドミルの刃の切削深さの設定が多少浅めにずれたとしても、第2部材112の界面では、樹脂基材がはがれやすくなり、良好に凹部9bに第2部材112の表面を露出させることができる。よって、切削加工における刃の深さ設定範囲を広げることができ、歩留まりや生産性が向上する。以上は、第2プレート120についても同様にあてはまる。
図8に示すように、カード基体2bの凹部9bのうち、ICモジュール70の基板72が埋設される箇所には、第1実施形態と同様に、第1凹部91および第2凹部96aという2種類の深さの凹部が存在する。図示しないが、第2凹部96bの深さや形状も第2凹部96aと同様である。このため、場所によって基板72とカード基体2bとの隙間の距離が異なり、その結果、両者に挟まれた導電接着層11の接着後の厚さが異なる。すなわち、基板72のうち端子73aが形成された領域と、端子73aからX方向に沿って離間した領域とでは、これと対向するカード基体2bの凹部9bの深さが異なり、前者の領域には第2凹部96aが対向し、後者の領域には第2凹部96aよりも深い第1凹部91が対向する。
すなわち、本実施形態では、端子73aからY軸方向に沿って離間した基板72の領域では、基板72とカード基体2bとの隙間が、ICモジュール70およびカード基体2bの接着力を向上し、両者の機械的接続を良好とするべく、カード基体2bの凹部9bの深さを変更している。具体的には、当該領域の凹部9bを、第2凹部96aよりも深い第1凹部91としている。第2凹部96aの深さは、基板72から-Z方向に飛び出して延在する端子73aと第1プレート110との電気的接続を考慮して定めたものである。このことは、第2凹部96bや第2プレート120についても同様にあてはまる。
よって、本実施形態のデュアルインターフェースICカード1bは、ICモジュール70およびアンテナ80bの電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2bの機械的接続との両方の信頼性を向上させることができる。具体的には、同一の導電接着層11に対して、ICモジュール70およびアンテナ80bの電気的接続を良好とする第2凹部96a、96bの深さと、ICモジュール70およびカード基体2bの機械的接続を良好とする第1凹部91の深さとを異なるようにしている。すなわち、第1凹部91よりも第2凹部96a、96bが浅く形成されている。
第1凹部91および第2凹部96a、96bをこのように構成することで、ICモジュール70およびアンテナ80の電気的接続と、ICモジュール70およびカード基体2bの機械的接続とを同一の導電接着層11によって実現できる。このため、デュアルインターフェースICカード1bの製造の効率化が図れる。また、その他、第1実施形態で述べた効果が本実施形態でも同様に得られる。
1、1a、1b デュアルインターフェースICカード
2、2b カード基体
3、7 オーバーシート層
4、6 インナー層
5 アンテナ保持層
8、8a アンテナ
9、9a、9b 凹部
11 導電接着層
11a 導電粒子
11b 接着剤
12 アンテナシート
70 ICモジュール
71 外部接続端子
72 基板
73a、73b 端子
74 ICチップ体
74a ICチップ
74b モールド部
74p パッド
75 ワイヤ
76 ボンディングホール
80、80a、80b アンテナ
81、81a 第1端部
82、82a 第2端部
83 アンテナ線
84 端部
86、86a、86b 第1露出部
87、87a、87b 第2露出部
91 第1凹部
92a、92b、95a、95b、96a、96b 第2凹部
92p、96p 底面
93 第3凹部
97 外周
97a、97b 辺
100 端部
110 第1プレート
111 第1部材
112 第2部材
120 第2プレート

Claims (8)

  1. 外部機器との接触通信および非接触通信が可能なデュアルインターフェースICカードであって、
    凹部を備えたカード基体と、
    前記カード基体の内部に配置された、端部を有するアンテナと、
    ICチップと電気的に接続された端子を有するICモジュールと、を備え、
    前記凹部は、当該凹部の外周の一部を含み、互いに分離した第1凹部と、
    前記第1凹部と隣接し、互いに分離した第2凹部と、
    前記第1凹部と隣接し、かつ当該第1凹部および前記第2凹部よりも前記凹部の中央側に形成された第3凹部と、から構成され、
    前記ICモジュールと対向する前記第2凹部において、前記端部が前記カード基体から前記ICモジュールに向けて露出しており、
    前記ICモジュールは、前記端子および前記端部が電気的に接続されるように前記凹部に配置され、
    前記第2凹部よりも前記第1凹部が深く形成され、かつ前記第1凹部よりも前記第3凹部が深く形成されている、デュアルインターフェースICカード。
  2. 前記端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成されている、請求項1に記載のデュアルインターフェースICカード。
  3. 前記外周は、前記カード基体の短辺および長辺と略平行な辺を有する略矩形であり、前記端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線による、前記凹部の前記カード基体の短辺と略平行な辺である前記外周から中心に向けた繰り返しの折り返し構造によって構成される、請求項1または請求項2に記載のデュアルインターフェースICカード。
  4. 前記アンテナの前記折り返し構造の屈曲部以外の部分が前記外周に沿う直線に対して傾斜している、請求項3に記載のデュアルインターフェースICカード。
  5. 前記端部は、前記アンテナを構成するアンテナ線の先端に溶接されたプレート状の導電部材によって構成されている、請求項1に記載のデュアルインターフェースICカード。
  6. 前記ICモジュールは、互いに対向する前記端子および前記端部が、異方性導電フィルムを介してそれぞれ電気的に接続される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のデュアルインターフェースICカード。
  7. 前記異方性導電フィルムは、前記第1凹部および前記第2凹部と重畳するように配置される、請求項6に記載のデュアルインターフェースICカード。
  8. 外部機器との接触通信および非接触通信が可能なデュアルインターフェースICカードの製造方法であって、
    第1の基材、第2の基材、並びにICチップと電気的に接続された端子を有するICモジュール、を準備する工程と、
    前記第1の基材の一方の面に、端部を有するアンテナを形成する工程と、
    前記アンテナを挟むように前記第1の基材と前記第2の基材とを熱融着により、または接着剤を介して、積層して積層体を形成する工程と、
    前記積層体をカードサイズに打ち抜いてカード基体を形成する工程と、
    前記カード基体に、凹部を形成する工程と、
    前記ICモジュールを、前記端子および前記端部が電気的に接続されるように前記凹部に配置する工程と、を備え、
    前記凹部は、当該凹部の外周の一部を含み、互いに分離した第1凹部と、
    前記第1凹部と隣接し、互いに分離した第2凹部と、
    前記第1凹部と隣接し、かつ当該第1凹部および前記第2凹部よりも前記凹部の中央側に形成された第3凹部と、から構成され、
    前記ICモジュールと対向する前記第2凹部において、前記端部が前記カード基体から前記ICモジュールに向けて露出しており、
    前記第2凹部よりも前記第1凹部が深く形成され、かつ前記第1凹部よりも前記第3凹部が深く形成されている、デュアルインターフェースICカードの製造方法。
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